JP2004142279A - 不燃化粧板 - Google Patents
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Abstract
【課題】切断加工時のチッピング、化粧層剥離、施行時の角欠けなどのない不燃化粧板を得る。
【解決手段】コア層と化粧層を含む不燃化粧板であって、コア層が、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成され、化粧層に隣接するプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率よりも高いことを特徴とする不燃化粧板。また、式2で示される有機成分の含有率が、化粧層に隣接するプリプレグでは8〜100%、化粧層に隣接しないプリプレグでは3〜20%であることを特徴とする不燃化粧板。無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などを用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】コア層と化粧層を含む不燃化粧板であって、コア層が、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成され、化粧層に隣接するプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率よりも高いことを特徴とする不燃化粧板。また、式2で示される有機成分の含有率が、化粧層に隣接するプリプレグでは8〜100%、化粧層に隣接しないプリプレグでは3〜20%であることを特徴とする不燃化粧板。無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などを用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、不燃化粧板に関する。
【0002】
【特許文献1】特開昭51−20980
【特許文献2】特開平08−207201
【従来の技術】
従来、防火、不燃性を付与した化粧板が知られており、可燃性の有機成分である有機樹脂をバインダー成分とするコア層は、不燃性能を確保するため有機成分含有量を少なくしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、切断加工時切り口のチッピング、化粧層剥離、施工時の角かけ、凹み及び割れが発生することがあり、例えば、キッチン、コンロ廻りに使用した場合には、輻射熱による層間パンクが発生することがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる状況に鑑み検討されたもので、不燃性能を有し、かつ高い表面化粧層との密着性及び成形品の強度を確保することを目的とするもので、以下のことを特徴とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、コア層と化粧層を含む不燃化粧板であって、コア層が、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成され、化粧層に隣接するプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率よりも高いことを特徴とする不燃化粧板である。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、次式で示される有機成分の含有率が、化粧層に隣接するプリプレグでは8〜100%、化粧層に隣接しないプリプレグでは3〜20%であることを特徴とする請求項1記載の不燃化粧板である。
【式2】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明で構成されるコア層は、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤を含浸させたプリプレグ2枚以上からなるもので、無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などが挙げられる。有機成分としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂など特に難燃性を有する樹脂が挙げられ、無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。無機繊維不織布の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適である。
無機充填剤の中では、平均粒子径が0.5〜200μmの範囲のものが無機性繊維不織布への含浸が可能であり、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が含まれると高温時に分解し、吸熱、結合水を放出するため不燃性の向上の点で最適である。
【0008】
無機繊維不織布へのスラリー固形分定着率(%)は、式1で示される算出方法で、500〜3000%の範囲が好ましい。
【式1】
化粧層隣接用、化粧層隣接用以外のプリプレグに含まれる有機成分と無機成分の配合割合は、有機成分の含有率が式2で示される算出方法で、化粧層隣接用は8〜100%、化粧層隣接用以外においては3〜20%とするのが好ましく、この範囲であると、不燃性を有し、化粧層とコア層の密着性を確保できる。すなわち上限を超えると有機分が多くなり不燃性能が低下し、また下限に満たないと密着性が劣り層間剥離しやすくなる。
プリプレグ中の有機成分の含有率が、高くなると、不燃性が低下しやすくなり、また、化粧層に隣接するプリプレグの有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないものより低いと化粧層との密着性が劣りやすくなる。
【0009】
無機繊維不織布は化粧層隣接用と化粧層隣接用以外とでは坪量は同じでもよいが、好ましくは、化粧層隣接用の方の坪量が低くなるようにするのが好ましい。これは、坪量を高くすると製品中の有機成分の含有量が多くなり、仕上がった製品の不燃性が悪くなるためである。また、化粧層隣接用以外について言えば、含浸した際の有機成分の含有量が少ないスラリーの配合を設定するため、坪量を高くした方が製品中の有機成分の含有量が少なくなり、不燃性を確保する上でよいからである。すなわち、無機繊維不織布は化粧層隣接用の方が内部用よりも低く、坪量は20〜100g/m2で、化粧層に隣接しない内部用は30〜200g/m2とするのが望ましい。
【0010】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをフェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類を1〜3モルの割合で塩基性触媒下或いは酸性触媒下にて反応させて得られるもので、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール、トリオキザールなどが挙げられる。
また、必要に応じてパラスルフォンアミド、桐油、燐酸エステル類、グリコール類などの可塑化を促す変性剤で変性されたものも適用でき、塩基性触媒としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアが挙げられ、酸性触媒としては、パラトルエンスルフォン酸、塩酸などが挙げられる。
【0011】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはアミノ化合物、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどとホルムアルデヒドを反応させた初期縮合物のほか、メチルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコ−ルによるエ−テル化、パラトルエンスルホンアミドなどの可塑化を促す反応性変性剤で変性されたものが適用でき、中でも耐久性に優れるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0012】
ウレタン樹脂は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物を原料とするプレポリマー、アダクト体、ブロックイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
コア層の少なくとも片面には化粧層が形成され、化粧層形成方法としては、コア層を積層一体化した後、塗装を施す方法や、樹脂含浸化粧紙をプリプレグと一体成形する方法などが挙げられる。
【0014】
塗装による手段としては、顔料により着色された不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパ−オキサイド、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸コバルトなどを配合した樹脂液をコア成形物上に塗布し、次いで塗布面をビニロンフィルムで被覆し、ローラーで延展し、樹脂が硬化した後にビニロンフィルムを剥がせばよい。
【0015】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させ、重合性モノマー、例えばスチレンモノマーを加えたものである。
【0016】
樹脂含浸化粧紙による方法としては、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤を含有させたプリプレグと樹脂含浸化粧紙とを、有機成分の含有率が高いプリプレグを該樹脂含浸化粧紙に隣接するように積層して、熱圧成形するもので、樹脂含浸化粧紙としては、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を、化粧板用の30〜140g/m2の化粧紙に式3で示される含浸率が80〜300%含浸したものが適用できる。熱圧成形は平板プレス、連続プレスなどのプレス機でを用いればよい。
【式3】
【0017】
樹脂含浸化粧紙をコア層の片面のみに配する際は、反りを抑制するため不燃性を損なわない程度にもう片方の面にバランス層を配してもよく、バランス層としては、化粧層隣接用のプリプレグと同様のもの、或いは化粧板用の10〜200g/m2の紙に前述のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を含浸率が40〜300%となるように含浸したものが挙げられる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をより具体的に示すものであって、特に限定するものではない。
実施例1
コア層
25g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂10部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを90部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグ(A1)を得た。
また、同様に50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂5部に対して水酸化アルミニウムを95配合部したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して、化粧層隣接用以外(内部用)のプリプレグ(A2)を得た。
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸率が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を得た。
バランス紙
坪量40g/m2のクラフト紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含浸量が120%となるように含浸してメラミン樹脂含浸バランス紙(A4)を得た。
不燃化粧板
下から順に、メラミン樹脂含浸バランス紙(A4)を1枚、化粧層隣接用以外のプリプレグ(A2)を4枚、化粧層隣接用のプリプレグ(A1)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例1の不燃化粧板を得た。
【0019】
実施例2
コア層
25g/m2のガラス繊維不織布にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂16部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを84部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を得た。
また、同様に50g/m2のガラス繊維不織布にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂8部に対して水酸化アルミニウムを92部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグ(B2)を得た。
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸量が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を得た。
不燃化粧板
下から順に、メラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を1枚、含浸率が1500%の化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を1枚、化粧層隣接用以外のプリプレグ(B2)を4枚、含浸率が1500%の化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例2の不燃化粧板を得た。
【0020】
比較例1
実施例1において、コア層を構成するプリプレグとして、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂5部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを95部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚用いた以外は同様に実施して、比較例1の積層板を得た。
【0021】
比較例2
実施例2において、コア層を構成するプリプレグとして、50g/m2のガラス繊維不織布に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂8部に対して、平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを92部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚用いた以外は同様に実施して、比較例2の積層板を得た。
【0022】
比較例3
下から順に、メラミン樹脂含浸裏面紙(A4)を1枚、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂25部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを75部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を1枚を同様に熱圧成形して、比較例3の積層板を得た。
【0023】
比較例4
実施例1において、25g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂6部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを94部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例4の積層板を得た。
【0024】
比較例5
実施例1において、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂25部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを75部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例5の積層板を得た。
【0025】
比較例6
実施例1において、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂2部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを98部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例6の積層板を得た。
【0026】
評価結果を表1に示す。
【表1】
Phe−F:フェノール−ホルムアルデヒド樹脂
Mel−F:メラミン−ホルムアルデヒド樹脂
【0027】
試験方法は以下の通りとした。
不燃性:JIS A 1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法に基づき評価した。
密着性:木工用の回転鋸刃にてカットし、切り口断面を評価した。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、コア層が無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤からなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成されるとともに、化粧層隣接用と化粧層隣接以外のプリプレグ中の有機成分含有率を、化粧層隣接用の方を多くすることにより、不燃性能を維持し、かつより高い表面化粧層との密着性及び成形品強度を実現することができる。
また、切断加工時のチッピング、化粧層剥離、施工作業時の角かけ、凹み及び割れなどがなく、コンロ廻り使用した場合、輻射熱による層間パンクの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の不燃化粧板の構成断面図。
【図2】実施例2の不燃化粧板の構成断面図。
【符号の説明】
1 化粧層隣接用のプリプレグ
2 化粧層隣接用以外のプリプレグ
3 化粧層
4 バランス層
7 不燃化粧板
8 不燃化粧板
【産業上の利用分野】
本発明は、不燃化粧板に関する。
【0002】
【特許文献1】特開昭51−20980
【特許文献2】特開平08−207201
【従来の技術】
従来、防火、不燃性を付与した化粧板が知られており、可燃性の有機成分である有機樹脂をバインダー成分とするコア層は、不燃性能を確保するため有機成分含有量を少なくしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、切断加工時切り口のチッピング、化粧層剥離、施工時の角かけ、凹み及び割れが発生することがあり、例えば、キッチン、コンロ廻りに使用した場合には、輻射熱による層間パンクが発生することがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる状況に鑑み検討されたもので、不燃性能を有し、かつ高い表面化粧層との密着性及び成形品の強度を確保することを目的とするもので、以下のことを特徴とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、コア層と化粧層を含む不燃化粧板であって、コア層が、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤とからなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成され、化粧層に隣接するプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないプリプレグ中に含まれる有機成分の含有率よりも高いことを特徴とする不燃化粧板である。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、次式で示される有機成分の含有率が、化粧層に隣接するプリプレグでは8〜100%、化粧層に隣接しないプリプレグでは3〜20%であることを特徴とする請求項1記載の不燃化粧板である。
【式2】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明で構成されるコア層は、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤を含浸させたプリプレグ2枚以上からなるもので、無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などが挙げられる。有機成分としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂など特に難燃性を有する樹脂が挙げられ、無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。無機繊維不織布の坪量は、10〜200g/m2の範囲が好適である。
無機充填剤の中では、平均粒子径が0.5〜200μmの範囲のものが無機性繊維不織布への含浸が可能であり、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が含まれると高温時に分解し、吸熱、結合水を放出するため不燃性の向上の点で最適である。
【0008】
無機繊維不織布へのスラリー固形分定着率(%)は、式1で示される算出方法で、500〜3000%の範囲が好ましい。
【式1】
化粧層隣接用、化粧層隣接用以外のプリプレグに含まれる有機成分と無機成分の配合割合は、有機成分の含有率が式2で示される算出方法で、化粧層隣接用は8〜100%、化粧層隣接用以外においては3〜20%とするのが好ましく、この範囲であると、不燃性を有し、化粧層とコア層の密着性を確保できる。すなわち上限を超えると有機分が多くなり不燃性能が低下し、また下限に満たないと密着性が劣り層間剥離しやすくなる。
プリプレグ中の有機成分の含有率が、高くなると、不燃性が低下しやすくなり、また、化粧層に隣接するプリプレグの有機成分の含有率が、化粧層に隣接しないものより低いと化粧層との密着性が劣りやすくなる。
【0009】
無機繊維不織布は化粧層隣接用と化粧層隣接用以外とでは坪量は同じでもよいが、好ましくは、化粧層隣接用の方の坪量が低くなるようにするのが好ましい。これは、坪量を高くすると製品中の有機成分の含有量が多くなり、仕上がった製品の不燃性が悪くなるためである。また、化粧層隣接用以外について言えば、含浸した際の有機成分の含有量が少ないスラリーの配合を設定するため、坪量を高くした方が製品中の有機成分の含有量が少なくなり、不燃性を確保する上でよいからである。すなわち、無機繊維不織布は化粧層隣接用の方が内部用よりも低く、坪量は20〜100g/m2で、化粧層に隣接しない内部用は30〜200g/m2とするのが望ましい。
【0010】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをフェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類を1〜3モルの割合で塩基性触媒下或いは酸性触媒下にて反応させて得られるもので、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール、トリオキザールなどが挙げられる。
また、必要に応じてパラスルフォンアミド、桐油、燐酸エステル類、グリコール類などの可塑化を促す変性剤で変性されたものも適用でき、塩基性触媒としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアが挙げられ、酸性触媒としては、パラトルエンスルフォン酸、塩酸などが挙げられる。
【0011】
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはアミノ化合物、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどとホルムアルデヒドを反応させた初期縮合物のほか、メチルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコ−ルによるエ−テル化、パラトルエンスルホンアミドなどの可塑化を促す反応性変性剤で変性されたものが適用でき、中でも耐久性に優れるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0012】
ウレタン樹脂は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物を原料とするプレポリマー、アダクト体、ブロックイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
コア層の少なくとも片面には化粧層が形成され、化粧層形成方法としては、コア層を積層一体化した後、塗装を施す方法や、樹脂含浸化粧紙をプリプレグと一体成形する方法などが挙げられる。
【0014】
塗装による手段としては、顔料により着色された不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパ−オキサイド、硬化促進剤として、例えば、ナフテン酸コバルトなどを配合した樹脂液をコア成形物上に塗布し、次いで塗布面をビニロンフィルムで被覆し、ローラーで延展し、樹脂が硬化した後にビニロンフィルムを剥がせばよい。
【0015】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させ、重合性モノマー、例えばスチレンモノマーを加えたものである。
【0016】
樹脂含浸化粧紙による方法としては、無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤を含有させたプリプレグと樹脂含浸化粧紙とを、有機成分の含有率が高いプリプレグを該樹脂含浸化粧紙に隣接するように積層して、熱圧成形するもので、樹脂含浸化粧紙としては、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を、化粧板用の30〜140g/m2の化粧紙に式3で示される含浸率が80〜300%含浸したものが適用できる。熱圧成形は平板プレス、連続プレスなどのプレス機でを用いればよい。
【式3】
【0017】
樹脂含浸化粧紙をコア層の片面のみに配する際は、反りを抑制するため不燃性を損なわない程度にもう片方の面にバランス層を配してもよく、バランス層としては、化粧層隣接用のプリプレグと同様のもの、或いは化粧板用の10〜200g/m2の紙に前述のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を含浸率が40〜300%となるように含浸したものが挙げられる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をより具体的に示すものであって、特に限定するものではない。
実施例1
コア層
25g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂10部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを90部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグ(A1)を得た。
また、同様に50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂5部に対して水酸化アルミニウムを95配合部したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して、化粧層隣接用以外(内部用)のプリプレグ(A2)を得た。
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸率が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を得た。
バランス紙
坪量40g/m2のクラフト紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含浸量が120%となるように含浸してメラミン樹脂含浸バランス紙(A4)を得た。
不燃化粧板
下から順に、メラミン樹脂含浸バランス紙(A4)を1枚、化粧層隣接用以外のプリプレグ(A2)を4枚、化粧層隣接用のプリプレグ(A1)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例1の不燃化粧板を得た。
【0019】
実施例2
コア層
25g/m2のガラス繊維不織布にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂16部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを84部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を得た。
また、同様に50g/m2のガラス繊維不織布にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂8部に対して水酸化アルミニウムを92部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグ(B2)を得た。
化粧層
坪量80g/m2の無地柄の化粧紙に,メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を式3で示す含浸量が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を得た。
不燃化粧板
下から順に、メラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を1枚、含浸率が1500%の化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を1枚、化粧層隣接用以外のプリプレグ(B2)を4枚、含浸率が1500%の化粧層隣接用のプリプレグ(B1)を1枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(B3)を1枚、積層して、フラット仕上げプレートを用いて130℃,100kg/cm2、90分間の条件で熱圧成形して実施例2の不燃化粧板を得た。
【0020】
比較例1
実施例1において、コア層を構成するプリプレグとして、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂5部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを95部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚用いた以外は同様に実施して、比較例1の積層板を得た。
【0021】
比較例2
実施例2において、コア層を構成するプリプレグとして、50g/m2のガラス繊維不織布に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂8部に対して、平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを92部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚用いた以外は同様に実施して、比較例2の積層板を得た。
【0022】
比較例3
下から順に、メラミン樹脂含浸裏面紙(A4)を1枚、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂25部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを75部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸したプリプレグを5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙(A3)を1枚を同様に熱圧成形して、比較例3の積層板を得た。
【0023】
比較例4
実施例1において、25g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂6部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを94部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1500%となるように含浸して化粧層隣接用のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例4の積層板を得た。
【0024】
比較例5
実施例1において、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂25部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを75部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例5の積層板を得た。
【0025】
比較例6
実施例1において、50g/m2のガラス繊維不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂2部に対して平均粒子径が8μmの水酸化アルミニウムを98部配合したスラリーを、式1に示す固形分率が1600%となるように含浸して化粧層隣接用以外のプリプレグとした以外は同様に実施して、比較例6の積層板を得た。
【0026】
評価結果を表1に示す。
【表1】
Phe−F:フェノール−ホルムアルデヒド樹脂
Mel−F:メラミン−ホルムアルデヒド樹脂
【0027】
試験方法は以下の通りとした。
不燃性:JIS A 1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法に基づき評価した。
密着性:木工用の回転鋸刃にてカットし、切り口断面を評価した。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、コア層が無機繊維不織布に有機成分と無機充填剤からなるスラリーが含浸されたプリプレグ2枚以上から構成されるとともに、化粧層隣接用と化粧層隣接以外のプリプレグ中の有機成分含有率を、化粧層隣接用の方を多くすることにより、不燃性能を維持し、かつより高い表面化粧層との密着性及び成形品強度を実現することができる。
また、切断加工時のチッピング、化粧層剥離、施工作業時の角かけ、凹み及び割れなどがなく、コンロ廻り使用した場合、輻射熱による層間パンクの発生がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の不燃化粧板の構成断面図。
【図2】実施例2の不燃化粧板の構成断面図。
【符号の説明】
1 化粧層隣接用のプリプレグ
2 化粧層隣接用以外のプリプレグ
3 化粧層
4 バランス層
7 不燃化粧板
8 不燃化粧板
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002310358A JP2004142279A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 不燃化粧板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002310358A JP2004142279A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 不燃化粧板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004142279A true JP2004142279A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32455871
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002310358A Pending JP2004142279A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 不燃化粧板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004142279A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015151934A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2015-10-08 | アイカ工業株式会社 | 化粧板 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310358A patent/JP2004142279A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015151934A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2015-10-08 | アイカ工業株式会社 | 化粧板 |
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