JP2004359898A - 木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】木質系バイオマスを有効活用することにより、強度の高いコークスを製造するプロセスを提供する。
【解決手段】バイオマスは、予め粉砕機1において10mm以下程度に粉砕される。粉砕されたバイオマスは溶媒抽出槽2に搬送され、エタノール等の溶媒を用いてバイオマスに含まれる低分子成分を溶媒抽出した後に、加熱機3で150〜350℃に加熱され、成形機4で加圧成形して、バイオマス成形物とされる。このバイオマス成形物を乾留炉7で乾留、炭化してコークスを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】バイオマスは、予め粉砕機1において10mm以下程度に粉砕される。粉砕されたバイオマスは溶媒抽出槽2に搬送され、エタノール等の溶媒を用いてバイオマスに含まれる低分子成分を溶媒抽出した後に、加熱機3で150〜350℃に加熱され、成形機4で加圧成形して、バイオマス成形物とされる。このバイオマス成形物を乾留炉7で乾留、炭化してコークスを製造する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄における高炉用の還元剤または燃料、または、ごみ溶融炉の燃料などに用いられるコークスの製造方法に関し、特に、原料として木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法の関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、地球環境保全の観点から、バイオマス資源を利用する技術の開発が求められている。
【0003】
FAO(国連食糧農業機関)によれば、バイオマスとは生物量の総称であり、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、RDF(ごみ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0004】
これらのバイオマスのうち、特に、有効に利用可能な林業系の木質系バイオマスの発生量は、1年間に約2千百万t〜5千万tの規模と想定される。
【0005】
木質系バイオマスを利用する方法として、従来から木質系バイオマスを乾留炉で乾留し、得られる油分を木酢液等として利用する方法が行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、木質系バイオマスを炭化炉で酸素の少ない状態で炭化して薫煙を発生させ、薫煙に含まれる有機物成分を冷却液化することにより、沸点の異なる複数の有機物成分を同時に分留する方法が開示されている。
【0007】
この方法は、木質系バイオマスを熱分解して発生ガスから化学原料として利用価値の高い、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの有機物成分を留出製造する方法であり、木質系バイオマスを炭化し、この炭素固形物を有効利用する方法ではない。
【0008】
一方、木質系バイオマスを乾留炉で乾留して炭化させコークスを製造する方法も提案されている。
【0009】
例えば、特許文献2には、石炭に木質系バイオマスを所定質量比で添加して成形後、竪型シャフト炉で乾留して成形コークスを製造する方法が開示されている。
【0010】
しかし、この方法は、高炉での通気性が良好な低密度の成型コークスを製造することを目的とし、熱分解温度が低い木質系バイオマスを原料炭に添加し乾留することにより、室炉コークスと同程度の低密度成形コークスを製造する方法である。
【0011】
この方法は、室炉コークスを製造する方法ではなく、また、室式コークス炉で木質系バイオマスを混合してコークスを製造する際に問題となる、室炉コークスの強度を向上させる方法を示唆するものではない。
【0012】
木質系バイオマスを乾留して得られる炭素固形物は、石炭を乾留して得られるコークスに比べ強度が低いという問題がある。木質系バイオマスを原料として乾留して得られる炭素固形物(コークス)の強度を高めることができれば、製鉄における高炉用コークスの代替として使用することが可能となる。
【0013】
また、近年、高炉型のごみ溶融炉が広く普及し始めており、木質系バイオマスを用いたコークスは高炉型のごみ溶融炉の燃料として利用することも期待できる。
【0014】
近年、地球規模での温暖化問題の対応が進められており、製造プロセスにおける二酸化炭素発生量の低減、一般および産業廃棄物のリサイクル化またはエネルギーとしての利用などの検討がなされている。この中で、特にバイオマスはカーボンニュートラルであり、気候変動枠組条約締結国会議(COP3〜6、COP;The Conference Of the Party)での国際公約を達成するための石油、石炭などの代替資源として積極的使用が望まれている。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−294248号公報
【特許文献2】
特開2002−129167号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の実情に鑑みて、本発明は、製鉄における高炉用またはごみ溶融炉用のコークスを製造するための原料として木質系バイオマスを有効活用するとともに、木質系バイオマスを用いて強度の高いコークスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0018】
(1) バイオマスを粉砕した後に、150〜350℃に加熱し、加圧成形して、バイオマス成形物とし、このバイオマス成形物を乾留することを特徴とする木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0019】
(2) 前記粉砕前、または、粉砕後に、バイオマスを溶媒抽出処理して軽質留分を分離、除去することを特徴とする上記(1)に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0020】
(3) 前記加圧成形する際に発生するガスおよび水蒸気を脱気、除去を行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0021】
(4) 前記粉砕後のバイオマスの粒度を10mm以下とすることを特徴とする上記(1)〜(3)のうちの何れかに記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
先ず、本発明において、バイオマスとは、以下のFAO(国連食糧農業機関)に定義に準じて定義される。
【0023】
FAO(国連食糧農業機関)によれば、バイオマスとは生物量の総称であり、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0024】
本発明では、これらのバイオマスのうち、特に、1年間に約2千百万t〜5千万tの規模で排出されている、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)バイオマス(以下、木質系バイオマスという)を対象とし、コークス製造用原料として有効活用するものである。
【0025】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施態様を説明する。
【0026】
図1は、本発明に関わる木質系バイオマスを利用したコークスの製造プロセスの一例を示す模式図である。
【0027】
バイオマスは、予め粉砕機1において10mm以下程度に粉砕される。粉砕されたバイオマスは、溶媒抽出槽2に搬送され、エタノール等の溶媒を用いてバイオマスに含まれる低分子成分を溶媒抽出処理した後に、加熱機3で150〜350℃に加熱される。
【0028】
バイオマスは、加熱機3で加熱された後に、成形機4で0.5〜5t/cm2の成形圧力で加圧成形される。成形機4の型式としては、ダブルロール成形機等が用いられる。
【0029】
加熱されたバイオマスを成形機4で加圧成形する際に、バイオマスから発生するガス、水蒸気、および、バイオマス中に巻き込まれたエアーを、脱揮発分装置5(以下、脱気装置と記載することがある)により、系外に取り除く。
【0030】
脱気方法としては、脱揮発分装置5に備えられたブロワー6によって成形機4からバイオマスを加圧成形時に発生するガス、水蒸気、および、エアーを吸引して系外に排出すればよい。
【0031】
本発明においては、粉砕機1で粉砕されたバイオマスは、溶媒抽出槽2による溶媒抽出処理を行わずに、加熱機3で加熱された後に、成形機4で成形する場合もある。
【0032】
また、溶媒抽出槽2による溶媒抽出処理を行う場合は、バイオマスの粉砕処理の前に行ってもよい。
【0033】
上記の方法により、加熱後、加圧成形して得られたバイオマスの塊成物(以下、ブリケットと記載する)を、乾留炉7に装入して乾留、炭化させて、コークスを製造する。
【0034】
乾留して得られる高炉用コークスとしての所定製品サイズを得るためには、上記バイオマスのブリケットの大きさは、約10cc以上のサイズであることが望ましい。
【0035】
上記バイオマスのブリケットは、石炭に比べて低い加熱温度でコークス化するため、上記バイオマスのブリケットを乾留炉7で乾留する場合の乾留温度は600℃以上であればよいが、乾留温度が低いと乾留時間が長くなるため、コークスの生産性向上の観点から乾留温度は800℃以上であることが好ましい。
【0036】
また、バイオマスを乾留して得られるコークスが乾留中に燃焼してしまうことを防ぐために、乾留炉内の雰囲気は酸素濃度が3%以下であることが好ましい。
【0037】
なお、乾留炉7の型式としては、ロータリーキルン、または、煉瓦で製造された製鉄用のコークス炉等が使用できる。
【0038】
乾留炉7でバイオマスを加熱後、加圧成形して得られたバイオマスのブリケットを乾留して得られたコークスは、高炉用原料として必要な強度とサイズを有し、通常の高炉用コークスと同様に高炉に原料の一部として使用される。
【0039】
また、乾留炉7でバイオマスの熱分解で発生したガスは炉外に排出され、ガス冷却器8によって冷却された後、ガスプロワー9を経由してガスホルダー10に貯留され、乾留炉または加熱炉の燃料用ガスとして製鉄プロセスの他工程で使用される。
【0040】
また、乾留炉7でバイオマスの熱分解で発生した油分は、一部水分を含有するため、油水分離器11に供給して油分と水分に分離した後、得られた油分は回収され、油分タンク13に貯蔵される。なお、除去した水分は発生水タンク12に回収する。
【0041】
回収された油分には、化学工業において利用価値の高い化学原料が含まれる。ここで、本発明において、化学原料は特に限定するものではないが、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの化学工業において利用価値の高い化学成分が挙げられる。
【0042】
本発明者らは、上記の本発明の実施態様にて、バイオマスの熱分解生成物として強度の高いコークスを製造させる方法について、詳細な検討を行った。
【0043】
以下にその使用条件の限定理由について説明する。
【0044】
先ず、成形温度について説明する。
【0045】
バイオマスを加熱後、成形する際のバイオマスの加熱温度は以下の作用・効果が得られるためには、150℃以上にする必要がある。
【0046】
つまり、バイオマスの加熱により、バイオマス中のセルロースやリグニン等に由来する低分子成分(即ち、軽質成分)の油分が生成する。
【0047】
バイオマスの加熱過程では、バイオマスの主要成分のうち、ヘミセルロースが最も熱に加熱に対して不安定であり、約180℃で熱分解をはじめる。次いで、セルロースが約240℃、リグニンが約280℃で熱分解をはじめる。
【0048】
その結果、低分子成分の油分(即ち、軽質成分)として、アセトール(沸点約145℃)、プロピオン酸メチル(沸点約140.8℃)やフェノール類(沸点約182℃)、クレゾール類(沸点約203℃)等が生成する。
【0049】
これらの低分子成分の油分は、加熱後、熱間で加圧して圧密成形する際に、バインダー(粘結剤)として作用し、ブリケットの密度が向上し、強度の高いバイオマスのブリケットが得られる。その結果、このブリケットを乾留して得られるコークスの強度を向上させることが可能となる。
【0050】
一方、バイオマスの加熱温度が350℃を超えると、加熱後、熱間で加圧成形時に発生する油分のガス化が進むため、ガス発生量が急激に増加し、加圧成形時の脱揮発分処理(脱気処理)が困難となり、ブリケットの密度が逆に低下するため、加熱温度は350℃以下とすることが好ましい。
【0051】
なお、本発明者が、バイオマスの加熱温度とブリケットのバインダーとなる油分の発生割合の関係を調べた結果を図2に示す。
【0052】
バイオマスから発生する低分子成分の油分は、加熱温度が150℃以上で発生する。また、加熱温度が150℃以上で加熱後、加圧成形して得られたバイオマスのブリケットを乾留して得られたコークスの強度は向上し、高炉用コークスとしての必要強度以上であることを確認した。
【0053】
以上の知見を踏まえ、本発明において、バイオマスを加熱後、成形する際の加熱温度は150〜350℃とする。
【0054】
これらの化学成分を分離する方法としては、蒸留および/または溶媒抽出法などが適用できる。
【0055】
次に、バイオマスの溶媒抽出処理について説明する。
【0056】
バイオマスチャーは、エタノール等の溶媒によって溶媒抽出処理することによって、バイオマスを150〜350℃で加熱後、成形する際にガス化するバイオマス中の低分子成分(例えば、フェノール成分など)が除去される。
【0057】
これらの低分子成分としては、例えば、ギ酸(沸点約101℃)、グリコールアルデヒド(沸点約96℃)、酢酸メチル(沸点約56℃)などが挙げられ、これらは、加熱後、熱間で加圧成形時にガス化するためにバインダーとしての作用は小さく、逆に、ガス発生量が増加しブリケットの嵩密度が低下するため、乾留して得られるコークスの強度を低下させる原因となる。
【0058】
したがって、予めバイオマスの溶媒抽出処理を行うことにより、これらの低分子成分を除去することで、バイオマスを加熱後、成形する際のブリケットの嵩密度を増加させ、乾留して得られるコークスの強度を向上させることができる。
【0059】
粉砕したバイオマスを150〜350℃に加熱した後に成形機で成形すると、成形中にバイオマスから、水分および低分子成分がガス化するために、多量のベーパーが発生する。バイオマスの成形時に、バイオマスとともにベーパーが成形機に巻き込まれると、バイオマスを成形して得られるブリケットの嵩密度が低下する。
【0060】
このため、成形機の加圧装置(ダブルロールプレスを用いる場合には、成形ロールの上部)において、バイオマスから発生する水蒸気および低分子成分起因のガスを脱気処理することにより、ブリケットの嵩密度を増加させることができ、乾留後のコークス強度を向上できる。
【0061】
粉砕後のバイオマスの粒度が大きすぎると、成形機で加圧成形する際のバイオマスの圧密が不十分となるために、得られるブリケットの嵩密度が低下する。
【0062】
このため、本発明において、粉砕後のバイオマスの粒度を10mm以下にすることが好ましい。
【0063】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、200℃に加熱後に1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。
【0065】
該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0066】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、650N/cm2であり、得られたコークスの強度は高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0067】
(実施例2)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを200℃に加熱してから、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0068】
前記ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が750N/cm2と高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0069】
(実施例3)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを250℃に加熱してから、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0070】
成形機で該バイオマスを加圧する際に、バイオマスから発生するベーパー(水蒸気、および低分子成分がガス化したもの)を成形機のダブルロールの上部において、脱気装置により吸引処理しながら成形を行い、ブリケットを製造した。
【0071】
得られたブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が800N/cm2と高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0072】
(比較例)
(比較例1)
図3に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、成形機で1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0073】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、200N/cm2であり、得られたコークスの強度は低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0074】
(比較例2)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、100℃に加熱後に1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0075】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、210N/cm2であり、得られたコークスの強度は低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0076】
(比較例3)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを400℃に加熱後に、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0077】
前記ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が250N/cm2と低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0078】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、バイオマスを有効活用することにより、高炉型ごみ溶融炉のコークス、および/または、高炉の冶金用コークスの代替として利用することが可能となる。
【0079】
また、本発明により、製鉄におけるカーボンニュートラル資源であるバイオマスの有効利用により、資源リサイクル化およびCO2量削減を実現できるなど、技術的のみならず経済的な効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオマスを用いたコークスの製造プロセスのフローを示す図である。
【図2】バイオマスの加熱温度とブリケットの油分の発生割合との関係を示す図である。
【図3】従来のバイオマスを用いたコークスの製造プロセスのフローを示す図である。
【符号の説明】
1…粉砕機
2…溶媒抽出槽
3…加熱機
4…成形機
5…脱揮発分装置
6…ブロワー
7…乾留炉
8…ガス冷却器
9…ガスブロワー
10…ガスホルダー
11…油水分離器
12…発生水タンク
13…油分タンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄における高炉用の還元剤または燃料、または、ごみ溶融炉の燃料などに用いられるコークスの製造方法に関し、特に、原料として木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法の関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、地球環境保全の観点から、バイオマス資源を利用する技術の開発が求められている。
【0003】
FAO(国連食糧農業機関)によれば、バイオマスとは生物量の総称であり、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、RDF(ごみ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0004】
これらのバイオマスのうち、特に、有効に利用可能な林業系の木質系バイオマスの発生量は、1年間に約2千百万t〜5千万tの規模と想定される。
【0005】
木質系バイオマスを利用する方法として、従来から木質系バイオマスを乾留炉で乾留し、得られる油分を木酢液等として利用する方法が行われている。
【0006】
例えば、特許文献1には、木質系バイオマスを炭化炉で酸素の少ない状態で炭化して薫煙を発生させ、薫煙に含まれる有機物成分を冷却液化することにより、沸点の異なる複数の有機物成分を同時に分留する方法が開示されている。
【0007】
この方法は、木質系バイオマスを熱分解して発生ガスから化学原料として利用価値の高い、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの有機物成分を留出製造する方法であり、木質系バイオマスを炭化し、この炭素固形物を有効利用する方法ではない。
【0008】
一方、木質系バイオマスを乾留炉で乾留して炭化させコークスを製造する方法も提案されている。
【0009】
例えば、特許文献2には、石炭に木質系バイオマスを所定質量比で添加して成形後、竪型シャフト炉で乾留して成形コークスを製造する方法が開示されている。
【0010】
しかし、この方法は、高炉での通気性が良好な低密度の成型コークスを製造することを目的とし、熱分解温度が低い木質系バイオマスを原料炭に添加し乾留することにより、室炉コークスと同程度の低密度成形コークスを製造する方法である。
【0011】
この方法は、室炉コークスを製造する方法ではなく、また、室式コークス炉で木質系バイオマスを混合してコークスを製造する際に問題となる、室炉コークスの強度を向上させる方法を示唆するものではない。
【0012】
木質系バイオマスを乾留して得られる炭素固形物は、石炭を乾留して得られるコークスに比べ強度が低いという問題がある。木質系バイオマスを原料として乾留して得られる炭素固形物(コークス)の強度を高めることができれば、製鉄における高炉用コークスの代替として使用することが可能となる。
【0013】
また、近年、高炉型のごみ溶融炉が広く普及し始めており、木質系バイオマスを用いたコークスは高炉型のごみ溶融炉の燃料として利用することも期待できる。
【0014】
近年、地球規模での温暖化問題の対応が進められており、製造プロセスにおける二酸化炭素発生量の低減、一般および産業廃棄物のリサイクル化またはエネルギーとしての利用などの検討がなされている。この中で、特にバイオマスはカーボンニュートラルであり、気候変動枠組条約締結国会議(COP3〜6、COP;The Conference Of the Party)での国際公約を達成するための石油、石炭などの代替資源として積極的使用が望まれている。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−294248号公報
【特許文献2】
特開2002−129167号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の実情に鑑みて、本発明は、製鉄における高炉用またはごみ溶融炉用のコークスを製造するための原料として木質系バイオマスを有効活用するとともに、木質系バイオマスを用いて強度の高いコークスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0018】
(1) バイオマスを粉砕した後に、150〜350℃に加熱し、加圧成形して、バイオマス成形物とし、このバイオマス成形物を乾留することを特徴とする木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0019】
(2) 前記粉砕前、または、粉砕後に、バイオマスを溶媒抽出処理して軽質留分を分離、除去することを特徴とする上記(1)に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0020】
(3) 前記加圧成形する際に発生するガスおよび水蒸気を脱気、除去を行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0021】
(4) 前記粉砕後のバイオマスの粒度を10mm以下とすることを特徴とする上記(1)〜(3)のうちの何れかに記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
先ず、本発明において、バイオマスとは、以下のFAO(国連食糧農業機関)に定義に準じて定義される。
【0023】
FAO(国連食糧農業機関)によれば、バイオマスとは生物量の総称であり、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0024】
本発明では、これらのバイオマスのうち、特に、1年間に約2千百万t〜5千万tの規模で排出されている、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)バイオマス(以下、木質系バイオマスという)を対象とし、コークス製造用原料として有効活用するものである。
【0025】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施態様を説明する。
【0026】
図1は、本発明に関わる木質系バイオマスを利用したコークスの製造プロセスの一例を示す模式図である。
【0027】
バイオマスは、予め粉砕機1において10mm以下程度に粉砕される。粉砕されたバイオマスは、溶媒抽出槽2に搬送され、エタノール等の溶媒を用いてバイオマスに含まれる低分子成分を溶媒抽出処理した後に、加熱機3で150〜350℃に加熱される。
【0028】
バイオマスは、加熱機3で加熱された後に、成形機4で0.5〜5t/cm2の成形圧力で加圧成形される。成形機4の型式としては、ダブルロール成形機等が用いられる。
【0029】
加熱されたバイオマスを成形機4で加圧成形する際に、バイオマスから発生するガス、水蒸気、および、バイオマス中に巻き込まれたエアーを、脱揮発分装置5(以下、脱気装置と記載することがある)により、系外に取り除く。
【0030】
脱気方法としては、脱揮発分装置5に備えられたブロワー6によって成形機4からバイオマスを加圧成形時に発生するガス、水蒸気、および、エアーを吸引して系外に排出すればよい。
【0031】
本発明においては、粉砕機1で粉砕されたバイオマスは、溶媒抽出槽2による溶媒抽出処理を行わずに、加熱機3で加熱された後に、成形機4で成形する場合もある。
【0032】
また、溶媒抽出槽2による溶媒抽出処理を行う場合は、バイオマスの粉砕処理の前に行ってもよい。
【0033】
上記の方法により、加熱後、加圧成形して得られたバイオマスの塊成物(以下、ブリケットと記載する)を、乾留炉7に装入して乾留、炭化させて、コークスを製造する。
【0034】
乾留して得られる高炉用コークスとしての所定製品サイズを得るためには、上記バイオマスのブリケットの大きさは、約10cc以上のサイズであることが望ましい。
【0035】
上記バイオマスのブリケットは、石炭に比べて低い加熱温度でコークス化するため、上記バイオマスのブリケットを乾留炉7で乾留する場合の乾留温度は600℃以上であればよいが、乾留温度が低いと乾留時間が長くなるため、コークスの生産性向上の観点から乾留温度は800℃以上であることが好ましい。
【0036】
また、バイオマスを乾留して得られるコークスが乾留中に燃焼してしまうことを防ぐために、乾留炉内の雰囲気は酸素濃度が3%以下であることが好ましい。
【0037】
なお、乾留炉7の型式としては、ロータリーキルン、または、煉瓦で製造された製鉄用のコークス炉等が使用できる。
【0038】
乾留炉7でバイオマスを加熱後、加圧成形して得られたバイオマスのブリケットを乾留して得られたコークスは、高炉用原料として必要な強度とサイズを有し、通常の高炉用コークスと同様に高炉に原料の一部として使用される。
【0039】
また、乾留炉7でバイオマスの熱分解で発生したガスは炉外に排出され、ガス冷却器8によって冷却された後、ガスプロワー9を経由してガスホルダー10に貯留され、乾留炉または加熱炉の燃料用ガスとして製鉄プロセスの他工程で使用される。
【0040】
また、乾留炉7でバイオマスの熱分解で発生した油分は、一部水分を含有するため、油水分離器11に供給して油分と水分に分離した後、得られた油分は回収され、油分タンク13に貯蔵される。なお、除去した水分は発生水タンク12に回収する。
【0041】
回収された油分には、化学工業において利用価値の高い化学原料が含まれる。ここで、本発明において、化学原料は特に限定するものではないが、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの化学工業において利用価値の高い化学成分が挙げられる。
【0042】
本発明者らは、上記の本発明の実施態様にて、バイオマスの熱分解生成物として強度の高いコークスを製造させる方法について、詳細な検討を行った。
【0043】
以下にその使用条件の限定理由について説明する。
【0044】
先ず、成形温度について説明する。
【0045】
バイオマスを加熱後、成形する際のバイオマスの加熱温度は以下の作用・効果が得られるためには、150℃以上にする必要がある。
【0046】
つまり、バイオマスの加熱により、バイオマス中のセルロースやリグニン等に由来する低分子成分(即ち、軽質成分)の油分が生成する。
【0047】
バイオマスの加熱過程では、バイオマスの主要成分のうち、ヘミセルロースが最も熱に加熱に対して不安定であり、約180℃で熱分解をはじめる。次いで、セルロースが約240℃、リグニンが約280℃で熱分解をはじめる。
【0048】
その結果、低分子成分の油分(即ち、軽質成分)として、アセトール(沸点約145℃)、プロピオン酸メチル(沸点約140.8℃)やフェノール類(沸点約182℃)、クレゾール類(沸点約203℃)等が生成する。
【0049】
これらの低分子成分の油分は、加熱後、熱間で加圧して圧密成形する際に、バインダー(粘結剤)として作用し、ブリケットの密度が向上し、強度の高いバイオマスのブリケットが得られる。その結果、このブリケットを乾留して得られるコークスの強度を向上させることが可能となる。
【0050】
一方、バイオマスの加熱温度が350℃を超えると、加熱後、熱間で加圧成形時に発生する油分のガス化が進むため、ガス発生量が急激に増加し、加圧成形時の脱揮発分処理(脱気処理)が困難となり、ブリケットの密度が逆に低下するため、加熱温度は350℃以下とすることが好ましい。
【0051】
なお、本発明者が、バイオマスの加熱温度とブリケットのバインダーとなる油分の発生割合の関係を調べた結果を図2に示す。
【0052】
バイオマスから発生する低分子成分の油分は、加熱温度が150℃以上で発生する。また、加熱温度が150℃以上で加熱後、加圧成形して得られたバイオマスのブリケットを乾留して得られたコークスの強度は向上し、高炉用コークスとしての必要強度以上であることを確認した。
【0053】
以上の知見を踏まえ、本発明において、バイオマスを加熱後、成形する際の加熱温度は150〜350℃とする。
【0054】
これらの化学成分を分離する方法としては、蒸留および/または溶媒抽出法などが適用できる。
【0055】
次に、バイオマスの溶媒抽出処理について説明する。
【0056】
バイオマスチャーは、エタノール等の溶媒によって溶媒抽出処理することによって、バイオマスを150〜350℃で加熱後、成形する際にガス化するバイオマス中の低分子成分(例えば、フェノール成分など)が除去される。
【0057】
これらの低分子成分としては、例えば、ギ酸(沸点約101℃)、グリコールアルデヒド(沸点約96℃)、酢酸メチル(沸点約56℃)などが挙げられ、これらは、加熱後、熱間で加圧成形時にガス化するためにバインダーとしての作用は小さく、逆に、ガス発生量が増加しブリケットの嵩密度が低下するため、乾留して得られるコークスの強度を低下させる原因となる。
【0058】
したがって、予めバイオマスの溶媒抽出処理を行うことにより、これらの低分子成分を除去することで、バイオマスを加熱後、成形する際のブリケットの嵩密度を増加させ、乾留して得られるコークスの強度を向上させることができる。
【0059】
粉砕したバイオマスを150〜350℃に加熱した後に成形機で成形すると、成形中にバイオマスから、水分および低分子成分がガス化するために、多量のベーパーが発生する。バイオマスの成形時に、バイオマスとともにベーパーが成形機に巻き込まれると、バイオマスを成形して得られるブリケットの嵩密度が低下する。
【0060】
このため、成形機の加圧装置(ダブルロールプレスを用いる場合には、成形ロールの上部)において、バイオマスから発生する水蒸気および低分子成分起因のガスを脱気処理することにより、ブリケットの嵩密度を増加させることができ、乾留後のコークス強度を向上できる。
【0061】
粉砕後のバイオマスの粒度が大きすぎると、成形機で加圧成形する際のバイオマスの圧密が不十分となるために、得られるブリケットの嵩密度が低下する。
【0062】
このため、本発明において、粉砕後のバイオマスの粒度を10mm以下にすることが好ましい。
【0063】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、200℃に加熱後に1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。
【0065】
該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0066】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、650N/cm2であり、得られたコークスの強度は高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0067】
(実施例2)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを200℃に加熱してから、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0068】
前記ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が750N/cm2と高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0069】
(実施例3)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを250℃に加熱してから、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0070】
成形機で該バイオマスを加圧する際に、バイオマスから発生するベーパー(水蒸気、および低分子成分がガス化したもの)を成形機のダブルロールの上部において、脱気装置により吸引処理しながら成形を行い、ブリケットを製造した。
【0071】
得られたブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が800N/cm2と高く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用可能なものであった。
【0072】
(比較例)
(比較例1)
図3に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、成形機で1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0073】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、200N/cm2であり、得られたコークスの強度は低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0074】
(比較例2)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕して、100℃に加熱後に1t/cm2の圧力を加圧して成形してブリケットを製造した。該ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。その結果、熱分解生成物として、コークス:25質量%、油分:20質量%、水分30質量%、ガス:25質量%が得られた。
【0075】
得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、210N/cm2であり、得られたコークスの強度は低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0076】
(比較例3)
図1に示すコークスの製造プロセスを用いて、林業系バイオマスである杉の廃材を10mm以下に粉砕した。粉砕したバイオマスをエタノールに2時間浸してバイオマス中の低分子量成分を抽出した後に、該バイオマスを400℃に加熱後に、1t/cm2の圧力を掛けて加圧し成形してブリケットを製造した。
【0077】
前記ブリケットを乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留した。得られたコークスの圧壊強度を圧壊試験機で測定した結果、コークス強度が250N/cm2と低く、高炉型ゴミ溶融炉のコークス、および/または、高炉において冶金用コークスの代替用の燃料として使用が不可能なものであった。
【0078】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、バイオマスを有効活用することにより、高炉型ごみ溶融炉のコークス、および/または、高炉の冶金用コークスの代替として利用することが可能となる。
【0079】
また、本発明により、製鉄におけるカーボンニュートラル資源であるバイオマスの有効利用により、資源リサイクル化およびCO2量削減を実現できるなど、技術的のみならず経済的な効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオマスを用いたコークスの製造プロセスのフローを示す図である。
【図2】バイオマスの加熱温度とブリケットの油分の発生割合との関係を示す図である。
【図3】従来のバイオマスを用いたコークスの製造プロセスのフローを示す図である。
【符号の説明】
1…粉砕機
2…溶媒抽出槽
3…加熱機
4…成形機
5…脱揮発分装置
6…ブロワー
7…乾留炉
8…ガス冷却器
9…ガスブロワー
10…ガスホルダー
11…油水分離器
12…発生水タンク
13…油分タンク
Claims (4)
- バイオマスを粉砕した後に、150〜350℃に加熱し、加圧成形して、バイオマス成形物とし、このバイオマス成形物を乾留することを特徴とする木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
- 前記粉砕前、または、粉砕後に、バイオマスを溶媒抽出処理して軽質留分を分離、除去することを特徴とする請求項1に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
- 前記加圧成形する際に発生するガスおよび水蒸気を脱気、除去を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
- 前記粉砕後のバイオマスの粒度を10mm以下とすることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の木質系バイオマスを用いたコークスの製造方法。
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