JP2004507827A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】明細書
【発明の名称】非モデル化ダイナミックス系のためのオブザーバー修正子制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するシステムであって、
前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡し、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された信号成分を表わす推定信号を提供する状態オブザーバと、
前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす、前記推定信号と前記実信号成分との間の不適合を補償する修正子フィルタと、
を含み、前記推定信号と前記修正子フィルタの出力信号との合成が前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供し得ることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記システムのためのコントローラを更に含み、前記合成信号は、前記コントローラに対する入力として用いられるフィードバック信号を形成し、前記ダイナミック系の出力信号おける非モデル化高次ダイナミックスの非安定効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、機械系のための制御システムであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、前記コントローラからの出力信号を表わす第1入力と、前記ダイナミック系の出力信号を表わす第2入力と、を受信することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、前記第2入力は、測定雑音信号成分を含む前記ダイナミック系の出力信号を表わすことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2記載のシステムであって、前記コントローラの構成は、前記ダイナミック系の高次ダイナミックスを含まないダイナミック系のモデルを基礎とすることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記ダイナミック系は、ロボットマニピュレータであることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、前記合成信号は、前記ダイナミック系の出力信号における高次ダイナミックスを表わす信号成分を含まないことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡し、且つ前記ダイナミック系の出力信号における高周波数信号成分に応答せず、前記高周波数信号成分は、前記ダイナミック系の高次ダイナミックス及び前記ダイナミック系の出力信号の測定雑音信号成分に対応することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、帯域制限オブザーバであることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムであって、前記修正子フィルタは、更に、観測誤差信号成分と共に主要ダイナミックスを表わす実信号成分に関連する全ての低周波数信号成分を通過せしめ、高次ダイナミックス及び観測雑音信号成分に関連する高周波数信号成分を減衰せしめることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1記載のシステムであって、前記修正子フィルタは、線形ローパスフィルタであることを特徴とするシステム。
【請求項13】
ダイナミック系から信号成分を抽出する方法であって、
前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定する推定ステップと、
前記推定された信号と、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償する補償ステップと、
前記実信号成分との間の不適合に対する補償を表わす信号に前記推定された信号を合成して、前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供する合成ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、前記抽出された信号成分は、前記出力信号の主要信号成分であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、前記ダイナミック系のためのコントローラに対するフィードバック入力信号として前記合成信号を用いるステップを更に含み、前記ダイナミック系の出力信号おける非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定する前記推定ステップは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡しつつ、前記ダイナミック系の出力信号における高次信号成分及び測定雑音信号成分を除外するステップを更に含むことを特徴とするす方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法であって、前記推定された信号と前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償する前記補償ステップは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす低周波数信号成分及び観測誤差成分を通過せしめつつ、前記ダイナミック系の出力信号における高次周波数信号成分及び観測雑音信号成分を減衰せしめるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
被制御系における高次ダイナミックスの効果を低減する方法であって、
前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡する追跡ステップと、
前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された成分を表わす推定信号を提供する推定ステップと、
前記推定信号と前記主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を修正子フィルタを用いて補償する補償ステップと、
前記推定信号に前記修正子フィルタからの出力信号を合成して、前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成フィードバック信号を形成する合成ステップと、
前記被制御系のためのコントローラに前記合成フィードバック信号を入力する入力ステップと、
を含み、前記ダイナミック系の出力信号における非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定化効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、前記被制御系はロボット・マニピュレータであり、前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡する前記追跡ステップは、前記マニピュレータの剛体ダイナミックスを所定の帯域幅で追跡するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記推定信号に前記修正子フィルタからの出力信号を合成して合成フィードバック信号を形成する前記合成ステップは、観測されるモータ速度信号に、前記修正子フィルタの出力を合成して、クリーン合成信号を供するステップを更に含み、前記クリーン合成信号は、前記モータの速度の生信号に密接に追従しつつも、前記速度の生信号に含まれる望ましくない高周波数成分を含まないことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御システムに関し、特に、制御下の現実の系における物体の非モデル化ダイナミックス効果を低減するシステム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現実の系は、その本来の動作に不必要且つ望ましくない高次のダイナミックスに関わる共鳴特性をしばしば与える。かかる高次効果が要求機能を達成する上では反対に本質的なものである系の主要ダイナミックスに課せられる。通常の例としては、機構部品の不可避的な弾性に関わる幾多の共鳴状態をしばしば与える、回転機構、機械ツール、ロボットマニピュレータ及び空間構造体の如き機械系システムである。多くの実現状況において、かかる高次のダイナミックスは、認識する上でも該系の理論的なモデルを除外して残す上でも難しいものである。
【0003】
ダイナミック系の動作を強化するのにフィードバック制御が適用された場合には、かかる高次ダイナミック系の存在は望ましくない発振を生じて全体の安定性に影響を与え、限定された制御性能をもたらす。ダイナミック系の出力に対する高次ダイナミックスの寄与の程度を考慮することで、以下に述べる応用制御の2つのカテゴリが識別される。
【0004】
第1のカテゴリでは、所与の動作条件下の高次ダイナミックスの効果が系の出力において受けられ得る誤差を越えるものである。通例としては、軽量ロボットマニピュレータ及び空間構造体において見られ、そこでは構造上の部材及び接合材の過剰な撓みが直接に影響を与える。かかる撓みは、外部的な励振又はロボットマニピュレータの場合における指令軌跡プロファイルの実行に如き内部的な作動の結果である場合がある。かかる高次ダイナミックスの存在が出力における受け入れ難い誤差にもたらすことから、高次ダイナミックス効果を抑制するようなシステムが考慮され選択される必要がある。この分野の従来技術の戦略は、制御下の系の高次ダイナミックスを表わす状態変数のフィードバック、開ループ及び閉ループの実装に適する入力形成方法、機械系のための境界制御技術、並びに機械系のための受動、半能動及び能動振動型の減衰の戦略とからなる制御方法カテゴリを含む。第2のカテゴリでは、制御下の出力における高次ダイナミックスの効果が受け入れ得る制限内に停まることで所望の精度を犠牲にすることなくして受忍され得るダイナミック系を含むものである。しかし、この場合、高次ダイナミックスは全体の安定性を劣化させて制御性能に対する制限要因となる。これらの困難は、本来の動作に要求される帯域幅が被制御系の最低共鳴周波数に接近する時及び/又は安定性を妨げる固有減衰が十分に存在しない時にしばしば起きる。系の帯域幅は、該系の出力が入力正弦波に満足される形で追従する最大周波数になるように画定される。非零DC利得の線形系の慣例では、該帯域幅は出力がそのDC利得で0.707の係数倍(即ち、3dB降下)に減衰されたときの入力の周波数である。このカテゴリの通常の応用例は、工業ロボット及び精密機械ツールを含んでいる。要求精度を越える構造上の撓みを阻止するに洗練されていない設計でも、これらの応用のための高性能サーボコントローラには、幾つかの軽度の減衰共鳴条件が視野に入れるべきである。通例、第1カテゴリに挙げられる制御方法は有力な解決策と考えられる。しかし、これらの実際の使用には以下に述べる要求条件及び複雑性の1つ以上に起因して制限される。被制御系の完全且つ精確なモデルが必要であること、付加的な計測及び/又はアクチュエータ編成が要求されること、計算機及び/又はハードウェア複合体が望ましくなく増大し、或いはシステムパラメータの多様性に対する感度レベルが受け入れ難いものあることである。高次ダイナミックスの存在は出力精度に受け入れられ得る制限を越えては影響を与えないことから、系の出力における高次ダイナミックス効果の直接的な抑制が結果的にはクリティカルなものではない。ローパスフィルタ及び帯域遮断フィルタの実装の如き単純な方法が好ましくは実際に採用されて安定性を改善し制御性能を強化する。しかし、これらのアプローチの有効性は限定される。というのは、ローパスフィルタは通常増幅歪み及び非安定化位相遅延を招来するし、帯域遮断フィルタは、共鳴条件が動作中に変移し常態的な磨滅に起因する変化、即ち製造一貫性のなさが故に変動する応用には適しないからである。
【0005】
【発明の概要】
第1の特徴において、本発明は、ダイナミック系の出力信号からダイナミック系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するシステムが志向されている。1つの実施例において、該システムは、状態オブザーバ及び修正子フィルタを含む。該状態オブザーバは、該ダイナミック系の主力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡し、該ダイナミック系の主力信号における推定された信号成分を表わす推定信号を提供するのに適用される。修正子フィルタは、該推定信号と該出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償するのに適用される。該推定信号と該修正子フィルタの出力信号との合成が該出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供し得る。
【0006】
他の特徴において、本発明はダイナミック系の出力信号からダイナミック系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出する方法が志向されている。1つの実施例において、該方法はダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定するステップと、該推定信号と、ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償するステップとを含む。該推定信号成分は、該推定信号とダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合の補償を表わす信号と合成されて、該出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号が提供される。
【0007】
他の特徴において、本発明は、被制御系における高次ダイナミックスの非安定化効果を低減する方法が志向されている。1つの実施例において、該方法は、該非制御システムの出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡するステップと、該非制御システムの出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された成分を表わす推定信号を提供するステップと、を含む。該推定信号とダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合は、該推定信号と修正子フィルタからの出力信号とを合成して合成フィードバック信号を形成することにより補償される。合成フィードバック信号は、該被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含み、該被制御系のためのコントローラに入力される。ここで、該ダイナミック系における非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定化効果を低減するか又は実質的に除去する。
【0008】
本発明の前述及び他の特徴は、添付の図面と共に引き続く記載により説明される。
【0009】
【実施例】
図1を参照すると、本発明の特徴を組み入れたシステム10の略図が示されている。本発明が図面に示される実施例を参照して説明されるが、本発明は多様な実施例の変形例において実施可能であることが理解されるべきてある。加えて、要素及び材料上の何らかの適合可能なサイズ、形状或いは型が用いられ得る。
【0010】
図1に示されるように、システム10は、通常、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18を含む。図1に示されるシステム10のコンポーネントの通常の編成は、ダイナミック系、即ち、制御下の系12でありここではプラント12としても参照される系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を系12から抽出するのに用いられ得る。ここで用いられる様に、用語「主要ダイナミックス」とは、ダイナミック系の動的特性を示すのに用いられ、該系に要求される機能及び本来の動作、例えば、フレキシブルロボットマニピュレータの場合における剛体運動を達成するのに本質的なものである。変形例において、システム10は、ダイナミック系12の出力信号において主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するのに適切な他のコンポーネントを含む。図1に示されるように、本発明の1つ実施例は、また、コントローラ14を含む。コントローラ14への入力として合成されたフィードバック信号ysを提供することは本発明の1つの特徴であり、該入力は、プラント12の出力信号から抽出される主要ダイナミックスを表わす信号成分を含み、プラント12の出力信号yの高次ダイナミックス成分を何ら含まない。高次ダイナミックスがフィードバック信号ysにおいては反映されないことから、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の編成は、制御下の現実の系の如きダイナミック系に見られる非モデル化ダイナミックスの効果を低減するか又は実質的に除去する。ここで用いられる用語「非モデル化ダイナミックス」とは「高次ダイナミックス」としても参照される。「高次ダイナミックス」とは、本来の動作にとって不必要か又は望ましくない動的特性を意味し、通常、プラント12の如き実際のダイナミック系に関わる共鳴特性を含み得る。かかる実ダイナミック系の通例としては、例えば、回転機構、機械ツール、ロボットマニピュレータ、空間構造体、及び機械的なコンポーネントの弾性に関わる共鳴状態を与える他の系を含み得る。多くの状況において、高次ダイナミックスを識別し、プラント12の理論的モデルから除外して残すことは困難である。
【0011】
図1に示されるように、用語「r」は基準信号を示し、以下、「e」は制御誤差、「u」は制御動作、「d」は外乱、「n」は測定雑音、「y」はプラント12の出力、「yo」は状態オブザーバ16の出力、「yc」は修正子フィルタ18の出力、「ys」は合成フィードバック信号を各々示している。上記のシンボルは、プラント12の入力及び出力の数に依存してスカラー変数又はベクトル変数の何れであっても良い。
【0012】
通常、プラント12の望ましくない共鳴状態(即ち、高次ダイナミックス効果)は、要求動作(即ち、主要ダイナミックス)にとって本質的な帯域幅よりも上において現れる。ここで用いられるように、系の帯域幅は、系の出力が正弦変化する入力を満足できる形で追跡する場合の最大周波数である。通例では、非零のDC利得を有する線形系の場合、その帯域幅は、出力がDC利得で入力の0.707の係数倍(即ち、3dB降下)に減衰した点における入力周波数である。プラント12の望ましくない共鳴状態(即ち、高次ダイナミックス効果)がプラント12の要求動作(即ち、主要ダイナミックス)にとって本質的な帯域幅より上において現れることから、主要ダイナミックスと望ましくない高次ダイナミックス効果とは周波数領域上において分離され得る。
【0013】
通常、外乱は「d」は、プラント12の高次ダイナミックスに比較して相対的に緩慢、即ちより低周波数成分からなる。測定雑音「n」は、主要ダイナミックスの帯域幅に比較してより高い周波数の性質からなると仮定される。これらの仮定は、通常の制御応用において現実的である。これらのことは、有効な制御をなす上で、プラント12の主要ダイナミックスの帯域幅及び予備補償されるべき外乱「d」が測定雑音「n」の周波数成分とは重なり合うことはないという要求仕様に反映する。
【0014】
該プラントダイナミックスについて公式化された仮定によれば、プラント12の出力「y」は、次のように外乱「d」及び測定雑音「n」に分解される。
y(t)=yd(t)+yh(t) (式1)
ここで、ydは主要ダイナミックスに対応するプラント出力yの成分であり、yhは高次ダイナミックス及び雑音に対応するプラント出力yの成分である。
【0015】
図1に示されるように、状態オブザーバ16は、通常、プラント12に関する状態変数及び出力変数のオンライン推定のために用いられる。通常、状態オブザーバは、ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡するのに適用される。尚、該信号成分は、ここでダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分として参照される。通常、この信号成分は直接には測定され得ず、出力信号の可能な測定を用いた状態オブザーバの手段により推定される必要がある。この状態推定は、プラント12の主要ダイナミックスの近似的な理論モデルに基づく。通常、状態オブザーバ16が選択された制限帯域幅で構成されることで、プラント12の主要ダイナミックスを充足的に追跡するが、高次ダイナミックスに関する高周波数入力及び測定雑音「n」には反応しない。変形例において、状態オブザーバは何らかの適切な帯域幅で構成される。プラント12の推定出力の精度は、通常、モデル化の不完全性或いは低周波数性質の如きものから生じる観測誤差に起因して制限される。状態オブザーバ16の出力y0は次の様に表現され得る。
【0016】
y0(t)=yd(t)+ye(t) (式2)
ここで、yeは状態オブザーバ推定誤差である。
状態オブザーバ16の出力とプラント12の実際の主要ダイナミックスとの間の不適合を補償するために、修正子フィルタ18が図1に示されるようにシステム10に組み入れられる。通常、修正子フィルタ18は、主要ダイナミックス及び観測誤差に対応する低周波数成分を通過せしめ、望ましくないダイナミックス及び測定雑音の高周波数成分を減衰せしめるのに適用される線形ローパスフィルタであり得る。変形例において、修正子フィルタ18は、ローパスフィルタを含む外にも何らかの適切な信号フィルタデバイスを含み得る。図1に示されるように、修正子18の入力は、プラント12の出力yとオブザーバ16から得られるy0との間の差として計算される。従って、修正子フィルタ18への入力信号は次のように表し得る。
【0017】
y(t)−yo(t)=yd(t)+yh(t)−yd(t)−ye(t)
=yh(t)−ye(t) (式3)
修正子18が線形であることから、図1のフィードバック部分、即ち、プラント12及び状態オブザーバ16からコントローラ14への経路は、プラント12、状態オブザーバ16及びコントローラ14が非線形な特性を呈するかもしれいないにも関わらず、ラプラス変換の形式により解析され得る。このアプローチを用いて、修正子フィルタ18の出力yeは次のように表し得る。
【0018】
yc(s)=Gc(s)[yh(s)−ye(s)]
=GC(s)yb(s)−GC(s)ye(s) (式4)
これらのシンボルyc(s)、yh(s)及びye(s)は、yc(t)、yh(t)及びye(t)をラプラス変換形式で各々表し、GC(s)は修正子フィルタ18の伝達関数を示している。フィルタ18が高次ダイナミックス及び雑音に対応する望ましくない周波数成分を減衰せしめるように構成されることから、yhは信号から除去され、GC(s)yh(s)≒0である。反対に、状態オブザーバ推定誤差yeは低周波性質により通過する。理想的には、GC(s)ye(s)≒ye(s)である。これらの観測を式4に適用することにより、修正子フィルタ18の出力は、以下のように負の状態オブザーバ推定誤差に近似的に単純化される。
【0019】
yc(s)≒−ye(s) 又は yc(t)≒−ye(t) (式5)
最終的に、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の出力から得られるプラント12の推定出力は結合されて置換フィードバック信号に合成される。
ys(t)=y0(t)+yc(t) (式6)
フィードバック信号ysの内容は、式2及び式5を式6に代入することにより次の結果を得ることで評価され得る。
【0020】
ys(t)=yd(t)+ye(t)+yc(t)≒yd(t)+ye(t)−ye
(t) = yd(t) (式7)
式7は、オブザーバ−修正子編成の効果としては、プラント12の出力からプラント12の主要ダイナミックスを表わす成分を抽出するということである。
【0021】
通常、コントローラ14は、何ら高次ダイナミックスを伴わない仮想の系について構成された通常のコントローラを含む。変形例において、コントローラ14は、ダイナミック系を制御するための何らかの適切な制御デバイスを含み得る。図1に示されるように、コントローラ14は、入力としてフィードバック信号ysを受信し、制御信号をプラント12に印加するように適用され得る。通常、コントローラ14は、プラント12の不完全なモデルに基づいて構成されて動作する。ここで用いられるように、用語「不完全なモデル」とは、プラント12の主要ダイナミックスを反映しつつ全ての高次ダイナミックス効果を無視した、即ち顧慮することがないプラント12のモデルを意味している。例えば、フレキシブルリンクを有するロボットの場合、そのモデルは該リンクを剛体(主要ダイナミックス)として扱い、それらのもつ柔軟性(高次ダイナミックス)に依るリンクの撓みを無視する。制御下の系、即ちプラント12の出力yにおける主要ダイナミックスに反映するように合成される置換フィードバック信号ysを導入することは本発明の1つの特徴である。図1に示される如き状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の編成はこの目的のために用いられ得る。変形例において、状態オブザーバ16及び修正子18は、信号から主要ダイナミックス成分を抽出するのに何らかの適切なやり方に編成され得る。図1に示される実施例の場合、フィードバック信号ysがコントローラ14への入力として用いられてプラント12の非モデル化ダイナミックスの不安定化効果を有効に低減するか又は実質的に除去する。
【0022】
通常、状態オブザーバ16及び修正子18は、相補的なやり方で動作する。それらの個々の寄与は、次の状況を考慮することにより示され得る。
<完全オブザーバ出力>
もし状態オブザーバ16から得られる推定出力がプラント12の主要ダイナミックスに実際に適合するならば、y0=ydであり、式3における修正子フィルタ18の入力は高周波数成分yhに下がる。これらは、フィルタ18においてそのローパス特性により減衰せしめられ、結果的にyc≒0である。式6によれば、合成フィードバック信号は、結局、状態オブザーバ16の出力に一致するようになる、即ちys=y0である。つまり、もし状態オブザーバ16から得られる推定出力信号が完全無欠ならば、即ち、何ら観測誤差が存在しないならば、該オブザーバ−修正子編成は、状態オブザーバ単独として振る舞う。しかし、観測誤差は固有のモデル化の不完全性誤差に起因して不可避である。
<零オブザーバ出力>
反対に、もし状態オブザーバ16が動作しないならば、y0=0であり、プラント12の全体の出力は修正子フィルタ18を通るように向けられる。式6によれば、修正子フィルタ18がフィードバック信号に対して唯一寄与するものとなって、ys=ycである。この場合、オブザーバ−修正子編成は、振幅歪み及び不安定化位相遅れの負の効果を含めて、単純なローパスフィルタとして動作する。
<ノーマル動作>
通常、ノーマル動作に状態の下では、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18は互いに相補的に動作する。状態オブザーバ16の存在により、フィルタ信号の最小部分はローパスフィルタリングに起因して望ましくない歪みを被る。他方で、修正子フィルタ18がプラント12の主要ダイナミックスの観測に関わる不可避の誤差を補償する。
【0023】
通常、結果の合成フィードバック信号yは、実際の系の主要ダイナミックスを仮定する見かけ上のプラントの出力として見ることができるが、望ましくない高次ダイナミックス効果を与えるものではない。例えば、フレキシブルリンクを備えたロボット・マニピュレータを考えた場合、合成フィードバック信号は、同じジョイント角と非変形リンクを備えた仮想的な剛体マニピュレータに関するものとなり得る。結果として、コントローラ14は、高次ダイナミックス効果を考慮にいれることなく実際的に構成され得るものであり、これは在来の制御技術を用いる余地を与えるものであり、完全なダイナミックス解析に較べて低減されたモデル化要求仕様と、単純化されたコントローラ構成とより短い開発時間とに還元できる。在来のローパスフィルタリングとの比較において、改善された安定性マージン及びより良い制御性能が、フィードバック信号の振幅及び位相歪みの低減を達成し得る。
【0024】
例えば、図2おいて示される例示の実施例において、プラント12は、半導体製造応用で自動化された「拾う又は置く」動作のための軽量四軸ロボット・マニピュレータを含み得る。ロボット・マニピュレータ100は、環状の取り付けフランジ102から釣り下げられた開口円筒形フレーム101の周りに構築される。フレーム101は、2つの垂直レール103に線状のベアリング104が組み込まれ、ブラシレスDCモータ106によりボールネジ機構107を介して駆動されるキャリッジ105にガイダンスを与える。簡略のために、レール103のうちの1つだけが示されている。キャリッジ105は、光エンコーダ110及び111が備えられた一対の同軸ブラシレスDCモータ108及び109を収容する。上部のモータ108がロボットアームの第1リンク114に接続された筒状外部シャフト112を駆動する。下部のモータ109が、ケーブル駆動115を介し第2リンク116に連結される同軸状内部シャフト113に接続される。もう1つのケーブル編成117が最初の2つのリンク114及び116の位置に関わらず、第3リンク118の半径方向の配向を維持するのに用いられる。これは、第1リンク114に組み込まれたプーリBと、第3リンク118に組み込まれたプーリCとの間の1:2の比率により達成される。第3リンク118は、エンド・エフェクタ120を回転せしめるのに用いられるブラシレスDCモータ119を担う。半導体基板の如きペイロート121が真空グリップの如き手段によりエンド・エフェクタ120に取り付けられて保持される。しかし、本発明の特徴は、ロボット上に何らかの適切なロボットアームが用いられ得る。所与の水平平面にあるリンク114、116及び118を含むアーム130の回転を考えれば、エンド・エフェクタ120の位置が図3に示されるように放射長R及び角度方位Tを用いて極座標系において定義される。
【0025】
フレーム101が好ましくは比較的小さい直径と大きい高さを備えて、厳しい空間制限に適合して要求される垂直ストロークを収容するように構成される。この設計制限は、伴われる部品、特にロボットフレーム101、線状ベアリング104及び駆動シャフト112、113の妥協した剛性をもたらす。同様に、リンク114、116及び118が細く且つ軽量であることで低プロファィル輪郭、高速度性能及び低パワー要求を達成する。これにより、リンクシェル、リンクペアリング及びケーブル駆動115、117が構造上の付加的な弾性源を与える。結果として、図2に示されるロボットマニピュレータ100の剛体ダイナミックスは、幾つかの位置依存且つ軽度に減衰化された振動モード(共振状態)に一本化される。これは、剛体マニピュレータのために開発された伝統的な制御技術に干渉するものである。
【0026】
1つの実施例において、図2に示される例示のロボットマニピュレータ100の制御に干渉する基底の大きさ及び最低固有(natural)周波数が次のようにまとめられる。
【0027】
【表1】
柔軟振動モードの存在は、図2におけるモータ108及び109による直接駆動のロボットアーム130の運動制御、とりわけ精確な軌跡追跡及び最小鎮静時間が要請される運動制御に影響を与える。この制御タスクには本発明の特徴を組み入れたオブザーバ−修正子システムが用いられ得る。本発明の特徴を組み入れてロボットマニピュレータ100に適用され得るオブザーバ−修正子システムの例示の実装例の単純化したブロック図が図4に示される。ここで次に示す命名を採用する。即ち、R及びTはエンド・エフェクタの極座標における指令軌跡を表し、θr1及びθr2はモータ108及び109の角度位置に変換された指令軌跡を表し、τ1及びτ2はモータ108及び109が作用するトルクを表し、θ1及びθ2はエンコーダ110及び111から得られる角度位置を表し、シンボル「・」及び「・・」は1次の時間微分及び2次の時間微分を各々表し、下付き文字「c」「o」及び「s」は、図1で用いられた命名に対応して用いられる。
【0028】
図4に示される例の場合、コントローラ14が単独で計算トルク技術の標準的な実装を用いた位置及び速度のフィードバックを動作せしめる。これは、モータ108及び109の各々に対する外乱オブザーバによるPD補償器により補われるロボットマニピュレータ100の剛体モデルを含む。位置測定値θ1,2がエンコーダ110、111からコントローラ14に直接フィードバックされつつ、図4に示されるオブザーバ−修正子編成から得られる合成速度信号
【0029】
【外1】
がコントローラ14にフィードバックされる。望ましくない振動モードに対応する速度信号の高次周波数成分及び測定雑音を増幅するのがコントローラ14の微分部であることから、このハイブリッド実装が選択される。生の速度信号
【0030】
【外2】
が数値微分部54におけるエンコーダ読み込みの数値差分により得られる。状態オブザーバ16がマニピュレータ100の剛体ダイナミックスを指定帯域幅内で追跡するように構成される。図4に示される例示の実施例において、修正子フィルタ18は、モータ108及び109の各々のために一対の2次のローパスフィルタを含む。全体の制御は、好ましくはデジタル方式で実現され、サンプリングレート1KHzで実行される。
【0031】
図2に示されるロボット100により実行される通常の動作は、放射状の運動(エンド・エフェクタ120が一定の角度方位Tで直線状に追跡する場合)と回転運動(エンド・エフェクタ120が一定の放射長Rで円弧状に追跡する場合)とを含む。必要ならば、これらの例示の運動は、より複雑且つなだらかな軌跡に合成又は混合されても良い。
【0032】
図4に示される例示の制御システムを用いて、図2に示される例示の試験ロボットマニピュレータの場合の本発明による制御システムの性能が、初期の0.2mの放射位置から0.7mの最終広がりに運動する単純な直線について試験される。その運動は45m/s3の加速度変化により制限される。対応する指令位置、速度及び加速度プロフィールが図5に示される。図4に示される試験実施例におけるPD補償器、状態オブザーバ及び修正子フィルタ18の制御パラメータの設定は次の如きである。
【0033】
【表2】
この実施例において、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18は、制御と干渉する最低共鳴周波数と識別される周波数22Hzにおいて近似的に70%の減衰を与える。
【0034】
図4の速度ループにおけるオブザーバ−修正子編成の効果は図6に示される。生の速度信号は、望ましくない高周波数成分により見た目にも汚染されている(細線)。その速度信号は、この動作モードにおいては通常普通のローパスフィルタとして働く修正子フィルタ18を通過し有意な位相遅延歪みを被り、コントローラ14にフィードバックされる(破線)。反対に、図4のオブザーバ−修正子システムにおいては、フィードバック信号が状態オブザーバ16において発生し、修正子フィルタ18がモデルの不完全性により生じる不可避な観測誤差を修正するのに用いられる(鎖線)。この実施例においては、その観測誤差は、主にモデルパラメータの不精確さ、粘性減衰及び乾燥摩擦の非モデル化効果とからなる寄与である。観測された速度
【0035】
【外3】
に修正子フィルタ18の出力
【0036】
【外4】
を合成することは、望ましくない高周波数成分を含まずに緊密に生の速度
【0037】
【外2】
を追従するきれいな(clean)合成フィードバック信号
【0038】
【外1】
を与える(太線)。該合成フィードバック信号
【0039】
【外1】
は、フィルタリング及び観測されただけの速度よりは実質的により小さい誤差を示している。
本発明のオブザーバ−修正子メカニズムにより達成される改善を定量化するために、図4に示される例示の実施例の制御性能が同等の通常制御アプローチとモータ追跡誤差の形で比較される。この場合に状態オブザーバ16は外されている。その生の速度信号
【0040】
【外2】
は、この動作モードでは普通のローパスフィルタとして働くフィルタ18を通過し、コントローラ14にフィードバックされる。この実施例の場合の制御パラメータは次のように示される。
【0041】
【表3】
これらの制御パラメータは、図4の完全なオブザーバ−修正子試験実施例の場合のパラメータと、PD補償器の帯域幅のパラメータをは除いて同一であるが、PD補償器の帯域幅の該パラメータは上記の表に示されるようなレベルにまで低減されていて、システム10の安定性と発振性の無い動作を確保している。モータ108、109の各実装における追跡誤差が表7において比較される。示されるように、該グラフは、通常の制御機構の追跡性能(細線)が、本発明のオブザーバ−修正子機構の追跡性能(太線)を実装することにより改善されることを示している。
【0042】
前述の記載は本発明を例示するだけのものであることが理解されるべきである。多様な変形及び改変が本発明から逸脱することなく当業者より考えられ得る。従って、本発明は、添付の請求項の記載の範囲にある全てのかかる変形、改変、変容を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴を組み入れたシステムの全体図である。
【図2】例示的な試験ロボット・マニピュレータの全体図である。
【図3】図2の試験ロボット・マニピュレータの平面図である。
【図4】本発明の特徴を組み入れたオブザーバ−修正子の例示的な試験実装ののブロック図である。
【図5a】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図5b】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図5c】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図6a】図4に示される例示的な実施例におけるモータの試験動作についての速度プロファイルを示している図である。
【図6b】図4に示される例示的な実施例におけるモータの試験動作についての速度プロファイルを示している図である。
【図7a】図4に示される試験動作におけるモータの追跡誤差を示している図である。
【図7b】図4に示される試験動作におけるモータの追跡誤差を示している図である。
【符号の簡単な説明】
10 システム
12 ダイナミック系(プラント)
14 コントローラ
16 状態オブザーバ
18 修正子フィルタ
【発明の名称】非モデル化ダイナミックス系のためのオブザーバー修正子制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するシステムであって、
前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡し、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された信号成分を表わす推定信号を提供する状態オブザーバと、
前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす、前記推定信号と前記実信号成分との間の不適合を補償する修正子フィルタと、
を含み、前記推定信号と前記修正子フィルタの出力信号との合成が前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供し得ることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記システムのためのコントローラを更に含み、前記合成信号は、前記コントローラに対する入力として用いられるフィードバック信号を形成し、前記ダイナミック系の出力信号おける非モデル化高次ダイナミックスの非安定効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、機械系のための制御システムであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、前記コントローラからの出力信号を表わす第1入力と、前記ダイナミック系の出力信号を表わす第2入力と、を受信することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、前記第2入力は、測定雑音信号成分を含む前記ダイナミック系の出力信号を表わすことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2記載のシステムであって、前記コントローラの構成は、前記ダイナミック系の高次ダイナミックスを含まないダイナミック系のモデルを基礎とすることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記ダイナミック系は、ロボットマニピュレータであることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1記載のシステムであって、前記合成信号は、前記ダイナミック系の出力信号における高次ダイナミックスを表わす信号成分を含まないことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡し、且つ前記ダイナミック系の出力信号における高周波数信号成分に応答せず、前記高周波数信号成分は、前記ダイナミック系の高次ダイナミックス及び前記ダイナミック系の出力信号の測定雑音信号成分に対応することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムであって、前記状態オブザーバは、帯域制限オブザーバであることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムであって、前記修正子フィルタは、更に、観測誤差信号成分と共に主要ダイナミックスを表わす実信号成分に関連する全ての低周波数信号成分を通過せしめ、高次ダイナミックス及び観測雑音信号成分に関連する高周波数信号成分を減衰せしめることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1記載のシステムであって、前記修正子フィルタは、線形ローパスフィルタであることを特徴とするシステム。
【請求項13】
ダイナミック系から信号成分を抽出する方法であって、
前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定する推定ステップと、
前記推定された信号と、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償する補償ステップと、
前記実信号成分との間の不適合に対する補償を表わす信号に前記推定された信号を合成して、前記出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供する合成ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、前記抽出された信号成分は、前記出力信号の主要信号成分であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、前記ダイナミック系のためのコントローラに対するフィードバック入力信号として前記合成信号を用いるステップを更に含み、前記ダイナミック系の出力信号おける非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定する前記推定ステップは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡しつつ、前記ダイナミック系の出力信号における高次信号成分及び測定雑音信号成分を除外するステップを更に含むことを特徴とするす方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法であって、前記推定された信号と前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償する前記補償ステップは、前記ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす低周波数信号成分及び観測誤差成分を通過せしめつつ、前記ダイナミック系の出力信号における高次周波数信号成分及び観測雑音信号成分を減衰せしめるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
被制御系における高次ダイナミックスの効果を低減する方法であって、
前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡する追跡ステップと、
前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された成分を表わす推定信号を提供する推定ステップと、
前記推定信号と前記主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を修正子フィルタを用いて補償する補償ステップと、
前記推定信号に前記修正子フィルタからの出力信号を合成して、前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成フィードバック信号を形成する合成ステップと、
前記被制御系のためのコントローラに前記合成フィードバック信号を入力する入力ステップと、
を含み、前記ダイナミック系の出力信号における非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定化効果を低減するか又は実質的に除去することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、前記被制御系はロボット・マニピュレータであり、前記被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分を追跡する前記追跡ステップは、前記マニピュレータの剛体ダイナミックスを所定の帯域幅で追跡するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記推定信号に前記修正子フィルタからの出力信号を合成して合成フィードバック信号を形成する前記合成ステップは、観測されるモータ速度信号に、前記修正子フィルタの出力を合成して、クリーン合成信号を供するステップを更に含み、前記クリーン合成信号は、前記モータの速度の生信号に密接に追従しつつも、前記速度の生信号に含まれる望ましくない高周波数成分を含まないことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御システムに関し、特に、制御下の現実の系における物体の非モデル化ダイナミックス効果を低減するシステム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現実の系は、その本来の動作に不必要且つ望ましくない高次のダイナミックスに関わる共鳴特性をしばしば与える。かかる高次効果が要求機能を達成する上では反対に本質的なものである系の主要ダイナミックスに課せられる。通常の例としては、機構部品の不可避的な弾性に関わる幾多の共鳴状態をしばしば与える、回転機構、機械ツール、ロボットマニピュレータ及び空間構造体の如き機械系システムである。多くの実現状況において、かかる高次のダイナミックスは、認識する上でも該系の理論的なモデルを除外して残す上でも難しいものである。
【0003】
ダイナミック系の動作を強化するのにフィードバック制御が適用された場合には、かかる高次ダイナミック系の存在は望ましくない発振を生じて全体の安定性に影響を与え、限定された制御性能をもたらす。ダイナミック系の出力に対する高次ダイナミックスの寄与の程度を考慮することで、以下に述べる応用制御の2つのカテゴリが識別される。
【0004】
第1のカテゴリでは、所与の動作条件下の高次ダイナミックスの効果が系の出力において受けられ得る誤差を越えるものである。通例としては、軽量ロボットマニピュレータ及び空間構造体において見られ、そこでは構造上の部材及び接合材の過剰な撓みが直接に影響を与える。かかる撓みは、外部的な励振又はロボットマニピュレータの場合における指令軌跡プロファイルの実行に如き内部的な作動の結果である場合がある。かかる高次ダイナミックスの存在が出力における受け入れ難い誤差にもたらすことから、高次ダイナミックス効果を抑制するようなシステムが考慮され選択される必要がある。この分野の従来技術の戦略は、制御下の系の高次ダイナミックスを表わす状態変数のフィードバック、開ループ及び閉ループの実装に適する入力形成方法、機械系のための境界制御技術、並びに機械系のための受動、半能動及び能動振動型の減衰の戦略とからなる制御方法カテゴリを含む。第2のカテゴリでは、制御下の出力における高次ダイナミックスの効果が受け入れ得る制限内に停まることで所望の精度を犠牲にすることなくして受忍され得るダイナミック系を含むものである。しかし、この場合、高次ダイナミックスは全体の安定性を劣化させて制御性能に対する制限要因となる。これらの困難は、本来の動作に要求される帯域幅が被制御系の最低共鳴周波数に接近する時及び/又は安定性を妨げる固有減衰が十分に存在しない時にしばしば起きる。系の帯域幅は、該系の出力が入力正弦波に満足される形で追従する最大周波数になるように画定される。非零DC利得の線形系の慣例では、該帯域幅は出力がそのDC利得で0.707の係数倍(即ち、3dB降下)に減衰されたときの入力の周波数である。このカテゴリの通常の応用例は、工業ロボット及び精密機械ツールを含んでいる。要求精度を越える構造上の撓みを阻止するに洗練されていない設計でも、これらの応用のための高性能サーボコントローラには、幾つかの軽度の減衰共鳴条件が視野に入れるべきである。通例、第1カテゴリに挙げられる制御方法は有力な解決策と考えられる。しかし、これらの実際の使用には以下に述べる要求条件及び複雑性の1つ以上に起因して制限される。被制御系の完全且つ精確なモデルが必要であること、付加的な計測及び/又はアクチュエータ編成が要求されること、計算機及び/又はハードウェア複合体が望ましくなく増大し、或いはシステムパラメータの多様性に対する感度レベルが受け入れ難いものあることである。高次ダイナミックスの存在は出力精度に受け入れられ得る制限を越えては影響を与えないことから、系の出力における高次ダイナミックス効果の直接的な抑制が結果的にはクリティカルなものではない。ローパスフィルタ及び帯域遮断フィルタの実装の如き単純な方法が好ましくは実際に採用されて安定性を改善し制御性能を強化する。しかし、これらのアプローチの有効性は限定される。というのは、ローパスフィルタは通常増幅歪み及び非安定化位相遅延を招来するし、帯域遮断フィルタは、共鳴条件が動作中に変移し常態的な磨滅に起因する変化、即ち製造一貫性のなさが故に変動する応用には適しないからである。
【0005】
【発明の概要】
第1の特徴において、本発明は、ダイナミック系の出力信号からダイナミック系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するシステムが志向されている。1つの実施例において、該システムは、状態オブザーバ及び修正子フィルタを含む。該状態オブザーバは、該ダイナミック系の主力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡し、該ダイナミック系の主力信号における推定された信号成分を表わす推定信号を提供するのに適用される。修正子フィルタは、該推定信号と該出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償するのに適用される。該推定信号と該修正子フィルタの出力信号との合成が該出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号を提供し得る。
【0006】
他の特徴において、本発明はダイナミック系の出力信号からダイナミック系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出する方法が志向されている。1つの実施例において、該方法はダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を推定するステップと、該推定信号と、ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合を補償するステップとを含む。該推定信号成分は、該推定信号とダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合の補償を表わす信号と合成されて、該出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含む合成信号が提供される。
【0007】
他の特徴において、本発明は、被制御系における高次ダイナミックスの非安定化効果を低減する方法が志向されている。1つの実施例において、該方法は、該非制御システムの出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡するステップと、該非制御システムの出力信号における主要ダイナミックスを表わす推定された成分を表わす推定信号を提供するステップと、を含む。該推定信号とダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分との間の不適合は、該推定信号と修正子フィルタからの出力信号とを合成して合成フィードバック信号を形成することにより補償される。合成フィードバック信号は、該被制御系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を含み、該被制御系のためのコントローラに入力される。ここで、該ダイナミック系における非モデル化高次ダイナミックス信号成分の非安定化効果を低減するか又は実質的に除去する。
【0008】
本発明の前述及び他の特徴は、添付の図面と共に引き続く記載により説明される。
【0009】
【実施例】
図1を参照すると、本発明の特徴を組み入れたシステム10の略図が示されている。本発明が図面に示される実施例を参照して説明されるが、本発明は多様な実施例の変形例において実施可能であることが理解されるべきてある。加えて、要素及び材料上の何らかの適合可能なサイズ、形状或いは型が用いられ得る。
【0010】
図1に示されるように、システム10は、通常、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18を含む。図1に示されるシステム10のコンポーネントの通常の編成は、ダイナミック系、即ち、制御下の系12でありここではプラント12としても参照される系の主要ダイナミックスを表わす信号成分を系12から抽出するのに用いられ得る。ここで用いられる様に、用語「主要ダイナミックス」とは、ダイナミック系の動的特性を示すのに用いられ、該系に要求される機能及び本来の動作、例えば、フレキシブルロボットマニピュレータの場合における剛体運動を達成するのに本質的なものである。変形例において、システム10は、ダイナミック系12の出力信号において主要ダイナミックスを表わす信号成分を抽出するのに適切な他のコンポーネントを含む。図1に示されるように、本発明の1つ実施例は、また、コントローラ14を含む。コントローラ14への入力として合成されたフィードバック信号ysを提供することは本発明の1つの特徴であり、該入力は、プラント12の出力信号から抽出される主要ダイナミックスを表わす信号成分を含み、プラント12の出力信号yの高次ダイナミックス成分を何ら含まない。高次ダイナミックスがフィードバック信号ysにおいては反映されないことから、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の編成は、制御下の現実の系の如きダイナミック系に見られる非モデル化ダイナミックスの効果を低減するか又は実質的に除去する。ここで用いられる用語「非モデル化ダイナミックス」とは「高次ダイナミックス」としても参照される。「高次ダイナミックス」とは、本来の動作にとって不必要か又は望ましくない動的特性を意味し、通常、プラント12の如き実際のダイナミック系に関わる共鳴特性を含み得る。かかる実ダイナミック系の通例としては、例えば、回転機構、機械ツール、ロボットマニピュレータ、空間構造体、及び機械的なコンポーネントの弾性に関わる共鳴状態を与える他の系を含み得る。多くの状況において、高次ダイナミックスを識別し、プラント12の理論的モデルから除外して残すことは困難である。
【0011】
図1に示されるように、用語「r」は基準信号を示し、以下、「e」は制御誤差、「u」は制御動作、「d」は外乱、「n」は測定雑音、「y」はプラント12の出力、「yo」は状態オブザーバ16の出力、「yc」は修正子フィルタ18の出力、「ys」は合成フィードバック信号を各々示している。上記のシンボルは、プラント12の入力及び出力の数に依存してスカラー変数又はベクトル変数の何れであっても良い。
【0012】
通常、プラント12の望ましくない共鳴状態(即ち、高次ダイナミックス効果)は、要求動作(即ち、主要ダイナミックス)にとって本質的な帯域幅よりも上において現れる。ここで用いられるように、系の帯域幅は、系の出力が正弦変化する入力を満足できる形で追跡する場合の最大周波数である。通例では、非零のDC利得を有する線形系の場合、その帯域幅は、出力がDC利得で入力の0.707の係数倍(即ち、3dB降下)に減衰した点における入力周波数である。プラント12の望ましくない共鳴状態(即ち、高次ダイナミックス効果)がプラント12の要求動作(即ち、主要ダイナミックス)にとって本質的な帯域幅より上において現れることから、主要ダイナミックスと望ましくない高次ダイナミックス効果とは周波数領域上において分離され得る。
【0013】
通常、外乱は「d」は、プラント12の高次ダイナミックスに比較して相対的に緩慢、即ちより低周波数成分からなる。測定雑音「n」は、主要ダイナミックスの帯域幅に比較してより高い周波数の性質からなると仮定される。これらの仮定は、通常の制御応用において現実的である。これらのことは、有効な制御をなす上で、プラント12の主要ダイナミックスの帯域幅及び予備補償されるべき外乱「d」が測定雑音「n」の周波数成分とは重なり合うことはないという要求仕様に反映する。
【0014】
該プラントダイナミックスについて公式化された仮定によれば、プラント12の出力「y」は、次のように外乱「d」及び測定雑音「n」に分解される。
y(t)=yd(t)+yh(t) (式1)
ここで、ydは主要ダイナミックスに対応するプラント出力yの成分であり、yhは高次ダイナミックス及び雑音に対応するプラント出力yの成分である。
【0015】
図1に示されるように、状態オブザーバ16は、通常、プラント12に関する状態変数及び出力変数のオンライン推定のために用いられる。通常、状態オブザーバは、ダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす信号成分を追跡するのに適用される。尚、該信号成分は、ここでダイナミック系の出力信号における主要ダイナミックスを表わす実信号成分として参照される。通常、この信号成分は直接には測定され得ず、出力信号の可能な測定を用いた状態オブザーバの手段により推定される必要がある。この状態推定は、プラント12の主要ダイナミックスの近似的な理論モデルに基づく。通常、状態オブザーバ16が選択された制限帯域幅で構成されることで、プラント12の主要ダイナミックスを充足的に追跡するが、高次ダイナミックスに関する高周波数入力及び測定雑音「n」には反応しない。変形例において、状態オブザーバは何らかの適切な帯域幅で構成される。プラント12の推定出力の精度は、通常、モデル化の不完全性或いは低周波数性質の如きものから生じる観測誤差に起因して制限される。状態オブザーバ16の出力y0は次の様に表現され得る。
【0016】
y0(t)=yd(t)+ye(t) (式2)
ここで、yeは状態オブザーバ推定誤差である。
状態オブザーバ16の出力とプラント12の実際の主要ダイナミックスとの間の不適合を補償するために、修正子フィルタ18が図1に示されるようにシステム10に組み入れられる。通常、修正子フィルタ18は、主要ダイナミックス及び観測誤差に対応する低周波数成分を通過せしめ、望ましくないダイナミックス及び測定雑音の高周波数成分を減衰せしめるのに適用される線形ローパスフィルタであり得る。変形例において、修正子フィルタ18は、ローパスフィルタを含む外にも何らかの適切な信号フィルタデバイスを含み得る。図1に示されるように、修正子18の入力は、プラント12の出力yとオブザーバ16から得られるy0との間の差として計算される。従って、修正子フィルタ18への入力信号は次のように表し得る。
【0017】
y(t)−yo(t)=yd(t)+yh(t)−yd(t)−ye(t)
=yh(t)−ye(t) (式3)
修正子18が線形であることから、図1のフィードバック部分、即ち、プラント12及び状態オブザーバ16からコントローラ14への経路は、プラント12、状態オブザーバ16及びコントローラ14が非線形な特性を呈するかもしれいないにも関わらず、ラプラス変換の形式により解析され得る。このアプローチを用いて、修正子フィルタ18の出力yeは次のように表し得る。
【0018】
yc(s)=Gc(s)[yh(s)−ye(s)]
=GC(s)yb(s)−GC(s)ye(s) (式4)
これらのシンボルyc(s)、yh(s)及びye(s)は、yc(t)、yh(t)及びye(t)をラプラス変換形式で各々表し、GC(s)は修正子フィルタ18の伝達関数を示している。フィルタ18が高次ダイナミックス及び雑音に対応する望ましくない周波数成分を減衰せしめるように構成されることから、yhは信号から除去され、GC(s)yh(s)≒0である。反対に、状態オブザーバ推定誤差yeは低周波性質により通過する。理想的には、GC(s)ye(s)≒ye(s)である。これらの観測を式4に適用することにより、修正子フィルタ18の出力は、以下のように負の状態オブザーバ推定誤差に近似的に単純化される。
【0019】
yc(s)≒−ye(s) 又は yc(t)≒−ye(t) (式5)
最終的に、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の出力から得られるプラント12の推定出力は結合されて置換フィードバック信号に合成される。
ys(t)=y0(t)+yc(t) (式6)
フィードバック信号ysの内容は、式2及び式5を式6に代入することにより次の結果を得ることで評価され得る。
【0020】
ys(t)=yd(t)+ye(t)+yc(t)≒yd(t)+ye(t)−ye
(t) = yd(t) (式7)
式7は、オブザーバ−修正子編成の効果としては、プラント12の出力からプラント12の主要ダイナミックスを表わす成分を抽出するということである。
【0021】
通常、コントローラ14は、何ら高次ダイナミックスを伴わない仮想の系について構成された通常のコントローラを含む。変形例において、コントローラ14は、ダイナミック系を制御するための何らかの適切な制御デバイスを含み得る。図1に示されるように、コントローラ14は、入力としてフィードバック信号ysを受信し、制御信号をプラント12に印加するように適用され得る。通常、コントローラ14は、プラント12の不完全なモデルに基づいて構成されて動作する。ここで用いられるように、用語「不完全なモデル」とは、プラント12の主要ダイナミックスを反映しつつ全ての高次ダイナミックス効果を無視した、即ち顧慮することがないプラント12のモデルを意味している。例えば、フレキシブルリンクを有するロボットの場合、そのモデルは該リンクを剛体(主要ダイナミックス)として扱い、それらのもつ柔軟性(高次ダイナミックス)に依るリンクの撓みを無視する。制御下の系、即ちプラント12の出力yにおける主要ダイナミックスに反映するように合成される置換フィードバック信号ysを導入することは本発明の1つの特徴である。図1に示される如き状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18の編成はこの目的のために用いられ得る。変形例において、状態オブザーバ16及び修正子18は、信号から主要ダイナミックス成分を抽出するのに何らかの適切なやり方に編成され得る。図1に示される実施例の場合、フィードバック信号ysがコントローラ14への入力として用いられてプラント12の非モデル化ダイナミックスの不安定化効果を有効に低減するか又は実質的に除去する。
【0022】
通常、状態オブザーバ16及び修正子18は、相補的なやり方で動作する。それらの個々の寄与は、次の状況を考慮することにより示され得る。
<完全オブザーバ出力>
もし状態オブザーバ16から得られる推定出力がプラント12の主要ダイナミックスに実際に適合するならば、y0=ydであり、式3における修正子フィルタ18の入力は高周波数成分yhに下がる。これらは、フィルタ18においてそのローパス特性により減衰せしめられ、結果的にyc≒0である。式6によれば、合成フィードバック信号は、結局、状態オブザーバ16の出力に一致するようになる、即ちys=y0である。つまり、もし状態オブザーバ16から得られる推定出力信号が完全無欠ならば、即ち、何ら観測誤差が存在しないならば、該オブザーバ−修正子編成は、状態オブザーバ単独として振る舞う。しかし、観測誤差は固有のモデル化の不完全性誤差に起因して不可避である。
<零オブザーバ出力>
反対に、もし状態オブザーバ16が動作しないならば、y0=0であり、プラント12の全体の出力は修正子フィルタ18を通るように向けられる。式6によれば、修正子フィルタ18がフィードバック信号に対して唯一寄与するものとなって、ys=ycである。この場合、オブザーバ−修正子編成は、振幅歪み及び不安定化位相遅れの負の効果を含めて、単純なローパスフィルタとして動作する。
<ノーマル動作>
通常、ノーマル動作に状態の下では、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18は互いに相補的に動作する。状態オブザーバ16の存在により、フィルタ信号の最小部分はローパスフィルタリングに起因して望ましくない歪みを被る。他方で、修正子フィルタ18がプラント12の主要ダイナミックスの観測に関わる不可避の誤差を補償する。
【0023】
通常、結果の合成フィードバック信号yは、実際の系の主要ダイナミックスを仮定する見かけ上のプラントの出力として見ることができるが、望ましくない高次ダイナミックス効果を与えるものではない。例えば、フレキシブルリンクを備えたロボット・マニピュレータを考えた場合、合成フィードバック信号は、同じジョイント角と非変形リンクを備えた仮想的な剛体マニピュレータに関するものとなり得る。結果として、コントローラ14は、高次ダイナミックス効果を考慮にいれることなく実際的に構成され得るものであり、これは在来の制御技術を用いる余地を与えるものであり、完全なダイナミックス解析に較べて低減されたモデル化要求仕様と、単純化されたコントローラ構成とより短い開発時間とに還元できる。在来のローパスフィルタリングとの比較において、改善された安定性マージン及びより良い制御性能が、フィードバック信号の振幅及び位相歪みの低減を達成し得る。
【0024】
例えば、図2おいて示される例示の実施例において、プラント12は、半導体製造応用で自動化された「拾う又は置く」動作のための軽量四軸ロボット・マニピュレータを含み得る。ロボット・マニピュレータ100は、環状の取り付けフランジ102から釣り下げられた開口円筒形フレーム101の周りに構築される。フレーム101は、2つの垂直レール103に線状のベアリング104が組み込まれ、ブラシレスDCモータ106によりボールネジ機構107を介して駆動されるキャリッジ105にガイダンスを与える。簡略のために、レール103のうちの1つだけが示されている。キャリッジ105は、光エンコーダ110及び111が備えられた一対の同軸ブラシレスDCモータ108及び109を収容する。上部のモータ108がロボットアームの第1リンク114に接続された筒状外部シャフト112を駆動する。下部のモータ109が、ケーブル駆動115を介し第2リンク116に連結される同軸状内部シャフト113に接続される。もう1つのケーブル編成117が最初の2つのリンク114及び116の位置に関わらず、第3リンク118の半径方向の配向を維持するのに用いられる。これは、第1リンク114に組み込まれたプーリBと、第3リンク118に組み込まれたプーリCとの間の1:2の比率により達成される。第3リンク118は、エンド・エフェクタ120を回転せしめるのに用いられるブラシレスDCモータ119を担う。半導体基板の如きペイロート121が真空グリップの如き手段によりエンド・エフェクタ120に取り付けられて保持される。しかし、本発明の特徴は、ロボット上に何らかの適切なロボットアームが用いられ得る。所与の水平平面にあるリンク114、116及び118を含むアーム130の回転を考えれば、エンド・エフェクタ120の位置が図3に示されるように放射長R及び角度方位Tを用いて極座標系において定義される。
【0025】
フレーム101が好ましくは比較的小さい直径と大きい高さを備えて、厳しい空間制限に適合して要求される垂直ストロークを収容するように構成される。この設計制限は、伴われる部品、特にロボットフレーム101、線状ベアリング104及び駆動シャフト112、113の妥協した剛性をもたらす。同様に、リンク114、116及び118が細く且つ軽量であることで低プロファィル輪郭、高速度性能及び低パワー要求を達成する。これにより、リンクシェル、リンクペアリング及びケーブル駆動115、117が構造上の付加的な弾性源を与える。結果として、図2に示されるロボットマニピュレータ100の剛体ダイナミックスは、幾つかの位置依存且つ軽度に減衰化された振動モード(共振状態)に一本化される。これは、剛体マニピュレータのために開発された伝統的な制御技術に干渉するものである。
【0026】
1つの実施例において、図2に示される例示のロボットマニピュレータ100の制御に干渉する基底の大きさ及び最低固有(natural)周波数が次のようにまとめられる。
【0027】
【表1】
柔軟振動モードの存在は、図2におけるモータ108及び109による直接駆動のロボットアーム130の運動制御、とりわけ精確な軌跡追跡及び最小鎮静時間が要請される運動制御に影響を与える。この制御タスクには本発明の特徴を組み入れたオブザーバ−修正子システムが用いられ得る。本発明の特徴を組み入れてロボットマニピュレータ100に適用され得るオブザーバ−修正子システムの例示の実装例の単純化したブロック図が図4に示される。ここで次に示す命名を採用する。即ち、R及びTはエンド・エフェクタの極座標における指令軌跡を表し、θr1及びθr2はモータ108及び109の角度位置に変換された指令軌跡を表し、τ1及びτ2はモータ108及び109が作用するトルクを表し、θ1及びθ2はエンコーダ110及び111から得られる角度位置を表し、シンボル「・」及び「・・」は1次の時間微分及び2次の時間微分を各々表し、下付き文字「c」「o」及び「s」は、図1で用いられた命名に対応して用いられる。
【0028】
図4に示される例の場合、コントローラ14が単独で計算トルク技術の標準的な実装を用いた位置及び速度のフィードバックを動作せしめる。これは、モータ108及び109の各々に対する外乱オブザーバによるPD補償器により補われるロボットマニピュレータ100の剛体モデルを含む。位置測定値θ1,2がエンコーダ110、111からコントローラ14に直接フィードバックされつつ、図4に示されるオブザーバ−修正子編成から得られる合成速度信号
【0029】
【外1】
がコントローラ14にフィードバックされる。望ましくない振動モードに対応する速度信号の高次周波数成分及び測定雑音を増幅するのがコントローラ14の微分部であることから、このハイブリッド実装が選択される。生の速度信号
【0030】
【外2】
が数値微分部54におけるエンコーダ読み込みの数値差分により得られる。状態オブザーバ16がマニピュレータ100の剛体ダイナミックスを指定帯域幅内で追跡するように構成される。図4に示される例示の実施例において、修正子フィルタ18は、モータ108及び109の各々のために一対の2次のローパスフィルタを含む。全体の制御は、好ましくはデジタル方式で実現され、サンプリングレート1KHzで実行される。
【0031】
図2に示されるロボット100により実行される通常の動作は、放射状の運動(エンド・エフェクタ120が一定の角度方位Tで直線状に追跡する場合)と回転運動(エンド・エフェクタ120が一定の放射長Rで円弧状に追跡する場合)とを含む。必要ならば、これらの例示の運動は、より複雑且つなだらかな軌跡に合成又は混合されても良い。
【0032】
図4に示される例示の制御システムを用いて、図2に示される例示の試験ロボットマニピュレータの場合の本発明による制御システムの性能が、初期の0.2mの放射位置から0.7mの最終広がりに運動する単純な直線について試験される。その運動は45m/s3の加速度変化により制限される。対応する指令位置、速度及び加速度プロフィールが図5に示される。図4に示される試験実施例におけるPD補償器、状態オブザーバ及び修正子フィルタ18の制御パラメータの設定は次の如きである。
【0033】
【表2】
この実施例において、状態オブザーバ16及び修正子フィルタ18は、制御と干渉する最低共鳴周波数と識別される周波数22Hzにおいて近似的に70%の減衰を与える。
【0034】
図4の速度ループにおけるオブザーバ−修正子編成の効果は図6に示される。生の速度信号は、望ましくない高周波数成分により見た目にも汚染されている(細線)。その速度信号は、この動作モードにおいては通常普通のローパスフィルタとして働く修正子フィルタ18を通過し有意な位相遅延歪みを被り、コントローラ14にフィードバックされる(破線)。反対に、図4のオブザーバ−修正子システムにおいては、フィードバック信号が状態オブザーバ16において発生し、修正子フィルタ18がモデルの不完全性により生じる不可避な観測誤差を修正するのに用いられる(鎖線)。この実施例においては、その観測誤差は、主にモデルパラメータの不精確さ、粘性減衰及び乾燥摩擦の非モデル化効果とからなる寄与である。観測された速度
【0035】
【外3】
に修正子フィルタ18の出力
【0036】
【外4】
を合成することは、望ましくない高周波数成分を含まずに緊密に生の速度
【0037】
【外2】
を追従するきれいな(clean)合成フィードバック信号
【0038】
【外1】
を与える(太線)。該合成フィードバック信号
【0039】
【外1】
は、フィルタリング及び観測されただけの速度よりは実質的により小さい誤差を示している。
本発明のオブザーバ−修正子メカニズムにより達成される改善を定量化するために、図4に示される例示の実施例の制御性能が同等の通常制御アプローチとモータ追跡誤差の形で比較される。この場合に状態オブザーバ16は外されている。その生の速度信号
【0040】
【外2】
は、この動作モードでは普通のローパスフィルタとして働くフィルタ18を通過し、コントローラ14にフィードバックされる。この実施例の場合の制御パラメータは次のように示される。
【0041】
【表3】
これらの制御パラメータは、図4の完全なオブザーバ−修正子試験実施例の場合のパラメータと、PD補償器の帯域幅のパラメータをは除いて同一であるが、PD補償器の帯域幅の該パラメータは上記の表に示されるようなレベルにまで低減されていて、システム10の安定性と発振性の無い動作を確保している。モータ108、109の各実装における追跡誤差が表7において比較される。示されるように、該グラフは、通常の制御機構の追跡性能(細線)が、本発明のオブザーバ−修正子機構の追跡性能(太線)を実装することにより改善されることを示している。
【0042】
前述の記載は本発明を例示するだけのものであることが理解されるべきである。多様な変形及び改変が本発明から逸脱することなく当業者より考えられ得る。従って、本発明は、添付の請求項の記載の範囲にある全てのかかる変形、改変、変容を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴を組み入れたシステムの全体図である。
【図2】例示的な試験ロボット・マニピュレータの全体図である。
【図3】図2の試験ロボット・マニピュレータの平面図である。
【図4】本発明の特徴を組み入れたオブザーバ−修正子の例示的な試験実装ののブロック図である。
【図5a】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図5b】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図5c】図2及び図3に示される例示的なロボット・マニピュレータの試験動作における対応して指令される位置、速度及び加速度のプロファイルを示している図である。
【図6a】図4に示される例示的な実施例におけるモータの試験動作についての速度プロファイルを示している図である。
【図6b】図4に示される例示的な実施例におけるモータの試験動作についての速度プロファイルを示している図である。
【図7a】図4に示される試験動作におけるモータの追跡誤差を示している図である。
【図7b】図4に示される試験動作におけるモータの追跡誤差を示している図である。
【符号の簡単な説明】
10 システム
12 ダイナミック系(プラント)
14 コントローラ
16 状態オブザーバ
18 修正子フィルタ
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