JP2004350947A - 運動状態管理システム及び方法、脈拍データ処理装置及び方法、コンピュータプログラム - Google Patents

運動状態管理システム及び方法、脈拍データ処理装置及び方法、コンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】被験者が有効な運動をどの程度行っているのかが分かり、効果的な運動指針を得ることができる運動状態管理システムを実現する。
【解決手段】単位時間当たりの脈拍数を測定する携帯型脈拍計1と、該測定された脈拍数データをファイル化して転送する携帯型データ転送装置2と、該ファイル内の脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出機能及び該抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析機能を有する脈拍データ処理装置4とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脈拍を測定して運動状態の管理を行う運動状態管理システム及び方法、並びにその運動状態管理システムで使用される脈拍データ処理装置及び方法、並びにその脈拍データ処理装置をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ランニングやジョギング等の手軽にできるスポーツにより自己の健康管理を行おうとする人々が増加している。また、スポーツの場面以外でも日常の脈拍を測定することで健康管理の指標にする人々が増加して来ている中で、脈拍計は、それらの人々に広く利用されている。従来の脈拍計として、ランニングやジョギング中に携帯して意識せずに連続的に脈拍数の測定が可能な携帯型脈拍計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、使用者の脈波を測定し、この測定した脈波から得られる血液循環状態を該使用者に通知することによって、該使用者が自分の血液循環の状態を把握でき、成人病等の疾病の予知に役立てることが可能な健康状態管理装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この健康状態管理装置は、上記した携帯型脈拍計と同様に携帯することが可能な構造となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−317912号公報(第3−4頁、第1,15図)
【特許文献2】
特開平9−135819号公報(第6−7頁、第1,3,5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の技術では、脈拍数又は血液循環状態が被験者に通知されるが、被験者が日常生活において有効な運動をどの程度行っているのかが分かりづらいという問題がある。このため、健康維持のための効果的な運動指針が得られず、運動していても十分な効果を上げることができない虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、被験者が有効な運動をどの程度行っているのかが分かり、効果的な運動指針を得ることができる運動状態管理システム、運動状態管理方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、本発明の運動状態管理システムで使用される脈拍データ処理装置、脈拍データ処理方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、本発明の脈拍データ処理装置をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の運動状態管理システムは、単位時間当たりの脈拍数を測定する脈拍測定手段と、前記脈拍測定手段によって測定された脈拍数データを蓄積するデータ蓄積手段と、前記データ蓄積手段による脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記脈拍測定手段は携帯可能であり、前記脈拍測定手段の測定データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、前記無線送信手段からの受信データを前記データ蓄積手段へ出力する無線受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記脈拍測定手段及び前記データ蓄積手段は携帯可能であり、前記データ蓄積手段の蓄積データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、前記無線送信手段からの受信データを前記運動状態抽出手段へ出力する無線受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の運動状態管理システムは、単位時間当たりの脈拍数を測定する脈拍測定手段と、前記脈拍数の被測定者の体動を測定する体動測定手段と、前記脈拍測定手段によって測定された脈拍数データと、前記脈拍数データと同時に前記体動測定手段によって測定された体動データとを対応付けて蓄積するデータ蓄積手段と、前記データ蓄積手段による脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備え、前記運動状態抽出手段は、前記被測定者の体動に基づいて前記運動状態の抽出部分を補正することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記脈拍測定手段及び前記体動測定手段は携帯可能であり、前記脈拍測定手段及び前記体動測定手段の測定データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、前記無線送信手段からの受信データを前記データ蓄積手段へ出力する無線受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記脈拍測定手段、前記体動測定手段及び前記データ蓄積手段は携帯可能であり、前記データ蓄積手段の蓄積データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、前記無線送信手段からの受信データを前記運動状態抽出手段へ出力する無線受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者に固有の所定の運動強度を用いてカルボーネンの式から得られた単位時間当たりの脈拍数を、有効な運動状態であるか否かの判定用閾値として使用することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記運動状態抽出手段は、前記判定用閾値を使用して有効であると判定した脈拍数データが一定期間以上連続している部分のみを抽出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の運動状態管理システムにおいては、前記運動状態分析手段による分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する運動診断手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の運動状態管理方法は、単位時間当たりの脈拍数を測定する過程と、前記測定された脈拍数データを蓄積する過程と、前記蓄積された脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程とを含むことを特徴としている。
【0019】
本発明の運動状態管理方法は、単位時間当たりの脈拍数を測定するとともに、前記脈拍数の被測定者の体動を測定する過程と、同時に前記測定された脈拍数データと体動データとを対応付けて蓄積する過程と、前記蓄積された脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、前記被測定者の体動に基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する過程と、前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程とを含むことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の運動状態管理方法においては、前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する過程を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の脈拍データ処理装置は、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
本発明の脈拍データ処理装置は、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備え、前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の脈拍データ処理装置においては、前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者に固有の所定の運動強度を用いてカルボーネンの式から得られた単位時間当たりの脈拍数を、有効な運動状態であるか否かの判定用閾値として使用することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の脈拍データ処理装置においては、前記運動状態抽出手段は、前記判定用閾値を使用して有効であると判定した脈拍数データが一定期間以上連続している部分のみを抽出することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の脈拍データ処理装置においては、前記運動状態分析手段による分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する運動診断手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
本発明の脈拍データ処理方法は、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程とを含むことを特徴としている。
【0027】
本発明の脈拍データ処理方法は、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する過程と、前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程とを含むことを特徴としている。
【0028】
また、本発明の脈拍データ処理方法においては、前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する過程を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明のコンピュータプログラムは、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する機能と、前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する機能とをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0030】
本発明のコンピュータプログラムは、単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する機能と、前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する機能と、前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する機能とをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0031】
また、本発明のコンピュータプログラムにおいては、前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする。
これにより、前述の脈拍データ処理装置がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態による運動状態管理システムの全体構成を示すブロック図である。図1において、運動状態管理システムは、携帯型脈拍計1と、この携帯型脈拍計1と近距離無線通信により接続される携帯型データ転送装置2と、この携帯型データ転送装置2と通信ネットワーク3を介して通信接続される脈拍データ処理装置4と、この脈拍データ処理装置4と通信ネットワーク3を介して通信接続される表示端末5とを備える。携帯型脈拍計1及び携帯型データ転送装置2は、被験者に着用されている。
【0033】
通信ネットワーク3は、無線通信網及び有線通信網から構成される。例えば、携帯電話網、固定電話網、専用回線網、及びインターネットなどから構成される。
以下、上記図1の運動状態管理システムの各実施形態を順次説明する。
【0034】
[第1の実施形態]
初めに、本発明の第1の実施形態による上記図1の運動状態管理システムについて詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による携帯型脈拍計1の構成を示すブロック図である。図3は、図2に示す携帯型脈拍計1の外観図である。
図2において、携帯型脈拍計1は、脈拍センサ101と脈拍数演算回路102と脈拍数記憶メモリ103と表示回路104とタイミング信号発生回路105とインタフェース回路106と無線モジュール107とを備える。また、各部へ電力を供給する電源(図示せず)を備える。
【0035】
脈拍センサ101は、被験者の手の指、例えば第2指、に装着される。そして、脈拍センサ101は、被験者の脈拍を検出してその脈波信号を脈拍数演算回路102へ出力する。
脈拍数演算回路102は、タイミング信号発生回路105からのタイミング信号(測定周期信号)を基準として、脈拍センサ101から入力される脈波信号を1分当たりの脈拍数に換算して脈拍数記憶メモリ103へ出力する。なお、この例では脈拍数測定の単位時間を1分としたが、適宜変更可能である。
【0036】
脈拍数記憶メモリ103は、脈拍数演算回路102の出力を保持し、保持した脈拍数データを表示回路104へ出力する。この脈拍数記憶メモリ103は、表示用に脈拍数を一時的に保持するためのものである。
表示回路104は、脈拍数記憶メモリ103で保持した脈拍数データを、タイミング発生回路105から入力されるタイミング信号にしたがって表示する。
タイミング信号発生回路105は、所定のタイミング信号を脈拍数演算回路102と表示回路104に出力する。
【0037】
インタフェース回路106は、無線モジュール107へデータを受け渡すためのインタフェース機能を有する。インタフェース回路106は、脈拍数記憶メモリ103で保持した脈拍数データを、無線モジュール107へ出力する。
無線モジュール107は近距離無線通信機能を有する。例えば、「ブルートゥース」と呼ばれる無線通信規格に準拠したものが利用できる。無線モジュール107は、インタフェース回路106からの入力データ(脈拍数データ)を無線送信する。なお、無線モジュール107には、少なくとも無線送信機能を備えればよい。
【0038】
図3には、上記図2の携帯型脈拍計1として、腕時計と組み合わせた形態が示されている。図3の例では、指サック型のセンサ部1001を使用している。センサ部1001には、上記図2の脈拍センサ101が具備されている。脈拍センサ101の出力信号はケーブルで時計ヘッド1002に接続される。また、時計ヘッド1002には、上記図2の脈拍センサ101以外の各部が具備されている。
【0039】
図4は、本発明の第1の実施形態による携帯型データ転送装置2の構成を示すブロック図である。
図4において、携帯型データ転送装置2は、無線モジュール201とデータファイル化部202とファイル記憶部203とファイル転送部204と無線通信部205とを備える。また、各部へ電力を供給する電源(図示せず)を備える。
【0040】
無線モジュール201は、上記した携帯型脈拍計1の無線モジュール107と無線通信するための近距離無線通信機能を有する。無線モジュール201は、携帯型脈拍計1から送信された脈拍数データを受信してデータファイル化部202へ出力する。なお、無線モジュール201には、少なくとも無線受信機能を備えればよい。
【0041】
データファイル化部202は、入力データをファイル化する機能を有する。このファイル化は、ファイル記憶部203上で行われる。ファイル記憶部203は、所定形式のデータファイル301を保持している。データファイル化部202は、無線モジュール201から入力される脈拍数データを、測定された順番で、ファイル記憶部203のデータファイル301内に蓄積する。これにより、データファイル301には、所定の測定周期で測定された脈拍数データが、時系列に沿って格納される。又は、データファイル化部202は、測定時刻とともに脈拍数データをデータファイル301に蓄積してもよい。
【0042】
ファイル転送部204は、データ通信によるファイル転送機能を有する。このファイル転送は、無線通信部205により確立された通信回線を介して行われる。ファイル転送部204は、ファイル転送時に、無線通信部205により脈拍データ処理装置4との間の通信回線を確立する。そして、ファイル転送部204は、無線通信部205により確立された通信回線を介して、ファイル記憶部203で保持されているデータファイル301を脈拍データ処理装置4へ転送する。
【0043】
なお、無線通信部205は、特定の無線通信網に接続するものであり、該無線通信網を介して脈拍データ処理装置4との間の通信回線を確立する。例えば、無線通信部205は、特定の携帯電話網と接続する端末として機能する。
【0044】
図5は、本発明の第1の実施形態による脈拍データ処理装置4の構成を示すブロック図である。
図5において、脈拍データ処理装置4は、ファイル受信部401と運動状態抽出部402と運動状態分析部403と運動診断部404と表示データ生成部405とデータ送信部406と記憶部410とを備える。
【0045】
ファイル受信部401は、通信ネットワーク3に接続し、上記した携帯型データ転送装置2から転送されるデータファイル301を受信する機能を有する。ファイル受信部401は、受信したデータファイル301を運動状態抽出部402へ出力する。
【0046】
運動状態抽出部402は、ファイル受信部401から入力されるデータファイル301内の脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する機能を有する。運動状態抽出部402は、抽出した脈拍数データ(抽出データ)を運動状態分析部403へ出力する。
【0047】
運動状態分析部403は、運動状態抽出部402から入力される抽出データに基づいて運動状態を分析する機能を有する。運動状態分析部403は、分析した結果のデータを運動診断部404へ出力する。また、運動状態分析部403は、表示端末5に表示させる分析結果データを表示データ生成部405へ出力する。
【0048】
運動診断部404は、運動状態分析部403から入力される分析結果データの分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを生成する機能を有する。運動診断部404は、生成した運動指針データを表示データ生成部405へ出力する。
【0049】
表示データ生成部405は、表示端末5に表示させるための表示データを生成する機能を有する。表示データ生成部405は、運動状態分析部403から入力される分析結果データ及び運動診断部404から入力される運動指針データを、表示端末5の画面仕様(画面の大きさ、解像度等)に合わせて加工し、表示データを生成する。そして、表示データ生成部405は、生成した表示データをデータ送信部406へ出力する。
【0050】
データ送信部406は、通信ネットワーク3に接続し、表示端末5へデータを送信する機能を有する。データ送信部406は、データ送信部406から入力される表示データを表示端末5へ送信する。送信された表示データが表示端末5で受信されると、表示端末5は、受信した表示データを画面表示する。
【0051】
なお、表示端末5は、有線により通信ネットワーク5と接続するものであってもよく、あるいは無線により接続するものであってもよい。表示端末5としては、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants:個人用情報機器)等の携帯端末などが利用可能である。
【0052】
記憶部410は各種データを記憶する。記憶部410は各部401〜406からアクセス可能である。記憶部410上には、個人別管理データベース411が構築される。また、記憶部410は、運動ランクテーブル412と運動診断テーブル413を保持する。
【0053】
個人別管理データベース411には、被験者別に、個人情報(氏名、居住地域、性別、年齢、体重、安静時の心拍数、抽出用運動強度等)、運動状態の分析結果の履歴、運動診断結果の履歴などが記録される。上記個人情報中の抽出用運動強度は、各個人の運動能力に応じて、有効な運動となる心拍数に基づき設定される。なお、運動強度とは、当該者の最大心拍数に対する運動中の心拍数の比率(百分率)で表されるものである。
【0054】
運動ランクテーブル412には、被験者が行った運動がどの程度有効なものであるかをランク付けするための情報が記録されている。図6は、運動ランクテーブル412の構成例を示す図である。図6の例では、運動強度と運動継続時間に対応付けて当該運動の有効度が示されている。運動の有効度は、A〜Eの5段階をベースにランク付けされ、さらに優れているものとして「A+」のランクが付与されている。したがって、被験者がどの程度の運動強度の運動をどの位継続して行ったかが分かれば、運動ランクテーブル412に基づいて当該運動の有効度をランク付けできる。
【0055】
各ランクの有効度の具体的な評価内容を以下に示す。
Aランクは大変効果がある運動、
Bランクは効果がある運動、
Cランクは多少効果がある運動、
Dランクは体調維持には有効、
Eランクはあと一歩で有効な運動、
である。
【0056】
なお、上記図6の例は、日常(普段)の行動に適用する運動ランクテーブルである。このため、日常生活では通常考えられない運動に対応するランクについては、省略されている。一般的に、有酸素運動とは運動強度が60%程度までのものを指し、意識して運動をしなければ、運動強度が60%以上になることは考えにくい。例えば、運動強度が60%から70%の範囲になると、エアロビクスレベルの運動となり、このような運動が日常生活においてなされることはあまり考えられない。このような知見に基づき、運動強度が60%以上の範囲に対応するランクが省略されている。同様に、日常生活において60分以上継続して運動することは一般的でないので、運動継続時間が60分以上の範囲に対応するランクについても省略されている。
但し、万一、普段の行動で、運動強度が60%以上になった場合には、「A+」のランクとすればよい。また、運動継続時間が60分以上の場合も、「A+」のランクとすればよい。
【0057】
運動診断テーブル413には、被験者が行った運動内容に応じて被験者に運動指針を提示するための情報が記録されている。図7は、運動診断テーブル413の構成例を示す図である。図7の例では、運動の有効度「ランクA+、A〜E」と運動継続時間に対応付けて当該運動に応じた運動指針が示されている。したがって、被験者が行った運動の有効度のランクと当該運動の継続時間が分かれば、運動診断テーブル413に基づいて当該被験者に提示する運動指針を得ることができる。なお、図7の例では、説明の便宜上、運動強度にも対応付けを行っている。
【0058】
なお、上記図7の例は、上記図6の例に対応したものである。但し、万一、運動強度が60%以上になり、「A+」のランクとなった場合には、以下に示す運動指針とする。
5分〜20分未満の「A+」のランクの場合は、「少しペースを落としましょう」とする。
20分〜40分未満の「A+」のランクの場合、「そろそろ休憩しましょう」とする。
【0059】
また、運動継続時間が60分以上になり、「A+」のランクとなった場合には、以下に示す運動指針とする。
運動強度が20%〜30%未満の「A+」のランクの場合は、「少し休憩しましょう」とする。
運動強度が30%〜40%未満の「A+」のランクの場合は、「そろそろ休みましょう」とする。
運動強度が40%〜50%未満の「A+」のランクの場合は、「今後もこのペースを維持しましょう」とする。
運動強度が50%〜60%未満の「A+」のランクの場合は、「お疲れ様です、休憩しましょう」とする。
運動強度が60%以上の「A+」のランクの場合は、「すぐに休みましょう」とする。
【0060】
なお、上記した運動ランクテーブル412及び運動診断テーブル413は、被験者別に設けてもよい。また、各テーブル412、413の設定内容は、被験者の運動能力に応じて変更可能である。
【0061】
また、記憶部410には、図8に示す性別年齢別補正係数テーブル421(図5には図示せず)と、図9に示すエネルギー代謝率テーブル422(図5には図示せず)とが保持される。
図8に示されるように、性別年齢別補正係数テーブル421には、性別及び年齢別の補正係数が記録されている。この補正係数は、運動によって消費されるカロリーを後述の計算式で算出するときに使用されるものである。なお、図8に示される補正係数には、「池上春夫著,“新版運動処方 理論と実際”,第2版,朝倉書店,1991年6月30日,p.181」に記載されているものを使用している。
【0062】
図9に示されるように、エネルギー代謝率テーブル422には、運動強度に対応するエネルギー代謝率(RMR;Relative Metabolic Rate)とその運動の具体例が示されている。なお、図9に示されるエネルギー代謝率には、「池上春夫著,“新版運動処方 理論と実際”,第2版,朝倉書店,1991年6月30日,p.179」に記載されているものを使用している。また、上記図9の例は、上記図6の例に対応したものである。
【0063】
なお、上記した脈拍データ処理装置4は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、脈拍データ処理装置4はメモリおよびCPU(中央処理装置)により構成され、脈拍データ処理装置4の機能を実現するためのプログラムを実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0064】
また、個人別管理データベース411は、脈拍データ処理装置4内に具備されるものであっても、図示しない他の装置(データベースサーバ)内にあり、脈拍データ処理装置4は、通信により個人別管理データベース411にアクセスするものであってもよい。
【0065】
また、脈拍データ処理装置4には、周辺機器として入力装置、表示装置等(いずれも図示せず)が接続されるものとする。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
また、上記周辺機器については、脈拍データ処理装置4に直接接続するものであってもよく、あるいは通信回線を介して接続するようにしてもよい。
【0066】
次に、上述した第1の実施形態による運動状態管理システムの動作を説明する。
図10は、図1に示す運動状態管理システムが行う運動状態管理処理の全体の流れを示すフローチャートである。図11は、図5に示す脈拍データ処理装置4の運動状態抽出部402が行う運動状態抽出処理の流れを示すフローチャートである。図12は、図5に示す脈拍データ処理装置4の運動状態分析部403が行う運動状態分析処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
図10において、先ず、被験者に着用されている携帯型脈拍計1が、所定の測定周期で単位時間当たり(この例では1分当たり)の脈拍数を測定し、脈拍数データを携帯型データ転送装置2へ無線送信する(ステップS1)。次いで、携帯型データ転送装置2は、受信した脈拍数データを測定の時系列が分かるようにファイル化し、データファイル301を脈拍データ処理装置4へ転送する(ステップS2)。
【0068】
図13に、データファイル301の構成例が示されている。この図13の脈拍数は便宜上の値である。図13の例では、脈拍数の測定周期は16秒である。そして、脈拍数データが測定された順番で格納されている。また、測定時刻が脈拍数データに対応付けられて格納されている。なお、測定時刻は、実際の時刻であってもよく、あるいは相対的な時刻、例えば測定開始時刻を基準時刻「00時00分00秒」としたものであってもよい。
また、携帯型データ転送装置2がデータファイル301を脈拍データ処理装置4へ転送する時期は、適宜設定可能である。例えば、1日に一回、所定時刻にファイル転送する。例えば、被験者が通常睡眠中の時刻にファイル転送するようにする。
【0069】
次いで、脈拍データ処理装置4において、データファイル301が受信されると、運動状態抽出部402が運動状態抽出処理を実行する(ステップS3)。ここで、図11を参照して、ステップS3の運動状態抽出処理を説明する。先ず、運動状態抽出部402は、(1)式により、有効な運動状態の抽出基準の脈拍数Tを計算する(ステップS301)。ここで、運動状態抽出部402は、個人別管理データベース411から、被験者の個人情報に含まれる年齢及び安静時心拍数及び抽出用運動強度を取得する。
抽出基準の脈拍数T=[(220−年齢)−安静時心拍数]×抽出用運動強度+安静時心拍数 ・・・(1)
なお、(1)式は、周知のカルボーネンの式を応用している。また、「220−年齢」は最大心拍数の推定値として周知のものである。
【0070】
次いで、運動状態抽出部402は、受信したデータファイル301内の脈拍数の時系列データの中から、測定された順番で脈拍数データを読み出す(ステップS302)。そして、読み出した脈拍数データの脈拍数が抽出基準の脈拍数T以上であるか否かを判断する(ステップS303)。この判断の結果、脈拍数T以上である場合は該読み出した脈拍数データを記憶部410の所定の記憶領域に保持する(ステップS304)。
【0071】
一方、ステップS303の判断の結果、脈拍数T以上でない場合には、運動状態抽出部402は、既に保持している脈拍数データがあるか否かを判断する(ステップS305)。この判断の結果、保持している脈拍数データがある場合はステップS306へ進み、一方、保持している脈拍数データがある場合にはステップS310へ進む。
【0072】
次いで、ステップS306では、運動状態抽出部402は、記憶部410に保持されている脈拍数データから、運動の継続時間を計算する(ステップS305)。例えば、図13に示される例においては、測定周期が16秒であるので、保持されている脈拍数データの個数から1減算した値に16秒を乗じて運動継続時間を求める。又は、データファイル301に記録されている測定時間から運動継続時間を算出してもよい。
【0073】
次いで、運動状態抽出部402は、運動継続時間が一定時間以上であるか否かを判断する(ステップS307)。この例では、運動継続時間が5分以上である運動状態を有効なものとしている。ステップS307の判断の結果、5分以上である場合には、運動状態抽出部402は、有効な運動状態であるとして記憶部410に保持されている脈拍数データを読み出し、抽出データとして当該運動継続時間とともに運動状態分析部403へ出力する(ステップS308)。一方、5分以上ではない場合には、運動状態抽出部402は、記憶部410に保持されている脈拍数データをクリアする(ステップS309)。
【0074】
次いで、ステップ310では、運動状態抽出部402は、データファイル301から全ての脈拍数データを読み出したか否かを判断し、全データ読み出し完了の場合はその処理を終了する。一方、未読み出しのデータがある場合にはステップS302へ戻り、次のデータを読み出す。
【0075】
次に、図10において、運動状態分析部403は、運動状態抽出部402から抽出データ及び運動継続時間を受け取ると、運動状態分析処理を実行する(ステップS4)。ここで、図12を参照して、ステップS4の運動状態分析処理を説明する。先ず、運動状態分析部403は、(2)式により抽出データの個々の脈拍数データについて運動強度を計算し、それら運動強度を平均化して抽出データの運動強度とする(ステップS401)。
運動強度=[(運動時脈拍数−安静時心拍数)×100]÷(推定最大心拍数−安静時心拍数) ・・・(2)
但し、運動時脈拍数は抽出データの脈拍数、推定最大心拍数は上記した「220−年齢」である。
この(2)式も、上記(1)式と同様にカルボーネンの式を応用している。
【0076】
次いで、運動状態分析部403は、運動状態抽出部402から受け取った運動継続時間と算出した運動強度とに基づいて、図6の運動ランクテーブル412から該当するランクを取得する(ステップS402)。このランクは、抽出データの運動状態がどの程度有効なものであるかを示す有効度のランクである。
【0077】
次いで、運動状態分析部403は、(3)式により抽出データの運動によって消費されるカロリー(運動量)を計算する(ステップS403)。ここで、運動状態分析部403は、個人別管理データベース411から、被験者の個人情報に含まれる年齢及び性別及び体重を取得する。そして、図8の性別年齢別補正係数テーブル421から、被験者に該当する補正係数を取得する。また、図9のエネルギー代謝率テーブル422から、抽出データの運動強度に対応するエネルギー代謝率(RMR)を取得する。
カロリー消費量(Kcal)=RMR×補正係数×体重(Kg)×運動継続時間(分) ・・・(3)
【0078】
運動状態分析部403は、抽出データの運動状態の有効度のランクと該抽出データの運動継続時間とを運動診断部404へ出力する。また、分析結果の表示用に、抽出データの運動強度、運動状態の有効度のランク、運動継続時間、及びカロリー消費量を表示データ生成部405へ出力する。
【0079】
次に、図10において、運動状態診断部404は、運動状態分析部403から運動状態の有効度のランク及び運動継続時間を受け取ると、図7の運動診断テーブル413から運動状態の有効度のランク及び運動継続時間に対応する運動指針データを取得する。そして、この取得した運動指針データを表示データ生成部405へ出力する(ステップS5)。
【0080】
次いで、表示データ生成部405は、運動状態分析部403から受け取った抽出データの運動強度、運動状態の有効度のランク、運動継続時間、及びカロリー消費量、並びに運動状態診断部404から受け取った運動指針データを、表示端末5の画面仕様に合わせて表示させるための表示データを生成する。そして、この生成した表示データを表示端末5へ出力する(ステップS6)。
【0081】
また、運動状態分析部403の分析結果のデータ及び運動状態診断部404の運動指針データは、当該被験者の履歴データとして個人別管理データベース411に記録される。
【0082】
上述したように本実施形態によれば、被験者の脈拍数データから有効な運動状態の部分を抽出して分析するので、被験者が有効な運動をどの程度行っているのかが分かり、効果的な運動指針を得ることができる。さらに、具体的な運動指針を提示するので、専門家に頼ることなく運動指針が得られる。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。図14は、本発明の第2の実施形態による携帯型脈拍計1の構成を示すブロック図である。なお、携帯型データ転送装置2は上記図4の構成と同様である。また、脈拍データ処理装置4は上記図5の構成と同様である。
図14において、携帯型脈拍計1は、上記図2の構成に更に、加速度センサ111とアナログ/デジタル(A/D)変換回路112と体動レベル判定回路113とを備える。これら各部111〜113は、図3の腕時計型の例では時計ヘッド1002に具備される。
【0084】
加速度センサ111は、腕の動きや体の上下動などの体動に比例したアナログ電圧を発生してA/D変換回路112へ出力する。A/D変換回路112は、加速度センサ111から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して体動レベル判定回路113へ出力する。
【0085】
体動レベル判定回路113は、A/D変換回路112から入力される体動に比例したデジタル信号に基づいて、単位時間(例えば1分)当たりの体動のピッチ数を算出し、算出した体動ピッチ数を体動データとしてインタフェース回路106へ出力する。インタフェース回路106は、体動レベル判定回路113から入力される体動データとともに、同時に測定された脈拍数データを無線モジュール107へ出力する。無線モジュール107は、インタフェース回路106からの入力データ(脈拍数データ及び体動データ)を携帯型データ転送装置2へ無線送信する。
【0086】
次に、第2の実施形態による運動状態管理システムの動作を説明する。
先ず、携帯型脈拍計1は、被験者の脈拍数と体動ピッチ数を測定して脈拍数データと体動データを携帯型データ転送装置2へ無線送信する。次いで、携帯型データ転送装置2は、携帯型脈拍計1から受信した脈拍数データと体動データをファイル化してデータファイル302を脈拍データ処理部4へ転送する。図15は、このデータファイル302の構成例である。この図15の脈拍数及び体動ピッチ数は便宜上の値である。図15に示されるように、同時刻に測定された脈拍数データと体動データ(体動ピッチ数)が対応付けされてデータファイル302に格納されている。
【0087】
次いで、脈拍データ処理部4において、運動状態抽出部402は、上記した図11の運動状態抽出処理により、データファイル302から抽出データを求める。そして、この抽出データに対して、データファイル302の体動データに基づき補正を行う。具体的には、抽出データに含まれる脈拍数データの中から、同時刻に測定された体動ピッチ数が一定値未満のデータを削除する。すなわち、同時刻に測定された体動ピッチ数が一定値以上の脈拍数データのみにより、抽出データを構成する。これにより、有効な運動状態の抽出がより正確に行われる。
以降の運動状態分析処理、運動診断処理、及び結果出力処理は上記した第1の実施形態と同様に実行される。
【0088】
この第2の実施形態によれば、有効な運動状態の抽出が正確に行われるので、被験者の運動状態の分析及び診断の精度が向上する。
【0089】
なお、運動状態分析分析部403が、被験者の脈拍数と体動とのアンバランスを検出して警告を発するようにしてもよい。例えば、体動ピッチ数が、安静時レベル、例えば略0であるにもかかわらず、脈拍数が異常に多い場合、例えば安静時心拍数「80」に対して脈拍数が「120」もある場合には、体に何らかの異常がある虞がある旨を警告メッセージとして出力する。
【0090】
次に、図16〜図18を参照して、上記した運動状態管理システムにおける運動状態管理処理の具体的な実施例を示す。図16は、被験者A氏の測定データ(脈拍数データ及び体動データ)の具体例を示すグラフ図である。図17は、図16の測定データから抽出された脈拍数データ(抽出データ)の具体例を示すグラフ図である。図16、図17において、横軸は測定開始時点からの経過時間を示している。図18は、図17の抽出データに基づく分析結果及び運動指針の表示例を示す図である。
【0091】
この例では、被験者A氏は51歳の男性であり、体重が66Kg、安静時心拍数は80である。そして、図16の測定データは、A氏の帰宅時の会社から自宅までの通勤区間において測定されたものである。図16において、体動ピッチ数が記録されている期間、測定経過時間の0〜8分までの期間と、17〜34分までの期間が、A氏が歩行していた期間である。
【0092】
そして、図16の測定データから、上記した運動状態抽出処理により有効な運動状態の脈拍数データが抽出される。この抽出データが図17に示されている。この運動状態抽出条件は、A氏の判定用運動強度が20%、運動継続時間が5分以上である。これにより、図16の脈拍数データのうち、0〜8分までのデータは無効と判断され、17〜34分までのデータのみが抽出された。
【0093】
そして、図17の抽出データに基づいて運動状態分析処理及び運動診断処理が実行され、表示データが生成される。この表示データの内容が図18に示されている。この例では、A氏は測定開始後17分〜34分までの期間に、運動強度40%の運動を17分間実施し、その運動の有効度はCランクであると分析され、カロリー消費量は79.8Kcalであった。そして、この分析結果から、「あと10分歩くと、脂肪が燃え始めます」という有酸素運動を促す運動指針が提示されている。なお、分析結果の表示内容として、運動強度の代わりに対応する脈拍数を通知するようにしてもよい。同様に、運動指針として目標の脈拍数を含めるようにしてもよい。
【0094】
このように本実施形態によれば、被験者が行った運動状態の有効度がランク付けにより具体的に示されるので、専門家に頼ることなく、被験者自身が自らの運動の有り様を的確に把握できる。さらに、具体的な運動指針が示されるので、今後の日常生活の中で運動面での改善を容易に行うことができ、生活習慣病等の予防に寄与することができる。
【0095】
さらに、個人別に、分析結果及び運動指針のデータを履歴データとして蓄積することにより、各個人の経年変化を把握することができるようになり、ヘルスケアに役立つという効果が得られる。
【0096】
また、肥満予防法として、筋力を増加させて基礎代謝を上げるトレーニングに対しても、筋力トレーニングの負荷量を脈拍数で捉えることにより、各個人の能力に応じた負荷調節が自宅でも手軽にできるようになる。
【0097】
また、図5に示す脈拍データ処理装置4が行う各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより運動状態管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0098】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0099】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、携帯型データ転送装置2が、携帯型脈拍計1からの測定データをそのまま脈拍データ処理装置4へ転送し、脈拍データ処理装置4が測定された脈拍数データ及び体動データをファイル化してもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、脈拍計及びデータ転送装置を携帯可能なものとしたが、固定式のものであってもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、運動状態の分析結果及び運動指針を表示出力したが、出力方法はこれに限定されない。例えば、プリンタ装置で印字出力するようにしてもよい。又は音声出力装置により音声で出力するようにしてもよい。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被験者の脈拍数データから有効な運動状態の部分を抽出して分析するので、被験者が有効な運動をどの程度行っているのかが分かり、効果的な運動指針を得ることができる。さらに、具体的な運動指針を提示するので、専門家に頼ることなく運動指針が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による運動状態管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による携帯型脈拍計1の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す携帯型脈拍計1の外観図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による携帯型データ転送装置2の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による脈拍データ処理装置4の構成を示すブロック図である。
【図6】運動ランクテーブル412の構成例を示す図である。
【図7】運動診断テーブル413の構成例を示す図である。
【図8】性別年齢別補正係数テーブル421の構成例を示す図である。
【図9】エネルギー代謝率テーブル422の構成例を示す図である。
【図10】図1に示す運動状態管理システムが行う運動状態管理処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図11】図5に示す運動状態抽出部402が行う運動状態抽出処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図5に示す運動状態分析部403が行う運動状態分析処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態によるデータファイル301の構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態による携帯型脈拍計1の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態によるデータファイル302の構成例である。
【図16】測定データ(脈拍数データ及び体動データ)の具体例を示すグラフ図である。
【図17】図16の測定データから抽出された脈拍数データ(抽出データ)の具体例を示すグラフ図である。
【図18】図17の抽出データに基づく分析結果及び運動指針の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1…携帯型脈拍計、2…携帯型データ転送装置、3…通信ネットワーク、4…脈拍データ処理装置、5…表示端末、101…脈拍センサ、102…脈拍数演算回路、103…脈拍数記憶メモリ、104…表示回路、105…タイミング信号発生回路、106…インタフェース回路、107,201…無線モジュール、111…加速度センサ、112…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、113…体動レベル判定回路、202…データファイル化部、203…ファイル記憶部、204…ファイル転送部、205…無線通信部、301,302…データファイル、401…ファイル受信部、402…運動状態抽出部、403…運動状態分析部、404…運動診断部、405…表示データ生成部、406…データ送信部、410…記憶部、411…個人別管理データベース、412…運動ランクテーブル、413…運動診断テーブル、421…性別年齢別補正係数テーブル、422…エネルギー代謝率テーブル

Claims (23)

  1. 単位時間当たりの脈拍数を測定する脈拍測定手段と、
    前記脈拍測定手段によって測定された脈拍数データを蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記データ蓄積手段による脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、
    前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段と、
    を備えたことを特徴とする運動状態管理システム。
  2. 前記脈拍測定手段は携帯可能であり、
    前記脈拍測定手段の測定データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、
    前記無線送信手段からの受信データを前記データ蓄積手段へ出力する無線受信手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の運動状態管理システム。
  3. 前記脈拍測定手段及び前記データ蓄積手段は携帯可能であり、
    前記データ蓄積手段の蓄積データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、
    前記無線送信手段からの受信データを前記運動状態抽出手段へ出力する無線受信手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の運動状態管理システム。
  4. 単位時間当たりの脈拍数を測定する脈拍測定手段と、
    前記脈拍数の被測定者の体動を測定する体動測定手段と、
    前記脈拍測定手段によって測定された脈拍数データと、前記脈拍数データと同時に前記体動測定手段によって測定された体動データとを対応付けて蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記データ蓄積手段による脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、
    前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備え、
    前記運動状態抽出手段は、前記被測定者の体動に基づいて前記運動状態の抽出部分を補正することを特徴とする運動状態管理システム。
  5. 前記脈拍測定手段及び前記体動測定手段は携帯可能であり、
    前記脈拍測定手段及び前記体動測定手段の測定データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、
    前記無線送信手段からの受信データを前記データ蓄積手段へ出力する無線受信手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項4に記載の運動状態管理システム。
  6. 前記脈拍測定手段、前記体動測定手段及び前記データ蓄積手段は携帯可能であり、
    前記データ蓄積手段の蓄積データを無線により転送する携帯可能な無線送信手段と、
    前記無線送信手段からの受信データを前記運動状態抽出手段へ出力する無線受信手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項4に記載の運動状態管理システム。
  7. 前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者に固有の所定の運動強度を用いてカルボーネンの式から得られた単位時間当たりの脈拍数を、有効な運動状態であるか否かの判定用閾値として使用することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかの項に記載の運動状態管理システム。
  8. 前記運動状態抽出手段は、前記判定用閾値を使用して有効であると判定した脈拍数データが一定期間以上連続している部分のみを抽出することを特徴とする請求項7に記載の運動状態管理システム。
  9. 前記運動状態分析手段による分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する運動診断手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかの項に記載の運動状態管理システム。
  10. 単位時間当たりの脈拍数を測定する過程と、
    前記測定された脈拍数データを蓄積する過程と、
    前記蓄積された脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、
    前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程と、
    を含むことを特徴とする運動状態管理方法。
  11. 単位時間当たりの脈拍数を測定するとともに、前記脈拍数の被測定者の体動を測定する過程と、
    同時に前記測定された脈拍数データと体動データとを対応付けて蓄積する過程と、
    前記蓄積された脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、
    前記被測定者の体動に基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する過程と、
    前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程と、
    を含むことを特徴とする運動状態管理方法。
  12. 前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する過程を含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の運動状態管理方法。
  13. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、
    前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段と、
    を備えたことを特徴とする脈拍データ処理装置。
  14. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する運動状態抽出手段と、
    前記運動状態抽出手段による抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する運動状態分析手段とを備え、
    前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正することを特徴とすることを特徴とする脈拍データ処理装置。
  15. 前記運動状態抽出手段は、前記脈拍数の被測定者に固有の所定の運動強度を用いてカルボーネンの式から得られた単位時間当たりの脈拍数を、有効な運動状態であるか否かの判定用閾値として使用することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の脈拍データ処理装置。
  16. 前記運動状態抽出手段は、前記判定用閾値を使用して有効であると判定した脈拍数データが一定期間以上連続している部分のみを抽出することを特徴とする請求項15に記載の脈拍データ処理装置。
  17. 前記運動状態分析手段による分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する運動診断手段を備えたことを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれかの項に記載の脈拍データ処理装置。
  18. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、
    前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程と、
    を含むことを特徴とする脈拍データ処理方法。
  19. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する過程と、
    前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する過程と、
    前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する過程と、
    を含むことを特徴とする脈拍データ処理方法。
  20. 前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する過程を含むことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の脈拍データ処理方法。
  21. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する機能と、
    前記抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する機能と、
    をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  22. 単位時間当たりの脈拍数の時系列データの中から有効な運動状態の部分を抽出する機能と、
    前記脈拍数の被測定者から前記脈拍数とともに測定された体動データに基づいて前記運動状態の抽出部分を補正する機能と、
    前記補正後の抽出データに基づいて運動状態を分析し、分析結果を出力する機能と、
    をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  23. 前記運動状態の分析結果に応じて、運動の診断を行い、運動指針データを出力する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項21または請求項22に記載のコンピュータプログラム。
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