JP2004361745A - 画像形成方法とそれを実施するための画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像形成方法は、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるトナー粒子を含むトナーを使用して、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、上記トナー粒子によって吸水、除去しながら画像形成する。画像形成装置は、上記トナーを、アモルファスシリコン感光体1の表面に現像手段4から供給してクリーニング手段6で回収させる操作を一定時間行って吸水させる吸水モードを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファスシリコン感光体を用いた画像形成方法と、その実施のための画像形成装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置においては、まず像担持体の表面に静電潜像を形成した後、この静電潜像を、現像手段によってトナー像に現像する。次にこのトナー像を、転写手段によって紙などの被印刷物の表面に転写した後、定着手段によって定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
【0003】
またトナー像転写後の像担持体は、その表面に残留したトナーをクリーニング手段によって除去することで次の画像形成に備える。
上記の画像形成装置に用いる像担持体としては、光導電性を有する種々の材料からなる、種々の構造を有するものが実用化されているが、とくにアモルファスシリコン感光体が、無公害物質であるため工業的に優れていることや、表面硬度が高く信頼性の高い、メンテナンス性に優れた長寿命の感光体を形成できること、さらには実用的な感度を有し、しかも比較的安価に製造できることから、広く一般に用いられている。
【0004】
しかしアモルファスシリコン感光体は、周知のように帯電工程等で発生するオゾンなどの接触によって、あるいは帯電工程等で発生する放電生成物が付着することによって、その表面が酸化されて酸化物被膜が形成されやすい上、上記のように表面硬度が高く耐磨耗性に優れることから、定期的に表面を研磨して酸化物被膜を除去してやらないと、当該酸化物被膜が、空気中の水分や、あるいは被印刷物としての紙に吸着した水分などを吸着することによって、表面の電荷が感光体の面方向にリークしやすくなる。そして環境変動、とくに湿度が上昇した際に、形成画像にいわゆる画像流れが生じやすくなるという問題を有する。
【0005】
そこでトナー粒子を、酸化チタンやアルミナなどの、研磨作用を有する硬質の材料からなる研磨材粒子で表面処理して研磨性を持たせることによって、画像形成時などに、アモルファスシリコン感光体の表面を研磨して常時、新鮮な表面を露出させることで画像流れを防止することが行われている(例えば特許文献1、2参照)。
しかし装置の使用時に、研磨材粒子でアモルファスシリコン感光体の表面を研磨し続けることになるので、その他の感光体に比べれば依然として長寿命ではあるものの、アモルファスシリコン感光体の寿命が通常よりも短くなるという問題がある。
【0006】
そこでアモルファスシリコン感光体の表面に、水を含んだ放電生成物除去部材を接触させて、酸化物被膜のもとになる放電生成物を水に溶かして除去することで、酸化物被膜の生成を未然に防止することが提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−152196号公報(特許請求の範囲、第0003欄〜第0006欄、第0010欄〜第0017欄)
【特許文献2】
特開2002−318463号公報(特許請求の範囲、第0005欄〜第0006欄、第0009欄)
【特許文献3】
特開2002−169444号公報(特許請求の範囲、第0005欄〜第0008欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが特許文献3の方法では、アモルファスシリコン感光体の表面に、積極的に水を供給していることになるため、どうしても表面に水が残存して、画像流れが発生してしまう。
また放電生成物除去部材や、当該部材に水を供給するための手段などの追加が必要で、装置が複雑化するという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、アモルファスシリコン感光体の表面を意図的に研磨することなく、また研磨する場合でも、これまでよりも研磨量を抑えてそのさらなる長寿命化を図りつつ、しかも装置を複雑化させることなしに、吸水による画像流れをより確実に防止しうる画像形成方法と、それを実施するための画像形成装置とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、像担持体としてのアモルファスシリコン感光体の表面に形成した静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程を含む画像形成方法であって、上記トナー中に含まれるトナー粒子として、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるものを使用することによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、上記トナー粒子によって吸水、除去しながら画像形成することを特徴とする画像形成方法である。
【0011】
また請求項2記載の発明は、酸価が40〜90mgKOH/gであるポリエステル系樹脂を定着用樹脂として用いることによって、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を0.7〜2.1重量%の範囲内に調整したトナー粒子を使用する請求項1記載の画像形成方法である。
さらに請求項3記載の発明は、像担持体としてのアモルファスシリコン感光体と、当該アモルファスシリコン感光体の表面に形成した静電潜像にトナーを付着させることでトナー像を形成するための現像手段と、アモルファスシリコン感光体の表面に付着したトナーを除去するためのクリーニング手段とを備え、請求項1の画像形成方法を実施するための画像形成装置であって、画像形成のためのモードとは別に、アモルファスシリコン感光体の表面に、現像手段によってトナーを連続的に供給し、かつ供給したトナーを、クリーニング手段によってアモルファスシリコン感光体の表面から連続的に除去する操作を一定時間、続けることによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、トナー中に含まれる、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるトナー粒子によって吸水、除去するためのモードを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるトナー粒子を含むトナーによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を吸水、除去しながら画像形成することができるため、例えば研磨材粒子を全く使用せずに、したがって感光体表面を意図的に研磨することなしに、吸水による画像流れを防止することができる。また研磨材粒子を使用する場合でも、その量をこれまでよりも著しく少なくして、つまりこれまでよりも感光体表面の研磨量を抑えながら、吸水による画像流れを防止することができる。しかも通常のトナーに代えて上記のトナーを使用するだけで、吸水による画像流れを防止することができる。よってアモルファスシリコン感光体のさらなる長寿命化を図りつつ、しかも装置を複雑化させることなしに、吸水による画像流れをより確実に防止することが可能となる。
【0013】
また請求項1記載の発明によれば、例えば常に高温、高湿状態にあるような特殊な、そして通常よりも画像流れが発生しやすい環境下において、研磨材粒子の使用量を従来どおりとすることで、トナー粒子による吸水の効果と、研磨材粒子による研磨効果との相乗効果によって、かかる特殊な環境下での、吸水による画像流れをより確実に防止することも可能である。
また請求項2記載の発明によれば、定着用樹脂としてのポリエステル系樹脂の酸価を調整することによって、トナー粒子の、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を、前記の範囲内で任意に設定することができる。
【0014】
さらに請求項3記載の発明によれば、通常の画像形成モードと別に設けた、アモルファスシリコン感光体の表面に、前記のトナー粒子を含むトナーを連続的に供給し、次いで連続的に除去する操作を一定時間、続けることによって、その表面に吸着した水分を、トナー粒子によって吸水、除去するためのモード(「吸水モード」とする)を実施することで、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分をさらに確実に吸水、除去することができる。
【0015】
したがって、例えば湿度の上昇時など、アモルファスシリコン感光体が普段より吸水しやすい状況下においても、上記の吸水モードを実施することによって、吸水による画像流れをより一層、確実に防止することが可能となる。
しかも上記吸水モードは、画像形成装置が本来的に有している現像手段とクリーニング手段とを用いて、その制御プログラムに追加を加えるだけで実施することができ、追加の手段などを必要としないため、装置が複雑化するおそれもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を、詳細に説明する。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、前記のように、トナー中に含まれるトナー粒子として、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるものを用いることによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、上記トナー粒子によって吸水、除去しながら画像形成することを特徴とするものである。
【0017】
(トナー粒子)
トナー粒子の、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%に限定されるのは、0.7重量%未満では、当該トナー粒子による、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を吸水、除去する効果が得られず、吸水による画像流れを防止することができないためである。また逆に2.1重量%を超える場合には、トナー粒子の吸水性が強くなりすぎて、過剰に吸水した水分によってトナーの帯電が阻害されて、形成画像の余白部分にトナーが付着する地肌カブリなどを生じるためである。ちなみに従来の、通常の画像形成方法に用いる一般的なトナー粒子の、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率は、発明者の検討によると0.2〜0.5%程度である。
【0018】
なお、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率は、カールフィッシャー法によって測定することができる。具体的には、温度35℃、相対湿度85%の環境下で24時間、放置して飽和するまで吸水させたトナー約1000gを秤量し、次いで微量水分測定装置〔三菱化成(株)製のCA−05〕を用いて、下記の条件で、上記トナー中の水分量(g)を測定した後、秤量結果と水分量の測定結果とから、飽和吸水状態のトナー中に含まれる水分の重量百分率を求めて、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率とする。
【0019】
トナー加熱温度:150℃
トナー加熱時間:5分間
窒素流量:200ml/分
かかるトナー粒子は、従来同様に定着用樹脂中に、着色剤その他の添加剤を分散させた構造を有するのが好ましい。
定着用樹脂としては、たとえばスチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、塩素化ポリスチレン、ホリプロピレン、アイオノマー等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステルなどを挙げることができ、特にポリエステル系樹脂が好ましい。
【0020】
トナー粒子の、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を0.7〜2.1重量%の範囲に調整するためには、例えば上記例示の一般的な定着用樹脂中に、吸水性を有する成分(吸水性樹脂など)を配合するなどの種々の方法が考えられるが、特に定着用樹脂としてポリエステル系樹脂を使用する場合は、先に説明したようにその酸価を40〜90mgKOH/gに調整することによって、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を上記の範囲に設定するのが好ましい。
【0021】
またポリエステル系樹脂の酸価を上記の範囲に調整するためには、当該ポリエステル系樹脂中に存在する遊離カルボン酸基(縮重合反応していないカルボン酸基)の数を通常よりも増加させればよい。
例えば多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合反応させてポリエステル系樹脂を合成する際に両成分の比率を変えたり、あるいは上記多価カルボン酸成分として、2価のカルボン酸成分と3価以上のカルボン酸成分とを併用して両者の比率を変えたりして、多価アルコール成分中の水酸基に対するカルボン酸基の当量比を、カルボン酸基過剰の状態とすると、縮重合後のポリエステル系樹脂中に存在する遊離カルボン酸基の数を増加させることができる。
【0022】
ポリエステル系樹脂のもとになる多価カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等の2価カルボン酸;n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の2価カルボン酸のアルキルもしくはアルケニルエステル;1,2,4−べンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−べンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロへキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等を挙げることができる。また、これら多価カルボン酸の無水物も使用できる。
【0023】
一方、多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオぺンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類の他、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ぺンタエリスリトール、ジぺンタエリスリトール、トリぺンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ぺンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルべンゼン等のトリオール以上の多価アルコール類を挙げることができる。
【0024】
着色剤としては、トナー粒子の色に合わせた各色の着色剤を用いることができる。その好適な例は下記の通りである。
黒色顔料
カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック。
黄色顔料
黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネープルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ。
【0025】
橙色顔料
赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料
べンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B。
【0026】
紫色顔料
マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ。
青色顔料
紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC。
【0027】
緑色顔料
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG。
白色顔料
亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛。
体質顔料
バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト。
【0028】
着色剤の添加量は、定着用樹脂100重量部に対して1〜20重量部であるのが好ましく、2〜8重量部であるのがさらに好ましい。
着色剤以外の他の添加剤の代表例としては、電荷制御剤、オフセット防止剤を挙げることができる。
電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電特性を制御するためのもので、トナーの帯電極性に応じて正電荷制御用と負電荷制御用のいずれかの電荷制御剤を用いる。
【0029】
このうち正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基性窒素原子を有する有機化合物、例えば塩基性染料、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン類等や、上記各化合物で表面処理された充填剤等を挙げることができる。
また負電荷制御用の電荷制御剤としては、ニグロシンベース(CI5045)、オイルブラック(CI26150)、ボントロンS、スピロンブラック等の油溶性染料;スチレン−スチレンスルホン酸共重合体等の電荷制御性樹脂;カルボキシ基を含有する化合物(たとえばアルキルサリチル酸金属キレート等)、金属錯塩染料、脂肪酸金属石鹸、樹脂酸石鹸、ナフテン酸金属塩等を挙げることができる。
【0030】
電荷制御剤の添加量は、定着用樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.5〜8重量部であるのがさらに好ましい。
オフセット防止剤は、トナーにオフセット防止効果を付与するために配合する。オフセット防止剤としては、脂肪族系炭化水素、脂肪族金属塩類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種ワックス等を挙げることができる。中でも、重量平均分子量が1000〜10000程度の脂肪族系炭化水素が好ましい。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、炭素原子数4以上のオレフィン単位からなる低分子量のオレフィン重合体、シリコーンオイル等の1種または2種以上の組み合わせが適当である。
【0031】
オフセット防止剤の添加量は、定着用樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.5〜8重量部であるのがさらに好ましい。
その他、安定剤等の種々の添加剤を、適宜の割合で配合してもよい。
またトナーを磁性一成分現像剤として使用する場合は、トナー粒子中に、例えば酸化または未酸化の鉄、フェライト、磁性体(Co系、Mn−Mg系、Cu−Zn系、Li系等)などの粉末(磁性粉)を添加すればよい。
【0032】
磁性粉の添加量は、定着用樹脂100重量部に対して50〜100重量部であるのが好ましい。
トナー粒子の、体積基準の中心粒径は3〜20μmであるのが好ましく、特に5〜12μmであるのが好ましい。
本発明に使用するトナーは、上記トナー粒子の表面を、例えば流動化剤や帯電調整剤として機能するシリカ、酸化チタン、アルミナなどの微小粒子(外添剤、個数基準の中心粒径が0.1μmよりかなり小さいもの)や、あるいはそれよりも粒径の大きい、個数基準の中心粒径が0.1μm以上、好ましくは0.1〜2μmの酸化チタンやアルミナなどの研磨材粒子等で表面処理して構成することができる。
【0033】
このうち外添剤の粒径は、BET比表面積で表して20〜400m2/g、特に50〜200m2/gであるのが好ましい。
また外添剤による、トナー粒子の表面処理量は、当該トナー粒子100重量部に対して0.05〜2重量部、特に0.1〜1重量部であるのが好ましい。表面処理量が0.05重量部未満ではトナーの流動性が不足するおそれがあり、逆に2重量部を超えるとフィルミングやチャーヂャ汚れが発生するおそれがある。
【0034】
また研磨材粒子は、前述したように本発明では全く使用しなくても良いが、使用する場合は、これも先に述べたようにアモルファスシリコン感光体の寿命をできるだけ長くすることを考慮して、これまでよりも少量の使用に留めるのが好ましい。すなわち研磨材粒子の、トナー粒子に対する表面処理量は、トナー粒子100重量部に対して1重量部以下、特に0.05〜0.5重量部であるのが好ましい。
【0035】
ただし前記のように、常に高温、高湿状態にあるような特殊な、そして通常よりも画像流れが発生しやすい環境下では、研磨材粒子を従来と同量程度、使用してもよい。すなわち研磨材粒子の、トナー粒子に対する表面処理量は、トナー粒子100重量部に対して0.05〜3重量部、特に0.1〜2重量部であるのが好ましい。
トナーは、一成分現像剤(磁性または非磁性)および二成分現像剤のいずれにも好適に使用できる。
【0036】
このうち磁性一成分現像剤としては、前記のように磁性粉を添加したトナー粒子を含むトナーを用いることができる。また非磁性一成分現像剤としては、磁性粉を添加していないトナー粒子を含むトナーを用いればよい。さらに二成分現像剤を得るには、磁性粉を添加していないトナー粒子を含むトナーと、キャリヤとを混合すればよい。
キャリヤとしては、たとえばガラスビーズや、酸化または未酸化の鉄粉、フェライト、Co系、Mn−Mg系、Cu−Zn系、Li系などの磁性体粒子、あるいはその表面を合成樹脂(アクリル系、フッ素系、シリコーン系、ポリエステル系などの樹脂)で被覆したもの等を挙げることができる。
【0037】
かかるキャリヤは、体積基準の中心粒径が35〜100μm、特に40〜65μmであるのが好ましい。また二成分現像剤のトナー濃度は、2〜15重量%であるのが好ましい。
(アモルファスシリコン感光体)
上記トナーと組み合わせて本発明の画像形成方法を実施するためのアモルファスシリコン感光体としては、例えばドラム状などの所定の形状に形成した導電性基体の表面にアモルファスシリコン系の感光層を備えた、従来公知の種々の構造を有する感光体を用いることができる。
【0038】
またアモルファスシリコン系の感光層は、例えばグロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法などの気相成長法によって形成することができ、その形成にあたっては、Hやハロゲン元素を含有させることもできる。また感光体の特性を調整するためにC、N、O等の元素を含有させたり、周期表(長周期型)の13族元素や15族元素を含有させたりしてもよい。
具体的には感光層は、例えばa−Siの他、a−SiC、a−SiO、a−SiONなどのアモルファスシリコン系の、光導電性を有する種々の材料にて形成することができる。
【0039】
とくにa−SiCを用いるのが好ましく、その場合はSi1−xCxのxの値を0<x≦0.5、好ましくは0.05≦x≦0.45に設定するのがよい。この範囲であればa−SiC層を、良好なキャリアの輸送を維持しつつa−Si層よりも高抵抗にして、感光体の光感度特性を向上することができる。
13族元素や15族元素としては、それぞれBやPが、共有結合性に優れ、半導体特性を敏感に変え得る点で、また優れた光感度が得られるという点で望ましい。
【0040】
さらにアモルファスシリコン系の感光層を、光キャリア発生の機能を高めた層領域(光励起層領域)と、キャリア輸送の機能を持たせた層領域(キャリア輸送層領域)とを積層したものとすると、感光体の光感度と耐電圧特性とをともに高めることができる。
この際、光励起層領域は光キャリアの生成効率を高めるため、成膜条件のうち、(1) 成膜速度を低めに設定する、(2) 製膜成分の、H2やHeでの希釈率を高める、(3) ドープする元素の量を、キャリア輸送層領域よりも多くする、等の対策を施しつつ製膜するのが好ましい。
【0041】
またキャリア輸送層領域は、主に感光層の耐圧を高めるとともに、光励起層領域から注入されたキャリアを導電性基体にスムースに輸送する役割を持つが、この層領域においても、光励起層領域を透過してきた光によりキャリア生成が行われるため、感光体の光感度の向上に寄与する。
アモルファスシリコン系の感光層の厚みは、露光波長の光に対するこの層の吸収係数から求まる光吸収の深さに対して、さらに0.1〜2.0μmを加えた厚みとするのが好ましい。
【0042】
また感光層を、上記のように光励起層領域とキャリア輸送層領域とを積層したものとする場合には、光励起層領域の厚みを、上記光吸収の深さにほぼ等しく設定するのが好ましい。
感光層と導電性基体との間には、キャリア阻止層を介在させるのが好ましい。キャリア阻止層は、現像時に感光体の表面がバイアス電圧を印加されつつトナーと接触した際に、導電性基体から感光層へのキャリアの注入を阻止することにより、露光部と非露光部との静電コントラストを高めて画像の濃度を向上させるとともに、地肌カブリを低減する機能を有する。
【0043】
キャリア阻止層としては、それぞれ絶縁性であるa−SiC、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCONなどにて形成した無機絶縁層や、あるいはポリエチレンテレフタレート、パリレン(登録商標)、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリフッ化エチレンプロピレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸セルローズ樹脂その他によって形成した有機絶縁層等を用いるのが好ましい。
【0044】
またキャリア阻止層には、絶縁性とともに、導電性基体やアモルファスシリコン系感光層との密着性が良く、かつ感光層を形成する際の加熱等にも大きな変質を起こさないといった特性が求められる。
かかる特性を考慮すると、キャリア阻止層もa−SiCにて形成するのが好ましい。
キャリア阻止層を形成するa−SiCを絶縁性とするためには、キャリア阻止層に含まれるCの量を、感光層の場合に比べて多くすればよい。
【0045】
キャリア阻止層の厚みは0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。
また感光層の表面は、有機もしくは無機の絶縁材料からなる表面保護層によって被覆して保護するのが好ましい。これにより、帯電手段などによる放電時に感光層の表面が酸化されて、放電生成物や水分子などを吸着しやすい酸化物被膜が形成されるのを防止することができる。また絶縁耐圧を向上したり、繰り返し使用した際の耐磨耗性を向上したりすることもできる。
【0046】
とくにa−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiCO、a−SiNOなどのa−Si系の絶縁材料からなる層を用いるのがよく、これらは感光層と同様の薄膜形成方法によって形成することができる。
とくにa−SiCにて形成するのが好ましい。表面保護層にa−SiCを用いる場合は、絶縁性を付与するため、キャリア阻止層の場合と同様に、含まれるCの量を感光層に比べて多くすればよい。
【0047】
具体的には、Si1−xCxのx値を0.3≦x<1.0、とくに0.5≦x≦0.95とするのが好ましい。
また上記Cのx値を調整して、表面保護層の暗抵抗率を1013Ω・cm以上とするのが好ましい。
暗抵抗率が1013Ω・cm以上であると、感光体は、表面保護層の面方向における電位の流れが少ないため静電潜像の維持能力が高い上、耐湿性にも優れており、吸水による画像流れの発生を抑制する効果に優れたものとなる。
【0048】
また、かかる高抵抗の表面保護層は、トナーを通してのバイアスによる電荷の注入を阻止し、露光部と非露光部との電位コントラストを高めて、その表面に、より多くのトナーを引き付けてトナー像の濃度を増し、画像濃度を十分に高める機能も有する。また、地肌カブリを抑制することもできる。さらに感光体の絶縁耐圧を高めることもできる。
また、a−SiC以外の他の絶縁材料にて形成した表面保護層は、画像形成後にも光キャリアがトラップされ続けてしまい、通常の除電工程では残留電位を確実に消去できないおそれがある。しかしa−SiCにて形成した表面保護層は、表面からの正電荷は有効に阻止するが、導電性基体からの負電荷は比較的通し易いという性質を持つため、画像形成後の残留電位を、通常の除電工程によって効果的に消去でき、連続して画像形成を行えるという利点もある。
【0049】
またa−SiCにて形成した表面保護層は、a−SiC等のアモルファスシリコン系の感光層との密着性が良好であるとともに、耐磨耗性、耐環境性等にも優れるため、長期にわたって安定した画像形成を行えるという利点もある。
a−SiCにて形成した表面保護層は、その層内で、Cの量に厚み方向の勾配を形成してもよいし、CとともにN、O、Geなどの元素を含有させて耐湿性をさらに高めることもできる。
【0050】
表面保護層の厚みは0.05〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。厚みが0.05μm未満では、上述した酸化物被膜生成を防止する効果や、絶縁耐圧を向上する効果、あるいは繰り返し使用した際の耐磨耗性を向上する効果などが十分に得られないおそれがある。また、光キャリアを効果的にトラップしてトナー像の形成に寄与させることができないおそれもある。
【0051】
一方、厚みが5μmを超える場合には、精細な電荷パターンを形成するに際して、表面保護層中で電界(電気力線)が膜面方向に広がりを生じて解像力の低下をきたす結果、十分な解像度が得られないおそれがある。また、表面に残留する電荷が多くなって残留電位が高くなるため、画像濃度の低下や地肌カブリ、あるいは繰り返し使用における画像濃度の変化等の問題を生じるおそれもある。
(画像形成方法)
上記トナーとアモルファスシリコン感光体とを組み合わせて実施する本発明の画像形成方法において、アモルファスシリコン感光体の表面に形成した静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成するための現像工程においては、従来公知の種々の現像法を採用することができる。
【0052】
すなわち磁性一成分現像剤を用いた静電誘導現像法、ジャンピング現像法、BMT現像法、非磁性一成分現像剤を用いたファーブラシ現像法、加圧現像法、NSP現像法、二成分現像剤を用いたカスケード現像法、磁気ブラシ現像法などを挙げることができる。また反転現像であっても正規現像であってもよい。
《画像形成装置》
上記本発明の画像形成方法を実施するための、本発明の画像形成装置は、先に述べたように、通常の画像形成モードとは別に、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分をさらに確実に吸水、除去するための吸水モードを設けたことを特徴とするものである。
【0053】
上記画像形成装置の、要部であるアモルファスシリコン感光体の近傍の構成の一例を図1に示す。
図の例の画像形成装置は、ドラム状のアモルファスシリコン感光体1の周囲に、従来同様に、同図中に矢印で示したその回転方向に沿って順に、帯電手段2と、露光手段3と、現像手段4と、転写手段5と、クリーニング手段6と、除電ランプ7とをこの順に配設したものである。
【0054】
上記のうちアモルファスシリコン感光体1としては、先に説明した構成を有するものを用いる。
また帯電手段2としては、従来同様にコロトロン、スコロトロンなどの帯電器を用いることができる。図の例はコロトロン式の帯電器であって、符号21は放電ワイヤ、符号22はシールドである。
露光手段3としては、例えば画像形成装置がレーザープリンタ、デジタル式の静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置などである場合、入力された電子データに基づいてアモルファスシリコン感光体1の表面に静電潜像を形成できる、半導体レーザアレイなどを用いることができる。
【0055】
現像手段4としては、アモルファスシリコン感光体1の表面に形成された静電潜像をトナー像に現像するための、前述した種々の現像法に対応した現像器を用いることができる。
転写手段5として、図の例では、少なくともその表面が導電性を有し、所定の電位に接続された転写ローラを用いている。これにより、転写手段5として帯電器を用いる場合に比べて、画像形成装置内でのオゾンの発生を抑えて、当該オゾンによる放電生成物の発生や感光体表面への酸化物被膜の形成を抑制することができる。したがって吸水による画像流れの発生をさらに抑制することができる。
【0056】
さらにクリーニング手段6として、図の例では、アモルファスシリコン感光体1の表面に当接させて、残留したトナーを掻き落とすためのクリーニングブレード61と、少なくともその表面を、導電性を有する弾性材料にて形成したクリーニングローラ62と、これらの部材を保持するとともに、クリーニングブレード61で掻き落としたトナーを収容するためのハウジング63とを備えたものを用いている。
【0057】
また、このうちクリーニングローラ62は、図示しない弾性部材によって、感光体1の表面に、一定の圧接力で常時、圧接されているとともに、吸水モードを実施する際に所定の電位に接続されて、その表面に、ハウジング63に収容した回収トナーを一定量、保持する機能を有する。
そして吸水モードにおいて、クリーニングローラ62を一定の電位に接続して、その表面に回収トナーを保持させた状態で、当該クリーニングローラ62を、弾性部材によってアモルファスシリコン感光体1の表面に一定の圧接力で圧接させながら一定時間、回転させると、当該アモルファスシリコン感光体1の表面から、トナー粒子の吸水作用によって、吸着した水分を集中的に吸水、除去することができる。このため吸水モードにおける、トナー粒子による吸水の機能をさらに効果的なものとすることができる。
【0058】
また上記のトナー粒子を研磨材粒子で表面処理したトナーを用いた場合には、上記の操作を行うことで、アモルファスシリコン感光体1の表面を集中的に研磨する、いわゆるエージングを行うこともできる。
上記各部を備えた図の例の画像形成装置を用いて、通常の画像形成モードを選択して画像形成を行うには、アモルファスシリコン感光体1を矢印の方向に回転させながら、その表面を、帯電手段2によって一様に帯電させ、次いで露光手段3によって露光して静電潜像を形成した後、この静電潜像を、現像手段4によってトナー像に現像する。
【0059】
次にこのトナー像を、転写手段5によって紙などの被印刷物の表面に転写した後、図示しない定着手段によって被印刷物の表面に定着させることで、一連の画像形成の工程が完了する。
またトナー像転写後の感光体1は、その表面に残留したトナーをクリーニング手段6によって除去し、さらに除電ランプ7を用いて露光して除電することによって次の画像形成に備える。
【0060】
上記の画像形成モードにおいては、前記本発明の画像形成方法を実施していることになるため、通常レベルの吸水であれば、画像形成に使用するトナー中のトナー粒子によって吸水、除去することができる。
しかし、湿度が上昇するなどして画像流れが発生した際には、吸水モードに切り替えることになる。
この切り替えは、装置のオペレータが画像流れの発生を見て手動で行っても良いし、例えば図示していないが、装置内部に配設した湿度センサや温度センサの測定値をもとに、自動的に行うようにしておいても良い。
【0061】
そしてこの吸水モードにおいては、アモルファスシリコン感光体1を矢印の方向に回転させながら、その表面の、画像形成領域の全面に、現像手段4によってトナーを連続的に供給し、かつ供給したトナーを、クリーニング手段6によってアモルファスシリコン感光体1の表面から連続的に除去する操作を一定時間、継続する。
そうすると、アモルファスシリコン感光体1の表面の、画像形成領域の全面に、一定時間にわたって供給しつづけた多量のトナー中のトナー粒子によって、その表面に吸着した水分を集中的に、そしてより確実に吸水、除去することができる。
【0062】
またこの際、図の例では、前記のようにクリーニングローラ62を一定の電位に接続して、その表面に回収トナーを保持させた状態で、アモルファスシリコン感光体1の表面に一定の圧接力で圧接させながら回転させる操作も行っているため、吸水の効率をさらに向上することができる。
一定時間の吸水モードが終了した後は、自動的に、通常の画像形成モードに切り替えるようにしておくのが好ましい。
【0063】
なお画像形成装置の内部構成は、図の例には限定されず、種々の設計変更を施すことが可能である。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜3
(ポリエステル樹脂の合成)
トナー粒子用のポリエステル樹脂を、下記の合成スキームで合成した。
多価アルコール成分としてのエチレングリコールと、多価カルボン酸成分としてのテレフタル酸、および1,2,4−トリベンゼンカルボン酸無水物とを、表1に示すモル比で、温度計、かく拌器、窒素導入管および流下式コンデンサを接続した容量2リットルの四つ口フラスコに入れ、ガラス製窒素導入管から窒素を導入して不活性雰囲気を維持しながら200℃まで昇温させ、200℃に保持して縮重合反応させた。なお内容物が飛散、蒸発、昇華等によって減少した際には、上記の3成分を同じモル比で配合した混合物を、その減少分だけ補充しながら反応を続けた。そして適宜、内容物のサンプリングをして酸価を測定し、測定値が、表1に示す目標の酸価に達した時点で反応を停止させ、反応生成物をフラスコからバットに取り出して室温まで冷却することでポリエステル樹脂を合成した。
【0065】
【表1】
【0066】
(トナー粒子の製造)
上記ポリエステル樹脂100重量部に、カーボンブラック〔三菱化学(株)製のMA−100〕5.0重量部、電荷制御剤〔オリエント化学(株)製のN−07〕4.0重量部、およびポリプロピレンワックス〔三洋化成(株)製の商品名ユーメックス110TS〕4.0重量部を加えて、ヘンシェルミキサーで十分に前混合し、次いで2軸押出式混練機を用いて溶融混練し、ジェットミルを用いて粉砕した後、風力分級機を用いて分級して、体積基準の中心粒径が9μmであるトナー粒子を製造した。
【0067】
(トナーの作製)
上記トナー粒子100重量部に、外添剤としてのシリカ〔日本アエロジル(株)製のR974〕0.6重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合することによって、トナー粒子の表面をシリカとで表面処理してトナーを作製した。
トナー粒子の飽和含水率測定
シリカで表面処理する前のトナー粒子の、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を、前記カールフィッシャー法で測定した。すなわち温度35℃、相対湿度85%の環境下で24時間、放置して飽和するまで吸水させたトナー約1000gを秤量し、次いで微量水分測定装置〔三菱化成(株)製のCA−05〕を用いて、下記の条件で、上記トナー中の水分量(g)を測定した後、秤量結果と水分量の測定結果とから、飽和吸水状態のトナー中に含まれる水分の重量百分率を求めて、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率とした。
【0068】
トナー加熱温度:150℃
トナー加熱時間:5分間
窒素流量:200ml/分
二成分現像剤の調製
上記各実施例、比較例で作製したトナーと、体積基準の中心粒径が70μmのフェライト粒子の表面をフッ素樹脂で被覆したキャリヤと混合して二成分現像剤を調製した。トナー濃度は5重量%とした。
【0069】
実機試験
上記二成分現像剤を、アモルファスシリコン感光体を装備したデジタル複合機〔京セラミタ(株)製のKM−6230〕に使用し、ドラムヒータOFFの状態で、温度35℃、相対湿度85%の高温、高湿環境下に24時間放置し、次いで所定のウォームアップ運転後、文字画像を出力した。
そして出力した文字画像が判読可能であれば画像流れなし、判読不能であれば画像流れありとして評価した。また文字画像の余白部分に地肌カブリが発生したか否かを評価した。
【0070】
結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表より、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7重量%未満であるトナー粒子を用いた比較例1、2はともに、画像流れが発生しており、アモルファスシリコン感光体表面に吸着した水を、トナー粒子によって吸水、除去できないことがわかった。
また、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が2.1重量%を超えるトナー粒子を用いた比較例3は、画像流れの発生を防止できたが、地肌カブリが発生しており、トナー粒子中の水分が多くなりすぎてトナーの帯電が阻害されていることがわかった。
【0073】
これに対し、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるトナー粒子を用いた実施例1〜3はいずれも、地肌カブリを生じることなしに、画像流れの発生を防止できており、トナーの良好な帯電を維持しつつ、アモルファスシリコン感光体表面に吸着した水を、トナー粒子によって吸水、除去できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の要部である、アモルファスシリコン感光体の周囲の構成を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 アモルファスシリコン感光体
4 現像手段
6 クリーニング手段
Claims (3)
- 像担持体としてのアモルファスシリコン感光体の表面に形成した静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程を含む画像形成方法であって、上記トナー中に含まれるトナー粒子として、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるものを使用することによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、上記トナー粒子によって吸水、除去しながら画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 酸価が40〜90mgKOH/gであるポリエステル系樹脂を定着用樹脂として用いることによって、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率を0.7〜2.1重量%の範囲内に調整したトナー粒子を使用する請求項1記載の画像形成方法。
- 像担持体としてのアモルファスシリコン感光体と、当該アモルファスシリコン感光体の表面に形成した静電潜像にトナーを付着させることでトナー像を形成するための現像手段と、アモルファスシリコン感光体の表面に付着したトナーを除去するためのクリーニング手段とを備え、請求項1の画像形成方法を実施するための画像形成装置であって、画像形成のためのモードとは別に、アモルファスシリコン感光体の表面に、現像手段によってトナーを連続的に供給し、かつ供給したトナーを、クリーニング手段によってアモルファスシリコン感光体の表面から連続的に除去する操作を一定時間、続けることによって、アモルファスシリコン感光体の表面に吸着した水分を、トナー中に含まれる、温度35℃、相対湿度85%の環境下における飽和含水率が0.7〜2.1重量%であるトナー粒子によって吸水、除去するためのモードを備えることを特徴とする画像形成装置。
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JP2018084698A (ja) * | 2016-11-24 | 2018-05-31 | 富士ゼロックス株式会社 | 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 |
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2003
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