JP2004508016A - Vegfキナーゼドメインのモジュレーターを検出する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、薬理学的活性をもつ化合物の検出、特にラットの血管内皮増殖因子受容体(ラットVEGF−R2)キナーゼドメインのモジュレーターの検出のためのアッセイに関する。
Description
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、薬理学的活性をもつ化合物の検出、特に血管内皮増殖因子受容体(VEGF−R2)キナーゼドメインのモジュレーターの検出のためのアッセイに関する。
【0002】
2.背景
血管形成は、血管系の発達、創傷治癒および雌の生殖系の維持を含む種々のプロセスにおいて役割を演じている。病理的血管形成は、疾病状態、例えば、がん、糖尿病性網膜症、類リューマチ性関節炎、子宮内膜症および乾癬に関連する。血管内皮増殖因子(VEGF)は両正常および病理的血管形成のメディエーターである。VEGFは、膜貫通受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属するそれらの同類の受容体を介して細胞にシグナルを伝達する。これらの受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、細胞の膜に受容体を固定している膜貫通ドメイン、および細胞内チロシンキナーゼドメインからなる三部分に分かれている。RTKの1つのサブファミリーは、VEGFを結合させる受容体Flt1/VEGF−R1およびKDR/Flk1/VEGF−R2を含有する。受容体に対するVEGFリガンドの結合は、受容体チロシンキナーゼ活性の刺激と細胞中への生物学的シグナルの伝達をもたらす。KDR/Flk1/VEGF−R2受容体は、内皮細胞のマイトジェン生成と増殖という生物学的活性を媒介するが、一方Flt1/VEGF−R1受容体は、内皮細胞接着のような機能を媒介する。KDR/Flk1/VEGF−R2シグナル伝達の阻害は、血管形成の過程を抑制することが示された。この受容体のインヒビターは、無調節または無制御の血管形成が存在する疾病の治療において有用であろう。
【0003】
VEGF−R2のマウス型についての配列は米国特許第5,283,354号に記述されている。ヒトの配列は米国特許第5,861,301号に記述されているが、この特許において開示されている配列は、キナーゼドメインにおいてタンパク質を非機能的にさせる不活性化点変異を含む、正しい配列とはいくつかの違いを含んでいる。機能的なヒトVEGF−R2配列は、別の国際特許出願PCTWO98/58053に記述されている。ラットのVEGF受容体キナーゼドメインは、対応するヒトの配列に類似しており、そして1997年3月13日に公開ドメインに委託され(Genbank受託番号U93306およびU93307)、そして後に、J.Biol.Chem.273:2090−97(1998)に記述された。ラットの細胞内キナーゼドメインは、N末端およびC末端のチロシンキナーゼ領域においてヒトの配列と97%同一であり、そして介在するキナーゼインサートドメイン(KID)では89%同一である。ラットVEGF−R2キナーゼドメインの可溶形態の記述、または予想されるキナーゼ阻害活性について化合物を試験する方法におけるそのようなタンパク質の使用の記述は存在しない。
【0004】
シンチレーション近接技術を用いて、同類のアッセイが種々の分子標的について開発された(Cook,N.D.(1996),Drug Discovery Today 1:287−294;Picardo,M.and Hughes,K.T.(1997),In High Throughput Screening[Devlin,J.P.(ed)],Dekker,New York,NY,pp.307−316)。簡単に言えば、関心のある標的が、蛍光材料を含有する固形支持体にコーティングまたは組み入れのいずれかによって固定化される。固定化標的と会合することによって固相に近接にもたらされた放射性分子が、蛍光材料を励起させ、そして可視光線を放射する。可視光線の放射は、成功したリガンド/標的相互作用の検出の基礎となり、そして適当なモニター器具によって測定される。シンチレーション近接アッセイの例は、1986年2月4日に公表された米国特許第4,568,649号に開示されている。米国特許第5,770,176号は、機能性受容体が固定化核酸に結合する核受容体についてのアッセイを記述している。これらのタイプのアッセイについての材料はDuPont NENR(Boston,Massachusetts)から商品名FlashPlateTMとして市販されている。キナーゼ機能の検出についてのシンチレーション近接アッセイの開発は、ペプチド基質に対する精製srcチロシンキナーゼについて記述された(Nakayama,G.R.et al J.Biomolecular Screening(1998)3:43−48;McDonald,O.B.et al(1999),Anal.Biochem.268:318−329)。本発明者らの知識では。可溶性VEGFチロシンキナーゼ機能を記述しているか、または類似の技術を用いて阻害性化合物を試験しているシンチレーション近接アッセイの報告はない。
【0005】
発明の概要
本発明は、ラットVEGFキナーゼドメインを含んでなる融合タンパク質によるリン酸化を測定する方法、およびVEGFキナーゼ活性のモジュレーターを検出するアッセイを提供する。
【0006】
かくして、本発明は、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによって、キナーゼ活性における変化を検出すること:
の段階を含む、VEGFキナーゼ酵素活性を調節する化合物の検出のための方法およびアッセイを提供する。
【0007】
詳細な記述
定義:
本明細書で使用される用語「タンパク質ドメイン」は、しばしば、タンパク質のその他の部分とは独立に、安定な三次元構造に折り畳まれ、そして特定の機能をもつタンパク質の領域を指す。この構造は、酵素活性、他の分子に対する認識モチーフの生成を含む元来のタンパク質内にドメインの機能と関連した特定の機能を維持してもよく、あるいはタンパク質ファミリー内および関連するタンパク質スーパーファミリータンパク質ドメイン内の両方に、進化的に保存された領域であってもよい、タンパク質の、特定の環境において存在するタンパク質のための必須構造成分を提供してもよい。
【0008】
本明細書で使用される用語「タンパク質スーパーファミリー」は、タンパク質の進化的関係が、認められた系統発生の基準によって完全に確立されていなくても、または離れていてもよいが、類似の三次元構造を示すか、または重要なアミノ酸の特有な共通性を表すタンパク質のセットを指す。本明細書で使用される用語「タンパク質ファミリー」は、タンパク質の進化的関係が、認められた系統発生の基準によって確立されたタンパク質を指す。
【0009】
本明細書で使用される用語「融合タンパク質」は、正常には2つ以上の異なるポリペプチドに伴う機能および認識性を、1つの単一ポリペプチド鎖において組み合わせる目的のために、種々のタンパク質由来の2つ以上のドメインまたはリンカー領域を組み合わせた結果である新規なキメラタンパク質を指す。これは、所望のタンパク質ドメインをコードしているヌクレオチド配列の隣接分子クローニングによってしばしば達成されて、所望のタンパク質をコードしている新しいポリヌクレオチド配列の生成をもたらす。あるいはまた、融合タンパク質の生成は、2つのタンパク質を化学的に一緒に結合することによって達成されてもよい。
【0010】
本明細書で使用される用語「リンカー領域」または「リンカードメイン」または類似するそのような説明用語は、クローニングベクターまたは融合タンパク質の構築において使用されるポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列の範囲を指す。リンカー領域の機能は、ヌクレオチド配列へのクローニング部位の導入、2つのタンパク質間の可変性成分または空間生成領域の導入、または特異的な分子相互作用のための親和性タグの生成を含んでもよい。リンカー領域は、特別な目的をもたないが、クローニング中になされる選択からもたらされる妥協物として融合タンパク質中に導入されてもよい。
【0011】
本明細書で使用される用語「クローニング部位」または「ポリクローニング部位」は、1種以上の利用できる制限エンドヌクレアーゼ認識配列を有する、クローニングベクター内に含有されるか、または融合タンパク質内に構築されるヌクレオチド配列の領域を指す。制限エンドヌクレアーゼ部位の適当な操作は、縦並びの2つ以上のヌクレオチド配列におけるクローン化を可能にし、その結果、それぞれのコードされたタンパク質ドメインが、特定の開始コドンに関してフレームにおいて翻訳されて、転写および翻訳後に所望のタンパク質生産物を得る。これらのヌクレオチド配列は、次に、他のクローニングベクター中に導入され、新規な融合タンパク質を生成するために使用されるか、または特定の部位特異的突然変異誘発を導入するために使用されてもよい。クローニング部位が、サイレント突然変異、保存変異、または所望の制限酵素共通配列を含有するリンカー領域の導入によって所望の位置において設計できることは当業者には周知である。また、クローン化されたタンパク質もしくはそのフラグメントの所望の機能が維持される限りは、クローニング部位の正確な位置は柔軟であることができることも当業者には周知である。
【0012】
本明細書で使用されるように、「発現ベクター」は、遺伝子のクローン化コピーの転写および適当な宿主におけるそれらのmRNAの翻訳のために要求される核酸配列としてここでは定義される。そのようなベクターは、大腸菌、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞を含む真菌細胞および動物細胞を含む、種々の宿主において真核生物もしくは原核生物の遺伝子を発現するために使用できる。
【0013】
VEGF−Rキナーゼ活性の予想されるモジュレーターに関連して本明細書で使用される用語「試験化合物」は、キナーゼの特異的酵素活性を破壊する能力を有する有機分子を指す。例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、化合物は、低有機分子、合成もしくは天然のアミノ酸ペプチド、タンパク質、または合成もしくは天然の核酸配列、または前記のすべての化学的誘導体を含んでもよい。アゴニストである化合物は、キナーゼ基質に転移されるリン酸の速度または総量を増大する。アンタゴニストである化合物は、キナーゼ基質に転移されるリン酸の速度または総量を低下させる。
【0014】
用語「化学的誘導体』は、正常では基本分子の一部ではない付加的な化学部分を含有する分子を述べる。そのような部分は、基本分子の溶解度、半減期、吸収などを改善できる。あるいはまた、部分は、基本分子の望ましくない副作用を弱めるか、または基本分子の毒性を低下させることができる。そのような部分の例は、種々のテキスト、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて記述されている。
【0015】
本発明は、ラットVEGFキナーゼドメインを含んでなる融合タンパク質によるリン酸化を測定する方法、およびVEGFキナーゼ活性のモジュレーターを検出するアッセイを提供する。特に、本発明の方法において有用な融合タンパク質は、ラットVEGF−R2の膜貫通ドメインのカルボキシル末端のアミノ酸および場合によっては親和性タグ、例えばポリヒスチジンタグを含有する。特に好適な融合タンパク質は、ポリヒスチジンタグがN末端に位置し、そしてラットVEGF−R2キナーゼドメインがラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343を含有する融合タンパク質である。
【0016】
かくして、本発明は、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって、残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出すること:
の段階を含む、VEGFキナーゼ酵素活性を調節する化合物の検出のための方法およびアッセイを提供する。
【0017】
本発明の方法において有用なラットVEGF−R2基質は、基質をリン酸化するラットVEGF−R2酵素活性のために十分な時間、本発明の融合タンパク質を適当な溶液中で推定基質とともにインキュベートすることによって決定される。基質は、例えば、SDS−PAGE、質量分光分析法、HPLC、または本明細書に記述されるアッセイによって分離され、そして基質におけるチロシン残基へのリン酸転移の存在を決定するために分析される。好適な基質は、ラットVEGF−R2のVEGF−R2キナーゼドメイン(自己リン酸化を介する)ポリペプチドフラグメント、ホスホリパーゼCγのポリペプチドフラグメント、またはポリグルタミン酸/チロシン(Glu:Tyr4:1)である。
【0018】
ここに記述されるアッセイは、基質ペプチドを固定化する方法によって、例えば、親和性部分−親和力捕捉ペア、例えばビオチン化基質ペプチドのストレプトアビジン捕捉の使用によって酵素活性(および酵素活性の調節)を検出する。親和力捕捉ペアは当該技術分野では周知であり、そして例えば、アビジン/ビオチン、基質ペプチドまたはより大きいポリペプチド内に含まれる抗体エピトープ、大腸菌malE遺伝子のデキストラン/マルトース結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、およびポリヒスチジン/固定化ニッケルを含む。ポリヒスチジンは、3〜10個の連続するヒスチジン残基、特に6個の連続するヒスチジン残基を含有するポリペプチドを指す。
【0019】
本発明の特定の親和力捕捉アッセイは、「自己リン酸化アッセイ」および「ポリペプチドリン酸化アッセイ」と呼ばれる。自己リン酸化アッセイでは、ラットVEGF−R2キナーゼ触媒ドメインおよび少なくとも1つの親和力捕捉ドメインを含有する融合タンパク質が、放射能標識ATPの存在下で、その酵素活性のために適当なバッファー中でインキュベートされる。キナーゼタンパク質は、融合タンパク質への放射能標識リン酸基の転移をもたらす自己リン酸化(類似分子と相互作用する1つのキナーゼ分子を介して)を行う。次いで、融合タンパク質は、適合する親和力捕捉ペアを介してシンチレーション近接担体の表面に結合する。リン酸化がシンチレーション近接担体からの可視光線の放射によって測定される。ポリペプチドリン酸化アッセイでは、リン酸化ドメインおよび少なくとも1つの親和力捕捉ドメインを含有するラットVEGF−R2基質ペプチドもしくはポリペプチドが、放射能標識ATPの存在下で、適合するキナーゼの酵素活性のために適当なバッファー中でインキュベートされる。適合するキナーゼタンパク質がその混合液に添加され、そして基質をリン酸化して、基質への放射能標識リン酸基の転移をもたらす。次いで、リン酸化された基質は、適合する親和力捕捉ペアを介してシンチレーション近接担体の表面に結合する。自己リン酸化の検出を避けるためには、ラットVEGF−R2キナーゼタンパク質は親和力捕捉ペアのドメインを含有することができない。リン酸化がシンチレーション近接担体からの可視光線の放射によって測定される。これらの両方の場合には、親和性ドメインは存在するポリペプチドであってもよいし、また融合タンパク質の一部として導入された異なるドメインもしくは低ペプチドであってもよい。
【0020】
基質ペプチドにおいて酵素活性を検出する好適な方法は、33P−γ−ATPの加水分解によって基質に33Pを転移することである。この方法は、順に、
1)ラットVEGF触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGFキナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質ペプチドを提供し;
2)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
3)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
4)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって、残っている33P−γ−ATPを除去し;
5)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む。
【0021】
ラットVEGF−R2のキナーゼ活性に及ぼす推定VEGF−R2調節化合物の効果を測定するための好適な自己リン酸化方法は、順に、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343に連結されたN末端ヘキサヒスチジンを含有するラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質を提供し;
B)該化合物およびキナーゼ融合タンパク質を、33Pリン酸化された基質を提供するのに十分な時間接触させ;
C)NTA−ニッケル被覆された多穴アッセイプレートを用いる親和力捕捉によってリン酸化されたキナーゼ融合タンパク質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、濃度約1mM〜100mMの二価のカチオンキレート剤を含有するリン酸緩衝化生理食塩溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下で自己リン酸化によるキナーゼ融合タンパク質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む。
【0022】
生成物の量における変化は、時間の関数としての総量(停止−時間アッセイ)であってもよく、または時間の関数として酵素反応速度における変化を測定することによる速度論的であってもよい。速度論的アッセイは、酵素と基質の最初の接触の時間から、最大観察生成物の50%が生成される時点まで測定される。
【0023】
期待されるラットVEGF−R2酵素機能の量は、用量が酵素機能を阻害しない化合物とともに、あるいは試験化合物のために使用されるがいかなる試験化合物も欠いている媒質に類似する性質を含む溶剤媒質、例えばDMSO,DMFもしくはイソプロピルアルコールとともに、前記アッセイを同時にまたは別々に実施することによって決定することができる。
【0024】
プレートを洗浄するために使用される溶液は、特に限定されるものではなく、そして洗剤を含有しても含有しなくても生理的緩衝溶液を含む。これらの溶液は当該技術分野では周知である。特に好適な溶液は、二価のカチオンキレート剤、好ましくは、濃度約1mM〜約100mMのEDTAもしくはEGTAを含む。キレート剤は、さらなるキナーゼ触媒活性を阻害し、そしてシグナル対ノイズ比を増加することによってアッセイ性能を増大するのに役立つ。
【0025】
次の実施例は、本発明を具体的に説明するが、それを制約するものではない。
【0026】
実施例1
ラットVEGF受容体チロシンキナーゼドメインは、ラット肝臓cDNAからPCRによってクローン化された。正方向プライマー(5−ATCCTAGGTACCGTTATGCGGGCCAATG:配列番号:1)はヒトVEGF−R2配列に対応するよう設計されたが、サブクローニングを容易にするためのKpnI部位およびラットのタンパク質のアミノ酸786に対応する人工の開始コドンを導入された。逆方向プライマー(5−TGTGGCGGCCGCCGGGTGGTGGAAAG:配列番号:2)はマウスVEGF−R2配列に対応し、そしてサブクローニングを容易にするためにラット遺伝子の終止コドンの後にNotI部位を導入した。この核酸フラグメントはpcDNA3.1(+)発現ベクター(InVitrogen Co.,Carsbad,CA)中にクローン化された。クローンはCOS細胞において発現され、そして自己リン酸化研究において機能性であることが分かった。VEGF受容体リン酸化の既知インヒビターを用いる実験は、ラットVEGF受容体クローンがこの化合物によって阻害されることを示し、その結果、ラットVEGF受容体キナーゼドメインが類似するVEGF−Rキナーゼドメインと同様に機能したことを示した(図1)。
【0027】
N末端に付加されたポリヒスチジン(HIS)とともにラットVEGF−R2の細胞内ドメインからなる融合タンパク質は、6個のヒスチジン残基へと続く人工の開始コドンをもつフレームにおいて上記KpnI+NotIフラグメントをpFastBac発現ベクター(Gibco/BRL,Grand Island,NY)中にサブクローニングすることによって生成された。ラットVEGF−R2の可溶性組み換えキナーゼドメイン融合タンパク質は、バクロウイルス発現ベクターpFastBac(Gibco/BRL)を用いてHi5昆虫細胞において発現され、そして実質的に製造者による説明のとおり金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(Cat.#69670およびCat.#69755−3,Novagen,Madison,WI)を用いて85%超の均質性に精製された(図2)。
【0028】
実施例2
スクリーニングアッセイ
スクリーニング法は、VEGF受容体の活性を阻害する化合物の同定のために、ビオチニル化されたペプチド基質をリン酸化する可溶性ラットVEGF受容体チロシンキナーゼドメインを用いて開発された。PLC−1ペプチド基質は、アミノ酸462〜475のホスホリパーゼ−Cγのフラグメント[(ビオチン)KHKKLAEGSAYEEV−アミド:配列番号:3]、VEGF−R2の既知のイン・ビボ基質、あるいはまた、任意にビオチニル化された人工基質ポリGlu:Tyr(4:1)(Cat.#P−0275,Sigma,St.Lois,MO)0.6μgからなる。
【0029】
キナーゼ反応混合液は、50mMTris−HCl pH=8、10mMMgCl2、0.1mMNa3SO4、1mMDTT、10μMATP、0.25μMビオチニル化PLC−1ペプチド基質および1ウェル当たり0.8μCi33P−γ−ATP[2000−3000Ci/mmol]を含有して調製された。キナーゼ反応混合液70μlはストレプトアビジン被覆のFlashPlateTM(Cat.#SMP−103,NEN,Boston,MA)のウェル中に分配された。次いで、100%DMSO中の試験化合物保存液1μlが、ウェルに添加されて反応液中の最終濃度1%DMSOをもたらした(100μl最終反応液容量は次に酵素溶液を含む)。次いで、可溶性ラットVEGF受容体チロシンキナーゼが、50mMTris−HCl pH=8、0.1%BSAにおいて濃度1μl当たり5ngに希釈され、そして30μl(1試験ウェル当たり150ng)が各ウェルに添加されて反応を開始した。反応液は30℃で1時間インキュベートされた。1時間のインキュベーションの最後に、反応は、プレートから反応混合液を吸引し、そしてウェルを100mMEDTA含有PBSで2回洗浄することによって終了された。ビオチニル化基質はFlashPlateTM上に固定化されて留まり、そして33P−γ−ATPの組み込みがシンチレーションカウンターにおいてプレートを読み取ることによって測定された。VEGF−R2の活性の阻害は、固定化された基質中に組み込まれた33P−γ−ATPの減少量を観察することによって測定された。図4に示されるように、固定化された基質への33P−γ−ATPの組み込みは、既知のインヒビターによる最大阻害に較べて実質的な差異を生じた(約5倍の差異)。かくして、このアッセイは、経済性(試薬使用の点)、強さ(ポジティブとネガティブの結果の明確な線引き)および感度(有用な濃度範囲においてキナーゼ活性を阻害する化合物を検出)の点で、5−10倍のシグナル対ノイズ(S/N)比が好適であるハイスループット・スクリーニングアッセイとして有用である。シグナル対ノイズは、(酵素活性/過剰のインヒビターの存在下の酵素活性)として定義される。
【0030】
このアッセイの強さをさらに評価するため、キナーゼ活性対時間の直線性を評価するために記述されたように、条件は本来重複された。図5に示されるように、アッセイは少なくとも3.5時間は直線性である。かくして、アッセイ遂行において柔軟性と信頼性を可能にするハイスループットスクリーニングを管理する場合には、このことは有用である。
【0031】
このアッセイは、VEGF−R2のキナーゼ活性を阻害する化合物、例えばインヒビター−A(C13H10N2O、Cat.#CD00870,Maybridge Chemicals,Cornwall,UK)についてIC50を決定するために使用された(図3)。試験化合物は、8濃度[100μM、10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM]において2並列でアッセイされた。アッセイについて最大と最小のシグナルが各プレートにおいて決定された。IC50(最大シグナルの50%阻害をもたらす化合物の濃度)は、試験化合物のlog濃度に対する阻害パーセントを作図することによって式[maxシグナル−バックグラウンド/試験化合物シグナル−バックグラウンド(100)=%阻害]にしたがって、アッセイにおける最大シグナルの阻害パーセントの用量応答曲線から計算された。
【0032】
図3に示されるように、インヒビターAは、PLC1基質およびポリグルタミン酸/チロシン(Glu:Tyr4:1)基質に対して試験されたラットVEGF−R2キナーゼ活性を成功裏に阻害した。
【0033】
実施例3
自己リン酸化
スクリーニングアッセイ
キナーゼ反応混合液は、50mMTris−HCl pH=8、10mMMgCl2、0.1mMNa3SO4、1mMDTT、10μMATP、および1ウェル当たり0.8μCi33P−γ−ATP[2000−3000Ci/mmol]を含有して調製された。キナーゼ反応混合液70μlはNTA−ニッケル被覆のFlashPlateTM(Cat.#SMP−107,NEN,Boston,MA)のウェル中に分配された。次いで、100%DMSO中の試験化合物保存液1μlが、ウェルに添加されて反応液中の最終濃度1%DMSOをもたらした(100μl最終反応液容量は次に酵素溶液を含む)。次いで、N末端6XHISタグを含有する可溶性ラットチロシンキナーゼが、50mMTris−HCl pH=8、0.1%BSAにおいて濃度1μl当たり5ngに希釈され、そして30μl(1試験ウェル当たり150ng)が各ウェルに添加されて反応を開始した。反応液は30℃で1時間インキュベートされた。1時間のインキュベーションの最後に、反応は、プレートから反応混合液を吸引し、そしてウェルを100mMEDTA含有PBSで2回洗浄することによって終了された。6XHIS−VEGF受容体はFlashPlateTM上に固定化されており、そして自己リン酸化を介する33P−γ−ATPの組み込みがシンチレーションカウンターにおいてプレートを読み取ることによって測定された。VEGF−R2の酵素活性の阻害は、固定化された酵素中に組み込まれた33P−γ−ATPの減少量を観察することによって測定された。このアッセイの結果は図4および5に示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ウエスタンブロット:ラットVEGF−R2キナーゼドメイン+/−インヒビターの抗ホスホチロシン。
【図2】
精製ラットVEGF−R2キナーゼドメイン。
【図3】
ラットVEGF−R2インヒビターのIC50。
【図4】
1分当たりのアッセイカウント+/−インヒビターの棒グラフ。
【図5】
アッセイの直線性を示す。
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、薬理学的活性をもつ化合物の検出、特に血管内皮増殖因子受容体(VEGF−R2)キナーゼドメインのモジュレーターの検出のためのアッセイに関する。
【0002】
2.背景
血管形成は、血管系の発達、創傷治癒および雌の生殖系の維持を含む種々のプロセスにおいて役割を演じている。病理的血管形成は、疾病状態、例えば、がん、糖尿病性網膜症、類リューマチ性関節炎、子宮内膜症および乾癬に関連する。血管内皮増殖因子(VEGF)は両正常および病理的血管形成のメディエーターである。VEGFは、膜貫通受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属するそれらの同類の受容体を介して細胞にシグナルを伝達する。これらの受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、細胞の膜に受容体を固定している膜貫通ドメイン、および細胞内チロシンキナーゼドメインからなる三部分に分かれている。RTKの1つのサブファミリーは、VEGFを結合させる受容体Flt1/VEGF−R1およびKDR/Flk1/VEGF−R2を含有する。受容体に対するVEGFリガンドの結合は、受容体チロシンキナーゼ活性の刺激と細胞中への生物学的シグナルの伝達をもたらす。KDR/Flk1/VEGF−R2受容体は、内皮細胞のマイトジェン生成と増殖という生物学的活性を媒介するが、一方Flt1/VEGF−R1受容体は、内皮細胞接着のような機能を媒介する。KDR/Flk1/VEGF−R2シグナル伝達の阻害は、血管形成の過程を抑制することが示された。この受容体のインヒビターは、無調節または無制御の血管形成が存在する疾病の治療において有用であろう。
【0003】
VEGF−R2のマウス型についての配列は米国特許第5,283,354号に記述されている。ヒトの配列は米国特許第5,861,301号に記述されているが、この特許において開示されている配列は、キナーゼドメインにおいてタンパク質を非機能的にさせる不活性化点変異を含む、正しい配列とはいくつかの違いを含んでいる。機能的なヒトVEGF−R2配列は、別の国際特許出願PCTWO98/58053に記述されている。ラットのVEGF受容体キナーゼドメインは、対応するヒトの配列に類似しており、そして1997年3月13日に公開ドメインに委託され(Genbank受託番号U93306およびU93307)、そして後に、J.Biol.Chem.273:2090−97(1998)に記述された。ラットの細胞内キナーゼドメインは、N末端およびC末端のチロシンキナーゼ領域においてヒトの配列と97%同一であり、そして介在するキナーゼインサートドメイン(KID)では89%同一である。ラットVEGF−R2キナーゼドメインの可溶形態の記述、または予想されるキナーゼ阻害活性について化合物を試験する方法におけるそのようなタンパク質の使用の記述は存在しない。
【0004】
シンチレーション近接技術を用いて、同類のアッセイが種々の分子標的について開発された(Cook,N.D.(1996),Drug Discovery Today 1:287−294;Picardo,M.and Hughes,K.T.(1997),In High Throughput Screening[Devlin,J.P.(ed)],Dekker,New York,NY,pp.307−316)。簡単に言えば、関心のある標的が、蛍光材料を含有する固形支持体にコーティングまたは組み入れのいずれかによって固定化される。固定化標的と会合することによって固相に近接にもたらされた放射性分子が、蛍光材料を励起させ、そして可視光線を放射する。可視光線の放射は、成功したリガンド/標的相互作用の検出の基礎となり、そして適当なモニター器具によって測定される。シンチレーション近接アッセイの例は、1986年2月4日に公表された米国特許第4,568,649号に開示されている。米国特許第5,770,176号は、機能性受容体が固定化核酸に結合する核受容体についてのアッセイを記述している。これらのタイプのアッセイについての材料はDuPont NENR(Boston,Massachusetts)から商品名FlashPlateTMとして市販されている。キナーゼ機能の検出についてのシンチレーション近接アッセイの開発は、ペプチド基質に対する精製srcチロシンキナーゼについて記述された(Nakayama,G.R.et al J.Biomolecular Screening(1998)3:43−48;McDonald,O.B.et al(1999),Anal.Biochem.268:318−329)。本発明者らの知識では。可溶性VEGFチロシンキナーゼ機能を記述しているか、または類似の技術を用いて阻害性化合物を試験しているシンチレーション近接アッセイの報告はない。
【0005】
発明の概要
本発明は、ラットVEGFキナーゼドメインを含んでなる融合タンパク質によるリン酸化を測定する方法、およびVEGFキナーゼ活性のモジュレーターを検出するアッセイを提供する。
【0006】
かくして、本発明は、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによって、キナーゼ活性における変化を検出すること:
の段階を含む、VEGFキナーゼ酵素活性を調節する化合物の検出のための方法およびアッセイを提供する。
【0007】
詳細な記述
定義:
本明細書で使用される用語「タンパク質ドメイン」は、しばしば、タンパク質のその他の部分とは独立に、安定な三次元構造に折り畳まれ、そして特定の機能をもつタンパク質の領域を指す。この構造は、酵素活性、他の分子に対する認識モチーフの生成を含む元来のタンパク質内にドメインの機能と関連した特定の機能を維持してもよく、あるいはタンパク質ファミリー内および関連するタンパク質スーパーファミリータンパク質ドメイン内の両方に、進化的に保存された領域であってもよい、タンパク質の、特定の環境において存在するタンパク質のための必須構造成分を提供してもよい。
【0008】
本明細書で使用される用語「タンパク質スーパーファミリー」は、タンパク質の進化的関係が、認められた系統発生の基準によって完全に確立されていなくても、または離れていてもよいが、類似の三次元構造を示すか、または重要なアミノ酸の特有な共通性を表すタンパク質のセットを指す。本明細書で使用される用語「タンパク質ファミリー」は、タンパク質の進化的関係が、認められた系統発生の基準によって確立されたタンパク質を指す。
【0009】
本明細書で使用される用語「融合タンパク質」は、正常には2つ以上の異なるポリペプチドに伴う機能および認識性を、1つの単一ポリペプチド鎖において組み合わせる目的のために、種々のタンパク質由来の2つ以上のドメインまたはリンカー領域を組み合わせた結果である新規なキメラタンパク質を指す。これは、所望のタンパク質ドメインをコードしているヌクレオチド配列の隣接分子クローニングによってしばしば達成されて、所望のタンパク質をコードしている新しいポリヌクレオチド配列の生成をもたらす。あるいはまた、融合タンパク質の生成は、2つのタンパク質を化学的に一緒に結合することによって達成されてもよい。
【0010】
本明細書で使用される用語「リンカー領域」または「リンカードメイン」または類似するそのような説明用語は、クローニングベクターまたは融合タンパク質の構築において使用されるポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列の範囲を指す。リンカー領域の機能は、ヌクレオチド配列へのクローニング部位の導入、2つのタンパク質間の可変性成分または空間生成領域の導入、または特異的な分子相互作用のための親和性タグの生成を含んでもよい。リンカー領域は、特別な目的をもたないが、クローニング中になされる選択からもたらされる妥協物として融合タンパク質中に導入されてもよい。
【0011】
本明細書で使用される用語「クローニング部位」または「ポリクローニング部位」は、1種以上の利用できる制限エンドヌクレアーゼ認識配列を有する、クローニングベクター内に含有されるか、または融合タンパク質内に構築されるヌクレオチド配列の領域を指す。制限エンドヌクレアーゼ部位の適当な操作は、縦並びの2つ以上のヌクレオチド配列におけるクローン化を可能にし、その結果、それぞれのコードされたタンパク質ドメインが、特定の開始コドンに関してフレームにおいて翻訳されて、転写および翻訳後に所望のタンパク質生産物を得る。これらのヌクレオチド配列は、次に、他のクローニングベクター中に導入され、新規な融合タンパク質を生成するために使用されるか、または特定の部位特異的突然変異誘発を導入するために使用されてもよい。クローニング部位が、サイレント突然変異、保存変異、または所望の制限酵素共通配列を含有するリンカー領域の導入によって所望の位置において設計できることは当業者には周知である。また、クローン化されたタンパク質もしくはそのフラグメントの所望の機能が維持される限りは、クローニング部位の正確な位置は柔軟であることができることも当業者には周知である。
【0012】
本明細書で使用されるように、「発現ベクター」は、遺伝子のクローン化コピーの転写および適当な宿主におけるそれらのmRNAの翻訳のために要求される核酸配列としてここでは定義される。そのようなベクターは、大腸菌、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞を含む真菌細胞および動物細胞を含む、種々の宿主において真核生物もしくは原核生物の遺伝子を発現するために使用できる。
【0013】
VEGF−Rキナーゼ活性の予想されるモジュレーターに関連して本明細書で使用される用語「試験化合物」は、キナーゼの特異的酵素活性を破壊する能力を有する有機分子を指す。例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、化合物は、低有機分子、合成もしくは天然のアミノ酸ペプチド、タンパク質、または合成もしくは天然の核酸配列、または前記のすべての化学的誘導体を含んでもよい。アゴニストである化合物は、キナーゼ基質に転移されるリン酸の速度または総量を増大する。アンタゴニストである化合物は、キナーゼ基質に転移されるリン酸の速度または総量を低下させる。
【0014】
用語「化学的誘導体』は、正常では基本分子の一部ではない付加的な化学部分を含有する分子を述べる。そのような部分は、基本分子の溶解度、半減期、吸収などを改善できる。あるいはまた、部分は、基本分子の望ましくない副作用を弱めるか、または基本分子の毒性を低下させることができる。そのような部分の例は、種々のテキスト、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて記述されている。
【0015】
本発明は、ラットVEGFキナーゼドメインを含んでなる融合タンパク質によるリン酸化を測定する方法、およびVEGFキナーゼ活性のモジュレーターを検出するアッセイを提供する。特に、本発明の方法において有用な融合タンパク質は、ラットVEGF−R2の膜貫通ドメインのカルボキシル末端のアミノ酸および場合によっては親和性タグ、例えばポリヒスチジンタグを含有する。特に好適な融合タンパク質は、ポリヒスチジンタグがN末端に位置し、そしてラットVEGF−R2キナーゼドメインがラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343を含有する融合タンパク質である。
【0016】
かくして、本発明は、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって、残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出すること:
の段階を含む、VEGFキナーゼ酵素活性を調節する化合物の検出のための方法およびアッセイを提供する。
【0017】
本発明の方法において有用なラットVEGF−R2基質は、基質をリン酸化するラットVEGF−R2酵素活性のために十分な時間、本発明の融合タンパク質を適当な溶液中で推定基質とともにインキュベートすることによって決定される。基質は、例えば、SDS−PAGE、質量分光分析法、HPLC、または本明細書に記述されるアッセイによって分離され、そして基質におけるチロシン残基へのリン酸転移の存在を決定するために分析される。好適な基質は、ラットVEGF−R2のVEGF−R2キナーゼドメイン(自己リン酸化を介する)ポリペプチドフラグメント、ホスホリパーゼCγのポリペプチドフラグメント、またはポリグルタミン酸/チロシン(Glu:Tyr4:1)である。
【0018】
ここに記述されるアッセイは、基質ペプチドを固定化する方法によって、例えば、親和性部分−親和力捕捉ペア、例えばビオチン化基質ペプチドのストレプトアビジン捕捉の使用によって酵素活性(および酵素活性の調節)を検出する。親和力捕捉ペアは当該技術分野では周知であり、そして例えば、アビジン/ビオチン、基質ペプチドまたはより大きいポリペプチド内に含まれる抗体エピトープ、大腸菌malE遺伝子のデキストラン/マルトース結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、およびポリヒスチジン/固定化ニッケルを含む。ポリヒスチジンは、3〜10個の連続するヒスチジン残基、特に6個の連続するヒスチジン残基を含有するポリペプチドを指す。
【0019】
本発明の特定の親和力捕捉アッセイは、「自己リン酸化アッセイ」および「ポリペプチドリン酸化アッセイ」と呼ばれる。自己リン酸化アッセイでは、ラットVEGF−R2キナーゼ触媒ドメインおよび少なくとも1つの親和力捕捉ドメインを含有する融合タンパク質が、放射能標識ATPの存在下で、その酵素活性のために適当なバッファー中でインキュベートされる。キナーゼタンパク質は、融合タンパク質への放射能標識リン酸基の転移をもたらす自己リン酸化(類似分子と相互作用する1つのキナーゼ分子を介して)を行う。次いで、融合タンパク質は、適合する親和力捕捉ペアを介してシンチレーション近接担体の表面に結合する。リン酸化がシンチレーション近接担体からの可視光線の放射によって測定される。ポリペプチドリン酸化アッセイでは、リン酸化ドメインおよび少なくとも1つの親和力捕捉ドメインを含有するラットVEGF−R2基質ペプチドもしくはポリペプチドが、放射能標識ATPの存在下で、適合するキナーゼの酵素活性のために適当なバッファー中でインキュベートされる。適合するキナーゼタンパク質がその混合液に添加され、そして基質をリン酸化して、基質への放射能標識リン酸基の転移をもたらす。次いで、リン酸化された基質は、適合する親和力捕捉ペアを介してシンチレーション近接担体の表面に結合する。自己リン酸化の検出を避けるためには、ラットVEGF−R2キナーゼタンパク質は親和力捕捉ペアのドメインを含有することができない。リン酸化がシンチレーション近接担体からの可視光線の放射によって測定される。これらの両方の場合には、親和性ドメインは存在するポリペプチドであってもよいし、また融合タンパク質の一部として導入された異なるドメインもしくは低ペプチドであってもよい。
【0020】
基質ペプチドにおいて酵素活性を検出する好適な方法は、33P−γ−ATPの加水分解によって基質に33Pを転移することである。この方法は、順に、
1)ラットVEGF触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGFキナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質ペプチドを提供し;
2)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
3)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
4)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって、残っている33P−γ−ATPを除去し;
5)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む。
【0021】
ラットVEGF−R2のキナーゼ活性に及ぼす推定VEGF−R2調節化合物の効果を測定するための好適な自己リン酸化方法は、順に、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343に連結されたN末端ヘキサヒスチジンを含有するラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質を提供し;
B)該化合物およびキナーゼ融合タンパク質を、33Pリン酸化された基質を提供するのに十分な時間接触させ;
C)NTA−ニッケル被覆された多穴アッセイプレートを用いる親和力捕捉によってリン酸化されたキナーゼ融合タンパク質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、濃度約1mM〜100mMの二価のカチオンキレート剤を含有するリン酸緩衝化生理食塩溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下で自己リン酸化によるキナーゼ融合タンパク質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む。
【0022】
生成物の量における変化は、時間の関数としての総量(停止−時間アッセイ)であってもよく、または時間の関数として酵素反応速度における変化を測定することによる速度論的であってもよい。速度論的アッセイは、酵素と基質の最初の接触の時間から、最大観察生成物の50%が生成される時点まで測定される。
【0023】
期待されるラットVEGF−R2酵素機能の量は、用量が酵素機能を阻害しない化合物とともに、あるいは試験化合物のために使用されるがいかなる試験化合物も欠いている媒質に類似する性質を含む溶剤媒質、例えばDMSO,DMFもしくはイソプロピルアルコールとともに、前記アッセイを同時にまたは別々に実施することによって決定することができる。
【0024】
プレートを洗浄するために使用される溶液は、特に限定されるものではなく、そして洗剤を含有しても含有しなくても生理的緩衝溶液を含む。これらの溶液は当該技術分野では周知である。特に好適な溶液は、二価のカチオンキレート剤、好ましくは、濃度約1mM〜約100mMのEDTAもしくはEGTAを含む。キレート剤は、さらなるキナーゼ触媒活性を阻害し、そしてシグナル対ノイズ比を増加することによってアッセイ性能を増大するのに役立つ。
【0025】
次の実施例は、本発明を具体的に説明するが、それを制約するものではない。
【0026】
実施例1
ラットVEGF受容体チロシンキナーゼドメインは、ラット肝臓cDNAからPCRによってクローン化された。正方向プライマー(5−ATCCTAGGTACCGTTATGCGGGCCAATG:配列番号:1)はヒトVEGF−R2配列に対応するよう設計されたが、サブクローニングを容易にするためのKpnI部位およびラットのタンパク質のアミノ酸786に対応する人工の開始コドンを導入された。逆方向プライマー(5−TGTGGCGGCCGCCGGGTGGTGGAAAG:配列番号:2)はマウスVEGF−R2配列に対応し、そしてサブクローニングを容易にするためにラット遺伝子の終止コドンの後にNotI部位を導入した。この核酸フラグメントはpcDNA3.1(+)発現ベクター(InVitrogen Co.,Carsbad,CA)中にクローン化された。クローンはCOS細胞において発現され、そして自己リン酸化研究において機能性であることが分かった。VEGF受容体リン酸化の既知インヒビターを用いる実験は、ラットVEGF受容体クローンがこの化合物によって阻害されることを示し、その結果、ラットVEGF受容体キナーゼドメインが類似するVEGF−Rキナーゼドメインと同様に機能したことを示した(図1)。
【0027】
N末端に付加されたポリヒスチジン(HIS)とともにラットVEGF−R2の細胞内ドメインからなる融合タンパク質は、6個のヒスチジン残基へと続く人工の開始コドンをもつフレームにおいて上記KpnI+NotIフラグメントをpFastBac発現ベクター(Gibco/BRL,Grand Island,NY)中にサブクローニングすることによって生成された。ラットVEGF−R2の可溶性組み換えキナーゼドメイン融合タンパク質は、バクロウイルス発現ベクターpFastBac(Gibco/BRL)を用いてHi5昆虫細胞において発現され、そして実質的に製造者による説明のとおり金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(Cat.#69670およびCat.#69755−3,Novagen,Madison,WI)を用いて85%超の均質性に精製された(図2)。
【0028】
実施例2
スクリーニングアッセイ
スクリーニング法は、VEGF受容体の活性を阻害する化合物の同定のために、ビオチニル化されたペプチド基質をリン酸化する可溶性ラットVEGF受容体チロシンキナーゼドメインを用いて開発された。PLC−1ペプチド基質は、アミノ酸462〜475のホスホリパーゼ−Cγのフラグメント[(ビオチン)KHKKLAEGSAYEEV−アミド:配列番号:3]、VEGF−R2の既知のイン・ビボ基質、あるいはまた、任意にビオチニル化された人工基質ポリGlu:Tyr(4:1)(Cat.#P−0275,Sigma,St.Lois,MO)0.6μgからなる。
【0029】
キナーゼ反応混合液は、50mMTris−HCl pH=8、10mMMgCl2、0.1mMNa3SO4、1mMDTT、10μMATP、0.25μMビオチニル化PLC−1ペプチド基質および1ウェル当たり0.8μCi33P−γ−ATP[2000−3000Ci/mmol]を含有して調製された。キナーゼ反応混合液70μlはストレプトアビジン被覆のFlashPlateTM(Cat.#SMP−103,NEN,Boston,MA)のウェル中に分配された。次いで、100%DMSO中の試験化合物保存液1μlが、ウェルに添加されて反応液中の最終濃度1%DMSOをもたらした(100μl最終反応液容量は次に酵素溶液を含む)。次いで、可溶性ラットVEGF受容体チロシンキナーゼが、50mMTris−HCl pH=8、0.1%BSAにおいて濃度1μl当たり5ngに希釈され、そして30μl(1試験ウェル当たり150ng)が各ウェルに添加されて反応を開始した。反応液は30℃で1時間インキュベートされた。1時間のインキュベーションの最後に、反応は、プレートから反応混合液を吸引し、そしてウェルを100mMEDTA含有PBSで2回洗浄することによって終了された。ビオチニル化基質はFlashPlateTM上に固定化されて留まり、そして33P−γ−ATPの組み込みがシンチレーションカウンターにおいてプレートを読み取ることによって測定された。VEGF−R2の活性の阻害は、固定化された基質中に組み込まれた33P−γ−ATPの減少量を観察することによって測定された。図4に示されるように、固定化された基質への33P−γ−ATPの組み込みは、既知のインヒビターによる最大阻害に較べて実質的な差異を生じた(約5倍の差異)。かくして、このアッセイは、経済性(試薬使用の点)、強さ(ポジティブとネガティブの結果の明確な線引き)および感度(有用な濃度範囲においてキナーゼ活性を阻害する化合物を検出)の点で、5−10倍のシグナル対ノイズ(S/N)比が好適であるハイスループット・スクリーニングアッセイとして有用である。シグナル対ノイズは、(酵素活性/過剰のインヒビターの存在下の酵素活性)として定義される。
【0030】
このアッセイの強さをさらに評価するため、キナーゼ活性対時間の直線性を評価するために記述されたように、条件は本来重複された。図5に示されるように、アッセイは少なくとも3.5時間は直線性である。かくして、アッセイ遂行において柔軟性と信頼性を可能にするハイスループットスクリーニングを管理する場合には、このことは有用である。
【0031】
このアッセイは、VEGF−R2のキナーゼ活性を阻害する化合物、例えばインヒビター−A(C13H10N2O、Cat.#CD00870,Maybridge Chemicals,Cornwall,UK)についてIC50を決定するために使用された(図3)。試験化合物は、8濃度[100μM、10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM]において2並列でアッセイされた。アッセイについて最大と最小のシグナルが各プレートにおいて決定された。IC50(最大シグナルの50%阻害をもたらす化合物の濃度)は、試験化合物のlog濃度に対する阻害パーセントを作図することによって式[maxシグナル−バックグラウンド/試験化合物シグナル−バックグラウンド(100)=%阻害]にしたがって、アッセイにおける最大シグナルの阻害パーセントの用量応答曲線から計算された。
【0032】
図3に示されるように、インヒビターAは、PLC1基質およびポリグルタミン酸/チロシン(Glu:Tyr4:1)基質に対して試験されたラットVEGF−R2キナーゼ活性を成功裏に阻害した。
【0033】
実施例3
自己リン酸化
スクリーニングアッセイ
キナーゼ反応混合液は、50mMTris−HCl pH=8、10mMMgCl2、0.1mMNa3SO4、1mMDTT、10μMATP、および1ウェル当たり0.8μCi33P−γ−ATP[2000−3000Ci/mmol]を含有して調製された。キナーゼ反応混合液70μlはNTA−ニッケル被覆のFlashPlateTM(Cat.#SMP−107,NEN,Boston,MA)のウェル中に分配された。次いで、100%DMSO中の試験化合物保存液1μlが、ウェルに添加されて反応液中の最終濃度1%DMSOをもたらした(100μl最終反応液容量は次に酵素溶液を含む)。次いで、N末端6XHISタグを含有する可溶性ラットチロシンキナーゼが、50mMTris−HCl pH=8、0.1%BSAにおいて濃度1μl当たり5ngに希釈され、そして30μl(1試験ウェル当たり150ng)が各ウェルに添加されて反応を開始した。反応液は30℃で1時間インキュベートされた。1時間のインキュベーションの最後に、反応は、プレートから反応混合液を吸引し、そしてウェルを100mMEDTA含有PBSで2回洗浄することによって終了された。6XHIS−VEGF受容体はFlashPlateTM上に固定化されており、そして自己リン酸化を介する33P−γ−ATPの組み込みがシンチレーションカウンターにおいてプレートを読み取ることによって測定された。VEGF−R2の酵素活性の阻害は、固定化された酵素中に組み込まれた33P−γ−ATPの減少量を観察することによって測定された。このアッセイの結果は図4および5に示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ウエスタンブロット:ラットVEGF−R2キナーゼドメイン+/−インヒビターの抗ホスホチロシン。
【図2】
精製ラットVEGF−R2キナーゼドメイン。
【図3】
ラットVEGF−R2インヒビターのIC50。
【図4】
1分当たりのアッセイカウント+/−インヒビターの棒グラフ。
【図5】
アッセイの直線性を示す。
Claims (7)
- 順に、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり、且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、および親和性部分とラットVEGF−R2リン酸化部位を含有するキナーゼ基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、およびキナーゼ基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)多穴アッセイプレートにおいて、親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、第2の溶液でプレートを洗浄することによって、残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下でキナーゼによる基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む、推定VEGFキナーゼ調節化合物の効果を測定する方法。 - 基質が、ラットVEGF−R2キナーゼタンパク質、ラットVEGF−R2のポリペプチドフラグメント、ホスホリパーゼCγのポリペプチドフラグメント、またはポリグルタミン酸/チロシン(Glu:Tyr4:1)からなる群から選ばれる、請求項1の方法。
- 基質が、ビオチン、基質内に含まれる抗体エピトープ、大腸菌malE遺伝子のデキストラン/マルトース結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、およびポリヒスチジンからなる群から選ばれる親和性部分をさらに含有する、請求項2の方法。
- ラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質がラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343を含有する、請求項1の方法。
- キナーゼ活性における変化が、範囲5〜10倍のシグナル対ノイズ比をもたらす、請求項1の方法。
- 順に、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343に連結されたN末端ヘキサヒスチジンを含有するラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質を提供し;
B)該化合物およびキナーゼ融合タンパク質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)NTA−ニッケル被覆された多穴アッセイプレートを用いる親和力捕捉によって、リン酸化されたキナーゼ融合タンパク質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、濃度約1mM〜100mMの二価のカチオンキレート剤を含有するリン酸緩衝化生理食塩溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下で自己リン酸化によるキナーゼ融合タンパク質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む、推定VEGF−R2調節化合物の効果を測定する方法。 - 順に、
A)ラットVEGF−R2触媒活性を提供するのに適当であり且つリン酸の起源として33P−γ−ATPを含有する溶液中に、試験化合物、ラットVEGF−R2タンパク質のアミノ酸786−1343を含有するラットVEGF−R2キナーゼ融合タンパク質、およびビオチニル化されたラットVEGF−R2基質を提供し;
B)該化合物、キナーゼ融合タンパク質、および基質を、33Pリン酸化された基質をもたらすのに十分な時間接触させ;
C)アビジンもしくはストレプトアビジン被覆された多穴アッセイプレートを用いる親和力捕捉によって、リン酸化された基質を分離し;
D)最初に水溶液を吸引し、次いで、濃度約1mM〜100mMの二価のカチオンキレート剤を含有するリン酸緩衝化生理食塩溶液でプレートを洗浄することによって残っている33P−γ−ATPを除去し;そして
E)該化合物の存在下で基質への33P転移の速度または絶対量をモニターすることによってキナーゼ活性における変化を検出する:
段階を含む、推定VEGF−R2調節化合物の効果を測定する方法。
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