JP2004359742A - 導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 - Google Patents
導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004359742A JP2004359742A JP2003157626A JP2003157626A JP2004359742A JP 2004359742 A JP2004359742 A JP 2004359742A JP 2003157626 A JP2003157626 A JP 2003157626A JP 2003157626 A JP2003157626 A JP 2003157626A JP 2004359742 A JP2004359742 A JP 2004359742A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductive
- resin composition
- conductive resin
- conductive film
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性に優れた導電性膜、この導電性膜を形成でき、長期保存性に優れた導電性樹脂組成物および、この導電性膜を使用した電子装置を提供する。
【解決手段】導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、溶媒とから導電性樹脂組成物を作製する。この導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって導電性膜を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、溶媒とから導電性樹脂組成物を作製する。この導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって導電性膜を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気放電(Electro−Static Discharge;ESD)を抑制するための導電性膜およびその原料である導電性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子装置や素子の小型化、高速化、省エネルギー化に伴い、構造の微細化が進み、ESD等に対する耐性低下が懸念されてきており、これらの製造、実装時における保護の強化が求められている。
【0003】
このための手段として、素子やそれを実装する基板などに導電性の膜を形成し、これらに発生する電荷を逃がすことで、ESD等の障害を防止する方法がある。この膜は、導電性を有する微小パターンを形成でき、素子や装置の製造、実装、組立工程で行われる加熱、洗浄により剥離を起こさないことが必要である。すなわち、導電性に加えて、微小パターンの形成が可能で、膜を形成された対象物との密着性(以下、単に密着性という)、機械的強度、熱的強度、柔軟性、耐溶剤性に優れた膜が必要となる。
【0004】
このような導電性の膜を形成できるものとして、有機物でありながら電気伝導性を持つ導電性樹脂が考えられる。この導電性樹脂は、導電層の形成が容易であり、場合によってはその除去も容易であることから、従来よりその研究開発が盛んであり、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等への応用が考えられているものである。
【0005】
たとえば、ポリパラフェニレンビニリデン、ポリアニリン、ポリアジン、ポリピロール等の導電性樹脂と、露光によってドーパントを発生するドーパント前駆体とを含有し、露光後に溶媒を用いて非露光領域を溶解除去し、不溶性となった露光領域のみを残すことができる導電性樹脂組成物が開示されている(たとえば特許文献1参照。)。
【0006】
また、ポリアニリン分子内に不飽和二重結合を有するスルホン基含有化合物を導入してなるドープ状態のポリアニリン誘導体と、紫外線等の活性エネルギー線に反応する光重合開始剤とを混合して感光性樹脂化し、あるいは、ポリアニリンのドーパントとして不飽和二重結合を有するスルホン基含有化合物と、光重合開始剤とを混合して、ドーパント部分を感光性樹脂化し、任意形状に成形可能でかつ除去が容易な導電性膜を形成することができる導電性樹脂材料が開示されている(たとえば特許文献2参照。)。
【0007】
しかしながら、一般に導電性樹脂は剛直な分子構造をとるため、その含有量が増加するに従って、形成膜が脆くなり、また、密着性が減少するなどの傾向が見られる。たとえばフレキシブル回路基板(Flexible printed circuit; FPC)や樹脂フィルムなど、柔軟なベース材上に製膜し、折り曲げる等するとクラックを生じ、剥がれる可能性がある。このため、その改善が望まれている。
【0008】
【特許文献1】
特許第2657956号公報(特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献2】
特開平11−172103号公報(段落番号0006〜0011)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択できる新規な導電性膜およびこのような導電性膜を実現できる、長期保存性に優れた導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、光重合性樹脂以外の光重合性化合物とを含有する導電性樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択できる導電性膜を実現でき、長期保存性にも優れている。
【0013】
さらに溶媒を含有し、各成分が溶媒中で実質的に溶解状態にあること、光重合性樹脂の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲にあること、光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーであること、とりわけモノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーであること、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%、光重合性樹脂の割合をY質量%、光重合性化合物の割合をZ質量%とした場合、
0.1≦X、
40≦Y、
0.05≦Z/Y≦1.0
(ただし、X+Y+Z≦100.0)であること、さらに、ドーパントを含有すること、さらに、凝集防止剤を含有すること、凝集物が実質的に存在しないこと、導電性樹脂として、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物を含有すること、光重合性樹脂として、スルホン化された光重合性樹脂を含むこと、光重合性化合物として、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から選ばれた、少なくとも一つの化合物を含有すること、溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムおよびトリメチルオキサゾールからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有すること、ドーパントとして、スルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物またはそれらの混合物を含有すること、凝集防止剤として、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体または親油性芳香族液体またはそれらの混合物を含有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る他の態様によれば、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、必要に応じて、ドーパントまたは凝集防止剤またはその両者とを溶媒中に溶解して導電性樹脂組成物を製造するに際し、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つ導電性樹脂組成物の製造方法や、上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜、この導電性膜を有する電子装置や上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜を、製造中の電子部品の近傍または電子部品の間に配し、その後、導電性膜を剥離する処理を含む電子装置の製造方法が提供される。
【0015】
本発明に係る導電性膜は、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択でき、電子装置のESDや電磁波障害の防止に有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を実施例等を使用して説明する。なお、これらの実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0017】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、導電性膜の形成に用いられる組成物であり、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、この光重合性樹脂以外の光重合性化合物と溶媒とを含有する。
【0018】
なお、本発明に係る導電性樹脂組成物は、この組成物自体が導電性を有することを意味するものではなく、導電性膜が形成されたときに導電性を有することを意味している。従って、本発明に係る導電性膜が「導電性を有する膜」を意味するのに対し、本発明に係る導電性樹脂組成物は「導電性を付与し得る樹脂組成物」を意味する。
【0019】
・側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂本発明において、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂とは、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有することと、紫外線等の光により重合することのできる樹脂を意味する。
【0020】
この樹脂が重合物の場合は、重量平均分子量で5,000以上であることが好ましい。この値より低いと、生成する導電性膜が柔らかすぎたり、べたついたりする場合がある。上限については特に制限はないが、溶媒への溶解性の低下や、導電性樹脂組成物の粘度上昇や、製造コストの上昇の問題が生じる。より好ましくは、重量平均分子量で5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000、より更に好ましくは10,000〜100,000である。
【0021】
この樹脂の光重合によって生じる物質は、線状ポリマーであっても、架橋したものであってもよく、本発明に係る導電性樹脂組成物が光照射を受ける際には、本発明に係る光重合性化合物と共に重合することになる。この場合の生成物は、両者の単独の場合の混合物でも、互いに化学的に結合したものでもよい。一般的には、両者が互いに混じり合って架橋したもの、すなわち硬化物を例示できる。
【0022】
この樹脂は、本発明の趣旨に反しない限り、公知の樹脂から適宜選択することができるが、形成される膜が、必要とされる、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等を有するようになるものが好ましい。
【0023】
本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂は、これらの極性の高い基により、導電性樹脂や溶媒との親和性が高く、また、これらの極性の高い基と導電性樹脂や溶媒との間に弱い結合力を生じさせることができるため、極めて凝集し易い導電性樹脂であっても、その凝集を防止することができる。
【0024】
その結果、導電性樹脂、光重合性樹脂等を溶媒中に均一に溶解でき、得られた導電性樹脂組成物が、凝集物を生じない等、安定性にすぐれた溶液状態となり、優れた長期保存性を獲得できる。また、得られた導電性膜の、優れた導電性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性等が安定的に再現できるようになる。本発明に係る導電性樹脂組成物は容易に透明なものとすることができ、照射された光が導電性樹脂組成物中に均一に吸収され易いため、均一な硬化を実現できることが一因になっているものと推察される。
【0025】
具体的には、たとえば、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、スピランアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系などのアクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ノボラック樹脂類、ポリビニルフェノール樹脂、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)樹脂、ポリグルタルイミド樹脂、ポリ(オレフィンスルホン)樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂の側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有するものを選択することができる。本発明に係る光重合性樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その他の樹脂との混合物の状態であっても使用することができる。
【0026】
なお、本発明において、酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スルホン基、カルボキシル基等が好適に挙げられる。たとえば、スルホン化された光重合性樹脂を例示することができる。
【0027】
酸性基の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、スルホン基やカルボキシル基のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩などを挙げることができる。より具体的には、スルホン基やカルボキシル基のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩を挙げることができる。
【0028】
側鎖に酸性基の塩を含有する光重合性樹脂は、側鎖に酸性基を含有する光重合性樹脂に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニウム水溶液、アミン類などを反応させることにより形成することができる。可能であれば、側鎖に酸性基を含有する光重合性樹脂の前駆体(たとえばモノマーやオリゴマー)に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニウム水溶液、アミン類などを反応させた後に重合して光重合性樹脂としてもよい。
【0029】
本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂においては、酸性基や酸性基の塩は一種類に限定されず、複数種類含まれていてもよい。上記の反応で使用される塩基性化合物が、光重合性樹脂に含まれる酸性基と等モルである必要もない。すなわち、塩となっていない酸性基が残っている場合や逆に過剰な塩基性化合物が共存したままの状態でもよい場合もあり得る。
【0030】
なお、これらの酸性基等による酸性度が高いと腐食性が強くなること等の問題を生じるため、本発明に係る導電性樹脂組成物の酸性度を適度にコントロールし、腐食性を低下させることが好ましい。特にスルホン基の場合には、酸性度が高くなり過ぎないように適度にコントロールすることが好ましい。
【0031】
このためには、上記の反応で使用される塩基性化合物量を適宜調節することが有用な手段である。また、本発明に係る導電性樹脂組成物を作製する途中で、適宜塩基性物質を添加することによって行ってもよい。酸性度が適切かどうかは、腐食性を評価する方法によることが実用的である。得られた導電性樹脂組成物が凝集物を生じない等、安定性にすぐれた溶液状態となり、得られた導電性膜が上記の優れた特性を安定的に再現できるかぎり、本発明に係る酸性基や酸性基の塩が、光重合性樹脂中に均一に分布しているか不均一に分布しているかは、それほど注意する必要はない。
【0032】
本発明に係る酸性基や酸性基の塩の光重合性樹脂中における割合は、目的とする膜に要求される特性に応じて決めることができる。一般的には、小さすぎると導電性樹脂の凝集が生じる可能性があり、大きすぎると、導電性樹脂の比率が下がるため、所望の導電性が得られない可能性がある。
【0033】
本発明に係る光重合性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的には、導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、40質量%以上であるのが好ましい。言い換えれば、本発明に係る導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における光重合性樹脂の割合をY質量%した場合、40≦Yであるのが好ましい。40質量%未満であると、形成された膜についての上記特性が十分でないことがある。
【0034】
・光重合性樹脂以外の光重合性化合物
本発明に係る光重合性化合物は、紫外線等の光により重合することのできる化合物を意味する。この化合物はモノマーでもダイマー等のオリゴマーでも、樹脂と呼ばれるものでもよく、それらの混合物でもよい。ただし、本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂以外の光重合性化合物である。
【0035】
この光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーであることが好ましく、モノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーであることがより好ましい。導電性樹脂組成物中でのモビリティが高く、迅速に膜が形成できるからである。
【0036】
この光重合性化合物の光重合によって生じる物質は、線状ポリマーであっても、架橋したものであってもよく、本発明に係る導電性樹脂組成物が光照射を受ける際には、すでに説明したように、本発明に係る光重合性樹脂と共に重合することになる。
【0037】
本発明における導電性膜は、生成する膜の架橋の状態を調節して、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等を所望のレベルにコントロールすることが重要であるが、本発明に係る光重合性樹脂と光重合性化合物とを組み合わせることにより、このコントロールが容易になる。たとえば、密着性と易剥離性とについては、用途によって、そのいずれかをより重視する場合やその両方を共に重視する場合があり、機械的強度と柔軟性とについては、一般的には機械的強度を上げると脆くなり、柔軟性に欠ける傾向が現れ、逆に、柔軟性を上げると機械的強度が低下する傾向が現れるが、本発明に係る光重合性樹脂と光重合性化合物とを組み合わせることにより、これらの特性のコントロールや最適化が容易になる。
【0038】
柔軟性を上げるという目的だけであるならば、可塑剤なども使用できるが、これらは、導電性膜中から脱離し、膜形成後、ベース材その他を汚染する可能性がある。これに対し、本発明に係る光重合性化合物は、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と結合等することで脱離せず、またはきわめて脱離しがたく、汚染等の心配がない。
【0039】
本発明に係る光重合性化合物としては、本発明の趣旨に反しない限り、特に制限はなく、公知の光重合性化合物の中から適宜選択することができる。たとえば、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ビニル系、イミド系等のモノマーまたはオリゴマーを使用することができる。より具体的には、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビスフェノールAのフェニレン基の水素がメトキシ基やエトキシ基で適宜置換されたアルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを例示することができる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明に係る光重合性化合物の一分子あたりの、二重結合等の重合性官能基の数としては、特に制限はなく、形成された膜の特性を目的に合致させるべく、適宜選択できる。たとえば、単官能や二官能の光重合性化合物を選択し、あるいはその割合を多くすることにより架橋度を下げて、柔軟性および密着性を上げ、また、逆に3官能以上の多官能の光重合性化合物を選択し、あるいはその割合を多くして架橋度を上げて、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度および耐溶剤性を向上させることができる。
【0041】
本発明に係る光重合性化合物と光重合性樹脂との割合も、特に制限はなく、形成された膜の特性を目的に合致させるべく、適宜選択できる。質量比で0.05以上1.0以下が好ましい。
【0042】
・導電性樹脂
本発明に係る導電性樹脂としては、本発明の趣旨に反しない限り、特に制限はなく、公知の導電性樹脂の中から適宜選択することができ、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェンビニレン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリフリレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレンビニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、またはこれらの誘導体など、いわゆる導電性高分子の範疇に含まれる材料が挙げられる。
【0043】
これらは、単独で使用してもよいし、また、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性を示す形で溶媒可溶であるという点から、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物、またはそれらと上記した他の物質との混合物が特に好ましい。
【0044】
導電性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、該導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。言い換えれば、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%とした場合、0.1≦Xが好ましく、0.5≦Xがより好ましい。0.1質量%未満であると、形成された膜の導電性が十分でないことがある。上限は特にない。なお、これまでに説明したX,Y,Zについては、その和であるX+Y+Zが100.0を超えることはない。
【0045】
・ドーパント
本発明に係るドーパントは、本発明に係る導電性樹脂組成物から形成される膜の導電性をさらに向上させるために添加できる。
【0046】
ドーパントとしては、特に制限はなく、公知の酸が使用できる。膜の形成時における熱安定性の点で、加熱により容易に揮発・分解等を起こさない物質が好ましく、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物、などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのドーパントは、導電性樹脂組成物に添加することにより、熱的に安定な導電性膜を形成することができる点で好ましい。
【0047】
ドーパントの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性向上と腐食防止の観点からは、たとえば、該導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、25質量%以下であるのが好ましい。言い換えれば、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中におけるドーパントの割合をA質量%とした場合、0<A≦25が好ましい。
【0048】
・凝集防止剤
凝集防止剤は、導電性樹脂の凝集を防止して導電性樹脂組成物を安定化し、長期保存する目的で添加できる。凝集防止剤としては、この目的に合致する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。導電性樹脂の凝集防止能に優れる点で、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体や、親油性芳香族液体等が好適に挙げられる。
【0049】
分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体は、たとえば、本発明に係る溶媒(たとえばN−メチル−2−ピロリドン溶液;NMP)や光重合性樹脂などと結合することにより、ドーピング等により導電性樹脂が凝集しやすくなる場合であっても、その凝集を防止できる機能を有する。
【0050】
この場合の分子内の極性部分としては、たとえば、ケトン基、アミノ基、イミノ基等が挙げられる。脂環部分は置換基を有していてもよい。アルキル置換基を例示できる。このような脂環状有機性液体としては、たとえば、シクロヘキサノン等を特に好適に例示できる。親油性芳香族液体としては、たとえば、トルエン、キシレン等が好ましい。
【0051】
これらの凝集防止剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。凝集防止剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
・溶媒
本発明に係る溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、極性溶媒が好ましい。たとえば、N−メチル−2−ピロリドンやN−エチル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、トリメチルオキサゾール等を好適に例示できる。特に、N−アルキル−2−ピロリドンが好ましい。
【0053】
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。どの溶媒がより適しているかは、実際に、光重合性樹脂、光重合性化合物、導電性樹脂やその他の成分を良好に溶解できるかどうかを見て判断することができる。判断は目視でできることが多い。
【0054】
溶媒の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、導電性樹脂組成物に要求される粘度等、目的に応じて適宜選択することができる。
【0055】
・その他の成分
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、光重合開始剤、剥離防止剤、着色剤等を挙げることができる。
【0056】
光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般的に光重合開始剤として知られている物質およびそれらの誘導体またはそれらの混合物などが挙げられ、たとえば、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0057】
光重合開始剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0058】
剥離防止剤は、形成される膜が基板等から剥離するのを防止する目的で添加できる。剥離防止剤としては、形成される膜が基板等から剥離するのを防止可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、ラクタム類、オキシム類等でブロックされたブロックドイソシアネート化合物等のカップリング剤などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
剥離防止剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
・導電性樹脂組成物
本発明に係る導電性樹脂組成物は、上記各成分が溶媒中で実質的に溶解状態にあることや凝集物が実質的に存在しないことが好ましい。導電性樹脂組成物に優れた長期保存性を付与でき、形成された膜が、優れた導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性を発揮しやすくなるからである。実質的に溶解状態にあることや凝集物が実質的に存在しないことは、目視で確認できる程度でよい。必要であれば、顕微鏡での観察や濾過等の手段を使用してもよい。
【0061】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、上記の成分を適宜溶媒に溶解することで、製造することができる。各成分を加える順序は、導電性樹脂を溶媒に溶解した後、凝集防止剤を加え、必要に応じてドーパントを添加し、その後、光重合性樹脂を溶解させる。その他の成分については、加える順序を適宜選択することができる。この際、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中の混合溶液や製造後の混合溶液(導電性樹脂組成物)の温度をあまり高くすると、凝集物が生じたり、重合反応が始まる恐れがあるので、好ましくない場合がある。製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つことが好ましい。
【0062】
より具体的には、たとえば、導電性樹脂を溶媒中に溶解させて導電性樹脂溶液を作製し、ついで、凝集防止剤とドーパントを添加し、これに光重合性樹脂と光重合性化合物とを添加することで、本発明に係る導電性樹脂組成物を製造することができる。
【0063】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、長期保存性に優れ、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性に優れた導電性膜を形成することができる。
【0064】
本発明の導電性樹脂組成物は、広く各種の導電性膜の形成に用いることができ、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。特に、電子装置・素子等を静電気放電(Electro−Static Discharge; ESD)や電磁波障害(Electro Magnetic Interference; EMI)等の障害から保護する保護膜等の形成に好適に用いることができる。
【0065】
・導電性膜
本発明に係る導電性膜は、上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射して得られる。たとえば、本発明に係る導電性樹脂組成物を対象物に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜に、全面露光、パターン状の露光等の光照射を含む処理を施すことによって得ることができる。
【0066】
塗布膜の形成方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法、たとえばスピンコート法、ブレードコート法、バーコート法、ディップコート法等により導電性樹脂組成物を塗布した後、乾燥、プリベーク等の処理を行う方法などが挙げられる。
【0067】
露光の方法としては、特に制限はなく、公知の露光法を目的に応じて適宜選択することができる。必要に応じてマスクパターンを用いる方法などが挙げられる。
【0068】
パターンを形成する場合においては、露光の後現像処理を行うことが好ましい。現像処理を行うと、たとえば、塗布膜における未露光部を溶解除去することにより、所望のパターンを得ることができる。また、現像処理の後、必要に応じてポスト露光やポストベーク、乾燥等を行うことにより、パターンの強度、密着性などを向上させることができる。
【0069】
以上により得られる、本発明に係る導電性膜における導電性は、使用目的の応じて任意に定めることができるが、静電気の放電を防止する目的からは、導電性膜の表面抵抗率が1×1011Ω/□以下であるのが好ましく、1×1010Ω/□以下がより好ましい。
【0070】
なお、この表面抵抗率は公知の抵抗測定法(たとえば、JIS−K6911)等により測定することができる。この表面抵抗率は、公知の抵抗測定器(たとえば、ADVANTEST;R12702A、Keithley;617等を用いて測定することができる。
【0071】
本発明に係る導電性膜の柔軟性としては、ポリイミド、PET等の可撓性フィルム上での折り曲げ試験において、クラックや欠けを生じないことが好ましい。
【0072】
この折り曲げ試験は、たとえば、以下のようにして評価することができる。すなわち、ポリイミドフィルム上に導電性膜を形成し、ポリイミドフィルムを180度折り曲げた後、再び戻し、折り曲げ箇所を顕微鏡等で100倍に拡大して観察し、クラックや欠けの有無を調べるのである。
【0073】
本発明に係る導電性膜の密着性としては、テープによるクロスカット剥離試験における残存率が90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましく、100%であるのが特に好ましい。このテープによるクロスカット剥離試験における残存率は、たとえば、以下のようにして評価することができる。すなわち、ポリイミドフィルム上に導電性膜を形成し、この膜を40℃の2−プロパノール中にて20分間超音波洗浄後、60℃で5分間乾燥し、その後、この膜に対し、1mm間隔で10×10個(100個)のクロスカットを入れた後、テープを貼付し、剥離することにより、剥離後においてポリイミドフィルム上に残存した導電性膜片の数の割合を残存率%(残存した導電性膜のカット数/100)として評価することができる。
【0074】
本発明に係る導電性膜は、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等に優れ、たとえばFPCや樹脂フィルムなど、特に柔軟なベース材に製膜しても、折り曲げなどによるクラックの発生がなく、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。特に、電子機器やその部品、各種素子を含む電子装置を静電気放電(Electro−Static Discharge; ESD)や電磁波障害(EMI)から保護する保護膜等に好適に応用することができる。
【0075】
たとえば、電子部品や素子を実装する基板表面などに本発明に係る導電性膜を所定の形状に形成し、基板表面の静電気を除去することで、ESDから電子装置を保護することができる。この際、本発明に係る導電性膜のすぐれた密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性は、電子装置を作製する工程における生産性向上、歩留まり向上、製品の信頼性に役立つ。
【0076】
本発明に係る導電性膜は、必要な場合には、特定の溶媒を用いる方法によって容易に剥離または溶解除去することができる。この目的のための溶媒としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−エチルピロリドン、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、トリメチルオキサゾール、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
特に、静電気放電(ESD)や電磁波障害(EMI)等の障害から電子装置等を保護するための保護膜として用いる場合には、製造中においてこれらの障碍を除去する必要のある工程で本発明に係る導電成膜を使用し、これらの障害が低減された時点でその除去を行うのが好ましい場合が多い。除去の具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、導電性膜に対し溶媒を吹き付けて剥離し、あるいは、溶媒中で超音波洗浄等することにより、剥離することができる。なお、導電性膜の除去性能は、たとえば、高感度FT−IR(入射角80°)等により、RAS法にて、基板表面に残存する導電性膜を検出することにより評価することができる。
【0078】
本発明に係る導電性膜は、電子部品の近傍または電子部品の間に配することが有用である。この場合、本発明に係る導電性膜が微小パターン形成性に優れていることから、電子部品のごく近傍や電子部品のごく狭い隙間にも微小な導電性膜のパターンを形成することが可能である。なお、どの程度電子部品の近傍に配するかは、実験等で定めることができる。本発明に係る導電性膜は柔軟性を持つことから、FPCなどへの応用も可能である。
【0079】
本発明に係る導電性膜を、電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を図1〜4に模式的に示す。なお、各要素の大きさ等は、同一の縮尺関係にあるわけではない。たとえば図2等の横断面図において、導電性膜の厚さはフリップチップジョイントの高さより厚く描かれているが、実際には、そのように厚くなっている必要はない。
【0080】
図1は、電子部品としてフリップチップジョイントを有するチップ1を非導電性の基板2(導電性膜の下にあるため、下記隙間3の部分を除いて図1では示されていない)上に配し、所定の隙間3をあけてその近傍に導電性膜4を配した様子を示す平面図、図2はそのX−X横断面図を示している。図2では電子部品の導電性部分としてフリップチップジョイント5が示されている。
【0081】
ESDは、電子部品のこのような導電性部分と帯電した基板との間に生じるので、所定の隙間3は、具体的にはフリップチップジョイント5と導電性膜4との間の隙間を意味する。この例では、導電性膜4は、基板2上について、チップ1と周囲の隙間3以外の全領域をカバーしている。
【0082】
図3,4は、導電性部分としてフリップチップジョイントを有するチップ1を非導電性の基板2上に三つ配し、所定の隙間3をあけて、その近傍およびその間に導電性膜3を配した様子を示す平面図とそのY−Y横断面図を示している。
【0083】
このようにすると、基板2上に形成された静電気を除去でき、基板2上に蓄積した静電気がチップ1に放電し、これを破壊する等の問題を防止することが可能となる。
【0084】
図3,4の導電性膜は、次のようにして作製することができる。まず、図5に示すように基板2を全面覆うように導電性樹脂組成物6を塗布して塗布膜を形成し、所定時間プリベークする。ついで、所定のパターンを有するマスクを使用して所定の光照射を行い、塗布膜を硬化する。その後未硬化部分を除去して、図6の平面図、図7の横断面図のように、所定の抜き部7を有する導電性膜4のパターンを形成するのである。
【0085】
なお、このような導電性膜は、電子装置等の製造中において特に静電気の影響が問題となる工程でのみ使用し、その後除去してもよく、また、最終製品に残しておいても問題ない場合や、残しておいた方が好ましい場合は、そのまま残しておくこともできる。
【0086】
なお、本発明は、特に、電子機器やその部品、各種素子を含む電子装置の用途に有用であるが、その他の用途についても使用できることはいうまでもない。たとえば、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。
【0087】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、評価は次のようにした。
【0088】
(導電性膜の表面抵抗率)
導電性を評価する目的で、抵抗測定器(ADVANTEST;R12702A、Keithley;617)を用いて、20℃の条件下で、JIS−K6911に準拠して測定した。
【0089】
(クロスカット剥離試験)
密着性を評価する目的で、ポリイミドフィルム上に形成された導電性膜に対し、40℃の2−プロパノール中で20分間超音波洗浄を行い、60℃で5分間乾燥させた後、1mm間隔で10×10個(100個)のクロスカットを入れ、テープを貼付し剥離する試験を行った。剥離後においてポリイミドフィルム上に残存した導電性膜片の数の割合を残存率%(残存した導電性膜のカット数/100)とした。
【0090】
(折り曲げ試験)
機械的強度および折り曲げなどに耐えられる柔軟性を評価する目的で、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを180度折り曲げた後、再び戻し、折り曲げ箇所を顕微鏡(キーエンス;VH−8000)で100倍に拡大して観察した。
【0091】
[実施例1]
(導電性樹脂組成物の作製)
化学重合法で合成した酸化型脱ドープポリアニリンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、4質量%の溶液を作製した。得られた導電性樹脂溶液100質量部に凝集防止剤としてシクロヘキサノン100質量部、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸4質量部を混和し、スルホン化不飽和ポリエステル樹脂(互応化学社製、重量平均分子量67,000を50質量部加えて溶解させた。
【0092】
この後、単官能モノマーとしてフェノキシジエチレングリコールアクリレートを15質量部および光重合開始剤(日本シイベル・ヘグナー社製、エザキュアKIP75LT)5質量部を加え、撹拌装置(シンキー社製、MX−201)にて2分間撹拌し、導電性樹脂組成物を得た。この間、系は室温に保った。
【0093】
得られた導電性樹脂組成物は、目視で均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。この導電性樹脂組成物を、遮光環境中で保存したところ、3ヶ月後も、均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0094】
(導電性膜パターンの形成)
得られた導電性樹脂組成物を、ポリイミドフィルム上にバーコーターにてコートして塗布膜を形成し、塗布膜を100℃で10分間プリベークした。
【0095】
その後、365nmに中心波長を有する超高圧水銀ランプの光を、10〜200μm幅のライン&スペースパターンを有する石英ガラスマスクを通して2J/cm2の条件で照射し、塗布膜を硬化させた。
【0096】
次いで、40℃の1質量%ほう酸ナトリウム水溶液を用いて現像処理を行ってパターンを形成した後、これを水洗し、120℃で30分間ポストベークすることにより、パターンを持った導電性膜を形成した。この導電性膜パターンは厚みが4μmであり、40μmのライン&スペース解像度であった。
【0097】
なお、本発明に係る導電性膜は、これより薄い、たとえば1μm程度や、その逆にこれより厚い1〜数十μm以上の膜厚のものも作成できることはいうまでもない。
【0098】
以上のようにして導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを折り曲げ試験に供したところ、クラックや欠けは認められなかった。
【0099】
また、この導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを、アルコール系溶剤であるエタノールやイソプロパノールに浸漬したが、形状に変化は認められなかった。
【0100】
(シート状導電性膜の形成)
前記の導電性膜パターンの形成と同様にして、導電性樹脂組成物を、ポリイミドフィルム上にバーコーターにてコートして塗布膜を形成し、これを100℃で10分間プリベークした。
【0101】
その後、365nmに中心波長を有する超高圧水銀ランプの光を、2J/cm2の条件で全面に照射し、塗布膜を硬化させた。
【0102】
次いで、40℃の1質量%ほう酸ナトリウム水溶液を用いて現像処理と同様の操作および水洗を行い、120℃で30分間ポストベークすることにより、シート状の導電性膜を形成した。
【0103】
以上のようにして形成した導電性膜の表面抵抗率は、5×107Ω/□であった。更に、この導電性膜に対し260℃にて10秒の加熱処理を行った後、同様にして表面抵抗率を測定したところ、1×107Ω/□であった。
【0104】
また、得られた導電性膜のクロスカット剥離試験の結果、カット片の残存率は94%(94/100)であった。
【0105】
[実施例2]
実施例1において使用したフェノキシジエチレングリコールアクリレートを2官能モノマーのエトキシ化ビスフェノールAジアクリレートに代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0106】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0107】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。厚みが3μmであり、30μmのライン&スペース解像度を得た。
【0108】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0109】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、2×108Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は7×107Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は97%(97/100)であった。
【0110】
[実施例3]
実施例1において作製した導電性樹脂組成物に、さらに6官能モノマーのジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを15質量部加えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0111】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0112】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが3μmであり、20μmのライン&スペース解像度を得た。
【0113】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0114】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、8×108Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は2×108Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は100%(100/100)であった。
【0115】
[実施例4]
実施例1におけるフェノキシジエチレングリコールアクリレートの添加量を5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0116】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0117】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが5μmであり、40μmのライン&スペース解像度を得た。
【0118】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0119】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、4×107Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は1×107Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は98%(98/100)であった。
【0120】
[比較例1]
実施例1におけるフェノキシジエチレングリコールアクリレートの添加量を0質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0121】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0122】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが6μmであり、40μmのライン&スペース解像度を得た。
【0123】
実施例1と同様にして、該パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックが生じていることが認められた。
【0124】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0125】
(付記1) 導電性樹脂と、
側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、
当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と
を含有する導電性樹脂組成物。
【0126】
(付記2) 溶媒を含有し、
前記各成分が当該溶媒中で実質的に溶解状態にある、付記1に記載の導電性樹脂組成物。
【0127】
(付記3) 前記光重合性樹脂の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲にある、付記1または2に記載の導電性樹脂組成物。
【0128】
(付記4) 前記光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーである、付記1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0129】
(付記5) 前記光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーである、付記1〜4のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0130】
(付記6) 前記導電性樹脂組成物から、揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%、光重合性樹脂の割合をY質量%、光重合性化合物の割合をZ質量%とした場合、
0.1≦X
40≦Y、
0.05≦Z/Y≦1.0
(ただし、X+Y+Z≦100.0)である、付記1〜5のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0131】
(付記7) さらに、ドーパントを含有する、付記1〜6のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0132】
(付記8) さらに、凝集防止剤を含有する、付記1〜7のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0133】
(付記9) 凝集物が実質的に存在しない、付記1〜8のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0134】
(付記10) 前記導電性樹脂として、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物を含有する、付記1〜9のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0135】
(付記11) 前記光重合性樹脂として、スルホン化された光重合性樹脂を含む、付記1〜10のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0136】
(付記12) 前記光重合性化合物として、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から選ばれた、少なくとも一つの化合物を含有する、付記1〜11のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0137】
(付記13) 前記溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムおよびトリメチルオキサゾールからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有する、付記1〜12のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0138】
(付記14) 前記ドーパントとして、スルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物またはそれらの混合物を含有する、付記7〜13のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0139】
(付記15) 前記凝集防止剤として、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体または親油性芳香族液体またはそれらの混合物を含有する、付記8〜14のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0140】
(付記16) 導電性樹脂と、
側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、
当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、
必要に応じて、ドーパントまたは凝集防止剤またはその両者と
を溶媒中に溶解して導電性樹脂組成物を製造するに際し、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つ、付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
【0141】
(付記17) 付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜。
【0142】
(付記18) 付記17に記載の導電性膜を有する電子装置。
【0143】
(付記19) 前記導電性膜を、電子部品の近傍または電子部品の間に配する付記18に記載の電子装置。
【0144】
(付記20) 付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜を、製造中の電子部品の近傍または電子部品の間に配し、その後、当該導電性膜を剥離する処理を含む電子装置の製造方法。
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性に優れた導電性膜、この導電性膜を形成でき、長期保存性に優れた導電性樹脂組成物、この導電性膜を使用した電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍に配する様子を示す、基板の模式的平面図である。
【図2】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍に配する様子を示す、基板の模式的横断面図である。
【図3】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を示す、基板の模式的平面図である。
【図4】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を示す、基板の模式的横断面図である。
【図5】基板上に導電性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成した様子を示す、基板の模式的断面図である。
【図6】所定の抜き部を有する導電性膜のパターンを示す、基板の模式的平面図である。
【図7】所定の抜き部を有する導電性膜のパターンを示す、基板の模式的横断面図である。
【符号の説明】
1 チップ
2 基板
3 隙間
4 導電性膜
5 フリップチップジョイント
6 導電性樹脂組成物
7 抜き部
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気放電(Electro−Static Discharge;ESD)を抑制するための導電性膜およびその原料である導電性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子装置や素子の小型化、高速化、省エネルギー化に伴い、構造の微細化が進み、ESD等に対する耐性低下が懸念されてきており、これらの製造、実装時における保護の強化が求められている。
【0003】
このための手段として、素子やそれを実装する基板などに導電性の膜を形成し、これらに発生する電荷を逃がすことで、ESD等の障害を防止する方法がある。この膜は、導電性を有する微小パターンを形成でき、素子や装置の製造、実装、組立工程で行われる加熱、洗浄により剥離を起こさないことが必要である。すなわち、導電性に加えて、微小パターンの形成が可能で、膜を形成された対象物との密着性(以下、単に密着性という)、機械的強度、熱的強度、柔軟性、耐溶剤性に優れた膜が必要となる。
【0004】
このような導電性の膜を形成できるものとして、有機物でありながら電気伝導性を持つ導電性樹脂が考えられる。この導電性樹脂は、導電層の形成が容易であり、場合によってはその除去も容易であることから、従来よりその研究開発が盛んであり、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等への応用が考えられているものである。
【0005】
たとえば、ポリパラフェニレンビニリデン、ポリアニリン、ポリアジン、ポリピロール等の導電性樹脂と、露光によってドーパントを発生するドーパント前駆体とを含有し、露光後に溶媒を用いて非露光領域を溶解除去し、不溶性となった露光領域のみを残すことができる導電性樹脂組成物が開示されている(たとえば特許文献1参照。)。
【0006】
また、ポリアニリン分子内に不飽和二重結合を有するスルホン基含有化合物を導入してなるドープ状態のポリアニリン誘導体と、紫外線等の活性エネルギー線に反応する光重合開始剤とを混合して感光性樹脂化し、あるいは、ポリアニリンのドーパントとして不飽和二重結合を有するスルホン基含有化合物と、光重合開始剤とを混合して、ドーパント部分を感光性樹脂化し、任意形状に成形可能でかつ除去が容易な導電性膜を形成することができる導電性樹脂材料が開示されている(たとえば特許文献2参照。)。
【0007】
しかしながら、一般に導電性樹脂は剛直な分子構造をとるため、その含有量が増加するに従って、形成膜が脆くなり、また、密着性が減少するなどの傾向が見られる。たとえばフレキシブル回路基板(Flexible printed circuit; FPC)や樹脂フィルムなど、柔軟なベース材上に製膜し、折り曲げる等するとクラックを生じ、剥がれる可能性がある。このため、その改善が望まれている。
【0008】
【特許文献1】
特許第2657956号公報(特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献2】
特開平11−172103号公報(段落番号0006〜0011)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択できる新規な導電性膜およびこのような導電性膜を実現できる、長期保存性に優れた導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、光重合性樹脂以外の光重合性化合物とを含有する導電性樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択できる導電性膜を実現でき、長期保存性にも優れている。
【0013】
さらに溶媒を含有し、各成分が溶媒中で実質的に溶解状態にあること、光重合性樹脂の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲にあること、光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーであること、とりわけモノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーであること、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%、光重合性樹脂の割合をY質量%、光重合性化合物の割合をZ質量%とした場合、
0.1≦X、
40≦Y、
0.05≦Z/Y≦1.0
(ただし、X+Y+Z≦100.0)であること、さらに、ドーパントを含有すること、さらに、凝集防止剤を含有すること、凝集物が実質的に存在しないこと、導電性樹脂として、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物を含有すること、光重合性樹脂として、スルホン化された光重合性樹脂を含むこと、光重合性化合物として、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から選ばれた、少なくとも一つの化合物を含有すること、溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムおよびトリメチルオキサゾールからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有すること、ドーパントとして、スルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物またはそれらの混合物を含有すること、凝集防止剤として、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体または親油性芳香族液体またはそれらの混合物を含有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る他の態様によれば、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、必要に応じて、ドーパントまたは凝集防止剤またはその両者とを溶媒中に溶解して導電性樹脂組成物を製造するに際し、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つ導電性樹脂組成物の製造方法や、上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜、この導電性膜を有する電子装置や上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜を、製造中の電子部品の近傍または電子部品の間に配し、その後、導電性膜を剥離する処理を含む電子装置の製造方法が提供される。
【0015】
本発明に係る導電性膜は、導電性、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性を維持しつつ、密着性、易剥離性、機械的強度および、折り曲げなどに耐えられる柔軟性を目的に応じて適宜選択でき、電子装置のESDや電磁波障害の防止に有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を実施例等を使用して説明する。なお、これらの実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0017】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、導電性膜の形成に用いられる組成物であり、導電性樹脂と、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、この光重合性樹脂以外の光重合性化合物と溶媒とを含有する。
【0018】
なお、本発明に係る導電性樹脂組成物は、この組成物自体が導電性を有することを意味するものではなく、導電性膜が形成されたときに導電性を有することを意味している。従って、本発明に係る導電性膜が「導電性を有する膜」を意味するのに対し、本発明に係る導電性樹脂組成物は「導電性を付与し得る樹脂組成物」を意味する。
【0019】
・側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂本発明において、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂とは、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有することと、紫外線等の光により重合することのできる樹脂を意味する。
【0020】
この樹脂が重合物の場合は、重量平均分子量で5,000以上であることが好ましい。この値より低いと、生成する導電性膜が柔らかすぎたり、べたついたりする場合がある。上限については特に制限はないが、溶媒への溶解性の低下や、導電性樹脂組成物の粘度上昇や、製造コストの上昇の問題が生じる。より好ましくは、重量平均分子量で5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000、より更に好ましくは10,000〜100,000である。
【0021】
この樹脂の光重合によって生じる物質は、線状ポリマーであっても、架橋したものであってもよく、本発明に係る導電性樹脂組成物が光照射を受ける際には、本発明に係る光重合性化合物と共に重合することになる。この場合の生成物は、両者の単独の場合の混合物でも、互いに化学的に結合したものでもよい。一般的には、両者が互いに混じり合って架橋したもの、すなわち硬化物を例示できる。
【0022】
この樹脂は、本発明の趣旨に反しない限り、公知の樹脂から適宜選択することができるが、形成される膜が、必要とされる、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等を有するようになるものが好ましい。
【0023】
本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂は、これらの極性の高い基により、導電性樹脂や溶媒との親和性が高く、また、これらの極性の高い基と導電性樹脂や溶媒との間に弱い結合力を生じさせることができるため、極めて凝集し易い導電性樹脂であっても、その凝集を防止することができる。
【0024】
その結果、導電性樹脂、光重合性樹脂等を溶媒中に均一に溶解でき、得られた導電性樹脂組成物が、凝集物を生じない等、安定性にすぐれた溶液状態となり、優れた長期保存性を獲得できる。また、得られた導電性膜の、優れた導電性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、耐溶剤性、微小パターン形成性等が安定的に再現できるようになる。本発明に係る導電性樹脂組成物は容易に透明なものとすることができ、照射された光が導電性樹脂組成物中に均一に吸収され易いため、均一な硬化を実現できることが一因になっているものと推察される。
【0025】
具体的には、たとえば、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、スピランアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系などのアクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ノボラック樹脂類、ポリビニルフェノール樹脂、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)樹脂、ポリグルタルイミド樹脂、ポリ(オレフィンスルホン)樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂の側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有するものを選択することができる。本発明に係る光重合性樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その他の樹脂との混合物の状態であっても使用することができる。
【0026】
なお、本発明において、酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スルホン基、カルボキシル基等が好適に挙げられる。たとえば、スルホン化された光重合性樹脂を例示することができる。
【0027】
酸性基の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、スルホン基やカルボキシル基のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩などを挙げることができる。より具体的には、スルホン基やカルボキシル基のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩を挙げることができる。
【0028】
側鎖に酸性基の塩を含有する光重合性樹脂は、側鎖に酸性基を含有する光重合性樹脂に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニウム水溶液、アミン類などを反応させることにより形成することができる。可能であれば、側鎖に酸性基を含有する光重合性樹脂の前駆体(たとえばモノマーやオリゴマー)に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩基性化合物、アンモニウム水溶液、アミン類などを反応させた後に重合して光重合性樹脂としてもよい。
【0029】
本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂においては、酸性基や酸性基の塩は一種類に限定されず、複数種類含まれていてもよい。上記の反応で使用される塩基性化合物が、光重合性樹脂に含まれる酸性基と等モルである必要もない。すなわち、塩となっていない酸性基が残っている場合や逆に過剰な塩基性化合物が共存したままの状態でもよい場合もあり得る。
【0030】
なお、これらの酸性基等による酸性度が高いと腐食性が強くなること等の問題を生じるため、本発明に係る導電性樹脂組成物の酸性度を適度にコントロールし、腐食性を低下させることが好ましい。特にスルホン基の場合には、酸性度が高くなり過ぎないように適度にコントロールすることが好ましい。
【0031】
このためには、上記の反応で使用される塩基性化合物量を適宜調節することが有用な手段である。また、本発明に係る導電性樹脂組成物を作製する途中で、適宜塩基性物質を添加することによって行ってもよい。酸性度が適切かどうかは、腐食性を評価する方法によることが実用的である。得られた導電性樹脂組成物が凝集物を生じない等、安定性にすぐれた溶液状態となり、得られた導電性膜が上記の優れた特性を安定的に再現できるかぎり、本発明に係る酸性基や酸性基の塩が、光重合性樹脂中に均一に分布しているか不均一に分布しているかは、それほど注意する必要はない。
【0032】
本発明に係る酸性基や酸性基の塩の光重合性樹脂中における割合は、目的とする膜に要求される特性に応じて決めることができる。一般的には、小さすぎると導電性樹脂の凝集が生じる可能性があり、大きすぎると、導電性樹脂の比率が下がるため、所望の導電性が得られない可能性がある。
【0033】
本発明に係る光重合性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的には、導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、40質量%以上であるのが好ましい。言い換えれば、本発明に係る導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における光重合性樹脂の割合をY質量%した場合、40≦Yであるのが好ましい。40質量%未満であると、形成された膜についての上記特性が十分でないことがある。
【0034】
・光重合性樹脂以外の光重合性化合物
本発明に係る光重合性化合物は、紫外線等の光により重合することのできる化合物を意味する。この化合物はモノマーでもダイマー等のオリゴマーでも、樹脂と呼ばれるものでもよく、それらの混合物でもよい。ただし、本発明に係る、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂以外の光重合性化合物である。
【0035】
この光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーであることが好ましく、モノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーであることがより好ましい。導電性樹脂組成物中でのモビリティが高く、迅速に膜が形成できるからである。
【0036】
この光重合性化合物の光重合によって生じる物質は、線状ポリマーであっても、架橋したものであってもよく、本発明に係る導電性樹脂組成物が光照射を受ける際には、すでに説明したように、本発明に係る光重合性樹脂と共に重合することになる。
【0037】
本発明における導電性膜は、生成する膜の架橋の状態を調節して、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等を所望のレベルにコントロールすることが重要であるが、本発明に係る光重合性樹脂と光重合性化合物とを組み合わせることにより、このコントロールが容易になる。たとえば、密着性と易剥離性とについては、用途によって、そのいずれかをより重視する場合やその両方を共に重視する場合があり、機械的強度と柔軟性とについては、一般的には機械的強度を上げると脆くなり、柔軟性に欠ける傾向が現れ、逆に、柔軟性を上げると機械的強度が低下する傾向が現れるが、本発明に係る光重合性樹脂と光重合性化合物とを組み合わせることにより、これらの特性のコントロールや最適化が容易になる。
【0038】
柔軟性を上げるという目的だけであるならば、可塑剤なども使用できるが、これらは、導電性膜中から脱離し、膜形成後、ベース材その他を汚染する可能性がある。これに対し、本発明に係る光重合性化合物は、側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と結合等することで脱離せず、またはきわめて脱離しがたく、汚染等の心配がない。
【0039】
本発明に係る光重合性化合物としては、本発明の趣旨に反しない限り、特に制限はなく、公知の光重合性化合物の中から適宜選択することができる。たとえば、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ビニル系、イミド系等のモノマーまたはオリゴマーを使用することができる。より具体的には、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビスフェノールAのフェニレン基の水素がメトキシ基やエトキシ基で適宜置換されたアルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを例示することができる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明に係る光重合性化合物の一分子あたりの、二重結合等の重合性官能基の数としては、特に制限はなく、形成された膜の特性を目的に合致させるべく、適宜選択できる。たとえば、単官能や二官能の光重合性化合物を選択し、あるいはその割合を多くすることにより架橋度を下げて、柔軟性および密着性を上げ、また、逆に3官能以上の多官能の光重合性化合物を選択し、あるいはその割合を多くして架橋度を上げて、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度および耐溶剤性を向上させることができる。
【0041】
本発明に係る光重合性化合物と光重合性樹脂との割合も、特に制限はなく、形成された膜の特性を目的に合致させるべく、適宜選択できる。質量比で0.05以上1.0以下が好ましい。
【0042】
・導電性樹脂
本発明に係る導電性樹脂としては、本発明の趣旨に反しない限り、特に制限はなく、公知の導電性樹脂の中から適宜選択することができ、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェンビニレン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリフリレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレンビニレン、ポリパラフェニレンスルフィド、またはこれらの誘導体など、いわゆる導電性高分子の範疇に含まれる材料が挙げられる。
【0043】
これらは、単独で使用してもよいし、また、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性を示す形で溶媒可溶であるという点から、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物、またはそれらと上記した他の物質との混合物が特に好ましい。
【0044】
導電性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、該導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。言い換えれば、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%とした場合、0.1≦Xが好ましく、0.5≦Xがより好ましい。0.1質量%未満であると、形成された膜の導電性が十分でないことがある。上限は特にない。なお、これまでに説明したX,Y,Zについては、その和であるX+Y+Zが100.0を超えることはない。
【0045】
・ドーパント
本発明に係るドーパントは、本発明に係る導電性樹脂組成物から形成される膜の導電性をさらに向上させるために添加できる。
【0046】
ドーパントとしては、特に制限はなく、公知の酸が使用できる。膜の形成時における熱安定性の点で、加熱により容易に揮発・分解等を起こさない物質が好ましく、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物、などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのドーパントは、導電性樹脂組成物に添加することにより、熱的に安定な導電性膜を形成することができる点で好ましい。
【0047】
ドーパントの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性向上と腐食防止の観点からは、たとえば、該導電性樹脂組成物により形成された膜の固形分中、25質量%以下であるのが好ましい。言い換えれば、導電性樹脂組成物から、溶媒、凝集防止剤等の揮発性液体を除いた組成中におけるドーパントの割合をA質量%とした場合、0<A≦25が好ましい。
【0048】
・凝集防止剤
凝集防止剤は、導電性樹脂の凝集を防止して導電性樹脂組成物を安定化し、長期保存する目的で添加できる。凝集防止剤としては、この目的に合致する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。導電性樹脂の凝集防止能に優れる点で、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体や、親油性芳香族液体等が好適に挙げられる。
【0049】
分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体は、たとえば、本発明に係る溶媒(たとえばN−メチル−2−ピロリドン溶液;NMP)や光重合性樹脂などと結合することにより、ドーピング等により導電性樹脂が凝集しやすくなる場合であっても、その凝集を防止できる機能を有する。
【0050】
この場合の分子内の極性部分としては、たとえば、ケトン基、アミノ基、イミノ基等が挙げられる。脂環部分は置換基を有していてもよい。アルキル置換基を例示できる。このような脂環状有機性液体としては、たとえば、シクロヘキサノン等を特に好適に例示できる。親油性芳香族液体としては、たとえば、トルエン、キシレン等が好ましい。
【0051】
これらの凝集防止剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。凝集防止剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
・溶媒
本発明に係る溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、極性溶媒が好ましい。たとえば、N−メチル−2−ピロリドンやN−エチル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、トリメチルオキサゾール等を好適に例示できる。特に、N−アルキル−2−ピロリドンが好ましい。
【0053】
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。どの溶媒がより適しているかは、実際に、光重合性樹脂、光重合性化合物、導電性樹脂やその他の成分を良好に溶解できるかどうかを見て判断することができる。判断は目視でできることが多い。
【0054】
溶媒の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、導電性樹脂組成物に要求される粘度等、目的に応じて適宜選択することができる。
【0055】
・その他の成分
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、光重合開始剤、剥離防止剤、着色剤等を挙げることができる。
【0056】
光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般的に光重合開始剤として知られている物質およびそれらの誘導体またはそれらの混合物などが挙げられ、たとえば、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0057】
光重合開始剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0058】
剥離防止剤は、形成される膜が基板等から剥離するのを防止する目的で添加できる。剥離防止剤としては、形成される膜が基板等から剥離するのを防止可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、たとえば、ラクタム類、オキシム類等でブロックされたブロックドイソシアネート化合物等のカップリング剤などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
剥離防止剤の導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0060】
・導電性樹脂組成物
本発明に係る導電性樹脂組成物は、上記各成分が溶媒中で実質的に溶解状態にあることや凝集物が実質的に存在しないことが好ましい。導電性樹脂組成物に優れた長期保存性を付与でき、形成された膜が、優れた導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性を発揮しやすくなるからである。実質的に溶解状態にあることや凝集物が実質的に存在しないことは、目視で確認できる程度でよい。必要であれば、顕微鏡での観察や濾過等の手段を使用してもよい。
【0061】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、上記の成分を適宜溶媒に溶解することで、製造することができる。各成分を加える順序は、導電性樹脂を溶媒に溶解した後、凝集防止剤を加え、必要に応じてドーパントを添加し、その後、光重合性樹脂を溶解させる。その他の成分については、加える順序を適宜選択することができる。この際、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中の混合溶液や製造後の混合溶液(導電性樹脂組成物)の温度をあまり高くすると、凝集物が生じたり、重合反応が始まる恐れがあるので、好ましくない場合がある。製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つことが好ましい。
【0062】
より具体的には、たとえば、導電性樹脂を溶媒中に溶解させて導電性樹脂溶液を作製し、ついで、凝集防止剤とドーパントを添加し、これに光重合性樹脂と光重合性化合物とを添加することで、本発明に係る導電性樹脂組成物を製造することができる。
【0063】
本発明に係る導電性樹脂組成物は、長期保存性に優れ、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性に優れた導電性膜を形成することができる。
【0064】
本発明の導電性樹脂組成物は、広く各種の導電性膜の形成に用いることができ、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。特に、電子装置・素子等を静電気放電(Electro−Static Discharge; ESD)や電磁波障害(Electro Magnetic Interference; EMI)等の障害から保護する保護膜等の形成に好適に用いることができる。
【0065】
・導電性膜
本発明に係る導電性膜は、上記の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射して得られる。たとえば、本発明に係る導電性樹脂組成物を対象物に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜に、全面露光、パターン状の露光等の光照射を含む処理を施すことによって得ることができる。
【0066】
塗布膜の形成方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法、たとえばスピンコート法、ブレードコート法、バーコート法、ディップコート法等により導電性樹脂組成物を塗布した後、乾燥、プリベーク等の処理を行う方法などが挙げられる。
【0067】
露光の方法としては、特に制限はなく、公知の露光法を目的に応じて適宜選択することができる。必要に応じてマスクパターンを用いる方法などが挙げられる。
【0068】
パターンを形成する場合においては、露光の後現像処理を行うことが好ましい。現像処理を行うと、たとえば、塗布膜における未露光部を溶解除去することにより、所望のパターンを得ることができる。また、現像処理の後、必要に応じてポスト露光やポストベーク、乾燥等を行うことにより、パターンの強度、密着性などを向上させることができる。
【0069】
以上により得られる、本発明に係る導電性膜における導電性は、使用目的の応じて任意に定めることができるが、静電気の放電を防止する目的からは、導電性膜の表面抵抗率が1×1011Ω/□以下であるのが好ましく、1×1010Ω/□以下がより好ましい。
【0070】
なお、この表面抵抗率は公知の抵抗測定法(たとえば、JIS−K6911)等により測定することができる。この表面抵抗率は、公知の抵抗測定器(たとえば、ADVANTEST;R12702A、Keithley;617等を用いて測定することができる。
【0071】
本発明に係る導電性膜の柔軟性としては、ポリイミド、PET等の可撓性フィルム上での折り曲げ試験において、クラックや欠けを生じないことが好ましい。
【0072】
この折り曲げ試験は、たとえば、以下のようにして評価することができる。すなわち、ポリイミドフィルム上に導電性膜を形成し、ポリイミドフィルムを180度折り曲げた後、再び戻し、折り曲げ箇所を顕微鏡等で100倍に拡大して観察し、クラックや欠けの有無を調べるのである。
【0073】
本発明に係る導電性膜の密着性としては、テープによるクロスカット剥離試験における残存率が90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましく、100%であるのが特に好ましい。このテープによるクロスカット剥離試験における残存率は、たとえば、以下のようにして評価することができる。すなわち、ポリイミドフィルム上に導電性膜を形成し、この膜を40℃の2−プロパノール中にて20分間超音波洗浄後、60℃で5分間乾燥し、その後、この膜に対し、1mm間隔で10×10個(100個)のクロスカットを入れた後、テープを貼付し、剥離することにより、剥離後においてポリイミドフィルム上に残存した導電性膜片の数の割合を残存率%(残存した導電性膜のカット数/100)として評価することができる。
【0074】
本発明に係る導電性膜は、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性等に優れ、たとえばFPCや樹脂フィルムなど、特に柔軟なベース材に製膜しても、折り曲げなどによるクラックの発生がなく、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。特に、電子機器やその部品、各種素子を含む電子装置を静電気放電(Electro−Static Discharge; ESD)や電磁波障害(EMI)から保護する保護膜等に好適に応用することができる。
【0075】
たとえば、電子部品や素子を実装する基板表面などに本発明に係る導電性膜を所定の形状に形成し、基板表面の静電気を除去することで、ESDから電子装置を保護することができる。この際、本発明に係る導電性膜のすぐれた密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性は、電子装置を作製する工程における生産性向上、歩留まり向上、製品の信頼性に役立つ。
【0076】
本発明に係る導電性膜は、必要な場合には、特定の溶媒を用いる方法によって容易に剥離または溶解除去することができる。この目的のための溶媒としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−エチルピロリドン、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、トリメチルオキサゾール、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
特に、静電気放電(ESD)や電磁波障害(EMI)等の障害から電子装置等を保護するための保護膜として用いる場合には、製造中においてこれらの障碍を除去する必要のある工程で本発明に係る導電成膜を使用し、これらの障害が低減された時点でその除去を行うのが好ましい場合が多い。除去の具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、たとえば、導電性膜に対し溶媒を吹き付けて剥離し、あるいは、溶媒中で超音波洗浄等することにより、剥離することができる。なお、導電性膜の除去性能は、たとえば、高感度FT−IR(入射角80°)等により、RAS法にて、基板表面に残存する導電性膜を検出することにより評価することができる。
【0078】
本発明に係る導電性膜は、電子部品の近傍または電子部品の間に配することが有用である。この場合、本発明に係る導電性膜が微小パターン形成性に優れていることから、電子部品のごく近傍や電子部品のごく狭い隙間にも微小な導電性膜のパターンを形成することが可能である。なお、どの程度電子部品の近傍に配するかは、実験等で定めることができる。本発明に係る導電性膜は柔軟性を持つことから、FPCなどへの応用も可能である。
【0079】
本発明に係る導電性膜を、電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を図1〜4に模式的に示す。なお、各要素の大きさ等は、同一の縮尺関係にあるわけではない。たとえば図2等の横断面図において、導電性膜の厚さはフリップチップジョイントの高さより厚く描かれているが、実際には、そのように厚くなっている必要はない。
【0080】
図1は、電子部品としてフリップチップジョイントを有するチップ1を非導電性の基板2(導電性膜の下にあるため、下記隙間3の部分を除いて図1では示されていない)上に配し、所定の隙間3をあけてその近傍に導電性膜4を配した様子を示す平面図、図2はそのX−X横断面図を示している。図2では電子部品の導電性部分としてフリップチップジョイント5が示されている。
【0081】
ESDは、電子部品のこのような導電性部分と帯電した基板との間に生じるので、所定の隙間3は、具体的にはフリップチップジョイント5と導電性膜4との間の隙間を意味する。この例では、導電性膜4は、基板2上について、チップ1と周囲の隙間3以外の全領域をカバーしている。
【0082】
図3,4は、導電性部分としてフリップチップジョイントを有するチップ1を非導電性の基板2上に三つ配し、所定の隙間3をあけて、その近傍およびその間に導電性膜3を配した様子を示す平面図とそのY−Y横断面図を示している。
【0083】
このようにすると、基板2上に形成された静電気を除去でき、基板2上に蓄積した静電気がチップ1に放電し、これを破壊する等の問題を防止することが可能となる。
【0084】
図3,4の導電性膜は、次のようにして作製することができる。まず、図5に示すように基板2を全面覆うように導電性樹脂組成物6を塗布して塗布膜を形成し、所定時間プリベークする。ついで、所定のパターンを有するマスクを使用して所定の光照射を行い、塗布膜を硬化する。その後未硬化部分を除去して、図6の平面図、図7の横断面図のように、所定の抜き部7を有する導電性膜4のパターンを形成するのである。
【0085】
なお、このような導電性膜は、電子装置等の製造中において特に静電気の影響が問題となる工程でのみ使用し、その後除去してもよく、また、最終製品に残しておいても問題ない場合や、残しておいた方が好ましい場合は、そのまま残しておくこともできる。
【0086】
なお、本発明は、特に、電子機器やその部品、各種素子を含む電子装置の用途に有用であるが、その他の用途についても使用できることはいうまでもない。たとえば、電極材料、配線材料、帯電防止、ESD障害防止、電磁波シールド材料、透明導電膜等に使用することが可能である。
【0087】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、評価は次のようにした。
【0088】
(導電性膜の表面抵抗率)
導電性を評価する目的で、抵抗測定器(ADVANTEST;R12702A、Keithley;617)を用いて、20℃の条件下で、JIS−K6911に準拠して測定した。
【0089】
(クロスカット剥離試験)
密着性を評価する目的で、ポリイミドフィルム上に形成された導電性膜に対し、40℃の2−プロパノール中で20分間超音波洗浄を行い、60℃で5分間乾燥させた後、1mm間隔で10×10個(100個)のクロスカットを入れ、テープを貼付し剥離する試験を行った。剥離後においてポリイミドフィルム上に残存した導電性膜片の数の割合を残存率%(残存した導電性膜のカット数/100)とした。
【0090】
(折り曲げ試験)
機械的強度および折り曲げなどに耐えられる柔軟性を評価する目的で、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを180度折り曲げた後、再び戻し、折り曲げ箇所を顕微鏡(キーエンス;VH−8000)で100倍に拡大して観察した。
【0091】
[実施例1]
(導電性樹脂組成物の作製)
化学重合法で合成した酸化型脱ドープポリアニリンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、4質量%の溶液を作製した。得られた導電性樹脂溶液100質量部に凝集防止剤としてシクロヘキサノン100質量部、ドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸4質量部を混和し、スルホン化不飽和ポリエステル樹脂(互応化学社製、重量平均分子量67,000を50質量部加えて溶解させた。
【0092】
この後、単官能モノマーとしてフェノキシジエチレングリコールアクリレートを15質量部および光重合開始剤(日本シイベル・ヘグナー社製、エザキュアKIP75LT)5質量部を加え、撹拌装置(シンキー社製、MX−201)にて2分間撹拌し、導電性樹脂組成物を得た。この間、系は室温に保った。
【0093】
得られた導電性樹脂組成物は、目視で均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。この導電性樹脂組成物を、遮光環境中で保存したところ、3ヶ月後も、均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0094】
(導電性膜パターンの形成)
得られた導電性樹脂組成物を、ポリイミドフィルム上にバーコーターにてコートして塗布膜を形成し、塗布膜を100℃で10分間プリベークした。
【0095】
その後、365nmに中心波長を有する超高圧水銀ランプの光を、10〜200μm幅のライン&スペースパターンを有する石英ガラスマスクを通して2J/cm2の条件で照射し、塗布膜を硬化させた。
【0096】
次いで、40℃の1質量%ほう酸ナトリウム水溶液を用いて現像処理を行ってパターンを形成した後、これを水洗し、120℃で30分間ポストベークすることにより、パターンを持った導電性膜を形成した。この導電性膜パターンは厚みが4μmであり、40μmのライン&スペース解像度であった。
【0097】
なお、本発明に係る導電性膜は、これより薄い、たとえば1μm程度や、その逆にこれより厚い1〜数十μm以上の膜厚のものも作成できることはいうまでもない。
【0098】
以上のようにして導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを折り曲げ試験に供したところ、クラックや欠けは認められなかった。
【0099】
また、この導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムを、アルコール系溶剤であるエタノールやイソプロパノールに浸漬したが、形状に変化は認められなかった。
【0100】
(シート状導電性膜の形成)
前記の導電性膜パターンの形成と同様にして、導電性樹脂組成物を、ポリイミドフィルム上にバーコーターにてコートして塗布膜を形成し、これを100℃で10分間プリベークした。
【0101】
その後、365nmに中心波長を有する超高圧水銀ランプの光を、2J/cm2の条件で全面に照射し、塗布膜を硬化させた。
【0102】
次いで、40℃の1質量%ほう酸ナトリウム水溶液を用いて現像処理と同様の操作および水洗を行い、120℃で30分間ポストベークすることにより、シート状の導電性膜を形成した。
【0103】
以上のようにして形成した導電性膜の表面抵抗率は、5×107Ω/□であった。更に、この導電性膜に対し260℃にて10秒の加熱処理を行った後、同様にして表面抵抗率を測定したところ、1×107Ω/□であった。
【0104】
また、得られた導電性膜のクロスカット剥離試験の結果、カット片の残存率は94%(94/100)であった。
【0105】
[実施例2]
実施例1において使用したフェノキシジエチレングリコールアクリレートを2官能モノマーのエトキシ化ビスフェノールAジアクリレートに代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0106】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0107】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。厚みが3μmであり、30μmのライン&スペース解像度を得た。
【0108】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0109】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、2×108Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は7×107Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は97%(97/100)であった。
【0110】
[実施例3]
実施例1において作製した導電性樹脂組成物に、さらに6官能モノマーのジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを15質量部加えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0111】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0112】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが3μmであり、20μmのライン&スペース解像度を得た。
【0113】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0114】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、8×108Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は2×108Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は100%(100/100)であった。
【0115】
[実施例4]
実施例1におけるフェノキシジエチレングリコールアクリレートの添加量を5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0116】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0117】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが5μmであり、40μmのライン&スペース解像度を得た。
【0118】
また、実施例1と同様にして、導電性膜パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックおよび欠けは認められなかった。
【0119】
実施例1と同様にして形成した導電性膜の表面抵抗率は、4×107Ω/□であり、260℃10秒の加熱処理後の表面抵抗率は1×107Ω/□であった。クロスカット剥離試験における残存率は98%(98/100)であった。
【0120】
[比較例1]
実施例1におけるフェノキシジエチレングリコールアクリレートの添加量を0質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製した。
【0121】
得られた導電性樹脂組成物に対し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に3ヶ月後も均一な溶解状態にあり、凝集物は観察されなかった。
【0122】
その後、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に導電性膜パターンを形成した。導電性膜は厚みが6μmであり、40μmのライン&スペース解像度を得た。
【0123】
実施例1と同様にして、該パターンを形成したポリイミドフィルムの折り曲げ試験を行った結果、折り曲げ部分のパターンにクラックが生じていることが認められた。
【0124】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0125】
(付記1) 導電性樹脂と、
側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、
当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と
を含有する導電性樹脂組成物。
【0126】
(付記2) 溶媒を含有し、
前記各成分が当該溶媒中で実質的に溶解状態にある、付記1に記載の導電性樹脂組成物。
【0127】
(付記3) 前記光重合性樹脂の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲にある、付記1または2に記載の導電性樹脂組成物。
【0128】
(付記4) 前記光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜10の範囲のオリゴマーである、付記1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0129】
(付記5) 前記光重合性化合物が、モノマーまたは平均重合度が2〜5の範囲のオリゴマーである、付記1〜4のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0130】
(付記6) 前記導電性樹脂組成物から、揮発性液体を除いた組成中における導電性樹脂の割合をX質量%、光重合性樹脂の割合をY質量%、光重合性化合物の割合をZ質量%とした場合、
0.1≦X
40≦Y、
0.05≦Z/Y≦1.0
(ただし、X+Y+Z≦100.0)である、付記1〜5のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0131】
(付記7) さらに、ドーパントを含有する、付記1〜6のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0132】
(付記8) さらに、凝集防止剤を含有する、付記1〜7のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0133】
(付記9) 凝集物が実質的に存在しない、付記1〜8のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0134】
(付記10) 前記導電性樹脂として、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物を含有する、付記1〜9のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0135】
(付記11) 前記光重合性樹脂として、スルホン化された光重合性樹脂を含む、付記1〜10のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0136】
(付記12) 前記光重合性化合物として、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から選ばれた、少なくとも一つの化合物を含有する、付記1〜11のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0137】
(付記13) 前記溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルオクタノン、プロピレンカーボネート、N−ホルムピペリジン、N−メチルコハク酸イミド、2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムおよびトリメチルオキサゾールからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含有する、付記1〜12のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0138】
(付記14) 前記ドーパントとして、スルホン酸化合物、ポリスルホン酸化合物またはそれらの混合物を含有する、付記7〜13のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0139】
(付記15) 前記凝集防止剤として、分子内に極性部分を有する脂環状有機性液体または親油性芳香族液体またはそれらの混合物を含有する、付記8〜14のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
【0140】
(付記16) 導電性樹脂と、
側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、
当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と、
必要に応じて、ドーパントまたは凝集防止剤またはその両者と
を溶媒中に溶解して導電性樹脂組成物を製造するに際し、少なくとも導電性樹脂を溶媒中に溶解した後は、製造中および製造後の混合溶液の温度を45℃以下に保つ、付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
【0141】
(付記17) 付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜。
【0142】
(付記18) 付記17に記載の導電性膜を有する電子装置。
【0143】
(付記19) 前記導電性膜を、電子部品の近傍または電子部品の間に配する付記18に記載の電子装置。
【0144】
(付記20) 付記1〜15のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜を、製造中の電子部品の近傍または電子部品の間に配し、その後、当該導電性膜を剥離する処理を含む電子装置の製造方法。
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性、密着性、易剥離性、機械的強度、加熱により変形、剥離、クラック発生などを起こさない熱的強度、柔軟性、耐溶剤性、微小パターン形成性に優れた導電性膜、この導電性膜を形成でき、長期保存性に優れた導電性樹脂組成物、この導電性膜を使用した電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍に配する様子を示す、基板の模式的平面図である。
【図2】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍に配する様子を示す、基板の模式的横断面図である。
【図3】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を示す、基板の模式的平面図である。
【図4】本発明に係る導電性膜を、基板上の電子部品の近傍または電子部品の間に配する様子を示す、基板の模式的横断面図である。
【図5】基板上に導電性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成した様子を示す、基板の模式的断面図である。
【図6】所定の抜き部を有する導電性膜のパターンを示す、基板の模式的平面図である。
【図7】所定の抜き部を有する導電性膜のパターンを示す、基板の模式的横断面図である。
【符号の説明】
1 チップ
2 基板
3 隙間
4 導電性膜
5 フリップチップジョイント
6 導電性樹脂組成物
7 抜き部
Claims (5)
- 導電性樹脂と、
側鎖に酸性基と酸性基の塩との少なくともいずれかを含有する光重合性樹脂と、
当該光重合性樹脂以外の光重合性化合物と
を含有する導電性樹脂組成物。 - 溶媒を含有し、
前記各成分が当該溶媒中で実質的に溶解状態にある、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。 - 前記導電性樹脂として、ポリアニリンまたはその誘導体、またはそれらの混合物を含有する、請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を対象物に塗布し、光照射を含む処理を行うことによって得られる導電性膜。
- 請求項4に記載の導電性膜を有する電子装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003157626A JP2004359742A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003157626A JP2004359742A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004359742A true JP2004359742A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34051275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003157626A Pending JP2004359742A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | 導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004359742A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007182538A (ja) * | 2005-12-29 | 2007-07-19 | Cheil Industries Inc | 坑菌及び帯電防止複合機能性ハードコーティング組成物、そのコーティング方法及びそれを用いたハードコーティング透明シート |
JP2008050607A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Dongjin Semichem Co Ltd | 帯電防止用コーティング組成物、それを利用した帯電防止コーティング膜の製造方法及びそのコーティング膜 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05320312A (ja) * | 1990-11-20 | 1993-12-03 | W R Grace & Co | 不飽和エポキシエステル樹脂及びカルボキシル化不飽和エポキシエステル樹脂の製造方法及びそれを含む感光性樹脂組成物 |
JPH08243485A (ja) * | 1995-03-08 | 1996-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | 帯電防止透明プラスチックプレートの製造方法 |
JPH11172103A (ja) * | 1997-12-15 | 1999-06-29 | Toagosei Co Ltd | アニリン系樹脂組成物 |
JP2003183401A (ja) * | 2001-12-20 | 2003-07-03 | Showa Denko Kk | 硬化性樹脂組成物およびその硬化物 |
-
2003
- 2003-06-03 JP JP2003157626A patent/JP2004359742A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05320312A (ja) * | 1990-11-20 | 1993-12-03 | W R Grace & Co | 不飽和エポキシエステル樹脂及びカルボキシル化不飽和エポキシエステル樹脂の製造方法及びそれを含む感光性樹脂組成物 |
JPH08243485A (ja) * | 1995-03-08 | 1996-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | 帯電防止透明プラスチックプレートの製造方法 |
JPH11172103A (ja) * | 1997-12-15 | 1999-06-29 | Toagosei Co Ltd | アニリン系樹脂組成物 |
JP2003183401A (ja) * | 2001-12-20 | 2003-07-03 | Showa Denko Kk | 硬化性樹脂組成物およびその硬化物 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007182538A (ja) * | 2005-12-29 | 2007-07-19 | Cheil Industries Inc | 坑菌及び帯電防止複合機能性ハードコーティング組成物、そのコーティング方法及びそれを用いたハードコーティング透明シート |
JP4633686B2 (ja) * | 2005-12-29 | 2011-02-16 | チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド | 坑菌及び帯電防止複合機能性ハードコーティング組成物、そのコーティング方法及びそれを用いたハードコーティング透明シート |
JP2008050607A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Dongjin Semichem Co Ltd | 帯電防止用コーティング組成物、それを利用した帯電防止コーティング膜の製造方法及びそのコーティング膜 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7334820B2 (ja) | 感光性樹脂組成物、支持体付き感光性フィルム、多層プリント配線板及び半導体装置 | |
KR101536366B1 (ko) | 감광성 수지 조성물과 그의 경화물, 및 감광성 수지의 제조방법 | |
JP6190805B2 (ja) | ネガ型感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法、及び半導体装置 | |
TWI761897B (zh) | 負型感光性樹脂組合物、聚醯亞胺之製造方法、硬化浮凸圖案之製造方法、及半導體裝置 | |
JPWO2008123583A1 (ja) | 感光性ポリアミド酸エステル組成物 | |
US20090101394A1 (en) | Photosensitive resin composition and flexible printed wiring circut board having insulative cover layer formed of photosensitive resin composition | |
JP2015011265A (ja) | 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性フィルム、永久レジスト及び永久レジストの製造方法 | |
TW202024787A (zh) | 感光性樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜之製造方法、半導體器件 | |
TW202200671A (zh) | 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜之製造方法及半導體器件 | |
JP5062059B2 (ja) | ポリマー、感光性樹脂組成物 | |
US20110008548A1 (en) | Process for manufacturing conductive tracks | |
TWI667274B (zh) | Resin composition for forming cured film, cured film, conductive member, and method for suppressing transfer | |
JP4344589B2 (ja) | 導電性樹脂組成物、導電性樹脂膜、電子装置の製造方法 | |
JP2004359742A (ja) | 導電性樹脂組成物、導電性膜および電子装置 | |
TWI683852B (zh) | 組成物、包含其之絕緣材料及其製法 | |
TWI797291B (zh) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物的製造方法、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法、積層體的製造方法及半導體器件 | |
JP2018054937A (ja) | 感光性樹脂組成物 | |
JP2013251369A (ja) | 半導体装置の製造方法及びそれに用いる熱硬化性樹脂組成物並びにそれにより得られる半導体装置 | |
JP2023120167A (ja) | 感光性樹脂組成物、ポリイミド硬化膜、及びこれらの製造方法 | |
JP3953839B2 (ja) | 導電性樹脂組成物並びにそれを用いたパターン及びその製造方法 | |
JP2003213147A (ja) | 導電性樹脂組成物及びパターン形成方法 | |
JPS6315847A (ja) | 感光性ポリイミド組成物 | |
JP4589046B2 (ja) | 帯電防止された電子装置およびその製造方法 | |
TW202028304A (zh) | 樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法及半導體元件 | |
JP2976293B1 (ja) | 配線基板検査用コンタクトピンの製造方法及び配線基板検査装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060525 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080827 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080902 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090106 |