JP2004351708A - インク吐出タイミング制御装置及びインク吐出タイミング制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数回の周期に亘って次回周期にインク吐出パルスがはみ出してしまうといった状況を回避して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるインク吐出タイミング制御装置及びインク吐出タイミング制御方法を提供する。
【解決手段】前回の周期時間(Tm−1)中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間(Tm)内にはみ出す状況が発生したとき、今回の周期(Tm)において生成されるインク吐出パルス(「1」〜「n」)の時間間隔を強制的に最小間隔(Tmin)に設定することによって、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現する。
【選択図】 図6
【解決手段】前回の周期時間(Tm−1)中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間(Tm)内にはみ出す状況が発生したとき、今回の周期(Tm)において生成されるインク吐出パルス(「1」〜「n」)の時間間隔を強制的に最小間隔(Tmin)に設定することによって、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット画像形成機においてインク滴の吐出タイミングを決定するためのインク吐出タイミング制御装置及びその装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法に係る。特に、本発明は、インク吐出タイミングの適正化を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタにおける画像形成動作としては、先ず、給紙トレイに収容されている複数枚の用紙のうち1枚を搬送路に送り出し、この用紙を、搬送路を経て画像形成部に供給する。そして、この画像形成部において用紙表面に各色のインク滴を吐出することで画像データに応じた所定のカラー画像またはモノクロ画像を形成し、その後、この用紙を排出トレイに排紙するようになっている。
【0003】
また、上記画像形成部には、各色のインクを貯留するインクカートリッジを搭載したキャリッジが配設されており、このキャリッジの走査動作を行いながら、インクカートリッジからインクヘッドに供給された各色インクによって上記画像形成動作を行うようになっている。上記インクカートリッジに貯留されているインクとしては、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色が一般的であるが、最近では、各色毎に濃度の異なるインクを使用することによって階調性を高めるものも普及しつつある。
【0004】
ところで、この種のインクジェットプリンタにあっては、インクヘッドの各インクノズルからのインク滴吐出タイミングは、エンコードパルスを基準にして決定される。具体的には、例えばキャリッジの走査方向に沿ってピッチマーク(白黒の縞模様のマーク)が描かれたタイミングフェンスを配置する。一方、キャリッジにはこのタイミングフェンスのピッチマークを検出可能なエンコーダを備えさせる。
【0005】
そして、このエンコーダによってタイミングフェンス上のピッチマークを検出し、これによってエンコーダから出力されるパルス波形に基づいてインクノズルからのインク滴の吐出タイミングが制御される。
【0006】
また、タイミングフェンスのピッチマーク間隔を狭くするには限界があるので、この種のインク吐出タイミング制御装置では、通常は、プリンタの分解能よりも低い分解能のエンコーダを用い、且つ前回のエンコードパルス波形の周期時間(エンコードパルス波形の立ち上がり時点から次のエンコードパルス波形の立ち上がり時点までの時間)を利用して、この周期時間をn等分し、これによって、今回のインク吐出パルス間隔を設定することで所望の解像度が得られるようにしている。
【0007】
例えば、エンコードパルス波形の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に32個のインク吐出パルスを形成すれば、エンコーダの分解能に対して32倍の分解能でインク吐出動作が行えることになる。つまり、エンコーダの分解能が50dpi(dot per inch )の場合、1600dpiの画像が形成できることになる。
【0008】
図12(a)は、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0009】
この図に示すように、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔:図中のTp)は、Tm−1回目の周期時間長さをn等分(Tm−1/n)して生成され、この図の場合、Tm回目の周期時間内ではn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置され、画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。これは、Tm−1回目の周期時間長さとTm回目の周期時間長さとが略一致していたためである。つまり、キャリッジの走査速度が大幅に変動することがなく、Tm−1回目の周期時間長さに基づくインク吐出パルスのパルス間隔(Tp)の設定が良好になされたためである。
【0010】
同様に、この図では、Tm回目の周期時間長さとTm+1回目の周期時間長さとが略一致しているため、Tm+1回目の周期時間内ではn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置され、このTm+1回目の周期においても画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。
【0011】
しかしながら、キャリッジの走査速度は、常に一定であるとは限らず、様々な要因によってその速度は変動(加減速)する。例えば、駆動機構の経年変化、温度や湿度の影響によってキャリッジの走査速度は変化する。
【0012】
そして、特に、キャリッジの走査速度が加速していくといった現象が生じている場合、前回の周期時間の長さに比べて今回の周期時間の長さが短くなるため、この今回の周期時間中に所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスを収めることができないといった状況を招くことがある。
【0013】
この点に鑑みられたものとして下記の特許文献1がある。この特許文献1では、前回の周期時間をn分割してインク吐出タイミングを生成する場合に、前回の周期に係る実際の記録処理の終了が今回の周期までくい込んだ際には、その分だけ今回の記録開始(インク吐出の開始)を遅らせると共に、今回のインク吐出時間間隔を短くする補正を行うようにしている。以下に具体的に説明する。
【0014】
図12(b)は、あるインクノズルに対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。この波形は、キャリッジの走査速度が一時的に加速した際におけるインク吐出パルスのパルス間隔の制御状態を示している。
【0015】
キャリッジの走査速度が一時的に加速した場合、この図に示すように、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができない状況になる。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔)が、Tm−1回目の周期のものよりも短く設定される。具体的には、Tm回目周期のエンコードパルスが立ち上がった後に、このTm回目の周期時間内に第1回目に発生すべきインク吐出パルス(Tm回目の周期中に「1」で示す第1吐出パルス)が立ち上がるまでの時間を「Δk」としたとき、このTm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「(Tm−1−Δk)/n」によって算出される。この図の場合、この時間間隔の補正によって、Tm回目の周期時間内に第n番目のインク吐出パルスを収めることができており、次回(Tm+1回目)の周期にインク吐出パルスがはみ出してしまうことはない。このため、次回(Tm+1回目)の周期のエンコードパルスが立ち上がった時点で、このTm+1回目の周期時間内に第1回目に発生すべきインク吐出パルス(Tm+1回目の周期時間中に「1」で示す第1吐出パルス)が立ち上がっており、適切なタイミングでのインク吐出動作が復帰している。
【0016】
尚、この場合、Tm+1回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「Tm/n」によって算出される。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−33739号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術にあっては、常に前回の周期時間を基準にして今回周期におけるインク吐出パルスタイミングを設定しているため、キャリッジの走査速度の加速状態が継続している状況にあっては、複数回の周期に亘ってインク吐出パルスがはみ出した状態(適切なタイミングでのインク吐出動作の復帰が長時間に亘って行われない状態)が続いてしまうことがある。
【0019】
図12(c)は、キャリッジの走査速度の加速状態が連続したために、2回の周期(Tm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した状態を示している。つまり、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「(Tm−1−Δkm)/n」によって算出されるが、キャリッジの走査速度の加速状態が継続している状況では、この時間間隔の補正では、Tm回目の周期時間内に第n番目のインク吐出パルスを収めることができず、この第n番目のインク吐出パルスがTm+1回目の周期にはみ出している。
【0020】
この図では、2回の周期に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した状態を示しているが、キャリッジの走査速度の加速状態が長期に亘って継続した場合には、多数回の周期においてインク吐出パルスが次回の周期にはみ出すといった状況を引き起こしてしまう。
【0021】
このような状況では、インク吐出タイミングの適正化を図ることができず、形成される画像の品位の劣化を招いてしまうことになる。
【0022】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数回の周期に亘って次回周期にインク吐出パルスがはみ出してしまうといった状況を回避して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるインク吐出タイミング制御装置及びインク吐出タイミング制御方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、前回の周期時間中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間内にはみ出す状況が発生したとき、つまり、所定回数(n回)のインク吐出パルスの生成が完了する前に、ヘッド位置パルス信号中の基準位置が検出された場合(エンコードパルス波形が立ち上がった場合)、今回の周期において生成されるインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定する。これにより、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるようにしている。
【0024】
−解決手段−
具体的には、インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置を前提とする。このインク吐出タイミング制御装置に対し、インクヘッド制御手段、ヘッド位置発信手段、吐出タイミング算出手段、吐出タイミング変更手段を備えさせている。インクヘッド制御手段は、インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とする。ヘッド位置発信手段は、インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信する。吐出タイミング算出手段は、ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する。吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する。
【0025】
この特定事項により、先ず、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において既に生成が完了しているとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出していないときには、吐出タイミング算出手段により算出されたインク吐出タイミング信号によってインク滴の吐出動作が実行される。つまり、「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成し、このインク吐出タイミング信号に基づいたインク滴の吐出動作が実行される。
【0026】
一方、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルする。そして、吐出タイミング変更手段により、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔が、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定される。このようにして、「前回周期時間」の長さを考慮することなく、可能な限り短時間のインク吐出タイミングに設定する。これにより、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0027】
上記吐出タイミング変更手段によるインク吐出タイミング信号の生成タイミングとして具体的には以下の構成が掲げられる。つまり、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、その第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するように吐出タイミング変更手段を構成している。
【0028】
この特定事項により、「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号に基づくインク滴の吐出動作を実行することができるので、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、画像の違和感を防止することができる。
【0029】
上述した如くインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔としたにも拘わらず、適正なタイミングによるインク吐出動作の復帰が行われない場合の対策として以下の構成が掲げられる。つまり、吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えさせている。
【0030】
この特定事項により、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。例えば、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させたり、エラー発生時に直ちに画像形成動作を中止する等といった処理である。尚、エラー信号発信手段によるエラー発生の形態としては、画像情報を発信したホスト装置への通知や、インクジェット画像形成機の表示パネル上への表示や、音声による警告等が掲げられる。
【0031】
以上の解決手段では、「今回周期」にはみ出した「前回周期」のインク吐出パルスが1個でも発生すれば、インク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定していたが、このはみ出し個数が複数個であった場合にインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定するようにしてもよい。以下、この場合の具体構成について説明する。
【0032】
先ず、インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置を前提とする。このインク吐出タイミング制御装置に対し、インクヘッド制御手段、ヘッド位置発信手段、吐出タイミング算出手段、吐出タイミング変更手段を備えさせている。インクヘッド制御手段は、インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とする。ヘッド位置発信手段は、インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信する。吐出タイミング算出手段は、ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する。吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する。
【0033】
この特定事項によっても上述した解決手段の場合と同様に、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となる。つまり、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に複数個はみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルする。そして、吐出タイミング変更手段により、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔が、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定される。このようにして、「前回周期時間」の長さを考慮することなく、可能な限り短時間のインク吐出タイミングに設定する。これにより、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0034】
また、本解決手段の場合、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの1個のインク吐出タイミング信号(第n番目のインク吐出タイミング信号)のみが、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に1個のみはみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作を継続することになる。これにより、インク吐出タイミング信号の時間間隔が最小間隔として強制的に設定される状況が頻繁に発生してしまったり、このインク吐出タイミング信号の時間間隔が最適値よりも短くなってしまうといった状況の発生を抑制できる。
【0035】
このように複数個のインク吐出タイミング信号がはみ出しているときにインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔とする場合においても、上記吐出タイミング変更手段によるインク吐出タイミング信号の生成タイミングとしては以下のものが掲げられる。
【0036】
つまり、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するように吐出タイミング変更手段を構成している。
【0037】
この特定事項により、上述の場合と同様に、「前回周期」におけるn個全てのインク吐出タイミング信号に基づくインク滴の吐出動作を実行することができるので、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、画像の違和感を防止することができる。
【0038】
また、この解決手段においても、上述と同様のエラー信号発信手段を備えさせることが可能である。つまり、吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えさせるものである。
【0039】
この特定事項により、上述の場合と同様に、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。例えば、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させたり、エラー発生時に直ちに画像形成動作を中止する等といった処理である。
【0040】
上記エラー信号発信手段を備えさせた場合において、エラー発生時の具体的な処理を行うための構成としては以下のものが掲げられる。つまり、エラー信号発信手段がエラー発生信号を発信した際、インクヘッド制御手段によるインク滴の吐出動作を禁止する構成としている。
【0041】
つまり、エラー発生時に形成される印刷物は不良品であるとして、エラー発生後には直ちにインク滴の吐出動作を中止する。これにより、無駄なインクの浪費を回避することができ、画像形成機のランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0042】
尚、上述した各解決手段に係るインク吐出タイミング制御装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するインク吐出タイミング制御方法である。
【0043】
また、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するインク吐出タイミング制御方法である。
【0044】
これらインク吐出タイミング制御方法によっても、上述したインク吐出タイミング制御装置に係る解決手段の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、インクジェット画像形成機としてカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0046】
(第1実施形態)
−カラーインクジェットプリンタの全体構成の説明−
図1は、本形態に係るカラーインクジェットプリンタ1の外観(カバー11が開放された状態)を示す斜視図である。また、図2は、カラーインクジェットプリンタ1の内部構成を示す側面図である。
【0047】
これらの図に示すように、本形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離部3、搬送部4、画像形成部5及び排出部6を備えている。
【0048】
給紙部2は、略鉛直方向に延びる給紙トレイ21を備えており、印刷開始時に給紙トレイ21内の記録媒体としての記録用紙Pを分離部3に向けて搬送するようになっている。また、上記給紙トレイ21は、印刷を行わない際には、記録用紙Pの保管部として機能する。
【0049】
分離部3は、給紙部2から供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ31及び分離器32を備えている。分離器32では、パッド部分(記録用紙Pとの接触部分)と記録用紙Pとの摩擦力が、記録用紙P,P同士の間の摩擦力より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ31では、この給紙ローラ31と記録用紙Pとの摩擦力が、分離器32のパッドと記録用紙Pとの摩擦力や、記録用紙P,P同士の間の摩擦力よりも大きくなるように設定されている。そのため、給紙部2から複数枚の記録用紙P,P,…が取り出されて分離部3まで送られてきたとしても、給紙ローラ31によって、これら複数の記録用紙P,P,…を分離し、最も上側の一枚の記録用紙Pのみを搬送部4に送ることができるようになっている。
【0050】
搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて搬送するためのものであり、ガイド板41及び搬送ローラ対42を備えている。搬送ローラ対42は、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間に送り込む際に、記録ヘッド52からのインク滴が記録用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、記録用紙Pの搬送を調整する部材である。
【0051】
画像形成部5は、搬送部4の搬送ローラ対42から供給される記録用紙Pへ印刷を行うためのものであり、複数のインクカートリッジ81〜84、記録ヘッド52、これらインクカートリッジ81〜84及び記録ヘッド52を搭載したキャリッジ51、このキャリッジ51を主走査方向に案内するためのガイドシャフト54、印刷時に記録用紙Pの支持台となる上記プラテン53を備えている。このプラテン53により、画像形成部5に搬送されてきた記録用紙Pの平坦性の維持や記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔の適正化が行われる。
【0052】
また、上記インクカートリッジ81〜84は、Bk(ブラック),M(マゼンタ),Y(イエロー),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ51上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。また、本形態では、各インクカートリッジ81〜84のうちM,Y,Cの各カラーインクカートリッジ82〜84に比べてBkインクカートリッジ81が大型のものとなっている。尚、インクカートリッジ81〜84としては、上記4色に限らず、フォトインクを貯留するインクカートリッジが備えられていてもよい。
【0053】
尚、上記記録ヘッド52としては、圧電素子などの電気機械変換素子で液室(インク流路)壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型のもの、或いは発熱抵抗体による膜沸騰でバブル生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができる。
【0054】
排出部6は、印刷が行われた記録用紙Pを回収する部分であり、記録用紙P上のインクを早期乾燥させるための図示しないインク乾燥部、記録用紙Pを排出方向へ搬送するための排出ローラ対61、この排出ローラ対61により搬送された記録用紙Pを受ける排出トレイ62を備えている。
【0055】
尚、図1のインクジェットプリンタ1の外観に示すように、プリンタ前面には、各インクカートリッジ81〜84のうち少なくとも一つのインク残量が所定量を下回った場合にそれを表示するインク交換LED(Light Emitting Diode)12と、インクカートリッジ81〜84を手動で取り外す際に押される解除スイッチ13とが設けられている。
【0056】
−画像形成動作−
上記の構成において、インクジェットプリンタ1は、次のような動作によって印刷を行う。先ず、図示しないコンピュータ等の外部端末から画像情報に基づく印刷要求がインクジェットプリンタ1に対してなされる。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ1は、給紙トレイ21上の記録用紙Pを給紙部2より搬出する。次に、搬出された記録用紙Pは、給紙ローラ31によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。搬送部4では、搬送ローラ対42によって、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間へと送る。
【0057】
そして、画像形成部5では、ホームポジションに位置していた記録ヘッド52が、このホームポジションをスタート位置として、印刷要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置に向けてガイドシャフト54に沿って移動し、このとき、記録ヘッド52のインクノズルよりプラテン53上の記録用紙Pへ、画像情報に対応してインク滴を吹き付ける。この際、記録用紙Pはプラテン53上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ51は、ガイドシャフト54に案内されて、主走査方向(図1におけるD2方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテン53上で副走査方向(図1におけるD1方向)に一定の幅だけ移動する。この際、片方向印刷タイプ(一方向の走査時にのみ画像形成を行うタイプ)の場合は、この記録用紙Pの搬送の間にキャリッジ51がホームポジション側に復帰して次の走査に備え、記録用紙Pの搬送の後にキャリッジ51がホームポジション側から走査を開始して画像形成を行う。一方、双方向印刷タイプ(双方向の走査で画像形成を行うタイプ)の場合は、上記停止位置にキャリッジ51が止まり、記録用紙Pの搬送の後にキャリッジ51がホームポジション側に向けて走査を開始して画像形成を行う。
【0058】
このような印刷走査を繰り返し行うことで、記録用紙Pの全面に印刷がなされる。このようにして印刷が行われた記録用紙Pは、インク乾燥部を経て排出ローラ対61により排出トレイ62に排出される。以上の動作により、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0059】
−制御部の説明−
以上の各部の動作は制御部によって制御される。以下、この制御部について説明する。図3は、本インクジェットプリンタ1の制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は、情報処理装置であるパーソナルコンピュータ等のホスト装置100との間でプリンタケーブル或いはネットワークを介して各種情報を送受するI/F91を備えており、このI/F91、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、モータ制御回路94、DMA(Direct Memory Access)95が通信バスを介して通信可能となっている。
【0060】
CPU90は、本インクジェットプリンタ1を統括的に制御するものである。ROM92には、印刷プロセスに必要な各種制御プログラムが格納されている。RAM93は、画像データのビットマップ展開などの各種ワークメモリとして使用される。
【0061】
モータ制御回路94は、画像データと共に送信されてくる各駆動系の制御信号に基づいて、主走査モータや副走査モータ等の各種駆動モータ96を駆動制御して、キャリッジ51を主走査方向に往復運動させると共に記録用紙Pを副走査方向に搬送する。また、このモータ制御回路94は、記録ヘッド52のメンテナンス動作時に図示しないメンテナンスステーションの吸引モータも駆動制御する。
【0062】
DMA95は、CPU90を介さずにRAM93にアクセスするためのものであり、これを用いてCPU90の負担を減らし、処理効率を高めることができるようにしている。つまり、このDMA95は、CPU90を介さずにインクヘッド制御手段としてのヘッド制御回路97に対する制御動作を行い、RAM93に記録された印刷データをヘッド制御回路97に送信する。この印刷データを受信したヘッド制御回路97は、その印刷データに基づいて記録ヘッド52に印刷動作を実行させる。つまり、記録ヘッド52は、上記キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送と連繋して、ブラックヘッドやカラーヘッドに設けられた複数の圧電素子をインク色毎に区別して駆動し、各インクノズルからのインク滴の吐出制御を行い、記録用紙P上に所定の画像形成を行う。
【0063】
そして、本形態の特徴として、本制御部には、エンコーダ98からのパルス信号を受信して、上記ヘッド制御回路97による記録ヘッド52の制御を行わせる吐出タイミング調整手段としてのタイミング生成回路99を備えている。このタイミング生成回路99の詳細については後述する。
【0064】
上記エンコーダ98は、キャリッジ51の走査方向に沿ってピッチマークが描かれた図示しないタイミングフェンスに対向して配置され、このタイミングフェンスのピッチマークを検出して、そのピッチマークの白黒の反転に対応したパルス波形を出力するようになっている。つまり、このエンコーダ98は、記録ヘッド52の走査方向の移動量に応じた周期的なパルス信号(本発明でいうヘッド位置信号)を発信するヘッド位置発信手段として構成されている。
【0065】
また、本形態のものでは、1つのエンコードパルス信号(エンコードパルス波形)の立ち上がり時点とその後の1つのエンコードパルス信号の立ち上がり時点との間にn個(例えば、n=32)のインク吐出パルスを形成するようになっており、このインク吐出パルスに対応してインク滴の吐出動作が実行されるようになっている。より具体的には、上記エンコーダ98の分解能は50dpiとなっており、上記nを「32」としたことによって1600dpiの画像が形成できるようになっている。
【0066】
次に、上記タイミング生成回路99について説明する。図4は、本タイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。
【0067】
このタイミング生成回路99は、上記エンコーダ98からのパルス波形(記録ヘッド位置信号)を受信する記録ヘッド位置信号入力部99aを備えている。この記録ヘッド位置信号入力部99aからの発信信号は、位置信号間隔計測カウンタ99b及び周期補正検出部99cに入力される。
【0068】
上記位置信号間隔計測カウンタ99bは、記録ヘッド位置信号入力部99aからの発信信号を受信した時点からカウントを開始し、これによってエンコーダ98からのパルス波形が立ち上がってからの経過時間が計測できるようになっている。周期補正検出部99cは、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了しているか否かを判定する部分であって、このインク吐出パルスの生成が完了していないときには、後述するインク吐出パルスタイミングの最小値(Tmin)を使用したインク吐出パルスの生成を指示するようになっている。
【0069】
また、本タイミング生成回路99は、上記位置信号間隔計測カウンタ99b及び周期補正検出部99cからの出力信号を受ける周期生成部(吐出タイミング算出手段)99dを備えている。この周期生成部99dは、制御対象である今回の周期(エンコードパルス波形が立ち上がってから次回のエンコードパルス波形が立ち上がるまでの時間)におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔)を、上記位置信号間隔計測カウンタ99bによって計測された前回の周期時間長さを、n等分することによって算出し、その算出信号を記録タイミング信号生成部(吐出タイミング変更手段)99eに出力するようになっている。
【0070】
また、本形態の特徴として、本タイミング生成回路99には、周期最小値記憶部99fが設けられている。この周期最小値記憶部99fは、インク吐出パルスタイミングの時間間隔を最小限とする時間(Tmin)を記憶している。この最小時間(Tmin)は、記録ヘッド52の性能によって決定される値であって、初期設定される値であってもよいし、ホスト装置100からの入力によって設定される値であってもよい。そして、この周期最小値記憶部99fに記憶されている最小時間(Tmin)は、必要に応じて周期生成部99dを経て記録タイミング信号生成部99eに出力するようになっている。
【0071】
この記録タイミング信号生成部99eでは、上記周期生成部99dにおいて算出されたインク吐出パルスタイミングと、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)とのうち、何れを、今回周期におけるインク吐出パルスタイミングとして採用するかを選択する。具体的には、上記周期補正検出部99cからの出力信号を受け、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了している場合には、周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングを使用し、そのタイミングでインク吐出動作を実行するように記録タイミング信号を生成する。
【0072】
一方、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了していない場合、つまり、前回周期のインク吐出パルスが今回周期まではみ出してしまう状況の場合には、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)を使用し、そのタイミングでインク吐出動作を実行するように記録タイミング信号を生成する。また、この場合、前回周期のインク吐出パルスのうちの第n番目のインク吐出パルスが生成された後に、上記タイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するようにしている。
【0073】
このようにして記録タイミング信号生成部99eによって生成されたインク吐出パルスタイミング信号がヘッド制御回路97に送信されるようになっている。
【0074】
−インク吐出タイミング設定動作の説明−
次に、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作について図5のフローチャートに沿って説明する。
【0075】
先ず、記録動作(画像形成動作)が開始されて、エンコーダ98からのエンコード入力がなされると(ステップST1でYES判定)、ステップST2に移って上述した印字(画像形成)動作を開始する。これと同時に、上記位置信号間隔計測カウンタ99bがカウントを開始する。これにより、上記周期生成部99dによるインク吐出パルスが順次生成されていく。
【0076】
このようにしてインク吐出パルスが生成されている際、ステップST3において、エンコーダ98からの次回のエンコード入力の有無を判定する。そして、次回のエンコード入力があった(ステップST3でYES判定された)際には、ステップST4において、1ライン分の記録が終了したか否かを判定し、ここでYES判定されると、その1ラインについての記録動作は終了する。その後、次の1ラインについての記録動作が開始されることになる。
【0077】
一方、ステップST4でNO判定された(未だ1ライン分の記録が終了していない)場合には、本周期における記録は終了しているか否か、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成は完了しているか否かが判定される(ステップST5)。ここでYESに判定された場合には、ステップST6において、上記周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミング、つまり、前回の周期時間長さをn等分することによって算出されたインク吐出パルスタイミングによってインク吐出動作を実行するように設定する。また、この時点で、位置信号間隔計測カウンタ99bのカウント値がクリアされてステップST2に戻る。
【0078】
一方、ステップST5においてNO判定された場合、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成が完了しておらず、少なくとも一つのインク吐出パルスが次の周期にはみ出している場合には、ステップST7に移る。
【0079】
このステップST7では、位置信号間隔計測カウンタ99bのカウント値がクリアされ、カウントが再開される。そして、ステップST8においては、本周期における記録は終了しているか否か、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成は完了したか否かが判定される。ここでYESに判定された場合には、ステップST9に移り、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。その後、ステップST3に戻って上記の動作を繰り返す。
【0080】
図6は、本形態において、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0081】
図6(a)は、各周期の時間長さが略一致しており、上記周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングによりインク吐出パルスが形成された状態である。つまり、この場合には、各周期時間内にn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置されており、画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によるインク吐出動作を実行する必要のない状態である。
【0082】
一方、図6(b)及び図6(c)は、キャリッジの走査速度が一時的に加速したことが原因で、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができなかった状況を示している。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングとしては、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)が採用されることになる。つまり、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を上記最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成している。
【0083】
この図6(b)及び図6(c)に示すものでは、Tm+1回目の周期の開始時におけるインク吐出タイミング信号のはみ出し状態は解消されており、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となっている。
【0084】
尚、このTm+1回目の周期にあっては、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を再開させ、「Tm/n」によって算出されたインク吐出パルスタイミングでインク吐出パルスが形成されることになる。
【0085】
以上説明したように、本形態では、「今回のヘッド位置信号(Tm回目周期のエンコーダパルスの立ち上がり)」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定している。このため、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本形態は、タイミング生成回路99の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0087】
図7は、本第2実施形態に係るタイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。本形態に係るタイミング生成回路99にあっては、上記第1実施形態に係るものに対してエラー検知部99gが付加されている。この図7では、第1実施形態においてタイミング生成回路99に備えられていた各部と同一部については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
このエラー検知部99gは、連続する2回の周期(例えばTm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出したことを検知可能となっており、これを検知した際にエラー発生信号を発信するようになっている。このエラー発生時の動作として具体的には、画像形成動作を停止させると共に、ホスト装置へのエラー通知を行うようにしている。
【0089】
図8は、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作を示すフローチャートである。ここでは、上記図5のフローチャートを用いて説明した動作と同一の動作については同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0090】
先ず、ステップST11において、エラーフラグを「0」にセットしておき、上記ステップST1〜ステップST5と同様の動作を実行する。
【0091】
そして、ステップST5においてYESに判定された場合には、ステップST12に移ってエラーフラグを「0」にセット(維持)した後、ステップST6に移る。
【0092】
一方、ステップST5においてNO判定された場合、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成が完了しておらず、少なくとも一つのインク吐出パルスが次の周期にはみ出している場合には、ステップST13に移って、エラーフラグが「1」にセットされているか否かを判定する。つまり、前回周期においてそれ以前の周期(前々回周期)のインク吐出パルスがはみ出していたためにエラーフラグが「1」にセットされていたか否かを判定する。ここで、エラーフラグが「1」にセットされておらず、NO判定された場合には、ステップST7〜ステップST9の動作に移る。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。
【0093】
一方、ステップST13の判定において、エラーフラグが「1」にセットされているYES判定された場合には、ステップST15に移り、「エラー発生時には画像形成動作を停止する」設定が予めなされているか否かを判定し、この設定がなされていないNO判定の場合にはステップST16に移ってホスト装置への通知を行ってステップST7以降の動作に移る。一方、ステップST15において、上記設定がなされているYES判定された場合には画像形成動作を停止する。
【0094】
このように、本形態では、連続する2回の周期に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した場合にはエラー判定を行って、ホスト装置100へのエラー通知または画像形成動作の停止を行うようにしている。
【0095】
ホスト装置100へのエラー通知を行うようにした場合には、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させることができる。
【0096】
一方、エラー発生時に画像形成動作を停止させるようにした場合には、無駄なインクの浪費を回避することができ、画像形成機のランニングコストの低廉化を図ることができる。尚、この場合、エラー発生に係る画像データをクリア(削除)してもよいが、印刷動作をリトライさせる場合にはこの画像データを保持しておく。
【0097】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本形態も、タイミング生成回路99の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0098】
図9は、本第3実施形態に係るタイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。本形態に係るタイミング生成回路99にあっては、上記第1実施形態に係るものに対して上記第2実施形態で説明したエラー検知部99g及び補正閾値設定部99hが付加されている。この図9では、第1実施形態及び第2実施形態においてタイミング生成回路99に備えられていた各部と同一部については同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
本形態では、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、上記周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成するようにしている。そして、上記補正閾値設定部99hは、この最小間隔(Tmin)によってインク吐出パルスを形成する制御に切り換えるためのインク吐出タイミング信号の「はみ出し個数」を設定するものである。この設定は、ホスト装置100からの入力によって設定される。たとえば、この設定個数を「2個」に設定した場合には、2個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号がはみ出した場合に、吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成することになる。尚、この個数は任意に設定可能である。
【0100】
図10は、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作を示すフローチャートである。ここでも、上記図5のフローチャートを用いて説明した動作と同一の動作については同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0101】
上記ステップST1〜ステップST8までの動作を行った後、ステップST20において、残り記録数(はみ出し個数)が所定記録数(補正閾値設定部99hにおいて設定された数)を越えているか否かを判定する。つまり、この設定数を「1」にしておけば、はみ出し個数が「2」以上になると、YES判定されることになる。このステップST20においてNO判定された場合にはステップST6に移って、周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングによってインク吐出パルスが形成される。
【0102】
一方、上記はみ出し個数が「2」以上であり、ステップST20においてYES判定された場合にはステップST9に移って、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。その後、ステップST3に戻って上記の動作を繰り返す。
【0103】
図11は、本形態において、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0104】
図11(a)及び図11(b)は、上記はみ出し個数が2個未満であるため、上記周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングによりインク吐出パルスが形成された状態である。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によるインク吐出動作を実行する必要のない状態である。
【0105】
一方、図11(c)は、キャリッジの走査速度が一時的に大きく加速したことが原因で、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができず、且つそのはみ出し個数が2個になった状況を示している。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングとしては、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)が採用されることになる。つまり、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を上記最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成している。
【0106】
この図11(c)に示すものでは、Tm+1回目の周期において、インク吐出タイミング信号のはみ出し状態は解消されており、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となっている。
【0107】
尚、このTm+1回目の周期にあっては、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を再開させ、「Tm/n」によって算出されたインク吐出パルスタイミングでインク吐出パルスが形成されることになる。
【0108】
以上説明したように、本形態では、「今回のヘッド位置信号(Tm回目周期のエンコーダパルスの立ち上がり)」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点(エンコーダパルスの立ち上がり時点)において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)の複数個が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定している。このため、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。また、本形態では、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの1個のインク吐出タイミング信号(第n番目のインク吐出タイミング信号)のみが、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に1個のみはみ出しているときには、上記周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を継続することになる。これにより、インク吐出タイミング信号の時間間隔が最小間隔として強制的に設定される状況が頻繁に発生してしまったり、このインク吐出タイミング信号の時間間隔が最適値よりも短くなってしまうといった状況(図6(b)のTm回目の周期の状態)の発生を抑制できる。
【0109】
−その他の実施形態−
上記各実施形態及び変形例では、カラーインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、モノクロタイプのインクジェットプリンタ(インクカートリッジを1つのみ搭載したもの)やインクジェットプロッタに適用することも可能である。
【0110】
また、上記各実施形態では、パルス信号の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に32個のインク吐出パルスを形成して1600dpiの画像が形成可能なインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限るものではなく、上記インク吐出パルスの個数及び解像度は任意に設定可能である。例えば、上記の構成において、パルス信号の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に16個のインク吐出パルスを形成すれば800dpiの画像が形成可能となる。
【0111】
また、上述した実施形態ではインクカートリッジ81〜84をキャリッジ51に搭載する所謂オンボードタイプのカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、インクカートリッジをキャリッジに搭載しない所謂オフボードタイプのカラーインクジェットプリンタに適用することも可能である。
【0112】
また、上記第2実施形態では、連続する2回の周期(Tm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出したときにエラー検知を行うようにしていた。本発明はこれに限らず、間欠的にインク吐出パルスのはみ出しが発生した場合や、所定の比率でインク吐出パルスのはみ出しが発生したとき(例えば連続する10回の周期のうち3回の周期でインク吐出パルスのはみ出しが発生したとき)にエラー検知を行うようにしてもよい。
【0113】
更に、上記周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)としては、周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングの範囲のうちの最小値として設定してもよいし、この周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングの範囲のうちの最小値よりもさらに小さい値としてもよい。
【0114】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、前回の周期時間中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間内にはみ出す状況が発生したとき、つまり、所定回数(n回)のインク吐出パルスの生成が完了する前に、ヘッド位置パルス信号中の基準位置が検出された場合(エンコードパルス波形が立ち上がった場合)、今回の周期において生成されるインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定することによって、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるようにしている。このため、複数回の周期に亘ってインク吐出パルスがはみ出した状態(適切なタイミングでのインク吐出動作の復帰が長時間に亘って行われない状態)が続いてしまうことを回避でき、インクヘッドの走査速度が大幅に変動する状況であっても、高品位の画像を形成することが可能になる。
【0115】
また、「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するようにした場合には、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、所望の画像を形成することができる。
【0116】
更に、インク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔としたにも拘わらず、適正なタイミングによるインク吐出動作の復帰が行われない場合にエラー発生信号を発信するようにした場合には、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図3】インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図6】第1実施形態に係るエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【図7】第2実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図9】第3実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図11】第3実施形態に係るエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【図12】従来例におけるエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成機)
52 記録ヘッド(インクヘッド)
97 ヘッド制御回路(インクヘッド制御手段)
98 エンコーダ(ヘッド位置発信手段)
99d 周期生成部(吐出タイミング算出手段)
99e 記録タイミング信号生成部(吐出タイミング変更手段)
P 記録用紙(記録媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット画像形成機においてインク滴の吐出タイミングを決定するためのインク吐出タイミング制御装置及びその装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法に係る。特に、本発明は、インク吐出タイミングの適正化を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタにおける画像形成動作としては、先ず、給紙トレイに収容されている複数枚の用紙のうち1枚を搬送路に送り出し、この用紙を、搬送路を経て画像形成部に供給する。そして、この画像形成部において用紙表面に各色のインク滴を吐出することで画像データに応じた所定のカラー画像またはモノクロ画像を形成し、その後、この用紙を排出トレイに排紙するようになっている。
【0003】
また、上記画像形成部には、各色のインクを貯留するインクカートリッジを搭載したキャリッジが配設されており、このキャリッジの走査動作を行いながら、インクカートリッジからインクヘッドに供給された各色インクによって上記画像形成動作を行うようになっている。上記インクカートリッジに貯留されているインクとしては、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色が一般的であるが、最近では、各色毎に濃度の異なるインクを使用することによって階調性を高めるものも普及しつつある。
【0004】
ところで、この種のインクジェットプリンタにあっては、インクヘッドの各インクノズルからのインク滴吐出タイミングは、エンコードパルスを基準にして決定される。具体的には、例えばキャリッジの走査方向に沿ってピッチマーク(白黒の縞模様のマーク)が描かれたタイミングフェンスを配置する。一方、キャリッジにはこのタイミングフェンスのピッチマークを検出可能なエンコーダを備えさせる。
【0005】
そして、このエンコーダによってタイミングフェンス上のピッチマークを検出し、これによってエンコーダから出力されるパルス波形に基づいてインクノズルからのインク滴の吐出タイミングが制御される。
【0006】
また、タイミングフェンスのピッチマーク間隔を狭くするには限界があるので、この種のインク吐出タイミング制御装置では、通常は、プリンタの分解能よりも低い分解能のエンコーダを用い、且つ前回のエンコードパルス波形の周期時間(エンコードパルス波形の立ち上がり時点から次のエンコードパルス波形の立ち上がり時点までの時間)を利用して、この周期時間をn等分し、これによって、今回のインク吐出パルス間隔を設定することで所望の解像度が得られるようにしている。
【0007】
例えば、エンコードパルス波形の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に32個のインク吐出パルスを形成すれば、エンコーダの分解能に対して32倍の分解能でインク吐出動作が行えることになる。つまり、エンコーダの分解能が50dpi(dot per inch )の場合、1600dpiの画像が形成できることになる。
【0008】
図12(a)は、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0009】
この図に示すように、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔:図中のTp)は、Tm−1回目の周期時間長さをn等分(Tm−1/n)して生成され、この図の場合、Tm回目の周期時間内ではn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置され、画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。これは、Tm−1回目の周期時間長さとTm回目の周期時間長さとが略一致していたためである。つまり、キャリッジの走査速度が大幅に変動することがなく、Tm−1回目の周期時間長さに基づくインク吐出パルスのパルス間隔(Tp)の設定が良好になされたためである。
【0010】
同様に、この図では、Tm回目の周期時間長さとTm+1回目の周期時間長さとが略一致しているため、Tm+1回目の周期時間内ではn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置され、このTm+1回目の周期においても画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。
【0011】
しかしながら、キャリッジの走査速度は、常に一定であるとは限らず、様々な要因によってその速度は変動(加減速)する。例えば、駆動機構の経年変化、温度や湿度の影響によってキャリッジの走査速度は変化する。
【0012】
そして、特に、キャリッジの走査速度が加速していくといった現象が生じている場合、前回の周期時間の長さに比べて今回の周期時間の長さが短くなるため、この今回の周期時間中に所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスを収めることができないといった状況を招くことがある。
【0013】
この点に鑑みられたものとして下記の特許文献1がある。この特許文献1では、前回の周期時間をn分割してインク吐出タイミングを生成する場合に、前回の周期に係る実際の記録処理の終了が今回の周期までくい込んだ際には、その分だけ今回の記録開始(インク吐出の開始)を遅らせると共に、今回のインク吐出時間間隔を短くする補正を行うようにしている。以下に具体的に説明する。
【0014】
図12(b)は、あるインクノズルに対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。この波形は、キャリッジの走査速度が一時的に加速した際におけるインク吐出パルスのパルス間隔の制御状態を示している。
【0015】
キャリッジの走査速度が一時的に加速した場合、この図に示すように、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができない状況になる。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔)が、Tm−1回目の周期のものよりも短く設定される。具体的には、Tm回目周期のエンコードパルスが立ち上がった後に、このTm回目の周期時間内に第1回目に発生すべきインク吐出パルス(Tm回目の周期中に「1」で示す第1吐出パルス)が立ち上がるまでの時間を「Δk」としたとき、このTm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「(Tm−1−Δk)/n」によって算出される。この図の場合、この時間間隔の補正によって、Tm回目の周期時間内に第n番目のインク吐出パルスを収めることができており、次回(Tm+1回目)の周期にインク吐出パルスがはみ出してしまうことはない。このため、次回(Tm+1回目)の周期のエンコードパルスが立ち上がった時点で、このTm+1回目の周期時間内に第1回目に発生すべきインク吐出パルス(Tm+1回目の周期時間中に「1」で示す第1吐出パルス)が立ち上がっており、適切なタイミングでのインク吐出動作が復帰している。
【0016】
尚、この場合、Tm+1回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「Tm/n」によって算出される。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−33739号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術にあっては、常に前回の周期時間を基準にして今回周期におけるインク吐出パルスタイミングを設定しているため、キャリッジの走査速度の加速状態が継続している状況にあっては、複数回の周期に亘ってインク吐出パルスがはみ出した状態(適切なタイミングでのインク吐出動作の復帰が長時間に亘って行われない状態)が続いてしまうことがある。
【0019】
図12(c)は、キャリッジの走査速度の加速状態が連続したために、2回の周期(Tm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した状態を示している。つまり、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングは、「(Tm−1−Δkm)/n」によって算出されるが、キャリッジの走査速度の加速状態が継続している状況では、この時間間隔の補正では、Tm回目の周期時間内に第n番目のインク吐出パルスを収めることができず、この第n番目のインク吐出パルスがTm+1回目の周期にはみ出している。
【0020】
この図では、2回の周期に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した状態を示しているが、キャリッジの走査速度の加速状態が長期に亘って継続した場合には、多数回の周期においてインク吐出パルスが次回の周期にはみ出すといった状況を引き起こしてしまう。
【0021】
このような状況では、インク吐出タイミングの適正化を図ることができず、形成される画像の品位の劣化を招いてしまうことになる。
【0022】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数回の周期に亘って次回周期にインク吐出パルスがはみ出してしまうといった状況を回避して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるインク吐出タイミング制御装置及びインク吐出タイミング制御方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、前回の周期時間中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間内にはみ出す状況が発生したとき、つまり、所定回数(n回)のインク吐出パルスの生成が完了する前に、ヘッド位置パルス信号中の基準位置が検出された場合(エンコードパルス波形が立ち上がった場合)、今回の周期において生成されるインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定する。これにより、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるようにしている。
【0024】
−解決手段−
具体的には、インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置を前提とする。このインク吐出タイミング制御装置に対し、インクヘッド制御手段、ヘッド位置発信手段、吐出タイミング算出手段、吐出タイミング変更手段を備えさせている。インクヘッド制御手段は、インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とする。ヘッド位置発信手段は、インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信する。吐出タイミング算出手段は、ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する。吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する。
【0025】
この特定事項により、先ず、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において既に生成が完了しているとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出していないときには、吐出タイミング算出手段により算出されたインク吐出タイミング信号によってインク滴の吐出動作が実行される。つまり、「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成し、このインク吐出タイミング信号に基づいたインク滴の吐出動作が実行される。
【0026】
一方、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルする。そして、吐出タイミング変更手段により、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔が、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定される。このようにして、「前回周期時間」の長さを考慮することなく、可能な限り短時間のインク吐出タイミングに設定する。これにより、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0027】
上記吐出タイミング変更手段によるインク吐出タイミング信号の生成タイミングとして具体的には以下の構成が掲げられる。つまり、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、その第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するように吐出タイミング変更手段を構成している。
【0028】
この特定事項により、「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号に基づくインク滴の吐出動作を実行することができるので、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、画像の違和感を防止することができる。
【0029】
上述した如くインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔としたにも拘わらず、適正なタイミングによるインク吐出動作の復帰が行われない場合の対策として以下の構成が掲げられる。つまり、吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えさせている。
【0030】
この特定事項により、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。例えば、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させたり、エラー発生時に直ちに画像形成動作を中止する等といった処理である。尚、エラー信号発信手段によるエラー発生の形態としては、画像情報を発信したホスト装置への通知や、インクジェット画像形成機の表示パネル上への表示や、音声による警告等が掲げられる。
【0031】
以上の解決手段では、「今回周期」にはみ出した「前回周期」のインク吐出パルスが1個でも発生すれば、インク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定していたが、このはみ出し個数が複数個であった場合にインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定するようにしてもよい。以下、この場合の具体構成について説明する。
【0032】
先ず、インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置を前提とする。このインク吐出タイミング制御装置に対し、インクヘッド制御手段、ヘッド位置発信手段、吐出タイミング算出手段、吐出タイミング変更手段を備えさせている。インクヘッド制御手段は、インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とする。ヘッド位置発信手段は、インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信する。吐出タイミング算出手段は、ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する。吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する。
【0033】
この特定事項によっても上述した解決手段の場合と同様に、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となる。つまり、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に複数個はみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルする。そして、吐出タイミング変更手段により、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔が、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定される。このようにして、「前回周期時間」の長さを考慮することなく、可能な限り短時間のインク吐出タイミングに設定する。これにより、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0034】
また、本解決手段の場合、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの1個のインク吐出タイミング信号(第n番目のインク吐出タイミング信号)のみが、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に1個のみはみ出しているときには、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作を継続することになる。これにより、インク吐出タイミング信号の時間間隔が最小間隔として強制的に設定される状況が頻繁に発生してしまったり、このインク吐出タイミング信号の時間間隔が最適値よりも短くなってしまうといった状況の発生を抑制できる。
【0035】
このように複数個のインク吐出タイミング信号がはみ出しているときにインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔とする場合においても、上記吐出タイミング変更手段によるインク吐出タイミング信号の生成タイミングとしては以下のものが掲げられる。
【0036】
つまり、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するように吐出タイミング変更手段を構成している。
【0037】
この特定事項により、上述の場合と同様に、「前回周期」におけるn個全てのインク吐出タイミング信号に基づくインク滴の吐出動作を実行することができるので、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、画像の違和感を防止することができる。
【0038】
また、この解決手段においても、上述と同様のエラー信号発信手段を備えさせることが可能である。つまり、吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えさせるものである。
【0039】
この特定事項により、上述の場合と同様に、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。例えば、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させたり、エラー発生時に直ちに画像形成動作を中止する等といった処理である。
【0040】
上記エラー信号発信手段を備えさせた場合において、エラー発生時の具体的な処理を行うための構成としては以下のものが掲げられる。つまり、エラー信号発信手段がエラー発生信号を発信した際、インクヘッド制御手段によるインク滴の吐出動作を禁止する構成としている。
【0041】
つまり、エラー発生時に形成される印刷物は不良品であるとして、エラー発生後には直ちにインク滴の吐出動作を中止する。これにより、無駄なインクの浪費を回避することができ、画像形成機のランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0042】
尚、上述した各解決手段に係るインク吐出タイミング制御装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するインク吐出タイミング制御方法である。
【0043】
また、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するインク吐出タイミング制御方法である。
【0044】
これらインク吐出タイミング制御方法によっても、上述したインク吐出タイミング制御装置に係る解決手段の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、インクジェット画像形成機としてカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0046】
(第1実施形態)
−カラーインクジェットプリンタの全体構成の説明−
図1は、本形態に係るカラーインクジェットプリンタ1の外観(カバー11が開放された状態)を示す斜視図である。また、図2は、カラーインクジェットプリンタ1の内部構成を示す側面図である。
【0047】
これらの図に示すように、本形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離部3、搬送部4、画像形成部5及び排出部6を備えている。
【0048】
給紙部2は、略鉛直方向に延びる給紙トレイ21を備えており、印刷開始時に給紙トレイ21内の記録媒体としての記録用紙Pを分離部3に向けて搬送するようになっている。また、上記給紙トレイ21は、印刷を行わない際には、記録用紙Pの保管部として機能する。
【0049】
分離部3は、給紙部2から供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ31及び分離器32を備えている。分離器32では、パッド部分(記録用紙Pとの接触部分)と記録用紙Pとの摩擦力が、記録用紙P,P同士の間の摩擦力より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ31では、この給紙ローラ31と記録用紙Pとの摩擦力が、分離器32のパッドと記録用紙Pとの摩擦力や、記録用紙P,P同士の間の摩擦力よりも大きくなるように設定されている。そのため、給紙部2から複数枚の記録用紙P,P,…が取り出されて分離部3まで送られてきたとしても、給紙ローラ31によって、これら複数の記録用紙P,P,…を分離し、最も上側の一枚の記録用紙Pのみを搬送部4に送ることができるようになっている。
【0050】
搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて搬送するためのものであり、ガイド板41及び搬送ローラ対42を備えている。搬送ローラ対42は、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間に送り込む際に、記録ヘッド52からのインク滴が記録用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、記録用紙Pの搬送を調整する部材である。
【0051】
画像形成部5は、搬送部4の搬送ローラ対42から供給される記録用紙Pへ印刷を行うためのものであり、複数のインクカートリッジ81〜84、記録ヘッド52、これらインクカートリッジ81〜84及び記録ヘッド52を搭載したキャリッジ51、このキャリッジ51を主走査方向に案内するためのガイドシャフト54、印刷時に記録用紙Pの支持台となる上記プラテン53を備えている。このプラテン53により、画像形成部5に搬送されてきた記録用紙Pの平坦性の維持や記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔の適正化が行われる。
【0052】
また、上記インクカートリッジ81〜84は、Bk(ブラック),M(マゼンタ),Y(イエロー),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ51上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。また、本形態では、各インクカートリッジ81〜84のうちM,Y,Cの各カラーインクカートリッジ82〜84に比べてBkインクカートリッジ81が大型のものとなっている。尚、インクカートリッジ81〜84としては、上記4色に限らず、フォトインクを貯留するインクカートリッジが備えられていてもよい。
【0053】
尚、上記記録ヘッド52としては、圧電素子などの電気機械変換素子で液室(インク流路)壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型のもの、或いは発熱抵抗体による膜沸騰でバブル生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができる。
【0054】
排出部6は、印刷が行われた記録用紙Pを回収する部分であり、記録用紙P上のインクを早期乾燥させるための図示しないインク乾燥部、記録用紙Pを排出方向へ搬送するための排出ローラ対61、この排出ローラ対61により搬送された記録用紙Pを受ける排出トレイ62を備えている。
【0055】
尚、図1のインクジェットプリンタ1の外観に示すように、プリンタ前面には、各インクカートリッジ81〜84のうち少なくとも一つのインク残量が所定量を下回った場合にそれを表示するインク交換LED(Light Emitting Diode)12と、インクカートリッジ81〜84を手動で取り外す際に押される解除スイッチ13とが設けられている。
【0056】
−画像形成動作−
上記の構成において、インクジェットプリンタ1は、次のような動作によって印刷を行う。先ず、図示しないコンピュータ等の外部端末から画像情報に基づく印刷要求がインクジェットプリンタ1に対してなされる。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ1は、給紙トレイ21上の記録用紙Pを給紙部2より搬出する。次に、搬出された記録用紙Pは、給紙ローラ31によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。搬送部4では、搬送ローラ対42によって、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間へと送る。
【0057】
そして、画像形成部5では、ホームポジションに位置していた記録ヘッド52が、このホームポジションをスタート位置として、印刷要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置に向けてガイドシャフト54に沿って移動し、このとき、記録ヘッド52のインクノズルよりプラテン53上の記録用紙Pへ、画像情報に対応してインク滴を吹き付ける。この際、記録用紙Pはプラテン53上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ51は、ガイドシャフト54に案内されて、主走査方向(図1におけるD2方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテン53上で副走査方向(図1におけるD1方向)に一定の幅だけ移動する。この際、片方向印刷タイプ(一方向の走査時にのみ画像形成を行うタイプ)の場合は、この記録用紙Pの搬送の間にキャリッジ51がホームポジション側に復帰して次の走査に備え、記録用紙Pの搬送の後にキャリッジ51がホームポジション側から走査を開始して画像形成を行う。一方、双方向印刷タイプ(双方向の走査で画像形成を行うタイプ)の場合は、上記停止位置にキャリッジ51が止まり、記録用紙Pの搬送の後にキャリッジ51がホームポジション側に向けて走査を開始して画像形成を行う。
【0058】
このような印刷走査を繰り返し行うことで、記録用紙Pの全面に印刷がなされる。このようにして印刷が行われた記録用紙Pは、インク乾燥部を経て排出ローラ対61により排出トレイ62に排出される。以上の動作により、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0059】
−制御部の説明−
以上の各部の動作は制御部によって制御される。以下、この制御部について説明する。図3は、本インクジェットプリンタ1の制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は、情報処理装置であるパーソナルコンピュータ等のホスト装置100との間でプリンタケーブル或いはネットワークを介して各種情報を送受するI/F91を備えており、このI/F91、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、モータ制御回路94、DMA(Direct Memory Access)95が通信バスを介して通信可能となっている。
【0060】
CPU90は、本インクジェットプリンタ1を統括的に制御するものである。ROM92には、印刷プロセスに必要な各種制御プログラムが格納されている。RAM93は、画像データのビットマップ展開などの各種ワークメモリとして使用される。
【0061】
モータ制御回路94は、画像データと共に送信されてくる各駆動系の制御信号に基づいて、主走査モータや副走査モータ等の各種駆動モータ96を駆動制御して、キャリッジ51を主走査方向に往復運動させると共に記録用紙Pを副走査方向に搬送する。また、このモータ制御回路94は、記録ヘッド52のメンテナンス動作時に図示しないメンテナンスステーションの吸引モータも駆動制御する。
【0062】
DMA95は、CPU90を介さずにRAM93にアクセスするためのものであり、これを用いてCPU90の負担を減らし、処理効率を高めることができるようにしている。つまり、このDMA95は、CPU90を介さずにインクヘッド制御手段としてのヘッド制御回路97に対する制御動作を行い、RAM93に記録された印刷データをヘッド制御回路97に送信する。この印刷データを受信したヘッド制御回路97は、その印刷データに基づいて記録ヘッド52に印刷動作を実行させる。つまり、記録ヘッド52は、上記キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送と連繋して、ブラックヘッドやカラーヘッドに設けられた複数の圧電素子をインク色毎に区別して駆動し、各インクノズルからのインク滴の吐出制御を行い、記録用紙P上に所定の画像形成を行う。
【0063】
そして、本形態の特徴として、本制御部には、エンコーダ98からのパルス信号を受信して、上記ヘッド制御回路97による記録ヘッド52の制御を行わせる吐出タイミング調整手段としてのタイミング生成回路99を備えている。このタイミング生成回路99の詳細については後述する。
【0064】
上記エンコーダ98は、キャリッジ51の走査方向に沿ってピッチマークが描かれた図示しないタイミングフェンスに対向して配置され、このタイミングフェンスのピッチマークを検出して、そのピッチマークの白黒の反転に対応したパルス波形を出力するようになっている。つまり、このエンコーダ98は、記録ヘッド52の走査方向の移動量に応じた周期的なパルス信号(本発明でいうヘッド位置信号)を発信するヘッド位置発信手段として構成されている。
【0065】
また、本形態のものでは、1つのエンコードパルス信号(エンコードパルス波形)の立ち上がり時点とその後の1つのエンコードパルス信号の立ち上がり時点との間にn個(例えば、n=32)のインク吐出パルスを形成するようになっており、このインク吐出パルスに対応してインク滴の吐出動作が実行されるようになっている。より具体的には、上記エンコーダ98の分解能は50dpiとなっており、上記nを「32」としたことによって1600dpiの画像が形成できるようになっている。
【0066】
次に、上記タイミング生成回路99について説明する。図4は、本タイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。
【0067】
このタイミング生成回路99は、上記エンコーダ98からのパルス波形(記録ヘッド位置信号)を受信する記録ヘッド位置信号入力部99aを備えている。この記録ヘッド位置信号入力部99aからの発信信号は、位置信号間隔計測カウンタ99b及び周期補正検出部99cに入力される。
【0068】
上記位置信号間隔計測カウンタ99bは、記録ヘッド位置信号入力部99aからの発信信号を受信した時点からカウントを開始し、これによってエンコーダ98からのパルス波形が立ち上がってからの経過時間が計測できるようになっている。周期補正検出部99cは、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了しているか否かを判定する部分であって、このインク吐出パルスの生成が完了していないときには、後述するインク吐出パルスタイミングの最小値(Tmin)を使用したインク吐出パルスの生成を指示するようになっている。
【0069】
また、本タイミング生成回路99は、上記位置信号間隔計測カウンタ99b及び周期補正検出部99cからの出力信号を受ける周期生成部(吐出タイミング算出手段)99dを備えている。この周期生成部99dは、制御対象である今回の周期(エンコードパルス波形が立ち上がってから次回のエンコードパルス波形が立ち上がるまでの時間)におけるインク吐出パルスタイミング(前回のインク吐出タイミングと今回のインク吐出タイミングとの時間間隔)を、上記位置信号間隔計測カウンタ99bによって計測された前回の周期時間長さを、n等分することによって算出し、その算出信号を記録タイミング信号生成部(吐出タイミング変更手段)99eに出力するようになっている。
【0070】
また、本形態の特徴として、本タイミング生成回路99には、周期最小値記憶部99fが設けられている。この周期最小値記憶部99fは、インク吐出パルスタイミングの時間間隔を最小限とする時間(Tmin)を記憶している。この最小時間(Tmin)は、記録ヘッド52の性能によって決定される値であって、初期設定される値であってもよいし、ホスト装置100からの入力によって設定される値であってもよい。そして、この周期最小値記憶部99fに記憶されている最小時間(Tmin)は、必要に応じて周期生成部99dを経て記録タイミング信号生成部99eに出力するようになっている。
【0071】
この記録タイミング信号生成部99eでは、上記周期生成部99dにおいて算出されたインク吐出パルスタイミングと、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)とのうち、何れを、今回周期におけるインク吐出パルスタイミングとして採用するかを選択する。具体的には、上記周期補正検出部99cからの出力信号を受け、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了している場合には、周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングを使用し、そのタイミングでインク吐出動作を実行するように記録タイミング信号を生成する。
【0072】
一方、前回の周期時間においてその周期時間中に完了すべきインク吐出パルスの生成が完了していない場合、つまり、前回周期のインク吐出パルスが今回周期まではみ出してしまう状況の場合には、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)を使用し、そのタイミングでインク吐出動作を実行するように記録タイミング信号を生成する。また、この場合、前回周期のインク吐出パルスのうちの第n番目のインク吐出パルスが生成された後に、上記タイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するようにしている。
【0073】
このようにして記録タイミング信号生成部99eによって生成されたインク吐出パルスタイミング信号がヘッド制御回路97に送信されるようになっている。
【0074】
−インク吐出タイミング設定動作の説明−
次に、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作について図5のフローチャートに沿って説明する。
【0075】
先ず、記録動作(画像形成動作)が開始されて、エンコーダ98からのエンコード入力がなされると(ステップST1でYES判定)、ステップST2に移って上述した印字(画像形成)動作を開始する。これと同時に、上記位置信号間隔計測カウンタ99bがカウントを開始する。これにより、上記周期生成部99dによるインク吐出パルスが順次生成されていく。
【0076】
このようにしてインク吐出パルスが生成されている際、ステップST3において、エンコーダ98からの次回のエンコード入力の有無を判定する。そして、次回のエンコード入力があった(ステップST3でYES判定された)際には、ステップST4において、1ライン分の記録が終了したか否かを判定し、ここでYES判定されると、その1ラインについての記録動作は終了する。その後、次の1ラインについての記録動作が開始されることになる。
【0077】
一方、ステップST4でNO判定された(未だ1ライン分の記録が終了していない)場合には、本周期における記録は終了しているか否か、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成は完了しているか否かが判定される(ステップST5)。ここでYESに判定された場合には、ステップST6において、上記周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミング、つまり、前回の周期時間長さをn等分することによって算出されたインク吐出パルスタイミングによってインク吐出動作を実行するように設定する。また、この時点で、位置信号間隔計測カウンタ99bのカウント値がクリアされてステップST2に戻る。
【0078】
一方、ステップST5においてNO判定された場合、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成が完了しておらず、少なくとも一つのインク吐出パルスが次の周期にはみ出している場合には、ステップST7に移る。
【0079】
このステップST7では、位置信号間隔計測カウンタ99bのカウント値がクリアされ、カウントが再開される。そして、ステップST8においては、本周期における記録は終了しているか否か、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成は完了したか否かが判定される。ここでYESに判定された場合には、ステップST9に移り、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。その後、ステップST3に戻って上記の動作を繰り返す。
【0080】
図6は、本形態において、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0081】
図6(a)は、各周期の時間長さが略一致しており、上記周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングによりインク吐出パルスが形成された状態である。つまり、この場合には、各周期時間内にn個のインク吐出パルス(第1吐出パルス〜第n吐出パルス)が均等に配置されており、画像データが忠実に再現された画像が形成されることになる。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によるインク吐出動作を実行する必要のない状態である。
【0082】
一方、図6(b)及び図6(c)は、キャリッジの走査速度が一時的に加速したことが原因で、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができなかった状況を示している。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングとしては、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)が採用されることになる。つまり、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を上記最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成している。
【0083】
この図6(b)及び図6(c)に示すものでは、Tm+1回目の周期の開始時におけるインク吐出タイミング信号のはみ出し状態は解消されており、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となっている。
【0084】
尚、このTm+1回目の周期にあっては、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を再開させ、「Tm/n」によって算出されたインク吐出パルスタイミングでインク吐出パルスが形成されることになる。
【0085】
以上説明したように、本形態では、「今回のヘッド位置信号(Tm回目周期のエンコーダパルスの立ち上がり)」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定している。このため、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本形態は、タイミング生成回路99の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0087】
図7は、本第2実施形態に係るタイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。本形態に係るタイミング生成回路99にあっては、上記第1実施形態に係るものに対してエラー検知部99gが付加されている。この図7では、第1実施形態においてタイミング生成回路99に備えられていた各部と同一部については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
このエラー検知部99gは、連続する2回の周期(例えばTm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出したことを検知可能となっており、これを検知した際にエラー発生信号を発信するようになっている。このエラー発生時の動作として具体的には、画像形成動作を停止させると共に、ホスト装置へのエラー通知を行うようにしている。
【0089】
図8は、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作を示すフローチャートである。ここでは、上記図5のフローチャートを用いて説明した動作と同一の動作については同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0090】
先ず、ステップST11において、エラーフラグを「0」にセットしておき、上記ステップST1〜ステップST5と同様の動作を実行する。
【0091】
そして、ステップST5においてYESに判定された場合には、ステップST12に移ってエラーフラグを「0」にセット(維持)した後、ステップST6に移る。
【0092】
一方、ステップST5においてNO判定された場合、つまり、本周期において形成すべき第n番目のインク吐出パルスの形成が完了しておらず、少なくとも一つのインク吐出パルスが次の周期にはみ出している場合には、ステップST13に移って、エラーフラグが「1」にセットされているか否かを判定する。つまり、前回周期においてそれ以前の周期(前々回周期)のインク吐出パルスがはみ出していたためにエラーフラグが「1」にセットされていたか否かを判定する。ここで、エラーフラグが「1」にセットされておらず、NO判定された場合には、ステップST7〜ステップST9の動作に移る。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。
【0093】
一方、ステップST13の判定において、エラーフラグが「1」にセットされているYES判定された場合には、ステップST15に移り、「エラー発生時には画像形成動作を停止する」設定が予めなされているか否かを判定し、この設定がなされていないNO判定の場合にはステップST16に移ってホスト装置への通知を行ってステップST7以降の動作に移る。一方、ステップST15において、上記設定がなされているYES判定された場合には画像形成動作を停止する。
【0094】
このように、本形態では、連続する2回の周期に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出した場合にはエラー判定を行って、ホスト装置100へのエラー通知または画像形成動作の停止を行うようにしている。
【0095】
ホスト装置100へのエラー通知を行うようにした場合には、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、画像形成動作の終了後に画像品位を確認する必要があることをユーザに喚起させることができる。
【0096】
一方、エラー発生時に画像形成動作を停止させるようにした場合には、無駄なインクの浪費を回避することができ、画像形成機のランニングコストの低廉化を図ることができる。尚、この場合、エラー発生に係る画像データをクリア(削除)してもよいが、印刷動作をリトライさせる場合にはこの画像データを保持しておく。
【0097】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本形態も、タイミング生成回路99の構成が上記第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0098】
図9は、本第3実施形態に係るタイミング生成回路99の構成を示すブロック図である。本形態に係るタイミング生成回路99にあっては、上記第1実施形態に係るものに対して上記第2実施形態で説明したエラー検知部99g及び補正閾値設定部99hが付加されている。この図9では、第1実施形態及び第2実施形態においてタイミング生成回路99に備えられていた各部と同一部については同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
本形態では、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、上記周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成するようにしている。そして、上記補正閾値設定部99hは、この最小間隔(Tmin)によってインク吐出パルスを形成する制御に切り換えるためのインク吐出タイミング信号の「はみ出し個数」を設定するものである。この設定は、ホスト装置100からの入力によって設定される。たとえば、この設定個数を「2個」に設定した場合には、2個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号がはみ出した場合に、吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成することになる。尚、この個数は任意に設定可能である。
【0100】
図10は、本形態におけるインク吐出タイミング設定動作を示すフローチャートである。ここでも、上記図5のフローチャートを用いて説明した動作と同一の動作については同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0101】
上記ステップST1〜ステップST8までの動作を行った後、ステップST20において、残り記録数(はみ出し個数)が所定記録数(補正閾値設定部99hにおいて設定された数)を越えているか否かを判定する。つまり、この設定数を「1」にしておけば、はみ出し個数が「2」以上になると、YES判定されることになる。このステップST20においてNO判定された場合にはステップST6に移って、周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングによってインク吐出パルスが形成される。
【0102】
一方、上記はみ出し個数が「2」以上であり、ステップST20においてYES判定された場合にはステップST9に移って、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によってインク吐出動作を実行するように設定する。その後、ステップST3に戻って上記の動作を繰り返す。
【0103】
図11は、本形態において、あるインクノズル(同時にインク吐出動作を行うノズル群:図中ではA相)に対してインク吐出タイミングを制御するためのエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示している。
【0104】
図11(a)及び図11(b)は、上記はみ出し個数が2個未満であるため、上記周期生成部99dによって算出されたインク吐出パルスタイミングによりインク吐出パルスが形成された状態である。つまり、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)によるインク吐出動作を実行する必要のない状態である。
【0105】
一方、図11(c)は、キャリッジの走査速度が一時的に大きく加速したことが原因で、Tm−1回目の周期時間内に収めるべき所定個数(第1吐出パルス〜第n吐出パルスまでのn個)のインク吐出パルスをこのTm−1回目の周期時間内に収めることができず、且つそのはみ出し個数が2個になった状況を示している。この場合、Tm回目の周期におけるインク吐出パルスタイミングとしては、周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)が採用されることになる。つまり、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を上記最小間隔(Tmin)として強制的に設定してインク吐出パルスを形成している。
【0106】
この図11(c)に示すものでは、Tm+1回目の周期において、インク吐出タイミング信号のはみ出し状態は解消されており、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となっている。
【0107】
尚、このTm+1回目の周期にあっては、周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を再開させ、「Tm/n」によって算出されたインク吐出パルスタイミングでインク吐出パルスが形成されることになる。
【0108】
以上説明したように、本形態では、「今回のヘッド位置信号(Tm回目周期のエンコーダパルスの立ち上がり)」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個(例えば、第n番目と第n−1番目の2個)のインク吐出タイミング信号が、「今回のヘッド位置信号」発信時点(エンコーダパルスの立ち上がり時点)において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)の複数個が「今回周期」時間内にはみ出しているときには、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定している。このため、上記インク吐出タイミング信号のはみ出し状態を早期に解消して、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現することが可能となり、形成される画像の高品位化を図ることができる。また、本形態では、「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの1個のインク吐出タイミング信号(第n番目のインク吐出タイミング信号)のみが、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ生成が完了していないとき、つまり、「前回周期」中に完了すべきインク吐出タイミング信号(インク吐出パルス)が「今回周期」時間内に1個のみはみ出しているときには、上記周期生成部99dによるインク吐出タイミング信号の生成動作を継続することになる。これにより、インク吐出タイミング信号の時間間隔が最小間隔として強制的に設定される状況が頻繁に発生してしまったり、このインク吐出タイミング信号の時間間隔が最適値よりも短くなってしまうといった状況(図6(b)のTm回目の周期の状態)の発生を抑制できる。
【0109】
−その他の実施形態−
上記各実施形態及び変形例では、カラーインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、モノクロタイプのインクジェットプリンタ(インクカートリッジを1つのみ搭載したもの)やインクジェットプロッタに適用することも可能である。
【0110】
また、上記各実施形態では、パルス信号の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に32個のインク吐出パルスを形成して1600dpiの画像が形成可能なインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限るものではなく、上記インク吐出パルスの個数及び解像度は任意に設定可能である。例えば、上記の構成において、パルス信号の立ち上がり時点から次の立ち上がり時点までの間に16個のインク吐出パルスを形成すれば800dpiの画像が形成可能となる。
【0111】
また、上述した実施形態ではインクカートリッジ81〜84をキャリッジ51に搭載する所謂オンボードタイプのカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、インクカートリッジをキャリッジに搭載しない所謂オフボードタイプのカラーインクジェットプリンタに適用することも可能である。
【0112】
また、上記第2実施形態では、連続する2回の周期(Tm−1回目の周期とTm回目の周期)に亘ってインク吐出パルスが次回の周期にはみ出したときにエラー検知を行うようにしていた。本発明はこれに限らず、間欠的にインク吐出パルスのはみ出しが発生した場合や、所定の比率でインク吐出パルスのはみ出しが発生したとき(例えば連続する10回の周期のうち3回の周期でインク吐出パルスのはみ出しが発生したとき)にエラー検知を行うようにしてもよい。
【0113】
更に、上記周期最小値記憶部99fに記憶されているインク吐出パルスタイミング(Tmin)としては、周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングの範囲のうちの最小値として設定してもよいし、この周期生成部99dによって算出されるインク吐出パルスタイミングの範囲のうちの最小値よりもさらに小さい値としてもよい。
【0114】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、前回の周期時間中に完了すべきインク吐出パルスが今回の周期時間内にはみ出す状況が発生したとき、つまり、所定回数(n回)のインク吐出パルスの生成が完了する前に、ヘッド位置パルス信号中の基準位置が検出された場合(エンコードパルス波形が立ち上がった場合)、今回の周期において生成されるインク吐出パルスの時間間隔を強制的に最小間隔に設定することによって、適正なタイミングによるインク吐出動作の早期復帰を実現できるようにしている。このため、複数回の周期に亘ってインク吐出パルスがはみ出した状態(適切なタイミングでのインク吐出動作の復帰が長時間に亘って行われない状態)が続いてしまうことを回避でき、インクヘッドの走査速度が大幅に変動する状況であっても、高品位の画像を形成することが可能になる。
【0115】
また、「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するようにした場合には、インク吐出データの欠落を招くことが無く、受信した画像情報の全てのインク吐出データに基づく画像を形成することができて、所望の画像を形成することができる。
【0116】
更に、インク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔としたにも拘わらず、適正なタイミングによるインク吐出動作の復帰が行われない場合にエラー発生信号を発信するようにした場合には、適正な画像が形成できていない可能性があることをユーザに報知することが可能になり、このエラー発生に対応する処理の実行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図3】インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図6】第1実施形態に係るエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【図7】第2実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図9】第3実施形態におけるタイミング生成回路の構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施形態におけるインク吐出タイミング制御動作を示すフローチャート図である。
【図11】第3実施形態に係るエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【図12】従来例におけるエンコードパルス波形及びインク吐出パルス波形を示す図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成機)
52 記録ヘッド(インクヘッド)
97 ヘッド制御回路(インクヘッド制御手段)
98 エンコーダ(ヘッド位置発信手段)
99d 周期生成部(吐出タイミング算出手段)
99e 記録タイミング信号生成部(吐出タイミング変更手段)
P 記録用紙(記録媒体)
Claims (9)
- インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置において、
上記インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とするインクヘッド制御手段と、
上記インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信するヘッド位置発信手段と、
上記ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する吐出タイミング算出手段と、
上記ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する吐出タイミング変更手段とを備えていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 請求項1記載のインク吐出タイミング制御装置において、
吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、その第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するよう構成されていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 請求項1または2記載のインク吐出タイミング制御装置において、
吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - インクヘッドが走査しながら記録媒体に向けてインク滴を吐出することにより画像形成動作を行うに際し上記インク滴の吐出タイミングを制御する制御装置において、
上記インクヘッドからのインク滴の吐出動作を実行させると共に、そのインク吐出タイミングを変更可能とするインクヘッド制御手段と、
上記インクヘッドの走査方向の移動量に応じた周期的なヘッド位置信号を発信するヘッド位置発信手段と、
上記ヘッド位置発信手段による「前回のヘッド位置信号」発信時点から「今回のヘッド位置信号」発信時点までの周期時間長さである「前回周期時間」の長さをn等分することによって「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号を生成する吐出タイミング算出手段と、
上記ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、上記吐出タイミング算出手段によるインク吐出タイミング信号の生成動作をキャンセルし、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、上記インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定する吐出タイミング変更手段とを備えていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 請求項4記載のインク吐出タイミング制御装置において、
吐出タイミング変更手段は、ヘッド位置発信手段による「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、第n番目のインク吐出タイミング信号が生成されるのを待ち、その後、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、インクヘッド制御手段によって変更可能な範囲のうちの最小間隔として強制的に設定するよう構成されていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 請求項4または5記載のインク吐出タイミング制御装置において、
吐出タイミング変更手段によってインク吐出タイミング信号の時間間隔を最小間隔として強制的に設定した後、「次回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「今回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「次回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、エラー発生信号を発信するエラー信号発信手段を備えていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 請求項3または6記載のインク吐出タイミング制御装置において、
エラー信号発信手段がエラー発生信号を発信した際、インクヘッド制御手段によるインク滴の吐出動作を禁止するよう構成されていることを特徴とするインク吐出タイミング制御装置。 - 上記請求項1、2または3記載のインク吐出タイミング制御装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法であって、
「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」における第n番目のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定することを特徴とするインク吐出タイミング制御方法。 - 上記請求項4、5または6記載のインク吐出タイミング制御装置によって実行されるインク吐出タイミング制御方法であって、
「今回のヘッド位置信号」発信時点において生成を完了しておくべき「前回周期」におけるn個のインク吐出タイミング信号のうちの複数個のインク吐出タイミング信号の生成が、「今回のヘッド位置信号」発信時点において未だ完了していないとき、「今回周期時間」中に形成すべきn個のインク吐出タイミング信号の時間間隔を、変更可能なインク吐出タイミングの範囲のうちの最小間隔として強制的に設定することを特徴とするインク吐出タイミング制御方法。
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