JP2004356216A - 薄膜トランジスタ、表示装置、及びこれらの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させるシリサイド層を低温且つ安価に設けることできるTFTを提供する。
【解決手段】チャネル領域42を覆うようにゲート絶縁膜21を半導体層22上に設ける。ゲート絶縁膜21は、ソース領域40の一部を露出させる第1のコンタクトホール21a及びドレイン領域41の一部を露出させる第2のコンタクトホール21bを有する。第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21bにより露出されるソース領域40,ドレイン領域41の一部及びコンタクトホール21a,21bを覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる。ソース電極層23を第1のシリサイド層31a上に設ける。ドレイン電極層24を第2のシリサイド層31b上に設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】チャネル領域42を覆うようにゲート絶縁膜21を半導体層22上に設ける。ゲート絶縁膜21は、ソース領域40の一部を露出させる第1のコンタクトホール21a及びドレイン領域41の一部を露出させる第2のコンタクトホール21bを有する。第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21bにより露出されるソース領域40,ドレイン領域41の一部及びコンタクトホール21a,21bを覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる。ソース電極層23を第1のシリサイド層31a上に設ける。ドレイン電極層24を第2のシリサイド層31b上に設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、薄膜トラジスタ、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)装置のような表示装置、及びこれらの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSトランジスタを備える半導体装置では、ゲート電極層の低抵抗化やソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗低減のために、ゲート電極層、ソース領域及びドレイン領域の上にシリサイド層を形成したものが知られている。このような半導体装置では、従来、シリコン層上に形成したコバルト、チタン、或いはニッケル層をシリコン層中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に低抵抗なシリサイド層(サリサイド層)を形成している。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ULSIでは、ダマシン法により銅配線を設けた後、銅配線の酸化を抑制するためにコバルトシリサイドからなるメタルバリア層を設けることが検討されている。この場合、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガスを用い、銅配線上に形成されたコバルト膜のみを選択的にシリサイド化させることで、メタルバリア層を選択的に形成している。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−86798号公報(段落0021〜段落0024、図2)
【0005】
【非特許文献1】
霜垣 幸浩、他3名、“SiH4/Si2H6を用いたシリサイド化によるCu配線酸化防止用CoSi層の形成”、平成15年2月、シリコン材料・デバイス研究会プログラム「シリコンテクノロジーNo.49」、p7〜p12
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、薄膜トランジスタの分野や完全空乏型のSOIデバイスの分野では、半導体層であるシリコン層のさらなる薄層化が進められており、近年では、前記シリコン層の層厚が50nm程度或いはそれ以下にまで薄層化されてきている。しかしながら、このようにシリコン層を薄くすると、自己整合的にシリサイド層(サリサイド層)を形成するために消費可能なシリコン原子が十分に得られなくなる。このため、特許文献1の技術を薄膜トランジスタやSOIデバイスの分野に適用しても、シリコン層上にシリサイド層を形成することは困難である。
【0007】
これに対し、完全空乏型のSOIデバイスの分野では、半導体層のソース領域及びドレイン領域をエピタキシャル法でせり上がらせて厚みを持たせるいわゆるエレベーテッド・ソース・ドレイン構造形成プロセスと特許文献1に記載の技術とを組み合わせてシリコン層上にシリサイド層を形成している。しかしながら、エピタキシャル法は高温プロセスが必要であるため、比較的低温でのプロセスが要求される表示装置等に用いられる薄膜トランジスタにおいては、半導体層にエレベーテッド・ソース・ドレイン構造を採用することは難しい。
【0008】
このような事情から、薄膜トランジスタの分野では、シリコン層上にシリサイド化が可能なチタンのような金属層を形成し、熱アニールやレーザーアニールによってシリサイド化した後、目的領域以外の領域であってかつ未反応の金属層をエッチングにより除去する方法が採用されている。しかしながら、このような方法では、シリサイド層を形成するための工程が長く、製造コストが高くなるという問題が生じる。
【0009】
また、表示装置等に用いられる薄膜トランジスタの分野では、コンタクト抵抗の更なる低減のために、半導体層のソース領域とソース電極層との間、及び、ドレイン領域とドレイン電極層との間に低抵抗なシリサイド層、例えば低抵抗なCoSi2層を設けたいという要求がある。
【0010】
しかしながら、熱アニールやレーザーアニールによって低抵抗なCoSi2層を形成する場合、略450℃〜略500℃の第1の熱処理工程と、略650℃〜略900℃の第2の熱処理工程とが必要である。そのため、このような方法では、表示装置等に用いられる薄膜トランジスタにおいて、半導体層のソース領域とソース電極層との間、及び、ドレイン領域とドレイン電極層との間に低抵抗なCoSi2層を形成するのは難しい。
【0011】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、半導体層の薄層化が可能であって、かつ、ソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させるシリサイド層を低温且つ安価に設けることができる薄膜トランジスタ、表示装置、及びこれらの形成方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の観点に基づく本発明の薄膜トランジスタは、チャネル領域と、このチャネル領域の両端に設けられたソース領域及びドレイン領域とを有する半導体層と、前記ソース領域の少なくとも一部を露出させる第1のコンタクトホール及び前記ドレイン領域の少なくとも一部を露出させる第2のコンタクトホールを有し、少なくとも前記チャネル領域を覆うように前記半導体層上に設けられたゲート絶縁膜と、前記チャネル領域と対向するようにゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極層と、前記第1のコンタクトホールにより露出される前記ソース領域の少なくとも一部及び前記第1のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第1のシリサイド層と、第2のコンタクトホールにより露出される前記ドレイン領域の少なくとも一部及び前記第2のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第2のシリサイド層と、前記第1のシリサイド層上に設けられたソース電極層と、前記第2のシリサイド層上に設けられたドレイン電極層と、を具備している。
【0013】
本発明において、「第1のコンタクトホール」とは、ソース領域の少なくとも一部を露出させる空間を構成するゲート絶縁膜の側壁を指している。また、「第2のコンタクトホール」とは、ドレイン領域の少なくとも一部を露出させる空間を構成するゲート絶縁膜の側壁を指している。
【0014】
本発明及び以下の発明において、シラン系ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等を用いることができる。シラン系ガスを含む混合ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等といったシラン系ガスを水素ガス等で希釈したガス等を用いることができる。
【0015】
本発明の薄膜トランジスタによれば、第1のシリサイド層は、第1のコンタクトホールにより露出されるソース領域の少なくとも一部及び第1のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられている。また、第2のシリサイド層は、第2のコンタクトホールにより露出されるドレイン領域の少なくとも一部及び第2のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられている。
【0016】
したがって、第1のシリサイド層上に設けられたソース電極層は、この第1のシリサイド層を介してソース領域と電気的に接続することとなるため、ソース電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させることができる。また、第2のシリサイド層上に設けられたドレイン電極層は、この第2のシリサイド層を介してドレイン領域と電気的に接続することとなるため、ドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させることができる。
【0017】
しかも、第1及び第2のシリサイド層は、金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなるものである。そのため、第1及び第2のシリサイド層は、半導体層中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、低温且つ安価に設けることができる。
【0018】
第2の観点に基づく本発明の薄膜トランジスタの形成方法は、被処理基板上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成するとともに、前記半導体層の中間部と対向するように前記ゲート絶縁膜上にゲート電極層を形成する工程と、前記半導体層の前記ゲート電極層と対向する領域にチャネル領域を形成するとともに、前記チャネル領域の両端にソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、前記ソース領域及び前記ドレイン領域と接触するように前記半導体層上にシリサイド化が可能な金属層を形成する工程と、シラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、前記金属層を表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、前記ソース領域と接触する第1のシリサイド層と前記ドレイン領域と接触する第2のシリサイド層とを形成する工程と、前記第1のシリサイド層を介して前記半導体層のソース領域と電気的に接続するようにソース電極層を形成するとともに、前記第2のシリサイド層を介して前記半導体層のドレイン領域と電気的に接続するようにドレイン電極層を形成する工程と、を具備してなる。
【0019】
本発明において、「被処理基板」としては、例えば、ガラス、プラスチック、或いはシリコン等からなる基板等を用いることができる。また、「被処理基板」としては、例えば、ガラス、プラスチック、或いはシリコン等からなる基体上に下地絶縁層等を形成した基板を用いることもできる。
【0020】
また、本発明において、第1のシリサイド層と第2のシリサイド層とは電気的に接続しないように形成する必要がある。したがって、本発明は、例えば、金属層を第1及び第2のシリサイド層に対応する領域を含む領域に連続的に形成する工程と、第1及び第2のシリサイド層を形成する領域にのみに金属層が残されるように前記金属層にエッチング処理を施す工程と、エッチング処理を施された金属層をシラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、第1及び第2のシリサイド層を形成する工程と、を含むようにすることで実現できる。
【0021】
さらに、本発明は、例えば、金属層を第1及び第2のシリサイド層に対応する領域を含む領域に連続的に形成する工程と、この金属層をシラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させる工程と、第1及び第2のシリサイド層を形成する領域にのみにシリサイド化された金属層が残されるように前記シリサイドされた金属層にエッチング処理を施す工程と、を含むようにすることでも実現できる。
【0022】
本発明の薄膜トランジスタの形成方法によれば、ソース領域及びドレイン領域と接触するように半導体層上にシリサイド化が可能な金属層を形成し、この金属層を表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、ソース領域と接触する第1のシリサイド層とドレイン領域と接触する第2のシリサイド層とを形成している。したがって、本発明によれば、半導体層中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、ソース領域とソース電極層との間及びドレイン領域とドレイン電極層との間に第1及び第2のシリサイド層を形成することができる。
【0023】
また、本発明によれば、シラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより金属層をシリサイド化した後にソース領域及びドレイン領域を含む半導体層に注入された不純物を活性化するのが好ましく、このようにすることにより、アイランド状に形成された半導体層に対しても均一なアニール処理を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を表示装置としての液晶表示装置に適用した例で示している。
【0025】
図1及び図2は、アクティブマトリックス型の液晶表示装置1を示している。この液晶表示装置1は、一対の基体としての一対の透明基体2,3、液晶層4、下地絶縁層5、画素電極6、走査配線7、信号配線8、対向電極9、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTという)10、走査線駆動回路11、信号線駆動回路12、液晶コントローラ13等を備えている。
【0026】
一対の透明基体2,3としては、例えば一対のガラス板を用いることができる。これら基体2,3は、図示しない枠状のシール材を介して接合されている。液晶層4は、一対の透明基体2,3の間の前記シール材により囲まれた領域に設けられている。
【0027】
一対の透明基体2,3のうちの一方の透明基体、例えば後側(図2において下側)の透明基体3の内面には、下地絶縁層5、行方向および列方向にマトリックス状に設けられた複数の画素電極6、複数の画素電極6と夫々電気的に接続された複数のTFT10、複数のTFT10と電気的に接続された走査配線7、及び複数のTFT10と電気的に接続された信号配線8等が設けられている。
【0028】
下地絶縁層5としては、例えば窒化シリコン(SiNx)等を用いることができる。TFT10としては、例えば、トップゲート型のポリシリコンTFTが用いられている。半導体層22と、ゲート絶縁膜21と、ゲート電極層20と、ソース電極層23と、ドレイン電極層24と、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを備えている。
【0029】
詳しくは、下地絶縁層5上には、チャネル領域42と、このチャネル領域42の両端に設けられたソース領域40及びドレイン領域41を有する半導体層22が設けられている。半導体層22は、例えば、層厚が20nm以上200nm以下に設定されている。なお、半導体層22の層厚は、最も好ましくは30nm以上50nm以下である。ゲート絶縁膜21は、半導体層22及び下地絶縁層5を覆うように設けられている。このゲート絶縁膜21としては、例えば酸化シリコン(SiO2)等を用いることができる。ゲート絶縁膜21上には、チャネル領域42と対向するようにゲート電極層20が設けられている。層間絶縁層25は、ゲート電極層20及びゲート絶縁膜21を覆うように設けられている。層間絶縁層25は、例えば酸化シリコン(SiO2)等を用いることができる。
【0030】
ゲート絶縁膜21は、ソース電極層23及びドレイン電極層24を半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と電気的に接続させるための第1及び第2コンタクトホール21a,21bを有している。また、層間絶縁層25は、ソース電極層23及びドレイン電極層24を半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と電気的に接続させるための第3及び第4のコンタクトホール25a,25bを有している。
【0031】
また、半導体層22上には、ソース領域40と接するように第1のシリサイド層31aが設けられているとともに、ドレイン領域41と接するように第2のシリサイド層31bが設けられている。本実施形態では、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21b,25a,25bによって露出されるソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部と接するように半導体層22上に設けられているとともに、これと連続して、コンタクトホール21a,21b,25a,25bを構成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁、及び、コンタクトホール25a,25bと連続する層間絶縁層25の上壁の一部を覆うように設けられている。なお、シリサイド層31a,31bによりソース電極層23とドレイン電極層24とが短絡しないように、層間絶縁層25上の少なくともチャネル領域42に対応する領域にはシリサイド層31a,31bを設けないようにしている。なお、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを含むTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法は後に詳しく述べる。
【0032】
ソース電極層23及びドレイン電極層24は、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを介して半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と夫々電気的に接続するように設けられている。
【0033】
本実施形態では、ソース電極層23及びドレイン電極層24は、コンタクトホール21a,21b,25a,25b内の第1及び第2のシリサイド層31a,31bに囲まれた領域内に埋め込まれているとともに、これと連続して、層間絶縁層25の上面の一部を覆うように張り出す第1及び第2のシリサイド層31a,31b上に設けられている。これらソース電極層23及びドレイン電極層24のパターンエッジは第1及び第2のシリサイド層31a,31bのパターンエッジと略一致している。
【0034】
層間絶縁層25上には、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び層間絶縁層25を覆うようにパシベーション膜26が設けられている。このパシベーション膜26上には平坦化膜27が設けられている。パシベーション膜26及び平坦化膜27には、画素電極6をソース電極層23と電気的に接続させるためのコンタクトホール26a,27aが夫々設けられている。画素電極6は、コンタクトホール26a,27aを介してソース電極層23と接触するように平坦化膜27上に設けられている。透過型の液晶表示装置とする場合、画素電極6としては、例えばITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明電極を用いることができる。また、反射型の液晶表示装置とする場合、画素電極6としては、反射性金属、例えばアルミニウム(Al)や銀(Ag)等からなる電極を用いることができる。
【0035】
走査配線7は、行方向(図1において水平方向)に沿わせて夫々設けられている。これら走査配線7の一端は走査線駆動回路11と電気的に接続されている。走査配線7は、例えば、TFT10が備えるゲート電極層20と一体に設けられている。一方、信号配線8は、画素電極6の列方向(図1において垂直方向)に沿わせて夫々設けられている。これら信号配線8の一端は信号線駆動回路12と電気的に接続されている。信号配線8は、例えば、TFT10が備えるドレイン電極層24と一体に設けられている。
【0036】
走査線駆動回路11および信号線駆動回路12は液晶コントローラ13に接続されている。液晶コントローラ13は、例えば外部から供給される画像信号及び同期信号を受け取り、画素映像信号Vpix、垂直走査制御信号YCT、及び水平走査制御信号XCTを発生する。
【0037】
他方の透明基体である前側(図2において上側)の透明基体2の内面には、複数の画素電極6に対向する一枚膜状の透明な対向電極9が設けられている。対向電極9は、例えばITO等の透明電極からなる。また、前側の透明基体2の内面或いは後側の透明基体3の内面には、複数の画素電極6と対向電極9とが互いに対向する複数の画素領域に対応させてカラーフィルタを設けたり、或いは、前記画素領域の間の領域に対応させて遮光膜を設けたりしてもよい。
【0038】
一対の透明基体2,3の外側には図示しない偏光板が設けられている。また、液晶表示装置1を透過型とする場合、後側の透明基体3の後方には図示しないバックライトが設けられている。なお、液晶表示装置1は、反射型或いは半透過反射型としてもよい。
【0039】
以下、図3及び図4を参照して被処理基板14へのTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法について説明する。
【0040】
まず、被処理基板14を用意する。この実施形態では、被処理基板14として透明基体3上に下地絶縁層5が形成された基板を用いている。この被処理基板14上(下地絶縁層5上)の略全面に層厚が例えば40nmとなるようにアモルファスシリコン層50を形成する。その後、温度500℃の雰囲気中でアニール処理を施し、このアモルファスシリコン層50中の水素を離脱させる(図3(A))。
【0041】
次に、例えばELA(Excimer Laser Anneal)法により、このアモルファスシリコン層50を結晶化させてポリシリコン層51とする。さらに、PEP(Photo Engraving Process、いわゆるフォトリソグラフィー)によりポリシリコン層51上に所定の形状のレジストマスクを形成する。そして、CDE(Chemical Dry Etching)法によりポリシリコン層51にエッチングを施すことによって、ポリシリコン層51を島形状に加工する。その後、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いて、島形状に加工されたポリシリコン層51及び下地絶縁層5を覆うようにゲート絶縁膜21を形成する(図3(B))。
【0042】
ゲート絶縁膜21上に、ゲート電極層20及びこのゲート電極層20と一体に設けられる走査配線7を形成する。ゲート電極層20は、島形状のポリシリコン層51の中間部と対向する位置に形成する。なお、図3及び図4では走査配線7は示されていないが、走査配線7はゲート電極層20の奥側から手前側(図3及び図4に紙面の手前側から奥側)に延びている(図1参照)。ゲート電極層20及び走査配線7は、例えば、モリブデンタングステン(MoW)により形成することができる。この場合、ゲート電極層20及び走査配線7は以下のようにして形成することができる。まず、ゲート絶縁膜21上の略全面にモリブデンタングステン層を形成する。PEPにより所定の形状のレジストマスクを形成する。反応性イオンエッチング法によりモリブデンタングステン層の不要部分を除去する(図3(C))。
【0043】
次に、ゲート電極層20をマスクとし、ポリシリコン層51のソース領域40及びドレイン領域41となる領域に不純物イオン(リンもしくはボロン等)を注入する。これにより、半導体層22は、チャネル領域42、ソース領域40、及びドレイン領域41を有するようになる(図3(D))。
【0044】
ゲート電極層20及びゲート絶縁膜21を覆うように層間絶縁層25を形成する。ソース領域40の少なくとも一部を露出させるため、ゲート絶縁膜21に第1のコンタクトホール21aを形成するとともに、層間絶縁層25に第3のコンタクトホール25aを形成する。ドレイン領域41の少なくとも一部を露出させるため、ゲート絶縁膜21に第2のコンタクトホール21bを形成するとともに、層間絶縁層25に第4のコンタクトホール25bを形成する(図4(A))。
【0045】
次に、例えばコバルト(Co)からなる金属層32をソース領域40及びドレイン領域41と接触するように半導体層22上に設ける。この金属層32は、例えば、コンタクトホール21a,21b,25a,25bから露出する半導体層22の上面(ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部)と、コンタクトホール21a,21b,25a,25b(ゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁)と、層間絶縁層25の上壁とを覆うように形成する。なお、この金属層32は、例えば、層厚が2nm〜10nm程度となるように形成するとよい。この金属層32を、シラン系ガス(例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等)又はシラン系ガスを含む混合ガスを用いて金属層32をシリサイド化する。本実施形態では、例えば、モノシランガスの分圧が20Paとなるようにモノシランガスを水素ガスで希釈したガスを用い、200℃〜400℃程度の温度下で金属層32をシリサイド化している(図4(B))。
【0046】
前記温度範囲において、シラン系ガスは層間絶縁層25等とは殆ど反応しない。これに対し、金属層32をなすコバルトが触媒的な効果を奏することから、金属層32では選択的にシリサイド化が進行する。また、この時、シラン系ガスによって金属層32の表面に形成されている酸化層が還元されるため、金属層32のシリサイド化は表面から厚さ方向(内部方向)に進行する。したがって、金属層32は、低抵抗なCoSi2層(コバルトシリサイド層)となる。
【0047】
なお、200℃程度でも金属層32のシリサイド化は進行するが、温度が高い程反応が促進される(反応速度が速くなる)ため、300℃〜400℃程度とすると処理時間を短縮できる。また、CoSi2層の最表面には酸化シリコン層が形成され易い。このため、次工程に進む前の前処理として、前記酸化シリコン層を除去するのが望ましい。
【0048】
次に、前記ソース領域40及びドレイン領域41に注入された不純物の活性化アニールを行う。活性化アニールはイオン注入後に行ってもよいが、被処理基板14上にアイランド状に形成された半導体層22をフラッシュランプやレーザーを用いた急速アニール法で熱処理する場合、光を吸収する半導体層22パターンの粗密等により均一な熱処理が難しい。被処理基板14の全面(コンタクトホール21a,21b,25a,25bを構成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁と、層間絶縁層25の上壁)を覆うようにシリサイド層(CoSi2層)が形成されている状態で活性化アニールすることは、均一な熱処理が達成できる点で望ましい。
【0049】
次に、CoSi2層上に、ソース電極層23及びドレイン電極層24を形成する。なお、図3及び図4では信号配線8は示されていないが、信号配線8はドレイン電極層24と一体に形成する(図1参照)。ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば、アルミニウムにより形成することができる。この場合、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば以下のようにして形成する。まず、CoSi2層の略全面かつコンタクトホール21a,25a内を埋めるようにアルミニウム層を形成する。PEPにより所定の形状のレジストマスクを形成する。反応性イオンエッチング法によりアルミニウム層の不要部分を除去する。
【0050】
その後、これらソース電極層23及びドレイン電極層24をマスクとし、ソース電極層23及びドレイン電極層24のパターンエッジとCoSi2層のパターンエッジとが一致するように、前記CoSi2層をエッチングする。これにより、第1及び第2のシリサイド層31a,32aが形成される(図4(C))。
【0051】
以上のように、本実施形態のTFT10では、第1のシリサイド層31aが、第1のコンタクトホール21aにより露出されるソース領域40の少なくとも一部及び第1のコンタクトホール21aを少なくとも覆うように設けられている。また、第2のシリサイド層31bが、第2のコンタクトホール21bにより露出されるドレイン領域41の少なくとも一部及び第2のコンタクトホール21bを少なくとも覆うように設けられている。
【0052】
したがって、第1のシリサイド層31a上に設けられたソース電極層23は、この第1のシリサイド層31aを介してソース領域40と電気的に接続することとなり、ソース電極層23と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させることができるので、オン電流を増大させることができる。また、第2のシリサイド層31b上に設けられたドレイン電極層24は、この第2のシリサイド層31bを介してドレイン領域41と電気的に接続することとなり、ドレイン電極層24と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させることができるので、オン電流を増大させることができる。
【0053】
しかも、本実施形態のTFT10が備える第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、半導体層22中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に設けられるサリサイドではなく、シラン系ガス中での熱処理により金属層32をなす金属が触媒として作用することで設けられるシリサイドからなる。したがって、半導体層22中のシリコン原子が消費されるのを抑制しつつ、半導体層22上に第1及び第2のシリサイド層31a,31bを設けることができる。したがって、半導体層22の薄層化が可能であり、半導体層22の層厚が20nm以上200nm以下に設定されているようなTFT10が得られる。
【0054】
なお、前記サリサイド層は、上述のように、半導体層22中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に形成されるものであるため、半導体層22との接触部のみにしか形成されない。つまり、サリサイド層は、コンタクトホール21a,21bを覆うようには設けることができない。
【0055】
これに対し、本実施形態のTFT10が備える第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、上述のように、シラン系ガス中での熱処理により金属層32をシリサイド化させてなるものである。したがって、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21bにより露出されるソース領域40及びドレイン領域41の少なくとも一部だけでなく、これらと連続するコンタクトホール21a,21bにも設けることができる。
【0056】
また、本実施形態のTFT10の形成方法によれば、ソース領域40及びドレイン領域41と接触するように半導体層22上にシリサイド化が可能な金属層32を形成し、この金属層32をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスにより表面側から厚み方向内側に向けて選択的にシリサイド化させることで第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成している。したがって、半導体層22中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、ソース領域40とソース電極層23との間及びドレイン領域41とドレイン電極層24との間に、ソース電極層23及びドレイン電極層24と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させる第1及び第2のシリサイド層31a,31bを夫々低温且つ安価に設けることができる。
【0057】
さらに、本実施形態のTFT10及びその形成方法によれば、金属層32のシリサイド化のために、エレベーテッド・ソース・ドレイン構造を採用したり、熱アニールやレーザーアニールによってシリサイド化したりする必要がない。したがって、安価にシリサイド層31a,31bを設けることができる。しかも、金属層32をシラン系ガスによりシリサイド化させるプロセスは、例えば、液晶表示装置1の製造プロセスに適用できる程度の低温で行うことができる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、半導体層22の薄層化が可能であって、かつ、半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41に対応させて低温且つ安価にシリサイド層31a,31bを設けることができるTFT10、液晶表示装置1、及びこれらの形成方法が得られる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、ソース電極層23及びドレイン電極層24と、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを連続的にエッチングすることで形成でき、不要なシリサイドをエッチングする工程を追加する必要がない。更に、金属層32をシリサイド化した後にソース領域40及びドレイン領域41を含む半導体層22に注入された不純物を活性化することで、アイランド状に形成された半導体層22に対しても均一なアニール処理を行うことができる。
【0060】
しかも、本実施形態によれば、金属層32をコバルト層とすることにより、低抵抗なCoSi2からなるシリサイド層31a,31bを比較的低いプロセス温度で得ることができる。表示装置1が備えるTFT10の半導体層22のソース領域40とソース電極層23との間、及び、半導体層22のソース領域40とソース電極層23との間のコンタクト抵抗をさらに低減させることができる。
【0061】
以下、図5を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
【0062】
本実施形態では、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を銅(Cu)により形成している。
【0063】
また、ソース電極層23と第1のシリサイド層31aとの間、及び、ドレイン電極層24と第2のシリサイド層31bとの間にベースバリアメタル層33を設けている。さらに、ソース電極層23の露出面である上面並びに周面、及び、ドレイン電極層24の露出面である上面並びに周面を夫々覆うようにカバーバリアメタル層34を設けている。ベースバリアメタル層33及びカバーバリアメタル層34は夫々、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの原子(本実施形態では銅原子)の拡散を抑制可能な層としている。
【0064】
ところで、ベースバリアメタル層33は、その表面に銅を無電解めっき法により形成できる金属で形成するのが好ましい。このようなベースバリアメタル層33としては、例えば、TiN、TaN、TiSiN、TaSiN、WSiN等がある。また、カバーバリアメタル層34は、銅の表面に無電解めっき法により選択的に形成できる金属で形成するのが好ましい。このようなカバーバリアメタル層34としては、例えば、コバルト(Co)−タングステン(W)−ホウ素(B)合金、コバルト(Co)−ホウ素(B)合金、コバルト(Co)−リン(P)合金、ニッケル(Ni)−リン(P)合金、ニッケル(Ni)−タングステン(W)−リン(P)合金等がある。
【0065】
以下、図5を参照して被処理基板14へのTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法について説明する。なお、図5(A)に示すように、ソース領域40及びドレイン領域41の少なくとも一部が露出するようにゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25にコンタクトホール21a,25aを形成するところまでは第1の実施形態と同様であるから、重複する説明は省略する(図3(A)〜(D)及び図4(A)参照)。
【0066】
続けて、層厚が略2nm〜10nmとなるように例えばコバルト(Co)からなる金属層32を形成する。この金属層32は、例えば、ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部、コンタクトホール21a,25aを形成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の壁面、及び、コンタクトホール25aと連続する層間絶縁層25の上面の一部を覆うように形成されている。このような金属層32は、以下のようにすることで形成できる。まず、コンタクトホール21a,25aから露出する半導体層22の上面(ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部)と、コンタクトホール25aを形成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の壁面と、層間絶縁層25上の略全面とを覆うようにコバルト層を形成する。そして、PEPとエッチング法とを組み合わせて金属層32の不要部分を除去する(図5(B))。
【0067】
その後、シラン系ガス(例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等)又はシラン系ガスを含む混合ガスを用いて金属層32をシリサイド化することで第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成する。
【0068】
なお、この実施形態では、予め金属層32の不要部分を除去していないが、シリサイド化した前に不要部分を除去して第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成してもよい。
【0069】
次に、ベースバリアメタル層33を形成する。ベースバリアメタル層33は、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、シリサイド化された金属層32上を覆うように、例えば、TiNからなるベースバリアメタル層33を形成する。このベースバリアメタル層33上に、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を形成する。ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば、以下のように形成することができる。
【0070】
まず、ベースバリアメタル層33の上面のソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8に対応する領域(以下、形成領域という)を露出させるような開口を有する絶縁層を形成する。このような絶縁層は、例えば、ベースバリアメタル層33及び層間絶縁層25を覆うように絶縁性を有する感光性樹脂層を成膜し、前記形成領域が露出するように前記感光性樹脂層をパターニングすることにより形成することができる。そして、無電解めっき法により、前記絶縁層の開口を埋めるようにソース電極層23及びドレイン電極層24を形成する。前記絶縁層はソース電極層23及びドレイン電極層24の形成後に除去する。
【0071】
さらに、ソース電極層23及びドレイン電極層24の露出面(周面及び上面)を覆うように、例えばCo−W−B合金からなるカバーバリアメタル層34を無電解めっき法により形成する。次に、ベースバリアメタル層33及びシリサイド化された金属層32の不要部分をエッチングする(図5(C))これにより、TFT10、走査配線7、及び信号配線8が形成される。なお、他の構成及び工程は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0072】
本実施形態によれば、低抵抗性や耐マイグレーション性等に優れている銅によってソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を形成することができる。
【0073】
しかも、本実施形態によれば、ソース電極層23と第1のシリサイド層31aとの間、及び、ドレイン電極層24と第2のシリサイド層31bとの間に、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの半導体層22への原子の拡散を抑制するベースバリアメタル層33を設けている。このため、ソース電極層23及びドレイン電極層24をなす原子がシリサイド層31a,31bを介して半導体層22に拡散するのを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、ソース電極層23の露出面である上面並びに周面、及び、ドレイン電極層24の露出面である上面並びに周面を覆うように、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの原子の拡散を抑制するカバーバリアメタル層34を設けている。このため、ソース電極層23及びドレイン電極層24をなす原子がパシベーション膜26等に拡散するのを抑制することができる。
【0075】
なお、第1及び第2の実施形態では、金属層32としてコバルト層を用いているが、金属層32は、例えば、ニッケル(Ni)層等、シリサイド化が可能な層であればよい。すなわち、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、CoSi2だけでなくNiSi等により形成してもよい。
【0076】
また、本発明は、液晶表示装置に限定されるものではなく、有機EL装置或いは無機EL装置等の表示装置にも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、半導体層の薄層化が可能であって、かつ、ソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させるシリサイド層を低温且つ安価に設けることができる薄膜トランジスタ、表示装置、及びこれらの形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図。
【図2】図1の液晶表示装置の一部分を示す断面図。
【図3】(A)〜(D)は図1の液晶表示装置が備える薄膜トランジスタを形成する前半の工程を説明する断面図。
【図4】(A)〜(C)は図1の液晶表示装置が備える薄膜トランジスタを形成する後半の工程を説明する断面図。
【図5】(A)〜(C)は本発明の第2の実施形態に係る薄膜トランジスタを形成する工程を説明する断面図。
【符号の説明】
1…液晶表示装置(表示装置)、3…透明基体(基体)、10…薄膜トランジスタ、14…被処理基板、20…ゲート電極層、21…ゲート絶縁膜、21a…第1のコンタクトホール、21b…第2のコンタクトホール、22…半導体層、23…ソース電極層、24…ドレイン電極層、31a…第1のシリサイド層、31b…第2のシリサイド層、32…金属層、33…ベースバリアメタル層、34…カバーバリアメタル層、40…ソース領域、41…ドレイン領域、42…チャネル領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、薄膜トラジスタ、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)装置のような表示装置、及びこれらの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSトランジスタを備える半導体装置では、ゲート電極層の低抵抗化やソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗低減のために、ゲート電極層、ソース領域及びドレイン領域の上にシリサイド層を形成したものが知られている。このような半導体装置では、従来、シリコン層上に形成したコバルト、チタン、或いはニッケル層をシリコン層中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に低抵抗なシリサイド層(サリサイド層)を形成している。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ULSIでは、ダマシン法により銅配線を設けた後、銅配線の酸化を抑制するためにコバルトシリサイドからなるメタルバリア層を設けることが検討されている。この場合、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガスを用い、銅配線上に形成されたコバルト膜のみを選択的にシリサイド化させることで、メタルバリア層を選択的に形成している。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−86798号公報(段落0021〜段落0024、図2)
【0005】
【非特許文献1】
霜垣 幸浩、他3名、“SiH4/Si2H6を用いたシリサイド化によるCu配線酸化防止用CoSi層の形成”、平成15年2月、シリコン材料・デバイス研究会プログラム「シリコンテクノロジーNo.49」、p7〜p12
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、薄膜トランジスタの分野や完全空乏型のSOIデバイスの分野では、半導体層であるシリコン層のさらなる薄層化が進められており、近年では、前記シリコン層の層厚が50nm程度或いはそれ以下にまで薄層化されてきている。しかしながら、このようにシリコン層を薄くすると、自己整合的にシリサイド層(サリサイド層)を形成するために消費可能なシリコン原子が十分に得られなくなる。このため、特許文献1の技術を薄膜トランジスタやSOIデバイスの分野に適用しても、シリコン層上にシリサイド層を形成することは困難である。
【0007】
これに対し、完全空乏型のSOIデバイスの分野では、半導体層のソース領域及びドレイン領域をエピタキシャル法でせり上がらせて厚みを持たせるいわゆるエレベーテッド・ソース・ドレイン構造形成プロセスと特許文献1に記載の技術とを組み合わせてシリコン層上にシリサイド層を形成している。しかしながら、エピタキシャル法は高温プロセスが必要であるため、比較的低温でのプロセスが要求される表示装置等に用いられる薄膜トランジスタにおいては、半導体層にエレベーテッド・ソース・ドレイン構造を採用することは難しい。
【0008】
このような事情から、薄膜トランジスタの分野では、シリコン層上にシリサイド化が可能なチタンのような金属層を形成し、熱アニールやレーザーアニールによってシリサイド化した後、目的領域以外の領域であってかつ未反応の金属層をエッチングにより除去する方法が採用されている。しかしながら、このような方法では、シリサイド層を形成するための工程が長く、製造コストが高くなるという問題が生じる。
【0009】
また、表示装置等に用いられる薄膜トランジスタの分野では、コンタクト抵抗の更なる低減のために、半導体層のソース領域とソース電極層との間、及び、ドレイン領域とドレイン電極層との間に低抵抗なシリサイド層、例えば低抵抗なCoSi2層を設けたいという要求がある。
【0010】
しかしながら、熱アニールやレーザーアニールによって低抵抗なCoSi2層を形成する場合、略450℃〜略500℃の第1の熱処理工程と、略650℃〜略900℃の第2の熱処理工程とが必要である。そのため、このような方法では、表示装置等に用いられる薄膜トランジスタにおいて、半導体層のソース領域とソース電極層との間、及び、ドレイン領域とドレイン電極層との間に低抵抗なCoSi2層を形成するのは難しい。
【0011】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、半導体層の薄層化が可能であって、かつ、ソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させるシリサイド層を低温且つ安価に設けることができる薄膜トランジスタ、表示装置、及びこれらの形成方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の観点に基づく本発明の薄膜トランジスタは、チャネル領域と、このチャネル領域の両端に設けられたソース領域及びドレイン領域とを有する半導体層と、前記ソース領域の少なくとも一部を露出させる第1のコンタクトホール及び前記ドレイン領域の少なくとも一部を露出させる第2のコンタクトホールを有し、少なくとも前記チャネル領域を覆うように前記半導体層上に設けられたゲート絶縁膜と、前記チャネル領域と対向するようにゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極層と、前記第1のコンタクトホールにより露出される前記ソース領域の少なくとも一部及び前記第1のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第1のシリサイド層と、第2のコンタクトホールにより露出される前記ドレイン領域の少なくとも一部及び前記第2のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第2のシリサイド層と、前記第1のシリサイド層上に設けられたソース電極層と、前記第2のシリサイド層上に設けられたドレイン電極層と、を具備している。
【0013】
本発明において、「第1のコンタクトホール」とは、ソース領域の少なくとも一部を露出させる空間を構成するゲート絶縁膜の側壁を指している。また、「第2のコンタクトホール」とは、ドレイン領域の少なくとも一部を露出させる空間を構成するゲート絶縁膜の側壁を指している。
【0014】
本発明及び以下の発明において、シラン系ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等を用いることができる。シラン系ガスを含む混合ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等といったシラン系ガスを水素ガス等で希釈したガス等を用いることができる。
【0015】
本発明の薄膜トランジスタによれば、第1のシリサイド層は、第1のコンタクトホールにより露出されるソース領域の少なくとも一部及び第1のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられている。また、第2のシリサイド層は、第2のコンタクトホールにより露出されるドレイン領域の少なくとも一部及び第2のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられている。
【0016】
したがって、第1のシリサイド層上に設けられたソース電極層は、この第1のシリサイド層を介してソース領域と電気的に接続することとなるため、ソース電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させることができる。また、第2のシリサイド層上に設けられたドレイン電極層は、この第2のシリサイド層を介してドレイン領域と電気的に接続することとなるため、ドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させることができる。
【0017】
しかも、第1及び第2のシリサイド層は、金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなるものである。そのため、第1及び第2のシリサイド層は、半導体層中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、低温且つ安価に設けることができる。
【0018】
第2の観点に基づく本発明の薄膜トランジスタの形成方法は、被処理基板上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成するとともに、前記半導体層の中間部と対向するように前記ゲート絶縁膜上にゲート電極層を形成する工程と、前記半導体層の前記ゲート電極層と対向する領域にチャネル領域を形成するとともに、前記チャネル領域の両端にソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、前記ソース領域及び前記ドレイン領域と接触するように前記半導体層上にシリサイド化が可能な金属層を形成する工程と、シラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、前記金属層を表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、前記ソース領域と接触する第1のシリサイド層と前記ドレイン領域と接触する第2のシリサイド層とを形成する工程と、前記第1のシリサイド層を介して前記半導体層のソース領域と電気的に接続するようにソース電極層を形成するとともに、前記第2のシリサイド層を介して前記半導体層のドレイン領域と電気的に接続するようにドレイン電極層を形成する工程と、を具備してなる。
【0019】
本発明において、「被処理基板」としては、例えば、ガラス、プラスチック、或いはシリコン等からなる基板等を用いることができる。また、「被処理基板」としては、例えば、ガラス、プラスチック、或いはシリコン等からなる基体上に下地絶縁層等を形成した基板を用いることもできる。
【0020】
また、本発明において、第1のシリサイド層と第2のシリサイド層とは電気的に接続しないように形成する必要がある。したがって、本発明は、例えば、金属層を第1及び第2のシリサイド層に対応する領域を含む領域に連続的に形成する工程と、第1及び第2のシリサイド層を形成する領域にのみに金属層が残されるように前記金属層にエッチング処理を施す工程と、エッチング処理を施された金属層をシラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、第1及び第2のシリサイド層を形成する工程と、を含むようにすることで実現できる。
【0021】
さらに、本発明は、例えば、金属層を第1及び第2のシリサイド層に対応する領域を含む領域に連続的に形成する工程と、この金属層をシラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させる工程と、第1及び第2のシリサイド層を形成する領域にのみにシリサイド化された金属層が残されるように前記シリサイドされた金属層にエッチング処理を施す工程と、を含むようにすることでも実現できる。
【0022】
本発明の薄膜トランジスタの形成方法によれば、ソース領域及びドレイン領域と接触するように半導体層上にシリサイド化が可能な金属層を形成し、この金属層を表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、ソース領域と接触する第1のシリサイド層とドレイン領域と接触する第2のシリサイド層とを形成している。したがって、本発明によれば、半導体層中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、ソース領域とソース電極層との間及びドレイン領域とドレイン電極層との間に第1及び第2のシリサイド層を形成することができる。
【0023】
また、本発明によれば、シラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより金属層をシリサイド化した後にソース領域及びドレイン領域を含む半導体層に注入された不純物を活性化するのが好ましく、このようにすることにより、アイランド状に形成された半導体層に対しても均一なアニール処理を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を表示装置としての液晶表示装置に適用した例で示している。
【0025】
図1及び図2は、アクティブマトリックス型の液晶表示装置1を示している。この液晶表示装置1は、一対の基体としての一対の透明基体2,3、液晶層4、下地絶縁層5、画素電極6、走査配線7、信号配線8、対向電極9、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTという)10、走査線駆動回路11、信号線駆動回路12、液晶コントローラ13等を備えている。
【0026】
一対の透明基体2,3としては、例えば一対のガラス板を用いることができる。これら基体2,3は、図示しない枠状のシール材を介して接合されている。液晶層4は、一対の透明基体2,3の間の前記シール材により囲まれた領域に設けられている。
【0027】
一対の透明基体2,3のうちの一方の透明基体、例えば後側(図2において下側)の透明基体3の内面には、下地絶縁層5、行方向および列方向にマトリックス状に設けられた複数の画素電極6、複数の画素電極6と夫々電気的に接続された複数のTFT10、複数のTFT10と電気的に接続された走査配線7、及び複数のTFT10と電気的に接続された信号配線8等が設けられている。
【0028】
下地絶縁層5としては、例えば窒化シリコン(SiNx)等を用いることができる。TFT10としては、例えば、トップゲート型のポリシリコンTFTが用いられている。半導体層22と、ゲート絶縁膜21と、ゲート電極層20と、ソース電極層23と、ドレイン電極層24と、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを備えている。
【0029】
詳しくは、下地絶縁層5上には、チャネル領域42と、このチャネル領域42の両端に設けられたソース領域40及びドレイン領域41を有する半導体層22が設けられている。半導体層22は、例えば、層厚が20nm以上200nm以下に設定されている。なお、半導体層22の層厚は、最も好ましくは30nm以上50nm以下である。ゲート絶縁膜21は、半導体層22及び下地絶縁層5を覆うように設けられている。このゲート絶縁膜21としては、例えば酸化シリコン(SiO2)等を用いることができる。ゲート絶縁膜21上には、チャネル領域42と対向するようにゲート電極層20が設けられている。層間絶縁層25は、ゲート電極層20及びゲート絶縁膜21を覆うように設けられている。層間絶縁層25は、例えば酸化シリコン(SiO2)等を用いることができる。
【0030】
ゲート絶縁膜21は、ソース電極層23及びドレイン電極層24を半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と電気的に接続させるための第1及び第2コンタクトホール21a,21bを有している。また、層間絶縁層25は、ソース電極層23及びドレイン電極層24を半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と電気的に接続させるための第3及び第4のコンタクトホール25a,25bを有している。
【0031】
また、半導体層22上には、ソース領域40と接するように第1のシリサイド層31aが設けられているとともに、ドレイン領域41と接するように第2のシリサイド層31bが設けられている。本実施形態では、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21b,25a,25bによって露出されるソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部と接するように半導体層22上に設けられているとともに、これと連続して、コンタクトホール21a,21b,25a,25bを構成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁、及び、コンタクトホール25a,25bと連続する層間絶縁層25の上壁の一部を覆うように設けられている。なお、シリサイド層31a,31bによりソース電極層23とドレイン電極層24とが短絡しないように、層間絶縁層25上の少なくともチャネル領域42に対応する領域にはシリサイド層31a,31bを設けないようにしている。なお、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを含むTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法は後に詳しく述べる。
【0032】
ソース電極層23及びドレイン電極層24は、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを介して半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41と夫々電気的に接続するように設けられている。
【0033】
本実施形態では、ソース電極層23及びドレイン電極層24は、コンタクトホール21a,21b,25a,25b内の第1及び第2のシリサイド層31a,31bに囲まれた領域内に埋め込まれているとともに、これと連続して、層間絶縁層25の上面の一部を覆うように張り出す第1及び第2のシリサイド層31a,31b上に設けられている。これらソース電極層23及びドレイン電極層24のパターンエッジは第1及び第2のシリサイド層31a,31bのパターンエッジと略一致している。
【0034】
層間絶縁層25上には、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び層間絶縁層25を覆うようにパシベーション膜26が設けられている。このパシベーション膜26上には平坦化膜27が設けられている。パシベーション膜26及び平坦化膜27には、画素電極6をソース電極層23と電気的に接続させるためのコンタクトホール26a,27aが夫々設けられている。画素電極6は、コンタクトホール26a,27aを介してソース電極層23と接触するように平坦化膜27上に設けられている。透過型の液晶表示装置とする場合、画素電極6としては、例えばITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明電極を用いることができる。また、反射型の液晶表示装置とする場合、画素電極6としては、反射性金属、例えばアルミニウム(Al)や銀(Ag)等からなる電極を用いることができる。
【0035】
走査配線7は、行方向(図1において水平方向)に沿わせて夫々設けられている。これら走査配線7の一端は走査線駆動回路11と電気的に接続されている。走査配線7は、例えば、TFT10が備えるゲート電極層20と一体に設けられている。一方、信号配線8は、画素電極6の列方向(図1において垂直方向)に沿わせて夫々設けられている。これら信号配線8の一端は信号線駆動回路12と電気的に接続されている。信号配線8は、例えば、TFT10が備えるドレイン電極層24と一体に設けられている。
【0036】
走査線駆動回路11および信号線駆動回路12は液晶コントローラ13に接続されている。液晶コントローラ13は、例えば外部から供給される画像信号及び同期信号を受け取り、画素映像信号Vpix、垂直走査制御信号YCT、及び水平走査制御信号XCTを発生する。
【0037】
他方の透明基体である前側(図2において上側)の透明基体2の内面には、複数の画素電極6に対向する一枚膜状の透明な対向電極9が設けられている。対向電極9は、例えばITO等の透明電極からなる。また、前側の透明基体2の内面或いは後側の透明基体3の内面には、複数の画素電極6と対向電極9とが互いに対向する複数の画素領域に対応させてカラーフィルタを設けたり、或いは、前記画素領域の間の領域に対応させて遮光膜を設けたりしてもよい。
【0038】
一対の透明基体2,3の外側には図示しない偏光板が設けられている。また、液晶表示装置1を透過型とする場合、後側の透明基体3の後方には図示しないバックライトが設けられている。なお、液晶表示装置1は、反射型或いは半透過反射型としてもよい。
【0039】
以下、図3及び図4を参照して被処理基板14へのTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法について説明する。
【0040】
まず、被処理基板14を用意する。この実施形態では、被処理基板14として透明基体3上に下地絶縁層5が形成された基板を用いている。この被処理基板14上(下地絶縁層5上)の略全面に層厚が例えば40nmとなるようにアモルファスシリコン層50を形成する。その後、温度500℃の雰囲気中でアニール処理を施し、このアモルファスシリコン層50中の水素を離脱させる(図3(A))。
【0041】
次に、例えばELA(Excimer Laser Anneal)法により、このアモルファスシリコン層50を結晶化させてポリシリコン層51とする。さらに、PEP(Photo Engraving Process、いわゆるフォトリソグラフィー)によりポリシリコン層51上に所定の形状のレジストマスクを形成する。そして、CDE(Chemical Dry Etching)法によりポリシリコン層51にエッチングを施すことによって、ポリシリコン層51を島形状に加工する。その後、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いて、島形状に加工されたポリシリコン層51及び下地絶縁層5を覆うようにゲート絶縁膜21を形成する(図3(B))。
【0042】
ゲート絶縁膜21上に、ゲート電極層20及びこのゲート電極層20と一体に設けられる走査配線7を形成する。ゲート電極層20は、島形状のポリシリコン層51の中間部と対向する位置に形成する。なお、図3及び図4では走査配線7は示されていないが、走査配線7はゲート電極層20の奥側から手前側(図3及び図4に紙面の手前側から奥側)に延びている(図1参照)。ゲート電極層20及び走査配線7は、例えば、モリブデンタングステン(MoW)により形成することができる。この場合、ゲート電極層20及び走査配線7は以下のようにして形成することができる。まず、ゲート絶縁膜21上の略全面にモリブデンタングステン層を形成する。PEPにより所定の形状のレジストマスクを形成する。反応性イオンエッチング法によりモリブデンタングステン層の不要部分を除去する(図3(C))。
【0043】
次に、ゲート電極層20をマスクとし、ポリシリコン層51のソース領域40及びドレイン領域41となる領域に不純物イオン(リンもしくはボロン等)を注入する。これにより、半導体層22は、チャネル領域42、ソース領域40、及びドレイン領域41を有するようになる(図3(D))。
【0044】
ゲート電極層20及びゲート絶縁膜21を覆うように層間絶縁層25を形成する。ソース領域40の少なくとも一部を露出させるため、ゲート絶縁膜21に第1のコンタクトホール21aを形成するとともに、層間絶縁層25に第3のコンタクトホール25aを形成する。ドレイン領域41の少なくとも一部を露出させるため、ゲート絶縁膜21に第2のコンタクトホール21bを形成するとともに、層間絶縁層25に第4のコンタクトホール25bを形成する(図4(A))。
【0045】
次に、例えばコバルト(Co)からなる金属層32をソース領域40及びドレイン領域41と接触するように半導体層22上に設ける。この金属層32は、例えば、コンタクトホール21a,21b,25a,25bから露出する半導体層22の上面(ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部)と、コンタクトホール21a,21b,25a,25b(ゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁)と、層間絶縁層25の上壁とを覆うように形成する。なお、この金属層32は、例えば、層厚が2nm〜10nm程度となるように形成するとよい。この金属層32を、シラン系ガス(例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等)又はシラン系ガスを含む混合ガスを用いて金属層32をシリサイド化する。本実施形態では、例えば、モノシランガスの分圧が20Paとなるようにモノシランガスを水素ガスで希釈したガスを用い、200℃〜400℃程度の温度下で金属層32をシリサイド化している(図4(B))。
【0046】
前記温度範囲において、シラン系ガスは層間絶縁層25等とは殆ど反応しない。これに対し、金属層32をなすコバルトが触媒的な効果を奏することから、金属層32では選択的にシリサイド化が進行する。また、この時、シラン系ガスによって金属層32の表面に形成されている酸化層が還元されるため、金属層32のシリサイド化は表面から厚さ方向(内部方向)に進行する。したがって、金属層32は、低抵抗なCoSi2層(コバルトシリサイド層)となる。
【0047】
なお、200℃程度でも金属層32のシリサイド化は進行するが、温度が高い程反応が促進される(反応速度が速くなる)ため、300℃〜400℃程度とすると処理時間を短縮できる。また、CoSi2層の最表面には酸化シリコン層が形成され易い。このため、次工程に進む前の前処理として、前記酸化シリコン層を除去するのが望ましい。
【0048】
次に、前記ソース領域40及びドレイン領域41に注入された不純物の活性化アニールを行う。活性化アニールはイオン注入後に行ってもよいが、被処理基板14上にアイランド状に形成された半導体層22をフラッシュランプやレーザーを用いた急速アニール法で熱処理する場合、光を吸収する半導体層22パターンの粗密等により均一な熱処理が難しい。被処理基板14の全面(コンタクトホール21a,21b,25a,25bを構成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の側壁と、層間絶縁層25の上壁)を覆うようにシリサイド層(CoSi2層)が形成されている状態で活性化アニールすることは、均一な熱処理が達成できる点で望ましい。
【0049】
次に、CoSi2層上に、ソース電極層23及びドレイン電極層24を形成する。なお、図3及び図4では信号配線8は示されていないが、信号配線8はドレイン電極層24と一体に形成する(図1参照)。ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば、アルミニウムにより形成することができる。この場合、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば以下のようにして形成する。まず、CoSi2層の略全面かつコンタクトホール21a,25a内を埋めるようにアルミニウム層を形成する。PEPにより所定の形状のレジストマスクを形成する。反応性イオンエッチング法によりアルミニウム層の不要部分を除去する。
【0050】
その後、これらソース電極層23及びドレイン電極層24をマスクとし、ソース電極層23及びドレイン電極層24のパターンエッジとCoSi2層のパターンエッジとが一致するように、前記CoSi2層をエッチングする。これにより、第1及び第2のシリサイド層31a,32aが形成される(図4(C))。
【0051】
以上のように、本実施形態のTFT10では、第1のシリサイド層31aが、第1のコンタクトホール21aにより露出されるソース領域40の少なくとも一部及び第1のコンタクトホール21aを少なくとも覆うように設けられている。また、第2のシリサイド層31bが、第2のコンタクトホール21bにより露出されるドレイン領域41の少なくとも一部及び第2のコンタクトホール21bを少なくとも覆うように設けられている。
【0052】
したがって、第1のシリサイド層31a上に設けられたソース電極層23は、この第1のシリサイド層31aを介してソース領域40と電気的に接続することとなり、ソース電極層23と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させることができるので、オン電流を増大させることができる。また、第2のシリサイド層31b上に設けられたドレイン電極層24は、この第2のシリサイド層31bを介してドレイン領域41と電気的に接続することとなり、ドレイン電極層24と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させることができるので、オン電流を増大させることができる。
【0053】
しかも、本実施形態のTFT10が備える第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、半導体層22中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に設けられるサリサイドではなく、シラン系ガス中での熱処理により金属層32をなす金属が触媒として作用することで設けられるシリサイドからなる。したがって、半導体層22中のシリコン原子が消費されるのを抑制しつつ、半導体層22上に第1及び第2のシリサイド層31a,31bを設けることができる。したがって、半導体層22の薄層化が可能であり、半導体層22の層厚が20nm以上200nm以下に設定されているようなTFT10が得られる。
【0054】
なお、前記サリサイド層は、上述のように、半導体層22中のシリコン原子と反応させることで自己整合的に形成されるものであるため、半導体層22との接触部のみにしか形成されない。つまり、サリサイド層は、コンタクトホール21a,21bを覆うようには設けることができない。
【0055】
これに対し、本実施形態のTFT10が備える第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、上述のように、シラン系ガス中での熱処理により金属層32をシリサイド化させてなるものである。したがって、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、コンタクトホール21a,21bにより露出されるソース領域40及びドレイン領域41の少なくとも一部だけでなく、これらと連続するコンタクトホール21a,21bにも設けることができる。
【0056】
また、本実施形態のTFT10の形成方法によれば、ソース領域40及びドレイン領域41と接触するように半導体層22上にシリサイド化が可能な金属層32を形成し、この金属層32をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスにより表面側から厚み方向内側に向けて選択的にシリサイド化させることで第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成している。したがって、半導体層22中のシリコン原子の消費を抑制しつつ、ソース領域40とソース電極層23との間及びドレイン領域41とドレイン電極層24との間に、ソース電極層23及びドレイン電極層24と半導体層22とのコンタクト抵抗を低減させる第1及び第2のシリサイド層31a,31bを夫々低温且つ安価に設けることができる。
【0057】
さらに、本実施形態のTFT10及びその形成方法によれば、金属層32のシリサイド化のために、エレベーテッド・ソース・ドレイン構造を採用したり、熱アニールやレーザーアニールによってシリサイド化したりする必要がない。したがって、安価にシリサイド層31a,31bを設けることができる。しかも、金属層32をシラン系ガスによりシリサイド化させるプロセスは、例えば、液晶表示装置1の製造プロセスに適用できる程度の低温で行うことができる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、半導体層22の薄層化が可能であって、かつ、半導体層22のソース領域40及びドレイン領域41に対応させて低温且つ安価にシリサイド層31a,31bを設けることができるTFT10、液晶表示装置1、及びこれらの形成方法が得られる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、ソース電極層23及びドレイン電極層24と、第1及び第2のシリサイド層31a,31bを連続的にエッチングすることで形成でき、不要なシリサイドをエッチングする工程を追加する必要がない。更に、金属層32をシリサイド化した後にソース領域40及びドレイン領域41を含む半導体層22に注入された不純物を活性化することで、アイランド状に形成された半導体層22に対しても均一なアニール処理を行うことができる。
【0060】
しかも、本実施形態によれば、金属層32をコバルト層とすることにより、低抵抗なCoSi2からなるシリサイド層31a,31bを比較的低いプロセス温度で得ることができる。表示装置1が備えるTFT10の半導体層22のソース領域40とソース電極層23との間、及び、半導体層22のソース領域40とソース電極層23との間のコンタクト抵抗をさらに低減させることができる。
【0061】
以下、図5を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
【0062】
本実施形態では、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を銅(Cu)により形成している。
【0063】
また、ソース電極層23と第1のシリサイド層31aとの間、及び、ドレイン電極層24と第2のシリサイド層31bとの間にベースバリアメタル層33を設けている。さらに、ソース電極層23の露出面である上面並びに周面、及び、ドレイン電極層24の露出面である上面並びに周面を夫々覆うようにカバーバリアメタル層34を設けている。ベースバリアメタル層33及びカバーバリアメタル層34は夫々、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの原子(本実施形態では銅原子)の拡散を抑制可能な層としている。
【0064】
ところで、ベースバリアメタル層33は、その表面に銅を無電解めっき法により形成できる金属で形成するのが好ましい。このようなベースバリアメタル層33としては、例えば、TiN、TaN、TiSiN、TaSiN、WSiN等がある。また、カバーバリアメタル層34は、銅の表面に無電解めっき法により選択的に形成できる金属で形成するのが好ましい。このようなカバーバリアメタル層34としては、例えば、コバルト(Co)−タングステン(W)−ホウ素(B)合金、コバルト(Co)−ホウ素(B)合金、コバルト(Co)−リン(P)合金、ニッケル(Ni)−リン(P)合金、ニッケル(Ni)−タングステン(W)−リン(P)合金等がある。
【0065】
以下、図5を参照して被処理基板14へのTFT10、走査配線7、及び信号配線8の形成方法について説明する。なお、図5(A)に示すように、ソース領域40及びドレイン領域41の少なくとも一部が露出するようにゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25にコンタクトホール21a,25aを形成するところまでは第1の実施形態と同様であるから、重複する説明は省略する(図3(A)〜(D)及び図4(A)参照)。
【0066】
続けて、層厚が略2nm〜10nmとなるように例えばコバルト(Co)からなる金属層32を形成する。この金属層32は、例えば、ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部、コンタクトホール21a,25aを形成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の壁面、及び、コンタクトホール25aと連続する層間絶縁層25の上面の一部を覆うように形成されている。このような金属層32は、以下のようにすることで形成できる。まず、コンタクトホール21a,25aから露出する半導体層22の上面(ソース領域40の一部及びドレイン領域41の一部)と、コンタクトホール25aを形成するゲート絶縁膜21及び層間絶縁層25の壁面と、層間絶縁層25上の略全面とを覆うようにコバルト層を形成する。そして、PEPとエッチング法とを組み合わせて金属層32の不要部分を除去する(図5(B))。
【0067】
その後、シラン系ガス(例えば、モノシラン(SiH4)ガスやジシラン(Si2H6)ガス等)又はシラン系ガスを含む混合ガスを用いて金属層32をシリサイド化することで第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成する。
【0068】
なお、この実施形態では、予め金属層32の不要部分を除去していないが、シリサイド化した前に不要部分を除去して第1及び第2のシリサイド層31a,31bを形成してもよい。
【0069】
次に、ベースバリアメタル層33を形成する。ベースバリアメタル層33は、例えば、以下のようにして形成することができる。まず、シリサイド化された金属層32上を覆うように、例えば、TiNからなるベースバリアメタル層33を形成する。このベースバリアメタル層33上に、ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を形成する。ソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8は、例えば、以下のように形成することができる。
【0070】
まず、ベースバリアメタル層33の上面のソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8に対応する領域(以下、形成領域という)を露出させるような開口を有する絶縁層を形成する。このような絶縁層は、例えば、ベースバリアメタル層33及び層間絶縁層25を覆うように絶縁性を有する感光性樹脂層を成膜し、前記形成領域が露出するように前記感光性樹脂層をパターニングすることにより形成することができる。そして、無電解めっき法により、前記絶縁層の開口を埋めるようにソース電極層23及びドレイン電極層24を形成する。前記絶縁層はソース電極層23及びドレイン電極層24の形成後に除去する。
【0071】
さらに、ソース電極層23及びドレイン電極層24の露出面(周面及び上面)を覆うように、例えばCo−W−B合金からなるカバーバリアメタル層34を無電解めっき法により形成する。次に、ベースバリアメタル層33及びシリサイド化された金属層32の不要部分をエッチングする(図5(C))これにより、TFT10、走査配線7、及び信号配線8が形成される。なお、他の構成及び工程は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0072】
本実施形態によれば、低抵抗性や耐マイグレーション性等に優れている銅によってソース電極層23、ドレイン電極層24、及び信号配線8を形成することができる。
【0073】
しかも、本実施形態によれば、ソース電極層23と第1のシリサイド層31aとの間、及び、ドレイン電極層24と第2のシリサイド層31bとの間に、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの半導体層22への原子の拡散を抑制するベースバリアメタル層33を設けている。このため、ソース電極層23及びドレイン電極層24をなす原子がシリサイド層31a,31bを介して半導体層22に拡散するのを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、ソース電極層23の露出面である上面並びに周面、及び、ドレイン電極層24の露出面である上面並びに周面を覆うように、ソース電極層23及びドレイン電極層24からの原子の拡散を抑制するカバーバリアメタル層34を設けている。このため、ソース電極層23及びドレイン電極層24をなす原子がパシベーション膜26等に拡散するのを抑制することができる。
【0075】
なお、第1及び第2の実施形態では、金属層32としてコバルト層を用いているが、金属層32は、例えば、ニッケル(Ni)層等、シリサイド化が可能な層であればよい。すなわち、第1及び第2のシリサイド層31a,31bは、CoSi2だけでなくNiSi等により形成してもよい。
【0076】
また、本発明は、液晶表示装置に限定されるものではなく、有機EL装置或いは無機EL装置等の表示装置にも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、半導体層の薄層化が可能であって、かつ、ソース電極層及びドレイン電極層と半導体層とのコンタクト抵抗を低減させるシリサイド層を低温且つ安価に設けることができる薄膜トランジスタ、表示装置、及びこれらの形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図。
【図2】図1の液晶表示装置の一部分を示す断面図。
【図3】(A)〜(D)は図1の液晶表示装置が備える薄膜トランジスタを形成する前半の工程を説明する断面図。
【図4】(A)〜(C)は図1の液晶表示装置が備える薄膜トランジスタを形成する後半の工程を説明する断面図。
【図5】(A)〜(C)は本発明の第2の実施形態に係る薄膜トランジスタを形成する工程を説明する断面図。
【符号の説明】
1…液晶表示装置(表示装置)、3…透明基体(基体)、10…薄膜トランジスタ、14…被処理基板、20…ゲート電極層、21…ゲート絶縁膜、21a…第1のコンタクトホール、21b…第2のコンタクトホール、22…半導体層、23…ソース電極層、24…ドレイン電極層、31a…第1のシリサイド層、31b…第2のシリサイド層、32…金属層、33…ベースバリアメタル層、34…カバーバリアメタル層、40…ソース領域、41…ドレイン領域、42…チャネル領域
Claims (14)
- チャネル領域と、このチャネル領域の両端に設けられたソース領域及びドレイン領域とを有する半導体層と、
前記ソース領域の少なくとも一部を露出させる第1のコンタクトホール及び前記ドレイン領域の少なくとも一部を露出させる第2のコンタクトホールを有し、少なくとも前記チャネル領域を覆うように前記半導体層上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記チャネル領域と対向するようにゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極層と、
前記第1のコンタクトホールにより露出される前記ソース領域の少なくとも一部及び前記第1のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第1のシリサイド層と、
第2のコンタクトホールにより露出される前記ドレイン領域の少なくとも一部及び前記第2のコンタクトホールを少なくとも覆うように設けられた金属層をシラン系ガス或いはシラン系ガスを含む混合ガスによりシリサイド化させてなる第2のシリサイド層と、
前記第1のシリサイド層上に設けられたソース電極層と、
前記第2のシリサイド層上に設けられたドレイン電極層と、を具備していることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 前記ソース電極層のパターンエッジと前記第1のシリサイド層のパターンエッジとが一致するように前記ソース電極層及び前記第1のシリサイド層が設けられているとともに、前記ドレイン電極層のパターンエッジと前記第2のシリサイド層のパターンエッジとが一致するように前記ドレイン電極層及び前記第2のシリサイド層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記ソース電極層と前記第1のシリサイド層との間、及び、前記ドレイン電極層と前記第2のシリサイド層との間に設けられ、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層から前記半導体層への原子の拡散を抑制するベースバリアメタル層をさらに具備していることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記ソース電極層の露出面、及び、前記ドレイン電極層の露出面を覆うように設けられ、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層からの原子の拡散を抑制するカバーバリアメタル層をさらに具備していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記ソース電極層及びドレイン電極層は、上面並びに周面に露出面を有しており、前記カバーバリアメタルは、前記ソース電極層の上面並びに周面、及び、前記ドレイン電極層の上面並びに周面を覆うように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記金属層はコバルト層であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体層の層厚が20nm以上200nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
- マトリックス状に設けられた複数の薄膜トランジスタを具備する表示装置であって、前記複数の薄膜トランジスタの各々は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタであることを特徴とする表示装置。
- 被処理基板上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成するとともに、前記半導体層の中間部と対向するように前記ゲート絶縁膜上にゲート電極層を形成する工程と、
前記半導体層の前記ゲート電極層と対向する領域にチャネル領域を形成するとともに、前記チャネル領域の両端にソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、
前記ソース領域及び前記ドレイン領域と接触するように前記半導体層上にシリサイド化が可能な金属層を形成する工程と、
シラン系ガス又はシラン系ガスを含む混合ガスにより、前記金属層を表面側から厚み方向内側に向けてシリサイド化させることで、前記ソース領域と接触する第1のシリサイド層と前記ドレイン領域と接触する第2のシリサイド層とを形成する工程と、
前記第1のシリサイド層を介して前記半導体層のソース領域と電気的に接続するようにソース電極層を形成するとともに、前記第2のシリサイド層を介して前記半導体層のドレイン領域と電気的に接続するようにドレイン電極層を形成する工程と、を具備してなることを特徴とする薄膜トランジスタの形成方法。 - 前記第1のシリサイド層を介して前記半導体層のソース領域と電気的に接続するようにソース電極層を形成するとともに、前記第2のシリサイド層を介して前記半導体層のドレイン領域と電気的に接続するようにドレイン電極層を形成する工程は、前記ソース電極層及びドレイン電極層から前記半導体層への原子の拡散を抑制するベースバリアメタル層を前記第1及び第2シリサイド層上に形成する工程と、前記ソース電極層及びドレイン電極層を前記ベースバリアメタル層上に形成する工程と、含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの形成方法。
- 前記第1のシリサイド層を介して前記半導体層のソース領域と電気的に接続するようにソース電極層を形成するとともに、前記第2のシリサイド層を介して前記半導体層のドレイン領域と電気的に接続するようにドレイン電極層を形成する工程は、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層からの原子の拡散を抑制するカバーバリアメタル層を前記ソース電極層の露出面及び前記ドレイン電極層の露出面を覆うように形成する工程を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の薄膜トランジスタの形成方法。
- 前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層を所定の形状にパターニングするとともに、前記第1及び第2のシリサイド層のパターンエッジが前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のパターンエッジと一致するように前記第1及び第2のシリサイド層をパターニングする工程をさらに具備することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの形成方法。
- 前記第1及び第2のシリサイド層を形成する工程の後に、前記ソース領域及び前記ドレイン領域を含む半導体層に注入された不純物を活性化する工程をさらに具備することを特徴とする請求項9又は10に記載の薄膜トランジスタの形成方法。
- マトリックス状に形成された複数の薄膜トランジスタを具備する表示装置の形成方法であって、前記複数の薄膜トランジスタの各々は、請求項9ないし13のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの形成方法で形成されていることを特徴とする表示装置の形成方法。
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