JP2004356620A - 中継基板、半導体素子付き中継基板、中継基板付き基板、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体 - Google Patents

中継基板、半導体素子付き中継基板、中継基板付き基板、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低コストであるにもかかわらず、ショート不良の発生率が低くかつ信頼性が高い、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体を提供する。
【解決手段】本発明の構造体11は、半導体素子21と中継基板31と基板41とからなる。半導体素子21は、熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子22を有する。基板41は、熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッド46を有する。中継基板31は、中継基板本体38と複数の導体柱35とを有する。中継基板本体38の第1面32には半導体素子21が実装され、第2面33は基板41の表面上に実装される。複数の導体柱35の第1面側端には中継基板側はんだバンプ36が配置される一方、第2面側端には中継基板側はんだバンプ36が配置されていない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中継基板、半導体素子付き中継基板、中継基板付き基板、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体に関するものである。
近年、ICチップが実装された配線基板(ICチップ搭載基板やICパッケージなど)とマザーボード等のプリント基板とをじかに接続するのではなく、配線基板とマザーボードとの間にインターポーザと呼ばれる中継基板を介在させてそれらを互いに接続した構造体が各種知られている(例えば、特許文献1参照)。また、最近では、上記のインターポーザとは異なるレベルでの接続を図るもの、具体的にはICチップ−配線基板間の接続を図るインターポーザも提案されている。本明細書では便宜上前者を「マザーボード側インターポーザ」と呼び、後者を「ICチップ側インターポーザ」と呼ぶことにする。ここで、ICチップ側インターポーザを製造する手順の従来例を示す。
まず、板状のインターポーザ本体を用意するとともに、それに多数のビアを貫通形成した後、各ビア内に導体柱を設ける。次に、各々の導体柱の上端に上部中継基板側はんだバンプを設け、さらに下端に下部中継基板側はんだバンプを設けることにより、ICチップ側インターポーザとする。
ところで、ICチップは一般に熱膨張係数が2.0ppm/℃〜5.0ppm/℃程度の半導体材料(例えばシリコン等)を用いて形成されている。これに対して、配線基板は半導体材料よりもかなり熱膨張係数が大きな材料、例えば10.0ppm/℃以上の樹脂材料等を用いて形成されている。よって、ICチップ側インターポーザにICチップを実装した場合には、ICチップ−配線基板間の熱膨張係数差に起因して応力が発生しやすい。この応力は、インターポーザと他部品との接合部分やICチップ自身にクラックを発生させ、信頼性を低下させる要因となる。なお、インターポーザと配線基板との隙間を例えばアンダーフィル材で埋めて、環境による負荷や応力を軽減させることも従来行われている。
特開2000−208661号公報(図2(d)等)
ところで、最近では集積回路技術の進歩によりICチップの動作がますます高速化しているが、それに伴いICチップを大型化してより多くの演算回路を形成しようとする動向がある。しかし、ICチップの処理能力が向上すると発熱量も増大することから、熱応力の影響も次第に大きくなる。そして、特にICチップの一辺の大きさが10.0mmを超えると、大きな熱応力がICチップと配線基板との界面等に作用することで、チップ接合部分にクラック等が生じるおそれがある。また、ICチップの厚みが1.0mmよりも小さくなると、強度が弱まり、クラック等が生じるおそれがある。それゆえ、今後はインターポーザを用いた構造体に高い信頼性を付与しにくくなることが予想される。さらに、層間絶縁膜としてポーラスシリカ等のような低誘電体材料(いわゆるLow−K材)を採用した場合には、ICチップが脆くなってクラックがいっそう発生しやすくなることが予想される。
上記のような事情に加えて、上記従来技術の場合、インターポーザと配線基板との接合界面にはんだブリッジが起こりやすく、これが原因となりショート不良の発生率が高くなるという問題がある。また、この種のインターポーザは、できるだけ低コストで製造されることが望ましい。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的低コストであるにもかかわらず、ショート不良の発生率が低くかつ信頼性が高い、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れた構造体を実現するうえで好適な、中継基板、半導体素子付き中継基板、中継基板付き基板を提供することにある。
そして、上記課題を解決するための手段としては、熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子を備え、熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッドを有する基板を備え、かつ、前記半導体素子が実装される第1面、及び前記基板の表面上に実装される第2面を有し、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子及び前記面接続パッドに電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えたことを特徴とする、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体がある。
従って、この構造体によると、第1面側端に配置された中継基板側はんだバンプが基板の熱膨張または熱収縮時に弾性的にひずむ(変形する)ことにより、応力の影響が軽減される。ゆえに、中継基板と他部品(例えば基板や半導体素子)との接合部分や半導体素子自身にクラックが発生しにくくなり、信頼性が高くなる。また、第2面側端の中継基板側はんだバンプを省略した分だけ工数等の低減が可能となり、低コスト化を達成することができる。さらに、第2面側端の中継基板側はんだバンプを省略したことにより、中継基板と基板との接合界面にて使用されるはんだの体積が従来に比較して少なくなる。よって、隣接するバンプ間ではんだブリッジが起こりにくくなり、ショート不良の発生率が低減される。
半導体素子と中継基板と基板とからなる上記の構造体を実現するうえで好適なものとしては、熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子が実装されるべき第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続されるべき複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていないことを特徴とした中継基板、がある。また、熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子を備え、かつ、前記半導体素子が実装される第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えたことを特徴とする半導体素子付き中継基板、も好適である。さらに、熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッドを有する基板を備え、かつ、第1面、及び前記基板の表面上に実装される第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続パッドに電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えたことを特徴とする中継基板付き基板、も好適である。
ここで前記半導体素子としては、熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有するものが使用される。かかる半導体素子の例としては、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる半導体集積回路チップ(ICチップ)などを挙げることができる。前記面接続端子とは、電気的接続のための端子であって、面接続によって接続を行うものを指す。なお、面接続とは、被接続物の平面上に線状や格子状(千鳥状も含む)にパッドあるいは端子を形成し、それら同士を接続する場合を指す。なお、前記半導体素子の大きさ及び形状は特に限定されないが、少なくとも一辺が10.0mm以上であることがよい。このような大型の半導体素子になると、発熱量も増大しやすく熱応力の影響も次第に大きくなるため、本願発明の課題が発生しやすくなるからである。また、前記半導体素子は、ポーラスな層を表層部に有していることがよい。このような半導体素子の場合、脆いポーラス層にクラックが起こりやすく、本願発明の課題が発生しやすいからである。
ここで「熱膨張係数」とは、厚み方向(Z方向)に対して垂直な方向(XY方向)の熱膨張係数のことを意味し、0℃〜200℃の間のTMA(熱機械分析装置)にて測定した値のことをいう。「TMA」とは、熱機械的分析をいい、例えばJPCA−BU01に規定されるものをいう。
前記基板としては、熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッドを有するものが使用される。前記基板としては、半導体素子やその他の電子部品などが実装される基板、特には半導体素子やその他の電子部品などが実装され、それらを電気的に接続する導体回路を備えた配線基板が挙げられる。熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であるという条件を満たしていれば、基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。前記基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられる。
樹脂基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。前記セラミック基板の具体例としては、例えば、アルミナ基板、ベリリア基板、ガラスセラミック基板、結晶化ガラス等の低温焼成材料からなる基板などがある。前記金属基板の具体例としては、例えば、銅基板や銅合金基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の金属の合金からなる基板などがある。
また、面接続パッドとは、電気的接続のための端子用パッドであって、面接続によって接続を行うものを指す。かかる面接続パッドは例えば線状や格子状(千鳥状も含む)に形成される。
中継基板本体を形成する材料としては、セラミック、金属、半導体、樹脂などを挙げることができ、用途に応じてそれらの中から適宜選択することができる。セラミック材料の好適例としては、例えばアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などがある。金属材料の好適例としては、銅、銅合金、鉄ニッケル合金などがある。半導体材料の好適例としては、例えばシリコンなどがある。そして、樹脂材料の好適例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ゴム系樹脂などがある。低コスト化の観点からすれば、樹脂材料を選択することが好ましい。
中継基板本体を構成する材料は絶縁性を有していることがよい。その理由は、絶縁性を有しない中継基板本体では、導体柱の形成時にあらかじめ絶縁層を設ける必要があるが、絶縁性を有する中継基板本体ならばそれが不要になるからである。従って、中継基板の構造の複雑化や工数の増加を回避でき、ひいては装置全体の低コスト化に貢献することができるからである。
前記中継基板本体の厚さは、特に限定されないが、アルミナや低温焼成セラミック等を選択した場合において強いて言えば0.1mm以上0.8mm以下であることが好ましく、特には0.3mm以上0.8mm以下であることがより好ましい。このような厚さ範囲内であると、構造体を構成したときに半導体素子接合部分に加わる熱応力が比較的小さくなり、中継基板本体自身の反りや、半導体素子の接合部分のクラックなどの防止に有利となる。ちなみに、中継基板本体の厚さが1.0mm以上になると、配線抵抗が上がったり、低背化の要求に応えられなくなったりするので、好ましくない。
また、窒化珪素等を選択した場合における中継基板本体の厚さも特に限定されないが、強いて言えば0.1mm以上0.7mm以下であることが好ましく、特には0.1mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
中継基板本体は第1面及び第2面間を連通させる複数の貫通孔を有している。貫通孔の直径は特に限定されないが、例えば125μm以下であることがよく、100μm以下であることがよりよい(ただし、0μmは含まず。)。隣接する前記貫通孔間の中心間距離も特に限定されないが、最も小さい所で例えば250μm以下であることがよく、200μm以下であることがよりよい(ただし、0μmは含まず。)。かかる直径や中心間距離があまりに大きすぎると、今後予想される半導体素子のファイン化に十分に対応できない可能性があるからである。換言すると、かかる直径や中心間距離をあまりに大きく設定すると、限られた面積内に多数の導体柱を形成できないからである。さらに好ましくは、貫通孔の直径は85μm以下、隣接する前記貫通孔間の中心間距離は最も小さい所で150μm以下であるとよい(ただし、0μmは含まず。)。
前記中継基板は複数の導体柱を有している。導体柱は第1面及び第2面間を貫通し、その一端が面接続端子に接続され、他端が面接続パッドに接続される。かかる導体柱は、中継基板本体に形成された複数の貫通孔内に、導電性金属を充填することにより形成される。前記導電性金属としては特に限定されないが、例えば銅、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブなどから選択される1種または2種以上の金属を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属としては、例えば、スズ及び鉛の合金であるはんだ等を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属として、鉛フリーのはんだ(例えば、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Bi系はんだ、Sn−Ag−Bi−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Zn−Bi系はんだ等)を用いても勿論よい。複数の貫通孔内に導電性金属を充填する具体的な手法としては、例えば、導電性金属を含む非固形状材料(例えば導電性金属ペースト)を作製しそれを印刷充填する手法があるほか、導電性金属めっきを施す手法などがある。
セラミック製中継基板本体の貫通孔内に導電性金属ペーストを充填して導体柱を形成する場合、セラミックとペースト中の金属とを同時に焼結させる方法(同時焼成法)を採用してもよく、あるいは先にセラミックを焼結させた後にペーストの充填及びペースト中の金属の焼結を行う方法(後焼成法)を採用してもよい。同時焼成法を採用した中継基板の製造方法としては、前記複数の貫通孔を有するセラミック未焼結体を作製する未焼結体作製工程と、前記複数の貫通孔内に前記導電性金属を充填する金属充填工程と、前記セラミック未焼結体及び前記導電性金属を加熱して焼結させる同時焼成工程とを含むことを特徴とする中継基板の製造方法、が好適である。
一方、後焼成法を採用した中継基板の製造方法としては、セラミック未焼結体を焼成して前記中継基板本体を作製する焼成工程と、前記中継基板本体における前記複数の貫通孔の内壁面にメタライズ層を形成するメタライズ工程と、前記メタライズ層が形成された前記複数の貫通孔内に前記導電性金属を充填する金属充填工程とを含むことを特徴とする中継基板の製造方法、が好適である。この製造方法において前記複数の貫通孔を形成する穴あけ工程は、前記焼成工程前に実施してもよく、前記焼成工程後に実施してもよい。
また、後焼成法を採用した中継基板の別の製造方法としては、セラミック未焼結体を焼成して前記中継基板本体を作製する第1次焼成工程と、前記中継基板本体の有する前記複数の貫通孔内に前記導電性金属を充填する金属充填工程と、充填された前記導電性金属を焼成して前記複数の導体柱とする第2次焼成工程とを含むことを特徴とする中継基板の製造方法、も好適である。この製造方法において前記複数の貫通孔を形成する穴あけ工程は、前記第1次焼成工程前に実施してもよく、前記第1次焼成工程後に実施してもよい。
同時焼成法及び後焼成法のいずれを採用するかについては、中継基板を構成するセラミックの種類等に依存するが、どちらの焼成方法も可能であって低コスト化を優先したい場合には、同時焼成法を採用することが有利である。後焼成法に比べて同時焼成法のほうが一般に工数が少なくて済み、その分だけ効率よく生産することが可能だからである。なお、セラミックが高温焼成セラミックであってかつ同時焼成法を採用するような場合、導体柱を構成する導電性金属としては、タングステン、モリブデン、タンタル及びニオブから選択される少なくとも1つの高融点金属であることが好適である。即ち、1000℃を超える焼成時の高温に遭遇したとしても酸化したり蒸発したりすることもなく、好適な焼結体と化して貫通孔内に残留しうるからである。セラミックが低温焼成セラミックであってかつ同時焼成法を採用するような場合には、導体柱を構成する導電性金属はとりわけ高融点金属である必要はない。よってこの場合には、タングステン等よりも融点は低いが導電性に優れる金属(例えば銅、銀、金等)を選択することができる。
中継基板を構成するセラミックが、金属材料との同時焼成が不可能なセラミック(例えば窒化珪素など)であれば、必然的に後焼成法が採用されることになるが、その場合には、貫通孔の内壁面に何らかのメタライズ層が形成されることがよい。貫通孔の内壁面(即ちセラミック焼結体からなる面)と導電性金属との間にメタライズ層が存在せず、両者が直接接触していると、両者間に高い密着強度を付与することが困難になる場合がある。これに対して、貫通孔の内壁面と導電性金属との間にメタライズ層が介在していると、両者間に高い密着強度を付与しやすくなる。それゆえ、貫通孔の内壁面と導電性金属との界面にクラック等が起こりにくくなり、セラミックと金属との界面での信頼性向上を図ることができる。一方、金属材料との同時焼成が可能なセラミックを採用した場合においては、メタライズ層は必ずしも必要ではないので、形成されてもされなくてもよい。
ここで貫通孔の内壁面にメタライズ層を形成する手法としては、従来周知の手法を採用することが可能であり、具体例としては、蒸着、CVD、PVD、スパッタ、イオンプレーティング等といった薄膜形成法などを挙げることができる。これらの中でも、特に蒸着やCVDのような等方性の薄膜形成法が好適である。メタライズ層を形成する別の手法として、例えば、活性化金属法などを採用してもよい。前記メタライズ層は、例えば、銅、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブなどから選択される1種または2種以上の金属によって形成される。メタライズ層の形成に使用される金属材料は、導体柱を構成する導電性金属と同じ材料であってもよく、異なっていてもよい。
複数の導体柱は、中継基板本体の第1面にて露出する第1面側端と、中継基板本体の第2面にて露出する第2面側端とをそれぞれ有している。そして、導体柱の第1面側端には中継基板側はんだバンプが配置される一方、導体柱の第2面側端には中継基板側はんだバンプが配置されていない。つまり、前記中継基板は、前記貫通孔から露出する前記導体柱の一方の端部表面にのみ中継基板側はんだバンプを有している。その理由は上記のとおりである。中継基板本体の第1面側端に中継基板側はんだバンプがあると、バンプレスの半導体素子の実装が可能となるという利点もある。なお、はんだを用いて導体柱を形成した場合、その導体柱の一部を第1面から突出させて中継基板側はんだバンプとしてもよい。
中継基板側はんだバンプの突出量(具体的には第1面を基準とした中継基板側はんだバンプの高さ)は、10μm以上500μm以下に設定されることがよく、特には10μm以上300μm以下に設定されることがよりよい。前記突出量が10μm未満であると、中継基板側はんだバンプ自身の弾性変形による応力軽減効果を十分に発揮できなくなるからである。一方、前記突出量が500μmを超えるような中継基板側はんだバンプは、形成自体が困難であることに加え、面接続端子との接合も難しくなるおそれがあるからである。
中継基板側はんだバンプの形成に用いられるはんだの種類は特に限定されず、用途に応じて任意に選択することができる。好適なはんだの具体例を挙げると、錫鉛共晶はんだ(Sn/37Pb:融点183℃)などがある。勿論、錫鉛共晶はんだ以外のSn/Pb系はんだ、例えばSn/36Pb/2Agという組成のはんだ(融点190℃)などを使用してもよい。さらには、上記のような鉛入りはんだ以外にも、鉛フリーはんだを選択することが可能である。鉛フリーはんだとは、鉛を全くまたは殆ど含まないはんだのことを意味し、例えば、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Bi系はんだ、Sn−Ag−Bi−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Zn−Bi系はんだ等を挙げることができる。なお、上記各系のはんだには微量元素(例えばAu,Ni,Ge等)が含まれていてもよい。
前記中継基板本体の第1面上や第2面上には、半導体素子以外の電子部品や素子が1つ以上設けられていてもよい。前記電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイルなどを挙げることができる。これらの電子部品は、能動部品であっても受動部品であってもよい。前記素子の具体例としては、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、薄膜抵抗、薄膜コンデンサ、薄膜コイルなどを挙げることができる。これらの素子は、能動素子であっても受動素子であってもよい。そして、前記中継基板本体の第1面上や第2面上には、前記電子部品同士、前記素子同士、あるいは前記電子部品や前記素子と導体柱とを接続する配線層が形成されていてもよい。なお、かかる配線層は、前記中継基板本体の内部に形成されていてもよい。例えば、チップコンデンサや薄膜コンデンサを備えた中継基板の場合、低抵抗化、低インダクタンス化を図ることができるため、高性能な構造体を実現しやすくなる。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図4に基づき詳細に説明する。図1は、ICチップ(半導体素子)21と、インターポーザ(中継基板)31と、配線基板(基板)41とからなる本実施形態の半導体パッケージ(構造体)11を示す概略断面図である。図2は、完成したインターポーザ31を示す概略断面図である。図3は、半導体パッケージ11を構成するICチップ付きインターポーザ(半導体素子付き中継基板)61を示す概略断面図である。図4は、ICチップ付きインターポーザ61を配線基板41上に実装するときの状態を示す概略断面図である。
図1に示されるように、本実施形態の半導体パッケージ11は、上記のように、ICチップ21と、インターポーザ31と、配線基板41とからなるLGA(ランドグリッドアレイ)である。なお、半導体パッケージ11の形態は、LGAのみに限定されず、例えばBGA(ボールグリッドアレイ)やPGA(ピングリッドアレイ)等であってもよい。MPUとしての機能を有するICチップ21は、10mm角の矩形平板状であって、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる。かかるICチップ21の下面側表層には、Low−K材であるポーラスシリカからなる図示しない層間絶縁膜が形成されるとともに、図示しない回路素子が形成されている。また、ICチップ21の下面側には、複数のバンプ状の面接続端子22が格子状に設けられている。
前記配線基板41は、上面42及び下面43を有する矩形平板状の部材からなり、複数層の樹脂絶縁層44と複数層の導体回路45とを有する、いわゆる多層配線基板である。本実施形態の場合、具体的にはエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させてなる絶縁基材により樹脂絶縁層44が形成され、銅箔または銅めっき層により導体回路45が形成されている。かかる配線基板41の熱膨張係数は、13.0ppm/℃以上16.0ppm/℃未満となっている。配線基板41の上面42には、インターポーザ31側との電気的な接続を図るための複数の面接続パッド46が格子状に形成されている。各面接続パッド46の表面上には、複数の基板側はんだバンプ37がそれぞれ設けられている。配線基板41の下面43には、図示しないマザーボード側との電気的な接続を図るための複数の面接続パッド47が格子状に形成されている。なお、マザーボード接続用の面接続パッド47は、インターポーザ接続用の面接続パッド46よりも広い面積で広いピッチとなっている。樹脂絶縁層44にはビアホール導体48が設けられていて、これらのビアホール導体48を介して、異なる層の導体回路45、面接続パッド46、面接続パッド47が相互に電気的に接続されている。また、配線基板41の上面42には、図7のICチップ付きインターポーザ61以外にも、チップコンデンサ、半導体素子、その他の電子部品(いずれも図示略)が実装されている。
前記インターポーザ31は、ICチップ側インターポーザと呼ばれるべきものであって、上面32(第1面)及び下面33(第2面)を有する矩形平板形状のインターポーザ本体38(中継基板本体)を有している。インターポーザ本体38は、単層構造をなすアルミナ基板からなる。かかるアルミナ基板の熱膨張係数は約5.8ppm/℃、ヤング率は約280GPa、抗折強度は約350MPaである。従って、インターポーザ本体38の熱膨張係数は、配線基板41の熱膨張係数よりも小さく、かつ、ICチップ21の熱膨張係数よりも大きな値となっている。即ち、本実施形態のインターポーザ31は、配線基板41よりも低い熱膨張性を備えていると言える。また、アルミナ基板のヤング率は、本実施形態にて用いたICチップ21のヤング率(即ち186GPa)よりも高いことから、本実施形態のインターポーザ31は高い剛性を備えている。なお、インターポーザ本体38を低温焼成セラミック基板としてもよい。
ここで「ヤング率」とは、例えばJIS R 1602に規定する「ファインセラミックスの弾性率試験方法」による測定値をいい、より具体的には超音波パルス法による測定値をいう。超音波パルス法では、超音波パルスが試験片を伝播するときの速度に基づいて動的弾性率を測定する。また、「抗折強度」とは、例えばJIS R 1601に規定する「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」による測定値をいい、より具体的には3点曲げ強さ試験による測定値をいう。3点曲げ強さ試験では、試験片を一定距離に配置された2支点間に置き、2支点間の中央の1点に荷重を加えて折れたときの最大曲げ応力の値を測定する。
インターポーザ31を構成するインターポーザ本体38には、上面32及び下面33間を貫通する複数のビア34(貫通孔)が格子状に形成されている。これらのビア34は、配線基板41が有する各面接続パッド46の位置に対応している。そして、かかるビア34内には、タングステン(W)からなる導体柱35が設けられている。各導体柱35の上端面には、略半球状をしたインターポーザ側はんだバンプ36が一体的に設けられている。これらのインターポーザ側バンプ36は上面32のみから突出しており、ICチップ21側の面接続端子22に対して直接電気的に接続されている。インターポーザ側はんだバンプ36の突出量は100μm程度に設定されている。その一方、各導体柱35の下端面には、略半球状をしたインターポーザ側はんだバンプ36は何ら設けられていない。このため、各導体柱35の下端面はフラットになっている。そして、導体柱35の下端面は、配線基板41側の面接続パッド46に対し、基板側はんだバンプ37を介して電気的に接続されている。
従って、このような構造の半導体パッケージ11では、インターポーザ31の導体柱35を介して、配線基板41側とICチップ21側とが電気的に接続されている。ゆえに、インターポーザ31を介して、配線基板41−ICチップ21間で信号の入出力が行われるとともに、ICチップ21をMPUとして動作させるための電源が供給されるようになっている。なお、インターポーザ本体38を低温焼成セラミック基板とした場合には、導体柱35は導電性の高い銀(Ag)や銅(Cu)を用いて形成されることがよい。そして、かかる導体柱35を有するインターポーザ31は高速化に適したものとなる。
ここで、上記構造の半導体パッケージ11を製造する手順について説明する。
インターポーザ31は例えば下記の手順を経て作製される。まず、周知のセラミックグリーンシート形成技術によって、アルミナグリーンシートを作製する(未焼結体作製工程)。アルミナグリーンシートにおける所定位置には、格子状にビア34(貫通孔)が透設される。ビア34(貫通孔)の形成は、例えばドリリング加工、パンチング加工、レーザ加工によって行われる。ビア34(貫通孔)の形成を、アルミナグリーンシートの成形時に同時に行ってもよい。いずれにしても本実施形態では、未焼結体の段階で穴明け加工を行っているため、焼結体になった段階で穴明け加工を行う方法に比べて、比較的容易にかつ低コストで穴明けを行うことができる。次に、スクリーン印刷装置などを使用して従来周知のタングステンペースト(導電性金属を含むペースト)を印刷し、ビア34内にタングステンペーストを充填する(金属充填工程)。この場合、例えば上面32側については、所定のマスクを配置してタングステンペーストを多めに印刷することにより、タングステンペーストがビア開口部から盛り上がるようにしておくことがよい。また、下面33側については、治具等によりビア34を塞いでタングステンペーストがビア開口部から盛り上がらないようにすることがよい。そして、ペースト充填後のアルミナグリーンシートを焼成炉に移し、アルミナグリーンシート及びタングステンペーストを千数百℃に加熱することにより、アルミナ及びペースト中のタングステンを同時に焼結させる(同時焼成工程)。その結果、図2に示すインターポーザ31が得られる。なお、焼結したタングステンペーストからなる導体柱35においては、表面張力の作用によって略半球状に盛り上がることで、上端面のみにインターポーザ側バンプ36が形成される。なお、導体柱35における前記盛り上がりが小さい場合には、上面32側に公知のはんだ材料(例えば、Sn/Ag系の鉛フリーはんだ等)を印刷、リフローして、はんだバンプの高さを確保してもよい。
次に、完成した前記インターポーザ31の上面32にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、インターポーザ31側のインターポーザ側バンプ36とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各インターポーザ側バンプ36をリフローすることにより、インターポーザ側バンプ36と面接続端子22とを接合する。その結果、図3に示すICチップ付きインターポーザ61が完成する。
次に、インターポーザ31側の導体柱35の下端面と、配線基板41側の面接続パッド46上の基板側はんだバンプ37とを位置合わせして(図4参照)、配線基板41上に前記ICチップ付きインターポーザ61を載置する。そして、基板側はんだバンプ37を介して導体柱35と面接続パッド46とを接合する。この後、必要に応じてアンダーフィル材(図示略)による界面の封止などを行えば、図1に示す半導体パッケージ11が完成する。
さて、このような構造の半導体パッケージ11を評価するために以下のシミュレーション試験を行った。この試験では、インターポーザ本体38の厚さをいくつか設定して(0mm,0.1mm,0.2mm,0.4mm,0.6mm,0.8mm)、各試験サンプルを220℃−25℃のヒートサイクルに遭遇させ、そのときにチップ接合部分に加わる熱応力の大きさ(MPa)を測定するシミュレーションを行った。なお本試験では、ICチップ21のサイズを縦12.0mm×横10.0mm×厚さ0.7mmとし、配線基板41のサイズを縦45.0mm×横45.0mmとした。ここでは、インターポーザ側はんだバンプ36の上に、さらに95Sn/5Agという組成の鉛フリーはんだでバンプを形成して、バンプ高さを高くしたものを用いた。その結果は以下のとおりである。ただし、下記の「0mm(比較例)」とは、インターポーザ無しの意味である。
インターポーザ本体38の厚さ 熱応力の大きさ 評価
0mm(比較例) 317MPa ×
0.1mm 228MPa ○
0.2mm 180MPa ○
0.4mm 123MPa ◎
0.6mm 86MPa ◎
0.8mm 100MPa ◎
以上のシミュレーション試験の結果からも明白なように、インターポーザ本体38の厚さを0.1mm以上0.8mm以下にする(特には0.4mm以上0.8mm以下にする)ことにより、チップ接合部分に加わる熱応力が確実に低減されることがわかった。また、厚さが1.0mm以上になると、配線抵抗が上がったり、低背化の要求に応えられなくなったりすることが予想された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)この半導体パッケージ11の場合、導体柱35の上面32側に配置されたインターポーザ側はんだバンプ36が配線基板41の熱膨張または熱収縮時に弾性的にひずむ(変形する)ことにより、応力の影響が軽減される。ゆえに、インターポーザ31と他部品(例えば配線基板41やICチップ21)との接合部分やICチップ21自身にクラックが発生しにくくなり、信頼性が高くなる。また、導体柱35の下面33側のインターポーザ側はんだバンプを省略したことによって、インターポーザ31と配線基板41との接合界面にて使用されるはんだの体積が従来に比較して少なくなる。よって、隣接するバンプ間ではんだブリッジが起こりにくくなり、ショート不良の発生率が低減される。
(2)この半導体パッケージ11では、導体柱35の下面33側のインターポーザ側はんだバンプを省略した分だけ工数等の低減が可能となり、低コスト化を達成することができる。また、ペースト中に含まれる金属を焼結させる方法として同時焼成法を採用していることから、比較的工数が少なくて済み、その分だけインターポーザ31を効率よく低コストで生産することができる。しかも、アルミナは窒化珪素等に比べれば安価なセラミック材料であり、タングステンも一般的によく使用される導電性金属材料であることから、これらを組み合わせれば比較的低コストなインターポーザ31を実現することができる。
(3)例えば、本実施形態の半導体パッケージ11は、次のようにして製造されてもよい。まず、配線基板41の上面42にインターポーザ31をはんだ付け等により接合することで、インターポーザ付き配線基板71(中継基板付き基板)をあらかじめ作製する。その後、このインターポーザ付き配線基板71の上面32にICチップ21を接合し、所望の半導体パッケージ11とする(図5参照)。
(4)ちなみに、インターポーザ本体38の材料をアルミナから低温焼成セラミックに代えるとともに、導体柱35の材料をタングステンから銅に代えて、同じ条件でシミュレーション試験を行ったところ、アルミナの場合とほぼ同様の結果が得られた。具体的には以下のとおりである。ただし、下記の「0mm(比較例)」とは、インターポーザ無しの意味である。
インターポーザ本体38の厚さ 熱応力の大きさ 評価
0mm(比較例) 317MPa ×
0.1mm 266MPa ○
0.2mm 219MPa ○
0.4mm 159MPa ◎
0.6mm 119MPa ◎
0.8mm 91MPa ◎
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図6〜図9に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは第1実施形態と異なる点について言及する。図6は、ICチップ(半導体素子)21と、インターポーザ(中継基板)101と、配線基板(基板)41とからなる本実施形態の半導体パッケージ(構造体)11を示す概略断面図である。図7は、完成したインターポーザ101を示す概略断面図である。図8は、半導体パッケージ11を構成するICチップ付きインターポーザ(半導体素子付き中継基板)61を示す概略断面図である。図9は、ICチップ付きインターポーザ61を配線基板41上に実装するときの状態を示す概略断面図である。
図6,図7に示されるように、このインターポーザ101の構造は、上記第1実施形態の構造と若干異なっている。即ち、このインターポーザ101を構成するインターポーザ本体38は、単層構造をなすアルミナ基板ではなくて、積層構造をなす窒化珪素基板からなる。ちなみに、窒化珪素の熱膨張係数は約3.0ppm/℃、ヤング率は約300GPa、抗折強度は約690MPaである。よって、第1実施形態に比べて本実施形態のほうが低熱膨張、高ヤング率、高抗折強度となっている。また、インターポーザ本体38における複数のビア34内には、タングステンからなる導体柱35ではなくて、銀(Ag)からなる導体柱35が設けられている。従って、第1実施形態に比べて本実施形態の導体柱35のほうが低抵抗となっている。前記各導体柱35の両端面はいずれもフラットになっている。各導体柱35の上端面にはニッケル−金めっき層102が形成され、そのニッケル−金めっき層102の表面上には略半球状はんだからなるインターポーザ側バンプ36が形成されている。一方、各導体柱35の下端面には、ニッケル−金めっき層102もバンプも形成されていない。このため、各導体柱35の下端面は、配線基板41側の各面接続パッド46上に設けられ基板側はんだバンプ37を介して、各々の面接続パッド46に電気的に接続されている。
本実施形態のインターポーザ101は後焼成法によって製造することが可能である。まず、複数枚の窒化珪素製グリーンシートを作製し、それぞれにおける所定位置にあらかじめパンチング加工を行い、ビア34を形成する(穴あけ工程)。パンチング加工以外の手法(例えばドリリング加工やレーザ加工等)により穴あけ工程を行っても構わない。次に、これらのグリーンシートを積層して圧着し、グリーンシート積層体とする(ラミネート工程)。次に、得られたグリーンシート積層体における不要部分(例えば外周部分)を適宜切断して所定の形状及び大きさとする(外形カット工程)。さらに、このグリーンシート積層体を窒化珪素が焼結しうる温度条件(1650℃〜1950℃)で所定時間焼成し、複数のビア34を有するインターポーザ本体38とする(第1次焼成工程)。続いて、従来周知のペースト印刷装置を用いてビア34内に銀ペーストを充填する金属充填工程を行った後、インターポーザ本体38をベルト炉にて850℃、15分の条件で焼成する(第2次焼成工程)。この工程を経ると、ビア34内に充填された銀ペーストが焼結して導体柱35となる。次に、必要に応じて、インターポーザ本体38の上面32及び下面33の表面研磨を行い、導体柱35の両端面をフラットな状態にする。次に、無電解ニッケルめっき及び無電解金めっきを順次行うことにより、各導体柱35の上端面の表面上に所定厚さのニッケル−金めっき層102を形成する。このようなニッケル−金めっき層102を形成する理由は、後工程にて形成されるインターポーザ側バンプ36と、導体柱35との密着性等を向上させるためである。各導体柱35の下端面にも、同様のニッケル−金めっき層102を形成してもよい。次に、インターポーザ本体38をペースト印刷装置にセットし、その上面32側に所定のメタルマスクを配置した状態で、95Sn/5Agという組成の鉛フリーはんだを含むはんだペーストを印刷する。このようなはんだ印刷工程を行った後、インターポーザ本体38を所定温度に加熱してはんだをリフローさせる。このようなリフロー工程を経ると、ニッケル−金めっき層102の表面上にインターポーザ側バンプ36が形成され、図7のインターポーザ101が完成する。なお、第1次焼成工程の実施後かつ金属充填工程の実施前の時点で、各ビア34の内壁面にメタライズ層を設けるメタライズ工程を行ってもよい。
次に、完成した前記インターポーザ101の上面32にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、インターポーザ101側のインターポーザ側バンプ36とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各インターポーザ側バンプ36をリフローすることにより、インターポーザ側バンプ36と面接続端子22とを接合する。その結果、図8に示すICチップ付きインターポーザ61が完成する。
次に、インターポーザ101側の導体柱35の下端面と、配線基板41側の面接続パッド46上の基板側はんだバンプ37とを位置合わせして(図9参照)、配線基板41上に前記ICチップ付きインターポーザ61を載置する。そして、基板側はんだバンプ37を介して導体柱35と面接続パッド46とを接合する。この後、必要に応じてアンダーフィル材(図示略)による界面の封止などを行えば、図6に示す半導体パッケージ11が完成する。
さて、このような構造の半導体パッケージ11を評価するために以下のシミュレーション試験を行った。この試験では、インターポーザ本体38の厚さをいくつか設定して(0mm,0.1mm,0.2mm,0.4mm)、各試験サンプルを220℃−25℃のヒートサイクルに遭遇させ、そのときにチップ接合部分に加わる熱応力の大きさ(MPa)を測定するシミュレーションを行った。なお本試験では、ICチップ21のサイズを縦12.0mm×横10.0mm×厚さ0.7mmとし、配線基板41のサイズを縦45.0mm×横45.0mmとした。その結果は以下のとおりである。ただし、下記の「0mm(比較例)」とは、インターポーザ無しの意味である。
インターポーザ本体38の厚さ 熱応力の大きさ 評価
0mm(比較例) 317MPa ×
0.1mm 164MPa ◎
0.2mm 99MPa ◎
0.4mm 243MPa ○
以上のシミュレーション試験の結果からも明白なように、インターポーザ本体38の厚さを0.1mm以上0.7mm以下にする(特には0.1mm以上0.3mm以下にする)ことにより、チップ接合部分に加わる熱応力が確実に低減されることがわかった。また、厚さが1.0mm以上になると、配線抵抗が上がったり、低背化の要求に応えられなくなったりすることが予想された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)この半導体パッケージ11においても、導体柱35の上面32側に配置されたインターポーザ側はんだバンプ36が配線基板41の熱膨張または熱収縮時に弾性的にひずむ(変形する)ことにより、応力の影響が軽減される。ゆえに、インターポーザ31と他部品(例えば配線基板41やICチップ21)との接合部分やICチップ21自身にクラックが発生しにくくなり、信頼性が高くなる。また、導体柱35の下面33側のインターポーザ側はんだバンプを省略したことによって、インターポーザ31と配線基板41との接合界面にて使用されるはんだの体積が従来に比較して少なくなる。よって、隣接するバンプ間ではんだブリッジが起こりにくくなり、ショート不良の発生率が低減される。
(2)この半導体パッケージ11では、導体柱35の下面33側のインターポーザ側はんだバンプを省略した分だけ工数等の低減が可能となり、低コスト化を達成することができる。
(3)この半導体パッケージ11は、窒化珪素からなる略板形状のインターポーザ本体38を用いて構成されている。よって、インターポーザ101とICチップ21との熱膨張係数の差が小さくなっている。それゆえ、ICチップ21に直接大きな熱応力が作用しなくなる。よって、たとえICチップ21が大型で発熱量が多いものであったとしても、ICチップ21とインターポーザ101との界面にクラック等が起こりにくい。ゆえに、チップ接合部分等に高い信頼性を付与することができ、信頼性や耐久性に優れた半導体パッケージ11を実現することができる。しかも、絶縁体部分に窒化珪素を用いかつ導体部分に銀を用いてインターポーザ101を構成しているため、第1実施形態のものよりもさらに高い信頼性及び高い性能を付与することができる。
(4)本実施形態では、導体柱35を形成するペースト中に含まれる金属を焼結させる方法として後焼成法を採用していることから、セラミック材料と金属材料との組合せの自由度が第1実施形態のときに比べて大きくなる。それゆえ、本来であれば窒化珪素との同時焼成が不可能な銀を選択することができ、結果として低抵抗の導体柱35の形成が可能となる。即ち、本実施形態の製造方法によれば、高信頼性及び高性能のインターポーザ101を比較的簡単に得ることができる。
(5)例えば、本実施形態の半導体パッケージ11は、次のようにして製造されてもよい。まず、配線基板41の上面42にインターポーザ101をはんだ付け等により接合することで、インターポーザ付き配線基板71(中継基板付き基板)をあらかじめ作製する。その後、このインターポーザ付き配線基板71の上面32にICチップ21を接合し、所望の半導体パッケージ11とする(図10参照)。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子が実装されるべき第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続されるべき複数の導体柱と、前記複数の導体柱の第1面側端にのみ設けられた複数の中継基板側はんだバンプとを備えたことを特徴とする中継基板。
(2)熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子が実装されるべき第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続されるべき複数の導体柱と、前記第1面側にのみ配置された複数の中継基板側はんだバンプとを備えたことを特徴とする中継基板。
(3)前記中継基板本体はアルミナまたは低温焼成セラミックからなり、その厚さは0.1mm以上0.8mm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中継基板。
(4)前記中継基板本体は窒化珪素からなり、その厚さは0.1mm以上0.7mm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中継基板。
(5)前記半導体素子における少なくとも一辺は10mm以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中継基板。
ICチップ(半導体素子)と、インターポーザ(中継基板)と、配線基板(基板)とからなる第1実施形態の半導体パッケージ(構造体)を示す概略断面図。 完成した第1実施形態のインターポーザを示す概略断面図。 第1実施形態の半導体パッケージを構成するICチップ付きインターポーザ(半導体素子付き中継基板)を示す概略断面図。 第1実施形態のICチップ付きインターポーザを配線基板上に実装するときの状態を示す概略断面図である。 第1実施形態の変更例において、ICチップをインターポーザ付き配線基板(中継基板付き基板)上に実装するときの状態を示す概略断面図。 ICチップ(半導体素子)と、インターポーザ(中継基板)と、配線基板(基板)とからなる第2実施形態の半導体パッケージ(構造体)を示す概略断面図。 完成した第2実施形態のインターポーザを示す概略断面図。 第2実施形態の半導体パッケージを構成するICチップ付きインターポーザ(半導体素子付き中継基板)を示す概略断面図。 第2実施形態のICチップ付きインターポーザを配線基板上に実装するときの状態を示す概略断面図である。 第2実施形態の変更例において、ICチップをインターポーザ付き配線基板(中継基板付き基板)上に実装するときの状態を示す概略断面図。
符号の説明
11…半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体としての半導体パッケージ
21…半導体素子としてのICチップ
22…面接続端子
31,101…中継基板としてのインターポーザ
32…(中継基板本体の)第1面
33…(中継基板本体の)第2面
34…貫通孔としてのビア
35…導体柱
36…中継基板側はんだバンプとしてのインターポーザ側はんだバンプ
38…中継基板本体としてのインターポーザ本体
41…基板としての配線基板
46…面接続パッド
61…半導体素子付き中継基板としてのICチップ
71…中継基板付き基板としてのインターポーザ付き配線基板

Claims (4)

  1. 熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子が実装されるべき第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、
    前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続されるべき複数の導体柱とを有し、
    前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていないことを特徴とする中継基板。
  2. 熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子を備え、かつ、
    前記半導体素子が実装される第1面、及び第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子に電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えた
    ことを特徴とする半導体素子付き中継基板。
  3. 熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッドを有する基板を備え、かつ、
    第1面、及び前記基板の表面上に実装される第2面を有する中継基板本体と、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続パッドに電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えた
    ことを特徴とする中継基板付き基板。
  4. 熱膨張係数が2.0ppm/℃以上5.0ppm/℃未満であって面接続端子を有する半導体素子を備え、
    熱膨張係数が5.0ppm/℃以上であって面接続パッドを有する基板を備え、かつ、
    前記半導体素子が実装される第1面、及び前記基板の表面上に実装される第2面を有し、前記第1面及び前記第2面間を貫通し、前記面接続端子及び前記面接続パッドに電気的に接続される複数の導体柱とを有し、前記複数の導体柱の第1面側端に中継基板側はんだバンプが配置される一方、前記複数の導体柱の第2面側端に中継基板側はんだバンプが配置されていない中継基板を備えた
    ことを特徴とする、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体。
JP2004058186A 2003-03-19 2004-03-02 中継基板、半導体素子付き中継基板、中継基板付き基板、半導体素子と中継基板と基板とからなる構造体 Withdrawn JP2004356620A (ja)

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