JP2004351271A - 有機性廃水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

有機性廃水の処理方法及び処理装置 Download PDF

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堅太郎 加畑
Mikio Ide
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Abstract

【課題】有機性廃水を生物処理して浄化する際に発生する余剰汚泥の発生量を経済的に減少させることのできる有機性廃水の処理方法と、その方法に使用する処理装置を提供する。
【解決手段】有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して得た分離汚泥を該生物処理槽に返送する前に予め以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
(a)該分離汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
(b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
(c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性廃水を生物処理して浄化する有機性廃水の処理方法及び処理装置に関するものであり、生物処理により発生する余剰汚泥の発生量を減少させることのできる有機性廃水の処理方法及び処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理施設などの廃水処理施設から大量に発生する生汚泥や生物処理槽由来の余剰汚泥は脱水後、産業廃棄物として埋め立て処分したり、焼却処分している。しかし、近年、埋め立て地の確保が困難になるとともに、大量の余剰汚泥を焼却処分すると設備費、維持管理費が高くなるため、余剰汚泥の減量化が求められている。
【0003】
余剰汚泥の生物的な減量化法としては、好気性消化法や嫌気性消化法によって処理する方法が知られている。しかしながら、好気性消化法や嫌気性消化法は、10日間以上という長時間の滞留時間を必要とする割に、減量化率が低いという問題点があり、近年はほとんど用いられていない。
近年では、余剰汚泥を破砕することにより、生分解性を向上させて生物処理による分解速度を高め、破砕した余剰汚泥を廃水の生物処理槽に返送して生物的に分解し、余剰汚泥の発生量を減らす方法が提案されており(例えば、特許文献1参照)、余剰汚泥を加熱処理して汚泥を熱変成させた後、廃水の生物処理槽へ返送して分解し、余剰汚泥発生量を減量する方法が提案されている。
また、余剰汚泥をオゾン処理した後、廃水の生物処理槽へ返送して分解し、余剰汚泥発生量を減少させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−226284号公報
【特許文献2】
特開平6−206088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した余剰汚泥を加熱処理して汚泥を熱変成させた後、生物処理槽へ返送する方法では、加熱処理時間が長いため難分解性の着色成分が発生する恐れがあり問題であった。
また、上記したオゾン処理した後に生物処理槽へ返送する方法では、オゾン処理による汚泥の可溶化率が低く、またオゾン処理槽の取り扱いが複雑であり、排オゾン処理問題があった。
【0006】
本発明は、有機性廃水を生物処理して浄化する際に発生する余剰汚泥の発生量を経済的に減少させることのできる有機性廃水の処理方法と、その方法に使用する処理装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はこのような課題を解決するために鋭意検討した結果、分離汚泥の一部又は全部について特定の加熱処理を施すことにより、難分解性の着色成分の発生を伴わずに汚泥を熱処理し、熱処理した汚泥を前記生物処理工程へ返送することにより、有機性廃水を生物処理して浄化する際に発生する余剰汚泥の発生量を大幅に減少でき、さらに予熱器に熱交換器を用いることで熱回収ができるとともに、生物処理槽への熱の影響を軽減できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の第一の発明は、有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を該生物処理槽に返送する有機性廃水の処理方法において、該分離汚泥を該生物処理槽に返送する前に予め以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法を要旨とするものである。
(a)該分離汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
(b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
(c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
【0009】
第二の発明は、有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を汚泥処理槽に供給して汚泥処理する工程を備える有機性廃水の処理方法において、該分離汚泥を該汚泥処理槽に供給する前に予め以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法を要旨とするものである。
(a)該分離汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
(b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
(c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
【0010】
第三の発明は、有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を汚泥処理槽に供給して汚泥処理する工程を備える有機性廃水の処理方法において、該汚泥処理槽を通過した処理汚泥についてさらに以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法を要旨とするものである。
(a)該処理汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
(b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
(c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該処理汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
【0011】
本発明の第四は、有機性廃水を生物処理するための生物処理槽、生物処理された処理液を固液分離するための固液分離手段、分離汚泥と高温汚泥との間で熱交換を行うための予熱容器、予熱後の汚泥を加熱・保温するための加熱及び保温容器、予熱容器を通過した汚泥を熱処理工程の外部に放出する際に、加圧するための加圧装置を設けることを特徴とする有機性廃水の処理装置を要旨とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の処理対象となる有機性廃水としては、通常の生物処理法により処理される有機物を含有する廃水であれば特に限定されるものではなく、家庭排水、し尿、食料品製造業廃水などの産業廃水などが挙げられる。
【0013】
本発明における生物処理としては、このような廃水中の有機物を微生物の作用によって分解・安定化する処理方法であれば特に限定されるものではなく、曝気槽で活性汚泥の存在下で曝気する好気的処理や、嫌気的処理などが挙げられる。
【0014】
生物処理槽から排出される処理液を固液分離する方法としては、膜による分離や沈殿槽による分離があげられる。固液分離後の分離水は処理水として放流される。また、分離汚泥は、必要に応じて一部を余剰汚泥として引き抜き、大部分は返送汚泥として生物処理槽に返送されか、または好気性消化あるいは嫌気性消化などの汚泥処理工程に供される。
【0015】
本発明の第一及び第二の発明は、分離汚泥の一部又は全部について熱処理を施す方法であり、本発明の第三の発明は、汚泥処理工程を経た汚泥について熱処理工程を施す方法である。
熱処理する汚泥については、固液分離後の分離汚泥や汚泥処理液そのものでも良いが、通常、それらの汚泥濃度が分離汚泥で0.2〜2重量%、また汚泥処理液で0.1〜1重量%程度と低いため、これらの汚泥を濃縮しておくことが好ましい。汚泥の濃縮装置としては、通常の汚泥の濃縮に用いられる遠心濃縮機、浮上濃縮機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、加圧脱水機などが挙げられる。濃縮後の汚泥濃度としては、汚泥を予熱容器に供給できれば特に限定されるものではないが、通常2〜5重量%が好ましい。
【0016】
以下、本発明における熱処理工程について説明する。
まず(a)工程では、分離汚泥(第一及び第二の発明の場合)又は汚泥処理汚泥(第三の発明の場合)を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行うものである。予熱容器に汚泥を供給する汚泥供給手段としては、小規模な設備で処理を行うことができ、さらに短い滞留時間で汚泥を加熱・加圧することができる点から、予熱容器に汚泥を連続的に供給できるものが好ましく、さらにその後の加熱容器、保温容器及び予熱容器へと汚泥を連続的に供給でき、吐出側に逆止弁などの逆流を防ぐ機構を有する汚泥供給装置を用いることが好ましい。そのような汚泥供給手段としては、例えば、廃水処理施設において脱水汚泥の輸送用として一般的に使用される一軸ねじポンプ、ピストンポンプなどが用いられる。
【0017】
なお、本発明でいう「連続的」とは、汚泥の熱処理をしている間は連続的に供給するということであり、廃水の処理を行っている間はずっと連続的に供給するということを指すものではない。
【0018】
予熱容器では、予熱容器に供給する分離汚泥(第一及び第二の発明の場合)又は汚泥処理汚泥(第三の発明の場合)(以下、予熱低温汚泥という。)と加熱され保温容器を通過し再び予熱容器に供給される加熱汚泥(以下、予熱高温汚泥という。)との間で熱交換を行うもので、その結果、予熱低温汚泥の温度が上昇し、予熱高温汚泥の温度が低下することとなる。
予熱容器の条件としては、予熱低温汚泥の温度を5〜40℃から20〜200℃に上昇させるもので、特に30〜90℃に上昇させるのが好ましく、また予熱高温汚泥の温度を70〜250℃から20〜200℃に低下させるもので、特に20〜80℃に低下させるのが好ましい。熱交換後の予熱低温汚泥の温度が前記した温度範囲より低いと、その後の加熱容器における加熱負荷が高くなり、加熱に要する費用が高くなる。また熱交換後の予熱高温汚泥の温度が高いと、生物処理槽に返送されると生物処理槽の温度が上昇するため、生物処理槽内の微生物が死滅する恐れがあるため望ましくない。
【0019】
次の(b)工程は、予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行うものである。加熱容器は、予熱容器を通過し加熱容器に供給する汚泥(以下、加熱低温汚泥という。)を加熱するものであり、加熱容器の条件としては、加熱低温汚泥の温度を20〜200℃から70〜250℃に上昇させるもので、特に70〜100℃に上昇させるのが好ましい。加熱低温汚泥の温度上昇が低いと、有機物の熱変性が十分に進行しないため、十分な熱処理効果を得ることができない。また、250℃より高いと、運転費用及び設備費が高くなることに加えて、難分解性の着色成分が発生しやすくなるため好ましくない。
【0020】
加熱容器は、上記の加熱容器の条件を満たすものであれば限定されるものでなく、プレート式熱交換器、スパイラル式熱交換器などの各種熱交換器、蒸気吹き込みによる直接加熱、電熱ヒーターなどが挙げられる。加熱媒体としては、蒸気、温水及びシリコンオイルなどの加熱媒体を用いることができる。また加熱容器には、内温を測定するための内温計を備えておくことが好ましく、必要であれば内温が設定値を維持できるように加熱媒体の流量及び温度を制御できることが好ましい。加熱容器の内温を一定に制御することにより、安定した熱処理効果を得ることができる。
【0021】
保温容器は、加熱容器を通過し保温容器に供給する汚泥(以下、加熱高温汚泥という。)を保温するもので、保温容器での滞留時間としては30秒〜20分であり、特に30秒〜10分であることが好ましく、さらに好ましくは30秒〜4分である。滞留時間は短いほど設備は小型となり望ましいが、30秒未満とすると有機物の熱変性が十分に進行しないため、十分な熱処理効果を得ることができない。また、20分より長くすると熱変性が過度に進行するため、難分解性の着色成分が発生するため採用できない。
【0022】
保温容器は、加熱容器の内温に耐えうる材質であることが好ましく、例えばステンレス製のホールドパイプを保温容器として用いることができる。また保温容器には、出口に内温を測定するための内温計を備えておくことが好ましく、必要であれば内温が設定値を維持できるように加熱容器への加熱媒体の流量及び温度を制御できることが好ましい。
【0023】
次の(c)工程は、保温容器を通過した汚泥を予熱容器に供給して、分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出するものである。加圧の条件としては、0.01〜5MPaであることが好ましく、特に0.1〜1MPaであることが好ましい。0.01MPa以下だと汚泥の細胞を破壊するには不十分であり、可溶化が進行しない。また1MPaより大きくしても、運転費用及び設備費が高くなるだけであり好ましくない。
【0024】
加圧装置は汚泥を加圧できるものでれば特に限定されるものではなく、任意の形状のものを使用できる。なお加圧装置は予熱容器を兼用しても良い。加圧装置には、内圧を測定するための内圧計を備えておくことが好ましく、汚泥を放出するための放出口を設け、放出口には内圧もしくは時間によって制御される開閉弁を設ける。開閉弁は加圧装置の内圧が設定値に達した際に開き、それ以外では閉じるように制御されているか、又は時間で開閉が制御されていることが必要である。加圧は前記の汚泥供給手段を用いて行ってもよいが、予熱容器の後に新たに汚泥供給手段を設けて加圧してもよい。
【0025】
予熱容器、加熱容器及び保温容器は、洗浄可能な構造であることが好ましく、さらに通常洗浄及び逆洗浄が可能な構造であることが好ましい。また洗浄ポンプとしては、特に限定されるものではなく、予熱容器に汚泥を供給するポンプと併用してもよい。洗浄水としては、上水、工業用水及び処理水などを用いればよく、酸、アルカリ剤などの薬品を加えてもよい。定期的な洗浄により各容器及び配管の詰まりを防ぐことができる。
【0026】
本発明の第二及び第三の発明において用いられる汚泥処理工程は、好気性消化または嫌気性消化が採用できる。好気性消化の処理条件としては、特に限定されるものではなく、通常の好気性消化と同様の条件が採用できる。例えば好気性消化槽内の汚泥濃度としては、4〜50g/lが好ましく、処理温度としては、5〜65℃が好ましく、消化槽内の酸素濃度としては、1〜5mg/lが好ましい。
【0027】
嫌気性消化の処理条件としては、特に限定されるものではなく、通常の嫌気性消化と同様の条件が採用できる。例えば処理温度としては、15〜60℃が好ましい。
【0028】
次に、本発明の有機性廃水の処理装置について、図面を参照しながら、説明する。図1〜図4は本発明の有機性廃水の処理装置の一例を示す概略図である。
本発明の有機性廃水の処理装置は、生物処理槽、固液分離手段、汚泥の予熱、加熱及び保温手段、汚泥を予熱容器に供給するための汚泥供給装置、汚泥を熱処理工程の外部に放出する際に加圧するための加圧装置、予熱、加熱及び保温容器で熱処理された汚泥を生物処理槽へ返送する汚泥返送手段からなるものである。
【0029】
図1は、本発明の第一の方法に適用される装置であり、家庭排水、し尿、食料品製造業廃水などの産業廃水などの有機性廃水4は生物処理槽5に供給されて生物処理される。生物処理された処理液6は固液分離装置7へ送られ、処理水8と分離汚泥9に分離される。分離汚泥9の一部は熱処理工程3へ供給され、分離汚泥9の大部分は返送汚泥10として生物処理槽5に返送されるが、生物処理槽5においては、通常、効率的な生物処理のために汚泥濃度をほぼ一定に維持するために、汚泥濃度が高くなると、余剰な汚泥は引き抜き汚泥11として引き抜かれる。熱処理工程3へ供給された分離汚泥9は、汚泥供給手段12を用いて予熱低温汚泥13として連続的に予熱容器14に供給され、後記の予熱高温汚泥19と熱交換され、加熱低温汚泥15として排出される。加熱低温汚泥15は加熱容器16に移送し加熱され、加熱高温汚泥17として排出される。加熱高温汚泥17は保温容器18に供給され、一定時間滞留後、予熱高温汚泥19として排出される。予熱高温汚泥19は予熱容器14に供給され、予熱低温汚泥13と熱交換され、熱処理汚泥20として排出される。熱処理汚泥20は加圧装置22に供給され、加圧状態で放出口25より放出され、処理汚泥26となり、返送汚泥10とともに、生物処理槽5に返送される。
【0030】
図2は、本発明の第一の方法に適応される装置であり、加圧装置22を設けず、予熱容器14を加圧装置と兼用して用いたものである。予熱高温汚泥19は予熱容器14に供給され、予熱低温汚泥13と熱交換され、加圧状態で放出口25より放出され、処理汚泥26となり、返送汚泥10とともに、生物処理槽5に返送される。
【0031】
図3は、本発明の第二の方法に適用される装置であり、処理汚泥26を汚泥処理工程27に供給し、汚泥処理槽28にて好気性消化あるいは嫌気性消化し、汚泥処理液29として排出している。汚泥処理槽28が好気性消化槽の場合は、汚泥処理液29は固液分離し、処理水は水処理系に返送され、分離汚泥の大部分は汚泥処理槽28に返送され、一部は系外に排出される。汚泥処理槽28が嫌気性消化槽の場合は、汚泥処理液29は脱離液として水処理系に返送され、必要であれば汚泥処理槽28から消化汚泥が排出される。
【0032】
図4は、本発明の第三の方法に適用される装置であり、分離汚泥9の一部を汚泥処理工程27に供給し、汚泥処理槽28にて好気性消化あるいは嫌気性消化し、汚泥処理汚泥30を熱処理工程3に供給して熱処理し、処理汚泥26を汚泥処理工程27に返送している。汚泥処理槽28が好気性消化槽の場合は、汚泥処理液29を固液分離し、分離汚泥の一部を熱処理工程3に供給しても良い。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
図2に示すような処理フローの化学工場廃水処理施設にて、480m/日の有機性廃水4を1500mの生物処理槽5に流入し、処理液6を固液分離装置7に供給し、処理水8と分離汚泥9に分離し、処理水8は系外に放出し、分離汚泥9(汚泥濃度5.0g/L)は一部を熱処理工程3に供給し、大部分を返送汚泥10として生物処理槽5に返送した。なお汚泥は余剰引き抜き汚泥11として系外に放出しなかった。熱処理工程3に供給された分離汚泥9は、汚泥供給手段12を用いて固形物汚泥発生量(10kg/日)の3.3倍の0.275m/時(固形物汚泥量 33kg/日)でプレート式の予熱容器14に供給した。予熱容器14で熱交換された加熱低温汚泥15はプレート式の加熱容器16に供給し、予熱高温汚泥19が80℃以上になるように、加熱媒体に102±1℃の蒸気を用いて加熱した。加熱高温汚泥17は、容積18.3Lのホールドパイプに供給し、4分間保温した後、再び予熱容器14に供給して熱交換し、予熱容器14の内圧が0.2Mpaに達したときに、開閉弁24が開いて汚泥を放出し、処理汚泥26として返送汚泥10とともに生物処理槽5に返送した。
【0034】
図5は汚泥の減量効果を示す図であり、実施例の固形物汚泥発生量は生物処理槽5の汚泥濃度の増減と、処理水8の固形物量から求めている。推定固形物汚泥発生量は49日間で490kgであるのに対して、実施例では47kgしか汚泥は発生せず、約90%の汚泥を減量することができた。この結果から、生物処理槽で発生する汚泥の一部を熱処理工程で熱処理し、熱処理した汚泥を生物処理槽へ返送することにより、系外へ排出する汚泥量が減少することがわかる。
【0035】
表1は熱処理工程における各汚泥の温度を示しており、10℃の予熱低温汚泥13が、予熱容器14で熱交換されて69℃の加熱低温汚泥15となり、さらに加熱容器16で加熱されて82℃の加熱高温汚泥17となり、ホールドパイプで4分間保温後、81℃の予熱高温汚泥19となり、予熱容器14で熱交換されて22℃の処理汚泥26となっている。通常、10℃の汚泥を82℃まで加熱するには、72℃の温度上昇をさせる必要があるが、実施例では予熱容器で熱交換することで、69℃の汚泥を82℃に上昇させるだけでよく、13℃の温度上昇をさせるだけで良い。このことから、予熱容器で熱交換することで熱回収することができ、さらに加熱容器での加熱に要する負荷を軽減できることがわかる。
【0036】
【表1】
Figure 2004351271
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、有機性廃水を生物処理して浄化する際に発生する汚泥を熱処理工程で熱処理し、さらに生物処理工程で処理することにより、汚泥は炭酸ガスと水などに分解され余剰汚泥の大幅な減量化を実現することができる。また、本発明における熱処理工程は、予熱容器として熱交換器を用いているため熱回収が可能であり、経済的に汚泥の減量化が実現できる。また、難分解性成分の発生を伴わない熱処理方法であるため、処理汚泥を生物処理してもその処理水質が悪化するという恐れがほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃水の処理方法の工程の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の有機性廃水の処理方法の工程の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の有機性廃水の処理方法の工程の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の有機性廃水の処理方法の工程の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の有機性廃水の処理を行った場合の汚泥発生量と熱処理工程を含まない場合の汚泥発生量との比較図である。
【符号の説明】
1 生物処理工程
2 固液分離工程
3 熱処理工程
4 有機性廃水
5 生物処理槽
6 処理液
7 固液分離装置
8 処理水
9 分離汚泥
10 返送汚泥
11 余剰引き抜き汚泥
12 汚泥供給手段
13 予熱低温汚泥
14 予熱容器
15 加熱低温汚泥
16 加熱容器
17 加熱高温汚泥
18 保温容器
19 予熱高温汚泥
20 熱処理汚泥
21 内温計
22 加圧装置
23 内圧計
24 開閉弁
25 放出口
26 処理汚泥
27 汚泥処理工程
28 汚泥処理槽
29 汚泥処理液
30 汚泥処理汚泥

Claims (5)

  1. 有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を該生物処理槽に返送する有機性廃水の処理方法において、該分離汚泥を該生物処理槽に返送する前に予め以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
    (a)該分離汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
    (b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
    (c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
  2. 有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を汚泥処理槽に供給して汚泥処理する工程を備える有機性廃水の処理方法において、該分離汚泥を該汚泥処理槽に供給する前に予め以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
    (a)該分離汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
    (b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
    (c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該分離汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
  3. 有機性廃水を生物処理槽で生物処理した後、処理液を固液分離して分離水は処理水として放流させ、分離汚泥の一部又は全部を汚泥処理槽に供給して汚泥処理する工程を備える有機性廃水の処理方法において、該汚泥処理槽を通過した処理汚泥についてさらに以下の熱処理工程を施すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
    (a)該処理汚泥を予熱容器に供給して、保温容器を通過した汚泥との間で熱交換を行う工程
    (b)予熱容器を通過した汚泥を加熱容器に供給して70〜250℃に加熱した後、滞留時間30秒〜20分間保温容器で保温を行う工程
    (c)保温容器を通過した汚泥を該予熱容器に供給して、該処理汚泥との間で熱交換を行った後、熱処理工程の外部に放出する際に、加圧状態にして汚泥を放出する工程
  4. 汚泥処理槽が、好気性消化槽または嫌気性消化槽であることを特徴とする請求項2または3記載の有機性廃水の処理方法。
  5. 有機性廃水を生物処理するための生物処理槽、生物処理された処理液を固液分離するための固液分離手段、分離汚泥と高温汚泥との間で熱交換を行うための予熱容器、予熱後の汚泥を加熱・保温するための加熱及び保温容器、予熱容器を通過した汚泥を熱処理工程の外部に放出する際に、加圧するための加圧装置からなることを特徴とする有機性廃水の処理装置。
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