JP2004358215A - 全股関節形成を実行するための方法および装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 最低限に侵襲的な全股関節形成を実行するための方法および装置を提供する。
【解決手段】 最低限に侵襲的な全股関節形成を実行するための方法および装置。約３．７５〜５センチメートル（１．５〜２インチ）の前方切り口４４が作られ、大腿骨頚部は大腿骨骨幹から切断されて、前方切り口４４を通して取り除かれる。寛骨臼は、前方切り口４４を通して寛骨臼カップを受容するために調製され、また寛骨臼カップは前方切り口４４を通して寛骨臼内に配置される。模範的な一実施態様では、約２〜３センチメートル（０．８〜１．２インチ）の後方切り口４６は、大腿骨骨幹の軸線と実質的に整列され、大腿骨骨幹に対するアクセスを提供する。本実施態様では、大腿骨骨幹のリーマ加工およびラスプ加工を含む大腿骨骨幹の調製は、後方切り口４６を通して実行され、大腿骨ステムは、大腿骨に移植するために後方切り口４６を通して挿入される。
【選択図】図１Ａ

Description

本出願は、その開示が本明細書に参考として明白に組み込まれている２０００年４月２６日に出願された同時係属中の出願番号第０９／５５８，０４４号明細書の一部継続である、その開示が本明細書に参考として明白に組み込まれている、２００２年１月２２日に出願されかつ２００２年８月２２日に米国特許出願公開第２００２／０１１６０６７Ａ１号明細書として公開された同時係属中の出願番号第１０／０５３，９３１号明細書の一部継続である。

本発明は、全股関節形成、より詳しくは、最低限に侵襲的な全股関節形成を実行するための方法および装置に関する。

患者の関節のすべてまたは一部分を置き換えるための整形外科処置は、過去３０年にわたって開発されてきた。現在、骨を調製して移植体を設置するために使用される処置は、一般に開口処置と呼ばれる。この説明のため、開口処置という用語は、特定の関節表面の大部分を完全に露出するために、切り口が皮膚および下層の組織を通して作られる処置を指す。全股関節形成の場合、必要とされる典型的な切り口の長さは、約２５センチメートル（１０インチ）である。皮膚内の初期切開の後、調製すべき領域を完全に露出するために内部の傷口が拡大されることがある。この方法は、骨表面の優れた観測を外科医に提供するが、筋肉を含む軟質組織に対する下層の損傷は、外科手術後の患者のリハビリテーション時間を長くする可能性がある。移植体は外科手術時に十分に固定し得るが、外科手術中に傷ついた軟質組織が完全に治るまで、数週、おそらくは数カ月かかるかもしれない。

本発明は、最低限に侵襲的な全股関節形成を実行するための改良された方法および装置を提供する。

全股関節形成は、２つの切り口を利用して本発明の教示に従って実行することができ、表面に展開された傷口の各々のサイズは、傷口の深さ全体にわたって実質的に一定である。第１の切り口は、大腿骨頚部および寛骨臼の中心軸線に一直線に作られた長さ約３．７５〜５センチメートル（１．５〜２インチ）の前方切り口である。第２の切り口は、大腿骨骨幹とほぼ軸方向に整列して位置決めされた約２．５〜３．７５センチメートル（１〜１．５インチ）の後方切り口である。代替的実施態様では、前方切り口は転子間リッジ（ｒｉｄｇｅ、稜）に始まり、また大腿骨頚部が大腿骨から切断される線上にほぼ下方および内側に延長される。本実施態様では、前方切り口は皮膚内のランゲル線（Ｌａｎｇｅｒ’ｓ ｌｉｎｅ、皮膚の正常割線）と一直線に作られ、したがって、傷は少なくて済む。代替的実施態様では、後方切り口は大腿骨骨幹と整列され、前方切り口と略同一直線上にある。このようにして、前方切り口と後方切り口とを接続して、最低限に侵襲的な処置が計画され、なお開口処置が必要であると決定された場合に開口処置を可能にできる。

大腿骨頭部は大腿骨骨幹から切断され、前方切り口を通して取り除かれる。寛骨臼カップは前方切り口を通して寛骨臼に配置され、一方、後方切り口は、大腿骨骨幹を調製して大腿骨ステム（ｓｔｅｍ）を受容するために使用される。大腿骨ステムは後方切り口を通して挿入され、大腿骨骨幹内に位置決めされる。後方切り口を通して実行される処置は、前方切り口を通して観察することが可能であり、またその逆のことも可能である。

以下の説明のため、全股関節形成は、別個の寛骨臼構成要素を使用するかあるいは使用することなく大腿骨頭部を置き換えることと規定される。本発明に従って利用できる特定のデザインは、全股関節置換および双極または単極の内部補綴装具を含む。この技術は、構成要素のセメント結合による固定またはセメントレス固定に適切である。

本発明の装置および方法は、患者の回復を早める最低限に侵襲的な方法で全股関節形成を実行することを有利に可能にする。

添付図に関連して行われる本発明の実施態様の次の説明を参照して、本発明の前述および他の特徴と利点、およびそれらを達成する方法がより明白になり、また本発明それ自体がより良く理解されるであろう。

複数の図面全体にわたって、対応する参照番号は対応する部分を示している。本明細書に説明する実施例は、一形態の本発明の好ましい一実施態様を示し、またこのような実施例は、本発明の範囲を限定すると決して解釈すべきではない。

本文献全体にわたって、「近位」および「遠位」は、本明細書に記述した器具の反対側端部を指すために時に使用される。器具の反対側端部を指す場合、「近位」および「遠位」は、器具の使用者に対して使用される。例えば、器具の使用中に使用者に最も近い器具の端部は近位端として記述され、一方、使用中に使用者から最も遠い器具の端部は器具の遠位端として記述される。

全股関節形成は、本発明の理論に従って、各々の長さが５センチメートル（２インチ）以下の２つの切り口を通して実行できる。前方切り口は、大腿骨頚部の軸線に沿って作られるか、あるいは大腿骨頚部を取り除くために大腿骨が骨切りされる線と整列され、一方、後方切り口はほぼ大腿骨骨幹と軸方向に整列して形成される。図１Ａを参照すると、胴体５２、臀部５０および脚部４８を含む患者４０の部分的図示は、従来技術の切り口４２ならびに本発明の模範的な前方切り口４４および模範的な後方切り口４６を示している。従来技術の切り口４２の長さは約２５センチメートル（１０インチ）であり、一方、前方切り口４４および後方切り口４６の各々の長さは、５センチメートル（２インチ）以下である。図１Ｂを参照すると、本発明の模範的な前方切り口４４’および模範的な後方切り口４６’を示すために、胴体５２’、臀部５０’、および脚部４８’を含む患者４０’の部分的図示を利用する。前方切り口４４’および後方切り口４６’の各々の長さは５センチメートル（２インチ）以下である。図１Ｂに示したように、前方切り口４４’および後方切り口４６’は略同一直線上にあり、また最低限に侵襲的な股関節の処置を開口処置に変更することを可能にするために線４７に沿って接合できる。

本発明の全股関節形成の方法によれば、患者４０は手術台上の仰臥位に最初に配置される。標準の手術台または放射線透過性台を使用できる。模範的な一実施態様では、図５６〜図６１に示した手術台４００が利用される。手術台４００は、完全に放射線透過性の台頂部を含み、すなわち、手術台４００の台頂部のどの部分も放射線不透過性でない。手術台４００について、以下にさらに詳細に記述する。放射線透過性台は、外科チームが手術中の画像増感の利用を意図する場合に好ましい。模範的な一実施態様では、処置全体にわたって蛍光透視鏡画像を繰り返し撮影し、器具および移植体の適切な位置決めを確認する。代替的実施態様では、内視鏡画像を撮ることができる。シュトルツビューサイト（Ｓｔｏｒｚ ｖｉｅｗｓｉｔｅ）内視鏡システムは内視鏡画像用の滅菌観測スクリーンを提供する。シュトルツビューサイト内視鏡システムの滅菌観測スクリーンは、前方切り口４４または４４’に直接隣接する外科フィールド内に位置決めすることができる。知られている他の内視鏡システムは、本発明の全股関節形成時にさらに利用し得る。

次に図２Ａを参照すると、中立位置の同側脚部分４８では、２つの目立った骨標認点は、触診される上前腸骨棘（ＡＳＩＳ）５９および大腿骨６２の大転子５８である。身体の関連領域をより良く示すために、股関節６８の腸骨６４および恥骨６６が示されている。模範的な一実施態様では、近接した前方切り口開始点７１は、大転子５８の結節に対し下方に２つの指幅で、また大転子５８の結節に対し前方に２つの指幅で識別される。前方切り口用の近接した終了点は、上前腸骨棘（ＡＳＩＳ）５９に対し下方に３つの指幅で、また上前腸骨棘５９に対し横方向に２つの指幅で識別される。他の模範的な実施態様では、近接した前方切り口開始点７１は、ＡＳＩＳ５９に対し下方に３〜４センチメートル、またＡＳＩＳ５９に対し横方向に２センチメートルに識別される。ＡＳＩＳ５９に対し下方に３〜４センチメートルまたＡＳＩＳ５９に対し横方向に２センチメートルに開始点７１を示しており、前方切り口４４の経路は、開始点７１から大腿骨頚部６０の軸線に沿って大転子５８の突出部に向かって斜めに延長される。脊髄針を用い、皮膚を通して骨まで突き刺して大腿骨頚部６０の中心軸線７０を確認することによって、適切な開始点７１および前方切り口の経路を識別できる。模範的な一実施態様では、金属、または他の放射線不透過性マーカを前方切り口４４の識別経路の上方に位置決めして、蛍光透視鏡画像を撮影し、前方切り口４４の適切な位置を確認できる。前方切り口４４’（図１Ｂ）が利用されるならば、開始点７１’（図２Ｂ）は、転子間リッジ５９を触診し、また図２Ｂに示したように切り口を斜めに延長することによって識別できる。転子間リッジの位置５９は、例えば脊髄針を用いて、皮膚を通して骨まで突き刺すことによって確認できる。さらに、前方切り口４４’の位置は、図２Ｂに示した線６１の上方に金属製さもなければ放射線不透過性の器具を配置して、蛍光透視鏡画像を撮影することによって確認できる。前方切り口４４または４４’の経路を確認した後、外科マーカを利用して、患者の皮膚の前方切り口の位置をマークすることができる。

前方切り口４４が利用されるならば、約３．７５〜５センチメートル（１．５〜２インチ）の斜めの切り口が、開始部位７１から大腿骨頚部６０の軸線７０と寛骨臼５４の中心軸線とに沿って大転子の突出部に向かって作られ、例えば図１Ａに示したような前方切り口４４を形成する。前方切り口４４’が利用される場合、約３．７５〜５．０センチメートル（１．５〜２．０インチ）の斜めの切り口が開始部位７１’から作られ、図２Ｂに示した線６１に沿って斜めに延長される。前方切り口（４４または４４’）は皮下組織を通して同一面に沿って延長され、下層の大腿筋膜を露出する。大腿筋膜張筋と縫工筋との間の神経間平面は触診によって識別され、また湾曲したはさみとブラント（ｂｌｕｎｔ）解剖とによって展開される。縫工筋は、脚部を外側に回転して筋肉に張力を加えることによって、一層目立たせることができる。大腿筋膜張筋および縫工筋までの深さは、大腿直筋と中臀筋との間の神経間の間隔である。この面はブラント解剖によって展開される。大腿筋膜張筋の横方向の後退は、図２Ｃに示したような股関節嚢７４の視覚化を可能にする。このようにして、股関節嚢は、筋肉の切開を必要とすることなく露出される。ある場合には、股関節嚢を露出するために大腿直筋の間接頭部が下げられるが、一般に、大腿直筋を損傷することなく嚢から大腿直筋を上げて、筋肉を傷つけることなく股関節嚢を露出することが非常に容易である。大腿筋膜張筋の下方を解剖した後、嚢の前部を横切って移動する前嚢ファット（ｐｒｅｃａｐｓｕｌａｒ ｆａｔ）および横方向回旋血管が露出される。回旋血管は、１つまたは２つの大動脈および静脈、またはより小さな多数の血管として存在し得る。回旋血管が比較的大きいならば、寛骨臼のリーマ加工中の出血を防止するために回旋血管を結紮することができる。回旋血管がより小さいならば、それらを焼灼することができる。

嚢７４に張力を生成するために、脚部４８が外側に回転される。嚢７４は、大腿骨頭部５６の赤道から大腿骨頚部６０の軸線７０（図２Ａ）に沿って大腿骨６２の転子間リッジまで切開される。模範的な一実施態様では、嚢切り口は、切り口７２（図２Ｃ）によって形成される「Ｈ字状」の窓の形状をとる。Ｈ字状窓は、大腿骨頭部５６の赤道および大腿骨頚部６０の基部の周りの補充の垂直肢を、大腿骨頚部６０の軸線７０に沿った最初の切り口に加えることによって形成される。後退の形態として、厄介な縫合を利用して、嚢フラップ（ｃａｐｓｕｌａｒ ｆｌａｐ）７３を皮下組織に暫定的に取り付けることができる。代替的実施態様では、嚢切り口はＴ字状としてまたは直線切り口として形成される。ある実施態様では、嚢の三角部分を取り除くことができる。図３に示したように、大腿骨頭部５６の下方部分から転子間リッジまで大腿骨頚部６０の全長を露出するために、開創器７６が嚢フラップ７３の内側に、また大腿骨頚部６０の上方および下方の境界の真下に配置される。開創器７６は、例えばコブラ（Ｃｏｂｒａ）開創器であり得る。模範的な一実施態様では、各開創器は光源を収容し、また内視鏡を固定するために使用することもできる。これによって、開創器７６は傷口の連続的な視覚化および照明を行う。模範的な一実施態様では、本発明に従って、一体の光ファイバ光源を有するＪＡＫＯＳＣＯＰＥ開創器が利用される。

次に図４を参照すると、大腿骨頚部６０を摘出するために、大腿骨切削器具８６、例えば、往復運動鋸、振動鋸または伝動バー（ｂｕｒｒ）が使用される。特別製の骨切りガイド７８を前方切り口４４（図１Ａ）または４４’（図１Ｂ）を通して配置して、大腿骨頚部切断部分を案内することができる。骨切りガイド７８のアライメント部分８２は大腿骨６２の長手方向軸線と整列され、一方、切断ガイド８４は大腿骨頚部６０に位置決めされる。骨切りガイド７８のハンドル８０は、前方切り口４４または４４’を通した骨切りガイド７８の位置決めおよび再位置決めを容易にする。骨切りガイド７８を配置した後、切断線８５には関連技術で知られているように切れ目がつけられる。その後、骨切りガイド７８は前方切り口４４または４４’を通して取り除かれ、大腿骨切削器具８６は前方切り口４４または４４’を通して挿入され、また切断線８５に沿って切断して、大腿骨６２から部分８８（図６Ａと図６Ｂ）をはずすために利用される。前方切り口４４’が利用されるならば、この切り口は、大腿骨６２から部分８８をはずすために利用される骨切りと整列される。このようにして、振動鋸は前方切り口４４’と一直線に移動するので、大腿骨６２から切断部分８８を骨切りするときに、前方切り口４４’は軟質組織の刺激の低減を可能にし得る。

開創器７６は寛骨臼の前方および後方リム（縁）の周りに再配置される。特別製の湾曲した切削器具（すなわち「円靱帯カッタ」）が大腿骨頭部５６の背後に通過され、円靱帯を鋭く切開し、このようにして、図６Ａに示したような切断部分８８を切断する。切断部分８８は大腿骨頭部５６ならびに一部の大腿骨頚部６０を含む（図４）。その後、切断部分８８は、特別製の大腿骨頭部骨把持器９４により前方切り口４４を通して取り除かれる（図７）。一断片で切断部分８８の切除が困難ならば、切削器具８７、例えば伝動バーを用いて元の位置で小分けすることが可能である。次に、小分け部９２は、図７に示したような前方切り口４４を通して取り除くことが可能である。切断部分８８を小分けすることは、股関節嚢７４の切断部の実質的に対称である切断部を形成して達成し得る。模範的な一実施態様では、コークスクリューおよび股関節スキッドによって、股関節破面にあるような大腿骨頚部全体が取り除かれる。代替的実施態様では、大腿骨頭部５６は、円靱帯を切開する前に切断線６３（図６Ｂ）に沿って切断される。本実施態様では、骨切りされた大腿骨頚部は、円靱帯を切開する前に取り除かれる。上述のように、大腿骨頭部５６は、必要に応じて切除を容易にするために元の位置で小分けすることが可能である。ねじ付きスタインマンピン（Ｓｔｅｉｎｍａｎ ｐｉｎ）またはシャンツスクリュ（Ｓｈａｎｚ ｓｃｒｅｗ）を利用して、骨切りされた大腿骨頚部および頭部を取り除くことができる。潅注および吸引装置を使用して、骨を冷しかつ股関節嚢７４の骨片の切除を容易にすることができる。模範的な一実施態様では、骨片の完全な切除を確認するために光ファイバ内視鏡が股関節部に配置される。

図８Ａに示したように、寛骨臼５４の寛骨臼窩内の繊維質脂肪組織は、例えば、高速エーコン（ａｃｏｒｎ）先端切削器具９６、ロンジェール（Ｒｏｎｇｅｕｒ）骨鉗子、およびキュレットを用いて切除される。その後、寛骨臼唇をメスで切り取ることができる。次に、図８Ｂに示したように、寛骨臼５４は標準寛骨臼リーマ９８で徐々にリーマ加工される。代替的実施態様では、その開示が本明細書に参考として明白に組み込まれている２００２年５月２１日に出願された係属中の米国特許出願番号第１０／１５３，０５３号明細書に開示されているような特注の最低限に侵襲的なリーマを利用して、寛骨臼５４を徐々にリーマ加工することができる。所定のサイズ範囲の寛骨臼リーマは、寛骨臼の最適なサイズに達するまで利用される。寛骨臼の寸法決めは、関連技術で知られているような手術前のテンプレートおよびレントゲン写真を用いて容易にされる。蛍光透視鏡または内視鏡を使用して、リーマ加工プロセス中の視覚化を補助できる。ある場合には、リーマ加工が完了したときにリーマが底を離れ、寛骨臼と同心であることを確認するために、多数の蛍光透視鏡または内視鏡画像がリーマ加工プロセス中に撮影される。典型的に、寛骨臼は、締まり嵌めを形成するように、予想される寛骨臼カップの直径に対して約２ｍｍだけ下にリーマ加工される。高速のエーコン状切削器具９６、および寛骨臼リーマ９８が前方切り口４４または４４’を通して身体に入る。

試験的取付けの後、適切なサイズのプレス嵌合寛骨臼カップを、図９Ａに示したようなカップ挿入器１００で確実に着座させ、関連技術で知られているような寛骨臼の凹部内に衝突させることができる。代替的実施態様では、寛骨臼カップ挿入器３６０、３６０’（図９Ｂ、図３７〜図５５）を利用して、適切な寛骨臼カップを着座させ得る。カップ挿入器３６０と３６０’について以下にさらに記述する。バルーン（ｂａｌｌｏｏｎ）が股関節の下に位置決めされて、本発明の全股関節形成中に膨張されるならば、寛骨臼移植体の着座のために適切な整列を決定するときに、バルーンの空気を抜くことができる。許容し得るプレス嵌合寛骨臼カップは、ＺＩＭＭＥＲ ＨＧＰ ＩＩまたはＴＲＩＬＯＧＹカップを含む。寛骨臼カップの適切な位置決めは、図９Ａに示したような特別製の前屈および骨盤アライメントガイドによって達成することができる。患者４０は手術台１０２上の仰臥位に配置される。アライメントロッド１０４は、メインシャフト１０５が寛骨臼カップの適切な着座のために手術台１０２から約３０°に維持される間に、胴体５２の中央の横方向軸線と整列される。カップの固定を強めるため、可撓性ドリルを使用して、１つ以上の寛骨臼スクリュの配置を案内できる。ある場合には、寛骨臼のスクリュは必要ない。寛骨臼のライナ（ｌｉｎｅｒ）の挿入は、ある実施態様では、試験的なステムの挿入のために近位の大腿骨が調製されるまで延期される。図１０の前方立面図で示したように、患者４０は、カップ挿入器１００を利用して寛骨臼カップを着座させる間に、手術台１０２（図９Ａ）上の仰臥位に留まる。同様に、患者４０は、カップ挿入器３６０、３６０’のいずれかを利用して寛骨臼カップを着座させる場合、手術台１０２上の仰臥位に留まる。

大腿骨の調製のために、患者は、パッド、例えば同側の股関節の下に配置された膨張可能なパッドで再配置される。模範的な一実施態様では、膨張可能なパッドは股関節の下に配置され、処置の開始時に膨張される。膨張可能なパッドを股関節の下に配置して、膨張させることにより、大腿骨頚部を骨切りして寛骨臼および大腿骨の両方により優れたアクセスを提供する場合、大腿骨が寛骨臼の下方に落ちる。手術する股関節は僅かに屈曲されるかあるいは延長され、約３０°〜４５°内転され、また最大に外側に回転されるかあるいは約３０°〜４５°回転される。模範的な一実施態様では、移動可能な脚パネルを有する手術台が利用される。本実施態様では、手術しない脚部は、大腿骨の調製（例えば、手術する股関節の延長、内転および回転）のために手術する股関節を位置決めする前に、手術する脚部の下方に落とすことができる。手術しない膝が下げられ、すなわち、手術しない股関節が過伸展されると、手術する股関節は有効に持ち上げられ、このことは、以下に記述するような大腿骨の調製を容易にする。開創器７６は大腿骨６２の内側および横方向部分の周りに再配置される。代わりに、光源取付け部を有する自己保持開創器および内視鏡ホルダを前方切り口４４に位置決めして、大腿骨６２の常時の視覚化および照明を行うことができる。

一実施態様では、転子間リッジに対しすぐ下方の大腿骨６２の前方の表面に沿った軟質組織は、約１センチメートルの幅の骨を露出するために、外科用メスまたは湾曲した切骨刀で骨膜下に反転される。この鋭い骨膜下の持ち上げは、大転子の前縁の上に上位横方向に続く。次に、湾曲したメイヨー（Ｍａｙｏ）はさみを用いて、臀部５０（図１１）に向かう小臀筋の前方組織に対し表面に方向付けられるブラント解剖により、経路が展開される。代替的実施態様では、骨切りされた大腿骨頚部は前方切り口を通して視覚化され、残りの上位横方向の大腿骨頚部が切除される。次に、梨状筋の腱の付着点の真上で、湾曲したメイヨーはさみが大腿骨の後方頚部に対し後方に方向付けられる。梨状筋の腱がこの部位を横断するならば、梨状筋の腱ははさみで分割され、はさみは後方の嚢を通してまた大臀筋に向かって進められる。はさみの方向を支援するために、大腿骨の前軸線に沿ってまた側軸線に沿って線を引くことができる。２つの線が股関節の上位横方向の部分で交差する場所は、本明細書で以下にさらに記述するように後方にとって適切な部位である。

図１１に示したように、突き錐１０６は前方切り口４４を通して挿入され、大腿骨および梨状筋窩領域の骨幹と一直線に中臀筋と大臀筋との間の裂け目を通して方向付けられ、また突き錐の尖った遠位端１０８により皮膚の表面を触診できるまで、臀部５０の軟質組織内に進められる。突き錐１０６の遠位端１０８は大腿骨６２の長手方向軸線とほぼ整列される。遠位端１０８が触診される点において、約２〜３ｃｍ（０．８〜１．２インチ）の後方切り口４６または４６’が作られ、皮下組織と大腿筋膜とを通して延長され、下層の大臀筋を露出する。模範的な一実施態様では、外科用マーキングペンを使用して、大腿骨前部の下方の皮膚に線を引き、また大腿骨の側面に沿った皮膚に線を引くことができる。これらの２つの線の交差部は、一般に、後方切り口の位置をマークする。大腿骨６２への管は、突き錐１０６によって形成された経路に沿って展開される。一般に、大臀筋は、湾曲したメイヨーはさみで大臀筋繊維と一直線に鈍く分割される。指による解剖を利用して、後方の梨状筋窩領域に達することが可能である。ある場合には、梨状筋は大腿骨の視界を遮る。これらの場合、梨状筋を分割できる。多くの例では、梨状筋は大腿骨に対し下方にあり、分割を必要としない。この経路内に、後方切り口４６または４６’を介して、内側スリーブを備えた特別製の楕円形の後方開創器１２２を、骨切りされた大腿骨頚部まで下方にねじ込むことができる（図１３）。模範的な一実施態様では、楕円形の後方開創器１２２は後方リップ１２８（図１４）を含む。本実施態様では、開創器１２２は、後方リップ１２８が後方転子間リッジの下に位置するまで、骨切りされた大腿骨頚部まで下方にねじ込まれる。図１４Ａは、後方リップ１２８なしのラスプトンネル（ｒａｓｐ ｔｕｎｎｅｌ）１３０の実施態様を示している。代替的実施態様では、後方開創器１２２の各構成要素（すなわちガイドチューブ１２４、リーマトンネル１２６、およびラスプトンネル１３０）は、必要に応じて個別に着脱される。ガイドチューブ１２４、リーマトンネル１２６およびラスプトンネル１３０が後方切り口４６または４６’内に個別に着脱される実施態様では、図１４に示した後方リップ１２８と同様の後方リップを各々の個別のトンネルに設けてもよい。さらに他の模範的な実施態様では、後方開創器は利用されない。次に、大腿骨のラスプ加工（擦り加工）およびリーマ加工について記述する。大腿骨のラスプ加工およびリーマ加工を容易にするために、後方嚢が進入される。後方に位置決めされた管状開創器を通して実行される任意のステップは、後方切り口内に位置決めされた開創器なしに後方切り口を通して実行し得る。

最初に、画像案内下で、真っ直ぐな尖った突き錐は、前方切り口を通して突き錐の進行を観測しつつ後方切り口内に挿入される。突き錐は、骨切りされた大腿骨頚部内に挿入され、大腿管の下方に手で進められる。突き錐を取り除いた後、先端にボールを付けたガイドワイヤが、後方切り口を通して大腿管の下方の骨切りされた大腿骨頚部に挿入される。

次に、模範的な一実施態様の図１５を参照すると、先端にボールを付けたガイドワイヤ１４６が後方開創器１２２のガイドチューブ１２４に挿入され、大腿管１４８内に進められる。図１５は、リーマトンネル１２６およびラスプトンネル１３０に入れ子状にされたガイドチューブ１２４を示しているが、ガイドチューブ１２４を後方切り口４６または４６’を通して直接挿入するか、あるいは使用しなくてもよい。模範的な一実施態様では、先端にボールを付けたガイドワイヤ１４６は後方切り口４６または４６’を通して直接挿入され、大腿管１４８内に進められる。大腿骨６２の海綿骨の密度が余りに高く、先端にボールを付けたガイドワイヤ１４６の挿入を許容できない場合、円錐状のカニューレ挿入リーマまたはエンドミルを使用して大腿骨骨幹端を調製する。入れ子状にされた後方開創器構造を利用する場合、後方開創器１２２のリーマトンネル１２６を通してリーマを挿入できるようにガイドチューブ１２４を取り除かなければならない。同様に、入れ子状にされた構造を利用しない場合、外科医がリーマトンネルの使用を選択するならば、リーマトンネル１２６を後方切り口４６に挿入できる。とにかく、先端にボールを付けたガイドワイヤ１４６は大腿管１４８の下のほぼ中間に挿入される。本発明の以下の詳細な記述では、入れ子状にされた後方開創器構造を参照する。入れ子状にされた構造を利用しない場合、必要に応じて後方開創器１２２の各々の個別の構成要素を後方切り口４６を通して着脱できることが当業者によって理解される。さらに、管状後方開創器を利用しない場合、後方切り口４６または４６’を通して器具を直接配置することによって、次のステップを実行することができる。

図１６は、ラスプ（やすり）２０４（図１９）を受容するための大腿管１４８の調製を示している。ガイドチューブ１２４は後方開創器１２２から取り除かれ、また端部カッタ１５０（図１７Ａ）はリーマトンネル１２６を通して挿入される。図１８は、リーマトンネル１２６内に位置決めされた端部カッタ１５０を示している。端部カッタ１５０は細長い開口部１６０を含み、この開口部を通して、ガイドワイヤ１４６が通過し、端部カッタ１５０を案内する。端部カッタ１５０は、関連技術で知られている多くの作動装置の任意の装置によって作動される。端部切断が完了した後、端部カッタ１５０はリーマトンネル１２６を通して取り除かれ、またリーマ１５１（図１７Ｂ）がリーマトンネルを通して挿入される。リーマ１５１はリーマガイド開口部１６１を含み、この開口部を通して、ガイドワイヤ１４６が通過し、またリーマが大腿管１４８をリーマ加工するときにリーマ１５１を案内する。外径が徐々に大きくなるリーマはガイドワイヤ１４６の上方に順次配置され、大腿管１４８は、皮質の”チャッタ（ｃｈａｔｔｅｒ（びびり））”が感じられるまでリーマ加工される。関連技術で知られているように、大腿管１４８の最適な直径は、手術前のテンプレートによって暫定的に決定される。ある外科医は、大腿骨骨幹のリーマ加工を回避することを選択し、その代わりに、関連技術で知られているようなブローチ（ｂｒｏａｃｈ）を利用するかもしれない。ブローチは、ラスプの挿入に関して以下に記述するように、本発明に従って挿入することが可能である。模範的な一実施態様では、大腿管１４８を調製するために横向きリーマ（ｌａｔｅｒａｌｉｚｉｎｇ ｒｅａｍｅｒ）が利用される。

本発明の代替的実施態様では、大腿管１４８のリーマ加工は、可撓性リーマの使用から開始する。大腿管の通常の軸線に沿って大腿管を拡大するために、可撓性リーマが使用される。模範的な一実施態様では、カニューレ挿入可撓性リーマが利用される。本実施態様では、可撓性リーマは、挿入されたボールチップガイドワイヤの上方に位置決めされる。可撓性リーマでリーマ加工した後、横向きリーマ４８０が後方切り口４６を通して、大腿管内に挿入される。横向きリーマ４８０は先端が鈍い（丸い）側面切断リーマである。横向きリーマ４８０を利用して、大転子内への骨のストックを取り除き、移植された大腿骨ステムが大腿骨６２の骨幹と同軸でありかつ内反に整列されないようにする。言い換えれば、横向きリーマ４８０を使用して大腿管を側面切断し、補綴大腿骨構成要素の適切な移植を可能にするために経路後方の頂部を移動する。テーパ嵌合ステムを利用する場合、横向きリーマを用いた後にリーマ加工が完了する。完全コーティングの多孔性ステムを利用する場合、Ｚｉｍｍｅｒ社から入手可能なＶＥＲＳＹＳリーマのような真っ直ぐな中実のリーマが利用され、大腿管のリーマ加工を継続する。上述のリーマ加工ステップのすべてにおいて、サイズを大きくしたいくつかのリーマを利用できる。例えば、可撓性リーマを用いる場合、第１の可撓性リーマを利用し、引き続き、第１の可撓性リーマよりも大きなサイズの第２の可撓性リーマを利用して、大腿管をリーマ加工して取り除くことができる。

大腿管１４８の正確な直径をリーマ加工して取り除いた後、ラスプ２０４およびラスプハンドル２１２（図１９）をガイドワイヤ１４６の上方に挿入して大腿骨６２の調製を完了できるように、リーマトンネル１２６（図１４）が後方開創器１２２から取り除かれる。調製された大腿骨６２にラスプ２０４を案内するために、ガイドワイヤ１４６がラスプガイド開口部２１４およびラスプハンドルガイド開口部２０２に挿入される。関連技術で知られているように、打撃面１６４が打たれ、ラスプ２０４を大腿骨６２に配置する。ラスプ２０４に衝撃が与えられている間、回転アライメントは、前方切り口４４を通した大腿骨６２の直接目に見える精査によって評価することができる。さらに、膝蓋、下肢、および足部に対するラスプハンドル２１２のアライメントの評価によって、アライメントが容易になる。通常の近位の大腿骨骨幹端上において、前方骨の平坦な領域は、回転アライメントのために再生可能性の高い標認点を提供する。患者が先に手術またはトラウマ（損傷）を体験しているならば、このことは当てはまらないかもしれない。

大腿骨６２内の最適な嵌合および充填を達成するために、徐々に大きくなるラスプが挿入される。最終のラスプが完全に着座させられると、ラスプハンドル２１２はガイドワイヤ１４６および後方開創器１２２と共に取り除かれ、後方切り口４６から突出するラスプ２０４の近位端と可撓性ケーブル１９２の近位端１９４とに取り付けられた可撓性ケーブル１９２（図１９Ａ）の遠位端２０８から離れる。ラスプハンドル２１２の操作について以下にさらに説明する。代替的実施態様では、図３１〜図３６に示したラスプハンドル３００が利用される。ラスプハンドル３００は、Ｚｉｍｍｅｒ社から入手可能なＶＥＲＳＹＳラスプと共に利用できる。ラスプハンドル３００の操作および大腿骨ラスプとのラスプハンドルの協働について、以下にさらに記述する。１つ以上の蛍光透視鏡画像を利用して、大腿骨ラスプの適切な配向および位置決めを保証することができる。

最後のラスプが大腿管１４８に着座させられた後、関連技術で知られているようなライナ挿入器を用いて、試験的な寛骨臼ライナが前方切り口４４または４４’を通して、また着座させられた寛骨臼カップ内に配置される。代替的実施態様では、大腿骨６２の調製の前に、着座させられた寛骨臼カップ内に試験的または最終の寛骨臼ライナを着座させることができる。暫定的な頚部２２２（図２３、図２４Ａ〜Ｃ）は前方切り口４４を通して挿入され、図２２に示したように、着座させられたラスプの頂端にロックされる。試験的な大腿骨頭部は前方切り口４４を通して暫定的な頚部２２２のモールス（Ｍｏｒｓｅ）テーパ部に配置される。股関節部は、股関節部および肢の長さの安定性を評価するために整復される。必要な場合、第２の評価が行われる。試験的な整復が満足に完了されると、股関節は脱臼され、また暫定的な頭部および暫定的な頚部２２２が取り除かれる。ラスプハンドル２１２は可撓性ケーブル１９２の自由端の上方の後方切り口４６を通して再挿入される。ラスプハンドル２１２は、打撃面１６４に衝撃を与えることができ、かつ器具全体（すなわちラスプ２０４およびラスプハンドル２１２）を取り除くことができるように、着座させられたラスプでラスプハンドルをロックできるまで進められる。試験的な寛骨臼ライナは前方切り口４４を通して取り除かれる。代替的実施態様では、試験的な整復は、最終の大腿骨移植体および試験的な大腿骨頭部を利用して実行することができる。模範的な一実施態様では、２００１年１１月６日に出願された米国特許出願番号第０９／９９２，６３９号明細書に開示され、かつその開示が本明細書に参考として明白に組み込まれている米国特許公開第２００２／００９９４４７Ａ１号明細書として公開されているような試験的な大腿骨頭部である。

関連技術で知られているように、所定の位置の最終の寛骨臼ライナの打撃を許容するライナ挿入器を用いて、前方切り口４４を介して、最終の寛骨臼ライナ２５２（図３０）が寛骨臼カップ２５０（図３０）内に着座させられる。大腿骨の移植体２３８（図３０）は大腿骨ステム挿入器具２４０（図２９）に固定され、後方切り口４６または４６’を通して配置される。大腿骨移植体２３８は、例えば、ＶＥＲＳＹＳ繊維金属テーパ部、ＶＥＲＳＹＳ繊維金属ミッドコート（ｍｉｄｃｏａｔ）、またはＺｉｍｍｅｒ社から入手可能なＶＥＲＳＹＳフルコート（ｆｕｌｌ ｃｏａｔ）ステムであり得る。図２５に示したように、大腿骨移植体２３８は、それを後方切り口４６または４６’内に導入する前に、保護用の使い捨て可能なバッグ２４２に配置される。保護用の使い捨て可能なバッグ２４２は、大腿骨移植体２３８が後方切り口４６を通して挿入されるときに大腿骨移植体を清潔に維持する。図２５は、大腿骨移植体２３８が大腿骨６２に配置されるときに配向される大腿骨移植体を示していることを指摘する。大腿骨移植体２３８を後方切り口４６を通して挿入するために、大腿骨移植体２３８をこの位置から１８０°回転して、身体の衝撃を防止することができる。次に、大腿骨移植体２３８は、後方切り口４６を通して完全に挿入した後に１８０°回転される。大腿骨移植体２３８の同様の回転は、後方切り口４６’を利用するときに行うことができる。

図２６は、後方切り口４６を通して挿入された大腿骨ステム２３８およびバッグ２４２を示している。大腿骨ステム２３８の先端が、骨切りされた大腿骨頚部に接近すると、バッグ２４２の遠位端が図２７に示したように切開される。バッグ２４２を切開するために、メス２４６が前方切り口４４に挿入される。大腿骨ステム２３８が大腿管１４８内に動かされるとき、バッグ２４２は、図２８に示したような後方切り口４６を通して徐々に取り除かれる。大腿骨ステム２３８が完全に着座させられた後、大腿骨ステム挿入器具２４０（図２９）は後方切り口４６を通して取り除かれる。前方切り口４４を通し、標準の保持装置を用いて最終の大腿骨頭部が大腿骨頚部モールステーパ部に位置決めされ、標準の打撃器具およびマレット（木槌）で固定される。次に、股関節は整復され、安定性について評価される。前方切り口４４および後方切り口４６を参照して記述しているが、大腿骨ステム２３８を着座させる本方法は、前方切り口４４’および後方切り口４６’を用いるときに等しく適用できる。

適切な抗生物質潅注および脈動洗浄の後、股関節嚢および軟質組織が厄介な縫合またはステープルによって修復される。適切な局部麻酔溶液が、閉じられた股関節部ならびに嚢層および皮下組織に注入され、手術後の痛みの優れた軽減を可能にする。筋膜層、皮下組織、および前方と後方の傷口の両方の皮膚は従来の方法で閉じられ、手当が適用される。吸引ドレインは外科医の裁量で使用し得る。

図４の使用に示した骨切りガイド７８はハンドル８０、アライメント部分８２、および切断ガイド８４を含む。模範的な一実施態様では、切断ガイド８４およびアライメント部分８２は６０°の角度を形成する。模範的な一実施態様では、アライメント部分８２は、図５Ａと図５Ｂに示したようなテーパ状遠位端を含む。骨切りガイド７８は前方切り口４４を通して挿入され、またアライメント部分８２が大腿骨６２の長手方向軸線とほぼ整列するように、大腿骨６２に配置されたアライメント部分８２と位置決めされる。ハンドル８０は前方切り口４４を通して突出し、骨切りガイド７８を位置決めするために利用し得る。骨切りガイド７８が適切に位置決めされた後、切断ガイド８４が利用され、図４に示したような大腿骨頚部６０に切断線８５をマークする。骨切りガイド７８は、身体の一方の側で機能するように形成されることができる。図４は、右の大腿骨で機能するようにデザインされた骨切りガイドを示しており、一方、図５Ｂは、左の大腿骨で機能するように操作可能な骨切りガイドを示している。

図３７〜図４５は本発明のカップ挿入器３６０を示している。カップ挿入器３６０は、部分的にフレーム３６８の残部からのオフセットフレーム脚３７６のオフセットの故に、本発明の最低限に侵襲的な全股関節形成を実行する場合に特に有利である。このオフセットは、軟質組織からの干渉なしに、寛骨臼カップを正確な前傾および外転に配置することを有利に可能にする。図３７を参照すると、寛骨臼カップ挿入器３６０は、フレーム３６８の近位端に固定されたハンドル３５０を有するフレームを含む。ハンドル３５０は、プレス嵌合のような寛骨臼カップまたはスパイク付き（先の尖った）寛骨臼カップに衝撃を与える際に有用な打撃面３５２を含む。フレーム３６０の遠位端３７０は、以下にさらに記述するように、寛骨臼カップをフレームに接続するために適合される。

図３７と図３８を参照すると、カップ挿入器３６０の駆動シャフト３７８は、駆動シャフトハンドル３８２、あるいは設けられるならばトルクハンドル４３２を介して回転される。駆動シャフト３７８の回転は、ねじ付きシャフト３９２のねじ付き遠位端３９４を回転するように動作し、以下にさらに記述するように寛骨臼カップをカップ挿入器３６０に固定または解放する。駆動シャフトハンドル３８２はラチェット機構を含むことが可能であり、また寛骨臼カップがカップ挿入器３６０にあまりに堅く固定されないように、かけられるトルクを制限するためのクラッチをさらに含み得る。図３８に示したように、寛骨臼カップ挿入器３６０は、寛骨臼カップ挿入器３６０の遠位端から突出するねじ付き遠位端３９４を有するねじ付きシャフト３９２を含む。ねじ付きシャフト３９２のねじ付き遠位端３９４は寛骨臼カップのねじ付き中央開口部にねじ込まれ、寛骨臼カップをカップ挿入器３６０に固定する。寛骨臼カップを着座させた後、ねじ付きシャフト３９２が回転され、カップ挿入器３６０との係合から寛骨臼カップを解放する。寛骨臼カップをカップ挿入器３６０に固定または解放するために、駆動シャフトハンドル３８２およびトルクハンドル４３２の一方または両方を通してシャフト３７８を駆動するために、トルクがかけられる。図３７と図３８に示したように、駆動シャフト３７８は、カップ挿入器３６０のフレーム３６８に形成された駆動シャフト開口部３８８を通して位置決めされる。駆動シャフト３７８は駆動シャフト保持溝３８６を含み、この溝内に、図３８に示したように駆動シャフト保持ピン３８４が位置決めされ、駆動シャフト３７８の軸方向変位を防止する。組立時、駆動シャフト３７８の遠位端３８０は、図３８に示したような接続シャフト３５４の近位端３５８内に位置決めされる。組立時、接続シャフト３５４はフレーム３６８の接続シャフト開口部４２６（図３９）を占める。図３９に示したように、接続シャフト開口部４２６は肩部４２８を形成するカウンタボア（座ぐり部）を含む。接続シャフト３５４の近位端３５８は、図３７に示したような肩部４１６を同様に含む。構成時、接続シャフト３５４の肩部４１６は接続シャフト開口部４２６の肩部４２８に当接し、寛骨臼カップ挿入器３６０のフレーム３６８に対する接続シャフト３５４の軸方向変位を制限する。

図３８に示したように、駆動シャフト３７８の遠位端３８０は接続シャフト３５４の近位端３５８内に位置決めされる。駆動シャフト３７８の遠位端３８０は、図４２〜図４５に詳細に示しかつ以下にさらに記述する接続シャフト３５４の遠位端３５６と同一である。組立時、ねじ付きシャフト３９２はフレーム３６８のねじ付きシャフト開口部４２２（図３９）内に位置決めされる。図３９に示したように、ねじ付きシャフト開口部４２２は肩部４２４を形成するカウンタボアを含む。同様に、ねじ付きシャフト３９２の近位端３９６は肩部４１８を含む。構成時、ばね３９８（図３７）は、模範的な一実施態様において、ねじ付きシャフト３９２、ねじ付きシャフト３９２の中間肩部４１８、およびねじ付きシャフト開口部４２２の肩部４２４のまわりに位置決めされる。図３８に示したように、接続シャフト３５４の遠位端３５６はねじ付きシャフト３９２の近位端３９６内に位置決めされる。駆動シャフト３７８の遠位端３８０および接続シャフト３５４の近位端３５８は協働して、ユニバーサルジョイントを形成する。同様に、接続シャフト３５４の遠位端３５６およびねじ付きシャフト３９２の近位端３９６は協働して、ユニバーサルジョイントを形成する。

上述のように、駆動シャフト３７８の遠位端３８０は接続シャフト３５４の遠位端３５６と実質的に同一である。同様に、接続シャフト３５４の近位端３５８はねじ付きシャフト３９２の近位端３９６と実質的に同一である。次に、接続シャフト３５４の遠位端３５６とねじ付きシャフト３９２の近位端３９６とによって形成されたユニバーサルジョイントの構造について詳述する。駆動シャフト３７８の遠位端３８０と接続シャフト３５４の近位端３５８とによって形成されたユニバーサルジョイントの構造および機能は、接続シャフト３５４の遠位端３５６とねじ付きシャフト３９２の近位端３９６とによって形成されたユニバーサルジョイントと同一であり、簡潔さのために詳述しない。

図４０と図４１に示したように、ねじ付きシャフト３９２の近位端３９６は、図４１に示したような六角形断面を有する駆動開口部４３４を含む。同様に、接続シャフト３５４の遠位端３５６は、図４５Ａに示したような六角形断面を有する。図３７と図４２に示したように、接続シャフト３５４の遠位端３５６は六面の回転楕円体を備える。遠位端３５６の最遠位の点３５７（図３７）を回転楕円体の極とすると、対向する想像上の極は接続シャフト３５４内に位置決めされる。接続シャフト３５４および駆動シャフト３７８の遠位端３５６と３８０の六面の回転楕円体を形成するために、第１の極、例えば、最遠位の点３５７に交差し、かつ最遠位の点３５７および対向する想像上の極によって形成された主軸線に対し垂直に位置決めされた真っ直ぐなエッジ付き器具を、主軸線に対し垂直のこの器具の真っ直ぐな切断エッジを維持しつつ最遠位の点３５７から対向する想像上の極に向かって移動できるように、球を機械加工できる。球の外周の周りで６つの均等に離間した間隔でこの手順を繰り返して、遠位端３５６と３８０の６面の回転楕円体を形成することができる。

図３８に示したように、駆動シャフト３７８の遠位端３８０は、接続シャフト３５４と駆動シャフト３７８とが同一直線にないように接続シャフト３５４の近位端３５８内に位置決めされる。図４５Ｂは、接続シャフト３５４が図３８に示したようなカップ挿入器３６０内に組み立てられるときに接続シャフト３５４の近位端３５８に対し横断方向の線に沿って見た遠位端３５６（遠位端３８０と同一）の断面を示している。図４５Ｂに示したように、本発明のユニバーサルジョイントの雄部分の回転楕円体形状は、雌部分が雄部分に対して斜めにされるときに本発明のユニバーサルジョイントの雌部分の六角形側面に対し線接触面を提供する。このようにして、本発明のユニバーサルジョイントの雄部分から雌部分に非線形（非直線状に）にトルクを伝達することができる。

カップ挿入器３６０のユニバーサルジョイントは、駆動シャフト３７８、接続シャフト３５４、およびねじ付きシャフト３９２を通して駆動シャフトハンドル３８２およびトルクハンドル４３２の一方または両方に、かけられるトルクの伝達を可能にする。したがって、駆動シャフトハンドル３８２および／またはトルクハンドル４３２の回転により、ねじ付きシャフト３９２のねじ付き遠位端３９４が回転され、寛骨臼カップを寛骨臼カップ挿入器３６０に固定するか、あるいは寛骨臼カップ挿入器３６０からの寛骨臼カップの分離を可能にする。寛骨臼カップを寛骨臼カップ挿入器３６０に固定すると、ねじ付きシャフト３９２のねじ付き遠位端３９４が寛骨臼カップに対して回転されて、寛骨臼カップをねじ付きシャフトに係合する。寛骨臼カップが寛骨臼カップ挿入器３６０に固定されるとき、ねじ付きシャフト開口部４２２（図３９）を通してねじ付きシャフト３９２を遠位に引っ張ってねじ付き遠位端３９４のさらなる露出を可能にし、また寛骨臼カップを寛骨臼カップ挿入器３６０に確実に係合することが可能である。このことが行われると、ねじ付きシャフト３９２は、ばね３９８のバイアス力に対抗して作用する。ねじ付きシャフト３９２のこの伸長は、より大きな寛骨臼カップに較べてねじ付きシャフトとの係合のために追加のねじ部を必要とする比較的小さな寛骨臼カップを用いた場合に、特に有利である。

図３７と図３９に示したように、寛骨臼カップ挿入器３６０の遠位端３７０はＣリング溝３７４を含む。構成時、Ｃリング溝３７４はＣリング３７２（図３７）を収容する。Ｃリング溝３７４の周りに位置決めされたＣリング３７２により、端部キャップ４１４を寛骨臼カップ挿入器３６０の遠位端３７０の周りに位置決めし、端部キャップ４１４との締まり嵌めを形成するように作用するＣリング３７２により所定の位置に固定されることができる。寛骨臼カップが寛骨臼カップ挿入器３６０に固定されると、ねじ付きシャフト３９２は、寛骨臼カップの内側を引っ張って端部キャップ４１４とロック係合させ、端部キャップ４１４の近位端を強制して寛骨臼カップ挿入器３６０のフレーム３６８と確実に係合させる。したがって、打撃面３５２にかけられる打撃力はフレーム３６８を通して寛骨臼カップに伝達される。打撃力は上述のユニバーサルジョイントリンクを通して伝達されない。模範的な一実施態様では、端部キャップ４１４はポリエチレンから製造される。

図４６は代替的実施態様の寛骨臼カップ挿入器３６０’を示している。寛骨臼カップ挿入器３６０’は、寛骨臼カップ挿入器３６０と同様の多くの構成要素を共有する。寛骨臼カップ挿入器３６０の対応する構成要素と同一またはほぼ同様の寛骨臼カップ挿入器３６０’の構成要素は、プライム符号付きの参照番号で示されている。寛骨臼カップ挿入器３６０’はユニバーサルジョイントリンクを利用して、駆動シャフトハンドル３８２’にかけられたトルクをねじ付きシャフト４３８に伝達する。寛骨臼カップ挿入器３６０’のユニバーサルジョイントは、それらがピンで留められたユニバーサルジョイントであるという点で、寛骨臼カップ挿入器３６０について上述したユニバーサルジョイントとは異なる。ピン留めのユニバーサルジョイントは寛骨臼カップ挿入器３６０’と共に利用されるので、Ｕジョイントリンク４４８が用意される。Ｕジョイントリンク４４８は、Ｕジョイントピン４５０を介して接続シャフト３５４’の遠位端３５６’に固定される。Ｕジョイントリンク４４８は溝４４６を含み、この溝内にねじ付きシャフト４３８のタブ４４４が位置決めされ、ねじ付きシャフト４３８へのトルク伝達を可能にする。タブ４４４および溝４４６は、寛骨臼カップ挿入器３６０について上述したようなフレーム３６８’からのねじ付きシャフト４３８の最大延長を可能にするように寸法決めされる。ねじ付きシャフト４３８およびＵジョイントリンク４４８は図４７〜図５０に詳細に示されている。

寛骨臼カップ挿入器３６０’は、駆動シャフト３７８’の回転移動を制限するためのロック機構を含む。ロックレバー４５２およびロックシャフト４５４は図４６に示されており、またリフタ（ｌｉｆｔｅｒ）４６２と協働して駆動シャフト３７８’とフレーム３６８’との間の締まり嵌めを形成し、駆動シャフト３７８’の回転移動を妨げる。ロックレバー４５２およびロックシャフト４５４は図５１〜図５５に詳細に示されている。図５１に示したように、ロックレバー４５２は、部分円筒状壁部４６４内に形成されたロックタブ開口部４５６を有する部分円筒状壁部４６４を含む。ロックシャフト４５４は、その遠位端４６６に形成されたロックタブ４５８を含む。組立時、ロックシャフト４５４の遠位端４６６はロックレバー４５２の部分的な円筒状壁部４６４内に位置決めされ、ロックタブ４５８はロックタブ開口部４５６内に位置決めされて、ロックレバー４５２およびロックシャフト４５４の相対回転運動を妨げる。図５３〜図５５に示したように、ロックシャフト４５４はカム４６０を含む。組立時、カム４６０はフレーム３６８’のリフタ開口部４７０（図４６）と整列される。リフタ４６２はロックシャフト４５４の頂部でリフタ開口部４７０内に位置決めされる。ロックレバー４５２は、力を加えてロックシャフト４５４を回転できるタブ４６８を含む。具体的に、ロックシャフト４５４は、駆動シャフト３７８’の回転を可能にするようにカム４６０がリフタ４６２に接触しなくなるまで回転することができる。同様に、ロックシャフト４５４は、カム４６０がリフタ４６２を強制して駆動シャフト３７８’と摩擦係合させ、駆動シャフトの回転移動を妨げるまで回転されることが可能である。ロックレバー４５２が回転されて駆動シャフト３７８を固定すると、リフタ４６２は強制されて駆動シャフト３７８’と係合し、また駆動シャフト３７８’は強制されて駆動シャフト開口部３８８’の内壁と係合し、駆動シャフト３７８’を摩擦固定する。寛骨臼カップ挿入器３６０’について記述したロック機構は、同様に、寛骨臼カップ挿入器３６０に適用可能である。このロック機構は、寛骨臼カップ挿入器３６０’に固定された寛骨臼カップと寛骨臼カップ挿入器３６０’との間の相対回転を妨げるので有利である。

寛骨臼カップを寛骨臼カップ挿入器３６０’に固定した後、駆動シャフトハンドル３８２を回転して、寛骨臼カップ挿入器３６０’に対し寛骨臼カップを回転し得る。この特徴は、寛骨臼カップロック機構を望ましい位置に配置することを可能にして、修正手術を可能にする。寛骨臼カップの所望の配向が達成されると、ロック機構を利用して、上述のような寛骨臼カップ挿入器３６０’に対する寛骨臼カップのさらなる相対回転を妨げることが可能である。非線形（非直線状の）経路に沿ってトルクを伝達するための１対のユニバーサルジョイントを利用するものとして、寛骨臼カップ挿入器３６０および寛骨臼カップ挿入器３６０’の両方について記述してきたが、寛骨臼カップ挿入器３６０と３６０’の両方に可撓性シャフトを利用して、駆動ハンドル３８２、３８２’からねじ付きシャフト３９２、４３８それぞれにトルクを伝達することが可能である。

図９Ｂは寛骨臼カップ挿入器３６０の使用を示している。寛骨臼カップの最適な配置のための寛骨臼カップ挿入器３６０を適切に整列するために、Ａフレーム４７２は止めねじ４７６を介してアライメントフレーム柱３９０に固定される。Ａフレーム４７２を寛骨臼カップ挿入器３６０に固定して、図９Ｂに示したようにＡフレーム４７２が冠状面に対し平行に位置決めされ、１つのＡフレーム脚４７４は矢状面に対し平行であり、１つのＡフレーム脚４７４は矢状面に対し垂直である。このようにＡフレーム４７２を位置決めして、寛骨臼カップの最適な配向が達成される。模範的な一実施態様では、上述のように、Ａフレーム４７２の適切な整列は、２０°の前傾および４５°の外転を有する寛骨臼カップの配向をもたらす。代替的実施態様では、画像案内アレイをアライメントフレーム柱３９０に固定して、寛骨臼カップ挿入器３６０のコンピュータ支援案内を可能にすることができる。代替的実施態様では、カップ挿入器３６０、３６０’は、例えば横方向位置のような代替位置の患者に利用される。これらの実施態様では、異なる基準点を有する異なる基準フレームを利用できる。

上に説明したように、突き錐１０６（図１２）は、前方切り口４４または４４’を通して挿入して、後方切り口４６または４６’を突きとめるようにデザインされる。突き錐シャフト１１６は、ハンドル１１２に挿入するためにデザインされた近位端１１０を含む。ハンドル１１２は長手方向チャネル（通路）１２０を含み、この長手方向チャネル内に突き錐シャフト１１６の近位端１１０を挿入し得る。ロックスクリュ１１８はハンドル１１２に操作可能に位置決めされ、ロックノブ１１４によって作動し得る。ロックスクリュ１１８を突き錐１０６の近位端１１０とロック係合させるために、ロックノブ１１４が利用される。模範的な一実施態様では、突き錐１０６の近位端１１０は、ロックスクリュ１１８に係合して、突き錐シャフト１１６とハンドル１１２とのロック係合を容易にするための平坦部を含む。突き錐シャフト１１６は遠位端１０８をさらに含む。遠位端１０８はほぼ真っ直ぐであり、また大腿骨６２（図１１）の長手方向軸線とほぼ整列するために利用される。図１２に示したように、突き錐シャフト１１６の遠位端１０８は、前方切り口４４または４４’を通して突き錐１０６を挿入して、後方切り口４６または４６’を突きとめることを容易にするテーパ状端部を含む。さらに、突き錐１０６の遠位端１０８は、図１２に示したような突き錐シャフト１１６の本体よりも小さな直径であり得る。代替的実施態様では、突き錐１０６は一部品で形成され、使い捨て可能である。

次に図１４を参照すると、後方開創器１２２は、入れ子状にされた３つの部分を備える。ガイドチューブ１２４は、リーマトンネル１２６に入れ子状にされ、一方、リーマトンネル１２６はラスプトンネル１３０内に入れ子状にされる。後方開創器１２２が後方切り口４６または４６’内にねじ込みされると、ガイドチューブ１２４、リーマトンネル１２６、およびラスプトンネル１３０を共に入れ子状にされて、単一ユニットを形成することができる。ラスプトンネル１３０は外側ねじ部１３２を含み、後方切り口４６を通した後方開創器１２２のねじ込みを容易にする。ラスプトンネル１３０は、リーマトンネル１２６を挿入し得るラスプ開口部１３４、および１つの代替的実施態様では、上述のように後方開創器１２２を位置決めするための後方リップ１２８を含む。リーマトンネル１２６は、リーマトンネル１２６の位置をラスプトンネル１３０内に保持するように操作可能であるフランジ１３６を含む。リーマトンネル１２６はリーマ開口部１３８を含み、この開口部を通してガイドチューブ１２４を挿入し得る。ガイドチューブ１２４はテーパ状遠位端１４０を含み、リーマ開口部１３８内へのガイドチューブの挿入を容易にする。ガイドチューブ１２４はガイドワイヤ開口部１４４を含み、この開口部を通してガイドワイヤ１４６（図１５）を挿入し得る。リーマ開口部１３８は、端部カッタ１５０（図１８）または上述のような大腿骨リーマ１５１の挿入を可能にするように寸法決めされる。図１８に示したように、ガイドチューブ１２４はリーマトンネル１２６から取り除かれ、端部カッタ１５０がリーマ開口部１３８を通して挿入される。長手方向リーマ開口部１３８は、ガイドシリンダ１５６を収容し、これによって案内を行いかつ安定性を端部カッタ１５０に提供するように寸法決めされる。端部切断（望むならリーマ加工）が完了した後、リーマトンネル１２６はラスプトンネル１３０から取り除かれる。ラスプ開口部１３４は、ラスプ２０４の挿入ならびにラスプハンドル２１２のカニューレ挿入部材１６８を受け入れるように寸法決めされる。リーマ加工を利用しない手術では、後方開創器は、その中に入れ子状にされたガイドチューブを有するラスプトンネルを備えることができ、上述のようなリーマトンネルを含むことができない。上述のように、後方開創器１２２は必ずしも利用されるとは限らず、また利用する場合、その入れ子状の構造で必ずしも利用されるとは限らない。模範的な一実施態様では、ガイドチューブ１２４、リーマトンネル１２６、およびラスプトンネル１３０の各々は、必要に応じて後方切り口４６に挿入されまたそこから取り除かれる。代替的実施態様では、その開示が本明細書に参考として明白に組み込まれている２００１年１１月６日に出願された米国特許出願番号第０９／９９２，６３９号明細書に開示されかつ米国特許公開第２００２／００９９４４７Ａ１号明細書として公開された管状開創器が利用される。

次に、図２１を参照すると、ラスプハンドル２１２は、カニューレ挿入部材１６８、打撃面１６４、グリップ１６６、細長いガイド開口部２０２、細長い開口部２００、および係合チャネル１９０を含む。ラスプ２０４は、可撓性ケーブル１９２の遠位端２０８に保持器２１０を受容かつ保持するように寸法決めされた開口部２１６を含む。保持器２１０は開口部２１６内に配置され、また可撓性ケーブル１９２はケーブルチャネル２１７に従いラスプ２０４を出る。可撓性ケーブル１９２の近位端１９４はカニューレ挿入部材１６８の細長い開口部２００を通して挿入し、また遠位のラスプ係合ガイド２０６はラスプ２０４のガイドチャネル２１５に案内される。細長い開口部２００の近位端を出た後、可撓性ケーブル１９２の近位端１９４を係合チャネル１９０に収容し得る。係合チャネル１９０は、保持器１９６を収容かつ保持するように寸法決めされる。保持器１９６が係合チャネル１９０に操作可能に位置決めされた後、グリップ１６６を作動して可撓性ケーブル１９２に張力を加えることが可能である。

次に、図２０Ｂを参照すると、保持器１９６は係合チャネル１９０に操作可能に位置決めされる。バイアス（付勢）要素１７２をグリップ１６６および内側ハンドル表面１８２に固定するために、例えば、リベット、ベルト等のような取付手段１８４を利用される。グリップ１６６は、ハンドルバイアス要素１７２によって外側方向に付勢され、旋回点１９８のまわりを旋回する。グリップ１６６は張力部材１８８とラチェット１７４とを含む。ラチェット１７４は、爪１７６のテーパ状端部１８６と係合するためにデザインされる。爪１７６は爪フランジ１７８を含む。ばね１８０は内側ハンドル表面１８２と爪フランジ１７８とに係合して、爪１７６をカニューレ挿入部材１６８に向かって付勢する。バイアス要素１７２の付勢力に対抗してグリップ１６６を作動することによって、グリップ１６６が旋回点１９８を中心に回転され、ラチェット１７４が爪１７６のテーパ状端部１８６と動作係合するようにし、また張力部材１８８が可撓性ケーブル１９２に接触するようにする。図２０Ａは、閉位置の爪１７６によって保持されたグリップ１６６を示している。図示したように、張力部材１８８は可撓性ケーブル１９２に接触しかつ張力を加え、このようにして、ラスプ２０４をラスプハンドル２１２に固定する。ばね１８０の付勢力に対抗してロック係合解除ノブ１７０を引っ張り、グリップ１６６をロック解除することができる。

図３１〜図３６は、本発明による代替的実施態様のラスプハンドルを示している。図３１〜図３５に示したように、ラスプハンドル３００は、打撃面３２８を含む近位端３０２を含む（例えば図３２〜図３５参照）。近位端３０２は複数のガイドハンドル開口部３１６をさらに含み、この開口部内に前傾ハンドル３１２（図３１と図３３）を固定できる。ラスプハンドル３００を用いてラスプを大腿骨６２に着座させる場合、前傾ハンドル３１２を利用して大腿骨移植体の前傾をセットできる。図３６に示したように、ラスプハンドル３００の近位端３０２は、それらの各側面に３つの前傾ハンドル開口部を含む。具体的に、前傾孔３１６ａ’、３１６ｂ’と３１６ｃ’は左前傾孔であり、一方、前傾孔３１６ａ、３１６ｂと３１６ｃは右前傾孔である。すなわち、前傾孔３１６ａ’、３１６ｂ’と３１６ｃ’を利用して、全股関節形成を左股関節に実行するときに大腿骨移植体の前傾をセットし、一方、前傾孔３１６ａ、３１６ｂと３１６ｃを利用して、右股関節の全股関節形成を実行するときに大腿骨移植体の前傾をセットする。前傾孔３１６ａと３１６ａ’は０°の前傾でセットされる。前傾孔３１６ａと３１６ａ’は、大腿骨移植体の前傾が求められないときに利用される。このような実施態様では、前傾ハンドル３１２は適切な前傾開口部３１６ａまたは３１６ａ’に接続され、また大腿骨６２を調製して０°の前傾の大腿骨移植体を受容するために、垂直に位置決めされる（患者は仰臥位にある）。前傾開口部３１６ｂと３１６ｂ’とは、前傾開口部３１６ａと３１６ａ’と共にそれぞれ７¹／₂度の角度を形成する。これらの開口部を利用して、大腿骨移植体のために７¹／₂度の前傾をセットできる。同様に、前傾開口部３１６ｃと３１６ｃ’とは、前傾開口部３１６ａと３１６ａ’と共にそれぞれ１５°の角度を形成し、また大腿骨移植体のために１５°の前傾をセットするために使用できる。本文献の目的について、１対の前傾開口部によって形成された角度を指す場合、各開口部の長手方向軸線は、参照角度の脚部を備える線を形成する。外科医が、７¹／₂度または１５度の前傾の達成を欲するならば、外科医は前傾ハンドル３１２を適切な前傾開口部に挿入して、所望の前傾を達成するために前傾ハンドル３１２を垂直に配向できる。ラスプハンドル３００の近位端３０２は、スラップハンマ（ｓｌａｐ ｈａｍｍｅｒ）をラスプハンドル３００に接続するためのスラップハンマ開口部３４４をさらに含む。外科医が、近位端３０２の下面、すなわち打撃面３２８と反対側の表面に衝撃を与えることにより、ラスプを取り除くことを好まない場合、スラップハンマ開口部３４４が用意される。

図３１、図３２と図３４に示したように、ラスプハンドル３００は、その中に形成された横断方向開口部３２２を有するフレーム３１４を含む。横断方向開口部はラスプハンドル３００に清浄性を付加し、横断方向開口部３２２なしの実施態様と較べて重量を低減する。

ラスプ２０４’（図３５）をラスプハンドル３００に固定するために、ハンドルレバー３０４は、フレーム３１４から図３５に示した位置に回転される。この位置へのハンドルレバー３０４の回転により、第２のハンドルレバーピン３３４の近位の移動が行われ、したがって、リンクアーム３０８およびリンクアームピン３３６が近位に移動される。ロックジョー３０６は、ハンドルレバー３０４の移動によりロックジョーピン３３８を中心とするロックジョー３０６の回転が引き起こされ、また図３５に示したようにロックジョー３０６が位置決めされるように、ロックジョーピン３３８を介してフレーム３１４に旋回可能に固定される。図３１と図３２に示したように、ハンドルレバー３０４は第１のハンドルレバーピン３３０を介してフレーム３１４に旋回可能に接続される。第１のハンドルレバーピン３３０は、フレーム３１４内に形成されたチャネル３３２に位置決めされる。第１のハンドルレバーピン３３０のチャネル３３２への配置は、ハンドルレバー３０４の近位／遠位の並進運動を可能にする。図３４と図３５に示したように、ハンドルレバー３０４は第２のハンドルレバーピン３３４を介してリンクアーム３０８に旋回可能に接続される。リンクアーム３０８はリンクアームピン３３６を介してロックジョー３０６に旋回可能に接続され、またロックジョー３０６はロックジョーピン３３８を介してフレーム３１４に旋回可能に接続される。図３２に示したように、フレーム３１４はロックジョーピン開口部３４０を含み、この開口部内にロックジョーピン３３８が位置決めされる。

ラスプ２０４’をラスプハンドル３００に固定するために、ラスプ２０４’の柱３１８はラスプハンドルドッキング開口部３２６に挿入され、またラスプハンドル３００のドッキングボス３２４はラスプ２０４’のラスプハンドルドッキング開口部３４６内に位置決めされる。次に、ハンドルレバー３０４が、図３５に示した位置から図３４に示した位置に回転される。図３４に示した位置へのハンドルレバー３０４の回転は、図３５に示した位置から図３４に示した位置への第２のハンドルレバーピン３３４の移動を引き起こし、したがって、リンクアーム３０８およびリンクアームピン３３６の遠位運動を引き起こし、これによって、図３４に示した位置へのロックジョー３０６の回転が引き起こされ、ロックジョー３０６のロック歯３４２は、ラスプ２０４’の柱３１８のＶノッチ（切り欠き部）３２０内に位置決めされる。不十分な締付け力がロックジョー３０６によって柱３１８のＶノッチ３２０に対し及ぼされるならば、ハンドルレバー３０４は、図３５に示した開位置内に移動する可能性があり、調整ねじ３１０を利用して第１のハンドルレバーピン３３０を遠位に変位することができ、この結果、閉位置へのハンドルレバー３０４の作動はリンクアーム３０８およびリンクアームピン３３６の、より大きな遠位の変位を引き起こし、したがって、ロックジョー３０６の、より大きな回転を引き起こしてラスプ２０４’の柱３１８に対して追加の締付け力を及ぼすことになる。

最終のラスプが上述のように大腿骨６２に完全に着座させられた後、ラスプ２０４’に固定された試験的な大腿骨頚部および頭部に試験的な整復を実行できるように、ハンドルレバー３０４を図３５に示した開位置に回転して、ラスプ２０４’からのラスプハンドル３００の係合解除を可能にできる。試験的な整復を完了した後、ラスプハンドル３００は身体内に再挿入され、ラスプ２０４とドッキング（結合）されてラスプハンドルの取り除きを可能にする。ラスプハンドル３００を再ドッキングするために、触覚フィードバックが利用され、ラスプ２０４’の柱３１８を識別する。柱３１８が突きとめられた後、柱３１８はラスプハンドルドッキング開口部３２６内に位置決めされるが、このことは、ラスプハンドルドッキング開口部３２６が雌テーパ部を含み、この場合ラスプハンドルドッキング開口部３２６の最遠位の部分がそれらの最近位の部分よりも大きいという事実によって容易にされる。柱３１８をラスプハンドルドッキング開口部３２６内に位置決めし、ラスプハンドル３００の回転を利用して、ドッキングボス３２４をラスプドッキング開口部３４６に位置決めすることができる。次に、ハンドルレバー３０４は、図３５に示した開位置から図３４に示した閉位置に回転され、ラスプ２０４’をラスプハンドル３００に固定する。ラスプ２０４’の近位端がラスプハンドル３００の遠位端に当接しない場合、ロック歯３４２とＶノッチ３２０との協働ランプ（傾斜）面は、ラスプ２０４とラスプハンドル３００が当接関係で位置決めされるまで、ラスプハンドル３００をラスプ２０４のより近くに引っ張るように作用する。図３１、図３２と図３５に示したように、ラスプハンドルドッキング開口部３２６は、ラスプハンドル３００がラスプ２０４’に固定されるときに、ラスプハンドル３００とラスプ２０４’との間から軟質組織の漏出を可能にする丸みが与えられた輪郭部３４８を含む。ラスプハンドル３００をラスプ２０４’に固定し、ラスプ２０４’を大腿骨６２から取り除いて最終の大腿骨移植体の着座を可能にできる。代替的実施態様では、前傾ハンドル３１２の代わりにまたは追加して画像案内アレイを利用して、ラスプ２０４を大腿骨の適切な配向に位置決めすることができる。本発明のラスプハンドルは、ラスプハンドルが取り付けられるラスプよりも小さな断面領域を占める、目立たない（低いプロフィールの）挿入部材で有利に形成される。

次に、図２３を参照すると、鉗子２２０を利用して暫定的な頚部２２２をラスプ２０４に固定することができる。鉗子２２０はブレード端部２３０、２３２を含む。ブレード端部２３０、２３２は、暫定的な頭部開口部２３４、２３６それぞれに挿入するために寸法決めされる（図２４Ｂと図２４Ｃ）。図２４Ａに示したように、暫定的な頚部２２２はロックシリンダ２２４とばね２２８とを含む。ばね２２８はロックシリンダ２２４を上方に付勢する。開口部２３４、２３６に挿入すると、ブレード端部２３０、２３２はロックシリンダ２２４のテーパ部分２２６に接触することができる。テーパ部分２２６に対するブレード端部２３０、２３２の作動は、ばね２２８の付勢力と反対方向のロックピストン２２４の移動を引き起こす。暫定的な頚部２２２は鉗子２２０に締付けられ、ラスプ２０４の暫定的な頚部係合領域２１８（図２１と図２１Ａ）内に半径方向に摺動される。暫定的な頚部２２２がラスプ２０４の上に完全に摺動された後、鉗子２２０を解放し、これによって、ロックピストン２２４がばね２２８の付勢力を受けてロックピストンのロック位置に戻ることを可能にし得る。ラスプ２０４は、暫定的な頚部２２２を所定の位置に固定するために、ロックシリンダ２２４が係合できる円形カットアウト（切り抜き部）２１７を含む。

暫定的な頚部２２２のチャネル２２５（図２４Ａ）は、ラスプ２０４の突出部２１９（図２１）を収容する。暫定的な頚部２２２は、暫定的な頚部２２２のチャネル２２５を占める突出部２１９を有するラスプ２０４の上に摺動される。暫定的な頚部２２２のストッパ２２３は、暫定的な頚部２２２がラスプ２０４の上に完全に摺動されるときに突出部２１９に当接する。ストッパ２２３が突出部２１９に当接すると、ロックシリンダ２２４が円形カットアウト２１７に係合して暫定的な頚部２２２をラスプ２０４に固定するように、ロックシリンダ２２４を固定することが可能である（すなわち鉗子ブレード２３０、２３２が解放される）。

図５６〜図６１は、本発明による手術台４００を示している。図５６〜図５８に示したように、手術台４００は支持体４０４を介して基部４０２に固定される。手術台４００は、患者の脚部を位置決めすることができる頂部に１対の脚パネル４１２を含む。各脚パネル４１２は臀部ドア４０６を含む。各臀部ドア４０６は、図５８に示したようなヒンジ４０７を含む。ヒンジ４０７は各臀部ドア４０６の内側４０９を脚パネル４１２にヒンジ接続し、この結果、各臀部ドア４０６を図５９に示した閉位置の間で回転して、患者の臀部を図６０に示した開位置に支持することができ、手術台４００の頂部を通した患者臀部の突出が可能になる。各脚パネル４１２は手術台４００にヒンジ接続され、したがって、図５６、図５８〜図６０に示した仰臥位、および図６１に示した過伸展位置から回転可能である。図５６〜図６１に示した模範的な実施形態では、各脚パネル４１２は、図６１に示したような仰臥位および過伸展位置の一方に脚パネルを維持するのに有用な支持体４１０を含む。手術台４００のさらなる実施態様では、脚パネル４１２は仰臥位と過伸展位置との間で機械式または油圧式に作動可能であり、また約０°の過伸展、すなわち仰臥位から約１２０°の過伸展にほとんど無限の過伸展度を達成することができる。

図５９は、手術する脚部４８を含む患者４０を示している。図５９に示したように、患者４０は、手術する脚部４８を脚パネル４１２の一方の頂部に位置決めして、手術台４００の頂部の仰臥位に配置される。手術しない脚部は残りの脚パネル４１２の頂部に同様に配置される。患者を図５９に示したように位置決めし、臀部ドア４０６を図６０に示した開位置に回転して、手術台４００の頂部を通した臀部５０の突出を可能にできる。図６１に示したように、手術する脚４８の真下に位置決めされた脚パネル４１２を回転して、手術する脚４８を約９０°の過伸展に位置決めすることができる。臀部ドア４０６により、臀部ドア４０６なしに許容可能である場合よりも大きな過伸展度で、より大きな患者の手術する脚部を有利に配置できる。

手術台４００の頂面は、手術中の画像増感を可能にするために完全に放射線透過性である。さらに、手術台４００は、平均サイズの患者を手術台に支承するのに最小幅であるように構成され、Ｃアーム画像増感システムの最も容易な使用を可能にする。模範的な一実施態様では、手術台４００のシステムが設けられ、手術台の各々は様々なサイズの患者を収容するために幅が大きくされ、同時に関連する患者を支持するために最小幅の台が用意される。手術台４００の比較的狭い幅は、外科医が手術する脚部４８に隣接して立ち、一方、Ｃアーム画像増感システムが手術台４００の反対側に隣接して位置決めされるという点において有利である。したがって、手術台４００の比較的狭い幅は、手術する脚部４８に対するＣアーム画像増感システムの最適な配置を可能にする。各脚パネル４１２と関連付けられた支持体４１０は、そのまわりのＣアームの通過を受け入れるように寸法決めされ、また放射線透過性材料から形成されることを指摘したい。上述のような手術台４００は、手術しない脚部を過伸展するときに有用である。手術台４００は、手術しない脚部を上述のように過伸展できるので、以下に記述する１つの切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成を実行する際に有用である。

本発明は、単一の切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成を可能にする。本発明のこの形態の全股関節形成は、前方切り口４４と４４’の一方を利用して調製される。本発明のこの形態の全股関節形成では、寛骨臼が調製され、また寛骨臼構成要素は、２つの切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成について上述したように着座させられる。本発明のこの形態では、手術する脚部は少なくとも約７０°に過伸展され、大腿骨が調製されまた大腿骨移植体は前方切り口を通して着座させられる。本発明の１つの切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成の模範的な一実施態様では、脚部は約７５°〜９０°に過伸展される。

図６１は、手術する脚部４８を約９０°の過伸展に過伸展した患者４０を示している。手術する脚部４８のこの過伸展を可能にするための本発明の手術台４００の使用は、上述している。手術する脚部４８が図６１に示したように位置決めされた後、開創器が前方切り口に挿入され、また骨の視覚化を可能にするために上方大腿骨の周りに位置決めされる。有利に、手術する脚部４８が過伸展されるとき、近位大腿骨は前方切り口に一層近接して位置決めされ、前方切り口を通した骨切りされた大腿骨頚部の視覚化を可能にする。この構成は、骨切りされた大腿骨頚部４７８が前方切り口を通して明確に見える図６２の仰臥立面図に明確に示されている。図６１と図６２に示したように手術する脚部４８を位置決めした後、大腿骨の調製が開始される。大腿骨６２（図６２）を調製するために使用される技術は、患者の生理機能に大部分左右される。具体的には、患者の生理機能が約９０°の過伸展を許容する大腿骨６２を調製するために、２つの切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成について上述した技術を利用して、骨切りされた大腿骨頚部４７８に対する最大限のアクセスを可能にできる。患者の生理機能が約７５°〜８０°のみの過伸展を許容するならば、代替的技術を利用して大腿骨６２を調製し、大腿骨移植体を受容することが可能である。具体的に、約７５°〜８０°のみの過伸展が可能であるこの後者の例では、湾曲した器具を利用して大腿骨６２を調製し、湾曲した大腿骨移植体を受容することが可能である。

手術する股関節を約９０°に過伸展できないならば、一般的に、骨切りされた大腿骨頚部４７８（図６２）に対する直接アクセスを達成することができない。このことを念頭において、大腿骨６２を調製して大腿骨移植体を受容するための真っ直ぐな器具は、大腿骨骨幹の主要部と同軸の骨切りされた大腿骨頚部４７８に直接挿入することを典型的に必要とするので、このような器具は一般に適用できない。この状態では、後方大腿骨弓部の軸線に沿って骨切りされた大腿骨頚部に湾曲した調製器具を挿入できるので、このような器具を利用できる。

約９０°の過伸展を達成することができない場合の大腿骨の調製は、骨切りされた大腿骨頚部４７８に湾曲した突き錐を挿入することによって始めることができる。湾曲した突き錐は大腿骨の後方弓部に従い、大腿骨移植体を受容するために大腿骨６２の骨髄内管の調製を始める。模範的な一実施態様では、大腿管の調製を始めるために湾曲したラスプが利用される。リーマ加工が望まれるならば、可撓性リーマを大腿骨の骨髄内管に挿入して、骨髄内管をリーマ加工することができる。可撓性リーマは、一般に、大腿骨６２の後方の皮質壁に斜めに当たり、骨髄内管のリーマ加工を行う。ガイドワイヤを可撓性リーマと共に利用してもよく、またしなくてもよい。突き錐を挿入し、必要に応じてリーマ加工した後、大腿骨の完全な調製を完了して、例えば湾曲した補綴装具大腿骨構成要素を受容するために、湾曲した大腿骨ラスプが使用される。湾曲した大腿骨ラスプを利用して、２つの切り口の最低限に侵襲的な全股関節形成について上述したような試験的な整復を行うことができる。試験的な整復を実行するために、手術台４００は、図６０に示した位置に戻され、患者４０を仰臥位に戻す。再び、患者脚部４８は、図６１と図６２に示したように過伸展され、最終の大腿骨ラスプの取り除きおよび大腿骨移植体の着座を可能にする。

特定の股関節補綴装具を参照して本発明の方法について記述してきたが、このことは決して限定することを意図せず、また本発明の方法は、例えばセメントレス補綴装具、セメント結合のステムとセメントレス寛骨臼カップとを有するハイブリッド補綴装具、セメント結合のステムとセメント結合の寛骨臼カップの両方を有するセメント結合の補綴装具、または大腿骨頭部のみを置き換えるための内部補綴装具を含む多くの補綴装具に利用し得ることが理解される。セメント結合の大腿骨ステムが利用される処置では、骨セメントは、一般に、前方切り口を通して挿入され、またバッグに入れられたステムは後方切り口を通して挿入される。単一の前方切り口が利用されるならば、セメント結合のステムは、上述の保護バッグの使用を必要とすることなく挿入し得る。

好ましいデザインを有するものとして本発明について記述してきたが、本発明は、本開示の精神と範囲内でさらに修正することができる。したがって、本出願は、任意の別形態、用途、あるいは本発明の一般的な原理を用いた本発明の適合を網羅するように意図される。さらに、本出願は、本発明が関連し且つ添付された特許請求の範囲の枠内に含まれる関連技術で知られているまたは慣習的な実行に含まれるような本発明の開示からのこのような逸脱を網羅するように意図される。

本発明に従って作られた１対の切り口、ならびに従来技術の処置に利用された切り口を示した患者の側面図である。 本発明に従って作られた代わりの１対の切り口、ならびに切り口対を接合する線を示した患者の側面図であり、この線に沿って、第３の切り口を作って切り口対を接合し、また最低限に侵襲的な処置から開口処置に処置を変換できる。 大腿骨頚軸線を示した股関節部の前方立面図である。 大腿骨頚部が大腿骨から切断される線を示し、さらに、図１Ｂに示した前方切り口４４’の位置を示した股関節部の前方立面図である。 股関節嚢を示した前方立面図である。 股関節嚢を切開することによって露出された大腿骨頚部の前方立面図である。 本発明の一形態の骨切りガイドが大腿骨頚部の切断線を指定するように操作的に位置決めされる、大腿骨頚部の前方立面図である。 本発明による骨切りガイドの代替的実施態様の側面図である。 ハンドルの長手方向軸線に沿った骨切りガイドの立面図である。 骨切りガイドによって指示された切断線に沿って切断される大腿骨の頭部および頚部を示した前方立面図である。 図２Ｂに示した切断線に沿って切断された大腿骨の頭部および頚部を示し、さらに、本発明の一実施態様に従って大腿骨頭部が大腿骨頚部から切断される線を示した前方立面図である。 大腿骨の頭部および頚部の部分の除去を示した前方立面図である。 寛骨臼カップを受容するために寛骨臼の調製を示した図面である。 寛骨臼カップを受容するために寛骨臼の調製を示した図面である。 仰臥位にある患者に対する選択的な寛骨臼カップ挿入器の側面図である。 仰臥位にある患者に対する選択的な寛骨臼カップ挿入器の側面図である。 図９Ａ、Ｂに示したカップ挿入器の部分および仰臥位にある患者の前方立面図である。 後方切り口を突きとめるための湾曲した突き錐の使用を示した側面図である。 本発明による突き錐の部分側面断面図である。 後方切り口内の後方開創器の挿入を示した斜視図である。 本発明による管状開創器の一実施態様の分解斜視図である。 管状開創器の代替的実施態様の側面図である。 ガイドワイヤの管状開創器内への挿入を示した斜視図である。 大腿骨骨幹のリーマ加工を示した斜視図である。 端部カッタの斜視図である。 大腿骨リーマの斜視図である。 本発明の管状開創器内に挿入された端部カッタの部分側面断面図である。 ラスプを大腿骨骨幹内に挿入した後のラスプハンドルの斜視図である。 挿入されたラスプを示した斜視図であり、ラスプハンドルは取り除かれ、また後方切り口から突出するラスプハンドルにラスプを固定するために、ケーブルが使用される。 ラスプハンドルの部分断面図である。 ラスプハンドルの部分断面図である。 ラスプハンドルおよびそれに接続されるラスプの分解図である。 図２１の線２１Ａ−２１Ａに沿った部分立面図である。 本発明の暫定的な頚部の配置を示した斜視図である。 本発明の暫定的な頚部および噛合鉗子の斜視図である。 暫定的な頚部の半径方向部分断面立面図である。 暫定的な頚部の半径方向立面図である 暫定的な頚部の半径方向立面図である。 後方切り口を通した保護バッグを有する大腿骨ステムの挿入を示した斜視図である。 前方切り口を通して観察しつつ大腿骨ステムの整列を示した斜視図である。 大腿骨ステムを大腿骨骨幹内に挿入する前の大腿骨ステム保護バッグ内への切り口の図面である。 前方切り口を通して観察し、大腿骨ステムを挿入しつつ大腿骨ステム保護バッグの取り除きを示した斜視図である。 本発明の教示による大腿骨ステム挿入器具の斜視図である。 本発明の方法に従って移植できる股関節補綴装具の斜視図である。 本発明による代替的実施態様のラスプハンドルの斜視図である。 ラスプハンドルの側面図である。 ラスプハンドルの頂面図である。 ラスプハンドルに固定されたラスプを示した断面図である。 ラスプをラスプハンドルに固定するために使用されるロック機構の解除を示した断面図である。 図３１〜図３５に示したラスプハンドルの打撃面の断面図である。 本発明のカップ挿入器の分解斜視図である。 カップ挿入器の側面図である。 図３７と図３８に示したカップ挿入器のフレームの遠位部分の部分断面図である。 図３７と図３８に示したカップ挿入器と連結して寛骨臼カップを係合するために使用されるねじ付きシャフトの断面図である。 ねじ付きシャフトの断面図である。 図３７と図３８に示したカップ挿入器の接続シャフトの側面図である。 接続シャフトの断面図である、 接続シャフトの端部立面図である。 図４２の線４５Ａ−４５Ａに沿った断面図である。 図４２の線４５Ｂ−４５Ｂに沿った断面図である。 本発明による他の寛骨臼カップ挿入器の分解斜視図である。 図４６に示したカップ挿入器と連結して寛骨臼カップを係合するために使用されるねじ付きシャフトの半径方向立面図である。 ねじ付きシャフトの軸方向立面図である。 本発明によるＵジョイントリンクの半径方向立面図である。 図４９に対して９０°回転したＵジョイントリンクの第２の半径方向立面図である。 本発明によるロックレバーの頂面図である。 ロックレバーの側面図である。 本発明によるロックシャフトの半径方向立面図である。 図５３の線５４−５４に沿ったロックシャフトの断面図である。 図５３に示したロックシャフトの軸方向立面図である。 本発明による手術台の斜視図である。 手術台の頂面図である。 手術台の側面図である。 本発明の手術台の頂部に位置決めされた患者を示した手術台の側面図である。 テーブル頂部を通した患者の臀部の延長を可能にするために臀部ドアの使用を示した本発明の手術台の側面図である。 患者の股関節の過伸展を可能にするために本発明の手術台の脚パネルの回転を示した側面図である。 本発明に従って作られた前方切り口を通して観測した骨切りされた大腿骨頚部の前方立面図であり、手術する脚部は過伸展して配置されている。 本発明の横向きリーマの半径方向立面図である。

符号の説明

４４…前方切り口
４６…後方切り口
３６０…寛骨臼カップ挿入器
２０４…ラスプ
２１２…ラスプハンドル

Claims (32)

1. 全股関節形成を実行する方法であって、
   転子間リッジの上方に開始し且つ斜めに延在する前方切り口を作るステップと、
   大腿骨と整列され且つ前記前方切り口と実質的に同一直線上にある後方切り口を作るステップと、
   寛骨臼を調製して、前記前方切り口を通した補綴装具寛骨臼構成要素を受容するステップと、
   前記大腿骨を調製して、補綴装具大腿骨構成要素を受容するステップと、
   前記補綴装具寛骨臼構成要素および前記補綴装具大腿骨構成要素を着座させるステップと、
   を有する全股関節形成を実行する方法。
2. 前記前方切り口が実質的にランゲル線に沿って作られる、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
3. 前記前方切り口が約３．７５ｃｍから５ｃｍの長さを有する、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
4. 前記前方切り口が５ｃｍ以下の長さを有する、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
5. 前記後方切り口が約２ｃｍから３ｃｍの長さを有する、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
6. 前記後方切り口が５ｃｍ以下の長さを有する、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
7. 前記前方切り口が転子間リッジから内側に延在する、請求項１に記載の全股関節形成を実行する方法。
8. 全股関節形成を実行する方法であって、
   転子間リッジの上方に開始しかつ斜めに延在する前方切り口を作るステップと、
   寛骨臼を調製して、前記前方切り口を通して補綴装具寛骨臼構成要素を受容するステップと、
   前記前方切り口が作られる股関節を過伸展するステップと、
   大腿骨を調製して、前記前方切り口を通して補綴装具大腿骨構成要素を受容するステップと、
   前記補綴装具寛骨臼要素および前記補綴装具大腿骨構成要素を前記寛骨臼および前記大腿骨にそれぞれ着座させるステップと、
   を含む全股関節形成を実行する方法。
9. 前記前方切り口が転子間リッジから内側に延在する、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
10. 前記前方切り口が実質的にランゲル線に沿って作られる、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
11. 前記前方切り口が約３．７５ｃｍから５ｃｍの長さを有する、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
12. 前記前方切り口が５ｃｍ以下の長さを有する、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
13. 前記前方切り口が作られる前記股関節を過伸展する前記ステップが、前記股関節を約７０°の過伸展に過伸展するステップを含む、請求項８に記載の方法。
14. 前記前方切り口が作られる前記股関節を過伸展する前記ステップが、前記股関節を約７０°〜８０°の過伸展に過伸展するステップを含む、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
15. 前記前方切り口が作られる前記股関節を過伸展する前記ステップが、前記股関節を約９０°の過伸展に過伸展するステップを含む、請求項８に記載の全股関節形成を実行する方法。
16. 寛骨臼カップ挿入器であって、
    フレームと、
    補綴装具寛骨臼構成要素を前記フレームに固定するための固定手段と、
    打撃面とを有し、
    前記固定手段が前記打撃面と整列され、前記フレームが、前記打撃面と前記固定手段とによって形成された線からオフセットされたオフセットフレーム脚を有する寛骨臼カップ挿入器。
17. 前記固定手段は、ねじ付きシャフトを有し、
    また前記寛骨臼カップ挿入器は、
    前記ねじ付きシャフトに回転が伝達されるように接続された駆動リンクと、
    前記駆動リンクを前記フレームに回転可能に固定するためのロック手段と、
    をさらに有する、請求項１６に記載の寛骨臼カップ挿入器。
18. 前記ねじ付きシャフトが前記フレームのねじ付きシャフト開口部に弾性的に保持される、請求項１６に記載の寛骨臼カップ挿入器。
19. ユニバーサルジョイントであって、
    多面の回転楕円体を備える雄部分と、
    多角形断面を有する内側開口部を有する雌部分とを備え、
    前記雄部分が前記内側開口部内に位置決めされるユニバーサルジョイント。
20. 前記雄部分が六面の回転楕円体を有し、前記雌部分の前記内側開口部が六角形断面を有し、また前記雄部分が前記雌部分に回転が伝達されるように固定される、請求項１９に記載のユニバーサルジョイント。
21. ラスプおよびラスプハンドルの組み合わせ物であって、
    ラスプハンドル近位端と、ラスプハンドル遠位端と、前記ラスプハンドル遠位端に形成されたテーパ状ラスプハンドルドッキング開口部とを有するラスプハンドル本体と、
    ラスプ近位端と、ラスプ遠位端と、前記ラスプ近位端から延在する柱とを有するラスプと、
    前記柱を前記ラスプハンドルドッキング開口部内に固定するためのロック手段と、
    を有する組み合わせ物。
22. 前記ロック手段は、
    前記柱に係合するためのロックジョーと、
    前記柱が前記ラスプハンドルドッキング開口部内に保持されるロック位置と、前記柱が前記ラスプハンドルドッキング開口部内に保持されない解放位置との間で前記ロックジョーを作動するための作動手段と、
    を有する、請求項２１に記載の組み合わせ物。
23. 前記ロックジョーが前記ラスプハンドル本体に旋回可能に接続され、また前記作動手段が、前記ロック位置の一方と前記解放位置との間で前記ロックジョーを回転するための機械式リンクを有する、請求項２２に記載の組み合わせ物。
24. 前記ラスプハンドル本体に接続された前傾ハンドルをさらに有する、請求項２１に記載の組み合わせ物。
25. 前記ラスプハンドル本体に接続される、所望のラスプ前傾を確立するための前傾手段をさらに有する、請求項２１に記載の組み合わせ物。
26. ラスプおよびラスプハンドルの組み合わせ物であって、
    ラスプハンドル近位端と、ラスプハンドル遠位端と、前記ラスプハンドル遠位端に形成されたラスプハンドルドッキング開口部とを有するラスプハンドル本体と、
    ラスプ近位端と、ラスプ遠位端と、前記ラスプ近位端から延在する柱とを有するラスプと、
    前記ラスプハンドル本体に接続された移動可能なロックジョーであって、前記柱が前記ラスプハンドルドッキング開口部内に保持されるロック位置と、前記柱が前記ラスプハンドルドッキング開口部内に保持されない解放位置との間で移動可能なロックジョーと、
    を有する組み合わせ物。
27. 前記柱が、前記ロック位置の前記ロックジョーによって係合されるノッチを有する、請求項２６に記載の組み合わせ物。
28. 前記ノッチはＶ字状ノッチを含む、請求項２７に記載の組み合わせ物。
29. 前記ラスプハンドル本体に接続された前傾ハンドルをさらに有する、請求項２６に記載の組み合わせ物。
30. 前記ラスプハンドル本体に接続される、所望のラスプ前傾を確立するための前傾手段をさらに有する、請求項２６に記載の組み合わせ物。
31. 手術台であって、
    テーブル頂部と、
    前記テーブル頂部の残部に対して回転可能な、前記テーブル頂部に形成された脚パネルと、
    前記テーブル頂部を通して開口部を設けるために前記テーブル頂部に対して移動可能な、前記テーブル頂部に形成された臀部ドアと、
    を有する手術台。
32. 前記臀部ドアが前記脚パネルにヒンジ式接続される、請求項３１に記載の手術台。

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