JP2004358814A - 不燃板 - Google Patents
不燃板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004358814A JP2004358814A JP2003160177A JP2003160177A JP2004358814A JP 2004358814 A JP2004358814 A JP 2004358814A JP 2003160177 A JP2003160177 A JP 2003160177A JP 2003160177 A JP2003160177 A JP 2003160177A JP 2004358814 A JP2004358814 A JP 2004358814A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosphorus compound
- resin
- prepreg
- inorganic filler
- slurry
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】不燃性能を向上させ、密着性に優れた化粧板を提供する。
【解決手段】無機繊維基材を用いたコア層に、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚含ませる。更に、該コア層の少なくとも片面に、化粧板用原紙に熱硬化性樹脂を主な成分とする樹脂液が含浸され、乾燥された樹脂含浸化粧紙を積層し、熱圧成形する。リン化合物含有プリプレグは樹脂含浸化粧紙に隣接した位置に配する。有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤との配合割合は固形分比で、1:0.3〜2.5:3.0〜10とする。
【選択図】 図1
【解決手段】無機繊維基材を用いたコア層に、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚含ませる。更に、該コア層の少なくとも片面に、化粧板用原紙に熱硬化性樹脂を主な成分とする樹脂液が含浸され、乾燥された樹脂含浸化粧紙を積層し、熱圧成形する。リン化合物含有プリプレグは樹脂含浸化粧紙に隣接した位置に配する。有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤との配合割合は固形分比で、1:0.3〜2.5:3.0〜10とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、不燃板に関する。
【0002】
【特許文献1】特開2002−254572
【特許文献2】特開2000−104366
【特許文献3】特開昭53−94578
【0003】
【従来の技術】
従来、防火、不燃性を付与した化粧板が知られており、コア層は無機繊維不織布に有機樹脂をバインダー成分として炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤を配合したスラリーが含浸されたプリプレグから構成され、吸熱反応により燃焼性を抑制していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不燃性能を確保するため有機成分の添加量には限界があり、無機充填剤を増やすと不燃性の化粧板は強度、密着性が劣りやすいという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる状況に鑑み検討されたもので、強度、密着性に優れ、かつ反りの少ない不燃板を得ることを目的とするもので、以下のことを特徴とする。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、無機繊維基材を用いたコア層に、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填材からなるスラリーが含浸されたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚含むことを特徴とする不燃板である。
また、請求項2に記載の発明は、該スラリーの配合割合が、有機樹脂成分の固形分1重量部に対して、リン化合物は0.3〜2.5重量部、無機充填剤は3.0〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の不燃板である。
更に、請求項3に記載の発明は、該リン化合物がリン酸塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の不燃板である。
更にまた、請求項4に記載の発明は、該リン酸塩が亜リン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の不燃板である。
更にまた、請求項5に記載の発明は、該リン酸化合物含有プリプレグに化粧層が隣接した請求項1記載の不燃板である。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコア層は無機繊維基材を用いたものであり、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤とからなるスラリーを含浸させたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚、コア層に含むものである。
【0008】
本発明に用いる無機繊維基材としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などの無機繊維の不織布、織布などが挙げられ、無機繊維基材の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適であり、とりわけ、耐熱性、耐炎性に優れ、スラリーの含浸性が優れるガラス繊維不織布を用いるのが好ましい。
【0009】
バインダーとしての有機樹脂成分は、具体的にフェノール樹脂、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など難燃性を有する樹脂が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0010】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをフェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類を1〜3モルの割合で塩基性触媒下或いは酸性触媒下にて反応させて得られるもので、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール、トリオキザールなどが挙げられる。
また、必要に応じてパラトルエンスルフォンアミド、桐油、燐酸エステル類、グリコール類などの可塑化を促す変性剤で変性されたものも適用でき、塩基性触媒としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアが挙げられ、酸性触媒としては、パラトルエンスルフォン酸、塩酸などが挙げられる。
【0011】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはアミノ化合物、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどとホルムアルデヒドを反応させた初期縮合物のほか、メチルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコ−ルによるエ−テル化、パラトルエンスルホンアミドなどの可塑化を促す反応性変性剤で変性されたものが適用でき、中でも耐久性に優れるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0012】
ウレタン樹脂は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物を原料とするプレポリマー、アダクト体、ブロックイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
エポキシ樹脂としては、少なくとも一分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、3官能以上の多官能エポキシ樹脂及びこれらの臭素化物、さらにこれらの混合物が挙げられ、積層板に用いられる通常のエポキシ樹脂を使用することができる。
【0014】
リン化合物としては、脱水炭化効果のあるものであれば、特に限定されるものではないが、例えばリン酸塩、有機リン酸塩、縮合リン酸塩が好適な例として挙げられる。
リン酸塩としては、Na、K、Li、Ca、Ba、Mg、Al、Znなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の第三リン酸塩、第二リン酸塩、ピロリン酸塩、亜リン酸塩またはメタリン酸塩が挙げられる。
有機リン酸塩としては、(亜)リン酸モノアルキルエステルの金属塩、(亜)リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられ、有機リン酸と塩を形成する金属としては、同様のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が挙げられる。
縮合系リン酸塩化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどが挙げられる。
これらのリン化合物は、加熱環境下において、有機物の脱水触媒として作用するほか、自らも不燃性の無機質リン酸被膜を形成する働きを持ち、特にリン酸塩が効果があり好ましい。
【0015】
無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。無機繊維不織布の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適である。
無機充填剤の中では、平均粒子径が0.5〜200μmの範囲のものが無機繊維基材への含浸が可能であり、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなど結晶水を含むものは高温時に分解し、吸熱、結合水を放出するため不燃性の効果の点で最適である。
【0016】
スラリー中の有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤との配合割合は、有機樹脂成分の固形分1重量部に対して、リン化合物は0.3〜2.5重量部、無機充填剤は3.0〜10重量部とするのが好ましく、リン化合物の割合が下限に満たないと燃焼抑制効果が劣りやすく、上限を超える層間強度が劣りやすくなる。
また、無機充填剤の割合が下限に満たないと不燃性が劣りやすく、上限を超えると密着性が劣り、層間強度が劣りやすくなる。
【0017】
リン化合物含有プリプレグ中の有機樹脂成分の含有率は、式1で示される算出方法で6.5〜18%であればよく、下限に満たないと密着性が悪くなり、上限を超えると不燃性が劣りやすくなる。
【式1】
【0018】
リン化合物含有プリプレグ中のスラリーの固形分含有率が、式2で示される算出方法で、500〜3000%であればよく、上限を超えると固形分の脱落が多くなり取り扱いにくく、また下限に満たないと層間剥離を生じやすくなる。
【式2】
【0019】
不燃性のコア層は、前述のリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚用いて、リン化合物を含有しない他の不燃性のプリプレグと組み合わせてもよく、また、コア層をすべてにリン化合物含有プリプレグを用いてもよい。
【0020】
リン化合物含有を含有しない他の不燃性のプリプレグとは、無機繊維不織布に有機樹脂成分と無機充填剤からなるスラリーを含浸したもので、無機繊維不織布、有機樹脂成分、無機充填剤いずれも前述と同様のものを用いることができ、必ずしも同種のものを用いる必要はない。
【0021】
コア層の少なくとも片面には化粧層を形成すれば不燃化粧板となる。化粧層の形成方法としては、塗装を施す方法や、樹脂含浸化粧紙を用いる方法や、転写箔を用いて化粧層を転写する方法などが挙げられる樹脂含浸化粧紙を用いるのが生産性、コア層との密着性、耐摩耗性の面から特に好ましい。
【0022】
塗装による手段としては、顔料により着色された不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパ−オキサイド、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸コバルトなどを配合した樹脂液をコア成形物上に塗布し、次いで塗布面をビニロンフィルムで被覆し、ローラーで延展し、樹脂が硬化した後にビニロンフィルムを剥がせばよい。
【0023】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させ、重合性モノマー、例えばスチレンモノマーを加えたものである。
【0024】
樹脂含浸化粧紙による方法は、化粧板用原紙に熱硬化性樹脂を主な成分とする樹脂液が含浸され、乾燥された樹脂含浸化粧紙を積層し、熱圧成形する方法であり、樹脂含浸化粧紙としては、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を、化粧板用の30〜140g/m2の化粧紙に式3で示される含浸率が80〜300%含浸したものが適用できる。熱圧成形は平板プレス、連続プレスなどのプレス機でを用いればよい。
【式3】
【0025】
コア層のすべてリン化合物含有プリプレグを用いても一向に支障はないが、コストを考慮した好ましい態様としては、前記のリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚用いて、リン化合物を含有しないプリプレグとからコア層を構成し、樹脂含浸化粧紙を用いて、該樹脂含浸化粧紙に隣接する位置に配すると、化粧表面側からの輻射熱により燃えることがなく、特に好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をより具体的に示すものであって、特に限定するものではない。
実施例1
リン化合物含有プリプレグ
50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール樹脂5部(固形分)に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂4部(固形分)、亜リン酸アルミニウム15部、水酸化アルミニウムを76部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を得た。
プリプレグ
50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール樹脂6部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂3部、水酸化アルミニウムを91部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸してプリプレグ(B)を得た。
不燃板
下から順に、プリプレグ(B)を4枚、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例1の不燃板を得た。
【0027】
実施例2
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸率が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(C)を得た。
不燃化粧板
下から順に、プリプレグ(B)を4枚、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(C)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して不燃板を得た。
【0028】
実施例3(亜リン酸アルミニウム以外のリン酸塩)
実施例2において、亜リン酸アルミニウムの代わりに、リン酸アンモニウムを用いた以外は同様に実施して不燃板を得た。
【0029】
比較例1(亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を用いなかった場合)実施例2において、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)の代わりにプリプレグ(B)を用いた以外は同様に実施して、比較例1の化粧板を得た。
【0030】
比較例2(亜リン酸アルミニウムの配合割合が下限未満の場合)
実施例2において、フェノール樹脂5部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を4部、亜リン酸アルミニウムを2部、水酸化アルミニウムを88部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(a1)を用いた以外は同様に実施して、比較例2の化粧板を得た。
【0031】
比較例3(亜リン酸アルミニウムの配合割合が上限を超える場合)
実施例2において、フェノール樹脂5部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂4部、亜リン酸アルミニウム35部、水酸化アルミニウムを56部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(a2)を用いた以外は同様に実施して、比較例3の化粧板を得た。
【0032】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
試験方法は以下の通りとした。
不燃性: ISO5660に基づいて測定し、総発熱8MJ/m2以下を○とした。
耐水性: JISK6902に基づく耐煮沸試験により、2時間煮沸後、剥離のなきを○とした。
耐熱性: JISK6902に基づく耐熱試験により欠点なきを○とした。
【0034】
【発明の効果】
本発明の不燃板は、コア層に、無機繊維不織布に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤からなるスラリーを含浸しリン化合物含有プリプレグを少なくと1枚含んで構成されているので、不燃性能を向上させることができる。
また、切断加工時のチッピング、化粧層剥離、施工作業時の角かけ、凹み及び割れなどがなく、コンロ廻り使用した場合、輻射熱による層間パンクの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の不燃板の構成断面図。
【符号の説明】
2 プリプレグ
3 化粧層
5 リン化合物含有プリプレグ
6 不燃化粧板
【産業上の利用分野】
本発明は、不燃板に関する。
【0002】
【特許文献1】特開2002−254572
【特許文献2】特開2000−104366
【特許文献3】特開昭53−94578
【0003】
【従来の技術】
従来、防火、不燃性を付与した化粧板が知られており、コア層は無機繊維不織布に有機樹脂をバインダー成分として炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤を配合したスラリーが含浸されたプリプレグから構成され、吸熱反応により燃焼性を抑制していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不燃性能を確保するため有機成分の添加量には限界があり、無機充填剤を増やすと不燃性の化粧板は強度、密着性が劣りやすいという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる状況に鑑み検討されたもので、強度、密着性に優れ、かつ反りの少ない不燃板を得ることを目的とするもので、以下のことを特徴とする。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、無機繊維基材を用いたコア層に、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填材からなるスラリーが含浸されたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚含むことを特徴とする不燃板である。
また、請求項2に記載の発明は、該スラリーの配合割合が、有機樹脂成分の固形分1重量部に対して、リン化合物は0.3〜2.5重量部、無機充填剤は3.0〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の不燃板である。
更に、請求項3に記載の発明は、該リン化合物がリン酸塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の不燃板である。
更にまた、請求項4に記載の発明は、該リン酸塩が亜リン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の不燃板である。
更にまた、請求項5に記載の発明は、該リン酸化合物含有プリプレグに化粧層が隣接した請求項1記載の不燃板である。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のコア層は無機繊維基材を用いたものであり、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤とからなるスラリーを含浸させたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚、コア層に含むものである。
【0008】
本発明に用いる無機繊維基材としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などの無機繊維の不織布、織布などが挙げられ、無機繊維基材の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適であり、とりわけ、耐熱性、耐炎性に優れ、スラリーの含浸性が優れるガラス繊維不織布を用いるのが好ましい。
【0009】
バインダーとしての有機樹脂成分は、具体的にフェノール樹脂、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など難燃性を有する樹脂が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0010】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをフェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類を1〜3モルの割合で塩基性触媒下或いは酸性触媒下にて反応させて得られるもので、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール、トリオキザールなどが挙げられる。
また、必要に応じてパラトルエンスルフォンアミド、桐油、燐酸エステル類、グリコール類などの可塑化を促す変性剤で変性されたものも適用でき、塩基性触媒としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアが挙げられ、酸性触媒としては、パラトルエンスルフォン酸、塩酸などが挙げられる。
【0011】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはアミノ化合物、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどとホルムアルデヒドを反応させた初期縮合物のほか、メチルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコ−ルによるエ−テル化、パラトルエンスルホンアミドなどの可塑化を促す反応性変性剤で変性されたものが適用でき、中でも耐久性に優れるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0012】
ウレタン樹脂は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物を原料とするプレポリマー、アダクト体、ブロックイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
エポキシ樹脂としては、少なくとも一分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、3官能以上の多官能エポキシ樹脂及びこれらの臭素化物、さらにこれらの混合物が挙げられ、積層板に用いられる通常のエポキシ樹脂を使用することができる。
【0014】
リン化合物としては、脱水炭化効果のあるものであれば、特に限定されるものではないが、例えばリン酸塩、有機リン酸塩、縮合リン酸塩が好適な例として挙げられる。
リン酸塩としては、Na、K、Li、Ca、Ba、Mg、Al、Znなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の第三リン酸塩、第二リン酸塩、ピロリン酸塩、亜リン酸塩またはメタリン酸塩が挙げられる。
有機リン酸塩としては、(亜)リン酸モノアルキルエステルの金属塩、(亜)リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられ、有機リン酸と塩を形成する金属としては、同様のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が挙げられる。
縮合系リン酸塩化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどが挙げられる。
これらのリン化合物は、加熱環境下において、有機物の脱水触媒として作用するほか、自らも不燃性の無機質リン酸被膜を形成する働きを持ち、特にリン酸塩が効果があり好ましい。
【0015】
無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。無機繊維不織布の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適である。
無機充填剤の中では、平均粒子径が0.5〜200μmの範囲のものが無機繊維基材への含浸が可能であり、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなど結晶水を含むものは高温時に分解し、吸熱、結合水を放出するため不燃性の効果の点で最適である。
【0016】
スラリー中の有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤との配合割合は、有機樹脂成分の固形分1重量部に対して、リン化合物は0.3〜2.5重量部、無機充填剤は3.0〜10重量部とするのが好ましく、リン化合物の割合が下限に満たないと燃焼抑制効果が劣りやすく、上限を超える層間強度が劣りやすくなる。
また、無機充填剤の割合が下限に満たないと不燃性が劣りやすく、上限を超えると密着性が劣り、層間強度が劣りやすくなる。
【0017】
リン化合物含有プリプレグ中の有機樹脂成分の含有率は、式1で示される算出方法で6.5〜18%であればよく、下限に満たないと密着性が悪くなり、上限を超えると不燃性が劣りやすくなる。
【式1】
【0018】
リン化合物含有プリプレグ中のスラリーの固形分含有率が、式2で示される算出方法で、500〜3000%であればよく、上限を超えると固形分の脱落が多くなり取り扱いにくく、また下限に満たないと層間剥離を生じやすくなる。
【式2】
【0019】
不燃性のコア層は、前述のリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚用いて、リン化合物を含有しない他の不燃性のプリプレグと組み合わせてもよく、また、コア層をすべてにリン化合物含有プリプレグを用いてもよい。
【0020】
リン化合物含有を含有しない他の不燃性のプリプレグとは、無機繊維不織布に有機樹脂成分と無機充填剤からなるスラリーを含浸したもので、無機繊維不織布、有機樹脂成分、無機充填剤いずれも前述と同様のものを用いることができ、必ずしも同種のものを用いる必要はない。
【0021】
コア層の少なくとも片面には化粧層を形成すれば不燃化粧板となる。化粧層の形成方法としては、塗装を施す方法や、樹脂含浸化粧紙を用いる方法や、転写箔を用いて化粧層を転写する方法などが挙げられる樹脂含浸化粧紙を用いるのが生産性、コア層との密着性、耐摩耗性の面から特に好ましい。
【0022】
塗装による手段としては、顔料により着色された不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパ−オキサイド、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸コバルトなどを配合した樹脂液をコア成形物上に塗布し、次いで塗布面をビニロンフィルムで被覆し、ローラーで延展し、樹脂が硬化した後にビニロンフィルムを剥がせばよい。
【0023】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させ、重合性モノマー、例えばスチレンモノマーを加えたものである。
【0024】
樹脂含浸化粧紙による方法は、化粧板用原紙に熱硬化性樹脂を主な成分とする樹脂液が含浸され、乾燥された樹脂含浸化粧紙を積層し、熱圧成形する方法であり、樹脂含浸化粧紙としては、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を、化粧板用の30〜140g/m2の化粧紙に式3で示される含浸率が80〜300%含浸したものが適用できる。熱圧成形は平板プレス、連続プレスなどのプレス機でを用いればよい。
【式3】
【0025】
コア層のすべてリン化合物含有プリプレグを用いても一向に支障はないが、コストを考慮した好ましい態様としては、前記のリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚用いて、リン化合物を含有しないプリプレグとからコア層を構成し、樹脂含浸化粧紙を用いて、該樹脂含浸化粧紙に隣接する位置に配すると、化粧表面側からの輻射熱により燃えることがなく、特に好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をより具体的に示すものであって、特に限定するものではない。
実施例1
リン化合物含有プリプレグ
50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール樹脂5部(固形分)に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂4部(固形分)、亜リン酸アルミニウム15部、水酸化アルミニウムを76部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を得た。
プリプレグ
50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール樹脂6部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂3部、水酸化アルミニウムを91部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸してプリプレグ(B)を得た。
不燃板
下から順に、プリプレグ(B)を4枚、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例1の不燃板を得た。
【0027】
実施例2
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸率が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(C)を得た。
不燃化粧板
下から順に、プリプレグ(B)を4枚、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(C)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して不燃板を得た。
【0028】
実施例3(亜リン酸アルミニウム以外のリン酸塩)
実施例2において、亜リン酸アルミニウムの代わりに、リン酸アンモニウムを用いた以外は同様に実施して不燃板を得た。
【0029】
比較例1(亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)を用いなかった場合)実施例2において、亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(A)の代わりにプリプレグ(B)を用いた以外は同様に実施して、比較例1の化粧板を得た。
【0030】
比較例2(亜リン酸アルミニウムの配合割合が下限未満の場合)
実施例2において、フェノール樹脂5部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を4部、亜リン酸アルミニウムを2部、水酸化アルミニウムを88部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(a1)を用いた以外は同様に実施して、比較例2の化粧板を得た。
【0031】
比較例3(亜リン酸アルミニウムの配合割合が上限を超える場合)
実施例2において、フェノール樹脂5部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂4部、亜リン酸アルミニウム35部、水酸化アルミニウムを56部配合したスラリーを、式2に示す固形分率が2000%となるように含浸して亜リン酸アルミニウム含有プリプレグ(a2)を用いた以外は同様に実施して、比較例3の化粧板を得た。
【0032】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
試験方法は以下の通りとした。
不燃性: ISO5660に基づいて測定し、総発熱8MJ/m2以下を○とした。
耐水性: JISK6902に基づく耐煮沸試験により、2時間煮沸後、剥離のなきを○とした。
耐熱性: JISK6902に基づく耐熱試験により欠点なきを○とした。
【0034】
【発明の効果】
本発明の不燃板は、コア層に、無機繊維不織布に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填剤からなるスラリーを含浸しリン化合物含有プリプレグを少なくと1枚含んで構成されているので、不燃性能を向上させることができる。
また、切断加工時のチッピング、化粧層剥離、施工作業時の角かけ、凹み及び割れなどがなく、コンロ廻り使用した場合、輻射熱による層間パンクの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の不燃板の構成断面図。
【符号の説明】
2 プリプレグ
3 化粧層
5 リン化合物含有プリプレグ
6 不燃化粧板
Claims (5)
- 無機繊維基材を用いたコア層に、無機繊維基材に有機樹脂成分とリン化合物と無機充填材からなるスラリーが含浸されたリン化合物含有プリプレグを少なくとも1枚含むことを特徴とする不燃板。
- 該スラリーの配合割合が、有機樹脂成分の固形分1重量部に対して、リン化合物は0.3〜2.5重量部、無機充填剤は3.0〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の不燃板。
- 該リン化合物がリン酸塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の不燃板。
- 該リン酸塩が亜リン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の不燃板。
- 該リン酸化合物含有プリプレグに化粧層が隣接した請求項1記載の不燃板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160177A JP2004358814A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 不燃板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160177A JP2004358814A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 不燃板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004358814A true JP2004358814A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34053025
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003160177A Pending JP2004358814A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 不燃板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004358814A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007246697A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Aica Kogyo Co Ltd | 阻燃化用組成物及び阻燃化用プリプレグ並びに不燃化粧板 |
US20180201810A1 (en) * | 2015-07-10 | 2018-07-19 | Aica Kogyo Co., Ltd. | Decorative sheet |
JP2019089257A (ja) * | 2017-11-15 | 2019-06-13 | タイガースポリマー株式会社 | 積層体および積層体を用いた組電池 |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160177A patent/JP2004358814A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007246697A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Aica Kogyo Co Ltd | 阻燃化用組成物及び阻燃化用プリプレグ並びに不燃化粧板 |
US20180201810A1 (en) * | 2015-07-10 | 2018-07-19 | Aica Kogyo Co., Ltd. | Decorative sheet |
US10815395B2 (en) * | 2015-07-10 | 2020-10-27 | Aica Kogyo Co., Ltd. | Decorative sheet |
JP2019089257A (ja) * | 2017-11-15 | 2019-06-13 | タイガースポリマー株式会社 | 積層体および積層体を用いた組電池 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI426997B (zh) | Shutter | |
JP4177105B2 (ja) | 黄土を含む不燃性パネル及びこれを利用した不燃性装飾パネル | |
KR200263325Y1 (ko) | 불연 복합패널 및 이를 이용한 불연 화장복합패널 | |
JP2004358814A (ja) | 不燃板 | |
JP4235136B2 (ja) | 化粧板難燃化用組成物、化粧板難燃化用シート、および難燃性化粧板 | |
JP4121473B2 (ja) | 積層板難燃化用組成物、積層板難燃化用シート、および難燃性化粧板 | |
JP3876416B2 (ja) | 不燃化粧板 | |
JP4354003B2 (ja) | 不燃化粧板 | |
JP2008179735A (ja) | 難燃化用組成物、難燃化用シート、および難燃性化粧板 | |
JP3963271B2 (ja) | 不燃化粧板 | |
JP4211917B2 (ja) | 不燃化粧板 | |
JP2004209864A (ja) | 不燃化粧板 | |
JP4380314B2 (ja) | 不燃化粧板 | |
JP4726401B2 (ja) | 不燃化粧板の製造方法 | |
JP3844135B2 (ja) | 化粧板 | |
JP2012021102A (ja) | 難燃化用スラリー及び不燃化粧板 | |
JP2005212424A (ja) | 不燃化粧板 | |
JP2004142279A (ja) | 不燃化粧板 | |
JP3641246B2 (ja) | 難燃性古紙ボードの製造方法及び難燃性古紙ボード | |
TWI778222B (zh) | 裝飾層板 | |
JP2006075991A (ja) | 可撓性不燃化粧板 | |
JP2005103769A (ja) | 不燃化粧板 | |
JP2006075989A (ja) | 可撓性不燃化粧板 | |
JP2009083337A (ja) | 不燃化粧板 | |
JP2000153595A (ja) | 化粧ボ−ド |