JP2004354890A - 着色粒子、電気泳動粒子、それを用いた電気泳動型表示装置、及び着色粒子の製造方法 - Google Patents

着色粒子、電気泳動粒子、それを用いた電気泳動型表示装置、及び着色粒子の製造方法 Download PDF

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Yoshinori Ogawa
美紀 小川
Hirokatsu Miyata
浩克 宮田
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Abstract

【課題】優れた分散性能、発色性を有し、種々の色調で且つ同じ特性を示し、安定性の高い着色粒子、特には電気泳動粒子を簡便な方法で作製する。
【解決手段】実質的に均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子に、染料が共有結合によって固定化されてなることを特徴とする着色粒子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録一般に用いられる色材に関するものである。
【0002】
本発明は、詳しくは、電気泳動を利用して表示を行う表示装置に用いられる電気泳動粒子、及びその製造方法、さらにそれを利用した電気泳動型表示装置に関するものである。
【0003】
より詳しくは、反応基を有する他孔質粒子に、均一、かつ多量に反応基を有する染料を結合、固定化させて作製した、着色粒子、該着色粒子より構成されるカラー電気泳動粒子、及びその製造方法、さらにそれを利用した電気泳動型表示装置に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらニーズに合わせた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。
【0005】
中でも液晶表示装置は、液晶分子の配列を電気的に制御し液晶の光学的特性を変化させる事ができ、上記のニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化されている。
【0006】
しかしながら、これらの液晶表示装置では、画面を見る角度や反射光による画面上の文字の見づらさや、光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚へ負担が未だ十分に解決されていない。
【0007】
この為、視覚への負担の少ない表示装置の研究が盛んに検討されている。
【0008】
中でも、低消費電力、眼への負担軽減などの観点から反射型表示装置が期待されている。
【0009】
その1つとして、Harold D.Lees等により発明された電気泳動表示装置(米国特許第3612758号公報)が知られている。
【0010】
従来の電気泳動表示装置の構成及びその動作原理を図3に示す。
【0011】
この装置は、帯電した電気泳動粒子31と着色色素が溶解された電気泳動用分散媒32とこの分散媒を挟んで対峙する一組の電極33、34からなっている。
【0012】
各素子間には、上下基板の間隔を一定に保つため及び電気泳動粒子の素子間の偏りを防止するためのスペーサー兼隔壁35が形成されている。
【0013】
駆動は、電極33、34を介して泳動用分散媒32に電圧を印加することにより、電気泳動粒子31を粒子自身持つ電荷と反対極性の電極に引き寄せて行う。
【0014】
表示はこの電気泳動粒子31の色と、電気泳動粒子の色相と異なる着色色素が溶解された電気泳動用分散媒32の色によって行われる。
【0015】
図3に、二つの表示状態を示した。
【0016】
最近では、電気泳動粒子と電気分散媒を微小なマイクロカプセルに封入し、これらを基板上に並べて表示装置とする方法も提案されている(米国特許第6067185号公報)。
【0017】
この方法の特徴は、分散系をカプセル内に保持させているため、基板上に容易に塗布形成できることにある。
【0018】
また、電気泳動粒子に関する提案はいくつか存在する。
【0019】
たとえば、特開平2−141730号公報に、電気泳動粒子として、金属酸化物コロイド粒子を用いる方法が開示されている。
【0020】
さらに、電気泳動粒子の沈降分離を防ぎ、長時間にわたる良好な分散を維持するために、多孔質材料を用いて電気泳動粒子の比重を小さくするという提案がなされており、特開平2−24633号公報には、多孔質有機材料に無機酸化物をコーティングした電気泳動粒子が、さらに、特開2000−227612号公報には、表面に顔料成分を有し内部に空隙を有する微粒子が開示されている。
【0021】
また、多孔質物質に染料を吸着させた着色粒子は、他にもインク用色材等を目的として、いくつか提案されている。
【0022】
たとえば、特開2001−64533号公報では、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物微粒子からシリカ以外の無機酸化物を選択的に除去することにより多孔質化した微粒子が提案されており、また、特開平09−157560号公報および特開平09−71732号公報には、ゾルゲル法で多孔質セラミック微粒子を製造し、染料が吸着した多孔質セラミック微粒子をあらかじめ製造して着色剤とし、該着色剤を溶媒中に分散させてインクを調整する方法が開示されている。
【0023】
また、多孔質材料は、IUPACによれば、細孔径が2nm以下のマイクロポーラス、2〜50nmのメソポーラス、50nm以上のマクロポーラスに分類されるが、特開2000−202280号公報にはメソ細孔、またはマクロ細孔を有する酸化ケイ素粉体を染料吸着体として用いる方法が提案されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来の電気泳動粒子には、いくつかの問題があった。
【0025】
すなわち、多孔質有機材料に無機酸化物をコーティングした電気泳動粒子の場合には、表面の顔料層が厚くなると比重が大きくなり分散性が損なわれる一方、顔料層が薄いと十分な着色が得られないという、相反する問題点があった。
【0026】
また、多孔質顔料電気泳動粒子の場合には、材質が限定されてしまうために色調に限定が加わること、色調を変えるには顔料の材質を変える必要があるため、粒子の帯電量が色によって大きく変わってしまうこと、十分な着色を得ると比重が大きくなってしまうこと等の問題点があった。
【0027】
また、多孔質の顔料粒子は、機械的強度が小さく、多孔質電気泳動粒子を形成している顔料微粒子が分離し、結果的に比重の大きな非多孔質の微粒子を形成し、表示特性に悪影響を及ぼすという問題点があった。このため、比重が小さく、均質性、着色性に優れた電気泳動粒子が望まれていた。
【0028】
このような背景において、多孔質物質に染料を吸着させた着色粒子は電気泳動粒子に適していると期待されるが、しかし、これらの方法では、染料の発色性に問題が残されていた。
【0029】
つまり、上記特開2001−64533号公報、特開平09−157560号公報および特開平09−71732号公報といった方法では細孔の大きさや分布が制御されていないのである。
【0030】
細孔が小さすぎる場合は染料が細孔内に吸着せず細孔外に存在することで染料の凝集が起き、大きすぎる場合は細孔内で染料の凝集が起き、発色性が低下してしまう場合がある。
【0031】
また、細孔部分と非細孔部分の分布が不均一であると染料の分布も不均一になり、これも発色性低下につながる。
【0032】
そこで、ほぼ均一な細孔径を有するメソポーラス材料のような多孔質物質に染料を吸着担持させた粒子が、電気泳動粒子に適しているとさらに期待されるが、一般的に広く合成されているメソポーラスシリカ粒子へ染料を担持する技術に関しては、シリカの表面に何も処理を施さない場合には、粒子表面に十分な正電荷が生じないため、工業的にインク用染料として最も広く用いられているアニオン性色素を良好に吸着できないという大きな欠点を有していた。
従って、メソポーラスシリカの細孔に安定に染料を担持させる方法が求められていた。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記鑑みてなされたものであり、微視的に均質で、比重が小さく分散性に優れ、且つ高発色性を示す着色粒子、特に電気泳動粒子を作製したものである。
【0034】
すなわち本発明は実質的に均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子に、染料が共有結合によって固定化されてなることを特徴とする着色粒子である。
前記多孔質粒子を形成する材料は無機酸化物を含み、特に該無機酸化物は主成分としてケイ素を含むことが望ましい。
【0035】
また、前記染料は前記無機酸化物に含まれる酸素原子に共有結合によって固定化される。
【0036】
さらには、前記多孔質粒子を形成する材料には1または2以上の炭素を少なくとも末端に含む原子団を含んでおり、該原子団が該末端の炭素によって2以上のケイ素原子と結合している酸化ケイ素−有機物ハイブリッド材料を用いても良い。
【0037】
なお、前記染料は該多孔質粒子中の酸素原子、多孔質粒子中の炭素を含む原子団を構成する原子に共有結合によって固定化されている。
【0038】
また、窒素ガス吸着測定により求められた前記メソ細孔の径の分布は、単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれる。
【0039】
また、前記染料はハロゲン化トリアジン基、ビニルスルホン基、ニコチン酸基の少なくともひとつを含むことことが望ましい。
【0040】
上記着色粒子は電気泳動型表示装置の着色粒子に好適に用いられる。
【0041】
また発明は、両親媒性物質の共存下において、多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質を加水分解、縮合させ、メソ構造体粒子を作製する工程と、作製したメソ構造体粒子から両親媒性物質を除去する工程と、該多孔質粒子に反応基を有する染料を共有結合により固定化する工程とを含むことを特徴とする着色粒子の製造方法である。
【0042】
前記多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質は金属アルコキシド、金属のハロゲン化物、ケイ素アルコキシド、ケイ素ハロゲン化物、炭素原子を含む有機基が2点以上でケイ素原子と結合し、該ケイ素原子がそれぞれ1以上のアルコキシル基もしくはハロゲン基を有しているケイ素化合物の少なくともひとつを含むことを特徴とする
また、前記両親媒性物質が界面活性剤であることが望ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0044】
まず、本発明に好適な染料について説明する。
【0045】
本発明による着色粒子は多孔質粒子に、染料が共有結合によって固定化されていることを特徴とする。
【0046】
よって、染料は後に説明する多孔質材料と結合できる反応基を有していることを特徴とする。
【0047】
上記染料には、カラーインデックス(COLOR INDEX)に記載されているような反応染料が好適である。
【0048】
反応染料とは一般的には繊維と共有結合によって結合する染料とされ、繊維中の水酸基、アミノ基、メルカプト基等といった反応基と反応する染料で、下記に示すような一般式で表すことができる。
【0049】
D−T−X
(D:色素母体、T:連結基、X:反応基を示す。)
色素母体Dとしては、低分子量の発色共鳴系が用いられ、好ましくはピラゾロンアゾ系、ナフタレンアゾ系、アントラキノン系、ホルマリン系、フタロシアニン系などであるが、トリフェニルメタン系、キサンテン系などでも可能であり、所望の色を得られればこれに限らない。
【0050】
反応基(X)の具体例としては、例えば連結基としてアミノ基を有するハロゲン化トリアジン基(モノクロロトリアジン基、ジクロロトリアジン基、トリクロロトリアジン基等)、連結基としてスルホン基やアミノ基を有するビニルスルホン基、連結基としてアミノ基を有するニコチン酸基等が挙げられるが、後に説明する多孔質材料の反応基と共有結合を形成することができる反応基であればこれらに限定されるものではない。
【0051】
以下に反応染料の一例を挙げる。
【0052】
主なクロルトリアジン系としては、Kayacion P Yellow P−S8G,Yellow P−5G,Yellow P−4G,YellowP−N3R,Red P−3BN,Turquoise P−3GF,BlackP−NBR,Black P−N,Black P−GS,KayacionP−7G,Yellow P−5G,Yellow P−N3R,RedP−BN,Turq.P−3GF,Black P−N,Black P−NBR,Black P−GS,Red A−3B,Yellow E−MS,Red E−MS,Lemon Yellow E−CM Clean,Yellow E−CM Clean,Red E−CM,Red E−SN7B,Yellow E−SN4G,Yellow E−SNA,Red E−S3B,Red E−8BN,Turquoise E−NA(日本化薬)、YELLOWE−3G,YELLOW E−G,YELLOW E3R,GOLD YELLOW E−R,Orange E−2G,Orange E−2R,RED E−B,RED E−7B,Turquise E−G,Green E−6B,Brilliant Yellow P3GN,Yellow P−3R,Brilliant Red P−B,Brilliant Red P−3B,Brilliant Blue P−3R,Brilliant Blue P−BR,Brilliant Blue P−BR,Turquoise Blue P−GR(BASF),Yellow 5G,Red B,Red 3B,Turquoise Blue GF,Turquoise Blue B,Black BG−A,Black 2G(三菱化学),Procion YellowSP−8G,Procion Yellow P−4G,Procion Yellow P−3R,Procion Red P−4BN,Turquoise SP−2G,Black P−2R,Black SP−L(ICI),Cibacron Yellow 6GS,Cibacron Yellow 3G,Golden Yellow 2R,Cibacron Blue4GN,Cibacron Turquoise GR,Cibacron Black GR,Cibacron Black 2PD,CibacronYellow 6G,Cibacron Yellow 3G,Cibacron Yellow 2G,Cibacron Golden Yellow 2R,Cibacron Red B,Cibacron Red 3B,Cibacron Red 6B,Cibacron Blue 4G,Cibacron Turquoise GF,Cibacron Turquoise GR,Cibacron Black 2PD(CIBA−GEIGY)、などである。
【0053】
ビニルスルホン系としては,Duasyn−Brilliant Yellow GL−SF VP 220,Red 3B−SF VP 346,Yellow R−GL liquid,Red R−F3B liquid,BlueR−KG liquid,Green R−K6B liquid,Black R−KRL liquid(Hoechst),Duasyn−Brill.Yellow 7GL,Brill.Yellow 4GL,Brill.Yellow GL,Yellow FG,Yellow GNL,YellowGR,Golden Yellow G,Brill.Red BB,Brill.Red 5b,Red FG−SN,Red 2B−SN,Turquoise Blue B,Turquoise Blue G,Black AN,Black KN,Black R−KN,Black DEN Hi−Gran(三菱化成ヘキスト)、Sumifix Supra BrilliantYellow 3GF,Yellow 3RF,Brilliant RedBSF,Brilliant Red 3BF,Turquoise Blue B GF,Sumifix Yellow 2GL,Yellow FG,Yellow GN,Yellow GRS,Yellow R,GoldenYellow GG,Brilliant Red 5BS,Turquoise Blue G,Black B,Black ENS,Black EX,BLACK EDS,BLACK PBS(住友化学)などである。
ニコチン酸系としては、Kayacelon React ColoursYellow CN−4G,Yellow CN−SL,Yellow CN−ML,Yellow CN−RL,Red CN−3B,Red CN−7B,Turquoise CN−2G(日本化薬)などである。
【0054】
また、これら一般的に反応染料とされるもの以外のものであっても、多孔質材料と共有結合できる構成であれば構わない。
【0055】
例えば、反応基を持たない安定な染料に反応架橋剤を併用して、多孔質材料と共有結合させることも可能である。
【0056】
次に、電気泳動粒子等に好適な多孔質材料について説明する。
【0057】
図1は本発明の電気泳動粒子を模式的に表した図である。
【0058】
図1において11は、1個の電気泳動粒子を示す。
【0059】
本発明の電気泳動粒子は、図1に示すように、均一な径のメソ細孔13を有する多孔質材料である。
【0060】
この図1には、二次元ヘキサゴナル構造のものが示されているが、細孔の配置はこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、この他に、キュービック構造のもの、三次元ヘキサゴナル構造のもの等を使用することが可能である。
【0062】
また、細孔径は均一であって、その配置がランダムなものでも、本発明の電気泳動粒子に良好に用いることができる。
【0063】
細孔径は、メソ細孔領域のものが好ましく用いられる。
【0064】
メソ細孔とは、IUPACの分類に基づくもので、細孔径が2nmから50nmのものをいう。
【0065】
これよりも径の小さいミクロポーラス物質の場合には、細孔に担持できる色素は比較的サイズの小さいものに限定され、一方これよりも径の大きいマクロポーラス物質の場合には、細孔内で色素分子が会合を起こし、色調が低下することがある。
【0066】
多孔質粒子中の細孔径分布の評価には、一般に窒素等のガスの吸着等温線を測定する方法が用いられる。
【0067】
得られた等温吸着線から、Berret−Joyner−Halenda (BJH)の解析法等によって計算される。
【0068】
本発明の電気泳動粒子に用いられるメソポーラス材料のメソ細孔は、窒素ガス吸着測定からBJH法により求められた細孔径の分布が単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれるものである。
【0069】
これ以上の細孔径分布を有するメソポーラス材料を用いた場合には、色素吸着量にムラが生じたり、粒子の色調が低下したり、粒子によって比重が変化したりするといった問題が生じ、表示特性を低下させることがある。
【0070】
本発明の着色粒子中の均一な径のメソ細孔は、種々の方法で形成することが可能であるが、両親媒性分子の集合体、特に界面活性剤分子の集合体であるミセルをテンプレートにして作製したメソ構造体から、テンプレートである両親媒性物質を除去して作製されるものが一般的であり、また、好ましい特性を示す。
界面活性剤ミセルをテンプレートに用いるメソ構造体の作製方法に関しては、幅広い方法が適用できるが、基本的には界面活性剤の存在下において多孔質粒子を形成する材料の原料となる化合物(以下多孔質粒子原料と称す)を加水分解するという手法を用いる。
【0071】
例えば、Nature誌の第359巻第710〜712ページに記載されている方法、Nature誌の第368巻第317〜321ページに記載されている方法などを用いることが可能である。
【0072】
また、これらの方法はシリカメソ構造体についての報告であるが、他の金属酸化物メソ構造体の作製についても多くの報告がなされている。
【0073】
例えば、“NATURE”第396巻、152頁(1998年)においてはZrO2、TiO2、N2O5、Ta2O5、WO3、SnO2、HfO2、Al2O3、SiO2の作製について報告がなされた。
【0074】
界面活性剤としては、4級アルキルアンモニウムのようなカチオン性界面活性剤、親水基にポリエチレンオキシドを含む非イオン性界面活性剤等が適用可能で、目的の細孔径にあわせて、最適なものを選択して使用する。
【0075】
ミセルのサイズを大きくするために、メシチレンのようなものを界面活性剤溶液に添加しても良い。
【0076】
多孔質粒子原料にも幅広い材料を使用可能で、例えば多孔質粒子をシリカで形成したい場合は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランのようなシリカアルコキシド、珪酸ナトリウム等が使用可能である。
【0077】
また、他の金属酸化物で多孔質粒子を形成したい場合は、金属アルコキシド、金属塩化物等を多孔質粒子原料として用いる事ができる。
【0078】
さらには近年、有機基を多孔質粒子内、つまり細孔壁内部に導入した有機−無機ハイブリッド型のメソポーラス物質の合成が報告され、例えば、Journal of the American Chemical Society誌第121巻9611ページには有機基の両側にシリカアルコキシド基が結合した有機シランが多孔質粒子原料に用いられている。
【0079】
このように細孔壁内部に有機基を有しているメソ構造体は、後に説明する染料と反応する反応基を細孔表面に形成する上で有効な材料となる。
【0080】
メソ構造体からの両親媒性物質の除去方法には、焼成、紫外光照射、オゾンによる酸化分解、超臨界流体による抽出、溶剤による抽出等様々な手法がある。
【0081】
細孔構造を破壊しない方法であれば、いずれの方法も用いることが可能であるが、高温下での焼成のように、多孔質粒子原料の縮合を進め、水酸基つまり後に説明する多孔質粒子側の反応基を減らす可能性の大きい除去方法より、低温下の焼成や超臨界流体による抽出、溶剤による抽出等の方法を用いるほうがより好ましい。
【0082】
特に、前記有機−無機ハイブリッド型のメソポーラス物質を用いる場合は、焼成、紫外光照射、オゾンによる酸化分解等の方法ではなく、超臨界流体による抽出、溶剤による抽出等の方法を用いて細孔壁内部の有機基の分解を防ぎつつ両親媒性物質を除去する必要がある。
【0083】
両親媒性物質の除去によって細孔内は中空となり、メソ構造体はメソポーラス材料、つまり細孔径がほぼ均一で良好な多孔質材料となる。
【0084】
次に、多孔質材料が有する反応基について説明する。
【0085】
本発明は反応基を有した染料が多孔質粒子に共有結合によって固定化されることを特徴とする。
【0086】
よって、多孔質粒子は上記染料と共有結合できる反応基を有していることを特徴とする。
【0087】
そもそも、市販の反応染料は、染料イオンあるいは分子の炭素原子と綿、絹、羊毛、皮革などの媒体にある水酸基、アミノ基、メルカプト基の酸素、窒素、イオウ原子との間で共有結合を形成することのできる適当な反応基を有する有色化合物として開発されている。
【0088】
よって、上記媒体にあるヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基の酸素、窒素、イオウ原子といった反応基が、多孔質粒子の細孔表面にも存在すれば、多くの市販の反応染料と共有結合することが可能である。
【0089】
上記方法によって作製された多孔質粒子の細孔内部には例えばシラノールといった、加水分解によって生じた水酸基が存在し、これを反応基として利用することが出来る。
【0090】
また、さらに反応性を高め、結合力強めたい場合は細孔壁表面を修飾し、反応基を形成すればよい。
【0091】
例えば、アミノ化合物を用いてアミノ基を、またチオール化合物を用いてメルカプト基を付与することができるが、細孔壁表面にもともと存在する水酸基より反応性の高い反応基が付与できれば、これに限らない。
【0092】
また、結合量を増減したい場合は、焼成条件等を変化させて細孔壁表面のシラノール量を増減することで、結合する染料の量を変化させることが可能である。
【0093】
もうひとつの染料固定化の方法として、有機−無機ハイブリッド型のメソポーラス物質を用いる方法がある。
【0094】
この有機基に染料と結合する反応基をもたせることで、染料を結合、固定化することが可能である。
【0095】
さらに、この有機基の導入量は、多孔質粒子原料の仕込み量を変えることで簡単に制御することができ、多孔質粒子に結合する染料量も変化させることが可能である。
【0096】
例えば、有機基に2個以上のケイ素アルコキシド基が結合した有機シランから有機−無機ハイブリッド型のメソポーラス物質を合成する際に、テトラエトキシシランもしくはテトラメトキシシランを混合すると、混合比率を変えることで、細孔壁内部及び細孔壁表面に露出する有機基の量を調整することが出来る。
【0097】
この結果、多孔質粒子細孔表面の反応基の量も制御することが可能になり、結合する染料の量を簡単に制御することができる。
【0098】
尚、本発明の主旨は多孔質粒子に染料を共有結合により固定化することにあり、染料側の反応基と多孔質材料側の反応基の組み合わせは、一般の反応染料が有するような反応基と繊維等媒体が有するような反応基の組み合わせを用いる事が簡便ではあるが、それ以外の組み合わせでも構わない。
【0099】
次に、以上説明した染料と多孔質粒子を反応させて共有結合を形成する工程について説明する。
【0100】
多孔質粒子と染料は水系溶媒に混合し反応溶液とする。
【0101】
この水系溶媒は、水単独あるいは水と水混和性媒体との混合物からなる。
【0102】
この場合、水混和性媒体としては、例えばアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類等を使用することができる。
【0103】
尚、染料の混合量は、該染料の種類、所望の着色度等に応じて選定されるが、多孔質材料100重量部当たり、通常、0.1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部である。
【0104】
これより少ないと、結合される染料の量が少なく着色粒子の色味が悪化する、または反応時間が長くなるといった弊害が現れる場合があり、また、これより多いと、結合しない余剰の染料が増えてしまう。
【0105】
また、多孔質粒子の反応溶液への混合量は、水系溶媒に混合した染料の量や反応時間、温度等に応じて選定されるが、反応溶液100重量部当たり、通常、0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。
【0106】
生産上は同量の反応溶液に対して処理量は多いほうが有利であるが、多孔質粒子はその比重が非常に軽いため、これ以上混合すると撹拌ができず、円滑に反応を進めることが出来なくなる可能性がある。
【0107】
さらに、反応溶液には反応を促進するための化合物を適宜加えても良い。
【0108】
例えば、市販の反応染料を用いる場合は水酸化ナトリウム等を添加しpHを変えて反応系をアルカリ性に保つ必要がある。
【0109】
反応系がアルカリ性であることにより、反応染料の多孔質粒子に対する結合反応が促進されることが多い。
【0110】
但し、pHが高過ぎると、反応染料と水系媒体との反応が促進されてしまうため、使用する反応染料の種類に応じて、pHを適宜調整することが必要である。
【0111】
以上説明したように、本発明の要旨は均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子と反応基を有する染料を水系溶媒に混合することにより、該多孔質材料に染料が共有結合で固定化されるものである。
【0112】
また、該多孔質粒子の細孔径は均一かつメソ領域であるため、余分な染料が凝集することが少なく、高発色性の着色粒子が得られる。
【0113】
さらに、染料は化学的に多孔質粒子に結合されているため、非常に安定で溶液に対しても染料の脱着の少ない着色粒子が得られる。
【0114】
(実施例)
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、反応条件等は、同様な着色粒子が得られる範囲で自由に変えることが可能である。
【0115】
実施例1
本実施例はメソポーラスシリカを多孔質粒子として用い、染料にビニルスルホン基を有する染料を用いて着色粒子を作製した例である。
【0116】
(着色粒子の作製)
SIGMA CHEMICAL 社製の非イオン性界面活性剤Brij56(ポリオキシエチレン10セチルエーテル)3.3gを128mlの純水に溶解し、35%濃塩酸20mlを添加し、界面活性剤の酸性溶液とした。
【0117】
この界面活性剤溶液に常温で2.2mlのテトラエトキシシランを添加し、3分間攪拌した後に、フッ素樹脂製の耐圧容器に移し、80℃で1週間反応させ、沈殿を得た。
【0118】
この沈殿を、純水で十分に洗浄した後に乾燥させ、得られた粉末をエタノール中に浸漬し、70℃で24時間抽出を2回繰り返し行った。
【0119】
抽出後の沈殿物を乾燥させエタノールを除去することによって白色粉末を得た。
【0120】
この粉末を、X線回折分析を用いて分析した結果、この粉末は二次元ヘキサゴナル構造の細孔構造を有するメソポーラスシリカであることが確認され、その(100)面の面間隔は5.3nmであることが確認された。
【0121】
また、この粉末試料に対して窒素ガス吸着の実験を行った結果、等温吸着線から求められた比表面積は811m/gという大きな値を示し、またBJH法により細孔径分布を計算した結果、細孔径分布は3.8nmに鋭い極大値を持つ単一分散を示し、かつ分布曲線は2nmから7nmの範囲に入っており、これより、作製したメソポーラスシリカは実質的に均一な細孔径を有していることが確かめられた。
【0122】
また、抽出後の粉末には有機物成分はほぼ残存していないことが赤外吸光分析によって確認された。
【0123】
次に、ビニルスルホン系反応染料であるDuasyn Red 3B−SF(ヘキスト社製)の5重量%水溶液(固形部換算)150gに対して、上記方法で作製したメソポーラスシリカ0.5gを混合し、60℃で2時間加熱撹拌し、さらに、水酸化ナトリウムを加え、pHを10.5に調整して、60℃で4時間過熱撹拌した。
【0124】
この間、1時間おきに溶液中のpHを確認し、水酸化ナトリウムを添加することで常にpHが10.5となるようにした。
【0125】
次に、溶液中の粒子を分離し、さらに純水で十分に洗浄を行った後、常温で乾燥した結果、鮮やかな赤色の着色粒子を得た。
【0126】
染料が結合された後の粒子をX線回折分析で評価したところ、結合前とほぼ同じ位置に回折ピークが観測され、染料結合後も細孔構造が保持されていることが確認された。
【0127】
また、染料結合後の粉末試料に関して窒素ガス吸着の測定を行った結果、比表面積699m/gと、染料結合前よりも小さい値が得られた。
【0128】
吸着等温泉からBJH法によって求められた細孔径分布は、極大値は染料結合前のものと比較してほとんど変化がないものの、染料結合前に比較して、小さい径の細孔の割合が増大していた。
【0129】
これは、明らかに内部細孔への染料の結合を示している。
【0130】
(電気泳動粒子としての評価)
以上のような工程で作製された染料を担持したメソポーラスシリカ粒子の中から、2μm〜3μmの粒径のものを分級し、電気泳動粒子とした。
【0131】
次に、以上の工程によって作製した染料を担持したメソポーラスシリカ粒子の電気泳動特性を評価するために、図2に示すような電気泳動装置を用いて評価を行った。
【0132】
絶縁性液体22にはイソパラフィン(商品名:アイソパー,エクソン社製)を使用した。
【0133】
イソパラフィンには、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させた。
【0134】
本実施例で作製した、染料を担持したメソポーラスシリカ粒子は、上記絶縁性液体に対して良好な分散を示し、溶液を放置しても粒子が沈殿することはなかった。
【0135】
また、染料が溶出することもほとんどなく、溶液中の安定性も高いことが分かった。
【0136】
本実施例で作製した電気泳動粒子は、上下の電極への電界印加により、電極間を良好に移動し、良好な表示特性を示した。
【0137】
また、駆動に伴って粒子が凝集するようなことはなく、良好な駆動特性が長時間持続することが確認された。
【0138】
実施例2
本実施例はメソポーラスシリカに3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面修飾したものを多孔質粒子として用い、染料にクロルトリアジン基を有する染料を用いて着色粒子を作製したものである。
【0139】
(着色粒子の作製)
まず、実施例1と同様な方法でメソポーラスシリカを作製した。
【0140】
次に、細孔壁表面を修飾し、アミノ基を付与するために、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メソポーラスシリカ、トルエンを1:1:20で混合し、3時間、加熱還流した。
【0141】
粒子を分離し、トルエンで洗浄し、120℃で乾燥してメソポーラスシリカとした。
【0142】
次に、クロルトリアジン系反応染料であるKayacion Turquoise E−NA(日本化薬社製)の5重量%水溶液(固形部換算)150gに対して、上記方法で作製したメソポーラスシリカ0.5gを混合し、60℃で2時間加熱撹拌し、さらに、水酸化ナトリウムを加え、pHを10.5に調整して、60℃で4時間過熱撹拌した。
【0143】
この間、1時間おきに溶液中のpHを確認し、水酸化ナトリウムを添加することで常にpHが10.5となるようにした。
【0144】
次に、溶液中の粒子を分離し、さらに純水で十分に洗浄を行った後、常温で乾燥した結果、鮮やかな青色の着色粒子を得た。
【0145】
本実施例における着色粒子についても実施例1と同様にX線回折分析で評価したところ、染料結合後も細孔構造が保持されていることが確認された。
【0146】
また、実施例1と同様に窒素ガス吸着の測定を行った結果、比表面積652m/gと、染料結合前よりも小さい値が得られ、細孔径分布も、極大値は染料結合前のものと比較してほとんど変化がないものの、染料結合前に比較して、小さい径の細孔の割合が増大していた。
【0147】
(電気泳動粒子としての評価)
以上のような工程で作製された色素を担持したメソポーラスシリカ粒子の中から、2μm〜3μmの粒径のものを分級し、実施例1と同様な方法で電気泳動粒子とし、電気泳動特性の評価を行った。
【0148】
その結果、本実施例で作製した、色素を担持したメソポーラスシリカ粒子は、上記絶縁性液体に対して良好な分散を示し、溶液を放置しても粒子が沈殿することはなかった。
【0149】
また、染料が溶出することもなく、溶液中の安定性も高いことが分かった。
【0150】
本実施例で作製した電気泳動粒子は、上下の電極への電界印加により、電極間を良好に移動し、良好な表示特性を示した。
【0151】
また、駆動に伴って粒子が凝集するようなことはなく、良好な駆動特性が長時間持続することが確認された。
【0152】
実施例3
本実施例は有機無機ハイブリッド型メソポーラスシリカを多孔質粒子として用い、染料にニコチン酸基をもつ染料を用いて着色粒子を作製した例である。
【0153】
(着色粒子の作製)
イオン性界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロマイド0.21gを8.35gの純水に溶解し、35%アンモニア水4.43gを添加し、界面活性剤の溶液とした。
【0154】
この界面活性剤溶液に常温で2.2mlのビストリエトキシシリルエテンとテトラエトキシシランを添加し、30分間攪拌した後に、フッ素樹脂製の耐圧容器に移し、80℃で4日間反応させ、沈殿を得た。
【0155】
尚、ビストリエトキシシリルエテンとテトラエトキシシランはあわせて4.8mmolになるように調整し、混合比はモル比で100:0としたものを反応溶液A、50:50としたものを反応用液Bとした。
【0156】
この沈殿を、純水で十分に洗浄した後に乾燥させ、得られた粉末を塩酸(36%)とメタノールを重量比1:7で混合した溶液中に浸漬し、70℃で24時間抽出を2回繰り返し行った。
【0157】
抽出後の沈殿物を乾燥させエタノールを除去することによってそれぞれ反応溶液Aからは白色粉末A、反応溶液Bからは白色粉末Bを得た。
【0158】
この粉末A、Bを、X線回折分析を用いて分析した結果、この粉末は二次元ヘキサゴナル構造の細孔構造を有するメソポーラスシリカであることが確認され、その(100)面の面間隔はどちらも約4.7nmであることが確認された。
【0159】
また、実施例1と同様に窒素ガス吸着の実験を行った結果、等温吸着線から求められた比表面積はどちらも約600m/gという大きな値を示し、またBJH法により細孔径分布を計算した結果、細孔径分布は3.9nmに鋭い極大値を持つ単一分散を示し、かつ分布曲線は2nmから7nmの範囲に入っており、これより、作製したメソポーラスシリカは実質的に均一な細孔径を有していることが確かめられた。
【0160】
以下、この粉末A、BをそれぞれメソポーラスシリカA、メソポーラスシリカBと呼ぶ。
【0161】
得られたメソポーラスシリカA、Bそれぞれ0.5gを150℃で2日間真空加熱した。
【0162】
次に、ガラス容器に数滴、臭素を滴下し、そのガラス容器の中にメソポーラスシリカをのせた時計皿を置いた。
【0163】
このとき、直接、臭素とメソポーラスシリカが接触しないようにした。
【0164】
さらに、ガラス容器にパラフィルムで蓋をして、ガラス容器内で発生した臭素ガスにメソポーラスシリカを18時間さらした。
【0165】
その後、分離し、洗浄、乾燥を行った。
【0166】
次に、ニコチン酸系反応染料であるKayacelon Reactive Yellow CN−SL(日本化薬社製)の5重量%水溶液(固形部換算)150gに対して、上記方法で作製したメソポーラスシリカA、Bをそれぞれ0.5gを混合し、60℃で2時間加熱撹拌し、さらに、水酸化ナトリウムを加え、pHを10.5に調整して、60℃で4時間過熱撹拌した。
【0167】
この間、1時間おきに溶液中のpHを確認し、水酸化ナトリウムを添加することで常にpHが10.5となるようにした。
【0168】
次に、溶液中の粒子を分離し、さらに純水で十分に洗浄を行った後、常温で乾燥した結果、鮮やかな黄色の着色粒子A、Bを得た。
【0169】
本実施例における着色粒子A、Bについても実施例1と同様にX線回折分析で評価したところ、染料結合後も細孔構造が保持されていることが確認された。
【0170】
また、実施例1と同様に窒素ガス吸着の測定を行った結果、比表面積はどちらも染料結合前よりも小さい値が得られ、細孔径分布も、極大値は染料結合前のものと比較してほとんど変化がないものの、染料結合前に比較して、小さい径の細孔の割合が増大していた。
【0171】
(電気泳動粒子としての評価)
以上のような工程で作製された染料が固定化されたメソポーラスシリカ粒子の中から、2μm〜3μmの粒径のものを分級し、実施例1と同様な方法で電気泳動粒子とし、電気泳動特性の評価を行った。
【0172】
その結果、本実施例で作製した染料を固定化したメソポーラスシリカ粒子は、A、Bともに上記絶縁性液体に対して良好な分散を示し、溶液を放置しても粒子が沈殿することはなかった。
【0173】
また、染料が溶出することもなく、液体中の安定性も高いことが分かった。
【0174】
本実施例で作製した電気泳動粒子A、Bともには、上下の電極への電界印加により、電極間を良好に移動し、良好な表示特性を示した。
【0175】
また、駆動に伴って粒子が凝集するようなことはなく、良好な駆動特性が長時間持続することが確認された。
【0176】
(固定化された染料の量)
CHN元素分析により、結合した染料の量は、A:Bはほぼ2:1であることが求められた。
【0177】
この結果、多孔質粒子原料となる物質のケイ素と炭素の量の比率を変えることで、多孔質粒子内部および表面への有機基の導入量を調整し、細孔表面の反応基の量も制御して、結合する染料の量を制御できたことが確認された。
【0178】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子に染料を共有結合によって固定化することで、優れた分散性能を有し、種々の色調で且つ同じ特性を示し、安定性の高い着色粒子、特には電気泳動粒子を簡便な方法で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動粒子の一実施態様例を示す模式図である。
【図2】本発明の電気泳動表示装置の構成を示す模式図である。
【図3】従来の電気泳動表示装置の構成及びその動作原理を示す模式図である。
【符号の説明】
11 電気泳動粒子
12 細孔壁
13 メソ細孔
14 染料
21 着色電気泳動粒子
22 電気泳動用分散媒
23、24 電極
25 隔壁
26 基板
31 電気泳動粒子
32 電気泳動用分散媒
33、34 電極
35 隔壁
36 基板

Claims (17)

  1. 実質的に均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子に、染料が共有結合によって固定化されてなることを特徴とする着色粒子。
  2. 前記多孔質粒子を形成する材料が無機酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の着色粒子。
  3. 前記無機酸化物が主成分としてケイ素を含むことを特徴とする請求項1および2に記載の着色粒子。
  4. 前記染料が前記無機酸化物に含まれる酸素原子に共有結合によって固定化されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載の着色粒子。
  5. 前記多孔質粒子を形成する材料が1または2以上の炭素を少なくとも末端に含む原子団を含んでおり、該原子団が該末端の炭素によって2以上のケイ素原子と結合している酸化ケイ素−有機物ハイブリッド材料であることを特徴とする請求項1に記載の着色粒子。
  6. 前記染料が前記酸化ケイ素−有機物ハイブリッド材料で形成される多孔質粒子中の酸素原子に共有結合によって固定化されていることを特徴とする請求項5に記載の着色粒子。
  7. 前記染料が前記酸化ケイ素−有機物ハイブリッド材料で形成される多孔質粒子中の炭素を含む原子団を構成する原子に共有結合によって固定化されていることを特徴とする請求項5に記載の着色粒子。
  8. 窒素ガス吸着測定により求められた前記メソ細孔の径の分布が、単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれることを特徴とする請求項1ないし7に記載の着色粒子。
  9. 前記染料がハロゲン化トリアジン基、ビニルスルホン基、ニコチン酸基の少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の着色粒子。
  10. 請求項第1ないし9に記載の着色粒子を含む組成物。
  11. 請求項第1ないし9に記載の着色粒子より構成される電気泳動粒子。
  12. 電気泳動粒子と、該電気泳動粒子を分散するための分散媒と、電気泳動粒子を移動させるための一対の電極を有する電気泳動型表示装置であって、該電気泳動粒子が、実質的に均一な径のメソ細孔を有する多孔質粒子に、染料が共有結合によって固定化されてなる着色粒子により構成されていることを特徴とする電気泳動型表示装置。
  13. 両親媒性物質の共存下において、多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質を加水分解、縮合させ、メソ構造体粒子を作製する工程と、作製したメソ構造体粒子から両親媒性物質を除去する工程と、該多孔質粒子に反応基を有する染料を共有結合により固定化する工程とを含むことを特徴とする着色粒子の製造方法。
  14. 前記多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質が金属アルコキシドもしくは金属のハロゲン化物を含むことを特徴とする請求項13に記載の着色粒子の製造方法。
  15. 前記多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質がケイ素アルコキシド、もしくはケイ素ハロゲン化物を含むことを特徴とする請求項13に記載の着色粒子の製造方法。
  16. 前記多孔質粒子を形成する材料の原料となる物質が、炭素原子を含む有機基が2点以上でケイ素原子と結合し、該ケイ素原子がそれぞれ1以上のアルコキシル基もしくはハロゲン基を有しているケイ素化合物を含むことを特徴とする請求項13に記載の着色粒子の製造方法。
  17. 前記両親媒性物質が界面活性剤であることを特徴とする請求項13ないし16に記載の着色粒子の製造方法。
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