JP2004351505A - シリンダブロックの製造方法 - Google Patents

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Toshihide Sunada
俊秀 砂田
Yasushi Iseda
泰 伊勢田
Masaki Kosugi
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Abstract

【課題】内燃機関に所定の性能を発揮させることが可能なシリンダブロックの製造方法を提供する。
【解決手段】ブロック本体10の連通穴部18にシリンダスリーブ30a〜30cを挿入した後、摩擦撹拌接合用工具50のプローブ56によって、該シリンダスリーブ30a〜30cの外周壁部と連通穴部18の内周壁部とを接合一体化する。その後、プローブ56を、ピストン80のスカート部82の下死点よりも下方となる箇所でシリンダスリーブ30a〜30cの内周壁部から離脱させる。
【選択図】図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック本体とシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合によって接合一体化してシリンダブロックを得るシリンダブロックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の内燃機関を構成するシリンダブロックの1種として、図12に示すように、ウォータジャケット部1のガスケット面2側が閉塞されているクローズドデッキ型シリンダブロック3が挙げられる。クローズドデッキ型シリンダブロック3には、ブロック本体4の肉厚が同一であれば、ウォータジャケット部のガスケット面側が開放されているオープンデッキ型シリンダブロックに比して剛性が高いという利点がある。
【0003】
クローズドデッキ型シリンダブロック3の場合、ウォータジャケット部1は、容易に崩壊させることが可能な中子、いわゆる崩壊性中子を用いて重力鋳造(GDC)や低圧鋳造(LPDC)にて形成される。
【0004】
その一方で、内燃機関においては、ボア穴5の内部でピストン(図示せず)が往復動作する。このため、ボア穴5には、耐摩耗性に優れる素材からなるシリンダスリーブ6、例えば、いわゆるFCスリーブやMMCスリーブ等を挿入し、該シリンダスリーブ6の側周壁部にピストンの側周壁部を摺接させるようにしている。耐摩耗性に優れる他の素材としては、いわゆるハイシリコン系アルミニウムが例示される。
【0005】
このようなクローズドデッキ型シリンダブロック3を製造する場合、まず、鋳造用金型によって形成されるキャビティに崩壊性中子やシリンダスリーブ6等を配置しておき、この状態で溶湯をキャビティに注湯して、該溶湯で崩壊性中子やシリンダスリーブ6等を囲繞する。
【0006】
次に、溶湯を冷却固化することによってブロック本体4を設ける。この冷却固化に伴って、シリンダスリーブ6が鋳込まれる。
【0007】
その後、前記崩壊性中子を崩壊させる。この崩壊によって得られた中空部が、ウォータジャケット部1となる。すなわち、この場合、ウォータジャケット部1は、ブロック本体4に設けられる。
【0008】
ところで、近年では、地球温暖化を防止するために、省エネルギの観点から自動車等の燃費を向上させることが希求されている。その方策として、内燃機関等を軽量化することにより、最終製品である自動車を軽量化することが提案されている。
【0009】
このような観点から、摩擦撹拌接合(例えば、特許文献1および2参照)が着目されている。摩擦撹拌接合によれば、例えば、アルミニウムからなるブロック本体4と、ハイシリコン系アルミニウムからなるシリンダスリーブ6とを接合する場合等、接合対象が異種金属同士であっても容易に接合させることができるからである。
【0010】
すなわち、例えば、高圧鋳造(HPDC)によって肉厚の薄いブロック本体4を作製し、該ブロック本体4にシリンダスリーブ6を接合することによって、小型かつ軽量なクローズドデッキ型シリンダブロック3を得ることができると考えられる。しかも、HPDCでは崩壊性中子を使用する必要がないので、コストを低減することができるという利点もある。
【0011】
摩擦撹拌接合は、一般的には以下のようにして遂行される。まず、回転動作する摩擦撹拌接合用工具を、ワークに埋没させた後に接合対象である突き合わせ部に移動させ、さらに、該突き合わせ部に沿って変位させる。この変位に伴って、突き合わせ部の肉が摩擦熱にて軟化するとともに、摩擦撹拌接合用工具によって撹拌される。その結果、突き合わせ部が固相接合される。その後、摩擦撹拌接合用工具がワークから離脱される。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−176658号公報(図1)
【特許文献2】
特開2000−42759号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、摩擦撹拌接合によってブロック本体4とシリンダスリーブ6とを摩擦撹拌接合した場合、シリンダスリーブ6から摩擦撹拌接合用工具を離脱させる際、該シリンダスリーブ6に離脱穴が形成されてしまう。このため、クローズドデッキ型シリンダブロック3を用いて構成された内燃機関を運転する際、離脱穴に燃料と空気の混合気が入り込み、その結果、内燃機関が所定の性能を発揮できなくなることがある。
【0014】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、離脱穴が残存しながらも所定の性能を発揮する内燃機関を構成することが可能なシリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、穴部が設けられたブロック本体と、前記穴部に挿入されたシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合することによってシリンダブロックを得るシリンダブロックの製造方法であって、
回転動作する摩擦撹拌接合用工具を前記シリンダスリーブの内周壁部側から埋没させて前記穴部の内周壁まで到達させる工程と、
前記摩擦撹拌接合用工具を移動させることにより、前記シリンダスリーブの肉と前記ブロック本体の肉とを摩擦熱にて軟化させるとともに前記摩擦撹拌接合用工具によって撹拌することで前記シリンダスリーブと前記ブロック本体とを接合する工程と、
前記接合の後に前記摩擦撹拌接合用工具を離脱させる工程と、
を有し、
前記摩擦撹拌接合用工具は、前記穴部に挿入されるピストンの側周壁部に嵌着されたピストンリングの下死点よりも下方となる箇所で前記シリンダスリーブから離脱されることを特徴とする。
【0016】
すなわち、本発明においては、燃料とガソリンの混合気が導入および点火される室よりも下方となる箇所で摩擦撹拌接合用工具を離脱させるようにしている。このため、内燃機関を運転する際、混合気が離脱穴に入り込むことを回避することができるので、混合比等を保つことができ、結局、該内燃機関に所定の性能を発揮させることができる。
【0017】
なお、摩擦撹拌接合用工具は、ピストンのスカート部の下死点よりも下方となる箇所でシリンダスリーブから離脱させることが好ましい。これにより、混合気が離脱穴に入り込むことを一層容易に回避することができるからである。
【0018】
さらに、ブロック本体のガスケット面と、シリンダスリーブのガスケット面側端面とを摩擦撹拌接合する工程を行うことが好ましい。これによりブロック本体とシリンダスリーブとの接合強度が増加するので、シリンダブロックの剛性を一層向上させることができるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシリンダブロックの製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1はブロック本体10の要部概略縦断面図であり、図2は該ブロック本体10のガスケット面12側からの平面図である。このブロック本体10には、第1環状切欠部14および第2環状切欠部16を有する連通穴部18が設けられており、かつ該連通穴部18内には、壁部20a、20bが突出形成されている。そして、連通穴部18の内周壁部と壁部20a、20bには環状段部22a〜22cがそれぞれ設けられ、かつ連通穴部18のガスケット面12側開口部には、凹部24が設けられている。
【0021】
このブロック本体10は、例えば、アルミニウムの溶湯を使用してのHPDCによって作製することができる。この際、鋳造用金型のキャビティに崩壊性中子を配置する必要はない。
【0022】
図3に示すように、上記ブロック本体10の連通穴部18に挿入されるシリンダスリーブ30aは、円筒体部34aと、該円筒体部34aの一端部に設けられた大径部36aとを有する。なお、連通穴部18には、シリンダスリーブ30aの他、該シリンダスリーブ30aと同一構成のシリンダスリーブ30b、30cが挿入される。
【0023】
シリンダスリーブ30aは、例えば、ハイシリコン系アルミニウムからなるワークに対して押し出し成形や鋳造成形等の公知の成形法を施し、円筒体部34aと大径部36aとを有するシリンダスリーブ30aを作製した後、大径部36aにおける側周壁部の下方を円周方向に沿って機械加工にて切り欠くことで該大径部36aの下方に環状段部40aを設けることによって作製することができる。勿論、シリンダスリーブ30b、30cも同様にして作製される。
【0024】
以上のブロック本体10と、シリンダスリーブ30a〜30cとは、以下のようにして接合される。
【0025】
まず、大径部36bの一部を直線的に切り欠いて、環状段部40bを露呈するとともに、環状段部40a、40cの一部を直線的に切り欠く。
【0026】
次に、図4に示すように、ブロック本体10の連通穴部18にシリンダスリーブ30a〜30cを挿入する。挿入されたシリンダスリーブ30a〜30cの各下端部が環状段部22a〜22cに載置され、その一方で、大径部36a〜36cが凹部24に載置されるとともに、大径部36a、36cが環状段部40b上に載置される。この際、環状段部40a、40cが切り欠かれているので、環状段部40a、40cが環状段部40bに干渉することはない。さらに、環状段部40a〜40cの側周壁部が第2環状切欠部16の内周壁部に当接する。
【0027】
この挿入に伴って、第2環状切欠部16の内周壁部と各シリンダスリーブ30a〜30cとの間にクリアランスが形成される。このクリアランスは、シリンダスリーブ30a、30b同士の間、およびシリンダスリーブ30b、30c同士の間に形成されたクリアランスに連通し、これによりウォータジャケット部42が形成される。
【0028】
このように、本実施の形態においては、連通穴部18にシリンダスリーブ30a〜30cを挿入することによってウォータジャケット部42が形成される。
【0029】
次に、連通穴部18の内周壁部および壁部20a、20bと、シリンダスリーブ30a〜30cの外周壁部とを、図5に示す摩擦撹拌接合用工具50にて摩擦撹拌接合する。
【0030】
この摩擦撹拌接合用工具50は、第1回転体52と、該第1回転体52の側周壁部に設けられて第1回転体52とは独立して回転可能な第2回転体54と、該第2回転体54に比して小径でかつ先端が円錐状のプローブ56を備える。このように構成された摩擦撹拌接合用工具50を、シリンダスリーブ30a内に挿入する。その後、プローブ56は、シリンダスリーブ30aの内周壁部において、後述するピストンにおけるスカート部の下死点よりも下方となる箇所に当接される。
【0031】
この状態で、第2回転体54が矢印A方向に回転付勢されると、プローブ56が内周壁部に摺接することに伴って摩擦熱が発生し、該内周壁部におけるプローブ56の当接箇所が軟化してプローブ56の先端部が埋没して連通穴部18の内周壁部に到達する。これにより、シリンダスリーブ30aの外周壁部と第1環状切欠部14の内周壁部とが摩擦熱によって軟化する。
【0032】
次に、第1回転体52を矢印B方向に回転付勢すると、埋没したプローブ56がシリンダスリーブ30aの円周方向に沿って変位する。このようにしてプローブ56が変位することに伴い、軟化した肉が該プローブ56にて撹拌されて塑性流動した後、該プローブ56が離間することに伴って固相接合する。この現象が逐次的に繰り返されることにより、シリンダスリーブ30aの外周壁部と、第1環状切欠部14の内周壁部および壁部20a(連通穴部18)とが一体的に接合されるに至る。
【0033】
第1回転体52を上記のように回転動作させることによってシリンダスリーブ30aの外周壁部と連通穴部18の内周壁部とを接合一体化した後、プローブ56をシリンダスリーブ30aの内周壁部から離間させる。この際、該内周壁部に離脱穴Y1(図10参照)が形成される。
【0034】
残余のシリンダスリーブ30b、30cに対して上記と同様の作業が営まれ、その結果、シリンダスリーブ30a〜30cの外周壁部と連通穴部18の内周壁部とが接合一体化される。
【0035】
次に、シリンダスリーブ30a〜30cの大径部36a〜36cとブロック本体10におけるガスケット面12とを接合する。この接合も、摩擦撹拌接合にて行われる。
【0036】
この場合、図6に示す摩擦撹拌接合用工具60が使用される。この摩擦撹拌接合用工具60は、回転体62とプローブ64とを有し、このうち、プローブ64は、例えば、ブロック本体10におけるスタットボルト穴を設ける部位に埋没される。
【0037】
次に、プローブ64を、図7に矢印Cとして示すように、大径部36a〜36cおよびブロック本体10の当接箇所に沿って変位させる。この変位に伴い、大径部36a〜36cの肉と、ブロック本体10におけるガスケット面12の肉とが摩擦熱によって軟化するとともに、プローブ64によって撹拌される。その結果、これらの肉同士が固相接合される。
【0038】
なお、この際、図6に拡大して示すように、大径部36a〜36cは、凹部24に載置されていることによって堅牢に支持されている。また、環状段部40a〜40cの側周壁部が連通穴部18の内周壁部に当接しているので、該環状段部40a〜40cの楔作用によって、大径部36a〜36cがブロック本体10から離間し難くなる。このため、ブロック本体10と大径部36a〜36cとが離間することを防止するためのクランプ用治具を特に使用することなく、摩擦撹拌接合を容易に遂行することができる。
【0039】
しかも、この場合、ウォータジャケット部42を閉塞する環状段部40a〜40cが軟化しないので、軟化した大径部36a〜36cの肉がウォータジャケット部42に流動することを回避することもできる。
【0040】
大径部36a〜36cとガスケット面12との摩擦撹拌接合を終了した後、ブロック本体10におけるスタットボルト穴を設ける部位からプローブ64を離脱させる。この際、ブロック本体10には、離脱穴X1が形成される。
【0041】
次に、大径部36a、36b同士、大径部36b、36c同士を摩擦撹拌接合する。この際には、図8の矢印B、Cに沿って摩擦撹拌接合用工具60を変位させるようにすればよい。この場合においては、シリンダスリーブ30bの環状段部40bにシリンダスリーブ30a、30cの大径部36a、36cが載置されることによって支持されているので、上記と同様、摩擦撹拌接合を容易に遂行することができる。
【0042】
この作業に際しても、ブロック本体10におけるスタットボルト穴を設ける部位にプローブ64を埋没させるとともに、スタットボルト穴を設ける部位から離脱させる。すなわち、この場合においても、ブロック本体10のガスケット面12に離脱穴X2、X3が形成される。
【0043】
以上の作業によって、シリンダスリーブ30a〜30cとブロック本体10同士、およびシリンダスリーブ30a〜30c同士とが一体的に接合される。
【0044】
その後、ガスケット面12側において形成されたプローブ64の離脱穴X1〜X3を、図9に示すように、スタットボルト穴70a〜70hのいずれかとして加工する。具体的には、大径部36a〜36cとブロック本体10とを摩擦撹拌接合する際(図7参照)の離脱穴X1を拡径した後に仕上げ加工を施して、所定の寸法精度を有するスタットボルト穴70eとする。
【0045】
その一方で、上記と同様に、拡径加工および仕上げ加工を施すことによって、大径部36a、36b同士を摩擦撹拌接合する際(図8参照)の離脱穴X2をスタットボルト穴70f、大径部36b、36c同士を摩擦撹拌接合する際の離脱穴X3をスタットボルト穴70gとする。以上の作業により、ガスケット面12にプローブ64の離脱穴X1〜X3が残存していないシリンダブロック72(図4参照)が得られる。
【0046】
このシリンダブロック72は、各大径部36a〜36cが前記凹部24上に載置されることに伴ってウォータジャケット部42のガスケット面12側が大径部36a〜36cで閉塞された、いわゆるクローズドデッキ型シリンダブロックである。なお、添付の図面においては、便宜上、ブロック本体10と各シリンダスリーブ30a〜30cの大径部36a〜36cとを境界線にて明示しているが、実際には、各部材10、36a〜36c同士は摩擦撹拌接合によって継目なく接合されている。すなわち、各部材10、36a〜36cは一体的に接合されており、視認可能な程度に明確な境界線は存在しない。
【0047】
このように、本実施の形態においては、ガスケット面12に形成された離脱穴X1〜X3をスタットボルト穴70a〜70hのいずれかに加工するようにしている。したがって、美観に優れ、かつ強度および剛性に優れたシリンダブロック72を得ることができる。
【0048】
このようにして構成されたシリンダブロック72は、図10に示すピストン80等の所定の部材と組み合わされることによって、図示しない内燃機関を構成する。ここで、シリンダスリーブ30a〜30cのそれぞれに挿入されたピストン80は、他の部位に比して若干長尺なスカート部82をその下端部に有する。また、側周壁部にはピン穴84が設けられており、かつ該ピン穴84の上方には、3個のピストンリング86a〜86cが嵌着されている。なお、図10においては、ピストン80が下死点に位置している状態を示す。
【0049】
内燃機関が運転される際、下死点に位置するピストン80の上端面とシリンダスリーブ30a〜30cの内周壁部とで形成される室88に燃料と空気の混合気が導入される。次に、ピストン80が上昇動作することに伴って混合気が圧縮された後、該混合気が点火される。この際に混合気が膨張するとともに、ピストン80が下降動作する。すなわち、ピストン80は、シリンダスリーブ30a〜30cの内部で上下に往復動作し、この際、該ピストン80の側周壁部に嵌着されたピストンリング86a〜86c、および該ピストン80のスカート部82は、シリンダスリーブ30a〜30cの内周壁部に摺接する。
【0050】
ここで、図10に示すように、プローブ56の離脱穴Y1は、ピストン80におけるスカート部82が下死点に位置した場合であっても、該下死点よりも下方となる位置に設けられている。そして、前記室88からの混合気の漏洩は、ピストン80の側周壁部に嵌着されたピストンリング86a〜86cによって阻止される。このため、離脱穴Y1に混合気が入り込むことはない。
【0051】
このように、本実施の形態においては、ピストン80のスカート部82の下死点よりも下方で摩擦撹拌接合用工具50のプローブ56を離脱させるようにしたので、離脱穴Y1が残存しているにも関わらず、該離脱穴Y1に混合気が入り込むことを回避することができる。このため、室88内の燃料と空気の混合比が適切範囲に保たれるので、内燃機関に所定の性能を発揮させることができる。
【0052】
しかも、この場合、第1環状切欠部14でプローブ56を離脱させるようにしているので、シリンダスリーブ30a〜30cの内周壁面側の空間とウォータジャケット部42とが連通することはない。したがって、シリンダスリーブ30a〜30cの内周壁面とピストンリング86a〜86cとが摺接する際の焼き付きを回避するための潤滑油がウォータジャケット部42に浸入することも、ウォータジャケット部42に導入された冷却水がシリンダスリーブ30a〜30cの内周壁面側に浸入することもない。
【0053】
また、本実施の形態によれば、充填材を使用する必要もなく、ブロック本体10やシリンダスリーブ30a〜30cの一部を切断除去する必要もない。ひいてはブロック本体10またはシリンダスリーブ30a〜30cを予め大型化しておく必要もない。このため、コストを低廉化することもできる。
【0054】
このシリンダブロック72を構成するブロック本体10は、HPDCにて鋳造成形されているので、肉厚が薄い。しかも、図4から諒解されるように、ブロック本体10とシリンダスリーブ30a〜30cとの間のクリアランス、シリンダスリーブ30a〜30cにおける隣接するもの同士の間のクリアランスがウォータジャケット部42となるので、一般的なシリンダブロック3(図12参照)のように、ウォータジャケット部1をブロック本体4の中空部として設ける必要はない。
【0055】
以上の理由から、ブロック本体10の肉厚を薄くすることができるので、シリンダブロック72の体積を小さくすることができる。換言すれば、シリンダブロック72を小型化することができるとともに、軽量化することができる。
【0056】
しかも、摩擦撹拌接合を採用しているので、シリンダブロック72では、互いに異種の金属であるブロック本体10(アルミニウム)と、シリンダスリーブ30a〜30c(ハイシリコン系アルミニウム)とが堅牢に接合されている。このため、該シリンダブロック72は、高い強度および剛性を示す。
【0057】
さらに、このシリンダブロック72においては、耐摩耗性に優れるハイシリコン系アルミニウムからなるシリンダスリーブ30a〜30cを使用しているので、充分な耐久性が確保される。その上、この場合、ブロック本体10を安価なアルミニウムから構成するようにしているので、シリンダブロック72の製造コストが上昇することがないという利点がある。
【0058】
なお、上記した実施の形態においては、摩擦撹拌接合用工具50のプローブ56をピストン80のスカート部82の下死点よりも下方となる箇所で離脱させるようにしているが、離脱箇所は、最下方に配置されたピストンリング86aの下死点よりも下方であれば、スカート部82の下死点よりも上方であってもよい。この場合、図11に示すように、離脱穴Y2が存在しない箇所にスカート部82を摺接させるようにすればよい。なお、この場合においても、シリンダスリーブ30a〜30cの内周壁面側の空間とウォータジャケット部42とが連通することを回避するべく、該シリンダスリーブ30a〜30cの外周壁部と第1環状切欠部14とが摩擦撹拌接合される。すなわち、プローブ56は、第1環状切欠部14およびシリンダスリーブ30a〜30cを介して離脱される。
【0059】
また、ガスケット面12側に形成された離脱穴X1〜X3を加工してスタットボルト穴70e、70f、70gを設けるようにしているが、その他の用途に供される穴部、例えば、オイル穴、様々な加工を施す際にシリンダブロック72を位置決めする位置決め治具を通すノック穴、シリンダヘッドとの位置決めに使用するピンを通すダウェルピン穴等を設けるようにしてもよい。勿論、スタットボルト穴およびダウェルピン穴の両機能を兼ね備える穴部であってもよい。
【0060】
そして、シリンダスリーブ30a〜30dは、ハイシリコン系アルミニウムからなるものに特に限定されるものではない。例えば、その他のアルミニウム合金からなるものであってもよいし、アルミニウムからなるものであってもよい。別の好適な例としては、急冷製造されたアルミニウム粉が焼結されてなるアルミ急冷粉スリーブや、MMCスリーブ等を挙げることができる。
【0061】
一方、ブロック本体10は、アルミニウムからなるものに限定されるものではなく、マグネシウムまたはマグネシウム合金等、他の素材からなるものであってもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るシリンダブロックの製造方法によれば、ピストンの側周壁部に嵌着されたピストンリングの下死点よりも下方、好ましくは該ピストンにおけるスカート部の下死点よりも下方で摩擦撹拌接合用工具を離脱させるようにしている。このため、燃料と空気の混合気が離脱穴に入り込むことがないので、所定の性能を発揮する内燃機関を構成することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】クローズドデッキ型シリンダブロックを構成するブロック本体の要部概略縦断面図である。
【図2】図1に示すブロック本体のガスケット面側からの平面図である。
【図3】外周壁部に大径部を有するシリンダスリーブの一部切欠斜視図である。
【図4】ブロック本体の穴部にシリンダスリーブを挿入した状態を示す要部概略縦断面図である。
【図5】シリンダスリーブの外周壁部を連通穴部の内周壁部に摩擦撹拌接合にて接合する状態を示す要部概略縦断面図である。
【図6】大径部とブロック本体とを摩擦撹拌接合している状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図7】大径部をブロック本体に接合する際の摩擦撹拌接合用工具の変位方向を説明するガスケット面側からの平面説明図である。
【図8】大径部同士を接合する際の摩擦撹拌接合用工具の変位方向を説明するガスケット面側からの平面説明図である。
【図9】摩擦撹拌接合用工具におけるプローブの離脱穴がスタットボルト穴に加工されたブロック本体のガスケット面側からの平面説明図である。
【図10】シリンダスリーブにおける摩擦撹拌接合用工具のプローブの離脱穴と、下死点に位置したピストンのスカート部との位置関係を示す切欠斜視要部説明図である。
【図11】シリンダスリーブにおける摩擦撹拌接合用工具のプローブの離脱穴と、下死点に位置したピストンリングとの位置関係を示す切欠斜視要部説明図である。
【図12】一般的なクローズドデッキ型シリンダブロックの要部概略縦断面図である。
【符号の説明】
1、42…ウォータジャケット部 2、12…ガスケット面
3、72…シリンダブロック 4、10…ブロック本体
5…ボア穴 6、30a〜30c…シリンダスリーブ
18…連通穴部 24…凹部
34a〜34c…円筒部 36a〜36c…大径部
40a〜40c…環状段部 50、60…摩擦撹拌接合用工具
56、64…プローブ 70a〜70h…スタットボルト穴
80…ピストン 82…スカート部
86a〜86c…ピストンリング

Claims (3)

  1. 穴部が設けられたブロック本体と、前記穴部に挿入されたシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合することによってシリンダブロックを得るシリンダブロックの製造方法であって、
    回転動作する摩擦撹拌接合用工具を前記シリンダスリーブの内周壁部側から埋没させて前記穴部の内周壁まで到達させる工程と、
    前記摩擦撹拌接合用工具を移動させることにより、前記シリンダスリーブの肉と前記ブロック本体の肉とを摩擦熱にて軟化させるとともに前記摩擦撹拌接合用工具によって撹拌することで前記シリンダスリーブと前記ブロック本体とを接合する工程と、
    前記接合の後に前記摩擦撹拌接合用工具を離脱させる工程と、
    を有し、
    前記摩擦撹拌接合用工具は、前記穴部に挿入されるピストンの側周壁部に嵌着されたピストンリングの下死点よりも下方となる箇所で前記シリンダスリーブから離脱されることを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記摩擦撹拌接合用工具は、前記ピストンのスカート部の下死点よりも下方となる箇所で前記シリンダスリーブから離脱されることを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法において、さらに、前記ブロック本体のガスケット面と、前記シリンダスリーブのガスケット面側端面とを摩擦撹拌接合する工程を有することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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