JP2004359442A - 巻取り装置及び巻取り方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】線条体の巻取りボビンへの巻取り張力を安定させ、一定な張力で巻取りを可能とする樹脂被覆線条体の巻取り装置及び巻取り方法を提供する。
【解決手段】ダンサローラ13a,13bと、線条体を巻取る巻取りボビン17を有する線条体11の巻取り装置であって、巻取りボビン17とダンサローラ13a,13bの間に線条体11を案内する巻取り案内ローラ14を有し、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントは、ダンサローラ13a,13bの2倍以上とすることにより巻取り張力を安定させる。また、巻取りボビン17に線条体11を案内する巻取り案内ローラ14は、駆動源により回転される支持軸上21に回転駆動可能に支持し、回転抵抗を低減させる。
【選択図】 図1
【解決手段】ダンサローラ13a,13bと、線条体を巻取る巻取りボビン17を有する線条体11の巻取り装置であって、巻取りボビン17とダンサローラ13a,13bの間に線条体11を案内する巻取り案内ローラ14を有し、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントは、ダンサローラ13a,13bの2倍以上とすることにより巻取り張力を安定させる。また、巻取りボビン17に線条体11を案内する巻取り案内ローラ14は、駆動源により回転される支持軸上21に回転駆動可能に支持し、回転抵抗を低減させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の樹脂被覆が施された線条体を、巻取りボビンで巻取る樹脂被覆線の巻取り装置及び巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバ等の樹脂被覆が施された線条体をボビンに巻取るのに、複数のガイドローラ、キャプスタン及びダンサローラ等を用い、巻取り張力を一定又は巻取り張力を調整して巻取ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。図3は、この巻取り装置の一例を示す図である。図中、1は線条体、2はガイドローラ、3a,3bはダンサローラ、4は巻取り案内ローラ、5はダンサ軸、6aはアーム、6bはアーム回転角検出器、7は巻取りボビン、8はトルクモータ、9は張力検出器、10は張力制御手段を示す。
【0003】
同図に示す巻取り装置は、光ファイバ素線等の樹脂被覆が施された線条体1をキャプスタン(図示されず)により引取り、複数のガイドローラ2とダンサローラ3a,3bにより巻取り張力を調整して、巻取り案内ローラ4を経て巻取りボビン7で巻取られる。下側のダンサローラ3bは、トルクモータ8の回転軸と同軸に設けられたダンサ軸5を中心として回動するアーム6aにより、上下に揺動自在とされている。
【0004】
トルクモータ8によってダンサ軸5にトルクを発生させ、巻き取り途中においてもダンサローラ3bに所定のモーメントを与えて巻取り張力を調整して、アーム回転角検出器6bでアーム角度を検出しつつ線条体1の巻取り速度を調整している。走行中の線条体1の張力は、張力検出器9により測定し、その張力値を張力制御手段10にフィードバックし、トルクモータ8を制御することにより、常に走行中の線条体1の巻取り張力を一定又は任意の値に制御可能となっている。なお、トルクモータ8とダンサ軸5の代わりに、所定の重さの錘を用いてもよい。
【0005】
線条体1の走行中に張力を変えるケースとしては、主にボビン7の切換え時に線条体を切断する必要があり、一時的に張力を増加させる場合、また、停止状態から所定の線速に至るまで巻取り速度が一定でない場合等がある。なお、ガイドローラ2、ダンサローラ3a,3b、巻取り案内ローラ4等のローラは、通常、同程度の外径で、同程度の回転モーメントを有している。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−255885号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ダンサローラにより張力調整を行なうとしても、線条体が通過するパスライン上で、多くの回転ローラを通るためローラの回転ムラ等による張力変動があり、この変動量によっては線条体の巻取りに影響が生じる。特に、樹脂被覆された線条体を樹脂製の巻取りボビンで巻取る場合、巻取り張力が低下すると、静電気により線条体がボビン鍔部に張付きやすくなる。また、巻取り張力が大きくなり過ぎると、ボビン上の光ファイバにストレスが加わり、ボビンに巻取られた状態で損失が増加し、正常な特性値が得られなくなることがある。
【0008】
ボビン鍔部に線条体が張付くと、以後の巻取りに支障をきたすとともに、巻崩れの原因となる。巻崩れが生じたり、線条体にストレスが加わっているような場合は、巻取られた線条体を巻き替える必要があり、生産性を大幅に低下させることとなる。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、線条体の巻取りボビンへの巻取り張力を安定させ、一定な張力で巻取りを可能とする線条体の巻取り装置及び巻取り方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による巻取り装置は、ダンサローラと、線条体を巻取る巻取りボビンを有する線条体の巻取り装置であって、巻取りボビンとダンサローラの間に線条体を案内する巻取り案内ローラを有し、巻取り案内ローラの慣性モーメントは、ダンサローラの2倍以上とすることにより巻取り張力を安定させたものである。また、巻取りボビンに線条体を案内する巻取り案内ローラは、駆動源により回転される支持軸上に回転駆動可能に支持し、回転抵抗を低減させる。
【0011】
また、本発明による巻取り方法は、巻取りボビンに樹脂被覆線を案内する巻取り案内ローラを、支持軸上で回転させながら前記樹脂被覆線を前記巻取りボビンに巻取る方法であって、巻取り方向と同方向に前記支持軸を回転させるようにするものである。また、巻取り開始当初には、支持軸を巻取り案内ローラと同程度の回転数で回転させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の概略を説明する図、図2は巻取り案内ローラの一例を説明する図である。図中、11は線条体、12はガイドローラ、13a,13bはダンサローラ、14は巻取り案内ローラ、14aは軸受、15はダンサ軸、16はダンサアーム、17は巻取りボビン、18はトルクモータ、19は張力検出器、20は制御装置、21は支持軸、21aは固定軸受、22は回転伝達手段、23は駆動モータを示す。
【0013】
本発明で巻取りの対象とする線条体11は、樹脂被覆が施された光ファイバ、銅線等の被覆外径が1mm程度以下の比較的細い線条体であって、その巻取りボビンへの巻取り状態が、製品の特性に影響を及ぼすようなものとする。例えば、ガラスの光ファイバを線引した後、これに引続いて樹脂被覆を施して連続的に巻取りボビンに巻取るような場合、又は、一旦巻取られた線条体に着色塗料や2次被覆を施して再巻取りする場合等が想定される。
【0014】
本発明における巻取り装置は、図3で説明した従来の巻取り装置と同様に、光ファイバ素線等の樹脂被覆が施された線条体11をキャプスタン(図示されず)により引取られ、複数のガイドローラ12とダンサローラ13a,13bにより巻取り張力を調整され、巻取り案内ローラ14を経て巻取りボビン17で巻取られる。
【0015】
ダンサー装置は、トルクモータ18でダンサ軸15に回転トルクを発生させて、走行中の線条体11の張力を変えることができる。また、巻取りボビン17の回転数、線条体11の走行速度、巻取り張力等は、制御装置20によって設定制御されるものとする。
【0016】
線条体11の張力は、張力検出器19により常時検出され、制御装置20により監視される。また、制御装置20は、入力された張力信号に基づいてトルクモータ18を駆動制御して、線条体の11の張力が所定の値になるように制御する。しかし、線条体11を高速で巻取る場合、線条体11が通過するパスラインでローラの回転ムラ等により、設定された所定の張力値を中心に波状に変動する。この張力の変動周期は、できるだけ大きくなるようにし、また、その変動幅はできるだけ小さくすることで安定な巻取りが可能となる。
【0017】
本発明では、巻取りボビン17の直前に配される巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを、他のガイドローラ12やダンサローラ13a,13bに比べて大きくすることにより、巻取り張力の安定化を図っている。なお、「直前に配される」とは、巻取りボビン17と巻取り案内ローラ14の間に、他のローラ等が存在しないということを意味し、距離的に短い長いと言うようなことではない。回転体の慣性モーメントJは、比例定数をk、回転体の質量をm、回転体の回転半径をRとすると、k×m×R2で表すことができる。したがって、巻取り案内ローラ14のローラ径を増加させるか、或いは、その質量を増加させることにより、その慣性モーメントを大きくすることができる。
【0018】
巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを大きくすることにより、巻取り案内ローラ14は、他のローラと比べて回転させにくいが一旦回転すると回転が止まりにくくなる。これにより、キャプスタン側の張力変動は、巻取り案内ローラ14で吸収することが可能となり、巻取り案内ローラ14の回転に従う線条体11の走行速度の変動、すなわち張力変動の応答性を緩慢にすることができる。なお、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントは、他に配置されるローラ(ガイドローラ12、ダンサローラ13a,13b等)の2倍以上とするのが望ましい。
【0019】
巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを、他に配置されるローラの2倍以上とすることにより、例えば、巻取りボビン17と巻取り案内ローラ14間の張力を「50g±5g」から「50g±2g」とすることができる。すなわち、張力の変動幅を小さくすることができ、フライホイール効果により変動周期は大きくすることが可能となる。この結果、線条体11を安定した所定の張力で巻取りボビン17に巻取ることができ、線条体11がボビン鍔部に張付いて巻崩れを起したり、過度の張力で巻取られて特性低下状態の測定がされたりするのを回避することができる。
【0020】
一方、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを大きくすると、巻取り案内ローラの軸受の回転抵抗が大きくなって、巻取り張力を大きくせざるを得なくなる。巻取り張力を大きくすると、線条体11に加わるストレスが特性低下の一因となるので、本発明では、慣性モーメントを大きくしているが、支持軸21を回転させることで軸受部の負荷軽減をはかるようにしている。
【0021】
図2は、巻取り案内ローラ14の軸受14aの負荷を軽減するための一例を説明する図である。巻取り案内ローラ14の軸受14aは、例えば、ラジアル玉軸受が用いられ、支持軸21上に回転可能に取付けられる。通常、支持軸21は非回転の固定軸とされ、巻取り案内ローラ14は軸受14aの回転抵抗に抗して回転される。軸受14aの回転抵抗を低減するには、例えば、ベアリングにセラミック球を用いたり、オイルを循環供給したりするなどの軸受自体の構造的な改善での各種の方法が知られている。
【0022】
しかし、本発明では、軸受14aの構造自体には手を加えず、支持軸21を回転させることにより回転抵抗を抑制できるようにしている。支持軸21は、ラジアル玉軸受等を用いた固定軸受21a等により回転可能に支持させる。支持軸21の回転制御は、例えば、駆動モータ23の回転をベルト、チェーン或いは歯車機構等を用いた回転伝達手段22を用いて行なうことができる。また、駆動モータ23自体の回転駆動制御は、制御装置20で設定された制御値及び張力検出器19で計測された張力情報信号によって行なわれる。
【0023】
以上の軸受機構で、巻取り案内ローラ14の回転と同方向に支持軸21自体を回転させることにより、軸受14aのインナーとアウターの相対回転を少なくして回転抵抗を小さくすることが可能となる。巻取り案内ローラ14の回転と支持軸21の回転を全く同じとすると、このときの巻取り案内ローラ14の軸受14aにおける回転抵抗は、実質的にゼロとなる。さらに、支持軸21の回転を巻取り案内ローラ14の回転より速くすると回転抵抗は、ゼロより小さいマイナスにすることができる。回転抵抗がマイナスということは、巻取り案内ローラ14を支持軸21の回転方向に回転させるということになる。
【0024】
高速巻取りでは、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを増加したとき、形状の増加等があると、軸受14aの回転抵抗が大きくなる以外に、回転による空気抵抗の影響も大きくなる。したがって、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを増加させたことによる、軸受部の回転抵抗及び形状増加による空気抵抗の影響を低下することが可能となる。
【0025】
また、巻取り開始の当初は、巻取り案内ローラ14を低速から所定の高速値まで回転させるのに大きな駆動力を要し、その巻取り張力が大きく、慣性モーメントを大きくすることで、さらに大きくなる。そこで、本発明においては、巻取り開始の当初は、支持軸21を巻取り案内ローラ14の回転より速く回転させることにより、実質的に巻取り案内ローラ14の軸受14aの回転抵抗をゼロ乃至はマイナスにすることにより、巻取り開始の当初における張力が大きくならないようにすることができる。
【0026】
上述のようにして線条体の巻取りを行なうことにより、線条体の巻取り開始sから終了まで、全体を通して安定した巻取り張力で巻取りボビンに巻取ることが可能となる。これにより、巻取り張力の低下でボビン鍔部に線条体が張付いて巻崩れるのが低減され、また、過度の張力で巻取り状態における線条体の特性測定が悪化するのを低減させることができる。従来は、一旦巻取ったうちの20%位を巻き替えて、再度測定し直していたが、本発明の巻取り装置又は方法を用いることにより10%程度の巻き替えで済むようになり、生産性を向上させることができた。
【0027】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、線条体の巻取りボビンへの巻取り張力を安定させて、一定な張力で巻取りボビンへの巻取りを可能とし、巻き直しの発生を低減して生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による巻取装置の概略を説明する図である。
【図2】本発明による巻取り案内ローラの軸受の負荷軽減を説明する図である。
【図3】従来の巻取り装置の一例を説明する図である。
【符号の説明】
11…線条体、12…ガイドローラ、13a,13b…ダンサローラ、14…巻取り案内ローラ、14a…軸受、15…ダンサ軸、16…ダンサアーム、17…巻取りボビン、18…トルクモータ、19…張力検出器、20…制御装置、21…支持軸、21a…固定軸受、22…回転伝達手段、23…駆動モータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の樹脂被覆が施された線条体を、巻取りボビンで巻取る樹脂被覆線の巻取り装置及び巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバ等の樹脂被覆が施された線条体をボビンに巻取るのに、複数のガイドローラ、キャプスタン及びダンサローラ等を用い、巻取り張力を一定又は巻取り張力を調整して巻取ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。図3は、この巻取り装置の一例を示す図である。図中、1は線条体、2はガイドローラ、3a,3bはダンサローラ、4は巻取り案内ローラ、5はダンサ軸、6aはアーム、6bはアーム回転角検出器、7は巻取りボビン、8はトルクモータ、9は張力検出器、10は張力制御手段を示す。
【0003】
同図に示す巻取り装置は、光ファイバ素線等の樹脂被覆が施された線条体1をキャプスタン(図示されず)により引取り、複数のガイドローラ2とダンサローラ3a,3bにより巻取り張力を調整して、巻取り案内ローラ4を経て巻取りボビン7で巻取られる。下側のダンサローラ3bは、トルクモータ8の回転軸と同軸に設けられたダンサ軸5を中心として回動するアーム6aにより、上下に揺動自在とされている。
【0004】
トルクモータ8によってダンサ軸5にトルクを発生させ、巻き取り途中においてもダンサローラ3bに所定のモーメントを与えて巻取り張力を調整して、アーム回転角検出器6bでアーム角度を検出しつつ線条体1の巻取り速度を調整している。走行中の線条体1の張力は、張力検出器9により測定し、その張力値を張力制御手段10にフィードバックし、トルクモータ8を制御することにより、常に走行中の線条体1の巻取り張力を一定又は任意の値に制御可能となっている。なお、トルクモータ8とダンサ軸5の代わりに、所定の重さの錘を用いてもよい。
【0005】
線条体1の走行中に張力を変えるケースとしては、主にボビン7の切換え時に線条体を切断する必要があり、一時的に張力を増加させる場合、また、停止状態から所定の線速に至るまで巻取り速度が一定でない場合等がある。なお、ガイドローラ2、ダンサローラ3a,3b、巻取り案内ローラ4等のローラは、通常、同程度の外径で、同程度の回転モーメントを有している。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−255885号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ダンサローラにより張力調整を行なうとしても、線条体が通過するパスライン上で、多くの回転ローラを通るためローラの回転ムラ等による張力変動があり、この変動量によっては線条体の巻取りに影響が生じる。特に、樹脂被覆された線条体を樹脂製の巻取りボビンで巻取る場合、巻取り張力が低下すると、静電気により線条体がボビン鍔部に張付きやすくなる。また、巻取り張力が大きくなり過ぎると、ボビン上の光ファイバにストレスが加わり、ボビンに巻取られた状態で損失が増加し、正常な特性値が得られなくなることがある。
【0008】
ボビン鍔部に線条体が張付くと、以後の巻取りに支障をきたすとともに、巻崩れの原因となる。巻崩れが生じたり、線条体にストレスが加わっているような場合は、巻取られた線条体を巻き替える必要があり、生産性を大幅に低下させることとなる。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、線条体の巻取りボビンへの巻取り張力を安定させ、一定な張力で巻取りを可能とする線条体の巻取り装置及び巻取り方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による巻取り装置は、ダンサローラと、線条体を巻取る巻取りボビンを有する線条体の巻取り装置であって、巻取りボビンとダンサローラの間に線条体を案内する巻取り案内ローラを有し、巻取り案内ローラの慣性モーメントは、ダンサローラの2倍以上とすることにより巻取り張力を安定させたものである。また、巻取りボビンに線条体を案内する巻取り案内ローラは、駆動源により回転される支持軸上に回転駆動可能に支持し、回転抵抗を低減させる。
【0011】
また、本発明による巻取り方法は、巻取りボビンに樹脂被覆線を案内する巻取り案内ローラを、支持軸上で回転させながら前記樹脂被覆線を前記巻取りボビンに巻取る方法であって、巻取り方向と同方向に前記支持軸を回転させるようにするものである。また、巻取り開始当初には、支持軸を巻取り案内ローラと同程度の回転数で回転させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の概略を説明する図、図2は巻取り案内ローラの一例を説明する図である。図中、11は線条体、12はガイドローラ、13a,13bはダンサローラ、14は巻取り案内ローラ、14aは軸受、15はダンサ軸、16はダンサアーム、17は巻取りボビン、18はトルクモータ、19は張力検出器、20は制御装置、21は支持軸、21aは固定軸受、22は回転伝達手段、23は駆動モータを示す。
【0013】
本発明で巻取りの対象とする線条体11は、樹脂被覆が施された光ファイバ、銅線等の被覆外径が1mm程度以下の比較的細い線条体であって、その巻取りボビンへの巻取り状態が、製品の特性に影響を及ぼすようなものとする。例えば、ガラスの光ファイバを線引した後、これに引続いて樹脂被覆を施して連続的に巻取りボビンに巻取るような場合、又は、一旦巻取られた線条体に着色塗料や2次被覆を施して再巻取りする場合等が想定される。
【0014】
本発明における巻取り装置は、図3で説明した従来の巻取り装置と同様に、光ファイバ素線等の樹脂被覆が施された線条体11をキャプスタン(図示されず)により引取られ、複数のガイドローラ12とダンサローラ13a,13bにより巻取り張力を調整され、巻取り案内ローラ14を経て巻取りボビン17で巻取られる。
【0015】
ダンサー装置は、トルクモータ18でダンサ軸15に回転トルクを発生させて、走行中の線条体11の張力を変えることができる。また、巻取りボビン17の回転数、線条体11の走行速度、巻取り張力等は、制御装置20によって設定制御されるものとする。
【0016】
線条体11の張力は、張力検出器19により常時検出され、制御装置20により監視される。また、制御装置20は、入力された張力信号に基づいてトルクモータ18を駆動制御して、線条体の11の張力が所定の値になるように制御する。しかし、線条体11を高速で巻取る場合、線条体11が通過するパスラインでローラの回転ムラ等により、設定された所定の張力値を中心に波状に変動する。この張力の変動周期は、できるだけ大きくなるようにし、また、その変動幅はできるだけ小さくすることで安定な巻取りが可能となる。
【0017】
本発明では、巻取りボビン17の直前に配される巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを、他のガイドローラ12やダンサローラ13a,13bに比べて大きくすることにより、巻取り張力の安定化を図っている。なお、「直前に配される」とは、巻取りボビン17と巻取り案内ローラ14の間に、他のローラ等が存在しないということを意味し、距離的に短い長いと言うようなことではない。回転体の慣性モーメントJは、比例定数をk、回転体の質量をm、回転体の回転半径をRとすると、k×m×R2で表すことができる。したがって、巻取り案内ローラ14のローラ径を増加させるか、或いは、その質量を増加させることにより、その慣性モーメントを大きくすることができる。
【0018】
巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを大きくすることにより、巻取り案内ローラ14は、他のローラと比べて回転させにくいが一旦回転すると回転が止まりにくくなる。これにより、キャプスタン側の張力変動は、巻取り案内ローラ14で吸収することが可能となり、巻取り案内ローラ14の回転に従う線条体11の走行速度の変動、すなわち張力変動の応答性を緩慢にすることができる。なお、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントは、他に配置されるローラ(ガイドローラ12、ダンサローラ13a,13b等)の2倍以上とするのが望ましい。
【0019】
巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを、他に配置されるローラの2倍以上とすることにより、例えば、巻取りボビン17と巻取り案内ローラ14間の張力を「50g±5g」から「50g±2g」とすることができる。すなわち、張力の変動幅を小さくすることができ、フライホイール効果により変動周期は大きくすることが可能となる。この結果、線条体11を安定した所定の張力で巻取りボビン17に巻取ることができ、線条体11がボビン鍔部に張付いて巻崩れを起したり、過度の張力で巻取られて特性低下状態の測定がされたりするのを回避することができる。
【0020】
一方、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを大きくすると、巻取り案内ローラの軸受の回転抵抗が大きくなって、巻取り張力を大きくせざるを得なくなる。巻取り張力を大きくすると、線条体11に加わるストレスが特性低下の一因となるので、本発明では、慣性モーメントを大きくしているが、支持軸21を回転させることで軸受部の負荷軽減をはかるようにしている。
【0021】
図2は、巻取り案内ローラ14の軸受14aの負荷を軽減するための一例を説明する図である。巻取り案内ローラ14の軸受14aは、例えば、ラジアル玉軸受が用いられ、支持軸21上に回転可能に取付けられる。通常、支持軸21は非回転の固定軸とされ、巻取り案内ローラ14は軸受14aの回転抵抗に抗して回転される。軸受14aの回転抵抗を低減するには、例えば、ベアリングにセラミック球を用いたり、オイルを循環供給したりするなどの軸受自体の構造的な改善での各種の方法が知られている。
【0022】
しかし、本発明では、軸受14aの構造自体には手を加えず、支持軸21を回転させることにより回転抵抗を抑制できるようにしている。支持軸21は、ラジアル玉軸受等を用いた固定軸受21a等により回転可能に支持させる。支持軸21の回転制御は、例えば、駆動モータ23の回転をベルト、チェーン或いは歯車機構等を用いた回転伝達手段22を用いて行なうことができる。また、駆動モータ23自体の回転駆動制御は、制御装置20で設定された制御値及び張力検出器19で計測された張力情報信号によって行なわれる。
【0023】
以上の軸受機構で、巻取り案内ローラ14の回転と同方向に支持軸21自体を回転させることにより、軸受14aのインナーとアウターの相対回転を少なくして回転抵抗を小さくすることが可能となる。巻取り案内ローラ14の回転と支持軸21の回転を全く同じとすると、このときの巻取り案内ローラ14の軸受14aにおける回転抵抗は、実質的にゼロとなる。さらに、支持軸21の回転を巻取り案内ローラ14の回転より速くすると回転抵抗は、ゼロより小さいマイナスにすることができる。回転抵抗がマイナスということは、巻取り案内ローラ14を支持軸21の回転方向に回転させるということになる。
【0024】
高速巻取りでは、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを増加したとき、形状の増加等があると、軸受14aの回転抵抗が大きくなる以外に、回転による空気抵抗の影響も大きくなる。したがって、巻取り案内ローラ14の慣性モーメントを増加させたことによる、軸受部の回転抵抗及び形状増加による空気抵抗の影響を低下することが可能となる。
【0025】
また、巻取り開始の当初は、巻取り案内ローラ14を低速から所定の高速値まで回転させるのに大きな駆動力を要し、その巻取り張力が大きく、慣性モーメントを大きくすることで、さらに大きくなる。そこで、本発明においては、巻取り開始の当初は、支持軸21を巻取り案内ローラ14の回転より速く回転させることにより、実質的に巻取り案内ローラ14の軸受14aの回転抵抗をゼロ乃至はマイナスにすることにより、巻取り開始の当初における張力が大きくならないようにすることができる。
【0026】
上述のようにして線条体の巻取りを行なうことにより、線条体の巻取り開始sから終了まで、全体を通して安定した巻取り張力で巻取りボビンに巻取ることが可能となる。これにより、巻取り張力の低下でボビン鍔部に線条体が張付いて巻崩れるのが低減され、また、過度の張力で巻取り状態における線条体の特性測定が悪化するのを低減させることができる。従来は、一旦巻取ったうちの20%位を巻き替えて、再度測定し直していたが、本発明の巻取り装置又は方法を用いることにより10%程度の巻き替えで済むようになり、生産性を向上させることができた。
【0027】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、線条体の巻取りボビンへの巻取り張力を安定させて、一定な張力で巻取りボビンへの巻取りを可能とし、巻き直しの発生を低減して生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による巻取装置の概略を説明する図である。
【図2】本発明による巻取り案内ローラの軸受の負荷軽減を説明する図である。
【図3】従来の巻取り装置の一例を説明する図である。
【符号の説明】
11…線条体、12…ガイドローラ、13a,13b…ダンサローラ、14…巻取り案内ローラ、14a…軸受、15…ダンサ軸、16…ダンサアーム、17…巻取りボビン、18…トルクモータ、19…張力検出器、20…制御装置、21…支持軸、21a…固定軸受、22…回転伝達手段、23…駆動モータ。
Claims (6)
- ダンサローラと、線条体を巻取る巻取りボビンを有する線条体の巻取り装置であって、前記巻取りボビンと前記ダンサローラの間に線条体を案内する巻取り案内ローラを有し、前記巻取り案内ローラの慣性モーメントは、前記ダンサローラの2倍以上としたことを特徴とする巻取り装置。
- 線条体を巻取りボビンに巻取る線条体の巻取り装置であって、前記巻取りボビンに線条体を案内する巻取り案内ローラは、駆動源により回転される支持軸上に回転駆動可能に支持されていることを特徴とする巻取り装置。
- 前記巻取りローラの上流にダンサローラを有し、前記巻取り案内ローラの慣性モーメントは、前記ダンサローラの2倍以上としたことを特徴とする請求項2に記載の巻取り装置。
- 巻取りボビンに樹脂被覆線を案内する巻取り案内ローラを、支持軸上で回転させながら前記樹脂被覆線を前記巻取りボビンに巻取る方法であって、巻取り方向と同方向に前記支持軸を回転させることを特徴とする巻取り方法。
- 巻取り開始当初は、前記支持軸を前記巻取り案内ローラと同程度の回転数で回転させることを特徴とする請求項4に記載の巻取り方法。
- 前記巻取り案内ローラの上流にダンサローラを有し、前記巻取り案内ローラの慣性モーメントは、前記ダンサローラの2倍以上としたことを特徴とする請求項4に記載の巻取り方法。
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JP2003162369A JP2004359442A (ja) | 2003-06-06 | 2003-06-06 | 巻取り装置及び巻取り方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-06-06 JP JP2003162369A patent/JP2004359442A/ja active Pending
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