JP2004503772A - リニアラムダセンサを作動させるための方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は請求項1の上位概念による内燃機関のリニアラムダセンサを作動させるための方法に関する。本発明はまた請求項5による、この方法を実行するための装置に関する。
【0002】
リニアラムダセンサは、内燃機関の排気ガス内の酸素濃度を求めるために使用される。リニアラムダセンサは2つの電極対と測定チャンバとを有しており、測定チャンバは拡散隔壁を介して排気ガス流につながっている。第1の電極対(測定電極)は測定チャンバと空気との間に配置されており、測定チャンバ内の酸素濃度の測定に使用される。第2の電極対(ポンプ電極)は測定チャンバと排気ガス流との間に配置されている。相応の極性の電流Ipを印加すれば、酸素イオンを測定チャンバから又は測定チャンバ内にポンピングすることが可能である。
【0003】
したがって、拡散隔壁を通る酸素流とポンプ電極対を通る酸素イオン流との間に力学的平衡を作り出すことができる。制御の基準としては、測定電極により測定可能な測定セル内の酸素濃度が適している。有利な値は例えばλ=1に対して450mVである。この場合に流れるポンプ電流Ipが、排気ガス内の酸素濃度の尺度である(数値的な変換の後にはλの尺度でもある)。
【0004】
従来、リニアラムダセンサの使用は無過給の理論上のエンジン動作(Pa=1bar、λ=1)に限定されている。これに応じて、測定セル内の平衡(λ=1)を維持するためには、ほんの僅かなポンプ電流しか必要でない(|Ip|<〜2.5mA)。
【0005】
希薄混合気燃焼エンジンの場合、λ=4までの動作モードが意図されているが、これにはポンプ電流Ipの劇的な増大が必要である。過給(ターボ)エンジンの動作では、2barまでの排気ガス圧力が生じる。センサの感圧性は、必要な最大ポンプ電流Ipを±12mAまでさらに増大させる。
【0006】
拡散隔壁の力学的抵抗は温度依存性を有しており、このことが変速比の誤差につながる。これに対しては、センサ温度の測定及びセンサ内に組み込まれた発熱素子を用いた制御により対処する。その際、コスト面の理由から、別個の熱電素子は断念される。その代わりに、温度依存性の強いセンサ内部抵抗Risが測定される。
【0007】
センサ内部抵抗Risを求める現行の測定方法は、センサ端子Vs+に、例えば3kHzの周波数fmを有する例えば500μAss(ピークツーピーク)の矩形波状の交流電流から成る測定信号Mを印加することである。この交流電流は、例えば100Ωのセンサ内部抵抗Risにおいて500μAss*100Ω=50mVssの交流電圧を生じさせる。この交流電圧は、増幅器において例えば10倍に増幅され、続いて整流される。このようにして生じた直流電圧Vriは、センサ温度の尺度として使用したり、さらに処理したりすることができる。
【0008】
公知の評価回路が図1に示されている。以下、この評価回路を説明する。
【0009】
この回路はある欠点を持っている:
この評価回路に通常すでにある給電電圧Vcc=5Vを給電すると、およそ2.5Vの中間電圧Vmが生じる。センサに印加される一連の電圧は、
Vm<|Rc*Ip+Vp|+Vsat
である;ただし、
Rc=30〜100Ω=全校正抵抗(製造者により変わる)
Vp=−350〜+450mV;ポンプセルの分極電圧
Vsat=100〜200mV;ポンプ電流源Pの飽合計電圧;
これは可能な最大ポンプ電流Ipを<10mAに制限し、したがって要求(Ip=±12mA)に合わない;
ポンプ電流Ipには同相信号(Vm±2V)が重畳されている。実積分増幅器の有限の同相除去(例えば65dB)による制限のため、測定に±0.3%までの狂いが生じる;
さらに、ポンプセルの分極電圧(λ<1のとき、−350mV)により、およそ5μAのドリフトΔIpが生じる。ポンプ電流Ipは酸素センサの1次測定信号であるので、この誤差は直接ポンプ電流Ipの全体的精度に影響する。これはラムダ制御の精度を制限するので、重大な問題である;
この回路装置の別の根本的問題は、ネルンスト電圧Vsと内部抵抗測定から生じる矩形波電圧Vrとの相互干渉である。この矩形波電圧Vrは制御器Rの入力側にも現れ、制御偏差を表す。制御器は−そのバンド幅の枠内で−この制御偏差を補償制御しようとする。このために、制御器はポンプ電流Ipを変化させ、このことが今度はVsに影響を与える。ポンプ電流Ipはλの測定量なので、1次センサ信号Vsが歪曲される。他方では、Vsの変化が矩形波電圧Vrに重畳されている。この作用の結果、矩形波電圧Vrの信号上限が傾き、整流の際に大きな振幅の誤差が生じる;
EMC妨害信号が生じる場合も、内部抵抗Risの本来の測定値から著しく偏差する。
【0010】
本発明の課題は、リニアラムダセンサを作動させるための方法を提供し、本方法により、出された要求に応えるポンプ電流値Ipを供給し、上述した同相誤差を防ぎ、ポンプ電流測定の精度を実質的に改善することによって、ネルンスト電圧Vsと矩形波電圧Vrの相互干渉が生じないようにし、内部抵抗測定の精度を改善して、バッテリ電圧が低いときでも(Vbが+6Vより低いか又は等しい)内部抵抗測定を可能にすることである。また、この方法を実行するための装置を提供することも本発明の課題である。
【0011】
上記課題は本発明に従って請求項1及び5に記載された特徴により解決される。
【0012】
以下では、本発明の実施例を概略的な図面に基づいて説明する。これらの図面のうち、
図1は、ラムダセンサを作動させるための公知の装置の基本回路を示しており、
図2は、ラムダセンサを作動させるための本発明による装置の基本回路を示しており、
図3は、ネルンスト電圧Vsと矩形波電圧Vrの合計電圧Vsumからネルンスト電圧Vsと内部抵抗Risを表す電圧Vriとを得る様子を表すダイアグラムを示しており、
図4は、スイッチ操作用の制御信号のダイアグラムを示しており、
図5は、スイッチ操作用の制御信号を発生させる回路を示しており、
図6は、フィルタリングされていない差分信号の残差を示している。
【0013】
図1では、内燃機関のリニアラムダセンサを作動させる公知の装置の基本回路がλ=1の場合について示されている。ラムダセンサSは、
a)いわゆる基準セル、すなわち測定チャンバと空気との間の電極と、
b)いわゆるポンプセル、すなわち測定チャンバと排気ガスとの間の電極と、
c)図示されていないセンサコネクタに配置された校正抵抗Rcと
から成る。なお、上記基準セルは、図中では、測定チャンバと空気との間の電極間で測定可能なネルンスト電圧Vsと、これら電極間の拡散隔壁の内部抵抗Risとによって表されており、上記ポンプセルは、測定チャンバと排気ガスとの間の電極間で降下するポンプ電圧Vpとこれら電極間の(基準)抵抗Rpとにより図示されている。
【0014】
電極はセンサのセラミックに取り付けられている。電極対の間のセラミック材は、温度が高いときには導電性であり、固体電解質として使用される。
【0015】
センサSからは、第1の端子Vs+、第2の端子Vp−/Vs−、第3の端子Vp+及び第4の端子Rcが出ており、評価回路と接続されている。ラムダセンサヒータとその端子は図示されていない。
【0016】
差動増幅器Rの反転入力側R−はセンサSの第1の端子Vs+と接続されており、非反転入力側R+は基準電圧Vrefを介して中間電圧Vmと接続されている(Vm=Vcc/2)。ただし、Vcc(通常は5V)は回路の給電電圧である。
【0017】
中間電圧Vmには、第2のセンサ端子Vp−/Vs−とポンプ電流源Pの反転入力側P−も接続されており、ポンプ電流源Pの非反転入力側P+は差動増幅器Rの出力側と接続されている。
【0018】
ポンプ電流源Pの出力側はセンサSの第4の入力側Rcと接続されている。
【0019】
抵抗Rcはセンサコネクタ内でのその取付位置のゆえに著しい環境汚染に晒されているので、制御装置内において別の抵抗Rpを端子Vp+に接続し、Rcと並列接続にする。これにより、ポンプ電流Ipの測定精度に対するRcの許容誤差の影響が低減される。
【0020】
差動増幅器Rは、センサSのネルンスト電圧Vs(外気と測定セルとの間の)を基準電圧Vref(450mV)と比較し、その差に比例する出力電圧を発生させる。この出力電圧はポンプ電流源Pにより比例するポンプ電流Ipに変換され、ポンプ電流IpはRcとRpとから成る並列回路及びポンプセル(Rip及びVp)を通ってVmへと流れる。ポンプ電流Ipは、センサSの図示されていない測定セル内の酸素濃度を変化させ、このことが結果としてネルンスト電圧Vsの変化をもたらす。
【0021】
排気ガス内の酸素濃度λの測定は、抵抗RcとRpの並列接続及びポンプセルを通るポンプ電流Ipを測定することにより行われる。このために、ポンプ電流Ipから生じるRcとRpの並列接続における電圧降下V(Ip)が差動増幅器ISを用いて測定される。
【0022】
この公知の評価回路では、中間電圧Vm=Vcc/2と基準電圧Vrefはλセンサの第2の端子Vp−/Vs−と接続されている。
【0023】
測定セル内での制御状態が安定しているとき(λ=1)には、ネルンスト電圧Vs=450mVである。拡散隔壁を通る酸素流と酸素イオン流との間には、ポンプ電流Ipにより平衡状態が存在する。その際、Vpの値は、−排気ガス内の酸素濃度に応じて−、450mV(空気)と−350mV(リッチ混合気)の間である。
【0024】
ポンプ電流源Pの出力電圧の最大範囲はおよそ0.1Vから4.9Vまで達する。
【0025】
センサ内部抵抗Risを測定するために、センサSには、測定信号Mが、例えば発振器OSZ内で生じた、3kHzの周波数を有する500μAss(ピークツーピーク)の矩形波状の交流電流が印加される。この信号は、高抵抗の抵抗器と減結合コンデンサ(図1では参照記号なし)とを介して、ラムダセンサの第1の端子Vs+に供給される。すると、例えばちょうど100Ωの内部抵抗Risには、矩形波電圧Vr=500μAss*100Ω=50mVssが生じる。この矩形波電圧Vrは、増幅器Vにおいて増幅され、ピーク値整流器GLRにおいて整流され、直流電圧Vriとして、図示されていないマイクロプロセッサにラムダセンサSの温度調整用の調整信号として供給される。この回路の欠点はすでに上で述べた。
【0026】
図2には、ラムダセンサを作動させるための本発明による装置の基本回路が示されている。本発明による方法は、この装置の動作に基づいて以下でより詳細に説明する。
【0027】
ラムダセンサSはすでに図1から知られており、同様に抵抗Rcに並列接続された抵抗Rpと差動増幅器ISも既知である。差動増幅器ISの出力側では、ポンプ電流Ipに比例する電圧V(Ip)が、内燃機関の排気ガス内の酸素濃度の尺度として測定可能である。
【0028】
発振器OSZは周波数fの矩形波状の発振器信号OSを発生させ、この発振器信号OSから、周波数分割(fm=f/2x)による周波数fmを有する測定信号Mが得られる。例えば、x=4で、f=48kHz、fm=3kHzとしてもよい。
【0029】
信号OSとMとの間の位相は、測定信号Mが発振器信号OSのローレベル区間の半分で切り替わる(OSに関して90°の位相差)ような形である。測定信号Mはセンサ端子Vs+に供給される。
【0030】
発振器OSZ内には、図5に示されている種々のスイッチを操作する回路を組み込むことも可能である。なお、この回路については後で説明する。
【0031】
ポンプ電流源P(オペアンプとオペアンプの反転入力側P−に接続された抵抗Rc及びRpから成る並列回路とから構成される)の非反転入力側P+には、中間電圧Vmが供給され、ポンプ電流源Pの出力側は第2のセンサ端子Vp−/Vs−と接続されている。ポンプ電流源Pの出力側はさらにスイッチS1bを介して第1の(トランスファ)コンデンサC1の足と接続されている。この足は、別のスイッチS2cを介して、第2及び第3のコンデンサC2及びC3の足ならびに基準電圧Vrefのマイナス極と接続されている。基準電圧Vrefのプラス極と中間電圧Vmとは相互に接続されている。
【0032】
センサ端子Vs+はスイッチS1aを介してコンデンサC1と接続されている。スイッチS2bはコンデンサC1をコンデンサC2及び第2の減結合増幅器V2の入力側に接続する。第2の減結合増幅器V2の出力側は、差動増幅器Dの反転入力側D−と接続されている。スイッチS2aはコンデンサC1を第3のコンデンサC3及び第1の減結合増幅器V1の入力側に接続する。第1の減結合増幅器V1の出力側は、差動増幅器Dの非反転入力側D+と接続されている。
【0033】
差動増幅器Dの出力側は、抵抗R7とコンデンサC5とから成るRC回路を介して中間電圧Vmのプラス極と接続されている。
【0034】
給電電圧Vcc(+5V)のプラス極からは、抵抗R4とスイッチS3bとから成る直列回路が、第2の減結合増幅器V2の入力側と第2のコンデンサC2とに通じている。抵抗R4は別のスイッチS3aを介して第1の減結合増幅器V1の入力側及び第3のコンデンサと接続されている。
【0035】
減結合増幅器V1とV2の両方の出力側の間には、同じ大きさの抵抗R5及びR6から成る分圧器が配置されており、この分圧器の一方のタップは第4のコンデンサC4を介して中間電圧Vmのプラス極と接続されており、他方のタップは直接制御器Rの非反転入力側R+と接続されている。制御器Rの反転入力側R−は中間電圧Vmのプラス極と接続されており、制御器Rの出力側は第4のセンサ端子Rcと接続されている。
【0036】
センサ端子Vs+では、ネルンスト電圧Vsとセンサ内部抵抗Risにおいて降下する測定信号Mにより生じる矩形波電圧Vrとから成る合計電圧Vsumがタップ可能である。なお、矩形波電圧Vrは図3aに図示されている。図3a〜3cの電圧はそれぞれVmの正電位(横軸)に関連しているが、中間電圧Vm(=2.5V)自体は図示されていない。
【0037】
ネルンスト電圧Vsは(理論的な例として)−λ値の変化に起因する制御偏差として−非常に低い周波数(およそ50Hz)及び50mVssの振幅で正弦波状に変化するものであってもよい。測定信号Mを3kHzの周波数を有する矩形波状に変化する500μAssの電流とすると、すでに示したように、センサ内部抵抗Risに500μAss*100Ω=50mVssの矩形波電圧Vrが生じる。ネルンスト電圧Vsは、正確に、合計電圧Vsum(=Vr+Vs、図3a)の上限値OWと下限値UWとの間の中間電圧に一致する。
【0038】
以下では、ネルンスト電圧Vsとセンサ内部抵抗Risを合計電圧Vsumと酸素基準電流Icpの生成とから求める方法をより詳細に説明する。
【0039】
合計電圧Vsumからのネルンスト電圧Vsの算出:
ネルンスト電圧Vsとこれに重畳された矩形波電圧Vrとから成る合計電圧Vsumは、スイッチS1a及びS1bに印加される。スイッチS1a及びS1bは同期して交互に開閉する。しかも、周波数f(48kHz)、図4を参照、及び50%の作動時間(つまり、作動時間と遮断時間は同じ長さ)で交互に開閉する。合計電圧Vsumがその上限値OWにある場合、スイッチS1a及びS1bが閉じると第1のコンデンサC1はこの値まで充電される。
【0040】
つぎにスイッチS1a及びS1bが開き、スイッチS2a及びS2cが閉じると、第1のコンデンサC1と第3のコンデンサC3との間で充電の補正が行われる。このプロセスを合計電圧Vsumがその上限値OWにある間複数回繰り返すと(図4a,4b,4c及び4e)、コンデンサC3における電圧は合計電圧Vsumの瞬時上限値OWに達する。したがって、第3のコンデンサC3における電圧VC3は合計電圧Vsumの上限値OWに従う(図3b)。
【0041】
つぎに合計電圧Vsumがその下限値UWにある間は、第3のコンデンサC3に印加された電圧は蓄積されたままである。この期間中、スイッチS1a−S1b及びS2b−S2cの交互の作動により、同様に第2のコンデンサC2も合計電圧Vsumの下限値UW(VC2)まで充電される。第2のコンデンサC2は、合計電圧Vsumがその上限値OWにある間(図4a,4b,4d及び4e)、蓄積される。したがって、第2のコンデンサC2における電圧VC2は合計電圧Vsumの下限値UWに従う(図3b)。
【0042】
コンデンサC2及びC3が蓄積フェーズ中に放電しないように、これらのコンデンサには増幅率1の減結合増幅器V1及びV2が後置接続されており、これら減結合増幅器の出力側には、それぞれ第2のコンデンサC2ないし第3のコンデンサC3に印加されるのと同じ電圧が印加される。
【0043】
2つの減結合増幅器V1及びV2の間に配置された同じ大きさの2つの抵抗R5及びR6から成る分圧器のタップでは、コンデンサC2及びC3の足が中間電圧Vmに接続されれば、中間電圧Vmに関して合計電圧Vsumの上限値と下限値との間の中央に位置する(図3a)ネルンスト電圧Vs(図3c)が得られる。
【0044】
しかしながら、制御器Rはネルンスト電圧Vsと基準電圧Vrefとの差ΔVsを必要とする。しかし、中間電圧Vmのプラス極と基準電圧Vrefのプラス極の接続のゆえに、コンデンサC2及びC3の足は、中間電圧Vmと基準電圧Vrefとの差Vm−Vrefに相当する電位にあるので、分圧器R5−R6のタップには、制御器Rの非反転入力側R+に供給される差分Δs=Vs−Vrefがすでに現れている。コンデンサC4により、必要な場合には、この電圧の平滑化が可能である。
【0045】
制御器Rはこの信号をこの制御器Rの反転入力側に印加される中間電圧Vmと比較する。場合によって生じ得る偏差ΔVs−Vmの結果として、制御器Rは中間電圧Vmから偏差した出力電圧を発生させる。この出力電圧は、抵抗RcとRpとから成る並列回路を介してポンプ電流源Pの反転入力側P+に供給される。なお、ポンプ電流源Pの非反転入力側P−はVmと接続されている。端子Vp+とVp−/Vs−の間にあるセンサのポンプ電極も同様に、ポンプ電流源の反転入力側及び出力側と接続されている。
【0046】
ポンプ電流源Pは、その出力電圧を変化させることによって、反転入力側と非反転入力側との間の電圧差をゼロへと制御しようとする。
【0047】
制御器RがVmから偏差した出力電圧を発生させると、ポンプ電流源の反転入力側における電圧はこれに従う。したがって、ポンプ電流源の反転入力側における電圧はVmに等しくない。それゆえ、ポンプ電流源Pは、センサ端子Vp+及びVp−/Vs−を介して電流Ipが生じるように、その出力電圧を制御する。この電流は抵抗RcとRpとから成る並列回路も通り、そこで制御器出力電圧とVmとの差に相当する電圧降下を生じる。これにより、ポンプ電流源Pの反転入力側P−に再び電圧Vmが生じる。
【0048】
増幅器ISの入力側をRcとRpとから成る並列回路に接続すれば、この電流Ipを抵抗Rc||Rpにおける電圧降下V(Ip)として非常に正確に測定することができる。このようにして、ポンプ電流−ひいては排気ガスのλ値−に比例する電圧V(Ip)が得られる。
【0049】
第3のコンデンサC3における電圧VC3は、
VC3=Vm−Vref+Vs+25mV(Vrの)である。
【0050】
第2のコンデンサC2における電圧VC2は、
VC2=Vm−Vref+Vs−25mV(Vrの)である。
【0051】
それゆえ、過渡的な制御状況(Vs=Vref)では、第3のコンデンサC3における電圧はVC3=Vm+25mVであり、同様に第2のコンデンサC2における電圧はVC2=Vm−25mVであり、ΔVs=0である。
【0052】
和信号Vsumからのセンサ内部抵抗Risの算出:
すでに説明したように、ラムダセンサSには測定信号(500μAss)が供給される。この交流電流により、(例えば目下100Ωの)センサ内部抵抗Risにおいて、センサ内部抵抗Risの瞬時値に依存する500μAss*Ris=500μAss*100Ω=50mVss=±25mVの矩形波電圧Vrの降下が生じる。この電圧は2つの減結合増幅器V1及びV2の出力電圧の差VC3−VC2に一致し、差動増幅器Dで形成される。この電圧は、RC回路R7−C4によるフィルタリングの後、センサ温度の制御のための「温度測定電圧」Vriとして考慮される(図3d)。
【0053】
酸素基準電流Icpの生成:
若干のラムダセンサは動作のために人為的な(ポンピングされた)酸素基準を必要とする。この酸素基準は、小電流(例えば25μA)を使用して測定セルから正の基準電極Vs+へ酸素をポンピングすることによって形成される。これにより基準電極に生じる酸素濃度の方は、測定セル内の酸素濃度の測定の基準として使用される。評価回路はこの電流を供給しなければならない。
【0054】
ポンプ電流Ipに基づいて、センサ端子Vp−/Vs−における電圧は0.5Vと4.5Vの間で変動する。ネルンスト電圧Vsのゆえに、端子Vs+における電圧は450mVだけ高い。したがって、端子Vs+における電圧は0.95Vと4.95Vの間で変動する。
【0055】
酸素基準電流Icpの生成はこれまで、給電電圧が5Vを超える、例えば8Vの電流源により行われてきた。この電圧は、付加的な制御器を用いてバッテリ電圧(12V)から得られるか、又は付加的な安定化手段を備えたチャージポンプを用いて5V給電電圧Vccから得られる。
【0056】
前者の回路はバッテリ電圧が低い(Vbatmin=6V)とダウンしてしまい、第2の回路は、チャージポンプの切換動作による障害の危険性に関する付加的な回路コストを必要とする。
【0057】
本発明による回路は、最小の付加的回路コストでこの問題を回避する。本発明による回路は、抵抗R4と2つのスイッチS3a及びS3bから構成されている。スイッチS3aは矩形波電圧Vr(3kHz)の正の振幅と同期して切り替り、スイッチS3bはこれとは逆位相に、矩形波電圧Vrの負の振幅に同期して切り替わる。
【0058】
上述したように、第2のコンデンサC2には電圧VC2=Vm−25mVが印加され、第3のコンデンサC3には電圧VC3=Vm+25mVが印加される。つまり、両方の電圧とも非常にVmに近い。ここで給電電圧Vcc=5Vに接続された抵抗R4(例えば100kΩ)をスイッチS3aを介して第3のコンデンサC3に接続するか、又はスイッチS3bを介して第2のコンデンサC2に接続すると、スイッチが導通していれば、Icp=(Vcc−Vm)/100kΩ=25μAの電流Icpが流れる。
【0059】
スイッチS3a及びS3bの切り替わりに基づいて、この電流はつねにコンデンサC2及びC3のうち明らかに合計電圧Vsumに従う方に達する。この電流はそこに電荷を蓄積する。合計電圧Vsumの上限値OWに達すると、スイッチS3aは閉じ、電流IcpはコンデンサC3内に流れる。合計電圧Vsumの下限値UWに達すると、スイッチS3bが閉じ、電流IcpはコンデンサC2内に流れる。
【0060】
蓄積フェーズにおけるそれぞれのコンデンサは抵抗R4と接続されていないので、蓄積される電圧値がこの電流によって歪曲されることはない。
【0061】
コンデンサC2及びC3はスイッチS2a,S2b,S2cの迅速な切換(図4)により交互にコンデンサC1と接続されるので、連続的な充電の交代が行われる。これにより電流Icp=25μAは抵抗R4を介してコンデンサC1内にも達し、さらにスイッチS1a及びS1bを通ってラムダセンサSの端子Vs−及びVs+に達する。この場合、接続されたコンデンサC1は逆に酸素基準電流Icpを発生させるためのエネルギー輸送に使用される。
【0062】
スイッチS3a及びS3bが同時に開くことにより、酸素基準電流Icpは遮断される。これは例えばラムダセンサSの予備加熱フェーズにおいて必要となることがある。
【0063】
抵抗R4における電圧比が近似的に一定であるため、電流Icpは非常に安定しており、簡単に発生させることができる。
【0064】
図5には、発振器OSZ(図2)内にある、スイッチS1a,S1b,S2a,S2b,S2c,S3a及びS3bに対する制御信号を発生させる回路の可能な実施例が示されている。なお、これらのスイッチは電子スイッチである。
【0065】
スイッチに対する制御信号は、発振器OSZ内で形成された、周波数f=2x*fm(例えば48kHz)を有する(矩形波状の交流電流)発振器信号OSと、発振器信号OSから周波数分割により得られた周波数fm(3kHz)の測定信号Mと、許可信号Eとから形成される。その際、信号OSとMとの間の位相は、信号MがOSのローレベルの中央でハイレベルに変わる(90°の位相差)ようにしてもよい。図4b及び4eを参照せよ。
【0066】
スイッチS1a及びS1bは発振器OSと同期して制御される(図4a,5)。スイッチS2cは、位相反転器I1により反転された発振器信号OSにより制御される(図4b)。3つのスイッチS1a,S1b及びS2cは連続的に制御される。
【0067】
測定信号Mと、スイッチS2cに対する制御信号は、AND素子U1に供給される。ただし、測定信号Mの曲線はスイッチS3aに対する制御信号と同じであり(図4e)、AND素子U1の出力信号はスイッチS2aに対する制御信号である。
【0068】
位相反転器I2により反転された測定信号Mと、スイッチS2cに対する制御信号は、AND素子U2に供給される。AND素子U2の出力信号はスイッチS2bに対する制御信号である。
【0069】
測定信号MはAND素子U4の一方の入力側に供給され、反転された測定信号MはAND素子U3の一方の入力側に供給される。それぞれAND素子U3及びU4の他方の入力側には許可信号Eが供給され、この許可信号Eにより、この2つのAND素子の出力信号、すなわち酸素基準電流Icpを発生させるのに必要とされるスイッチS3a及びS3bに対する制御信号は、すでに詳細に説明したように、通される(E=High)か又は遮断(E=Low)される。
【0070】
リニアラムダセンサを作動させるための本発明による装置は、冒頭で述べたすべての要求を最小の回路コストで満たす:
ポンプ電流Ipの測定は同相という制限なしで行われるため、従来可能であったよりも正確である;
ネルンスト電圧Vsと矩形波電圧Vrの減結合が従来よりも遙かに良好に行われ、事実上、ネルンスト電圧Vsは矩形波電圧Vrの残差を示さない;
ネルンスト電圧Vs内での矩形波電圧Vrの減衰はおよそ34dBであり、しかも位相シフトなしである。これによりポンプ電流制御ループへの影響が防止される;
(図2の抵抗R5とR6との間の)フィルタリングされていない誤差信号ΔVsは、図6に示されているような矩形波電圧Vrの最小残差を示すが、この最小残差はコンデンサC4を用いたフィルタリング後には事実上消滅する;
センサ内部抵抗Risの測定は精密かつ妨害的影響に対して不感であり、RC回路R7−C5(図2)を用いた平滑化後にはまったくネルンスト電圧Vsの影響は示さない;
酸素基準電流Icpの生成は非常に安定しており、センサの同相信号に依存しない;
回路はただ1つの給電電圧Vcc(5V)があるだけでよく、ASICへの集積に最も適している;
ネルンスト電圧Vsと矩形波電圧Vrの減結合を正しく行うことにより、本発明による回路は、HPDIエンジンで必要とされるような迅速なラムダ測定に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラムダセンサを作動させるための公知の装置の基本回路を示す。
【図2】ラムダセンサを作動させるための本発明による装置の基本回路を示す。
【図3】ネルンスト電圧Vsと矩形波電圧Vrの合計電圧Vsumからネルンスト電圧Vsと内部抵抗Risを表す電圧Vriとを得る様子を表すダイアグラムを示す。
【図4】スイッチ操作用の制御信号のダイアグラムを示す。
【図5】スイッチ操作用の制御信号を発生させる回路を示す。
【図6】フィルタリングされていない差分信号の残差を示す。
Claims (10)
- 第1の端子(Vs+)、第2の端子(Vp−/Vs−)、第3の端子(Vp+)及び第4の端子(Rc)を備えた、内燃機関のリニアラムダセンサ(S)を作動させるための方法であって、
前記第1の端子(Vs+)に、ある周波数(f)の発振器信号(OS)から周波数分割により導出されたより低い周波数(fm)の矩形波状に変化する電流を測定信号(M)として供給し、
前記測定信号(M)は、センサ内部抵抗(Ris)において降下する矩形波電圧(Vr)を発生させ、
前記矩形波電圧(Vr)は、前記第1及び第2の端子(Vs+、Vs−/Vp−)の間でタップ可能なネルンスト電圧と共に合計電圧(Vsum)を形成し、該合計電圧(Vsum)の上包絡線と下包絡線が上限値(OW)と下限値(UW)を決定する形式の方法において、
前記合計電圧(Vsum)は、所定の中間電圧(Vm)と所定の基準電圧(Vref)との差(Vm−Vref)に関連しており、
前記内燃機関の排気ガス内の酸素濃度(λ)を求めるために、前記ネルンスト電圧(Vs)と前記基準電圧(Vref)との差(ΔVs)に相応する中央値を前記合計電圧(Vsum)の上限値(OW)及び下限値(UW)から求め、該中央値を前記ラムダセンサ(S)の校正抵抗(Rc)において電圧降下(V[I(p)])を生じさせる比例するポンプ電流(Ip)に変換し、前記電圧降下(V[I(p)])を前記内燃機関の排気ガス内の酸素濃度(λ)の尺度として使用する、ことを特徴とするリニアラムダセンサ(S)を作動させるための方法。 - 前記合計電圧(Vsum)の上限値(OW)と下限値(UW)との差(OW−UW)を求め、センサ温度の制御のための温度測定電圧(Vri)として使用する、請求項1記載の方法。
- 前記温度測定電圧(Vri)を低域通過フィルタリングする、請求項2記載の方法。
- 前記ラムダセンサ(S)の基準セルに所定の酸素基準電流(Icp)が供給可能である、請求項1記載の方法。
- 請求項1による方法を実行するための装置であって、
自らの端子を介して前記ラムダセンサ(S)と接続された評価回路と、
発振器(OSZ)と、
差動増幅器(IS)と、
制御器(R)と、
ポンプ電流源(P)とを有し、
前記発振器(OSZ)は、ある周波数(f)の発振器信号(OS)と、周波数分割により前記発振器信号(OS)から導出されるより低い周波数(fm)の測定信号(M)とを発生させ、前記測定信号(M)は前記第1の端子(Vs+)に供給され、
前記差動増幅器(IS)の反転入力側(IS−)は前記第3のセンサ端子(Vp+)に接続されており、前記差動増幅器(IS)の非反転入力側は前記第4のセンサ端子(Rc)と接続されている形式の装置において、
第2のコンデンサ(C2)が設けられており、動作中に該第2のコンデンサ(C2)に前記合計電圧(Vsum)の上限値(OW)が蓄積され、
第3のコンデンサ(C3)が設けられており、動作中に該第3のコンデンサ(C3)に前記合計電圧(Vsum)の下限値(OW)が蓄積され、
前記第2及び第3のコンデンサ(C2,C3)の足は前記第2のセンサ端子(Vs−/Vp−)と接続可能であり、かつ基準電圧(Vref)のマイナス極と接続されており、
前記基準電圧(Vref)のプラス極は中間電圧(Vm)のプラス極と接続されており、
前記第2及び第3のコンデンサ(C2,C3)の他の端子にはそれぞれ1つの減結合増幅器(V1,V2)が後置接続されており、
前記2つの減結合増幅器(V1,V2)の出力側は分圧器(R5,R6)を用いて互いに接続されており、前記分圧器(R5,R6)のタップは前記制御器(R)の非反転入力側(R+)と接続されており、
前記制御器(R)の出力側は前記第4のセンサ端子(Rc)と接続されており、
前記制御器(R)の反転入力側(R−)は中間電圧(Vm)に置かれており、前記ポンプ電流源(P)の非反転入力側(P+)と接続されており、
前記ポンプ電流源(P)の反転入力側(P−)は前記第3のセンサ端子(Vp+)と接続されており、
前記ポンプ電流源(P)の出力側は前記第2のセンサ端子(Vp−/Vs−)と接続されている、ことを特徴とする装置。 - 差動増幅器(D)が設けられており、
前記差動増幅器(D)の非反転入力側(D+)は前記第1の減結合増幅器(V1)の出力側と接続されており、
前記差動増幅器(D)の反転入力側(D−)は前記第2の減結合増幅器(V2)の出力側と接続されており、
前記差動増幅器(D)の出力側においては、前記温度測定電圧(Vri)がタップ可能である、請求項5記載の装置。 - 前記差動増幅器(D)には低域通過フィルタ(R7,C5)が後置接続されている、請求項6記載の装置。
- 第1のコンデンサ(C1)が設けられており、
前記第1のコンデンサ(C1)の足は、スイッチ(S1b)を介して前記第2のセンサ端子(Vp−/Vs−)と接続されており、別のスイッチ(S2c)を介して前記第2(C2)及び第3のコンデンサ(C3)の足と接続されており、
前記第1のコンデンサ(C1)の他方の端子は、スイッチ(S1a)を介して前記第1のセンサ端子(Vs+)と接続されており、スイッチ(S2b)を介して前記第2のコンデンサ(C2)の他方の端子と接続されており、スイッチ(S2a)を介して前記第3のコンデンサ(C3)の他方の端子と接続されている、請求項5記載の装置。 - スイッチ(S3b)が設けられており、前記合計電圧(Vsum)が上限値(OW)にある間、該スイッチ(S3b)を介して前記第2のコンデンサ(C2)に、ならびに前記第2のコンデンサ(C2)及び前記第1のコンデンサ(C1)を介して前記ラムダセンサ(S)の基準セルに所定の酸素基準電流(Icp)が供給可能であり、
スイッチ(S3a)が設けられており、前記合計電圧(Vsum)が下限値(OW)にある間、該スイッチ(S3a)を介して前記第3のコンデンサ(C3)に、ならびに前記第2のコンデンサ(C2)及び前記第1のコンデンサ(C1)を介して前記ラムダセンサ(S)の基準セルに所定の酸素基準電流(Icp)が供給可能である、請求項8記載の装置。 - 前記スイッチ(S1a,S1b,S2a,S2b,S2c,S3a及びS3b)を操作するための回路が設けられており、
前記回路は、前記発振器信号(OS)の周波数(f)により、前記第1のコンデンサ(C1)を交互に、
前記合計電圧(Vsum)が上限値にある間は、スイッチ(S1a,S1b)を介して前記ラムダセンサ(S)の基準セルと接続し、スイッチ(S2a,S2c)を介して前記第3のコンデンサ(C3)と接続し、
前記合計電圧(Vsum)が下限値にある間は、スイッチ(S1a,S1b)を介して前記ラムダセンサ(S)の基準セルと接続し、スイッチ(S2b,S2c)を介して前記第2のコンデンサ(C3)と接続する、請求項8記載の装置。
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