JP2004354536A - 後分岐光接続箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅寸法がコンパクトであり、通過心線の余長をゆったりと収納できかつ通過心線の余長の収納作業の作業性向上が図られる後分岐光接続箱を提供する。
【解決手段】分岐のための処理を行なった既設光ケーブル11を固定した光接続箱本体22に、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線11cの余長を収納する通過心線収納トレイ26と、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線11dの光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイ27とを積層状態で配置する。後分岐光接続箱21の幅寸法を従来と比べて大幅にコンパクトにすることができる。
【選択図】 図4
【解決手段】分岐のための処理を行なった既設光ケーブル11を固定した光接続箱本体22に、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線11cの余長を収納する通過心線収納トレイ26と、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線11dの光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイ27とを積層状態で配置する。後分岐光接続箱21の幅寸法を従来と比べて大幅にコンパクトにすることができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】
この発明は、既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるための後分岐光接続箱に関し、特に壁面に固定して用いる壁掛け形として好適な後分岐光接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるための従来の後分岐光接続箱1を示すもので、この後分岐光接続箱1は、壁掛け形の後分岐光接続箱であり、概ね矩形板状の光接続箱本体2の図示例では左側の上下部に、既設光ケーブル11を固定する光ケーブル把持金具4およびテンションメンバ把持金具5を設け、また、右側の上下部に、分岐光ケーブル12を固定する光ケーブル把持金具4’およびテンションメンバ把持金具5’を設け、そして、高さ方向中央部近傍に、通過心線収納トレイ6および光接続部収納トレイ7を横並びの配置で設けている。
【0003】
既設光ケーブル11は分岐のための処理を行なっている。すなわち、外被を除去してスロットロッド11bを露出させ、スロットロッド11bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線を引き出し、分岐しない光ファイバ心線を除いて切断している。そして、既設光ケーブル11の両側のテンションメンバ11aはテンションメンバ把持金具5で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5で把持して接続箱本体2に固定している。上下両側から導入している分岐光ケーブル12は、端部処理を施している。すなわち、端部近傍の外被を除去してスロットロッド12bを露出させ、スロットロッド12bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線12dを引き出し、テンションメンバ12aをテンションメンバ把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定している。
【0004】
既設光ケーブル11から引き出された光ファイバ心線のうち分岐しない光ファイバ心線(以下、通過心線と呼ぶ)11cの余長は通過心線収納トレイ6内に収納される。既設光ケーブル11から引き出されて分岐する光ファイバ心線(以下、分岐心線と呼ぶ)11dと分岐側光ケーブル12から引き出された光ファイバ心線12dとの融着接続部および余長は、光接続部収納トレイ7内に収納される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の後分岐光接続箱1は、通過心線収納トレイ6と光接続部収納トレイ7とを横並びに配置しているので、後分岐光接続箱1のサイズが幅方向に大きくなるという問題がある。
また、両トレイ6、7が横並び配置なので、全体幅を抑えるために過心線収納トレイ6の幅寸法が制限され、このため通過心線11cの余長を通過心線収納トレイ6に収納する際には、小さな径(例えば1周約300mm)のループで巻かなければならず、巻き回数も10周程度と多くなり、作業性の点でも不利である。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、幅寸法をコンパクトにすることができ、かつ、通過心線の余長をゆったりと収納することができ、さらに、光ファイバ心線を収納トレイに収納する作業の作業性を向上させることができる後分岐光接続箱を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の後分岐光接続箱は、分岐のための処理を行なった既設光ケーブルを固定した光接続箱本体に、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線の余長を収納する通過心線収納トレイと、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線の光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイとを積層状態で配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1の後分岐光接続箱において、通過心線収納トレイを下側、光接続部収納トレイを上側に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項2の後分岐光接続箱において、光接続箱本体が壁面に垂直な姿勢で固定される壁掛け式とし、前記光接続部本体に、通過心線収納トレイをトレイ装着領域に位置決めするトレイ位置決め枠、および、当該通過心線収納トレイを光接続箱本体に固定するバンドを設け、光接続箱本体の前記トレイ装着領域の上下位置に、それぞれ手前に概ね水平に突出するブラケットを設け、下端部が前記下ブラケットの先端に上下方向に回転可能にヒンジ連結され上端部が前記上ブラケットの先端に係合可能なトレイ保持板を設け、このトレイ保持板に、当該トレイ保持板に光接続部収納トレイを固定するバンドを取り付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項3の後分岐光接続箱において、光接続箱本体におけるトレイ装着領域の側方に、心線収納トレイに対して出入れする光ファイバ心線が光接続箱本体幅方向にはみ出すことを防ぐ心線押さえ具を着脱可能に取り付けるとともに、前記下ブラケットの先端に前記心線押さえ具を取り付け可能にし、さらに、心線押さえ具を下ブラケットに取り付けた時に、この心線押さえ具で前記トレイ保持板を水平に受け止め可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5は、請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
通過心線を通過心線収納トレイに収納する際に、前記トレイ保持板を水平に倒して作業台にし、その上の存在する光接続部収納トレイの上に通過心線収納トレイを乗せた状態で、当該通過心線収納トレイに通過心線を収納する作業を行なうことを特徴とする。
【0012】
請求項6は、請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する際に、通過心線の収納を済ませた通過心線収納トレイを上下ブラケット間でバンドで接続箱本体に固定した垂直状態とし、水平に倒して作業台にしたトレイ保持板上に光接続部収納トレイを乗せて、分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する作業を行なうことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の後分岐光接続箱21の正面図、図2は図1の側面図、図3は図1の底面図、図4は図1の後分岐光接続箱21内で光ケーブルの分岐接続作業を完了した状態を示す正面図である。本発明の後分岐光接続箱は、既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるためのもので、実施形態では分岐させた光ファイバ心線を後分岐光接続箱21から光ケーブルとして取り出す場合である。11は既設の光ケーブル(既設光ケーブル)、12は分岐側の光ケーブル(分岐側光ケーブル)を示す。
【0014】
この後分岐光接続箱21は、壁面等に取り付けられる概ね矩形板状の光接続箱本体22に光接続箱蓋体23を被せた構成の壁掛け形の後分岐光接続箱であり、光接続箱本体22の図示例では左側の上下部に、既設光ケーブル11を固定する光ケーブル把持金具24およびテンションメンバ把持金具25を設け、また、右側の上下部に、分岐光ケーブル12を固定する光ケーブル把持金具24’およびテンションメンバ把持金具25’を設けている。そして、本発明では、高さ方向中央部近傍に、通過心線収納トレイ26および光接続部収納トレイ27を積層状態で配置している。
【0015】
既設光ケーブル11は分岐のための処理を行なっている。すなわち、外被を除去してスロットロッド11bを露出させ、スロットロッド11bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線を引き出し、分岐しない光ファイバ心線を除いて切断している。そして、既設光ケーブル11の両側のテンションメンバ11aはテンションメンバ把持金具25で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5で把持して接続箱本体22に固定している。上下両側から導入している分岐光ケーブル12は端部処理を施している。すなわち、端部近傍の外被を除去してスロットロッド12bを露出させ、スロットロッド12bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線12dを引き出し、テンションメンバ12aをテンションメンバ把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定している。
【0016】
前記光接続部収納トレイ27は、上面から見て四隅の丸まった概略矩形状をしており、図5(イ)、(ロ)に示すように、収納する光ファイバ心線の本数に応じて複数段設けている(この実施形態では3段)。この光接続部収納トレイ27は、幅方向の一方の側面にヒンジ部27aを設け、他方の側面に係合爪27bと係合凹部27cとを設けている。このヒンジ部27aで上下に隣接するものどうしが相対的に上下方向に回転可能に連結されるとともに、下側の光接続部収納トレイ27の係合爪27bが上側の光接続部収納トレイ27の係合凹部27cに係合し、これにより、積層した光接続部収納トレイ27が一体の光接続部収納トレイ群37となる。なお、27dは最上段の光接続収納トレイ27の上部に設けた蓋体で、光接続部収納トレイ27と同様にヒンジ部27aにより回転可能となっている。
【0017】
前記通過心線収納トレイ26は、光ケーブル11から引き出された光ファイバ心線のうち分岐しない光ファイバ心線(以下、通過心線と呼ぶ)11cの余長を収納するためのもので、前記光接続部収納トレイ27より若干広い幅を持ち、既設光ケーブル11の本数と同じ個数設けている(この実施形態では2個)。光接続箱本体22には、そのトレイ装着領域に通過心線収納トレイ26を位置決めするトレイ位置決め枠30a、30bを設けており、このトレイ位置決め枠30a、30bで通過心線収納トレイ26が位置決めされる。実施形態では通過心線収納トレイ26が2つであるが、この2つの通過心線収納トレイ26を重ねて光接続箱本体22側に締め付け固定するバンド40を光接続箱本体22に取り付けている。2つの通過心線収納トレイ26をまとめたものを通過心線収納トレイ群36と呼ぶ。
【0018】
なお、通過心線収納トレイ26自体は一般的なもので、プラスチック製の単なる中空ボックス状のものである。また、光接続部収納トレイ27自体も一般的なもので、詳細は省略するが、同じくプラスチック製であるが内部に融着接続部ホルダや余長収納のためのガイド等を設けたやや複雑な構造である。
【0019】
また、光接続箱本体22のトレイ装着領域の側方にL形断面形状の心線押さえ具34を設けている。この心線押さえ具34は、通過心線収納トレイ26または光接続部収納トレイ27に対して出入れする光ファイバ心線(通過心線11cまたは分岐心線11d)が光接続箱本体22の幅方向にはみ出すことを防ぐために設けたもので、収納トレイ26、27の位置から若干離れた左方位置において、ナイラッチ43aで着脱可能に取り付けている。
また、前記下ブラケット29の先端部には、心線押さえ具34を装着可能にするために、ナイラッチ43aを差し込める2つの穴をあけた取付板29aを設けており、これにより心線押さえ具34は、光ファイバ心線のはみ出しを防ぐ本来の位置と、下ブラケット29の先端部との2箇所に移動させることができる。
【0020】
前記下ブラケット29の先端には、光接続部収納トレイ27を保持するトレイ保持板33の下端部が上下方向に回転可能にヒンジ連結(ヒンジを42で示す)され、このトレイ保持板33の上端部は前記上ブラケット28の先端にナイラッチ43bにより着脱可能に係合している。また、このトレイ保持板33に、当該トレイ保持板33に3段の光接続部収納トレイ27をまとめて固定するバンド41を取り付けている。
下ブラケット29の取付板29aに心線押さえ具34を装着した状態で、前記トレイ保持板33をヒンジ41を中心として下方に回転させると、トレイ保持板33は取付板29aで水平な姿勢で受け止められ、後述する光ファイバ心線の収納作業を行う際の作業台として機能することができる。
【0021】
上記の後分岐光接続箱21において分岐接続作業をする要領を、図4および図6〜図11を参照して説明する。
予め既設光ケーブル11の中間部分の外被を除去し、テンションメンバ11a、スロットロッド11bを適宜の長さだけ除去するとともに、光ファイバ心線11c、11dを引き出し、分岐心線11dは中間を切断しておく。図1に示された本来の位置にある心線押さえ具34を、ナイラッチ43aを抜いて外して、下ブラケット29の先端の取付板29aに移動させる(取り付ける)。また、既設光ケーブル11の外被端部近傍を光ケーブル把持金具24で把持し、テンションメンバ11aをテンションメンバ把持金具25で把持して、既設光ケーブル11を光接続箱本体22に固定する。トレイ保持板33の上端のナイラッチ43bを外してトレイ保持板33の上端を上ブラケット28から外し、トレイ保持板33をヒンジ42を中心として下方に90°回転させて手前に倒し、台として機能している心線押さえ具34の上に乗せる(図6参照)。この時、トレイ保持板33に保持されている光接続部収納トレイ27も図6に示すように水平になる。
【0022】
次いで、通過心線収納トレイ26を光接続箱本体22に固定している固定バンド40(図1、図2参照)を外し、手前側の通過心線収納トレイ26から順に90°倒して光接続部収納トレイ27の上面に乗せる。2本の既設光ケーブル11のうちの本体幅方向内側(図3の2本のうち右側)の既設光ケーブル11の通過心線11cの余長を1周約600mmで5回巻き取って上段の通過心線収納トレイ26内に収納する(図7参照)。次いで、上段の通過心線収納トレイ26のみを垂直に立て固定バンド40で光接続箱本体22に締め付け固定する。2本のうちの外側(図3の2本のうち左側)の既設光ケーブル11の通過心線11cの余長を、同様にして下段の通過心線収納トレイ26に収納する(図8参照)。次いで、この下段の通過心線収納トレイ26を、一たん外した固定バンド40で上段の通過心線収納トレイ26とともに光接続箱本体22に固定する(図9参照)。次いで、図10に示すように既設光ケーブル11から引き出された分岐心線11dを図中左方より順次光接続部収納トレイ27内に引き込み仮収納する。
【0023】
上記既設光ケーブル11と同様に、予め分岐側光ケーブル12の端部近傍の外被を除去しかつスロットロッド12bを適宜の長さだけ除去するとともに、光ファイバ心線12dを引き出しておく。次いで、図10に示すように、分岐側光ケーブル12の外被端部近傍を光ケーブル把持金具24で把持し、テンションメンバ11aをテンションメンバ把持金具25で把持して、分岐側光ケーブル12を光接続箱本体22に固定する。次いで、分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dを、既設光ケーブル11の分岐心線11dと反対側(図11中右方)から光接続部収納トレイ27内に引き込んで仮収納する。
【0024】
次いで、既設光ケーブル11の分岐心線11dと分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dとを、仮収納した光接続部収納トレイ27から取り出して融着接続し、その後、融着接続部および余長を光接続部収納トレイ27内に再び収納する。この作業を、3段の光接続部収納トレイ27のそれぞれについて、下段側から順に行なうが、その際、収納作業中のトレイ27より上段のトレイ27は、例えば図5(ロ)に2点鎖線で示すように、起こしておく。
次いで、光接続部収納トレイ群36を固定バンド41でトレイ保持板33に締め付け固定し、トレイ保持板33を起こして(上方に回転させて)、その上端を上ブラケット28の先端にナイラッチ43bで係合させる。これにより光接続部収納トレイ群36が光接続箱本体22に装着されることになる。
その後、心線押さえ具34を、ナイラッチ43aを抜いて取付板29aから外し、主として通過心線11cを本体幅方向外側から押さえ込むように(幅方向外側へのふくれを防ぐように)して本来の位置に戻して、ナイラッチ43aで固定する。次いで、光接続箱蓋体23を被せると、後分岐光接続箱21における分岐接続作業が完了する(図4参照)。
【0025】
上記後分岐光接続箱21によれば、通過心線収納トレイ群36と光接続部収納トレイ群37とを光接続箱本体22上に積層させて配置したことで、後分岐光接続箱の幅寸法を従来の後分岐光接続箱と比べてコンパクトにすることができる。
また、通過心線収納トレイ26の幅寸法を従来よりも大きくすることができるので、幹線光ファイバ11の通過心線11cの余長をゆったりと収納することができ、また、通過心線11cの余長を収納する作業の作業性を向上させることができる。
【0026】
上記の後分岐光接続箱21は、通過心線収納トレイ26と光接続部収納トレイ27とを直接に積層させるものでなく、通過心線収納トレイ26は光接続箱本体22に直接固定し、光接続部収納トレイ27はトレイ保持板33を介して光接続箱本体22に装着するものであるから、分岐心線11d側だけを処理する必要が生じた場合には、あるいは、通過心線11cだけを処理する必要が生じた場合に、一方のみについての作業を容易に行なうことができ、そのような場合における作業性が良好である。
【0027】
また、心線押さえ具34が着脱可能であり、光ファイバ心線を収納する作業の際に、心線押さえ具34を本来の位置から外して、心線収納作業を妨げないようにできるので、この点でも作業性が向上する。
また、心線押さえ具34を下ブラケット29の先端に装着してトレイ保持板33の受け台を兼ねることが可能なので、光接続部収納トレイ27を保持するトレイ保持板33を、心線収納作業の際の作業台として機能させることができ、この点でも作業性が向上する。また、この作業性向上を、特別な部材を設けることなく、効率よく実現できる。また、仮に、トレイ保持板33用の専用の受け台を設けたとすれば、その専用受け台が前方に突出して、後分岐光接続箱21の奥行き寸法が大となるが、そのような不都合は生じず、後分岐光接続箱の奥行き寸法のコンパクト化が図られる。
【0028】
なお、通過心線収納トレイの数および光接続部収納トレイの数は、特に限定されず、複数個の場合に限らず、1つの場合も可能である。
また、実施形態では通過心線収納トレイ36の個数を既設光ケーブル11の本数と同数としているが、必ずしも一致させる必要はなく、すべての通過心線を一つの通過心線収納トレイ26にまとめてもよいし、3つ以上の通過心線収納トレイ26に分けて収納してもよい。
【0029】
また、実施形態では光接続箱本体22が概ね平板状であるが、側壁を持つボックス形状のものであってもよい。その場合には、ボックス状の光接続箱本体22の底部が上述した実施形態の光接続箱本体22に対応する。
また、実施形態の後分岐光接続箱21は壁掛け形であるが、向きは特に限定されないので、光接続箱本体22が概ね水平に設置される場合にも適用できる。
【0030】
また、上述の実施形態では既設光ケーブル11の分岐心線11dと分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dとの接続を融着接続により行なうものとして説明したが、融着接続に限るものではなく、光コネクタによる接続も可能である。
また、上述の実施形態では、分岐させた光ファイバ心線を後分岐光接続箱21から光ケーブル(分岐側光ケーブル12)として外部に取り出する場合であるが、例えば、分岐心線に取り付けた光コネクタを当該接続箱に外部コネクタとして設置して、例えばコネクタ付き光ファイバコードを直接接続可能な、いわゆる光成端箱として適用することも可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の後分岐光接続箱によれば、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線の余長を収納する通過心線収納トレイと、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線の光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイとを積層状態で配置した構成なので、後分岐接続箱の幅寸法をコンパクトにすることができる。
また、通過心線収納トレイの幅寸法を従来のものと比べて大きくすることができるので、通過心線の余長を大きな径のゆったりしたループで収納することができでき、また、通過心線の余長を収納する作業の作業性が向上する。
【0032】
請求項3によれば、通過心線収納トレイと光接続部収納トレイとを直接に積層させるものでなく、通過心線収納トレイは光接続箱本体に直接固定し、光接続部収納トレイはトレイ保持板を介して光接続箱本体に装着した状態で、両者が積層状態となるものであるから、分岐心線側だけを処理する必要が生じた場合、あるいは、通過心線だけを処理する必要が生じた場合に、一方のみについての作業を容易に行なうことができ、そのような場合の作業性が良好である。
【0033】
請求項4によれば、心線押さえ具が移動可能な構成なので、本来の位置では主として通過心線のはみ出しを防止できる。そして、光ファイバ心線を収納する作業の際には、下ブラケットの先端部に移動させて、心線収納作業を妨げないようにできるので、作業性が向上し、かつ、トレイ保持板の受け台を兼ねることができ、トレイ保持板を心線収納作業の際の作業台として有効に機能させることができる。特別な部材を設ける必要がないので、安価に済むと同時に、トレイ保持板用の専用の受け台ではないので、作業完了状態で専用受け台が前方に突出して、後分岐光接続箱の奥行き寸法が大となるような不都合は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の後分岐光接続箱の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】図1の後分岐光接続箱の分岐接続完了状態の正面図である。
【図5】上記の後分岐光接続箱における光接続部収納トレイを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
【図6】上記の後分岐光接続箱の分岐接続作業に際して、光接続部収納トレイを取り付けたトレイ保持板を手前側に倒した状態を示す図である。
【図7】既設光ケーブルの通過心線の余長を通過心線収納トレイに収納する要領を示す図である。
【図8】通過心線の余長を通過心線収納トレイに収納する要領を示すもので、図7に続く図である。
【図9】通過心線の収納を済ませた通過心線収納トレイを光接続箱本体に固定した状態を示す図である。
【図10】既設光ケーブルの分岐心線を光接続部収納トレイに仮収納した状態を示す図である。
【図11】分岐側光ケーブルの光ファイバ心線と既設光ケーブルの分岐心線とを融着接続し光接続部収納トレイに収納した状態を示す図である。
【図12】従来の後分岐光接続箱の正面図である。
【符号の説明】
11 既設光ケーブル
11a、12a テンションメンバ
11b、12b スロットロッド
11c 通過心線
11d 分岐心線
12 分岐側光ケーブル
12d (分岐側光ケーブルの)光ファイバ心線
21 後分岐光接続箱
22 光接続箱本体
23 光接続箱蓋体
24、24’ 光ケーブル把持金具
25、25’ テンションメンバ把持金具
26 通過心線収納トレイ
27 光接続部収納トレイ
28 上ブラケット
29 下ブラケット
29a 取付板
33 トレイ保持板
34 心線押さえ具
36 通過心線収納トレイ群
37 光接続部収納トレイ群
40、41 固定バンド
42 ヒンジ
43a、43b ナイラッチ
【発明に属する技術分野】
この発明は、既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるための後分岐光接続箱に関し、特に壁面に固定して用いる壁掛け形として好適な後分岐光接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるための従来の後分岐光接続箱1を示すもので、この後分岐光接続箱1は、壁掛け形の後分岐光接続箱であり、概ね矩形板状の光接続箱本体2の図示例では左側の上下部に、既設光ケーブル11を固定する光ケーブル把持金具4およびテンションメンバ把持金具5を設け、また、右側の上下部に、分岐光ケーブル12を固定する光ケーブル把持金具4’およびテンションメンバ把持金具5’を設け、そして、高さ方向中央部近傍に、通過心線収納トレイ6および光接続部収納トレイ7を横並びの配置で設けている。
【0003】
既設光ケーブル11は分岐のための処理を行なっている。すなわち、外被を除去してスロットロッド11bを露出させ、スロットロッド11bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線を引き出し、分岐しない光ファイバ心線を除いて切断している。そして、既設光ケーブル11の両側のテンションメンバ11aはテンションメンバ把持金具5で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5で把持して接続箱本体2に固定している。上下両側から導入している分岐光ケーブル12は、端部処理を施している。すなわち、端部近傍の外被を除去してスロットロッド12bを露出させ、スロットロッド12bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線12dを引き出し、テンションメンバ12aをテンションメンバ把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定している。
【0004】
既設光ケーブル11から引き出された光ファイバ心線のうち分岐しない光ファイバ心線(以下、通過心線と呼ぶ)11cの余長は通過心線収納トレイ6内に収納される。既設光ケーブル11から引き出されて分岐する光ファイバ心線(以下、分岐心線と呼ぶ)11dと分岐側光ケーブル12から引き出された光ファイバ心線12dとの融着接続部および余長は、光接続部収納トレイ7内に収納される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の後分岐光接続箱1は、通過心線収納トレイ6と光接続部収納トレイ7とを横並びに配置しているので、後分岐光接続箱1のサイズが幅方向に大きくなるという問題がある。
また、両トレイ6、7が横並び配置なので、全体幅を抑えるために過心線収納トレイ6の幅寸法が制限され、このため通過心線11cの余長を通過心線収納トレイ6に収納する際には、小さな径(例えば1周約300mm)のループで巻かなければならず、巻き回数も10周程度と多くなり、作業性の点でも不利である。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、幅寸法をコンパクトにすることができ、かつ、通過心線の余長をゆったりと収納することができ、さらに、光ファイバ心線を収納トレイに収納する作業の作業性を向上させることができる後分岐光接続箱を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の後分岐光接続箱は、分岐のための処理を行なった既設光ケーブルを固定した光接続箱本体に、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線の余長を収納する通過心線収納トレイと、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線の光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイとを積層状態で配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1の後分岐光接続箱において、通過心線収納トレイを下側、光接続部収納トレイを上側に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項2の後分岐光接続箱において、光接続箱本体が壁面に垂直な姿勢で固定される壁掛け式とし、前記光接続部本体に、通過心線収納トレイをトレイ装着領域に位置決めするトレイ位置決め枠、および、当該通過心線収納トレイを光接続箱本体に固定するバンドを設け、光接続箱本体の前記トレイ装着領域の上下位置に、それぞれ手前に概ね水平に突出するブラケットを設け、下端部が前記下ブラケットの先端に上下方向に回転可能にヒンジ連結され上端部が前記上ブラケットの先端に係合可能なトレイ保持板を設け、このトレイ保持板に、当該トレイ保持板に光接続部収納トレイを固定するバンドを取り付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項3の後分岐光接続箱において、光接続箱本体におけるトレイ装着領域の側方に、心線収納トレイに対して出入れする光ファイバ心線が光接続箱本体幅方向にはみ出すことを防ぐ心線押さえ具を着脱可能に取り付けるとともに、前記下ブラケットの先端に前記心線押さえ具を取り付け可能にし、さらに、心線押さえ具を下ブラケットに取り付けた時に、この心線押さえ具で前記トレイ保持板を水平に受け止め可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5は、請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
通過心線を通過心線収納トレイに収納する際に、前記トレイ保持板を水平に倒して作業台にし、その上の存在する光接続部収納トレイの上に通過心線収納トレイを乗せた状態で、当該通過心線収納トレイに通過心線を収納する作業を行なうことを特徴とする。
【0012】
請求項6は、請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する際に、通過心線の収納を済ませた通過心線収納トレイを上下ブラケット間でバンドで接続箱本体に固定した垂直状態とし、水平に倒して作業台にしたトレイ保持板上に光接続部収納トレイを乗せて、分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する作業を行なうことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の後分岐光接続箱21の正面図、図2は図1の側面図、図3は図1の底面図、図4は図1の後分岐光接続箱21内で光ケーブルの分岐接続作業を完了した状態を示す正面図である。本発明の後分岐光接続箱は、既設の光ケーブルの途中から光ファイバ心線を分岐させるためのもので、実施形態では分岐させた光ファイバ心線を後分岐光接続箱21から光ケーブルとして取り出す場合である。11は既設の光ケーブル(既設光ケーブル)、12は分岐側の光ケーブル(分岐側光ケーブル)を示す。
【0014】
この後分岐光接続箱21は、壁面等に取り付けられる概ね矩形板状の光接続箱本体22に光接続箱蓋体23を被せた構成の壁掛け形の後分岐光接続箱であり、光接続箱本体22の図示例では左側の上下部に、既設光ケーブル11を固定する光ケーブル把持金具24およびテンションメンバ把持金具25を設け、また、右側の上下部に、分岐光ケーブル12を固定する光ケーブル把持金具24’およびテンションメンバ把持金具25’を設けている。そして、本発明では、高さ方向中央部近傍に、通過心線収納トレイ26および光接続部収納トレイ27を積層状態で配置している。
【0015】
既設光ケーブル11は分岐のための処理を行なっている。すなわち、外被を除去してスロットロッド11bを露出させ、スロットロッド11bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線を引き出し、分岐しない光ファイバ心線を除いて切断している。そして、既設光ケーブル11の両側のテンションメンバ11aはテンションメンバ把持金具25で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5で把持して接続箱本体22に固定している。上下両側から導入している分岐光ケーブル12は端部処理を施している。すなわち、端部近傍の外被を除去してスロットロッド12bを露出させ、スロットロッド12bの外周の螺旋状溝に収容した光ファイバ心線12dを引き出し、テンションメンバ12aをテンションメンバ把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定し、外被端部近傍は光ケーブル把持金具5’で把持して接続箱本体2に固定している。
【0016】
前記光接続部収納トレイ27は、上面から見て四隅の丸まった概略矩形状をしており、図5(イ)、(ロ)に示すように、収納する光ファイバ心線の本数に応じて複数段設けている(この実施形態では3段)。この光接続部収納トレイ27は、幅方向の一方の側面にヒンジ部27aを設け、他方の側面に係合爪27bと係合凹部27cとを設けている。このヒンジ部27aで上下に隣接するものどうしが相対的に上下方向に回転可能に連結されるとともに、下側の光接続部収納トレイ27の係合爪27bが上側の光接続部収納トレイ27の係合凹部27cに係合し、これにより、積層した光接続部収納トレイ27が一体の光接続部収納トレイ群37となる。なお、27dは最上段の光接続収納トレイ27の上部に設けた蓋体で、光接続部収納トレイ27と同様にヒンジ部27aにより回転可能となっている。
【0017】
前記通過心線収納トレイ26は、光ケーブル11から引き出された光ファイバ心線のうち分岐しない光ファイバ心線(以下、通過心線と呼ぶ)11cの余長を収納するためのもので、前記光接続部収納トレイ27より若干広い幅を持ち、既設光ケーブル11の本数と同じ個数設けている(この実施形態では2個)。光接続箱本体22には、そのトレイ装着領域に通過心線収納トレイ26を位置決めするトレイ位置決め枠30a、30bを設けており、このトレイ位置決め枠30a、30bで通過心線収納トレイ26が位置決めされる。実施形態では通過心線収納トレイ26が2つであるが、この2つの通過心線収納トレイ26を重ねて光接続箱本体22側に締め付け固定するバンド40を光接続箱本体22に取り付けている。2つの通過心線収納トレイ26をまとめたものを通過心線収納トレイ群36と呼ぶ。
【0018】
なお、通過心線収納トレイ26自体は一般的なもので、プラスチック製の単なる中空ボックス状のものである。また、光接続部収納トレイ27自体も一般的なもので、詳細は省略するが、同じくプラスチック製であるが内部に融着接続部ホルダや余長収納のためのガイド等を設けたやや複雑な構造である。
【0019】
また、光接続箱本体22のトレイ装着領域の側方にL形断面形状の心線押さえ具34を設けている。この心線押さえ具34は、通過心線収納トレイ26または光接続部収納トレイ27に対して出入れする光ファイバ心線(通過心線11cまたは分岐心線11d)が光接続箱本体22の幅方向にはみ出すことを防ぐために設けたもので、収納トレイ26、27の位置から若干離れた左方位置において、ナイラッチ43aで着脱可能に取り付けている。
また、前記下ブラケット29の先端部には、心線押さえ具34を装着可能にするために、ナイラッチ43aを差し込める2つの穴をあけた取付板29aを設けており、これにより心線押さえ具34は、光ファイバ心線のはみ出しを防ぐ本来の位置と、下ブラケット29の先端部との2箇所に移動させることができる。
【0020】
前記下ブラケット29の先端には、光接続部収納トレイ27を保持するトレイ保持板33の下端部が上下方向に回転可能にヒンジ連結(ヒンジを42で示す)され、このトレイ保持板33の上端部は前記上ブラケット28の先端にナイラッチ43bにより着脱可能に係合している。また、このトレイ保持板33に、当該トレイ保持板33に3段の光接続部収納トレイ27をまとめて固定するバンド41を取り付けている。
下ブラケット29の取付板29aに心線押さえ具34を装着した状態で、前記トレイ保持板33をヒンジ41を中心として下方に回転させると、トレイ保持板33は取付板29aで水平な姿勢で受け止められ、後述する光ファイバ心線の収納作業を行う際の作業台として機能することができる。
【0021】
上記の後分岐光接続箱21において分岐接続作業をする要領を、図4および図6〜図11を参照して説明する。
予め既設光ケーブル11の中間部分の外被を除去し、テンションメンバ11a、スロットロッド11bを適宜の長さだけ除去するとともに、光ファイバ心線11c、11dを引き出し、分岐心線11dは中間を切断しておく。図1に示された本来の位置にある心線押さえ具34を、ナイラッチ43aを抜いて外して、下ブラケット29の先端の取付板29aに移動させる(取り付ける)。また、既設光ケーブル11の外被端部近傍を光ケーブル把持金具24で把持し、テンションメンバ11aをテンションメンバ把持金具25で把持して、既設光ケーブル11を光接続箱本体22に固定する。トレイ保持板33の上端のナイラッチ43bを外してトレイ保持板33の上端を上ブラケット28から外し、トレイ保持板33をヒンジ42を中心として下方に90°回転させて手前に倒し、台として機能している心線押さえ具34の上に乗せる(図6参照)。この時、トレイ保持板33に保持されている光接続部収納トレイ27も図6に示すように水平になる。
【0022】
次いで、通過心線収納トレイ26を光接続箱本体22に固定している固定バンド40(図1、図2参照)を外し、手前側の通過心線収納トレイ26から順に90°倒して光接続部収納トレイ27の上面に乗せる。2本の既設光ケーブル11のうちの本体幅方向内側(図3の2本のうち右側)の既設光ケーブル11の通過心線11cの余長を1周約600mmで5回巻き取って上段の通過心線収納トレイ26内に収納する(図7参照)。次いで、上段の通過心線収納トレイ26のみを垂直に立て固定バンド40で光接続箱本体22に締め付け固定する。2本のうちの外側(図3の2本のうち左側)の既設光ケーブル11の通過心線11cの余長を、同様にして下段の通過心線収納トレイ26に収納する(図8参照)。次いで、この下段の通過心線収納トレイ26を、一たん外した固定バンド40で上段の通過心線収納トレイ26とともに光接続箱本体22に固定する(図9参照)。次いで、図10に示すように既設光ケーブル11から引き出された分岐心線11dを図中左方より順次光接続部収納トレイ27内に引き込み仮収納する。
【0023】
上記既設光ケーブル11と同様に、予め分岐側光ケーブル12の端部近傍の外被を除去しかつスロットロッド12bを適宜の長さだけ除去するとともに、光ファイバ心線12dを引き出しておく。次いで、図10に示すように、分岐側光ケーブル12の外被端部近傍を光ケーブル把持金具24で把持し、テンションメンバ11aをテンションメンバ把持金具25で把持して、分岐側光ケーブル12を光接続箱本体22に固定する。次いで、分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dを、既設光ケーブル11の分岐心線11dと反対側(図11中右方)から光接続部収納トレイ27内に引き込んで仮収納する。
【0024】
次いで、既設光ケーブル11の分岐心線11dと分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dとを、仮収納した光接続部収納トレイ27から取り出して融着接続し、その後、融着接続部および余長を光接続部収納トレイ27内に再び収納する。この作業を、3段の光接続部収納トレイ27のそれぞれについて、下段側から順に行なうが、その際、収納作業中のトレイ27より上段のトレイ27は、例えば図5(ロ)に2点鎖線で示すように、起こしておく。
次いで、光接続部収納トレイ群36を固定バンド41でトレイ保持板33に締め付け固定し、トレイ保持板33を起こして(上方に回転させて)、その上端を上ブラケット28の先端にナイラッチ43bで係合させる。これにより光接続部収納トレイ群36が光接続箱本体22に装着されることになる。
その後、心線押さえ具34を、ナイラッチ43aを抜いて取付板29aから外し、主として通過心線11cを本体幅方向外側から押さえ込むように(幅方向外側へのふくれを防ぐように)して本来の位置に戻して、ナイラッチ43aで固定する。次いで、光接続箱蓋体23を被せると、後分岐光接続箱21における分岐接続作業が完了する(図4参照)。
【0025】
上記後分岐光接続箱21によれば、通過心線収納トレイ群36と光接続部収納トレイ群37とを光接続箱本体22上に積層させて配置したことで、後分岐光接続箱の幅寸法を従来の後分岐光接続箱と比べてコンパクトにすることができる。
また、通過心線収納トレイ26の幅寸法を従来よりも大きくすることができるので、幹線光ファイバ11の通過心線11cの余長をゆったりと収納することができ、また、通過心線11cの余長を収納する作業の作業性を向上させることができる。
【0026】
上記の後分岐光接続箱21は、通過心線収納トレイ26と光接続部収納トレイ27とを直接に積層させるものでなく、通過心線収納トレイ26は光接続箱本体22に直接固定し、光接続部収納トレイ27はトレイ保持板33を介して光接続箱本体22に装着するものであるから、分岐心線11d側だけを処理する必要が生じた場合には、あるいは、通過心線11cだけを処理する必要が生じた場合に、一方のみについての作業を容易に行なうことができ、そのような場合における作業性が良好である。
【0027】
また、心線押さえ具34が着脱可能であり、光ファイバ心線を収納する作業の際に、心線押さえ具34を本来の位置から外して、心線収納作業を妨げないようにできるので、この点でも作業性が向上する。
また、心線押さえ具34を下ブラケット29の先端に装着してトレイ保持板33の受け台を兼ねることが可能なので、光接続部収納トレイ27を保持するトレイ保持板33を、心線収納作業の際の作業台として機能させることができ、この点でも作業性が向上する。また、この作業性向上を、特別な部材を設けることなく、効率よく実現できる。また、仮に、トレイ保持板33用の専用の受け台を設けたとすれば、その専用受け台が前方に突出して、後分岐光接続箱21の奥行き寸法が大となるが、そのような不都合は生じず、後分岐光接続箱の奥行き寸法のコンパクト化が図られる。
【0028】
なお、通過心線収納トレイの数および光接続部収納トレイの数は、特に限定されず、複数個の場合に限らず、1つの場合も可能である。
また、実施形態では通過心線収納トレイ36の個数を既設光ケーブル11の本数と同数としているが、必ずしも一致させる必要はなく、すべての通過心線を一つの通過心線収納トレイ26にまとめてもよいし、3つ以上の通過心線収納トレイ26に分けて収納してもよい。
【0029】
また、実施形態では光接続箱本体22が概ね平板状であるが、側壁を持つボックス形状のものであってもよい。その場合には、ボックス状の光接続箱本体22の底部が上述した実施形態の光接続箱本体22に対応する。
また、実施形態の後分岐光接続箱21は壁掛け形であるが、向きは特に限定されないので、光接続箱本体22が概ね水平に設置される場合にも適用できる。
【0030】
また、上述の実施形態では既設光ケーブル11の分岐心線11dと分岐側光ケーブル12の光ファイバ心線12dとの接続を融着接続により行なうものとして説明したが、融着接続に限るものではなく、光コネクタによる接続も可能である。
また、上述の実施形態では、分岐させた光ファイバ心線を後分岐光接続箱21から光ケーブル(分岐側光ケーブル12)として外部に取り出する場合であるが、例えば、分岐心線に取り付けた光コネクタを当該接続箱に外部コネクタとして設置して、例えばコネクタ付き光ファイバコードを直接接続可能な、いわゆる光成端箱として適用することも可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の後分岐光接続箱によれば、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線の余長を収納する通過心線収納トレイと、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線の光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイとを積層状態で配置した構成なので、後分岐接続箱の幅寸法をコンパクトにすることができる。
また、通過心線収納トレイの幅寸法を従来のものと比べて大きくすることができるので、通過心線の余長を大きな径のゆったりしたループで収納することができでき、また、通過心線の余長を収納する作業の作業性が向上する。
【0032】
請求項3によれば、通過心線収納トレイと光接続部収納トレイとを直接に積層させるものでなく、通過心線収納トレイは光接続箱本体に直接固定し、光接続部収納トレイはトレイ保持板を介して光接続箱本体に装着した状態で、両者が積層状態となるものであるから、分岐心線側だけを処理する必要が生じた場合、あるいは、通過心線だけを処理する必要が生じた場合に、一方のみについての作業を容易に行なうことができ、そのような場合の作業性が良好である。
【0033】
請求項4によれば、心線押さえ具が移動可能な構成なので、本来の位置では主として通過心線のはみ出しを防止できる。そして、光ファイバ心線を収納する作業の際には、下ブラケットの先端部に移動させて、心線収納作業を妨げないようにできるので、作業性が向上し、かつ、トレイ保持板の受け台を兼ねることができ、トレイ保持板を心線収納作業の際の作業台として有効に機能させることができる。特別な部材を設ける必要がないので、安価に済むと同時に、トレイ保持板用の専用の受け台ではないので、作業完了状態で専用受け台が前方に突出して、後分岐光接続箱の奥行き寸法が大となるような不都合は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の後分岐光接続箱の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】図1の後分岐光接続箱の分岐接続完了状態の正面図である。
【図5】上記の後分岐光接続箱における光接続部収納トレイを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
【図6】上記の後分岐光接続箱の分岐接続作業に際して、光接続部収納トレイを取り付けたトレイ保持板を手前側に倒した状態を示す図である。
【図7】既設光ケーブルの通過心線の余長を通過心線収納トレイに収納する要領を示す図である。
【図8】通過心線の余長を通過心線収納トレイに収納する要領を示すもので、図7に続く図である。
【図9】通過心線の収納を済ませた通過心線収納トレイを光接続箱本体に固定した状態を示す図である。
【図10】既設光ケーブルの分岐心線を光接続部収納トレイに仮収納した状態を示す図である。
【図11】分岐側光ケーブルの光ファイバ心線と既設光ケーブルの分岐心線とを融着接続し光接続部収納トレイに収納した状態を示す図である。
【図12】従来の後分岐光接続箱の正面図である。
【符号の説明】
11 既設光ケーブル
11a、12a テンションメンバ
11b、12b スロットロッド
11c 通過心線
11d 分岐心線
12 分岐側光ケーブル
12d (分岐側光ケーブルの)光ファイバ心線
21 後分岐光接続箱
22 光接続箱本体
23 光接続箱蓋体
24、24’ 光ケーブル把持金具
25、25’ テンションメンバ把持金具
26 通過心線収納トレイ
27 光接続部収納トレイ
28 上ブラケット
29 下ブラケット
29a 取付板
33 トレイ保持板
34 心線押さえ具
36 通過心線収納トレイ群
37 光接続部収納トレイ群
40、41 固定バンド
42 ヒンジ
43a、43b ナイラッチ
Claims (6)
- 分岐のための処理を行なった既設光ケーブルを固定した光接続箱本体に、既設光ケーブルから取り出した光ファイバ心線のうちの通過心線の余長を収納する通過心線収納トレイと、既設光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線の光接続部および余長を収納する光接続部収納トレイとを積層状態で配置したことを特徴とする後分岐光接続箱。
- 前記通過心線収納トレイを下側、光接続部収納トレイを上側に配置したことを特徴とする請求項1記載の後分岐光接続箱。
- 前記光接続箱本体が壁面に垂直な姿勢で固定される壁掛け式の後分岐光接続箱であって、前記光接続部本体に、通過心線収納トレイをトレイ装着領域に位置決めするトレイ位置決め枠、および、当該通過心線収納トレイを光接続箱本体に固定するバンドを設け、光接続箱本体の前記トレイ装着領域の上下位置に、それぞれ手前に概ね水平に突出するブラケットを設け、下端部が下ブラケットの先端に上下方向に回転可能にヒンジ連結され上端部が上ブラケットの先端に係合可能なトレイ保持板を設け、このトレイ保持板に、当該トレイ保持板に光接続部収納トレイを固定するバンドを取り付けたことを特徴とする請求項2記載の後分岐光接続箱。
- 光接続箱本体におけるトレイ装着領域の側方に、心線収納トレイに対して出入れする光ファイバ心線が光接続箱本体幅方向にはみ出すことを防ぐ心線押さえ具を着脱可能に取り付けるとともに、前記下ブラケットの先端に前記心線押さえ具を取り付け可能にし、さらに、心線押さえ具を下ブラケットに取り付けた時に、この心線押さえ具で前記トレイ保持板を水平に受け止め可能にしたことを特徴とする請求項3記載の後分岐光接続箱。
- 請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
通過心線を通過心線収納トレイに収納する際に、前記トレイ保持板を水平に倒して作業台にし、その上の存在する光接続部収納トレイの上に通過心線収納トレイを乗せた状態で、当該通過心線収納トレイに通過心線を収納する作業を行なうことを特徴とする後分岐光接続作業方法。 - 請求項3または4の後分岐光接続箱を用いて行なう後分岐光接続作業方法であって、
分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する際に、通過心線の収納を済ませた通過心線収納トレイを上下のブラケット間でバンドで接続箱本体に固定した垂直状態とし、水平に倒して作業台にしたトレイ保持板上に光接続部収納トレイを乗せて、分岐心線の光接続部および余長を光接続部収納トレイに収納する作業を行なうことを特徴とする後分岐光接続作業方法。
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Date | Code | Title | Description |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041216 |