JP2004358846A - 琺瑯/光触媒複層被覆金属板 - Google Patents

琺瑯/光触媒複層被覆金属板 Download PDF

Info

Publication number
JP2004358846A
JP2004358846A JP2003161101A JP2003161101A JP2004358846A JP 2004358846 A JP2004358846 A JP 2004358846A JP 2003161101 A JP2003161101 A JP 2003161101A JP 2003161101 A JP2003161101 A JP 2003161101A JP 2004358846 A JP2004358846 A JP 2004358846A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
enamel
photocatalyst
metal plate
coated metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003161101A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumasa Anami
克全 阿波
Setsuko Koura
節子 小浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP2003161101A priority Critical patent/JP2004358846A/ja
Publication of JP2004358846A publication Critical patent/JP2004358846A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【目的】塗膜密着性,光触媒活性に優れた琺瑯層2/光触媒層3の複層塗膜が形成された塗装金属板を提供する。
【構成】下地・金属板1の上に琺瑯層2,光触媒層3が順次形成され、琺瑯層2の表面全域に平均サイズ500μm以下の微細クラック4,光触媒層3の表面全域に平均サイズ300μm以下の微細クラック5が分散している。
【効果】微細クラック4,5により琺瑯層2,光触媒層3の密着性が向上すると共に、光触媒粒子の有効表面積が増加して優れた光触媒活性を呈する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光触媒層の密着性,光触媒活性を高めた琺瑯/光触媒複層被覆金属板に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
アナターゼ型チタニア等の光触媒粒子を配合した塗料を下地・金属板に塗布し焼成すると、光触媒活性が付与された塗膜が形成される。光触媒粒子の分散によりNOx,SOx,有機物等が分解され塗膜表面の耐汚染性も向上するが、光触媒反応は、汚れとなって付着している有機物成分の分解に留まらず、塗膜を構成する樹脂成分をも分解する。この点、無機塗膜では、光触媒活性で分解される成分を含まないので、チョーキング,剥離等の欠陥が生じない。
無機塗膜は、セメント,石膏,琺瑯釉薬等の無機バインダに光触媒粒子を配合した塗料から成膜されている(特許第2918787号,特開平11−71686号公報)。シリカゾル,アルミナゾル等をバインダに使用し、高温焼付けによってシリカ質又はアルミナ質の塗膜を形成する方法も知られている。無機塗膜のなかでも琺瑯層は、親水性表面を呈することから汚れにくい。
【0003】
光触媒活性を付与した琺瑯層において、光触媒粒子の有効表面を増大させるため琺瑯層に微細クラックを入れることが報告されている(特開2001−303276号公報)。微細クラックによって光触媒反応に寄与する光触媒粒子の有効表面積が増加するものの、琺瑯層に分散していることから有効表面積の増加には限度がある。琺瑯層の焼成時に光触媒粒子を塗膜表面に露出させる方法(特許第2667331号公報)も開発されているが、工程が複雑で塗布・焼成条件に制約が加わる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、琺瑯層,光触媒層の複層構成を採用し、琺瑯層,光触媒層に微細クラックを入れることにより、光触媒層の密着性,光触媒活性を改善した琺瑯/光触媒複層被覆金属板を提供することを目的とする。
本発明の琺瑯/光触媒複層被覆金属板は、下地・金属板の表面に琺瑯層,光触媒層が順次積層されており、琺瑯層では平均サイズ500μm以下のクラック,光触媒層では平均サイズ300μm以下のクラックが表面全域に分布している。
【0005】
平均サイズ500μm以下のクラックが入った琺瑯層は、熱膨張係数が下地・金属板より大きな低温焼成型SiO−NaO系又はP−Al系フリットからなる琺瑯釉薬を下地・金属板に塗布し、500〜600℃に加熱することにより形成される。平均サイズ300μm以下のクラックが入った光触媒層は、スチレン換算分子量:300以上の分子集合体を含むシリカ系バインダ,シラン処理した光触媒粉末,無機顔料を含む光触媒塗料を塗布し、150〜400℃で焼成することにより形成される。
【0006】
【作用及び実施の形態】
本発明に従った琺瑯/光触媒複層被覆金属板は、下地・金属板1の表面に琺瑯層2,光触媒層3の複層塗膜が形成されている(図1)。琺瑯層2では平均サイズ500μm以下の微細クラック4,光触媒層3では平均サイズ300μm以下の微細クラック5が表面全域に分布している。
【0007】
琺瑯層2の微細クラック4は、光触媒塗料が入り込んで光触媒層3と機械的に噛み合い、琺瑯層2に対する光触媒層3の密着性を向上させる。微細クラック4は、琺瑯層2に対する光触媒塗料の馴染み性を向上する上でも有効である。また、琺瑯釉薬の焼成時に生じる熱応力が微細クラック4で分散されるため、下地・金属板1から琺瑯層2が剥離するまでに応力や歪みが大きくならない。また、琺瑯層2の表面に光触媒層3を形成する際、琺瑯層2の微細クラック4によって光触媒層3の有効表面が増加し、光触媒活性も向上する。
【0008】
塗膜密着性の向上は、平均サイズ500μm以下の微細クラック4でみられる。平均粒径が500μmを超えるサイズのクラックは、琺瑯層2を貫通して下地・金属板1に達するものもあり、琺瑯層2の機能が損なわれる。サイズの下限は特に規定されるものではないが、光触媒塗料の進入を考慮すると50μm以上の微細クラック4が好ましい。なお、クラックサイズは、顕微鏡を用いた拡大視野で観察することにより測定できる。
【0009】
微細クラック4は、下地・金属板1より大きな熱膨張係数をもつ低温焼成型SiO−NaO系又はP−Al形フリットからなる琺瑯釉薬を下地・金属板1に塗布し、500〜600℃で加熱焼成することにより形成される。
光触媒層3には、微細クラック5が全面に分散している。微細クラック5は、光触媒反応に寄与する光触媒粒子の有効表面積を著しく増大させると共に、光触媒塗料の焼成時に生じる熱応力を分散させて琺瑯層2に対する光触媒層3の密着性を向上する。
【0010】
塗膜密着性,光触媒活性の向上は、平均サイズ300μm以下の微細クラック5でみられる。平均粒径が300μmを超えるクラックは、光照射によって塗膜が収縮し、割れ幅が大きくなって徐々に塗膜剥離に至るので好ましくない。サイズの下限は特に規定されるものではないが、極端に小さなクラックサイズでは耐摩耗性が劣るので10μm以上が好ましい。
【0011】
〔下地・金属板〕
下地・金属板に使用される塗装原板には、普通鋼板,ステンレス鋼板,Alめっき鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板等がある。塗装原板には、必要に応じてアルカリ脱脂,クロメート処理,リン酸塩処理等の塗装前処理が施される。
【0012】
〔琺瑯層の形成〕
下地・金属板の表面に塗布される琺瑯釉薬のフリットには、熱膨張係数が下地・金属板よりも大きな低温焼成型フリットが使用される。この種のフリットとしては、熱膨張係数が150〜250×10−7/℃(20〜300℃)で軟化点の上限が510℃のSiO−NaO系フリット,熱膨張係数が110〜200×10−7/℃(20〜300℃)で軟化点の上限が490℃のP−Al系フリット等がある。
【0013】
SiO−NaO系フリットでは、具体的に酸化物換算でSiO:40〜50質量%,NaO+KO:15〜25質量%,B:5〜15質量%,TiO:15〜25質量%,ZnO:4〜8質量%,V:1〜5質量%の組成に調製される。P−Al系フリットでは、P:30〜45質量%,Al:25〜35質量%,NaO:6〜18質量%,Sb:6〜14質量%,B:5〜15質量%の組成に調製される。調製された琺瑯用フリットは、焼成温度550〜600℃で溶け不足なく溶融する。フリットには、必要とする色彩に応じてフリット100質量部に対し2〜20質量部の顔料,分散剤,水等を加えてボールミルで混合粉砕し、100メッシュ・フルイでオールパスするフリットが琺瑯釉薬に使用される。
【0014】
琺瑯釉薬が塗布された下地・金属板1を500〜600℃に加熱することにより焼成反応が進行し、琺瑯層2が形成される。焼成温度が500℃未満では、光沢性低下の原因となる溶け不足が生じやすい。しかし、600℃を超える高温加熱では、熱変形が大きくなりすぎ、焼成後の矯正加工が必要になる。
焼成によって形成される琺瑯層2は、十分な隠蔽性,密着性を確保するため、20〜150μmの厚みをもつことが好ましい。厚みが20μmに達しない琺瑯層2は,隠蔽能の不足によって下地・金属板1が透けて見えることがある。逆に150μmを超える厚膜の琺瑯層2では、琺瑯層2の密着性が低下し、衝撃等の外力が加わったときに欠け落ちやすく、外観品質に悪影響を及ぼす。
【0015】
〔光触媒層の形成〕
光触媒層の形成に使用される塗料は、光触媒分散トナー,無機バインダを含んでいる。
光触媒分散トナーは、イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒にTiO粉末,オルガノアルコキシシラン,水を配合することにより調製される。TiO粉末には粒径5〜200nmのアナターゼ型チタニア粉末が使用され、塗料組成物の固形分の5〜80質量%を占める割合で配合される。光触媒塗料は、分散性を付与するためシランカップリング処理したTiO粉末が好ましく、同様にシランカップリング処理した無機顔料も添加される。オルガノアルコキシシランは、一般式RSi(OR〔Rは炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基〕で表され、好ましくは1〜10質量%の割合で配合される。水の添加量は、オルガノアルコキシシランを部分加水分解させるが、オルガノアルコキシシラン相互の脱水縮合反応を進行させない範囲、具体的には0.1〜10質量%の範囲で選定される。
【0016】
無機バインダは、シリカ:40〜70質量%,オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物:30〜60質量%の固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させている。オルガノヒドロキシシランは、一般式RSi(OH)〔Rは炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基〕で表される化合物である。
【0017】
シリカにオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が結合した分子集合体は、加水分解,縮合時の温度,時間を調整することにより所定の分子量,分子量分布に収められる。スチレン換算分子量を300以上とし、分子量分布を分子量300〜500が0〜20%,分子量500〜1000が20〜40%,分子量1000〜10000が40〜70%に調製するとき、平均サイズ300μm以下のクラックを光触媒層の表面全域に発現させることができる。
【0018】
十分に攪拌した光触媒分散トナーに無機バインダを徐々に加えながら、更に攪拌することにより光触媒塗料が調製される。このとき、固形分としてTiOが5〜80質量%となる配合比率で光触媒分散トナー,無機バインダを混合する。十分な光触媒活性を得る上で5質量%以上のTiO含有量が必要であるが、80質量%を超える過剰量のTiOが含まれると光触媒層の密着性が低下する。
調製された光触媒塗料は、スプレー法,浸漬法,フローコーティング法,ロールコート法,スクリーン印刷法,静電塗装法等によって琺瑯層2の表面に塗布される。塗布後、150〜400℃で1〜30分加熱することにより、密着性に優れた光触媒層3が形成される。光触媒層3の膜厚は、基材の種類や用途に応じて異なり一概に定めることはできないが、通常1〜30μmの範囲に調整される。
【0019】
【実施例】
〔琺瑯/光触媒複層被覆金属板の製造例1:本発明例〕
板厚0.1mmのSUS304ステンレス鋼板を塗装原板に使用し、ショットブラスト後、アルカリ脱脂,水洗,乾燥した。
琺瑯用フリットには、熱膨張係数が214×10−7/℃のフリットA(表1)を用意した。フリットA:100質量部にケイ酸カリウム:10質量部,水:40質量部を混合し攪拌することにより琺瑯釉薬を調製した。得られた琺瑯釉薬をアルカリ脱脂後のSUS304ステンレス鋼板にスプレー塗布し、570℃で7分間焼成した。
【0020】
Figure 2004358846
【0021】
光触媒塗料には、次の光触媒分散トナー(NV.40%)を25質量%,無機バインダ(NV.20%)を75質量%の割合で混合攪拌することにより用意した。イソプロパノール:50質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:50質量%の混合溶媒に3質量%のメチルトリメトキシシラン,0.3質量%の水を添加し、更に粒径20nmのアナターゼ型チタニア粉末及びジルコニアで表面処理した平均粒径0.2μmのルチル型酸化チタン(着色顔料粉末)を添加した。アナターゼ型チタニア粉末,着色顔料粉末の添加量は、相互の質量比を75:25とし、トナー全体の40質量%となるように設定した。ビーズミルを用いた攪拌機で混合物を分散攪拌することにより光触媒分散トナーを調製した。
【0022】
水系コロイダルシリカ(平均粒径5〜20nm,固形分20質量%,pH3.0):21.2g,イソプロパノール系コロイダルシリカ(平均粒径5〜20nm,固形分20質量%):62.6gを混合した後、メチルトリメトキシシラン:13.9gを添加し、80℃で12時間攪拌して加水分解を完了させた。次いで、加水分解物にイソプロパノール:33質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:67質量%の混合溶媒を添加し、更にアンモニア水を添加してpHを4.5に調整した。
光触媒塗料を琺瑯層に塗布し、200℃で20分焼成することにより、トップの光触媒層3を形成した。
【0023】
〔琺瑯/光触媒複層被覆金属板の製造例2:本発明例〕
塗装原板が板厚1.5mmのAlめっき鋼板,琺瑯用フリットが熱膨張係数178×10−7/℃のフリットB(表2),光触媒粒子が粒径7nmのアナターゼ型チタニア粉末である以外は製造例1と同じ条件下で琺瑯層2,光触媒層3を形成した。
【0024】
Figure 2004358846
【0025】
〔琺瑯/光触媒複層被覆金属板の製造例3:比較例〕
琺瑯用フリットに熱膨張係数146×10−7/℃のフリットC(表3)を用い、反応温度80℃で1時間脱水縮合させることによりスチレン換算分子量200〜300の分子集合体を含むように調整したシリカ系バインダを使用する以外、製造例1と同じ条件下で光触媒層3を形成した。
【0026】
Figure 2004358846
【0027】
〔琺瑯/光触媒複層被覆金属板の製造例4:比較例〕
琺瑯用フリットに熱膨張係数102×10−7/℃のフリットD(表4)を用い、反応温度80℃で1時間脱水縮合させることによりスチレン換算分子量200〜300の分子集合体を含むように調整したシリカ系バインダを使用する以外、製造例2と同じ条件下で光触媒層3を形成した。
【0028】
Figure 2004358846
【0029】
得られた琺瑯/光触媒複層被覆金属板の層構成及びクラックの有無を表5に示す。
【0030】
Figure 2004358846
【0031】
各琺瑯/光触媒複層被覆金属板から試験片を切り出し、耐汚染性試験,NOx分解試験,耐久性試験に供した。
耐汚染性試験では、琺瑯/光触媒複層被覆金属板に雨筋がたれるように波板を取り付けた曝露台を用意し、試験片を地面から直角に起立させて取り付け、試験片の明度を取付け直後,6ヶ月経過後に測定した。6ヶ月経過した時点でも取付け直後に比較して明度差ΔLが±1に収まっている試験片を○,±1を超える明度差ΔLが生じた試験片を×として耐汚染性を評価した。
【0032】
NOx分解試験では、幅50mm,長さ100mmの試験片2枚をガラス製容器に入れ、ブラックライト(UV強度:1.0mW/cm)で照射しながら、濃度1ppmのNOガスを含み湿度50%RHに調節した高純度空気を流量3.0リットル/分でガラス製容器に連続的に送り込んだ。ガラス製容器のガス出側に配置したNOxメータでガラス製容器から排出されるNO濃度,NO濃度を測定した。測定値を次式に代入してNOx除去率を算出した。
NOx除去率(%)=[1−(A+B)/A]×100
ただし、A:初期NO濃度
:分解後のNO濃度
:分解後のNO濃度
【0033】
耐久性試験では、63℃のサンシャインウェザー試験を採用し、試験開始から3000時間経過した時点で感圧接着テープの接着・剥離によって下地・金属板1/琺瑯層2/光触媒層3の密着状態を調査した。琺瑯層2,光触媒層3が剥離していない試験片を○,剥離が発生した試験片を×として耐久性を評価した。
表6の試験結果にみられるように、熱膨張係数の制御で表面にクラックを発生させた琺瑯層2の上に、分子集合体の分子量分布を適正管理したシリカ系バインダを用いて光触媒層3を形成した琺瑯/光触媒複層被覆金属板では、光触媒層3を厚塗り塗装しても塗膜剥離が発生しておらず、琺瑯層2のクラックが光触媒層3の有効面積を増大させる効果を呈することから、優れた光触媒活性をもつ塗膜が得られた。
【0034】
形成された各層の表面を観察したところ、熱膨張係数が下地・金属板1より大きくなる組成のフリットを使用して琺瑯層2を形成すると琺瑯層2の表面に500μm以下の微細クラック4が発生し、逆に下地・金属板1より熱膨張係数が小さな組成のフリットを使用するとクラックのない琺瑯層2が形成された。
更に、微細クラック4のある琺瑯層2の上に、スチレン換算分子量:300以上の分子集合体を含むシリカ系バインダを用いて光触媒層3を形成すると、光触媒層3の表面全体に300μm以下の微細クラック5が入っていた。
【0035】
微細クラック4,5の入った琺瑯層2、光触媒層3を備えた被覆金属板では、サンシャインウェザー試験による耐久性評価で塗膜剥離が検出されなかった。他方、琺瑯層2,光触媒層3の何れにも微細クラック4,5のない被覆金属板では、少し厚膜の光触媒層3を形成するとサンシャインウェザー試験で塗膜剥離が生じた。
【0036】
この対比から明らかなように、下地・金属板1より熱膨張係数の大きなフリットを用いて琺瑯層2を形成し、分子集合体の分子量分布が適正管理されたシリカ系バインダを用いて光触媒層3を形成するとき,塗膜剥離に至らず応力緩和に有効な微細クラック4,5を琺瑯層2,光触媒層3に入れることができ、焼成時や使用時の熱履歴によって導入される熱応力で引き起こされる塗膜剥離が抑制されることが確認される。しかも、琺瑯層2の微細クラック4や光触媒層3の微細クラック5で光触媒粒子の有効面積も増加するので、光触媒活性にも優れた被覆金属板が得られる。
【0037】
Figure 2004358846
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したように、琺瑯層,光触媒層の複層塗膜を設けた塗装金属板において、琺瑯層の表面全域に平均サイズ500μm以下の微細クラック、光触媒層の表面全域に平均サイズ300μm以下の微細クラックを分布させると、下地・金属板/琺瑯層,琺瑯層/光触媒層の密着性が向上し、光触媒粒子の有効表面積が大きくなるため光触媒活性も向上する。そのため、無機塗膜でありながらも多少の加工が可能で、NOx,SOx,有機物等の分解する機能が付与された塗装金属板として、外装材,外置き家電製品のケーシング,建築資材等、広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】琺瑯層,光触媒層の複層塗膜を設けた塗装金属板の部分断面図
【符号の説明】
1:下地・金属板 2:琺瑯層 3:光触媒層 4:琺瑯層の微細クラック 5:光触媒層の微細クラック

Claims (3)

  1. 平均サイズ500μm以下のクラックが表面全域に分布している琺瑯層,平均サイズ300μm以下のクラックが表面全域に分布している光触媒層が下地・金属板の表面に順次設けられていることを特徴とする琺瑯/光触媒複層被覆金属板。
  2. 熱膨張係数が下地・金属板より大きな低温焼成型SiO−NaO系又はP−Al系フリットからなる琺瑯釉薬を下地・金属板に塗布し、500〜600℃に加熱することにより琺瑯層が形成されている請求項1記載の琺瑯/光触媒複層被覆金属板。
  3. スチレン換算分子量:300以上の分子集合体を含むシリカ系バインダ,シラン処理した光触媒粉末,無機顔料を含む光触媒塗料を塗布し、150〜400℃で焼成することにより光触媒層が形成されている請求項1記載の琺瑯/光触媒複層被覆金属板。
JP2003161101A 2003-06-05 2003-06-05 琺瑯/光触媒複層被覆金属板 Withdrawn JP2004358846A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003161101A JP2004358846A (ja) 2003-06-05 2003-06-05 琺瑯/光触媒複層被覆金属板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003161101A JP2004358846A (ja) 2003-06-05 2003-06-05 琺瑯/光触媒複層被覆金属板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004358846A true JP2004358846A (ja) 2004-12-24

Family

ID=34053664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003161101A Withdrawn JP2004358846A (ja) 2003-06-05 2003-06-05 琺瑯/光触媒複層被覆金属板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004358846A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006348415A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2011214215A (ja) * 2011-07-19 2011-10-27 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2012179917A (ja) * 2012-05-11 2012-09-20 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2013224509A (ja) * 2013-06-12 2013-10-31 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
CN111116044A (zh) * 2018-10-31 2020-05-08 Lg电子株式会社 搪瓷组合物及其制备方法
US11274060B2 (en) 2019-02-22 2022-03-15 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11292743B2 (en) 2018-11-09 2022-04-05 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method of preparing same, and cooking appliance
US11396472B2 (en) 2019-02-22 2022-07-26 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11401201B2 (en) 2019-02-22 2022-08-02 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11479500B2 (en) 2019-02-22 2022-10-25 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11773007B2 (en) 2019-02-22 2023-10-03 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11780766B2 (en) 2019-02-22 2023-10-10 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006348415A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2011214215A (ja) * 2011-07-19 2011-10-27 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2012179917A (ja) * 2012-05-11 2012-09-20 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2013224509A (ja) * 2013-06-12 2013-10-31 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
CN111116044A (zh) * 2018-10-31 2020-05-08 Lg电子株式会社 搪瓷组合物及其制备方法
US11261124B2 (en) 2018-10-31 2022-03-01 Lg Electronics Inc. Enamel composition and method of preparing the same
US11292743B2 (en) 2018-11-09 2022-04-05 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method of preparing same, and cooking appliance
US11274060B2 (en) 2019-02-22 2022-03-15 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11396472B2 (en) 2019-02-22 2022-07-26 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11401201B2 (en) 2019-02-22 2022-08-02 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11479500B2 (en) 2019-02-22 2022-10-25 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11773007B2 (en) 2019-02-22 2023-10-03 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance
US11780766B2 (en) 2019-02-22 2023-10-10 Lg Electronics Inc. Enamel composition, method for preparing enamel composition, and cooking appliance

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101082721B1 (ko) 광촉매성 코팅제, 광촉매성 복합재와 그의 제조방법 및 자기 정화성 수성 도료조성물 및 자기 정화성 부재
JP5301738B2 (ja) 表面処理金属及びその製造方法
JP2004358846A (ja) 琺瑯/光触媒複層被覆金属板
CN101857772B (zh) 抗划伤纳米水性陶瓷无机-有机聚合物涂料及其应用
KR100844252B1 (ko) 대전방지용 세라믹코팅 패널과 그 제조방법
CN109401564A (zh) 一种高耐候疏水自清洁金属幕墙板及其制备方法
JP4409169B2 (ja) 着色顔料粒子を含む塗料、可視光遮蔽膜付基材
JPH10363A (ja) 光化学活性を有する塗膜の形成方法
JP2006192716A (ja) 表面処理金属,その製造方法および表面処理液
JP4695829B2 (ja) 水性塗料組成物
JP4456809B2 (ja) 光触媒塗料組成物
JP3219136B2 (ja) 防食被覆方法
JP2003026959A (ja) 無機塗料
JP4323216B2 (ja) 耐摩耗性,耐汚染性,塗膜密着性に優れた光触媒塗装金属板及びその製造方法
JP3499525B2 (ja) 光触媒塗料組成物
JP3107202B2 (ja) 光化学活性を有する塗膜の形成方法
JP3866147B2 (ja) 加工性,隠蔽性,光触媒活性に優れた塗装金属板及びその製造方法
JP2004237639A (ja) 耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板及びその製造方法
JP2004330550A (ja) 耐汚染性,塗膜密着性に優れた光触媒塗装金属板及びその製造方法
JP5049111B2 (ja) 建築材
JP3468413B2 (ja) 光触媒含有塗膜の形成方法
JPH1171686A (ja) 耐雨筋汚れ付着性に優れたほうろう被覆ステンレス鋼板及びその製造方法
JP2000212473A (ja) コ―ティング組成物
JP6239958B2 (ja) 化粧建築板
JP4353410B2 (ja) 機能性塗膜の形成法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060905