JP2004509705A - マッサージ式搾乳ポンプおよびそのための漏斗 - Google Patents

Abstract

搾乳ポンプ漏斗について開示する。漏斗は、女性の乳房にぴったりはまるように形状／寸法設定されており、乳首を受けるネックと、乳房の中心部分にかぶさるカップと、カップから外側に延びて乳房の中心から周囲に向かう部分に接触する複数のフィンガとを有する。搾乳ポンプのポンプ部は、乳房から母乳を搾り出すために変動する吸引力を加え、母乳を受乳容器に送達させるように、漏斗のネックに連結されている。漏斗のフィンガの先端は、ポンプ動作時に、乳房をマッサージし、乳房からの母乳の放出を刺激する働きをする。

Description

【０００１】
発明の分野
本発明は、一般に、人間の女性の乳房から母乳を搾るための搾乳ポンプに関する。より詳細には、本発明は、母乳の流れを促進するために、乳房をマッサージするように設計された、ポンプ用の漏斗に関する。
【０００２】
発明の背景
様々な理由から、授乳期の女性は、その母乳を搾って回収することを望む場合があり、その目的のために設計されたポンプがよく知られている。このようなポンプは、通常、乳房にかぶさるカップまたは漏斗と、乳首がその中に入り込むネックとを備える。ネックのもう一方の端部は、電動式または手動式の実際のポンプ機構の取入口に連結される。ポンプが手動式の場合、乳房からの母乳の吸引および受乳瓶への注入を交互に行うために繰り返し圧搾されるトリガを有する、往復ポンプにすることができる。
【０００３】
しかし、人間の乳房は、人間の乳児が母乳を飲むのに最適に反応するようになされており、乳児の唇は、母乳を飲むときにリズミカルに動いて乳房をマッサージする傾向にある。このマッサージ作用が、母乳の流出を刺激する。単に乳首から母乳を吸おうと試みても、乳房がうまく反応しないので、ずっと効果が低い。
【０００４】
市販の畜牛用の搾乳器では、長年にわたり、搾乳機械の乳頭カップに可撓性のライナを設けることが通常の慣習である。ライナの外側の空間圧力を周期的に変化させることによって、搾乳機械が乳頭をマッサージし、母乳の流出を促進させる。しかし、このような機械は、一般に、マッサージのための別個のパルス状空気管に頼っており、人間での使用には通常あまり実用的でない。
【０００５】
米国特許第５，８８５，２４６号は、搾乳ポンプの漏斗のための可撓性インサートを記載している。そのインサートは、外表面にいくつかの凹みを備えて、インサートと漏斗の間にチャンバを形成しており、チャンバは、漏斗のネックに連通し、薄い底壁で乳房から離されている。したがって、ポンプによって供給される吸引が周期的に変化すると、チャンバが拡張／収縮し、凹みの底壁が内外に動いて乳房をマッサージする。しかし、インサートは、複雑で成形に費用がかかり、チャンバの薄い底壁が連続的に運動するので疲労を起こしやすい。加えて、母乳がその中に浸入することのあるチャンバは、使用後にインサートを取り外して入念に洗浄しなければ衛生的な問題を生じることがあるが、漏斗から取り外すと、インサートが非常に損傷を受けやすくなる。
【０００６】
米国特許第５，１００，４０６号は、チャンバが外部と通気する、’２４６号特許と同様の構成を記載している。この装置は、明らかに、漏斗インサートと乳房の間の空間の真空度を周期的に変化させるポンプ吸引に頼るものである。
【０００７】
発明の概要
本発明は、搾乳ポンプ用の漏斗と、そのような漏斗を含み、乳房を効果的にマッサージできる搾乳ポンプとを対象とする。
【０００８】
本発明は、女性の乳房の乳首を受けるように形状／寸法設定されたネック部分と、乳房の中心部分にかぶさるように形状／寸法設定されたカップ部分と、乳房の中心から周りに向かう部分に接触するように形状／寸法設定され、カップ部分から外側に延びる複数のフィンガとを備える、搾乳ポンプ用の漏斗を提供する。フィンガは、乳房をマッサージし、乳管からの母乳の放出を刺激するように位置決めされる。
【０００９】
本発明はまた、ａ）女性の乳房の乳首を受けるように形状／寸法設定されたネックと、乳房の中心部分にかぶさるように形状／寸法設定されたカップと、乳房の中心から周りに向かう部分に接触するように形状／寸法設定され、カップから外側に延びる複数のフィンガとを有し、女性の乳房に適合するように形状／寸法設定された漏斗と、ｂ）母乳のための受乳容器と、ｃ）漏斗の、カップとは反対側のネックと、受乳容器とに連結され、漏斗に変動する吸引力を加えて乳房から母乳を搾り出し、母乳を受乳容器に送達させるように構成されたポンプ部とを含む搾乳ポンプも提供する。
【００１０】
ポンプ部が、吸引力を加え、停止することを交互に行うことが好ましい。往復操作によって手動で動作するように、ポンプを構成することが好ましい。
【００１１】
カップから延びるフィンガの先端が、内側に突き出して、乳房に係合することが好ましい。フィンガすべてを同じ長さにする必要はない。異なる長さにすることが好ましい。特に好ましくは２つの異なる長さにすることで、更に好ましくは、交互に並んだ２つの異なる長さにして、乳房の異なる部位をマッサージするようにする。フィンガは、一般にスプーン形にすることができる。フィンガの先端に、乳房に向かって凸のボウルを設けて形成することが好ましい。マッサージの刺激効果を高めるために、フィンガの先端に、乳房を向く側に小さな隆起を設けて形成することができる。
【００１２】
漏斗は、内側を比較的軟質の可撓性（ゴム）材料で覆った、剛性材料製にすることが好ましい。フィンガの先端の内表面を、より軟質な材料で覆うことが好ましい。
【００１３】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、漏斗が剛性プラスチック材料製で、内側により軟質な（ゴム）材料のインサートを備えており、インサートが好ましくは、漏斗のカップ内側を覆うが、フィンガの先端を覆わずにおく。
【００１４】
漏斗の他の好ましい実施形態では、カップおよびネック部分をあわせて１つの部品とし、フィンガが別個のカップ部分を含む。
【００１５】
本発明について説明するために、図面に、現時点で好ましい発明の形態を示す。ただし、本発明が、図面に示す厳密な構成および器具に制限されるものではないことを理解すべきである。
【００１６】
図面の詳細な説明
図面を参照すると、図１は、概ね参照番号１０で示す女性を示し、その乳房１２に、概ね参照番号１４で示す搾乳ポンプが当てられている。搾乳ポンプ１４は、ポンプ部１６と、把持部１８と、トリガ２０とを備える。ポンプ部は、トリガ２０と把持部１８を合わせて握って放すのを繰り返すことによって動作する。ポンプ部１６は、概ね参照番号２２で示す漏斗から母乳を搾り出して、回収瓶２４に注ぐ働きをする。
【００１７】
ここで、図２および図３も参照すると、漏斗２２は、ネック３０とカップ３２とを備える。ネック３０の、カップ３２から離れた端部３４は、ポンプ部１６に連結されている。ネック３０のもう一方の端部３６は、女性１０の乳首（図示せず）の周りに密接してぴったり合うように形状／寸法設定され、女性の乳房１２の中心部分にかぶさるように形状／寸法設定されたカップ３２に滑らかに通じている。
【００１８】
カップ３２の外縁部には、乳房を覆って外側に延びるように形状／寸法設定された、突き出たフィンガ３８、４０がある。フィンガ３８、４０は、カップ３２の縁部の周りに均等な間隔をあけて配置されている。偶数個のフィンガがあり、交互に、他の４個のフィンガ４０よりも長いフィンガ３８が並んでいる。この実施形態では、８個のフィンガ、すなわち４個の長いフィンガ３８と４個の短いフィンガ４０がある。各フィンガ３８、４０は、その先端に、ポンプ１０を乳房上の所定の位置に置くときに乳房１２を軽く押すように位置決めされた、漏斗の内側に向かって凸のボウル４２を有する。各ボウル４２上には、いくつかの小さなバンプ４４を設けることができる。
【００１９】
図２および図３からわかるように、フィンガ３８、４０は、カップ３２の曲線に連続しており、比較的幅が広く、特に厚くはない。これらは、リブ付きでないかまたは、強化されている。これが、わずかな可撓度を与えるので、先端を弾性的に離して広げることができる。フィンガ３８、４０の先端は、丸くしてあり、ボウル４２の曲線と相まって、フィンガを肌に突き立てることなく、漏斗を乳房に置くことができる。漏斗の直径は、長いフィンガ３８の先端を横切って測定して、９５ｍｍ（３．７４インチ）にすることができる。
【００２０】
漏斗２２は、剛性ポリプロピレンまたは他の適切なプラスチック材料製で、その内側により軟質な材料のレイヤ４５を重ねて成形される。より軟質な材料は、商標ＫＲＡＴＯＮとしてＳｈｅｌｌから販売される、熱可塑性エラストマー合成ゴムにすることができる。あるいは、米国オハイオ州エイボンレイクのＴｈｅ　Ｇｅｏｎ　Ｃｏｍｐａｎｙから、商標ＳＹＮＰＲＥＮＥ　ＩＴ３８−０７４　ＴＵＲＱＵＯＩＳＥ　６３８５、製品番号Ｊ３８０７　４０Ａ　９４８５、配合番号００１として販売される、スチレン化ブロックコポリマーにすることもできる。フィンガ３８、４０の基部の間に、ゴムによってウェブ４６を形成することができる。ゴムは、ボウル４２とバンプ４４を備える先端を含め、フィンガ３８、４０の内側全体を覆う。ただし、ウェブ４６は、フィンガ３８、４０に沿った短い経路を越えては拡張しない。ゴム４５は、漏斗２２の内側を覆い、好ましくは間に空間を残さずに、内表面全体を覆って漏斗２２のプラスチックに接着されている。
【００２１】
ここで、図４および図５を参照すると、第１の実施形態と同様の、漏斗の第２の実施形態が、概ね参照番号４８で示されている。漏斗４８は、ネック５０とカップ５２とを備える。ネック５０の、カップ５２から離れた端部５４は、ポンプ部１６に連結されている。ネック５０のもう一方の端部５６は、女性１０の乳首（図示せず）の周りに密にぴったり合うように寸法設定され、女性の乳房１２にかぶさるように構成されたカップ５２に滑らかに通じている。
【００２２】
カップ５２の外縁部には、均一に間隔をあけて配置されたフィンガ５８、６０の環状構造があり、この実施形態では８個のフィンガがある。４つのフィンガ５８は、他の４つのフィンガ６０よりも長く、それらと交互に並んでいる。各フィンガ５８、６０は、その先端に、漏斗の内側に向かって凸のボウル６２を有し、これは、ポンプ１０を乳房上の所定の位置に置くときに乳房１２を軽く押すように位置決めされる。各ボウル６２上には、いくつかの小さなバンプ６４が設けられている。
【００２３】
漏斗４８は、ポリプロピレンなど、比較的剛性の材料製である。シリコンゴムなど、より軟質材料のインサート６６が、漏斗４８の内側に嵌合している。インサート６６は、漏斗形で、漏斗４８のネック内にぴったり嵌合するネック６８と、漏斗４８のカップ５２内に嵌合するカップ７０とを有する。図４および図５に示すように、インサート６６のカップ７０は、フィンガ５８、６０の基部に重ねることができるが、ボウルと乳房の間の接触に干渉しないように、ボウル６２を含めたフィンガ先端は覆わずにおく。インサートは、漏斗４８の内表面に接して、間に空間または空隙をあけずに置かれている。カップ７０の縁部がフィンガ５８、６０に重なる場所に形成される段差を低減するために、インサート６６の厚さを、カップ７０の縁部のところでテーパさせることが好ましく、実際の縁部は丸くすることができる。半径１．９ｍｍ（０．７５５インチ）が申し分ないことがわかった。テーパした縁部は別にして、インサート６６は、本質的に、従来の搾乳ポンプと併せて使用するための従来の可撓性漏斗にすることができる。従来の搾乳ポンプのポンプユニットの取入口は、通常、漏斗のネックがその中にぴったり嵌合する短い管である。この実施形態では、管は、漏斗４８のネック５０の外側、あるいは漏斗４８のネック５０とインサート６６のネック７０の間に嵌合させることができる。
【００２４】
使用時には、女性１０は、乳首を漏斗のネック３０または５０の中に入れ、カップ３２または５２を乳房１２に押し付けて載せ、乳房１２を覆って漏斗２２または４８を置く。フィンガの、ボウル４２または６２、ならびにバンプ４４または６４が、乳房に接触してそっと押す。
【００２５】
次いで、女性がトリガ２０と把持部１８を握って放すことによってポンプを始動させ、ポンプユニット１６の往復動作を生じさせる。ポンプユニット１６は、漏斗への吸引力を代わるがわる加えては停止させる。これが必然的に、フィンガ３８、４０、または５８、６０の先端を含めて、ポンプ１４を全体としてリズミカルに運動させ、ボウル４２または６２、ならびにバンプ４４または６４を採用する場合にはこれらが乳房をマッサージする。このマッサージ作用が、乳児の口による乳房のマッサージを模して乳房からの母乳の放出を刺激し、ポンプユニット１６がそれを集めて回収瓶２４に移送する。
【００２６】
本発明について、その例示的な実施形態に即して記載し示したが、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更、省略、および追加を実施できることが、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図１】
女性の乳房上の所定の位置にある、本発明による漏斗を備えるポンプを示す斜視図である。
【図２】
本発明による漏斗の第１の実施形態を示す斜視図である。
【図３】
図２に示す漏斗を通る軸方向断面を示す図である。
【図４】
本発明による漏斗の第２の実施形態を示す斜視図である。
【図５】
図４に示す漏斗を通る軸方向断面を示す図である。

Claims (24)

1. 搾乳ポンプ（１４）用の漏斗（２２、４８）であって、
   女性の乳房（１２）の乳首を受けるように形状／寸法設定され、搾乳ポンプ（１４）のポンプ部（１６）に連結するようになされたネック部分（３０、５０）と、
   乳房（１４）の中心部分にかぶさるように形状／寸法設定されたカップ部分（３２、５２）と、
   乳房（１２）の中心から外に向かう部分に接触するように形状／寸法設定され、カップ部分（３２、５２）から外側に延びる複数のフィンガ（３８、４０、５８、６０）とを備える漏斗。
2. 前記フィンガの先端が、前記乳房（１２）に係合するように内側に突き出している、請求項１に記載の漏斗（２２、４８）。
3. 前記フィンガの先端が、前記乳房（１２）に向かって凸のボウル（４２、６２）を備えて形成される、請求項２に記載の漏斗（２２、４８）。
4. 前記各フィンガの先端が、前記乳房（１２）側に複数のバンプ（４４、６４）を備えて形成される、請求項２に記載の漏斗（２２、４８）。
5. 前記フィンガ（３８、４０、５８、６０）の長さが異なる、請求項１に記載の漏斗（２２、４８）。
6. ２つの異なる長さの交互に並んだ、偶数個のフィンガ（３８、４０、５８、６０）を備える、請求項５に記載の漏斗（２２、４８）。
7. 内側が比較的軟質の可撓性材料（４５）で覆われた剛性材料製の、請求項１に記載の漏斗（２２）。
8. 前記軟質材料（４５）が前記フィンガ先端の内表面を覆う、請求項７に記載の漏斗（２２）。
9. 剛性プラスチック材料製で、内側（６６）上に軟質材料のインサートを備える、請求項１に記載の漏斗（４８）。
10. 前記インサート（６６）が、前記漏斗の前記カップ（５２）内側を覆い、前記フィンガの先端は覆わずにおく、請求項９に記載の漏斗（４８）。
11. 前記カップ部分（５２）と前記ネック部分（５０）をあわせて１つの部品として、前記複数のフィンガ（５８、６０）が別個のカップ部分を含む、請求項１に記載の漏斗（４８）。
12. 搾乳ポンプ（１４）であって、
    女性の乳房（１２）に適合するように形状／寸法設定され、
    前記乳房（１２）の乳首を受けるように形状／寸法設定されたネック（３０、５０）と、
    前記乳房（１２）の中心部分にかぶさるように形状／寸法設定されたカップ（３２、５２）と、
    前記乳房（１２）の中心から外に向かう部分に接触するように形状／寸法設定され、前記カップ（３２、５２）から外側に延びる複数のフィンガ（３８、４０、５８、６０）とを有する漏斗（２２、４８）と、
    母乳のための受乳容器（２４）と、
    前記漏斗（２２、４８）の、前記カップ（３２、５２）とは反対側の前記ネック（３０、５０）と、前記受乳容器（２４）とに連結され、前記漏斗（２２、４８）に変動する吸引力を加えて前記乳房（１２）から母乳を搾り出し、母乳を前記受乳容器（２４）に送達させるように構成されたポンプ部（１６）とを備える搾乳ポンプ。
13. 前記ポンプ部（１６）が、動作時に吸引力を加え、停止する動作を交互に行う、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
14. 往復操作によって手動で動作するように構成された、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
15. 前記フィンガの先端が、前記乳房（１２）に係合するように内側に突き出している、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
16. 前記フィンガの先端が、前記乳房（１２）に向かって凸のボウル（４２、６２）を備えて形成される、請求項１５に記載の搾乳ポンプ（１４）。
17. 前記各フィンガの先端が、前記乳房（１２）側に複数のバンプ（４４、６４）を備えて形成される、請求項１５に記載の搾乳ポンプ（１４）。
18. 前記フィンガ（３８、４０、５８、６０）の長さが異なる、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
19. ２つの異なる長さが交互に並んだ、偶数個のフィンガ（３８、４０、５８、６０）を備える、請求項１８に記載の搾乳ポンプ（１４）。
20. 内側がより軟質な材料（４５）で覆われた剛性プラスチック材料製の、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
21. 前記より軟質な材料（４５）が前記フィンガ先端の内表面を覆う、請求項２０に記載の搾乳ポンプ（１４）。
22. 剛性プラスチック材料製で、内側上により軟質な材料のインサート（６６）を備える、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
23. 前記インサート（６６）が、前記漏斗（４８）の前記カップ（５２）内側と前記フィンガ（５８、６０）基部とを覆うが、前記フィンガの先端は覆わずにおく、請求項２２に記載の搾乳ポンプ（１４）。
24. 前記カップ（５２）と前記ネック（５０）部分を合わせて１つの部品とし、前記複数のフィンガ（５８、６０）が別個のカップ部分を含む、請求項１２に記載の搾乳ポンプ（１４）。

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