JP2004359976A - 高融点元素スパッタリングターゲット材及びその製造方法 - Google Patents

高融点元素スパッタリングターゲット材及びその製造方法 Download PDF

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裕之 松元
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Abstract

【課題】Re、Hf、Sc、Geのいずれかの元素からなり、高密度、高純度且つ微細結晶粒組織を有する高融点元素スパッタリングターゲット材とその製造方法を提供すること。
【解決手段】高融点元素Re、Hf、Sc、Geの原料粉末を放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により焼結して高密度化する事で、800〜1800℃の焼結保持温度、且つ20〜60分の焼結保持時間で、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶粒組織を有し、且つ純度99.5重量%以上、相対密度比99.0%以上の、高融点元素スパッタリングターゲット材を歩留り良く製造する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として光記録媒体の製造に用いる高融点元素スパッタリングターゲット材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体製造用のスパッタリングターゲットとして用いられる元素の中でもRe、Hf、Sc、Ge等の元素は、融点がそれぞれReで3180℃、Hfで2227℃、Scで1539℃、Geで937.4℃と極めて高く、一般にスパッタリングターゲット材の製造方法として用いられる真空高周波溶解法のみでは融点以上までの加熱が不可能な事もあり、特殊な溶解条件下で製造を余儀なくされる。そのため安定した品位で純度99.5%以上の、Re、Hf、Scなどのスパッタリングターゲット材(簡略にターゲット材と記すことがある)を得る事は非常に難しく、且つ品位ばらつきが大きい事から製品歩留りも悪いといった欠点がある。
【0003】
実際、下記の特許文献1で開示された例からも確認できるように、Hf等の高融点元素を安定的に溶解するには高周波溶解炉とアーク溶解炉を組み合わせた構造を有する特殊溶解炉を用いる必要がある事から、実行上において大きな初期投資を必要とし、且つHfよりも更に融点の高い元素であるRe或いは更に活性度が高いScについては、特許文献1に記載の特殊溶解法を用いても安定的に溶解が可能か確認すらされておらず、現段階では実質上、Re、Scについては製造不可能といった問題がある。
【0004】
また、Hf、Ge等についても特殊溶解炉或いは高周波溶解炉を用いる事から、一回の溶解当たりの作業工程が長く、1製品あたりに要する製造コストが高いといった欠点がある。
【0005】
また同時にターゲット材の製造方法として溶解法を用いた場合においては、鋳造時における急冷効果が低い事からターゲット材における結晶組織が粗大化し、ターゲット材における結晶構造の均一性に欠ける事で最終的なスパッタ特性が低下するといった欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−72038号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この状況にあって、本発明は、比較的低温度で、短時間に、歩留り良く、高融点元素Re、Hf、Sc、Geの焼結体であり、微細結晶粒組織を有し、高純度且つ高密度の、光記録媒体などの製造に用いるスパッタリングターゲット材製品を得ることに係る。
【0008】
簡略には、本発明の課題は、Re、Hf、Sc、Geのいずれかの元素からなり、高純度、高密度且つ微細結晶粒組織を有する高融点元素スパッタリングターゲット材とその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法は、Re、Hf、Sc、Geのいずれかによる高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法であって、放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により原料粉末を焼結することを特徴とする。
【0010】
また、前記放電プラズマ焼結法における焼結保持温度は、800〜1800℃とすることができる。
【0011】
また、前記放電プラズマ焼結法における焼結保持時間は20〜60分とすることができる。
【0012】
また、前記高融点元素スパッタリングターゲット材は光記録媒体の製造用とすることができる。
【0013】
また、本発明の高融点元素スパッタリングターゲット材は、Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶粒組織を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の高融点元素スパッタリングターゲット材は、Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、相対密度比が99.0%以上であることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明の高融点元素スパッタリングターゲット材は、Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、純度が99.5重量%以上であることを特徴とする。
【0016】
以上を簡略に言い換えると、本発明の特徴は、高融点元素Re、Hf、Sc、Geの原料粉末を放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により焼結して高密度化する事で、800〜1800℃の比較的低温度、20〜60分の短時間で、歩留り良く、相対密度比が99.0%以上であり、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶粒組織を有し、99.5重量%以上の純度を有する、光記録媒体の製造用に好適な高融点元素スパッタリングターゲット材を製造することにある。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について作用及び効果を含めて説明する。
【0018】
初めに、放電プラズマ焼結法による焼結装置について簡単に説明する。放電プラズマ焼結法では、パンチとしての加圧機構を有する電極に、大電流通電を行い、プラズマ放電加熱と同時に加圧焼結を行う。その結果、プラズマ放電による局部加熱、通電によるジュール熱加熱、及び焼結加圧の3つが同時に作用して、通常の焼結法よりも低い温度、且つ短時間での焼結が可能になる。また、本実施の形態における放電プラズマ焼結法による焼結装置は、特開2003−129108号公報に記載された放電プラズマ加熱加圧焼結装置と同様である。
【0019】
本実施の形態の高純度Reターゲット材は、基本構成元素であるReの組成が99.9〜99.99重量%で構成され、その他元素としてMo、Ti、V、W、O、N、C、Si、Mn、P、S、Cu、Niのいずれかの元素或いは複数元素を0.01〜0.1重量%同時に含有する高純度Re原料粉末を、カーボングラファイト又はWC超硬型或いは窒化物セラミック型を用いた放電プラズマ焼結炉を用いて1×10−1Torr(13Pa)以下の真空中或いはガス圧0.1kg/cm(9.8×10Pa)から5.0kg/cm(4.9×10Pa)のArなどの不活性ガス雰囲気中にて100A〜100kAの大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧により製造され、高純度かつ高密度のターゲット材用焼結体となる。
【0020】
即ち0.1〜500℃/分にて加熱され、(800〜1800℃)×(0.1〜60分)で大電流通電によるプラズマ放電加熱及びジュール熱加熱を行うと同時に、成形圧0.1〜10kg/mm(9.8×10〜9.8×10Pa)にて加圧成形後、1×10−1Torr(13Pa)以下の真空中或いはガス圧0.1kg/cm(9.8×10Pa)から5.0kg/cm(4.9×10Pa)のArなどの不活性ガス中で冷却する大電流通電によるプラズマ放電加熱加圧焼結を行う焼結工程にて高純度Reターゲット材用焼結体を製造する。
【0021】
その他、高融点元素であるSc、Hf、Geについても上記同様の原料粉末を用いて、同一放電プラズマ条件にて、高純度Scターゲット材製品、高純度Hfターゲット材製品、高純度Geターゲット材用焼結体を製造する。
【0022】
こうして放電プラズマ焼結法により製造した高純度の、Re、Sc、Hf、Geターゲット材用焼結体においては、第1の効果として、一般のターゲット材製造に用いられる高周波溶解法のみでは、高融点元素であるRe、Hfについてはターゲット用材料として容易に製造できなかったのに対して、高純度原料粉末からの粉末冶金法によるターゲット材の製造方法として放電プラズマ焼結法を用いる事で容易に高融点元素ターゲット材を製造できる事が確認される。
【0023】
同時に溶解法にて製造したターゲット材における結晶組織は一般に鋳造時の冷却速度が遅い事から結晶粒が粗大化し、結晶粒子径が300〜1000μmと大きい事に比べ、放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により製造した高純度Re、Sc、Hf、Geターゲット材用焼結体の組織は結晶粒子径が10〜300μmの非常に微細な結晶組織を有する事から、溶解法にて製造したターゲット材に比べて放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により製造した高純度、Re、Sc、Hf、Geターゲット材用焼結体の方が微細結晶粒組織を有する事で結晶構造の均一性に優れるターゲット材製品を得られる事が確認される。
【0024】
尚、本発明を適用したRe、Sc、Hf、Ge各々の粒子径については、プラズマ焼結保持温度が低い場合における最小粒子径に10μmが存在した事と、微細組織においては溶解法に比べれば十分小さいが、部分的な局所結晶粒成長から結晶粒子径が300μm程度まで成長した粒子が存在した事から、結晶粒子径の範囲は10〜300μmとした。
【0025】
第2の効果として、高周波溶解炉においてはRe、Hfのターゲットが製造不可能であるのに対して、放電プラズマ焼結法による粉末冶金法にて焼結したRe、Hfの高融点ターゲット焼結体については、融点よりも低い温度域から高密度化傾向が確認されると同時に、活性度は高いが比較的融点は低い、Sc、Geについても、高周波溶解における溶解温度よりも低い温度での緻密化促進効果が確認される事から、Re、Sc、Hf、Ge高融点元素ターゲット材の製造方法として放電プラズマ焼結法を用いた事による低温高密度化の効果が確認される。
【0026】
尚、本発明を適用したRe、Sc、Hf、Ge各々で最適なプラズマ焼結保持温度はReで1800℃、Hfで1700℃、Scで1300℃、Geで800℃とそれぞれ異なる事から、高融点元素ターゲット材における放電プラズマ焼結法の適用温度範囲は、Re、Sc、Hf、Geの全元素において高い相対密度比が得られる温度域を含む範囲である800〜1800℃の温度範囲とした。
【0027】
第3の効果として、高周波溶解炉においては、Re、Sc、Hfのターゲットが製造不可能で、Geについてもその活性度の高さから酸化防止等についての管理が非常に難しく、容易には、Re、Sc、Hf、Ge等、高融点元素における高純度ターゲット材製品が製造できない事に対して、放電プラズマ法による粉末冶金法にて焼結したRe、Sc、Hfの高融点ターゲット焼結体については、放電プラズマ焼結法特有の大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧の効果により、融点よりもかなり低い温度で結晶組織の緻密化が進行する事で活性元素の外部との反応が抑制され不純物量が大幅に低減する事から、Re、Sc、Hf、Geの高融点元素ターゲット材の製造方法として放電プラズマ焼結法を用いた事による基本構成元素Re、Sc、Hf、Ge等の高純度化効果が確認される。
【0028】
第4の効果として、高周波溶解炉においては、Re、Sc、Hfのターゲットが製造不可能で、Geについても基本的に高周波溶解による製造は可能ではあるが、Ge元素の持つ活性度の高さから溶解時における酸化物等のスラグを極めて形成し易い為、高周波溶解法における溶解歩留りは90%程度が限界であるのに対して、放電プラズマ焼結法による粉末冶金法にて焼結した、Re、Sc、Hfの高融点ターゲット焼結体については、基本構造が一般の加圧成形機と同様でスラグ形成の可能性が全く無い事から、Re、Sc、Hf、Geの高融点元素ターゲット材の製造方法として放電プラズマ焼結法を用いた事による、高融点元素ターゲット材の高い製品重量歩留りでの製造の効果が確認される。
【0029】
第5の効果として、高周波溶解炉においてはRe、Sc、Hfのターゲットが製造不可能で、Geについても基本的に高周波溶解による製造は可能ではあるが1回の溶解に8.0時間以上を要するのに対して、放電プラズマ焼結法による粉末冶金法にて焼結したRe、Sc、Hfの高融点ターゲット焼結体については、放電プラズマ焼結法特有の大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧の効果により、高融点元素においても1分程度の極めて短い処理時間(焼結保持時間)でも相対密度比の顕著な上昇傾向が認められ、どの高融点元素においても20分程度の短時間で、実用上十分な相対密度比である相対密度比99%が得られる事から、Re、Sc、Hf、Ge高融点元素ターゲット材の製造方法として放電プラズマ焼結法を用いた事による、短時間での緻密焼結の促進効果が確認される。なお、処理時間(焼結保持時間)が60分になると相対密度比の上昇に飽和傾向が認められるので、本発明における放電プラズマ焼結法における焼結保持時間は20〜60分の範囲とした。
【0030】
上述のように、Re、Sc、Hf、Geの高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法において、高融点元素であるRe、Hf、Sc、Geの原料粉末を放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により焼結して高密度化する事で、800〜1800℃の比較的低温度、且つ20〜60分の短時間で、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶組織を有し、且つ99.5重量%以上の高純度な品位を有する、光記録媒体の製造用に好適な、高密度スパッタリングターゲット材を98%以上の高い製品歩留りで製造する事が可能になった。
【0031】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0032】
(実施例1)本発明にて使用した高融点元素Re、Hf、Sc、Geの原料粉末は基本構成元素の組成が、それぞれ、[Re]=99.91重量%、[Hf]=99.93重量%、[Sc]=99.90重量%、[Ge]=99.92重量%であり、その他元素としてMo、Ti、V、W、O、N、C、Si、Mn、P、S、Cu、Niのうちの1元素或いは複数元素を、Re粉末では0.09重量%、Hf粉末では0.07重量%、Sc粉末では0.1重量%、Ge粉末では0.08重量%含有し、且つそれぞれの平均粒子径がRe粉末では5.0μm、Hf粉末では5.0μm、Sc粉末では4.0μm、Ge粉末では4.0μmのものを用いた。
【0033】
このような組成の高融点元素Re、Hf、Sc、又はGeの原料粉末を、カーボングラファイト型を使用し、放電プラズマ焼結炉を用いて1×10−1Torr(13Pa)以下の真空中或いはガス圧0.1kg/cm(9.8×10Pa)から5.0kg/cm(4.9×10Pa)のArなどの不活性ガス雰囲気中にて100A〜100kAの大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧により、ターゲット用高密度プラズマ焼結体とした。
【0034】
即ち85〜200℃/分にて加熱され、(700〜1800℃)×(1〜60分)で大電流通電によるプラズマ放電加熱及びジュール熱加熱を行うと同時に成形圧4kg/mm(3.9×10Pa)にて加圧成形後、ガス圧0.1kg/cm(9.8×10Pa)のAr不活性ガス中で冷却する大電流通電によるプラズマ放電加熱加圧焼結を行う焼結工程にてターゲット用プラズマ焼結体を作製した。
【0035】
上記製造条件により製造した高融点元素ターゲット用放電プラズマ焼結体の放電プラズマ焼結法における最適処理温度(プラズマ焼結温度)と、高周波溶解法における最適処理温度(溶解温度)とを比較して表1に示す。
【0036】
尚、表1には従来技術による一般的なターゲット材の製造方法である高周波溶解法におけるターゲット製造条件の実績についても示され、高周波溶解法についてはターゲット材用プラズマ焼結体と同一組成の原料粉末をφ30×20mmの形状にペレット化し、1×10−2Torr(1.3Pa)以下の真空中、或いは溶融温度以降、ガス圧0.2kg/cm(2.0×10Pa)のArなどの不活性ガス中で、溶解を実施し、ターゲット材製品としたものである。
【0037】
【表1】
Figure 2004359976
【0038】
この表1のように高周波溶解法を用いた場合は、Re、Hfについては、るつぼとの反応が著しく製造が不可能であり、Sc、Geについても溶解は可能であるが融点以上の温度までの加熱を必要としているのに対して、放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法にて作製したターゲット材用プラズマ焼結体においては、Re、Hfとも製造する事が可能であると共に、放電プラズマ焼結法に特有の大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧の効果により、Re、Hf、Sc、Geの全元素において処理温度が融点よりも非常に低い事からも、放電プラズマ焼結法を高融点元素ターゲット材の製造方法として用いる事で、高周波溶解法に比べ高融点元素を容易にターゲット材化ができる事が確認される。
【0039】
次に、上記製造条件により製造した、Re、Hf、Sc、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における平均結晶粒子径とプラズマ焼結保持温度との関係を図1に示す。図1の様に、従来製法である高周波溶解法にて製造したターゲット材における結晶粒子径が小さくとも300μm程度、大きいものでは1000μmを越える粒までが存在し、結晶粒間における結晶構造が不均一である事に対して、放電プラズマ焼結法による粉末冶金法により製造したターゲット材用プラズマ焼結体における平均結晶粒子径は各元素の焼結性によって若干変動するが、Re、Hf、Sc、Geのどの元素においても平均粒子径が100μm以下の微細結晶粒を有している事から、より均一微細化された組織を有するターゲット材用焼結体を得られる事が確認される。
【0040】
(実施例2)次に、実施例1と同じ製造方法で製造した各高融点元素Re、Hf、Sc、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における焼結保持温度と放電プラズマ焼結体の相対密度比(焼結密度の理論密度に対する比率)との関係を図2に示す。横軸にプラズマ焼結保持温度、縦軸に各プラズマ焼結保持温度にて作製した高融点元素Re、Hf、Sc、Geそれぞれのターゲット用プラズマ焼結体の相対密度比の値を示している。
【0041】
図2に示すように基本的には放電プラズマ焼結法により製造した放電プラズマ焼結体においては、Geでは750℃、Scでは1200℃、Hfでは1600℃、Reでは1800℃の処理温度以上であれば、Ge、Scも含め高周波溶解炉では製造不可能なRe、Hfでも緻密高密度化が可能で、光記録媒体用ターゲット材料としては十分な相対密度比である99.0%以上の相対密度比を有する高融点系ターゲット材製品を製造する事ができる事が確認される。
【0042】
同時に、本発明を適用した全ての元素において放電プラズマ焼結法に特有の大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧の焼結緻密化促進の効果により、Geにおいて188℃、Scにおいて340℃、Hfにおいて630℃、Reに至っては1400℃も融点よりも低い温度で高密度化が図られており、高周波溶解法に比べても、よりエネルギー効率の高い製造方法である事が確認される。
【0043】
(実施例3)次に、実施例1と同じ製造方法で製造した各高融点元素Re、Hf、Sc、Geのターゲット材用プラズマ焼結体の焼結保持温度と各ターゲット材における基本構成元素であるRe、Hf、Sc、Geの純度との関係を図3に示す。横軸にプラズマ焼結保持温度、縦軸に、各プラズマ焼結保持温度にて作製した高融点元素Re、Hf、Sc、Geそれぞれのターゲット用プラズマ焼結体の基本構成元素の純度の値を示している。
【0044】
ターゲット材の製造方法での従来法の例として従来技術の項でも述べた特殊溶解法も含め、高周波溶解炉等の溶解炉を使用した場合においては、一般に溶解時に各種酸化物、炭化物、窒化物、硫化物等で形成されるスラグが発生し、そのスラグを巻き込まずに鋳造製品化する事は非常に困難である事から、溶解ロット間における純度ばらつきを防止する事ができないため、製品歩留りの悪化についても抑制する事が難しい。
【0045】
それに対して、図3に示す様に放電プラズマ法により製造したターゲット材用放電プラズマ焼結体においては、Ge、Sc、Hf、Reのどの元素においても、750〜1800℃の広範囲な保持温度域において実用上十分に使用可能な純度である99.5重量%が得られており、同時によりターゲット材製品の純度仕様として特に好ましい純度である99.9重量%以上の純度についても、Geでは750〜800℃、Scでは1200〜1400℃、Hfでは1600〜1700℃、Reでは1700〜1800℃の温度域で得られている事から、放電プラズマ焼結法を高融点元素ターゲット材の製造方法として用いる事で、広範囲な温度域で容易に高融点材料であるGe、Sc、Hf、Reで構成される高純度ターゲット材製品を得られる事が確認される。
【0046】
(実施例4)次に、実施例1と同じ製造方法で製造した各高融点元素Re、Hf、Sc、Geのターゲット材用プラズマ焼結体の焼結保持温度と、各ターゲットにおける製品重量歩留りの関係を図4に示す。横軸にプラズマ焼結保持温度、縦軸に各プラズマ焼結保持温度にて作製した高融点元素Re、Hf、Sc、Geそれぞれのターゲット用プラズマ焼結体の製品重量歩留りの値を示している。
【0047】
実施例3の項でも述べたが、従来法である種々の溶解法をターゲット材製造方法として用いた場合は、各種不純物により構成されるスラグの発生が防げず、このスラグと反応する事による重量減、溶解時における、るつぼとの反応及び残留、更に被溶解物鋳型注湯補助型であるダンディッシュ上への付着残留により、製品重量歩留りは90%以下と非常に悪いのに対して、図4に示す様に放電プラズマ法により製造したターゲット材用放電プラズマ焼結体においては、Ge、Sc、Hf、Reのどの元素においても、プラズマ焼結保持温度に関係無く、98.0%以上の高い製品重量歩留りを示している事から、放電プラズマ焼結法を高融点元素ターゲット材の製造方法として用いる事で、広範囲な温度域で高融点材料であるGe、Sc、Hf、Reで構成されるターゲット材製品を高い製品歩留りで製造できる事が確認される。
【0048】
(実施例5)次に、実施例1と同じ製造方法で製造した各高融点元素Re、Hf、Sc、Geのターゲット材用プラズマ焼結体の相対密度比と、プラズマ焼結保持時間との関係を図5に示す。横軸にプラズマ焼結保持時間、縦軸に各プラズマ焼結保持温度にて作製した高融点元素Re、Hf、Sc、Geそれぞれのターゲット用プラズマ焼結体の相対密度比の値を示している。
【0049】
従来法である高周波溶解炉等による溶解法においてはRe、Sc、Hfのターゲットが製造不可能で、Geについても基本的に高周波溶解による製造は可能ではあるが1回の溶解に8.0時間以上を要しており作業効率が極めて低い事に対して、放電プラズマ法による粉末冶金法にて焼結したRe、Sc、Hfの高融点ターゲット焼結体については、放電プラズマ焼結法に特有の大電流通電効果によるジュール熱加熱及びプラズマ放電による局所加熱及び通電加熱同時加圧の効果により、非常に焼結性の悪い高融点元素においても1分程度の極めて短い処理時間で既に相対密度比が90〜92%までの著しい上昇傾向が認められ、どの高融点元素においても20分程度の短時間で、実用上、十分な相対密度比である相対密度比99%が得られる事から、Re、Sc、Hf、Ge高融点元素ターゲット用製造方法として放電プラズマ焼結法を用いた事による、短時間での緻密焼結の促進効果が確認される。また、プラズマ焼結保持時間が60分になると、相対密度比の上昇に飽和傾向が見られる。
【0050】
【発明の効果】
以上述べた事から、Re、Sc、Hf、Geの高融点元素ターゲット材の製造方法において、高融点元素であるRe、Hf、Sc、Geの元素原料粉末を放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により焼結して高密度化する事で、800〜1800℃の比較的低温度、20〜60分の短時間で、歩留り良く、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶組織を有し、純度99.5重量%以上、相対密度比99.0%以上の、光記録媒体製造用に好適な高融点元素スパッタリングターゲット材及びその製造方法の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ焼結保持温度に対する、Re、Sc、Hf、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における平均結晶粒子径の変化を示す図。
【図2】プラズマ焼結保持温度に対する、Re、Sc、Hf、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における相対密度比の変化を示す図。
【図3】プラズマ焼結保持温度に対する、Re、Sc、Hf、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における基本構成元素の純度の変化を示す図。
【図4】プラズマ焼結保持温度と、Re、Sc、Hf、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における製品重量歩留りの関係を示す図。
【図5】プラズマ焼結保持時間に対する、Re、Sc、Hf、Geのターゲット材用プラズマ焼結体における相対密度比の変化を示す図。

Claims (6)

  1. Re、Hf、Sc、Geのいずれかによる高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法であって、放電プラズマ焼結法を用いた粉末冶金法により原料粉末を焼結することを特徴とする高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法。
  2. 前記放電プラズマ焼結法における焼結保持温度は、800〜1800℃であることを特徴とする、請求項1に記載の高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法。
  3. 前記放電プラズマ焼結法における焼結保持時間は20〜60分であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高融点元素スパッタリングターゲット材の製造方法。
  4. Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、結晶粒子径が10〜300μmの微細結晶粒組織を有することを特徴とする高融点元素スパッタリングターゲット材。
  5. Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、相対密度比が99.0%以上であることを特徴とする高融点元素スパッタリングターゲット材。
  6. Re、Hf、Sc、Geから選択される元素の放電プラズマ焼結法による焼結体であり、純度が99.5重量%以上であることを特徴とする高融点元素スパッタリングターゲット材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112958772A (zh) * 2021-02-02 2021-06-15 合肥工业大学 一种废旧WRe/TZM复合旋转阳极靶盘的修复方法

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