JP2004361889A - 走査ミラー、ビーム走査型プローブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、この少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えており、この圧電部材に電圧が印加されると、その自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を変位させ、回動ミラーを傾斜させるよう構成する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、体腔内の観察像を得たり該体腔内の組織を治療したりするビームを走査するための走査ミラー、及び該走査ミラーを備えたビーム走査型プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡を用いた脳神経手術(腫瘍の除去など)や子宮鏡を用いた子宮内胎児手術(先天奇形の早期治療)などにおいて、レーザを用いた精密な体腔内治療が有効である。また、このためには解像度の高い精密な観察も求められる。
【0003】
光ファイバなどで体腔内にレーザ光を導入し、組織に照射して切開、蒸散、癒合を行う体腔内治療が既に行われているが、一般に照射範囲は光ファイバのコア径より大きく、微細な治療ができない。レンズを用いて集光することで照射範囲を小さくできるが、有効な治療をするためには先端部を精密に動かす必要がある。先端部を機械的に精密に動かすためには装置が複雑になり、信頼性も劣る。
【0004】
レンズを用いて集光した光を、レンズと焦点の間にマイクロスキャナを置くことで精密にスキャンすることができる。例えば、レーザ光を体腔内の生体組織に照射し、その照射された生体組織からの反射光のうち、対物光学系の物体側焦点面における反射光のみを抽出することにより、その生体組織を観察する共焦点プローブが提案され実用に供している(例えば、特許文献1参照)。また、低干渉性の光を利用して体腔内の断層像を得る、光コヒーレンス・トモグラフィ(Optical Coherence Tomography、以下、OCTとする)の機能を備えているOCTプローブも広く知られており実用に供している(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上述した特許文献に記載されているプローブは、マイクロスキャナを駆動させることにより光源装置から射出したレーザ光を観察対象である生体組織でスキャンさせて2次元や3次元の画像を得る走査型のプローブである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−221192号公報(第3〜5頁、第3〜5図)
【特許文献2】
特開2001−87269号公報(第3、4頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、治療に有効な十分に強度の強いレーザ光をスキャンするには、これらのスキャナは一般にミラー部分が薄く、ダメージを受けやすい。ところが、サーフェスマイクロマシニングなどを用いて作製したマイクロスキャナ(言い換えると走査ミラー)のミラー部分は行程上厚くすることができない。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、治療に有効な強度のレーザ光を良好に反射することができるミラーを有した走査ミラー及びこの走査ミラーを備えたビーム走査型プローブを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る走査ミラーは、弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、この少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えており、圧電部材に電圧が印加されると、その自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を変位させ、回動ミラーを傾斜させる。このように走査ミラーを構成すると、例えば数百μm程度の厚みを有する反射部材を回動ミラーとして採用することができる。このような走査ミラーであれば、治療に有効な強度のレーザ光を良好に反射することができる。また、カンチレバーは、弾性部材を挟むようにさらにもう1つ圧電部材を貼り合わせたものであってもよい。
【0010】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る走査ミラーは、2つの圧電部材を貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、カンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えており、2つの圧電部材に電圧が印加されると、自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を変位させ、回動ミラーを傾斜させることができる。
【0011】
また、上記走査ミラーにおいて、所定のビームは、光線の束である光ビームまたは超音波の束である超音波ビームのいずれか一方である。
【0012】
また、上記走査ミラーは、回動ミラーの中心部を反射面と反対の面である支持面側から支持している軸頭をさらに備えている。
【0013】
また、上記走査ミラーにおいて、カンチレバーと回動ミラーの間に、少なくとも2軸に変形する変形部を形成してもよい。また、この変形部は、カンチレバーと一体に形成されていてもよい。また、カンチレバー自由端に、回動ミラーの周辺部を支持する凸部を形成してもよい。また、回動ミラーの周辺部に、自由端と支持する凸部を形成してもよい。
【0014】
また、上記走査ミラーにおいて、軸頭が回動ミラーを支持している支持部は支持面側に形成された凹部である。
【0015】
また、上記走査ミラーにおいてカンチレバーが複数本備えられている場合、複数のカンチレバーの各々は長手方向が同一方向になるように配置されている。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る走査ミラーは、熱膨張係数の異なる2つの部材を貼り合わせ、さらに2つの部材の少なくとも1つに電熱ヒータを有した、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えており、電熱ヒータに電流が印加されると、自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を変位させ、回動ミラーを傾斜させることができる。
【0017】
また、上記走査ミラーは、カンチレバーの変位を計測するセンサをさらに備えており、センサの計測結果に基づいてカンチレバーの変位量を制御することができる。
【0018】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るビーム走査型プローブは、所定のビームを体腔内で走査するための走査ミラーを備えている。この走査ミラーは、弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、この少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えており、圧電部材に電圧が印加されると、その自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を変位させ、回動ミラーを傾斜させる。またこのとき、所定のビームは、光線の束である光ビームまたは超音波の束である超音波ビームのいずれか一方である。
【0019】
また、上記ビーム走査型プローブにおいて、走査ミラーはプローブの先端部内に備えられており、少なくとも1本のカンチレバーはその長手方向がプローブの長手方向と一致するように配置されている。従って、走査ミラーが占めるプローブの径方向のスペースを抑えることができるため、プローブの細径化が容易となる。
【0020】
また、上記ビーム走査型プローブは、プローブの側面に所定のビームを透過させる透過部材をさらに備え、所定のビームを透過部材に導くよう回動ミラーを長手方向に対して傾けて配置したものであってもよい。
【0021】
また、上記ビーム走査型プローブは、プローブの先端面に所定のビームを透過させる透過部材と、回動ミラーを反射した所定のビームを透過部材に導くよう固定された固定ミラーとをさらに備え、所定のビームを固定ミラーに導くよう回動ミラーを配置したものであってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に用いられる内視鏡装置10の構成を模式的に示した図である。この内視鏡装置10は電子内視鏡装置と光ビーム走査型プローブ装置から構成されている。以下に、図1を用いて、この内視鏡装置10の構成及び作用を説明する。
【0023】
内視鏡装置10に備えられている電子内視鏡装置は、体腔内に挿入して観察対象を撮像する電子内視鏡400と、電子内視鏡400から出力されてくる画像信号に所定の処理を施す画像処理機能と観察対象を照明する照明機能とを兼ね備えたプロセッサ500と、プロセッサ500から出力されてくる映像信号を表示するモニタ600から構成されている。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に用いられる電子内視鏡400の先端部450を拡大して示した拡大図である。以下に、図1に加えてこの図2を用いて、電子内視鏡装置の構成及び作用を説明する。
【0025】
電子内視鏡400は、プロセッサ500に接続するための接続部を有している。この接続部には、上述した照明光をライトガイドに入射させるためのファイバジャック412と、プロセッサ500と電気的に接続するためのケーブルジャック414とが備えられている。このファイバジャック412はプロセッサ500が備えているファイバジャック512に接続され、ケーブルジャック414はプロセッサ500が備えているケーブルジャック514に接続される。
【0026】
電子内視鏡400の内部にはその長手方向に沿って、プロセッサ500から射出される照明光を観察対象まで導光するライトガイドが配置されている。図2に示すように、先端部450の前面には2つの照明窓452が備えられている。ファイバジャック412により接続されているプロセッサ500から射出された照明光は、ライトガイドに導光され、この照明窓452から射出して観察対象を照明する。
【0027】
また、電子内視鏡400の内部にはその長手方向に沿って、先端部450内部に配置されている固体撮像素子とプロセッサ500との間で信号を送受信するケーブルとが配置されている。このケーブルで伝送されている信号は、プロセッサ500が固体撮像素子に送信する駆動パルスであったり、固体撮像素子がプロセッサ500に送信する画像信号であったりする。この先端部450に備えられている固体撮像素子は例えばCCDである。また、このような電子内視鏡に用いられるCCDには、細径化を達成するために蓄積部を備えないフレームトランスファー型CCDが採用されている。図2に示すように、先端部450の前面には観察系454が備えられている。観察対象から反射してくる照明光は、観察光として観察系454に入射し、CCDに受光されて画像信号に変換され、ケーブルジャック414を介してプロセッサ500に出力される。
【0028】
また、電子内視鏡400は、さまざまな処置具を電子内視鏡400内部に挿入するための鉗子差込口422を有している。この鉗子差込口422は、生体組織の止血や採取等さまざまな処置を行うための鉗子や、生体組織を電子内視鏡400と別の倍率で観察したりその断層像を観察したりするためのプローブ等が挿入される部位である。術者は、手術内容に応じてさまざまな処置具をこの鉗子差込口422に挿入することができる。
【0029】
鉗子差込口422と先端部450とを繋いでいる挿入部可撓管432内部にはその長手方向に沿って、鉗子チャンネル456が備えられている。この鉗子チャンネル456の一端は鉗子差込口422であって、もう一端は先端部450の前面に形成されている穴部である。すなわち、この鉗子チャンネル456は鉗子差込口422と先端部450との間に形成されている円筒状の通路であって、鉗子差込口422に挿入された処置具は、図2に示すように、その先端部が先端部450の前面から僅かに突出するようにセットされる。
【0030】
また、電子内視鏡400は、術者が電子内視鏡400を操作するための操作部442を鉗子差込口422近傍に備えている。この操作部442には、先端部450近傍をさまざまな方向に湾曲させることができるノブが複数種類備えられている。術者がこれらのノブを操作すると先端部450前面をあらゆる方向に向けることができる。従って、狭い体腔内において観察対象をさまざまな角度から観察することができる。また、この操作部442は、鉗子チャンネル456にセットされている処置具を操作することもできる。
【0031】
このように構成された電子内視鏡400により生成された画像信号は、モニタ600に表示できるように画像処理を施すプロセッサ500に出力される。次に、プロセッサ500で行われる画像処理のプロセスを説明する。
【0032】
CCDによって得られた観察対象の画像信号は、プロセッサ500に備えられている初段信号処理部に送信される。この初段信号処理部は、送信された画像信号を増幅させ、サンプリング、ホールド等の処理を行う。そして、この画像信号をデジタル信号に変換させる。変換されたデジタル信号は、さらに、初段信号処理部が有しているマルチプレクサによってCCDの駆動と同期して切り替えられ、R、G、Bの各色の画像信号に分離されて、図示しないRGBメモリが有している各メモリに出力される。
【0033】
RGBメモリはR、G、Bの各色に対応した3つのフレームメモリであるRメモリ、Gメモリ、Bメモリを備えており、初段信号処理部に分離された各色の画像信号は、それぞれ対応するフレームメモリに格納される。
【0034】
図示しないタイミングジェネレータは、RGBメモリの各フレームメモリに格納されている画像信号を同時に読み出すためのタイミング信号を送信する。このタイミング信号は、例えば、1秒当たり30フレームから構成される動画がモニタ上において表示できるタイミングで送信される。すなわち、このタイミングジェネレータは、RGBメモリの各フレームメモリに格納されている画像信号を1秒当たり30フレーム、同時に読み出すタイミング信号を送信する。このタイミング信号に基づき、各色の画像信号は同時に読み出されて、図示しない後段信号処理部に出力される。
【0035】
後段信号処理部は、この信号をアナログ信号に変換させ、さらにこのアナログ信号をモニタ600に表示させるためのコンポジットビデオ信号や、Y/C信号、RGBビデオ信号に変換する。そして、これらのビデオ信号がモニタ600に出力されると、モニタ600上に、電子内視鏡400により撮像された観察対象の画像が表示される。
【0036】
図3は、本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ装置の全体構成を示したブロック図である。内視鏡装置10に備えられている光ビーム走査型プローブ装置は、鉗子チャンネル456に挿通される観察対象の像を得るための光ビーム走査型プローブ100と、光ビーム走査型プローブ100によって得られた観察対象の像に所定の画像処理を施す画像処理機能と観察対象を照射する照射機能とを兼ね備えたプロセッサ200と、プロセッサ200から出力されてくる映像信号を表示するモニタ300から構成されている。以下に、図3を用いて、この光ビーム走査型プローブ装置の構成及び作用を説明する。
【0037】
プロセッサ200は観察用光源部210を備えている。この観察用光源部210は例えば低コヒーレント光を射出する光源である。この観察用光源部210から射出されるレーザ光の可干渉距離は極めて短く、その距離は数十〜数百μm程度となっている。観察用光源部210は制御部270から発信されてくる駆動パルスに応じてレーザ光を射出する。なお、この観察用光源部210は観察用途に限ることなく、別の用途の光源であっても良い。その際には、この光源部からのレーザ光の波長も別の帯域になる。
【0038】
観察用光源部210から射出されたレーザ光はシングルモードの光ファイバである測定光用ファイバ222内を伝送していく。この測定光用ファイバ222の光路中にはフォトカプラ220が配置されている。このフォトカプラ220は、測定光用ファイバ222を、別のシングルモードの光ファイバである参照光用ファイバ224と光学的に結合している。従って、観察用光源部210から射出されたレーザ光はこのフォトカプラ220によって2つの光に分割される。分割されたレーザ光の一方は、測定光として測定光用ファイバ222内を伝送していき、もう一方は、参照光として参照光用ファイバ224内を伝送していく。なお、測定光用ファイバ222及び参照光用ファイバ224はシングルモードの光ファイバに限らず、マルチモード光ファイバであってもよい。
【0039】
また、プロセッサ200には観察用光源部210と別の光源部である治療用光源部260が備えられている。この治療用光源部260は患部を治療するための特定波長のレーザ光を射出する光源部である。治療用光源部260は制御部270から発信されてくる駆動パルスに応じてこの特定波長のレーザ光を射出する。この治療用光源部260から射出されたレーザ光は、治療光として治療光用ファイバ262内を伝送していく。
【0040】
上述した、測定光用ファイバ222内を伝送していく測定光と治療光用ファイバ262内を伝送していく治療光との光路中には、切り替え用ミラー240が配置されている。この切り替え用ミラー240は、切り替え用ミラー240に入射してくる測定光または治療光のいずれか一方を、接続部290で接続されている光ビーム走査型プローブ100に導く機能を有している。この切り替え用ミラー240は例えばこれらの光路中に回動可能に支持されているミラーであって、その回動状態に応じて上記2つの光のいずれか一方を光ビーム走査型プローブ100に導くものである。術者は、プロセッサ200に備えられた図示しない操作部を操作して切り替え用ミラー240を切り替えることにより、光ビーム走査型プローブ100に導く光(測定光または治療光のいずれか一方)を選択することができる。
【0041】
光ビーム走査型プローブ100に導かれた測定光または治療光のいずれか一方は、光ビーム走査型プローブ100内に配置されているファイバ内を伝送していき、光ビーム走査型プローブ100の後述する観察窓が向けられている対象物に到達する。光ビーム走査型プローブ100に導かれた光が測定光である場合、この測定光は観察対象で反射され、同様の光路で再び光ビーム走査型プローブ100に入射し、プロセッサ200に向かって光ビーム走査型プローブ100内のファイバ内を伝送していく。また、光ビーム走査型プローブ100に導かれた光が治療光である場合、この治療光は患部に照射され、その患部を治療する。
【0042】
上述したように観察対象に反射された測定光は再び光ビーム走査型プローブ100内のファイバ内を伝送していき、切り替え用ミラー240を介して測定光用ファイバ222に入射する。そしてこのファイバ内をフォトカプラ220に向かって伝送していく。
【0043】
また、フォトカプラ220によって分割されたもう一方の光、すなわち参照光は参照光用ファイバ224内を伝送していく。参照光用ファイバ224の先端にはレンズ232が配置されている。
【0044】
レンズ232を介した参照光の光路中には参照ミラー234が配置されている。この参照ミラー234は、参照光の光軸に対して垂直な方向に反射面を有している。また、この参照ミラー234は、ミラー駆動装置236によって参照光の光軸と平行な方向(矢印A方向)に移動可能に備えられている。このミラー駆動装置236は、板状の圧電素子を複数枚積層することにより構成した、いわゆる積層型の圧電アクチュエータである。参照ミラー234がミラー駆動装置236によって移動すると、フォトカプラ220から参照ミラー234までの参照光の光路長が変化する。すなわち、フォトカプラ220から参照ミラー234までの参照光の光路長は、参照ミラー234を移動させることにより調節することができる。
【0045】
参照光は、参照光用ファイバ224内を伝送していき、このファイバから射出されると、レンズ236によって参照ミラー234の反射面上で集光して反射する。反射された参照光は、同様の光路で再びレンズ236に入射し、参照光用ファイバ224内をフォトカプラ220に向かって伝送していく。
【0046】
観察対象に反射されて測定光用ファイバ222内を伝送してきた測定光と、参照ミラー234に反射されて参照光用ファイバ224内を伝送してきた参照光とは、フォトカプラ220において干渉する。ただし、観察用光源部210から射出されたレーザ光は低コヒーレンス光であって、このレーザ光の可干渉距離は数十〜数百μm程度であるため、測定光が反射した観察対象からフォトカプラ220までの測定光の光路長と、参照ミラー234からフォトカプラ220までの参照光の光路長との差が、例えばミリオーダーの可干渉距離以上ある場合には、この2つの光は干渉しない。すなわち、これら測定光と参照光との光路長の差が観察用光源部210から射出されたレーザ光の可干渉距離以内の場合に限り、この2つの光は干渉する。
【0047】
観察対象で反射した測定光と参照光とがフォトカプラ220において干渉すると、この干渉光はフォトディテクタ250に受光される。このフォトディテクタ250は、受光した干渉光を光電変換し、画像信号として制御部270に出力する。制御部270に出力されたこの画像信号は、さらに、画像処理部280に出力され、この画像処理部280によりモニタ300に表示できるように所定の画像処理を施される。
【0048】
モニタ300に表示される光ビーム走査型プローブ装置によって得られた画像は、観察対象の2次元及び3次元画像である。この2次元画像は後述する走査ミラーによって得ることができる観察対象の平面方向の画像である。また、3次元画像は参照ミラー234を調節することにより得ることができる観察対象の深さ方向の画像である。以下に、観察対象の2次元画像を得るための光ビーム走査型プローブ装置の構成を説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ100の先端部の内部構造を模式的に示した断面図である。図4(a)は、光ビーム走査型プローブ100の先端部をその長手方向に沿って示した側断面図である。また、図4(b)は、光ビーム走査型プローブ100の先端部をその長手方向に直交する方向から示した断面図である。以下に、図4を用いて、この光ビーム走査型プローブ100の先端部の構成及び作用を説明する。
【0050】
光ビーム走査型プローブ100は全体が可撓性を有しているプローブチューブ112に覆われている。このプローブチューブ112の先端部には硬質なパッケージ114が配置されている。また、プローブチューブ112の先端部及びパッケージ114の一部は切り欠かれており、その切り欠かれた部分には観察窓116が隙間なく備えられている。また、プローブチューブ112には、上述した測定光が伝送されていくファイバ118がその長手方向に沿って配置している。このファイバ118の一端は接続部290と接続されており、もう一端はパッケージ114内に配置されている。
【0051】
パッケージ114内には、ファイバ118の一方の端部に加えて、対物光学系120、固定ミラー122、及び走査ミラー130が備えられている。この走査ミラー130はケーブル124によってプロセッサ200が備えている制御部270と電気的に接続されている。この走査ミラー130は、回動可能に支持した可動ミラー132を備えている。この回動ミラー132は、制御部270から発信されてくる駆動パルスに応じて回動するものである。また、この回動ミラー132は、数百μm程度の厚みを有した反射部材からなる。
【0052】
プロセッサ200側からファイバ118を伝送してきた測定光は、パッケージ114内のファイバ118の端部前面に配置されている対物光学系120に入射する。さらに、この測定光は対物光学系120を介してパッケージ114内に固定されている固定ミラー122に向かって進行していく。そしてこの測定光は、固定ミラー122で反射して回動ミラー132に向かって進行し、さらに、この回動ミラー132の反射面の中心位置である点Pで反射し、観察窓116を介して観察対象に向かって進行していく。このとき回動ミラー132は図4で示している矢印B及びC方向に高速で振動している。従って、この測定光は観察対象上を矢印B’及びC’方向に走査されていく。
【0053】
観察対象上を走査し反射した測定光は、照射時と同一の光路を経て再び観察窓116に入射し、回動ミラー132、固定ミラー122、対物光学系120、及びファイバ118を介してプロセッサ200に戻り、フォトカプラ220で参照光と干渉する。このようにして、矢印B’及びC’方向の観察対象の像、すなわち2次元の像を得ることができる。
【0054】
なお、本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ100は側視タイプのプローブとして構成されている。本実施形態の構成によると、体腔内の狭い管腔に挿入した場合、プローブ先端を湾曲させなくても管腔内の側壁と観察系とが向かい合うため、直視タイプに比べて患部を観察し易いという利点がある。また、患部を観察しながら微細な治療を行うことができる。
【0055】
また、ラジアルタイプのプローブにおいてスラスト方向の観察像を得る場合、プローブ内部の光学系をプローブチューブに対して相対移動させているため、観察領域がプローブの先端側(スラスト方向)に素早く変化するよう操作すると、このプローブ内部の光学系が他の部材に当たって欠けてしまうことがあった。ところが本実施形態のプローブは、スラスト方向に関して広い範囲を観察することができ、ラジアル方向に関して電子内視鏡400の操作部442で操作してプローブそのものを周方向に回転させることにより観察することができる。従って、本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ100では容易に広い範囲を観察することができる。
【0056】
図5は、本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ100の先端部に備えられている走査ミラー130の構成を模式的に示した図である。図5(a)は、走査ミラー130の上面図である。また、図5(b)及び図5(c)は、走査ミラー130の側面図である。以下に、図5を用いて、この走査ミラー130の構成及び作用を説明する。
【0057】
走査ミラー130は、上述した回動ミラー132に加えて、基台134、基台134に支持されている3本のカンチレバー136、及び支柱138から構成されている。
【0058】
基台134は、短辺と長辺とを組み合わせたL字形状を有しているものであって、パッケージ114内に備えられている。この基台134は、上述したように、3本のカンチレバー136及び支柱138を支持している。
【0059】
3本のカンチレバー136は、断面形状が長方形となる棒状の弾性材136a及び圧電材136bを貼り合わせることにより形成された、いわゆるユニモルフ構造を有したカンチレバーである。これらのカンチレバー136は基台134の短辺の端部にその一端が支持されている。すなわち、これらのカンチレバー136は一端が固定端となっており、もう一端が自由端となっている。
【0060】
また、これらカンチレバー136の固定端に位置する圧電材136bはそれぞれケーブル124に接続されている。従って、これらの圧電材136bの各々に電圧が印加されると、その印加された電圧に応じて各々の圧電材136bが伸縮し、カンチレバー136の自由端の各々は図5の矢印D方向に変位する。説明を加えると、電圧印加により圧電材136bが伸長すると弾性材136aに対して圧電材136bが長くなるため、カンチレバー136は基台134から離れる方向に変位する。また、電圧印加により圧電材136bが収縮すると弾性材136aに対して圧電材136bが短くなるため、カンチレバー136は基台134に接近する方向に変位する。
【0061】
また、圧電材136bに電圧を印加していない状態において、これらカンチレバー136の自由端の各々は回動ミラー132の反射面の周辺部と当接している。なお、これらのカンチレバー136は、自由端の矢印D方向の変位量を確保するために一方向に長く形成されている。また、これらのカンチレバー136は、その長手方向が基台134の長手方向と一致するように配置されている。
【0062】
支柱138は、一端が半球状に形成されているものであって、もう一端がカンチレバー136を支持している短辺から長手方向に離れた基台134上で支持されている。回動ミラー132の反射面と反対の面である支持面の中心部には半球状の凹部132aが形成されており、支柱138の半球形状を有している軸頭はこの凹部132aで回動ミラー132を回動可能に支持している。
【0063】
上述したように、回動ミラー132は、反射面周辺部が3本のカンチレバー136で支持されており、支持面中心部が支柱138の軸頭で支持されている。従って、圧電材136bの各々に電圧が印加されてそれぞれの自由端が変位すると、回動ミラー132は、支柱138の軸頭により中心部を支持されつつその周辺部が3本のカンチレバー136の自由端により押圧されてさまざまな角度に傾斜する。すなわち、回動ミラー132は、凹部132aと支柱138の軸頭とが接している点を中心に矢印B及びC方向に傾斜する。この凹部132aは、回動ミラー132の強度を考慮しつつ、凹部132aと支柱138の軸頭とが接する上記点ができる限り反射面の中心位置である点Pに接近するように形成されている。従って、この回動ミラー132は、反射面の中心位置である点P、すなわち測定光が入射してくる点を略中心として矢印B及びC方向に傾斜する。
【0064】
図6は、本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部の内部構造を模式的に示した側断面図である。なお、この実施形態の光ビーム走査型プローブにおいて、図1から図5に示す上述の実施形態の光ビーム走査型プローブ100と同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【0065】
この実施形態において、走査ミラー130は光ビーム走査型プローブの長手方向に対して所定角度傾けて配置されている。説明を加えると、ファイバ118及び対物光学系120の光軸を含んだ平面上に、回動ミラー132の反射面の中心位置である点Pが位置するように、走査ミラー130は配置されている。従って、対物光学系120を射出した測定光は点Pに向かって進行していき、この点Pで反射し観察窓116を介して観察対象で走査される。なお、回動ミラー132が初期位置、すなわち傾斜していない状態にある場合に、測定光が光ビーム走査型プローブの長手方向に対して直交する方向に射出するのが好ましい。従って、ファイバ118及び対物光学系120の光軸を含んだ平面と配置されている走査ミラー130とがなす角度は45度が好ましい。
【0066】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなくさらに様々な範囲で変形が可能である。
【0067】
なお、本発明の実施形態において、走査ミラー130が備えられているプローブは、OCTの機能を有している光ビーム走査型プローブ100であったが、他の形態の走査型プローブ、例えば共焦点顕微鏡を備えたプローブに走査ミラー130を備えてもよい。
【0068】
また、本発明の実施形態において、走査ミラー130に備えられているカンチレバー136は、弾性材136a及び圧電材136bを貼り合わせることにより形成したユニモルフ構造を有したものであったが、弾性材136aを両側面から挟むように2枚の圧電材136bを貼り合わせることにより形成したバイモルフ構造を有したものであってもよい。カンチレバーの各々をバイモルフ構造にした場合、それらの自由端の変位量を増加させることができるため、観察対象を広い範囲で観察することができる。また、さらに別の実施形態では、カンチレバー136は、圧電材136bを2枚貼り合わせることにより形成したバイモルフ構造であってもよい。
【0069】
また、本発明の実施形態において、走査ミラー130に備えられているカンチレバー136は3本であるが、この走査ミラーに備えられるカンチレバー136は2本であってもよいし4本以上であってもよい。カンチレバー136の本数を減少させると、光ビーム走査型プローブ100をより小型化させることができる。
【0070】
また、本発明の実施形態において、1つの走査ミラー130を用いて測定光を観察対象に対して2次元に走査しているが、2つの走査ミラーを用いて測定光を観察対象に対して2次元に走査するよう構成してもよい。この実施形態では、それぞれの走査ミラーによって測定光をそれぞれ異なった方向に1次元に走査することにより、測定光を観察対象に対して2次元に走査することができる。このとき、それぞれの走査ミラーの回動ミラー132を一方向に傾斜させることができればよいため、1つの走査ミラーに対して1本のカンチレバー136を設ければよい。従って、走査ミラーの長手方向に直交する方向の幅をより細く形成することができる。その結果、光ビーム走査型プローブ100の径方向に対する走査ミラーのスペースを抑えることができるため、この光ビーム走査型プローブ100をより細径化することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態において、走査ミラー130に備えられている回動ミラー132は凹部132aで支柱138に回動可能に支持されているが、この支柱138を削減した状態で走査ミラーを構成してもよい。この実施形態では、回動ミラーの周辺部は接着剤などの手段によりカンチレバー136の自由端に支持されている。説明を加えると、カンチレバー136の自由端には弾性部材が接着されており、さらにこの弾性部材は回動ミラーの周辺部に接着されている。この弾性部材は、カンチレバー136の自由端が変位した際に、その自由端と回動ミラーの周辺部に生じるねじれを吸収する機能を果たすものである。この実施形態の回動ミラーは、複数本のカンチレバー136それぞれの変位によって点Pを中心に回動している。この場合、回動ミラーに凹部132aを形成する必要がないため、部品点数の削減及び組立工程の簡略化に加えて、回動ミラーを製造する工程も簡略化できる。
【0072】
また、本発明の実施形態において、支柱138の先端部は半球状に形成されているが、この先端部は針状に尖らせて形成してもよい。支柱の先端部が半球形状である形態と比較した場合、回動ミラー132と支柱との接触部がより小さくなり、この接触部で損失する摩擦によるエネルギーが軽減するため、より高いエネルギー効率で回動ミラー132を回動させることができる。なお、回動ミラー132と支柱との接触部(例えば支柱138の軸頭と凹部132a)に、SiCやダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の耐摩耗性材料をコーティングするとよい。これらのような耐摩耗性材料を該接触部にコーティングすると、該接触部で発生し得る摩耗による劣化を防止することができ、その結果、経年変化が起こり難くなる。
【0073】
また、本発明の実施形態において、カンチレバー136は回動ミラー132を反射面側から支持しているが、支持面側から支持したり、反射面と支持面との間の側面側から支持したりするよう構成してもよい。すなわち、カンチレバー136による回動ミラー132の支持方法により、走査ミラーのサイズ、回動ミラーの傾斜可能範囲、分解能、組立性などが変化するため、この走査ミラーが配置されるプローブに応じて上記支持方法を適宜選択して走査ミラーを構成することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態において、カンチレバー136は、圧電材136bの回動ミラー132側の面で回動ミラー132を支持しているが、図7に示したように、前記面上に凸部136cを形成して回動ミラー132を支持するよう構成してもよい。この凸部136cの先端部は、針状に尖らせて形成してもよいし、半球形状に形成してもよい。また、図8に示したように、回動ミラー132の反射面側にカンチレバー136と接する凸部132bを形成してもよい。なおこのとき、図7に示した凸部136cと回動ミラー132との接触部、及び図8に示した凸部132bとカンチレバー136との接触部に、上述した耐摩耗性材料をコーティングし、これらの部分における耐摩耗性を向上させるとよい。
【0075】
また、図7で示した凸部136cの代わりに、2軸に変形可能な変形部を形成してもよい(図9)。図9(A)は、この実施形態の回動ミラー132周辺部分を示した斜視図である。また、図9(B)及び図9(C)は、カンチレバー136に外力が加わったときの変形部の状態を示した図である。この実施形態では、3本のカンチレバー136の各々に、トーションバー136yと穴部136zからなる変形部が形成されている。トーションバー136yは、カンチレバー136の長手方向に形成されたバーであって、外力によって捻れたり撓んだりする。このトーションバー136yの一端は、回動ミラー132の支持面と面同士で接着しており、もう一端は、弾性材136aと一体に形成されている。また、穴部136zは、弾性材136aに形成された穴であって、弾性材136aの長手方向と直交する方向に長く形成されている。例えば、図9(A)で中央に配置しているカンチレバー136が回動ミラー132の反射面側に変位すると、このカンチレバー136は、図9(B)に示すように穴部136zの両脇の部分を撓ませつつ回動ミラー132を傾斜させる。このとき図9(A)で両脇に配置している2本のカンチレバー136は、回動ミラー132の傾斜を吸収するようにトーションバー136yを捻らせる(図9(C))。すなわち変形部は、トーションバー136y及び穴部136zにより、少なくとも2軸に変形することができる。また、穴部136z周りの弾性材136aを、長手方向と該長手方向とでそれぞれ異なった厚みに形成すると、穴部136zの両脇の部分がより撓み易くなり、かつトーションバー136yが捻れ易くなる。また、この実施形態では、カンチレバー136が回動ミラー132の支持面に接着されているため、他の実施形態と異なり、反射面を実質的に全面、反射面として使用することができる。
【0076】
また、本発明の実施形態において、カンチレバー136には、圧電材が採用されているが、熱膨張係数の異なった部材を組み合わせてカンチレバーを構成してもよい。この実施形態では、上述した実施形態の圧電材136bの代わりに、弾性材136aと異なった熱膨張係数を有した弾性材が採用されている。すなわちこの実施形態では、カンチレバーは2つの弾性材を貼り合わせることにより構成されている。さらにこれら2つの弾性材の少なくとも一方の表面には、電熱ヒータが貼り付けられている。この電熱ヒータに電流が印加されると、電熱ヒータからの熱により前記2つの弾性材は変形する。これら2つの弾性材は熱膨張係数がそれぞれ異なっているため、前記熱による変形量が異なる。そのため、この実施形態のカンチレバーは、上述した実施形態のカンチレバー136と同様に変位することができ、回動ミラーを所定方向に押圧することができる。
【0077】
また、本発明の実施形態では、観察用光源部210から光ビームを観察対象に照射してその際の反射光に基づき観察画像を得ている。ここで別の実施形態では、超音波ビームを観察対象に向けて発振してその際に反射してきた音波に基づき観察画像を得るように構成してもよい。この実施形態を実現するためには、観察用光源部210を超音波トランスデューサ駆動回路に置き換え、光ファイバを電気配線に置き換え、さらに、レンズを超音波トランスデューサに置き換えればよい。この実施形態では、超音波トランスデューサから発振した超音波ビームが回動ミラーに向けて発射され、該回動ミラーの回動に応じて超音波ビームは観察対象にて走査される。その結果、この実施形態のプローブは、2次元画像を取得することができる。また、OCTと同様に、超音波ビームを用いると観察対象の深さ方向の画像情報も取得できるため、この実施形態のプローブでも3次元画像を取得することができる。このとき使用する超音波の周波数は、例えば、血管内IVUSと同様に、10MHzから30MHz程度の周波数であることが望ましい。
【0078】
また、図6に示した実施形態は、走査ミラー全体が光ビーム走査型プローブの長手方向に対して所定角度傾けて配置されているが、図10に示すように、走査ミラーのパーツのうち、基台やカンチレバーなどの回動ミラー以外のパーツは該長手方向と平行となり、回動ミラーのみ所定角度傾けて配置されるよう走査ミラーを構成してもよい。この実施形態の場合、対物光学系120を射出したビームは、直接回動ミラー132によって反射され、観察窓116から射出して対象物に照射される。
【0079】
また、本発明の実施形態では、光ビーム走査型プローブは側視型のプローブであるが、図11に示すような直視型のプローブであってもよい。この実施形態の場合、走査ミラー130は図10と同様の構成である。また、観察窓116は、光ビーム走査型プローブ100の先端面に設けられている。また、パッケージ114内には、回動ミラー132における反射光を観察窓116に導く固定ミラー140が設けられている。すなわち対物光学系120を射出したビームは、直接回動ミラー132によって反射され、さらに固定ミラー140に反射され、観察窓116から射出して該先端面と対向している対象物に照射される。
【0080】
また、さらに別の実施形態では、上述した全ての実施形態の走査ミラーにカンチレバー136の変位を測定するセンサを加えた走査ミラーが備えられている。この実施形態では、前記センサがカンチレバー136の変位を測定し、図示しないフィードバック回路等がその測定結果に基づいてカンチレバー136に印加する電流または電流を調整、つまりカンチレバー136の変位を調整することができる。そのため、体腔内に照射される測定光または参照光の走査精度が向上する。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明の走査ミラーは、弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、この少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーとを備えている。この圧電部材に電圧が印加されると、その自由端が、所定方向に変位して回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ周辺部を押圧し、回動ミラーを傾斜させる。このように走査ミラーを構成すると、例えば数百μm程度の厚みを有する反射部材をミラーとして採用することができる。このような走査ミラーであれば、治療に有効な強度のレーザ光を良好に反射することができる。さらに、安価な圧電部材によりミラーを回動させているため、低コストで製造することができる。また、カンチレバーを長く形成できるため、所定方向に関するカンチレバー自由端の変位量を大きくすることができる。従って、走査ミラーの小型化を達成しつつも回動ミラーのティルト量を確保することができる。また、本発明の走査ミラーによると、カンチレバーの変位量の制御により回動ミラーの角度を所定の角度に容易に固定させることも可能である。このように回動ミラーの角度を固定させた場合、治療用レーザの対象物に対する照射位置を固定した状態で該レーザの照射条件(例えばパルス幅、照射時間、強度等)を変えることができるため、効率良くかつ的確に該対象物への治療を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に用いられる内視鏡装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態に用いられる電子内視鏡の先端部を拡大して示した拡大図である。
【図3】本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブ装置の全体構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部の内部構造を模式的に示した断面図である。
【図5】本発明の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部に備えられている走査ミラーの構成を模式的に示した図である。
【図6】本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部の内部構造を模式的に示した側断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部に備えられている走査ミラーの構成を模式的に示した図である。
【図8】本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部に備えられている走査ミラーの構成を模式的に示した図である。
【図9】本発明の別の実施形態の回動ミラー周辺部分を示した図である。
【図10】本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部の内部構造を模式的に示した側断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態の光ビーム走査型プローブの先端部の内部構造を模式的に示した側断面図である。
【符号の説明】
10 内視鏡装置
100 光ビーム走査型プローブ
130 走査ミラー
132 回動ミラー
136 カンチレバー
Claims (18)
- 所定のビームを走査する走査ミラーにおいて、
弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、
前記カンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーと、を備え、
前記圧電部材に電圧が印加されると、前記自由端が、所定方向に変位して前記回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ前記周辺部を変位させ、前記回動ミラーを傾斜させること、を特徴とする走査ミラー。 - 前記カンチレバーは、前記弾性部材を挟むようにさらにもう1つ圧電部材を貼り合わせたものであること、を特徴とする請求項1に記載の走査ミラー。
- 所定のビームを走査する走査ミラーにおいて、
2つの圧電部材を貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、
前記カンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーと、を備え、
2つの前記圧電部材に電圧が印加されると、前記自由端が、所定方向に変位して前記回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ前記周辺部を変位させ、前記回動ミラーを傾斜させること、を特徴とする走査ミラー。 - 前記所定のビームは、光線の束である光ビームまたは超音波の束である超音波ビームのいずれか一方であること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走査ミラー。
- 前記回動ミラーの中心部を反射面と反対の面である支持面側から支持している軸頭をさらに備え、
前記カンチレバーは、前記回動ミラーの周辺部を前記反射面側から支持していること、を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の走査ミラー。 - 前記カンチレバーと前記回動ミラーの間に、少なくとも2軸に変形する変形部を形成したこと、を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の走査ミラー。
- 前記変形部は、前記カンチレバーに一体に形成されていること、を特徴とする請求項6に記載の走査ミラー。
- 前記自由端に、前記回動ミラーの周辺部を支持する凸部を形成したこと、を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の走査ミラー。
- 前記回動ミラーの周辺部に、前記自由端と支持する凸部を形成したこと、を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の走査ミラー。
- 前記軸頭が前記回動ミラーを支持している支持部は、前記支持面側に形成された凹部であること、を特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の走査ミラー。
- 前記カンチレバーが複数本備えられている場合、前記複数のカンチレバーの各々は、長手方向が同一方向になるように配置されていること、を特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の走査ミラー。
- 所定のビームを走査する走査ミラーにおいて、
熱膨張係数の異なる2つの部材を貼り合わせ、さらに2つの前記部材の少なくとも1つに電熱ヒータを有した、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、
前記少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーと、を備え、
前記電熱ヒータに電流が印加されると、前記自由端が、所定方向に変位して前記回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ前記周辺部を変位させ、前記回動ミラーを傾斜させること、を特徴とする走査ミラー。 - 前記カンチレバーの変位を計測するセンサをさらに備え、前記センサの計測結果に基づいて前記カンチレバーの変位量を制御すること、を特徴とする請求項1から請求項12に記載の走査ミラー。
- 波源部から射出した所定のビームを体腔内で走査して観察像を得るビーム走査型プローブにおいて、
前記所定のビームを体腔内で走査するための走査ミラーを備え、
前記走査ミラーは、弾性部材と圧電部材とを貼り合わせ、基台に一端を支持されている少なくとも1本のカンチレバーと、
前記少なくとも1本のカンチレバーの自由端に周辺部を支持されている回動ミラーと、を備え、
前記圧電部材に電圧が印加されると、前記自由端が、所定方向に変位して前記回動ミラーの中心部を略一定位置に保持しつつ前記周辺部を変位させ、前記回動ミラーを傾斜させること、を特徴とするビーム走査型プローブ。 - 前記所定のビームは、光線の束である光ビームまたは超音波の束である超音波ビームのいずれか一方であること、を特徴とする請求項14に記載のビーム走査型プローブ。
- 前記走査ミラーはプローブの先端部内に備えられており、
前記少なくとも1本のカンチレバーは、前記少なくとも1本のカンチレバーの長手方向が前記プローブの長手方向と一致するように配置されていること、を特徴とする請求項14または請求項15のいずれかに記載のビーム走査型プローブ。 - 前記プローブの側面に前記所定のビームを透過させる透過部材をさらに備え、
前記所定のビームを前記透過部材に導くよう前記回動ミラーを前記長手方向に対して傾けて配置したこと、を特徴とする請求項14から請求項16のいずれかに記載のビーム走査型プローブ。 - 前記プローブの先端面に前記所定のビームを透過させる透過部材と、
前記回動ミラーを反射した前記所定のビームを前記透過部材に導くよう固定された固定ミラーと、をさらに備え、
前記所定のビームを前記固定ミラーに導くよう前記回動ミラーを配置したこと、を特徴とする請求項14から請求項16のいずれかに記載のビーム走査型プローブ。
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