JP2004505818A - コンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッド - Google Patents
コンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッド Download PDFInfo
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Abstract
高性能印刷用のインク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの(165)を有するコンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッド(150)。本発明は、プリントヘッドのスペースを効率的に用いることによって、コストを削減しながら高解像度かつ高速の印刷を可能にする、高性能の設計を提供する。特に、本発明のコンパクトで高性能なプリントヘッド(150)は、熱暴走等の問題を最小にしながらコンパクトなプリントヘッド(160)上に多数のインク滴発生器(165)を配置することができるようにする、熱効率のよい態様をいくつか含む。好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド(160)上のインク滴発生器の密度は、1平方ミリメートル当たりインク滴発生器10個よりも高く、コンパクトなプリントヘッド(160)は少なくとも350個のノズルを含む。インク滴発生器(165)は、少なくとも4つの互いに平行な列になるよう配置されている。それぞれの列は、隣接する列に対してスタガ配置されており(すなわち、ずらされており)、非スタガ配置よりも効果的な実効ピッチを提供する。本発明のインク滴発生器(165)は、高抵抗の抵抗器(580)と薄いパッシベーション(1034、1036)とを含み、熱効率を増大させる。12kHzを超える高い噴出周波数で熱効率のよいインク滴発生器(165)から低重量のインク滴を噴出することによって、さらなる熱制御が行われる。
【選択図】図6
【選択図】図6
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般的には熱インクジェット(TIJ)プリントヘッドに関し、より詳細には、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを有するコンパクトなモノクロのプリントヘッドを用いる、高性能印刷のシステムおよび方法に関する。
【0002】
(関連技術)
熱インクジェット(TIJ)プリンタは、コンピュータの分野において普及しており広く用いられている。これらのプリンタは、W. J. LloydおよびH. T. Taubによって、「Ink Jet Devices」、Chapter 13 of Output Hardcopy Devices (Ed. R. C. DurbeckおよびS. Sherr, San Diego: Academic Press,1988)、ならびに米国特許第4,490,728号および第4,313,684号において記載されている。インクジェットプリンタは、印刷媒体(紙等)にインクのみが当たるので、高品質の印刷を生成し、コンパクトで持ち運び可能であり、印刷が高速かつ静かである。
【0003】
インクジェットプリンタは、アレイの特定の規定した位置に個々のドット(または画素)からなるパターンを印刷することによって、印刷画像を生成する。直線のアレイにおける小さなドットとして都合よく視覚化される、このようなドット位置は、印刷しているパターンによって規定される。したがって、印刷動作は、ドット位置のパターンをインクのドットで満たすことであると考えることができる。
【0004】
インクジェットプリンタは、少量のインクを印刷媒体上に噴出することによってドットを印刷する。インク槽等のインク供給装置が、インク滴発生器にインクを供給する。インク滴発生器は、マイクロプロセッサその他のコントローラによって制御され、マイクロプロセッサによって命令されると、適当な時点でインク滴を噴出する。インク滴噴出のタイミングは、通常、印刷している画像の画素パターンに対応する。
【0005】
一般にインク滴発生器は、気化すなわち発射チャンバ内にある少量のインクを急速に加熱することによって、オリフィス(ノズル等)を通してインク滴を噴出する。インク滴の気化は通常、小型の薄膜(または発射)抵抗器等、電気ヒータを用いて行われる。インク滴の噴出は、選択した発射抵抗器に通電して、選択した発射チャンバ内にあるインクの薄い層を過熱することによって、行われる。この過熱によって、インクのその薄い層が爆発的に気化し、プリントヘッドの関連するノズルを通ってインク滴が噴出する。
【0006】
噴出したインク滴は、インク滴発生器を収容しているプリントヘッドアセンブリを支持する移動キャリッジアセンブリによって、印刷媒体上に配置される。キャリッジアセンブリは、印刷媒体表面の上方を横切り、印刷しているパターンに応じてプリントヘッドアセンブリを配置する。キャリッジアセンブリは、「走査軸」に沿ってプリントヘッドアセンブリと印刷媒体とを相対運動させる。一般的に、走査軸の方向は印刷媒体の幅と平行であり、キャリッジアセンブリを1回「走査」させるということは、キャリッジアセンブリがプリントヘッドアセンブリを1回、印刷媒体の幅をほぼ横切って移動させることを意味する。印刷媒体は通常、走査と走査との間で、「媒体(または紙)前進軸」に沿ってプリントヘッドに対して前進する。媒体前進軸は、走査軸と垂直である(そして一般的に、印刷媒体の長さに沿っている)。
【0007】
プリントヘッドアセンブリが走査軸に沿って動くにつれて、断続的な線でできた1本のスウォースが生成される。このような断続的な線が重なり合うことによって、印刷画像のテキストまたは画像としての外観が作り出される。媒体前進軸に沿ったこのような断続的な線の密度を、媒体前進軸に沿った印刷解像度と呼ぶことが多い。したがって、媒体前進軸における断続的な線の密度が高くなるほど、その軸に沿った印刷解像度も高くなる。
【0008】
媒体前進軸に沿った断続的な線の密度(したがって印刷解像度)は、プリントヘッド上のインク滴発生器の数を増やすことによって高くすることができる。このようにすると、印刷解像度が高くなり、印刷速度も上がる結果になる。さらに、いくつかの要因のため、プリントヘッドのサイズを大きくすることなくインク滴発生器の数を増やすことが望ましい。しかし、現在のプリントヘッド上の滴発生器の数を単に増やすだけでは、印刷動作中にプリントヘッドにおいて損失する熱量が非常に増大してしまう。このように熱損失が増大すると、望ましくないプリントヘッドの熱暴走が引き起こされる可能性がある。プリントヘッド上でこのような大きな熱暴走があると、プリントヘッドの動作に悪影響を与えてしまい、印刷品質の欠陥やプリントヘッドのサーマルシャットダウン、そしてプリントヘッド全体の故障までもが引き起こされる可能性がある。
【0009】
大きな熱暴走を回避するのに用いることができる技術のひとつに、プリントヘッドの速度を下げることがある。しかしこの技術では、プリントヘッド上により多くのインク滴発生器を設けることの長所がなくなってしまう。大きな熱暴走を回避するのに用いることができる別の技術は、プリントヘッドのサイズを大きくすることである。しかし、この技術の主な欠点は、プリントヘッドのサイズを大きくすることによって、印刷システムのコストが上昇してしまうことである。これは受け入れることができない。印刷システムの価格は急速に低下しており、プリントヘッドを大きくしてコストが上昇した印刷システムでは、市場競争力がないからである。したがって、有害な熱暴走をこうむらない、コンパクトでノズル数が多く高性能なプリントヘッドを提供する方法が必要とされている。
【0010】
(発明の概要)
上述の従来技術における限界を克服するために、かつ、本明細書を読み理解すれば明白になるその他の限界を克服するために、本発明は、高密度のインク滴発生器を有するコンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッドにおいて具体化される。本発明は、プリントヘッドのスペースを効率的に用いることによって、コストを削減しながら高解像度かつ高速の印刷を可能にする、高性能の設計を提供する。特に、本発明のコンパクトで高性能なプリントヘッドは、熱暴走等の問題を最小限にしながらコンパクトなプリントヘッド上に多数のインク滴発生器を配置することができるようにする、性能を向上させる態様をいくつか含む。
【0011】
本発明のコンパクトでモノクロのインクジェットプリントヘッドによって、高解像度かつ高速の印刷を含む高性能印刷が可能になる。特に、印刷解像度と速度とを上げるのに用いる技術のひとつは、インク滴発生器の数を増やし、他のインク滴発生器のグループに対してスタガ配置し、インク滴発生器を高周波数で動作させることである。この、高密度のスタガ配置は、プリントヘッドの実効解像度を上げるのに役立つ。本発明は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置した、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを含む。それぞれのインク滴発生器は、プリントヘッド基板内に形成された、インク供給装置に液通した薄膜構造であり、ノズルを含む。インク滴発生器にはインクが供給され、適当な時点で加熱され、関連するノズルから噴出される。
【0012】
好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド上のインク滴発生器の密度は、1平方ミリメートル当たりインク滴発生器10個よりも高く、コンパクトなプリントヘッドは少なくとも350個のノズルを含む。インク滴発生器(および対応するノズル)は、少なくとも3つの互いに平行な列になるよう配置されている。それぞれの列は、隣接する列に対してスタガ配置されており(すなわち、ずらされており)、非スタガ配置よりも効果的なピッチを提供する。
【0013】
本発明はまた、コンパクトなプリントヘッド上に高密度のインク滴発生器を配置することによって、そのような発生器を有するプリントヘッドに関連するコストを削減する。コンパクトな基板上に高密度のインク滴発生器を配置するのを容易にするために、本発明は、熱効率を改善する技術をいくつか含む。熱効率を改善する技術のひとつは、高抵抗の抵抗器と薄いパッシベーション層とを含む薄膜構造を有する、熱効率のよいインク滴発生器を設けることである。
【0014】
コンパクトなプリントヘッド上にインク滴発生器を高密度に配置することによって、持ち運び可能で低コストのパッケージでの高性能印刷が提供される。具体的には、熱効率のよいインク滴発生器を用い、コンパクトなプリントヘッドの非常に優れた熱制御を行うことによって、本発明は、高速、高解像度、かつ高品質の印刷を行うことができる。本発明はまた、本発明のコンパクトなインクジェットプリントヘッドを用いた高性能印刷の方法も含む。
【0015】
本発明の他の態様および利点とそのより完全な理解とは、以下の詳細な説明を、例として本発明の原理を説明する添付図面とともに読めば、明らかとなろう。さらに、本発明の範囲は、上記の発明の概要または下記の詳細な説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
【0016】
好ましい実施形態を説明する以下の説明および添付図面を参照すれば、本発明をさらに理解することができる。添付図面とともに好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、他の特徴および利点が明白になろう。添付図面は、例として本発明の原理を説明する。
【0017】
図面を通して、同じ参照番号は対応する部分を表す。
【0018】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の以下の説明において、添付図面を参照する。添付図面は、説明の一部を形成し、添付図面において、例示として具体的な例が示され、それによって本発明を実施することができる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、構造的変更を行ってもよいことが理解されなければならない。
【0019】
I.一般的概観
本発明は、インク滴発生器を高密度にスタガ配置した、コンパクトなモノクロのプリントヘッドにおいて具体化される。この配置によって、本発明で高解像度かつ高速の印刷が行われる。印刷システムの最適性能を達成するために、本発明のいくつかの態様が重要である。
【0020】
本発明の一態様は、ノズル数が多く高周波数で動作する、高解像度のプリントヘッドを用いることに関する。プリントヘッドの解像度(印刷したドキュメントの解像度ではなく)は、長さ1インチ(約25.4mm)当たりのノズル数に従って判定される。これは、媒体前進軸に整列する方向、そして走査プリントヘッドの場合には走査軸を横切る方向で測定される。例示的実施形態において、本発明のプリントヘッドのノズルアレイのサイズは1/3インチ(約8.5mm)であり、媒体前進軸に沿って測定する組合わせ解像度は1インチ当たり1200ドット(1200dpi)である。さらに、この例示的実施形態におけるプリントヘッドの動作周波数は、少なくとも12キロヘルツ(kHz)である。
【0021】
本発明のプリントヘッドは、インク滴発生器をスタガ配置したものを用いて、印刷品質、速度、および解像度を上げる。特に、複数のインク滴発生器が、複数の軸に沿って配置され、印刷媒体の同じ部分を横切って走査するよう媒体前進軸方向に配置されている。軸(または軸グループ)に沿った複数のインク滴発生器は中心線を有し、すべての軸グループの中心線は、媒体前進軸と平行であり、媒体前進軸を横切る方向に互いに間隔を置いて配置されている。それぞれの軸グループのノズルは、他の軸グループに対してスタガ配置されており、少なくとも3つの軸グループの組合わせ解像度(媒体前進軸に沿って測定)が、単一の軸グループの解像度の2倍よりも大きいようになっている。スタガ配置にすることで、媒体前進軸における実効ノズル密度を上げることにより、より少ないパスでより高解像度の印刷が提供され、高解像度で高速印刷を行う。本発明のプリントヘッドのさらなる詳細については、ヒューレット・パッカード社の事件整理番号第10992318−1号である、Joe Torgersonその他による、本願と同日に出願された「High−Performance, High−Density Ink Jet Printhead Having Multi−Mode Operation」という名称の、本願と同時係属の特許出願第 号において説明されている。
【0022】
例示的実施形態において、プリントヘッドは4つの軸グループを含む。この4つの軸グループの中心線は、互いに平行であり、中心線を横切る方向に互いに間隔を置いて配置されている。それぞれの軸グループの軸ピッチ(すなわち解像度)は、約300dpiである。本発明によるスタガ配置によって、4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチは1200dpiになる(媒体軸に沿って測定)。好ましくは、4つの軸グループの端は、1/300インチ(約84.7μm)以内に整列しており、この4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチが、1回の印刷走査中にカバーされるスウォースについて、端から端までで1200dpiになるようになっている。
【0023】
本発明の別の態様は、多数のノズルをスペース効率よくレイアウトしたものを用いて、プリントヘッドのサイズを最小にし、比較的低コストの印刷システムにおいてこのプリントヘッドを用いることができるようにすることを含む。スペース効率のよいこのレイアウトは、非常にコンパクトに配置された2つの中央インク供給スロットと、共通の接地リード線を有するインク滴発生器の基本要素とを有する、高アスペクト比の基板を含む。本発明のさらに別の態様は、エネルギー効率のよいインク滴発生器設計を含む。熱インピーダンスが比較的低い保護層を有する、比較的高抵抗の抵抗器を用いることによって、生成される滴当たりの基板に伝わる熱エネルギー量は最小になる。
【0024】
II.構造上の概観
図1は、本発明を組み込んだ印刷システム全体のブロック図である。印刷システム100は、印刷媒体102(紙であってもよい)上にインク等を印刷するのに用いることができる。印刷システム100は、印刷データを生成するホストシステム105(コンピュータやマイクロプロセッサ等)に結合している。印刷システム100は、コントローラ110、電源120、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、および複数のスイッチングデバイス135を含む。プリントヘッドアセンブリ150には、インク供給装置115が液通しており、プリントヘッドアセンブリ150に選択的にインクを供給する。印刷媒体搬送装置125は、印刷システム100に対して印刷媒体102(紙等)を動かす手段を提供する。同様に、キャリッジアセンブリ130はプリントヘッドアセンブリ150を支持し、印刷媒体102の上方の、コントローラ110が指示する特定の位置にプリントヘッドアセンブリ150を動かす手段を提供する。
【0025】
プリントヘッドアセンブリ150は、コンパクトなプリントヘッド構造160を含む。以下で詳細に説明するように、本発明のプリントヘッド構造160は、基板(図示せず)を含む複数のさまざまな層を含む。プリントヘッド基板は、例えばシリコン等のいかなる好適な材料(好ましくは熱膨張係数が小さい)でできている、単一のモノリシック基板であってよい。プリントヘッド構造160はまた、プリントヘッド基板内に形成した、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの165も含む。インク滴発生器を配置したもの165は熱効率のよい設計を含み、それによって、大きな熱暴走なしに、多数のインク滴発生器を比較的コンパクトなプリントヘッド基板上に配置することができる。さらに、インク滴発生器を配置したもの165はそれぞれ、プリントヘッドアセンブリ150からインク滴を噴出させる複数の素子を含む。コンパクトなプリントヘッド構造160はまた、スイッチングデバイス135にエネルギーを供給する電気的インターフェース170も含む。そしてスイッチングデバイス135は、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの165に電力を供給する。
【0026】
印刷システム100の動作中、電源120は、コントローラ110、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に、制御した電圧を供給する。さらに、コントローラ110がホストシステム105から印刷データを受け取り、そのデータを処理して、プリンタ制御情報と画像データとにする。処理したデータ、画像データ、ならびにその他静的および動的に生成したデータは、印刷システム100を効率的に制御するために、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に供給される。
【0027】
例示的印刷システム
図2は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを組み込んだ例示的印刷システムであり、説明の目的のためにのみ示す。図2に示すように、印刷システム200は、印刷媒体を保持するトレイ222を含む。印刷動作が開始すると、印刷媒体が、好ましくはシートフィーダ226を用いて、媒体前進軸227の方向にトレイ222から印刷システム200内へと搬送される。次にこの印刷媒体は、印刷システム200内でU字方向に搬送され、入ってきたときと逆方向に、出力トレイ228に向かって出る。直線の紙経路等の他の印刷媒体経路もまた用いてもよい。
【0028】
印刷媒体は、印刷システム200内に入ると印刷ゾーン230内で一時停止し、次に、本発明の少なくとも1つのプリントヘッドアセンブリ150を支持するキャリッジアセンブリ130が、走査軸234の方向に印刷媒体を横切って動き(すなわち走査し)、その上にインク滴のスウォースを印刷する。プリントヘッドアセンブリ150は、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。さらに、プリントヘッドアセンブリ150はインク供給装置115に結合している。インク供給装置115は、内蔵されたインク供給装置(内蔵されたインク槽等)であってもよい。または、プリントヘッドアセンブリ150は、柔軟性を有する管路を介して、インク供給装置115に液通していてもよい。さらなる選択肢としては、インク供給装置115は、プリントヘッドアセンブリ150とは別個であるかまたはプリントヘッドアセンブリ150から分離可能で、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されている、1つまたはそれよりも多いインク容器であってもよい。
【0029】
図3は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを支持する、図2の印刷システムの例示的キャリッジアセンブリを示す。キャリッジアセンブリ130は、プリントヘッドアセンブリ150を支持する走査キャリッジ320を含む。プリントヘッドアセンブリ150は、走査キャリッジ320に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。走査キャリッジ320にはコントローラ110が結合しており、プリントヘッドアセンブリ150に制御情報を提供する。
【0030】
走査キャリッジ320は、走査軸234の直線経路方向に沿って可動である。ステッパモータ等のキャリッジモータ350が、位置コントローラ354(コントローラ110と連絡している)からのコマンドに従って、走査軸234に沿って走査キャリッジ320を搬送する。位置コントローラ354にはメモリ358が設けられて、位置コントローラ354が走査軸234に沿った自らの位置を知ることができるようにしている。位置コントローラ354は、印刷媒体102をインクリメントに搬送するプラテンモータ362(ステッパモータ等)に結合している。印刷媒体102は、印刷媒体102とプラテン370との間に加えられる圧力によって動く。印刷システム200の電気的構成要素(キャリッジモータ350やプラテンモータ362等)を動かす電力、および、プリントヘッドアセンブリ150にインク滴を噴出させるエネルギーは、電源120が供給する。
【0031】
通常、印刷動作は、印刷媒体102をトレイ222から供給し、プラテンモータ362を、したがってプラテン370を媒体前進軸227の方向に回転させて印刷媒体102を印刷ゾーン230内へと搬送することによって行われる。印刷媒体102が印刷ゾーン230内に正確に配置されると、キャリッジモータ350が、印刷媒体102の上方に走査軸234に沿って走査キャリッジ320およびプリントヘッドアセンブリ150を配置して(すなわち走査して)印刷を行う。1回の走査または複数回の走査の後、印刷媒体102は、プラテンモータ362によって媒体前進軸227に沿ってインクリメントに移動し、それによって、印刷媒体102の他の領域が印刷ゾーン230内に配置される。走査キャリッジ320が再び印刷媒体102を横切って走査し、インク滴のさらなるスウォースを印刷する。このプロセスは、所望の印刷データが印刷媒体102上に印刷されるまで繰り返され、印刷された時点で、印刷媒体102は出力トレイ228内に排出される。
【0032】
III.プリントヘッドの構成
本発明のコンパクトなプリントヘッドは、高解像度の印刷を高速で行う、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを含む。インク滴発生器を高密度に配置したものは、熱効率のよい設計を含み、それによって高密度のインク滴発生器をコンパクトなプリントヘッド基板上に配置することができる。好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド基板のインク滴発生器の密度は、1平方ミリメートル当たりインク滴発生器約10個よりも高い。さらに、好ましい実施形態において、インク滴発生器は、少なくとも4つの軸に沿って各グループ(それぞれは、軸グループとして知られている)になるよう配置されており、それぞれの軸グループは複数のノズルを有する。それぞれの軸グループの複数のノズルの長さは約1/3インチであり、その結果、1平方ミリメートル当たり約12個のノズルを有することになる。本発明の熱効率のよいインク滴発生器は、高抵抗と薄いパッシベーションを有する熱効率のよい抵抗器構造を含む、薄膜構造である。
【0033】
本発明の別の態様は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置したインク滴発生器の数に関して少ない数の、プリントヘッドへの入力リード線を有することである。特に、インク滴発生器は、基本要素と呼ばれるグループになるよう配置されており、本発明において、プリンタからの接地接続の数は、基本要素の数よりも少ない。好ましい実施形態において、16個の基本要素に対して接地接続が4つある。さらに、別の態様は、小さい滴重量かつ高い噴出周波数で噴出されているインク滴を有することである。例えば好ましい実施形態において、インク滴は、インク滴重量が約15ナノグラムであり、12キロヘルツ(kHz)よりも高い噴出周波数で噴出される。
【0034】
図4は、本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図であり、説明の目的のためにのみ示す。図2のプリンタ200等の典型的な印刷システムとともに用いる典型的なプリントヘッドアセンブリを参照して、以下で本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、いかなるプリントヘッドおよびプリンタの構成に組み込んでもよい。図1および図2を図4とともに参照して、プリントヘッドアセンブリ150は、熱インクジェットヘッド装置402とプリントヘッド本体404とからなる。熱インクジェットヘッド装置402は、テープ自動ボンディング(TAB)アセンブリと通常呼ばれる柔軟性を有する材料であってもよく、相互接続パッド412を含んでいてもよい。相互接続パッド412は、例えば接着材料によって、プリントヘッドアセンブリ150(プリントカートリッジとも呼ばれる)に好適に固定される。接触パッド408は、キャリッジアセンブリ130上の電極(図示せず)に位置合わせされ、それと電気的に接触している。
【0035】
高性能のノズル配置
図5Aは、ノズルの配置を示す、本発明の例示的プリントヘッドの平面図である。図5Aは簡略図であるということが注意されるべきである。例えば、図示のノズルの数は、例示的なまたは意図する市販の実施形態よりも非常に少なくなっている。例示的プリントヘッド500は、複数のインク滴発生器を中に有するコンパクトな基板510、入力パッド515、およびオリフィス層520を含む。オリフィス層520は、複数のインク滴発生器に対応する複数のノズル530を含む。
【0036】
図5Aの例示的実施形態において、プリントヘッドの組合わせノズル解像度は、1インチ当たり約1200ドット(1200dpi)である。言い換えれば、プリントヘッドの組合わせ(すなわち実効)ピッチは、基準軸Lに沿って測定して1/1200インチ(約21.2μm)である。プリントヘッドのノズルはそれぞれ、12kHzを超えてもよい動作周波数で動作する。
【0037】
高印刷解像度を達成するために、図5Aに示す本発明の例示的プリントヘッドは、4つの軸グループ(図5Aにおいてグループ1〜4として示す)になるよう配置されたノズルを有する。軸グループはそれぞれ、他の軸グループの中心線および基準軸Lと略平行な中心線(図5Aに破線で示す)を有する。動作において、基準軸Lは媒体前進軸227に整列している。それぞれの軸グループは、基準軸Lに関して測定する軸ピッチPを有する。それぞれの軸グループのノズルは、他の軸グループのノズルに対して、および基準軸Lに対して、スタガ配置されている。図5Aに示すように、それぞれの軸グループはPという軸ピッチを有し、この4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチは、基準軸Lに対してP/4(すなわち、いずれかの単一の軸グループのピッチの1/4)である。さらに、グループ1とグループ3とを組み合わせて、P/2という実効ピッチを提供してもよい。同様に、グループ2とグループ4とを組み合わせて、P/2という実効ピッチを提供してもよい。この例示的実施形態において、それぞれの軸グループの軸ピッチPは1/300インチであるが、3つまたはそれよりも多くの軸グループをスタガ配置して解像度を上げるこの技術は、いかなる軸ピッチに適用してもよい。それぞれの軸グループのノズルを略同一直線上にあるものとして示すが、1つの軸グループのノズルのうちのいくつかは、その軸グループの中心線からわずかに外れていてもよいことに注意するべきである。これは例えば、発射遅延を補償する必要があるときに行われてもよい。
【0038】
図5Bは、オリフィス層を取り除いてインク滴発生器のスタガ配置を示した状態の、図5Aのプリントヘッドの一部の平面図を示す。具体的には、プリントヘッド500は、コンパクトな基板510上に配置したインク滴発生器540を含む。インク滴発生器540の上にあるノズル530は、グループ1、グループ2、グループ3、およびグループ4を含む軸グループになるよう配置されている。インク滴発生器の各軸グループは、基準軸Lに関して横方向に、互いに間隔を置いて配置されている。好ましい実施形態において、基準軸Lは媒体前進軸227と一直線をなしている。インク滴発生器の単一の軸グループは、印刷媒体の上方でのプリントヘッド500の単一のパスについて、1を軸ピッチで割ったもの(1/P)として定義される、ある軸解像度を有する。例示的実施形態において、軸解像度(1/P)は約300dpiである。このような、軸グループをスタガ配置したものを用いることによって、組み合わせた軸グループの実効解像度は、4つの軸グループすべてで動作するときには約4/Pに上がり、4つの軸グループのうちの適切に選択した2つで動作するときには約2/Pに上がる。
【0039】
ある特定の軸グループの軸ピッチ(P)は、基準軸L上に投影した、または基準軸Lに従って測定した、互いに最も近い2つのインク滴発生器同士の間の中心間距離に等しい。好ましい実施形態において、Pは1/300インチに略等しい。グループ1、2、3、および4は、いかなる最隣接の2つの軸グループについても、基準軸Lに沿って互いに対してP/4(すなわち、Pが1/300インチに略等しい場合には、1/1200インチ)だけスタガ配置されている。図5Bに示すように、これによって、P/4(例示的実施形態においては1/1200インチ)に等しい組合わせ中心間距離(同様に、基準軸Lに沿って測定)が提供される。この配置では、グループ1と3との組合わせ中心間距離(P13で表す)は、P/2、すなわち1/600インチ(約42.3μm)に等しい。グループ2と4との組合わせ中心間距離(P24で表す)もまた、P/2に等しい。この高密度のスタガ配置によって、本発明のプリントヘッドがコンパクトなプリントヘッド設計において高性能の印刷を行うことができる。
【0040】
図5Cは、プリントヘッド500のさまざまな層を示す、図5Aのプリントヘッド500の一部切欠き等角図である。プリントヘッド500はコンパクトなプリントヘッド基板510(シリコン等)を含み、その上にさまざまなデバイスおよび薄膜層が形成されている。プリントヘッド500はまた、バリアー層550の上に配置されたオリフィス層520も含む。バリアー層550は、基板510の上にある。基板510は、高密度にスタガ配置されたインク滴発生器を含む。インク滴発生器は、第1のインク供給スロット570の周りに配置された、グループ1内の第1の複数のインク滴発生器560と、グループ2内の第2の複数のインク滴発生器565とを含む。この例示的実施形態において、第2のインク供給スロット572が設けられ、それによって、グループ3とグループ4とが第2のインク供給スロット572の周りに配置される。オリフィス層520内にはノズル530が形成され、それぞれのノズル530の下にインク滴発生器があるように配置されている。第1のインク供給スロット570を通じてインクがインク滴発生器に供給され、インク滴発生器において、インクが加熱されノズル530を通って噴出される。
【0041】
オリフィス層520をバリアー層550に取り付けるのに、通常は積層プロセスが用いられる。図5Cはバリアー層550とオリフィス層520とを別個の層として示すが、代替実施形態においては、1つの一体化したバリアーおよびオリフィス層として形成することもできる。オリフィス層520とバリアー層550の両方が一緒になって、発射チャンバ575を形成している。発射チャンバ575において、抵抗器580がインクを加熱し、ついにはノズル530を通って液滴が吐出される。
【0042】
コンパクトで細長いプリントヘッド基板
本発明は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置した、インク滴発生器を高密度に配置したものを含む。プリントヘッドは細長い(すなわち幅の狭い)形状であり、好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド基板は、幅が約3ミリメートルで長さが約12ミリメートルの長方形である。このコンパクトなプリントヘッド基板上には、少なくとも350個のノズルが含まれており、好ましいノズルの数は416個である。好ましい実施形態において、その結果、1平方ミリメートル当たり約12個のノズルを有するコンパクトなプリントヘッドができる。
【0043】
プリントヘッド基板上に含まれるインク滴発生器は、少なくとも4つのスタガ列になるよう配置されたノズルからインクを噴出する。この列はそれぞれ104個のノズルを有し、ノズルの列はそれぞれ、長さが約1/3インチである。ノズルの4つの列は、2つの細長いインク供給スロットの周りに2つずつ配置されており、それぞれのインク供給スロットの幅は約200ミクロンである。好ましくは、インク供給スロットはそれぞれ、プリントヘッドの中心から約680ミクロンのところに配置されている。
【0044】
図6は、プリントヘッドのノズル層を取り除いてノズルの下にある抵抗器580のパターンが見えるようにした状態の、図5の例示的プリントヘッドの平面図である。本発明のノズルの下にはそれぞれ、対応する動作可能な抵抗器580がある。図6に示す抵抗器は、図を簡単にするために数を少なくしている。
【0045】
抵抗器580は、非常にコンパクトなプリントヘッド基板510上に配置されており、抵抗器の密度が、プリントヘッド基板510の1平方ミリメートル当たり少なくとも抵抗器10個であるようになっている。このように高密度に配置することによって、プリントヘッドのコストを、これよりも少ないノズルを有する多くの他のプリントヘッドよりも下げることができる。例示的実施形態において、プリントヘッド基板510の1平方ミリメートル当たり約12個の抵抗器がある。インク供給スロットのいかなる領域も、抵抗器の密度の計算に含まれていることに注意するべきである。
【0046】
図6に示すプリントヘッド基板510は細長いフォームファクタを有しており、基板510の長さは、基準軸Lに略整列している。好ましい実施形態において、幅が約3ミリメートル未満で長さが約12ミリメートル未満の基板510上に、少なくとも350個のインク滴発生器が配置されている。好ましい実施形態において、基板510は416個の抵抗器を含み、幅が約2.9ミリメートルで長さが約11.5ミリメートルである。
【0047】
プリントヘッド基板510は、第1のインク供給スロット570と第2のインク供給スロット572とを含む、2つの細長いインク供給スロットを有する。インク供給スロット570、572はそれぞれ、2つの軸グループ内の抵抗器580に、インク供給装置からインクを供給する。例えば、図6に示すように、第1のインク供給スロット570はグループ1、2内の抵抗器にインクを供給し、第2のインク供給スロット572は、グループ3、4内の抵抗器にインクを供給する。インク供給スロット570、572はそれぞれ、基準軸Lと略平行な中心線(図6に破線で示す)を有する。この中心線は、インク供給スロット570、572のそれぞれを、そのそれぞれの長さに沿って略均等に分割している。インク供給スロット570、572の中心線は、基準軸Lと略平行な方向に、互いに間隔を置いて互いから横方向に配置されている。インク供給スロット570、572はそれぞれ、スロットの長さに略等しい長手方向の縁を2つ有する。特に、第1のインク供給スロット570は、それに隣接してグループ1の抵抗器が配置されている、第1の長手方向の縁610と、それに隣接してグループ2の抵抗器が配置されている、第2の長手方向の縁620とを含む。同様に、第2のインク供給スロット572は、グループ3、4がそれぞれの縁に隣接する、第3の長手方向の縁630と第4の長手方向の縁640とを含む。
【0048】
プリントヘッド基板510の長さの両端には、それぞれの軸グループの抵抗器にエネルギーを供給する入力パッド515を有する端部がある。入力パッド515から送られている信号を、スイッチング回路(複数のトランジスタ等)が軸グループ内の抵抗器に結合する。この技術は、プリントヘッド基板510の幅を狭くするのに役立つ。
【0049】
抵抗器580はそれぞれ、抵抗器580に電流パルスを供給するスイッチング回路(電界効果トランジスタ(FET)等)に結合されている。これらのスイッチング回路については、以下に詳細に説明する。抵抗器580とそのそれぞれのスイッチング回路とは、基本要素と呼ばれるグループに分けて配置されている(図6において数字1〜16で示すように)。図6に示す例示的実施形態において、軸グループはそれぞれ、4つの基本要素に分けられている。好ましくは、基本要素はそれぞれ26個のノズルを有し、軸グループ当たり全部で104個のノズルがある。簡単のために、図6では基本要素当たり4個の抵抗器(および対応するインク滴発生器)しか示していないが、大部分のプリントヘッドの設計では、基本要素当たり10個よりも多い抵抗器(およびインク滴発生器)を有する傾向があることが理解される。
【0050】
低インク滴重量
好ましくは、インク滴発生器を高密度に配置したものは低重量のインク滴を用いる。低重量のインク滴は、高重量のインク滴を用いて達成されるよりも小さく、より精細な解像度の印刷を提供する。低重量のインク滴を、インク滴発生器の高密度のアレイとともに用いることによって、本発明では、高い印刷速度で印刷解像度が高くなる。好ましい実施形態において、本発明は、重量が約15ナノグラム(ng)であり、好ましくは14〜16ngの範囲である、ブラックのインク滴を用いる。
【0051】
高噴出周波数
一般的に、本発明の好ましい実施形態は、低重量のインク滴の使用を容易にしながらも高い印刷速度を維持するために、高い噴出周波数でインク滴発生器を動作させる。好ましくは、この噴出周波数はキロヘルツ(kHz)の範囲である。この高い噴出周波数を高密度のインク滴発生器のアレイと組み合わせることによって、高解像度での高速印刷が行われる。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明のインク滴発生器は、12kHzを超える噴出周波数を用いる。好ましい周波数範囲は約15〜18kHzであり、好ましい値は18kHzである。
【0053】
プリントヘッド回路
本発明は、高性能ではあるが経済的なプリントヘッドを含む。このプリントヘッドは、コンパクトな設計を用いてコストを削減し、熱効率をよくして、コンパクトなプリントヘッド基板上で高性能の設計を用いることができるようにしている。特に、プリントヘッドを熱効率よく設計することによって、熱暴走を最小限に抑えながら、コンパクトなプリントヘッド基板上に高密度のインク滴発生器を配置することができる。本発明が高性能ではあるがコンパクトな設計を可能にする方法のひとつに、プリントヘッド回路が関わっている。具体的には、プリントヘッド回路は、それぞれのインク滴発生器を動作させるのに必要な電力が低く、発生する熱エネルギーが最小になるように設計されている。
【0054】
技術のひとつは、特定の基本要素に基本要素電力リード線(その特定の基本要素に電力を供給する)を設けることを含む。基本要素電力リード線は、残りの基本要素それぞれの基本要素電力リード線それぞれとは別個に通電することができる。したがって、特定の基本要素内のそれぞれのスイッチング回路に関連する基本要素電力リード線すべてに、1つの特定の基本要素電力リード線が結合する。スイッチング回路がFETである好ましい実施形態において、特定の基本要素内のそれぞれのFETのソースまたはドレイン接続のそれぞれに、特定の基本要素選択リード線が結合する。
【0055】
本発明の別の技術は、別個に通電することができるゲートリード線に関する。ゲートリード線はそれぞれ、複数の基本要素のそれぞれの単一のスイッチングデバイスに結合している。ゲートリード線の数は、1〜Nである(ただしNは最大の基本要素における抵抗器の数である)。好ましい実施形態において、基本要素はそれぞれ26個の抵抗器を有し(N=26)、したがって26個のゲートリード線がある。スイッチングデバイスがFETである場合には、1つの基本要素内のFETそれぞれのゲートには、ゲートリード線のうちの1つが接続されている。特定のスイッチングデバイスが作動すると、電流パルスが基本要素電力リード線からスイッチング回路を通り、ヒータ抵抗器を通って流れ、帰線すなわち接地リード線を通って戻る。特定のスイッチングデバイスを作動させるために、そのスイッチングデバイスに関連するゲートリード線と基本要素電力リード線とを、同時に作動すなわち通電しなければならない。
【0056】
プリントヘッドの動作中、ゲートリード線が一度に1つずつ、順次作動する。その結果、1つの特定の基本要素内では、一度に作動することができるスイッチングデバイスは1つのみである。しかし、基本要素のうちのいくつかまたはすべてを同時に動作させることができる。それぞれのゲートリード線が、複数の基本要素の1つのスイッチングデバイスに接続されているからである。好ましい実施形態において、それぞれの基本要素は、26個のゲートリード線のそれぞれについて多くても1個のゲート接続を有する。印刷システムは、動作中にゲートリード線を通じて循環するので、1つの基本要素内では一度に1つのインク滴発生器しか動作できない。しかし、大部分のゲートリード線は基本要素間で共用されているので、複数の基本要素を同時に発射することができる。好ましい実施形態において、同時に動作することができる、走査軸において(すなわち、紙の軸を横切り、軸Lを横切って)重なり合っている基本要素が、少なくとも3つ、好ましくは4つある。これによって、単一の走査ではるかにより完璧により高解像度でカバーすることができる。
【0057】
図7は、図5Aに示すプリントヘッド500の、基本要素の電源引き回しの例示的実施形態である。特定の基本要素に対して、第1の端において対応する基本要素の接触パッドに結合している1本の基本要素電力リード線がある。この基本要素の接触パッドは、入力パッド515のうちの1つであり(図7においてP1〜P16で示す)、その特定の基本要素電力リード線に対応するスイッチングデバイスの縁に沿って結合している。例えば、図7に示すように、基本要素12は、第1の端において基本要素12の接触パッド710(入力パッド515の最上行の一番右側)として結合し、縁720に沿って基本要素11のスイッチングデバイス(図示せず)に結合した、基本要素電力リード線700を有する。例示的実施形態において、基本要素電力リード線はそれぞれ、その基本要素内のそれぞれのFETのソース接続かドレイン接続かのどちらかに接続している。このような接触パッド(P1〜P16)を用いて、プリントヘッド500上のそれぞれの基本要素に通電するのに必要なエネルギーを入力する。
【0058】
図8Aおよび図8Bは、本発明のプリントヘッド500の接地接続リード線の2つの実施形態を示す。前述のように、インク供給スロット570、572はそれぞれ、長手方向の縁を2つ有する。抵抗器の4つの軸グループのうちの1つが、それぞれの長手方向の縁に隣接している。入力パッド515の数を減らすために、2つ以上の基本要素が同じ接地接続リード線を共用している。図8Aの実施形態においても図8Bの実施形態においても、それぞれの軸グループの2つの端は共通に接続され、コンパクトなプリントヘッド基板510の両端に対して基板510の中央近くの抵抗器間の接地リード線の寄生抵抗の差を小さくしている。
【0059】
図8Aは、図5Aに示すプリントヘッド500の、接地接続リード線が単一である場合を示す例示的一実施形態である。本実施形態において、単一の接地接続リード線810を用いて、16個の基本要素すべてを接地接続している。したがって、16個の基本要素すべてが、単一の接地接続リード線によって接地接続される。または、図8Bは、図5Aに示すプリントヘッド500の、接地接続リード線が2つである場合を示す別の例示的実施形態である。この特定の実施形態においては、第1の接地接続リード線820と第2の接地接続リード線830とがある。2つの接地接続リード線820、830はそれぞれ、特定のインク供給スロットの周りの基本要素すべてを接地接続している。例えば、図8Bに示すように、第1の接地接続リード線820は、第1のインク供給スロット570の周りの基本要素を接地接続し、第2の接地接続リード線830は、第2のインク供給スロット572を取り囲む基本要素を接地接続している。
【0060】
熱効率のよい薄膜抵抗器構造
本発明のインク滴発生器はそれぞれ熱効率がよく、コンパクトなプリントヘッド基板上にインク滴発生器を高密度で詰め込むことができる。この熱効率を達成するために、インク滴発生器はそれぞれ、各抵抗器に必要な電力を低くする薄膜抵抗器構造を含む。特に本発明は、高抵抗の抵抗器を用いて、抵抗器に通電するのに必要な電力を少なくし、薄いパッシベーション層を用いて、寄生エネルギー消費のために消費してしまう入力電力を少なくする。どちらの抵抗器構造も、プリントヘッドの必要電力を少なくし、必要電力が多くなることによる熱エネルギーの大きな増加をなくすことによって、印刷システムにおける高周波数の印刷の連射の使用を容易にする。言い換えれば、必要電力を少なくすることによって、たとえ抵抗器が多くなってもプリントヘッドが用いる電力を少なくし、それによって、そのプリントヘッドがより低い温度で動作できるようにし、熱暴走を減らすことができる。
【0061】
特に、図9は、本発明の例示的インク滴発生器の一部切欠き斜視図である。インク滴発生器540は、コンパクトなプリントヘッド基板510の上に配置され、薄膜抵抗器構造580(図10Aおよび図10Bに、より詳細に示す)を含む。抵抗器構造580の上には、バリアー層550とオリフィス層520とがある。この2つについては、以下でさらに説明する。薄膜抵抗器構造580の頂部とバリアー層550およびオリフィス層520とが、発射チャンバを形成する。発射チャンバにおいて、抵抗器構造580によってインクが気化し、オリフィス(ノズル530等)を通って噴出される。好ましくは、オリフィスの直径は約10〜20ミクロンの範囲内であり、例示的値は約16ミクロンである。インク滴発生器540の構成要素および層はそれぞれ、別個に形成しても一体的に形成してもよく、このような構成要素および層を形成するさまざまな方法が当該技術分野において既知である。例えば、バリアー層550とオリフィス層520とは、別個に取り付けても一体的に形成してもよく、その後、下にあるコンパクトなプリントヘッド基板510に取り付けてもよい。
【0062】
熱暴走を減らすのに本発明が用いる技術のひとつは、発射抵抗器580の抵抗を高くすることによって、抵抗器580を発射するのに必要な電力を少なくし、接続トレースの抵抗(すなわち寄生抵抗)の全抵抗に対する比が下がるようにすることである。この抵抗比は、接続トレースにおいて消費する電力と直接関係し、「寄生電力損失」として知られている。抵抗器580はそれぞれ、抵抗器580をさまざまな電気接続に接続する接続トレースを有する。従来の設計においては、接続トレースの抵抗は発射抵抗器580の抵抗の1/3以上までであってもよい。この寄生電力損失によって、入力エネルギーの1/3までが接続トレース内で消費されてしまう可能性がある。本発明においては、寄生電力損失がさらに重要になる。抵抗器の密度(コンパクトなプリントヘッドの単位面積当たりの抵抗器の数)が高く、接続トレース用のスペースが少なく、全必要電力が多くなっているからである。
【0063】
本発明は、それぞれの発射抵抗器580の抵抗を高くし、それによって接続トレース内で消費される電力を少なくすることによって、寄生電力損失を低減する。好ましくは、それぞれの発射抵抗器580の抵抗は少なくとも70オームであり、好ましい値は100オームを超える。抵抗器580の厚さを薄くすることによって、または抵抗率の高い抵抗器材料を用いることによって、より高い抵抗を達成することができる。しかし、好ましい実施形態では、抵抗器の厚さと抵抗器材料の抵抗率とは変化せず、抵抗器経路の長さを長くしてより高い抵抗を得る。これは、抵抗器本体を複数のセグメントに分け、結合デバイスまたは導電リンクによってこれらのセグメント同士を直列に接続することによって達成される。この分割された抵抗器によって、発射抵抗器580の抵抗が高くなる。直列のセグメントのうちの前のセグメントに、それぞれのセグメントの抵抗が加わるからである。抵抗器の抵抗が高くなることによって、全抵抗も高くなり(接続トレースの抵抗をほぼ一定に保ちながら)、それによって寄生電力損失(トレース抵抗の全抵抗に対する比)が低減する。
【0064】
図10Aは、図9に示す発射抵抗器の平面図である。この例示的実施形態において、発射抵抗器580は、第1のセグメント1004と第2のセグメント1008とを含む。第1のセグメント1004と第2のセグメント1008とは、結合デバイスまたは導体1012によって直列接続されている。第1のセグメント1004に隣接して、電気信号を受け取る入力パッド1016が配置されており、第2のセグメント1008に隣接して、電気信号を送る出力パッド1020が配置されている。この好ましい実施形態において、電流制御装置1021を用いて、そうでなければ結合デバイス1012において発生してしまう電流の密集を低減する。この電流制御装置1021は、他の場合には結合デバイス1012を通る直線的な電流経路を阻止する。図10Aに示す例示的実施形態において、電流制御装置1021は、第1のセグメント1004と第2のセグメント1008との間の結合デバイス1012に形成したノッチ1021である。
【0065】
この例示的実施形態において、セグメント1004、1008はそれぞれ長さが約24ミクロンであり、幅が約13ミクロンである。これによって、全部で正方形が約4つということになり、それぞれの正方形の抵抗は約29オームであり、その結果全抵抗は130オームになる(接続トレースを含む)。好ましくは、寄生抵抗は約7〜8パーセントの範囲であり、これは約5ナノグラム(ng)のインク滴重量に適合している。または、少なくとも80オームの抵抗であれば、その結果、寄生抵抗は約12パーセントになる。対向するセグメント同士の間の間隙1022の幅は、約3ミクロンである。
【0066】
熱効率を改善するのに本発明が用いる別の技術は、薄膜抵抗器構造580上のパッシベーション層の熱抵抗を低くすることである。パッシベーション層が薄くなるということは、抵抗器に通電するのに必要なエネルギーが少なくなることを意味する。これは、インク滴発生器から消費されなければならない熱エネルギーが少なくなることを示し、その結果熱効率がよくなる。本発明は、パッシベーション層を薄くし、最小のエネルギー量で抵抗器580に通電してインク滴を噴出させることができるようにすることによって、これを達成する。好ましくは、このより薄いパッシベーション層で、抵抗器580に通電するのに必要なエネルギーは1.4マイクロジュール未満でよく、好ましいエネルギー範囲は、約0.8〜1.0マイクロジュールである。抵抗器580に通電するのに必要な電力はまた、トレース抵抗の全抵抗に対する比(寄生電力損失)の影響も受け、寄生電力損失がより低いということは、必要な電力が少ないということを一般的に意味する。本発明は、好ましくは、トレース抵抗の全抵抗に対する比が小さいこと(低い寄生電力損失)と薄いパッシベーション層との両方を用いることによって、プリントヘッド上の熱暴走を減らす。
【0067】
図10Bは、発射抵抗器580の薄膜構造を示す、図10Aの発射抵抗器の側面図である。図10Bは、図10Aに示す抵抗器580のA−A’線に沿った断面図である。この例示的実施形態において、抵抗器層1023はTaAlでできており、コンパクトなプリントヘッド基板510(好ましくはシリコンでできている)の上に配置されたPSG層1024およびFOX層1026の上にある。好ましい実施形態において、抵抗器層1023の厚さは約900オングストロームである。抵抗器層1023の一部の上には、AlSiCuからなる導体層1032がある。
【0068】
抵抗器層1023は、Si3N4からなる第1のパッシベーション層1034とSiCからなる第2のパッシベーション層1036とによって、損傷から保護されている。好ましい実施形態において、第1のパッシベーション層1034の厚さは2570オングストロームであり、第2のパッシベーション層1036の厚さは1280オングストロームである。第1のパッシベーション層1034と第2のパッシベーション層1036との組み合わせは、全パッシベーション層を構成する。好ましくは、全パッシベーション層の厚さは約5000オングストローム未満に保たれ、好ましい範囲は約3500〜4500オングストロームである。このパッシベーション層の厚さでは、抵抗器層1023に通電するのに必要なエネルギーは1.4マイクロジュール未満である。
【0069】
第2のパッシベーション層1036の上にはキャビテーション層1040がある。キャビテーション層1040は、抵抗器層1023とパッシベーション層1034、1036とを、インク滴のキャビテーションと崩壊とが原因の損傷から保護する。好ましくは、キャビテーション層1040は、厚さが3000オングストロームのタンタル(Ta)からなる。キャビテーション層1040の上には、バリアー層550(好ましくは厚さが約14ミクロン)とオリフィス層520(好ましくは厚さが約25ミクロン)とがある。キャビテーション層1040、バリアー層550、およびオリフィス層520が、発射チャンバ575を形成する。発射チャンバ575において、抵抗器層1023によってインクが気化し、オリフィス層520に形成したノズル530から噴出される。
【0070】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で行った。これは、網羅的であること、すなわち本発明を開示した厳密な形式に限定することは意図されない。上記開示に鑑みて、多くの変更および変形が可能である。本発明の範囲は、本発明のこの詳細な説明によってではなく、併記の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を組み込んだ印刷システム全体のブロック図である。
【図2】本発明のコンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを組み込んだ例示的印刷システムを示す図であり、説明の目的のためにのみ示す。
【図3】本発明のコンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを支持する、図2の印刷システムの例示的キャリッジアセンブリを示す図である。
【図4】本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図であり、説明の目的のためにのみ示す。
【図5A】ノズルの配置を示す、本発明の例示的プリントヘッドの平面図である。
【図5B】オリフィス層を取り除いてインク滴発生器のスタガ配置を示した状態の、図5Aのプリントヘッドの一部を示す平面図である。
【図5C】プリントヘッドのさまざまな層を示す、図5Aのプリントヘッドの一部切欠き等角図である。
【図6】プリントヘッドのノズル層を取り除いてノズルの下にある抵抗器のパターンが見えるようにした状態の、図5の例示的プリントヘッドの平面図である。
【図7】図5Aに示すプリントヘッド500の、基本要素の電源引き回しの例示的実施形態の図である。
【図8A】図5Aに示すプリントヘッドの、接地接続リード線が単一である場合を示す、例示的一実施形態の図である。
【図8B】図5Aに示すプリントヘッドの、接地接続リード線が2つである場合を示す、他の例示的実施形態の図である。
【図9】本発明の例示的インク滴発生器の一部切欠き斜視図である。
【図10A】図9に示す発射抵抗器の平面図である。
【図10B】発射抵抗器の薄膜構造を示す、図10Aの発射抵抗器の側面図である。
【符号の説明】
115:インク供給装置
150:プリントヘッドアセンブリ
160:プリントヘッド構造
165:インク滴発生器
560:第1の複数のインク滴発生器
565:第2の複数のインク滴発生器
580:抵抗器
(発明の分野)
本発明は一般的には熱インクジェット(TIJ)プリントヘッドに関し、より詳細には、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを有するコンパクトなモノクロのプリントヘッドを用いる、高性能印刷のシステムおよび方法に関する。
【0002】
(関連技術)
熱インクジェット(TIJ)プリンタは、コンピュータの分野において普及しており広く用いられている。これらのプリンタは、W. J. LloydおよびH. T. Taubによって、「Ink Jet Devices」、Chapter 13 of Output Hardcopy Devices (Ed. R. C. DurbeckおよびS. Sherr, San Diego: Academic Press,1988)、ならびに米国特許第4,490,728号および第4,313,684号において記載されている。インクジェットプリンタは、印刷媒体(紙等)にインクのみが当たるので、高品質の印刷を生成し、コンパクトで持ち運び可能であり、印刷が高速かつ静かである。
【0003】
インクジェットプリンタは、アレイの特定の規定した位置に個々のドット(または画素)からなるパターンを印刷することによって、印刷画像を生成する。直線のアレイにおける小さなドットとして都合よく視覚化される、このようなドット位置は、印刷しているパターンによって規定される。したがって、印刷動作は、ドット位置のパターンをインクのドットで満たすことであると考えることができる。
【0004】
インクジェットプリンタは、少量のインクを印刷媒体上に噴出することによってドットを印刷する。インク槽等のインク供給装置が、インク滴発生器にインクを供給する。インク滴発生器は、マイクロプロセッサその他のコントローラによって制御され、マイクロプロセッサによって命令されると、適当な時点でインク滴を噴出する。インク滴噴出のタイミングは、通常、印刷している画像の画素パターンに対応する。
【0005】
一般にインク滴発生器は、気化すなわち発射チャンバ内にある少量のインクを急速に加熱することによって、オリフィス(ノズル等)を通してインク滴を噴出する。インク滴の気化は通常、小型の薄膜(または発射)抵抗器等、電気ヒータを用いて行われる。インク滴の噴出は、選択した発射抵抗器に通電して、選択した発射チャンバ内にあるインクの薄い層を過熱することによって、行われる。この過熱によって、インクのその薄い層が爆発的に気化し、プリントヘッドの関連するノズルを通ってインク滴が噴出する。
【0006】
噴出したインク滴は、インク滴発生器を収容しているプリントヘッドアセンブリを支持する移動キャリッジアセンブリによって、印刷媒体上に配置される。キャリッジアセンブリは、印刷媒体表面の上方を横切り、印刷しているパターンに応じてプリントヘッドアセンブリを配置する。キャリッジアセンブリは、「走査軸」に沿ってプリントヘッドアセンブリと印刷媒体とを相対運動させる。一般的に、走査軸の方向は印刷媒体の幅と平行であり、キャリッジアセンブリを1回「走査」させるということは、キャリッジアセンブリがプリントヘッドアセンブリを1回、印刷媒体の幅をほぼ横切って移動させることを意味する。印刷媒体は通常、走査と走査との間で、「媒体(または紙)前進軸」に沿ってプリントヘッドに対して前進する。媒体前進軸は、走査軸と垂直である(そして一般的に、印刷媒体の長さに沿っている)。
【0007】
プリントヘッドアセンブリが走査軸に沿って動くにつれて、断続的な線でできた1本のスウォースが生成される。このような断続的な線が重なり合うことによって、印刷画像のテキストまたは画像としての外観が作り出される。媒体前進軸に沿ったこのような断続的な線の密度を、媒体前進軸に沿った印刷解像度と呼ぶことが多い。したがって、媒体前進軸における断続的な線の密度が高くなるほど、その軸に沿った印刷解像度も高くなる。
【0008】
媒体前進軸に沿った断続的な線の密度(したがって印刷解像度)は、プリントヘッド上のインク滴発生器の数を増やすことによって高くすることができる。このようにすると、印刷解像度が高くなり、印刷速度も上がる結果になる。さらに、いくつかの要因のため、プリントヘッドのサイズを大きくすることなくインク滴発生器の数を増やすことが望ましい。しかし、現在のプリントヘッド上の滴発生器の数を単に増やすだけでは、印刷動作中にプリントヘッドにおいて損失する熱量が非常に増大してしまう。このように熱損失が増大すると、望ましくないプリントヘッドの熱暴走が引き起こされる可能性がある。プリントヘッド上でこのような大きな熱暴走があると、プリントヘッドの動作に悪影響を与えてしまい、印刷品質の欠陥やプリントヘッドのサーマルシャットダウン、そしてプリントヘッド全体の故障までもが引き起こされる可能性がある。
【0009】
大きな熱暴走を回避するのに用いることができる技術のひとつに、プリントヘッドの速度を下げることがある。しかしこの技術では、プリントヘッド上により多くのインク滴発生器を設けることの長所がなくなってしまう。大きな熱暴走を回避するのに用いることができる別の技術は、プリントヘッドのサイズを大きくすることである。しかし、この技術の主な欠点は、プリントヘッドのサイズを大きくすることによって、印刷システムのコストが上昇してしまうことである。これは受け入れることができない。印刷システムの価格は急速に低下しており、プリントヘッドを大きくしてコストが上昇した印刷システムでは、市場競争力がないからである。したがって、有害な熱暴走をこうむらない、コンパクトでノズル数が多く高性能なプリントヘッドを提供する方法が必要とされている。
【0010】
(発明の概要)
上述の従来技術における限界を克服するために、かつ、本明細書を読み理解すれば明白になるその他の限界を克服するために、本発明は、高密度のインク滴発生器を有するコンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッドにおいて具体化される。本発明は、プリントヘッドのスペースを効率的に用いることによって、コストを削減しながら高解像度かつ高速の印刷を可能にする、高性能の設計を提供する。特に、本発明のコンパクトで高性能なプリントヘッドは、熱暴走等の問題を最小限にしながらコンパクトなプリントヘッド上に多数のインク滴発生器を配置することができるようにする、性能を向上させる態様をいくつか含む。
【0011】
本発明のコンパクトでモノクロのインクジェットプリントヘッドによって、高解像度かつ高速の印刷を含む高性能印刷が可能になる。特に、印刷解像度と速度とを上げるのに用いる技術のひとつは、インク滴発生器の数を増やし、他のインク滴発生器のグループに対してスタガ配置し、インク滴発生器を高周波数で動作させることである。この、高密度のスタガ配置は、プリントヘッドの実効解像度を上げるのに役立つ。本発明は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置した、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを含む。それぞれのインク滴発生器は、プリントヘッド基板内に形成された、インク供給装置に液通した薄膜構造であり、ノズルを含む。インク滴発生器にはインクが供給され、適当な時点で加熱され、関連するノズルから噴出される。
【0012】
好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド上のインク滴発生器の密度は、1平方ミリメートル当たりインク滴発生器10個よりも高く、コンパクトなプリントヘッドは少なくとも350個のノズルを含む。インク滴発生器(および対応するノズル)は、少なくとも3つの互いに平行な列になるよう配置されている。それぞれの列は、隣接する列に対してスタガ配置されており(すなわち、ずらされており)、非スタガ配置よりも効果的なピッチを提供する。
【0013】
本発明はまた、コンパクトなプリントヘッド上に高密度のインク滴発生器を配置することによって、そのような発生器を有するプリントヘッドに関連するコストを削減する。コンパクトな基板上に高密度のインク滴発生器を配置するのを容易にするために、本発明は、熱効率を改善する技術をいくつか含む。熱効率を改善する技術のひとつは、高抵抗の抵抗器と薄いパッシベーション層とを含む薄膜構造を有する、熱効率のよいインク滴発生器を設けることである。
【0014】
コンパクトなプリントヘッド上にインク滴発生器を高密度に配置することによって、持ち運び可能で低コストのパッケージでの高性能印刷が提供される。具体的には、熱効率のよいインク滴発生器を用い、コンパクトなプリントヘッドの非常に優れた熱制御を行うことによって、本発明は、高速、高解像度、かつ高品質の印刷を行うことができる。本発明はまた、本発明のコンパクトなインクジェットプリントヘッドを用いた高性能印刷の方法も含む。
【0015】
本発明の他の態様および利点とそのより完全な理解とは、以下の詳細な説明を、例として本発明の原理を説明する添付図面とともに読めば、明らかとなろう。さらに、本発明の範囲は、上記の発明の概要または下記の詳細な説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
【0016】
好ましい実施形態を説明する以下の説明および添付図面を参照すれば、本発明をさらに理解することができる。添付図面とともに好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、他の特徴および利点が明白になろう。添付図面は、例として本発明の原理を説明する。
【0017】
図面を通して、同じ参照番号は対応する部分を表す。
【0018】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の以下の説明において、添付図面を参照する。添付図面は、説明の一部を形成し、添付図面において、例示として具体的な例が示され、それによって本発明を実施することができる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、構造的変更を行ってもよいことが理解されなければならない。
【0019】
I.一般的概観
本発明は、インク滴発生器を高密度にスタガ配置した、コンパクトなモノクロのプリントヘッドにおいて具体化される。この配置によって、本発明で高解像度かつ高速の印刷が行われる。印刷システムの最適性能を達成するために、本発明のいくつかの態様が重要である。
【0020】
本発明の一態様は、ノズル数が多く高周波数で動作する、高解像度のプリントヘッドを用いることに関する。プリントヘッドの解像度(印刷したドキュメントの解像度ではなく)は、長さ1インチ(約25.4mm)当たりのノズル数に従って判定される。これは、媒体前進軸に整列する方向、そして走査プリントヘッドの場合には走査軸を横切る方向で測定される。例示的実施形態において、本発明のプリントヘッドのノズルアレイのサイズは1/3インチ(約8.5mm)であり、媒体前進軸に沿って測定する組合わせ解像度は1インチ当たり1200ドット(1200dpi)である。さらに、この例示的実施形態におけるプリントヘッドの動作周波数は、少なくとも12キロヘルツ(kHz)である。
【0021】
本発明のプリントヘッドは、インク滴発生器をスタガ配置したものを用いて、印刷品質、速度、および解像度を上げる。特に、複数のインク滴発生器が、複数の軸に沿って配置され、印刷媒体の同じ部分を横切って走査するよう媒体前進軸方向に配置されている。軸(または軸グループ)に沿った複数のインク滴発生器は中心線を有し、すべての軸グループの中心線は、媒体前進軸と平行であり、媒体前進軸を横切る方向に互いに間隔を置いて配置されている。それぞれの軸グループのノズルは、他の軸グループに対してスタガ配置されており、少なくとも3つの軸グループの組合わせ解像度(媒体前進軸に沿って測定)が、単一の軸グループの解像度の2倍よりも大きいようになっている。スタガ配置にすることで、媒体前進軸における実効ノズル密度を上げることにより、より少ないパスでより高解像度の印刷が提供され、高解像度で高速印刷を行う。本発明のプリントヘッドのさらなる詳細については、ヒューレット・パッカード社の事件整理番号第10992318−1号である、Joe Torgersonその他による、本願と同日に出願された「High−Performance, High−Density Ink Jet Printhead Having Multi−Mode Operation」という名称の、本願と同時係属の特許出願第 号において説明されている。
【0022】
例示的実施形態において、プリントヘッドは4つの軸グループを含む。この4つの軸グループの中心線は、互いに平行であり、中心線を横切る方向に互いに間隔を置いて配置されている。それぞれの軸グループの軸ピッチ(すなわち解像度)は、約300dpiである。本発明によるスタガ配置によって、4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチは1200dpiになる(媒体軸に沿って測定)。好ましくは、4つの軸グループの端は、1/300インチ(約84.7μm)以内に整列しており、この4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチが、1回の印刷走査中にカバーされるスウォースについて、端から端までで1200dpiになるようになっている。
【0023】
本発明の別の態様は、多数のノズルをスペース効率よくレイアウトしたものを用いて、プリントヘッドのサイズを最小にし、比較的低コストの印刷システムにおいてこのプリントヘッドを用いることができるようにすることを含む。スペース効率のよいこのレイアウトは、非常にコンパクトに配置された2つの中央インク供給スロットと、共通の接地リード線を有するインク滴発生器の基本要素とを有する、高アスペクト比の基板を含む。本発明のさらに別の態様は、エネルギー効率のよいインク滴発生器設計を含む。熱インピーダンスが比較的低い保護層を有する、比較的高抵抗の抵抗器を用いることによって、生成される滴当たりの基板に伝わる熱エネルギー量は最小になる。
【0024】
II.構造上の概観
図1は、本発明を組み込んだ印刷システム全体のブロック図である。印刷システム100は、印刷媒体102(紙であってもよい)上にインク等を印刷するのに用いることができる。印刷システム100は、印刷データを生成するホストシステム105(コンピュータやマイクロプロセッサ等)に結合している。印刷システム100は、コントローラ110、電源120、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、および複数のスイッチングデバイス135を含む。プリントヘッドアセンブリ150には、インク供給装置115が液通しており、プリントヘッドアセンブリ150に選択的にインクを供給する。印刷媒体搬送装置125は、印刷システム100に対して印刷媒体102(紙等)を動かす手段を提供する。同様に、キャリッジアセンブリ130はプリントヘッドアセンブリ150を支持し、印刷媒体102の上方の、コントローラ110が指示する特定の位置にプリントヘッドアセンブリ150を動かす手段を提供する。
【0025】
プリントヘッドアセンブリ150は、コンパクトなプリントヘッド構造160を含む。以下で詳細に説明するように、本発明のプリントヘッド構造160は、基板(図示せず)を含む複数のさまざまな層を含む。プリントヘッド基板は、例えばシリコン等のいかなる好適な材料(好ましくは熱膨張係数が小さい)でできている、単一のモノリシック基板であってよい。プリントヘッド構造160はまた、プリントヘッド基板内に形成した、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの165も含む。インク滴発生器を配置したもの165は熱効率のよい設計を含み、それによって、大きな熱暴走なしに、多数のインク滴発生器を比較的コンパクトなプリントヘッド基板上に配置することができる。さらに、インク滴発生器を配置したもの165はそれぞれ、プリントヘッドアセンブリ150からインク滴を噴出させる複数の素子を含む。コンパクトなプリントヘッド構造160はまた、スイッチングデバイス135にエネルギーを供給する電気的インターフェース170も含む。そしてスイッチングデバイス135は、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したもの165に電力を供給する。
【0026】
印刷システム100の動作中、電源120は、コントローラ110、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に、制御した電圧を供給する。さらに、コントローラ110がホストシステム105から印刷データを受け取り、そのデータを処理して、プリンタ制御情報と画像データとにする。処理したデータ、画像データ、ならびにその他静的および動的に生成したデータは、印刷システム100を効率的に制御するために、印刷媒体搬送装置125、キャリッジアセンブリ130、およびプリントヘッドアセンブリ150に供給される。
【0027】
例示的印刷システム
図2は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを組み込んだ例示的印刷システムであり、説明の目的のためにのみ示す。図2に示すように、印刷システム200は、印刷媒体を保持するトレイ222を含む。印刷動作が開始すると、印刷媒体が、好ましくはシートフィーダ226を用いて、媒体前進軸227の方向にトレイ222から印刷システム200内へと搬送される。次にこの印刷媒体は、印刷システム200内でU字方向に搬送され、入ってきたときと逆方向に、出力トレイ228に向かって出る。直線の紙経路等の他の印刷媒体経路もまた用いてもよい。
【0028】
印刷媒体は、印刷システム200内に入ると印刷ゾーン230内で一時停止し、次に、本発明の少なくとも1つのプリントヘッドアセンブリ150を支持するキャリッジアセンブリ130が、走査軸234の方向に印刷媒体を横切って動き(すなわち走査し)、その上にインク滴のスウォースを印刷する。プリントヘッドアセンブリ150は、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。さらに、プリントヘッドアセンブリ150はインク供給装置115に結合している。インク供給装置115は、内蔵されたインク供給装置(内蔵されたインク槽等)であってもよい。または、プリントヘッドアセンブリ150は、柔軟性を有する管路を介して、インク供給装置115に液通していてもよい。さらなる選択肢としては、インク供給装置115は、プリントヘッドアセンブリ150とは別個であるかまたはプリントヘッドアセンブリ150から分離可能で、キャリッジアセンブリ130に取外し可能に搭載されている、1つまたはそれよりも多いインク容器であってもよい。
【0029】
図3は、本発明の高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを支持する、図2の印刷システムの例示的キャリッジアセンブリを示す。キャリッジアセンブリ130は、プリントヘッドアセンブリ150を支持する走査キャリッジ320を含む。プリントヘッドアセンブリ150は、走査キャリッジ320に取外し可能に搭載されていても、永久的に搭載されていてもよい。走査キャリッジ320にはコントローラ110が結合しており、プリントヘッドアセンブリ150に制御情報を提供する。
【0030】
走査キャリッジ320は、走査軸234の直線経路方向に沿って可動である。ステッパモータ等のキャリッジモータ350が、位置コントローラ354(コントローラ110と連絡している)からのコマンドに従って、走査軸234に沿って走査キャリッジ320を搬送する。位置コントローラ354にはメモリ358が設けられて、位置コントローラ354が走査軸234に沿った自らの位置を知ることができるようにしている。位置コントローラ354は、印刷媒体102をインクリメントに搬送するプラテンモータ362(ステッパモータ等)に結合している。印刷媒体102は、印刷媒体102とプラテン370との間に加えられる圧力によって動く。印刷システム200の電気的構成要素(キャリッジモータ350やプラテンモータ362等)を動かす電力、および、プリントヘッドアセンブリ150にインク滴を噴出させるエネルギーは、電源120が供給する。
【0031】
通常、印刷動作は、印刷媒体102をトレイ222から供給し、プラテンモータ362を、したがってプラテン370を媒体前進軸227の方向に回転させて印刷媒体102を印刷ゾーン230内へと搬送することによって行われる。印刷媒体102が印刷ゾーン230内に正確に配置されると、キャリッジモータ350が、印刷媒体102の上方に走査軸234に沿って走査キャリッジ320およびプリントヘッドアセンブリ150を配置して(すなわち走査して)印刷を行う。1回の走査または複数回の走査の後、印刷媒体102は、プラテンモータ362によって媒体前進軸227に沿ってインクリメントに移動し、それによって、印刷媒体102の他の領域が印刷ゾーン230内に配置される。走査キャリッジ320が再び印刷媒体102を横切って走査し、インク滴のさらなるスウォースを印刷する。このプロセスは、所望の印刷データが印刷媒体102上に印刷されるまで繰り返され、印刷された時点で、印刷媒体102は出力トレイ228内に排出される。
【0032】
III.プリントヘッドの構成
本発明のコンパクトなプリントヘッドは、高解像度の印刷を高速で行う、インク滴発生器を高密度にスタガ配置したものを含む。インク滴発生器を高密度に配置したものは、熱効率のよい設計を含み、それによって高密度のインク滴発生器をコンパクトなプリントヘッド基板上に配置することができる。好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド基板のインク滴発生器の密度は、1平方ミリメートル当たりインク滴発生器約10個よりも高い。さらに、好ましい実施形態において、インク滴発生器は、少なくとも4つの軸に沿って各グループ(それぞれは、軸グループとして知られている)になるよう配置されており、それぞれの軸グループは複数のノズルを有する。それぞれの軸グループの複数のノズルの長さは約1/3インチであり、その結果、1平方ミリメートル当たり約12個のノズルを有することになる。本発明の熱効率のよいインク滴発生器は、高抵抗と薄いパッシベーションを有する熱効率のよい抵抗器構造を含む、薄膜構造である。
【0033】
本発明の別の態様は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置したインク滴発生器の数に関して少ない数の、プリントヘッドへの入力リード線を有することである。特に、インク滴発生器は、基本要素と呼ばれるグループになるよう配置されており、本発明において、プリンタからの接地接続の数は、基本要素の数よりも少ない。好ましい実施形態において、16個の基本要素に対して接地接続が4つある。さらに、別の態様は、小さい滴重量かつ高い噴出周波数で噴出されているインク滴を有することである。例えば好ましい実施形態において、インク滴は、インク滴重量が約15ナノグラムであり、12キロヘルツ(kHz)よりも高い噴出周波数で噴出される。
【0034】
図4は、本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図であり、説明の目的のためにのみ示す。図2のプリンタ200等の典型的な印刷システムとともに用いる典型的なプリントヘッドアセンブリを参照して、以下で本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、いかなるプリントヘッドおよびプリンタの構成に組み込んでもよい。図1および図2を図4とともに参照して、プリントヘッドアセンブリ150は、熱インクジェットヘッド装置402とプリントヘッド本体404とからなる。熱インクジェットヘッド装置402は、テープ自動ボンディング(TAB)アセンブリと通常呼ばれる柔軟性を有する材料であってもよく、相互接続パッド412を含んでいてもよい。相互接続パッド412は、例えば接着材料によって、プリントヘッドアセンブリ150(プリントカートリッジとも呼ばれる)に好適に固定される。接触パッド408は、キャリッジアセンブリ130上の電極(図示せず)に位置合わせされ、それと電気的に接触している。
【0035】
高性能のノズル配置
図5Aは、ノズルの配置を示す、本発明の例示的プリントヘッドの平面図である。図5Aは簡略図であるということが注意されるべきである。例えば、図示のノズルの数は、例示的なまたは意図する市販の実施形態よりも非常に少なくなっている。例示的プリントヘッド500は、複数のインク滴発生器を中に有するコンパクトな基板510、入力パッド515、およびオリフィス層520を含む。オリフィス層520は、複数のインク滴発生器に対応する複数のノズル530を含む。
【0036】
図5Aの例示的実施形態において、プリントヘッドの組合わせノズル解像度は、1インチ当たり約1200ドット(1200dpi)である。言い換えれば、プリントヘッドの組合わせ(すなわち実効)ピッチは、基準軸Lに沿って測定して1/1200インチ(約21.2μm)である。プリントヘッドのノズルはそれぞれ、12kHzを超えてもよい動作周波数で動作する。
【0037】
高印刷解像度を達成するために、図5Aに示す本発明の例示的プリントヘッドは、4つの軸グループ(図5Aにおいてグループ1〜4として示す)になるよう配置されたノズルを有する。軸グループはそれぞれ、他の軸グループの中心線および基準軸Lと略平行な中心線(図5Aに破線で示す)を有する。動作において、基準軸Lは媒体前進軸227に整列している。それぞれの軸グループは、基準軸Lに関して測定する軸ピッチPを有する。それぞれの軸グループのノズルは、他の軸グループのノズルに対して、および基準軸Lに対して、スタガ配置されている。図5Aに示すように、それぞれの軸グループはPという軸ピッチを有し、この4つの軸グループをすべて組み合わせたものの実効ピッチは、基準軸Lに対してP/4(すなわち、いずれかの単一の軸グループのピッチの1/4)である。さらに、グループ1とグループ3とを組み合わせて、P/2という実効ピッチを提供してもよい。同様に、グループ2とグループ4とを組み合わせて、P/2という実効ピッチを提供してもよい。この例示的実施形態において、それぞれの軸グループの軸ピッチPは1/300インチであるが、3つまたはそれよりも多くの軸グループをスタガ配置して解像度を上げるこの技術は、いかなる軸ピッチに適用してもよい。それぞれの軸グループのノズルを略同一直線上にあるものとして示すが、1つの軸グループのノズルのうちのいくつかは、その軸グループの中心線からわずかに外れていてもよいことに注意するべきである。これは例えば、発射遅延を補償する必要があるときに行われてもよい。
【0038】
図5Bは、オリフィス層を取り除いてインク滴発生器のスタガ配置を示した状態の、図5Aのプリントヘッドの一部の平面図を示す。具体的には、プリントヘッド500は、コンパクトな基板510上に配置したインク滴発生器540を含む。インク滴発生器540の上にあるノズル530は、グループ1、グループ2、グループ3、およびグループ4を含む軸グループになるよう配置されている。インク滴発生器の各軸グループは、基準軸Lに関して横方向に、互いに間隔を置いて配置されている。好ましい実施形態において、基準軸Lは媒体前進軸227と一直線をなしている。インク滴発生器の単一の軸グループは、印刷媒体の上方でのプリントヘッド500の単一のパスについて、1を軸ピッチで割ったもの(1/P)として定義される、ある軸解像度を有する。例示的実施形態において、軸解像度(1/P)は約300dpiである。このような、軸グループをスタガ配置したものを用いることによって、組み合わせた軸グループの実効解像度は、4つの軸グループすべてで動作するときには約4/Pに上がり、4つの軸グループのうちの適切に選択した2つで動作するときには約2/Pに上がる。
【0039】
ある特定の軸グループの軸ピッチ(P)は、基準軸L上に投影した、または基準軸Lに従って測定した、互いに最も近い2つのインク滴発生器同士の間の中心間距離に等しい。好ましい実施形態において、Pは1/300インチに略等しい。グループ1、2、3、および4は、いかなる最隣接の2つの軸グループについても、基準軸Lに沿って互いに対してP/4(すなわち、Pが1/300インチに略等しい場合には、1/1200インチ)だけスタガ配置されている。図5Bに示すように、これによって、P/4(例示的実施形態においては1/1200インチ)に等しい組合わせ中心間距離(同様に、基準軸Lに沿って測定)が提供される。この配置では、グループ1と3との組合わせ中心間距離(P13で表す)は、P/2、すなわち1/600インチ(約42.3μm)に等しい。グループ2と4との組合わせ中心間距離(P24で表す)もまた、P/2に等しい。この高密度のスタガ配置によって、本発明のプリントヘッドがコンパクトなプリントヘッド設計において高性能の印刷を行うことができる。
【0040】
図5Cは、プリントヘッド500のさまざまな層を示す、図5Aのプリントヘッド500の一部切欠き等角図である。プリントヘッド500はコンパクトなプリントヘッド基板510(シリコン等)を含み、その上にさまざまなデバイスおよび薄膜層が形成されている。プリントヘッド500はまた、バリアー層550の上に配置されたオリフィス層520も含む。バリアー層550は、基板510の上にある。基板510は、高密度にスタガ配置されたインク滴発生器を含む。インク滴発生器は、第1のインク供給スロット570の周りに配置された、グループ1内の第1の複数のインク滴発生器560と、グループ2内の第2の複数のインク滴発生器565とを含む。この例示的実施形態において、第2のインク供給スロット572が設けられ、それによって、グループ3とグループ4とが第2のインク供給スロット572の周りに配置される。オリフィス層520内にはノズル530が形成され、それぞれのノズル530の下にインク滴発生器があるように配置されている。第1のインク供給スロット570を通じてインクがインク滴発生器に供給され、インク滴発生器において、インクが加熱されノズル530を通って噴出される。
【0041】
オリフィス層520をバリアー層550に取り付けるのに、通常は積層プロセスが用いられる。図5Cはバリアー層550とオリフィス層520とを別個の層として示すが、代替実施形態においては、1つの一体化したバリアーおよびオリフィス層として形成することもできる。オリフィス層520とバリアー層550の両方が一緒になって、発射チャンバ575を形成している。発射チャンバ575において、抵抗器580がインクを加熱し、ついにはノズル530を通って液滴が吐出される。
【0042】
コンパクトで細長いプリントヘッド基板
本発明は、コンパクトなプリントヘッド基板上に配置した、インク滴発生器を高密度に配置したものを含む。プリントヘッドは細長い(すなわち幅の狭い)形状であり、好ましい実施形態において、コンパクトなプリントヘッド基板は、幅が約3ミリメートルで長さが約12ミリメートルの長方形である。このコンパクトなプリントヘッド基板上には、少なくとも350個のノズルが含まれており、好ましいノズルの数は416個である。好ましい実施形態において、その結果、1平方ミリメートル当たり約12個のノズルを有するコンパクトなプリントヘッドができる。
【0043】
プリントヘッド基板上に含まれるインク滴発生器は、少なくとも4つのスタガ列になるよう配置されたノズルからインクを噴出する。この列はそれぞれ104個のノズルを有し、ノズルの列はそれぞれ、長さが約1/3インチである。ノズルの4つの列は、2つの細長いインク供給スロットの周りに2つずつ配置されており、それぞれのインク供給スロットの幅は約200ミクロンである。好ましくは、インク供給スロットはそれぞれ、プリントヘッドの中心から約680ミクロンのところに配置されている。
【0044】
図6は、プリントヘッドのノズル層を取り除いてノズルの下にある抵抗器580のパターンが見えるようにした状態の、図5の例示的プリントヘッドの平面図である。本発明のノズルの下にはそれぞれ、対応する動作可能な抵抗器580がある。図6に示す抵抗器は、図を簡単にするために数を少なくしている。
【0045】
抵抗器580は、非常にコンパクトなプリントヘッド基板510上に配置されており、抵抗器の密度が、プリントヘッド基板510の1平方ミリメートル当たり少なくとも抵抗器10個であるようになっている。このように高密度に配置することによって、プリントヘッドのコストを、これよりも少ないノズルを有する多くの他のプリントヘッドよりも下げることができる。例示的実施形態において、プリントヘッド基板510の1平方ミリメートル当たり約12個の抵抗器がある。インク供給スロットのいかなる領域も、抵抗器の密度の計算に含まれていることに注意するべきである。
【0046】
図6に示すプリントヘッド基板510は細長いフォームファクタを有しており、基板510の長さは、基準軸Lに略整列している。好ましい実施形態において、幅が約3ミリメートル未満で長さが約12ミリメートル未満の基板510上に、少なくとも350個のインク滴発生器が配置されている。好ましい実施形態において、基板510は416個の抵抗器を含み、幅が約2.9ミリメートルで長さが約11.5ミリメートルである。
【0047】
プリントヘッド基板510は、第1のインク供給スロット570と第2のインク供給スロット572とを含む、2つの細長いインク供給スロットを有する。インク供給スロット570、572はそれぞれ、2つの軸グループ内の抵抗器580に、インク供給装置からインクを供給する。例えば、図6に示すように、第1のインク供給スロット570はグループ1、2内の抵抗器にインクを供給し、第2のインク供給スロット572は、グループ3、4内の抵抗器にインクを供給する。インク供給スロット570、572はそれぞれ、基準軸Lと略平行な中心線(図6に破線で示す)を有する。この中心線は、インク供給スロット570、572のそれぞれを、そのそれぞれの長さに沿って略均等に分割している。インク供給スロット570、572の中心線は、基準軸Lと略平行な方向に、互いに間隔を置いて互いから横方向に配置されている。インク供給スロット570、572はそれぞれ、スロットの長さに略等しい長手方向の縁を2つ有する。特に、第1のインク供給スロット570は、それに隣接してグループ1の抵抗器が配置されている、第1の長手方向の縁610と、それに隣接してグループ2の抵抗器が配置されている、第2の長手方向の縁620とを含む。同様に、第2のインク供給スロット572は、グループ3、4がそれぞれの縁に隣接する、第3の長手方向の縁630と第4の長手方向の縁640とを含む。
【0048】
プリントヘッド基板510の長さの両端には、それぞれの軸グループの抵抗器にエネルギーを供給する入力パッド515を有する端部がある。入力パッド515から送られている信号を、スイッチング回路(複数のトランジスタ等)が軸グループ内の抵抗器に結合する。この技術は、プリントヘッド基板510の幅を狭くするのに役立つ。
【0049】
抵抗器580はそれぞれ、抵抗器580に電流パルスを供給するスイッチング回路(電界効果トランジスタ(FET)等)に結合されている。これらのスイッチング回路については、以下に詳細に説明する。抵抗器580とそのそれぞれのスイッチング回路とは、基本要素と呼ばれるグループに分けて配置されている(図6において数字1〜16で示すように)。図6に示す例示的実施形態において、軸グループはそれぞれ、4つの基本要素に分けられている。好ましくは、基本要素はそれぞれ26個のノズルを有し、軸グループ当たり全部で104個のノズルがある。簡単のために、図6では基本要素当たり4個の抵抗器(および対応するインク滴発生器)しか示していないが、大部分のプリントヘッドの設計では、基本要素当たり10個よりも多い抵抗器(およびインク滴発生器)を有する傾向があることが理解される。
【0050】
低インク滴重量
好ましくは、インク滴発生器を高密度に配置したものは低重量のインク滴を用いる。低重量のインク滴は、高重量のインク滴を用いて達成されるよりも小さく、より精細な解像度の印刷を提供する。低重量のインク滴を、インク滴発生器の高密度のアレイとともに用いることによって、本発明では、高い印刷速度で印刷解像度が高くなる。好ましい実施形態において、本発明は、重量が約15ナノグラム(ng)であり、好ましくは14〜16ngの範囲である、ブラックのインク滴を用いる。
【0051】
高噴出周波数
一般的に、本発明の好ましい実施形態は、低重量のインク滴の使用を容易にしながらも高い印刷速度を維持するために、高い噴出周波数でインク滴発生器を動作させる。好ましくは、この噴出周波数はキロヘルツ(kHz)の範囲である。この高い噴出周波数を高密度のインク滴発生器のアレイと組み合わせることによって、高解像度での高速印刷が行われる。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明のインク滴発生器は、12kHzを超える噴出周波数を用いる。好ましい周波数範囲は約15〜18kHzであり、好ましい値は18kHzである。
【0053】
プリントヘッド回路
本発明は、高性能ではあるが経済的なプリントヘッドを含む。このプリントヘッドは、コンパクトな設計を用いてコストを削減し、熱効率をよくして、コンパクトなプリントヘッド基板上で高性能の設計を用いることができるようにしている。特に、プリントヘッドを熱効率よく設計することによって、熱暴走を最小限に抑えながら、コンパクトなプリントヘッド基板上に高密度のインク滴発生器を配置することができる。本発明が高性能ではあるがコンパクトな設計を可能にする方法のひとつに、プリントヘッド回路が関わっている。具体的には、プリントヘッド回路は、それぞれのインク滴発生器を動作させるのに必要な電力が低く、発生する熱エネルギーが最小になるように設計されている。
【0054】
技術のひとつは、特定の基本要素に基本要素電力リード線(その特定の基本要素に電力を供給する)を設けることを含む。基本要素電力リード線は、残りの基本要素それぞれの基本要素電力リード線それぞれとは別個に通電することができる。したがって、特定の基本要素内のそれぞれのスイッチング回路に関連する基本要素電力リード線すべてに、1つの特定の基本要素電力リード線が結合する。スイッチング回路がFETである好ましい実施形態において、特定の基本要素内のそれぞれのFETのソースまたはドレイン接続のそれぞれに、特定の基本要素選択リード線が結合する。
【0055】
本発明の別の技術は、別個に通電することができるゲートリード線に関する。ゲートリード線はそれぞれ、複数の基本要素のそれぞれの単一のスイッチングデバイスに結合している。ゲートリード線の数は、1〜Nである(ただしNは最大の基本要素における抵抗器の数である)。好ましい実施形態において、基本要素はそれぞれ26個の抵抗器を有し(N=26)、したがって26個のゲートリード線がある。スイッチングデバイスがFETである場合には、1つの基本要素内のFETそれぞれのゲートには、ゲートリード線のうちの1つが接続されている。特定のスイッチングデバイスが作動すると、電流パルスが基本要素電力リード線からスイッチング回路を通り、ヒータ抵抗器を通って流れ、帰線すなわち接地リード線を通って戻る。特定のスイッチングデバイスを作動させるために、そのスイッチングデバイスに関連するゲートリード線と基本要素電力リード線とを、同時に作動すなわち通電しなければならない。
【0056】
プリントヘッドの動作中、ゲートリード線が一度に1つずつ、順次作動する。その結果、1つの特定の基本要素内では、一度に作動することができるスイッチングデバイスは1つのみである。しかし、基本要素のうちのいくつかまたはすべてを同時に動作させることができる。それぞれのゲートリード線が、複数の基本要素の1つのスイッチングデバイスに接続されているからである。好ましい実施形態において、それぞれの基本要素は、26個のゲートリード線のそれぞれについて多くても1個のゲート接続を有する。印刷システムは、動作中にゲートリード線を通じて循環するので、1つの基本要素内では一度に1つのインク滴発生器しか動作できない。しかし、大部分のゲートリード線は基本要素間で共用されているので、複数の基本要素を同時に発射することができる。好ましい実施形態において、同時に動作することができる、走査軸において(すなわち、紙の軸を横切り、軸Lを横切って)重なり合っている基本要素が、少なくとも3つ、好ましくは4つある。これによって、単一の走査ではるかにより完璧により高解像度でカバーすることができる。
【0057】
図7は、図5Aに示すプリントヘッド500の、基本要素の電源引き回しの例示的実施形態である。特定の基本要素に対して、第1の端において対応する基本要素の接触パッドに結合している1本の基本要素電力リード線がある。この基本要素の接触パッドは、入力パッド515のうちの1つであり(図7においてP1〜P16で示す)、その特定の基本要素電力リード線に対応するスイッチングデバイスの縁に沿って結合している。例えば、図7に示すように、基本要素12は、第1の端において基本要素12の接触パッド710(入力パッド515の最上行の一番右側)として結合し、縁720に沿って基本要素11のスイッチングデバイス(図示せず)に結合した、基本要素電力リード線700を有する。例示的実施形態において、基本要素電力リード線はそれぞれ、その基本要素内のそれぞれのFETのソース接続かドレイン接続かのどちらかに接続している。このような接触パッド(P1〜P16)を用いて、プリントヘッド500上のそれぞれの基本要素に通電するのに必要なエネルギーを入力する。
【0058】
図8Aおよび図8Bは、本発明のプリントヘッド500の接地接続リード線の2つの実施形態を示す。前述のように、インク供給スロット570、572はそれぞれ、長手方向の縁を2つ有する。抵抗器の4つの軸グループのうちの1つが、それぞれの長手方向の縁に隣接している。入力パッド515の数を減らすために、2つ以上の基本要素が同じ接地接続リード線を共用している。図8Aの実施形態においても図8Bの実施形態においても、それぞれの軸グループの2つの端は共通に接続され、コンパクトなプリントヘッド基板510の両端に対して基板510の中央近くの抵抗器間の接地リード線の寄生抵抗の差を小さくしている。
【0059】
図8Aは、図5Aに示すプリントヘッド500の、接地接続リード線が単一である場合を示す例示的一実施形態である。本実施形態において、単一の接地接続リード線810を用いて、16個の基本要素すべてを接地接続している。したがって、16個の基本要素すべてが、単一の接地接続リード線によって接地接続される。または、図8Bは、図5Aに示すプリントヘッド500の、接地接続リード線が2つである場合を示す別の例示的実施形態である。この特定の実施形態においては、第1の接地接続リード線820と第2の接地接続リード線830とがある。2つの接地接続リード線820、830はそれぞれ、特定のインク供給スロットの周りの基本要素すべてを接地接続している。例えば、図8Bに示すように、第1の接地接続リード線820は、第1のインク供給スロット570の周りの基本要素を接地接続し、第2の接地接続リード線830は、第2のインク供給スロット572を取り囲む基本要素を接地接続している。
【0060】
熱効率のよい薄膜抵抗器構造
本発明のインク滴発生器はそれぞれ熱効率がよく、コンパクトなプリントヘッド基板上にインク滴発生器を高密度で詰め込むことができる。この熱効率を達成するために、インク滴発生器はそれぞれ、各抵抗器に必要な電力を低くする薄膜抵抗器構造を含む。特に本発明は、高抵抗の抵抗器を用いて、抵抗器に通電するのに必要な電力を少なくし、薄いパッシベーション層を用いて、寄生エネルギー消費のために消費してしまう入力電力を少なくする。どちらの抵抗器構造も、プリントヘッドの必要電力を少なくし、必要電力が多くなることによる熱エネルギーの大きな増加をなくすことによって、印刷システムにおける高周波数の印刷の連射の使用を容易にする。言い換えれば、必要電力を少なくすることによって、たとえ抵抗器が多くなってもプリントヘッドが用いる電力を少なくし、それによって、そのプリントヘッドがより低い温度で動作できるようにし、熱暴走を減らすことができる。
【0061】
特に、図9は、本発明の例示的インク滴発生器の一部切欠き斜視図である。インク滴発生器540は、コンパクトなプリントヘッド基板510の上に配置され、薄膜抵抗器構造580(図10Aおよび図10Bに、より詳細に示す)を含む。抵抗器構造580の上には、バリアー層550とオリフィス層520とがある。この2つについては、以下でさらに説明する。薄膜抵抗器構造580の頂部とバリアー層550およびオリフィス層520とが、発射チャンバを形成する。発射チャンバにおいて、抵抗器構造580によってインクが気化し、オリフィス(ノズル530等)を通って噴出される。好ましくは、オリフィスの直径は約10〜20ミクロンの範囲内であり、例示的値は約16ミクロンである。インク滴発生器540の構成要素および層はそれぞれ、別個に形成しても一体的に形成してもよく、このような構成要素および層を形成するさまざまな方法が当該技術分野において既知である。例えば、バリアー層550とオリフィス層520とは、別個に取り付けても一体的に形成してもよく、その後、下にあるコンパクトなプリントヘッド基板510に取り付けてもよい。
【0062】
熱暴走を減らすのに本発明が用いる技術のひとつは、発射抵抗器580の抵抗を高くすることによって、抵抗器580を発射するのに必要な電力を少なくし、接続トレースの抵抗(すなわち寄生抵抗)の全抵抗に対する比が下がるようにすることである。この抵抗比は、接続トレースにおいて消費する電力と直接関係し、「寄生電力損失」として知られている。抵抗器580はそれぞれ、抵抗器580をさまざまな電気接続に接続する接続トレースを有する。従来の設計においては、接続トレースの抵抗は発射抵抗器580の抵抗の1/3以上までであってもよい。この寄生電力損失によって、入力エネルギーの1/3までが接続トレース内で消費されてしまう可能性がある。本発明においては、寄生電力損失がさらに重要になる。抵抗器の密度(コンパクトなプリントヘッドの単位面積当たりの抵抗器の数)が高く、接続トレース用のスペースが少なく、全必要電力が多くなっているからである。
【0063】
本発明は、それぞれの発射抵抗器580の抵抗を高くし、それによって接続トレース内で消費される電力を少なくすることによって、寄生電力損失を低減する。好ましくは、それぞれの発射抵抗器580の抵抗は少なくとも70オームであり、好ましい値は100オームを超える。抵抗器580の厚さを薄くすることによって、または抵抗率の高い抵抗器材料を用いることによって、より高い抵抗を達成することができる。しかし、好ましい実施形態では、抵抗器の厚さと抵抗器材料の抵抗率とは変化せず、抵抗器経路の長さを長くしてより高い抵抗を得る。これは、抵抗器本体を複数のセグメントに分け、結合デバイスまたは導電リンクによってこれらのセグメント同士を直列に接続することによって達成される。この分割された抵抗器によって、発射抵抗器580の抵抗が高くなる。直列のセグメントのうちの前のセグメントに、それぞれのセグメントの抵抗が加わるからである。抵抗器の抵抗が高くなることによって、全抵抗も高くなり(接続トレースの抵抗をほぼ一定に保ちながら)、それによって寄生電力損失(トレース抵抗の全抵抗に対する比)が低減する。
【0064】
図10Aは、図9に示す発射抵抗器の平面図である。この例示的実施形態において、発射抵抗器580は、第1のセグメント1004と第2のセグメント1008とを含む。第1のセグメント1004と第2のセグメント1008とは、結合デバイスまたは導体1012によって直列接続されている。第1のセグメント1004に隣接して、電気信号を受け取る入力パッド1016が配置されており、第2のセグメント1008に隣接して、電気信号を送る出力パッド1020が配置されている。この好ましい実施形態において、電流制御装置1021を用いて、そうでなければ結合デバイス1012において発生してしまう電流の密集を低減する。この電流制御装置1021は、他の場合には結合デバイス1012を通る直線的な電流経路を阻止する。図10Aに示す例示的実施形態において、電流制御装置1021は、第1のセグメント1004と第2のセグメント1008との間の結合デバイス1012に形成したノッチ1021である。
【0065】
この例示的実施形態において、セグメント1004、1008はそれぞれ長さが約24ミクロンであり、幅が約13ミクロンである。これによって、全部で正方形が約4つということになり、それぞれの正方形の抵抗は約29オームであり、その結果全抵抗は130オームになる(接続トレースを含む)。好ましくは、寄生抵抗は約7〜8パーセントの範囲であり、これは約5ナノグラム(ng)のインク滴重量に適合している。または、少なくとも80オームの抵抗であれば、その結果、寄生抵抗は約12パーセントになる。対向するセグメント同士の間の間隙1022の幅は、約3ミクロンである。
【0066】
熱効率を改善するのに本発明が用いる別の技術は、薄膜抵抗器構造580上のパッシベーション層の熱抵抗を低くすることである。パッシベーション層が薄くなるということは、抵抗器に通電するのに必要なエネルギーが少なくなることを意味する。これは、インク滴発生器から消費されなければならない熱エネルギーが少なくなることを示し、その結果熱効率がよくなる。本発明は、パッシベーション層を薄くし、最小のエネルギー量で抵抗器580に通電してインク滴を噴出させることができるようにすることによって、これを達成する。好ましくは、このより薄いパッシベーション層で、抵抗器580に通電するのに必要なエネルギーは1.4マイクロジュール未満でよく、好ましいエネルギー範囲は、約0.8〜1.0マイクロジュールである。抵抗器580に通電するのに必要な電力はまた、トレース抵抗の全抵抗に対する比(寄生電力損失)の影響も受け、寄生電力損失がより低いということは、必要な電力が少ないということを一般的に意味する。本発明は、好ましくは、トレース抵抗の全抵抗に対する比が小さいこと(低い寄生電力損失)と薄いパッシベーション層との両方を用いることによって、プリントヘッド上の熱暴走を減らす。
【0067】
図10Bは、発射抵抗器580の薄膜構造を示す、図10Aの発射抵抗器の側面図である。図10Bは、図10Aに示す抵抗器580のA−A’線に沿った断面図である。この例示的実施形態において、抵抗器層1023はTaAlでできており、コンパクトなプリントヘッド基板510(好ましくはシリコンでできている)の上に配置されたPSG層1024およびFOX層1026の上にある。好ましい実施形態において、抵抗器層1023の厚さは約900オングストロームである。抵抗器層1023の一部の上には、AlSiCuからなる導体層1032がある。
【0068】
抵抗器層1023は、Si3N4からなる第1のパッシベーション層1034とSiCからなる第2のパッシベーション層1036とによって、損傷から保護されている。好ましい実施形態において、第1のパッシベーション層1034の厚さは2570オングストロームであり、第2のパッシベーション層1036の厚さは1280オングストロームである。第1のパッシベーション層1034と第2のパッシベーション層1036との組み合わせは、全パッシベーション層を構成する。好ましくは、全パッシベーション層の厚さは約5000オングストローム未満に保たれ、好ましい範囲は約3500〜4500オングストロームである。このパッシベーション層の厚さでは、抵抗器層1023に通電するのに必要なエネルギーは1.4マイクロジュール未満である。
【0069】
第2のパッシベーション層1036の上にはキャビテーション層1040がある。キャビテーション層1040は、抵抗器層1023とパッシベーション層1034、1036とを、インク滴のキャビテーションと崩壊とが原因の損傷から保護する。好ましくは、キャビテーション層1040は、厚さが3000オングストロームのタンタル(Ta)からなる。キャビテーション層1040の上には、バリアー層550(好ましくは厚さが約14ミクロン)とオリフィス層520(好ましくは厚さが約25ミクロン)とがある。キャビテーション層1040、バリアー層550、およびオリフィス層520が、発射チャンバ575を形成する。発射チャンバ575において、抵抗器層1023によってインクが気化し、オリフィス層520に形成したノズル530から噴出される。
【0070】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で行った。これは、網羅的であること、すなわち本発明を開示した厳密な形式に限定することは意図されない。上記開示に鑑みて、多くの変更および変形が可能である。本発明の範囲は、本発明のこの詳細な説明によってではなく、併記の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を組み込んだ印刷システム全体のブロック図である。
【図2】本発明のコンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを組み込んだ例示的印刷システムを示す図であり、説明の目的のためにのみ示す。
【図3】本発明のコンパクトで高性能かつ高密度のインクジェットプリントヘッドを支持する、図2の印刷システムの例示的キャリッジアセンブリを示す図である。
【図4】本発明のプリントヘッドアセンブリの斜視図であり、説明の目的のためにのみ示す。
【図5A】ノズルの配置を示す、本発明の例示的プリントヘッドの平面図である。
【図5B】オリフィス層を取り除いてインク滴発生器のスタガ配置を示した状態の、図5Aのプリントヘッドの一部を示す平面図である。
【図5C】プリントヘッドのさまざまな層を示す、図5Aのプリントヘッドの一部切欠き等角図である。
【図6】プリントヘッドのノズル層を取り除いてノズルの下にある抵抗器のパターンが見えるようにした状態の、図5の例示的プリントヘッドの平面図である。
【図7】図5Aに示すプリントヘッド500の、基本要素の電源引き回しの例示的実施形態の図である。
【図8A】図5Aに示すプリントヘッドの、接地接続リード線が単一である場合を示す、例示的一実施形態の図である。
【図8B】図5Aに示すプリントヘッドの、接地接続リード線が2つである場合を示す、他の例示的実施形態の図である。
【図9】本発明の例示的インク滴発生器の一部切欠き斜視図である。
【図10A】図9に示す発射抵抗器の平面図である。
【図10B】発射抵抗器の薄膜構造を示す、図10Aの発射抵抗器の側面図である。
【符号の説明】
115:インク供給装置
150:プリントヘッドアセンブリ
160:プリントヘッド構造
165:インク滴発生器
560:第1の複数のインク滴発生器
565:第2の複数のインク滴発生器
580:抵抗器
Claims (11)
- あるカラーのインクを供給するインク供給装置(115)を含むインクジェットプリントヘッド(150)であって、
プリントヘッド基板(160)と、
前記インク供給装置(115)に液通し、前記プリントヘッド基板(160)1平方ミリメートル当たり約10個よりも高い密度で前記プリントヘッド基板(160)に形成された、複数のインク滴発生器(165)であって、互いに略平行で横方向に間隔を置いて配置した軸に沿って、少なくとも4つのスタガ配置した軸グループで配置されている、複数のインク滴発生器(165)と、
を含むインクジェットプリントヘッド。 - 前記インク滴発生器の密度が、前記プリントヘッド基板(160)1平方ミリメートル当たり前記インク滴発生器が約11個〜13個である、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 前記複数のインク滴発生器(165)がそれぞれ、抵抗が少なくとも70オームである薄膜抵抗器構造(580)を含む、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 前記軸に沿って配置した前記複数のインク滴発生器(165)が、前記軸のそれぞれに対してスタガ配置されて、プリントヘッドの実効ピッチを、単一の軸に沿って配置した複数のインク滴発生器の約1/4まで小さくする、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
- コンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッド(150)であって、
プリントヘッド基板(160)と、
前記プリントヘッド基板(160)上に配置され、コンパクトな領域内に配置された、少なくとも350個のインク滴発生器(560)と、
を含む、コンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッド。 - 前記コンパクトな領域が、長さが約12ミリメートルよりも短く、幅が約3ミリメートルよりも狭い、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 第1の軸に沿って配置されて第1の軸グループを形成する、第1の複数のインク滴発生器(560)と、
第2の軸に沿って配置されて第2の軸グループを形成し、前記第1の軸グループに対してスタガ配置された、第2の複数のインク滴発生器(565)と、
第3の軸に沿って配置されて第3の軸グループを形成し、前記第1および第2の軸グループに対してスタガ配置された、第3の複数のインク滴発生器と、
をさらに含み、
前記第1、第2、および第3の軸が、互いに平行で、互いに横方向に間隔を置いて配置されている、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。 - コンパクトなモノクロのインクジェットプリントヘッド(150)であって、
プリントヘッド基板(160)と、
前記プリントヘッド基板(160)上に配置され、コンパクトな領域内に配置された、インク滴発生器(165)であって、
第1の軸に沿って配置されて第1の軸グループを形成する、第1の複数のインク滴発生器と、
第2の軸に沿って配置されて第2の軸グループを形成し、前記第1の軸グループに対してスタガ配置された、第2の複数のインク滴発生器(565)と、
第3の軸に沿って配置されて第3の軸グループを形成し、前記第1および第2の軸グループに対してスタガ配置された、第3の複数のインク滴発生器と、
を含み、
前記第1、第2、および第3の軸が、互いに平行で、互いに横方向に間隔を置いて配置されている、インク滴発生器(165)と、
を含む、インクジェットプリントヘッド。 - 前記コンパクトな領域が、長さが約12ミリメートルよりも短く、幅が約3ミリメートルよりも狭い、請求項8に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 前記コンパクトな領域内に配置された、少なくとも350個のインク滴発生器を含む、請求項8に記載のインクジェットプリントヘッド。
- 前記インク滴発生器がそれぞれ、高抵抗を有する薄膜抵抗器(580)を含む、請求項8に記載のインクジェットプリントヘッド。
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