JP2004361005A - 換気フード - Google Patents

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Abstract

【課題】換気フード本来の機能性を損なうことなく、換気フードのデザインの自由度を向上させる。経年使用による汚損の目立ちを抑え、高品位住宅等の外観品質を高める。
【解決手段】外壁10を貫通する換気用パイプ11と接続するパイプ接続部材20と、パイプ接続部材の前面に配した防風板30とを備え、パイプ接続部材は、その背面から前面に貫通する排気用開口21を備える。排気用開口の背面に換気用パイプを接続させる。防風板の裏面に排気用開口に向かって突出する凸部31を設ける(請求項1)。防風板は略円形とし、その外周部に複数の風抜き孔38を設ける(請求項2)。排気用開口はグリル24を備え、グリルの隙間は縦方向に長寸となるよう形成する(請求項3)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の室内空気と外気とを換気するための換気フードに係り、とくにキッチン用換気扇のようにフード本体に強制ファンをもたないタイプのフードの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅の高機密化に伴い、汚れた室内空気を外気と換気するための必要性が増加している。一般居室の空気を外気と交換するときには、調理時の煙や臭いを排出する厨房用の強制換気とは異なり、冷房温度や暖房温度の極端な変動を避けるために居室と外気の大気圧差を利用した自然換気や、住宅内の適宜箇所に設けた小型の負圧発生用ファンを利用することが多い。また換気フード本体に小型のファンモータを搭載させる場合もあるが、本発明は、フード本体にファンモータを搭載するタイプではなく、自然換気またはフード本体とは別個に設けた住宅内の小型ファンモータが作る負圧を利用した準自然換気を前提とするものである。
【0003】
ところで、このような自然換気または準自然換気タイプの換気フードは、従来、例えば図6に示すような構造をもつ。1は、ボックス型の換気フード、2は外壁、3は、外壁2を貫通して一端が換気フード1の背面に接続する貫通パイプ、4は室内側に配されるレジスタである。
【0004】
外壁2の室外側に取り付けられる換気フード1は、風の逆流を防ぐために全体形状がボックス形状を呈するよう成形され、貫通パイプ3を介して室内側に外気が逆流して入り込まないようになっている。一般に、下端面にはグリル(格子状部材)を配し、排気を外気に逃がしつつゴミや外気を遮るようになっている。
【0005】
換気フード1と貫通パイプ3の接続構造は、温かい室内空気と冷たい外気との接触時に生ずる結露の問題、とくに結露による外壁の汚損や破損を避けるため、近時は、例えば図7に示すように、貫通パイプ3を換気フード1のガイドパイプ5(または単なる開口)の内側に差し込んで装着するケースが増えている(例えば特開平09−166341号等)。但し、現在でも、図6に示すように、ガイドパイプ5を貫通パイプ3の外側に嵌合させる施工方法も多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ボックス型の換気フード1は、屋外でまう風の逆流を防止する点では優れているが、換気孔を風やゴミから護るために、下端部のみが開口したボックス型という形式に限定される結果として、換気フードそのもののデザイン設計の自由が制限され、住宅の外観品質にも好ましくない影響を与えている。
【0007】
たしかにボックス型の換気フードは、室内空気と外気の自然交換を実現するためには風の逆流防止やゴミの進入防止など機能面において好ましい構造である。しかし、ボックス形状をどのように変化させても、一体型で、外壁から大きく突出するなどのデザイン上の制約がある。このため従来は、斬新なデザインの住宅にも既製品として流通しているボックス型の換気フードを採用せざるを得ず、しかも換気フードは住宅街壁に露出して存在するため、せっかくの住宅デザインが陳腐化してしまうことが少なくなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、機能性を損なうことなく、換気フードのデザインの自由度を向上させ、ひいては、とくに高品位住宅等の外観品質をより高める得るようにする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る換気フードは、外壁を貫通する換気用パイプと接続するパイプ接続部材と、このパイプ接続部材の前面に配した防風板とを備え、前記パイプ接続部材は、その背面から前面に貫通する排気用開口を備え、当該排気用開口の背面に前記換気用パイプを接続させるものであり、前記防風板の裏面に、前記排気用開口に向かって突出する凸部を備える。
【0010】
防風板は略円形であり、その外周部に、複数の風抜き孔を備える場合がある(請求項2)。排気用開口はグリルを備え、このグリルの隙間は縦方向に長寸となるよう形成する場合がある(請求項3)。
【0011】
【作用】
従来の換気フードが、排気用開口の前面全体を覆うようなボックス型の形状としていたのに対し、請求項1に係る換気フードは、換気用パイプと接続させるパイプ接続部材と、風の逆流を防ぐ防風板を別個の部材として設ける。つまりボックス型の形状はとらない。室内方向への風の逆流は、主として防風板によって防止する。防風板とパイプ接続部材との離隔距離が小さい場合には、排気用開口の前面全体を覆うまでもなく、風の逆流を防止した上で換気を行うことができるからである。パイプ接続部材は換気用パイプを接続させるための最小限の肉厚(幅寸法)があればよい。
【0012】
防風板の裏面には、排気用開口に向かって突出する凸部を設ける。これは、室内から室外へと流れる排気(空気流)を分散させて外気に解放するためである。この凸部が存在することにより、排気の流れが防風板により反射して換気用パイプに逆流してしまう事態が防止される。この結果、パイプ接続部材と防風板との離隔距離をより小さく設計することが可能となり、デザイン自由度を高めることができる。
【0013】
請求項2のように、防風板を略円形とするのは、外観品質の安定を図るためである。すなわち、従来の換気フードのようにボックス型の換気フードにおいても取り付け時の外観品質を高めるため、上下左右のラインが水平/垂直となるよう注意して取り付けているが、取り付け時の不注意、取り付け後におけるビスの緩みや強風、あるいは子供の悪戯などにより、換気フードが傾いて住宅の外観品質を損なうことが少なくない。
【0014】
そこで、見栄えに影響を与える防風板を円形とすれば、取り付けの適正位置の誤差や強風等による位置ズレが生じても、外観品質にはまったく影響を与えずに済む。厳格な位置決めが不要となるため取り付け時の作業効率も高まる。
【0015】
請求項3は次の通りである。従来の換気用フードでは、外部から侵入する枯葉等のゴミよけのためのグリル(格子状部材)は、概ねボックス型フードの下端面に配してある。これに対して本発明に係るグリルは、排気用開口に配する。風よけであるボックス型フードを採用しないからである。
【0016】
グリルの隙間を縦方向に長く設計するのは、防風板とパイプ接続部材との間を流れる風が、強風時には特に下上方向に強いからである。上下方向の風に対して横方向の隙間をもったグリルを配すると、風に舞うゴミや雪が角度をもったグリルの翼板に補足されて排気用開口の前面部分に溜まりやすくなる。一方、グリルの隙間を縦方向に長く設計すると、強風(とくに下上方向の風)によって舞い散るゴミや雪の侵入を最小限に抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1、図2は、本発明に係る換気フードの概略構造を説明するものである。本発明に係る換気フードは、パイプ接続部材20と、その前面に配した防風板30とによって構成し、パイプ接続部材20と防風板30とを適宜数の連絡材40によって接続する。図2に符号10として示す部分は外壁、11は、外壁10を貫通して室内側Rと室外Tとを連絡する換気用パイプである。換気用パイプ11は、好ましくは外壁10の表面から数センチ突出させた状態で配置し、その端末部にパイプ接続部材20を嵌合させる。なお、構造を明確にするため、図1ではパイプ接続部材20と防風板30との距離をやや誇張して描いてある。
【0018】
パイプ接続部材20は、その中央部に排気用開口21を備える。この排気用開口21は、パイプ接続部材20の裏面(外壁側)から前面にかけて形成してある。換気用パイプ11は、外壁10からの突出量に応じて排気用開口21の適宜位置まで嵌装される。排気用開口21の内径は、換気用パイプ11を嵌装させるため、換気用パイプ11の外径より僅かに大きくしておく。
【0019】
なお、排気用開口21の裏面の差し込み口にゴム材や柔軟樹脂などの適宜のパッキン材を設けてもよい。パッキン材を設けると排気用開口21の裏面の差し込み口の内径は、見かけ上、換気用パイプ11の外径より小さくなるが、換気用パイプ11を排気用開口21に挿入できるようにするためには、排気用開口21そのものの内径が換気用パイプ11の外径より大きいことが必要である。また、排気用開口21の内径および形状は、パイプ接続部材20の裏面から前面にかけて必ずしも同一である必要はない。パイプ接続部材20の裏面から前面にかけて排気用開口21の内径を例えば縮小させても良いし、断面形状を変化させてもよい。機能上必要な断面形状は必ずしも円形には限らないからである。また排気用開口21の内径も機能上は必ずしも一律にする必要はない。裏面から前面に向かって内径を縮小させた場合は、排気の逆流現象をより少なく抑えることができる。
【0020】
排気用開口21の前面には、ゴミの侵入を防止するグリル24を設ける。このグリル24は、例えば肉薄の金属または樹脂パネルの板材を並設して、板材の間に隙間を設ける構造とする。板材は、好ましくは縦方向に長寸のものを並設し、縦長の隙間を形成させる。ゴミの侵入を最小限に抑えるためである。このグリル24は、排気用開口21の前面に装着できる独立パーツとして成形することが望ましく、より好ましくは排気用開口21の前面に着脱可能に配置する。清掃しやすくするためである。ただし、排気用開口21の前面に金属または樹脂パネルの板材を任意の手段によって固定しても良い。
【0021】
パイプ接続部材20の先端下方位置には、排気用開口21から排出される暖かい空気と冷たい外気との接触によって生じる水分を外部へ排出するために、排水孔部26と水切り板27とを設ける。パイプ接続部材20の前方で生じる結露水は、排水孔部26を通って下方に流れ、水切り板27を伝って外壁10から離れた位置に導かれ排出される。これにより換気フードまわりに生じる結露水による外壁10の汚損を防止する。
【0022】
防風板30の裏面には凸部31を設ける。この凸部31は、図2中矢印X1、X2で示すように、排気用開口21から排出される排気を上下左右に均等に分散し、反射による排気用開口21への逆流を防止するためのものである。このため凸部31は、排気用開口21の正面位置、通常は防風板30の裏面の略中央位置に設ける。排気を分散できればよいので、凸部31の突出量は僅かでもよい。上下左右への均等な排気の分散を可能とするため、凸部31の断面形状は、例えばなだらかな円弧状とする。平面形状は限定されないが例えば円形とする。
【0023】
防風板30は、適宜本数の連絡材40を介してパイプ接続部材20と連結する。連絡材40は、少なくとも左右の上下二ヶ所に配すれば防風板30を支持固定できる。本数を増設することは自由である。防風板30とパイプ接続部材20とを予め連結材40によって固定しておけば、従来のボックス型の換気フードと較べても軽量で取り扱いやすい製品構造とすることが出来る。連結材40は、防風板30を確実に支持できればよく、材質や断面の形状や寸法はとくに限定されないが、外観品質の保持やデザイン上は、好ましくは径寸1cm程度の難錆金属材の丸棒を用いる。
【0024】
防風板30の裏面の一般面(凸部31以外の面)と、パイプ接続部材20の前面との離隔寸法は、例えば1〜10cm程度の範囲で適宜設定する。ボックス型のフード形状をとらないので、排気用開口21に対する防風の効果を高めるには5cm程度の離隔寸法に設定することが望ましい。防風板30とパイプ接続部材20との間の隙間が狭すぎると排気効率を妨げるので、凸部31の形状や突出量との相関で寸法設定することが望ましい。
【0025】
従って、かかる構成によれば、従来のボックス型の換気フードを脱して自由なデザイン形状をもった比較的薄型の換気フードを実現することが出来る。ボックス型ではないから、側面や底面など、汚れが目立ちやすい場所の汚損による住宅の外観の劣化も最小限に抑えることが出来る。
【0026】
また、防風板30と凸部31の働きにより、排気用開口21から排出される排気(X1、X2)は逆流することなく分散して外気に放出できる。排気温度と外気温との差によって生ずる結露水は、排水孔部26と水切り板27とによって外壁10に伝わらないよう排出でき、機能においても従来のボックス型の換気フードと比較して遜色はない。構造もシンプルであり軽量薄型であるから、在庫管理、輸送コストなども軽減できる。尚、グリル24の板材は横方向(斜めを含む)に設けて隙間を形成しても良い。
【0027】
【実施例】
図3〜図5は、本発明に係る換気フードの実施例を示すものである。この換気フードは、図1、図2を用いて説明した換気フードと基本構造は同じである。同一部分は同一符号を附して重複する説明を省略する。
【0028】
この実施例に係る換気フードは、パイプ接続部材20と防風板30の形状を円形としてあり、パイプ接続部材20の略中央部に排気用開口21を設ける一方、防風板30の裏面の略中央部にマウンド状の凸部31を設けてある。また、防風板30の外径は、パイプ接続部材20の外径よりも若干大きくし、風よけの効果を高める。防風板30の外周部には風抜き孔38を設け、防風板30の背後に回り込んだ風を、排気用開口21の方向に流れないようにしてある。
【0029】
この実施例において、パイプ接続部材20と防風板30を円形とするのは、設置角度のずれによる見栄えの低下を防止して、取り付けの容易と、爾後の見栄えの低下を防止するためである。全体が円形であれば、ボックス型の換気フードと異なり、設置角度のゆがみや傾きによる見栄えの低下を惹起しない。
【0030】
この実施例では、パイプ接続部材20と防風板30が相似形を呈するから、排気用開口21の正面位置に凸部31を設けることは容易である。円の略中心部分に、それぞれ排気用開口21と凸部31を設ければよいからであり、連結材40によってパイプ接続部材20と防風板30とを予め連結させておくタイプの製品の大量生産をより容易に行うことを可能とする。
【0031】
防風板30の外径を、パイプ接続部材20の外径よりも若干大きくするのは、防風板30の背後にあるパイプ接続部材20を遮蔽して住宅の外観品質を高めるためであり、同時に正面から吹き付ける風を遮る効果を高めるためである。全体として肉薄となる本発明に係る換気フードにおいて、防風板30の外径を大きくすれば、外見からはそれが換気フードであるとは一般には判別しがたくなる。また防風板30の外径を大きくすることにより、パイプ接続部材20の外周部に付着しやすい汚れを目立たなくする効果を生む。
【0032】
一方、防風板30の外径を大きく設定することにより、防風板30の裏面に風が巻き込まれやすくなる可能性がある。そこで本実施例では、防風板30の外周部に風抜き孔38を設け、防風板30の背後に巻き込まれた風を排気用開口21から離れた位置で逃すことにより、風が排気用開口21に入り込むことを防止する。
【0033】
風抜き孔38の形状は、防風板30の外周に沿った略楕円形(略長方形)とすることが望ましい。本実施例では、風抜き孔38の形状を略凸字形状にしてある。単純な楕円形とするよりも略凸字状の孔とする方が、外壁10に打ち込むビスBを防風板30の正面から止め打つときの作業性が良いからである。凸字状の空間的な拡がりを利用して防風板30の奥に位置するビスBの頭に工具を当てやすいためである。
【0034】
かかる構造によれば、正面形状を円形としたため、外壁10に取り付ける換気フードの傾きによる見栄えの低下を防止できる結果として、取り付け時の作業性も格段に向上する。水平/垂直方向の取り付け角度を厳密に気にしなくても良いからである。
【0035】
また防風板30の外径がパイプ接続部材20を外部から見えない程度に大きく設計するため、高い防風効果を獲得し、パイプ接続部材20の外周の汚れを外部から秘匿することが出来る。このため少なくとも防風板30は汚れにくい難錆金属を用いることが望ましい。パイプ接続部材20も同じである。但し、パイプ接続部材20は汚れが目立たないのでコストの安い適宜金属や樹脂等を用いても構わない。
【0036】
なお、傾きによる見栄えの低下を防止するためには少なくとも防風板30を円形としておけばよい。パイプ接続部材20の形状は必ずしも円形である必要はない。水切り板27は、水切りの効果と剛性を高めるために波形とすることが望ましい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る換気フードによれば、機能性を損なうことなく、換気フードのデザインの自由度を向上させ、経年使用による汚損の目立ちを抑え、高品位住宅等の外観品質を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る換気フードの概略の外観を例示する図である。
【図2】実施形態に係る換気フードの断面構造を例示する図である。
【図3】本発明の実施例に係る換気フードの正面図である。
【図4】図3に示した換気フードの側面図である。
【図5】図3に示した換気フードの背面図である。
【図6】従来のボックス型の換気フードを例示する図である。
【図7】従来の換気フードの管接続部を例示する図である。
【符号の説明】
10 外壁
11 換気用パイプ
20 パイプ接続部材
21 排気用開口
24 グリル
26 排水孔部
27 水切り板
30 防風板
31 凸部
38 風抜き孔
40 連絡材
B ビス
R 室内側
T 室外
X1、X2 排気

Claims (3)

  1. 外壁を貫通する換気用パイプと接続するパイプ接続部材と、このパイプ接続部材の前面に配した防風板とを備え、
    前記パイプ接続部材は、その背面から前面に貫通する排気用開口を備え、当該排気用開口の背面に前記換気用パイプを接続させるものであり、
    前記防風板の裏面に、前記排気用開口に向かって突出する凸部を備えることを特徴とする換気フード。
  2. 防風板は略円形であり、その外周部に、複数の風抜き孔を備えることを特徴とする請求項1記載の換気フード。
  3. 排気用開口はグリルを備え、
    このグリルの隙間は縦方向に長寸となるよう形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の換気フード。
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