JP2004352830A - 多孔性シリコーンゴム材及びその製造方法 - Google Patents

多孔性シリコーンゴム材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー加工時に異臭が発生したり、ゴムが溶けてべたついたりせず、生産性に優れ、一定の品質を備えた多孔性シリコーンゴム材を提供する。
【解決手段】反応性オルガノポリシロキサンと、水溶性塩とを含有するゴム組成物を硬化させた後に水溶性粉末を溶解除去して得られる多孔性シリコーンゴム材であって、ゴム組成物にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアクリレート系多官能性モノマーを配合する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用、医療用、化粧用等の材料として使用され、特に浸透印の印材用として好適に使用されるシリコーンゴム材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、連続気泡構造を有する多孔性ゴム材は、通液性や吸液性を有し、弾性、加工性等にも優れているため、クッション材、吸液部材、濾過材等の工業用途、創傷保護部材、サポーター等の医療用途、浸透印の印材、スタンプ台の印褥体等の事務機器用途などの幅広い分野で用いられている。
【0003】
多孔性ゴム材を製造する方法の一つとして、特許文献1に示すように、ゴム成分、水溶性粉末及び非イオン性界面活性剤とを含有するゴム組成物を均一に混練し、このゴム組成物を加熱成形した後に、水溶性粉末を熱水中に溶解除去する方法が知られている。
【0004】
上記多孔性ゴム剤の製造方法をより詳細に説明すると、ゴム組成物中には上記ゴム成分、水溶性粉末、非イオン性界面活性剤以外に加硫剤、加硫促進剤、促進助剤、補強剤等の添加剤が適宜配合されており、ゴム組成物を加熱することにより硬化して、水溶性粉末が分散したゴム材が得られる。この水溶性粉末を溶解除去することにより多孔性ゴム材が得られる。
【0005】
この方法によれば、均一な孔径の細孔を備えた多孔性ゴム材が得られるという利点を有し、特に、均一な吸液性が必要とされるゴム印材を製造する方法として適している。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−107865号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記多孔性ゴム材は、各用途に合せて成形されて使用されるが、その際にゴム表面にマーキングを入れたり、印材のようにゴム表面に凹凸を形成するために、レーザー加工が施される場合が多い。このようにゴム材にレーザー加工を施す場合には、ゴムが燃焼する際に異臭が発生したり、燃えカスが残ったり、ゴムが溶けてべたつくといった問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明者らは、前述の多孔性ゴム材の製造方法において、ゴム成分として燃焼時に異臭発生の少ないシリコーンゴムを使用することについて検討を行なった。シリコーンゴムは、燃焼時に異臭の発生が少ないだけでなく、人体に対する刺激性が少なく、耐薬品性に優れることから長期使用が可能であり、上記方法による多孔性シリコーンゴム材を得ることができれば、より広範な需要が見込まれるところである。
【0009】
しかしながら、ゴム組成物のゴム成分として反応性ポリオルガノシロキサンを使用した場合、反応性ポリオルガノシロキサン自体の混練性が悪いため、ゴム成分と水溶性粉末とを均一に混練するのに長時間を要し、生産効率が悪く、出来上がったゴム組成物中の水溶性粉末の分散性も一定でなく、最終的に得られるシリコーンゴム材の品質(多孔性)にもバラツキがでることが判明した。
【0010】
そこで、本発明においては、上記問題に鑑み、レーザー加工時に異臭が発生したり、ゴムが溶けてべたついたりせず、生産効率の良い多孔性シリコーンゴム材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明では、反応性オルガノポリシロキサンと、水溶性粉末とを含有するゴム組成物を硬化させた後に水溶性粉末を溶解させて得られる多孔性シリコーンゴム材であって、ゴム組成物に、エチレン−プロピレン系共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を配合したことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、ゴム組成物の混練性が大幅に改善し、生産効率が向上するとともに安定した品質の多孔性ゴム材が得られ、さらにレーザー加工時において、異臭の発生やゴムの一部溶融を抑制することが可能となる。ここで、エチレン−プロピレン系共重合体とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)またはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を意味するものであり、それぞれ単独で使用してもよいし、併用することも可能である。
【0013】
上記エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAは、ゴム組成物中で一種可塑剤的な役割を果たしていると考えられるが、興味深いのは、エチレン−プロピレン系共重合体、EVAいずれか一方のみを添加しただけではゴム組成物の混練性の改善効果は低く、両者を併用すると相乗的に効果が高くなる点であり、これにより良好な混練性が得られる。
【0014】
反応性オルガノポリシロキサンは、加硫剤によって重合し硬化するものであれば特に限定されないが、燃焼時の異臭の発生を考慮すれば、加硫剤として過酸化物で硬化するものが好ましい。
【0015】
このように過酸化物で硬化するオルガノポリシロキサンとしては、アルケニル基を有するものを使用することができる。具体的に、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が例示されるが、特にビニル基が好ましい。
【0016】
オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する有機基のうち、アルケニル基以外のものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基、フェニル基のようなアリール基等を挙げることができるが、特にメチル基が好ましい。
【0017】
上記反応性オルガノポリシロキサンの具体的な構成としては、例えば、メチルビニルシロキサン単位とジメチルシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサンを挙げることができ、分子量500以上であるのが好ましい。
【0018】
水溶性微粉末とは、連続気泡形成剤として使用するものであり、ゴム加硫時に分解せず、加硫後は水に容易に溶けるものをいう。なお、水溶性粉末を溶解させる溶剤は水以外にも、水性溶剤や酸若しくは塩基水溶液を使用することも可能である。
【0019】
水溶性粉末としては、具体的に、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の塩類、澱粉やグリコーゲン等の糖類が挙げられる。塩類を使用する場合、粒経は10〜150μmのものを使用するのが好ましい。その配合量は、ゴム組成物のゴム成分100重量部に対して、おおよそ200〜800重量部であり、好ましくは300〜500重量部である。
【0020】
水溶性微粉末として糖類を使用する場合は、上記塩類と併用するのが好ましい。粒経は5〜20μmのものを使用し、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して3〜20重量部用いるのが好ましい。糖類は、熱を加えると沸騰する性質から気孔のつながりが多くなり、結果として良い連続気泡を形成する。
【0021】
ゴム成分として上記オルガノポリシロキサンを使用したゴム組成物は、公知の加硫剤によって硬化させることができるが、前述のごとく、ゴム燃焼時に異臭の発生が少ないという点で、ジターシャリーブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)へキサン、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物を使用するのが好ましい。
【0022】
このようにして得られた水溶性粉末入りゴム材は、温水中で水溶性粉末を溶解除去(脱塩)した後、乾燥して多孔性シリコーンゴム材が得られる。ただ、上記加硫剤のみで硬化させたゴム材は、水溶性粉末を除去すると収縮しやすく、収縮率を見越してゴム組成物をやや大きめに成形する必要が生じる。
【0023】
そこで、本発明では、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体に加えて、さらにアクリレート系多官能性モノマーをゴム組成物に配合する構成を採用可能とした。
【0024】
上記構成によれば、アクリレート系多官能性モノマーがゴム成分と反応することによりゴム強度が補強されるため、水溶性粉末を除去した後も連続気泡構造がつぶれたり、大幅に収縮することがない。したがって、柔軟性を備えつつ水溶性粉末の溶解除去後の寸法変化が少ない多孔性シリコーンゴム材を得ることが可能となる。
【0025】
具体的に、C型硬度計による硬度(日本ゴム協会規格0101に準拠)が10〜70度程度の柔らかいゴム材でも寸法変化が小さいため、微細な加工が必要とされるゴム印材用として好適に使用することができる。
【0026】
アクリレート系多官能性モノマーとしては、アクリル酸エステル化合物や、メタクリル酸エステル化合物を使用することができるが、特にトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートが好ましい。これらのアクリレート系多官能性モノマーは、1種類単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用することもできる。
【0027】
ゴム組成物中の反応性オルガノポリシロキサン、エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAの各成分の含有量については特に制限はなく、使用用途によって適宜調整することができる。これは、エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAが、他のゴム成分、例えば、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等に比べて異臭の発生量が少ないためである。
【0028】
ただ、本発明の目的からいえば、レーザー加工時の異臭を極力抑制し、使用期間を長くする意味でオルガノポリシロキサンを主成分とするのが好ましい。具体的には、ゴム組成物において、ゴム成分である反応性オルガノポリシロキサン、エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAの中で、オルガノポリシロキサンの含有量が最も多く、かつ、ゴム成分量を100重量%としたときに、オルガノポリシロキサン、エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAの含有量が、それぞれ45〜80重量%、6〜40重量%及び6〜40重量%とするのが好ましく、さらに、それぞれ50〜80重量%、10〜35重量%及び10〜35重量%とするのがより好ましい。
【0029】
オルガノポリシロキサンの含有量が45重量%未満では、耐薬品性や耐候性が低下するとともに、印材として使用した場合に、レーザー加工条件によっては異臭がしたり、燃えカスが残ったり、ゴムが溶けることがあり、80重量%を超えると、混練性が低下するおそれが生じる。エチレン−プロピレン系共重合体及びEVAについては、いずれかの含有量が6重量%未満になると、混練性が低下するおそれが生じる。
【0030】
ゴム組成物は、ゴム成分、水溶性粉末、加硫剤、アクリレート系多官能性モノマー以外にも、慣用の加硫促進剤や、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム、マグネシア、亜鉛華等の促進助剤、炭酸カルシウム、フュームドシリカ、カーボンブラック等の補強剤、芳香族アミン、ヒドロキノン等の老化防止剤などの添加剤を適宜使用することができる。また、混練性を改善するために、内部離型剤を使用することも可能であり、特にシリコーンオイルが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下に具体的な実施例、比較例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、「部」の表示は、「重量部」を意味するものである。
【0032】
[多孔性ゴム印材の作製]
本実施例においては、表1に示すように、ゴム組成物のゴム成分としてビニル基を有するオルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、X−30−3724)を使用し、さらに、EPDM(三井化学株式会社製、EPT4045H)及びEVA(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、エバフレックスP−2505)を適宜添加して5種類のゴム組成物を調製した(実施例1〜2、比較例1〜3)。
【0033】
【表1】
Figure 2004352830
【0034】
ゴム組成物におけるゴム成分以外の成分としては、水溶性粉末として塩化ナトリウム及びグリコーゲンを、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサンを、アクリレート系多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリメタクリレートを、離型剤としてジメチルポリシロキサンを、それぞれ使用した。
【0035】
なお、塩化ナトリウムは、2種類のものを使用した。具体的には、平均粒径10〜20μmのものを上層用として使用し、平均粒径50〜70μmのものを下層用として使用した。すなわち、上層ゴム材の連続気泡の径を小さく、下層ゴム材の連続気泡の径を大きくし、下層側から上層側へインクの供給がスムーズになるようにするとともに、鮮明な印影が得られるような構成とした。
【0036】
表1に示した5種類のゴム組成物の内容について説明すると、先ず、実施例1は、上層用ゴム成分として、オルガノポリシロキサン70部、EPDM13部及びEVA17部を用い、下層用ゴム成分として、オルガノポリシロキサン50部、EPDM20部及びEVA30部を用いた。
【0037】
すなわち、上層用ゴム材は、レーザー加工が施されるため、オルガノポリシロキサンの含有量を高めることにより効果的に異臭の発生を抑制し、下層用ゴム材は、直接、レーザーが照射されないため、オルガノポリシロキサンの含有量を抑えてEPDM及びEVAの含有量を高めることでクッション性を向上させ、捺印性を高める構成とされている。
【0038】
上層用ゴム組成物は、上記上層用ゴム成分100部に、水溶性粉末として平均粒径10〜20μmの塩化ナトリウム340部及び平均粒径5〜20μmのグリコーゲン7部を配合し、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン3部と、トリメチロールプロパントリメタクリレート1.5部、そしてジメチルポリシロキサン1部を配合して調製した。
【0039】
下層用ゴム組成物は、下層用ゴム成分100部に、水溶性粉末として平均粒径50〜70μmの塩化ナトリウム400部と、平均粒径5〜20μmのグリコーゲン7部を配合し、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジメチルポリシロキサンは上層用ゴム組成物と同じ量を配合して調製した。得られた上層用ゴム印材のゴム硬度は、37〜39度(C型硬度計)で、下層用ゴム印材のゴム硬度は32〜34度(C型硬度計)であった。
【0040】
実施例2は、ゴム成分として、上層用、下層用ともにオルガノポリシロキサン、EPDM及びEVAを用いている点は実施例1と同じとされているが、下層用ゴム成分の組成が若干変化している点及びアクリレート系多官能性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを配合していない点が実施例1と相違する。また、その他成分及びその配合量は、実施例1と同じとされている。
【0041】
比較例1は、ゴム成分として、上層用、下層用ともにオルガノポリシロキサンのみを100部用いた点が実施例1と相違し、その他成分及びその配合量は、実施例1と同じとされている。
【0042】
比較例2は、ゴム成分として、上層用、下層用ともにオルガノポリシロキサン70部及びEPDM30部を用いた点が実施例1と相違し、その他成分及びその配合量は、実施例1と同じとされている。
【0043】
比較例3は、ゴム成分として、上層用、下層用ともにオルガノポリシロキサン70部及びEVA30部を用いた点が実施例1と相違し、その他成分及びその配合量は、実施例1と同じとされている。
【0044】
以上のようにして調製したゴム組成物は、ロール混練機で混練し、上層用ゴム組成物は2mm厚のシート状に、下層用ゴム組成物は5mm厚のシート状にそれぞれ成形し、これら2枚のシートを重ね合せて金型に入れ、熱プレス(圧力7〜20MPaで170℃×20min)で加硫成形を行なった。
【0045】
加硫後のゴム材は、塩化ナトリウムとグリコーゲンが完全に洗い流されるまで水洗した後、脱水乾燥して上層と下層とが一体化した2層構造を有するレーザー加工用の多孔性シリコーンゴム印材を得た。
【0046】
得られた各多孔性シリコーンゴム印材は、混練性、レーザー加工性、ゴム印としての捺印性の各項目について評価を行なった。以下、項目ごとに評価内容を説明する。
【0047】
[混練性について]
ゴム組成物をロール混練機で混練したときに、目視でゴム組成物が均一に混練できたと認められるまでに要した時間を、比較例1の時間を1として示す。1よりも小さいほど、混練性が良好であることを表わしている。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 2004352830
【0049】
[レーザー加工性について]
実施例1〜2及び比較例1〜3で得られたゴム印材に加えて、比較例4として一般のアクリロニトリルブタジエンラバー(NBR)製ゴム印材を用い、以下の手順でゴム印材の上層表面にレーザー彫刻を行なった。
【0050】
まず、写植機で版下を作成し、それをスキャナーでスキャニングしてデータ化、あるいはコンピューターにて組版して版下をデータ化する。次に、ゴム印材の上層にレーザービームを照射してデータ化したものを彫刻して行く。レーザー光として好ましくは、炭酸ガスレーザーが使用され、出力は12〜100W、スポットの大きさは40〜100μが好ましい。
【0051】
レーザー加工性は、レーザー加工時の異臭発生の有無、レーザー加工後の燃えカスの有無、レーザー加工後のゴム印材の異臭の有無、印材のべたつきの有無によって評価した。結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 2004352830
【0053】
[捺印性について]
レーザー加工を施したゴム印にインクを浸透させ、ホルダーに装填し、初期捺印性、捺印性、連続捺印性について評価を行なった。各項目は以下基準にしたがって評価した。結果を表4に示す。
・初期捺印性:製印直後のゴム印の捺印性について、以下の基準に従って評価
Figure 2004352830
・捺印性 :1万回捺印後の捺印性について評価、基準は初期捺印性と同じ
・連続捺印性:2秒間隔で100回捺印した後の鮮明度、べたつき感及びインクの滲みを評価、基準は初期捺印性と同じ
【0054】
【表4】
Figure 2004352830
【0055】
[評価結果]
表2に示すように、ゴム成分としてオルガノポリシロキサンのみを使用した比較例1は、混練時間が最も長くかかり、混練性が低いことが判る。また、ゴム成分としてオルガノポリシロキサンにEPDM又はEVAの一方だけを添加した比較例2、3は、比較例1ほど混練時間は長くないものの、余り時間短縮されていない。
【0056】
一方、ゴム成分としてオルガノポリシロキサンにEPDMおよびEVAの両方を添加した実施例1、2は、比較例1〜3に比べて混練時間が大幅に短縮され、生産効率が高いことが判る。
【0057】
レーザー加工性のうち、レーザー加工時の異臭及び加工後の印材としての異臭については、ゴム成分としてオルガノポリシロキサンのみを使用した比較例1が、最も良い結果(異臭が知覚されないレベル)を示したが、燃えカスが一部残った。
【0058】
これに対して、オルガノポリシロキサンにEPDM及び/又はEVAを併用した実施例1、2及び比較例2、3はいずれもレーザー加工時の異臭は殆ど知覚されないレベルであり、しかも燃えカスも残らないという良好な結果が得られた。これは、オルガノポリシロキサンに、燃焼しやすいEPDMやEVAが分散することで、燃えカスが塊になりにくいためと考えられた。
【0059】
一方、ゴム成分としてNBRを用いた比較例4は、燃えカスは残らないものの、加工後の印材のべたつきが見られ、捺印感覚に劣るとともに、レーザー加工時の異臭及び加工後の異臭、の両方ともあり、脱臭機能を備えた大掛かりな排気設備が必要であることが確認された。
【0060】
ゴム印としての捺印性能(初期捺印性、捺印及び連続捺印性)については、実施例1、2に比べ、比較例1〜3が劣る結果となった。これは、ゴム成分としてオルガノポリシロキサンにEPDM及びEVAを併用する効果として、混練性が向上するだけでなく、ミクロ的にも水溶性粉末の分散性が向上し、均一な連続気泡を有する多孔性シリコーンゴム材が得られた結果と考えられた。
【0061】
特に、実施例1については、実施例2やNBR製ゴム印(比較例4)よりも優れた捺印性能を示している。これは、アクリレート系多官能性モノマーを配合したことにより、架橋密度が高くなり、多孔性ながらゴムの強度が向上したためと考えられる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ゴム成分として反応性オルガノポリシロキサンにEPDM及びEVAを併用したため、ゴム組成物の混練性が良好で、しかもレーザー加工時の異臭発生が抑制された多孔性シリコーンゴム材を得ることができる。
【0063】
また、上記ゴム組成物に架橋剤としてアクリレート系多官能性モノマーを配合すれば、水溶性粉末を溶解除去する前後の寸法変化の小さい多孔性シリコーンゴム材を得ることができる。

Claims (7)

  1. 反応性オルガノポリシロキサンと、水溶性粉末とを含有するゴム組成物を硬化させた後に水溶性粉末を溶解除去して得られる多孔性シリコーンゴム材であって、前記ゴム組成物に、エチレン−プロピレン系共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合したことを特徴とする多孔性シリコーンゴム材。
  2. 反応性オルガノポリシロキサンと、水溶性塩とを含有するゴム組成物を硬化させた後に水溶性粉末を溶解除去して得られる多孔性シリコーンゴム材であって、前記ゴム組成物にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアクリレート系多官能性モノマーを配合したことを特徴とする多孔性シリコーンゴム材。
  3. 前記ゴム組成物において、ゴム成分の総含有量を100重量%としたときに、反応性オルガノポリシロキサン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量が、それぞれ45〜80重量%、6〜40重量%及び6〜40重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔性シリコーンゴム材。
  4. 前記アクリレート系多官能性モノマーが、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2又は3記載の多孔性シリコーンゴム材。
  5. 前記反応性オルガノポリシロキサンが、アルケニル基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性シリコーンゴム材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性シリコーンゴム材の表面にレーザー加工を施すことを特徴とするシリコーンゴム印材。
  7. 反応性オルガノポリシロキサンと、水溶性粉末とを含有するゴム組成物を混練し、該混練物を硬化させた後に水溶性粉末を溶解除去する多孔性シリコーンゴム材の製造方法であって、前記ゴム組成物を混練する際に、ゴム組成物にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を添加することを特徴とする多孔性シリコーンゴムの製造方法。
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