JP2004237639A - 耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板及びその製造方法 - Google Patents

耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】塗膜密着性,耐候性に優れ、紫外線照射や雨水に曝される屋外環境下でも長期間にわたって清浄表面を維持する光触媒塗装金属板を提供する。
【構成】無機顔料が分散した無機プライマ塗膜,光触媒粉末及び無機顔料が分散したトップ塗膜が基材・金属板の表面に順次積層した光触媒塗装金属板である。無機プライマ塗膜,トップ塗膜は共に、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が重縮合反応によって結合した固形分を含むシリカ系バインダでプライマ塗膜,トップ層が形成されている。使用する塗料は、pH値が6.0〜9.0の範囲に調整されている。無機顔料には、酸化物系着色顔料や体質顔料が使用される。基材・金属板と無機プライマ塗膜との間に、有機プライマ塗膜を設けても良い。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、雨水や紫外線照射に曝される屋外環境下でも長期間にわたり清浄な表面が維持される着色可能な光触媒塗装金属板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TiOを始めとする光触媒は、紫外線照射で活性化し、有機物,NOx,SOx等を分解する作用を呈する。光触媒の光触媒作用を活用し、たとえばアナターゼ型チタニア粉末を配合した塗膜を基材・金属板の表面に設けることにより、セルフクリーニング作用を付与することが検討されている。
この種の塗装金属板でベースとなる塗膜に有機物を使用すると、光触媒反応で生成したO ,−OH等の活性酸素によって有機塗膜が分解される。有機塗膜の分解は、チョーキング現象となって塗膜剥離に至る。光触媒反応による塗膜の分解は、無機物をベース樹脂に使用することにより解消される(特開平7−113272号公報,特開平8−164334号公報,WO96/29375等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
TiO添加で光触媒活性を付与した無機塗膜は、耐候性に優れているものの、無機塗膜を基材表面に形成する過程でクラックが発生し塗膜剥離に至るケースや、塗装金属板を屋外に設置した後の熱変化に伴う歪みで塗膜剥離が生じるケースが多い。
クラックや塗膜剥離の防止対策として、基材・金属板と無機塗膜の間にエポキシ等の有機プライマ層を介在させる方法,無機塗膜に有機物を配合する方法等が採用されている。しかし、介在させた有機プライマ塗膜は、トップ層に含まれている光触媒で分解される虞がある。無機塗膜に有機物を配合する方法では、依然としてチョーキング現象が避けられず,塗膜の耐候性が低下しやすい。
【0004】
また、従来法で光触媒塗装金属板に色調を付与する場合、着色された下塗り塗膜の上にクリアな光触媒塗膜(トップ塗膜)を設け、トップ塗膜を透過して下塗り塗膜の色調を発現させている。この方式で鮮明な色調を得る上では薄塗り塗装でトップ塗膜を形成する必要があり、トップ塗膜の厚膜化に制限が加わる。その結果、光触媒活性を十分に活用できず、塗膜自体の耐久性も不足しがちになる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、プライマ塗膜,トップ塗膜を形成するそれぞれの塗料のpH管理で塗料焼成時の重縮合反応をコントロールして基材・金属板に対する塗膜の密着性を向上させ、耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の光触媒塗装金属板は、無機顔料が分散した無機プライマ塗膜,光触媒粉末及び無機顔料が分散したトップ塗膜が基材・金属板の表面に順次積層している。無機プライマ塗膜,トップ塗膜は共に、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が重縮合反応によって結合した固形分を含むシリカ系バインダでプライマ塗膜,トップ層が形成されている。
使用するプライマ塗料,トップ塗料のpH値は、5.0〜8.0の範囲に調整されている。無機顔料には、酸化物系着色顔料や体質顔料が使用される。基材・金属板と無機プライマ塗膜との間に、有機プライマ塗膜を設けても良い。
【0007】
この光触媒塗装金属板は、無機顔料をシリカ系バインダに分散させたpH:5.0〜8.0の塗料を基材・金属板に塗布・焼成して無機プライマ塗膜を形成し、シラン処理した光触媒粉末及び無機顔料をシリカ系バインダに分散させたpH:5.0〜8.0の塗料を塗布・焼成して無機プライマ塗膜上にトップ塗膜を形成することにより製造される。無機プライマ塗膜の形成に先立って、有機プライマ塗膜を基材・金属板の表面に形成することもできる。
【0008】
【作用】
無機プライマ塗膜,トップ塗膜の形成に使用されるシリカ系バインダは、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が重縮合反応によって結合した分子集合体を固形分として含む懸濁液である。このシリカ系バインダは、pH:3.5〜6.5の範囲で安定であるが、強アルカリの無機顔料が存在する系では急速にゲル化する。
ゲル化は、OHがオルガノヒドロキシシランのSi原子を攻撃し、Si原子に結合している全ての−ORが急激に脱水重縮合する結果と推測される。すなわち、アルコキシド相互の反応が先行し、基材やプライマ塗膜に対する結合が不足するため、塗膜の密着性が低下する。
【0009】
本発明では、塗膜密着性に悪影響を及ぼす急激な脱水重縮合を抑制するため、pH:5.0〜8.0の塗料を無機プライマ塗膜,トップ塗膜の形成に使用している。pH:5.0〜8.0の塗料では、OHに代えてHがオルガノヒドロキシシランのO原子に作用するので、重縮合反応が緩慢に進行し、基材・金属板に結合するOHが確保される。その結果、基材・金属板との結合点が多くなり、塗膜の密着性が向上する。
【0010】
【実施の形態】
本発明の光触媒塗装金属板は、基材・金属板の上に無機プライマ層,トップ層を順次積層している。基材・金属板と無機プライマ塗膜との間に有機プライマ塗膜を設けることも可能である。
〔基材・金属板〕
基材・金属板に使用される塗装原板には、普通鋼板,めっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板等がある。塗装原板には、必要に応じてアルカリ脱脂,クロメート処理,リン酸塩処理等の塗装前処理が施される。
【0011】
〔有機プライマ塗膜〕
必要に応じて設けられるプライマ塗膜であり、基材・金属板に対する無機プライマ塗膜の密着性を向上させる。また、光触媒粉末を分散させたトップ塗膜と有機プライマ塗膜との間に無機プライマ塗膜が介在するため、光触媒反応が有機プライマ塗膜に直接的な影響を及ぼさないので、有機プライマ塗膜を構成する有機物の分解も抑えられる。有機プライマ塗膜には、鋼板及び無機プライマ塗膜に対する密着性を考慮すると、極性基をもつ樹脂塗料が好ましく、具体的にはエポキシ樹脂,ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,フッ素−アクリル混合樹脂等が使用される。アクリルシリケートを複合させた樹脂塗料も使用可能である。
【0012】
〔無機プライマ塗膜〕
プライマ塗料に使用されるシリカ系バインダは、シリカとオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物からなる固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させることにより調製される。具体的には、シリカ:40〜70質量%、オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物:30〜60質量%からなる固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させる。必要に応じ、アンモニア水,トリエタノールアミン,ジメチルアミノエーテル等の有機アミン類等によってシリカ系バインダのpH値を3〜6.5(好ましくは、4〜5)に調製するとき、シリカ系バインダの保存安定性が向上する。
【0013】
オルガノヒドロキシシランは、たとえば一般式RSi(OH)〔Rは炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基〕で表される化合物である。オルガノヒドロキシシランの部分縮合物としては、一般式RSi(OH)のオルガノヒドロキシシランを部分縮合することによって得られるオリゴマー等がある。
【0014】
シリカ系バインダ中の固形分は、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が脱水縮合で結合した分子集合体になっている。分子集合体の分子量は、脱水縮合時の反応時間や反応温度によって制御できる。分子集合体の重量平均分子量をスチレン換算で300〜10000に調整するとき、塗膜密着性の向上に有効な適度の微細クラックが入った塗膜を形成できる。反応可能なOH基をもつ低分子量成分が少なくなるほど微細クラックの発生頻度が高くなり、重量平均分子量300以上で微細クラックの発生が顕著になる。
【0015】
プライマ塗料には、固形分として無機顔料が10〜80質量%(好ましくは、20〜75質量%)配合される。無機顔料には、SiO、Al又はZrO処理したルチル型チタニア,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO,CoAlO,Cu(Cr,Mn),TiO−NiO−Sb−Cr,ベンガラから選ばれた1種又は2種以上の着色顔料や、バライト,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,タルク,珪藻土,ベントナイト,亜鉛華,ケイ酸ジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の体質顔料が使用される。無機顔料を添加した後でプライマ塗料のpHが5.0〜8.0の範囲にあることを確認する。塗料のpHは、塗料5gを水100gに加えてスターラで攪拌した後、静置してpHメータで測定することにより求められる。pH値が5.0〜8.0を外れる塗料では、基板に対する密着性が低下する。
【0016】
着色顔料,体質顔料を単独で或いは複合してプライマ塗料に配合しても良い。十分な隠蔽性を得る上では10質量%以上の無機顔料が必要であるが、80質量%を超える過剰量の無機顔料を配合すると基材・金属板に対するプライマ層の密着性が低下する。
プライマ塗料は、塗装前処理した基材・金属板に塗布した後、60〜350℃の温度範囲で乾燥・焼き付けられる。60℃未満の乾燥温度では、プライマ層の乾燥が不十分となり、プライマ層の上に形成されるトップ層にムラが発生しやすくなる。逆に350℃を超える加熱温度では、プライマ層にクラックが発生し、基材・金属板からプライマ層が剥離しやすくなる。
【0017】
〔トップ層〕
プライマ層に塗布したトップ塗料を焼成することにより、耐汚染性,塗膜密着性に優れたトップ層が形成される。トップ塗料は、プライマ塗料と同様なシリカ系バインダにシラン処理した光触媒粉末,pH:6.0〜9.0の無機顔料分散トナーを配合することにより調製される。シリカ系バインダには、固形分として単独配合量で5質量%以上,無機顔料との合計配合量で10〜80質量%(好ましくは,20〜50質量%)の光触媒粉末が配合される。十分な光触媒活性を得る上で5質量%以上の光触媒粉末を必要とするが、合計配合量が80質量%を超える過剰量の光触媒粉末を配合するとトップ層の密着性が低下する。トップ塗料のpH値も、同様に5.0〜8.0の範囲になっていることを確認する。5.0〜8.0の範囲を外れるpHの塗料では、基板に対する塗膜の密着性が低下しやすい。
【0018】
光触媒粉末には、TiO,ZnO,WO,FeTiO,SrTiOから選ばれた1種又は2種以上が使用される。なかでも、化学的に安定で活性度が高く安価な微粒子が得られることからアナターゼ型チタニア粉末が好ましい。シラン処理としては、アルコキシシラン又はオルガノヒドロキシシランで予め被覆した光触媒粉末を無機バインダに分散させる方法,アルコキシシラン又はオルガノアルコキシシランを添加した光触媒分散トナーを無機バインダに加えることによりシラン化合物の加水分解物で光触媒粉末の表面を被覆する方法等を採用できる。オルガノアルコキシシランとしては、一般式RSi(OR(Rは炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基又はγ−メルカプトプロピル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基)で表される化合物を使用できる。
【0019】
塗布されたトップ塗料は、プライマ層形成時の加熱温度より高い150〜400℃の温度範囲で焼成される。塗膜の十分な縮重合に150℃以上の加熱温度が必要であるが、400℃を超える高温に加熱するとトップ層にクラックが入りやすい。好適には、塗膜の乾燥を促進させるためプライマ層形成時の加熱温度を80〜250℃に、トップ層形成時の加熱温度を150〜400℃に設定する。
トップ層形成時の温度設定により、プライマ層とトップ層との間に強固な結合が得られ、トップ層形成時の熱処理でプライマ層に対するトップ層の密着性が向上する。その結果、基材・金属板に対する密着性が良好で、塗膜剥離に至ることなく応力緩和に有効な微細クラックが入った塗膜が形成される。トップ層に入った微細クラックは、光触媒粉末の有効表面積を増加させることにも働き、触媒活性が強化された光触媒粉末の光触媒反応によって塗膜に付着した油,汚れ等の有機成分の分解が促進され、NOx,SOxの分解による大気浄化作用も発現する。
得られた光触媒塗装金属板は、優れた耐汚染性及び大気浄化能を活用し、長期間にわたって紫外線照射や雨水に曝される外装建材,外置き式家電機器筐体等に使用される。
【0020】
【実施例】
〔塗装金属板の製造例1:本発明例〕
板厚0.1mmのSUS304ステンレス鋼板を塗装原板に使用し、アルカリ脱脂,水洗,酸洗,水洗,乾燥した。
プライマ塗料は、(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO(緑色顔料),亜鉛華,ケイ酸ジルコニウム(体質顔料)を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶液に分散させた無機顔料分散トナーとシリカ系バインダとを配合することにより調整した。プライマ塗料を塗装原板に塗布し、140℃×20分の加熱焼成で乾燥膜厚25μmのプライマ塗膜を形成した。
【0021】
トップ塗料は、プライマ塗料と同じシリカ系バインダ,無機顔料分散トナー,粒径20nmのアナターゼ型チタニア粉末をオルガノアルコキシシランと共に水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させた光触媒分散トナーに配合することにより調整した。プライマ塗膜上にトップ塗料を塗布し、200℃×20分の加熱焼成で乾燥膜厚10μmのトップ塗膜を形成した。
【0022】
〔塗装金属板の製造例2:本発明例〕
板厚2.5mmのアルミニウム板を塗装原板とし、粒径7nmのアナターゼ型チタニア粉末を使用する以外は、製造例1と同じ条件下でプライマ塗膜,トップ塗膜を形成した。
〔塗装金属板の製造例3:比較例〕
緑色顔料を使用する以外、製造例1と同じ条件下でプライマ塗膜,トップ塗膜を形成した。
〔塗装金属板の製造例4:比較例〕
アナターゼ型チタニア粉末を使用する以外、製造例1と同じ条件下でプライマ塗膜,トップ塗膜を形成した。
使用したプライマ塗料を表1に、トップ塗料を表2にそれぞれ示す。
【0023】
Figure 2004237639
【0024】
Figure 2004237639
【0025】
得られた核塗装金属板から試験片を切り出し、耐汚染性試験,NOx分解試験,耐久性試験に供した。
耐汚染性試験では、塗装金属板に雨筋が垂れるように波板を取り付けた塗装金属板を地面から直角に起立させて取り付け、塗装金属板の明度を取付け直後及び三ヶ月経過後に測定した。そして、明度差ΔLが±1以内に収まっている塗装金属板を○,±1を超える明度差ΔLが生じた塗装金属板を×として耐汚染性を評価した。
【0026】
NOx分解試験では、幅50mm,長さ100mmの試験片2枚をガラス製容器に入れ、ブラックライト(UV強度:1.0mW/cm)で照射しながら、濃度1ppmのNOガスを含み湿度50%RHに調節した高純度空気を流量3.0リットル/分でガラス製容器に連続的に送り込んだ。ガラス製容器のガス出側に配置したNOxメータで、ガラス製容器から排出されるガスのNO濃度,NO濃度を測定した。測定値を次式に代入してNOx除去率を算出した。
NOx除去率(%)=[1−(A+B)/A]×100
ただし、A:初期NO濃度
:分解後のNO濃度
:分解後のNO濃度
【0027】
耐久性試験では、63℃のサンシャインウェザー試験を採用し、試験開始から3000時間経過した後で基材・金属板に対する塗膜の密着状態を調査し、剥離が生じていない塗膜を○,剥離が発生した塗膜を×として耐久性を評価した。
表3の調査結果にみられるように、pH値を適正管理したシリカ系バインダを用いてプライマ層,トップ層を形成した塗装金属板では、厚塗り塗装しても塗膜剥離せず、優れた光触媒活性を呈する塗膜が得られた。
【0028】
Figure 2004237639
【0029】
〔塗装金属板の製造例5〕
製造例1において、基板と無機プライマ塗膜との間に膜厚5μmのエポキシ樹脂塗膜を形成した。
〔塗装金属板の製造例6〕
製造例1において、基板と無機プライマ塗膜との間に膜厚5μmのアクリルシリケート添加エポキシ樹脂塗膜を形成した。
【0030】
製造例5,6で作成された塗膜と製造例1で作成された塗膜について、試験片が5%伸びる引張りを与えたときのテープ剥離試験で密着性を評価した。有機樹脂塗膜がない試験片ではトップ塗膜の膜厚に拘らず塗膜剥離が生じたが、有機樹脂塗膜を介在させた試験片はクラックが発生するものの塗膜剥離には至らなかった。この結果は、有機樹脂塗膜を介在させることにより塗膜密着性が向上し、ある程度の加工に耐えることを示している。
【0031】
【発明の効果】
以上に説明したように、シリカ系バインダで形成される無機プライマ塗膜,トップ塗膜に、pH:5.0〜8.0の塗料を用いているので、シリカ系バインダがネットワーク形成反応する際に基材・金属板と結合するOH基が確保され、多数の結合点で基材・金属板に結合し、耐剥離性に優れた光触媒塗膜(トップ塗膜)が形成される。該塗膜は、従来の有機塗膜にみられるチョーキング現象や無機塗膜にみられる塗膜剥離がなく、長期間にわたって優れた耐剥離性,耐久性を維持する。そのため、光触媒活性が十分に活用され、紫外線照射や雨水等に曝される屋外環境下での使用に耐える光触媒塗装金属板となる。

Claims (5)

  1. 無機顔料が分散した無機プライマ塗膜,光触媒粉末及び無機顔料が分散したトップ塗膜が基材・金属板の表面に順次積層されており、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が重縮合反応によって結合した固形分を含むシリカ系バインダでプライマ塗膜,トップ層が形成されており、共にpH:5.0〜8.0の光触媒粉末,無機顔料が使用されていることを特徴とする耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板。
  2. 無機顔料が酸化物系着色顔料及び/又は体質顔料である請求項1記載の光触媒塗装金属板。
  3. 基材・金属板と無機プライマ塗膜との間に有機プライマ塗膜が設けられている請求項1記載の光触媒塗装金属板。
  4. 無機顔料をシリカ系バインダに分散させたpH:5.0〜8.0の塗料を基材・金属板に塗布・焼成して無機プライマ塗膜を形成し、シラン処理した光触媒粉末及び無機顔料をシリカ系バインダに分散させたpH:5.0〜8.0の塗料を塗布・焼成して無機プライマ塗膜上にトップ塗膜を形成することを特徴とする耐汚染性,塗膜密着性,耐候性に優れた光触媒塗装金属板の製造方法。
  5. 無機プライマ塗膜の形成前に、有機プライマ塗膜を基材・金属板の表面に形成する請求項5記載の製造方法。
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