JP2004356232A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な剛性と絶縁信頼性を兼ね備えた多層プリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって多層プリント配線板を製造する方法に関する。ガラスクロス4を含有する層として絶縁層2を形成する。この絶縁層2にレーザ加工により大径孔を形成する。次にこの大径孔に絶縁性樹脂6を充填した後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔にレーザ加工により大径孔よりも孔径の小さい小径孔を形成する。この小径孔に導通処理を施すことによってビアホールを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって多層プリント配線板を製造する方法に関する。ガラスクロス4を含有する層として絶縁層2を形成する。この絶縁層2にレーザ加工により大径孔を形成する。次にこの大径孔に絶縁性樹脂6を充填した後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔にレーザ加工により大径孔よりも孔径の小さい小径孔を形成する。この小径孔に導通処理を施すことによってビアホールを形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器、電気機器、コンピュータ、通信機器等に用いられる多層構成のプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体チップやチップ部品等の電子部品は軽薄小型化が進んでおり、これに伴ってこれらの電子部品を実装する多層プリント配線板は、高密度配線・高集積化が期待できるビルドアップ法で製造されている。
【0003】
ビルドアップ法で多層プリント配線板を製造するにあたっては、図6(a)のような、表面に回路として内層用導体層10を設けた内層回路基板1を用い、まず図6(b)のように内層用導体層10の表面に、金属箔付き絶縁シート15の樹脂側の面を重ね合わせて積層することによって、絶縁層2と導体層3を設ける。次に図6(c)のように絶縁層2に有底孔20を穿設すると共に、図6(d)のように導通処理により有底孔20の内周にめっき層17を形成してビアホール8を形成し、さらに導体層3に回路形成加工を行って回路18を形成し、ビアホール8で導体層3の層間接続をする。そして、上記の工程を繰り返して複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって、多層構成のプリント配線板を製造することができるものである(例えば、特許文献1参照。)。19はビアホール8の内周のめっき層17を保護するためのソルダレジストである。
【0004】
最近では、ビアホール8間の間隔が400μm以下の狭ピッチであるファインパターンを有する多層プリント配線板の需要が高まっており、一方、多層プリント配線板の薄型化と軽量化の要望が強くなっており、多層プリント配線板全体の厚みを増加させることなく層数を増加させることによって高密度配線・高集積化が図られている。
【0005】
ここで、ビルドアップする際に金属箔付き絶縁シート15を用いる場合においては、図6(d)に示すようにビアホール8間には絶縁性の高い樹脂6が存在することとなるため、ビアホール8間の間隔が狭ピッチであっても、この多層プリント配線板の絶縁信頼性は高いものとなる。しかしながら、金属箔付き絶縁シート15は、プリプレグ11のようにガラスクロス4等の補強材を有するものではないので、金属箔付き絶縁シート15のみを用いてビルドアップすると、多層プリント配線板の機械的強度が低下する。そうすると、多層プリント配線板に電子部品を実装する場合において、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に反りが生じ、部品実装に支障をきたすこととなるものである。
【0006】
ところが最近では、レーザ加工装置の性能が向上したことに伴い、金属箔付き絶縁シート15の代わりにプリプレグ11(例えば、FR−4)を用いてビルドアップすることができるようになった。すなわち、従来よりも炭酸ガスレーザの出力を上昇させることが可能となったので、ガラスクロス4のような補強材を有するプリプレグ11であっても、ビアホール8を形成するための穴あけを容易かつ安価に行うことができるものである。従って、プリプレグ11を用いて多層プリント配線板を製造する場合においては、多層プリント配線板の機械的強度は、図7に示すようにプリプレグ11の補強材で確保することができるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−77851号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多層プリント配線板の機械的強度を高めるためのガラスクロス4が逆に、多層プリント配線板の絶縁信頼性を低下させることとなっている。すなわち、ビルドアップする際にプリプレグ11を用いる場合においては、図7に示すようにビアホール8間にはガラスクロス4が存在することとなるが、一方のビアホール8を陽極とし、他方のビアホール8を陰極として、ビアホール8間に電位差を生じさせると、ガラスクロス4と樹脂の界面において金属イオン(例えば、銅イオン)が矢印で示すようにガラスクロス4に沿って電気的に成長する。つまり、マイグレーションによって絶縁劣化が引き起こされ、しかも過度になればショートの原因にもなり、多層プリント配線板の絶縁特性が悪化するのである。ちなみに、マイグレーションについては諸説があるが、金属イオンが錯体化して陰イオンとなり、この陰イオンがガラスクロス4と樹脂の隙間を泳動し、陽極周辺で金属化が起こるとする説が一般的である。
【0009】
そして、レーザ加工時におけるレーザのエネルギーのばらつきを無くして有底孔20の内面状態を均一にし、有底孔20のホールクリーニングを徹底的に行っても、有底孔20に導通処理として湿式のめっきによる処理を施すと、この処理で使用される液組成分がガラスクロス4と樹脂の界面に染み込んで金属イオン等を誘発させることとなり、マイグレーションを防止することができなかった。
【0010】
特に、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図るためには、ビアホール8間の間隔を狭くすることが必要であり、今後もさらに狭くなるものと予想されるが、これに伴ってマイグレーションによる絶縁劣化は無視できなくなってきている。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、十分な剛性と絶縁信頼性を兼ね備えた多層プリント配線板を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る多層プリント配線板の製造方法は、内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって多層プリント配線板を製造するにあたって、ガラスクロス4を含有する層として絶縁層2を形成し、この絶縁層2にレーザ加工により大径孔5を形成し、次にこの大径孔5に絶縁性樹脂6を充填した後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5にレーザ加工により大径孔5よりも孔径の小さい小径孔7を形成すると共に、この小径孔7に導通処理を施すことによってビアホール8を形成することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1において、大径孔5を形成した絶縁層2の表面にシート状の絶縁性樹脂6を積層してこれを溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、導通処理として、湿式のめっきによる処理を施すことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明において内層回路基板1としては任意のものを用いることができるものであり、両面金属張積層板を加工して積層板9の両面に内層用導体層10を設けたものを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスクロス4などの基材に含浸して乾燥して得られるプリプレグ11を1枚乃至複数枚重ね、この両側に銅箔などの金属箔12を重ねて加熱加圧成形をすることによって両面金属張積層板を作製し、そして両面の金属箔12にドライフィルムを用いたテンティング法などで回路を形成して内層用導体層10を設けることによって、図1(a)のような内層回路基板1を作製することができる。ここで、図1(a)に示す内層回路基板1において、13は導電性ペーストであって、積層板9にあらかじめ穿設した貫通孔14に充填されて、内層回路基板1の両側の内層用導体層10間を接続するものである。またこの内層回路基板1において、内層用導体層10の表面には酸化剤を用いた酸化処理(黒化処理あるいは黒色酸化処理と称される)をあらかじめ行って粗面化しておき、後述する絶縁層2との密着性を高めるようにしておくのが好ましい。
【0017】
そして内層回路基板1の両側(又は片側)の表面に絶縁層2及び導体層3をビルドアップする。この絶縁層2には図1(b)に示すようにガラスクロス4が基材として埋入してある。このようなガラスクロス4入りの絶縁層2と導体層3をビルドアップして設けるにあたっては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスクロス4などの基材に含浸して乾燥して得られるプリプレグ11と、銅箔などの金属箔12を、この順に内層回路基板1の表面に重ね、これを加熱加圧成形することによって行うことができるものであり、ガラスクロス4を基材とするプリプレグ11によってガラスクロス4を埋入した絶縁層2を形成することができると共に金属箔12によって導体層3を形成することができるものである。
【0018】
このように絶縁層2と導体層3をビルドアップした後、図1(c)に示すように、エッチングにより導体層3を除去する。その後、露出した絶縁層2表面の所要箇所に炭酸ガスレーザを照射するなどしてレーザ加工により大径孔5を形成する。この大径孔5は有底孔でも貫通孔でもいずれでもよいが、その孔径は300〜130μmであることが好ましい。図2(a)に示す大径孔5はいずれも有底孔であって、その底面には内層用導体層10が露出している。
【0019】
次に、上記のようにして形成した大径孔5にエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂6を充填する。具体的には、金属箔12の片面に絶縁性樹脂6を塗布して作製される金属箔付き絶縁シート15を用い、図2(b)に示すように、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に金属箔付き絶縁シート15の樹脂側の面を重ね合わせて積層すると共に、これを加熱加圧して絶縁性樹脂6を溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填することができる。このとき絶縁層2の表面には、金属箔付き絶縁シート15の金属箔12によって再度導体層3を形成することができるものである。また、絶縁性樹脂6をフィルム状に形成して作製される絶縁フィルム16を用い、図5(a)に示すように、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に絶縁フィルム16を積層すると共に、これを真空ラミネータなどを用いて加熱加圧して絶縁性樹脂6を溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填するようにしてもよい。上記のように、金属箔付き絶縁シート15を用いる場合であっても絶縁フィルム16を用いる場合であっても、絶縁性樹脂6はいずれもシート状(フィルム状を含む)であり、このようなシート状の絶縁性樹脂6を用いるようにすると、絶縁層2に形成した複数の大径孔5のすべてに一度に絶縁性樹脂6を充填することができ、大径孔5ごとに絶縁性樹脂6を充填していくのに比べて、未充填が発生するのを確実に防止することができると共に充填作業を効率よく行うことができるものである。
【0020】
その後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5に炭酸ガスレーザを照射するなどしてレーザ加工により、大径孔5よりも孔径の小さい小径孔7を形成する。この小径孔7は大径孔5に応じて有底孔又は貫通孔とするものであるが、その孔径は120〜50μmであることが好ましい。図3(a)に示す小径孔7はいずれも有底孔であって、その底面には内層用導体層10が露出している。ただし、大径孔5及び小径孔7が有底孔と貫通孔のいずれであっても、小径孔7の内側面が大径孔5の内側面よりも内側にくるように、小径孔7を形成するものである。そうすると、図3(a)に示すように、大径孔5の内側面が絶縁性樹脂6で被覆されることとなり、小径孔7の内側面においてガラスクロス4を露出させないようにすることができ、ガラスクロス4と絶縁層2の樹脂との界面が現われるようなこともなくなるのである。
【0021】
なお、図2(b)に示すように、金属箔付き絶縁シート15の金属箔12によって再度導体層3を形成した場合において小径孔7を形成するときは、次のようなコンフォーマル工法を利用することができる。まず、ドライフィルムなどを用い、図2(c)に示すように、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5の開口部の表面に存在する導体層3のみをエッチングにより除去する。このとき除去される導体層3の面積は小径孔7の開口部の面積とほぼ等しくなるようにしておく。そして導体層3が除去された箇所に炭酸ガスレーザを照射すると、残存している導体層3がコンフォーマルマスクとなり、図3(a)に示すように、導体層3が除去された箇所にのみ小径孔7を形成することができるものである。一方、図5(a)に示すように、絶縁フィルム16を用いた場合において小径孔7を形成するときは、ダイレクトレーザ加工法を利用することができる。すなわち、マスクを使用することなく、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5の開口部の表面にのみ炭酸ガスレーザを照射すると、図5(b)に示すように、小径孔7を形成することができるものである。
【0022】
上記のようにして小径孔7を形成した後においては、小径孔7の内面にはスミアが発生しているおそれがあるので、過マンガン酸法などによりスミア除去(デスミア、ホールクリーニング)を行って、導通不良の発生を未然に防止するものである。
【0023】
次に、上記のようにデスミアした小径孔7に導通処理を施すことによって、ビアホール8を形成することができる。導通処理としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式のめっきによる処理を施してもよいが、無電解めっき(例えば、化学銅めっき)、電解めっき(例えば、電気銅めっき)等の湿式のめっきによる処理を施す方が量産時の製造コストを考えると優位性が高いため好ましい。導通処理として、湿式のめっきによる処理を施す場合においては、小径孔7の内面に無電解めっきを施した後に電解めっきを施してめっき層17を形成することによってビアホール8を形成し(図3(b))、さらにサブトラクティブ法のうちドライフィルムを用いたテンティング法などで導体層3にプリント加工をして回路18(外層用導体層)を形成する。そうすると、図3(c)に示すように、ビアホール8によって絶縁層2の両側の導体層3(10,18)間を接続することができるものである。なお、絶縁フィルム16を用いる場合において、この絶縁フィルム16によって形成される絶縁層2の表面に導体層3を形成するにあたっては、無電解めっきを施して回路形成するアディティブ法、無電解めっきと電解めっきを組み合わせて回路形成するセミアディティブ法などを利用することにより、絶縁層2の表面に導体層3を設けることができる。
【0024】
そして、図3(c)に示すような多層プリント配線板を製造することができる。19はビアホール8の内周のめっき層17を保護するためのソルダレジストである。このようにビルドアップ法で製造される多層プリント配線板においては、絶縁層2にガラスクロス4が含有されているので、このガラスクロス4が補強材として機能することにより、多層プリント配線板を金属箔付き絶縁シート15のみで製造する場合に比べて、機械的強度を高く得ることができ、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に高温の熱が作用しても、この多層プリント配線板に反りが発生することを低減することができるものである。また、大径孔5の内側面は絶縁性樹脂6で被覆され、小径孔7の内側面においてはガラスクロス4が露出していないので、導通処理で使用されるめっき液などの液組成分がガラスクロス4と樹脂の界面に染み込むのを阻止することができ、マイグレーションの発生を確実に防止することができるものである。そして、上記のように大径孔5の内側面を絶縁性樹脂6で被覆するようにすれば、ビアホール8間の間隔をさらに狭くすることが可能となり、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図ることができるものである。
【0025】
図3(c)に示す実施の形態においては、4層のプリント配線板の例を示しているが、さらに多層のプリント配線板を製造することもできる。すなわち、内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって、所要層数のプリント配線板を製造することができる。なお、導体層3の表面に絶縁層2をビルドアップして設けるにあたっては、導体層3に回路の形成をした後、導体層3の表面に黒化処理を行って表面を粗面化し、絶縁層2との密着性を高めるようにするのが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を作製した(図1(a)参考)。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した(図1(b)参考)。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの大径孔5を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した(図1(c)、図2(a)参考)。次に、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に銅箔付き絶縁シート(松下電工(株)製;品番「R0880」ARCC;エポキシ樹脂の厚み60μm;銅箔厚18μm)を樹脂の側で重ね合わせて積層し、175℃、3.1MPaで加熱加圧成形することによって、絶縁層2の表面に再度導体層3を形成した(図2(b)参考)。次に、この導体層3において小径孔7を形成する箇所に、ドライフィルム露光とエッチングにより直径100μmの導体層3を除去することによって開口部を形成した(図2(c)参考)。次に、この開口部により露出した絶縁層2に上記と同様の炭酸ガスレーザにより直径100μmの小径孔7を形成した(図3(a)参考)。次に、この小径孔7の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらに電解銅めっき(電気銅めっき)を施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層を形成した(図3(b)参考)。その後、テンティング法により外層回路を形成すると共にソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した(図3(c)参考)。
【0028】
(実施例2)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を形成した(図4(a)参考)。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した(図4(b)参考)。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの大径孔5を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した(図4(c)(d)参考)。次に、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に絶縁フィルム16(味の素ファインテクノ(株)製;品番「ABF−H」;エポキシ樹脂の厚み70μm)を重ね合わせて積層し、真空ラミネーターを用いて100℃、1.0MPaで加熱加圧成形した。次に、この絶縁層2において小径孔7を形成する箇所に、上記と同様の炭酸ガスレーザにより直径100μmの小径孔7を形成した(図5(a)(b)参考)。次に、この小径孔7の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらにパターンめっき工法により電解銅めっきを施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層を形成した(図5(c)参考)。その後、セミアディティブ法により外層回路を形成すると共に、ソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した(図5(d)参考)。
【0029】
(比較例1)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を作製した。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの有底孔20を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した。次に、この有底孔20の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらに電解銅めっき(電気銅めっき)を施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層17を形成した(図7参考)。その後、テンティング法により外層回路を形成すると共に、ソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した。
【0030】
そして、上記のようにして得た実施例1、2及び比較例1の多層プリント配線板を用いて、THB試験を行った。この試験は、温度85℃、湿度85%の環境下において、上記多層プリント配線板に1000時間、50Vの電圧を印加することによって行った。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1にみられるように、実施例1、2の多層プリント配線板の方が、比較例1の多層プリント配線板よりも、絶縁特性に優れていることが確認される。
【0033】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る多層プリント配線板の製造方法によれば、ガラスクロスが補強材として機能することにより、機械的強度を高く得ることができ、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に高温の熱が作用しても、この多層プリント配線板に反りが発生することを低減することができるものである。また、大径孔の内側面は絶縁性樹脂で被覆され、小径孔の内側面においてはガラスクロスが露出していないことにより、マイグレーションの発生を確実に防止することができるものである。従って、ビアホール間の間隔をさらに狭くすることが可能となり、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図ることができるものである。
【0034】
また請求項2の発明によれば、絶縁層に形成した複数の大径孔のすべてに一度に絶縁性樹脂を充填することができ、大径孔ごとに絶縁性樹脂を充填していくのに比べて、未充填が発生するのを確実に防止することができると共に充填作業を効率よく行うことができるものである。
【0035】
また請求項3の発明によれば、十分な剛性と絶縁信頼性を兼ね備えた多層プリント配線板を安価に製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図1で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図2で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)〜(d)は多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)〜(d)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図4で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図6】従来の技術の一例を示すものであり、(a)〜(d)は断面図である。
【図7】従来の技術の他例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内層回路基板
2 絶縁層
3 導体層
4 ガラスクロス
5 大径孔
6 絶縁性樹脂
7 小径孔
8 ビアホール
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器、電気機器、コンピュータ、通信機器等に用いられる多層構成のプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体チップやチップ部品等の電子部品は軽薄小型化が進んでおり、これに伴ってこれらの電子部品を実装する多層プリント配線板は、高密度配線・高集積化が期待できるビルドアップ法で製造されている。
【0003】
ビルドアップ法で多層プリント配線板を製造するにあたっては、図6(a)のような、表面に回路として内層用導体層10を設けた内層回路基板1を用い、まず図6(b)のように内層用導体層10の表面に、金属箔付き絶縁シート15の樹脂側の面を重ね合わせて積層することによって、絶縁層2と導体層3を設ける。次に図6(c)のように絶縁層2に有底孔20を穿設すると共に、図6(d)のように導通処理により有底孔20の内周にめっき層17を形成してビアホール8を形成し、さらに導体層3に回路形成加工を行って回路18を形成し、ビアホール8で導体層3の層間接続をする。そして、上記の工程を繰り返して複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって、多層構成のプリント配線板を製造することができるものである(例えば、特許文献1参照。)。19はビアホール8の内周のめっき層17を保護するためのソルダレジストである。
【0004】
最近では、ビアホール8間の間隔が400μm以下の狭ピッチであるファインパターンを有する多層プリント配線板の需要が高まっており、一方、多層プリント配線板の薄型化と軽量化の要望が強くなっており、多層プリント配線板全体の厚みを増加させることなく層数を増加させることによって高密度配線・高集積化が図られている。
【0005】
ここで、ビルドアップする際に金属箔付き絶縁シート15を用いる場合においては、図6(d)に示すようにビアホール8間には絶縁性の高い樹脂6が存在することとなるため、ビアホール8間の間隔が狭ピッチであっても、この多層プリント配線板の絶縁信頼性は高いものとなる。しかしながら、金属箔付き絶縁シート15は、プリプレグ11のようにガラスクロス4等の補強材を有するものではないので、金属箔付き絶縁シート15のみを用いてビルドアップすると、多層プリント配線板の機械的強度が低下する。そうすると、多層プリント配線板に電子部品を実装する場合において、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に反りが生じ、部品実装に支障をきたすこととなるものである。
【0006】
ところが最近では、レーザ加工装置の性能が向上したことに伴い、金属箔付き絶縁シート15の代わりにプリプレグ11(例えば、FR−4)を用いてビルドアップすることができるようになった。すなわち、従来よりも炭酸ガスレーザの出力を上昇させることが可能となったので、ガラスクロス4のような補強材を有するプリプレグ11であっても、ビアホール8を形成するための穴あけを容易かつ安価に行うことができるものである。従って、プリプレグ11を用いて多層プリント配線板を製造する場合においては、多層プリント配線板の機械的強度は、図7に示すようにプリプレグ11の補強材で確保することができるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−77851号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多層プリント配線板の機械的強度を高めるためのガラスクロス4が逆に、多層プリント配線板の絶縁信頼性を低下させることとなっている。すなわち、ビルドアップする際にプリプレグ11を用いる場合においては、図7に示すようにビアホール8間にはガラスクロス4が存在することとなるが、一方のビアホール8を陽極とし、他方のビアホール8を陰極として、ビアホール8間に電位差を生じさせると、ガラスクロス4と樹脂の界面において金属イオン(例えば、銅イオン)が矢印で示すようにガラスクロス4に沿って電気的に成長する。つまり、マイグレーションによって絶縁劣化が引き起こされ、しかも過度になればショートの原因にもなり、多層プリント配線板の絶縁特性が悪化するのである。ちなみに、マイグレーションについては諸説があるが、金属イオンが錯体化して陰イオンとなり、この陰イオンがガラスクロス4と樹脂の隙間を泳動し、陽極周辺で金属化が起こるとする説が一般的である。
【0009】
そして、レーザ加工時におけるレーザのエネルギーのばらつきを無くして有底孔20の内面状態を均一にし、有底孔20のホールクリーニングを徹底的に行っても、有底孔20に導通処理として湿式のめっきによる処理を施すと、この処理で使用される液組成分がガラスクロス4と樹脂の界面に染み込んで金属イオン等を誘発させることとなり、マイグレーションを防止することができなかった。
【0010】
特に、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図るためには、ビアホール8間の間隔を狭くすることが必要であり、今後もさらに狭くなるものと予想されるが、これに伴ってマイグレーションによる絶縁劣化は無視できなくなってきている。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、十分な剛性と絶縁信頼性を兼ね備えた多層プリント配線板を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る多層プリント配線板の製造方法は、内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって多層プリント配線板を製造するにあたって、ガラスクロス4を含有する層として絶縁層2を形成し、この絶縁層2にレーザ加工により大径孔5を形成し、次にこの大径孔5に絶縁性樹脂6を充填した後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5にレーザ加工により大径孔5よりも孔径の小さい小径孔7を形成すると共に、この小径孔7に導通処理を施すことによってビアホール8を形成することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1において、大径孔5を形成した絶縁層2の表面にシート状の絶縁性樹脂6を積層してこれを溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、導通処理として、湿式のめっきによる処理を施すことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明において内層回路基板1としては任意のものを用いることができるものであり、両面金属張積層板を加工して積層板9の両面に内層用導体層10を設けたものを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスクロス4などの基材に含浸して乾燥して得られるプリプレグ11を1枚乃至複数枚重ね、この両側に銅箔などの金属箔12を重ねて加熱加圧成形をすることによって両面金属張積層板を作製し、そして両面の金属箔12にドライフィルムを用いたテンティング法などで回路を形成して内層用導体層10を設けることによって、図1(a)のような内層回路基板1を作製することができる。ここで、図1(a)に示す内層回路基板1において、13は導電性ペーストであって、積層板9にあらかじめ穿設した貫通孔14に充填されて、内層回路基板1の両側の内層用導体層10間を接続するものである。またこの内層回路基板1において、内層用導体層10の表面には酸化剤を用いた酸化処理(黒化処理あるいは黒色酸化処理と称される)をあらかじめ行って粗面化しておき、後述する絶縁層2との密着性を高めるようにしておくのが好ましい。
【0017】
そして内層回路基板1の両側(又は片側)の表面に絶縁層2及び導体層3をビルドアップする。この絶縁層2には図1(b)に示すようにガラスクロス4が基材として埋入してある。このようなガラスクロス4入りの絶縁層2と導体層3をビルドアップして設けるにあたっては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスクロス4などの基材に含浸して乾燥して得られるプリプレグ11と、銅箔などの金属箔12を、この順に内層回路基板1の表面に重ね、これを加熱加圧成形することによって行うことができるものであり、ガラスクロス4を基材とするプリプレグ11によってガラスクロス4を埋入した絶縁層2を形成することができると共に金属箔12によって導体層3を形成することができるものである。
【0018】
このように絶縁層2と導体層3をビルドアップした後、図1(c)に示すように、エッチングにより導体層3を除去する。その後、露出した絶縁層2表面の所要箇所に炭酸ガスレーザを照射するなどしてレーザ加工により大径孔5を形成する。この大径孔5は有底孔でも貫通孔でもいずれでもよいが、その孔径は300〜130μmであることが好ましい。図2(a)に示す大径孔5はいずれも有底孔であって、その底面には内層用導体層10が露出している。
【0019】
次に、上記のようにして形成した大径孔5にエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂6を充填する。具体的には、金属箔12の片面に絶縁性樹脂6を塗布して作製される金属箔付き絶縁シート15を用い、図2(b)に示すように、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に金属箔付き絶縁シート15の樹脂側の面を重ね合わせて積層すると共に、これを加熱加圧して絶縁性樹脂6を溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填することができる。このとき絶縁層2の表面には、金属箔付き絶縁シート15の金属箔12によって再度導体層3を形成することができるものである。また、絶縁性樹脂6をフィルム状に形成して作製される絶縁フィルム16を用い、図5(a)に示すように、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に絶縁フィルム16を積層すると共に、これを真空ラミネータなどを用いて加熱加圧して絶縁性樹脂6を溶融させることによって、大径孔5に絶縁性樹脂6を充填するようにしてもよい。上記のように、金属箔付き絶縁シート15を用いる場合であっても絶縁フィルム16を用いる場合であっても、絶縁性樹脂6はいずれもシート状(フィルム状を含む)であり、このようなシート状の絶縁性樹脂6を用いるようにすると、絶縁層2に形成した複数の大径孔5のすべてに一度に絶縁性樹脂6を充填することができ、大径孔5ごとに絶縁性樹脂6を充填していくのに比べて、未充填が発生するのを確実に防止することができると共に充填作業を効率よく行うことができるものである。
【0020】
その後、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5に炭酸ガスレーザを照射するなどしてレーザ加工により、大径孔5よりも孔径の小さい小径孔7を形成する。この小径孔7は大径孔5に応じて有底孔又は貫通孔とするものであるが、その孔径は120〜50μmであることが好ましい。図3(a)に示す小径孔7はいずれも有底孔であって、その底面には内層用導体層10が露出している。ただし、大径孔5及び小径孔7が有底孔と貫通孔のいずれであっても、小径孔7の内側面が大径孔5の内側面よりも内側にくるように、小径孔7を形成するものである。そうすると、図3(a)に示すように、大径孔5の内側面が絶縁性樹脂6で被覆されることとなり、小径孔7の内側面においてガラスクロス4を露出させないようにすることができ、ガラスクロス4と絶縁層2の樹脂との界面が現われるようなこともなくなるのである。
【0021】
なお、図2(b)に示すように、金属箔付き絶縁シート15の金属箔12によって再度導体層3を形成した場合において小径孔7を形成するときは、次のようなコンフォーマル工法を利用することができる。まず、ドライフィルムなどを用い、図2(c)に示すように、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5の開口部の表面に存在する導体層3のみをエッチングにより除去する。このとき除去される導体層3の面積は小径孔7の開口部の面積とほぼ等しくなるようにしておく。そして導体層3が除去された箇所に炭酸ガスレーザを照射すると、残存している導体層3がコンフォーマルマスクとなり、図3(a)に示すように、導体層3が除去された箇所にのみ小径孔7を形成することができるものである。一方、図5(a)に示すように、絶縁フィルム16を用いた場合において小径孔7を形成するときは、ダイレクトレーザ加工法を利用することができる。すなわち、マスクを使用することなく、絶縁性樹脂6を充填した大径孔5の開口部の表面にのみ炭酸ガスレーザを照射すると、図5(b)に示すように、小径孔7を形成することができるものである。
【0022】
上記のようにして小径孔7を形成した後においては、小径孔7の内面にはスミアが発生しているおそれがあるので、過マンガン酸法などによりスミア除去(デスミア、ホールクリーニング)を行って、導通不良の発生を未然に防止するものである。
【0023】
次に、上記のようにデスミアした小径孔7に導通処理を施すことによって、ビアホール8を形成することができる。導通処理としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式のめっきによる処理を施してもよいが、無電解めっき(例えば、化学銅めっき)、電解めっき(例えば、電気銅めっき)等の湿式のめっきによる処理を施す方が量産時の製造コストを考えると優位性が高いため好ましい。導通処理として、湿式のめっきによる処理を施す場合においては、小径孔7の内面に無電解めっきを施した後に電解めっきを施してめっき層17を形成することによってビアホール8を形成し(図3(b))、さらにサブトラクティブ法のうちドライフィルムを用いたテンティング法などで導体層3にプリント加工をして回路18(外層用導体層)を形成する。そうすると、図3(c)に示すように、ビアホール8によって絶縁層2の両側の導体層3(10,18)間を接続することができるものである。なお、絶縁フィルム16を用いる場合において、この絶縁フィルム16によって形成される絶縁層2の表面に導体層3を形成するにあたっては、無電解めっきを施して回路形成するアディティブ法、無電解めっきと電解めっきを組み合わせて回路形成するセミアディティブ法などを利用することにより、絶縁層2の表面に導体層3を設けることができる。
【0024】
そして、図3(c)に示すような多層プリント配線板を製造することができる。19はビアホール8の内周のめっき層17を保護するためのソルダレジストである。このようにビルドアップ法で製造される多層プリント配線板においては、絶縁層2にガラスクロス4が含有されているので、このガラスクロス4が補強材として機能することにより、多層プリント配線板を金属箔付き絶縁シート15のみで製造する場合に比べて、機械的強度を高く得ることができ、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に高温の熱が作用しても、この多層プリント配線板に反りが発生することを低減することができるものである。また、大径孔5の内側面は絶縁性樹脂6で被覆され、小径孔7の内側面においてはガラスクロス4が露出していないので、導通処理で使用されるめっき液などの液組成分がガラスクロス4と樹脂の界面に染み込むのを阻止することができ、マイグレーションの発生を確実に防止することができるものである。そして、上記のように大径孔5の内側面を絶縁性樹脂6で被覆するようにすれば、ビアホール8間の間隔をさらに狭くすることが可能となり、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図ることができるものである。
【0025】
図3(c)に示す実施の形態においては、4層のプリント配線板の例を示しているが、さらに多層のプリント配線板を製造することもできる。すなわち、内層回路基板1の表面に複数層の絶縁層2と導体層3とを交互にビルドアップして設けることによって、所要層数のプリント配線板を製造することができる。なお、導体層3の表面に絶縁層2をビルドアップして設けるにあたっては、導体層3に回路の形成をした後、導体層3の表面に黒化処理を行って表面を粗面化し、絶縁層2との密着性を高めるようにするのが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を作製した(図1(a)参考)。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した(図1(b)参考)。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの大径孔5を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した(図1(c)、図2(a)参考)。次に、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に銅箔付き絶縁シート(松下電工(株)製;品番「R0880」ARCC;エポキシ樹脂の厚み60μm;銅箔厚18μm)を樹脂の側で重ね合わせて積層し、175℃、3.1MPaで加熱加圧成形することによって、絶縁層2の表面に再度導体層3を形成した(図2(b)参考)。次に、この導体層3において小径孔7を形成する箇所に、ドライフィルム露光とエッチングにより直径100μmの導体層3を除去することによって開口部を形成した(図2(c)参考)。次に、この開口部により露出した絶縁層2に上記と同様の炭酸ガスレーザにより直径100μmの小径孔7を形成した(図3(a)参考)。次に、この小径孔7の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらに電解銅めっき(電気銅めっき)を施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層を形成した(図3(b)参考)。その後、テンティング法により外層回路を形成すると共にソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した(図3(c)参考)。
【0028】
(実施例2)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を形成した(図4(a)参考)。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した(図4(b)参考)。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの大径孔5を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した(図4(c)(d)参考)。次に、大径孔5を形成した絶縁層2の表面に絶縁フィルム16(味の素ファインテクノ(株)製;品番「ABF−H」;エポキシ樹脂の厚み70μm)を重ね合わせて積層し、真空ラミネーターを用いて100℃、1.0MPaで加熱加圧成形した。次に、この絶縁層2において小径孔7を形成する箇所に、上記と同様の炭酸ガスレーザにより直径100μmの小径孔7を形成した(図5(a)(b)参考)。次に、この小径孔7の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらにパターンめっき工法により電解銅めっきを施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層を形成した(図5(c)参考)。その後、セミアディティブ法により外層回路を形成すると共に、ソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した(図5(d)参考)。
【0029】
(比較例1)
両面銅張積層板(松下電工(株)製;品番「1766T」;板厚0.2mm;銅箔厚18μm)の両面の金属箔(銅箔)に回路形成して内層用導体層10(銅回路)を設けることによって、内層回路基板1を作製した。次に、この内層回路基板1の銅回路に黒化処理液を作用させて粗面化を行った後、この内層回路基板1の両側の表面にプリプレグ11(松下電工(株)製;品番「R1661G 60μm」)と銅箔(厚み18μm)をこの順に重ねてプレス成形した。次に、最外層の銅箔を全面エッチングした後に、三菱電機(株)製炭酸ガスレーザ「605GX」を用いて、露出した絶縁層2に直径200μmの有底孔20を400μmピッチで36個、隣り合わせて形成した。次に、この有底孔20の内面をスミア除去した後、無電解銅めっき(化学銅めっき)を施して厚み0.3μmの無電解めっき層を形成し、さらに電解銅めっき(電気銅めっき)を施して電解めっき層(厚み18μm)を形成することによって、無電解めっき層及び電解めっき層からなるめっき層17を形成した(図7参考)。その後、テンティング法により外層回路を形成すると共に、ソルダーレジストの形成を行うことによって、多層プリント配線板を製造した。
【0030】
そして、上記のようにして得た実施例1、2及び比較例1の多層プリント配線板を用いて、THB試験を行った。この試験は、温度85℃、湿度85%の環境下において、上記多層プリント配線板に1000時間、50Vの電圧を印加することによって行った。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1にみられるように、実施例1、2の多層プリント配線板の方が、比較例1の多層プリント配線板よりも、絶縁特性に優れていることが確認される。
【0033】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る多層プリント配線板の製造方法によれば、ガラスクロスが補強材として機能することにより、機械的強度を高く得ることができ、リフロー半田付け時に多層プリント配線板に高温の熱が作用しても、この多層プリント配線板に反りが発生することを低減することができるものである。また、大径孔の内側面は絶縁性樹脂で被覆され、小径孔の内側面においてはガラスクロスが露出していないことにより、マイグレーションの発生を確実に防止することができるものである。従って、ビアホール間の間隔をさらに狭くすることが可能となり、多層プリント配線板の高密度配線・高集積化を図ることができるものである。
【0034】
また請求項2の発明によれば、絶縁層に形成した複数の大径孔のすべてに一度に絶縁性樹脂を充填することができ、大径孔ごとに絶縁性樹脂を充填していくのに比べて、未充填が発生するのを確実に防止することができると共に充填作業を効率よく行うことができるものである。
【0035】
また請求項3の発明によれば、十分な剛性と絶縁信頼性を兼ね備えた多層プリント配線板を安価に製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図1で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)〜(c)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図2で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)〜(d)は多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)〜(d)は多層プリント配線板の製造工程の一部(図4で示す工程の後の工程)を示す断面図である。
【図6】従来の技術の一例を示すものであり、(a)〜(d)は断面図である。
【図7】従来の技術の他例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内層回路基板
2 絶縁層
3 導体層
4 ガラスクロス
5 大径孔
6 絶縁性樹脂
7 小径孔
8 ビアホール
Claims (3)
- 内層回路基板の表面に複数層の絶縁層と導体層とを交互にビルドアップして設けることによって多層プリント配線板を製造するにあたって、ガラスクロスを含有する層として絶縁層を形成し、この絶縁層にレーザ加工により大径孔を形成し、次にこの大径孔に絶縁性樹脂を充填した後、絶縁性樹脂を充填した大径孔にレーザ加工により大径孔よりも孔径の小さい小径孔を形成すると共に、この小径孔に導通処理を施すことによってビアホールを形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 大径孔を形成した絶縁層の表面にシート状の絶縁性樹脂を積層すると共にこれを溶融させることによって、大径孔に絶縁性樹脂を充填することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 導通処理として、湿式のめっきによる処理を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006303054A (ja) * | 2005-04-19 | 2006-11-02 | Asahi Schwebel Co Ltd | プリント配線板の製造方法 |
EP1758437A2 (en) | 2005-08-25 | 2007-02-28 | Shinko Electric Industries Co., Ltd. | Laminated structure including a resin layer containing a glass-cloth and method for manufacturing the same |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003149793A patent/JP2004356232A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1758437A2 (en) | 2005-08-25 | 2007-02-28 | Shinko Electric Industries Co., Ltd. | Laminated structure including a resin layer containing a glass-cloth and method for manufacturing the same |
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