JP2004359792A - 高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性がバランス良く、金属水酸化物の高充填により、高い難燃性を維持し、耐ヒートショック性で高信頼性がある高圧部品注型用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂と、からなるエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、金属水酸化物と、イミダゾールシランとを必須成分とし、エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方が50〜75wt%であり、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、エポキシ樹脂100に対して金属水酸化物の配合量が175〜300phr、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrである。
【選択図】 図1
【解決手段】ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂と、からなるエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、金属水酸化物と、イミダゾールシランとを必須成分とし、エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方が50〜75wt%であり、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、エポキシ樹脂100に対して金属水酸化物の配合量が175〜300phr、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、不要なガスを発生することがなく、高レベルの難燃性を維持しつつ、耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られる高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばテレビ受像機のフライバックトランスに用いられるフォーカスパックなどの高圧部品は、回路基板などがケースに収納された状態で樹脂が注入充填されることによってその絶縁・封止が行われる。この場合、高圧部品の絶縁・封止に用いる注型樹脂は、高いレベルでの難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性が要求される。
【0003】
この用途で使用される樹脂としては、電気絶縁性、注型作業性、コストの面でバランス良く優れることから、エポキシ樹脂が多用されている。一般にエポキシ樹脂は可燃性材料であるが、このようなエポキシ樹脂を採用したものであっても、高圧部品としては難燃性の高いものにする必要がある。エポキシ樹脂に難燃性を付与する場合、エポキシ樹脂本来の優れた特性の低下を最小限に抑えるため、少量配合で高い難燃性効果を期待できるハロゲン系または赤リン系難燃剤を配合することが提案されている。
【0004】
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は燃焼時にハロゲン元素系のガスを発生するおそれが指摘されており、使用を控える傾向にある。また、赤リン系難燃剤も高温下でリン系のガスを発生するおそれが指摘されており、使用を控える傾向にある。このため、ハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで、高難燃性を有し、さらに電気絶縁性、耐ヒートショック性、注型作業性のバランスに優れた高圧部品注型用の樹脂組成物が求められている。
【0005】
このため、従来においては、このようなハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで、エポキシ樹脂に高い難燃性を付与するために、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を樹脂材中に高充填することが提案されている。(特許文献1,2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−241483号公報(全頁)
【特許文献2】
特開平5−25369号公報(全頁)
【特許文献3】
特開平11−116777号公報(全頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の金属水酸化物を高充填した高圧部品注型用樹脂組成物では、耐ヒートサイクル性における高信頼性の要求に対し、金属水酸化物を高充填することによるケース材との密着力低下や、樹脂成分と充填材との密着不良が、耐ヒートサイクル性を低下させるという問題があった。
【0008】
本発明は、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、特に金属水酸化物を高充填することにより、高レベルの難燃性を維持しつつ、かつ耐ヒートショック性においても高信頼性が得られる高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂と、からなるエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、金属水酸化物と、イミダゾールシランとを必須成分とし、前記エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方が50〜75wt%であり、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、エポキシ樹脂100に対して金属水酸化物の配合量が175〜300phr、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrであることに特徴を有する。
【0010】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物によれば、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、特に不要ガスの発生が少なく、高い難燃性と、耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られる。殊に、イミダゾールシランによって、その樹脂組成物が注型される部品の容器や金属水酸化物との樹脂成分の親和性が高まることにより、高圧部品注型用樹脂組成物の耐ヒートサイクル性が高められることになる。
【0011】
ここで、phr(parts per hundred resin)はエポキシ樹脂100に対する添加量(重量部)である。また、各数値範囲を示す〜は、たとえば50〜75の場合、50以上75以下の範囲であることを意味する。
【0012】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、好ましくは、前記金属水酸化物は水酸化アルミニウムである。なお、金属水酸化物としては、他に、マグネシウムなどの金属からなるものでもよい。
【0013】
本発明の高圧部品は、本発明に係る高圧部品注型用樹脂組成物を用いることを特徴とする。この場合、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良い高圧部品が得られ、特に、耐ヒートサイクル性の高いものとなり、高信頼性が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、金属水酸化物の一例としての水酸化アルミニウム、イミダゾールシランを必須成分として含有し、必要に応じて充填材、反応性希釈剤、可撓性付与剤、難燃剤、カップリング剤、消泡剤、顔料、硬化促進剤など、一般的な添加剤を配合することができる。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、例えばフォーカスパックなど、高圧部品の中でも優れた難燃性・耐ヒートショック性が必要とされる電子部品の絶縁・封止に有用な注型樹脂であり、従来公知の方法で注型、硬化することができる。
【0016】
図1を参照して、本発明の樹脂組成物を封止剤として用いたフォーカスパックの一例を示している。このフォーカスパック1は、ケース2内に回路基板3を設けているとともに、出力電圧調整用の操作シャフト4,5が設けられている。回路基板3を封止するために、ケース2の裏面側の開口部から本発明に係る注型樹脂組成物を充填してその樹脂による絶縁封止部6が形成されている。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、ハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで高い難燃性を有し、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好であり、特に金属水酸化物が高充填されているので、燃焼時にガス発生が少なく、高いレベルでの難燃性を維持しつつ、かつ耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られるという特徴を有する。
【0018】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方、及びダイマー酸変性エポキシ樹脂であり、優れた電気絶縁性と耐ヒートショック性・耐ヒートサイクル性を両立するために用いる。代表例として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は、EP−828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、AER260(旭化成エポキシ株式会社製)、EP−410(旭電化工業株式会社製)など、ダイマー酸変性エポキシ樹脂は、EP−871(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、YD−171(東都化成株式会社製)などが挙げられる。また、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂は、EP806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、EP806L(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、EP−4900(旭電化工業株式会社製)などが挙げられる。また、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とを混合することも可能である。
【0019】
エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率は50〜75wt%、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率は25〜50wt%である。
【0020】
エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方の比率が75wt%より多く、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25wt%より少ない場合は高粘度化により注型作業性が低下する。エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方の比率が50wt%より少なく、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が50wt%より多い場合は電気絶縁性が低下する。
【0021】
本発明に用いられる酸無水物硬化剤としては、例えばメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸などが挙げられる。これらは単独、もしくは2種類以上併用して使用できる。
【0022】
本発明に用いる水酸化アルミニウムは、一般的に市販されている粉末状のものであれば、特に制限はない。水酸化アルミニウムの配合量は、175〜250phrであり、複数種市販されている水酸化アルミニウムを単独、または併用して使用することができる。phrはエポキシ樹脂100に対する添加量(重量部)とする。水酸化アルミニウムの配合量が175phrより少ない場合は難燃性が低下し、300phrより多い場合は、粘度上昇により注型作業性が低下する。200〜300phrの範囲が難燃性と注型作業性とのバランスに優れるため、より好ましい。また、水酸化アルミニウムは、表面を脂肪酸処理したものを用いてもよい。
【0023】
イミゾダールシランは注型樹脂と例えば部品のケースなどの被着体との密着力の向上に寄与するものである。イミダゾールシランは市販のものであれば特に制限はない。イミダゾールシランの配合量は10phrを越えると粘度上昇により注型作業性が低下し、0.5phrより少ないと被着体との密着力向上に対する寄与が小さいことから、0.5〜10phrが望ましい。0.5〜5phrのときに難燃性と注型作業性とのバランスに優れるため、より好ましい。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を表1,表2に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施例1〜12の組成および特性測定の試験結果を表1に示し、比較例1〜13の組成および特性測定の試験結果を表2に示す。なお、表1,表2において、主剤と硬化剤との各組成物ごとの数値の単位はphr(エポキシ樹脂全体を100とした場合の添加量(重量部))である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
なお、各実施例及び各比較例における樹脂組成物の硬化物は、主剤と硬化剤とを混合した後、100℃で3時間熱硬化することにより得た。また、特性は、以下に示す測定方法により得た。
【0027】
(1)難燃性;硬化物を127mm×12.7mm、厚み3.2mmの矩形板形状に加工し、UL94Vの試験方法に従い測定した。UL94Vの判定基準に従い、V−0、V−1、V−2、分類不可の4段階で判定した。V−0が最も難燃性が高く、V−1、V−2、分類不可の順に低下する。
【0028】
(2)電気絶縁性;硬化物を100mm×100mm、厚み2mmの矩形板形状に加工し、JIS規格K6911の試験方法に従い、100℃での体積抵抗率を測定した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;1×1012Ω・cm以上
○;1×1011Ω・cm以上で、1×1012Ω・cm未満
×;1×1011Ω・cm未満
(3)耐ヒートショック性;主剤と硬化剤とを混合した後、60mm×70mm、高さ5mmの蓋なし樹脂ケースに35g注型して熱硬化することにより試料を作製した。その試料を、−40℃/2時間と110℃/2時間とを繰り返す冷熱サイクル中に放置し、注型樹脂硬化物または樹脂ケースにクラックが発生するサイクル数を目視観測した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;200サイクルでクラック発生せず
○;101〜200サイクルでクラック発生
×;0〜100サイクルでクラック発生
(4)耐ヒートサイクル性;60mm×70mm、高さ5mmの蓋なし樹脂ケース内に対向電極が形成された基板を配置し、35g注型して熱硬化することにより実施例1〜12、比較例1〜13の樹脂組成物を作製した。その樹脂組成物の試料に2.5kV/mmの電圧を印加した状態で、−40℃/4時間と85℃/4時間とを繰り返す冷熱サイクル中に放置し、樹脂と基板との界面が剥離されるまでのサイクル数を観測した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;60サイクルで剥離発生せず
○;41〜60サイクルで剥離発生
×;0〜40サイクルで剥離発生
(5)注型作業性;主剤と硬化剤とを混合した後、ブルックフィールド社製粘度計RVD−2+(少量サンプルアダプタSSA14/6R使用)にて、25℃における粘度(混合物粘度)を測定した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;15Pa・s未満
○;15Pa・s以上で、20Pa・s未満
×;20Pa以上
実施例1〜12;ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としてEP−828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂としてはEP−806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、ダイマー酸変性エポキシ樹脂としてYD−171(東都化成株式会社製)、酸無水物硬化剤としてMT−500(新日本理化株式会社製)と、DSA(三洋化成工業株式会社製)を1:1で混合したものを使用した。水酸化アルミニウムはH−34HL(昭和電工株式会社製、平均粒径4μm)、H−31(昭和電工株式会社製、平均粒径20μm)を使用した。イミダゾールシランは、IA−100F(日鉱マテリアルズ株式会社製)を使用した。なお、実施例5では、水酸化アルミニウムの別例としてH−34(昭和電工株式会社製)をステアリン酸処理したものを使用した。なお、実施例11では、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としてEP−806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)を使用した。
【0029】
上記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、水酸化アルミニウム、イミダゾールシラン及び消泡剤SH5500(東レダウコーニング株式会社製)0.1phr、顔料1.0phrを減圧攪拌することにより主剤を、酸無水物硬化剤に硬化促進剤HD−ACC−43(大都産業株式会社製)を攪拌溶解させることにより硬化剤を作製した。
【0030】
実施例1〜12より、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、水酸化アルミニウム、イミダゾールシランを必須成分とし、エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率が50〜75wt%、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、水酸化アルミニウムの配合量が175〜250phrであり、かつ、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrである樹脂組成物は、難燃性、電気絶縁性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性、注型作業性のバランスに優れることがわかる。
【0031】
比較例1および2;エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂のみ、またはダイマー酸変性エポキシ樹脂のみを使用した場合、電気絶縁性と耐ヒートショック性とのバランスが崩れる。すなわち、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂のみを使用した場合、耐ヒートショック性が低下し、ダイマー酸変性エポキシ樹脂のみを使用した場合、電気絶縁性が低下する。
【0032】
比較例3〜6;イミダゾールシランを用いなかった場合、難燃性、電気絶縁性、耐ヒートショック性、注型作業性が良好であるが、耐ヒートサイクル性が著しく低下する。
【0033】
比較例7および11;水酸化アルミニウムの合計配合量が175phr未満の場合、難燃性が低下し、UL94V−0が得られない。
【0034】
比較例8;水酸化アルミニウムの合計配合量が300phrを越えると、粘度上昇により注型作業性が低下した。この粘度上昇に起因する気泡混入に伴って絶縁が破壊され、イミダゾールシランを配合しても、耐ヒートサイクル性は低下した。
【0035】
比較例9および10;イミダゾールシランの配合量が10phrよりも多い場合、粘度上昇により注型作業性が低下し、かつ耐ヒートサイクル性も低下する。また、イミダゾールシランの配合量が0.5より少ない場合、注型作業性は良好であるが、耐ヒートサイクル性は低下した。
【0036】
比較例12;エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率が75%より大で、かつイミダゾールシランの配合量が0.5phr未満であると、耐ヒートショック性が低下する。
【0037】
比較例13;エポキシ樹脂中のダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が50wt%よりも大であると、耐ヒートサイクル性が低下する。
【0038】
本発明は、フォーカスパックに限定されて用いられるものでなく、高電圧印加が図られる部品であれば、コンデンサをはじめいかなるものにも、その封止材や絶縁材として採用できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いれば、不要な有害ガス発生の可能性が指摘されているハロゲン系および赤リン系難燃剤を使用せずに、高い難燃性と、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性に優れた高圧部品注型樹脂組成物および高圧部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高圧部品注型用樹脂を充填した高圧部品の一例としてのフォーカスパックを示す断面図
【符号の説明】
6 樹脂による絶縁封止部
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、不要なガスを発生することがなく、高レベルの難燃性を維持しつつ、耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られる高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばテレビ受像機のフライバックトランスに用いられるフォーカスパックなどの高圧部品は、回路基板などがケースに収納された状態で樹脂が注入充填されることによってその絶縁・封止が行われる。この場合、高圧部品の絶縁・封止に用いる注型樹脂は、高いレベルでの難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性が要求される。
【0003】
この用途で使用される樹脂としては、電気絶縁性、注型作業性、コストの面でバランス良く優れることから、エポキシ樹脂が多用されている。一般にエポキシ樹脂は可燃性材料であるが、このようなエポキシ樹脂を採用したものであっても、高圧部品としては難燃性の高いものにする必要がある。エポキシ樹脂に難燃性を付与する場合、エポキシ樹脂本来の優れた特性の低下を最小限に抑えるため、少量配合で高い難燃性効果を期待できるハロゲン系または赤リン系難燃剤を配合することが提案されている。
【0004】
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は燃焼時にハロゲン元素系のガスを発生するおそれが指摘されており、使用を控える傾向にある。また、赤リン系難燃剤も高温下でリン系のガスを発生するおそれが指摘されており、使用を控える傾向にある。このため、ハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで、高難燃性を有し、さらに電気絶縁性、耐ヒートショック性、注型作業性のバランスに優れた高圧部品注型用の樹脂組成物が求められている。
【0005】
このため、従来においては、このようなハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで、エポキシ樹脂に高い難燃性を付与するために、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を樹脂材中に高充填することが提案されている。(特許文献1,2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−241483号公報(全頁)
【特許文献2】
特開平5−25369号公報(全頁)
【特許文献3】
特開平11−116777号公報(全頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の金属水酸化物を高充填した高圧部品注型用樹脂組成物では、耐ヒートサイクル性における高信頼性の要求に対し、金属水酸化物を高充填することによるケース材との密着力低下や、樹脂成分と充填材との密着不良が、耐ヒートサイクル性を低下させるという問題があった。
【0008】
本発明は、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、特に金属水酸化物を高充填することにより、高レベルの難燃性を維持しつつ、かつ耐ヒートショック性においても高信頼性が得られる高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂と、からなるエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、金属水酸化物と、イミダゾールシランとを必須成分とし、前記エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方が50〜75wt%であり、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、エポキシ樹脂100に対して金属水酸化物の配合量が175〜300phr、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrであることに特徴を有する。
【0010】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物によれば、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好で、特に不要ガスの発生が少なく、高い難燃性と、耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られる。殊に、イミダゾールシランによって、その樹脂組成物が注型される部品の容器や金属水酸化物との樹脂成分の親和性が高まることにより、高圧部品注型用樹脂組成物の耐ヒートサイクル性が高められることになる。
【0011】
ここで、phr(parts per hundred resin)はエポキシ樹脂100に対する添加量(重量部)である。また、各数値範囲を示す〜は、たとえば50〜75の場合、50以上75以下の範囲であることを意味する。
【0012】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、好ましくは、前記金属水酸化物は水酸化アルミニウムである。なお、金属水酸化物としては、他に、マグネシウムなどの金属からなるものでもよい。
【0013】
本発明の高圧部品は、本発明に係る高圧部品注型用樹脂組成物を用いることを特徴とする。この場合、難燃性、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良い高圧部品が得られ、特に、耐ヒートサイクル性の高いものとなり、高信頼性が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の高圧部品注型用樹脂組成物は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、金属水酸化物の一例としての水酸化アルミニウム、イミダゾールシランを必須成分として含有し、必要に応じて充填材、反応性希釈剤、可撓性付与剤、難燃剤、カップリング剤、消泡剤、顔料、硬化促進剤など、一般的な添加剤を配合することができる。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、例えばフォーカスパックなど、高圧部品の中でも優れた難燃性・耐ヒートショック性が必要とされる電子部品の絶縁・封止に有用な注型樹脂であり、従来公知の方法で注型、硬化することができる。
【0016】
図1を参照して、本発明の樹脂組成物を封止剤として用いたフォーカスパックの一例を示している。このフォーカスパック1は、ケース2内に回路基板3を設けているとともに、出力電圧調整用の操作シャフト4,5が設けられている。回路基板3を封止するために、ケース2の裏面側の開口部から本発明に係る注型樹脂組成物を充填してその樹脂による絶縁封止部6が形成されている。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、ハロゲン系及び赤リン系難燃剤を使用しないで高い難燃性を有し、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性のバランスが良好であり、特に金属水酸化物が高充填されているので、燃焼時にガス発生が少なく、高いレベルでの難燃性を維持しつつ、かつ耐ヒートサイクル性において高信頼性が得られるという特徴を有する。
【0018】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方、及びダイマー酸変性エポキシ樹脂であり、優れた電気絶縁性と耐ヒートショック性・耐ヒートサイクル性を両立するために用いる。代表例として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は、EP−828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、AER260(旭化成エポキシ株式会社製)、EP−410(旭電化工業株式会社製)など、ダイマー酸変性エポキシ樹脂は、EP−871(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、YD−171(東都化成株式会社製)などが挙げられる。また、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂は、EP806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、EP806L(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、EP−4900(旭電化工業株式会社製)などが挙げられる。また、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とを混合することも可能である。
【0019】
エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率は50〜75wt%、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率は25〜50wt%である。
【0020】
エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方の比率が75wt%より多く、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25wt%より少ない場合は高粘度化により注型作業性が低下する。エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方の比率が50wt%より少なく、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が50wt%より多い場合は電気絶縁性が低下する。
【0021】
本発明に用いられる酸無水物硬化剤としては、例えばメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸などが挙げられる。これらは単独、もしくは2種類以上併用して使用できる。
【0022】
本発明に用いる水酸化アルミニウムは、一般的に市販されている粉末状のものであれば、特に制限はない。水酸化アルミニウムの配合量は、175〜250phrであり、複数種市販されている水酸化アルミニウムを単独、または併用して使用することができる。phrはエポキシ樹脂100に対する添加量(重量部)とする。水酸化アルミニウムの配合量が175phrより少ない場合は難燃性が低下し、300phrより多い場合は、粘度上昇により注型作業性が低下する。200〜300phrの範囲が難燃性と注型作業性とのバランスに優れるため、より好ましい。また、水酸化アルミニウムは、表面を脂肪酸処理したものを用いてもよい。
【0023】
イミゾダールシランは注型樹脂と例えば部品のケースなどの被着体との密着力の向上に寄与するものである。イミダゾールシランは市販のものであれば特に制限はない。イミダゾールシランの配合量は10phrを越えると粘度上昇により注型作業性が低下し、0.5phrより少ないと被着体との密着力向上に対する寄与が小さいことから、0.5〜10phrが望ましい。0.5〜5phrのときに難燃性と注型作業性とのバランスに優れるため、より好ましい。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を表1,表2に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施例1〜12の組成および特性測定の試験結果を表1に示し、比較例1〜13の組成および特性測定の試験結果を表2に示す。なお、表1,表2において、主剤と硬化剤との各組成物ごとの数値の単位はphr(エポキシ樹脂全体を100とした場合の添加量(重量部))である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
なお、各実施例及び各比較例における樹脂組成物の硬化物は、主剤と硬化剤とを混合した後、100℃で3時間熱硬化することにより得た。また、特性は、以下に示す測定方法により得た。
【0027】
(1)難燃性;硬化物を127mm×12.7mm、厚み3.2mmの矩形板形状に加工し、UL94Vの試験方法に従い測定した。UL94Vの判定基準に従い、V−0、V−1、V−2、分類不可の4段階で判定した。V−0が最も難燃性が高く、V−1、V−2、分類不可の順に低下する。
【0028】
(2)電気絶縁性;硬化物を100mm×100mm、厚み2mmの矩形板形状に加工し、JIS規格K6911の試験方法に従い、100℃での体積抵抗率を測定した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;1×1012Ω・cm以上
○;1×1011Ω・cm以上で、1×1012Ω・cm未満
×;1×1011Ω・cm未満
(3)耐ヒートショック性;主剤と硬化剤とを混合した後、60mm×70mm、高さ5mmの蓋なし樹脂ケースに35g注型して熱硬化することにより試料を作製した。その試料を、−40℃/2時間と110℃/2時間とを繰り返す冷熱サイクル中に放置し、注型樹脂硬化物または樹脂ケースにクラックが発生するサイクル数を目視観測した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;200サイクルでクラック発生せず
○;101〜200サイクルでクラック発生
×;0〜100サイクルでクラック発生
(4)耐ヒートサイクル性;60mm×70mm、高さ5mmの蓋なし樹脂ケース内に対向電極が形成された基板を配置し、35g注型して熱硬化することにより実施例1〜12、比較例1〜13の樹脂組成物を作製した。その樹脂組成物の試料に2.5kV/mmの電圧を印加した状態で、−40℃/4時間と85℃/4時間とを繰り返す冷熱サイクル中に放置し、樹脂と基板との界面が剥離されるまでのサイクル数を観測した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;60サイクルで剥離発生せず
○;41〜60サイクルで剥離発生
×;0〜40サイクルで剥離発生
(5)注型作業性;主剤と硬化剤とを混合した後、ブルックフィールド社製粘度計RVD−2+(少量サンプルアダプタSSA14/6R使用)にて、25℃における粘度(混合物粘度)を測定した。判定は次の基準に従い実施した。
◎;15Pa・s未満
○;15Pa・s以上で、20Pa・s未満
×;20Pa以上
実施例1〜12;ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としてEP−828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂としてはEP−806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、ダイマー酸変性エポキシ樹脂としてYD−171(東都化成株式会社製)、酸無水物硬化剤としてMT−500(新日本理化株式会社製)と、DSA(三洋化成工業株式会社製)を1:1で混合したものを使用した。水酸化アルミニウムはH−34HL(昭和電工株式会社製、平均粒径4μm)、H−31(昭和電工株式会社製、平均粒径20μm)を使用した。イミダゾールシランは、IA−100F(日鉱マテリアルズ株式会社製)を使用した。なお、実施例5では、水酸化アルミニウムの別例としてH−34(昭和電工株式会社製)をステアリン酸処理したものを使用した。なお、実施例11では、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としてEP−806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)を使用した。
【0029】
上記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、水酸化アルミニウム、イミダゾールシラン及び消泡剤SH5500(東レダウコーニング株式会社製)0.1phr、顔料1.0phrを減圧攪拌することにより主剤を、酸無水物硬化剤に硬化促進剤HD−ACC−43(大都産業株式会社製)を攪拌溶解させることにより硬化剤を作製した。
【0030】
実施例1〜12より、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂およびビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、水酸化アルミニウム、イミダゾールシランを必須成分とし、エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率が50〜75wt%、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、水酸化アルミニウムの配合量が175〜250phrであり、かつ、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrである樹脂組成物は、難燃性、電気絶縁性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性、注型作業性のバランスに優れることがわかる。
【0031】
比較例1および2;エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂のみ、またはダイマー酸変性エポキシ樹脂のみを使用した場合、電気絶縁性と耐ヒートショック性とのバランスが崩れる。すなわち、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂のみを使用した場合、耐ヒートショック性が低下し、ダイマー酸変性エポキシ樹脂のみを使用した場合、電気絶縁性が低下する。
【0032】
比較例3〜6;イミダゾールシランを用いなかった場合、難燃性、電気絶縁性、耐ヒートショック性、注型作業性が良好であるが、耐ヒートサイクル性が著しく低下する。
【0033】
比較例7および11;水酸化アルミニウムの合計配合量が175phr未満の場合、難燃性が低下し、UL94V−0が得られない。
【0034】
比較例8;水酸化アルミニウムの合計配合量が300phrを越えると、粘度上昇により注型作業性が低下した。この粘度上昇に起因する気泡混入に伴って絶縁が破壊され、イミダゾールシランを配合しても、耐ヒートサイクル性は低下した。
【0035】
比較例9および10;イミダゾールシランの配合量が10phrよりも多い場合、粘度上昇により注型作業性が低下し、かつ耐ヒートサイクル性も低下する。また、イミダゾールシランの配合量が0.5より少ない場合、注型作業性は良好であるが、耐ヒートサイクル性は低下した。
【0036】
比較例12;エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の比率が75%より大で、かつイミダゾールシランの配合量が0.5phr未満であると、耐ヒートショック性が低下する。
【0037】
比較例13;エポキシ樹脂中のダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が50wt%よりも大であると、耐ヒートサイクル性が低下する。
【0038】
本発明は、フォーカスパックに限定されて用いられるものでなく、高電圧印加が図られる部品であれば、コンデンサをはじめいかなるものにも、その封止材や絶縁材として採用できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いれば、不要な有害ガス発生の可能性が指摘されているハロゲン系および赤リン系難燃剤を使用せずに、高い難燃性と、電気絶縁性、注型作業性、耐ヒートショック性、耐ヒートサイクル性に優れた高圧部品注型樹脂組成物および高圧部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高圧部品注型用樹脂を充填した高圧部品の一例としてのフォーカスパックを示す断面図
【符号の説明】
6 樹脂による絶縁封止部
Claims (3)
- ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方と、ダイマー酸変性エポキシ樹脂と、からなるエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、金属水酸化物と、イミダゾールシランとを必須成分とし、
前記エポキシ樹脂中のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールF型液状エポキシ樹脂の少なくとも一方が50〜75wt%であり、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の比率が25〜50wt%であり、エポキシ樹脂100に対して金属水酸化物の配合量が175〜300phr、イミダゾールシランの配合量が0.5〜10phrである、ことを特徴とする高圧部品注型用樹脂組成物。 - 請求項1に記載の高圧部品注型用樹脂組成物において、
前記金属水酸化物は水酸化アルミニウムである、ことを特徴とする高圧部品注型用樹脂組成物。 - 請求項1または請求項2に記載の高圧部品注型用樹脂組成物を用いることを特徴とする高圧部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003158979A JP2004359792A (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品 |
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JP2003158979A JP2004359792A (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品 |
Publications (1)
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JP2003158979A Pending JP2004359792A (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 高圧部品注型用樹脂組成物および高圧部品 |
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JP (1) | JP2004359792A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006085494A1 (en) * | 2005-02-08 | 2006-08-17 | Showa Denko K.K. | Flame-retardant composition for solder resist and use thereof |
RU2523282C2 (ru) * | 2009-03-06 | 2014-07-20 | Сименс Акциенгезелльшафт | Литьевая смоляная система для изоляторов с повышенной теплостойкостью |
-
2003
- 2003-06-04 JP JP2003158979A patent/JP2004359792A/ja active Pending
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