JP2004508831A - 酵素ヒドロキシル化によりn−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造する方法 - Google Patents

酵素ヒドロキシル化によりn−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造する方法 Download PDF

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Abstract

N−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造する方法において、バイオ触媒として、アルカン若しくは脂環族炭化水素を分解するバクテリア、又は該バクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する原核宿主生物、又はそれから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素を使用することにより、酸素原子が、対応するN−置換されたピペリジンに位置選択的に挿入されるところの方法。バクテリアは、例えば、Sphingomonas及びPseudomonas属からの種から選ばれ得、これは、4〜20個の炭素原子を有するn−アルカンを分解することができる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いくつかの医薬品及び農薬の製造のための中間体として有用であるところのN−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造する方法に関し、ここで、酸素原子は、バイオ触媒の使用により対応するN−置換されたピペリジンに位置選択的に挿入される。
【0002】
【従来の技術】
4−ヒドロキシピペリジン及びN−置換された4−ヒドロキシピペリジンは、いくつかの医薬品、農薬等の合成のための有用な中間体である。
【0003】
実際、所望されないなら、N−保護された形態の4−ヒドロキシピペリジンを使用することがしばしば有利である。
【0004】
N−置換された4−ヒドロキシピペリジンが、カルボキシエチル化、縮合、及び脱カルボキシル化[Grob,C.A.;Brenneisen,P.,Helv.Chim.Acta,1958年,第41号,第1184頁、Brookes,P.;Walker,J,J.Amer.Chem.Soc.1957年,第79号,第3173〜3175頁、McElvain,S.M.;McMahon,R.E.,J.Amer.Chem.Soc.1949年, 第71号,第901〜906頁、Kuettel,G.M.;McElvain,S.M.,J.Amer.Chem.Soc.1931年, 第2692〜2696頁、Bolyard,N.W.,J.Amer.Chem.Soc.1930年,第52号,第1030頁、Dickerman,S.C.;Lindwall,H.G.,J.Org.Chem.,1949年,第14号,第530〜536頁]を経てエチルアクリレート及びアルキルアミンから合成された対応するN−置換された4−ピペリドンの還元[2776293(1957年1月1日)、米国特許第2767190号明細書(1956年10月16日)、英国特許第629196号公報、ハンガリー国特許第204035号公報、Okano,T.;Matsuoka,M.;Konishi,H.;Kiji,J.Chem.Lett.,1987年、第181〜184頁、Kostochka,L.M.;Belostotskii,A.M.;Skoldinov,A.P.,J.Org.Chem.USSR(英語翻訳),1982年,第18号,第2315〜2316頁、McElvain,S.M.;McMahon,R.E.,J.Amer.Chem.Soc.1947年,第71号,第901〜906頁、Bolyard,N.W.,J.Amer.Chem.Soc.1930年,第52号,第1030頁]により製造され得ることは公知である。そのような方法は多段階合成を含み、かつ夫々の段階において分離の問題を有している。
【0005】
4−ヒドロキシピペリジン及びN−置換されたヒドロキシピペリジンは夫々、4−ヒドロキシピリジン[Schaefgen,J.R.;Koontz,F.H.;Tietz,R.F.J.Polymer Sci.,1959年,第40号,第377頁、Hall,Jr.,H.K.,J.Amer.Chem.Soc.1958年,第80号,第6412〜6420頁、フランス国特許第1491127号公報(1967年8月4日)]及びN−置換された1H−ピリジン‐4‐オン[Coanら,J.Amer.Chem.Soc.1956年,第78号,第3701頁]の水素化により製造され得ることがまた公知である。しかし、収率は低い。
【0006】
4−ヒドロキシピペリジンは、水素化及び環化を経て3−ヒドロキシ−グルタロニトリルから製造され得る[Bowden;Green,J.Chem.Soc.1956年, 第78号,第370頁]。N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンはベンジル−ブト‐3−エニル‐アミンとホルムアルデヒドから製造されることができ[McCann,S.F.;Overman,L.E.,J.Amer.Chem.Soc.1987年,第109号,第6170〜6114頁]、かつそれはまた、N−ベンジルアンモニウムトリフルオロアセテート、アリル‐トリメチル‐シラン、及びホルムアルデヒドから製造され得る[Larsen,S.D.;Grieso,P.A.;Fobare,W.F., J.Amer.Chem.Soc.1986年,第108号,第3512〜3513頁]。しかし、全てのそのような製造は大規模のために実際的でない。
【0007】
4−ヒドロキシピペリジンは、C=C結合のヒドロキシル化を経てN−トリメチルシラニル‐1,2,5,6−テトラヒドロピリジンから合成されることができる[Dicko,A.;Montury,M.;Baboulene,M.,Tetrahedron Lett.,1987年,第28号,第6041〜6044頁]が、3−ヒドロキシピペリジンが主生成物として得られた。N−ベンジルオキシカルボニル‐1,2,5,6−テトラヒドロピリジンにおけるC=C結合のヒドロキシル化は、N−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えたが、3−ヒドロキシル化化合物がまた形成された[Brown,H.C.;Prasad,J.V.N.V. J.Amer.Chem.Soc.,1986年,第108号,第2049〜2054頁、Brown,H.C.;Prasad,J.V.N.V.;Zee,S.H.J.Org.Chem.1985年,第50号,第1582〜1589頁]。
【0008】
N−置換されたピペリジンの位置選択的ヒドロキシル化は、N−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造するための簡単な方法を提供することができた。しかし、この反応は古典的な化学的方法により実行されることができない。
【0009】
菌によるピペリジンの酵素ヒドロキシル化は公知である。即ち、Beauveria sulfurescens ATCC 7159によるN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化は、6.5%[Archelas,A.;Furstoss,R.;Srairi,D.;Maury,G.,Bull.Soc.Chem.Fr.1986年,第234〜238頁]、19% [Johnson,R.A.;Herr,M.E.;Murray,H.C.;Fonken,G.S.,J.Org.Chem.,1968年、第3187頁、英国特許第1140055公報(1969年1月15日)]、及び20%[Holland,H.L.;Morris,T.A.;Nava,P.J.;Zabic,M.Tetrahedron,1999年,第55号,第7441〜7460頁]のN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。他の報告[ソ連国特許第1822886号公報(1993年6月23日)、Parshikov,I.A.;Modyanova,L.V.;Dovgilivich,E.V.;Terentev,P.B.;Vorobeva,L.I.;Grishina,G.V.Chem.Heterocycl.Compd.(英語翻訳),1992年,第28号,第159〜162頁]において、Beauveria bassiana VKM F−3111DによるN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化は、4−ヒドロキシ及び3−ヒドロキシピペリジンの混合物をもたらし、Penicillium simplicissimumによるヒドロキシル化は、4−ヒドロキシ及び2−ヒドロキシピペリジンの混合物を与え、Cunninghamella verticillata VKPM F−430、Aspergillus awamori VKM F−758、及びAspergillus niger VKM F−1119によるヒドロキシル化は夫々、19%、34%、及び80%のN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。Beauveria sulfurescens ATCC 7159によるN−ベンジルオキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化は公知であり、33%のN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた[Aitken,S.J.;Grogan,G.;Chow,C.S.Y.;Turner,N.J.;Flitsch,S.L.,J.Chem.Soc.Perkin trans.1,1998年、第3365〜3370頁、Flitsch,S.L.;Aitken,S.J.;Chow,C.S.Y.;Grogan,G.;Staines,A.,Bioorg.Chem.1999年,第27号,第81〜90頁]。Beauveria sulfurescens ATCC 7159によるN−アリールピペリジンのヒドロキシル化は、20〜66%の対応するN−アリール‐4−ヒドロキシピペリジンを与えた[Floyd,N.;Munyemana,F.;Roberts,S.M.;Willetts,A.J.,J.Chem.Soc.Perkin trans,第1号,1993年,第881頁]。しかし、低収率及び副生成物の形成の問題に加えて、生成物の濃度が余りに低く(<0.1グラム/リットル)、反応時間が余りに長く(3〜6日間)、及び菌によるバイオトランスホーメーション混合物からの生成物の分離が非常に困難である故に、バイオ触媒としての菌による全てのそのような方法は実用的ではない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、N−置換された4−ヒドロキシピペリジンの実用的な製造方法を提供し、ここで、アルカン若しくは脂環族炭化水素を分解するバクテリア、又は該バクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する原核宿主生物、又はそれから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素を使用することにより、酸素原子が、対応するN−置換されたピペリジンに位置選択的に挿入される。
【0011】
より詳細には、使用されるバクテリアは、n−アルカン又はモノ脂環族を分解する菌株より成る群から選ばれる。N−アルカンを分解する菌株、例えば、分離体Sphingomonas sp. HXN−200、HXN−100、HXN−1400、HXN−1500、PN3、PN21、PN26、PN27、PN32、S69、S70、Pseudomonas putida P1、及びPseudomonas oleovorans GPo1(ATCC 29347)、並びにモノ脂環族を分解する菌株、例えば、シクロヘキサンを分解する菌株LD−5が好ましい。本発明は、アルカン又は脂環族炭化水素を分解する菌株から誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する組換体バクテリアの使用を含む。組換体Escherichia coli菌株、例えば、Escherichia coli GEc137(p GEc47)が好ましい。
【0012】
バイオトランスホーメーションは、バイオ触媒としての休止している細胞により生体内で、バイオ触媒としての成長している細胞により生体内で、又はバイオ触媒としての未精製の細胞抽出物又は精製若しくは部分的に精製される酵素製品により生体外で実行される。
【0013】
バイオ触媒は水不溶性担体又は支持体系の上又は中で固定化され得る。
【0014】
バイオトランスホーメーションは、水性媒体又は、次のもの、即ち、固相、水性相、有機相、若しくは気相の二つ以上を多分含む多相媒体中で達成される。
【0015】
反応温度は、5〜50℃、好ましくは20〜40℃であり、かつ媒体のpHは4〜10、好ましくは6〜8である。
【0016】
N−置換された4−ヒドロキシピペリジンの単離は、抽出、分離技術、例えば、支持体として使用される無機、有機、若しくは合成吸着剤を持つクロマトグラフィー、又は膜ろ過により達成される。
【0017】
好ましい実施態様において、N−ベンジル−、N−ベンジルオキシカルボニル−、N−フェノキシカルボニル−、N−ターシャリー−ブトキシカルボニル−、及びN−ベンゾイル−4−ヒドロキシピペリジンは夫々、Sphingomonas sp. HXN−200、若しくはHXN−100、若しくはHXN−1400、若しくはHXN−1500、若しくはPN3、若しくはPN21、若しくはPN26、若しくはPN27、若しくはPN32、若しくはS69、若しくはS70、又はPseudomonas putida P1、又はPseudomonas oleovorans GPo1(ATCC 29347)、又はシクロヘキサンを分解する菌株LD−5、又は4個以上の炭素原子を含むn−アルカン若しくはモノ脂環族を分解する他のバクテリア、又は該バクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する原核宿主生物、又はそれから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素の使用により、N−ベンジル−、N−ベンジルオキシカルボニル−、N−フェノキシカルボニル−、N−ターシャリー−ブトキシカルボニル−、及びN−ベンゾイル−ピペリジンに酸素原子を位置選択的に挿入することにより製造された。
【0018】
この方法により得られるN−置換された4−ヒドロキシピペリジンは、脱保護により4−ヒドロキシピペリジンに容易に転化され得る。
【0019】
従って、ここで本発明はN−置換された4−ヒドロキシピペリジン及び4−ヒドロキシピペリジンの製造のための有用な方法を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
ここで我々は、N−置換された4−ヒドロキシピペリジンの実用的な製造方法を開発した。ここで、アルカン若しくは脂環族炭化水素を分解するバクテリア、又は該バクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する原核宿主生物、又はそれから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素を使用することにより、酸素原子が、対応するN−置換されたピペリジンに位置選択的に挿入される。
【0021】
この反応のための適切なバイオ触媒を見出すために、我々は、マイクロタイタープレート上の小型化されたスクリーニングシステムの使用により多くのバクテリアをスクリーニングした。実施例1において実証されたスクリーニング手順において、96のアルカンを分解する菌株が、3〜6日間、マイクロタイタープレート上で寒天に基づいた鉱物成長培地中でn−ヘキサン/n−オクタン/n−デカン/n−ドデカン/n−テトラデカン(1:1:1:1:1)の混合物の蒸気において成長された。細胞は、マイクロタイタープレート上で1〜2%のグルコースを含む50ミリモルのホスフェートバッファー(pH=7.2)の150マイクロリットル中に集められかつ再縣濁された。N−置換されたピペリジン(0,1〜1.0ミリモル)が加えられ、そして該混合物は、2時間、200rpmかつ25℃において振とうされた。N−置換された4−ヒドロキシピペリジンの形成は、MS検出を結合された高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定された。
【0022】
多くのアルカン分解バクテリアはN−置換されたピペリジンのヒドロキシル化を位置選択的に触媒作用し得て、対応する4−ヒドロキシピペリジンを与えることが分かった。これらのバクテリアの例は、表1に示されているように、分離体Sphingomonas sp. HXN−200、HXN−100、 HXN−1400、HXN−1500、PN3、PN21、PN26、PN27、PN32、S69、S70、Pseudomonas putida P1、及びPseudomonas oleovorans GPo1(ATCC 29347)である。
【0023】
脂環族炭化水素を分解する菌株の多くは、N−置換されたピペリジンのヒドロキシル化を位置選択的に触媒作用し得て、対応する4−ヒドロキシピペリジンを与えることが分かった。これらのバクテリアの一例はシクロヘキサンを分解する菌株LD−5である。
【0024】
バイオ触媒は、アルカン又は脂環族炭化水素を分解する菌株からの、ヒドロキシル化にために必要な遺伝子を有する原核宿主生物であり得ることがまた分かった。組換体Escherichia coli GEc137(pGEc47)は例えば、N−置換された4−ヒドロキシピペリジンを与えるN−置換されたピペリジンのヒドロキシル化のための適切な触媒である。
【0025】
N−置換されたピペリジンのヒドロキシル化は、該バクテリアから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素により触媒作用され得て、対応する4−ヒドロキシピペリジンを与えることが分かった。
【0026】
バイオトランスホーメーションは、バイオ触媒としての休止している細胞により生体内で、バイオ触媒としての成長している細胞により生体内で、又はバイオ触媒としての精製された酵素若しくは未精製の細胞抽出物により生体外で実行され得る。
【0027】
バイオ触媒は、水不溶性担体又は支持体系の上又は中に固定化され得る。
【0028】
バイオトランスホーメーションは水性媒体中で実行され得る。それはまた、次のもの、即ち、固相、水性相、有機相、又は気相の二つ以上を多分含む多相媒体中で達成され得る。高いLogP値を持つ有機溶媒が有機相として使用され得る。これは、5個以上の炭素原子を持つアルカン、4個以上の炭素原子を持つジアルキルエーテル、4個以上の炭素原子を持つカルボン酸エステル、及び芳香族炭化水素を含む。適切な有機溶媒の例はヘキサデカンである。
【0029】
酵素ヒドロキシル化は、それが重要なパラメーターではないけれども、5〜50℃、好ましくは20〜40℃の温度において実行され得る。圧力は広い範囲内で変化し得る。実際、バイオトランスホーメーションは大気圧で実行される。反応媒体のpHは4〜10、好ましくは6〜8であり得る。
【0030】
生成物は、支持体として使用される無機、有機、又は合成吸着剤を持つクロマトグラフィー技術により分離され得る。適切な吸着剤は例えば、酸化アルミニウム及びシリカゲルである。生成物はまたメンブレンろ過により単離され得る。
【0031】
生成物はまた抽出により分離され得る。ここで、基質がまず、より小さな極性の溶媒での抽出により反応混合物から回収され、残りの反応混合物がpH=10〜12に調節され、そして生成物がより大きな極性の溶媒により抽出される。使用される適切な抽出剤は、5個以上の炭素原子を持つアルカン、4個以上の炭素原子を持つジアルキルエーテル、3個以下の炭素原子を持つ塩素含有アルカン、7〜10個の炭素原子を持つアルキル芳香族、及び3個以上の炭素原子を持つカルボン酸エステルより成る群から選ばれる。とりわけ適した抽出剤の例は、非極性及び極性溶媒として夫々ヘキサン及び酢酸エチルである。
【0032】
N−置換された4−ヒドロキシピペリジンは、(University of StuttgartにおいてPlaggemeier,Th.;Schmid,A.; Engesser,K.により単離された、Institute of Biotechnology,ETH Zurichの菌株収集物中にある)Sphingomonas HXN−200の使用により対応するN−置換されたピペリジンに酸素原子を位置選択的に挿入することにより製造され得る。Sphingomonas sp. HXN−200の細胞は、炭素源としてのn−オクタン又は炭素源としてのグルコースのいずれかによりE2培地中で成長させ、次いで、ジシクロプロピルケトン(DCPK)又はn−オクタンによりアルカン酸化系を誘導することにより大規模に製造された。該細胞は、数ヶ月間、−80℃で貯蔵され得、かつ休止している細胞によるバイオ転化において通常の化学試薬として使用され得る。
【0033】
HXN−200の休止している細胞によるバイオ転化において、N−置換されたピペリジン(2〜10ミリモル)が、グルコース(0又は2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中の10ミリリットルの細胞縣濁物(4.0グラム/リットル)に加えられ、そして該混合物は5時間30℃において振とうされた。該反応の後に分析用HPLCが続いた。即ち、試料が異なるときに反応混合物から直接的に取り出され、細胞が遠心分離により取り除かれ、かつ上澄みが分析用HPLCにより分析された。
【0034】
HPLC分析法は、Hypersil BDS−C18(5μm、125mm×4mm)カラム、溶出液としてのアセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)の混合物、1.0ミリリットル/分での流れ、及び210、225、及び254nmにおける検出の使用により確立された。N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は3.0分間であり、N−ベンジルピペリジンの保持時間は5.2分間である[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)15:85]。N−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.9分間であり、N−ベンジルオキシカルボニルピペリジンの保持時間は8.5分間である[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。N−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.7分間であり、N−フェノキシカルボニルピペリジンの保持時間は6.6分間である[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。N−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.5分間であり、N−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジンの保持時間は5.6分間である[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。N−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.4分間であり、N−ベンゾイルピペリジンの保持時間は4.9分間である[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)30:70]。
【0035】
標準作成手順が確立された。即ち、細胞は遠心分離により取り除かれ、上澄みはKOHの添加によりpH=10〜12に調節され、続いて酢酸エチルにより抽出された。有機相はMgSOにより乾燥され、濾過され、そして溶媒が蒸発された。
【0036】
生成物は酸化アルミニウム又はシリカゲルのいずれかにおいてカラムクロマトグラフィーにより精製された。それらの構造は、H−及び13C−NMR及びMSスペクトルにより同定された。
【0037】
HXN−200の休止している細胞(4グラム/リットル)によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化は高い活性を与えた。表2に示されているように、最初の30分間における平均活性は、5〜10ミリモルのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化のために19〜20U/グラムCDWに達する。反応混合物における2%グルコースの添加は収率を増加させることが分かった。2%グルコースの存在下における休止している細胞によるN−ベンジルピペリジン(5ミリモル)のヒドロキシル化は5時間で100%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンをもたらした。
【0038】
HXN−200の休止している細胞(4グラム/リットル)でのN−ベンジルオキシカルボニルピペリジン(4〜5ミリモル)のヒドロキシル化は12〜14 U/グラムCDWの活性を与えたことが分かった。表3に示されているように、2%グルコースの添加は、4ミリモル及び5ミリモルのN−ベンジルオキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化のために夫々、24%から57%及び34%から57%にN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの5時間における収率を増加した(表3)。
【0039】
表4に示されているように、HXN−200の休止している細胞(4グラム/リットル)でのN−フェノキシカルボニルピペリジン(5〜8ミリモル)のヒドロキシル化は18〜20 U/グラムCDWの活性を与えた。95%のN−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンは、2%グルコースの存在下における8ミリモルのN−フェノキシカルボニルピペリジンの5時間におけるヒドロキシル化により形成された。
【0040】
2%グルコースの存在下におけるHXN−200の休止している細胞(4グラム/リットル)によるN−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジン(5〜8ミリモル)のヒドロキシル化は5時間において51〜94%のN−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えたことが分かった。活性は非常に高い、即ち、21〜30 U/グラムCDWである。
【0041】
表6に示されているように、2%グルコースの存在下におけるHXN−200の休止している細胞(4グラム/リットル)によるN−ベンゾイルピペリジン(2〜4ミリモル)の5時間のヒドロキシル化は、2.7〜4.8 U/グラムCDWの活性を伴って57〜99%のN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0042】
[Eggink,G.らによりJ.Biol.Chem.1987年、第262号、第17712頁に開示されている、Institute of Biotechnology,ETH Zurichの菌株収集物中にある]Escherichia coli GEc137(pGEc47)、Pseudomonas oleovorans GPo1からの多成分アルカンヒドロキシラーゼのための遺伝子を有する組換体菌株は、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化を触媒作用することが分かった。実施例3において、Escherichia coli GEc137(pGEc47)は、M9培地中でグルコースにおいて成長され、続いてDCPKにより誘導された。細胞は、グルコース(2%w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.2)中に2.5グラム/リットルに集められかつ再縣濁された。5時間、30℃におけるこれらの細胞によるN−ベンジルピペリジン(2ミリモル)のバイオ転化は、80%のN−ベンジル−3,4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0043】
N−置換された4−ヒドロキシピペリジンは、振とうフラスコ中で対応するN−置換されたピペリジンのバイオヒドロキシル化により容易に製造され得ることが分かった。実施例4は、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)の100ミリリットル中のSphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ベンジルオキシカルボニルピペリジン(43.8ミリグラム、0.20ミリモル)のヒドロキシル化を実証した。3時間、200rpm及び30℃でのバイオトランスホーメーションは96%のN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを形成した。標準作成及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.12、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)は70.2%(33.0ミリグラム)のN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0044】
同様に、実施例5において実証されたように、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のHXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)におけるN−フェノキシカルボニルピペリジン(143.5ミリグラム、0.70ミリモル)のバイオ転化が、4時間、200rpm及び30℃において振とうした後に、N−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンへの91%の転化率を与えた。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.11、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)は、83.2%(143.6ミリグラム)のN−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0045】
実施例6において、N−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジン(92.5ミリグラム、0.50ミリモル)のヒドロキシル化が、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)の100ミリリットル中のHXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)により行われた。2時間、200rpm及び30℃における振とうが96%のN−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを形成した。69.5%(69.3ミリグラム)の純粋な生成物が、標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.20、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)の後に得られた。
【0046】
同様に、N−ベンゾイルピペリジンのバイオ転化が、5時間、200rpm及び30℃において500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のHXN−200の細胞縣濁物(4.0グラム/リットル)の100ミリリットルにおいて実行された。N−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンへの83%及び62%転化率が、夫々、37.8ミリグラム(0.20ミリモル)及び56.7ミリグラム(0.30ミリモル)のN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化において達成された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.14、酢酸エチル)は、実施例7及び8において実証されたように、夫々、71.5%(29.3ミリグラム)及び52.2%(32.1ミリグラム)を与えた。
【0047】
対応するN−置換された4−ヒドロキシピペリジンへのN−置換されたピペリジンのバイオ転化は、バイオリアクターにおいて容易に達成され得ることが分かった。実施例9に示されているように、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造は、2リットル規模においてSphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化により実行された。4時間のN−ベンジルピペリジン(1.75グラム、10ミリモル)のヒドロキシル化はほぼ100%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを形成した。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.20、酢酸エチル/MeOH 8:2)は、白色粉末として83%(1.50グラム)の純粋な生成物を与えた。白色結晶は、酢酸エチル/ヘキサン(1/3)から結晶化により得られた。
【0048】
生成物濃度は、より高い密度を持つ細胞縣濁物の使用により容易に増加され得ることが分かった。実施例10において、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造は、バイオリアクター中で1リットル規模において10.2グラム/リットルの密度を持つHXN−200の細胞縣濁物によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化により達成された。5.2時間のN−ベンジルピペリジン(2.63グラム、15ミリモル)のバイオ転化は、98%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを形成した。標準作成手順及びカラムクロマトグラフィーは、白色粉末として2.07グラム(72%)の純粋なN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0049】
N−置換されたピペリジンのヒドロキシル化は、バイオ触媒としての成長している細胞により容易に実行され得ることが分かった。実施例11は、1リットル規模においてSphingomonas sp.HXN−200の成長している細胞によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化を実証した。細胞は、まずグルコースそして次いでn−オクタンにおいてE2培地中で6.2グラム/リットルの細胞密度に成長された。N−ベンジルピペリジン(0.875グラム、5ミリモル)が加えられ、該混合物は、2リットル/分における空気導入を伴って30℃において1536rpmで攪拌された。バイオ転化の間に、n−オクタン蒸気が更に導入され、そして細胞が更に成長された。更なる基質が、30分間(0.875グラム、5ミリモル)、60分間(0.875グラム、5ミリモル)、及び90分間(0.875グラム、5ミリモル)で加えられた。85%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンが2時間で形成され、かつ2.866グラム(75%)の純粋な生成物が、標準作成手順及びカラムクロマトグラフィーの後にもたらされた。
【0050】
N−置換されたピペリジンのヒドロキシル化はバイオ触媒としての無細胞抽出物により実行され得ることが分かった。Sphingomonas sp.HXN−200の無細胞抽出物によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化は実施例12において実証された。HXN−200の細胞は、20グラム/リットルの密度に10ミリリットルのトリス‐HClバッファー(pH=7.5)中に縣濁された。3回フレンチプレスを通した後に、細胞破片は45分間、45000rpmで遠心分離により取り除かれて、膜たんぱく質を含まない可溶性の無細胞抽出物を与えた。この無細胞抽出物に、NADH(5ミリモル)及びN−ベンジルピペリジン(5ミリモル)が加えられた。該混合物は1時間、200rpm及び30℃で振とうされて、90%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。これはまた、この反応を触媒作用するHXN−200における酵素が膜結合されないことを実証する。
【0051】
N−置換された4−ヒドロキシピペリジンへのN−置換されたピペリジンのヒドロキシル化は脂環族炭化水素を分解する菌株により触媒作用され得ることが分かった。実施例13は、(Li, Z.及びDeutz,W.,ETH Zurichにより単離された、Institute of Biotechnology, ETH Zurichの菌株収集物中にある)シクロヘキサン分解バクテリアLD−5によるN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化を立証した。菌株は、1/4のEvans培地中で空気により10倍に希釈されたシクロヘキサンの蒸気において成長された。細胞は、グルコース(2%w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.2)中で5グラム/リットルに集められかつ再縣濁された。2時間、30℃におけるN−ベンジルピペリジン(5ミリモル)のバイオ転化は60%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0052】
本明細書において与えられている特定の実施例は、本発明の説明として単に意図されており、かつ本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0053】
【実施例】
【実施例1】
微小規模におけるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化のためのバイオ触媒のスクリーニング
【0054】
アルカンを分解する菌株が、3〜6日間、マイクロタイタープレート上で寒天に基づいたEvans培地中でn−ヘキサン/n−オクタン/n−デカン/n−ドデカン/n−テトラデカン(1:1:1:1:1)の混合物の蒸気において成長された。該細胞は、マイクロタイタープレート上で100ミリモルのグルコース及び150マイクロモルのN−ベンジルピペリジンを含む50ミリモルのホスフェートバッファー(pH=7.2)の150マイクロリットル中に再縣濁された。該混合物は、2時間、200rpm及び25℃で振とうされた。細胞が遠心分離により取り除かれ、かつ上澄みが、HPLC−MSによりN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの形成について分析された。
【0055】
HPLC−MSのための条件:Nucleosil 100−5 C18 予備カラム;アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)1/9で2分間、次いで、5分間まで46/54に徐々に変化させた、1.0ミリリットル/分での流れ、176及び192でのMS検出、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間1.4分間、N−ベンジルピペリジンの保持時間3.6分間である。結果は表1に要約された。
【0056】
【表1】
表1:いくつかのアルカン分解バクテリアによるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 菌株1〜12は、炭素源としてn−ヘキサン又はn−オクタンを使用することにより単離される。全ての菌株は、Institute of Biotechnology,ETH Zurichの菌株収集物中にある。
 活性は、Sphingomonas sp.HXN−200の活性と比較された。
【0057】
【実施例2】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞によるN−ベンジル−、N−ベンジルオキシカルボニル−、N−フェノキシカルボニル、N−ターシャリー−ブトキシカルボニル、及びN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化
【0058】
(Institute of Biotechnology,ETH Zurichの菌株収集物にある、University of StuttgartにおいてPlaggemeier,Th.;Schmid,A.;Engesser,K.により単離された)Sphingomonas sp.HXN−200が、炭素源としてのn−オクタンの蒸気により2リットルのE2培地中に接種されかつ30℃で成長された。該細胞は、2〜10グラム/リットルの細胞密度で集められそして−80℃で貯蔵された。
【0059】
通常の手順において、N−置換されたピペリジン(2〜10ミリモル)が、グルコース(0又は2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のHXN−200の10ミリリットルの細胞縣濁物(4.0グラム/リットル)に加えられた。該反応の後に分析用HPLCが続いた。即ち、試料が異なるときに反応混合物から直接的に取り出され、細胞が遠心分離により取り除かれ、かつ上澄みが分析用HPLCにより分析された。
【0060】
HPLC分析は、溶出液としてアセトニトリル/10ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.0)の混合物、1.0ミリリットル/分における流れ、並びに210、225、及び254nmにおけるDAD検出によるHypersil BDS−C18(5μm、125mm×4mm)カラムにおいて達成された。
【0061】
N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は3.0分間であり、N−ベンジルピペリジンの保持時間は5.2分間であった[アセトニトリル/10ミリモルK−ホスフェートバッファー(pH7.0)15:85]。
【0062】
N−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.9分間であり、N−ベンジルオキシカルボニルピペリジンの保持時間は8.5分間であった[アセトニトリル/10ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。
【0063】
N−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.7分間であり、N−フェノキシカルボニルピペリジンの保持時間は6.6分間であった[アセトニトリル/10ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。
【0064】
N−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.5分間であり、N−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジンの保持時間は5.6分間であった[アセトニトリル/10ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.0)45:55]。
【0065】
N−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンの保持時間は1.4分間であり、N−ベンゾイルピペリジンの保持時間は4.9分間であった[アセトニトリル/10ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.0)30:70]。
【0066】
未精製の生成物が標準作成手順により得られた。即ち、細胞が遠心分離により取り除かれ、上澄みがKOHの添加によりpH=10〜12に調節され、続いて、酢酸エチルにより抽出された。有機相がMgSOで乾燥され、濾過され、そして溶媒が蒸発された。
【0067】
生成物は、酸化アルミニウム又はシリカゲルのいずれかにおけるカラムクロマトグラフィーにより精製され、そしてこれらの構造は、H−及び13C−NMR並びにMSスペクトルにより同定された。結果は表2〜6に挙げられている。
【0068】
【表2】
表2: HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 活性は、最初の30分間に亘って測定された。
【0069】
【表3】
表3: HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ベンゾキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンゾキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 活性は、最初の30分間に亘って測定された。
【0070】
【表4】
表4:HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンへのN−フェノキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 活性は、最初の30分間に亘って測定された。
【0071】
【表5】
表5: HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ターシャリー−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンへのN−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 活性は、最初の30分間に亘って測定された。
【0072】
【表6】
表6: HXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)によるN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンへのN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化
Figure 2004508831
 活性は、最初の30分間に亘って測定された。
【0073】
【実施例3】
Escherichia coli GEc137(pGEc47) でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0074】
(Institute of Biotechnology,ETH Zurichの菌株収集物にある、J.Biol.Chem.1987年,第262号,第17712頁にEggink,Gらにより開示されている)Escherichia coli GEc137(pGEc47)が、炭素源としてのグルコースによりM9培地中で接種されかつ0.2グラム/リットルの細胞密度に10時間、37℃において成長された。次いで、2ミリモルの濃度にDCPKを加えることにより誘導された。細胞は、0.3グラム/リットルの細胞密度において集められ、かつグルコース(2%w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.2)中で2.5グラム/リットルに再縣濁された。N−ベンジルピペリジン(2ミリモル)が加えられ、かつ該混合物は5時間、30℃で振とうされた。分析及び単離手順は上記と同じである。80%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンが得られた。
【0075】
【実施例4】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞でのN−ベンジルオキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0076】
N−ベンジルオキシカルボニルピペリジン(43.8ミリグラム、0.20ミリモル)が、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は200rpm及び30℃で振とうされ、かつバイオ転化の後に分析用HPLCが続いた。該反応は、N−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンへの96%転化率を伴って3時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.12、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)は、33.0ミリグラム(70.2%)のN−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0077】
H−NMR(CDCl):δ7.37〜7.12(m,5H,芳香族H)、5.12(s,2H,PhCH)、3.97〜3.79(m,3H,H−C(2),H−C(6),及び),H−C(4))、3.21〜3.08(ddd,2H,J=13.6,9.4,及び3.5Hz,H−C(2),H−C(6))、1.91〜1.82(m,2H,H−C(3),H−C(5))、1.57〜1.39(ddt,2H,J=13.0,9.0,及び4.1Hz,H−C(3),H−C(5))、1.65ppm(s,1H,OH)
【0078】
13CNMR(CDCl):δ155.28(s,CO);136.80(s),128.50(d),128.00(d), 127.86(d)(芳香族C),67.41(d,C−4);67.13(t,OCHPh);41.35(t,C−2,C−6);34.06ppm(t,C−3,C−5)
【0079】
MS(80eV):m/e236(100%,M+1),222(17%),192(76%),144(8%),102(17%)
【0080】
【実施例5】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞でのN−フェノキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化によるN−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0081】
N−フェノキシカルボニルピペリジン(143.5ミリグラム、0.70ミリモル)が、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は200rpm及び30℃で振とうされ、かつバイオ転化の後に分析用HPLCが続いた。該反応は、N−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンへの91%転化率を伴って4時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.11、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)は、143.6ミリグラム(83.2%)のN−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0082】
H−NMR(CDCl):δ7.40〜7.06(m,5H,芳香族H)、4.10〜3.85(m,3H,H−C(2),H−C(6),H−C(4)) 、3.28(s,br.,2H,H−C(2),H− C(6))、1.98〜1.85(m,2H,H−C(3),H−C(5))、1.66〜1.48(ddt,2H,J=13.0,8.8,及び4.1Hz,H−C(3),H−C(5))、1.81ppm(s,1H,OH)
【0083】
13C−NMR(CDCl):δ153.75(s,CO);151.42(s),129.26(d),125.25(d), 121.73(d)(芳香族C)、67.08(d,C−4)、41.62(t,C−2,C−6)、33.97ppm(t,C−3,C−5)
【0084】
MS(80eV):m/e222(100%,M+1),206(24%)
【0085】
【実施例6】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞でのN−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0086】
N−ターシャリー−ブトキシカルボニルピペリジン(92.5ミリグラム、0.50ミリモル)が、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は200rpm及び30℃で振とうされ、かつバイオ転化の後に分析用HPLCが続いた。該反応は、N−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンへの96%転化率を伴って2時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.20、n−ヘキサン/酢酸エチル1:1)は、69.3ミリグラム(69.5%)のN−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0087】
H−NMR(CDCl):δ3.87〜3.78(m,3H,H−C(2),H−C(6),H−C(4))、3.07〜2.98(ddd,2H,J=13.5,9.7,及び3.4Hz,H−C(2),H−C(6))、2.03(s,1H,OH)、1.89〜1.66(m,2H,H−C(3),H−C(5))、1.52〜1.38ppm(m,11H,H−C(3), H−C(5)、及び3CH
【0088】
13C−NMR(CDCl):δ154.86(s,CO);79.57(s,OC(CH);67.69(d,C−4); 41.26(t,C−2,C−6);34.17ppm(t,C−3,C−5);28.44ppm(q,CH
【0089】
MS(80eV):m/e202(7%,M+1),146(24%),102(100%)
【0090】
【実施例7】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞でのN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0091】
N−ベンゾイルピペリジン(37.8ミリグラム、0.20ミリモル)が、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は200rpm及び30℃で振とうされ、かつバイオ転化の後に分析用HPLCが続いた。該反応は、N−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンへの83%転化率を伴って5時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.14、酢酸エチル)は、29.3ミリグラム(71.5%)のN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0092】
H−NMR(CDCl):δ7.45〜7.36(m,5H,芳香族H)、4.22(m,1H,H−C(2又は6)) 、3.92(s,1H,H−C(4))、3.66(dt,1H,J=13.8,4.5Hz,H−C(6又は2))、3.32(t,1H,J=9.6,H−C(2又は6))、3.16(ddd,1H,J=13.7,9.3,及び3.3Hz,H−C(6又は2))、2.90(s,1H,OH)、1.95(m,1H,H−C(3又は5))、1.80(m,1H,H−C(5又は3))、1.60(ddt,1H,J=13.0,9.0,及び4.0Hz,H−C(3又は5))、1.46ppm(ddt,1H,J=12.7,9.0,及び3.9Hz,H−C(3))
【0093】
13CNMR(CDCl):δ170.62(s,CO);135.70(s)、129.91(d)、128.71(d)、126.80(d)(芳香族C);66.83(d,C−4); 45.20(t)、39.62(t)、(C−2,C−6); 34.42(t)、33.76ppm(t)、(C−2,C−5)
【0094】
MS(80eV):m/e206(100%,M+1)
【0095】
【実施例8】
Sphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞でのN−ベンゾイルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0096】
N−ベンゾイルピペリジン(56.7ミリグラム、0.30ミリモル)が、500ミリリットルの振とうフラスコ中で、グルコース(2%)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物の100ミリリットル(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は200rpm及び30℃で振とうされ、かつバイオ転化の後に分析用HPLCが続いた。該反応は、N−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンへの62%転化率を伴って5時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーは、32.1ミリグラム(52.2%)のN−ベンゾイル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0097】
【実施例9】
2リットル規模におけるHXN−200の休止している細胞(4.0グラム/リットル)でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0098】
N−ベンジルピペリジン(1.75グラム、10ミリモル)が、3リットルのバイオリアクター中で、グルコース(2%、w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)の2リットル中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物(4.0グラム/リットル)に加えられた。該混合物は、1リットル/分における空気導入の下、1500rpm及び30℃で攪拌された。バイオトランスホーメーションは、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへのほぼ100%転化率を伴って4時間で停止された。標準作成手順及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(Rf=0.2、酢酸エチル/MeOH8:2)は、白色粉末として1.50グラム(83%)の純粋な生成物を与えた。白色結晶は酢酸エチル/ヘキサン(1/3)から結晶化により得られた。
【0099】
H−NMR(CDCl):δ7.31(s,2H,芳香族H)、7.30(s,2H,芳香族H)、7.29〜7.21(m,1H,芳香族H)、3.68(m,1H,H−C(4))、3.50(s,2H,PhCH)、2.75(dt,2H,J=11.6,4.0Hz,H−C(2),H−C(6))、2.14(dt,2H,J=12.2,2.8Hz,H−C(2),H− C(6))、1.91〜1.82(m,2H,H−C(3), H−C(5))、1.78(s,br.,1H,OH)、1.64〜1.52ppm(m,2H,H−C(3),H−C(5))
【0100】
13C−NMR(CDCl):δ138.41(s)、129.08(d)、128.15(d)、126.95(d)(芳香族C);68.07(d,C−4);62.92(t,PhCH);50.99(t,C−(2),C−(6));34.49(t,C−(3),C−(5))
【0101】
MS(80eV):m/e192(100%,M+1)
【0102】
【実施例10】
1リットル規模におけるSphingomonas sp.HXN−200の休止している細胞(10.2グラム)でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0103】
N−ベンジルピペリジン(2.63グラム、15ミリモル)が、3リットルのバイオリアクター中で、グルコース(2%、w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH8.0)の1リットル中のSphingomonas sp.HXN−200の細胞縣濁物(10.2グラム/リットル)に加えられた。該混合物は2リットル/分における空気導入の下、1500rpm及び30℃で攪拌された。バイオトランスホーメーションは、N−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへの98%転化率を伴って5.2時間で停止された。標準作成手順は、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)及びメタノール/酢酸エチル(20/80)を用いる酸化アルミニウムでのカラムクロマトグラフィーに供されたところの未精製の生成物(98%純度)を与えた。これは、白色粉末として2.07グラム(72%)の純粋なN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0104】
【実施例11】
1リットル規模におけるSphingomonas sp.HXN−200の成長している細胞でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0105】
Sphingomonas sp.HXN−200の細胞が、1リットルのE2培地中でまずグルコースそして次いでn−オクタン上で6.2グラム/リットルの細胞密度に成長された。N−ベンジルピペリジン(0.875グラム、5ミリモル)が加えられ、そして該混合物が2リットル/分における空気導入の下、1536rpm及び30℃で攪拌された。n −オクタン蒸気がバイオ転化の間に更に導入され、そして細胞が成長された。追加の基質が30分間(0.875グラム、5ミリモル)、60分間(0.875グラム、5ミリモル)、及び90分間(0.875グラム、5ミリモル)において加えられた。該反応の後に分析用HPLCが続き、かつN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンへの85%転化率を伴って2時間で停止された。標準作成手順及び酢酸エチル/ヘキサン(1:1)及びメタノール/酢酸エチル(20/80)を用いる酸化アルミニウムでのカラムクロマトグラフィーは2.866グラム(75%)の純粋な生成物を与えた。
【0106】
【実施例12】
Sphingomonas sp.HXN−200の無細胞抽出物でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0107】
HXN−200の細胞が、20グラム/リットルの密度に10ミリリットルのトリス−HClバッファー(pH=7.5)中に縣濁された。フレンチプレスを3回通過した後、細胞破片は45分間、45000rpmで遠心分離(Rotor Type 50.2 Ti)により取り除かれて、膜たんぱく質を含まない可溶性の無細胞抽出物をもたらした。この無細胞抽出物に、NADH(500ミリモルの水性溶液の100マイクロモル、0.05ミリモル)及びN−ベンジルピペリジン(8.8ミリグラム、0.05ミリモル)が加えられた。該混合物は1時間、200rpm及び30℃で振とうされて、90%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンを与えた。
【0108】
【実施例13】
シクロヘキサンを分解する菌株LD−5の休止している細胞でのN−ベンジルピペリジンのヒドロキシル化によるN−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジンの製造
【0109】
(Li,Z.及びDeutz,W.,ETH Zurichにより単離された、Institute of Biotechnology, ETH Zurichの菌株収集物中にある)シクロヘキサンを分解する菌株LD−5は、炭素源なしに1/4のEvans培地中で接種されかつ3日間、室温で空気により10倍に希釈されたシクロヘキサンの蒸気において成長された。細胞は、グルコース(2%w/v)を含む50ミリモルのK−ホスフェートバッファー(pH7.2)中で5グラム/リットルに集められかつ再縣濁された。N−ベンジルピペリジンは5ミリモルの濃度まで加えられ、かつ該混合物は2時間、30℃で振とうされた。60%のN−ベンジル4−ヒドロキシピペリジンが与えられた。

Claims (34)

  1. N−置換された4−ヒドロキシピペリジンを製造する方法において、アルカン若しくは脂環族炭化水素を分解するバクテリア、又は該バクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する原核宿主生物、又はそれから誘導されるヒドロキシル化活性を有する酵素をバイオ触媒として使用することにより、酸素原子が、対応するN−置換されたピペリジンに位置選択的に挿入されるところの方法。
  2. バクテリアが、4〜20個の炭素原子を含むn−アルカンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項1記載の方法。
  3. バクテリアが、n−オクタンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項2記載の方法。
  4. バクテリアが、分離体Sphingomonas sp. HXN−200、 HXN−100、HXN−1400、HXN−1500、PN3、PN21、PN26、PN27、PN32、S69、S70、Pseudomonas putida P1、及びPseudomonas oleovorans GPo1(ATCC 29347)より成る群から選ばれるところの請求項3記載の方法。
  5. バクテリアが、n−ヘキサンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項2記載の方法。
  6. バクテリアが、n−デカンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項2記載の方法。
  7. バクテリアが、n−ドデカンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項2記載の方法。
  8. バクテリアが、n−テトラデカンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項2記載の方法。
  9. バクテリアが、4〜20個の炭素原子を含むモノ脂環族化合物を分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項1記載の方法。
  10. バクテリアが、シクロヘキサンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項9記載の方法。
  11. バクテリアが、シクロヘキサンを分解する菌株LD−5であるところの請求項10記載の方法。
  12. バクテリアが、シクロペンタンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項9記載の方法。
  13. バクテリアが、シクロヘプタンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項9記載の方法。
  14. バクテリアが、シクロオクタンを分解するバクテリアより成る群から選ばれるところの請求項9記載の方法。
  15. バイオ触媒が、アルカン又は脂環族炭化水素を分解するバクテリアから誘導される、ヒドロキシル化のために必要な遺伝子を有する組換体バクテリアであるところの請求項1記載の方法。
  16. バイオ触媒が、組換体Escherichia coli.菌株であるところの請求項15記載の方法。
  17. バイオ触媒が、Escherichia coli GEc137(pGEc47) であるところの請求項16記載の方法。
  18. バイオ触媒として、休止しているバクテリア細胞、成長しているバクテリア細胞、又はその両方が使用されるところの請求項1記載の方法。
  19. バイオ触媒として、未精製の細胞抽出物、又は精製された、若しくは部分的に精製された酵素製品が使用されるところの請求項1記載の方法。
  20. バイオ触媒が、水不溶性担体又は支持体系の上又は中に固定化されるところの請求項1記載の方法。
  21. バイオ触媒反応が、水性媒体中で実行されるところの請求項1記載の方法。
  22. バイオ触媒反応が、下記のもの、即ち、固相、水性相、有機相、及び気相の二つ以上を含む多相媒体中で実行されるところの請求項1記載の方法。
  23. 5個以上の炭素原子を持つアルカン、4個以上の炭素原子を持つジアルキルエーテル、4個以上の炭素原子を持つカルボン酸エステル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族式炭化水素の一つ以上を含む有機相(ここで、上記化合物はいずれも置換基を持っていてもよい)が使用されるところの請求項22記載の方法。
  24. 反応温度が5〜50℃、好ましくは20〜40℃であるところの請求項1記載の方法。
  25. 媒体のpHが4〜10、好ましくは6〜8であるところの請求項1記載の方法。
  26. 生成物が、支持体として使用される無機、有機又は合成の吸着剤を用いるカラムクロマトグラフィーにより分離されるところの請求項1記載の方法。
  27. 生成物が抽出により分離され、ここで、まず基質がより小さな極性の溶媒での抽出により反応混合物から回収され、残りの反応混合物がpH=10〜12に調節され、そして生成物がより大きな極性の溶媒により抽出されるところの請求項1記載の方法。
  28. 使用される抽出剤が、5個以上の炭素原子を持つアルカン、4個以上の炭素原子を持つジアルキルエーテル、3個以下の炭素原子を持つ塩素含有アルカン、7〜10個の炭素原子を持つアルキル芳香族、及び3個以上の炭素原子を持つカルボン酸エステルより成る群から選ばれるところの請求項27記載の方法。
  29. 生成物が膜ろ過の使用により分離されるところの請求項1記載の方法。
  30. N−置換された4−ヒドロキシピロリジンが、N−ベンジル4−ヒドロキシピロリジンであるところの請求項1記載の方法。
  31. N−置換された4−ヒドロキシピロリジンが、N−ベンジルオキシカルボニル4−ヒドロキシピロリジンであるところの請求項1記載の方法。
  32. N−置換された4−ヒドロキシピロリジンが、N−フェノキシカルボニル4−ヒドロキシピロリジンであるところの請求項1記載の方法。
  33. N−置換された4−ヒドロキシピロリジンが、N−ターシャリー−ブトキシカルボニル4−ヒドロキシピロリジンであるところの請求項1記載の方法。
  34. N−置換された4−ヒドロキシピロリジンが、N−ベンゾイル4−ヒドロキシピロリジンであるところの請求項1記載の方法。
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