JP2004502722A - 難水溶性薬剤の薬剤送達システム - Google Patents
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Abstract
本発明は、キトサン−キサンタンヒドロゲルを使用して、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法に関する。さらに、本発明は、キトサン−キサンタンヒドロゲルの調製プロセス、および難水溶性薬剤を含むヒドロゲルの調製法にも関する。特に、キトサン−キサンタンヒドロゲルを含む薬剤送達システムであって、前記ヒドロゲルが、そのマトリックス中に、前記ヒドロゲルが水性媒体中で膨張した際に少なくとも部分的に可溶化されかつそこから放出可能になる難水溶性薬剤を含むことを特徴とする薬剤送達システムに関する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キトサン−キサンタンヒドロゲルを使用して、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法に関する。さらに、本発明は、難水溶性薬剤を含むヒドロゲルの調製ばかりでなく、キトサン−キサンタンヒドロゲルの調製プロセスにも関する。
【0002】
【従来の技術】
薬剤の可溶性は、新薬製剤の開発における共通の制限である。米国薬局方に掲載されている三分の一を越える薬剤が、水の中で難可溶性または不溶性のいずれかであるとすれば1、これは驚くべきことではないであろう。さらに、多くの薬剤に関して、胃腸管内での吸収の速度制限工程が、その溶解であることは公知である2。
【0003】
難可溶性薬剤の溶解速度を高め、そのバイオアベイラビリティーを増大させるために、様々な技術が開発されてきた。一般的な選択としては、特定の製剤化のアプローチによる可溶性の改良である3。かかるアプローチの一つは、非晶質の形態の薬剤を調製すること、すなわち、多孔性の粉末のような一定の添加物の存在下で薬剤を細かく砕くことである4。しかしながら、非晶質の物質は、熱力学的に不安定であり、貯蔵中に結晶の形態に戻る傾向がある5。別の技術は、薬剤と溶剤との接触面の増大を意図する、粒子サイズの低減に基づくものである1。粒子サイズの不十分な制御は、凝集作用により可溶化速度の変化をもたらすことができる。一部の場合、粒子サイズの広範な分布は、胃の出血およびむかつきのような副作用を伴う可能性がある。さらに、薬剤の溶解速度を高めるための別のアプローチは、界面活性剤と湿潤剤の添加または水溶性キャリアー中での固形の薬剤分散物の形成を伴う。
【0004】
ヒドロゲルは、大量の水を保持することが可能な三次元構造である。それらは、正反対に帯電したイオン性ポリマーの相互作用により形成することができる。キトサン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチンおよびキサンタンのような一部の本来的なポリイオンは、ヒドロゲルの調製に使用されており、その中に生物活性物質および酵素が導入されていた7−10。
【0005】
難水溶性薬剤の可溶化速度を向上させることが可能な方法を開発する必要が依然としてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、難水溶性薬剤の可溶化速度の調節可能なシステムとしての使用のためのキトサン−キサンタンヒドロゲルを提供することである。本発明のさらなる目的は、難水溶性薬剤を含むかかるキトサン−キサンタンヒドロゲルの調製のためのプロセスばかりでなく、かかるキトサン−キサンタンヒドロゲルの調製のためのプロセスを開示することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明により、一般に、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法が提供される。この調節は、キサンタン−キトサンヒドロゲルにより提供される親水性マトリックス中における、薬剤の含有により達成される。ヒドロゲル中に含まれる薬剤の量は、調製中に添加される薬剤の量により、50%(w/w)までの比率に到達してもよい。薬剤含有の平均効率は、一般に60から90%の範囲である。ヒドロゲル中に含まれる薬剤の溶解挙動は、ヒドロゲルの構造に依存し、主としてキトサンの特徴、すなわち、分子量(MW)およびアセチル化の程度(DA)に依存する。
【0008】
本発明によると、難水溶性薬剤の溶解挙動を調節可能な難水溶性薬剤を含む新規の重合マトリックスまたはヒドロゲルを調製するための方法が提供される。当該方法は薬剤の分散およびゲルの形成の工程を含む。
【0009】
本発明によると、さらに明確には、ヒドロゲルの調製に使用される未処理のキサンタンおよびキトサン物質の適切な特徴を選択することにより調製され得るpH−感応性のマトリックスを提供するばかりでなく、溶解媒体のpHから独立して作用するシステムが提供される。
【0010】
難水溶性薬剤、キトサンおよびキサンタンを含む組成物は、本発明のさらなる目的である。四つの薬剤、すなわち、フェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシンは、可溶化速度の向上に努めて、キサンタン−キトサンヒドロゲルに組み入れられる難水溶性薬剤のモデルとして使用される。
【0011】
本発明によると、ヒドロゲルが水性媒体中で膨張した際に少なくとも部分的に可溶化されかつそこから放出可能になる難水溶性薬剤を、そのマトリックス中に含むキトサン−キトサンヒドロゲルを含む薬剤送達システムが提供される。
【0012】
本発明によると、溶液を形成するために適切な溶剤中に難水溶性薬剤を溶かし、分散物を形成するためにその溶液をキサンタン溶液に添加し、当該分散物をキトサン溶液に添加し、結果として生じるヒドロゲルを回復することを含む難水溶性薬剤送達システムを調製するための方法が提供される。
【0013】
本発明によると、可溶化速度を制御するキトサン−キサンタン微細構造からなるヒドロゲル中に難水溶性薬剤を含める工程を含む、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節するための方法も提供される。
【0014】
ここで使用される用語「難水溶性薬剤」は、薬剤の1gを溶かすのに10000mLよりも多く要する薬剤を指す。
【0015】
ここで使用される用語「約」は、名目値から+/−5%の変化の度合いを指す。特に言及しない限り、かかる変化の度合いは、以下に与えられたあらゆる数値に常に含まれていると解される。
【0016】
ここで使用される用語「遅い放出(緩効性)」は、当該技術分野において公知であり、15分で薬剤含量を50%より少なく放出することに関する。
【0017】
ここで使用される用語「早い放出(速放性)」は、当業者に公知であり、15分で薬剤含量の50%またはそれよりも多く放出することに関する。
【0018】
本発明の他の目的、利点および特徴は、単に例示的にのみ与えられた添付の図面を参照しながら、それらの好ましい実施態様の以下の非限定的な記述を読むことでいっそう明白になるであろう。
【0019】
本発明の枠組みに拘束されるものの、本発明によりカバーされる領域に特化されるものは、確実に、好ましい実施態様に記載の細部に調節または適応を施すことができよう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定の媒体に対する難水溶性薬剤の溶解速度を調節し、適合させる能力を有する、「インテリジェント」ヒドロゲルを調製するための方法を記載する。当該方法が、難水溶性薬剤の溶解速度を高めるのに効果的であることが示された。
【0021】
ヒドロゲルの使用により難水溶性薬剤の溶解速度を調節する最も重要な利点の一つは、あらゆる化学的または機械的操作をすることなく、薬剤の粒子サイズを調節できること、非晶質と結晶質との状態を調節できること、およびヒドロゲルマトリックス中のその分散を調節できることであり、薬剤の化学構造に対するいかなる調節も導入されることがないことを確実にする。
【0022】
本発明のヒドロゲルは、二つの天然ポリマー、キトサンおよびキサンタンから成る。これらの二つの天然ポリマーは、マトリックス調製のための原料を含む。凍結乾燥したヒドロゲルの走査電子顕微鏡検査は、10−7から10−6mの範囲の細孔サイズを有する、多孔性および小繊維状の構造の存在を明らかにした。小繊維は、約10−7mの大きさを有することを示した。外面および内部の走査電子顕微鏡の画像は図1に示されている。
【0023】
本発明において、四つの薬剤、フェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシンは、難水溶性薬剤のモデルとして使用される。
【0024】
本発明で使用される難水溶性薬剤の概説
フェノフィブラート
フェノフィブラートは、フィブリン酸から誘導されるエステルであり、コレステロールおよびトリグリセリドの血漿濃度を低減するのに使用される、わずかに可溶性の薬剤である11。その可溶性は、溶解媒体のpHにより影響を受けない。様々な研究が、フィノフィブラートの溶解特性を高めることを目的とする方法を報告している。報告された一部の方法は、本来的な分子分散物を形成する目的で、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリビニルピロリドン(PVP)に薬剤を分散させることを伴う12 、 13。別の方法は、シクロデキストリンによる含有/複合化システムを開示し、さらに別の方法は、超臨界的な二酸化炭素を使用する微粉状化を伴う。
【0025】
本発明で開示されているように、ヒドロゲルにフェノフィブラートを組み入れることによって、その可溶性の性質の調節が可能である。当該調節が容易であるのは、実際、ヒドロゲルマトリックスによる膨張分散を伴うプロセスによって、ヒドロゲルが薬剤を送達するためである。膨張分散パターンの変化は、異なるヒドロゲル製剤の挙動によるものである。
【0026】
ウルソデオキシコール酸
コレステロール胆石の溶解に使用される薬剤。当該化合物は、pH値7.0以下で低い水溶性を有する。ウルソデオキシコール酸の溶解速度を高めるために、セルロースおよびデンプン誘導体ばかりでなく、ポリエチレングリコール、尿素、マンニトールのような水溶性キャリアーを使用して、混合、製粉、および溶剤蒸発等の固形分散物の調製のための様々な技術が報告されてきた16−18。
【0027】
ニフェジピン
狭心症および高血圧の治療に使用される難水溶性薬剤。その難水溶性のため、その吸収作用は、その溶解速度により制限される。ニフェジピンの可溶性を高めようとする様々な方法が調査されてきた。かかる方法は、ポリマーによる固形分散物の形成、およびシクロデキストリンによる包接複合体の調製を含む19−23。
【0028】
インドメタシン
有効な難水溶性非ステロイド抗炎症性薬剤。その難水溶性のため、経口投与は、しばしば胃の痛みを引き起こす。インドメタシンの可溶性の増進および制御は、有害な副作用を避け、または低下させる可能性がある。ポリスチレン微粒子の使用、タブレットに新規のキトサンをベースとする賦形剤の使用、共溶剤およびシクロデキストリンの使用等、インドメタシンの可溶性を高めようとするシステムが、最近になって研究されてきた24−27。
【0029】
薬剤の濃度を測定し、ヒドロゲルを特徴づけるのに使用される分析方法
フェノフィブラート、ニフェジピン、およびインドメタシンの分光学的定量
種々のヒドロゲル調製物またはin vitro溶解試験における薬剤含量の定量を、分光光度計により測定する(UV−Vis分光光度計)。フェノフィブラートの濃度は289nmで測定し、ニフェジピンの濃度は340nm、インドメタシンの濃度は320nmで測定する。観察された吸光度のデータを、対応する媒体中で実験的に得られる標準曲線(R2=0.999)を使用して、濃度値に変換する。
【0030】
ウルソデオキシコール酸のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による定量
種々のヒドロゲル調製物またはin vitro溶解試験における薬剤含量の定量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する。当該分離は、定組成条件下でメタノール−水−リン酸(77:22.4:0.6 v/v/v)から成る移動相で溶出される5μm Luna C−18(2)カラム(250×4.6mm i.d.)中で行う。分析は、1.0ml/min.の流速で、20μLの注入量で、室温で行う。ウルソデオキシコール酸は、屈折率検出器により検出する。
【0031】
薬剤含量の測定
次の方法は、ヒドロゲル中のフェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシン含量の測定にも使用される。正確に量ったヒドロゲルを、遠心管に導入し、一時間に渡り撹拌しながら特定の溶剤で抽出する。抽出段階の次に、サンプルを遠心分離機にかけ、濾過し、適当に薄め、分析する。各測定を二回重複して行う。
【0032】
ヒドロゲルの水分摂取能力の評価
正確に量った100mgのヒドロゲルを、室温で、30mLの水を含む遠心管に入れた。当該チューブを、ヒドロゲルを完全に湿らすために、繰り返し転倒させた。2時間後、ヒドロゲルを、遠心分離およびデカンテーションによりチューブから取り出した。ヒドロゲルを水切りさせて、再び量った。重量の増加は、ヒドロゲルにより吸収された水の重量を表す。水の吸収能力(α)を、等式1で示したように、吸収した水の重量の乾燥したヒドロゲルに対する割合として算出した。
【数1】
【0033】
ヒドロゲルからの薬剤溶解速度の測定
a)in vitro溶解試験:回転パドル装置
溶解試験を37℃で回転パドル装置で行い、回転速度を試験される薬剤により調節した。溶解試験を、800mLの量の:a)0.5%のTween80を含むリン酸カリウム緩衝液(pH7.4);b)0.5%のTween80を含む塩酸緩衝液(pH1.2);c)ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N);d)リン酸カリウム緩衝液(pH7.4);e)リン酸カリウム緩衝液(pH6.2)を使用して異なる媒体で行った。試験開始後(すなわち、サンプルの装置への挿入後)、一定の時間間隔で、アリコート(2mL)を試験媒体から取り出し、その量を維持するために新しい媒体で直ちに置換した。取り出したサンプルを、適当な希釈後に、試験した薬剤に依存して、分光光度計または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のいづれかにより分析した。溶解の結果を、時間に対する溶解される薬剤の累積パーセンテージとして記録した。
【0034】
b)in vitro溶解試験:連続フローセル装置
溶解試験を、連続フローセル装置中で37℃で行うが、流動速度は試験される薬剤に依存する。溶解試験を、800mLの量のラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N)中で行った。指摘した時間に、アリコート(2mL)を取り出し、分光高度計で分析した。溶解の結果を、時間に対する溶解される薬剤の累積量(mg)として記録した。
【0035】
走査電子顕微鏡(SEM)
サンプルの表面を走査電子顕微鏡で検査した。分析のために、凍結乾燥ヒドロゲルをSEMホルダーに固定し、Au−Pdで覆った。
【0036】
これらの薬剤およびそれらの監視方法が、キトサン−キサンタンベースのヒドロゲルが、難水溶性薬剤の可溶性を高めるために難水溶性薬剤と組み合わせられる可能性があることを証明するのに使用された。薬剤放出の動力学は、薬剤の維持力および放出速度を統治するキトサンの適切な特徴(MWおよびDA)を選択することにより調節されてもよい。
【0037】
【実施例】
実施例1:フェノフィブラート緩効性溶解システム
フェノフィブラート緩効性溶解ヒドロゲルの調製のプロセスを例証した。産物を、a)フェノフィブラート含量、b)水分摂取能力、c)in vitro溶解試験およびd)走査電子顕微鏡によって特徴決定した。
【0038】
緩効性システムを調製するために、高分子量を有するキトサンを選択した(MW:1100000Da;DA:23%)。ヒドロゲルを二つの工程のプロセスに従って調製した。第一工程で、フェノフィブラート(2g)をエタノール(100mL)に溶解し、その後、それを強力な撹拌状態で水性キサンタン溶液(0.65%(w/v)の300mL)に添加した。この時点で、薬剤の等質的な分散物を形成した。第二工程は、ヒドロゲルの形成を伴い、これは、薬剤−キサンタン分散物を高分子量水性キトサン溶液(0.65%(w/v)の250mL)に添加することにより達成した。混合物を2時間撹拌し、その後水で完全に洗浄した。最終産物である乾燥ゲルを、凍結乾燥後に得た。
【0039】
先に記載した手順に従って抽出溶剤としてエタノールを使用し、約40%(w/w)のヒドロゲル中のフェノフィブラート含量を測定した。水摂取能力「α」が2700であることを確かめた。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを使用して、異なる溶解媒体で37℃で行った。図2に示されるように、その結果は、pHと無関係に、フェノフィブラートに関して緩効性溶解速度を示した。
【0040】
フェノフィブラートが結晶性の薬剤である一方、フェノフィブラートを含む凍結乾燥ヒドロゲルは白色を示す非弾性粉末である。走査電子顕微鏡による表面分析は、薬剤をヒドロゲルに組み入れることがミクロンのオーダーの大きさを有する薬剤微細構造の形成を促進することを示した。ヒドロゲルおよびフェノフィブラートを含むヒドロゲルの写真を、図3に示した。
【0041】
実施例2:フェノフィブラート速放性溶解システム
フェノフィブラート速放性溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、高分子量のキトサン(MW:800000Da;DA:25%)への媒体の使用を除いて、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0042】
フェノフィブラート含量が約40%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図4に示されるように、その結果は、pHと無関係にフェノフィブラートに関する速放性を示した。
【0043】
実施例3:フェノフィブラート即効性システム
即効性フェノフィブラート溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、中間分子量のキトサン(MW:540000Da;DA:23%)の使用を除いて、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0044】
フェノフィブラート含量が約28%(w/w)で、水摂取能力(α)は1600であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図5に示されるように、その結果は、pHと無関係にフェノフィブラートの本質的に速効性の放出を示した。
【0045】
実施例4:フェノフィブラートpH反応性溶解システム
pH反応性フェノフィブラート溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、低い程度のアセチル化を有する中間高分子量のキトサン(MW:800 000 Da;DA:18%)の使用を除き、かつ撹拌時間を45分に減らし、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0046】
フェノフィブラート含量が約28%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図6で示されているように、その結果は、当該システムが、pH1.2で速い溶解速度システムになる一方で、pH7.4で低い溶解速度を有することを示した。
【0047】
実施例5:薬剤含量の変更
種々のフェノフィブラート含量でヒドロゲルを調製するプロセスを例証した。必要とされる組成物に依存して調製中に添加されるフェノフィブラートの総量を変更したことを除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。中間分子量キトサン(MW:540000Da;DA:23%)をヒドロゲルの調製に使用した。異なるサンプルに組み入れられたフェノフィブラート含量を表1にまとめた。
【表1】
【0048】
サンプル中の薬剤含量は20から40%(w/w)と様々である。溶解試験を、ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N)中で、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて行った。図7に示されるように、その結果は、溶解速度が薬剤含量とは無関係であることを示した。
【0049】
実施例6:ウルソデオキシコール酸の緩効性溶解システム
ウルソデオキシコール酸の緩効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのウルソデオキシコール酸の使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0050】
ウルソデオキシコール酸含量が約30%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。溶解試験を、150mg当量のウルソデオキシコール酸を含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃行った。図8に示されるように、その結果は、ウルソデオキシコール酸に関して緩効性溶解速度を示した。
【0051】
実施例7:ウルソデオキシコール酸の速放性溶解システム
ウルソデオキシコール酸の速放性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのウルソデオキシコール酸の使用を除いて、ヒドロゲルを実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0052】
ウルソデオキシコール酸含量は約20%(w/w)で、水摂取能力(α)が2000であった。溶解試験を、150mg当量のウルソデオキシコール酸を含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃行った。図8に示されるように、その結果は、ウルソデオキシコール酸に関して速放性の溶解速度を示した。
【0053】
実施例8:ニフェジピンの緩効性速度溶解システム*
ニフェジピンの緩効性速度溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのニフェジピンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0054】
ニフェジピン含量が約35%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。30mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、溶解試験を二つの異なる溶解媒体中で37℃で行った。図9で示しているように、その結果は、ニフェジピンに関して緩効性溶解速度を示した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0055】
実施例9:ニフェジピンの速効性溶解システム*
ニフェジピンの速効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのニフェジピンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0056】
ニフェジピン含量が約30%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。30mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、溶解試験を二つの異なる溶解媒体中で37℃で行った。図10に示しているように、その結果は、ニフェジピンに関して速効性溶解速度を示した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0057】
実施例10:連続フローセル装置で試験したニフェジピンヒドロゲル
連続フローセル装置でのニフェジピンヒドロゲルの溶解試験を例証した。試験したサンプル中のニフェジピン含量は、24から40%(w/w)と様々である。
【0058】
溶解試験を、6.19mL/minの流速で、40mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N)中で37℃で行った。図11に示しているように、溶解結果を、時間に対して溶解される薬剤の累積量(mg)として記録した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0059】
実施例11:インドメタシンの緩効性溶解システム
インドメタシンの緩効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのインドメタシンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0060】
インドメタシン含量が約45%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。溶解試験を、30mg当量のインドメタシンを含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃で行った。図12に示しているように、その結果は、インドメタシンに関して緩効性溶解速度を示した。
【0061】
実施例12:インドメタシンの速効性溶解システム
インドメタシンの速効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのインドメタシンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0062】
インドメタシン含量が約35%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、30mg当量のインドメタシンを含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃で行った。図12に示しているように、その結果は、インドメタシンに関して速効性溶解速度を示した。
【0063】
本発明により調製した、ヒドロゲルの製造に関する上限および下限を表2に示す。
【表2】
【0064】
好ましい実施態様において、本発明のヒドロゲルは、約18から35重量%のキトサン、約32から55重量%のキサンタン、約10から50重量%の難水溶性薬剤を含むであろう。キトサンのアセチル化の度合い(DA)は、一般に約10から約30%の範囲である。
【0065】
高分子量のキトサンは、通常、約900000Daから約1200000Daの範囲から選択される;中間高分子量キトサンは、通常、約700000Daから約900000Daの範囲から選択される;そして中間分子量キトサンは、通常、約400000Daから約700000Daの範囲から選択される。
【0066】
ここで使用される用語および記述は、例示のためのみに記載された好ましい実施態様であり、本発明の実施において当業者が可能であると認めるであろう多くの変更に関する制限と意図されるものではない。現在公知か未知かによらず、本発明が機能するに直接的かつ物質的な影響を与えないあらゆる可能な変形も、特許請求の範囲にカバーされていると意図する。
「参考文献」
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なヒドロゲルの(a)外面(40000X)および(b)内面(60000X)の走査電子顕微鏡の写像である。
【図2】緩効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:40%;キトサン(MW:1100000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図3】ヒドロゲルおよび35%のフェノフィブラートを含むヒドロゲルの走査電子顕微鏡の写像である:
(a)ヒドロゲル(2500X)
(b)フェノフィブラートを含むヒドロゲル(2500X)
(c)ヒドロゲル(5000X)
(d)フェノフィブラートを含むヒドロゲル(5000X)。
【図4】速効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:40%;キトサン(MW:800000Da;DA:25%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図5】即効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:28%;キトサン(MW:540000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図6】pH−感応性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:28%;キトサン(MW:800000Da;DA:18%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図7】種々のフェノフィブラート含量を有するシステムおよびフリーのフェノフィブラートの溶解プロフィールである。キトサン(MW:540000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mLのラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N);回転速度:55−60rpm。
【図8】ウルソデオキシコール酸システムおよびフリーの純粋なウルソデオキシコール酸の溶解プロフィールである。溶解媒体:pH6.2のリン酸カリウム緩衝液;回転速度:55−60rpm。
【図9】緩効性ニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。ニフェジピン含量:35%;キトサン(MW:1100000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:53−55rpm。
【図10】速効性ニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。ニフェジピン含量:30%;キトサン(MW:800000Da;DA:25%)。溶解媒体:800mL;回転速度:53−55rpm。
【図11】連続フローセル装置におけるニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。溶解媒体:800mLのラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N);流速:6.19mL/min。
【図12】インドメタシンシステムおよびフリーの純粋なインドメタシンの溶解プロフィールである。溶解媒体:pH6.2のリン酸カリウム緩衝液;回転速度:73−75rpm。
【発明の属する技術分野】
本発明は、キトサン−キサンタンヒドロゲルを使用して、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法に関する。さらに、本発明は、難水溶性薬剤を含むヒドロゲルの調製ばかりでなく、キトサン−キサンタンヒドロゲルの調製プロセスにも関する。
【0002】
【従来の技術】
薬剤の可溶性は、新薬製剤の開発における共通の制限である。米国薬局方に掲載されている三分の一を越える薬剤が、水の中で難可溶性または不溶性のいずれかであるとすれば1、これは驚くべきことではないであろう。さらに、多くの薬剤に関して、胃腸管内での吸収の速度制限工程が、その溶解であることは公知である2。
【0003】
難可溶性薬剤の溶解速度を高め、そのバイオアベイラビリティーを増大させるために、様々な技術が開発されてきた。一般的な選択としては、特定の製剤化のアプローチによる可溶性の改良である3。かかるアプローチの一つは、非晶質の形態の薬剤を調製すること、すなわち、多孔性の粉末のような一定の添加物の存在下で薬剤を細かく砕くことである4。しかしながら、非晶質の物質は、熱力学的に不安定であり、貯蔵中に結晶の形態に戻る傾向がある5。別の技術は、薬剤と溶剤との接触面の増大を意図する、粒子サイズの低減に基づくものである1。粒子サイズの不十分な制御は、凝集作用により可溶化速度の変化をもたらすことができる。一部の場合、粒子サイズの広範な分布は、胃の出血およびむかつきのような副作用を伴う可能性がある。さらに、薬剤の溶解速度を高めるための別のアプローチは、界面活性剤と湿潤剤の添加または水溶性キャリアー中での固形の薬剤分散物の形成を伴う。
【0004】
ヒドロゲルは、大量の水を保持することが可能な三次元構造である。それらは、正反対に帯電したイオン性ポリマーの相互作用により形成することができる。キトサン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチンおよびキサンタンのような一部の本来的なポリイオンは、ヒドロゲルの調製に使用されており、その中に生物活性物質および酵素が導入されていた7−10。
【0005】
難水溶性薬剤の可溶化速度を向上させることが可能な方法を開発する必要が依然としてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、難水溶性薬剤の可溶化速度の調節可能なシステムとしての使用のためのキトサン−キサンタンヒドロゲルを提供することである。本発明のさらなる目的は、難水溶性薬剤を含むかかるキトサン−キサンタンヒドロゲルの調製のためのプロセスばかりでなく、かかるキトサン−キサンタンヒドロゲルの調製のためのプロセスを開示することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明により、一般に、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法が提供される。この調節は、キサンタン−キトサンヒドロゲルにより提供される親水性マトリックス中における、薬剤の含有により達成される。ヒドロゲル中に含まれる薬剤の量は、調製中に添加される薬剤の量により、50%(w/w)までの比率に到達してもよい。薬剤含有の平均効率は、一般に60から90%の範囲である。ヒドロゲル中に含まれる薬剤の溶解挙動は、ヒドロゲルの構造に依存し、主としてキトサンの特徴、すなわち、分子量(MW)およびアセチル化の程度(DA)に依存する。
【0008】
本発明によると、難水溶性薬剤の溶解挙動を調節可能な難水溶性薬剤を含む新規の重合マトリックスまたはヒドロゲルを調製するための方法が提供される。当該方法は薬剤の分散およびゲルの形成の工程を含む。
【0009】
本発明によると、さらに明確には、ヒドロゲルの調製に使用される未処理のキサンタンおよびキトサン物質の適切な特徴を選択することにより調製され得るpH−感応性のマトリックスを提供するばかりでなく、溶解媒体のpHから独立して作用するシステムが提供される。
【0010】
難水溶性薬剤、キトサンおよびキサンタンを含む組成物は、本発明のさらなる目的である。四つの薬剤、すなわち、フェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシンは、可溶化速度の向上に努めて、キサンタン−キトサンヒドロゲルに組み入れられる難水溶性薬剤のモデルとして使用される。
【0011】
本発明によると、ヒドロゲルが水性媒体中で膨張した際に少なくとも部分的に可溶化されかつそこから放出可能になる難水溶性薬剤を、そのマトリックス中に含むキトサン−キトサンヒドロゲルを含む薬剤送達システムが提供される。
【0012】
本発明によると、溶液を形成するために適切な溶剤中に難水溶性薬剤を溶かし、分散物を形成するためにその溶液をキサンタン溶液に添加し、当該分散物をキトサン溶液に添加し、結果として生じるヒドロゲルを回復することを含む難水溶性薬剤送達システムを調製するための方法が提供される。
【0013】
本発明によると、可溶化速度を制御するキトサン−キサンタン微細構造からなるヒドロゲル中に難水溶性薬剤を含める工程を含む、難水溶性薬剤の可溶化速度を調節するための方法も提供される。
【0014】
ここで使用される用語「難水溶性薬剤」は、薬剤の1gを溶かすのに10000mLよりも多く要する薬剤を指す。
【0015】
ここで使用される用語「約」は、名目値から+/−5%の変化の度合いを指す。特に言及しない限り、かかる変化の度合いは、以下に与えられたあらゆる数値に常に含まれていると解される。
【0016】
ここで使用される用語「遅い放出(緩効性)」は、当該技術分野において公知であり、15分で薬剤含量を50%より少なく放出することに関する。
【0017】
ここで使用される用語「早い放出(速放性)」は、当業者に公知であり、15分で薬剤含量の50%またはそれよりも多く放出することに関する。
【0018】
本発明の他の目的、利点および特徴は、単に例示的にのみ与えられた添付の図面を参照しながら、それらの好ましい実施態様の以下の非限定的な記述を読むことでいっそう明白になるであろう。
【0019】
本発明の枠組みに拘束されるものの、本発明によりカバーされる領域に特化されるものは、確実に、好ましい実施態様に記載の細部に調節または適応を施すことができよう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定の媒体に対する難水溶性薬剤の溶解速度を調節し、適合させる能力を有する、「インテリジェント」ヒドロゲルを調製するための方法を記載する。当該方法が、難水溶性薬剤の溶解速度を高めるのに効果的であることが示された。
【0021】
ヒドロゲルの使用により難水溶性薬剤の溶解速度を調節する最も重要な利点の一つは、あらゆる化学的または機械的操作をすることなく、薬剤の粒子サイズを調節できること、非晶質と結晶質との状態を調節できること、およびヒドロゲルマトリックス中のその分散を調節できることであり、薬剤の化学構造に対するいかなる調節も導入されることがないことを確実にする。
【0022】
本発明のヒドロゲルは、二つの天然ポリマー、キトサンおよびキサンタンから成る。これらの二つの天然ポリマーは、マトリックス調製のための原料を含む。凍結乾燥したヒドロゲルの走査電子顕微鏡検査は、10−7から10−6mの範囲の細孔サイズを有する、多孔性および小繊維状の構造の存在を明らかにした。小繊維は、約10−7mの大きさを有することを示した。外面および内部の走査電子顕微鏡の画像は図1に示されている。
【0023】
本発明において、四つの薬剤、フェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシンは、難水溶性薬剤のモデルとして使用される。
【0024】
本発明で使用される難水溶性薬剤の概説
フェノフィブラート
フェノフィブラートは、フィブリン酸から誘導されるエステルであり、コレステロールおよびトリグリセリドの血漿濃度を低減するのに使用される、わずかに可溶性の薬剤である11。その可溶性は、溶解媒体のpHにより影響を受けない。様々な研究が、フィノフィブラートの溶解特性を高めることを目的とする方法を報告している。報告された一部の方法は、本来的な分子分散物を形成する目的で、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリビニルピロリドン(PVP)に薬剤を分散させることを伴う12 、 13。別の方法は、シクロデキストリンによる含有/複合化システムを開示し、さらに別の方法は、超臨界的な二酸化炭素を使用する微粉状化を伴う。
【0025】
本発明で開示されているように、ヒドロゲルにフェノフィブラートを組み入れることによって、その可溶性の性質の調節が可能である。当該調節が容易であるのは、実際、ヒドロゲルマトリックスによる膨張分散を伴うプロセスによって、ヒドロゲルが薬剤を送達するためである。膨張分散パターンの変化は、異なるヒドロゲル製剤の挙動によるものである。
【0026】
ウルソデオキシコール酸
コレステロール胆石の溶解に使用される薬剤。当該化合物は、pH値7.0以下で低い水溶性を有する。ウルソデオキシコール酸の溶解速度を高めるために、セルロースおよびデンプン誘導体ばかりでなく、ポリエチレングリコール、尿素、マンニトールのような水溶性キャリアーを使用して、混合、製粉、および溶剤蒸発等の固形分散物の調製のための様々な技術が報告されてきた16−18。
【0027】
ニフェジピン
狭心症および高血圧の治療に使用される難水溶性薬剤。その難水溶性のため、その吸収作用は、その溶解速度により制限される。ニフェジピンの可溶性を高めようとする様々な方法が調査されてきた。かかる方法は、ポリマーによる固形分散物の形成、およびシクロデキストリンによる包接複合体の調製を含む19−23。
【0028】
インドメタシン
有効な難水溶性非ステロイド抗炎症性薬剤。その難水溶性のため、経口投与は、しばしば胃の痛みを引き起こす。インドメタシンの可溶性の増進および制御は、有害な副作用を避け、または低下させる可能性がある。ポリスチレン微粒子の使用、タブレットに新規のキトサンをベースとする賦形剤の使用、共溶剤およびシクロデキストリンの使用等、インドメタシンの可溶性を高めようとするシステムが、最近になって研究されてきた24−27。
【0029】
薬剤の濃度を測定し、ヒドロゲルを特徴づけるのに使用される分析方法
フェノフィブラート、ニフェジピン、およびインドメタシンの分光学的定量
種々のヒドロゲル調製物またはin vitro溶解試験における薬剤含量の定量を、分光光度計により測定する(UV−Vis分光光度計)。フェノフィブラートの濃度は289nmで測定し、ニフェジピンの濃度は340nm、インドメタシンの濃度は320nmで測定する。観察された吸光度のデータを、対応する媒体中で実験的に得られる標準曲線(R2=0.999)を使用して、濃度値に変換する。
【0030】
ウルソデオキシコール酸のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による定量
種々のヒドロゲル調製物またはin vitro溶解試験における薬剤含量の定量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する。当該分離は、定組成条件下でメタノール−水−リン酸(77:22.4:0.6 v/v/v)から成る移動相で溶出される5μm Luna C−18(2)カラム(250×4.6mm i.d.)中で行う。分析は、1.0ml/min.の流速で、20μLの注入量で、室温で行う。ウルソデオキシコール酸は、屈折率検出器により検出する。
【0031】
薬剤含量の測定
次の方法は、ヒドロゲル中のフェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシン含量の測定にも使用される。正確に量ったヒドロゲルを、遠心管に導入し、一時間に渡り撹拌しながら特定の溶剤で抽出する。抽出段階の次に、サンプルを遠心分離機にかけ、濾過し、適当に薄め、分析する。各測定を二回重複して行う。
【0032】
ヒドロゲルの水分摂取能力の評価
正確に量った100mgのヒドロゲルを、室温で、30mLの水を含む遠心管に入れた。当該チューブを、ヒドロゲルを完全に湿らすために、繰り返し転倒させた。2時間後、ヒドロゲルを、遠心分離およびデカンテーションによりチューブから取り出した。ヒドロゲルを水切りさせて、再び量った。重量の増加は、ヒドロゲルにより吸収された水の重量を表す。水の吸収能力(α)を、等式1で示したように、吸収した水の重量の乾燥したヒドロゲルに対する割合として算出した。
【数1】
【0033】
ヒドロゲルからの薬剤溶解速度の測定
a)in vitro溶解試験:回転パドル装置
溶解試験を37℃で回転パドル装置で行い、回転速度を試験される薬剤により調節した。溶解試験を、800mLの量の:a)0.5%のTween80を含むリン酸カリウム緩衝液(pH7.4);b)0.5%のTween80を含む塩酸緩衝液(pH1.2);c)ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N);d)リン酸カリウム緩衝液(pH7.4);e)リン酸カリウム緩衝液(pH6.2)を使用して異なる媒体で行った。試験開始後(すなわち、サンプルの装置への挿入後)、一定の時間間隔で、アリコート(2mL)を試験媒体から取り出し、その量を維持するために新しい媒体で直ちに置換した。取り出したサンプルを、適当な希釈後に、試験した薬剤に依存して、分光光度計または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のいづれかにより分析した。溶解の結果を、時間に対する溶解される薬剤の累積パーセンテージとして記録した。
【0034】
b)in vitro溶解試験:連続フローセル装置
溶解試験を、連続フローセル装置中で37℃で行うが、流動速度は試験される薬剤に依存する。溶解試験を、800mLの量のラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N)中で行った。指摘した時間に、アリコート(2mL)を取り出し、分光高度計で分析した。溶解の結果を、時間に対する溶解される薬剤の累積量(mg)として記録した。
【0035】
走査電子顕微鏡(SEM)
サンプルの表面を走査電子顕微鏡で検査した。分析のために、凍結乾燥ヒドロゲルをSEMホルダーに固定し、Au−Pdで覆った。
【0036】
これらの薬剤およびそれらの監視方法が、キトサン−キサンタンベースのヒドロゲルが、難水溶性薬剤の可溶性を高めるために難水溶性薬剤と組み合わせられる可能性があることを証明するのに使用された。薬剤放出の動力学は、薬剤の維持力および放出速度を統治するキトサンの適切な特徴(MWおよびDA)を選択することにより調節されてもよい。
【0037】
【実施例】
実施例1:フェノフィブラート緩効性溶解システム
フェノフィブラート緩効性溶解ヒドロゲルの調製のプロセスを例証した。産物を、a)フェノフィブラート含量、b)水分摂取能力、c)in vitro溶解試験およびd)走査電子顕微鏡によって特徴決定した。
【0038】
緩効性システムを調製するために、高分子量を有するキトサンを選択した(MW:1100000Da;DA:23%)。ヒドロゲルを二つの工程のプロセスに従って調製した。第一工程で、フェノフィブラート(2g)をエタノール(100mL)に溶解し、その後、それを強力な撹拌状態で水性キサンタン溶液(0.65%(w/v)の300mL)に添加した。この時点で、薬剤の等質的な分散物を形成した。第二工程は、ヒドロゲルの形成を伴い、これは、薬剤−キサンタン分散物を高分子量水性キトサン溶液(0.65%(w/v)の250mL)に添加することにより達成した。混合物を2時間撹拌し、その後水で完全に洗浄した。最終産物である乾燥ゲルを、凍結乾燥後に得た。
【0039】
先に記載した手順に従って抽出溶剤としてエタノールを使用し、約40%(w/w)のヒドロゲル中のフェノフィブラート含量を測定した。水摂取能力「α」が2700であることを確かめた。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを使用して、異なる溶解媒体で37℃で行った。図2に示されるように、その結果は、pHと無関係に、フェノフィブラートに関して緩効性溶解速度を示した。
【0040】
フェノフィブラートが結晶性の薬剤である一方、フェノフィブラートを含む凍結乾燥ヒドロゲルは白色を示す非弾性粉末である。走査電子顕微鏡による表面分析は、薬剤をヒドロゲルに組み入れることがミクロンのオーダーの大きさを有する薬剤微細構造の形成を促進することを示した。ヒドロゲルおよびフェノフィブラートを含むヒドロゲルの写真を、図3に示した。
【0041】
実施例2:フェノフィブラート速放性溶解システム
フェノフィブラート速放性溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、高分子量のキトサン(MW:800000Da;DA:25%)への媒体の使用を除いて、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0042】
フェノフィブラート含量が約40%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図4に示されるように、その結果は、pHと無関係にフェノフィブラートに関する速放性を示した。
【0043】
実施例3:フェノフィブラート即効性システム
即効性フェノフィブラート溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、中間分子量のキトサン(MW:540000Da;DA:23%)の使用を除いて、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0044】
フェノフィブラート含量が約28%(w/w)で、水摂取能力(α)は1600であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図5に示されるように、その結果は、pHと無関係にフェノフィブラートの本質的に速効性の放出を示した。
【0045】
実施例4:フェノフィブラートpH反応性溶解システム
pH反応性フェノフィブラート溶解システムの調製のプロセスを例証した。ヒドロゲルを、低い程度のアセチル化を有する中間高分子量のキトサン(MW:800 000 Da;DA:18%)の使用を除き、かつ撹拌時間を45分に減らし、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0046】
フェノフィブラート含量が約28%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて、異なる溶解媒体で37℃で行った。図6で示されているように、その結果は、当該システムが、pH1.2で速い溶解速度システムになる一方で、pH7.4で低い溶解速度を有することを示した。
【0047】
実施例5:薬剤含量の変更
種々のフェノフィブラート含量でヒドロゲルを調製するプロセスを例証した。必要とされる組成物に依存して調製中に添加されるフェノフィブラートの総量を変更したことを除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。中間分子量キトサン(MW:540000Da;DA:23%)をヒドロゲルの調製に使用した。異なるサンプルに組み入れられたフェノフィブラート含量を表1にまとめた。
【表1】
【0048】
サンプル中の薬剤含量は20から40%(w/w)と様々である。溶解試験を、ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N)中で、20mg当量のフェノフィブラートを含むサンプルを用いて行った。図7に示されるように、その結果は、溶解速度が薬剤含量とは無関係であることを示した。
【0049】
実施例6:ウルソデオキシコール酸の緩効性溶解システム
ウルソデオキシコール酸の緩効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのウルソデオキシコール酸の使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0050】
ウルソデオキシコール酸含量が約30%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。溶解試験を、150mg当量のウルソデオキシコール酸を含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃行った。図8に示されるように、その結果は、ウルソデオキシコール酸に関して緩効性溶解速度を示した。
【0051】
実施例7:ウルソデオキシコール酸の速放性溶解システム
ウルソデオキシコール酸の速放性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのウルソデオキシコール酸の使用を除いて、ヒドロゲルを実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0052】
ウルソデオキシコール酸含量は約20%(w/w)で、水摂取能力(α)が2000であった。溶解試験を、150mg当量のウルソデオキシコール酸を含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃行った。図8に示されるように、その結果は、ウルソデオキシコール酸に関して速放性の溶解速度を示した。
【0053】
実施例8:ニフェジピンの緩効性速度溶解システム*
ニフェジピンの緩効性速度溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのニフェジピンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0054】
ニフェジピン含量が約35%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。30mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、溶解試験を二つの異なる溶解媒体中で37℃で行った。図9で示しているように、その結果は、ニフェジピンに関して緩効性溶解速度を示した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0055】
実施例9:ニフェジピンの速効性溶解システム*
ニフェジピンの速効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのニフェジピンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0056】
ニフェジピン含量が約30%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。30mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、溶解試験を二つの異なる溶解媒体中で37℃で行った。図10に示しているように、その結果は、ニフェジピンに関して速効性溶解速度を示した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0057】
実施例10:連続フローセル装置で試験したニフェジピンヒドロゲル
連続フローセル装置でのニフェジピンヒドロゲルの溶解試験を例証した。試験したサンプル中のニフェジピン含量は、24から40%(w/w)と様々である。
【0058】
溶解試験を、6.19mL/minの流速で、40mg当量のニフェジピンを含むサンプルを用いて、ラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N)中で37℃で行った。図11に示しているように、溶解結果を、時間に対して溶解される薬剤の累積量(mg)として記録した。
*ニフェジピンによる調製および試験を、ニフェジピンの光分解を防ぐために、光保護状況下で行った。
【0059】
実施例11:インドメタシンの緩効性溶解システム
インドメタシンの緩効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのインドメタシンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例1に記載されている方法と同じように調製した。
【0060】
インドメタシン含量が約45%(w/w)で、水摂取能力(α)は2800であった。溶解試験を、30mg当量のインドメタシンを含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃で行った。図12に示しているように、その結果は、インドメタシンに関して緩効性溶解速度を示した。
【0061】
実施例12:インドメタシンの速効性溶解システム
インドメタシンの速効性溶解システムの調製のプロセスを例証した。薬剤としてのインドメタシンの使用を除いて、ヒドロゲルを、実施例2に記載されている方法と同じように調製した。
【0062】
インドメタシン含量が約35%(w/w)で、水摂取能力(α)は2000であった。溶解試験を、30mg当量のインドメタシンを含むサンプルを用いて、リン酸塩緩衝液(pH6.2)中で37℃で行った。図12に示しているように、その結果は、インドメタシンに関して速効性溶解速度を示した。
【0063】
本発明により調製した、ヒドロゲルの製造に関する上限および下限を表2に示す。
【表2】
【0064】
好ましい実施態様において、本発明のヒドロゲルは、約18から35重量%のキトサン、約32から55重量%のキサンタン、約10から50重量%の難水溶性薬剤を含むであろう。キトサンのアセチル化の度合い(DA)は、一般に約10から約30%の範囲である。
【0065】
高分子量のキトサンは、通常、約900000Daから約1200000Daの範囲から選択される;中間高分子量キトサンは、通常、約700000Daから約900000Daの範囲から選択される;そして中間分子量キトサンは、通常、約400000Daから約700000Daの範囲から選択される。
【0066】
ここで使用される用語および記述は、例示のためのみに記載された好ましい実施態様であり、本発明の実施において当業者が可能であると認めるであろう多くの変更に関する制限と意図されるものではない。現在公知か未知かによらず、本発明が機能するに直接的かつ物質的な影響を与えないあらゆる可能な変形も、特許請求の範囲にカバーされていると意図する。
「参考文献」
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なヒドロゲルの(a)外面(40000X)および(b)内面(60000X)の走査電子顕微鏡の写像である。
【図2】緩効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:40%;キトサン(MW:1100000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図3】ヒドロゲルおよび35%のフェノフィブラートを含むヒドロゲルの走査電子顕微鏡の写像である:
(a)ヒドロゲル(2500X)
(b)フェノフィブラートを含むヒドロゲル(2500X)
(c)ヒドロゲル(5000X)
(d)フェノフィブラートを含むヒドロゲル(5000X)。
【図4】速効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:40%;キトサン(MW:800000Da;DA:25%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図5】即効性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:28%;キトサン(MW:540000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図6】pH−感応性フェノフィブラートシステムおよびフリーの純粋なフェノフィブラートの溶解プロフィールである。フェノフィブラート含量:28%;キトサン(MW:800000Da;DA:18%)。溶解媒体:800mL;回転速度:55−60rpm。
【図7】種々のフェノフィブラート含量を有するシステムおよびフリーのフェノフィブラートの溶解プロフィールである。キトサン(MW:540000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mLのラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.025N);回転速度:55−60rpm。
【図8】ウルソデオキシコール酸システムおよびフリーの純粋なウルソデオキシコール酸の溶解プロフィールである。溶解媒体:pH6.2のリン酸カリウム緩衝液;回転速度:55−60rpm。
【図9】緩効性ニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。ニフェジピン含量:35%;キトサン(MW:1100000Da;DA:23%)。溶解媒体:800mL;回転速度:53−55rpm。
【図10】速効性ニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。ニフェジピン含量:30%;キトサン(MW:800000Da;DA:25%)。溶解媒体:800mL;回転速度:53−55rpm。
【図11】連続フローセル装置におけるニフェジピンシステムおよびフリーの純粋なニフェジピンの溶解プロフィールである。溶解媒体:800mLのラウリル硫酸ナトリウム溶液(0.01N);流速:6.19mL/min。
【図12】インドメタシンシステムおよびフリーの純粋なインドメタシンの溶解プロフィールである。溶解媒体:pH6.2のリン酸カリウム緩衝液;回転速度:73−75rpm。
Claims (17)
- キトサン−キサンタンヒドロゲルを含む薬剤送達システムであって、前記ヒドロゲルが、そのマトリックス中に、前記ヒドロゲルが水性媒体中で膨張した際に少なくとも部分的に可溶化されかつそこから放出可能になる難水溶性薬剤を含む、薬剤送達システム。
- 前記ヒドロゲルが、
(a)約18−35%(w/w)のキトサン;
(b)約32−55%(w/w)のキサンタン;および
(c)約10−55%(w/w)の難水溶性薬剤
を含む、請求項1記載の薬剤送達システム。 - 前記キトサンが、約10%から約30%の範囲のアセチル化の程度を有する、請求項1記載の薬剤送達システム。
- 前記ヒドロゲル中に含まれる前記難水溶性薬剤の量が約10から50%(w/w)の間である、請求項1記載の薬剤送達システム。
- 請求項1記載の薬剤送達システムであって、前記難水溶性薬剤が、フェノフィブラート、ウルソデオキシコール酸、ニフェジピン、およびインドメタシンからなる群から選択される、請求項1記載の薬剤送達システム。
- 約20−40%のキトサンと約80−60%のキサンタンとを含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
- 以下の工程:
a)適切な溶媒中に前記難水溶性薬剤を溶かして第一溶液を形成する工程;
b)前記第一溶液をキサンタン溶液に添加して、分散物を形成する工程;
c)前記分散物をキトサン溶液に添加する工程;および
d)かくして形成されたヒドロゲルを回復する工程;
を含む、請求項1記載の薬剤送達システムを調製する方法。 - 前記回復したヒドロゲルを凍結乾燥する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
- 難水溶性薬剤の可溶化速度を調節する方法であって、キトサン−キサンタン微細構造からなるヒドロゲル中に前記難水溶性薬剤を含める工程を含み、前記微細構造が前記可溶化速度を制御する方法。
- 前記キトサン−キサンタン微細構造および薬剤保持強度が、適切な分子量、または適切なアセチル化の程度、またはこれら両方を備えたキトサンを選択することにより変更可能である、請求項9記載の方法。
- 前記キトサン−キサンタン微細構造が高い保持強度を付与し、かくして前記難水溶性薬剤の遅い放出速度をもたらし、前記キトサン−キサンタン微細構造が約900000Daから約1200000Daの範囲の分子量のキトサンを用いて形成され、かつ、前記キトサンが約10%から約30%の範囲のアセチル化の程度を有する、請求項10記載の方法。
- 前記キトサンが、約1100000Daの分子量を有する、請求項11記載の方法。
- 前記キトサン−キサンタン微細構造が低い保持強度を付与し、かくして前記難水溶性薬剤の早い放出速度をもたらし、前記キトサン−キサンタン微細構造が約500000Daから約900000Daの範囲の分子量のキトサンを用いて形成され、かつ、前記キトサンが約10%から約30%の範囲のアセチル化の程度を有する、請求項10記載の方法。
- 前記キトサンが約800000Daの分子量を有する、請求項13記載の方法。
- 前記キトサンが約540000Daの分子量を有する、請求項13記載の方法。
- 前記適切な溶媒がエタノールである、請求項7記載の方法。
- 前記キサンタン溶液が0.65% w/vである、請求項7記載の方法。
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