JP2004354154A - 回転台および回転台の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速自動追尾が可能で使い勝手のよい回転台および同回転台の制御方法を提供する。
【解決手段】投光器100は、垂直に延びる支持台9と、その上部に水平方向及び垂直方向にそれぞれ独立して回転可能に取り付けられた回転台と、回転台1上に固定されたライト10から構成されている。回転台1には水平方向に配列された一対の水平方向人体位置センサと垂直方向に配列された一対の垂直方向人体位置センサが取り付けられている。いずれかの人体位置センサが人体の動きを検出したときに発生する出力に応じて、回転台1を人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路が設けられている。当該制御回路は、回転台1の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、水平人体位置センサおよび垂直人体位置センサの出力を無効とするので、高速回転で自動追尾が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】投光器100は、垂直に延びる支持台9と、その上部に水平方向及び垂直方向にそれぞれ独立して回転可能に取り付けられた回転台と、回転台1上に固定されたライト10から構成されている。回転台1には水平方向に配列された一対の水平方向人体位置センサと垂直方向に配列された一対の垂直方向人体位置センサが取り付けられている。いずれかの人体位置センサが人体の動きを検出したときに発生する出力に応じて、回転台1を人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路が設けられている。当該制御回路は、回転台1の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、水平人体位置センサおよび垂直人体位置センサの出力を無効とするので、高速回転で自動追尾が可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体自動追尾機能を持った回転台およびその制御方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
監視カメラなど、人の動きを追いかける動作が必要な機器においては、リモコンによる方向変換あるいは自動追尾が可能な回転台にそれらを取付けて使用されている。また空気調和装置では、人のいる所に効果的に風を当てるために人の動きを感知し、それを基に風の方向を制御するように構成されることがある。これらの場合には、人の動きを感知するための人センサが用いられる。
【0003】
自動追尾機能を持った回転台としては、人の動きを感知するセンサとしてCCDカメラや超音波による距離測定を応用したものが一部商品化されてはいるが、システムが大掛かりで高価であるため一般には普及に至ってないのが現状であり、低価格品の商品化が課題である。
【0004】
低価格が実現される可能性のある商品としては、焦電効果を利用した赤外線センサを用いたものが提案されている。このような赤外線センサを利用した例には、人体の存在を個別に検知するための複数の部分エリアに縦横多分割された検知エリア内に設置された赤外線量検出手段と、それらの部分エリアからの赤外線を順次赤外線量検出手段に入光させる遮蔽機構を走査する走査手段とを用いて、複数の部分エリアにおける人体の存在有無を判定する人体位置検知装置および該装置を備えた空気調和装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−60940号公報(第3頁、第4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例で用いられる赤外線量検出手段などの人センサは人の動きに反応して出力信号を出す素子であるが、実際に検出しているのは温度変化である。上記人体位置検知装置においては、複数に分割されたエリアからの赤外線を順次検出するので、個々のエリアにおける背景の温度変化に反応し、人の動きがなくても出力信号を出してしまうことがある。よってこのような誤出力を避けるためには、低速で遮蔽板を走査するなど、使用上の制約が生じてしまうという問題がある。
【0007】
また、上記人体位置検知装置を用いた空気調和装置では、ある領域で人の存在を検知した際に、検知した情報に基づき空気の吹き出し方向等を制御することになるが、複数のエリアに亘って人が移動したような場合には、1回目の走査で検出されたエリアに空気の吹き出し方向を制御しようとしている間に他のエリアに人が移動してしまい、空気の吹き出し方向を1回目に検出された方向とは別の方向に制御する必要が生じる。このとき、はじめの一定時間、空気の吹き出し方向は制御すべき方向とは異なる方向に制御され、その後本来の方向に制御するため、制御速度が低下するという問題がある。
【0008】
すなわち、右領域で人の動きがあったときは吹き出し方向は一定時間右に回転し、左領域で人の動きがあったときは一定時間左回転し、上領域で人の動きがあったときは一定時間上回転し、下領域で人の動きがあったときは一定時間下回転するので、人が右領域から左領域へあるいは左領域から右領域へあるいは上領域から下領域へあるいは下領域から上領域へ移動した場合、人の動きに適切に追随できないという欠点があった。
【0009】
そこで、上記問題点を解決するために本発明は、背景の温度変化に影響されず、人が移動した際にも高速で追尾動作が可能な使い勝手の良い回転台および同回転台の制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明は、少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段と、前記回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサと、前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る人体位置センサと、前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台である。
【0011】
上記回転台においては、回転手段は少なくとも1つの軸の回りに回転が可能である。回転手段に備えられた人センサは、少なくとも2つの検知エリアを有する。制御手段は、2つの検知エリアのうち人体の移動が検知された側に、一定時間回転手段を回転させる。このとき、回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、人体位置センサの出力を無効とすることで、人体の移動以外の要因によるセンサ出力を無効とする。
【0012】
別の観点によれば本発明は、互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段と、前記回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向人体位置センサと、前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向人体位置センサと、前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台である。
【0013】
上記回転台において、回転手段は互いに直交する2つの回転軸の回りに回転する。第1方向人体位置センサ、第2方向人体位置センサは夫々の回転軸を法線とする平面の方向に配向して備えられ、制御回路は人体位置センサの出力があった側に回転手段を回転させる。このとき、回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間、人体位置センサの出力は無効とされ、人体の移動以外の要因による人体位置センサの出力が無効となる。
【0014】
上記いずれの回転台においても前記制御回路は、前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させることが好ましい。
【0015】
すなわち、人センサ出力の立ち上がりの時間差が所定の第1基準値未満の場合には、回転手段は回転せず、第1基準値以上第2基準値未満のときは、遅れて立ちあがった側に人体の移動があると判断されてその領域側に回転し、一方の信号が第2基準値内に立ち上がらなかった場合には、信号の立ち上がりを検出した側に人体の移動があると判断する。
【0016】
このとき前記制御回路は、時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くすることができる。
【0017】
別の観点によれば本発明は、少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサから成る人体位置センサが人の存在を検知するステップと、前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法である。
【0018】
上記回転台の制御方法においては、人体位置センサが検知エリア内の人の存在を検知すると、検知された領域側に回転手段を一定時間回転させるが、その回転期間中及び回転停止後の一定期間は、人体位置センサの出力は無効となる。
【0019】
さらにまた別の観点によれば本発明は、互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向位置センサ、または前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向位置センサが人体の動きを検出するステップと、前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御ステップと、を有し、前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法である。
【0020】
上記回転台の制御方法においては、第1方向人体位置センサまたは第2方向人体位置センサが人体の動きを検出すると、回転手段は人体の動きが検出された領域側に第1回転軸または第2回転軸を回転軸として一定時間回転する。このとき、回転手段の回転期間中あるいは、回転停止後の一定期間人体位置センサの出力は無効となる。
【0021】
上記制御ステップは、前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させるようにしてもよい。すなわち、人体位置センサからの出力が出る時間差により、回転の必要の有無、回転方向を決定する。
【0022】
また、時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くするステップを含むようにすることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施の形態にかかる回転台および同回転台の制御方法について、回転台を夜間作業用等特定の箇所の照明に用いる投光器に応用した例につき図1乃至14を参照しながら説明する。
【0024】
図1、図2に示すように、投光器100は、回転台1、支持台9、ライト10等を有している。回転台1は、電源コード2、人体位置センサ3、垂直方向回転台4、垂直方向回転用モータ(M1)5(以下、単にモータ5という)、水平方向回転用モータ(M2)6(以下、単にモータ6という)、制御回路7、水平方向回転台8等を備えている。
【0025】
電源コード2は、投光器100に電力を供給するためのコードである。人体位置センサ3は垂直方向回転台4に取り付けられており、人の存在を検知するセンサである。人体位置センサ3の構成については後述する。
【0026】
垂直方向回転台4は、水平方向回転台8の上部に設けられ、モータ5により軸50を回転軸として図1のR方向に回転する。制御回路7は水平方向回転台8に内蔵され、人体位置センサ3の出力に応じて、モータ5とモータ6の回転を制御する。水平方向回転台8は支持台9の上部に備えられ、モータ6により支持体9の中心軸を回転軸として図1のS方向に回転する。
【0027】
回転台1を支持台9に取付け、垂直方向回転台4にライト10を取付け、電源コード2から電源を供給することにより自動追尾機能付き投光器100が構成される。垂直方向回転台4、水平方向回転台8が回転手段に相当し、軸50および支持体9の中心軸が、第1回転軸または第2回転軸に相当する。
【0028】
図2は回転台1の回路図で、人体位置センサ3、制御回路7は電源コード2に並列接続されている。制御回路7にはモータ5とモータ6が接続されており、人体位置センサ3の出力に応じて適宜の方向に回転あるいは適宜の位置で停止させる制御が行われている。
【0029】
図3、図4は人体位置センサ3の構造を示す図である。人体位置センサ3は、水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12を取り付けた基板13、この基板13を収納するケース14、ケース15等を有している。
【0030】
図3、図4において水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12とは類似構造であり、互いに干渉しない位置に90度ずらして取り付けられている。水平方向位置センサ11は、右側人センサ16と左側人センサ17と水平方向の検知エリアを制限するためのカバー18を有している。
【0031】
同様に垂直方向位置センサ12は、右側人センサ16と左側人センサ17と位置する直線に対し垂直な直線上に配置された上側人センサ19と下側人センサ20、および垂直方向の検知エリアを制限するためのカバー21を有している。水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12とは、第1方向人体位置センサおよび第2方向人体位置センサに相当する。
【0032】
右側人センサ16、左側人センサ17、上側人センサ19、下側人センサ20としては、焦電型赤外線センサが用いられる。焦電型赤外線センサは、強誘電体が赤外線を受けると、その熱エネルギーを吸収して自発分極に変化を起こし、その変化量に比例して表面に電荷が誘起される現象(焦電効果)を利用して、人体などから発せられる僅かな赤外線を鋭く検知するセンサである。焦電効果を有する素子(焦電素子ともいう)としては、強誘電体セラミックなどが用いられる。
【0033】
図5は水平方向位置センサ11の水平方向の検知範囲を示したものであり、図6は図5におけるB−B断面における検知エリアをカバー18がある場合とない場合について示したものである。同様に、図7は垂直方向位置センサ12の垂直方向の検知範囲を示したものであり、図8は図7におけるC−C断面における検知エリアをカバー21がある場合とない場合について示したものである。このように、カバー18、カバー21は夫々右側人センサ16、左側人センサ17、上側人センサ19、下側人センサ20の検知エリアの指向性を高めている。
【0034】
図5乃至8から分かるように人体位置センサ3が正面で人体を捕えたとき、上下左右に人の動き有り、あるいは上下左右に人の動き無しと認識されるエリアができることになる。一対のセンサの中心線上のセンサ近傍のエリアは、一対のセンサの陰(即ち、死角)となり、このエリアで人の動きがあっても人体位置センサ3は感知できない。よって、上下左右に人の動き有り、あるいは上下左右に人の動き無しの領域に入るまでモータ5、6を適宜回転させ、この領域に入ったらモータの回転を停止させることにより、人体位置センサ3は人体を正面で捕らえることができ、自動追尾を行ったことになる。図9、図10はこの関係を示したもので、上下左右に人の動き有りのときは図9のP1領域、上下左右に人の動き無しのときは図10のP2領域に正対するように人体位置センサ3が動く。
【0035】
次に、図11、図12を参照しながら、人体位置センサ3が出力するごとにモータ5、モータ6を回転させる場合の制御回路7の動作を説明する。図11、図12は、人体位置センサ3の出力を常に有効にしてモータ5、モータ6の回転を制御する場合の制御回路7の具体的動作を示したものである。人センサは人の動きを検知した時、周囲と人体の温度差と移動速度に応じて図11(a)、図12(a)に示すようなパルス列を出力する。
【0036】
パルス列が出力されるのは、焦電型赤外線センサの検出エリア内で人が動き続け赤外線の変化を検出する状態が続いた場合、焦電素子からは変動するアナログ波形が連続して出力されるが、この出力がアンプ回路により増幅されてある基準電圧を超えた出力が人体を検出したと判断しセンサ出力として出力されるので、結果的にオン/オフが繰り返し出力されることになるからである。
【0037】
図11に示すように右領域で人の動きがあった時、制御回路7は1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけモータ6を低速右回転させる信号を発する。
【0038】
一定時間T1低速右回転後は一旦停止し次のパルスの立上がりを待って一定時間T1低速右回転するという動作を繰り返す。ここで低速回転にする理由は、人センサを高速で移動させると背景の温度差を検出して偽信号を出力するのでこれを避けるためである。低速の度合いは人センサの感度設定にもよるが通常0.2〜0.3回転/分のオーダである。
【0039】
図12に示すように右領域から左領域へ人の移動があった時、制御回路7は右センサ出力の1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけ水平方向回転モータ6を低速右回転させる信号を発し、続いて発生する左センサ出力の1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけ水平方向回転モータ6を低速左回転させる信号を発する。右回転の信号と左回転の信号がオーバーラップする期間は信号が打ち消しあってモータは停止する。このように右領域から左領域へ人の移動があった時、はじめの時間T1の間は右回転と停止をし、その後本来の左回転をする。
【0040】
以上は右領域主体の説明であるが、左、上、下の領域も同様である。
【0041】
図5乃至10においてH(0、0)、V(0 、0)等は当該領域で人センサが人の動きを検出してパルス列を出力したとき出力レベルを「1」とし、そうでない時を出力レベルを「0」として記号化したもので、これら出力と水平方向回転台8および垂直方向回転台4の回転方向の関係を表1、表2にまとめて示す。表1は、水平方向位置センサ出力と回転台の関係を表し、表2は、垂直方向位置センサ出力と回転台の関係を表す。
【表1】
【表2】
【0042】
表1から右側に人を検知する(H(1、0))と水平方向モータ6の回転により水平方向回転台8は右方向に回転する。右回転を続ければやがては図6における左右両側に人(H(1、1))あるいは図5における左右両側に人なし(H(0、0))の領域に入るので、表1の関係により回転は停止する。
【0043】
左、上、下側についても同様であるので、垂直方向回転台4と水平方向回転台8は人体位置センサ3が人のいる方向に向くように動く。ライト10は人体位置センサ3と同じ垂直方向回転台4に取付けられているので、ライト10は人の動きを自動追尾する。
【0044】
しかし上記低速回転では自動追尾に無駄があるので、本実施の形態においては制御回路7の入出力信号の取扱いを以下のように行なう。
【0045】
図13は右領域で人の動きが有ったときの制御動作を示すタイミングチャートである。図13(f)センサ出力取込みが有効の状態において、右領域で人の動きが有ると図13(a)において右側人センサ16がパルス列を発し、この立上がりに同期して図13(c)持続時間TDY1の遅延信号1が発生する。この遅延信号1の立下りに同期して図13(d)水平方向回転用モータ6が一定時間T1高速右回転をして一旦停止する。また、持続時間TDY1の遅延信号1の立下りに同期して図13(f)センサ出力取込みが無効の状態になる。
【0046】
一定時間T1経過後水平方向回転用モータ6の停止に同期して図13(e)持続時間TDY2の遅延信号2が発生する。この遅延信号2の立下りに同期して図13(f)センサ出力取込みが再び有効の状態になり次の人の動きによる右側人センサ16のパルス列発生待ち状態となる。
【0047】
水平方向回転用モータ6が高速回転すると右、左側人センサ16、17には背景の温度差による偽出力が発生し、これはモータ停止後も一定時間持続する。この偽出力は図13(f)センサ出力取込みがT1+TDY2の期間無効となるので、人の動きによる人センサ出力と混同されることはない。
【0048】
図14は右領域から左領域へ人の動きが有ったときあるいは左右両領域で人の動きが有ったときの制御動作を示すタイミングチャートである。
【0049】
図14(f)センサ出力取込みが有効の状態において、右領域で人の動きが有ると図13(a)において右側人センサ16がパルス列を発する。続いて時間差Twの値に左領域で人の動きが有ると、図14(b)において左側人センサ17もパルス列を発する。両パルスの立上がりの時間差Twがゼロ以上で図14(c)遅延信号1の持続時間TDY1以下の場合、基準時間Toと比較し以下の処理をする。
【0050】
(i)0<= Tw <To ⇒ モータ停止
【0051】
(ii)To<= Tw <=TDY1 ⇒ 一定時間T2高速左回転
【0052】
処理(i)は追尾対象の人が左右両センサの中央に位置しているとき、人センサの特性のバラツキにより両パルスが同時には立上がらないことを考慮し時間To以下は同時とみなしてモータの回転を停止させるためのものである。
【0053】
処理(ii)は左右両領域にまたがって人が移動した場合、遅れて立ち上がった信号側に人は「移動済」でなおかつ追尾対象をほぼ捕らえたと判断し、遅れて立ち上がった信号側に短時間の一定時間T2の間高速左回転させるためのものである。
【0054】
人が左領域でのみ動いている場合の動作は図13の場合と同様である。また、上下領域における動作も左右領域における動作と同様である。
【0055】
ここで、低速回転時と高速回転の度合いを比較する。
低速回転 0.2 回転/分
高速回転 3.0 回転/分、T1=2秒、TDY1=1秒、TDY2=3秒
とすると、高速回転の平均速度は
【0056】
(3.0×2)/(2+1+3)=1.0 回転/分
となり、上記方法で高速回転を行なうと、低速回転時に対して追尾速度は5倍改善される。
【0057】
また、各検出領域にまたがる移動においては、はじめから移動後の領域に向かって回転するので無駄時間がなくなり高速追尾が可能になる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明による回転台および同回転台の制御方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変形や改良が可能である。
【0059】
例えば、本実施の形態においては投光器に回転台を使用した場合について説明したが、劇場や宴会場のスポットライト、店頭に於ける商品展示台等、使用者、演技者、顧客の動きを追いかける動作が必要な他のものにも適用できる。また、上記回転台の制御方法は、回転台でなく、空気調和装置の吹き出し口のような他の機材の動作制御にも応用することが可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、回転台の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において回転台が回転する前後にセンサ出力を無効にする期間を設けたので、高速自動追尾が可能になり、使い勝手の良い回転台を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】投光器100の概略斜視図。
【図2】回転台1を示す回路図。
【図3】人体位置センサ3の平面図。
【図4】人体位置センサ3の断面図。
【図5】水平方向位置センサ11の検知エリアを示す平面図。
【図6】水平方向位置センサ11の検知エリアを示す断面図。
【図7】垂直方向位置センサ12の検知エリアを示す平面図。
【図8】垂直方向位置センサ12の検知エリアを示す断面図。
【図9】人の移動有りの場合の検知エリアの説明図。
【図10】人の移動無しの場合の検知エリアの説明図。
【図11】低速回転の場合のタイミングチャート。
【図12】低速回転の場合のタイミングチャート。
【図13】高速回転の場合を示すタイミングチャート。
【図14】高速回転の場合を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1…回転台、2…電源コード、3…人体位置センサ、4…垂直方向回転台、6…モータ、7…制御回路、8…水平方向回転台、9…支持台、10…ライト
【発明の属する技術分野】
本発明は人体自動追尾機能を持った回転台およびその制御方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
監視カメラなど、人の動きを追いかける動作が必要な機器においては、リモコンによる方向変換あるいは自動追尾が可能な回転台にそれらを取付けて使用されている。また空気調和装置では、人のいる所に効果的に風を当てるために人の動きを感知し、それを基に風の方向を制御するように構成されることがある。これらの場合には、人の動きを感知するための人センサが用いられる。
【0003】
自動追尾機能を持った回転台としては、人の動きを感知するセンサとしてCCDカメラや超音波による距離測定を応用したものが一部商品化されてはいるが、システムが大掛かりで高価であるため一般には普及に至ってないのが現状であり、低価格品の商品化が課題である。
【0004】
低価格が実現される可能性のある商品としては、焦電効果を利用した赤外線センサを用いたものが提案されている。このような赤外線センサを利用した例には、人体の存在を個別に検知するための複数の部分エリアに縦横多分割された検知エリア内に設置された赤外線量検出手段と、それらの部分エリアからの赤外線を順次赤外線量検出手段に入光させる遮蔽機構を走査する走査手段とを用いて、複数の部分エリアにおける人体の存在有無を判定する人体位置検知装置および該装置を備えた空気調和装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−60940号公報(第3頁、第4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例で用いられる赤外線量検出手段などの人センサは人の動きに反応して出力信号を出す素子であるが、実際に検出しているのは温度変化である。上記人体位置検知装置においては、複数に分割されたエリアからの赤外線を順次検出するので、個々のエリアにおける背景の温度変化に反応し、人の動きがなくても出力信号を出してしまうことがある。よってこのような誤出力を避けるためには、低速で遮蔽板を走査するなど、使用上の制約が生じてしまうという問題がある。
【0007】
また、上記人体位置検知装置を用いた空気調和装置では、ある領域で人の存在を検知した際に、検知した情報に基づき空気の吹き出し方向等を制御することになるが、複数のエリアに亘って人が移動したような場合には、1回目の走査で検出されたエリアに空気の吹き出し方向を制御しようとしている間に他のエリアに人が移動してしまい、空気の吹き出し方向を1回目に検出された方向とは別の方向に制御する必要が生じる。このとき、はじめの一定時間、空気の吹き出し方向は制御すべき方向とは異なる方向に制御され、その後本来の方向に制御するため、制御速度が低下するという問題がある。
【0008】
すなわち、右領域で人の動きがあったときは吹き出し方向は一定時間右に回転し、左領域で人の動きがあったときは一定時間左回転し、上領域で人の動きがあったときは一定時間上回転し、下領域で人の動きがあったときは一定時間下回転するので、人が右領域から左領域へあるいは左領域から右領域へあるいは上領域から下領域へあるいは下領域から上領域へ移動した場合、人の動きに適切に追随できないという欠点があった。
【0009】
そこで、上記問題点を解決するために本発明は、背景の温度変化に影響されず、人が移動した際にも高速で追尾動作が可能な使い勝手の良い回転台および同回転台の制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明は、少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段と、前記回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサと、前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る人体位置センサと、前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台である。
【0011】
上記回転台においては、回転手段は少なくとも1つの軸の回りに回転が可能である。回転手段に備えられた人センサは、少なくとも2つの検知エリアを有する。制御手段は、2つの検知エリアのうち人体の移動が検知された側に、一定時間回転手段を回転させる。このとき、回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、人体位置センサの出力を無効とすることで、人体の移動以外の要因によるセンサ出力を無効とする。
【0012】
別の観点によれば本発明は、互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段と、前記回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向人体位置センサと、前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向人体位置センサと、前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台である。
【0013】
上記回転台において、回転手段は互いに直交する2つの回転軸の回りに回転する。第1方向人体位置センサ、第2方向人体位置センサは夫々の回転軸を法線とする平面の方向に配向して備えられ、制御回路は人体位置センサの出力があった側に回転手段を回転させる。このとき、回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間、人体位置センサの出力は無効とされ、人体の移動以外の要因による人体位置センサの出力が無効となる。
【0014】
上記いずれの回転台においても前記制御回路は、前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させることが好ましい。
【0015】
すなわち、人センサ出力の立ち上がりの時間差が所定の第1基準値未満の場合には、回転手段は回転せず、第1基準値以上第2基準値未満のときは、遅れて立ちあがった側に人体の移動があると判断されてその領域側に回転し、一方の信号が第2基準値内に立ち上がらなかった場合には、信号の立ち上がりを検出した側に人体の移動があると判断する。
【0016】
このとき前記制御回路は、時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くすることができる。
【0017】
別の観点によれば本発明は、少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサから成る人体位置センサが人の存在を検知するステップと、前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法である。
【0018】
上記回転台の制御方法においては、人体位置センサが検知エリア内の人の存在を検知すると、検知された領域側に回転手段を一定時間回転させるが、その回転期間中及び回転停止後の一定期間は、人体位置センサの出力は無効となる。
【0019】
さらにまた別の観点によれば本発明は、互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向位置センサ、または前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向位置センサが人体の動きを検出するステップと、前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御ステップと、を有し、前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法である。
【0020】
上記回転台の制御方法においては、第1方向人体位置センサまたは第2方向人体位置センサが人体の動きを検出すると、回転手段は人体の動きが検出された領域側に第1回転軸または第2回転軸を回転軸として一定時間回転する。このとき、回転手段の回転期間中あるいは、回転停止後の一定期間人体位置センサの出力は無効となる。
【0021】
上記制御ステップは、前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させるようにしてもよい。すなわち、人体位置センサからの出力が出る時間差により、回転の必要の有無、回転方向を決定する。
【0022】
また、時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くするステップを含むようにすることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施の形態にかかる回転台および同回転台の制御方法について、回転台を夜間作業用等特定の箇所の照明に用いる投光器に応用した例につき図1乃至14を参照しながら説明する。
【0024】
図1、図2に示すように、投光器100は、回転台1、支持台9、ライト10等を有している。回転台1は、電源コード2、人体位置センサ3、垂直方向回転台4、垂直方向回転用モータ(M1)5(以下、単にモータ5という)、水平方向回転用モータ(M2)6(以下、単にモータ6という)、制御回路7、水平方向回転台8等を備えている。
【0025】
電源コード2は、投光器100に電力を供給するためのコードである。人体位置センサ3は垂直方向回転台4に取り付けられており、人の存在を検知するセンサである。人体位置センサ3の構成については後述する。
【0026】
垂直方向回転台4は、水平方向回転台8の上部に設けられ、モータ5により軸50を回転軸として図1のR方向に回転する。制御回路7は水平方向回転台8に内蔵され、人体位置センサ3の出力に応じて、モータ5とモータ6の回転を制御する。水平方向回転台8は支持台9の上部に備えられ、モータ6により支持体9の中心軸を回転軸として図1のS方向に回転する。
【0027】
回転台1を支持台9に取付け、垂直方向回転台4にライト10を取付け、電源コード2から電源を供給することにより自動追尾機能付き投光器100が構成される。垂直方向回転台4、水平方向回転台8が回転手段に相当し、軸50および支持体9の中心軸が、第1回転軸または第2回転軸に相当する。
【0028】
図2は回転台1の回路図で、人体位置センサ3、制御回路7は電源コード2に並列接続されている。制御回路7にはモータ5とモータ6が接続されており、人体位置センサ3の出力に応じて適宜の方向に回転あるいは適宜の位置で停止させる制御が行われている。
【0029】
図3、図4は人体位置センサ3の構造を示す図である。人体位置センサ3は、水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12を取り付けた基板13、この基板13を収納するケース14、ケース15等を有している。
【0030】
図3、図4において水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12とは類似構造であり、互いに干渉しない位置に90度ずらして取り付けられている。水平方向位置センサ11は、右側人センサ16と左側人センサ17と水平方向の検知エリアを制限するためのカバー18を有している。
【0031】
同様に垂直方向位置センサ12は、右側人センサ16と左側人センサ17と位置する直線に対し垂直な直線上に配置された上側人センサ19と下側人センサ20、および垂直方向の検知エリアを制限するためのカバー21を有している。水平方向位置センサ11と垂直方向位置センサ12とは、第1方向人体位置センサおよび第2方向人体位置センサに相当する。
【0032】
右側人センサ16、左側人センサ17、上側人センサ19、下側人センサ20としては、焦電型赤外線センサが用いられる。焦電型赤外線センサは、強誘電体が赤外線を受けると、その熱エネルギーを吸収して自発分極に変化を起こし、その変化量に比例して表面に電荷が誘起される現象(焦電効果)を利用して、人体などから発せられる僅かな赤外線を鋭く検知するセンサである。焦電効果を有する素子(焦電素子ともいう)としては、強誘電体セラミックなどが用いられる。
【0033】
図5は水平方向位置センサ11の水平方向の検知範囲を示したものであり、図6は図5におけるB−B断面における検知エリアをカバー18がある場合とない場合について示したものである。同様に、図7は垂直方向位置センサ12の垂直方向の検知範囲を示したものであり、図8は図7におけるC−C断面における検知エリアをカバー21がある場合とない場合について示したものである。このように、カバー18、カバー21は夫々右側人センサ16、左側人センサ17、上側人センサ19、下側人センサ20の検知エリアの指向性を高めている。
【0034】
図5乃至8から分かるように人体位置センサ3が正面で人体を捕えたとき、上下左右に人の動き有り、あるいは上下左右に人の動き無しと認識されるエリアができることになる。一対のセンサの中心線上のセンサ近傍のエリアは、一対のセンサの陰(即ち、死角)となり、このエリアで人の動きがあっても人体位置センサ3は感知できない。よって、上下左右に人の動き有り、あるいは上下左右に人の動き無しの領域に入るまでモータ5、6を適宜回転させ、この領域に入ったらモータの回転を停止させることにより、人体位置センサ3は人体を正面で捕らえることができ、自動追尾を行ったことになる。図9、図10はこの関係を示したもので、上下左右に人の動き有りのときは図9のP1領域、上下左右に人の動き無しのときは図10のP2領域に正対するように人体位置センサ3が動く。
【0035】
次に、図11、図12を参照しながら、人体位置センサ3が出力するごとにモータ5、モータ6を回転させる場合の制御回路7の動作を説明する。図11、図12は、人体位置センサ3の出力を常に有効にしてモータ5、モータ6の回転を制御する場合の制御回路7の具体的動作を示したものである。人センサは人の動きを検知した時、周囲と人体の温度差と移動速度に応じて図11(a)、図12(a)に示すようなパルス列を出力する。
【0036】
パルス列が出力されるのは、焦電型赤外線センサの検出エリア内で人が動き続け赤外線の変化を検出する状態が続いた場合、焦電素子からは変動するアナログ波形が連続して出力されるが、この出力がアンプ回路により増幅されてある基準電圧を超えた出力が人体を検出したと判断しセンサ出力として出力されるので、結果的にオン/オフが繰り返し出力されることになるからである。
【0037】
図11に示すように右領域で人の動きがあった時、制御回路7は1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけモータ6を低速右回転させる信号を発する。
【0038】
一定時間T1低速右回転後は一旦停止し次のパルスの立上がりを待って一定時間T1低速右回転するという動作を繰り返す。ここで低速回転にする理由は、人センサを高速で移動させると背景の温度差を検出して偽信号を出力するのでこれを避けるためである。低速の度合いは人センサの感度設定にもよるが通常0.2〜0.3回転/分のオーダである。
【0039】
図12に示すように右領域から左領域へ人の移動があった時、制御回路7は右センサ出力の1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけ水平方向回転モータ6を低速右回転させる信号を発し、続いて発生する左センサ出力の1発目のパルスの立上がりを検出して一定時間T1だけ水平方向回転モータ6を低速左回転させる信号を発する。右回転の信号と左回転の信号がオーバーラップする期間は信号が打ち消しあってモータは停止する。このように右領域から左領域へ人の移動があった時、はじめの時間T1の間は右回転と停止をし、その後本来の左回転をする。
【0040】
以上は右領域主体の説明であるが、左、上、下の領域も同様である。
【0041】
図5乃至10においてH(0、0)、V(0 、0)等は当該領域で人センサが人の動きを検出してパルス列を出力したとき出力レベルを「1」とし、そうでない時を出力レベルを「0」として記号化したもので、これら出力と水平方向回転台8および垂直方向回転台4の回転方向の関係を表1、表2にまとめて示す。表1は、水平方向位置センサ出力と回転台の関係を表し、表2は、垂直方向位置センサ出力と回転台の関係を表す。
【表1】
【表2】
【0042】
表1から右側に人を検知する(H(1、0))と水平方向モータ6の回転により水平方向回転台8は右方向に回転する。右回転を続ければやがては図6における左右両側に人(H(1、1))あるいは図5における左右両側に人なし(H(0、0))の領域に入るので、表1の関係により回転は停止する。
【0043】
左、上、下側についても同様であるので、垂直方向回転台4と水平方向回転台8は人体位置センサ3が人のいる方向に向くように動く。ライト10は人体位置センサ3と同じ垂直方向回転台4に取付けられているので、ライト10は人の動きを自動追尾する。
【0044】
しかし上記低速回転では自動追尾に無駄があるので、本実施の形態においては制御回路7の入出力信号の取扱いを以下のように行なう。
【0045】
図13は右領域で人の動きが有ったときの制御動作を示すタイミングチャートである。図13(f)センサ出力取込みが有効の状態において、右領域で人の動きが有ると図13(a)において右側人センサ16がパルス列を発し、この立上がりに同期して図13(c)持続時間TDY1の遅延信号1が発生する。この遅延信号1の立下りに同期して図13(d)水平方向回転用モータ6が一定時間T1高速右回転をして一旦停止する。また、持続時間TDY1の遅延信号1の立下りに同期して図13(f)センサ出力取込みが無効の状態になる。
【0046】
一定時間T1経過後水平方向回転用モータ6の停止に同期して図13(e)持続時間TDY2の遅延信号2が発生する。この遅延信号2の立下りに同期して図13(f)センサ出力取込みが再び有効の状態になり次の人の動きによる右側人センサ16のパルス列発生待ち状態となる。
【0047】
水平方向回転用モータ6が高速回転すると右、左側人センサ16、17には背景の温度差による偽出力が発生し、これはモータ停止後も一定時間持続する。この偽出力は図13(f)センサ出力取込みがT1+TDY2の期間無効となるので、人の動きによる人センサ出力と混同されることはない。
【0048】
図14は右領域から左領域へ人の動きが有ったときあるいは左右両領域で人の動きが有ったときの制御動作を示すタイミングチャートである。
【0049】
図14(f)センサ出力取込みが有効の状態において、右領域で人の動きが有ると図13(a)において右側人センサ16がパルス列を発する。続いて時間差Twの値に左領域で人の動きが有ると、図14(b)において左側人センサ17もパルス列を発する。両パルスの立上がりの時間差Twがゼロ以上で図14(c)遅延信号1の持続時間TDY1以下の場合、基準時間Toと比較し以下の処理をする。
【0050】
(i)0<= Tw <To ⇒ モータ停止
【0051】
(ii)To<= Tw <=TDY1 ⇒ 一定時間T2高速左回転
【0052】
処理(i)は追尾対象の人が左右両センサの中央に位置しているとき、人センサの特性のバラツキにより両パルスが同時には立上がらないことを考慮し時間To以下は同時とみなしてモータの回転を停止させるためのものである。
【0053】
処理(ii)は左右両領域にまたがって人が移動した場合、遅れて立ち上がった信号側に人は「移動済」でなおかつ追尾対象をほぼ捕らえたと判断し、遅れて立ち上がった信号側に短時間の一定時間T2の間高速左回転させるためのものである。
【0054】
人が左領域でのみ動いている場合の動作は図13の場合と同様である。また、上下領域における動作も左右領域における動作と同様である。
【0055】
ここで、低速回転時と高速回転の度合いを比較する。
低速回転 0.2 回転/分
高速回転 3.0 回転/分、T1=2秒、TDY1=1秒、TDY2=3秒
とすると、高速回転の平均速度は
【0056】
(3.0×2)/(2+1+3)=1.0 回転/分
となり、上記方法で高速回転を行なうと、低速回転時に対して追尾速度は5倍改善される。
【0057】
また、各検出領域にまたがる移動においては、はじめから移動後の領域に向かって回転するので無駄時間がなくなり高速追尾が可能になる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明による回転台および同回転台の制御方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変形や改良が可能である。
【0059】
例えば、本実施の形態においては投光器に回転台を使用した場合について説明したが、劇場や宴会場のスポットライト、店頭に於ける商品展示台等、使用者、演技者、顧客の動きを追いかける動作が必要な他のものにも適用できる。また、上記回転台の制御方法は、回転台でなく、空気調和装置の吹き出し口のような他の機材の動作制御にも応用することが可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、回転台の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において回転台が回転する前後にセンサ出力を無効にする期間を設けたので、高速自動追尾が可能になり、使い勝手の良い回転台を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】投光器100の概略斜視図。
【図2】回転台1を示す回路図。
【図3】人体位置センサ3の平面図。
【図4】人体位置センサ3の断面図。
【図5】水平方向位置センサ11の検知エリアを示す平面図。
【図6】水平方向位置センサ11の検知エリアを示す断面図。
【図7】垂直方向位置センサ12の検知エリアを示す平面図。
【図8】垂直方向位置センサ12の検知エリアを示す断面図。
【図9】人の移動有りの場合の検知エリアの説明図。
【図10】人の移動無しの場合の検知エリアの説明図。
【図11】低速回転の場合のタイミングチャート。
【図12】低速回転の場合のタイミングチャート。
【図13】高速回転の場合を示すタイミングチャート。
【図14】高速回転の場合を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1…回転台、2…電源コード、3…人体位置センサ、4…垂直方向回転台、6…モータ、7…制御回路、8…水平方向回転台、9…支持台、10…ライト
Claims (8)
- 少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段と、
前記回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る人体位置センサと、
前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台。 - 互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段と、
前記回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向位置センサと、
前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向位置センサと、
前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とすることを特徴とする回転台。 - 前記制御回路は、
前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、
前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、
前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、
前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の回転台。 - 前記制御回路は、
時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転さる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転台。 - 少なくとも1本の回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ、少なくとも2つの検知エリア内の人の存在を検知する人センサから成る人体位置センサが人の存在を検知するステップと、
前記人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記人体位置センサが人体に正対するように制御するステップと、
を有し、
前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法。 - 互いに直交する第1回転軸および第2回転軸の回りに回転可能な回転手段に備えられ前記第1回転軸を法線とする平面に平行な第1方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第1方向位置センサ、または前記回転手段に備えられ前記第2回転軸を法線とする平面に平行な第2方向に配向された少なくとも一対の人センサ及び前記人センサの検知エリアを制限するカバーから成る第2方向位置センサが人体の動きを検出するステップと、
前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体の動きを検出して発生する出力に応じて、前記回転手段を前記人体位置センサの出力のあった領域側に一定時間回転させて停止させるサイクルを繰り返し、人体の移動に合わせて前記第1人体位置センサまたは前記第2人体位置センサが人体に正対するように制御する制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップは、前記回転手段の回転期間中、あるいは回転期間中および回転停止後の一定期間において、前記第1人体位置センサおよび前記第2人体位置センサの出力を無効とするステップを含むことを特徴とする回転台の制御方法。 - 前記制御ステップは、
前記回転手段の回転停止中、あるいは回転停止後の一定期間後の回転停止中に、前記2つの検知エリアあるいは前記一対の人センサの出力の立上がりの時間差を計測し、
前記時間差が第1基準値未満のときは次のサイクルの回転を取りやめ、
前記時間差が第1基準値以上第2基準値未満の時は遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させ、
前記2つの検知エリアあるいは前記一対のセンサの一方の出力が立ちあがった後第2基準値の時間が経過しても他方の信号の立上がりを検出しなかったときは、立上がりを検出した信号の領域側に前記回転手段を回転させるステップを含むことを特徴とする請求項5または6のいずれか1項に記載の回転台の制御方法。 - 前記制御ステップは、
時間差が前記第1基準値以上前記第2基準値未満で、遅れて立ち上がった信号の領域側に前記回転手段を回転させる際、回転継続時間を前記サイクルよりも短くするステップを含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の回転台の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150871A JP2004354154A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 回転台および回転台の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150871A JP2004354154A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 回転台および回転台の制御方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150871A patent/JP2004354154A/ja not_active Withdrawn
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