JP2004501843A - エーロゾル容器用バルブ - Google Patents
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Abstract
エーロゾル容器内に収容されている液体噴射剤中に物質を含む製剤を投薬するための、噴射剤により作動する自己起動式且つ自己復帰式の前記容器用定量バルブが提供される。該バルブを備えた定量噴霧式吸入器に使用するためのキャニスターもまた提供される。
Description
【0001】
本発明はエーロゾル容器に使用するためのバルブに関する。特に、本発明は噴射剤により駆動される自己復帰式の機構を有するバルブに関する。
【0002】
呼吸器および鼻の疾患を治療するための薬物はエーロゾル製剤として口または鼻から投与することが多い。かかるエーロゾル薬物製剤を投薬するための広く使用されている方法の1つに、液化ガス噴射剤中の懸濁液または溶液として薬物を製剤化することが挙げられる。当該懸濁液/溶液は、噴射剤を液体として維持するのに必要な圧力に耐えることができる密封キャニスター中に保存される。当該懸濁液/溶液は、キャニスターに取り付けられた用量定量バルブの起動により放出される。
【0003】
定量バルブは一般的に一定の容積を有する定量チャンバーを備えるとともに、1回の動作あたりに正確な所定の用量の薬物を投与するように設計されている。懸濁液が、噴射剤の高い蒸気圧により用量定量バルブを通ってキャニスターから追い出されると、噴射剤は迅速に蒸発して、薬物製剤の微粒子からなる高速移動雲を残す。この粒子雲は、円筒体または端の開いた円錐体のようなチャネリング器具により患者の鼻または口に導かれる。エーロゾル用量定量バルブの起動と同時に、患者は薬物粒子を肺または鼻腔内に薬物粒子を吸入する。こうして薬物を投薬するシステムは「定量噴霧式吸入器」(MDI)として知られている。この形態の治療についての一般的な背景については、Peter Byron, Respiratory Drug Delivery, CRC Press, Boca Raton, FL (1990) を参照されたい。
【0004】
患者は、衰弱させ、場合によっては生命を脅かす呼吸器疾患の迅速な治療のためにMDIにより送達される薬剤に頼ることが多い。したがって、患者に送達されるエーロゾル薬剤の規定服用量は製造業者が主張する規格と一致し、かつFDAおよび他の監督当局の要求を満たしていることが必須である。すなわち、キャニスターから送達される各回の用量は狭い許容範囲内で同じでなければならない。
【0005】
加圧容器について使用するための従来の定量バルブは、環状定量チャンバーを規定するバルブ部材内で同軸上でスライドできる弁棒と、該弁棒の外側端部および内側端部のそれぞれと該バルブ部材との間で機能できる、それらの間にある定量チャンバーを密閉するための、内側シールおよび外側シールとを含む。該弁棒は中空であり、それによって、該弁棒が投薬位置にないときに定量チャンバーは容器と繋がりそこから製品が供給される。弁棒は投薬位置に移動することができ、その位置で定量チャンバーは容器から隔離され、そして製品の放出のために大気に通じる。停止しているときは、バルブは、例えばバネによってまたは噴射剤組成物により与えられる内部圧力によって、非投薬位置または投薬位置に偏っていてよい。
【0006】
しかしながら、従来の全ての噴射剤により駆動される投薬器は手動により起動することおよび毎回の用量放出の前にリセットすることが必要である。したがって、本発明の目的は、噴射剤により駆動される機構を使用してバルブを起動させるとともに自動的にバルブをリセットすることで、次回の用量を投薬するための準備をすることが可能な、エーロゾル容器に使用するためのバルブを提供することである。
【0007】
したがってある形態では、本発明は、エーロゾル容器内に収容されている液体噴射剤中に物質を含む製剤を投薬するための、噴射剤により作動する自己起動式(self−activating)且つ自己復帰式(self−returning)の前記容器用定量バルブを提供する。
【0008】
好ましくは、該バルブはラッチング手段を備える。
【0009】
ある実施形態では、該バルブは呼吸により作動することができ、かつラッチング手段が呼吸起動(breath−activation)ロックであってよい。
【0010】
あるいはまたは加えて、該ラッチング手段は、機械的な手動起動(manual activation)ロック、および/または電子起動(electronic activation)ロック、および/または電気作動式(electrically−operable activation)起動ロックを含んでいてよい。
【0011】
より好ましくは、該バルブは、バルブ本体内で動くことのできるバルブ部材を備えていてよく、ここで該バルブ部材は、第一反作用面(reaction surface)と第二反作用面とを有しており、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力が該バルブ部材をバルブ本体内の第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる。
【0012】
典型的には、第一位置と第二位置との間をバルブ部材が動くことで、製剤の1回用量をバルブから放出する第一投薬過程(dispensing sequence)と、製剤の第二の用量をバルブから放出する第二投薬過程との間でバルブが切り替えられる。
【0013】
バルブ部材とバルブ本体は、第一定容量(metering volume)を有する第一定量チャンバーおよび第二定容量を有する第二定量チャンバーを規定できる。第一定容量は第二定容量と等しくてよい。
【0014】
好ましくは、バルブ本体は、第一定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第一定容量の形成を可能にする第一のプライミング口と、第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第二定容量の形成を可能にする第二のプライミング口とを有する。
【0015】
ある実施形態では、バルブ部材が弁棒であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該弁棒の往復ピストン動作を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる。
【0016】
弁棒とバルブ本体とは、環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定することができる。
【0017】
第一反作用面は第一ピストンヘッド面を形成することができ、第二反作用面は第二ピストンヘッド面を形成することができる。
【0018】
本発明のバルブはキャニスター内の噴射剤により与えられる圧力を用いてバルブ部材をある方向に移動させ、次いでバルブをその元の位置に復帰させる。ある実施形態では、バルブ部材がある方向に移動する際に一方の定量チャンバーが1用量を集め、バルブ部材がその移動方向を逆戻りする際に他方の定量チャンバーが1用量を集める。したがってある実施形態では、該バルブ部材が弁棒である場合に、下方向へのピストン動作が1用量の製剤を放出し、上方向へのピストン動作がさらに1用量の製剤を放出する。
【0019】
典型的には、第二反作用面の断面積は第一反作用面の断面積よりも大きい。
【0020】
他の実施形態では、バルブ部材は回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる。
【0021】
あるいは、バルブ部材は回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブを第一投薬過程と第二投薬過程との間で動かすことができる。
【0022】
好ましくは、回転盤とバルブ本体とは、楔型で環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定する。
【0023】
典型的には、第一定量チャンバーおよび第二定量チャンバーのそれぞれは、該回転盤に規定される2つの向かい合う面、すなわちリーディング面と第二面とを有しており、リーディング面は第二面よりもより大きな断面積を有しているために第一のリーディング面が第一反作用面であり、第二のリーディング面が第二反作用面である。
【0024】
第一反作用面と第二反作用面とは、断面積が等しくてもよい。
【0025】
好ましくは、バルブ部材は、次の段階:
(i) 第一投薬過程の途中;および/または、
(ii) 第二投薬過程の途中、
の1以上においてラッチング手段により拘束される。
【0026】
バルブは、第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーがエーロゾル容器内の製剤と自由な流れにより連通する位置でラッチすることができる。
【0027】
同調させる技術が低い患者および/または呼吸能力が不確かな患者の要望に応えるべく、呼吸により起動できるまたは呼吸により補助される吸入器具が開発されている。かかる器具は典型的には、患者の内方向への呼吸に応答して薬物の放出を引き起こす呼吸トリガー機構を有する。
【0028】
好ましくは、呼吸により作動するバルブは、患者の呼吸サイクルを監視するためのモニター、例えば空気流に応答して動くことができる1以上の羽根または帆、を有する。
【0029】
好ましくは、該モニターは、
(i) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(ii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサー(sprung vane sensors)および/または風速計);および/または、
(iii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(iv) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(v) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える。
【0030】
典型的には、モニターは、引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供する。引き金点は患者の肺が空になる点と一致する。
【0031】
モニターは、場合により最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備えてもよい。
【0032】
好ましくは、内側シールおよび外側シールはそれぞれ、バルブ部材の内側端部および/または外側端部とバルブ本体との間で機能して、それらの間の第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーを密閉する。
【0033】
ある実施形態では、第二定量チャンバーは、バルブ本体を貫く少なくとも1つの戻り流路によってエーロゾル容器内の製剤と連通している。
【0034】
好ましくは、バルブ部材は少なくとも1つの窪みまたは孔を有し、第二定量チャンバーがその1つまたは各窪みを介して1つまたは各戻り流路と連通している。
【0035】
好ましくは、バルブは、エーロゾル製剤を、出口ノズルまたは出口オリフィスのいずれかに導くか、または該製剤が更なる放出経路から放出されるようにバルブの異なる場所に導く出口手段を備える。
【0036】
典型的には、本発明のバルブは定量噴霧式吸入器に使用するためのものである。
【0037】
本明細書中で使用する場合、用語「定量噴霧式吸入器」または「MDI」は、キャニスター、キャニスターの口を覆うクリンプキャップ、キャップ内にある薬物定量バルブ、定量チャンバーおよびキャニスターがかみ合う適当なチャネリング器具を含む装置を意味する。用語「薬物定量バルブ」または「MDIバルブ」は所定量の薬物製剤を各動作ごとにMDIから送達するバルブおよびそれに関連する機構を指す。チャネリング器具には、例えばバルブおよび薬物が充填されたMDI缶からMDIバルブを経て患者の鼻または口に薬物を送達させ得る円筒形または円錐形の通路のための作動器具(例えばマウスピースアクチュエータ)が含まれる。典型的なMDIの部品の関係は米国特許第5,261,538号に説明されている。
【0038】
ある実施形態ではバルブは液体噴射剤中に物質を含む製剤を収容する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、ここまでに規定したバルブを有する定量噴霧式吸入器に使用するためのキャ二スターを提供する。
【0040】
典型的には、キャ二スターは薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を収容する。
【0041】
本発明は任意のエーロゾル製剤の投薬に利用できるが、一般的に使用されるエーロゾル製剤は、薬物の溶液/懸濁液および1以上の液体噴射剤を含み、場合により共噴射剤 (co−propellant)と、場合によりアジュバントまたは界面活性剤とを含む。
【0042】
好ましくは、噴射剤は、液化HFA 134a、227またはそれらの混合物である。
【0043】
典型的には、噴射剤は実質的にアジュバントを含まない。
【0044】
薬物は、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0045】
さらに他の実施形態では、本発明はここまでに規定したバルブ、および/またはここまでに規定したキャニスターを含む定量噴霧式吸入器を提供する。
【0046】
ある実施形態では、定量噴霧式吸入器は呼吸起動式装置を備える。
【0047】
典型的には、呼吸起動式装置は患者の呼吸サイクルを観察するためのモニターを備える。
【0048】
好ましくは、モニターは、
(i) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(ii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサーおよび/または風速計);および/または、
(iii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(iv) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(v) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える。
【0049】
該モニターは、引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供することができる。該モニターは、最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備えてもよい。
【0050】
さらに他の形態では、本発明は、液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、ここまでに規定したバルブの使用、および/またはここまでに規定したキャニスターの使用を含み、1回用量を投薬した後に定量噴霧式吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される方法を提供する。
【0051】
さらに他の形態では、本発明は、液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力がバルブ部材を第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる、噴射剤により駆動されて作動するサイクルを含む、1回用量を投薬した後に該吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される方法を提供する。
【0052】
典型的には、噴射剤により駆動されて作動するサイクルが、
(i) 第一定量チャンバーへの製剤の自由な流入を可能にする第一充填状態(charging position)の噴射剤駆動による形成;
(ii) 規定された第一定容量の形成;
(iii) 第一定容量を患者に放出する第一投薬状態(dispensing position);
を含む第一投薬過程、および、
(i) 第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入を可能にする第二充填状態;
(ii) 規定された第二定容量の形成;
(iii) 第二定容量を患者に放出する第二投薬状態;
(iv) 第一充填状態への復帰;
を含む第二投薬過程、を含む。
【0053】
さらに別の側面では、本発明は、定量噴霧式吸入器における、ここまでに規定したバルブ、および/またはここまでに規定したキャニスターの使用を提供する。
【0054】
好ましくは、本発明は、薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を投薬するための、ここまでに規定したバルブおよび/またはキャニスターおよび/または定量噴霧式吸入器の使用を提供する。
【0055】
好ましくは、投薬する医薬エーロゾル製剤は、液化HFA 134a、227またはそれらの混合物から選択される噴射剤中に懸濁した薬物である。
【0056】
典型的には、噴射剤は実質的にアジュバントを含まない。
【0057】
薬物は、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0058】
本発明をさらに添付図面を参照にしてさらに説明する。図面は、本発明を説明する働きをするが限定することを意図するものではない。
【0059】
図に関して、図1は、バルブ本体4内で往復してスライドすることができる弁棒2を有する本発明の自己復帰式バルブ組立体を示す。該バルブ組立体は、噴射剤含有薬物製剤8を薬物リザーバー10に収容するキャニスター6のネックに、密閉用キャニスターガスケット12を介して挿入される。弁棒2は、2つの密閉用リング16を有するピストンヘッド「A」14、及び、同じく2つの密閉用リング20を有するピストンヘッド「B」18を持つ。ピストンヘッド「A」及び「B」の間に規定される第一定量チャンバー22が存在する。弁棒2は更に、弁棒が更にバルブ本体4内に挿入されたときに、薬物製剤リザーバー10に連結された戻り流路26と第二定量チャンバー28とを連通させる働きをする窪み24を有する(図4を参照されたい)。
【0060】
図は、弁棒2とバルブ本体4とにより規定される第二定量チャンバー28を示すが、該チャンバーは密閉されたピストン/シリンダーの形態をとることも考えられる。さらにまた、弁棒2は1または2成分の成形物から作ることもできる。好ましくは、弁棒2を2成分成形物として製造する。
【0061】
さらなるシール30がバルブ本体に存在する。図1中のバルブは、戻しバネ34を有する呼吸起動式のペグ型ロック(peglock)32により拘束されており、該戻しバネにより、第一投薬過程の途中、呼吸による起動後及び薬物放出後にロックが再び閉められる。
【0062】
図1は第一投薬過程の間の第一充填状態を示す。薬物製剤よりピストンヘッド「A」14に与えられる圧力は弁棒2がバルブ本体4内を(矢印Xで示すように)動くような圧力である。しかしながら、呼吸起動式ロックが弁棒2を拘束しているので、第一定量チャンバー22は薬物リザーバー10と直接連通している。
【0063】
図2では、呼吸起動式ロック32が解除されており、薬物製剤により与えられる圧力Xは弁棒2がバルブ本体4内を下方向に動くような圧力である。こうして第一の密閉された定用量容積36が第一定量チャンバー22中に捕らえられ、連続的な圧力によりピストンヘッド「B」18が起動ロックを収容するバルブ本体開口部38を通過するまで動くと、薬物が放出される。
【0064】
図3では、薬物製剤により与えられる連続的な圧力Xがバルブ本体4内で弁棒2を動かして、薬物リザーバー10まで伸びている戻り流路26と弁棒2の窪み24とを直接連通させている。この段階で、薬物製剤8が第二定量チャンバー28に入り込み始めてピストンヘッド「B」18に圧力がかかり始める。このときピストンヘッド「A」14とピストンヘッド「B」18には等しいが対向する圧力がかかっている。しかしながら、ピストンヘッド「B」18の圧力がかけられている表面積はピストンヘッド「A」14の圧力がかけられている表面積よりも大きい。表面にかかる力は表面積に正比例するので、ピストンヘッド「B」18上にはより大きな内向きの力がかかっている。従って、図4に示すように、弁棒2は移動方向が反転して、バルブ本体4内を上方に戻り、薬物製剤リザーバー10と第二定量チャンバー28との間の窪み24を介した連絡が絶たれる。この時点で、第二定量チャンバー28中に密閉された第二定容量40が存在する。バルブ本体4内での弁棒2のさらなる移動は、呼吸起動式ロック32により阻止される。ロック32が更に起動すると、その結果、第二薬物定容量40の放出が起こる(図5)。第二定量チャンバー28の排出によりバルブ組立体は図1に示した状態に戻り、サイクルの再始動の準備がなされる。
【0065】
図6は本発明に係るバルブの別の形態を示している。示されるバルブはロータリーバルブであり、トッププレート42とボトムプレート44とを有するバルブ本体を備える。トッププレート42は、ボトムプレート44との密封性のある接触を確実にもたらすためにO−リングシール46を有する。バルブ部材は、2つの楔型の定量チャンバー50、52を有する回転盤48の形態をとる。それぞれの楔型チャンバーは2つの向かい合う面、「A」54および「B」56を有している。トッププレート42は薬物リザーバー(図示していない)と連通している2つの入口穴58を有している。圧力がかかると薬物製剤は両方の入口穴を通過するが、どの時点においても1つの定量チャンバーだけしか入口穴と位置合わせすることができない。薬物製剤が、噴射剤からの圧力下において、表面「A」および「B」を有する位置合わせされた定量チャンバー52に充填される;「B」の表面積は「A」の表面積よりも大きいので、チャンバーは「B」の方向に回転する(矢印Zを参照されたい)。この時点で(示していない)、定量チャンバー50は薬物製剤で満たされ、定量チャンバー52から患者に薬物が放出される。
【0066】
定量噴霧式吸入器は当該技術分野の方法により製造することができる(例えば 上記のByron、および米国特許第5,345,980号を参照されたい)。
【0067】
従来、MDIに使用するためのキャニスターおよびキャップはアルミニウムまたはアルミニウム合金製であるが、ステンレス鋼、銅合金またはブリキのような薬物製剤により影響されない他の金属を使用することができる。MDIキャニスターはガラスまたはプラスチックから作製することもできる。しかしながら、好ましくは本発明に使用するMDIキャニスターおよびキャップはアルミニウムまたはその合金製である。
【0068】
薬物定量バルブは、ステンレス鋼、(アセタール、ポリアミド(例えばNylon(登録商標))、ポリカルボネート、ポリエステル、フルオロカーボンポリマー(例えばTeflon(登録商標))等の薬理学的に弾力的なポリマー、またはこれらの素材の組み合わせからなっていてよい。さらに、種々の素材(例えばニトリルゴム、ポリウレタン、アセチル樹脂、フルオロカーボンポリマー)または他のエラストマー素材のシールおよび“O”リングをバルブおよびその周囲に使用する。
【0069】
密閉用リングは好適な素材のシートからリングを切出すことにより形成することができる。あるいは、密閉用リングは、射出成形法、圧縮成形法またはトランスファー成形法のような成形法により形成することができる。
【0070】
典型的には、密閉用リングおよび/または第二の密閉用リングはエラストマー素材を含む。このリングは典型的には弾力的に変形可能である。
【0071】
エラストマー素材は、熱可塑性エラストマー(TPE)または場合により架橋されていてよい熱硬化エラストマーのいずれかを含む。密閉用リングはまた、エラストマー素材が熱可塑性マトリックス中に分散している熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイを含む。エラストマーは場合によりさらに、好適な量の加工助剤、着色剤、粘着付与剤、潤滑剤、シリカ、タルク、または鉱油のような加工油のような、通常のポリマー添加物を含み得る。
【0072】
好適な熱硬化性ゴムには、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、フルオロシリコンゴム、フルオロカーボンゴム、多硫化ゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブテンゴム、イソブチレンゴムまたはネオプレン(ポリクロロプレン)ゴムが含まれる。
【0073】
好適な熱可塑性エラストマーは、当該技術分野において既知の、約80〜約95モル%のエチレンと、合計して約5〜約20モル%の1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1以上のコモノマーとのコポリマーを含む。2以上のかかるコポリマー同士を混合して熱可塑性のポリマーブレンドを形成することができる。
【0074】
熱可塑性エラストマーの他の好適な種類は、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーである。これらのコポリマーはさらにポリオレフィン(例えばポリプロピレン)およびシロキサンを含むことができる。
【0075】
熱可塑性エラストマー素材はまた次のうちの1以上から選択することもできる:ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエーテルエステルTPE、オレフィンTPE、ポリエステルアミドTPEおよびポリエーテルアミドTPE。
【0076】
他の好適なエラストマーにはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が含まれる。EPDMは単独でまたは熱可塑性エラストマーブレンドもしくはアロイの一部として、例えば連続的な熱可塑性マトリックス(例えばポリプロピレンまたはポリエチレン)中に実質的に均一に分散した粒子の形態で存在し得る。市販の熱可塑性エラストマーブレンドおよびアロイには、SANTOPRENE(商標)エラストマーが含まれる。他の好適な熱可塑性エラストマーブレンドには、ブチル−ポリエチレン(例えば約2:3〜約3:2の範囲の比)およびブチル−ポリプロピレンが含まれる。
【0077】
医薬エーロゾル懸濁液と接触するバルブの任意の部品は、薬物が付着する傾向を減じるフルオロポリマー素材のような素材で被覆することができる。好適なフルオロポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフルオロエチレンプロピレン(FEP)が含まれる。任意の可動部品には、所望の運動特性を高める被覆が施されていてもよい。
【0078】
従って、摩擦接触を高めるために摩擦被覆を施すことができ、また、必要であれば摩擦接触を減じるために潤滑剤を使用することができる。
【0079】
典型的には、密閉用リングおよび/または第二密閉用リングは潤滑性素材を更に含む。好適には、密閉用リングおよび/または第二密閉用リングは最大で30%、好ましくは5〜20%の潤滑性素材を含む。
【0080】
加えて、弁棒もまた潤滑性素材を含み得る。好適には、弁棒は最大で30%、好ましくは5〜20%の潤滑性素材を含む。
【0081】
用語「潤滑剤」は本明細書中では弁棒とシールとの間の摩擦を減じる任意の素材を意味する。好適な潤滑剤には、シリコンオイルまたはポリテトラフルオロエタン(PTFE)もしくはフルオロエチレンプロピレン(FEP)のようなフルオロカーボンポリマーが含まれる。
【0082】
潤滑剤は、弁棒、密閉用リングまたは第二密閉用リングに、被覆および含浸(注入法またはタンポナーデ法)を含む任意の好適な方法により施すことができる。
【0083】
医療用途では、本発明のキャニスターは薬物およびフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボン噴射剤を含む医薬エーロゾル製剤を含む。
【0084】
好適な噴射剤には、例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2ClおよびCClF2CH3のようなC1−4水素含有クロロフルオロカーボン; CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3およびCF3CHFCF3のようなC1−4水素含有フルオロカーボン;ならびに、CF3CF3およびCF3CF2CF3ようなパーフルオロカーボンが含まれる。
【0085】
フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンの混合物を使用する場合は、それらは先に特定した化合物の混合物であってよく、または、他のフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボン(例えばCHClF2、CH2F2およびCF3CH3)との混合物、好ましくは二成分混合物であってよい。好ましくは、単一のフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを噴射剤として使用する。噴射剤として特に好ましいものは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(CF3CHFCF3)のようなC1−4水素含有フルオロカーボンまたはそれらの混合物である。
【0086】
本発明のキャニスター中で使用するための医薬製剤は成層圏のオゾンの破壊を引き起こす成分を含まない。特に該製剤はCCl3F、CCl2F2およびCF3CCl3のようなクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。
【0087】
噴射剤はさらに、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンである飽和炭化水素またはジアルキルエーテル(例えばジメチルエーテル)のような揮発性アジュバントを含み得る。一般的には、噴射剤のうち最大50%(w/w)が、例えば1〜30%(w/w)が、揮発性炭化水素であることがある。しかしながら、揮発性アジュバントを含まないまたは実質的に含まない製剤が好ましい。ある場合には、適当量の水を含むことが望ましいことがある。このことは噴射剤の誘電特性を改変するのに有利であり得る。
【0088】
C2−6脂肪アルコールおよびポリオール(例えばエタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコール)、好ましくはエタノールのような極性共溶媒が、唯一の賦形剤としてまたは界面活性剤などの他の賦形剤に加えて製剤の分散を改良するのに望ましい量で薬物製剤中に含まれ得る。好適には、薬物製剤は極性共溶媒(例えばエタノール)を、噴射剤に対して0.01〜5%(w/w)、好ましくは0.1〜5%(w/w)、例えば約0.1〜1%(w/w)含み得る。
【0089】
界面活性剤もまたエーロゾル製剤に使用することができる。従来の界面活性剤の例は欧州特許第372777号に開示されている。使用する界面活性剤の量は、薬物に対する重量比が0.0001%〜50%の範囲、特に重量比が0.05〜5%であることが望ましい。好ましい界面活性剤はレシチン、オレイン酸およびトリオレイン酸ソルビタンである。しかしながら好ましい製剤は界面活性剤を含まないか実質的に含まない。
【0090】
医薬製剤は、該製剤の総重量に対して0.0001〜50%(w/w)、好ましくは0.001〜20%、例えば0.001〜1%の糖を含んでいてよい。一般的には薬物対糖の比は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:10の範囲内である。製剤中に使用し得る典型的な糖には、例えばスクロース、ラクトースおよびデキストロース、好ましくはラクトースおよび還元糖(例えばマンニトールおよびソルビトール)が含まれ、微粉化形態または粉砕した形態であることができる。
【0091】
最終的なエーロゾル製剤は望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10%(w/w)、好ましくは0.005〜5%(w/w)、特に0.01〜1.0%(w/w)の薬物を含む。
【0092】
エーロゾル製剤として投与され得る薬物には、吸入療法に有用な任意の薬物が含まれる。このように適切な薬物は例えば鎮痛薬(例えばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニールまたはモルヒネ);アンギナ製剤(anginal preparation)(例えばジルチアゼム);抗アレルギー剤(例えばクロモグリケート、ケトチフェンまたはネドクロミル);抗感染剤(例えばセファロースポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンおよびペンタミジン);抗ヒスタミン剤(例えばメタピリレン);抗炎症剤(例えばベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン (tipredane)、トリアムシノロンアセトニド、フルチカゾンまたはモメタゾン);鎮咳薬(例えばノスカピン);気管支拡張剤(例えばエフェドリン、エピネフリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、または (−)−4−アミノ−3,4−ジクロロ−α−[[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]アミノ]メチル]ベンゼンメタノール);利尿薬(例えばアミロリド);抗コリン作用薬(例えばイプラトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウム);ホルモン剤(例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはプレドニゾロン);キサンチン(例えばアミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネートまたはテオフィリン);および、治療用タンパク質およびペプチド(例えばインスリンまたはグルカゴン)から選択し得る。適切であれば、薬剤の活性および/もしくは安定性を最適化するために、ならびに/または、噴射剤中での薬物の溶解性を最小にするために、薬剤を、塩の形態で(例えばアルカリ金属塩もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはエステル(例えば低級アルキルアステル)として、または溶媒和物(例えば水和物)として使用することができるということは当業者には明らかであろう。さらに、適切であれば、薬物を、純粋な異性体、例えばR−サルブタモールまたはRRホルモテロールの形態で使用することができるということも当業者には明らかであろう。
【0093】
本発明のエーロゾル製剤を用いて投与するために特に好ましい製剤には、抗アレルギー剤、気管支拡張剤、および、喘息などの呼吸器疾患の吸入療法による治療に使用する抗炎症ステロイド、例えばクロモグリケート(例えばナトリウム塩として)、サルブタモール(例えば遊離の塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)、ホルモテロール(例えばフマル酸塩として)、テルブタリン(例えばスルホン酸塩として)、レプロテロール(例えば塩酸塩として)、ベクロメタゾンエステル(例えばジプロピオン酸エステル)、フルチカゾンエステル(例えばプロピオン酸エステル)が含まれる。サルメテロール、特にキシナホ酸サルメテロール、サルブタモール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、およびその生理学的に許容できる塩および溶媒和物が特に好ましい。
【0094】
本発明のエーロゾル製剤が、所望であれば2種以上の活性成分の組み合わせを含み得ることは当業者により理解されるであろう。2種の活性成分を含有するエーロゾル組成物が喘息などの呼吸器疾患の治療のために知られている。例えば、ホルモテロールおよびブデソニド、サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)およびフルチカゾン(例えばプロピオン酸エステル)、サルブタモールおよびベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステルとして)が好ましい。
【0095】
本発明のキャニスター中で使用するための特に好ましい製剤は、薬物と、噴射剤としてC1−4ヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3−n−ヘプタフルオロプロパンまたはそれらの混合物とを含む。
【0096】
好ましい製剤は製剤賦形剤を含まないまたは実質的に含まない。このように、好ましい製剤は薬物および選択された噴射剤から実質的になる、またはそれらからなる。
【0097】
医薬エーロゾル製造のための当業者に周知の従来の大量製造方法および機械は、充填したキャニスターの商業的な生産のための大規模なバッチの調整に使用することができる。このように例えばある大量製造方法では、定量バルブをアルミニウム缶にクリンプして空のキャニスターが形成される。粒子状薬物を充填容器に添加して、液化噴射剤を充填容器を通して製造容器に加圧充填する。薬物懸濁液を充填機に再循環する前に混合し、次いで薬物懸濁液のアリコートを定量バルブを通じてキャニスター内に充填する。典型的には医薬用途のために調製するバッチでは、それぞれの充填したキャニスターの重量を検査し、バッチ番号でコードし、放出試験の前に貯蔵のためにトレイ内に包装する。
【0098】
それぞれの充填したキャニスターは使用する前に好適なチャネリング器具に好都合に嵌め込まれて、患者の肺または鼻腔内に薬物を投与するための定量噴霧式吸入器を形成する。好適なチャネリング器具は、例えばバルブアクチュエーターと、それを通って薬物が充填されたキャニスターから定量バルブを経て患者の鼻または口に送達される円筒状または円錐状の経路とを含む。例えばマウスピースアクチュエーターである。定量噴霧式吸入器は、1動作あたりまたは「一吹き(puff)」あたりに固定された単位用量(例えば一吹きあたり10〜5000マイクログラムの範囲)を送達するよう設計されている。
【0099】
薬物の投与は、軽微な、中程度の、または重篤な急性または慢性の症状の治療のために、または予防処置のために示すことができる。投与される正確な用量は、患者の年齢および症状、使用する特定の粒子状薬物および投与の頻度に依存するであろうし、また究極的には担当医の裁量となるであろうことは理解されよう。薬物の組み合わせを用いる場合は、組合わせたものの各成分の用量は、一般的には、単独で使用した場合に各成分について使用する用量となる。典型的には、投与は、例えば各回に1吹き、2吹き、3吹きまたは4吹きであれば、1日あたり1回以上、例えば1〜8回であってよい。バルブを作動するごとに、例えば5μg、50μg、100μg、200μgまたは250μgの薬物を送達することができる。典型的には、定量噴霧式吸入器に使用するための充填したキャニスターはそれぞれ、60、100、120または200回分の定用量または吹出のための薬物を含む。各薬物の用量は当業者により知られているか容易に確認される。
【0100】
本発明の更なる態様には、例えば喘息などの呼吸器疾患の治療方法が含まれ、それには、有効量の本明細書に記載するエーロゾル製剤を、本発明の定量噴霧式吸入器から吸入することにより投与することが含まれる。
【0101】
示した例は単なる例示であり、特許請求の範囲に規定する本発明の範囲から離れること無くそれに改変を行うことができることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、第一投薬過程中の第一充填位置にある、呼吸起動式ロックを有する本発明の自己復帰式バルブを示す。
【図2】
図2は、第一投薬過程中の第一投薬位置にある、図1のバルブを示す。
【図3】
図3は、第二投薬過程中の第二充填位置にある、図1及び2のバルブを示す。
【図4】
図4は、第二投薬過程中の閉じた第二定容量位置にある、図1〜3のバルブを示す。
【図5】
図5は、第二投薬過程中の第二投薬位置にある、図1〜4のバルブを示す。
【図6】
図6は、自己復帰式バルブがロータリーバルブである本発明の別の実施形態を示す。
本発明はエーロゾル容器に使用するためのバルブに関する。特に、本発明は噴射剤により駆動される自己復帰式の機構を有するバルブに関する。
【0002】
呼吸器および鼻の疾患を治療するための薬物はエーロゾル製剤として口または鼻から投与することが多い。かかるエーロゾル薬物製剤を投薬するための広く使用されている方法の1つに、液化ガス噴射剤中の懸濁液または溶液として薬物を製剤化することが挙げられる。当該懸濁液/溶液は、噴射剤を液体として維持するのに必要な圧力に耐えることができる密封キャニスター中に保存される。当該懸濁液/溶液は、キャニスターに取り付けられた用量定量バルブの起動により放出される。
【0003】
定量バルブは一般的に一定の容積を有する定量チャンバーを備えるとともに、1回の動作あたりに正確な所定の用量の薬物を投与するように設計されている。懸濁液が、噴射剤の高い蒸気圧により用量定量バルブを通ってキャニスターから追い出されると、噴射剤は迅速に蒸発して、薬物製剤の微粒子からなる高速移動雲を残す。この粒子雲は、円筒体または端の開いた円錐体のようなチャネリング器具により患者の鼻または口に導かれる。エーロゾル用量定量バルブの起動と同時に、患者は薬物粒子を肺または鼻腔内に薬物粒子を吸入する。こうして薬物を投薬するシステムは「定量噴霧式吸入器」(MDI)として知られている。この形態の治療についての一般的な背景については、Peter Byron, Respiratory Drug Delivery, CRC Press, Boca Raton, FL (1990) を参照されたい。
【0004】
患者は、衰弱させ、場合によっては生命を脅かす呼吸器疾患の迅速な治療のためにMDIにより送達される薬剤に頼ることが多い。したがって、患者に送達されるエーロゾル薬剤の規定服用量は製造業者が主張する規格と一致し、かつFDAおよび他の監督当局の要求を満たしていることが必須である。すなわち、キャニスターから送達される各回の用量は狭い許容範囲内で同じでなければならない。
【0005】
加圧容器について使用するための従来の定量バルブは、環状定量チャンバーを規定するバルブ部材内で同軸上でスライドできる弁棒と、該弁棒の外側端部および内側端部のそれぞれと該バルブ部材との間で機能できる、それらの間にある定量チャンバーを密閉するための、内側シールおよび外側シールとを含む。該弁棒は中空であり、それによって、該弁棒が投薬位置にないときに定量チャンバーは容器と繋がりそこから製品が供給される。弁棒は投薬位置に移動することができ、その位置で定量チャンバーは容器から隔離され、そして製品の放出のために大気に通じる。停止しているときは、バルブは、例えばバネによってまたは噴射剤組成物により与えられる内部圧力によって、非投薬位置または投薬位置に偏っていてよい。
【0006】
しかしながら、従来の全ての噴射剤により駆動される投薬器は手動により起動することおよび毎回の用量放出の前にリセットすることが必要である。したがって、本発明の目的は、噴射剤により駆動される機構を使用してバルブを起動させるとともに自動的にバルブをリセットすることで、次回の用量を投薬するための準備をすることが可能な、エーロゾル容器に使用するためのバルブを提供することである。
【0007】
したがってある形態では、本発明は、エーロゾル容器内に収容されている液体噴射剤中に物質を含む製剤を投薬するための、噴射剤により作動する自己起動式(self−activating)且つ自己復帰式(self−returning)の前記容器用定量バルブを提供する。
【0008】
好ましくは、該バルブはラッチング手段を備える。
【0009】
ある実施形態では、該バルブは呼吸により作動することができ、かつラッチング手段が呼吸起動(breath−activation)ロックであってよい。
【0010】
あるいはまたは加えて、該ラッチング手段は、機械的な手動起動(manual activation)ロック、および/または電子起動(electronic activation)ロック、および/または電気作動式(electrically−operable activation)起動ロックを含んでいてよい。
【0011】
より好ましくは、該バルブは、バルブ本体内で動くことのできるバルブ部材を備えていてよく、ここで該バルブ部材は、第一反作用面(reaction surface)と第二反作用面とを有しており、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力が該バルブ部材をバルブ本体内の第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる。
【0012】
典型的には、第一位置と第二位置との間をバルブ部材が動くことで、製剤の1回用量をバルブから放出する第一投薬過程(dispensing sequence)と、製剤の第二の用量をバルブから放出する第二投薬過程との間でバルブが切り替えられる。
【0013】
バルブ部材とバルブ本体は、第一定容量(metering volume)を有する第一定量チャンバーおよび第二定容量を有する第二定量チャンバーを規定できる。第一定容量は第二定容量と等しくてよい。
【0014】
好ましくは、バルブ本体は、第一定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第一定容量の形成を可能にする第一のプライミング口と、第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第二定容量の形成を可能にする第二のプライミング口とを有する。
【0015】
ある実施形態では、バルブ部材が弁棒であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該弁棒の往復ピストン動作を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる。
【0016】
弁棒とバルブ本体とは、環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定することができる。
【0017】
第一反作用面は第一ピストンヘッド面を形成することができ、第二反作用面は第二ピストンヘッド面を形成することができる。
【0018】
本発明のバルブはキャニスター内の噴射剤により与えられる圧力を用いてバルブ部材をある方向に移動させ、次いでバルブをその元の位置に復帰させる。ある実施形態では、バルブ部材がある方向に移動する際に一方の定量チャンバーが1用量を集め、バルブ部材がその移動方向を逆戻りする際に他方の定量チャンバーが1用量を集める。したがってある実施形態では、該バルブ部材が弁棒である場合に、下方向へのピストン動作が1用量の製剤を放出し、上方向へのピストン動作がさらに1用量の製剤を放出する。
【0019】
典型的には、第二反作用面の断面積は第一反作用面の断面積よりも大きい。
【0020】
他の実施形態では、バルブ部材は回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる。
【0021】
あるいは、バルブ部材は回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブを第一投薬過程と第二投薬過程との間で動かすことができる。
【0022】
好ましくは、回転盤とバルブ本体とは、楔型で環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定する。
【0023】
典型的には、第一定量チャンバーおよび第二定量チャンバーのそれぞれは、該回転盤に規定される2つの向かい合う面、すなわちリーディング面と第二面とを有しており、リーディング面は第二面よりもより大きな断面積を有しているために第一のリーディング面が第一反作用面であり、第二のリーディング面が第二反作用面である。
【0024】
第一反作用面と第二反作用面とは、断面積が等しくてもよい。
【0025】
好ましくは、バルブ部材は、次の段階:
(i) 第一投薬過程の途中;および/または、
(ii) 第二投薬過程の途中、
の1以上においてラッチング手段により拘束される。
【0026】
バルブは、第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーがエーロゾル容器内の製剤と自由な流れにより連通する位置でラッチすることができる。
【0027】
同調させる技術が低い患者および/または呼吸能力が不確かな患者の要望に応えるべく、呼吸により起動できるまたは呼吸により補助される吸入器具が開発されている。かかる器具は典型的には、患者の内方向への呼吸に応答して薬物の放出を引き起こす呼吸トリガー機構を有する。
【0028】
好ましくは、呼吸により作動するバルブは、患者の呼吸サイクルを監視するためのモニター、例えば空気流に応答して動くことができる1以上の羽根または帆、を有する。
【0029】
好ましくは、該モニターは、
(i) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(ii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサー(sprung vane sensors)および/または風速計);および/または、
(iii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(iv) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(v) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える。
【0030】
典型的には、モニターは、引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供する。引き金点は患者の肺が空になる点と一致する。
【0031】
モニターは、場合により最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備えてもよい。
【0032】
好ましくは、内側シールおよび外側シールはそれぞれ、バルブ部材の内側端部および/または外側端部とバルブ本体との間で機能して、それらの間の第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーを密閉する。
【0033】
ある実施形態では、第二定量チャンバーは、バルブ本体を貫く少なくとも1つの戻り流路によってエーロゾル容器内の製剤と連通している。
【0034】
好ましくは、バルブ部材は少なくとも1つの窪みまたは孔を有し、第二定量チャンバーがその1つまたは各窪みを介して1つまたは各戻り流路と連通している。
【0035】
好ましくは、バルブは、エーロゾル製剤を、出口ノズルまたは出口オリフィスのいずれかに導くか、または該製剤が更なる放出経路から放出されるようにバルブの異なる場所に導く出口手段を備える。
【0036】
典型的には、本発明のバルブは定量噴霧式吸入器に使用するためのものである。
【0037】
本明細書中で使用する場合、用語「定量噴霧式吸入器」または「MDI」は、キャニスター、キャニスターの口を覆うクリンプキャップ、キャップ内にある薬物定量バルブ、定量チャンバーおよびキャニスターがかみ合う適当なチャネリング器具を含む装置を意味する。用語「薬物定量バルブ」または「MDIバルブ」は所定量の薬物製剤を各動作ごとにMDIから送達するバルブおよびそれに関連する機構を指す。チャネリング器具には、例えばバルブおよび薬物が充填されたMDI缶からMDIバルブを経て患者の鼻または口に薬物を送達させ得る円筒形または円錐形の通路のための作動器具(例えばマウスピースアクチュエータ)が含まれる。典型的なMDIの部品の関係は米国特許第5,261,538号に説明されている。
【0038】
ある実施形態ではバルブは液体噴射剤中に物質を含む製剤を収容する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、ここまでに規定したバルブを有する定量噴霧式吸入器に使用するためのキャ二スターを提供する。
【0040】
典型的には、キャ二スターは薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を収容する。
【0041】
本発明は任意のエーロゾル製剤の投薬に利用できるが、一般的に使用されるエーロゾル製剤は、薬物の溶液/懸濁液および1以上の液体噴射剤を含み、場合により共噴射剤 (co−propellant)と、場合によりアジュバントまたは界面活性剤とを含む。
【0042】
好ましくは、噴射剤は、液化HFA 134a、227またはそれらの混合物である。
【0043】
典型的には、噴射剤は実質的にアジュバントを含まない。
【0044】
薬物は、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0045】
さらに他の実施形態では、本発明はここまでに規定したバルブ、および/またはここまでに規定したキャニスターを含む定量噴霧式吸入器を提供する。
【0046】
ある実施形態では、定量噴霧式吸入器は呼吸起動式装置を備える。
【0047】
典型的には、呼吸起動式装置は患者の呼吸サイクルを観察するためのモニターを備える。
【0048】
好ましくは、モニターは、
(i) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(ii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサーおよび/または風速計);および/または、
(iii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(iv) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(v) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える。
【0049】
該モニターは、引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供することができる。該モニターは、最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備えてもよい。
【0050】
さらに他の形態では、本発明は、液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、ここまでに規定したバルブの使用、および/またはここまでに規定したキャニスターの使用を含み、1回用量を投薬した後に定量噴霧式吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される方法を提供する。
【0051】
さらに他の形態では、本発明は、液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力がバルブ部材を第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる、噴射剤により駆動されて作動するサイクルを含む、1回用量を投薬した後に該吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される方法を提供する。
【0052】
典型的には、噴射剤により駆動されて作動するサイクルが、
(i) 第一定量チャンバーへの製剤の自由な流入を可能にする第一充填状態(charging position)の噴射剤駆動による形成;
(ii) 規定された第一定容量の形成;
(iii) 第一定容量を患者に放出する第一投薬状態(dispensing position);
を含む第一投薬過程、および、
(i) 第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入を可能にする第二充填状態;
(ii) 規定された第二定容量の形成;
(iii) 第二定容量を患者に放出する第二投薬状態;
(iv) 第一充填状態への復帰;
を含む第二投薬過程、を含む。
【0053】
さらに別の側面では、本発明は、定量噴霧式吸入器における、ここまでに規定したバルブ、および/またはここまでに規定したキャニスターの使用を提供する。
【0054】
好ましくは、本発明は、薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を投薬するための、ここまでに規定したバルブおよび/またはキャニスターおよび/または定量噴霧式吸入器の使用を提供する。
【0055】
好ましくは、投薬する医薬エーロゾル製剤は、液化HFA 134a、227またはそれらの混合物から選択される噴射剤中に懸濁した薬物である。
【0056】
典型的には、噴射剤は実質的にアジュバントを含まない。
【0057】
薬物は、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0058】
本発明をさらに添付図面を参照にしてさらに説明する。図面は、本発明を説明する働きをするが限定することを意図するものではない。
【0059】
図に関して、図1は、バルブ本体4内で往復してスライドすることができる弁棒2を有する本発明の自己復帰式バルブ組立体を示す。該バルブ組立体は、噴射剤含有薬物製剤8を薬物リザーバー10に収容するキャニスター6のネックに、密閉用キャニスターガスケット12を介して挿入される。弁棒2は、2つの密閉用リング16を有するピストンヘッド「A」14、及び、同じく2つの密閉用リング20を有するピストンヘッド「B」18を持つ。ピストンヘッド「A」及び「B」の間に規定される第一定量チャンバー22が存在する。弁棒2は更に、弁棒が更にバルブ本体4内に挿入されたときに、薬物製剤リザーバー10に連結された戻り流路26と第二定量チャンバー28とを連通させる働きをする窪み24を有する(図4を参照されたい)。
【0060】
図は、弁棒2とバルブ本体4とにより規定される第二定量チャンバー28を示すが、該チャンバーは密閉されたピストン/シリンダーの形態をとることも考えられる。さらにまた、弁棒2は1または2成分の成形物から作ることもできる。好ましくは、弁棒2を2成分成形物として製造する。
【0061】
さらなるシール30がバルブ本体に存在する。図1中のバルブは、戻しバネ34を有する呼吸起動式のペグ型ロック(peglock)32により拘束されており、該戻しバネにより、第一投薬過程の途中、呼吸による起動後及び薬物放出後にロックが再び閉められる。
【0062】
図1は第一投薬過程の間の第一充填状態を示す。薬物製剤よりピストンヘッド「A」14に与えられる圧力は弁棒2がバルブ本体4内を(矢印Xで示すように)動くような圧力である。しかしながら、呼吸起動式ロックが弁棒2を拘束しているので、第一定量チャンバー22は薬物リザーバー10と直接連通している。
【0063】
図2では、呼吸起動式ロック32が解除されており、薬物製剤により与えられる圧力Xは弁棒2がバルブ本体4内を下方向に動くような圧力である。こうして第一の密閉された定用量容積36が第一定量チャンバー22中に捕らえられ、連続的な圧力によりピストンヘッド「B」18が起動ロックを収容するバルブ本体開口部38を通過するまで動くと、薬物が放出される。
【0064】
図3では、薬物製剤により与えられる連続的な圧力Xがバルブ本体4内で弁棒2を動かして、薬物リザーバー10まで伸びている戻り流路26と弁棒2の窪み24とを直接連通させている。この段階で、薬物製剤8が第二定量チャンバー28に入り込み始めてピストンヘッド「B」18に圧力がかかり始める。このときピストンヘッド「A」14とピストンヘッド「B」18には等しいが対向する圧力がかかっている。しかしながら、ピストンヘッド「B」18の圧力がかけられている表面積はピストンヘッド「A」14の圧力がかけられている表面積よりも大きい。表面にかかる力は表面積に正比例するので、ピストンヘッド「B」18上にはより大きな内向きの力がかかっている。従って、図4に示すように、弁棒2は移動方向が反転して、バルブ本体4内を上方に戻り、薬物製剤リザーバー10と第二定量チャンバー28との間の窪み24を介した連絡が絶たれる。この時点で、第二定量チャンバー28中に密閉された第二定容量40が存在する。バルブ本体4内での弁棒2のさらなる移動は、呼吸起動式ロック32により阻止される。ロック32が更に起動すると、その結果、第二薬物定容量40の放出が起こる(図5)。第二定量チャンバー28の排出によりバルブ組立体は図1に示した状態に戻り、サイクルの再始動の準備がなされる。
【0065】
図6は本発明に係るバルブの別の形態を示している。示されるバルブはロータリーバルブであり、トッププレート42とボトムプレート44とを有するバルブ本体を備える。トッププレート42は、ボトムプレート44との密封性のある接触を確実にもたらすためにO−リングシール46を有する。バルブ部材は、2つの楔型の定量チャンバー50、52を有する回転盤48の形態をとる。それぞれの楔型チャンバーは2つの向かい合う面、「A」54および「B」56を有している。トッププレート42は薬物リザーバー(図示していない)と連通している2つの入口穴58を有している。圧力がかかると薬物製剤は両方の入口穴を通過するが、どの時点においても1つの定量チャンバーだけしか入口穴と位置合わせすることができない。薬物製剤が、噴射剤からの圧力下において、表面「A」および「B」を有する位置合わせされた定量チャンバー52に充填される;「B」の表面積は「A」の表面積よりも大きいので、チャンバーは「B」の方向に回転する(矢印Zを参照されたい)。この時点で(示していない)、定量チャンバー50は薬物製剤で満たされ、定量チャンバー52から患者に薬物が放出される。
【0066】
定量噴霧式吸入器は当該技術分野の方法により製造することができる(例えば 上記のByron、および米国特許第5,345,980号を参照されたい)。
【0067】
従来、MDIに使用するためのキャニスターおよびキャップはアルミニウムまたはアルミニウム合金製であるが、ステンレス鋼、銅合金またはブリキのような薬物製剤により影響されない他の金属を使用することができる。MDIキャニスターはガラスまたはプラスチックから作製することもできる。しかしながら、好ましくは本発明に使用するMDIキャニスターおよびキャップはアルミニウムまたはその合金製である。
【0068】
薬物定量バルブは、ステンレス鋼、(アセタール、ポリアミド(例えばNylon(登録商標))、ポリカルボネート、ポリエステル、フルオロカーボンポリマー(例えばTeflon(登録商標))等の薬理学的に弾力的なポリマー、またはこれらの素材の組み合わせからなっていてよい。さらに、種々の素材(例えばニトリルゴム、ポリウレタン、アセチル樹脂、フルオロカーボンポリマー)または他のエラストマー素材のシールおよび“O”リングをバルブおよびその周囲に使用する。
【0069】
密閉用リングは好適な素材のシートからリングを切出すことにより形成することができる。あるいは、密閉用リングは、射出成形法、圧縮成形法またはトランスファー成形法のような成形法により形成することができる。
【0070】
典型的には、密閉用リングおよび/または第二の密閉用リングはエラストマー素材を含む。このリングは典型的には弾力的に変形可能である。
【0071】
エラストマー素材は、熱可塑性エラストマー(TPE)または場合により架橋されていてよい熱硬化エラストマーのいずれかを含む。密閉用リングはまた、エラストマー素材が熱可塑性マトリックス中に分散している熱可塑性エラストマーブレンドまたはアロイを含む。エラストマーは場合によりさらに、好適な量の加工助剤、着色剤、粘着付与剤、潤滑剤、シリカ、タルク、または鉱油のような加工油のような、通常のポリマー添加物を含み得る。
【0072】
好適な熱硬化性ゴムには、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、フルオロシリコンゴム、フルオロカーボンゴム、多硫化ゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブテンゴム、イソブチレンゴムまたはネオプレン(ポリクロロプレン)ゴムが含まれる。
【0073】
好適な熱可塑性エラストマーは、当該技術分野において既知の、約80〜約95モル%のエチレンと、合計して約5〜約20モル%の1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1以上のコモノマーとのコポリマーを含む。2以上のかかるコポリマー同士を混合して熱可塑性のポリマーブレンドを形成することができる。
【0074】
熱可塑性エラストマーの他の好適な種類は、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーである。これらのコポリマーはさらにポリオレフィン(例えばポリプロピレン)およびシロキサンを含むことができる。
【0075】
熱可塑性エラストマー素材はまた次のうちの1以上から選択することもできる:ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエーテルエステルTPE、オレフィンTPE、ポリエステルアミドTPEおよびポリエーテルアミドTPE。
【0076】
他の好適なエラストマーにはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が含まれる。EPDMは単独でまたは熱可塑性エラストマーブレンドもしくはアロイの一部として、例えば連続的な熱可塑性マトリックス(例えばポリプロピレンまたはポリエチレン)中に実質的に均一に分散した粒子の形態で存在し得る。市販の熱可塑性エラストマーブレンドおよびアロイには、SANTOPRENE(商標)エラストマーが含まれる。他の好適な熱可塑性エラストマーブレンドには、ブチル−ポリエチレン(例えば約2:3〜約3:2の範囲の比)およびブチル−ポリプロピレンが含まれる。
【0077】
医薬エーロゾル懸濁液と接触するバルブの任意の部品は、薬物が付着する傾向を減じるフルオロポリマー素材のような素材で被覆することができる。好適なフルオロポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフルオロエチレンプロピレン(FEP)が含まれる。任意の可動部品には、所望の運動特性を高める被覆が施されていてもよい。
【0078】
従って、摩擦接触を高めるために摩擦被覆を施すことができ、また、必要であれば摩擦接触を減じるために潤滑剤を使用することができる。
【0079】
典型的には、密閉用リングおよび/または第二密閉用リングは潤滑性素材を更に含む。好適には、密閉用リングおよび/または第二密閉用リングは最大で30%、好ましくは5〜20%の潤滑性素材を含む。
【0080】
加えて、弁棒もまた潤滑性素材を含み得る。好適には、弁棒は最大で30%、好ましくは5〜20%の潤滑性素材を含む。
【0081】
用語「潤滑剤」は本明細書中では弁棒とシールとの間の摩擦を減じる任意の素材を意味する。好適な潤滑剤には、シリコンオイルまたはポリテトラフルオロエタン(PTFE)もしくはフルオロエチレンプロピレン(FEP)のようなフルオロカーボンポリマーが含まれる。
【0082】
潤滑剤は、弁棒、密閉用リングまたは第二密閉用リングに、被覆および含浸(注入法またはタンポナーデ法)を含む任意の好適な方法により施すことができる。
【0083】
医療用途では、本発明のキャニスターは薬物およびフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボン噴射剤を含む医薬エーロゾル製剤を含む。
【0084】
好適な噴射剤には、例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2ClおよびCClF2CH3のようなC1−4水素含有クロロフルオロカーボン; CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3およびCF3CHFCF3のようなC1−4水素含有フルオロカーボン;ならびに、CF3CF3およびCF3CF2CF3ようなパーフルオロカーボンが含まれる。
【0085】
フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンの混合物を使用する場合は、それらは先に特定した化合物の混合物であってよく、または、他のフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボン(例えばCHClF2、CH2F2およびCF3CH3)との混合物、好ましくは二成分混合物であってよい。好ましくは、単一のフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを噴射剤として使用する。噴射剤として特に好ましいものは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(CF3CHFCF3)のようなC1−4水素含有フルオロカーボンまたはそれらの混合物である。
【0086】
本発明のキャニスター中で使用するための医薬製剤は成層圏のオゾンの破壊を引き起こす成分を含まない。特に該製剤はCCl3F、CCl2F2およびCF3CCl3のようなクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。
【0087】
噴射剤はさらに、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンである飽和炭化水素またはジアルキルエーテル(例えばジメチルエーテル)のような揮発性アジュバントを含み得る。一般的には、噴射剤のうち最大50%(w/w)が、例えば1〜30%(w/w)が、揮発性炭化水素であることがある。しかしながら、揮発性アジュバントを含まないまたは実質的に含まない製剤が好ましい。ある場合には、適当量の水を含むことが望ましいことがある。このことは噴射剤の誘電特性を改変するのに有利であり得る。
【0088】
C2−6脂肪アルコールおよびポリオール(例えばエタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコール)、好ましくはエタノールのような極性共溶媒が、唯一の賦形剤としてまたは界面活性剤などの他の賦形剤に加えて製剤の分散を改良するのに望ましい量で薬物製剤中に含まれ得る。好適には、薬物製剤は極性共溶媒(例えばエタノール)を、噴射剤に対して0.01〜5%(w/w)、好ましくは0.1〜5%(w/w)、例えば約0.1〜1%(w/w)含み得る。
【0089】
界面活性剤もまたエーロゾル製剤に使用することができる。従来の界面活性剤の例は欧州特許第372777号に開示されている。使用する界面活性剤の量は、薬物に対する重量比が0.0001%〜50%の範囲、特に重量比が0.05〜5%であることが望ましい。好ましい界面活性剤はレシチン、オレイン酸およびトリオレイン酸ソルビタンである。しかしながら好ましい製剤は界面活性剤を含まないか実質的に含まない。
【0090】
医薬製剤は、該製剤の総重量に対して0.0001〜50%(w/w)、好ましくは0.001〜20%、例えば0.001〜1%の糖を含んでいてよい。一般的には薬物対糖の比は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:10の範囲内である。製剤中に使用し得る典型的な糖には、例えばスクロース、ラクトースおよびデキストロース、好ましくはラクトースおよび還元糖(例えばマンニトールおよびソルビトール)が含まれ、微粉化形態または粉砕した形態であることができる。
【0091】
最終的なエーロゾル製剤は望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10%(w/w)、好ましくは0.005〜5%(w/w)、特に0.01〜1.0%(w/w)の薬物を含む。
【0092】
エーロゾル製剤として投与され得る薬物には、吸入療法に有用な任意の薬物が含まれる。このように適切な薬物は例えば鎮痛薬(例えばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニールまたはモルヒネ);アンギナ製剤(anginal preparation)(例えばジルチアゼム);抗アレルギー剤(例えばクロモグリケート、ケトチフェンまたはネドクロミル);抗感染剤(例えばセファロースポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンおよびペンタミジン);抗ヒスタミン剤(例えばメタピリレン);抗炎症剤(例えばベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン (tipredane)、トリアムシノロンアセトニド、フルチカゾンまたはモメタゾン);鎮咳薬(例えばノスカピン);気管支拡張剤(例えばエフェドリン、エピネフリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、または (−)−4−アミノ−3,4−ジクロロ−α−[[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]アミノ]メチル]ベンゼンメタノール);利尿薬(例えばアミロリド);抗コリン作用薬(例えばイプラトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウム);ホルモン剤(例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはプレドニゾロン);キサンチン(例えばアミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネートまたはテオフィリン);および、治療用タンパク質およびペプチド(例えばインスリンまたはグルカゴン)から選択し得る。適切であれば、薬剤の活性および/もしくは安定性を最適化するために、ならびに/または、噴射剤中での薬物の溶解性を最小にするために、薬剤を、塩の形態で(例えばアルカリ金属塩もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはエステル(例えば低級アルキルアステル)として、または溶媒和物(例えば水和物)として使用することができるということは当業者には明らかであろう。さらに、適切であれば、薬物を、純粋な異性体、例えばR−サルブタモールまたはRRホルモテロールの形態で使用することができるということも当業者には明らかであろう。
【0093】
本発明のエーロゾル製剤を用いて投与するために特に好ましい製剤には、抗アレルギー剤、気管支拡張剤、および、喘息などの呼吸器疾患の吸入療法による治療に使用する抗炎症ステロイド、例えばクロモグリケート(例えばナトリウム塩として)、サルブタモール(例えば遊離の塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)、ホルモテロール(例えばフマル酸塩として)、テルブタリン(例えばスルホン酸塩として)、レプロテロール(例えば塩酸塩として)、ベクロメタゾンエステル(例えばジプロピオン酸エステル)、フルチカゾンエステル(例えばプロピオン酸エステル)が含まれる。サルメテロール、特にキシナホ酸サルメテロール、サルブタモール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、およびその生理学的に許容できる塩および溶媒和物が特に好ましい。
【0094】
本発明のエーロゾル製剤が、所望であれば2種以上の活性成分の組み合わせを含み得ることは当業者により理解されるであろう。2種の活性成分を含有するエーロゾル組成物が喘息などの呼吸器疾患の治療のために知られている。例えば、ホルモテロールおよびブデソニド、サルメテロール(例えばキシナホ酸塩として)およびフルチカゾン(例えばプロピオン酸エステル)、サルブタモールおよびベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステルとして)が好ましい。
【0095】
本発明のキャニスター中で使用するための特に好ましい製剤は、薬物と、噴射剤としてC1−4ヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3−n−ヘプタフルオロプロパンまたはそれらの混合物とを含む。
【0096】
好ましい製剤は製剤賦形剤を含まないまたは実質的に含まない。このように、好ましい製剤は薬物および選択された噴射剤から実質的になる、またはそれらからなる。
【0097】
医薬エーロゾル製造のための当業者に周知の従来の大量製造方法および機械は、充填したキャニスターの商業的な生産のための大規模なバッチの調整に使用することができる。このように例えばある大量製造方法では、定量バルブをアルミニウム缶にクリンプして空のキャニスターが形成される。粒子状薬物を充填容器に添加して、液化噴射剤を充填容器を通して製造容器に加圧充填する。薬物懸濁液を充填機に再循環する前に混合し、次いで薬物懸濁液のアリコートを定量バルブを通じてキャニスター内に充填する。典型的には医薬用途のために調製するバッチでは、それぞれの充填したキャニスターの重量を検査し、バッチ番号でコードし、放出試験の前に貯蔵のためにトレイ内に包装する。
【0098】
それぞれの充填したキャニスターは使用する前に好適なチャネリング器具に好都合に嵌め込まれて、患者の肺または鼻腔内に薬物を投与するための定量噴霧式吸入器を形成する。好適なチャネリング器具は、例えばバルブアクチュエーターと、それを通って薬物が充填されたキャニスターから定量バルブを経て患者の鼻または口に送達される円筒状または円錐状の経路とを含む。例えばマウスピースアクチュエーターである。定量噴霧式吸入器は、1動作あたりまたは「一吹き(puff)」あたりに固定された単位用量(例えば一吹きあたり10〜5000マイクログラムの範囲)を送達するよう設計されている。
【0099】
薬物の投与は、軽微な、中程度の、または重篤な急性または慢性の症状の治療のために、または予防処置のために示すことができる。投与される正確な用量は、患者の年齢および症状、使用する特定の粒子状薬物および投与の頻度に依存するであろうし、また究極的には担当医の裁量となるであろうことは理解されよう。薬物の組み合わせを用いる場合は、組合わせたものの各成分の用量は、一般的には、単独で使用した場合に各成分について使用する用量となる。典型的には、投与は、例えば各回に1吹き、2吹き、3吹きまたは4吹きであれば、1日あたり1回以上、例えば1〜8回であってよい。バルブを作動するごとに、例えば5μg、50μg、100μg、200μgまたは250μgの薬物を送達することができる。典型的には、定量噴霧式吸入器に使用するための充填したキャニスターはそれぞれ、60、100、120または200回分の定用量または吹出のための薬物を含む。各薬物の用量は当業者により知られているか容易に確認される。
【0100】
本発明の更なる態様には、例えば喘息などの呼吸器疾患の治療方法が含まれ、それには、有効量の本明細書に記載するエーロゾル製剤を、本発明の定量噴霧式吸入器から吸入することにより投与することが含まれる。
【0101】
示した例は単なる例示であり、特許請求の範囲に規定する本発明の範囲から離れること無くそれに改変を行うことができることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、第一投薬過程中の第一充填位置にある、呼吸起動式ロックを有する本発明の自己復帰式バルブを示す。
【図2】
図2は、第一投薬過程中の第一投薬位置にある、図1のバルブを示す。
【図3】
図3は、第二投薬過程中の第二充填位置にある、図1及び2のバルブを示す。
【図4】
図4は、第二投薬過程中の閉じた第二定容量位置にある、図1〜3のバルブを示す。
【図5】
図5は、第二投薬過程中の第二投薬位置にある、図1〜4のバルブを示す。
【図6】
図6は、自己復帰式バルブがロータリーバルブである本発明の別の実施形態を示す。
Claims (54)
- エーロゾル容器内に収容されている液体噴射剤中に物質を含む製剤を投薬するための、噴射剤により作動する自己起動式且つ自己復帰式の前記容器用定量バルブ。
- ラッチング手段を備える、請求項1に記載のバルブ。
- バルブが呼吸により作動され、且つラッチング手段が呼吸起動ロックを備える、請求項2に記載のバルブ。
- ラッチング手段が、機械的な手動起動ロック、および/または電子起動ロック、および/または電気作動式起動ロックを備える、請求項2または3に記載のバルブ。
- バルブ本体内で動くことのできるバルブ部材を備え、該バルブ部材が第一反作用面と第二反作用面とを有しており、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力が該バルブ部材をバルブ本体内の第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルブ。
- 第一位置と第二位置との間をバルブ部材が動くことで、製剤の1回用量をバルブから放出する第一投薬過程と、製剤の第二の用量をバルブから放出する第二投薬過程との間でバルブが切り替えられる、請求項5に記載のバルブ。
- バルブ部材とバルブ本体とが、第一定容量を有する第一定量チャンバーおよび第二定容量を有する第二定量チャンバーを規定する、請求項5または6に記載のバルブ。
- 第一定容量と第二定容量とが等しい、請求項7に記載のバルブ。
- バルブ本体が、第一定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第一定容量の形成を可能にする第一のプライミング口と、第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入による第二定容量の形成を可能にする第二のプライミング口とを有する、請求項7または8に記載のバルブ。
- バルブ部材が弁棒であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該弁棒の往復ピストン動作を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる、請求項6〜9のいずれか1項に記載のバルブ。
- 弁棒とバルブ本体とが環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定する、請求項10に記載のバルブ。
- 第一反作用面が第一ピストンヘッド面を形成し、第二反作用面が第二ピストンヘッド面を形成する、請求項10または11に記載のバルブ。
- 第二反作用面の断面積が第一反作用面の断面積よりも大きい、請求項12に記載のバルブ。
- バルブ部材が回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で切り替えられる、請求項6〜9のいずれか1項に記載のバルブ。
- バルブ部材が回転盤であり、噴射剤により与えられる圧力がバルブ本体内での該回転盤の時計周りまたは反時計周りの回転を引き起こすことでバルブが第一投薬過程と第二投薬過程との間で動かされる、請求項6〜9のいずれか1項に記載のバルブ。
- 回転盤とバルブ本体とが楔型で環状の第一定量チャンバーと第二定量チャンバーとを規定する、請求項14または15に記載のバルブ。
- 第一定量チャンバーおよび第二定量チャンバーのそれぞれが該回転盤に規定される2つの向かい合う面、すなわちリーディング面と第二面とを有しており、リーディング面は第二面よりもより大きな断面積を有しているために第一のリーディング面が第一反作用面であり、第二のリーディング面が第二反作用面である、請求項16に記載のバルブ。
- 第一反作用面と第二反作用面の断面積が等しい、請求項17に記載のバルブ。
- バルブ部材が、次の段階:
(i) 第一投薬過程の途中;および/または、
(ii) 第二投薬過程の途中、
の1以上においてラッチング手段により拘束される、請求項6〜18のいずれか1項に記載のバルブ。 - バルブが、第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーがエーロゾル容器内の製剤と自由な流れにより連通する位置でラッチされる、請求項19に記載のバルブ。
- バルブが患者の呼吸サイクルを監視するためのモニターを備える、請求項3〜20のいずれか1項に記載のバルブ。
- モニターが、
(vi) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(vii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサーおよび/または風速計);および/または、
(viii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(ix) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(x) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える、請求項21に記載のバルブ。 - モニターが引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供する、請求項21または22に記載のバルブ。
- モニターが、最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備える、請求項23に記載のバルブ。
- 内側シールおよび/または外側シールがそれぞれ、バルブ部材の内側端部および/または外側端部とバルブ本体との間で機能して、それらの間の第一定量チャンバーおよび/または第二定量チャンバーを密閉する、請求項1〜24のいずれか1項に記載のバルブ。
- 第二定量チャンバーが、バルブ本体を貫く少なくとも1つの戻り流路によってエーロゾル容器内の製剤と連通している、請求項7〜21のいずれか1項に記載のバルブ。
- バルブ部材が少なくとも1つの窪みまたは孔を有し、第二定量チャンバーがその1つまたは各窪みを介して1つまたは各戻り流路と連通している、請求項26に記載のバルブ。
- 出口手段が、エーロゾル製剤を、出口ノズルまたは出口オリフィスのいずれかに導くか、または該製剤が更なる放出経路から放出されるようにバルブの異なる場所に導く、請求項1〜27のいずれか1項に記載のバルブ。
- 定量噴霧式吸入器に使用するための請求項1〜28のいずれか1項に記載のバルブ。
- 液体噴射剤中に物質を含む製剤を収容する、請求項1〜29のいずれか1項に記載のバルブ。
- 実質的に特許請求の範囲で規定され添付図面に関連するバルブ。
- 請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブを有する定量噴霧式吸入器に使用するためのキャ二スター。
- 薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を収容する請求項32に記載のキャ二スター。
- 噴射剤が液化HFA 134a、227またはそれらの混合物である、請求項33に記載のキャ二スター。
- 噴射剤が実質的にアジュバントを含まない、請求項33または34に記載のキャ二スター。
- 薬物が、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択される、請求項33〜35のいずれか1項に記載のキャニスター。
- 実質的に特許請求の範囲で規定され添付図面に関連するキャニスター。
- 請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブ、および/または請求項32〜37にいずれか1項に記載のキャニスターを備える定量噴霧式吸入器。
- 呼吸起動式装置を備える、請求項38に記載の定量噴霧式吸入器。
- 呼吸起動式装置が患者の呼吸サイクルを監視するためのモニターを備える、請求項39に記載の定量噴霧式吸入器。
- モニターが、
(xi) 呼吸サイクルに伴う圧力プロフィール(例えば圧力変換器);および/または、
(xii) 呼吸サイクルに伴う空気流プロフィール(バネ入り羽根センサーおよび/または風速計);および/または、
(xiii) 呼吸サイクルに伴う温度プロフィール;および/または、
(xiv) 呼吸サイクルに伴う湿度プロフィール;および/または、
(xv) 呼吸サイクルに伴う化学的プロフィール、
を検出するための1以上のセンサーを備える、請求項40に記載の定量噴霧式吸入器。 - モニターが引き金点にて製剤を投薬するためのシグナルを提供する、請求項40または41に記載の定量噴霧式吸入器。
- モニターが、最適な引き金点を予測するための予測アルゴリズムを有する電子情報処理装置を備える、請求項42に記載の定量噴霧式吸入器。
- 実質的に特許請求の範囲に記載され添付図面に関連する定量噴霧式吸入器。
- 液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブの使用、および/または請求項32〜37のいずれか1項に記載のキャニスターの使用、および/または請求項38〜44のいずれか1項に記載の定量噴霧式吸入器の使用を含み、1回用量を投薬した後に該吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される、前記方法。
- 液体噴射剤中に物質を含む製剤を定量噴霧式吸入器から投薬する方法であって、噴射剤により与えられる第一反作用面への圧力がバルブ部材を第一位置から第二位置に動かし、噴射剤により与えられる第二反作用面への圧力が該バルブ部材を第一位置に復帰させる、噴射剤により駆動されて作動するサイクルを含む、1回用量を投薬した後に該吸入器が更なる用量の放出のために自動的に準備される、前記方法。
- 噴射剤により駆動されて作動するサイクルが、
(i) 噴射剤により駆動される、第一に充填する第一定量チャンバーの形成;
(ii) 規定された第一定容量の形成;
(iii) 第一定容量を患者に放出する第一投薬状態;
を含む第一投薬過程、および、
(i) 第二定量チャンバーへの製剤の自由な流入を可能にする第二充填状態;
(ii) 規定された第二定容量の形成;
(iii) 第二定容量を患者に放出する第二投薬状態;
(iv) 第一充填状態への復帰;
を含む第二投薬過程、を含む請求項46に記載の方法。 - 実質的に特許請求の範囲に記載され添付図面に関連する方法。
- 定量噴霧式吸入器における、請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブ、および/または請求項32〜37のいずれか1項に記載のキャニスターの使用。
- 薬物とフルオロカーボン噴射剤とを含む医薬エーロゾル製剤を投薬するための、請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブ、および/または請求項32〜37のいずれか1項に記載のキャニスター、および/または請求項38〜44のいずれか1項に記載の定量噴霧式吸入器の使用。
- 投薬する医薬エーロゾル製剤が、液化HFA 134a、227またはそれらの混合物から選択される噴射剤中に懸濁した薬物である請求項50に記載の使用。
- 噴射剤が実質的にアジュバントを含まない、請求項50または51に記載の使用。
- 薬物が、プロピオン酸フルチカゾン、サルブタモール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、サルメテロール、その薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはエステル、およびそれらの混合物から選択される、請求項50〜52のいずれか1項に記載の使用。
- 実質的に特許請求の範囲に記載され添付図面に関連する使用。
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