JP2004356330A - マスクの製造方法、マスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラム、マスクブランクスの管理装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にするマスクの製造方法と、これを可能にするマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】マスクブランクスを準備し(ST11)、マスクブランクスの薄膜に存在する欠陥の位置や大きさなどの分布を検査し(ST12)、欠陥マップを作成する(ST13)。次に、欠陥マップとマスクデータとろ論理和を演算処理して(ST15)比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する(ST16)。薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された(Y)場合には、薄膜に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成しマスクを製造する(ST17)。
【選択図】 図1
【解決手段】マスクブランクスを準備し(ST11)、マスクブランクスの薄膜に存在する欠陥の位置や大きさなどの分布を検査し(ST12)、欠陥マップを作成する(ST13)。次に、欠陥マップとマスクデータとろ論理和を演算処理して(ST15)比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する(ST16)。薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された(Y)場合には、薄膜に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成しマスクを製造する(ST17)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィ工程で用いられるマスクの製造方法と、このマスクを形成するためのマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの量産に用いられているフォトリソグラフィ用マスクのもとになる基板はブランクスと呼ばれている。
図9は、フォトリソグラフィ用のブランクスの模式断面図である。
まず、石英基板110上に、典型的には厚さ約100nmのクロム薄膜111がスパッタリング法での蒸着により形成されており、その上層にレジスト膜112が形成されている。
レジスト膜112として、ZEP7000(日本ゼオン社製)に代表されるような非化学増幅レジストが用いられる場合は、クロム膜の上にレジストを塗布した状態(例えば、膜厚400nm)でブランクスは出荷される。
【0003】
最近では、電子線(EB)描画のスループットを向上させるために、化学増幅レジストを用いる場合が増えている。この場合、レジストの化学的安定性が非化学増幅レジストに比べて低下するので、一般にレジストはマスク製造現場で塗布される。その場合、ブランクスにはレジストが塗布されていない状態で出荷される。
【0004】
マスク製造現場では、レジストが塗布されてない場合には塗布した後、EB描画装置(あるいは微細なパターニングが必要ないマスクの場合は、レーザー描画装置)を用いてレジストにデバイスパターンが形成され、続くエッチング工程によりクロム膜に転写される。
マスクが露光される時、このクロム膜が遮光膜となり、マスクパターンがウェハ上に転写される。
【0005】
石英基板の寸法等の規格は、SEMIスタンダードSEMI P1−92 (Specification for Hard Surface Photomask Substrates)に定義されており、きわめて厳密な品質管理・検査が規格されている。
また、クロム膜の品質も同様である。総じて、生産用フォトマスクのブランクス製造技術は充分確立され、完成の域にあると言える。
【0006】
一方、フォトリソグラフィに続く次世代リソグラフィ(NGL:next generation lithography )として開発が進められている電子線(EB:electron beam)リソグラフィでは、転写パターンがメンブレンの開口により形成されるステンシルマスクが用いられる。
図10は、ステンシルマスク用のブランクスの模式断面図である。
基板120上に、エッチングストッパ機能を有する中間層121およびメンブレンになる薄膜122が形成された積層構造を有する。メンブレンに対応する部分の基板120は裏面からエッチングされ、薄膜122を露出させる凹部120aが形成されている。
【0007】
マスクの製造プロセスによっては、薄膜層や中間層がさらに複数の層で構成されているブランクス、基板の裏面にも薄膜層が形成されているブランクス、あるいは中間層が存在しないブランクスもあるが、基本的には図10のようになっている。
また、ここでは簡単のためマスクが単一のメンブレンからなるように図示しているが、機械的剛性の低いメンブレン領域を補強するために、図11(a)の斜視図に示すような格子状の梁で分割された多数の小画メンブレンから構成されるブランクスが知られている。
図11(a)に示す多数の小画メンブレンから構成されるブランクスは、基板100上に、エッチングストッパ機能を有する中間層101およびメンブレンになる薄膜102が形成された積層構造を有する。メンブレンに対応する部分の基板100は裏面からエッチングされて格子状に区画された凹部100aが形成され、格子状の梁100bが構成されている。薄膜102は梁100bで区画された小領域がそれぞれパターンが形成されるパターン領域PAとなる。薄膜102には周辺部においてアライメントマークAM(図11(b)参照)が形成されている。
また、パターンが転写された後には、例えば、図11(b)の断面図に示すようにマスクパターンに沿った貫通孔Pが形成される。
上記のブランクスにおいて、例えば近接電子線転写リソグラフィ(PEL:proximity electron lithography)用のマスクについて特許文献1に開示されており、電子線転写リソグラフィ(EPL:electron projection lithography )用のマスクについて特許文献2に開示されている。
【0008】
ブランクス製造方法としては、現在2通りの方法が用いられている。
一つは、直径4もしくは8インチのシリコンウェハに、必要に応じて中間層を形成した後、その上にメンブレンになる材料(例えば、単結晶/多結晶/アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン)をスパッタリング法あるいはCVD(chemical vapor deposition )法により成膜する方法であり、例えば、ダイヤモンド薄膜の形成方法に関して、特許文献3および特許文献4などに装置、材料、プロセスに関する詳細な記述がされている。成膜後、必要があればCMP(chemical mechanical polishing )法などにより膜の平坦化を行う(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
別の方法として、予め図10に示すような積層構造が形成されたウェハを用いることができる。
最もよく利用されるのはSOI(silicon on insulator)ウェハである。本来、SOIウェハは、高速で電力消費が少ないデバイスを作製するための技術として開発されたもので、ステンシルマスク製造を意図したものではない。しかしながら、その断面構造が、薄膜のシリコン層(SOI層)/埋め込み酸化膜(BOX:buried oxide)層/シリコン基板という3層構造をしており、メンブレン領域に対応するSOI層の膜厚均一性や膜質が極めて高度に制御されているという利点がある。
さらに、一般に、酸化シリコンとシリコンのドライエッチングにおける選択比は1000以上にもなるので、中間のBOX層が裏面エッチングの際のエッチング阻止層として機能する。
これらのことから、SOI基板は、高度な成膜技術を必要とせずに高品質のステンシルマスクを製造することができる可能性のある材料である。
製造フローには様々なバリエーションがあり、例えば特許文献6などに記述されているが、裏面から基板をエッチングすることでメンブレンを形成し、そこに開口パターンを加工するという大まかなフローは共通している。
【0010】
【特許文献1】
特開2003−59819号公報
【特許文献2】
米国特許5523580号明細書
【特許文献3】
特開2001−77016号公報
【特許文献4】
特開平11−40494号公報
【特許文献5】
特開平7−130646号公報
【特許文献6】
特開平11−54409号公報
【非特許文献1】
M.オカダら(M. Okada et al.)、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー(Journal of Vacuum Science Technology)、18,3254(2000)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、すでに確立しているフォトマスク用ブランクス製造技術と異なり、開発段階にある近接電子線転写リソグラフィ(PEL:proximity electron lithography)や電子線転写リソグラフィ(EPL:electron projection lithography )に用いられるステンシルマスク用ブランクスの製造技術には問題点があり、特許文献5にメンブレン材料の成膜工程での問題点が記述されてように、成膜工程で突起やピンホール等の欠陥が存在すると、後のパターン形成工程でパターン欠陥となる。
【0012】
特に、ステンシルマスクのメンブレン膜厚(典型的には500nm以上)は、通常の半導体装置製造工程で成膜される膜厚(典型的には100〜200nm以下)よりも厚いので、CVD炉等の付着物が剥離して成膜時に混入したりすることが多い。あるいは、成膜前のウェハ前処理工程が不充分な場合には、汚染物や残留物が核となった成膜となり突起物が発生する。
このような異物や突起物のような余分なものがメンブレン上に存在すると、露光されても感光せずに常に未露光状態となるため、黒欠陥と呼ばれる欠陥となる。
【0013】
一方、薄膜層が単結晶シリコンであるSOIウェハにも欠陥が存在する。
一つは、ウェハをフッ酸(HF)溶液に浸漬することでピンホール状の欠陥が拡大され、走査電子顕微鏡(SEM)で観察されやすくなることから、HF欠陥と呼ばれているものであり、もう一つは、Seccoエッチング液(5%K2 Cr2 O7 :49%HF=1:2)と呼ばれている溶液に浸漬することで観察されるようになることからSecco欠陥と呼ばれているものである。
HF欠陥は、結晶中で析出した金属や酸素に起因するCOP(crystal originated pit)やプロセス中の異物が原因となる。Secco欠陥は、結晶中の転移欠陥や表面研磨時のダメージが原因となる。
このようなHF欠陥やSecco欠陥のような欠陥がメンブレンに存在すると、露光されなくても常にパターンが形成されてしまうようになるため、白欠陥と呼ばれる欠陥となる。
【0014】
上記のように、ステンシルマスクのブランクスには黒欠陥と白欠陥の2種類の欠陥が発生する。
ステンシルマスク製造工程のブランクス検査において、許容できない黒/白欠陥が発見されると、そのブランクスは不良品として廃棄しなくてはならず、製造歩留が低下する。これにより、マスクのコストが増大してしまう。
しかしながら、CVD成膜工程やSOIウェハ製造工程での異物と欠陥を完全になくすことは不可能であり、また、それらを高度に制御しようとすると、ブランクス製造コストも増大してしまう。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従って本発明は、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にするマスクの製造方法と、このマスクの製造方法を可能にするマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの製造方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスの前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造する方法であって、前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とを有する。
【0017】
上記の本発明のマスクの製造方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する。次に、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する。薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合には、薄膜に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成する。
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスの管理方法であって、前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記マスクブランクスを前記欠陥マップとともに保管する工程とを有する。
【0019】
上記の本発明のマスクブランクスの管理方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成し、マスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するための処理をコンピュータに実行させるマスクブランクスの管理プログラムであって、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、前記マスクデータを読み込む手順と、前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、前記演算の結果を出力する手順とを実行させる。
【0021】
上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込み、マスクデータを読み込み、読み込んだ欠陥マップとマスクデータの論理和を演算し、演算の結果を出力する手順を実行するように組み込まれたプログラムである。
【0022】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理装置は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するマスクブランクスの管理装置であって、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、前記マスクデータを読み込む手順と、前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、前記演算の結果を出力する手順とを実行させるマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
【0023】
上記の本発明のマスクブランクスの管理装置は、上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
【0024】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体装置の製造方法は、所定のマスクデータに沿っってパターンが形成されたマスクを介して、感光面に前記パターンを転写する工程を有する半導体装置の製造方法であって、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とを有するマスクの製造方法によりマスクを製造する工程と、前記マスクを介して露光を行い、前記マスクに形成されたパターンを感光面に転写する工程とを有する。
【0025】
上記の本発明の半導体装置の製造方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成し、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定し、利用可能と判定された場合に、薄膜に対してマスクデータに沿ってパターンを形成して、マスクを製造する。
次に、マスクを介して露光を行い、マスクに形成されたパターンを感光面に転写する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本実施形態に係る半導体装置製造のリソグラフィ工程で用いられるマスクの製造方法と、このマスクを形成するためのマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態は、シリコン基板上に、エッチングストッパ機能を有する中間層である埋め込み酸化膜層(BOX層)とメンブレンになるシリコン層(SOI層)が積層して形成されたSOIウェハをマスクブランクスとして、SOI層に対して所定のマスクデータに沿ったパターンの荷電粒子線が透過する孔を形成して、EPL用のステンシルマスクを製造する方法に関する。
【0028】
図1は、本実施形態に係るマスクの製造方法を示す第1のフローチャートである。
まず、第1ステップST11として、上記構成のSOIウェハを形成する。SOIウェハの形成方法には種々の方法を用いることができ、例えば貼り合わせ法やイオン注入法などを用いることができる。
次に、第2ステップST12として、SOIウェハであるマスクブランクスにおいて、黒欠陥や白欠陥などのSOI層に存在する欠陥の分布を検査する。ここで、分布とは位置、数(密度)および大きさなどである。検査としては、例えば透過型SEMをベースとする欠陥検査装置によりHF欠陥やSecco欠陥の位置、数(密度)および大きさなどを検査する。また、ウェハ異物検査装置により、ウェハ表面の異物の位置、異物数および大きさを調べる。
【0029】
次に、第3ステップST13として、第2ステップST12の検査の結果から欠陥マップを作成する。
一方で、第4ステップST14として、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータを準備する。
次に、第5ステップST15として、例えば欠陥マップの欠陥データとマスクデータの論理和を演算処理し、欠陥マップとマスクデータとを比較する。欠陥マップの欠陥データとマスクデータとの論理和の演算については後述する。
次に、第6ステップST16として、例えば上記の論理和の演算結果から、欠陥マップに沿った欠陥を有するSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か否か判定する。この判定の基準については後述する。
次に、第6ステップST16においてSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能(Y)と判定された場合に、第7ステップST17として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。
【0030】
図2は、上記の第6ステップST16においてSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能(N)と判定された場合の続きのステップを示す第2のフローチャートである。
ステップST16において、SOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能(N)と判定された場合には、第8ステップST18として、欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか否かを判定する。この判定の基準については後述する。
【0031】
次に、第8ステップST18において欠陥の修正を行うことによって利用可能(Y)と判定された場合に、第9ステップST19として、例えば非特許文献1(M. Okada et al., J. Vac. Sci. Technol.18 (2000) 3254)に開示されている収束イオンビーム(FIB)を用いた方法を採用して、欠陥の修正を行う。
次に、第10ステップST20として、上記第9ステップST19において欠陥の修正を行った箇所について欠陥の有無あるいは欠陥の位置と大きさなどを調べる再検査を行い、検査によりSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能となったら、第11ステップST21として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。
【0032】
一方、第8ステップST18において欠陥の修正を行っても利用不可能(N)になると判定されたとしても、廃棄処分とはしないで、第12ステップST22として、薄膜を有するマスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
保管しておくことで、別のパターンのマスクを製造する際に利用可能か否かを調べて、可能であればこれを用いることでマスクブランクスの無駄を減らすことができる。
以降は、マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製し、欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行う。
【0033】
特に、予め複数枚のSOI構造のマスクブランクスを準備し、マスクブランクスにおけるそれぞれのSOI層に存在する欠陥の分布を検査し、各マスクブランクスの薄膜の欠陥マップのライブラリーを作成しておくことも可能である。ここで、分布とは位置、数(密度)および大きさなどである。
図3は、複数枚のSOIウェハに対する欠陥マップのライブラリーを作成する場合のマスクの製造方法を示す第3のフローチャートである。
まず、第1ステップST31として、N個あるSOIウェハからなるマスクブランクス(j=1,2...N)のストックにおいて、SOI層に存在する欠陥の分布を検査し、各マスクブランクスのSOI層の欠陥マップのライブラリーを作成する。
一方で、第2ステップST32として、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータを準備する。ここで、複数のパターンのステンシルマスクを製造しようとしている場合(デバイスの種類・レイヤーを合わせてM個あるとする)には、各ステンシルマスクに対する複数のマスクデータ(k=1,2...M)を準備する。
【0034】
次に、第3ステップST33として、例えばN個の欠陥マップの欠陥データとM個のマスクデータの論理和を(j,k)の各組み合わせに対して演算処理し、欠陥マップとマスクデータとを比較する。
次に、第4ステップST34として、例えば上記の論理和の演算結果から、ライブラリーの各欠陥マップに対応する複数枚のマスクブランクスの群の中に、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが存在するか判定する。
次に、第4ステップST34において利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが存在する(Y)と判定された場合に、第5ステップST35として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。ここで、必要に応じて欠陥の修正と、修正箇所の欠陥の再検査を行い、利用可能となった後にSOI層に対してマスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造することも可能である。
【0035】
上記の第4ステップST34において利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが見いだされなかった(N)場合には、第6ステップST36として、マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製する。以降は、欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行うことができる。
また、別のパターンのマスクを製造する際には、上記の新たに作成した新規なマスクブランクスの欠陥マップをライブラリーに加えて以降の工程を行ってもよい。
【0036】
上記のマスクの製造方法において、欠陥マップの欠陥データとマスクデータの論理和の演算処理は、例えば以下のように行う。
ここで、黒欠陥のマップデータをDB、白欠陥のマップデータをDW、製造しようとしているマスクのマスクデータをMとする。
このときの問題とならない一般的な欠陥の論理条件式は次のようになる。
例えば、下記の各論理条件式がゼロとなる場合は欠陥マップに沿った欠陥を有するSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定し、ゼロとならない場合には、利用不可能と判定する。
【0037】
【数1】
DB∧M=0 ・・・(1)
【0038】
【数2】
DW∧(!M)=0 ・・・(2)
【0039】
ここで、記号∧は論理和(AND)、記号!は否定(NOT)を表す。
【0040】
また、黒欠陥および白欠陥の個々の判定の基準としては、例えば以下のように設定する。図4はこの基準を説明するための模式図である。
即ち、ステンシルマスクの孔となるパターン領域P1 ,P2 を想定した場合、パターンに全くかからない白欠陥W1 および一部かかっている白欠陥W2 は欠陥になる(NG)と判定し、パターンに完全に重なっている白欠陥W3 は欠陥にはならない(OK)と判定する。
また、パターンに全くかからない黒欠陥B1 は欠陥にはならない(OK)と判定し、パターンに一部かかっている黒欠陥B2 および完全に重なっている黒欠陥B3 は欠陥になる(NG)と判定する。
【0041】
また、欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか否かを判定するときの判定の基準については、以下のように設定する。
例えば約100nm以下の白欠陥が10個程度存在する場合、欠陥は数が少なくサイズも小さいので修正により利用可能になると判断される。
修正すべき箇所が多い、あるいはそのサイズが大きい場合、修正にかかる時間とコストを考えると、修正を実施するよりも、ブランクスを製造し直した方が好ましい。
修正により利用可能と判断する基準は、修正技術の進歩やマスクの製造にかけられる時間などに応じて各製造時に適宜変更することができる。
【0042】
以下に、本実施形態に係るマスクの製造方法について、図面を参照して説明する。例えば、特許文献1(特開2003−59819号公報)や本願出願人による出願(特願2001−370600号)に詳しく述べられている方法を好ましく採用することができる。
まず、図5(a)に示すように、例えばシリコン基板10上に、エッチングストッパ機能を有する中間層である埋め込み酸化膜(BOX層)11とメンブレンになるシリコン層(SOI層)12が積層して形成されたSOIウェハを準備する。SOIウェハの表面全体は自然酸化膜13で被覆されている。
上記の構成のSOIウェハに、ホウ素(B)を注入することで、メンブレン層の内部応力を調整する。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、例えばSOIウェハの周辺部において、所定のパターンでBOX層11に達するまでSOI層12を除去し、アライメントマークAMを形成する。
【0044】
次に、図5(c)に示すように、シリコン基板の裏面上にレジスト膜(不図示)を成膜し、格子状のパターンに開口するように露光および現像し、RIE(反応性イオンエッチング)などのエッチング処理を行って、例えば格子状に区画されたパターンでシリコン基板10の裏面からBOX層11に達する凹部10aを形成する。このとき、シリコン基板10の格子状に残された部分が格子状の梁10bとなり、SOIウェハの周辺部においては、シリコン基板10が支持枠となる。
【0045】
次に、図6(a)に示すように、レジスト膜(不図示)をアッシング処理などにより除去し、HF液によるウェットエッチングにより表面に露出した部分の酸化シリコンを除去する。即ち、自然酸化膜13と、凹部10a底部に露出したBOX膜11を除去する。
以上で、シリコン基板10上にBOX層11およびSOI層12が積層され、シリコン基板10裏面側からSOI層が露出するまで格子状に区画された凹部が形成されてなるマスクブランクスが形成される。
【0046】
次に、形成されたマスクブランクスにつき欠陥マップを作成し、形成しようとするマスクのマスクデータのマッチングをみて利用可能かどうか判断する。
利用可能である場合はそのまま、あるいは修正処理を加えることにより利用可能となる場合には修正処理を行って修正箇所の欠陥を確認した上で、次工程に進む。
【0047】
次に、図6(b)に示すように、SOI層12の上層にレジスト膜Rを成膜し、形成しようとするマスクのマスクデータに沿って、例えば電子線露光などにより露光し、現像してパターンPを形成する。
【0048】
次に、レジスト膜RをマスクとしてRIEなどのドライエッチングを施し、SOI層12にパターンPを転写する。
この後、レジスト膜Rをアッシング処理による除去して、図6(c)に示す構成のマスクを製造することができる。
【0049】
上記のように、本実施形態のマスクの製造方法においては、メンブレンに黒/白欠陥が検出されたマスクブランクスを捨ててしまわず、その種類、位置、数(密度)および大きさなどをマッピングしておく。
次に、マップ情報とマスクデータとを比較し、マスク製造に問題がなければ、そのままマスク製造工程に進む。
ここで利用不可能と判定されても、他に製造しようとしているマスクのマスクデータと比較する。
それでも利用可能なマスクが見つからない場合は、マップ情報と共にそのブランクスを保管しておき、新たなマスクを製造しようとするときに再び利用可能かどうかを確認する。
例えば、メンブレンのある箇所に直径100nmのピンホールが発見されても、その場所が一辺10μmのパッドパターン内に含まれるように存在するのならば、それは全く問題とならない。なぜなら、その領域は後の工程で大開口としてエッチングされるからである。
上記の本実施形態のマスクの製造方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係るマスクブランクスの管理方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜(SOI層)に存在する欠陥の位置と大きさなどを検査し、欠陥マップを作成し、マスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
このように薄膜の欠陥マップとマスクブランクスを保管することにより、欠陥が存在しているために利用できないマスクブランクスを廃棄せず、利用することが可能となる。
【0051】
上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、薄膜(SOI層)に存在する欠陥の位置と大きさなどを検査して得た欠陥マップを読み込み、マスクデータを読み込み、読み込んだ欠陥マップとマスクデータの論理和を演算し、演算の結果を出力する手順を実行するように組み込まれたプログラムである。
このように、欠陥マップとマスクデータをそれぞれ読み込んで論理和を演算することで、そのマスクブランクスが利用可能か判定することができるようになり、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる本実施形態のマスクの製造方法を実現できる。
【0052】
上記の本発明のマスクブランクスの管理装置は、上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる本実施形態のマスクの製造方法を実現できる。
【0053】
(実施例)
ここでは、本実施形態のマスクの製造方法を適用してPELマスクを製造した。
マスクブランクス製造用の基板として、貼り合わせ法により作製された市販の4インチSOIウェハを用いた。ウェハ基板の厚みは381μm(マスクの平坦度を向上させるために両面研磨)、BOX層の厚みは400nm、SOI層の厚みは600nmであり、SOI層に1019/cm3 のホウ素(B)原子を注入することで、メンブレン層の内部応力を10MPaに調整した。
【0054】
上記のSOIウェハの品質を調べるため、透過型SEM(日立社製S9220)をベースとする欠陥検査装置を用いて白欠陥を検出した。HF欠陥の密度が0.3個/cm2 、Secco欠陥の密度が5×104 個/cm2 であった。
一方、表面の異物数を調べるために、同じロットで製造された別のウェハに対して、ウェハ異物検査装置LS6700(日立DECO社製)により黒欠陥を検出した。0.19μm以上の異物が200個以下、0.80μm以上の異物が30個以下であることが分かった。
これらはウェハ全面での値なので、マスク領域(この場合、中心40mm角)内で問題になる異物数はもっと少ない。
【0055】
このSOIウェハをSC1洗浄した後、図5(a)〜(c)および図6(a)に示す工程により、図7(a)に示す外観を有するマスクブランクスを形成した。
このマスクブランクスは、一辺が2Lの正方形のマスク領域を有し、マスク領域は一辺がLの正方形A〜Dに4分割され、それぞれが1相補マスクとなる。
図7(b)は、図7(a)のマスク領域の中央部を拡大した図である。幅L10b の格子状の梁10bにより、一辺がL10a の小画メンブレン領域となる凹部10aが区画されている。
【0056】
マスクブランクスを製造したところで、上記の実施形態に示すように、欠陥を検査して欠陥マップを作成した。
まず、ウェハ異物検査装置LS6700(日立DECO社製)を用いて黒欠陥の位置や大きさなどの分布を調べ、欠陥マップを作成した。
【0057】
図8(a)は得られた欠陥マップを視覚的に示した図であり、黒欠陥の位置を点で示しているので、濃度の濃い部分において黒欠陥の密度が高くなっていることを示している。
また、図8(b)は横軸に黒欠陥のサイズ(μm)を取り、縦軸に黒欠陥の個数Nを取ったグラフである。
【0058】
次に、透過型SEMをベースとする欠陥検査装置を用いて白欠陥を検出した。この装置は、エネルギー5keVの電子線をステンシルマスク上に走査させ、透過電子の像を電子光学系で結像し、TDIセンサーで検知するものであり、これにより、HF欠陥やSecco欠陥などのピンホールを検出し、そのマップデータも図8(a)および(b)と同様に作成した。
【0059】
次に、上記の実施形態に示したように、欠陥マップの欠陥データと本実施例で形成しようとしているマスクデータの上記の論理条件式による論理和の演算処理を行った。
ここで、各欠陥は存在しても問題ないと判断されればこのマスクブランクスを用いてマスク製造を行うことができるが、本実施例におけるマスクブランクスでは、10個の白欠陥が上記の論理条件式を満たさないことが分かった。
ここで、これらの欠陥は、数が少ない上に、サイズも約100nm以下と小さいことから、修正により利用可能になると判断した。
そこで、収束イオンビーム(FIB)を用いた方法により修正を行った。
修正の後に、修正箇所について欠陥を再検査し、本実施例で形成しようとしているマスクデータに対して利用可能になったと判断された。
この後、このマスクブランクスのSOI層にパターンを転写して、デバイスパターンが配置されたステンシルマスクを製作した。
製作したマスクの欠陥検査の結果、このマスクは転写に使用可能であることが分かった。
【0060】
本実施形態に係るマスクの製造方法によれば、以下の効果を享受することができる。
1.欠陥マップとマスクデータとのマッチングにより、PELとEPLに用いられるステンシルマスク用ブランクスの製造歩留が大幅に向上する。
2.製造歩留が向上することにより、マスクコストが安くなり、デバイス製造コストも下がる。
3.ブランクス製造技術に対する要求が緩和され、ブランクスが安くなる。
【0061】
上記の本実施形態のマスクの製造方法を半導体装置の製造方法に適用することができる。
即ち、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の位置や大きさなどの分布を検査し、欠陥マップを作成し、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定し、利用可能と判定された場合に、薄膜に対してマスクデータに沿ってパターンを形成して、マスクを製造する。
次に、マスクを介して露光を行い、マスクに形成されたパターンを感光面に転写する。
以上で、本実施形態のマスクの製造方法を適用して、半導体装置を製造することができる。
【0062】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態においてはPELマスクに適用して説明しているが、EPLマスクに対しても適用可能である。さらに、各種論文および特許により公知となっているマスク製造プロセスを適用することにより、各NGL用のマスクとすることができる。
また、本発明のマスクの製造方法やパターンの形成方法は、被露光ウェハにパターン露光する工程を有する半導体装置の製造方法において、パターン露光するためのマスクの製造方法やパターンの形成方法として適用できる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のマスクの製造方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする。
【0064】
本発明のマスクブランクスの管理方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0065】
本発明のマスクブランクスの管理プログラムによれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0066】
本発明のマスクブランクスの管理装置によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0067】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、本発明のマスクの製造方法を適用して、半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す第1のフローチャートである。
【図2】図2は、図1の第6ステップの続きのステップを示す第2のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る複数枚のSOIウェハに対する欠陥マップのライブラリーを作成する場合のマスクの製造方法を示す第3のフローチャートである。
【図4】図4は黒欠陥および白欠陥の個々の判定の基準を説明するための模式図である。
【図5】図5(a)〜(c)は本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す断面図である。
【図7】図7(a)は実施例に係るマスクブランクスの外観を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のマスク領域の中央部を拡大した図である。
【図8】図8(a)は実施例に係る欠陥マップを視覚的に示した図であり、図8(b)は横軸に黒欠陥のサイズ(μm)と取り、縦軸に黒欠陥の個数Nを取ったグラフである。
【図9】図9は従来例に係るフォトリソグラフィ用のブランクスの模式断面図である。
【図10】図10は従来例に係るステンシルマスク用のブランクスの模式断面図である。
【図11】図11(a)は従来例に係る格子状の梁で分割された多数の小画メンブレンから構成されるブランクスの斜視図であり、図11(b)このブランクスから形成したマスクの断面図である。
【符号の説明】
10…シリコン基板、10a…凹部、10b…梁、11…BOX層、12…SOI層、13…自然酸化膜、100…基板、100a…凹部、100b…梁、101…中間層、102…薄膜、110…石英基板、111…クロム薄膜、112…レジスト膜、120…基板、120a…凹部、121…中間層、122…薄膜、AM…アライメントマーク、PA…パターン領域、ST11〜ST22,ST31〜ST36…ステップ、P,P1 ,P2 …パターン、W1 ,W2 ,W3 …白欠陥、B1 ,B2 ,B3 …黒欠陥。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィ工程で用いられるマスクの製造方法と、このマスクを形成するためのマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの量産に用いられているフォトリソグラフィ用マスクのもとになる基板はブランクスと呼ばれている。
図9は、フォトリソグラフィ用のブランクスの模式断面図である。
まず、石英基板110上に、典型的には厚さ約100nmのクロム薄膜111がスパッタリング法での蒸着により形成されており、その上層にレジスト膜112が形成されている。
レジスト膜112として、ZEP7000(日本ゼオン社製)に代表されるような非化学増幅レジストが用いられる場合は、クロム膜の上にレジストを塗布した状態(例えば、膜厚400nm)でブランクスは出荷される。
【0003】
最近では、電子線(EB)描画のスループットを向上させるために、化学増幅レジストを用いる場合が増えている。この場合、レジストの化学的安定性が非化学増幅レジストに比べて低下するので、一般にレジストはマスク製造現場で塗布される。その場合、ブランクスにはレジストが塗布されていない状態で出荷される。
【0004】
マスク製造現場では、レジストが塗布されてない場合には塗布した後、EB描画装置(あるいは微細なパターニングが必要ないマスクの場合は、レーザー描画装置)を用いてレジストにデバイスパターンが形成され、続くエッチング工程によりクロム膜に転写される。
マスクが露光される時、このクロム膜が遮光膜となり、マスクパターンがウェハ上に転写される。
【0005】
石英基板の寸法等の規格は、SEMIスタンダードSEMI P1−92 (Specification for Hard Surface Photomask Substrates)に定義されており、きわめて厳密な品質管理・検査が規格されている。
また、クロム膜の品質も同様である。総じて、生産用フォトマスクのブランクス製造技術は充分確立され、完成の域にあると言える。
【0006】
一方、フォトリソグラフィに続く次世代リソグラフィ(NGL:next generation lithography )として開発が進められている電子線(EB:electron beam)リソグラフィでは、転写パターンがメンブレンの開口により形成されるステンシルマスクが用いられる。
図10は、ステンシルマスク用のブランクスの模式断面図である。
基板120上に、エッチングストッパ機能を有する中間層121およびメンブレンになる薄膜122が形成された積層構造を有する。メンブレンに対応する部分の基板120は裏面からエッチングされ、薄膜122を露出させる凹部120aが形成されている。
【0007】
マスクの製造プロセスによっては、薄膜層や中間層がさらに複数の層で構成されているブランクス、基板の裏面にも薄膜層が形成されているブランクス、あるいは中間層が存在しないブランクスもあるが、基本的には図10のようになっている。
また、ここでは簡単のためマスクが単一のメンブレンからなるように図示しているが、機械的剛性の低いメンブレン領域を補強するために、図11(a)の斜視図に示すような格子状の梁で分割された多数の小画メンブレンから構成されるブランクスが知られている。
図11(a)に示す多数の小画メンブレンから構成されるブランクスは、基板100上に、エッチングストッパ機能を有する中間層101およびメンブレンになる薄膜102が形成された積層構造を有する。メンブレンに対応する部分の基板100は裏面からエッチングされて格子状に区画された凹部100aが形成され、格子状の梁100bが構成されている。薄膜102は梁100bで区画された小領域がそれぞれパターンが形成されるパターン領域PAとなる。薄膜102には周辺部においてアライメントマークAM(図11(b)参照)が形成されている。
また、パターンが転写された後には、例えば、図11(b)の断面図に示すようにマスクパターンに沿った貫通孔Pが形成される。
上記のブランクスにおいて、例えば近接電子線転写リソグラフィ(PEL:proximity electron lithography)用のマスクについて特許文献1に開示されており、電子線転写リソグラフィ(EPL:electron projection lithography )用のマスクについて特許文献2に開示されている。
【0008】
ブランクス製造方法としては、現在2通りの方法が用いられている。
一つは、直径4もしくは8インチのシリコンウェハに、必要に応じて中間層を形成した後、その上にメンブレンになる材料(例えば、単結晶/多結晶/アモルファスシリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン)をスパッタリング法あるいはCVD(chemical vapor deposition )法により成膜する方法であり、例えば、ダイヤモンド薄膜の形成方法に関して、特許文献3および特許文献4などに装置、材料、プロセスに関する詳細な記述がされている。成膜後、必要があればCMP(chemical mechanical polishing )法などにより膜の平坦化を行う(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
別の方法として、予め図10に示すような積層構造が形成されたウェハを用いることができる。
最もよく利用されるのはSOI(silicon on insulator)ウェハである。本来、SOIウェハは、高速で電力消費が少ないデバイスを作製するための技術として開発されたもので、ステンシルマスク製造を意図したものではない。しかしながら、その断面構造が、薄膜のシリコン層(SOI層)/埋め込み酸化膜(BOX:buried oxide)層/シリコン基板という3層構造をしており、メンブレン領域に対応するSOI層の膜厚均一性や膜質が極めて高度に制御されているという利点がある。
さらに、一般に、酸化シリコンとシリコンのドライエッチングにおける選択比は1000以上にもなるので、中間のBOX層が裏面エッチングの際のエッチング阻止層として機能する。
これらのことから、SOI基板は、高度な成膜技術を必要とせずに高品質のステンシルマスクを製造することができる可能性のある材料である。
製造フローには様々なバリエーションがあり、例えば特許文献6などに記述されているが、裏面から基板をエッチングすることでメンブレンを形成し、そこに開口パターンを加工するという大まかなフローは共通している。
【0010】
【特許文献1】
特開2003−59819号公報
【特許文献2】
米国特許5523580号明細書
【特許文献3】
特開2001−77016号公報
【特許文献4】
特開平11−40494号公報
【特許文献5】
特開平7−130646号公報
【特許文献6】
特開平11−54409号公報
【非特許文献1】
M.オカダら(M. Okada et al.)、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー(Journal of Vacuum Science Technology)、18,3254(2000)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、すでに確立しているフォトマスク用ブランクス製造技術と異なり、開発段階にある近接電子線転写リソグラフィ(PEL:proximity electron lithography)や電子線転写リソグラフィ(EPL:electron projection lithography )に用いられるステンシルマスク用ブランクスの製造技術には問題点があり、特許文献5にメンブレン材料の成膜工程での問題点が記述されてように、成膜工程で突起やピンホール等の欠陥が存在すると、後のパターン形成工程でパターン欠陥となる。
【0012】
特に、ステンシルマスクのメンブレン膜厚(典型的には500nm以上)は、通常の半導体装置製造工程で成膜される膜厚(典型的には100〜200nm以下)よりも厚いので、CVD炉等の付着物が剥離して成膜時に混入したりすることが多い。あるいは、成膜前のウェハ前処理工程が不充分な場合には、汚染物や残留物が核となった成膜となり突起物が発生する。
このような異物や突起物のような余分なものがメンブレン上に存在すると、露光されても感光せずに常に未露光状態となるため、黒欠陥と呼ばれる欠陥となる。
【0013】
一方、薄膜層が単結晶シリコンであるSOIウェハにも欠陥が存在する。
一つは、ウェハをフッ酸(HF)溶液に浸漬することでピンホール状の欠陥が拡大され、走査電子顕微鏡(SEM)で観察されやすくなることから、HF欠陥と呼ばれているものであり、もう一つは、Seccoエッチング液(5%K2 Cr2 O7 :49%HF=1:2)と呼ばれている溶液に浸漬することで観察されるようになることからSecco欠陥と呼ばれているものである。
HF欠陥は、結晶中で析出した金属や酸素に起因するCOP(crystal originated pit)やプロセス中の異物が原因となる。Secco欠陥は、結晶中の転移欠陥や表面研磨時のダメージが原因となる。
このようなHF欠陥やSecco欠陥のような欠陥がメンブレンに存在すると、露光されなくても常にパターンが形成されてしまうようになるため、白欠陥と呼ばれる欠陥となる。
【0014】
上記のように、ステンシルマスクのブランクスには黒欠陥と白欠陥の2種類の欠陥が発生する。
ステンシルマスク製造工程のブランクス検査において、許容できない黒/白欠陥が発見されると、そのブランクスは不良品として廃棄しなくてはならず、製造歩留が低下する。これにより、マスクのコストが増大してしまう。
しかしながら、CVD成膜工程やSOIウェハ製造工程での異物と欠陥を完全になくすことは不可能であり、また、それらを高度に制御しようとすると、ブランクス製造コストも増大してしまう。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従って本発明は、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にするマスクの製造方法と、このマスクの製造方法を可能にするマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの製造方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスの前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造する方法であって、前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とを有する。
【0017】
上記の本発明のマスクの製造方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する。次に、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する。薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合には、薄膜に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成する。
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスの管理方法であって、前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記マスクブランクスを前記欠陥マップとともに保管する工程とを有する。
【0019】
上記の本発明のマスクブランクスの管理方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成し、マスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するための処理をコンピュータに実行させるマスクブランクスの管理プログラムであって、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、前記マスクデータを読み込む手順と、前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、前記演算の結果を出力する手順とを実行させる。
【0021】
上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込み、マスクデータを読み込み、読み込んだ欠陥マップとマスクデータの論理和を演算し、演算の結果を出力する手順を実行するように組み込まれたプログラムである。
【0022】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクブランクスの管理装置は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するマスクブランクスの管理装置であって、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、前記マスクデータを読み込む手順と、前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、前記演算の結果を出力する手順とを実行させるマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
【0023】
上記の本発明のマスクブランクスの管理装置は、上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
【0024】
上記の目的を達成するため、本発明の半導体装置の製造方法は、所定のマスクデータに沿っってパターンが形成されたマスクを介して、感光面に前記パターンを転写する工程を有する半導体装置の製造方法であって、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とを有するマスクの製造方法によりマスクを製造する工程と、前記マスクを介して露光を行い、前記マスクに形成されたパターンを感光面に転写する工程とを有する。
【0025】
上記の本発明の半導体装置の製造方法は、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成し、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定し、利用可能と判定された場合に、薄膜に対してマスクデータに沿ってパターンを形成して、マスクを製造する。
次に、マスクを介して露光を行い、マスクに形成されたパターンを感光面に転写する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本実施形態に係る半導体装置製造のリソグラフィ工程で用いられるマスクの製造方法と、このマスクを形成するためのマスクブランクスの管理方法、マスクブランクスの管理プログラムおよびマスクブランクスの管理装置、並びに上記マスクの製造方法を用いた半導体装置の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態は、シリコン基板上に、エッチングストッパ機能を有する中間層である埋め込み酸化膜層(BOX層)とメンブレンになるシリコン層(SOI層)が積層して形成されたSOIウェハをマスクブランクスとして、SOI層に対して所定のマスクデータに沿ったパターンの荷電粒子線が透過する孔を形成して、EPL用のステンシルマスクを製造する方法に関する。
【0028】
図1は、本実施形態に係るマスクの製造方法を示す第1のフローチャートである。
まず、第1ステップST11として、上記構成のSOIウェハを形成する。SOIウェハの形成方法には種々の方法を用いることができ、例えば貼り合わせ法やイオン注入法などを用いることができる。
次に、第2ステップST12として、SOIウェハであるマスクブランクスにおいて、黒欠陥や白欠陥などのSOI層に存在する欠陥の分布を検査する。ここで、分布とは位置、数(密度)および大きさなどである。検査としては、例えば透過型SEMをベースとする欠陥検査装置によりHF欠陥やSecco欠陥の位置、数(密度)および大きさなどを検査する。また、ウェハ異物検査装置により、ウェハ表面の異物の位置、異物数および大きさを調べる。
【0029】
次に、第3ステップST13として、第2ステップST12の検査の結果から欠陥マップを作成する。
一方で、第4ステップST14として、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータを準備する。
次に、第5ステップST15として、例えば欠陥マップの欠陥データとマスクデータの論理和を演算処理し、欠陥マップとマスクデータとを比較する。欠陥マップの欠陥データとマスクデータとの論理和の演算については後述する。
次に、第6ステップST16として、例えば上記の論理和の演算結果から、欠陥マップに沿った欠陥を有するSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か否か判定する。この判定の基準については後述する。
次に、第6ステップST16においてSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能(Y)と判定された場合に、第7ステップST17として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。
【0030】
図2は、上記の第6ステップST16においてSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能(N)と判定された場合の続きのステップを示す第2のフローチャートである。
ステップST16において、SOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能(N)と判定された場合には、第8ステップST18として、欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか否かを判定する。この判定の基準については後述する。
【0031】
次に、第8ステップST18において欠陥の修正を行うことによって利用可能(Y)と判定された場合に、第9ステップST19として、例えば非特許文献1(M. Okada et al., J. Vac. Sci. Technol.18 (2000) 3254)に開示されている収束イオンビーム(FIB)を用いた方法を採用して、欠陥の修正を行う。
次に、第10ステップST20として、上記第9ステップST19において欠陥の修正を行った箇所について欠陥の有無あるいは欠陥の位置と大きさなどを調べる再検査を行い、検査によりSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能となったら、第11ステップST21として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。
【0032】
一方、第8ステップST18において欠陥の修正を行っても利用不可能(N)になると判定されたとしても、廃棄処分とはしないで、第12ステップST22として、薄膜を有するマスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
保管しておくことで、別のパターンのマスクを製造する際に利用可能か否かを調べて、可能であればこれを用いることでマスクブランクスの無駄を減らすことができる。
以降は、マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製し、欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行う。
【0033】
特に、予め複数枚のSOI構造のマスクブランクスを準備し、マスクブランクスにおけるそれぞれのSOI層に存在する欠陥の分布を検査し、各マスクブランクスの薄膜の欠陥マップのライブラリーを作成しておくことも可能である。ここで、分布とは位置、数(密度)および大きさなどである。
図3は、複数枚のSOIウェハに対する欠陥マップのライブラリーを作成する場合のマスクの製造方法を示す第3のフローチャートである。
まず、第1ステップST31として、N個あるSOIウェハからなるマスクブランクス(j=1,2...N)のストックにおいて、SOI層に存在する欠陥の分布を検査し、各マスクブランクスのSOI層の欠陥マップのライブラリーを作成する。
一方で、第2ステップST32として、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータを準備する。ここで、複数のパターンのステンシルマスクを製造しようとしている場合(デバイスの種類・レイヤーを合わせてM個あるとする)には、各ステンシルマスクに対する複数のマスクデータ(k=1,2...M)を準備する。
【0034】
次に、第3ステップST33として、例えばN個の欠陥マップの欠陥データとM個のマスクデータの論理和を(j,k)の各組み合わせに対して演算処理し、欠陥マップとマスクデータとを比較する。
次に、第4ステップST34として、例えば上記の論理和の演算結果から、ライブラリーの各欠陥マップに対応する複数枚のマスクブランクスの群の中に、形成しようとするステンシルマスクのマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが存在するか判定する。
次に、第4ステップST34において利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが存在する(Y)と判定された場合に、第5ステップST35として、SOI層に対して、マスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造する。ここで、必要に応じて欠陥の修正と、修正箇所の欠陥の再検査を行い、利用可能となった後にSOI層に対してマスクデータに沿ってパターンを形成し、所望のパターンのマスクを製造することも可能である。
【0035】
上記の第4ステップST34において利用可能なSOI層を有するマスクブランクスが見いだされなかった(N)場合には、第6ステップST36として、マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製する。以降は、欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行うことができる。
また、別のパターンのマスクを製造する際には、上記の新たに作成した新規なマスクブランクスの欠陥マップをライブラリーに加えて以降の工程を行ってもよい。
【0036】
上記のマスクの製造方法において、欠陥マップの欠陥データとマスクデータの論理和の演算処理は、例えば以下のように行う。
ここで、黒欠陥のマップデータをDB、白欠陥のマップデータをDW、製造しようとしているマスクのマスクデータをMとする。
このときの問題とならない一般的な欠陥の論理条件式は次のようになる。
例えば、下記の各論理条件式がゼロとなる場合は欠陥マップに沿った欠陥を有するSOI層がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定し、ゼロとならない場合には、利用不可能と判定する。
【0037】
【数1】
DB∧M=0 ・・・(1)
【0038】
【数2】
DW∧(!M)=0 ・・・(2)
【0039】
ここで、記号∧は論理和(AND)、記号!は否定(NOT)を表す。
【0040】
また、黒欠陥および白欠陥の個々の判定の基準としては、例えば以下のように設定する。図4はこの基準を説明するための模式図である。
即ち、ステンシルマスクの孔となるパターン領域P1 ,P2 を想定した場合、パターンに全くかからない白欠陥W1 および一部かかっている白欠陥W2 は欠陥になる(NG)と判定し、パターンに完全に重なっている白欠陥W3 は欠陥にはならない(OK)と判定する。
また、パターンに全くかからない黒欠陥B1 は欠陥にはならない(OK)と判定し、パターンに一部かかっている黒欠陥B2 および完全に重なっている黒欠陥B3 は欠陥になる(NG)と判定する。
【0041】
また、欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか否かを判定するときの判定の基準については、以下のように設定する。
例えば約100nm以下の白欠陥が10個程度存在する場合、欠陥は数が少なくサイズも小さいので修正により利用可能になると判断される。
修正すべき箇所が多い、あるいはそのサイズが大きい場合、修正にかかる時間とコストを考えると、修正を実施するよりも、ブランクスを製造し直した方が好ましい。
修正により利用可能と判断する基準は、修正技術の進歩やマスクの製造にかけられる時間などに応じて各製造時に適宜変更することができる。
【0042】
以下に、本実施形態に係るマスクの製造方法について、図面を参照して説明する。例えば、特許文献1(特開2003−59819号公報)や本願出願人による出願(特願2001−370600号)に詳しく述べられている方法を好ましく採用することができる。
まず、図5(a)に示すように、例えばシリコン基板10上に、エッチングストッパ機能を有する中間層である埋め込み酸化膜(BOX層)11とメンブレンになるシリコン層(SOI層)12が積層して形成されたSOIウェハを準備する。SOIウェハの表面全体は自然酸化膜13で被覆されている。
上記の構成のSOIウェハに、ホウ素(B)を注入することで、メンブレン層の内部応力を調整する。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、例えばSOIウェハの周辺部において、所定のパターンでBOX層11に達するまでSOI層12を除去し、アライメントマークAMを形成する。
【0044】
次に、図5(c)に示すように、シリコン基板の裏面上にレジスト膜(不図示)を成膜し、格子状のパターンに開口するように露光および現像し、RIE(反応性イオンエッチング)などのエッチング処理を行って、例えば格子状に区画されたパターンでシリコン基板10の裏面からBOX層11に達する凹部10aを形成する。このとき、シリコン基板10の格子状に残された部分が格子状の梁10bとなり、SOIウェハの周辺部においては、シリコン基板10が支持枠となる。
【0045】
次に、図6(a)に示すように、レジスト膜(不図示)をアッシング処理などにより除去し、HF液によるウェットエッチングにより表面に露出した部分の酸化シリコンを除去する。即ち、自然酸化膜13と、凹部10a底部に露出したBOX膜11を除去する。
以上で、シリコン基板10上にBOX層11およびSOI層12が積層され、シリコン基板10裏面側からSOI層が露出するまで格子状に区画された凹部が形成されてなるマスクブランクスが形成される。
【0046】
次に、形成されたマスクブランクスにつき欠陥マップを作成し、形成しようとするマスクのマスクデータのマッチングをみて利用可能かどうか判断する。
利用可能である場合はそのまま、あるいは修正処理を加えることにより利用可能となる場合には修正処理を行って修正箇所の欠陥を確認した上で、次工程に進む。
【0047】
次に、図6(b)に示すように、SOI層12の上層にレジスト膜Rを成膜し、形成しようとするマスクのマスクデータに沿って、例えば電子線露光などにより露光し、現像してパターンPを形成する。
【0048】
次に、レジスト膜RをマスクとしてRIEなどのドライエッチングを施し、SOI層12にパターンPを転写する。
この後、レジスト膜Rをアッシング処理による除去して、図6(c)に示す構成のマスクを製造することができる。
【0049】
上記のように、本実施形態のマスクの製造方法においては、メンブレンに黒/白欠陥が検出されたマスクブランクスを捨ててしまわず、その種類、位置、数(密度)および大きさなどをマッピングしておく。
次に、マップ情報とマスクデータとを比較し、マスク製造に問題がなければ、そのままマスク製造工程に進む。
ここで利用不可能と判定されても、他に製造しようとしているマスクのマスクデータと比較する。
それでも利用可能なマスクが見つからない場合は、マップ情報と共にそのブランクスを保管しておき、新たなマスクを製造しようとするときに再び利用可能かどうかを確認する。
例えば、メンブレンのある箇所に直径100nmのピンホールが発見されても、その場所が一辺10μmのパッドパターン内に含まれるように存在するのならば、それは全く問題とならない。なぜなら、その領域は後の工程で大開口としてエッチングされるからである。
上記の本実施形態のマスクの製造方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係るマスクブランクスの管理方法は、マスクブランクスにおいて、薄膜(SOI層)に存在する欠陥の位置と大きさなどを検査し、欠陥マップを作成し、マスクブランクスを欠陥マップとともに保管する。
このように薄膜の欠陥マップとマスクブランクスを保管することにより、欠陥が存在しているために利用できないマスクブランクスを廃棄せず、利用することが可能となる。
【0051】
上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムは、薄膜(SOI層)に存在する欠陥の位置と大きさなどを検査して得た欠陥マップを読み込み、マスクデータを読み込み、読み込んだ欠陥マップとマスクデータの論理和を演算し、演算の結果を出力する手順を実行するように組み込まれたプログラムである。
このように、欠陥マップとマスクデータをそれぞれ読み込んで論理和を演算することで、そのマスクブランクスが利用可能か判定することができるようになり、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる本実施形態のマスクの製造方法を実現できる。
【0052】
上記の本発明のマスクブランクスの管理装置は、上記の本発明のマスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する。
黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することが可能となる本実施形態のマスクの製造方法を実現できる。
【0053】
(実施例)
ここでは、本実施形態のマスクの製造方法を適用してPELマスクを製造した。
マスクブランクス製造用の基板として、貼り合わせ法により作製された市販の4インチSOIウェハを用いた。ウェハ基板の厚みは381μm(マスクの平坦度を向上させるために両面研磨)、BOX層の厚みは400nm、SOI層の厚みは600nmであり、SOI層に1019/cm3 のホウ素(B)原子を注入することで、メンブレン層の内部応力を10MPaに調整した。
【0054】
上記のSOIウェハの品質を調べるため、透過型SEM(日立社製S9220)をベースとする欠陥検査装置を用いて白欠陥を検出した。HF欠陥の密度が0.3個/cm2 、Secco欠陥の密度が5×104 個/cm2 であった。
一方、表面の異物数を調べるために、同じロットで製造された別のウェハに対して、ウェハ異物検査装置LS6700(日立DECO社製)により黒欠陥を検出した。0.19μm以上の異物が200個以下、0.80μm以上の異物が30個以下であることが分かった。
これらはウェハ全面での値なので、マスク領域(この場合、中心40mm角)内で問題になる異物数はもっと少ない。
【0055】
このSOIウェハをSC1洗浄した後、図5(a)〜(c)および図6(a)に示す工程により、図7(a)に示す外観を有するマスクブランクスを形成した。
このマスクブランクスは、一辺が2Lの正方形のマスク領域を有し、マスク領域は一辺がLの正方形A〜Dに4分割され、それぞれが1相補マスクとなる。
図7(b)は、図7(a)のマスク領域の中央部を拡大した図である。幅L10b の格子状の梁10bにより、一辺がL10a の小画メンブレン領域となる凹部10aが区画されている。
【0056】
マスクブランクスを製造したところで、上記の実施形態に示すように、欠陥を検査して欠陥マップを作成した。
まず、ウェハ異物検査装置LS6700(日立DECO社製)を用いて黒欠陥の位置や大きさなどの分布を調べ、欠陥マップを作成した。
【0057】
図8(a)は得られた欠陥マップを視覚的に示した図であり、黒欠陥の位置を点で示しているので、濃度の濃い部分において黒欠陥の密度が高くなっていることを示している。
また、図8(b)は横軸に黒欠陥のサイズ(μm)を取り、縦軸に黒欠陥の個数Nを取ったグラフである。
【0058】
次に、透過型SEMをベースとする欠陥検査装置を用いて白欠陥を検出した。この装置は、エネルギー5keVの電子線をステンシルマスク上に走査させ、透過電子の像を電子光学系で結像し、TDIセンサーで検知するものであり、これにより、HF欠陥やSecco欠陥などのピンホールを検出し、そのマップデータも図8(a)および(b)と同様に作成した。
【0059】
次に、上記の実施形態に示したように、欠陥マップの欠陥データと本実施例で形成しようとしているマスクデータの上記の論理条件式による論理和の演算処理を行った。
ここで、各欠陥は存在しても問題ないと判断されればこのマスクブランクスを用いてマスク製造を行うことができるが、本実施例におけるマスクブランクスでは、10個の白欠陥が上記の論理条件式を満たさないことが分かった。
ここで、これらの欠陥は、数が少ない上に、サイズも約100nm以下と小さいことから、修正により利用可能になると判断した。
そこで、収束イオンビーム(FIB)を用いた方法により修正を行った。
修正の後に、修正箇所について欠陥を再検査し、本実施例で形成しようとしているマスクデータに対して利用可能になったと判断された。
この後、このマスクブランクスのSOI層にパターンを転写して、デバイスパターンが配置されたステンシルマスクを製作した。
製作したマスクの欠陥検査の結果、このマスクは転写に使用可能であることが分かった。
【0060】
本実施形態に係るマスクの製造方法によれば、以下の効果を享受することができる。
1.欠陥マップとマスクデータとのマッチングにより、PELとEPLに用いられるステンシルマスク用ブランクスの製造歩留が大幅に向上する。
2.製造歩留が向上することにより、マスクコストが安くなり、デバイス製造コストも下がる。
3.ブランクス製造技術に対する要求が緩和され、ブランクスが安くなる。
【0061】
上記の本実施形態のマスクの製造方法を半導体装置の製造方法に適用することができる。
即ち、基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、薄膜に存在する欠陥の位置や大きさなどの分布を検査し、欠陥マップを作成し、欠陥マップとマスクデータとを比較し、欠陥マップに沿った欠陥を有する薄膜がマスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定し、利用可能と判定された場合に、薄膜に対してマスクデータに沿ってパターンを形成して、マスクを製造する。
次に、マスクを介して露光を行い、マスクに形成されたパターンを感光面に転写する。
以上で、本実施形態のマスクの製造方法を適用して、半導体装置を製造することができる。
【0062】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態においてはPELマスクに適用して説明しているが、EPLマスクに対しても適用可能である。さらに、各種論文および特許により公知となっているマスク製造プロセスを適用することにより、各NGL用のマスクとすることができる。
また、本発明のマスクの製造方法やパターンの形成方法は、被露光ウェハにパターン露光する工程を有する半導体装置の製造方法において、パターン露光するためのマスクの製造方法やパターンの形成方法として適用できる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のマスクの製造方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする。
【0064】
本発明のマスクブランクスの管理方法によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0065】
本発明のマスクブランクスの管理プログラムによれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0066】
本発明のマスクブランクスの管理装置によれば、黒/白欠陥が存在するマスクブランクスを廃棄せずに利用することを可能にする本発明のマスクの製造方法を実現することができる。
【0067】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、本発明のマスクの製造方法を適用して、半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す第1のフローチャートである。
【図2】図2は、図1の第6ステップの続きのステップを示す第2のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る複数枚のSOIウェハに対する欠陥マップのライブラリーを作成する場合のマスクの製造方法を示す第3のフローチャートである。
【図4】図4は黒欠陥および白欠陥の個々の判定の基準を説明するための模式図である。
【図5】図5(a)〜(c)は本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の実施形態に係るマスクの製造方法を示す断面図である。
【図7】図7(a)は実施例に係るマスクブランクスの外観を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のマスク領域の中央部を拡大した図である。
【図8】図8(a)は実施例に係る欠陥マップを視覚的に示した図であり、図8(b)は横軸に黒欠陥のサイズ(μm)と取り、縦軸に黒欠陥の個数Nを取ったグラフである。
【図9】図9は従来例に係るフォトリソグラフィ用のブランクスの模式断面図である。
【図10】図10は従来例に係るステンシルマスク用のブランクスの模式断面図である。
【図11】図11(a)は従来例に係る格子状の梁で分割された多数の小画メンブレンから構成されるブランクスの斜視図であり、図11(b)このブランクスから形成したマスクの断面図である。
【符号の説明】
10…シリコン基板、10a…凹部、10b…梁、11…BOX層、12…SOI層、13…自然酸化膜、100…基板、100a…凹部、100b…梁、101…中間層、102…薄膜、110…石英基板、111…クロム薄膜、112…レジスト膜、120…基板、120a…凹部、121…中間層、122…薄膜、AM…アライメントマーク、PA…パターン領域、ST11〜ST22,ST31〜ST36…ステップ、P,P1 ,P2 …パターン、W1 ,W2 ,W3 …白欠陥、B1 ,B2 ,B3 …黒欠陥。
Claims (11)
- 基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスの前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造する方法であって、
前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、
前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、
前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、
前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程と
を有するマスクの製造方法。 - 前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能と判定された場合に、前記欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか判定する工程をさらに有し、
前記欠陥の修正を行うことによって利用可能となると判定された場合に、前記欠陥の修正を行う工程と、前記修正を行った薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とをさらに有する
請求項1に記載のマスクの製造方法。 - 前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用不可能と判定された場合に、前記欠陥の修正を行うことによって利用可能となるか判定する工程をさらに有し、
前記欠陥の修正を行っても利用不可能となると判定された場合に、前記薄膜を有するマスクブランクスを前記欠陥マップとともに保管する工程をさらに有し、
マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製し、前記欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行う
請求項1に記載のマスクの製造方法。 - 前記マスクデータに沿って前記薄膜にパターンを形成する工程においては、前記パターンとして前記薄膜に荷電粒子線が透過する孔を形成し、
前記マスクとして、荷電粒子線露光用のステンシルマスクを製造する
請求項1に記載のマスクの製造方法。 - 前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程においては、前記欠陥マップの欠陥データと前記マスクデータの論理和を演算処理し、
前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程においては、前記論理和の演算結果から判定する
請求項1に記載のマスクの製造方法。 - 前記欠陥マップを作成する工程においては、複数枚のマスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、各マスクブランクスの薄膜の欠陥マップのライブラリーを作成し、
前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程においては、前記ライブラリーの各欠陥マップと前記マスクデータとを比較し、
前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程においては、前記ライブラリーの各欠陥マップに対応する前記複数枚のマスクブランクスの中に、前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能な薄膜を有するマスクブランクスが存在するか判定し、
前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程においては、前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定されたマスクブランクスの薄膜に対して前記マスクデータに沿ってパターンを形成する
請求項1に記載のマスクの製造方法。 - 前記ライブラリーの中から前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能な薄膜を有するマスクブランクスが存在するか判定する工程において、利用可能な薄膜を有するマスクブランクスが見いだされなかった場合、マスクデータに沿ったパターンを形成するための新規なマスクブランクスを作製し、前記欠陥マップを作成する工程以降の工程を繰り返して行う
請求項6に記載のマスクの製造方法。 - 基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスの管理方法であって、
前記マスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、
前記マスクブランクスを前記欠陥マップとともに保管する工程と
を有するマスクブランクスの管理方法。 - 基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するための処理をコンピュータに実行させるマスクブランクスの管理プログラムであって、
前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、
前記マスクデータを読み込む手順と、
前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、
前記演算の結果を出力する手順とを実行させる
マスクブランクスの管理プログラム。 - 基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有し、前記薄膜に対して所定のマスクデータに沿ったパターンを形成して露光用マスクを製造するためのマスクブランクスを管理するマスクブランクスの管理装置であって、
前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査して得た欠陥マップを読み込む手順と、
前記マスクデータを読み込む手順と、
前記欠陥マップとマスクデータの論理和を演算する手順と、
前記演算の結果を出力する手順とを実行させる
マスクブランクスの管理プログラムを組み込み、実行するコンピュータを有する
マスクブランクスの管理装置。 - 所定のマスクデータに沿っってパターンが形成されたマスクを介して、感光面に前記パターンを転写する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
基板の一方の面にパターン形成用の薄膜を有するマスクブランクスにおいて、前記薄膜に存在する欠陥の分布を検査し、欠陥マップを作成する工程と、前記欠陥マップと前記マスクデータとを比較する工程と、前記欠陥マップに沿った欠陥を有する前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能か判定する工程と、前記薄膜が前記マスクデータに沿ったパターンに対して利用可能と判定された場合に、前記薄膜に対して、前記マスクデータに沿ってパターンを形成する工程とを有するマスクの製造方法によりマスクを製造する工程と、
前記マスクを介して露光を行い、前記マスクに形成されたパターンを感光面に転写する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
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