JP2004353823A - 減衰ユニットを備えた案内装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】案内装置とは別個に減衰装置を設けることなく、かかる案内装置におけるスライダの直線運動のエネルギを減衰させることが可能であると共に、かかるスライダの直線運動のエネルギを効率良く回転運動のエネルギへ変換させた後に減衰させることが可能であり、しかもコンパクト且つ安価で、減衰力を容易に調整することが可能な減衰ユニットを備えた案内装置を提供する。
【解決手段】基盤上に固定された軌道レールと、この軌道レール上を往復運動自在なスライダと、このスライダに固定されると共に該スライダの移動方向と直交する固定軸と、この固定軸に対して回転自在に支承されると共に、かかる固定軸との間に作用室を形成し、前記軌道レールの上面と接しながら、かかるスライダの往復運動に伴い回転自在な外筒と、前記固定軸と前記外筒とが収まる前記スライダに形成された収容室と、前記作用室に封入された粘性流体から構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】基盤上に固定された軌道レールと、この軌道レール上を往復運動自在なスライダと、このスライダに固定されると共に該スライダの移動方向と直交する固定軸と、この固定軸に対して回転自在に支承されると共に、かかる固定軸との間に作用室を形成し、前記軌道レールの上面と接しながら、かかるスライダの往復運動に伴い回転自在な外筒と、前記固定軸と前記外筒とが収まる前記スライダに形成された収容室と、前記作用室に封入された粘性流体から構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基盤に取付けられた軌道レールに、かかる軌道レール上にて往復運動自在なスライダを組み付けた案内装置に係り、その用途に応じ、スライダの往復運動を抑制する機能をスライダに備えさせた減衰機能付ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平3−014909
【特許文献2】特開平9−217743
【0003】
従来、案内装置は、基盤上に設置された軌道レールと、この軌道レール上を自在に往復運動可能な該軌道レールに組み付けられたスライダとから構成されている。前記軌道レールには、長手方向に沿って複数条のボール転走溝が形成される一方、前記スライダには、このボール転走溝を転走する多数のボールが内蔵されており、かかるスライダは、これらのボールの転走により軌道レール上を極小さな摺動抵抗で自在に移動できるようになっている。
【0004】
この種の案内装置は、平行に設置された2本の軌道レールに、それぞれ2組のスライダを組み付け、これら4組のスライダ上にテーブルを固定することにより直線運動テーブルを形成し、工作機械等にて、加工対象物をスムーズに移動させ、作業性を向上させることを目的として用いられている。工作機械にて、このスライダを使用する利点としては、前記直線運動テーブル上に重い加工対象物が載せられた場合であっても、かかるスライダは軌道レール上を極小さな摺動抵抗で移動可能であるため、軽く移動させることができる。また、ボールねじをモータにて駆動することにより該直線運動テーブルを移動させる機構を有する工作機械等においても、前記モータへの負荷を小さく抑えることができ、省エネにつながる。
【0005】
しかし、この直線運動テーブルの構成においては、かかる直線運動テーブルに垂直な面内に作用する力に対し剛性は確保されているものの、前記スライダは、軌道レール上を軽く移動させることが可能であるが故に、該直線運動テーブルの移動方向へ掛かる力に対しての剛性は低いものとなっている。そこで、前記スライダの摺動抵抗を高くすることにより、前記直線運動テーブルの移動方向の剛性を向上させる装置として、かかるスライダにブレーキシューを装備した、直線摺動用ベアリング(特開平3−014909号)や直線案内装置のブレーキユニット(特開平9−217743号)が提案されている。
【0006】
これらスライダにブレーキ機構を備えた案内装置は、制動板やラバーチューブを軌道レールへ押さえつけることで該スライダへ摺動抵抗を作用させ、移動方向への剛性を発生させる仕組みとなっている。しかし、スライダにブレーキ機構を備えた場合、かかるブレーキ機構を作動させる装置を案内装置とは別に設置しなければならず、コストが掛かるだけではなく、十分な設置スペースを確保しなければならないといった問題点があった。
【0007】
また、この種の案内装置の使用例としては他に特開2001−153179号の免震装置がある。この免震装置は、図6に示すように、建造物に固定された第1軌道レール100と、この第1軌道レール100に組み付けられた第1スライダ101と、前記第1軌道レール100と直交するようにして基盤に固定された第2軌道レール102と、この第2軌道レール102に組みつけられると共に前記第1スライダ101に対して固定された第2スライダ(図中では第1スライダ101に隠れている)とから構成され、前記基盤の揺れに対し、建造物を絶縁させ、前記建造物をあたかも空気中に浮遊させたような状態に止めることができるようになっている。また図示されていないが、かかる建造物を基盤上の元の位置に止めるため、前記基盤と該建造物とをコイルスプルング等の弾性体により連結している場合、かかる基盤の振動エネルギが前記弾性体により前記建造物側へ伝わるため、基盤の揺れが収まった後も、かかる建造物に揺れが残ってしまう。
【0008】
従って、同公報に開示される免震装置では、揺れを収束させるための減衰装置が設けられている。この減衰装置は、基盤に固定された第2軌道レール102と平行に配設されると共に前記基盤上に回転自在に支承されたねじ軸103と、このねじ軸103に螺合すると共に前記第2スライダに固定されたナット部材104と、上記ねじ軸103の一端と軸継手105を介して連結された減衰ロッド106とから構成されている。上記ねじ軸103の外周面には螺旋状のボール転動溝が所定のリードで形成されており、上記ナット部材104は無限循環する多数のボールを介してこのねじ軸103に螺合している。従って、ナット部材104は極小さな動摩擦抵抗でねじ軸103の周囲を螺旋状に移動することが可能となっている。また、上記ねじ軸103の一端は基盤上に立設されたブラケット107によって回転自在に支承され、他端は軸継手105及び減衰ロッド106を介して基盤上に立設されたブラケット(図示せず)に支承されている。前記ナット部材104は、連結ブラケット108により回転不能に保持されているため、かかるナット部材104が第2スライダと共に移動すると、上記ねじ軸103がナット部材104によって回転トルクを与えられる結果となり、第2スライダの移動量に応じた回転量がねじ軸103に発生する。
【0009】
一方、図7に示すように、前記減衰ロッド106は、上記軸継手105を介してねじ軸103に連結された回転スリーブ107と、この回転スリーブ107を回転自在に保持すると共に基盤上に立設されたブラケット(図示せず)に固定される固定スリーブ108とから構成されている。前記回転スリーブ107の外周面と前記固定スリーブ108の内周面との間に設けられた僅かな隙間に粘性流体109が充填されている。従って、回転スリーブ107が固定スリーブ108に対して回転を生じると、これらの間に存在する粘性流体109に対して剪断摩擦力が作用し、回転スリーブ107の運動エネルギが粘性流体109の熱エネルギに変換されて消費され、回転スリーブ107の運動エネルギを減衰させることができるようになっている。要するに、前記回転スリーブ107は軸継手105を介してねじ軸103と結合されていることから、減衰ロッド106はねじ軸103の回転運動を減衰していることになり、また、ねじ軸103の回転運動は第2軌道レール102上における第2スライダの直線運動を変換したものであるので、減衰ロッド106は第2スライダの直線運動のエネルギを減衰することになる。すなわち、上述のように構成される機械装置に免震機能を与えることが可能となる。
【0010】
しかし、回転運動を軽減させる減衰装置を前記案内装置とは別に設置させなければならず、装置として大型となり、充分な設置スペースが必要となる。また、直線運動を回転運動へ変換するボールねじも必要であり、その構成により部品数が増え、コストがかさむといった問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、案内装置とは別個に減衰装置を設けることなく、かかる案内装置におけるスライダの直線運動のエネルギを減衰させることが可能であると共に、かかるスライダの直線運動のエネルギを効率良く回転運動のエネルギへ変換させた後に減衰させることが可能であり、しかもコンパクト且つ安価で、減衰力を容易に調整することが可能な減衰ユニットを備えた案内装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、基盤上に固定された軌道レールと、この軌道レール上を往復運動自在なスライダと、このスライダに固定されると共に該スライダの移動方向と直交する固定軸と、この固定軸に対して回転自在に支承されると共に、かかる固定軸との間に作用室を形成し、前記軌道レールの上面と接しながら、かかるスライダの往復運動に伴い回転自在な外筒と、前記固定軸と前記外筒とが収まる前記スライダに形成された収容室と、前記作用室に封入された粘性流体から構成されることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成された本発明の減衰ユニットを備えた案内装置によれば、スライダには、その移動方向と直交する固定軸と、かかるスライダの往復運動を正逆回転運動に変換する外筒が収容室に収まっており、基盤の揺れに伴ってスライダが軌道レール上を運動すると、外筒が回転する。この外筒は前記固定軸との間に作用室を形成しており、かかる作用室には粘性流体が封入されている。従って、外筒が回転すると、作用室内の粘性流体に対して剪断摩擦力が作用し、前記外筒の運動エネルギは粘性流体の熱エネルギとして消費される。つまり、スライダの往復運動のエネルギが粘性流体によって熱エネルギとして消費されたことになり、軌道レールに対するスライダの運動、ひいては基盤に対する構造体の運動を減衰させることができるものである。
【0014】
ここで、上記軌道レールに接しながらかかるスライダに収容されている外筒は、その回転方向がスライダの運動方向と合致しており、直線運動のエネルギをかかる外筒の回転トルクへ直接変換するだけであるから、直線運動から回転運動への変換効率が良く、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置は基盤の震動を効率よく吸収することができる。また、減衰装置として作用する外筒をスライダ内に収容したことにより、基盤に対して構造体を設けるに際しては、案内装置とは別に減衰装置を設ける必要がないため、部品数を減らすことができるだけではなく、コンパクト且つ安価な構成とすることができるものである。
【0015】
本発明の構成において、スライダの直線運動を回転運動へ変換するためには、外筒は常に軌道レールの上面を滑らずに転がる状態でなければならない。そこで、軌道レールの上面と前記外筒が該軌道レールの上面に接する外周面に粗面加工を施すことにより、スライダの直線運動を回転運動として外筒へ効率良く伝え、無駄なく運動エネルギを減衰させることもできる。また、同様に、前記軌道レールの上面と前記外筒の外周面との間にてラック・アンド・ピニオンを構成することによっても同等の効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に基づいて本発明の減衰ユニットを備えた案内装置を詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置の実施例を示している。図1に示すように、この実施例の減衰ユニットを備えた案内装置は、機械装置等の基盤又は構造物に固定される軌道レール1と、前記軌道レール1の上半分を覆う状態でかかる軌道レール1上を往復運動自在であるスライダ2と、前記スライダ2に収容される、かかるスライダ2の移動方向と直交する固定軸3aを有する減衰ユニット3から構成されている。
【0017】
上記軌道レール1は、長方形の断面形状を有し、この長方形の長辺が基盤に接する固定面となっている。この軌道レール1の上面における幅方向の両端部には、かかる軌道レール1の長手方向に伸びる断面円弧状のボール転走溝11,11が一対形成されている。また、前記軌道レール1の両側面の上方部にも、かかる軌道レール1の長手方向に伸びる断面円弧状のボール転走溝12,12が一対形成されている。これらのボール転走溝11,12は、軌道レール1に対してスライダ2が組み付けられた際、かかるスライダ2により覆われる位置に形成されている。更に、軌道レール1の上面の中央部、すなわち前記1対のボール転走溝11,11の間には、かかる軌道レール1の長手方向に伸びるラック10が設けられている。このラック10は軌道レール1の上面の中央部に対して凹溝を形成した後、かかる凹溝に嵌め込むようにして固定されている。
【0018】
また、前記スライダ2は、図1に示すように、水平部2aとその両端から垂下する左右袖部2bを有してC字形状に形成されている。前記水平部2a下面側の前記ボール転走溝11に対応する位置、及び左右袖部2b内面側の前記ボール転走溝12に対応する位置には、かかるスライダ2の移動方向に沿ってそれぞれ負荷転走溝13,14が形成されている。この負荷転走溝13、14は前記ボール転走溝11、12と同じ曲率半径で断面円弧状に形成されている。従って、前記軌道レール1に前記スライダ2が組み付けられた際には、前記ボール転走溝11、12及び前記負荷転走溝13、14が互いに対向することにより、かかる軌道レール1とスライダ2との間にボール通路15が形成されることになる。また、左右袖部2bには無負荷通路16が各負荷転走溝13、14に対応して形成されている。各無負荷通路16は、前記ボール通路15を転走するボールの直径よりも大きな直径で断面円形状に形成されている。更に、前記スライダ2の長手方向各端部には、前記ボール通路15と無負荷通路16を連通連結する方向転換路が形成されており(図4には示さず)、これらボール通路15、無負荷通路16及び方向転換路とにより、ボール循環路が形成されている。そして、このボール循環路には多数のボールが充填されており、これらのボールが軌道レール1のボール転走溝11,12とスライダ2の負荷転走溝13,14との間で荷重を負荷しながら転走すると共に、前記ボール循環路内を循環することにより、前記スライダ2を軌道レール1に対し極小さな摺動抵抗で往復運動させることができるようになっている。
【0019】
上記スライダ2の水平部2a中央には収容室4が形成されている。この収容室4は前記水平部を貫通するようにして形成されており、前記スライダ2が前記軌道レール1に組み付けられた状態では、軌道レール1の上面に向けて開放されている。また、前記スライダ2の幅方向両端部には取付部2cが突設されており、この取付部2cにはその下面から上面へ向けて貫通する取付孔17が形成されており、この取付孔17に挿入した取付ボルトを用いることにより前記スライダ2の上面にテーブルや構造物を固定することが可能である。
【0020】
一方、前記スライダ2の収容室4に収容される減衰ユニット3は、図2に示すように、円筒状の固定軸3aと、この固定軸3aの周囲に配置された外筒3bとから構成されている。前記固定軸の両軸端には、断面略矩形状の端末部3c,3cが突設されており、この端末部を介して固定軸が前記スライダの収容室に固定されるようになっている。また、前記固定軸3aの外周面には軸方向に間隔をおいて1組のベアリング6,6が挿嵌されており、前記外筒3bはこれらのベアリング6,6によって前記固定軸3aに対し回転自在に支承されている。前記固定軸3aの外周面と前記外筒3bの内周面との間には作用室8が形成されており、この作用室8には粘性流体9が封入されている。更に、前記ベアリング6の内側には、かかる粘性流体9が外筒3b外へ漏れ出さないように、1組のシール材7が挿嵌されている。また、図2の減衰ユニット3中央におけるIII−III線断面を表している図3に示すように、前記外筒3bの外周面には、前記ラック10のピッチに対応するピニオン10aが凸状に形成されている。前記外筒3bが固定軸3aに対して回転すると、作用室8内の粘性流体9に対し剪断摩擦力が作用することにより、かかる外筒3bの運動エネルギは、前記粘性流体9の熱エネルギとして消費される。その結果として、前記外筒3bの回転運動のエネルギは減衰される。
【0021】
上記減衰ユニット3は、前記固定軸3aの軸方向をスライダ2の移動方向と直交させるようにして、前記収容室4へ収容されている。図4に示すように、この実施例では3基の減衰ユニット3がスライダ2の収容室4に配置されており、これらの減衰ユニット3は軌道レール1に対するスライダ2の移動方向に沿って直列に並べられている。また、前記収容室4は減衰ユニット3を収容した後に、前記スライダ2の水平部2aに対して嵌合する固定カバー5によって覆われるようになっている。この固定カバーは図示外のボルトによってスライダ2へ固定されると共に、スライダ2の上面と相まってテーブル等の取付面を構成している。図5はスライダ2の収容室4に対する減衰ユニット3の固定構造を示すものである。前記収容室4の互いに対向する内側面には、前記固定軸3aの端末部3cの形状に対応した断面矩形状の軸固定溝18が形成されている。この軸固定溝18はスライダ2の上面側には開放されているが、軌道レール1側には閉塞されており、前記固定軸3aの端末部3cをスライダ2の上面側から嵌合させることができるようなっている。従って、前記減衰ユニット3は、その固定軸3aの端末部3cを軸固定溝18に嵌合させるようにして、スライダ2の上方から収容室4内に装着される。一方、前記固定カバー5の下面側には、断面矩形状の脚部5aが突設されており、かかる固定カバー5をスライダ2に嵌合させて固定すると、前記脚部5aが収容室4の内側面に形成された軸固定溝18に対して嵌合し、この軸固定溝18内に嵌合する固定軸3aの端末部3cを押さえ込むようになっている。これにより、減衰ユニット3の固定軸3aはスライダの収容室内で回転不能に固定され、前記外筒3bの回転運動につられて回転しない構成となっている。そして、このようにして前記減衰ユニット3が収容室4に収容され、前記スライダ2が前記軌道レール1上に組み付けられた状態において、前記外筒3bの外周面に形成されている前記ピニオン10aは、前記ラック10と噛合している。
【0022】
本実施例の減衰ユニットを備えた案内装置において、上記スライダ2が上記軌道レール1上を往復運動した際、前記スライダ2の直線運動は、前記軌道レール1上で前記直線運動の向きと等しい長手方向に形成されたラック10と噛合するピニオン10aにより、上記外筒3bへと伝達される。この時、前記外筒3bは、前記スライダ2の移動方向と直交する固定軸3aに対し回転自在に支承されているので、ラック・アンド・ピニオン機構により、かかるスライダ2の直線運動は、前記外筒3bの回転運動へと変換される。前記外筒3bが前記固定軸3aに対し回転すると、かかる外筒3bと固定軸3aとの間に形成された作用室8内の粘性流体9に対し、剪断摩擦力が作用することになる。これにより、前記外筒3bの運動エネルギは、前記粘性流体9の熱エネルギとして消費され、かかる外筒3bの回転運動のエネルギを減衰させることが可能となる。従って、本実施例の減衰ユニットを備えた案内装置では、前記軌道レール1上を直線運動する前記スライダ2の運動エネルギを減衰させることができるのである。
【0023】
また、前記スライダ2の直線運動に対して作用する減衰力は、前記収容室4に収容される減衰ユニット3の個数を調整し、あるいは個々の減衰ユニット3の発揮する減衰力を調整することにより、自在に設定することが可能である。個々の減衰ユニットが発揮する減衰力を調整するためには、固定軸3aと外筒3bとの間に形成される作用室8の体積や、粘性流体9の粘度を変更することが考えられる。この方法によれば、前記粘性流体9に作用する剪断摩擦力の増減を任意に図ることができ、それによって外筒の回転に対して作用する減衰力を自在に調整することができる。従って、前記スライダ2上面に、テーブル等を固定する前であれば、固定カバー5を取り外し、減衰ユニット3の交換を行うことにより、使用用途に応じた減衰力を有する案内装置の提供が可能となる。
【0024】
尚、減衰ユニットを収容する案内装置としては、前記実施例に記載されたスライダ及び軌道レールの組み合わせに限られるものではなく、公知の案内装置に対し広く適用し得るものである。例えば、前記スライダと軌道レールとの間に介在するボールについては、これをローラに変更することも可能であり、更に、前記軌道レールは直線状に形成されているものに限らず、所定曲率の円弧で曲線状に形成されたものであっても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置によれば、スライダに固定された固定軸とこの固定軸の周囲を回転する外筒との間に粘性流体の作用室を形成し、かかる外筒が軌道レール上におけるスライダの往復運動に伴って回転するように構成したので、案内装置とは別個に減衰装置を設けることなく、かかる案内装置におけるスライダの直線運動のエネルギを減衰させることが可能であると共に、かかるスライダの直線運動のエネルギを効率良く回転運動のエネルギへ変換させた後に減衰させることが可能であり、しかもコンパクト且つ安価で、減衰力を容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した減衰ユニットを備えた案内装置の実施例を示す断面図である。
【図2】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置に用いられる減衰ユニットの断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置の側面透視図である。
【図5】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置における収容室内の軸固定部を示す斜視図である。
【図6】従来の減衰機構付き免震装置を示す平面図である。
【図7】従来の減衰機構付き免震装置に用いられる減衰ロッドを示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・軌道レール、2・・・スライダ、3a・・・固定軸、3b・・・外筒、4・・・作用室、9・・・粘性流体、ラック・・・10、ピニオン・・・10a
【発明の属する技術分野】
本発明は、基盤に取付けられた軌道レールに、かかる軌道レール上にて往復運動自在なスライダを組み付けた案内装置に係り、その用途に応じ、スライダの往復運動を抑制する機能をスライダに備えさせた減衰機能付ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平3−014909
【特許文献2】特開平9−217743
【0003】
従来、案内装置は、基盤上に設置された軌道レールと、この軌道レール上を自在に往復運動可能な該軌道レールに組み付けられたスライダとから構成されている。前記軌道レールには、長手方向に沿って複数条のボール転走溝が形成される一方、前記スライダには、このボール転走溝を転走する多数のボールが内蔵されており、かかるスライダは、これらのボールの転走により軌道レール上を極小さな摺動抵抗で自在に移動できるようになっている。
【0004】
この種の案内装置は、平行に設置された2本の軌道レールに、それぞれ2組のスライダを組み付け、これら4組のスライダ上にテーブルを固定することにより直線運動テーブルを形成し、工作機械等にて、加工対象物をスムーズに移動させ、作業性を向上させることを目的として用いられている。工作機械にて、このスライダを使用する利点としては、前記直線運動テーブル上に重い加工対象物が載せられた場合であっても、かかるスライダは軌道レール上を極小さな摺動抵抗で移動可能であるため、軽く移動させることができる。また、ボールねじをモータにて駆動することにより該直線運動テーブルを移動させる機構を有する工作機械等においても、前記モータへの負荷を小さく抑えることができ、省エネにつながる。
【0005】
しかし、この直線運動テーブルの構成においては、かかる直線運動テーブルに垂直な面内に作用する力に対し剛性は確保されているものの、前記スライダは、軌道レール上を軽く移動させることが可能であるが故に、該直線運動テーブルの移動方向へ掛かる力に対しての剛性は低いものとなっている。そこで、前記スライダの摺動抵抗を高くすることにより、前記直線運動テーブルの移動方向の剛性を向上させる装置として、かかるスライダにブレーキシューを装備した、直線摺動用ベアリング(特開平3−014909号)や直線案内装置のブレーキユニット(特開平9−217743号)が提案されている。
【0006】
これらスライダにブレーキ機構を備えた案内装置は、制動板やラバーチューブを軌道レールへ押さえつけることで該スライダへ摺動抵抗を作用させ、移動方向への剛性を発生させる仕組みとなっている。しかし、スライダにブレーキ機構を備えた場合、かかるブレーキ機構を作動させる装置を案内装置とは別に設置しなければならず、コストが掛かるだけではなく、十分な設置スペースを確保しなければならないといった問題点があった。
【0007】
また、この種の案内装置の使用例としては他に特開2001−153179号の免震装置がある。この免震装置は、図6に示すように、建造物に固定された第1軌道レール100と、この第1軌道レール100に組み付けられた第1スライダ101と、前記第1軌道レール100と直交するようにして基盤に固定された第2軌道レール102と、この第2軌道レール102に組みつけられると共に前記第1スライダ101に対して固定された第2スライダ(図中では第1スライダ101に隠れている)とから構成され、前記基盤の揺れに対し、建造物を絶縁させ、前記建造物をあたかも空気中に浮遊させたような状態に止めることができるようになっている。また図示されていないが、かかる建造物を基盤上の元の位置に止めるため、前記基盤と該建造物とをコイルスプルング等の弾性体により連結している場合、かかる基盤の振動エネルギが前記弾性体により前記建造物側へ伝わるため、基盤の揺れが収まった後も、かかる建造物に揺れが残ってしまう。
【0008】
従って、同公報に開示される免震装置では、揺れを収束させるための減衰装置が設けられている。この減衰装置は、基盤に固定された第2軌道レール102と平行に配設されると共に前記基盤上に回転自在に支承されたねじ軸103と、このねじ軸103に螺合すると共に前記第2スライダに固定されたナット部材104と、上記ねじ軸103の一端と軸継手105を介して連結された減衰ロッド106とから構成されている。上記ねじ軸103の外周面には螺旋状のボール転動溝が所定のリードで形成されており、上記ナット部材104は無限循環する多数のボールを介してこのねじ軸103に螺合している。従って、ナット部材104は極小さな動摩擦抵抗でねじ軸103の周囲を螺旋状に移動することが可能となっている。また、上記ねじ軸103の一端は基盤上に立設されたブラケット107によって回転自在に支承され、他端は軸継手105及び減衰ロッド106を介して基盤上に立設されたブラケット(図示せず)に支承されている。前記ナット部材104は、連結ブラケット108により回転不能に保持されているため、かかるナット部材104が第2スライダと共に移動すると、上記ねじ軸103がナット部材104によって回転トルクを与えられる結果となり、第2スライダの移動量に応じた回転量がねじ軸103に発生する。
【0009】
一方、図7に示すように、前記減衰ロッド106は、上記軸継手105を介してねじ軸103に連結された回転スリーブ107と、この回転スリーブ107を回転自在に保持すると共に基盤上に立設されたブラケット(図示せず)に固定される固定スリーブ108とから構成されている。前記回転スリーブ107の外周面と前記固定スリーブ108の内周面との間に設けられた僅かな隙間に粘性流体109が充填されている。従って、回転スリーブ107が固定スリーブ108に対して回転を生じると、これらの間に存在する粘性流体109に対して剪断摩擦力が作用し、回転スリーブ107の運動エネルギが粘性流体109の熱エネルギに変換されて消費され、回転スリーブ107の運動エネルギを減衰させることができるようになっている。要するに、前記回転スリーブ107は軸継手105を介してねじ軸103と結合されていることから、減衰ロッド106はねじ軸103の回転運動を減衰していることになり、また、ねじ軸103の回転運動は第2軌道レール102上における第2スライダの直線運動を変換したものであるので、減衰ロッド106は第2スライダの直線運動のエネルギを減衰することになる。すなわち、上述のように構成される機械装置に免震機能を与えることが可能となる。
【0010】
しかし、回転運動を軽減させる減衰装置を前記案内装置とは別に設置させなければならず、装置として大型となり、充分な設置スペースが必要となる。また、直線運動を回転運動へ変換するボールねじも必要であり、その構成により部品数が増え、コストがかさむといった問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、案内装置とは別個に減衰装置を設けることなく、かかる案内装置におけるスライダの直線運動のエネルギを減衰させることが可能であると共に、かかるスライダの直線運動のエネルギを効率良く回転運動のエネルギへ変換させた後に減衰させることが可能であり、しかもコンパクト且つ安価で、減衰力を容易に調整することが可能な減衰ユニットを備えた案内装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、基盤上に固定された軌道レールと、この軌道レール上を往復運動自在なスライダと、このスライダに固定されると共に該スライダの移動方向と直交する固定軸と、この固定軸に対して回転自在に支承されると共に、かかる固定軸との間に作用室を形成し、前記軌道レールの上面と接しながら、かかるスライダの往復運動に伴い回転自在な外筒と、前記固定軸と前記外筒とが収まる前記スライダに形成された収容室と、前記作用室に封入された粘性流体から構成されることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成された本発明の減衰ユニットを備えた案内装置によれば、スライダには、その移動方向と直交する固定軸と、かかるスライダの往復運動を正逆回転運動に変換する外筒が収容室に収まっており、基盤の揺れに伴ってスライダが軌道レール上を運動すると、外筒が回転する。この外筒は前記固定軸との間に作用室を形成しており、かかる作用室には粘性流体が封入されている。従って、外筒が回転すると、作用室内の粘性流体に対して剪断摩擦力が作用し、前記外筒の運動エネルギは粘性流体の熱エネルギとして消費される。つまり、スライダの往復運動のエネルギが粘性流体によって熱エネルギとして消費されたことになり、軌道レールに対するスライダの運動、ひいては基盤に対する構造体の運動を減衰させることができるものである。
【0014】
ここで、上記軌道レールに接しながらかかるスライダに収容されている外筒は、その回転方向がスライダの運動方向と合致しており、直線運動のエネルギをかかる外筒の回転トルクへ直接変換するだけであるから、直線運動から回転運動への変換効率が良く、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置は基盤の震動を効率よく吸収することができる。また、減衰装置として作用する外筒をスライダ内に収容したことにより、基盤に対して構造体を設けるに際しては、案内装置とは別に減衰装置を設ける必要がないため、部品数を減らすことができるだけではなく、コンパクト且つ安価な構成とすることができるものである。
【0015】
本発明の構成において、スライダの直線運動を回転運動へ変換するためには、外筒は常に軌道レールの上面を滑らずに転がる状態でなければならない。そこで、軌道レールの上面と前記外筒が該軌道レールの上面に接する外周面に粗面加工を施すことにより、スライダの直線運動を回転運動として外筒へ効率良く伝え、無駄なく運動エネルギを減衰させることもできる。また、同様に、前記軌道レールの上面と前記外筒の外周面との間にてラック・アンド・ピニオンを構成することによっても同等の効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に基づいて本発明の減衰ユニットを備えた案内装置を詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置の実施例を示している。図1に示すように、この実施例の減衰ユニットを備えた案内装置は、機械装置等の基盤又は構造物に固定される軌道レール1と、前記軌道レール1の上半分を覆う状態でかかる軌道レール1上を往復運動自在であるスライダ2と、前記スライダ2に収容される、かかるスライダ2の移動方向と直交する固定軸3aを有する減衰ユニット3から構成されている。
【0017】
上記軌道レール1は、長方形の断面形状を有し、この長方形の長辺が基盤に接する固定面となっている。この軌道レール1の上面における幅方向の両端部には、かかる軌道レール1の長手方向に伸びる断面円弧状のボール転走溝11,11が一対形成されている。また、前記軌道レール1の両側面の上方部にも、かかる軌道レール1の長手方向に伸びる断面円弧状のボール転走溝12,12が一対形成されている。これらのボール転走溝11,12は、軌道レール1に対してスライダ2が組み付けられた際、かかるスライダ2により覆われる位置に形成されている。更に、軌道レール1の上面の中央部、すなわち前記1対のボール転走溝11,11の間には、かかる軌道レール1の長手方向に伸びるラック10が設けられている。このラック10は軌道レール1の上面の中央部に対して凹溝を形成した後、かかる凹溝に嵌め込むようにして固定されている。
【0018】
また、前記スライダ2は、図1に示すように、水平部2aとその両端から垂下する左右袖部2bを有してC字形状に形成されている。前記水平部2a下面側の前記ボール転走溝11に対応する位置、及び左右袖部2b内面側の前記ボール転走溝12に対応する位置には、かかるスライダ2の移動方向に沿ってそれぞれ負荷転走溝13,14が形成されている。この負荷転走溝13、14は前記ボール転走溝11、12と同じ曲率半径で断面円弧状に形成されている。従って、前記軌道レール1に前記スライダ2が組み付けられた際には、前記ボール転走溝11、12及び前記負荷転走溝13、14が互いに対向することにより、かかる軌道レール1とスライダ2との間にボール通路15が形成されることになる。また、左右袖部2bには無負荷通路16が各負荷転走溝13、14に対応して形成されている。各無負荷通路16は、前記ボール通路15を転走するボールの直径よりも大きな直径で断面円形状に形成されている。更に、前記スライダ2の長手方向各端部には、前記ボール通路15と無負荷通路16を連通連結する方向転換路が形成されており(図4には示さず)、これらボール通路15、無負荷通路16及び方向転換路とにより、ボール循環路が形成されている。そして、このボール循環路には多数のボールが充填されており、これらのボールが軌道レール1のボール転走溝11,12とスライダ2の負荷転走溝13,14との間で荷重を負荷しながら転走すると共に、前記ボール循環路内を循環することにより、前記スライダ2を軌道レール1に対し極小さな摺動抵抗で往復運動させることができるようになっている。
【0019】
上記スライダ2の水平部2a中央には収容室4が形成されている。この収容室4は前記水平部を貫通するようにして形成されており、前記スライダ2が前記軌道レール1に組み付けられた状態では、軌道レール1の上面に向けて開放されている。また、前記スライダ2の幅方向両端部には取付部2cが突設されており、この取付部2cにはその下面から上面へ向けて貫通する取付孔17が形成されており、この取付孔17に挿入した取付ボルトを用いることにより前記スライダ2の上面にテーブルや構造物を固定することが可能である。
【0020】
一方、前記スライダ2の収容室4に収容される減衰ユニット3は、図2に示すように、円筒状の固定軸3aと、この固定軸3aの周囲に配置された外筒3bとから構成されている。前記固定軸の両軸端には、断面略矩形状の端末部3c,3cが突設されており、この端末部を介して固定軸が前記スライダの収容室に固定されるようになっている。また、前記固定軸3aの外周面には軸方向に間隔をおいて1組のベアリング6,6が挿嵌されており、前記外筒3bはこれらのベアリング6,6によって前記固定軸3aに対し回転自在に支承されている。前記固定軸3aの外周面と前記外筒3bの内周面との間には作用室8が形成されており、この作用室8には粘性流体9が封入されている。更に、前記ベアリング6の内側には、かかる粘性流体9が外筒3b外へ漏れ出さないように、1組のシール材7が挿嵌されている。また、図2の減衰ユニット3中央におけるIII−III線断面を表している図3に示すように、前記外筒3bの外周面には、前記ラック10のピッチに対応するピニオン10aが凸状に形成されている。前記外筒3bが固定軸3aに対して回転すると、作用室8内の粘性流体9に対し剪断摩擦力が作用することにより、かかる外筒3bの運動エネルギは、前記粘性流体9の熱エネルギとして消費される。その結果として、前記外筒3bの回転運動のエネルギは減衰される。
【0021】
上記減衰ユニット3は、前記固定軸3aの軸方向をスライダ2の移動方向と直交させるようにして、前記収容室4へ収容されている。図4に示すように、この実施例では3基の減衰ユニット3がスライダ2の収容室4に配置されており、これらの減衰ユニット3は軌道レール1に対するスライダ2の移動方向に沿って直列に並べられている。また、前記収容室4は減衰ユニット3を収容した後に、前記スライダ2の水平部2aに対して嵌合する固定カバー5によって覆われるようになっている。この固定カバーは図示外のボルトによってスライダ2へ固定されると共に、スライダ2の上面と相まってテーブル等の取付面を構成している。図5はスライダ2の収容室4に対する減衰ユニット3の固定構造を示すものである。前記収容室4の互いに対向する内側面には、前記固定軸3aの端末部3cの形状に対応した断面矩形状の軸固定溝18が形成されている。この軸固定溝18はスライダ2の上面側には開放されているが、軌道レール1側には閉塞されており、前記固定軸3aの端末部3cをスライダ2の上面側から嵌合させることができるようなっている。従って、前記減衰ユニット3は、その固定軸3aの端末部3cを軸固定溝18に嵌合させるようにして、スライダ2の上方から収容室4内に装着される。一方、前記固定カバー5の下面側には、断面矩形状の脚部5aが突設されており、かかる固定カバー5をスライダ2に嵌合させて固定すると、前記脚部5aが収容室4の内側面に形成された軸固定溝18に対して嵌合し、この軸固定溝18内に嵌合する固定軸3aの端末部3cを押さえ込むようになっている。これにより、減衰ユニット3の固定軸3aはスライダの収容室内で回転不能に固定され、前記外筒3bの回転運動につられて回転しない構成となっている。そして、このようにして前記減衰ユニット3が収容室4に収容され、前記スライダ2が前記軌道レール1上に組み付けられた状態において、前記外筒3bの外周面に形成されている前記ピニオン10aは、前記ラック10と噛合している。
【0022】
本実施例の減衰ユニットを備えた案内装置において、上記スライダ2が上記軌道レール1上を往復運動した際、前記スライダ2の直線運動は、前記軌道レール1上で前記直線運動の向きと等しい長手方向に形成されたラック10と噛合するピニオン10aにより、上記外筒3bへと伝達される。この時、前記外筒3bは、前記スライダ2の移動方向と直交する固定軸3aに対し回転自在に支承されているので、ラック・アンド・ピニオン機構により、かかるスライダ2の直線運動は、前記外筒3bの回転運動へと変換される。前記外筒3bが前記固定軸3aに対し回転すると、かかる外筒3bと固定軸3aとの間に形成された作用室8内の粘性流体9に対し、剪断摩擦力が作用することになる。これにより、前記外筒3bの運動エネルギは、前記粘性流体9の熱エネルギとして消費され、かかる外筒3bの回転運動のエネルギを減衰させることが可能となる。従って、本実施例の減衰ユニットを備えた案内装置では、前記軌道レール1上を直線運動する前記スライダ2の運動エネルギを減衰させることができるのである。
【0023】
また、前記スライダ2の直線運動に対して作用する減衰力は、前記収容室4に収容される減衰ユニット3の個数を調整し、あるいは個々の減衰ユニット3の発揮する減衰力を調整することにより、自在に設定することが可能である。個々の減衰ユニットが発揮する減衰力を調整するためには、固定軸3aと外筒3bとの間に形成される作用室8の体積や、粘性流体9の粘度を変更することが考えられる。この方法によれば、前記粘性流体9に作用する剪断摩擦力の増減を任意に図ることができ、それによって外筒の回転に対して作用する減衰力を自在に調整することができる。従って、前記スライダ2上面に、テーブル等を固定する前であれば、固定カバー5を取り外し、減衰ユニット3の交換を行うことにより、使用用途に応じた減衰力を有する案内装置の提供が可能となる。
【0024】
尚、減衰ユニットを収容する案内装置としては、前記実施例に記載されたスライダ及び軌道レールの組み合わせに限られるものではなく、公知の案内装置に対し広く適用し得るものである。例えば、前記スライダと軌道レールとの間に介在するボールについては、これをローラに変更することも可能であり、更に、前記軌道レールは直線状に形成されているものに限らず、所定曲率の円弧で曲線状に形成されたものであっても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の減衰ユニットを備えた案内装置によれば、スライダに固定された固定軸とこの固定軸の周囲を回転する外筒との間に粘性流体の作用室を形成し、かかる外筒が軌道レール上におけるスライダの往復運動に伴って回転するように構成したので、案内装置とは別個に減衰装置を設けることなく、かかる案内装置におけるスライダの直線運動のエネルギを減衰させることが可能であると共に、かかるスライダの直線運動のエネルギを効率良く回転運動のエネルギへ変換させた後に減衰させることが可能であり、しかもコンパクト且つ安価で、減衰力を容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した減衰ユニットを備えた案内装置の実施例を示す断面図である。
【図2】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置に用いられる減衰ユニットの断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置の側面透視図である。
【図5】実施例の減衰ユニットを備えた案内装置における収容室内の軸固定部を示す斜視図である。
【図6】従来の減衰機構付き免震装置を示す平面図である。
【図7】従来の減衰機構付き免震装置に用いられる減衰ロッドを示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・軌道レール、2・・・スライダ、3a・・・固定軸、3b・・・外筒、4・・・作用室、9・・・粘性流体、ラック・・・10、ピニオン・・・10a
Claims (3)
- 基盤上に固定された軌道レールと、この軌道レール上を往復運動自在なスライダと、このスライダに固定されると共に該スライダの移動方向と直交する固定軸と、この固定軸に対して回転自在に支承されると共に、かかる固定軸との間に作用室を形成し、前記軌道レールの上面と接しながら、かかるスライダの往復運動に伴い回転自在な外筒と、前記固定軸と前記外筒とが収まる前記スライダに形成された収容室と、前記作用室に封入された粘性流体から構成されることを特徴とする減衰ユニットを備えた案内装置。
- 前記軌道レールの上面及び前記外筒が該軌道レールの上面に接する外周面に粗面加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の減衰ユニットを備えた案内装置。
- 前記軌道レールの上面と前記外筒が該軌道レールの上面に接する外周面との間にてラック・アンド・ピニオンが構成されていることを特徴とする請求項1記載の減衰ユニットを備えた案内装置。
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Publications (1)
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-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155150A patent/JP2004353823A/ja not_active Withdrawn
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