JP2004355777A - 対物レンズ駆動装置および当該装置を用いた光ピックアップならびに対物レンズ駆動装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な2分割金型でインサート成形可能であって、かつ、チルトの発生を抑制できると共に小型化が可能な対物レンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】対物レンズ21を搭載した可動部材20は、4本の弾性支持部材31a,31b,32a,32bを介して固定部材10に保持される。上段の弾性支持部材31a,31bは可動部材20側が幅の狭いハの字状に配設されると共に、下段の弾性支持部材32a,32bは、固定部材10側が幅の狭いハの字状に配設され、それぞれの固定部材10と可動部材20との接続部位はフォーカス方向から見たときに重ならないようになっている。
【選択図】 図2
【解決手段】対物レンズ21を搭載した可動部材20は、4本の弾性支持部材31a,31b,32a,32bを介して固定部材10に保持される。上段の弾性支持部材31a,31bは可動部材20側が幅の狭いハの字状に配設されると共に、下段の弾性支持部材32a,32bは、固定部材10側が幅の狭いハの字状に配設され、それぞれの固定部材10と可動部材20との接続部位はフォーカス方向から見たときに重ならないようになっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【従来の技術】
CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・ヴァーサタイル・ディスク)といった光ディスク等の光記録媒体の記録再生を行う光ピックアップでは、集光手段である対物レンズをその光軸方向(以下、「フォーカス方向」という。)へ駆動させて焦点合わせを行うとともに、集光スポットを光記録媒体上の情報記録列にほぼ直交する方向(以下、「トラッキング方向」という。光ディスクなどの円盤状光記録媒体においてはトラッキング方向は、半径方向とほぼ平行な方向となる。)に微小変位させて光記録媒体上の情報記録列に対して高精度に位置決めする必要がある。
【0002】
このため、対物レンズを搭載する第1の部材を複数本の弾性支持部材を介して別の第2の部材に保持し、この第2の部材を、さらに光学基台等に固定し(以後対物レンズを搭載する第1の部材を「可動部材」、光学基台等へ固定される第2の部材を「固定部材」という。)、駆動コイルと磁石との間に生じる電磁気的な推力により可動部材を固定部材に対してフォーカス方向とトラッキング方向へ駆動する機構を設けた構成が提案され、対物レンズ駆動装置として広く使用されている。
【0003】
ところが、近年、取り扱う情報量が増大して光記録媒体が大容量高密度化すると共に光学読取機器の利用分野が飛躍的に拡大してきており、対物レンズ駆動装置に対してもさらなる精度の向上、及び小型化が要求されている。また、その一方で低コスト化の要請も強い。
そのため、例えば特許文献1においては、弾性支持部材と可動部材あるいは固定部材とを一体成形する対物レンズ駆動装置の構成が提案されている。
【0004】
図15は、上記特許文献1における対物レンズ駆動装置500の構成を示す概略図である。
対物レンズ521を搭載した可動部材520は、平行に伸びる4本の弾性支持部材531a,532a,531b,532bを介して、フォーカス方向とトラッキング方向に移動可能な状態で、固定部材510により保持されている。
【0005】
この弾性支持部材531a,532a,531b,532bは、導電性で弾性を有する金属の板材からプレス工法やエッチング工法により形成され、これらを樹脂成形により可動部材520及び固定部材510と一体成形(インサート成形)して構成される。このように一体成形することにより、個々の弾性支持部材531a,532a,531b,532bを1本ずつ接着及び半田付けの工程を経て組み立てていた従来の場合に比べて、小型化が実現できると共に、接続の手間が軽減されてコストダウンが図れる。
【0006】
また、4本の弾性支持部材531a,532a,531b,532bの取り付け条件を均一にすることができるので、可動部材520が当該4本の弾性支持部材によりバランスよく保持され、フォーカス方向とトラッキング方向の移動がスムーズに行えると共に、対物レンズ駆動時に不要な振動やチルト(可動部材が固定部材に対して相対的にねじれること)などが生じにくく精度の高い対物レンズ駆動が可能となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−69655号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、上下の弾性支持部材531a,532a,531b,532bと可動部材520および固定部材510とを一体成形するために上下左右の4分割の複雑な金型が必要となるという問題がある。
図16は、インサート成形時において、4分割金型で型締めした後、樹脂を注入したときの状態を図15のH−H線における矢視方向から見たときの断面図である。なお、図16では金型の組み合わせの状態が分かり易いように、弾性支持部材531a,532a,531b,532bおよび固定部材510の断面には、斜線は付していない。
【0009】
同図に示すように金型は、上金型211、下金型212、左金型213、右金型214の4つが必要となり、注入した樹脂が固まった後、それぞれの金型を矢印方向に取り外して成形物を取り出すことになるが、左金型213と右金型を左右の矢印方向に抜くときにその表面が弾性支持部材531a,532a,531b,532bに引っ掛かって、それらの弾性支持部材が変形してしまうことがあり、歩留まりが悪い。
【0010】
また、金型が4分割であるため、各金型の型締め動作と分離動作の機械化が難しく、さらには、横金型を抜く方向には、キャビティを連設することができないため、1組の金型で成形できる数量に限界があり、生産性の点でも問題があった。
一方、特にフォーカス方向及びトラッキング方向に直交する方向を回転中心とした回転方向(チルト方向)における弾性支持部材の剛性が小さい場合には、不要な共振やねじり運動が発生する場合があるので、構造的に当該チルト方向における剛性を強めることが望まれている。
【0011】
上述のような、▲1▼一体成形における生産性の向上と、▲2▼チルト方向における一定以上の剛性の必要性という2つの課題を同時に解決するため、例えば、次に示すような改良が考えられる。
図17は、当該改良されたレンズ駆動装置600の概略斜視図である。なお、同図では、駆動コイルや光学基台などの図示は省略されている。
【0012】
同図に示すように、対物レンズ621を搭載した可動部材620は、4本の弾性支持部材631a,631b,632a,632bを介して固定部材610に保持されているが、図18(a)の平面図にも示すように4本の弾性支持部材は、上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bがそれぞれ中心線Iに対して対称で、▲1▼ハの字型に配設されており、また、▲2▼下段の弾性支持部材632a,632bの間隔を、上段の弾性支持部材631a,631bの間隔より広く、それぞれ可動部材620、固定部材610との接続位置がフォーカス方向から見たときに重ならないように配設されている。また、図18(b)の正面図に示すように上段の弾性支持部材と下段の弾性支持部材は平行になっている。
【0013】
上記▲1▼の構成により、チルト方向の回転に対して剛性が強くなる。また、▲2▼の構成により、上下2分割のみの簡単な金型構造での作製が可能となる。すなわち、金型で弾性支持部材を固定すべき領域は、樹脂を注入して成形する部分との境界、すなわち固定部材610、可動部材620との接続部位のみであり、上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bが、当該接続位置でフォーカス方向から見て重なってはおらず、上下方向の2分割の金型によりインサート成形が可能となる。
【0014】
図19は、図17の本体をインサート成形時に型締めされた金型の状態を、図18のJ−J線に対応する位置において矢視方向から見たときの断面図である。本図でも図16同様、弾性支持部材631a,632a,631a,632bおよび固定部材510の断面には斜線は付していない。
同図に示すように上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bの固定部材610の接続付近の位置が、金型の閉じる方向と直交する方向において位置が異なるので、上下2分割の金型で挟持してインサート成形でき、横金型が不要となって非常に簡単な金型構造となる。これにより従来の横金型を抜き取る際に生じていた弾性支持部材の変形もなくなると共に、図の左右方向にもキャビティを連設することができる。これにより、機械化による大量生産が容易になり、製品の信頼性とコストダウンを同時に実現できる。
【0015】
しかしながら、図17に示す構造であっても、次のような問題が生じる。
すなわち、図17では、確かに上下段の弾性支持部材は、それぞれハの字型に配設しているため、各々が回転方向に対して剛性を持つ構造となっている。しかし、図20の模式図に示すように上段の弾性支持部材の幅W2が幅W1よりも広くなり、下段の弾性支持部材間の固定部材側の幅W3はW2よりさらに外側に広くしなければならない。金型の構成的に、W2に対してW3をかなり大きくする必要があるため、上下段におけるチルト方向に対する剛性が異なるものとなり、一体成形した場合、上下のチルト方向の剛性が非対称となる。対物レンズ駆動装置の特性を向上させるためには上下段の弾性支持部材による支持特性を対称とする事が望ましい。
【0016】
また、W3>W2となるため、当該幅方向における固定部材の寸法をW3に合せて大きくせざるを得ず、レンズ駆動装置の小型化が難しいという問題もある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、大量生産が容易であって歩留まりが高く、かつ、小型化を可能にしつつ、チルトの発生を抑制し、安定した駆動特性を実現することができる対物レンズ駆動装置および当該対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ並びに対物レンズ駆動装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の対物レンズ駆動装置は、光源からの出射光を光記録媒体の記録面に集光させる対物レンズをフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置であって、前記対物レンズを保持する第1の部材と、前記第1の部材を複数の弾性支持部材を介して支持する第2の部材と、前記第1の部材を、第2の部材に対してフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する駆動手段とを備え、前記複数の弾性支持部材は偶数本であって、前記フォーカシング方向において上段と下段の2つの同本数の群に分かれ、各弾性支持部材は、前記フォーカシング方向から平面視したときに、(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設されてなることを特徴としている。
【0018】
上記(a)の構成により、対物レンズ駆動装置本体をインサート成形する場合に、フォーカス方向から閉じる2分割の金型のみで、各弾性支持部材の、第1の部材もしくは第2の部材との各接続部を挟持することが可能となり、金型内に注入した樹脂がこの部分から漏れないようにすることができる。
また、(b)の構成により、上段と下段の対応する弾性支持部材同士が交差する構成としているので、各段における弾性支持部材群の外側に広がる箇所と内側に狭くなる箇所を上段と下段で互い違いになって、それぞれの段におけるチルト方向の剛性を相対的にほぼ等しくすることができ、また、各段における弾性支持部材群が、その可動部および固定部端において重なりあってはいないため、上記(a)の構成にするために一方の段の弾性支持部材を他方の段よりもさらに外側に広がらせる必要もなく、対物レンズ駆動装置の小型化の支障とはならない。
【0019】
なお、上段と下段の対応する弾性支持部材のフォーカス方向から見て交差した部分に対応する金型の部分を空洞にしておけば、弾性支持部材と金型が抵触するおそれはない。
また、本発明は、前記上段と下段の弾性支持部材群は、前記フォーカシング方向から平面視したときに、(c)当該上段と下段の弾性支持部材群の第1の部材との接続位置が、第1の仮想線上にあると共に、当該上段と下段の弾性支持部材群の第2の部材との接続位置は、前記第1の仮想線とほぼ平行な第2の仮想線上にあり、(d)かつ、前記上段と下段の弾性支持部材群は、上記第1と第2の仮想線から等距離にある直線に対してほぼ線対称になるように配設されてなることを特徴とする。
【0020】
この構成により、それぞれの段におけるチルト方向の構造力学的な剛性をほぼ完全に一致させることができ、より一層チルトが発生しないようにできる。
ここで、前記第1の部材と前記第2の部材が、前記弾性支持部材と一体に樹脂成形されてなることが望ましい。
また、本発明に係る光ピックアップは、レーザー発光素子、受光素子および対物レンズ駆動装置とを備えた光ピックアップであって、前記対物レンズ駆動装置として請求項1から3のいずれかに記載の対物レンズ駆動装置を用いてなることを特徴としている。
【0021】
ここで、前記レーザ発光素子および受光素子が、前記対物レンズ駆動装置における対物レンズを保持する第1の部材に搭載されるように構成してもよい。
これにより、対物レンズの光軸とレーザー光の主光線とのずれが生じにくくなり、光記録媒体の情報の読取りおよび/または書込み精度が向上する。
また、本発明に係る対物レンズ駆動装置の製造方法は、対物レンズを搭載する第1の部材を、前記フォーカシング方向における上段と下段に分かれた同数の2群の弾性支持部材を介して第2の部材に保持し、駆動ユニットの駆動力により前記第1の部材をフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置の製造方法であって、各弾性支持部材を、前記フォーカス方向から平面視したときに、(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設された状態で前記弾性支持部材を金型に挟持してインサート成形する工程を含むことを特徴としている。
【0022】
このような製造方法により上記対物レンズ駆動装置を効率的に製造できる。
ここで、前記インサート成形の工程の前に、第1および第2の金属板を加工し、各金属板より前記上段の弾性支持部材群と前記下段の弾性支持部材群を、それぞれのフレームに繋がった状態で、かつ、それらを重ねたときに、前記(a)および(b)の配設条件を満たすような形状になるように形成する弾性支持部材群準備工程と、前記インサート成形の工程後に、前記フレームを切除する工程とを備えることが望ましい。
【0023】
これにより、インサート成形時における複数の弾性支持部材相互の位置決めを容易に行うことができ、生産性が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
<対物レンズ駆動装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置100の構成を示す斜視図である。
【0025】
同図に示すように対物レンズ駆動装置100は、対物レンズ21を搭載する可動部材20を4本の弾性支持部材31a,31b,32a,32b(図1では32bは隠れて見えない。)を介して固定部材10に保持される。
本実施の形態においては、弾性支持部材31a,31b,32a,32bは弾性(ばね性)を有する金属からなる。このような金属として例えば燐青銅、チタン銅、ベリリウム銅等が望ましい。
【0026】
固定部材10は、平板状の光学基台40に接着剤などにより固定される。可動部材20の固定部材10側の側面とこれと反対側の側面には磁石61,62が、当該磁石から出る磁束の方向が、対物レンズ21の光軸と直交する平面とほぼ平行な方向、もしくは、コイルユニット51,52に対してほぼ垂直に入射する方向となる状態で、固着されており、コイルユニット51,52がそれぞれ磁石61,62と対向する位置において、光学基台40上に固着されている。
【0027】
コイルユニット51,52は同じ構成であり、ヨーク513,523の回りに、巻き方向がトラッキング方向と平行な第1のコイル(フォーカシング用コイル)512,522を形成し、さらに巻き方向がフォーカス方向と平行な第2のコイル(トラッキング用コイル)511,521を形成してなる。
このコイルユニット51,52と磁石61,62との間で発生する電磁気的な推力により、対物レンズ21を搭載した可動部材20がフォーカス方向とトラッキング方向に変位される。
【0028】
図2(a)(b)は、それぞれ対物レンズ駆動装置100の平面図、正面図である。なお、本図では、弾性支持部材31a,31b,32a,32bの配置を分かり易く示すため、光学基台40、コイルユニット51,52などは図示していない。なお、この図のように、可動部材と固定部材が弾性支持部材を介して接続された構造体を、以下では、「レンズ駆動装置本体」という。
【0029】
図2(a)に示すように上段の弾性支持部材31a,31bは、固定部材10側に向かって広がるハの字型に配されており、下段の弾性支持部材32a,32bは、その反対の方向に向かって広がるハの字型をしている。
また、一点鎖線Aは、固定部材10と可動部材20の重心を結ぶ仮想線であり、(以下、「中心線」という。)であり、上段の弾性支持部材31a,31bおよび下段の弾性支持部材32a,32bは、それぞれ平面視において上記中心線Aに対して対称となるように配設されている。
【0030】
そして、上段の弾性支持部材31a,31bと下段の弾性支持部材32a,32bは、図2(b)に示すようにそれぞれ平行な平面内にある。
図2(a)の固定部材10側の凹部11a,11bには、弾性支持部材の基端部を覆うようにダンパー部材(不図示)が充填されるようになっており、これにより駆動時における弾性支持部材の不要な振動を吸収して対物レンズの微駆動の精度を向上させるようになっている。
【0031】
このダンパー部材は、例えば、液状シリコーンと架橋剤の混合物からなるシリコーン多孔性物質から形成されており、全方向においてほぼ均一な粘弾性を有するため、優れた共振抑制特性を有する。
また、図3(a)(b)は、それぞれ図2(a)のP―P線とQ−Q線における矢視断面図である。ここで、上段の弾性支持部材31a,31bと固定部材10、可動部材20との接続位置をD1〜D4、下段の弾性支持部材32a,32bと固定部材10、可動部材20との接続位置をE1〜E4とすると(図4参照)、D1D4間の距離W6(図3(b))とE2E3間の距離W5(図3(a))および、D2D3間の距離W4(図3(a))とE1E4間の距離W7(図3(b))がそれぞれ等しく、かつ、線分D1D4と線分E1E4の各中点、線分D2D3と線分E2E3の各中点が、それぞれ図2の平面視において一致し、かつ、中心線Aと重なるようになっている。
【0032】
このように弾性支持部材31a,31b,32a,32bの配置を構成することにより、チルトが生じにくくなる(以下、チルトの発生のしにくさを「チルト剛性」という。)。
すなわち、図4の模式図に示すように上段と下段の弾性支持部材31a,31bと32a,32bは、それらと固定部材10、可動部材20の接続位置が平行な直線α、β上にあり、これらに対して平行で等距離にある直線Cについて線対称になるように配設されている。
【0033】
図面Y方向のみならずX方向へも弾性支持部材により支持する形となるために回転方向への剛性を高めることができることに加え、上段の弾性支持部材31a,31bと下段の弾性支持部材32a,32bによるチルト方向に対するバネ剛性が相対的に等しくなるため、回転モーメントが発生しにくくなり、その結果チルト剛性が高くなる。
【0034】
これにより光ディスクなどの光記録媒体への対物レンズ21の焦点の追随動作と情報記録列への追随動作の精度を高めることができる。
また、このような構成にすると図20で示したように下段の弾性支持部材の幅W3を上段の弾性支持部材の幅W2より広く取る必要はなく、上段と下段で同じ幅にできるので、その分コンパクト化に資する。
【0035】
図5は、インサート成形時における金型の状態を示すための断面図であり、図2のQ−Q線に相当する位置での断面で示している。
同図に示すように上下金型201,202のみで各弾性支持部材31a,31b,32a,32bと固定部材10および可動部材20との接続部分をしっかりと挟持すると共に、キャビティ内に注入された樹脂が外に漏れないようにでき、インサート成形が可能となる。
【0036】
なお、上段と下段の対応する弾性支持部材31a,31b,32a,32bのフォーカス方向から見て交差した部分に相当する金型の部分は空洞にしておけば、この部分で弾性支持部材と金型が抵触するおそれはない。
このようにすることにより横金型が必要でなくなり、歩留まりは向上し、金型型締めおよび分離における機械化が容易になると共に図5の左右方向にもキャビティを連設することも可能なので、生産性が極めて向上する。
【0037】
<対物レンズ駆動装置の製造方法>
次に、上記対物レンズ駆動装置100の製造方法について説明する。
(1)弾性支持部材準備工程
まず、図6に示すように、燐青銅、チタン銅、ベリリウム銅等の弾性金属材料からなる2枚の金属板310,320を用意し(図6(a))、エッチング工法或いはプレス工法により、フレーム部分312,322により複数の弾性支持部材31a,31b,32a,32bの端部が接続されたフレーム付き弾性支持部材群311,321を成形する。ここで、フレーム付き弾性支持部材群321は、フレーム付き弾性支持部材群311を図の左右方向に丁度裏返した形になっている。
【0038】
なお、このように弾性支持部材を金属平板から製造して、リードフレーム状態で複数の弾性支持部材群を同時にインサート成形することにより、樹脂成形時の内部の応力等の影響が少なく、より安定性に優れた対物レンズ駆動装置が得られるという効果がある。
(2)インサート成形工程
次に、上記2枚のフレーム付き弾性支持部材群311,321を金型で挟持してインサート成形を行う。
【0039】
図7は、実際の上金型201と下金型202のキャビティの形状を示す斜視図である。同図に示すように、固定部材10、可動部材20用のキャビティと弾性支持部材との接続部の境界には金型の壁面が上下金型により形成されて弾性支持部材の接続部をしっかり挟持するようになっている。また、固定部材10から可動部材20へ至る途中の、上下段の弾性支持部材が平面視で交差する部分は金型内の樹脂の注入されない空洞内に配置されるため、金型構造上問題がない。
【0040】
図8は、フレーム付き弾性支持部材群311,321を挟持して上下金型201,202を閉じる様子を示す図である。同図に示すように上下金型201,202を図7の上金型201の端部201aと下金型202の端部202aが合わさるようにし、その間にフレーム付き弾性支持部材群311,321をその弾性支持部材同士が平面視でクロスするように配して挟持する。そして、不図示の樹脂注入孔から、加熱されて溶融状態となった樹脂を所定の圧力で注入する。
【0041】
温度が下がって内部の樹脂が固化した後、上下の金型201,202を離して、図9に示すような固定部材10、可動部材20が弾性支持部材31a,31b,32a,32bと接続され、かつ、各弾性支持部材31a,31b,32a,32bがフレーム312、322と繋がった状態のものが得られる。
(3)フレーム切除工程
そして、図9の破線の部分でフレームおよび弾性支持部材の不要な部分をプレス加工などで切除する。
【0042】
(4)対物レンズ、磁石搭載工程
その後、対物レンズ21(図1参照)を可動部材20のレンズ取り付け穴22に取着すると共に、磁石61,62を、可動部材20の磁石取り付け用溝部23,24に固着する。
(5)コイルユニット、光学基台取り付け工程
一方、光学基台40の所定位置にコイルユニット51,52(図1参照)が取り付けられ、上記固定部材10を光学基台40に固着させ、あるいは固定部材10を光学基台40に固着した後にコイルユニット51,52を光学基台40に固着して図1に示すような対物レンズ駆動装置100が製造される。
【0043】
なお、上記(3)、(4)の工程は、順番が変わっても差し支えない。
<光ピックアップの構成>
図10は、上記対物レンズ駆動装置100を搭載した光ピックアップ200の構成を示す縦断面図である。
この光ピックアップ200は、受発光用ユニット70の上に上記対物レンズ駆動装置100が搭載されてなる。
【0044】
受発光用ユニット70の受発光用光学基台71内部には、ホログラム光学素子73、コリメータレンズ74および立上げミラー75がこの順で配設されている。
上記ホログラム光学素子73は、受発光用光学基台71の開口部712の内側に取り付けられており、当該開口部712の外側には、半導体レーザ721と所定の複数の受光素子722が形成された受発光素子基板72を収納した筐体76が取着される。
【0045】
受発光素子基板72の半導体レーザ素子721から射出されたレーザビームは、ホログラム光学素子73を通過した後、コリメータレンズ74により平行光にされ、さらに立上げミラー75で反射されることにより、その主光線が対物レンズ21の光軸にほぼ一致した状態で当該対物レンズ21に入射する。
対物レンズ21を透過したレーザビームは、光記録媒体80上の情報記録面81上に集光される。
【0046】
当該情報記録面81で反射されたレーザビームの戻り光は、往路を逆進して対物レンズ21を通過して立上げミラー75で反射され、コリメータレンズ74で集光されて、ホログラム光学素子73のホログラム領域731に入射する。
ここで、戻り光は、ホログラム領域731における回折により複数の光束に分岐され、それぞれ受発光素子基板72に搭載された複数の受光素子722上へと集光される。
【0047】
同受発光素子基板72には演算回路(不図示)が形成されており、この演算回路において例えば、スポット・サイズ・ディテクション法によりフォーカス誤差信号が求められると共に、プッシュプル法などによりトラッキング誤差信号が求められ、情報記録信号と共に図外の制御回路に出力される。
このようにホログラム光学素子731により分岐された複数の光束を、それに対応して配設された複数の受光素子722により受光して、当該受光素子722からの信号を演算して、上記のフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号を得る方法自体は、公知なので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0048】
不図示の制御回路では、受発光素子基板72から出力されたフォーカス誤差信号に基づき、フォーカスコイル512,522(図1参照)に供給する電流を制御し、光記録媒体80上の情報記録面81への追随動作(フォーカスサーボ)を行なう。
同様に、受発光素子基板73から出力されたトラッキング誤差信号に基づきトラッキングコイル511,521(図1参照)に供給する電流を制御し、光記録媒体80の情報記録列への追随動作(トラッキングサーボ)を行なう。上記双方の追随動作完了後、情報記録信号を検出する。
【0049】
なお、図10において、42は、光学基台40の底面に形成されたリング状のリブであり、その中心が、対物レンズ21の光軸とほぼ一致するように形成されている。
一方、受発光用光学基台71の立上げミラー75から対物レンズ21へ至る開口部には円錐状のテーパー部711が形成されており、このテーパー部711と上記光学基台40のリブ42が当接することにより、対物レンズ駆動装置100と受発光用ユニット70の位置決めがなされるようになっている。
【0050】
上述のような構成及び製造方法によって、安定した駆動特性を実現するとともに、小型の対物レンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を容易に製造することを可能とする。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、受発光素子基板72、ホログラム光学素子73、コリメータレンズ74、立上げミラー75などが受発光用光学基台71に固定されており、対物レンズ21のみが移動してフォーカス位置の調整や情報記録列への追随動作を行うように構成されているため、対物レンズ21の駆動に伴い半導体レーザ721から射出されたレーザビームの主光線と対物レンズ21の光軸との間に微小なずれが生じ、その結果レンズ収差などが発生するおそれがある。
【0051】
そこで、この第2の実施の形態では、受発光素子基板72やホログラム光学素子73などを対物レンズ21を保持する可動部20に搭載して全光学系が一体的に駆動されるように構成することにより、レーザビームの主光線と対物レンズ21の光軸との間にずれが生じないようにし、もって光ピックアップの光記録媒体に対する情報記録信号の書き込み/読み取り精度をより向上させるようにしている。
【0052】
このような光学式一体型の光ピックアップの場合、可動部材20内の受発光素子基板72から直接リード線を引き出すと、このリード線が可動部材20の微駆動の障害となるので、通常、弾性支持部材を介して可動部材20内部の電子素子に電源を供給し、あるいは各種の信号を取り出すようになっている。そのため弾性支持部材の本数は第1の実施の形態に比べて多くなる。
【0053】
図11(a)(b)は、それぞれ本実施の形態に係る光ピックアップ300の平面図および正面図であり、図12は、光ピックアップ300の縦断面図である。それぞれ第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置100、光ピックアップ200で説明した構成要素と同じものには同じ番号を付しているので、それらについては詳しい説明を省略する。
【0054】
図11(a)に示すように光ピックアップ300は、対物レンズ21を保持する可動部材20を上段の6本の弾性支持部材33a,33bと下段6本の弾性支持部材34a,34bの計12本の弾性支持部材を介して固定部材10に保持され、固定部材10は、光学基台40上に固着される。
上段の6本の弾性支持部材33aと33bは、コイルユニット51を挟んで相対する2本ずつが組となってそれぞれの組が、ハの字型に配置され、下段6本の弾性支持部材34a,34bもコイルユニット51を挟んで相対する2本ずつが組となってそれぞれの組が、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、上段の対応する組の弾性支持部材をトラッキング方向に平行な軸に対して反転させたハの字型に配置されている。
【0055】
図11(a)に示すように上段と下段の弾性支持部材33a,33b,34a,34bの固定部材10と可動部材20との接続部は、フォーカス方向から見たときに重なっていないので、固定部材10、可動部材20、弾性支持部材33a,33b,34a,34bからなる対物レンズ駆動装置本体について2分割金型でのインサート成形が可能であり、大量生産に適する。
【0056】
その他、従来の方法で同じ12本の弾性支持部材で可動部材20を保持する場合に比べて、高いチルト剛性を有しながらコンパクト化が容易であるという効果も合わせて得ることができる。
なお、本実施の形態においても、固定部材10の凹部11a、11bにはダンパー部材(不図示)が充填される。これにより弾性支持部材の共振が抑制され、光ピックアップの読取/書込精度が向上するようになっている。
【0057】
図12の縦断面図に示すようにこの光学系一体型の光ピックアップ300においては、可動部材20内に受発光素子基板72、ホログラム光学素子73が内蔵されており、受発光素子基板72の各電源端子や信号端子がワイヤボンディング(不図示)もしくは半田付けなどにより、12本の弾性支持部材33a,33b,34a,34bのうち必要な本数だけ電気的に接続され、固定部材10の外側に突出した部分が端子39a,39bとなる。この端子39a,39bは、不図示のフレキシブル基板等に接続され、これにより外部回路への電気的接続が確保される。
【0058】
本実施の形態によれば、半導体レーザ素子721やホログラム光学素子73などの光学素子が対物レンズ21と一体的に移動するため、組み立て時にレーザ光の主光線と対物レンズ21の光軸が一致するように各光学素子の位置決めさえ正確にしておけば、対物レンズ21の駆動によりレーザ光の主光線と対物レンズ21の光軸がずれることがなくなり、コマ収差などの発生を阻止できる。これによって光ピックアップ300の読取/書込精度がさらに向上する。
【0059】
その上、第1の実施の形態に示す光ピックアップ200(図10参照)に比べて、受発光用光学基台71や立上げミラー75を不要とすることができるので、より小型化が図れるという利点もある。
なお、本実施の形態における対物レンズ駆動装置本体の製造方法については準備する弾性支持部材の本数が異なることを除き、第1の実施の形態で説明したものとほぼ同じである。
【0060】
(変形例)
以上、本発明に係る対物レンズ駆動装置、その製造方法および光ピックアップを実施の形態に基づいて説明してきたが、もちろん本発明の内容が、上記の実施の形態に限定されるわけではなく、例えば次のような変形例を考えることもできる。
【0061】
▲1▼上記各実施の形態においては、駆動コイルを光学基台側に、磁石を可動部材20側に搭載するいわゆるムービング・マグネット型(MM型)の駆動方式としているが、可動部材20側に駆動コイルユニットを搭載し、光学基台側に磁石を搭載するいわゆるムービング・コイル型(MC型)のアクチュエータ装置の構成としてもよい。この場合には、駆動コイルへの電源供給も、弾性支持部材を介して行われる。
【0062】
▲2▼上記各実施の形態において上段と下段の各弾性支持部材のハの字型の形状は、図4でも説明したように、均等な剛性力で可動部材20をバランスよく保持するため、できるだけ中心線に対して対称性を有することが望ましい。とりわけチルトの発生を防止するため、上段と下段の弾性支持部材が、フォーカス方向から見た場合に丁度トラッキング方向と平行であって、固定部材10と可動部材20の丁度中間に位置する線C(図4参照)に対して反転させた形状となるように配するのが望ましい。
【0063】
しかし、常に厳密に上述のような対称性が必要となるのではなく、要求される読取り精度に支障のない範囲において多少対称性が緩和されてもよいのは勿論である。
図13は、この場合の一例を示す対物レンズ駆動装置本体の斜視図である。
対物レンズ21を保持する可動部材20は、4本の弾性支持部材35a,35b,36a,36bを介して固定部材10で保持されている。
【0064】
上段の弾性支持部材35a,35bと下段の弾性支持部材36a,36bの対応するもの同士は、図14の対物レンズ駆動装置本体の平面図に示すようにフォーカス方向から見たときに、それぞれ固定部材10から可動部材20に至る途中の大部分で重なり、その部分でハの字形状となって、チルト剛性を増すように構成され、かつ、固定部材10、可動部材20の接続部位付近で屈折して、対応する上下の弾性支持部材の固定部材10もしくは可動部材20との接続位置が重ならないように形成されている。
【0065】
上段の弾性支持部材35a,35bは、可動部材20との接続部位付近で外側に広がり、固定部材10との接続部位付近では内側に屈曲している。反対に、下段の弾性支持部材36a,36bは可動部材20との接続部位付近では内側に屈曲し、固定部材10との接続部位付近では外側に広がっている。
このように1本の弾性支持部材において両端部で屈曲方向を違えて、上段と下段の対応する弾性支持部材同士がクロスするようにしているのは、上下段のそれぞれの弾性支持部材によって生成されるチルト方向の剛性をできるだけ等しくなるようにするためである。
【0066】
すなわち、上段の弾性支持部材35a,35bの両端が共に外側に広がり、下段の弾性支持部材36a,36bの両端部が共に内側に狭まっておれば、上段の弾性支持部材による剛性と下段の弾性支持部材による剛性の差が大きくなる。
しかし、本変形例のように構成することにより、上段と下段の弾性支持部材の外への広がりの程度、内側への狭まりの程度を調整すれば、上下段のチルト方向の剛性をほぼ均等にすることができるものである。
【0067】
▲3▼上記各実施の形態においては弾性支持部材は弾性支持部材平板から作製しているが(図6参照)、断面が丸型の弾性支持部材や角型の弾性支持部材を使用してもよい。
▲4▼上記第1の実施の形態における製造工程(図6〜図9)においては、1組の金型で1個の光ピックアップをインサート成形する場合について説明したが、弾性支持部材群を複数組縦横に連設したフレーム付き弾性支持部材群を準備し、それに合わせて1組の金型内に複数のキャビテイを連設して同時に多数のレンズ駆動装置本体をインサート成形するようにしてもよい。
【0068】
▲5▼上記実施の形態においては、弾性支持部材の数を4本もしくは12本としているがこれらの本数に限定はされない。
しかし、(a)弾性支持部材部材による反力が作用中心Gに対して反対回りに等分に作用するためには、当該作用中心を挟んでフォーカス方向に同じ数の段数があることが望ましく。この観点では、弾性支持部材は偶数本である必要があるが、4段以上になると上下の金型の形状も複雑になり、現実的には上記各実施の形態のように上段と下段の計2段の構成が望ましい。
【0069】
(b)また、フォーカス方向へ対物レンズ21が平行に移動するようにすると共に、不要な振動が生じないようにするためには、対物レンズ駆動装置の中心線(図2では、中心線A)に対して左右対称であることが望ましいのはいうまでもない。これにより上段、下段とも偶数本であることが要請される。
上記(a)(b)の条件を共に満たすため、弾性支持部材の本数は4の倍数であることが望ましい。また、光学系一体型の光ピックアップにあっては、少なくとも外部の制御回路との配線に必要な本数以上必要であることはいうまでもない。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、上下段の弾性支持部材によるトラッキング方向の剛性を高めつつ、ほぼ等しくすることができる。これによりバネとしての特性の差異をほとんどなくなって、トラッキング方向に変位した場合に上下段での変位量の差がなくなり、チルト動作が生じない安定した駆動特性を実現できる。また、各弾性支持部材の外に広がる部分の幅を上下段で同じにするができるので、対物レンズ駆動装置本体の幅を必要以上に大きくする必要がなくなり、小型化にも資する。
【0071】
また、この構成により、上下2分割の簡易な金型でのインサート成形が可能となり、歩留まりが向上すると共に、生産性が増してコストダウンに資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置の斜視図である。
【図2】(a)は、上記対物レンズ駆動装置の光学基台やコイルユニットなどを除いた本体の平面図であり、(b)は、同本体の正面図である。
【図3】(a)は、図2(a)におけるP−P線における矢視断面図、(b)は同図2(a)におけるQ−Q線における矢視断面図である。
【図4】上段と下段の弾性支持部材群におけるチルト方向の剛性が等しくなることを説明するための図である。
【図5】2分割金型で型締めしてインサート成形するときの内部の様子を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置の製造方法における弾性支持部材の準備工程を説明するための図である。
【図7】対物レンズ駆動装置のインサート成形に用いられる金型の形状を示す図である。
【図8】上記金型で弾性支持部材を挟持してインサート成形する様子を示す図である。
【図9】インサート成形後、金型を取り外したときの様子を示す図である。
【図10】図1の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップの構成を示すための縦断面図である。
【図11】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る光学系一体型ピックアップの平面図、(b)は同対物レンズ駆動装置の正面図である。
【図12】図11の光ピックアップの構成を示す縦断面図である。
【図13】本発明の変形例に係る対物レンズ駆動装置本体の構成を示すための斜視図である。
【図14】図13の対物レンズ駆動装置本体の平面図である。
【図15】従来の対物レンズ駆動装置の構成を示すための斜視図である。
【図16】図15の対物レンズ駆動装置の本体をインサート成形時における型締めされた4分割金型の状態を示すための断面図である。
【図17】図15に示す従来の対物レンズ駆動装置における問題を解消するために考えられる対物レンズ駆動装置本体の構成例を示す斜視図である。
【図18】(a)は、図17の対物レンズ駆動装置本体の平面図を、(b)は同対物レンズ駆動装置本体の正面図をそれぞれ示す。
【図19】図17の対物レンズ駆動装置本体のインサート成形時の金型の型締めの様子を示す断面図である。
【図20】図17の対物レンズ駆動装置本体の例において、上段と下段の弾性支持部材群におけるチルト方向の剛性が異なることを説明するための図である。
【符号の説明】
10 固定部材
20 可動部材
21 対物レンズ駆動装置
30 弾性支持部材群
31a,31b,33a,33b,35a,35b 上段の弾性支持部材
32a,32b,34a,34b,36a,36b 下段の弾性支持部材
39a,39b 端子
40 光学基台
51,52 コイルユニット
61,62 磁石
70 受発光用ユニット
71 受発光用光学基台
72 受発光素子基板
73 ホログラム光学素子
74 コリメータレンズ
75 立上げミラー
201 上金型
202 下金型
310,320 金属板
311,321 フレーム付き弾性支持部材群
【従来の技術】
CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・ヴァーサタイル・ディスク)といった光ディスク等の光記録媒体の記録再生を行う光ピックアップでは、集光手段である対物レンズをその光軸方向(以下、「フォーカス方向」という。)へ駆動させて焦点合わせを行うとともに、集光スポットを光記録媒体上の情報記録列にほぼ直交する方向(以下、「トラッキング方向」という。光ディスクなどの円盤状光記録媒体においてはトラッキング方向は、半径方向とほぼ平行な方向となる。)に微小変位させて光記録媒体上の情報記録列に対して高精度に位置決めする必要がある。
【0002】
このため、対物レンズを搭載する第1の部材を複数本の弾性支持部材を介して別の第2の部材に保持し、この第2の部材を、さらに光学基台等に固定し(以後対物レンズを搭載する第1の部材を「可動部材」、光学基台等へ固定される第2の部材を「固定部材」という。)、駆動コイルと磁石との間に生じる電磁気的な推力により可動部材を固定部材に対してフォーカス方向とトラッキング方向へ駆動する機構を設けた構成が提案され、対物レンズ駆動装置として広く使用されている。
【0003】
ところが、近年、取り扱う情報量が増大して光記録媒体が大容量高密度化すると共に光学読取機器の利用分野が飛躍的に拡大してきており、対物レンズ駆動装置に対してもさらなる精度の向上、及び小型化が要求されている。また、その一方で低コスト化の要請も強い。
そのため、例えば特許文献1においては、弾性支持部材と可動部材あるいは固定部材とを一体成形する対物レンズ駆動装置の構成が提案されている。
【0004】
図15は、上記特許文献1における対物レンズ駆動装置500の構成を示す概略図である。
対物レンズ521を搭載した可動部材520は、平行に伸びる4本の弾性支持部材531a,532a,531b,532bを介して、フォーカス方向とトラッキング方向に移動可能な状態で、固定部材510により保持されている。
【0005】
この弾性支持部材531a,532a,531b,532bは、導電性で弾性を有する金属の板材からプレス工法やエッチング工法により形成され、これらを樹脂成形により可動部材520及び固定部材510と一体成形(インサート成形)して構成される。このように一体成形することにより、個々の弾性支持部材531a,532a,531b,532bを1本ずつ接着及び半田付けの工程を経て組み立てていた従来の場合に比べて、小型化が実現できると共に、接続の手間が軽減されてコストダウンが図れる。
【0006】
また、4本の弾性支持部材531a,532a,531b,532bの取り付け条件を均一にすることができるので、可動部材520が当該4本の弾性支持部材によりバランスよく保持され、フォーカス方向とトラッキング方向の移動がスムーズに行えると共に、対物レンズ駆動時に不要な振動やチルト(可動部材が固定部材に対して相対的にねじれること)などが生じにくく精度の高い対物レンズ駆動が可能となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−69655号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、上下の弾性支持部材531a,532a,531b,532bと可動部材520および固定部材510とを一体成形するために上下左右の4分割の複雑な金型が必要となるという問題がある。
図16は、インサート成形時において、4分割金型で型締めした後、樹脂を注入したときの状態を図15のH−H線における矢視方向から見たときの断面図である。なお、図16では金型の組み合わせの状態が分かり易いように、弾性支持部材531a,532a,531b,532bおよび固定部材510の断面には、斜線は付していない。
【0009】
同図に示すように金型は、上金型211、下金型212、左金型213、右金型214の4つが必要となり、注入した樹脂が固まった後、それぞれの金型を矢印方向に取り外して成形物を取り出すことになるが、左金型213と右金型を左右の矢印方向に抜くときにその表面が弾性支持部材531a,532a,531b,532bに引っ掛かって、それらの弾性支持部材が変形してしまうことがあり、歩留まりが悪い。
【0010】
また、金型が4分割であるため、各金型の型締め動作と分離動作の機械化が難しく、さらには、横金型を抜く方向には、キャビティを連設することができないため、1組の金型で成形できる数量に限界があり、生産性の点でも問題があった。
一方、特にフォーカス方向及びトラッキング方向に直交する方向を回転中心とした回転方向(チルト方向)における弾性支持部材の剛性が小さい場合には、不要な共振やねじり運動が発生する場合があるので、構造的に当該チルト方向における剛性を強めることが望まれている。
【0011】
上述のような、▲1▼一体成形における生産性の向上と、▲2▼チルト方向における一定以上の剛性の必要性という2つの課題を同時に解決するため、例えば、次に示すような改良が考えられる。
図17は、当該改良されたレンズ駆動装置600の概略斜視図である。なお、同図では、駆動コイルや光学基台などの図示は省略されている。
【0012】
同図に示すように、対物レンズ621を搭載した可動部材620は、4本の弾性支持部材631a,631b,632a,632bを介して固定部材610に保持されているが、図18(a)の平面図にも示すように4本の弾性支持部材は、上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bがそれぞれ中心線Iに対して対称で、▲1▼ハの字型に配設されており、また、▲2▼下段の弾性支持部材632a,632bの間隔を、上段の弾性支持部材631a,631bの間隔より広く、それぞれ可動部材620、固定部材610との接続位置がフォーカス方向から見たときに重ならないように配設されている。また、図18(b)の正面図に示すように上段の弾性支持部材と下段の弾性支持部材は平行になっている。
【0013】
上記▲1▼の構成により、チルト方向の回転に対して剛性が強くなる。また、▲2▼の構成により、上下2分割のみの簡単な金型構造での作製が可能となる。すなわち、金型で弾性支持部材を固定すべき領域は、樹脂を注入して成形する部分との境界、すなわち固定部材610、可動部材620との接続部位のみであり、上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bが、当該接続位置でフォーカス方向から見て重なってはおらず、上下方向の2分割の金型によりインサート成形が可能となる。
【0014】
図19は、図17の本体をインサート成形時に型締めされた金型の状態を、図18のJ−J線に対応する位置において矢視方向から見たときの断面図である。本図でも図16同様、弾性支持部材631a,632a,631a,632bおよび固定部材510の断面には斜線は付していない。
同図に示すように上段の弾性支持部材631a,631bと下段の弾性支持部材632a,632bの固定部材610の接続付近の位置が、金型の閉じる方向と直交する方向において位置が異なるので、上下2分割の金型で挟持してインサート成形でき、横金型が不要となって非常に簡単な金型構造となる。これにより従来の横金型を抜き取る際に生じていた弾性支持部材の変形もなくなると共に、図の左右方向にもキャビティを連設することができる。これにより、機械化による大量生産が容易になり、製品の信頼性とコストダウンを同時に実現できる。
【0015】
しかしながら、図17に示す構造であっても、次のような問題が生じる。
すなわち、図17では、確かに上下段の弾性支持部材は、それぞれハの字型に配設しているため、各々が回転方向に対して剛性を持つ構造となっている。しかし、図20の模式図に示すように上段の弾性支持部材の幅W2が幅W1よりも広くなり、下段の弾性支持部材間の固定部材側の幅W3はW2よりさらに外側に広くしなければならない。金型の構成的に、W2に対してW3をかなり大きくする必要があるため、上下段におけるチルト方向に対する剛性が異なるものとなり、一体成形した場合、上下のチルト方向の剛性が非対称となる。対物レンズ駆動装置の特性を向上させるためには上下段の弾性支持部材による支持特性を対称とする事が望ましい。
【0016】
また、W3>W2となるため、当該幅方向における固定部材の寸法をW3に合せて大きくせざるを得ず、レンズ駆動装置の小型化が難しいという問題もある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、大量生産が容易であって歩留まりが高く、かつ、小型化を可能にしつつ、チルトの発生を抑制し、安定した駆動特性を実現することができる対物レンズ駆動装置および当該対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ並びに対物レンズ駆動装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の対物レンズ駆動装置は、光源からの出射光を光記録媒体の記録面に集光させる対物レンズをフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置であって、前記対物レンズを保持する第1の部材と、前記第1の部材を複数の弾性支持部材を介して支持する第2の部材と、前記第1の部材を、第2の部材に対してフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する駆動手段とを備え、前記複数の弾性支持部材は偶数本であって、前記フォーカシング方向において上段と下段の2つの同本数の群に分かれ、各弾性支持部材は、前記フォーカシング方向から平面視したときに、(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設されてなることを特徴としている。
【0018】
上記(a)の構成により、対物レンズ駆動装置本体をインサート成形する場合に、フォーカス方向から閉じる2分割の金型のみで、各弾性支持部材の、第1の部材もしくは第2の部材との各接続部を挟持することが可能となり、金型内に注入した樹脂がこの部分から漏れないようにすることができる。
また、(b)の構成により、上段と下段の対応する弾性支持部材同士が交差する構成としているので、各段における弾性支持部材群の外側に広がる箇所と内側に狭くなる箇所を上段と下段で互い違いになって、それぞれの段におけるチルト方向の剛性を相対的にほぼ等しくすることができ、また、各段における弾性支持部材群が、その可動部および固定部端において重なりあってはいないため、上記(a)の構成にするために一方の段の弾性支持部材を他方の段よりもさらに外側に広がらせる必要もなく、対物レンズ駆動装置の小型化の支障とはならない。
【0019】
なお、上段と下段の対応する弾性支持部材のフォーカス方向から見て交差した部分に対応する金型の部分を空洞にしておけば、弾性支持部材と金型が抵触するおそれはない。
また、本発明は、前記上段と下段の弾性支持部材群は、前記フォーカシング方向から平面視したときに、(c)当該上段と下段の弾性支持部材群の第1の部材との接続位置が、第1の仮想線上にあると共に、当該上段と下段の弾性支持部材群の第2の部材との接続位置は、前記第1の仮想線とほぼ平行な第2の仮想線上にあり、(d)かつ、前記上段と下段の弾性支持部材群は、上記第1と第2の仮想線から等距離にある直線に対してほぼ線対称になるように配設されてなることを特徴とする。
【0020】
この構成により、それぞれの段におけるチルト方向の構造力学的な剛性をほぼ完全に一致させることができ、より一層チルトが発生しないようにできる。
ここで、前記第1の部材と前記第2の部材が、前記弾性支持部材と一体に樹脂成形されてなることが望ましい。
また、本発明に係る光ピックアップは、レーザー発光素子、受光素子および対物レンズ駆動装置とを備えた光ピックアップであって、前記対物レンズ駆動装置として請求項1から3のいずれかに記載の対物レンズ駆動装置を用いてなることを特徴としている。
【0021】
ここで、前記レーザ発光素子および受光素子が、前記対物レンズ駆動装置における対物レンズを保持する第1の部材に搭載されるように構成してもよい。
これにより、対物レンズの光軸とレーザー光の主光線とのずれが生じにくくなり、光記録媒体の情報の読取りおよび/または書込み精度が向上する。
また、本発明に係る対物レンズ駆動装置の製造方法は、対物レンズを搭載する第1の部材を、前記フォーカシング方向における上段と下段に分かれた同数の2群の弾性支持部材を介して第2の部材に保持し、駆動ユニットの駆動力により前記第1の部材をフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置の製造方法であって、各弾性支持部材を、前記フォーカス方向から平面視したときに、(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設された状態で前記弾性支持部材を金型に挟持してインサート成形する工程を含むことを特徴としている。
【0022】
このような製造方法により上記対物レンズ駆動装置を効率的に製造できる。
ここで、前記インサート成形の工程の前に、第1および第2の金属板を加工し、各金属板より前記上段の弾性支持部材群と前記下段の弾性支持部材群を、それぞれのフレームに繋がった状態で、かつ、それらを重ねたときに、前記(a)および(b)の配設条件を満たすような形状になるように形成する弾性支持部材群準備工程と、前記インサート成形の工程後に、前記フレームを切除する工程とを備えることが望ましい。
【0023】
これにより、インサート成形時における複数の弾性支持部材相互の位置決めを容易に行うことができ、生産性が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
<対物レンズ駆動装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置100の構成を示す斜視図である。
【0025】
同図に示すように対物レンズ駆動装置100は、対物レンズ21を搭載する可動部材20を4本の弾性支持部材31a,31b,32a,32b(図1では32bは隠れて見えない。)を介して固定部材10に保持される。
本実施の形態においては、弾性支持部材31a,31b,32a,32bは弾性(ばね性)を有する金属からなる。このような金属として例えば燐青銅、チタン銅、ベリリウム銅等が望ましい。
【0026】
固定部材10は、平板状の光学基台40に接着剤などにより固定される。可動部材20の固定部材10側の側面とこれと反対側の側面には磁石61,62が、当該磁石から出る磁束の方向が、対物レンズ21の光軸と直交する平面とほぼ平行な方向、もしくは、コイルユニット51,52に対してほぼ垂直に入射する方向となる状態で、固着されており、コイルユニット51,52がそれぞれ磁石61,62と対向する位置において、光学基台40上に固着されている。
【0027】
コイルユニット51,52は同じ構成であり、ヨーク513,523の回りに、巻き方向がトラッキング方向と平行な第1のコイル(フォーカシング用コイル)512,522を形成し、さらに巻き方向がフォーカス方向と平行な第2のコイル(トラッキング用コイル)511,521を形成してなる。
このコイルユニット51,52と磁石61,62との間で発生する電磁気的な推力により、対物レンズ21を搭載した可動部材20がフォーカス方向とトラッキング方向に変位される。
【0028】
図2(a)(b)は、それぞれ対物レンズ駆動装置100の平面図、正面図である。なお、本図では、弾性支持部材31a,31b,32a,32bの配置を分かり易く示すため、光学基台40、コイルユニット51,52などは図示していない。なお、この図のように、可動部材と固定部材が弾性支持部材を介して接続された構造体を、以下では、「レンズ駆動装置本体」という。
【0029】
図2(a)に示すように上段の弾性支持部材31a,31bは、固定部材10側に向かって広がるハの字型に配されており、下段の弾性支持部材32a,32bは、その反対の方向に向かって広がるハの字型をしている。
また、一点鎖線Aは、固定部材10と可動部材20の重心を結ぶ仮想線であり、(以下、「中心線」という。)であり、上段の弾性支持部材31a,31bおよび下段の弾性支持部材32a,32bは、それぞれ平面視において上記中心線Aに対して対称となるように配設されている。
【0030】
そして、上段の弾性支持部材31a,31bと下段の弾性支持部材32a,32bは、図2(b)に示すようにそれぞれ平行な平面内にある。
図2(a)の固定部材10側の凹部11a,11bには、弾性支持部材の基端部を覆うようにダンパー部材(不図示)が充填されるようになっており、これにより駆動時における弾性支持部材の不要な振動を吸収して対物レンズの微駆動の精度を向上させるようになっている。
【0031】
このダンパー部材は、例えば、液状シリコーンと架橋剤の混合物からなるシリコーン多孔性物質から形成されており、全方向においてほぼ均一な粘弾性を有するため、優れた共振抑制特性を有する。
また、図3(a)(b)は、それぞれ図2(a)のP―P線とQ−Q線における矢視断面図である。ここで、上段の弾性支持部材31a,31bと固定部材10、可動部材20との接続位置をD1〜D4、下段の弾性支持部材32a,32bと固定部材10、可動部材20との接続位置をE1〜E4とすると(図4参照)、D1D4間の距離W6(図3(b))とE2E3間の距離W5(図3(a))および、D2D3間の距離W4(図3(a))とE1E4間の距離W7(図3(b))がそれぞれ等しく、かつ、線分D1D4と線分E1E4の各中点、線分D2D3と線分E2E3の各中点が、それぞれ図2の平面視において一致し、かつ、中心線Aと重なるようになっている。
【0032】
このように弾性支持部材31a,31b,32a,32bの配置を構成することにより、チルトが生じにくくなる(以下、チルトの発生のしにくさを「チルト剛性」という。)。
すなわち、図4の模式図に示すように上段と下段の弾性支持部材31a,31bと32a,32bは、それらと固定部材10、可動部材20の接続位置が平行な直線α、β上にあり、これらに対して平行で等距離にある直線Cについて線対称になるように配設されている。
【0033】
図面Y方向のみならずX方向へも弾性支持部材により支持する形となるために回転方向への剛性を高めることができることに加え、上段の弾性支持部材31a,31bと下段の弾性支持部材32a,32bによるチルト方向に対するバネ剛性が相対的に等しくなるため、回転モーメントが発生しにくくなり、その結果チルト剛性が高くなる。
【0034】
これにより光ディスクなどの光記録媒体への対物レンズ21の焦点の追随動作と情報記録列への追随動作の精度を高めることができる。
また、このような構成にすると図20で示したように下段の弾性支持部材の幅W3を上段の弾性支持部材の幅W2より広く取る必要はなく、上段と下段で同じ幅にできるので、その分コンパクト化に資する。
【0035】
図5は、インサート成形時における金型の状態を示すための断面図であり、図2のQ−Q線に相当する位置での断面で示している。
同図に示すように上下金型201,202のみで各弾性支持部材31a,31b,32a,32bと固定部材10および可動部材20との接続部分をしっかりと挟持すると共に、キャビティ内に注入された樹脂が外に漏れないようにでき、インサート成形が可能となる。
【0036】
なお、上段と下段の対応する弾性支持部材31a,31b,32a,32bのフォーカス方向から見て交差した部分に相当する金型の部分は空洞にしておけば、この部分で弾性支持部材と金型が抵触するおそれはない。
このようにすることにより横金型が必要でなくなり、歩留まりは向上し、金型型締めおよび分離における機械化が容易になると共に図5の左右方向にもキャビティを連設することも可能なので、生産性が極めて向上する。
【0037】
<対物レンズ駆動装置の製造方法>
次に、上記対物レンズ駆動装置100の製造方法について説明する。
(1)弾性支持部材準備工程
まず、図6に示すように、燐青銅、チタン銅、ベリリウム銅等の弾性金属材料からなる2枚の金属板310,320を用意し(図6(a))、エッチング工法或いはプレス工法により、フレーム部分312,322により複数の弾性支持部材31a,31b,32a,32bの端部が接続されたフレーム付き弾性支持部材群311,321を成形する。ここで、フレーム付き弾性支持部材群321は、フレーム付き弾性支持部材群311を図の左右方向に丁度裏返した形になっている。
【0038】
なお、このように弾性支持部材を金属平板から製造して、リードフレーム状態で複数の弾性支持部材群を同時にインサート成形することにより、樹脂成形時の内部の応力等の影響が少なく、より安定性に優れた対物レンズ駆動装置が得られるという効果がある。
(2)インサート成形工程
次に、上記2枚のフレーム付き弾性支持部材群311,321を金型で挟持してインサート成形を行う。
【0039】
図7は、実際の上金型201と下金型202のキャビティの形状を示す斜視図である。同図に示すように、固定部材10、可動部材20用のキャビティと弾性支持部材との接続部の境界には金型の壁面が上下金型により形成されて弾性支持部材の接続部をしっかり挟持するようになっている。また、固定部材10から可動部材20へ至る途中の、上下段の弾性支持部材が平面視で交差する部分は金型内の樹脂の注入されない空洞内に配置されるため、金型構造上問題がない。
【0040】
図8は、フレーム付き弾性支持部材群311,321を挟持して上下金型201,202を閉じる様子を示す図である。同図に示すように上下金型201,202を図7の上金型201の端部201aと下金型202の端部202aが合わさるようにし、その間にフレーム付き弾性支持部材群311,321をその弾性支持部材同士が平面視でクロスするように配して挟持する。そして、不図示の樹脂注入孔から、加熱されて溶融状態となった樹脂を所定の圧力で注入する。
【0041】
温度が下がって内部の樹脂が固化した後、上下の金型201,202を離して、図9に示すような固定部材10、可動部材20が弾性支持部材31a,31b,32a,32bと接続され、かつ、各弾性支持部材31a,31b,32a,32bがフレーム312、322と繋がった状態のものが得られる。
(3)フレーム切除工程
そして、図9の破線の部分でフレームおよび弾性支持部材の不要な部分をプレス加工などで切除する。
【0042】
(4)対物レンズ、磁石搭載工程
その後、対物レンズ21(図1参照)を可動部材20のレンズ取り付け穴22に取着すると共に、磁石61,62を、可動部材20の磁石取り付け用溝部23,24に固着する。
(5)コイルユニット、光学基台取り付け工程
一方、光学基台40の所定位置にコイルユニット51,52(図1参照)が取り付けられ、上記固定部材10を光学基台40に固着させ、あるいは固定部材10を光学基台40に固着した後にコイルユニット51,52を光学基台40に固着して図1に示すような対物レンズ駆動装置100が製造される。
【0043】
なお、上記(3)、(4)の工程は、順番が変わっても差し支えない。
<光ピックアップの構成>
図10は、上記対物レンズ駆動装置100を搭載した光ピックアップ200の構成を示す縦断面図である。
この光ピックアップ200は、受発光用ユニット70の上に上記対物レンズ駆動装置100が搭載されてなる。
【0044】
受発光用ユニット70の受発光用光学基台71内部には、ホログラム光学素子73、コリメータレンズ74および立上げミラー75がこの順で配設されている。
上記ホログラム光学素子73は、受発光用光学基台71の開口部712の内側に取り付けられており、当該開口部712の外側には、半導体レーザ721と所定の複数の受光素子722が形成された受発光素子基板72を収納した筐体76が取着される。
【0045】
受発光素子基板72の半導体レーザ素子721から射出されたレーザビームは、ホログラム光学素子73を通過した後、コリメータレンズ74により平行光にされ、さらに立上げミラー75で反射されることにより、その主光線が対物レンズ21の光軸にほぼ一致した状態で当該対物レンズ21に入射する。
対物レンズ21を透過したレーザビームは、光記録媒体80上の情報記録面81上に集光される。
【0046】
当該情報記録面81で反射されたレーザビームの戻り光は、往路を逆進して対物レンズ21を通過して立上げミラー75で反射され、コリメータレンズ74で集光されて、ホログラム光学素子73のホログラム領域731に入射する。
ここで、戻り光は、ホログラム領域731における回折により複数の光束に分岐され、それぞれ受発光素子基板72に搭載された複数の受光素子722上へと集光される。
【0047】
同受発光素子基板72には演算回路(不図示)が形成されており、この演算回路において例えば、スポット・サイズ・ディテクション法によりフォーカス誤差信号が求められると共に、プッシュプル法などによりトラッキング誤差信号が求められ、情報記録信号と共に図外の制御回路に出力される。
このようにホログラム光学素子731により分岐された複数の光束を、それに対応して配設された複数の受光素子722により受光して、当該受光素子722からの信号を演算して、上記のフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号を得る方法自体は、公知なので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0048】
不図示の制御回路では、受発光素子基板72から出力されたフォーカス誤差信号に基づき、フォーカスコイル512,522(図1参照)に供給する電流を制御し、光記録媒体80上の情報記録面81への追随動作(フォーカスサーボ)を行なう。
同様に、受発光素子基板73から出力されたトラッキング誤差信号に基づきトラッキングコイル511,521(図1参照)に供給する電流を制御し、光記録媒体80の情報記録列への追随動作(トラッキングサーボ)を行なう。上記双方の追随動作完了後、情報記録信号を検出する。
【0049】
なお、図10において、42は、光学基台40の底面に形成されたリング状のリブであり、その中心が、対物レンズ21の光軸とほぼ一致するように形成されている。
一方、受発光用光学基台71の立上げミラー75から対物レンズ21へ至る開口部には円錐状のテーパー部711が形成されており、このテーパー部711と上記光学基台40のリブ42が当接することにより、対物レンズ駆動装置100と受発光用ユニット70の位置決めがなされるようになっている。
【0050】
上述のような構成及び製造方法によって、安定した駆動特性を実現するとともに、小型の対物レンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を容易に製造することを可能とする。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、受発光素子基板72、ホログラム光学素子73、コリメータレンズ74、立上げミラー75などが受発光用光学基台71に固定されており、対物レンズ21のみが移動してフォーカス位置の調整や情報記録列への追随動作を行うように構成されているため、対物レンズ21の駆動に伴い半導体レーザ721から射出されたレーザビームの主光線と対物レンズ21の光軸との間に微小なずれが生じ、その結果レンズ収差などが発生するおそれがある。
【0051】
そこで、この第2の実施の形態では、受発光素子基板72やホログラム光学素子73などを対物レンズ21を保持する可動部20に搭載して全光学系が一体的に駆動されるように構成することにより、レーザビームの主光線と対物レンズ21の光軸との間にずれが生じないようにし、もって光ピックアップの光記録媒体に対する情報記録信号の書き込み/読み取り精度をより向上させるようにしている。
【0052】
このような光学式一体型の光ピックアップの場合、可動部材20内の受発光素子基板72から直接リード線を引き出すと、このリード線が可動部材20の微駆動の障害となるので、通常、弾性支持部材を介して可動部材20内部の電子素子に電源を供給し、あるいは各種の信号を取り出すようになっている。そのため弾性支持部材の本数は第1の実施の形態に比べて多くなる。
【0053】
図11(a)(b)は、それぞれ本実施の形態に係る光ピックアップ300の平面図および正面図であり、図12は、光ピックアップ300の縦断面図である。それぞれ第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置100、光ピックアップ200で説明した構成要素と同じものには同じ番号を付しているので、それらについては詳しい説明を省略する。
【0054】
図11(a)に示すように光ピックアップ300は、対物レンズ21を保持する可動部材20を上段の6本の弾性支持部材33a,33bと下段6本の弾性支持部材34a,34bの計12本の弾性支持部材を介して固定部材10に保持され、固定部材10は、光学基台40上に固着される。
上段の6本の弾性支持部材33aと33bは、コイルユニット51を挟んで相対する2本ずつが組となってそれぞれの組が、ハの字型に配置され、下段6本の弾性支持部材34a,34bもコイルユニット51を挟んで相対する2本ずつが組となってそれぞれの組が、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、上段の対応する組の弾性支持部材をトラッキング方向に平行な軸に対して反転させたハの字型に配置されている。
【0055】
図11(a)に示すように上段と下段の弾性支持部材33a,33b,34a,34bの固定部材10と可動部材20との接続部は、フォーカス方向から見たときに重なっていないので、固定部材10、可動部材20、弾性支持部材33a,33b,34a,34bからなる対物レンズ駆動装置本体について2分割金型でのインサート成形が可能であり、大量生産に適する。
【0056】
その他、従来の方法で同じ12本の弾性支持部材で可動部材20を保持する場合に比べて、高いチルト剛性を有しながらコンパクト化が容易であるという効果も合わせて得ることができる。
なお、本実施の形態においても、固定部材10の凹部11a、11bにはダンパー部材(不図示)が充填される。これにより弾性支持部材の共振が抑制され、光ピックアップの読取/書込精度が向上するようになっている。
【0057】
図12の縦断面図に示すようにこの光学系一体型の光ピックアップ300においては、可動部材20内に受発光素子基板72、ホログラム光学素子73が内蔵されており、受発光素子基板72の各電源端子や信号端子がワイヤボンディング(不図示)もしくは半田付けなどにより、12本の弾性支持部材33a,33b,34a,34bのうち必要な本数だけ電気的に接続され、固定部材10の外側に突出した部分が端子39a,39bとなる。この端子39a,39bは、不図示のフレキシブル基板等に接続され、これにより外部回路への電気的接続が確保される。
【0058】
本実施の形態によれば、半導体レーザ素子721やホログラム光学素子73などの光学素子が対物レンズ21と一体的に移動するため、組み立て時にレーザ光の主光線と対物レンズ21の光軸が一致するように各光学素子の位置決めさえ正確にしておけば、対物レンズ21の駆動によりレーザ光の主光線と対物レンズ21の光軸がずれることがなくなり、コマ収差などの発生を阻止できる。これによって光ピックアップ300の読取/書込精度がさらに向上する。
【0059】
その上、第1の実施の形態に示す光ピックアップ200(図10参照)に比べて、受発光用光学基台71や立上げミラー75を不要とすることができるので、より小型化が図れるという利点もある。
なお、本実施の形態における対物レンズ駆動装置本体の製造方法については準備する弾性支持部材の本数が異なることを除き、第1の実施の形態で説明したものとほぼ同じである。
【0060】
(変形例)
以上、本発明に係る対物レンズ駆動装置、その製造方法および光ピックアップを実施の形態に基づいて説明してきたが、もちろん本発明の内容が、上記の実施の形態に限定されるわけではなく、例えば次のような変形例を考えることもできる。
【0061】
▲1▼上記各実施の形態においては、駆動コイルを光学基台側に、磁石を可動部材20側に搭載するいわゆるムービング・マグネット型(MM型)の駆動方式としているが、可動部材20側に駆動コイルユニットを搭載し、光学基台側に磁石を搭載するいわゆるムービング・コイル型(MC型)のアクチュエータ装置の構成としてもよい。この場合には、駆動コイルへの電源供給も、弾性支持部材を介して行われる。
【0062】
▲2▼上記各実施の形態において上段と下段の各弾性支持部材のハの字型の形状は、図4でも説明したように、均等な剛性力で可動部材20をバランスよく保持するため、できるだけ中心線に対して対称性を有することが望ましい。とりわけチルトの発生を防止するため、上段と下段の弾性支持部材が、フォーカス方向から見た場合に丁度トラッキング方向と平行であって、固定部材10と可動部材20の丁度中間に位置する線C(図4参照)に対して反転させた形状となるように配するのが望ましい。
【0063】
しかし、常に厳密に上述のような対称性が必要となるのではなく、要求される読取り精度に支障のない範囲において多少対称性が緩和されてもよいのは勿論である。
図13は、この場合の一例を示す対物レンズ駆動装置本体の斜視図である。
対物レンズ21を保持する可動部材20は、4本の弾性支持部材35a,35b,36a,36bを介して固定部材10で保持されている。
【0064】
上段の弾性支持部材35a,35bと下段の弾性支持部材36a,36bの対応するもの同士は、図14の対物レンズ駆動装置本体の平面図に示すようにフォーカス方向から見たときに、それぞれ固定部材10から可動部材20に至る途中の大部分で重なり、その部分でハの字形状となって、チルト剛性を増すように構成され、かつ、固定部材10、可動部材20の接続部位付近で屈折して、対応する上下の弾性支持部材の固定部材10もしくは可動部材20との接続位置が重ならないように形成されている。
【0065】
上段の弾性支持部材35a,35bは、可動部材20との接続部位付近で外側に広がり、固定部材10との接続部位付近では内側に屈曲している。反対に、下段の弾性支持部材36a,36bは可動部材20との接続部位付近では内側に屈曲し、固定部材10との接続部位付近では外側に広がっている。
このように1本の弾性支持部材において両端部で屈曲方向を違えて、上段と下段の対応する弾性支持部材同士がクロスするようにしているのは、上下段のそれぞれの弾性支持部材によって生成されるチルト方向の剛性をできるだけ等しくなるようにするためである。
【0066】
すなわち、上段の弾性支持部材35a,35bの両端が共に外側に広がり、下段の弾性支持部材36a,36bの両端部が共に内側に狭まっておれば、上段の弾性支持部材による剛性と下段の弾性支持部材による剛性の差が大きくなる。
しかし、本変形例のように構成することにより、上段と下段の弾性支持部材の外への広がりの程度、内側への狭まりの程度を調整すれば、上下段のチルト方向の剛性をほぼ均等にすることができるものである。
【0067】
▲3▼上記各実施の形態においては弾性支持部材は弾性支持部材平板から作製しているが(図6参照)、断面が丸型の弾性支持部材や角型の弾性支持部材を使用してもよい。
▲4▼上記第1の実施の形態における製造工程(図6〜図9)においては、1組の金型で1個の光ピックアップをインサート成形する場合について説明したが、弾性支持部材群を複数組縦横に連設したフレーム付き弾性支持部材群を準備し、それに合わせて1組の金型内に複数のキャビテイを連設して同時に多数のレンズ駆動装置本体をインサート成形するようにしてもよい。
【0068】
▲5▼上記実施の形態においては、弾性支持部材の数を4本もしくは12本としているがこれらの本数に限定はされない。
しかし、(a)弾性支持部材部材による反力が作用中心Gに対して反対回りに等分に作用するためには、当該作用中心を挟んでフォーカス方向に同じ数の段数があることが望ましく。この観点では、弾性支持部材は偶数本である必要があるが、4段以上になると上下の金型の形状も複雑になり、現実的には上記各実施の形態のように上段と下段の計2段の構成が望ましい。
【0069】
(b)また、フォーカス方向へ対物レンズ21が平行に移動するようにすると共に、不要な振動が生じないようにするためには、対物レンズ駆動装置の中心線(図2では、中心線A)に対して左右対称であることが望ましいのはいうまでもない。これにより上段、下段とも偶数本であることが要請される。
上記(a)(b)の条件を共に満たすため、弾性支持部材の本数は4の倍数であることが望ましい。また、光学系一体型の光ピックアップにあっては、少なくとも外部の制御回路との配線に必要な本数以上必要であることはいうまでもない。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、上下段の弾性支持部材によるトラッキング方向の剛性を高めつつ、ほぼ等しくすることができる。これによりバネとしての特性の差異をほとんどなくなって、トラッキング方向に変位した場合に上下段での変位量の差がなくなり、チルト動作が生じない安定した駆動特性を実現できる。また、各弾性支持部材の外に広がる部分の幅を上下段で同じにするができるので、対物レンズ駆動装置本体の幅を必要以上に大きくする必要がなくなり、小型化にも資する。
【0071】
また、この構成により、上下2分割の簡易な金型でのインサート成形が可能となり、歩留まりが向上すると共に、生産性が増してコストダウンに資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置の斜視図である。
【図2】(a)は、上記対物レンズ駆動装置の光学基台やコイルユニットなどを除いた本体の平面図であり、(b)は、同本体の正面図である。
【図3】(a)は、図2(a)におけるP−P線における矢視断面図、(b)は同図2(a)におけるQ−Q線における矢視断面図である。
【図4】上段と下段の弾性支持部材群におけるチルト方向の剛性が等しくなることを説明するための図である。
【図5】2分割金型で型締めしてインサート成形するときの内部の様子を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る対物レンズ駆動装置の製造方法における弾性支持部材の準備工程を説明するための図である。
【図7】対物レンズ駆動装置のインサート成形に用いられる金型の形状を示す図である。
【図8】上記金型で弾性支持部材を挟持してインサート成形する様子を示す図である。
【図9】インサート成形後、金型を取り外したときの様子を示す図である。
【図10】図1の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップの構成を示すための縦断面図である。
【図11】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る光学系一体型ピックアップの平面図、(b)は同対物レンズ駆動装置の正面図である。
【図12】図11の光ピックアップの構成を示す縦断面図である。
【図13】本発明の変形例に係る対物レンズ駆動装置本体の構成を示すための斜視図である。
【図14】図13の対物レンズ駆動装置本体の平面図である。
【図15】従来の対物レンズ駆動装置の構成を示すための斜視図である。
【図16】図15の対物レンズ駆動装置の本体をインサート成形時における型締めされた4分割金型の状態を示すための断面図である。
【図17】図15に示す従来の対物レンズ駆動装置における問題を解消するために考えられる対物レンズ駆動装置本体の構成例を示す斜視図である。
【図18】(a)は、図17の対物レンズ駆動装置本体の平面図を、(b)は同対物レンズ駆動装置本体の正面図をそれぞれ示す。
【図19】図17の対物レンズ駆動装置本体のインサート成形時の金型の型締めの様子を示す断面図である。
【図20】図17の対物レンズ駆動装置本体の例において、上段と下段の弾性支持部材群におけるチルト方向の剛性が異なることを説明するための図である。
【符号の説明】
10 固定部材
20 可動部材
21 対物レンズ駆動装置
30 弾性支持部材群
31a,31b,33a,33b,35a,35b 上段の弾性支持部材
32a,32b,34a,34b,36a,36b 下段の弾性支持部材
39a,39b 端子
40 光学基台
51,52 コイルユニット
61,62 磁石
70 受発光用ユニット
71 受発光用光学基台
72 受発光素子基板
73 ホログラム光学素子
74 コリメータレンズ
75 立上げミラー
201 上金型
202 下金型
310,320 金属板
311,321 フレーム付き弾性支持部材群
Claims (7)
- 光源からの出射光を光記録媒体の記録面に集光させる対物レンズをフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置であって、
前記対物レンズを保持する第1の部材と、
前記第1の部材を複数の弾性支持部材を介して支持する第2の部材と、
前記第1の部材を、第2の部材に対してフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動する駆動手段と、
を備え、
前記複数の弾性支持部材は偶数本であって、前記フォーカシング方向において上段と下段の2つの同本数の群に分かれ、
各弾性支持部材は、
前記フォーカシング方向から平面視したときに、
(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、
(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設されてなる
ことを特徴とする対物レンズ駆動装置。 - 前記上段と下段の弾性支持部材群は、
前記フォーカシング方向から平面視したときに、
(c)当該上段と下段の弾性支持部材群の第1の部材との接続位置が、第1の仮想線上にあると共に、当該上段と下段の弾性支持部材群の第2の部材との接続位置は、前記第1の仮想線とほぼ平行な第2の仮想線上にあり、
(d)かつ、前記上段と下段の弾性支持部材群は、上記第1と第2の仮想線から等距離にある直線に対してほぼ線対称になるように配設されてなることを特徴とする請求項1記載の対物レンズ駆動装置。 - 前記第1の部材と前記第2の部材は、前記弾性支持部材と一体に樹脂成形されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の対物レンズ駆動装置。
- レーザー発光素子、受光素子および対物レンズ駆動装置とを備えた光ピックアップであって、
前記対物レンズ駆動装置として請求項1から3のいずれかに記載の対物レンズ駆動装置を用いていることを特徴とする光ピックアップ。 - 前記レーザ発光素子および受光素子が、前記対物レンズ駆動装置における対物レンズを保持する第1の部材に搭載されてなることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
- 対物レンズを搭載する第1の部材を、前記フォーカシング方向における上段と下段に分かれた同数の2群の弾性支持部材を介して第2の部材に保持し、駆動ユニットの駆動力により前記第1の部材をフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する対物レンズ駆動装置の製造方法であって、
各弾性支持部材を、
前記フォーカス方向から平面視したときに、
(a)前記上段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置と、前記下段の弾性支持部材群の第1および第2の部材との接続位置が、それぞれ重なっておらず、
(b)かつ、上段と下段の弾性支持部材群の各対応する弾性支持部材同士は、それぞれ第1の部材から第2の部材に至る途中で交差するように配設された状態で
前記弾性支持部材を金型に挟持してインサート成形する工程を含むことを特徴とする対物レンズ駆動装置の製造方法。 - 前記インサート成形の工程の前に、第1および第2の金属板を加工し、各金属板より前記上段の弾性支持部材群と前記下段の弾性支持部材群を、それぞれのフレームに繋がった状態で、かつ、それらを重ねたときに、前記(a)および(b)の配設条件を満たすような形状になるように形成する弾性支持部材群準備工程と、
前記インサート成形の工程後に、前記フレームを切除する工程と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の対物レンズ駆動装置の製造方法。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクなどの光記録媒体の情報の読取/書込などに使用される対物レンズ駆動装置、当該対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ及び対物レンズ駆動装置の製造方法に関する。
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JP2003155185A JP2004355777A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 対物レンズ駆動装置および当該装置を用いた光ピックアップならびに対物レンズ駆動装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155185A patent/JP2004355777A/ja active Pending
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JP4609332B2 (ja) * | 2006-01-27 | 2011-01-12 | コニカミノルタオプト株式会社 | 光ピックアップ装置 |
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