JP2004356367A - モードロック検出方法及びモードロック検出装置 - Google Patents
モードロック検出方法及びモードロック検出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】モードロック状態でパルス発振するレーザをシステムに組み込んで使用する際に必要となるモードロック検出方法及びモードロック検出装置を提供すること。
【解決手段】フェムト秒レーザ1では、1/2波長板31や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、1/2波長板31の回転により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ1をオフさせる。
【選択図】 図1
【解決手段】フェムト秒レーザ1では、1/2波長板31や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、1/2波長板31の回転により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ1をオフさせる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モードロック状態でパルス発振するレーザからの光出力を検出対象とするモードロック検出方法及びモードロック検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フェムト秒レーザにおいては、光ファイバー内で種々の波長の光の位相が揃った状態、すなわちモードロック状態になることにより、1パルスの時間幅がフェムト秒台オーダー(10のマイナス15乗秒オーダー)のパルス列を発生させることができる(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。そして、これまでは、フェムト秒レーザは、特殊なレーザであったことから、基礎研究を行うための実験道具として使用される場合が殆どであったが、近年、応用研究が始まり、例えば、ある種の装置に組み込まれて、特殊計測などを行うシステムの開発にまで進展してきている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−213827号公報(第7−13頁、第1−13図)
【特許文献2】
特開平8−61246号公報(第4−9頁、第1−7図)
【非特許文献1】
吉田睦,「フェムト秒ファイバレーザ」,オプトロニクス,2001年,No.4,p.153−157
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フェムト秒レーザをシステムに組み込んで使用した場合には、万が一、フェムト秒レーザに不具合が生じると、フェムト秒レーザやシステムを構成する機器にダメージを与えるおそれがあり、そのダメージを抑えるためには、フェムト秒レーザへの供給電源を遮断するなどの対策を施す必要があるが、従来では、フェムト秒レーザについて、不具合が生じているか否かを、すなわち、モードロック状態を維持しているか否かを、簡便に見分ける方法・装置が示されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、モードロック状態でパルス発振するレーザをシステムに組み込んで使用する際に必要となるモードロック検出方法及びモードロック検出装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、モードロック検出方法であって、モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴としている。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するモードロック検出方法であって、前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴としている。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載するモードロック検出方法であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴としている。
また、請求項4に係る発明は、請求項2に記載するモードロック検出方法であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴としている。
【0008】
また、請求項5に係る発明は、モードロック検出装置であって、モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴としている。
【0009】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載するモードロック検出装置であって、前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴としている。
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載するモードロック検出装置であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴としている。
【0010】
また、請求項8に係る発明は、請求項6に記載するモードロック検出装置であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は、本実施の形態のモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザ1(以下、「フェムト秒レーザ1」という。)の概要を示した図である。図1に示すように、フェムト秒レーザ1は、フェムト秒パルス発振器10や、光増幅器30、LD駆動用電源54などから構成されている。
【0012】
フェムト秒パルス発振器10は、LD駆動用電源54で駆動される励起用光源としての光通信用LD11と、エルビウムをドープしたものであってレーザ媒質としての光増幅ファイバー12、レンズ13、ファラデー回転子14、ミラー15、レンズ16、ファラデー回転子17、1/4波長板18、1/2波長板19、偏光ビームスプリッター(以下、「PBS」という。)20、レンズ21、可飽和吸収体22などを有している。この点、フェムト秒パルス発振器10では、リニアキャビティを構成する光増幅ファイバー12の両端に2個のファラデー回転子14,17を配置することで、振動・温度変化などに起因する光偏波面ドリフトを補償する構造となっており、環境変化に対して強い構成としている。
【0013】
そして、フェムト秒パルス発振器10においては、可飽和吸収体22の端面に施された金ミラー(不図示)とミラー15との間を種々の波長を含んだ光が何度も往復することで増幅され、さらに、位相が揃った状態(モードロック状態)の定常波が形成されると、両波長板18,19及びPBS20の作用により、レーザ光である光パルス列が光増幅器30に向けて出力される。このときの光パルス列は、例えば、中心波長が1560nm、繰り返し周波数が48.2MHz、パルス幅が380fsec、平均出力が4.8mWである。
【0014】
一方、光増幅器30は、PBS32、1/2波長板33、1/4波長板34、ファラデー回転子35、レンズ36、エルビウムをドープした光増幅ファイバ−37、レンズ38、ファラデー回転子39、ミラー40、LD駆動用電源54で駆動される励起用光源としての光通信用LD41などを有している。この点、光増幅器30でも、光増幅ファイバー37の両端に2個のファラデー回転子35,39を配置することで、振動・温度変化などに起因する光偏波面ドリフトを補償する構造となっており、環境変化に対して強い構成としている。
【0015】
また、光増幅器30では、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列を、PBS32で反射させ、光増幅ファイバー37に向かわせて通過させた後に、ミラー40で反射させ、光増幅ファイバー37を再び通過させることで、パルス圧縮を伴う増幅を行い、両波長板33,34及びPBS32の作用により、外部に出力している。このときの光パルス列は、例えば、中心波長が1560nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力が60mWである。
【0016】
尚、図1では、説明の便宜上、PBS32からレンズ36(ひいては光増幅ファイバー37)に向かう光パルス列と、レンズ36(すなわち光増幅ファイバー37)からPBS32に向かう光パルス列とを分けて記載しているが、実際には、両光パルス列の光路は重畳している。この点は、後述する図3及び、図4、図5、図6でも同様である。
【0017】
さらに、フェムト秒レーザ1では、フェムト秒パルス発振器10のPBS20と光増幅器30のPBS32との間に1/2波長板31を設けており、当該1/2波長板31を回転させることにより、フェムト秒パルス発振器10から出力された光パルス列の一部(平均出力が1mW)をPBS32を透過させて取り出している。従って、光増幅器30において、PBS32で反射しレンズ36(ひいては光増幅ファイバー37)に向かう光パルス列の平均出力は3.8mWとなる。
【0018】
尚、図1では、1/2波長板31を光増幅器30に内蔵させているが、これに代わって、1/2波長板31をフェムト秒パルス発振器10に内蔵させてもよいし、1/2波長板31をフェムト秒パルス発振器10と光増幅器30との間に設けてもよい。
【0019】
また、フェムト秒レーザ1では、上述した1/2波長板31に加え、InGaAsP系の半導体材料を用いた半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などを有しており、これらより構成されたモードロック検出装置を備えている。この点、半導体フォトデテクタ51には、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)が導入される。このとき、半導体フォトデテクタ51からの電流値を、デジタルレーザパワーメータで光出力(mW)に変換して0.5秒間隔で100回モニターすると、図7に示すようになる。すなわち、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあれば、出力値が2.18程度で一定値を示す(実線参照)。一方、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態になければ(以下、この状態を「非モードロック状態」という。)、出力値が0.7から2.0程度の間を大きくばらつく(一点鎖線参照)。
【0020】
そして、半導体フォトデテクタ51からの出力値は、図7の実線と一点鎖線の中間を示すようなことはなく、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態から非モードロック状態に移行すれば、その移行時点で、図7の実線から一点鎖線に即座に変化し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態からモードロック状態に移行すれば、その移行時点で、図7の一点線から実線に即座に変化する。また、半導体フォトデテクタ51は、半導体材料を用いた検出部を有していることから、センサーとしての応答性が速い。従って、半導体フォトデテクタ51からの出力値を測定すれば、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを瞬時に判断することが可能となる。
【0021】
そこで、図1に示すように、フェムト秒レーザ1では、1/2波長板31や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、1/2波長板31の回転により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ1をオフさせている。また、後述するように、この信号を当該フェムト秒レーザ1を内包したレーザ応用システムの保護又は、ユーザに不具合を知らせるための信号として用いることができる。
【0022】
この点、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置では、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況や、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断、LD駆動用電源54をオフさせる制御などは、電子回路53によって行っている。図2は、電子回路53の概要を示した図である。図2に示すように、電子回路53は、電流電圧変換器61や、電源投入検出回路62、タイミング回路63、AD変換器64、メモリ65、DA変換器66、係数器67、電圧比較器68などから構成されている。
【0023】
そして、電子回路53では、半導体フォトデテクタ51からの出力について、電流計52により測定した電流値を、電流電圧変換器61で電圧値に変換した後で、電圧比較器68に現在の電圧値Aとして入力するとともに、AD変換器64を介してメモリ65に記憶する。このとき、メモリ65は、電源投入検出回路62で起動されるタイミング回路63により、所定時間(例えば、0.5秒)毎に電圧値を記憶しており、さらに、前回又は前回より以前に記憶した電圧値を、DA変換器66及び係数器67を介して、電圧比較器68に過去の電圧値Bとして入力する。但し、係数器67では、前回又は前回より前に記憶した電圧値を、一定の割合(例えば、70%)で下げて出力している。
【0024】
その後、電圧比較器68では、現在の電圧値Aと過去の電圧値Bとを比較し、現在の電圧値Aが過去の電圧値Bより大きければ、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあると判断する。一方、現在の電圧値Aが過去の電圧値B以下であれば、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断し、電源遮断信号をLD駆動用電源54に発信し、LD駆動用電源54をオフさせる。
【0025】
これにより、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、LD駆動用電源54がオフして、光通信用LD11,41が消灯し、ひいては、フェムト秒パルス発振器10及び光増幅器30がオフして、フェムト秒レーザ1が自動的にオフするので、フェムト秒レーザ1内のダメージを最小限に抑えることができる。また、後述するように、この信号を当該フェムト秒レーザ1を内包したレーザ応用システムの保護又は、ユーザに不具合を知らせるための信号として用いることができる。
【0026】
尚、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置では、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況や、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断、LD駆動用電源54をオフさせる制御などを、電子回路53によって自動的に行っていたが、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とし、LD駆動用電源54をオフさせることなどを手動で行っても、フェムト秒レーザ1内のダメージを抑えることができる。
【0027】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ再生増幅システムについて説明する。図3は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ再生増幅システム80の概要を示した図である。図3に示すように、再生増幅システム80に対しては、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を介して入射している。
【0028】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。また、再生増幅システム80のパルス間引き部81を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が1kHz、パルス幅が100fsec、平均出力0.1nJ/pulseである。また、再生増幅システム80の再生増幅器82を通過したものであって、再生増幅システム80から出力される光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が1kHz、パルス幅が150fsec、平均出力0.1mJ/pulseである。
【0029】
一方、再生増幅システム80を制御する再生増幅器コントローラ83に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、再生増幅器コントローラ83は再生増幅システム80をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及び再生増幅システム80が自動的にオフするので、フェムト秒レーザ1内及び再生増幅システム80内のダメージを最小限に抑えることができる。また、モニターランプなどを設ければ、再生増幅システム80の不具合が、その発振器であるフェムト秒レーザ1の不具合であることがわかる。
【0030】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、LD駆動用電源54や再生増幅システム80をオフさせることなどを手動で行えば、フェムト秒レーザ1内及び再生増幅システム80内のダメージを抑えることができたり、再生増幅システム80を使って作業・実験をしているユーザ又は、再生増幅システム80に異常を知らせることができる。
【0031】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ光サンプリングシステムについて説明する。図4は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ光サンプリングシステムの概要を示した図である。図4に示すように、光サンプリングシステムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を介して光サンプリングヘッド91に入射している。
【0032】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0033】
さらに、光サンプリングヘッド91に対しては、被測定光パルス列が入射される。そして、光サンプリングヘッド91からの光出力をフォトデテクタ92に導入し、当該フォトデテクタ92からの出力をデジタル信号アナライザ93に入力することにより、被測定光パルス列の分析を行う。
尚、この光サンプリング方式については、以下の刊行物に記載された論文で詳しく説明されている。
「刊行物」
R.L.Jungerman,Member,IEEE,G.Lee,O.Buccafusca,Member,IEEE,Y.Kaneko,Member,IEEE,N.Itagaki,R.Shinoda,A.Harada,Y.Nihei,and G.Sucha,“1−THz Bandwidth C−and L−Band Optical Sampling With a Bit Rate Agile Timebase”,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL.14, NO.8 , pp.1148−1150, AUGUST 2002
【0034】
一方、デジタル信号アナライザ93に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、デジタル信号アナライザ93をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及びデジタル信号アナライザ93が自動的にオフするので、光サンプリングシステムを使用するユーザに異常を知らせることができる。
【0035】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合にも、光サンプリングシステムを使用するユーザは異常を知ることができる。
【0036】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだテラヘルツ分光システムについて説明する。図5は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだテラヘルツ分光システムの概要を示した図である。図5に示すように、テラヘルツ分光システムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を通過させている。
【0037】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0038】
また、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、ハーフミラー101により、ポンプ光とプローブ光とに分けられる。この点、ハーフミラー101を透過したポンプ光は、テラヘルツ光源105に入射し、テラヘルツ光源105からテラヘルツ波を発生させる。一方、ハーフミラー101を反射したプローブ光は、3個のミラー102,103,104と光ディレー装置等を介して、テラヘルツ検出器107に入射する。尚、当該光ディレー装置は、2個のミラー109,110とデトロディフレクター131とで構成される。さらに、テラヘルツ検出器107に対しては、テラヘルツ光源105からのテラヘルツ波が被測定サンプル107を介して入射される。そして、テラヘルツ検出器107からの出力をテラヘルツ信号アナライザ108に入力することにより、被測定サンプルの分析を行うことができる。
【0039】
一方、テラヘルツ信号アナライザ108に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、テラヘルツ信号アナライザ108は、フェムト秒レーザ1に異常が発生したことを検知し、それをテラヘルツ分光システムのユーザに異常として知らせることができる。
【0040】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、テラヘルツ分光システムのユーザは異常を知ることができる。
【0041】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ多光子顕微鏡システムについて説明する。図6は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ多光子顕微鏡システムの概要を示した図である。図6に示すように、多光子顕微鏡システムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を通過させている。
【0042】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0043】
また、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、カルバノスキャニングミラー111に入射され、顕微鏡対物レンズ112を介して、被測定サンプル113上を走査し、フォトデテクタ114に導入される。そして、フォトデテクタ114からの出力を顕微鏡システムコントローラ115に入力することにより、被測定サンプル113の蛍光画像を得ることができる。
【0044】
一方、顕微鏡システムコントローラ115に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、顕微鏡システムコントローラ115をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及び顕微鏡システムコントローラ115が自動的にオフするので、多光子顕微鏡システムのユーザはシステムの異常を知ることができる。
【0045】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、多光子顕微鏡システムのユーザはシステムの異常を知ることができる。
【0046】
以上、詳細に説明した通り、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、上述したように、図3の再生増幅システム又は、図4の光サンプリングシステム、図5のテラヘルツ分光システム、図6の多光子顕微鏡システムに対しフェムト秒レーザ1を組み込んだ際に、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、半導体フォトデテクタ51からの出力値が激しく変動し(図7参照)、この変動状況を判別した電子回路53から発信される電源遮断信号をもって、これらのシステムが自動的にオフされるので、これらのシステムのダメージを最小限に抑えることができるとともに、これらのシステムのユーザに異常を知らせることができる。
【0047】
尚、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断は、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)について、波長スペクトルやパルス幅などを分析することにより行うこともできる。
【0048】
この点、波長スペクトルについて言えば、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるときには、波長スペクトルが左右対称のなだらかな波形となるのに対し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあるときには、波長スペクトルが多数のピーク点を所謂ギザギザの持った波形となる。従って、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部の波長スペクトルを見ることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行うことが可能であるが、そのためには、複雑で高価な光スペクトルアナライザーを使用する必要がある。
【0049】
また、パルス幅について言えば、一般的に、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるときには、パルス幅がフェムト秒領域にあるのに対し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあるときには、パルス幅がフェムト秒領域にない。従って、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部のパルス幅を見ることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行うことが可能であるが、そのためには、自己相関計を組んで計測する必要があり、装置が複雑となる。
【0050】
これらに対し、本実施の形態における、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が1mW)について、その出力の時間的変動により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行っており、かかる判断の自動化に加えて、フェムト秒レーザ1などの自動停止やシステムへのレーザ異常信号の伝達、ユーザへの表示までも、半導体フォトデテクタ51や電子回路53などで比較的安価に且つ単純に構築されたモードロック検出装置により行うことができる。
【0051】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、フェムト秒パルス発振器10の光増幅ファイバー12として、エルビウムをドープしたものを使用するとともに、半導体フォトデテクタ51として、InGaAsP系の半導体材料を用いたものを使用しているが、この点、フェムト秒パルス発振器10の光増幅ファイバー12として、イットリビウムをドープしたものを使用するとともに、半導体フォトデテクタ51として、ガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はシリコン系の半導体材料を用いたものを使用してもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、図1に示すように、フェムト秒レーザ1は、フェムト秒パルス発振器10や、光増幅器30、LD駆動用電源54などから構成されているが、この点、図8のフェムト秒レーザ2のように、光増幅器30を省いて、フェムト秒パルス発振器10や、LD駆動用電源54などから構成してもよい。この場合には、図8のフェムト秒レーザ2では、PBS121や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、PBS121により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ2をオフさせる。
さらに、フェムト秒パルス発振器10でファイバーの両端を接続した所謂リング型キャビティを有したレーザでもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、モードロック状態でパルス発振するレーザをシステムに組み込んで使用する際に必要となるモードロック検出方法及びモードロック検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザの概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザにおいて、当該モードロック検出装置の電子回路の概要を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ再生増幅システムの概要を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ光サンプリングシステムの概要を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだテラヘルツ分光システムの概要を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ多光子顕微鏡システムの概要を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザにおいて、フェムト秒パルス発振器内がモードロック状態にあるときの半導体フォトデテクタからの電流値を実線で示し、フェムト秒パルス発振器内が非モードロック状態にあるときの半導体フォトデテクタからの電流値を一点鎖線で示した図である。
【図8】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザの概要を示した図である。
【符号の説明】
1 フェムト秒レーザ
10 フェムト秒パルス発振器
11 光通信用LD
12 光増幅ファイバー
30 光増幅器
31 1/2波長板
51 半導体フォトデテクタ
52 電流計
53 電子回路
54 LD駆動用電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、モードロック状態でパルス発振するレーザからの光出力を検出対象とするモードロック検出方法及びモードロック検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フェムト秒レーザにおいては、光ファイバー内で種々の波長の光の位相が揃った状態、すなわちモードロック状態になることにより、1パルスの時間幅がフェムト秒台オーダー(10のマイナス15乗秒オーダー)のパルス列を発生させることができる(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。そして、これまでは、フェムト秒レーザは、特殊なレーザであったことから、基礎研究を行うための実験道具として使用される場合が殆どであったが、近年、応用研究が始まり、例えば、ある種の装置に組み込まれて、特殊計測などを行うシステムの開発にまで進展してきている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−213827号公報(第7−13頁、第1−13図)
【特許文献2】
特開平8−61246号公報(第4−9頁、第1−7図)
【非特許文献1】
吉田睦,「フェムト秒ファイバレーザ」,オプトロニクス,2001年,No.4,p.153−157
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フェムト秒レーザをシステムに組み込んで使用した場合には、万が一、フェムト秒レーザに不具合が生じると、フェムト秒レーザやシステムを構成する機器にダメージを与えるおそれがあり、そのダメージを抑えるためには、フェムト秒レーザへの供給電源を遮断するなどの対策を施す必要があるが、従来では、フェムト秒レーザについて、不具合が生じているか否かを、すなわち、モードロック状態を維持しているか否かを、簡便に見分ける方法・装置が示されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、モードロック状態でパルス発振するレーザをシステムに組み込んで使用する際に必要となるモードロック検出方法及びモードロック検出装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、モードロック検出方法であって、モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴としている。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するモードロック検出方法であって、前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴としている。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載するモードロック検出方法であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴としている。
また、請求項4に係る発明は、請求項2に記載するモードロック検出方法であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴としている。
【0008】
また、請求項5に係る発明は、モードロック検出装置であって、モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴としている。
【0009】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載するモードロック検出装置であって、前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴としている。
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載するモードロック検出装置であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴としている。
【0010】
また、請求項8に係る発明は、請求項6に記載するモードロック検出装置であって、前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は、本実施の形態のモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザ1(以下、「フェムト秒レーザ1」という。)の概要を示した図である。図1に示すように、フェムト秒レーザ1は、フェムト秒パルス発振器10や、光増幅器30、LD駆動用電源54などから構成されている。
【0012】
フェムト秒パルス発振器10は、LD駆動用電源54で駆動される励起用光源としての光通信用LD11と、エルビウムをドープしたものであってレーザ媒質としての光増幅ファイバー12、レンズ13、ファラデー回転子14、ミラー15、レンズ16、ファラデー回転子17、1/4波長板18、1/2波長板19、偏光ビームスプリッター(以下、「PBS」という。)20、レンズ21、可飽和吸収体22などを有している。この点、フェムト秒パルス発振器10では、リニアキャビティを構成する光増幅ファイバー12の両端に2個のファラデー回転子14,17を配置することで、振動・温度変化などに起因する光偏波面ドリフトを補償する構造となっており、環境変化に対して強い構成としている。
【0013】
そして、フェムト秒パルス発振器10においては、可飽和吸収体22の端面に施された金ミラー(不図示)とミラー15との間を種々の波長を含んだ光が何度も往復することで増幅され、さらに、位相が揃った状態(モードロック状態)の定常波が形成されると、両波長板18,19及びPBS20の作用により、レーザ光である光パルス列が光増幅器30に向けて出力される。このときの光パルス列は、例えば、中心波長が1560nm、繰り返し周波数が48.2MHz、パルス幅が380fsec、平均出力が4.8mWである。
【0014】
一方、光増幅器30は、PBS32、1/2波長板33、1/4波長板34、ファラデー回転子35、レンズ36、エルビウムをドープした光増幅ファイバ−37、レンズ38、ファラデー回転子39、ミラー40、LD駆動用電源54で駆動される励起用光源としての光通信用LD41などを有している。この点、光増幅器30でも、光増幅ファイバー37の両端に2個のファラデー回転子35,39を配置することで、振動・温度変化などに起因する光偏波面ドリフトを補償する構造となっており、環境変化に対して強い構成としている。
【0015】
また、光増幅器30では、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列を、PBS32で反射させ、光増幅ファイバー37に向かわせて通過させた後に、ミラー40で反射させ、光増幅ファイバー37を再び通過させることで、パルス圧縮を伴う増幅を行い、両波長板33,34及びPBS32の作用により、外部に出力している。このときの光パルス列は、例えば、中心波長が1560nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力が60mWである。
【0016】
尚、図1では、説明の便宜上、PBS32からレンズ36(ひいては光増幅ファイバー37)に向かう光パルス列と、レンズ36(すなわち光増幅ファイバー37)からPBS32に向かう光パルス列とを分けて記載しているが、実際には、両光パルス列の光路は重畳している。この点は、後述する図3及び、図4、図5、図6でも同様である。
【0017】
さらに、フェムト秒レーザ1では、フェムト秒パルス発振器10のPBS20と光増幅器30のPBS32との間に1/2波長板31を設けており、当該1/2波長板31を回転させることにより、フェムト秒パルス発振器10から出力された光パルス列の一部(平均出力が1mW)をPBS32を透過させて取り出している。従って、光増幅器30において、PBS32で反射しレンズ36(ひいては光増幅ファイバー37)に向かう光パルス列の平均出力は3.8mWとなる。
【0018】
尚、図1では、1/2波長板31を光増幅器30に内蔵させているが、これに代わって、1/2波長板31をフェムト秒パルス発振器10に内蔵させてもよいし、1/2波長板31をフェムト秒パルス発振器10と光増幅器30との間に設けてもよい。
【0019】
また、フェムト秒レーザ1では、上述した1/2波長板31に加え、InGaAsP系の半導体材料を用いた半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などを有しており、これらより構成されたモードロック検出装置を備えている。この点、半導体フォトデテクタ51には、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)が導入される。このとき、半導体フォトデテクタ51からの電流値を、デジタルレーザパワーメータで光出力(mW)に変換して0.5秒間隔で100回モニターすると、図7に示すようになる。すなわち、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあれば、出力値が2.18程度で一定値を示す(実線参照)。一方、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態になければ(以下、この状態を「非モードロック状態」という。)、出力値が0.7から2.0程度の間を大きくばらつく(一点鎖線参照)。
【0020】
そして、半導体フォトデテクタ51からの出力値は、図7の実線と一点鎖線の中間を示すようなことはなく、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態から非モードロック状態に移行すれば、その移行時点で、図7の実線から一点鎖線に即座に変化し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態からモードロック状態に移行すれば、その移行時点で、図7の一点線から実線に即座に変化する。また、半導体フォトデテクタ51は、半導体材料を用いた検出部を有していることから、センサーとしての応答性が速い。従って、半導体フォトデテクタ51からの出力値を測定すれば、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを瞬時に判断することが可能となる。
【0021】
そこで、図1に示すように、フェムト秒レーザ1では、1/2波長板31や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、1/2波長板31の回転により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ1をオフさせている。また、後述するように、この信号を当該フェムト秒レーザ1を内包したレーザ応用システムの保護又は、ユーザに不具合を知らせるための信号として用いることができる。
【0022】
この点、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置では、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況や、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断、LD駆動用電源54をオフさせる制御などは、電子回路53によって行っている。図2は、電子回路53の概要を示した図である。図2に示すように、電子回路53は、電流電圧変換器61や、電源投入検出回路62、タイミング回路63、AD変換器64、メモリ65、DA変換器66、係数器67、電圧比較器68などから構成されている。
【0023】
そして、電子回路53では、半導体フォトデテクタ51からの出力について、電流計52により測定した電流値を、電流電圧変換器61で電圧値に変換した後で、電圧比較器68に現在の電圧値Aとして入力するとともに、AD変換器64を介してメモリ65に記憶する。このとき、メモリ65は、電源投入検出回路62で起動されるタイミング回路63により、所定時間(例えば、0.5秒)毎に電圧値を記憶しており、さらに、前回又は前回より以前に記憶した電圧値を、DA変換器66及び係数器67を介して、電圧比較器68に過去の電圧値Bとして入力する。但し、係数器67では、前回又は前回より前に記憶した電圧値を、一定の割合(例えば、70%)で下げて出力している。
【0024】
その後、電圧比較器68では、現在の電圧値Aと過去の電圧値Bとを比較し、現在の電圧値Aが過去の電圧値Bより大きければ、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあると判断する。一方、現在の電圧値Aが過去の電圧値B以下であれば、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断し、電源遮断信号をLD駆動用電源54に発信し、LD駆動用電源54をオフさせる。
【0025】
これにより、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、LD駆動用電源54がオフして、光通信用LD11,41が消灯し、ひいては、フェムト秒パルス発振器10及び光増幅器30がオフして、フェムト秒レーザ1が自動的にオフするので、フェムト秒レーザ1内のダメージを最小限に抑えることができる。また、後述するように、この信号を当該フェムト秒レーザ1を内包したレーザ応用システムの保護又は、ユーザに不具合を知らせるための信号として用いることができる。
【0026】
尚、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置では、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況や、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断、LD駆動用電源54をオフさせる制御などを、電子回路53によって自動的に行っていたが、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とし、LD駆動用電源54をオフさせることなどを手動で行っても、フェムト秒レーザ1内のダメージを抑えることができる。
【0027】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ再生増幅システムについて説明する。図3は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ再生増幅システム80の概要を示した図である。図3に示すように、再生増幅システム80に対しては、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を介して入射している。
【0028】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。また、再生増幅システム80のパルス間引き部81を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が1kHz、パルス幅が100fsec、平均出力0.1nJ/pulseである。また、再生増幅システム80の再生増幅器82を通過したものであって、再生増幅システム80から出力される光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が1kHz、パルス幅が150fsec、平均出力0.1mJ/pulseである。
【0029】
一方、再生増幅システム80を制御する再生増幅器コントローラ83に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、再生増幅器コントローラ83は再生増幅システム80をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及び再生増幅システム80が自動的にオフするので、フェムト秒レーザ1内及び再生増幅システム80内のダメージを最小限に抑えることができる。また、モニターランプなどを設ければ、再生増幅システム80の不具合が、その発振器であるフェムト秒レーザ1の不具合であることがわかる。
【0030】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、LD駆動用電源54や再生増幅システム80をオフさせることなどを手動で行えば、フェムト秒レーザ1内及び再生増幅システム80内のダメージを抑えることができたり、再生増幅システム80を使って作業・実験をしているユーザ又は、再生増幅システム80に異常を知らせることができる。
【0031】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ光サンプリングシステムについて説明する。図4は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ光サンプリングシステムの概要を示した図である。図4に示すように、光サンプリングシステムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を介して光サンプリングヘッド91に入射している。
【0032】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0033】
さらに、光サンプリングヘッド91に対しては、被測定光パルス列が入射される。そして、光サンプリングヘッド91からの光出力をフォトデテクタ92に導入し、当該フォトデテクタ92からの出力をデジタル信号アナライザ93に入力することにより、被測定光パルス列の分析を行う。
尚、この光サンプリング方式については、以下の刊行物に記載された論文で詳しく説明されている。
「刊行物」
R.L.Jungerman,Member,IEEE,G.Lee,O.Buccafusca,Member,IEEE,Y.Kaneko,Member,IEEE,N.Itagaki,R.Shinoda,A.Harada,Y.Nihei,and G.Sucha,“1−THz Bandwidth C−and L−Band Optical Sampling With a Bit Rate Agile Timebase”,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL.14, NO.8 , pp.1148−1150, AUGUST 2002
【0034】
一方、デジタル信号アナライザ93に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、デジタル信号アナライザ93をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及びデジタル信号アナライザ93が自動的にオフするので、光サンプリングシステムを使用するユーザに異常を知らせることができる。
【0035】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合にも、光サンプリングシステムを使用するユーザは異常を知ることができる。
【0036】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだテラヘルツ分光システムについて説明する。図5は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだテラヘルツ分光システムの概要を示した図である。図5に示すように、テラヘルツ分光システムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を通過させている。
【0037】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0038】
また、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、ハーフミラー101により、ポンプ光とプローブ光とに分けられる。この点、ハーフミラー101を透過したポンプ光は、テラヘルツ光源105に入射し、テラヘルツ光源105からテラヘルツ波を発生させる。一方、ハーフミラー101を反射したプローブ光は、3個のミラー102,103,104と光ディレー装置等を介して、テラヘルツ検出器107に入射する。尚、当該光ディレー装置は、2個のミラー109,110とデトロディフレクター131とで構成される。さらに、テラヘルツ検出器107に対しては、テラヘルツ光源105からのテラヘルツ波が被測定サンプル107を介して入射される。そして、テラヘルツ検出器107からの出力をテラヘルツ信号アナライザ108に入力することにより、被測定サンプルの分析を行うことができる。
【0039】
一方、テラヘルツ信号アナライザ108に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、テラヘルツ信号アナライザ108は、フェムト秒レーザ1に異常が発生したことを検知し、それをテラヘルツ分光システムのユーザに異常として知らせることができる。
【0040】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、テラヘルツ分光システムのユーザは異常を知ることができる。
【0041】
次に、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ多光子顕微鏡システムについて説明する。図6は、モードロック検出装置が備えられたフェムト秒レーザ1を組み込んだ多光子顕微鏡システムの概要を示した図である。図6に示すように、多光子顕微鏡システムでは、フェムト秒レーザ1の光増幅器30から出力された光パルス列を波長変換器70を通過させている。
【0042】
このとき、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、例えば、中心波長が780nm、繰り返し周波数が50MHz、パルス幅が100fsec、平均出力20mWである。
【0043】
また、波長変換器70を通過した直後の光パルス列は、カルバノスキャニングミラー111に入射され、顕微鏡対物レンズ112を介して、被測定サンプル113上を走査し、フォトデテクタ114に導入される。そして、フォトデテクタ114からの出力を顕微鏡システムコントローラ115に入力することにより、被測定サンプル113の蛍光画像を得ることができる。
【0044】
一方、顕微鏡システムコントローラ115に対しては、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置の電子回路53が接続されており、電子回路53からの電源遮断信号を受信すると、顕微鏡システムコントローラ115をオフさせる。これにより、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、フェムト秒レーザ1及び顕微鏡システムコントローラ115が自動的にオフするので、多光子顕微鏡システムのユーザはシステムの異常を知ることができる。
【0045】
尚、半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況を、例えば、図7に示すようにモニタすることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を外部から可能とした場合には、多光子顕微鏡システムのユーザはシステムの異常を知ることができる。
【0046】
以上、詳細に説明した通り、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、上述したように、図3の再生増幅システム又は、図4の光サンプリングシステム、図5のテラヘルツ分光システム、図6の多光子顕微鏡システムに対しフェムト秒レーザ1を組み込んだ際に、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあれば、半導体フォトデテクタ51からの出力値が激しく変動し(図7参照)、この変動状況を判別した電子回路53から発信される電源遮断信号をもって、これらのシステムが自動的にオフされるので、これらのシステムのダメージを最小限に抑えることができるとともに、これらのシステムのユーザに異常を知らせることができる。
【0047】
尚、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断は、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が約2mW)について、波長スペクトルやパルス幅などを分析することにより行うこともできる。
【0048】
この点、波長スペクトルについて言えば、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるときには、波長スペクトルが左右対称のなだらかな波形となるのに対し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあるときには、波長スペクトルが多数のピーク点を所謂ギザギザの持った波形となる。従って、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部の波長スペクトルを見ることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行うことが可能であるが、そのためには、複雑で高価な光スペクトルアナライザーを使用する必要がある。
【0049】
また、パルス幅について言えば、一般的に、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるときには、パルス幅がフェムト秒領域にあるのに対し、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあるときには、パルス幅がフェムト秒領域にない。従って、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部のパルス幅を見ることにより、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行うことが可能であるが、そのためには、自己相関計を組んで計測する必要があり、装置が複雑となる。
【0050】
これらに対し、本実施の形態における、フェムト秒レーザ1に備えられたモードロック検出装置及び、当該モードロック検出装置で実施されるモードロック検出方法では、PBS32を透過させて取り出したフェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部(平均出力が1mW)について、その出力の時間的変動により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかの判断を行っており、かかる判断の自動化に加えて、フェムト秒レーザ1などの自動停止やシステムへのレーザ異常信号の伝達、ユーザへの表示までも、半導体フォトデテクタ51や電子回路53などで比較的安価に且つ単純に構築されたモードロック検出装置により行うことができる。
【0051】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、フェムト秒パルス発振器10の光増幅ファイバー12として、エルビウムをドープしたものを使用するとともに、半導体フォトデテクタ51として、InGaAsP系の半導体材料を用いたものを使用しているが、この点、フェムト秒パルス発振器10の光増幅ファイバー12として、イットリビウムをドープしたものを使用するとともに、半導体フォトデテクタ51として、ガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はシリコン系の半導体材料を用いたものを使用してもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、図1に示すように、フェムト秒レーザ1は、フェムト秒パルス発振器10や、光増幅器30、LD駆動用電源54などから構成されているが、この点、図8のフェムト秒レーザ2のように、光増幅器30を省いて、フェムト秒パルス発振器10や、LD駆動用電源54などから構成してもよい。この場合には、図8のフェムト秒レーザ2では、PBS121や、半導体フォトデテクタ51、電流計52、電子回路53などからモードロック検出装置を構成し、PBS121により、フェムト秒パルス発振器10からの光パルス列の一部を半導体フォトデテクタ51に導入させ、当該半導体フォトデテクタ51からの出力値の変動状況により、フェムト秒パルス発振器10内がモードロック状態にあるか非モードロック状態にあるかを判断し、このとき、フェムト秒パルス発振器10内が非モードロック状態にあると判断すれば、LD駆動用電源54をオフさせることにより、フェムト秒レーザ2をオフさせる。
さらに、フェムト秒パルス発振器10でファイバーの両端を接続した所謂リング型キャビティを有したレーザでもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、モードロック状態でパルス発振するレーザをシステムに組み込んで使用する際に必要となるモードロック検出方法及びモードロック検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザの概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザにおいて、当該モードロック検出装置の電子回路の概要を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ再生増幅システムの概要を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ光サンプリングシステムの概要を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだテラヘルツ分光システムの概要を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザを組み込んだ多光子顕微鏡システムの概要を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザにおいて、フェムト秒パルス発振器内がモードロック状態にあるときの半導体フォトデテクタからの電流値を実線で示し、フェムト秒パルス発振器内が非モードロック状態にあるときの半導体フォトデテクタからの電流値を一点鎖線で示した図である。
【図8】本発明の一実施形態によるモードロック検出装置を備えたフェムト秒レーザの概要を示した図である。
【符号の説明】
1 フェムト秒レーザ
10 フェムト秒パルス発振器
11 光通信用LD
12 光増幅ファイバー
30 光増幅器
31 1/2波長板
51 半導体フォトデテクタ
52 電流計
53 電子回路
54 LD駆動用電源
Claims (8)
- モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴とするモードロック検出方法。
- 請求項1に記載するモードロック検出方法であって、
前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴とするモードロック検出方法。 - 請求項2に記載するモードロック検出方法であって、
前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴とするモードロック検出方法。 - 請求項2に記載するモードロック検出方法であって、
前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴とするモードロック検出方法。 - モードロック状態になったときにレーザ光をパルス発振するレーザからの光出力について、前記光出力の時間的変動により、前記レーザがモードロック状態にあるか否かを判断すること、を特徴とするモードロック検出装置。
- 請求項5に記載するモードロック検出装置であって、
前記光出力の時間的変動を半導体フォトデテクタを介して測定すること、を特徴とするモードロック検出装置。 - 請求項6に記載するモードロック検出装置であって、
前記レーザを構成するレーザ媒質がエルビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又はゲルマニウム系の半導体材料を用いたものであること、を特徴とするモードロック検出装置。 - 請求項6に記載するモードロック検出装置であって、
前記レーザを構成するレーザ媒質がイットリビウムをドープしたファイバーであり、前記半導体フォトデテクタがガリウム砒素系のIII−V族の半導体材料又は、シリコン系の半導体材料、ゲルマニウム系の半導体材料のいずれか一つを用いたものであること、を特徴とするモードロック検出装置。
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-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152097A patent/JP2004356367A/ja active Pending
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