JP2004360899A - 転がり軸受及び無段変速機 - Google Patents

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Yoshiteru Sakajiri
義晃 坂尻
Hiromichi Takemura
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Abstract

【課題】 保持器が転動体を過剰に拘束した状態で連続使用されたとしても破損することがなく、低トルクで静粛性に富んだ保持器をもつ転がり軸受及びベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】 原動機2に連結され溝幅を拡縮自在なプライマリプーリ6に結合された入力側回転軸5と、入力側回転軸5と平行に配され溝幅を拡縮自在なセカンダリプーリ8に結合された出力側回転軸7と、プライマリプーリ6とセカンダリプーリ8に掛け渡された無端ベルト9とを備え、両プーリ6,8の溝幅の拡縮により両回転軸5,7の間の変速比を可変するベルト式無段変速機1において、入力側回転軸5、出力側回転軸7を支持する転がり軸受11,12,14であって、転がり軸受11,12,14における少なくとも1個の保持器を、ナイロン系樹脂により成形した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受及び無段変速機に関し、特に、自動車用のベルト式無段変速機のプーリを支持するのに使用される転がり軸受及びベルト式無段変速機に関する。
従来のベルト式無段変速機として、図4に示すベルト式無段変速機50は、電磁粉式クラッチ51と、無段変速機52と、を内蔵している。無段変速機52は、入力側から順に前後進の切換部53と、プーリ比変換部54と、終減速部55と、からなる。電磁粉式クラッチ51は、エンジンからのクランク軸56にドライブプレート57を介して一体結合するリング状のドライブメンバ58と、変速機入力軸59に回転方向に一体的にスプライン結合するディスク状のドリブンメンバ60と、を有する。そして、ドリブンメンバ60の外周部側にコイル61が内蔵される。
無段変速機52において、切換部53は、電磁粉式クラッチ51から入力軸59と、これに同軸上に配置された主軸62との間に設けられ、入力軸59に前進被係合側を兼ねた後進ドライブ用のギヤ63が形成される。主軸62には、後進被係合側のギヤ64が回転自在に嵌合されている。これらギヤ63,64は、軸65で支持されたカウンタギヤ66および軸67で支持されたアイドラギヤ68を介して噛合い構成される。主軸62は、一対の玉軸受69,70により支持される。
プーリ比変換部54は、主軸62に対し副軸71が平行配置され、これらの両軸62,71にそれぞれプライマリプーリ72およびセカンダプーリ73が設けられている。さらに、両プーリ72,73の間には、エンドレスの駆動ベルト74が掛け渡されている。プーリ72,73は、いずれも2分割に構成され、一方の固定プーリ72a,73aに対し、他方の可動プーリ72b,73bがプーリ間隔を可変にすべく移動可能に構成されている。
終減速部55は、副軸71に対し1組の中間減速ギヤ75を介して出力軸76が連結される。出力軸76のドライブギヤ77にファイナルギヤ78が噛合い、ファイナルギヤ78から作動機構79を介して左右の駆動輪の車輪80,81に動力が伝動される。副軸71は、円筒ころ軸受82と、玉軸受83とにより支持される(例えば、特許文献1参照)。
特公平08−030526号公報(第2〜3頁、第1図)
しかし、上記特許文献1に記載されたベルト式無段変速機50においては、駆動ベルト74を挟み込む両プーリ72,73の位置決め精度を高くするため、各軸受69,70,82,83における内外輪の溝形状や隙間を、例えば、溝径を小さくしたり、隙間を小さくしてアキシアル方向のがたつきや変位を小さくしたりしている。これは、両プーリ72,73の位置決め精度が低いと、駆動ベルト74が折損するおそれがあるからである。
ところが、各軸受69,70,82,83の溝径を小さくしたり、隙間を小さくしたりすると、主軸62、副軸71に軸受69,70、82,83を組み込んだ時に、各軸受69,70,82,83における隙間が負の値となり、それによって、僅かな傾きが生じても、保持器の玉や円筒ころ等の転動体に対する拘束力が過剰に発生してしまう。特に、各軸受69,70,82,83に用いられる保持器が鉄製であるため、過剰な拘束力が顕著に与えられる。そして、このような状態で各軸受69,70,82,83が運転されると、保持器に過剰な応力が繰り返し与えられ、その結果、保持器が破損に至ることがある。
また、ベルト式無段変速機50に用いられるCVT用オイルの低粘度化により、鉄製保持器と転動体との摩擦による摩耗が生じると、転動体の表面粗さが悪くなり、転動体と軌道面との間での油膜形成が良好でなくなり、その結果、転動体に滑りが発生することによって表面が活性化され、ベルト式無段変速機特有の水素起因により、転動体が早期はくりを起こすことになる。更に、今後、エンジントルクの高容量化と軽量化のためにベルト式無段変速機を収容するハウジングの剛性が低下する傾向にあり、それによって、主軸62、副軸71の傾きも増大することが懸念される。また、ベルト式無段変速機は、ハイブリッド車にも搭載されるため、低トルクと静粛性に富んだものが要求される。
また、無段変速機は、軸剛性アップのために負隙間や過大ベルト張力による傾きの環境下で使用されるが、急加減速或いは高振動で使用される場合は更に条件が厳しい。従って、鉄製保持器が拘束された状態で急加減速や高振動環境下で回転すると、鉄製保持器と転動体との間の摩擦が大きくなり、転動体よりも鉄製保持器の硬さが低いことから保持器の摩耗が著しく進行することがある。摩耗により発生した約50μm以下の摩耗粉は潤滑状況が十分でない場合、軸受内部に停滞し、油膜形成を悪化させ、最終的には内外輪軌道面や転動体表面にピーリング(梨地状の微小はくり)が発生することがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、保持器が転動体を過剰に拘束した状態で連続使用された場合であっても、破損することがなく、低トルクで静粛性に富んだ保持器をもつ転がり軸受及びベルト式無段変速機を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 粘度が40℃において40cSt以下で、100℃において8cSt以下の潤滑油を用いた無段変速機に使用される転がり軸受であって、
内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有し、
前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする転がり軸受。
(2) 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする(1)に記載の転がり軸受。
(3) (1)又は(2)に記載の転がり軸受を備えたことを特徴とする無段変速機。
(4) 原動機に連結された入力側回転軸と、前記入力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なプライマリプーリと、該入力側回転軸と平行に配された出力側回転軸と、前記出力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリに掛け渡された無端ベルトと、を備え、前記両プーリの溝幅の拡縮により前記入力側回転軸と前記出力側回転軸との間の変速比を可変するベルト式無段変速機に用いられる転がり軸受であって、
前記入力側回転軸または前記出力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有し、
前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする転がり軸受。
(5) 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする(4)に記載の転がり軸受。
(6) 原動機に連結された入力側回転軸と、前記入力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なプライマリプーリと、該入力側回転軸と平行に配された出力側回転軸と、前記出力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリに掛け渡された無端ベルトと、を備え、前記両プーリの溝幅の拡縮により前記入力側回転軸と前記出力側回転軸との間の変速比を可変する無段変速機であって、
前記入力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有する入力側転がり軸受と、
前記出力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有する出力側転がり軸受と、を備え、
前記入力側転がり軸受及び前記出力側転がり軸受における少なくとも1個の前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする無段変速機。
(7) 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする(6)に記載の無段変速機。
本発明の転がり軸受及び無段変速機によれば、保持器がナイロン系樹脂によって成形されているので、保持器が転動体を過剰に拘束した状態で連続使用されたとしても破損することがなく、低トルクで静粛性に富んだ保持器をもつ転がり軸受及び無段変速機を提供することができる。また、樹脂製保持器は転動体との摩擦係数が低下するため、厳しい使用環境下でも摩耗は発生せず、摩耗が発生したとしても、約50μm以下の鉄摩耗粉は発生せず、さらに樹脂であるためピーリング発生には至らない。
以下、本発明の転がり軸受及びベルト式無段変速機の実施の形態例を図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態のベルト式無段変速機の一部破断平面図、図2は図1に示すベルト式無段変速機に用いた転がり軸受の半断面図、図3は図2に示す転がり軸受に用いた保持器の外観斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態のベルト式無段変速機1は、原動機であるエンジン2に連結されたクラッチ3に結合されており、主として、前後進切換部4と、入力側回転軸5と、プライマリプーリ6と、出力側回転軸7と、セカンダリプーリ8と、無端ベルト9と、最終減速部10と、入力側回転軸5を回転自在に支持する入力側転がり軸受11,12と、出力側回転軸7を回転自在に支持する出力側転がり軸受13,14と、から構成されている。これらの転がり軸受11,12,13,14は、粘度が40℃において40cSt以下で、100℃において8cSt以下である潤滑油を用いて潤滑される。
クラッチ3は、一方がエンジン2に連結され、他方が前後進切換部4に連結されている。クラッチ3は、内蔵された図示しないコイルにクラッチ電流を流すことにより、予め定められたギャップに電磁粉が鎖状に結合して集積し、これによる結合力でクラッチ接続状態になる。一方、クラッチ電流をカットすると、電磁粉による結合力が消失してクラッチ切断状態になる。
前後進切換部4は、一方がクラッチ3に連結され、他方が入力側回転軸5に結合されている。前後進切換部4は、内蔵された図示しないスリーブを、シンクロ機構を介してギヤ側に噛合わすことによって、入力軸に対し主軸が直結して前進状態になる。一方、スリーブを、逆にシンクロ機構を介してギヤ側に噛合わせると、入力軸が主軸に連結され、エンジン動力が減速逆転して後進状態になる。
入力側回転軸5は、前後進切換部4の入力軸に連結されており、プライマリプーリ6の固定側回転部15に固定され、入力側転がり軸受11,12により回転自在に支持されている。
プライマリプーリ6は、可動側回転部16と、前出の固定側回転部15の2つの部材に2分割されて形成されている。可動側回転部16は、入力側油圧サーボ機構17に結合されており、図示しない制御回路からの供給電流により入力側油圧サーボ機構17が作動することによって、両回転部15,16間の溝幅を拡張し、入力側油圧サーボ機構17が停止することによって、例えば、ばねの反発力により両回転部15,16間の溝幅を収縮する。
出力側回転軸7は、入力側回転軸5から離れた位置において入力側回転軸5に平行に配されており、セカンダリプーリ8の固定側回転部18が固定され、出力側転がり軸受13,14により回転自在に支持されている。
セカンダリプーリ8は、可動側回転部19と、前出の固定側回転部18の2つの部材に2分割されて形成されている。可動側回転部19は、出力側油圧サーボ機構20に結合されており、制御回路からの供給電流により出力側油圧サーボ機構20が作動することによって、両回転部18,19間の溝幅を拡張し、出力側油圧サーボ機構20が停止することによって、例えば、ばねの反発力により両回転部18,19間の溝幅を収縮する。
無端ベルト9は、プライマリプーリ6及びセカンダリプーリ8に掛け渡されており、プライマリプーリ6の回転をセカンダリプーリ8に伝達する。このとき、両プーリ6,8の回転中に、制御回路により入力側油圧サーボ機構17及び出力側油圧サーボ機構20が作動されることによって、両プーリ9,8間のプーリ比が無段階に変更され、出力側回転軸7に与えられる。
最終減速部10は、出力側回転軸7に結合された第1歯車21と、第2歯車22及び第3歯車23を一体に有し、第2歯車22が第1歯車21に噛合された中間歯車24と、ドライブシャフト26に固定された第4歯車25と、からなる。最終減速部10は、出力側回転軸7の回転を第1,第2歯車21,22の比で減速し、中間歯車24の回転を第3,第4歯車23,25の比で更に減速してドライブシャフト26を回転させる。ドライブシャフト26は、駆動輪27,28を回転させる。
入力側転がり軸受11,12は、いずれも開放形の深溝玉軸受である。入力側転がり軸受11,12のうち、プライマリプーリ6の固定側回転部15側に配された一方の入力側転がり軸受11は、内輪11aが入力側回転軸5に外嵌され、外輪11bが図示しない変速機ハウジングに内嵌され、内外輪11a,11b間に転動体である複数の玉11cが相対回転自在に配され、保持器(図2に示す)11dが玉11cを転動自在に保持する。
プライマリプーリ6の可動側回転部16側に配された他方の入力側転がり軸受12は、内輪12aが入力側回転軸5に外嵌され、外輪12bが図示しない変速機ハウジングに内嵌され、内外輪12a,12b間に転動体である複数の玉12cが相対回転自在に配され、保持器(図2に示す)12dが玉12cを転動自在に保持する。
入力側転がり軸受11,12における両保持器11d,12dは、ナイロン系樹脂によって成形されている。ナイロン系樹脂としては、66ナイロンや46ナイロンが挙げられるが、好ましくは46ナイロンが好適である。ナイロン系樹脂により成形された両保持器11d,12dは、無端ベルト9が掛け渡されたプライマリプーリ6及びセカンダリプーリ8の位置決め精度を高くするため、各入力側転がり軸受11,12に形成された軌道面(図2に示す)11e,11f,12e,12fの溝径を小さくしたり、隙間を小さくしたりすることにより、入力側回転軸5に組み込んだ時に、各入力側転がり軸受11,12における隙間が負の値となり、入力側回転軸5に僅かな傾きが生じたとしても、弾性変形することによって入力側回転軸5の傾きを吸収し、玉11c,12cに対する拘束力を過剰にしないようにする。
出力側転がり軸受13,14のうち、セカンダリプーリ8の可動側回転部19側に配された一方の出力側転がり軸受13は、開放形の円筒ころ軸受であって、内輪13aが出力側回転軸7に外嵌され、外輪13bが図示しない変速機ハウジングに内嵌され、内外輪13a,13b間に転動体である複数の円筒ころ13cが相対回転自在に配され、保持器(図示しない)が円筒ころ13cを転動自在に保持する。
セカンダリプーリ8の固定側回転部18側に配された他方の出力側転がり軸受14は、開放形の深溝玉軸受であって、内輪14aが出力側回転軸7に外嵌され、外輪14bが図示しない変速機ハウジングに内嵌され、内外輪14a,14b間に転動体である複数の玉14cが相対回転自在に配され、保持器(図2に示す)14dが玉14cを転動自在に保持する。
一方の出力側転がり軸受13における保持器及び他方の出力側転がり軸受14における保持器14dが、ナイロン系樹脂によって成形されている。ナイロン系樹脂としては、66ナイロンや46ナイロンが挙げられるが、好ましくは46ナイロンが好適である。さらに、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンを用いることがより好ましい。ナイロン系樹脂により成形された保持器14dは、無端ベルト9が掛け渡されたプライマリプーリ6及びセカンダリプーリ8の位置決め精度を高くするため、出力側転がり軸受14に形成された軌道面(図2に示す)14e,14fの溝径を小さくしたり、隙間を小さくしたりすることにより、出力側回転軸7に組み込んだ時に、出力側転がり軸受14における隙間が負の値となり、出力側回転軸7に僅かな傾きが生じたとしても、弾性変形することによって出力側回転軸7の傾きを吸収し、玉14cに対する拘束力を過剰にしないようにする。
図2に示すように、ベルト式無段変速機1に用いた入力側転がり軸受11,12及び出力側転がり軸受14は、内輪11a,12a,14aの外径面の中央部に内輪軌道面11e,12e,14eが形成され、外輪11b,12b,14bの内径面の中央部に外輪軌道面11f,12f,14fが形成されている。そして、保持器11d、12d、14dは、冠形保持器であって、ポケット11g,12g,14g内に玉11c,12c,14cが回転自在に保持されている。
図3に示すように、ナイロン系樹脂により成形された保持器11d、12d、14dは、ポケット11g,12g,14gが、円環形状をなす保持器本体11h,12h,14h上に柱部11i,12i,14iを介して円周方向に等間隔で複数形成されている。
本実施形態の転がり軸受11,12,14及びベルト式無段変速機1によれば、入力側回転軸5に外嵌する内輪11a,12aを有する入力側転がり軸受11,12及び出力側回転軸7に外嵌する内輪14aを有する出力側転がり軸受14における保持器11d,12d,14dが、ナイロン系樹脂によって成形される。
したがって、無端ベルト9が掛け渡されたプライマリ・セカンダリプーリ6,8の位置決め精度を高くするため、各転がり軸受11,12,14の各軌道面11e,11f,12e,12f,14e,14fの溝径を小さくしたり、隙間を小さくしたりすることにより、入力側回転軸5、出力側回転軸7に組み込んだ時に、各転がり軸受11,12,14における隙間が負の値となり、入力側回転軸5または出力側回転軸7に僅かな傾きが生じたとしても、ナイロン系樹脂により成形された保持器11d,12d,14dが弾性変形されることによって入力側回転軸5または出力側回転軸7の傾きが吸収され、玉11c,12c,14cに対する拘束力が過剰にならない。それによって、保持器11d,12d,14dを破損することがない。
また、CVT用オイルの低粘度化が採用されたとしても、保持器11d,12d,14dと玉11c,12c,14cとの間の摩擦が小さくなっているため、玉11c,12c,14cの表面粗さが悪くなったり、玉11c、12c、14cと各軌道面11e,11f,12e,12f,14e,14fとの間での油膜形成が良好でなくなったりせず、玉11c,12c,14cに滑りを発生しないので、玉11c,12c,14cが早期はくりを起こすことがない。更に、ハウジングの剛性が低下することによって入力側回転軸5、出力側回転軸7の傾きが増大したとしても、その傾きに充分対応でき、また、ハイブリッド車に搭載されるに際し、低トルク、静粛性に富むものとなる。
以上により、保持器11d,12d,14dが玉11c,12c,14cを過剰に拘束した状態で連続使用されたとしても破損することがなく、低トルクで静粛性に富んだ保持器11d,12d,14dをもつ転がり軸受11,12,14及びベルト式無段変速機1を提供することができる。
次に、本発明に係る転がり軸受に相当する標準軸受鋼2種の深溝玉軸受に、金属製の波形プレス保持器と、樹脂製の冠形保持器と、を別々に組み付けて以下の回転試験を行った。
転がり軸受は、外輪が、ハウジングに固定されて固定輪となり、内輪は、軸受内部隙間が、−0.015mmとなるように締め代を持たせて主軸に外嵌されて回転輪となり、主軸の傾きが、8/1000radとなるように設定した。
[試験条件]
転がり軸受:内径d=φ40mm、外径D=φ80mm、幅B=18mm
ラジアル荷重:3730N(0.3Cr)
回転数:3000rpm
試験温度:130℃
試験寿命L10:206時間
使用油粘度:40℃:22.5(cSt),100℃:6.2(cSt)
サンプル数:以下の表1に示す(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の5形態
ナイロン樹脂の種類:46ナイロン、66ナイロン、フェノール
Figure 2004360899
表1により明らかなように、鉄製保持器と、樹脂製保持器との破損時間の比較においては、
(1)の形態では、鉄製保持器が54時間で破損し、フェノールを用いた樹脂製保持器が103時間で破損し、66ナイロンを用いた樹脂製保持器が195時間で破損したのに対し、46ナイロンを用いた樹脂製保持器は210時間経過後も破損に至らなかった。
(2)の形態では、鉄製保持器が26時間で破損し、フェノールを用いた樹脂製保持器が88時間で破損したのに対し、66ナイロンを用いた樹脂製保持器及び46ナイロンを用いた樹脂製保持器は210時間経過後も破損に至らなかった。
(3)の形態では、鉄製保持器が35時間で破損し、フェノールを用いた樹脂製保持器が84時間で破損したのに対し、66ナイロンを用いた樹脂製保持器及び46ナイロンを用いた樹脂製保持器は210時間経過後も破損に至らなかった。
(4)の形態では、鉄製保持器が134時間で玉のはくりが発生し、フェノールを用いた樹脂製保持器が111時間で破損し、66ナイロンを用いた樹脂製保持器が188時間で破損したのに対して、46ナイロンを用いた樹脂製保持器は210時間経過後も破損に至らなかった。
(5)の形態では、鉄製保持器が78時間で玉のはくりが発生し、フェノールを用いた樹脂製保持器が52時間で破損したのに対し、66ナイロンを用いた樹脂製保持器及び46ナイロンを用いた樹脂製保持器は210時間経過後も破損に至らなかった。
以上の結果、46ナイロンを用いて成形した樹脂製保持器が、鉄製保持器に比べて全ての形態において保持器の破損に関して優れていることが判明した。
Figure 2004360899
表2により明らかなように、鉄製保持器と、樹脂製保持器との軸受の動摩擦トルクの比較においては、
(1)の形態では、鉄製保持器が54.6N・mであるのに対し、樹脂製保持器が49.2N・mであった。
(2)の形態では、鉄製保持器が53.4N・mであるのに対し、樹脂製保持器が49.5N・mであった。
(3)の形態では、鉄製保持器が53.0N・mであるのに対し、樹脂製保持器が49.0N・mであった。
(4)の形態では、鉄製保持器が52.3N・mであるのに対し、樹脂製保持器が48.9N・mであった。
(5)の形態では、鉄製保持器が53.9N・mであるのに対し、樹脂製保持器が49.5N・mであった。
以上の結果、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の5種形態の樹脂製保持器は、鉄製保持器に比べて同等の動摩擦トルクを有することが判明した。
次に、実施例1において優れた性能を示した46ナイロンに、含有量を5〜40重量%の範囲で変化させたグラスファイバー(GF)を充填して成形した樹脂製保持器をそれぞれn=10個づつ準備して回転試験を行った。なお、試験条件は実施例1と同様の条件とする。試験結果を図5に示す。
図5から明らかなように、グラスファイバーの含有量が10〜30重量%である保持器においては、破損数がすべて2個以下であり、ほとんど破損することがなく良好な結果が得られた。一方、グラスファイバーの含有量が5重量%である保持器においては、10個中8個の保持器が損傷した。また、グラスファイバーの含有量が35重量%である保持器では、10個中4個、含有量が40重量%の保持器では、6個の保持器が破損した。
グラスファイバーの含有量が10重量%未満であると破損数が著しく多いのは、保持器の強度不足によるものと考えられる。一方、グラスファイバーの含有量が30重量%を越えた場合には、保持器の強度が高いため、主軸の傾きに対する柔軟性が不足し、破損数が増加した。
以上の結果、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンを用いて成形した樹脂製保持器が保持器の破損に関してさらに優れていることが判明した。
さらに、実施例1で用いた標準設計6208の標準軸受鋼2種の深溝玉軸受に、鉄製の波形プレス保持器と、樹脂製の冠型保持器とを別々に組付けて、急加減速試験を行なった。
転がり軸受は、実施例1と同様、外輪がハウジングに固定されて固定輪となり、内輪は内部隙間が−0.015mmとなるように締め代を持たせて主軸に外嵌されて回転輪となり、主軸の傾きが8/1000radとなるように設定した。そして、初期の振動の3倍を超えた時点で試験を停止してピーリング状況を確認し、最大36000サイクルで試験を終了した。
なお、保持器の摩耗が発生した場合、その摩耗粉が軸受外部に飛散しないように(ピーリング現象を加速させるため)、軸受両端面に遮蔽板を取り付け、油膜形成を劣化させるために130℃の高温でテストを行なった。
[試験条件]
ラジアル荷重:3730N(0.3Cr)
回転数:0⇒3000rpm⇒0(加減速時間各5秒)
試験温度:130℃
使用油粘度:40℃:22.5(cSt),100℃:6.2(cSt)
n数:鉄製保持器5個、樹脂製保持器5個

ピーリングが発生するまでのサイクル数を表3に示す。
Figure 2004360899
表3から明らかなように、鉄製保持器を用いた場合は、8520〜15040サイクル間でピーリングが発生した。一方、46ナイロンを用いた樹脂製保持器では、36000サイクルにおいてもピーリングは発生せず、外内輪軌道面・玉及び保持器は良好な状態であった。なお、グラスファイバーか5重量%の樹脂製保持器の場合、36000サイクル回転した後、ポケットの底部に停留亀裂が認められたため、好ましくは10〜30重量%とする。
なお、本発明に係る転がり軸受は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、ナイロン系樹脂により成形される保持器は、入力側転がり軸受及び出力側転がり軸受のうちの少なくとも1個でも用いられることにより、効果が得られる。
また、出力側回転軸を、同一の深溝玉軸受によって支持しても良く、その場合には、深溝玉軸受の冠形保持器をナイロン系樹脂によって成形するのが良い。
そして、転がり軸受として、深溝玉軸受に代えて、アンギュラ玉軸受や各種ころ軸受に本発明を適用しても良い。
そしてまた、保持器として、冠形保持器に代えて、もみ抜き保持器等に本発明を適用しても良い。
そして更に、開放形の深溝玉軸受や円筒ころ軸受に代えて、シールド形や非接触シール形或いは接触シール形としても良い。
本発明の一実施形態のベルト式無段変速機の一部破断平面図である。 図1に示したベルト式無段変速機に用いた転がり軸受の半断面図である。 図2に示した転がり軸受に用いた保持器の外観斜視図である。 従来のベルト式無段変速機の断面図である。 グラスファイバーの含有量と破損数の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ベルト式無段変速機
2 エンジン(原動機)
5 入力側回転軸
6 プライマリプーリ
7 出力側回転軸
8 セカンダリプーリ
9 無端ベルト
11,12 入力側転がり軸受(転がり軸受)
11a,12a,14a 内輪
11b,12b,14b 外輪
11c,12c,14c 玉(転動体)
11d,12d,14d 保持器
14 出力側転がり軸受(転がり軸受)

Claims (7)

  1. 粘度が40℃において40cSt以下で、100℃において8cSt以下の潤滑油を用いた無段変速機に使用される転がり軸受であって、
    内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有し、
    前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 請求項1又は2に記載の転がり軸受を備えたことを特徴とする無段変速機。
  4. 原動機に連結された入力側回転軸と、前記入力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なプライマリプーリと、該入力側回転軸と平行に配された出力側回転軸と、前記出力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリに掛け渡された無端ベルトと、を備え、前記両プーリの溝幅の拡縮により前記入力側回転軸と前記出力側回転軸との間の変速比を可変するベルト式無段変速機に用いられる転がり軸受であって、
    前記入力側回転軸または前記出力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有し、
    前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする転がり軸受。
  5. 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受。
  6. 原動機に連結された入力側回転軸と、前記入力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なプライマリプーリと、該入力側回転軸と平行に配された出力側回転軸と、前記出力側回転軸とともに回転し溝幅を拡縮自在なセカンダリプーリと、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリに掛け渡された無端ベルトと、を備え、前記両プーリの溝幅の拡縮により前記入力側回転軸と前記出力側回転軸との間の変速比を可変する無段変速機であって、
    前記入力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有する入力側転がり軸受と、
    前記出力側回転軸に外嵌する内輪と、外輪と、前記内外輪間に相対回転自在に配された複数の転動体と、前記転動体を転動自在に保持する保持器と、を有する出力側転がり軸受と、を備え、
    前記入力側転がり軸受及び前記出力側転がり軸受における少なくとも1個の前記保持器が、ナイロン系樹脂によって成形されていることを特徴とする無段変速機。
  7. 前記ナイロン系樹脂は、グラスファイバーを10〜30重量%含有する46ナイロンであることを特徴とする請求項6に記載の無段変速機。
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