JP2004350736A - 蒸し器 - Google Patents
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Abstract
【課題】筐体の内部から複層透明部材を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高める。
【解決手段】筐体の外面を複層透明部材であるガラス7で構成した蒸し器において、内ガラス21と外ガラス22の間の閉空間に面した内ガラス21の内面に熱反射フィルム26を設ける。筐体内部の熱がガラス7を通過しようとする際に、熱反射フィルム26により反射されるため、ガラス7の表面からの熱の逃げを防止できる。また、ガラス7の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる。
【選択図】 図3
【解決手段】筐体の外面を複層透明部材であるガラス7で構成した蒸し器において、内ガラス21と外ガラス22の間の閉空間に面した内ガラス21の内面に熱反射フィルム26を設ける。筐体内部の熱がガラス7を通過しようとする際に、熱反射フィルム26により反射されるため、ガラス7の表面からの熱の逃げを防止できる。また、ガラス7の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファーストフードなどの各種店舗に設置される調理品販売・保温用の蒸し器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファーストフードなどにおける調理品の販売においては、各商品ごとにそれぞれの容器(販売機)が用いられており、数種類の商品を同時に販売する場合には、設置場所を多く必要とするなどの不都合があった。こうした問題に対処するには、例えば特許文献1に開示されるように、蒸し室である箱状の筐体内に棚を上下方向に多段配置し、蒸気制御弁を開閉制御しながら筐体内に蒸気を導入することで、棚に載置される食品の加熱や保温を行う蒸し器を利用した販売形態が普及してきている。
【0003】
この種の蒸し器のショウケースは、図16にその外観図を示すように、一乃至複数段の棚201を筐体202の内部に備えると共に、この筐体202の外郭をなす部材(外郭部材)を、透明部材であるガラス203で形成している。棚201には、図示しない食材などが陳列される。またこの図16では、外郭部材の前面と両側面を形成するガラス203が、枠状部材204によって支持されているが、一般的には顧客に対する食材の見易さなどを考慮して、この外郭部材の前面と両側面を一体ガラスで構成したものが主流である。さらに、使用するガラス203は断熱性を高めるために、複層透明部材である複層(二重)ガラスとするのが主流である。
【0004】
ガラス203として複層ガラスを用いた場合、内外のガラス面を一定の間隔をもって一体化する必要があることから、複層ガラスの端部にはスペーサのような保持部材が必要になる。また、筐体202の下部には蒸気発生装置(図示せず)が設けられていることから、複層ガラスを構成する外側ガラスには、複層ガラス内部の空気を対流させ、外面のガラス温度を低下させるための穴が、複層ガラスの概ね上下端部近傍に設けられている。
【0005】
一方、このような蒸し器は、中華まんなどの商品を展示販売する筐体の下部中央に、蒸発容器や加熱手段を備えた蒸気発生装置が設けられており、蒸気発生装置の周囲には底部で連通開口したタンクすなわち水タンクが配置されている。そして、水タンクからの水を有底状の蒸発容器に導き、この蒸発容器を加熱手段で加熱することで、気化容器用蓋の穴を通して蒸気が筐体の内部に噴出し、陳列された食材を蒸すようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−98889号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図16に示すような複層ガラスにより筐体202の外面を構成した蒸し器は、ガラス203からの放熱を極力少なくして省エネを図ることに考慮されてはいるが、ガラス203からの放熱は、外側ガラスや内側ガラスの厚さや、外側および内側ガラス間の空気層の厚さで決まってしまい、筐体202内部の熱を外部に逃がさないようにする省エネとしての効果は、自ずと限度があった。とりわけ、コンビニエンスストア(CVS)などで中華まん販売機として設置される蒸し器は、昼夜を問わず一日中運転する場合が多く、複層ガラスを通しての熱の逃げは大きな課題であった。
【0008】
また、筐体の外面一側には商品を出し入れするための開口部が設けられていて、この開口部を塞ぐための扉が開閉可能に設けられている。特に蒸し器の扉は、筐体の内部を見やすくするためと、ショーケース的な要素から、周囲の枠を除く略全面をガラスなどの透明部材で構成するのが一般的であった。しかし、ここでも前述のような透明部材を通しての熱の逃げにより、筐体内部の熱が外部に放散しているのが実態であった。
【0009】
一方、上記構造の蒸し器では、水タンク内の液体すなわち水が蒸気発生装置によって蒸気として筐体の内部に供給されると、筐体の壁面を構成するガラスなどの内面に結露水が付着し、これが水滴として下方に滴下して水タンク内に回収される。そして、水タンク内に既に貯留している水に交じって再度蒸気発生装置により筐体の内部に蒸気として供給されるようになっている。
【0010】
ところがこの過程で水タンクに回収される水滴には、筐体の内部に充満している中華まんなどの臭気や、肉まんの皮などの破片が混じっており、再度蒸気として筐体の内部に供給すると、他の商品に不快な臭いが移る要因となっていた。また、臭いが移ることにより、筐体の内部で長時間保温した場合の商品価値を著しく低下させていた。
【0011】
こうした問題を回避するには、蒸気発生装置の蒸発容器に水を供給する水タンクと、筐体の壁面から滴下する水滴を回収する結露回収タンクとを分割して設け、商品への臭い移りを低減させると共に、回収した結露水を再利用できないようにして、衛生性を高めることが考えられる。しかし、水タンクと結露回収タンクのそれぞれに弁体付きの排水ホースを必要とし、その構造が複雑になると共に、個々に排水ホースを持って排水を行なわなければならず、作業が面倒であった。
【0012】
また、従来の蒸し器は、中華まんなどの商品を蒸すための蒸しスイッチと、商品を一定温度に維持する保温スイッチが併設されている。しかしこれでは、商品を蒸すタイミングや個数に応じて、2つのスイッチを使い分けながら操作を行なう必要があり、使い勝手に不便があった。また、大きさや種類の異なる中華まんを同時に蒸した場合に、各々の中華まんの温度上昇速度に差があって、販売可能な時間になっても均一な蒸し上がり状態が得られない不満があった。
【0013】
さらに、筐体内部を保温する際の保温温度は固定した一種類しか設定できず、温度を上げて保温したい場合でもできないという不便さがあった。また、筐体内部の温度をセンサで検知して、これをデジタル表示する場合には、筐体内部で温度に変化があると、その温度表示が頻繁に切り替わり、煩わしい不具合があった。逆に、温度表示の反応を鈍くすると、例えば扉を開けた場合などに温度表示が追従しない不具合があった。
【0014】
本発明は、上述した各問題点を解決しようとするもので、筐体の内部から複層透明部材を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができる蒸し器を提供することをその第1の目的とする。
【0015】
本発明の第2の目的は、筐体の内部から扉を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができる蒸し器を提供することにある。
【0016】
本発明の第3の目的は、タンクと結露回収タンクの排液構造を簡素化にすると共に、排液作業を簡単に行なうことができる蒸し器を提供することにある。
【0017】
本発明の第4の目的は、スイッチ操作を頻繁行なうことなく、筐体の温度状態に応じた最適な温度制御を自動的に行なうことが可能な蒸し器を提供することにある。
【0018】
本発明の第5の目的は、筐体の温度表示を、状況に応じて最適なものにできる蒸し器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明における請求項1の蒸し器では、筐体内部の熱が複層透明部材を通過しようとする際に、反射材により反射されるため、複層透明部材の表面からの熱の逃げを防いで、省エネ効果を高めることができる。また、複層透明部材の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる上に、筐体内部の商品を見やすくするために複層透明部材の領域を多くしても、省エネを図ることができる。
【0020】
本発明における請求項2の蒸し器では、反射材を層間内面の全面に設けるよりも、必要に応じて層間内面の一部にだけ設けたほうが、反射材の材料費に関わるコストアップを抑制することができる。さらに、反射材は複層透明部材の層間内面に設けられているので、日常の清掃などで反射材が傷付くなどの弊害もなく、長期にわたりその性能を維持できる。
【0021】
本発明における請求項3の蒸し器では、扉の透明部材を除く部分では、断熱材により筐体内部の熱が遮断されるため、扉からの熱の逃げを部分的に防いで、省エネ効果を高めることができる。また、顧客側から見えない側にある扉により省エネを実施しているので、ショーケースとして最も重要な商品の見易さを損なわない利点があり、販売に関するデメリットなく省エネを実現できる。
【0022】
本発明における請求項4の蒸し器では、透明部材が縦長形状を有しているため、透明部材が扉の半分以下の横幅に形成されていても、筐体の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、扉側にいる販売員が筐体の内部にある商品を不自由なく容易に確認できる。さらに重量のある透明部材を小さくすることで、扉の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0023】
本発明における請求項5の蒸し器では、開閉手段を操作するだけで、排出部を個別に開閉して、タンク若しくは結露回収タンクのいずれか一方より排液を簡単に行なうことができる。また、開閉手段はタンクと結露回収タンクの各排液部に共通して設けられており、しかも開閉手段の出口側も例えば1本の排液ホースにより共通化できるので、排液構造を簡素化することができる。
【0024】
本発明における請求項6の蒸し器では、筐体が第1の目標温度となるように保温しているときに、扉の開閉などで筐体が一時的に所定温度以下になった場合は、この所定温度以下の状態が所定時間以下であるので、第1の目標温度に加温して保温を継続する。一方、中華まんの補充などで筐体が所定温度以下になる状態が所定時間以上継続した場合は、自動的に設定が第2の目標温度に切り替わり、蒸し上げ状態となるまで加温が行なわれる。このように、筐体の温度状態に応じて、目標温度が自動的に切り替わるので、操作の手間が省けると共に、大きさや種類の違う中華まんなどを同時に蒸す場合でも、均一な蒸し上がりを得ることができる。
【0025】
本発明における請求項7の蒸し器では、筐体を最初に加温するときに、筐体が第1の目標温度に到達した後、この第1の目標温度以上の状態を所定時間維持するので、筐体の温度と商品である被加温物との温度差を縮小させることができる。したがって、筐体を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0026】
本発明における請求項8の蒸し器では、筐体の温度が多少変化しても、その温度変化が所定値に達しなければ、所定時間が経過するまで表示を切り替えないので、表示が頻繁に切り替わる不具合を一掃できる。逆に、扉を開けるなどして、筐体の温度変化が大きい場合は、すぐに表示が切り替わるので、表示をすぐに追従させることができる。
【0027】
本発明における請求項9の蒸し器では、筐体の温度が上昇しているときと、下降している場合において、その変化の度合い(温度カーブ)が異なるが、そうした差異を考慮して表示を行なうことで、温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における蒸し器の各実施例について、図面を参照しながら説明する。図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、蒸し器の全体構成を示す図1および図2において、1は略直方体に形成される筐体で、この筐体1の下部開口部には、筐体1内に加熱装置となる蒸気発生装置2を内部に備えた基台3が設けられている。基台3は、その側面外郭をなす枠状の台座4と、中央部を残して台座4の上面開口部を覆うように設けた取付座5などにより構成される。7は、ショーケースの外面に相当するガラスで、これは筐体1の前面と上面の2面を形成し、側面から見て略への字状に折り曲げ形成された複層透明部材からなる前面ガラス8と、筐体1の一側面と他側面をそれぞれ形成し、前面ガラス8の端面に略密封して取付け固定される同じく複層透明部材からなる一対の側面ガラス9とにより構成され、これらの前面ガラス8と側面ガラス9は共に取付座5に載るように設けられている。こうして、食材などの商品を陳列する筐体1は、その側面部を形成する周囲の少なくとも一方向を複層透明部材であるガラス7で覆っている。
【0029】
ガラス7が設けられていない筐体1の後面側には、非透明部材である枠状部材10が設けられ、この枠状部材10により商品を出し入れする開口部が形成される。そして、枠状部材10の開口部を密閉状態に覆うべく、周囲にパッキン(図示せず)を備えた取手付きの扉11が回動かつ開閉自在に設けられている。また、扉11を通して筐体1の内部が視認できるように、扉11はその周囲にある枠体12を除く部分に透明部材であるガラス13が設けられる。なお、14は扉11の開閉を容易にするための取手である。
【0030】
筐体1の下部にある基台3は有底筒状で、ここには前述のように筐体1内に蒸気を送り出す蒸気発生装置2が設けられる。また、筐体1の内部には、上下複数段に商品を陳列するための棚15が設けられる。棚15は、筐体1の両側部内面に設けられた左右一対のレール(図示せず)に着脱可能で、かつスライド移動可能に配置される。そして、基台3の後方に設けられた操作パネル16の操作ボタン(図示せず)を押して、蒸し器機能を選択すると、蒸気発生装置2から水を加熱蒸発させる。これによって、棚15に載置される例えば中華まんなどの蒸し器に適した食材を、良好な状態に保管できる。
【0031】
次に、枠状部材10や扉11と共に筐体1の外郭部材をなすガラス7の詳細な構成を図3〜図5に基づき説明する。本実施例におけるガラス7は、筐体1の内部に面した内ガラス21と、筐体1の外部に面した外ガラス22とにより構成され、これらの内ガラス21と外ガラス22を隙間を有した状態で保持する間隔保持部材23が、内ガラス21と外ガラス22との間の全周端面近傍に配置される。なお、ガラス7を複層透明部材とする理由は、筐体1の外面に手などを触れた場合に火傷しないようにするためである。間隔保持部材23には、ガラス7の組立て時にガラス7の上方に位置して、内ガラス21および外ガラス22と略平行に2個の穴すなわち換気穴24が設けられる。こうして、2枚の内ガラス21,外ガラス22および間隔保持部材23で形成された閉空間とガラス7の外部との間を、換気穴24により連通開口している。さらに、間隔保持部材23の外周に位置する内ガラス21と外ガラス22との間には、換気穴24を設けた部分を除きほぼ全周端面に渡って接着剤25が封印固定される。
【0032】
なお、本実施例における換気穴24は、例えばガラス7の対角位置にそれぞれ設けるなどして、間隔保持部材23のどの位置に設けられていてもよく、また個数も1個または2個に限定されない。特に換気穴24を2個設けると、ガラス7内部の対流でガラス7の温度が必要以上に下がり、蒸気発生装置2を構成する加湿ヒータの消費電力が増加する場合には、ガラス7内部の対流を少なくするために、本実施例のように換気穴24を1個だけにしてもよい。こうすれば、筐体1内部を保温温度に維持する加湿ヒータの消費電力を減らすことができる。
【0033】
前記内ガラス21の間隔保持部材23が位置する内面側には、熱遮蔽係数が0.68〜0.57の熱反射フィルム26が設けられる。この熱反射フィルム26は熱を反射するものの、可視光の通過を妨げない略透明部材で形成され、筐体1内部の視認性に影響を及ぼさないようになっている。なお、熱反射フィルム26は内ガラス21および外ガラス22で形成される閉空間に面して貼着されていればよく、外ガラス22の内面に設けられていてもよい。また、コスト面を考慮して、熱反射フィルム26を内ガラス21若しくは外ガラス22の内面全体ではなく、必要な一部分にのみ設けてもよい。
【0034】
ガラス7の端面周囲は、内ガラス21および外ガラス22の熱膨張を吸収するための弾性に富むガラスパッキン27が覆っている。また、このガラスパッキン16の外面を覆うように、ガラス7の端面周囲にはガラス枠(図示せず)が設けられており、外部の構造物(図示せず)と接合されている。ガラス7の周囲に設けられる枠部材としてのガラスパッキン26およびガラス枠には、換気穴24に対応してこの換気穴24を塞がないように図示しない連通穴が設けられており、これらの換気穴24と連通穴とにより、ガラス7の内部と庫外である筐体1の外部とを連通させている。なお、図3〜図5はいずれも前面ガラス8の構成を示しているが、他の側面ガラス9や扉11のガラス13も同様の構造を有している。
【0035】
次に上記構成についてその作用を説明すると、蒸気発生装置2の加湿ヒータを通電して筐体1内部の温度が上昇すると、筐体1の内面をなす内ガラス21が温度上昇し、ガラス7の閉空間における内部空気の温度および圧力が上昇する。この上昇した圧力に応じて、開口した換気孔24からガラス間の空気が逃げ、ガラス7の閉空間は減圧すると共に、ガラス7内部の暖まった空気が排出される。
【0036】
さらに、筐体1内部からの熱は、内ガラス21の筐体1内部に面した側から伝導し、内ガラス21の内部を伝って、内ガラス21と外ガラス22の間の閉空間に放散しようとする。しかし、内ガラス21の閉空間に面した側には熱反射フィルム26が貼り付けられているので、熱の大部分は反射され、ガラス7を複層透明部材で構成したことと相俟って、筐体1の外面となる外ガラス22の温度上昇を効果的に防止できる。なお、熱反射フィルム26によって軽減された熱は、熱反射フィルム26を通過した後に閉空間を伝導し、外ガラス22に伝わる。そして、外ガラス22の内部から外表面に達したわずかな熱だけが、室内などの外部に放散することとなる。この熱反射フィルム26を設けたことにより、外ガラス22の表面温度は、熱反射フィルム26を設けていない従来のものに比べて約4〜5℃低下し、誤って外ガラス22の表面に手などを触れたときの安全性を高めることができる。また、蒸気発生装置2の電力消費量も、従来のものに比べて5%低減され、この点で省エネを図ることができる。
【0037】
以上のように本実施例では、筐体1の例えば下部に蒸気装置としての蒸気発生装置2を備えると共に、筐体1の外面を複層透明部材であるガラス7で構成した蒸し器において、ガラス7の層間である内ガラス21と外ガラス22の間の内面に反射材としての熱反射フィルム26を設けている。
【0038】
このようにすると、筐体1内部の熱がガラス7を通過しようとする際に、熱反射フィルム26により反射されるため、ガラス7の表面からの熱の逃げを防いで、省エネ効果を高めることができる。また、ガラス7の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる上に、筐体1内部の商品を見やすくするためにガラス7の領域を多くしても、省エネを図ることができる。さらに、熱反射フィルム26はガラス7の層間内面に設けられているので、日常の清掃などで熱反射フィルム26が傷付くなどの弊害もなく、長期にわたりその性能を維持できる。
【0039】
また本実施例において、熱反射フィルム26を層間内面の全体ではなく一部にのみ部分的に設けてもよい。
【0040】
こうすると、熱反射フィルム26を層間内面の全面に設けるよりも、必要に応じて層間内面の一部にだけ設けたほうが、熱反射フィルム26の材料費に関わるコストアップを抑制することができる効果が得られる。
【0041】
次に、本発明の第2実施例を図6および図7に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0042】
本実施例は扉11の構造に関するもので、扉11以外の構成は第1実施例と全く共通している。図6および図7は、理解を容易にするために取手14などの部品を省略して示しているが、ガラス13の周囲にある枠体12は、扉11の外側に面した扉外枠29と、扉11の内側に面した扉内枠30とにより構成され、ガラス13は扉外枠29と扉内枠30に挟まれるようにして扉11の中央部に保持される。ガラス13は扉11と同様に縦長の長方形形状をなし、その短手方向(横方向)の長さは、扉11の横幅に一致する扉外枠29の横幅Wに比べて1/3程度の寸法に形成される。一方、ガラス13の長手方向は、扉11の縦幅に一致する扉外枠29の縦幅よりも多少短い程度で、少なくとも筐体1内部において上下多段に配置される棚15の全体が見通せる寸法に形成される。
【0043】
扉11の内部には、ガラス13を設けていない周囲空間に、例えば発泡スチロールなどの軽量な断熱材31が設けられる。この断熱材31は、筐体1内部からの熱の逃げを防止するためのもので、本実施例ではガラス13の上下左右に位置して、扉外枠29と扉内枠30とにより断熱材31が挟持固定され、外部からは一切見えないようになっている。なお、32は扉11を閉じたときに枠状部材10に密着する弾性パッキンである。また、図中省略しているが、扉11のガラス13は第1実施例のような内ガラス21と外ガラス22を間隔保持部材23で保持した複層透明部材で構成される。
【0044】
しかして、本実施例では蒸気発生装置2の加湿ヒータを通電して筐体1内部の温度が上昇すると、扉11のガラス13は内ガラス21から外ガラス22に熱伝導し、蒸し器の外部にある室内に放散する。しかし、扉11のガラス13は前述のようにその横幅が狭められており、外部への熱放散は極力最小限に抑えられている。一方、ガラス13の周囲に位置して、扉11の内部には断熱材31が介在しているので、扉11の枠体12を通過しようとする熱の大部分は断熱材31により遮断され、わずかな熱が扉外枠29から外部に放散される。本実施例によれば、扉11のガラス13と扉外枠29との温度差は、実験の結果として扉外枠29がガラス13の外面よりも約10℃低くなった。また、製品全体として蒸気発生装置2の消費電力も従来のものに比べて5%低減され、この点で省エネを図ることができる。
【0045】
また、扉11のガラス13は扉11の縦幅と略同じ縦長形状に形成されているので、その横幅が扉11の横幅の半分以下程度であっても、商品を陳列する網状の棚15が多段に配置された筐体1の内部を、全体的に見通すことができる。すなわち、筐体1内部に配置された棚15が上下に配置されている関係で、販売員は筐体1内部の状況を、扉11のガラス13を通して支障なく確認することができる。
【0046】
以上のように本実施例では、筐体1の例えば下部に蒸気装置としての蒸気発生装置2を備えると共に、筐体1の外面に透明部材であるガラス13を有する扉11を備えた蒸し器において、ガラスを除く扉11の部分に断熱材31を配置している。
【0047】
こうすると、扉11のガラス13を除く部分では、断熱材31により筐体1内部の熱が遮断されるため、扉11からの熱の逃げを部分的に防いで、省エネ効果を高めることができる。また、顧客側から見えない側にある扉11により省エネを実施しているので、ショーケースとして最も重要な商品の見易さを損なわない利点があり、販売に関するデメリットなく省エネを実現できる。
【0048】
また本実施例では、ガラス13は縦長形状で、扉11の半分以下の横幅に形成されている。すなわち、ガラス13が縦長形状を有しているため、ガラス13が扉11の半分以下の横幅に形成されていても、筐体1の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、扉11側にいる販売員が筐体1の内部にある商品を不自由なく容易に確認できる。さらに重量のある透明部材を小さくすることで、扉11の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施例を図8〜図11に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0050】
筐体1の下部の構成を図8および図9に基づき詳しく説明すると、この筐体1の下部にある基台3は、その側面外郭をなす枠状の台座4と、中央部を残して台座4の上面開口部を覆うように設けた取付座5と、台座4の下面開口部に設けた底板33とを備え、底板33の底面に突出して設けた脚部34が例えばテーブルなどの床面に載るようになっている。取付座5はショーケースの外面に相当するガラス7の載置部として設けられていて、ガラス7と取付座5との間には、ガラス7の熱膨張による寸法変化を吸収する枠部材35が設けられている。
【0051】
蒸気発生装置2は、加熱容器である有底円筒状の蒸発容器43と、蒸発容器43の底面に位置して設けられ、加湿手段である円環状の加湿ヒータ44を鋳込んだ加熱装置45とにより構成される。また、蒸気発生装置2の外周を取り囲むように、有底状のタンクすなわち水タンク46が設けられる。蒸発容器43の底面には連通口43Aが設けられる一方で、水タンク46の底面にも別な排水口46Aが設けられており、排水口46Aに一端を接続し、T字に分岐した他端の一方を連通口43Aに接続した給水水排水ホース49により、蒸発容器43と水タンク46との液面を一定に保っている。また、前記取付座5の一側すなわち後面側は、筐体1よりも外側に突出しており、この突出した部分の一部に有底状の給水口47の上面が開口した状態で設けられる。そして、筐体1の外部に位置する給水口47から液体である水を投入すると、水タンク46ひいては蒸発容器43に水が流入するようになっている。
【0052】
水タンク46は取付座5内において上部を開口した有底凹状に設けられているが、筐体1の中央部に位置して、水タンク46の内壁51に囲まれ上部を開口した円筒状の孔部52を形成している。また、内壁51の上縁部には、周方向に同一断面形状を有する溝53が形成され、この溝53に後述する蒸発容器43のフランジ部57下面が密着するパッキン55が嵌入される。
【0053】
一方、前記蒸気発生装置2の蒸発容器43は取付座5と別部材で設けられており、蒸発容器43の上面開口部周縁には、外側方向に延びたフランジ部57が形成される。そして、前記孔部52の上方から蒸気発生装置2を落とし込んだときに、このフランジ部57が水タンク46の内壁51上縁部を覆って、密着状態に吊設支持されるようになっている。
【0054】
前記水タンク46の外周には、筐体1内部の特にガラス7内面に付着し滴下する結露水を回収できるように、有底状の結露回収タンク58が設けられる。すなわち本実施例では、蒸発容器43への給水用の水タンク46と、結露水回収用の結露回収タンク58が、筐体1の下部にそれぞれ分離独立して設けられている。結露回収タンク58の底面には排水口58Aが設けられており、この排水口58Aに結露水排水ホース59の一端が接続され、さらに基体3の外部において、結露水排水ホース59の他端に三方向の切替弁60を構成する一方の入口60Aが接続される。また、前記T字状に分岐した給水水排水ホース49の他方端部に、切替弁60を構成する他方の入口60Bが接続される。そして、切替弁60の出口には、蒸し器の外部に水を排出する可撓管としてのドレンホース61が接続される。
【0055】
63は、蒸発容器43,水タンク46および結露回収タンク58の上面を一体で覆う蓋であって、これは蒸発容器43に対向する中央部において、蒸発容器43の内外を連通する複数個の穴すなわち蒸気穴64が設けられる。また、蓋63は端縁に形成した折曲げ部65を除いて概ね平坦状で、前記フランジ部57の上面全体に接するようになっており、フランジ部57に達した熱を、蒸発容器43と同じく熱伝導性の良好な部材からなる蓋63に速やかに伝導させるように構成している。水タンク46の内部には、この水タンク46ひいては蒸発容器43内の液位を監視するために、第1の液位検知手段としての給水センサ66が設けられると共に、結露回収タンク58の内部にも、この結露回収タンク58内の液位を監視するために、第2の液位検知手段としての回収センサ67が設けられる。
【0056】
切替弁60の構造は、図10および図11に示すように、内部で入口60A,60Bおよび出口60Cを互いに連通させたケーシング68と、このケーシング68の下部開口を塞ぐように設けられた回動自在な操作体69と、操作体69を水密状態でケーシング68に保持するパッキン70とにより構成され、操作体69はケーシング68の外部に露出して例えば矢印形の摘み68Aが形成されると共に、対向する入口60A,60Bに臨んだ第1の孔68Bと、出口60Cと常時連通する第2の孔69Cを側面にそれぞれ形成した円筒部68Dを、ケーシング68の内部に配置している。これにより、摘み68Aの操作位置を図11のAに合わせると、入口60Aと出口60Cが開いて連通する一方で、入口60Bが閉じる。また、摘み68Aの操作位置をBに合わせると、入口60Bと出口60Cが開いて連通する一方で、入口60Aが閉じる。さらに、摘み68Aの操作位置をCに合わせると、出口60Cは開くものの、入口60Aと入口60Bは閉じて、いずれも出口60Cと連通しなくなる。すなわち、入口60Aと入口60Bは、どちらか一方だけが出口60Cと連通し、入口60Aと入口60Bとの間は摘み68Aがどの操作位置にあっても連通しないようになっている。
【0057】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、切替弁68の摘み68Aの操作位置をCに合わせた状態で、給水口47から水タンク46に給水を行うと、水タンク46の排水口46Aから給水水排水ホース49を通った水が、連通口43Aから蒸発容器43内に浸入し、蒸発容器43と水タンク46は同じ液面となる。ここで運転スイッチ(図示せず)をオンにして蒸し器としての運転を開始すると、加湿ヒータ44に通電が行われて蒸発容器43が加熱され、内部の水が沸騰して蒸気が発生する。蒸発容器43から発生した蒸気は、蒸気穴64を通過して筐体1の内部に噴出し、筐体1の内部に上記が充満する。また、蒸発容器43から発生する蒸気は蓋63の底面にも直接当たるため、蓋63はその中央部において加熱され、その一部は周辺部にも熱伝導する。また、蓋63の周辺部と蒸発容器43のフランジ部57は接しているため、蓋63に与えられる蒸気熱に加えて、加熱装置45から蒸発容器43のフランジ部57に達した熱も、蓋63の周辺部に伝達し、蓋63は中央部のみならず周辺部も全体的に加熱される。蓋63は例えばアルミニウムなどの熱伝導性の良好な材料で形成されるため、蒸気穴64から噴出する蒸気のみならず、蓋63からの輻射熱によって、蓋63の上部にある筐体1の内部を、均一に加熱することができる。
【0058】
ショーケースの外面をなすガラス7は、筐体1内部の充満した上記に比べて低温であるため、ガラス7の内壁に結露水が付着する。特に、加湿ヒータ44を通電する加熱時には、蒸発容器43から常時蒸気が発生しているため、ガラス7の内壁への結露水も常時発生し、この結露水はガラス7の内壁を伝って下方に滴下する。この滴下した水滴は、ガラス7を載せる取付座5をさらに伝って、取付座5に連なる結露回収タンク58に流入し、結露回収タンク58には回収した結露水が次第に溜まってゆく。
【0059】
やがて、結露回収タンク58の水位が上昇し満水状態になると、回収センサ67がこれを検知して動作し、基体3に内蔵する制御装置(図示せず)は、ランプによる表示を行なうと共に、ブザーなどによる警報を鳴らして、蒸し器としての運転を停止する。また、蒸発容器43からの蒸気の発生に伴ない、水タンク46の水位が所定値より低下すると、給水センサ46がこれを検知して動作し、制御装置は同様にランプによる表示を行なうと共に、ブザーなどによる警報を鳴らして、蒸し器としての運転を停止する。結露回収タンク58が満水状態になった場合は、切替弁68の摘み68Aの操作位置をAに合わせれば、給水水排水ホース49の他方端部を接続する入口60Bを塞いだ状態で、結露回収タンク58に溜まった水を排出することができる。また、水タンク46が空になった場合には、蒸し器の使用初期状態と同様に、給水口47から給水を行えば、再度運転スイッチをオンにして蒸し器としての運転を開始することができる。さらに、給水センサ46若しくは回収センサ47の何れも動作していない状態で、蒸し器としての運転中に給水や排水を行なうことも可能である。
【0060】
さらに、衛生面を配慮して、蒸発容器43や水タンク46から水抜き作業を行なう場合には、切替弁68の摘み68Aの操作位置をBに合わせれば、結露水排水ホース59の端部を接続する入口60Aを塞いだ状態で、給水水排水ホース49を通して蒸発容器43や水タンク46に貯留した水を排水することができる。このように、三方向の切替弁60を使用することで、蒸発容器43や水タンク46内の水と、結露回収タンク58内の水を混ぜることなく個々に排水でき、衛生的である。
【0061】
このように本実施例では、蒸発容器43を有する蒸気発生装置2と、蒸気容器43に連通するタンクとしても水タンク46と、筐体1内部の結露水を回収する回収タンクとしての結露回収タンク58とを備えた蒸し器において、いずれも排出部に相当する水タンク46の排液部である給水水排水ホース49と、結露回収タンク58の排液部である結露水排水ホース59を個別に開閉する開閉手段としての切替弁60を設けている。
【0062】
このようにすると、切替弁60を操作するだけで、水タンク46の排液部である給水水排水ホース49と、結露回収タンク58の排液部である結露水排水ホース59を個別に開閉して、水タンク46若しくは結露回収タンク58のいずれか一方より排液を簡単に行なうことができる。また、切替弁60は給水水排水ホース49と結露水排水ホース59に共通して設けられており、しかも切替弁60の出口側も例えば1本の排液ホース(ドレンパイプ61)により共通化できるので、排液構造を簡素化することができる。
【0063】
次に、本発明の第4実施例を図12〜図15に基づき説明する。なお、上記第1実施例〜第3実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0064】
蒸し器の電気的構成を示す図12において、71は前記基台3の後面側に設けられたスイッチなどの操作手段、72は筐体1の内部温度を検出する温度検出手段としての温度センサで、これらは後述するマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと称する)73の入力側に接続される。操作手段71は、いずれも図示しないが、表示手段であるLCD80の表示を切替える表示切替えスイッチや、他に加熱動作や追炊き動作の開始および停止を指示するスイッチなどにより構成される。その他、マイコン73の入力側には、前記各実施例における給水センサ46や回収センサ47が接続される。
【0065】
73は基台3内部にある制御装置を構成する制御手段としてのマイコンで、これはいずれも図示しないが、周知のマイクロプロセッサを構成する制御装置および演算装置の他に、計時装置、ROMやRAMなどからなる記憶装置、および入出力装置などを備えて構成される。マイコン73の出力側には、蒸気発生手段を構成する加湿ヒータ44や、表示手段として取付けられたLCD80がそれぞれ接続される。
【0066】
マイコン73は自身の保有するプログラムの機能的な構成として、温度センサ72で検出される筐体1内部の温度と、計時手段の計時結果とに基づき、筐体1内が冷えた状態から、筐体1内部に陳列した食材全体を蒸し上げる蒸し運転を実行する蒸し運転制御手段74と、同じく温度センサ72で検出される筐体1内部の温度と、計時手段の計時結果とに基づき、筐体1内が温められた状態で、筐体1内部に追加投入した食材を蒸し上げる追炊き運転制御手段75と、蒸し運転制御手段74による蒸し運転を開始した後に、蒸し運転が終了するまでの残時間を算出する蒸し上げ残時間計測手段76と、追炊き運転制御手段75による追炊き運転を開始した後に、追炊き運転が終了するまでの残時間を算出する追炊き残時間計測手段77と、前記操作手段71の切替スイッチからの操作信号を受けて、蒸し運転または追炊き運転が終了するまでの残時間と、それ以外の例えば温度センサ72で検出される現在温度のいずれかをLCD80に表示させる表示制御手段78と、前記蒸し運転や追炊き運転が終了した後に、筐体1内の温度を制御温度に維持する保温制御手段79と、給水センサ66や回収センサ67から得られる水タンク46や結露回収タンク58の液量監視情報に応じて、蒸し器の運転や表示手段であるLCD80の表示状態を制御するタンク液量監視制御手段83などを備えている。
【0067】
そして、ここでの保温制御手段79は、操作手段71からの操作入力を受けて、制御温度を例えば70〜90℃の間に可変設定できる機能を備えている。なお、制御温度のみならず、筐体1内部の制御湿度も可変設定できるように構成してもよい。またマイコン73は、保温制御手段79が筐体1内部を第1の制御温度(例えば80℃または85℃)で保温中に、筐体1内部が通常の保温制御ではあり得ない所定温度(例えば50℃)以下になると、この所定温度以下の状態が一定時間(例えば1分)以下のときに、同じ保温制御手段79にて第1の制御温度に筐体1内部を保温する制御を行なう一方で、所定温度以下の状態が一定時間以上ならば、追い炊き運転制御手段75にて第1の制御温度よりも高い第2の制御温度(例えば90℃)にまで筐体1内部を蒸し上げる制御を行なう構成を備えている。
【0068】
また、筐体1内部を最初に加温する際に蒸し運転を実行する蒸し運転制御手段74は、筐体1内部と商品との温度差を少なくするために、筐体1内部が前記第1の制御温度に到達した後、この第1の制御温度以上の状態を、少なくとも所定の維持時間継続させるように加湿ヒータ44を制御する機能を備えている。
【0069】
さらに、本実施例の表示制御手段78は、温度センサ72により筐体1内部の温度変化を感知しても、一定時間が経過するまでLCD80による温度表示を切り替えず、筐体1内部の温度変化が所定値以上の場合に、前記一定時間に拘らずLCD80による温度表示を切り替えるようにLCD80の表示を制御している。それと共に表示制御手段78は、筐体1内部を加熱して筐体1内部の温度が上昇しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも高くLCD80による温度表示を行ない、逆に筐体1内部を加熱していない筐体1内部の温度が降下しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも低くLCD80による温度表示を行なう機能を備えている。
【0070】
なお、蒸し器としての機構的な構造は、上記第1実施例〜第3実施例で示したものと共通している。
【0071】
次に、上記構成についてその動作手順を説明する。図13における運転制御のフローチャートに示すように、先ず切(運転停止)の状態から、ステップS1にて操作手段71の運転スイッチを投入して蒸し運転の開始を指示すると、蒸し運転制御手段74は加湿ヒータ44を通電して筐体1内部を蒸し加熱する加熱制御を行なう(ステップS2)。そして、次のステップS3で筐体1内の温度(庫内温度)が予め設定した制御温度以上であるかを判断し、設定した制御温度以上であれば保温制御手段79による保温安定制御を実行する(ステップS4)。一方、この保温安定制御中に、筐体1内部の温度が例えば扉11を開けるなどして通常ではあり得ない所定温度C未満に低下したら(ステップS5)、ステップS2の手順に戻って、追炊き運転制御手段75による蒸し運転を行なう。以上が、蒸し器の加熱制御に関する基本動作である。
【0072】
次に、加熱制御のより詳細な動作手順を図14のグラフに基づき説明する。操作手段71の運転スイッチを投入して蒸し運転の開始を指示すると、蒸し運転制御手段74は加湿ヒータ44を通電するため、筐体1の内部が加湿されつつ、その温度も上昇する。このとき蒸し運転制御手段74は、筐体1内部の温度が所定温度Cに達するまでの時間Taをカウントする。この時間Taがある一定時間(例えば50分)よりも長ければ、蒸し運転制御手段74は自動的に第1の制御温度(目標温度)Bよりも高い第2の制御温度(目標温度)A(例えば90℃)を設定し、筐体1内部の温度がこの第2の設定温度Aに達するように加湿ヒータ44を通電して筐体1内部に対する蒸し上げ制御を行なう。そして、筐体1内部の温度が第2の設定温度Aに達したら、筐体1内部の被加温物の温度上昇を促進させるために、所定の維持時間Tdに達するまで、筐体1内部の温度を第2の設定温度Aに保つ加湿を継続する。そして、所定の維持時間Tdが経過したら、保温制御手段79により、筐体1内部の温度を第1の制御温度Bに維持する保温制御に移行する。
【0073】
この保温制御中に、例えば扉11を開閉するなどして、筐体1内部の温度が所定温度Cまで低下すると、マイコン73は加湿により筐体1内部の温度が再び所定温度Cを越えるまでの時間をカウントする。この時間Tbが例えば30秒程度で、予め設定した一定時間Ts(例えば1分)よりも短い場合は、販売のために扉11が短時間だけ開けられたと判断して、保温制御手段79にて第1の制御温度Bに筐体1内部を保温する制御を行なう。
【0074】
一方、前記時間Tcが例えば2分程度で、予め設定した一定時間Tsよりも長い場合は、扉11を開けて新しい食材を入れたと判断して、設定が第1の制御温度Bから第2の制御温度Aに切換わり、追い炊き運転制御手段75にて第2の制御温度Aにまで筐体1内部を蒸し上げる制御を行なう。こうして、実質的には蒸し運転開始時に運転スイッチを押すだけの1回のキー操作により、筐体1内部の状態に適合した温度の制御を自動的に実行し、販売員の操作の手間を省くことができる。しかも、大きさや種類の違う中華まんなどの商品を同時に蒸す際に、均一の蒸し上がりが得られる。
【0075】
次に、図13における蒸し器の加熱制御を踏まえ、LCD80による温度表示の手順を、図15のフローチャートに基づき説明する。ステップS6にて運転を開始すると、温度センサ72からの検知情報に基づいて、庫内温度である筐体1内部の温度Hka,Hkbを順に読み込む(ステップS7)。表示制御手段78は、読み込んだ温度Hkaを表示部であるLCD80にて表示し(ステップS8)、次のステップS9で筐体1内部の温度Hkbを再度読み込む。ここで表示制御手段78は、直前に読み込んだ温度Hkbと一定時間前に読み込んだ温度Hkaとの差(Hkb−Hka)をステップS10において比較する。そして、この差が予め設定されている温度差D℃(例えば10℃)以上変化している場合は、次のステップS12にてすぐにLCD80による温度表示を更新し、次のステップS13で直前に読み込んだ筐体1内部の温度Hkbを温度Hkaにして、再度ステップS9における温度Hkbの読み込みを実行する。逆にステップS10で、直前に読み込んだ温度Hkbと一定時間前に読み込んだ温度Hkaとの差が、設定された温度差D℃未満であった場合は、ステップS11に移行し、一定の切替え時間が経過していればステップS12に移行して温度表示を切替え、そうでなければそのままステップS13の手順に移行する。
【0076】
次に、筐体1内部の温度上昇時と温度下降時におけるLCD80の温度表示について説明する。表1は、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbが、前回読み込んだ筐体1内部の温度Hkaよりも高い温度上昇時において、若しくは、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbが、前回読み込んだ筐体1内部の温度Hkaよりも低い温度上昇時において、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbと、実際のLCD80の温度表示との関係を示したものである。なお、「Lo」は10℃未満の温度であることを示す表示であり、「Hi」は90℃を越える温度であることを示す表示である。
【0077】
【表1】
【0078】
この表に示すように、表示制御手段78は、筐体1内部を加熱して筐体1内部の温度が上昇しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも高くLCD80による温度表示を行ない、逆に筐体1内部を加熱していない筐体1内部の温度が降下しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも低くLCD80による温度表示を行なう。特に、温度上昇時と温度下降時における筐体1内部の温度勾配が温度毎に異なることから、オーバーシュート分を加味して個々の表示温度の設定を行なっている。これにより、温度の上昇または温度の下降によるLCD80の温度表示のばらつきを少なくすることができる。
【0079】
以上のように本実施例では、筐体1内部に蒸気を発生する加湿手段としての加湿ヒータ44を備えた蒸し器において、筐体1を第1の目標温度である第1の制御温度Bで保温中に、筐体1が所定温度C以下になると、この所定温度C以下の状態が第1の所定時間である一定時間Ts以下のときに第1の制御温度Bに加温し、一定時間Ts以上のときに第1の制御温度Bよりも高い第2の目標温度である第2の制御温度Aに加温する制御手段としてのマイコン73を備えている。
【0080】
この場合、筐体1が第1の制御温度Bとなるように保温しているときに、扉11の開閉などで筐体1が一時的に所定温度C以下になった場合は、この所定温度C以下の状態が一定時間Ts以下であるので、第1の制御温度Bに加温して保温を継続する。一方、中華まんの補充などで筐体1が所定温度以下になる状態が一定時間Ts以上継続した場合は、自動的に設定が第2の制御温度Aに切り替わり、蒸し上げ状態となるまで加温が行なわれる。このように、筐体1の温度状態に応じて、目標となる制御温度が自動的に切り替わるので、操作の手間が省けると共に、大きさや種類の違う中華まんなどを同時に蒸す場合でも、均一な蒸し上がりを得ることができる。
【0081】
また本実施例では、筐体1を最初に加温する際に、筐体1が前記第1の制御温度Bに到達した後、この第1の制御温度B以上の状態を第2の所定時間である一定時間Td維持するように構成している。
【0082】
こうすると、筐体1内部を最初に加温するときに、筐体1内部が第1の制御温度Bに到達した後、この第1の制御温度B以上の状態を一定時間維持するので、筐体1内部の温度と商品である被加温物との温度差を縮小させることができる。したがって、筐体1内部を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる
また本実施例では、筐体1内部に蒸気を発生する加湿手段としての加湿ヒータ44と、筐体1を制御温度に維持する制御手段としてのマイコン73を備え、制御温度を可変設定すなわち温度を可変できるように構成した蒸し器において、筐体1の温度変化を例えば温度センサ72により感知しても、筐体1の温度変化が所定値未満であれば、所定時間が経過するまで表示を切り替えず、逆に筐体1内部の温度変化が所定値以上であれば、所定時間に拘らず表示を切り替える構成としている。
【0083】
この場合、筐体1の温度が多少変化しても、その温度変化が所定値に達しなければ、所定時間が経過するまで表示を切り替えないので、表示が頻繁に切り替わる不具合を一掃できる。逆に、扉11を開けるなどして、筐体1の温度変化が大きい場合は、すぐに表示が切り替わるので、表示をすぐに追従させることができる。
【0084】
また本実施例では、筐体1の温度上昇時と温度下降時で異なる温度表示を行なうように構成している。
【0085】
この場合、筐体1の温度が上昇しているときと、下降している場合において、その変化の度合い(温度カーブ)が異なるが、そうした差異を考慮して温度表示を行なうことで、筐体1の温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【0086】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。例えば第4実施例において、各種の設定温度や設定時間は、実施例中に示したものに限定されない。
【0087】
【発明の効果】
本発明における請求項1の蒸し器によれば、筐体内部の商品を見やすくするために複層透明部材の領域を多くしても、筐体の内部から複層透明部材を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができると共に、蒸し器として安全な構造を提供できる。
【0088】
本発明における請求項2の蒸し器によれば、熱反射フィルムを層間内面の一部にだけ設けることで、反射材の材料費に関わるコストアップを抑制できると共に、長期にわたり反射材としての性能を維持できる。
【0089】
本発明における請求項3の蒸し器によれば、筐体の内部から扉を通しての熱の逃げを抑制して、販売に関するデメリットなく省エネ効果を高めることができる。
【0090】
本発明における請求項4の蒸し器によれば、筐体の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、販売員が商品を不自由なく容易に確認できる。さらに、扉の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0091】
本発明における請求項5の蒸し器によれば、タンクと結露回収タンクの排液構造を簡素化にすると共に、排液作業を簡単に行なうことができる。
【0092】
本発明における請求項6の蒸し器によれば、スイッチ操作を頻繁行なうことなく、筐体の温度状態に応じた最適な温度制御を自動的に行なうことが可能になると共に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0093】
本発明における請求項7の蒸し器によれば、筐体を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0094】
本発明における請求項8の蒸し器によれば、筐体の温度に関する表示を、状況に応じて最適なものにできる。
【0095】
本発明における請求項9の蒸し器によれば、温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における蒸し器の斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同上、蒸し器の斜め後方から見た斜視図である。
【図3】同上、ガラスパッキンを装着していないガラスの一部を切欠いた状態の斜視図である。
【図4】同上、図3における断面図である。
【図5】同上、ガラスパッキンをガラスの端部に装着する状態の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す扉の要部正面図である。
【図7】同上、図6のA−A線断面図である。
【図8】本発明の第3実施例を示す筐体下部の要部断面図である。
【図9】同上、基台を上方から見た平面図である。
【図10】同上、切替弁の断面図である。
【図11】同上、切替弁を下方から見た底面図である。
【図12】本発明の第4実施例を示す蒸し器の電気的構成を表したブロック図である。
【図13】同上、蒸し器の運転制御の手順を示すフローチャートである。
【図14】同上、筐体内部の温度変化を示すグラフである。
【図15】同上、表示制御に関する手順を示すフローチャートである。
【図16】従来例を示す蒸し器の斜視図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 蒸気発生装置(蒸気装置)
7 ガラス(複層透明部材)
11 扉
13 ガラス(透明部材)
26 熱反射フィルム(反射材)
31 断熱材
43 蒸発容器
44 加湿ヒータ(加湿手段)
46 水タンク(タンク)
49 給水水排水ホース(排出部)
58 結露回収タンク(回収タンク)
59 結露水排水ホース(排出部)
60 切替弁(開閉手段)
73 マイコン(制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファーストフードなどの各種店舗に設置される調理品販売・保温用の蒸し器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファーストフードなどにおける調理品の販売においては、各商品ごとにそれぞれの容器(販売機)が用いられており、数種類の商品を同時に販売する場合には、設置場所を多く必要とするなどの不都合があった。こうした問題に対処するには、例えば特許文献1に開示されるように、蒸し室である箱状の筐体内に棚を上下方向に多段配置し、蒸気制御弁を開閉制御しながら筐体内に蒸気を導入することで、棚に載置される食品の加熱や保温を行う蒸し器を利用した販売形態が普及してきている。
【0003】
この種の蒸し器のショウケースは、図16にその外観図を示すように、一乃至複数段の棚201を筐体202の内部に備えると共に、この筐体202の外郭をなす部材(外郭部材)を、透明部材であるガラス203で形成している。棚201には、図示しない食材などが陳列される。またこの図16では、外郭部材の前面と両側面を形成するガラス203が、枠状部材204によって支持されているが、一般的には顧客に対する食材の見易さなどを考慮して、この外郭部材の前面と両側面を一体ガラスで構成したものが主流である。さらに、使用するガラス203は断熱性を高めるために、複層透明部材である複層(二重)ガラスとするのが主流である。
【0004】
ガラス203として複層ガラスを用いた場合、内外のガラス面を一定の間隔をもって一体化する必要があることから、複層ガラスの端部にはスペーサのような保持部材が必要になる。また、筐体202の下部には蒸気発生装置(図示せず)が設けられていることから、複層ガラスを構成する外側ガラスには、複層ガラス内部の空気を対流させ、外面のガラス温度を低下させるための穴が、複層ガラスの概ね上下端部近傍に設けられている。
【0005】
一方、このような蒸し器は、中華まんなどの商品を展示販売する筐体の下部中央に、蒸発容器や加熱手段を備えた蒸気発生装置が設けられており、蒸気発生装置の周囲には底部で連通開口したタンクすなわち水タンクが配置されている。そして、水タンクからの水を有底状の蒸発容器に導き、この蒸発容器を加熱手段で加熱することで、気化容器用蓋の穴を通して蒸気が筐体の内部に噴出し、陳列された食材を蒸すようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−98889号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図16に示すような複層ガラスにより筐体202の外面を構成した蒸し器は、ガラス203からの放熱を極力少なくして省エネを図ることに考慮されてはいるが、ガラス203からの放熱は、外側ガラスや内側ガラスの厚さや、外側および内側ガラス間の空気層の厚さで決まってしまい、筐体202内部の熱を外部に逃がさないようにする省エネとしての効果は、自ずと限度があった。とりわけ、コンビニエンスストア(CVS)などで中華まん販売機として設置される蒸し器は、昼夜を問わず一日中運転する場合が多く、複層ガラスを通しての熱の逃げは大きな課題であった。
【0008】
また、筐体の外面一側には商品を出し入れするための開口部が設けられていて、この開口部を塞ぐための扉が開閉可能に設けられている。特に蒸し器の扉は、筐体の内部を見やすくするためと、ショーケース的な要素から、周囲の枠を除く略全面をガラスなどの透明部材で構成するのが一般的であった。しかし、ここでも前述のような透明部材を通しての熱の逃げにより、筐体内部の熱が外部に放散しているのが実態であった。
【0009】
一方、上記構造の蒸し器では、水タンク内の液体すなわち水が蒸気発生装置によって蒸気として筐体の内部に供給されると、筐体の壁面を構成するガラスなどの内面に結露水が付着し、これが水滴として下方に滴下して水タンク内に回収される。そして、水タンク内に既に貯留している水に交じって再度蒸気発生装置により筐体の内部に蒸気として供給されるようになっている。
【0010】
ところがこの過程で水タンクに回収される水滴には、筐体の内部に充満している中華まんなどの臭気や、肉まんの皮などの破片が混じっており、再度蒸気として筐体の内部に供給すると、他の商品に不快な臭いが移る要因となっていた。また、臭いが移ることにより、筐体の内部で長時間保温した場合の商品価値を著しく低下させていた。
【0011】
こうした問題を回避するには、蒸気発生装置の蒸発容器に水を供給する水タンクと、筐体の壁面から滴下する水滴を回収する結露回収タンクとを分割して設け、商品への臭い移りを低減させると共に、回収した結露水を再利用できないようにして、衛生性を高めることが考えられる。しかし、水タンクと結露回収タンクのそれぞれに弁体付きの排水ホースを必要とし、その構造が複雑になると共に、個々に排水ホースを持って排水を行なわなければならず、作業が面倒であった。
【0012】
また、従来の蒸し器は、中華まんなどの商品を蒸すための蒸しスイッチと、商品を一定温度に維持する保温スイッチが併設されている。しかしこれでは、商品を蒸すタイミングや個数に応じて、2つのスイッチを使い分けながら操作を行なう必要があり、使い勝手に不便があった。また、大きさや種類の異なる中華まんを同時に蒸した場合に、各々の中華まんの温度上昇速度に差があって、販売可能な時間になっても均一な蒸し上がり状態が得られない不満があった。
【0013】
さらに、筐体内部を保温する際の保温温度は固定した一種類しか設定できず、温度を上げて保温したい場合でもできないという不便さがあった。また、筐体内部の温度をセンサで検知して、これをデジタル表示する場合には、筐体内部で温度に変化があると、その温度表示が頻繁に切り替わり、煩わしい不具合があった。逆に、温度表示の反応を鈍くすると、例えば扉を開けた場合などに温度表示が追従しない不具合があった。
【0014】
本発明は、上述した各問題点を解決しようとするもので、筐体の内部から複層透明部材を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができる蒸し器を提供することをその第1の目的とする。
【0015】
本発明の第2の目的は、筐体の内部から扉を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができる蒸し器を提供することにある。
【0016】
本発明の第3の目的は、タンクと結露回収タンクの排液構造を簡素化にすると共に、排液作業を簡単に行なうことができる蒸し器を提供することにある。
【0017】
本発明の第4の目的は、スイッチ操作を頻繁行なうことなく、筐体の温度状態に応じた最適な温度制御を自動的に行なうことが可能な蒸し器を提供することにある。
【0018】
本発明の第5の目的は、筐体の温度表示を、状況に応じて最適なものにできる蒸し器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明における請求項1の蒸し器では、筐体内部の熱が複層透明部材を通過しようとする際に、反射材により反射されるため、複層透明部材の表面からの熱の逃げを防いで、省エネ効果を高めることができる。また、複層透明部材の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる上に、筐体内部の商品を見やすくするために複層透明部材の領域を多くしても、省エネを図ることができる。
【0020】
本発明における請求項2の蒸し器では、反射材を層間内面の全面に設けるよりも、必要に応じて層間内面の一部にだけ設けたほうが、反射材の材料費に関わるコストアップを抑制することができる。さらに、反射材は複層透明部材の層間内面に設けられているので、日常の清掃などで反射材が傷付くなどの弊害もなく、長期にわたりその性能を維持できる。
【0021】
本発明における請求項3の蒸し器では、扉の透明部材を除く部分では、断熱材により筐体内部の熱が遮断されるため、扉からの熱の逃げを部分的に防いで、省エネ効果を高めることができる。また、顧客側から見えない側にある扉により省エネを実施しているので、ショーケースとして最も重要な商品の見易さを損なわない利点があり、販売に関するデメリットなく省エネを実現できる。
【0022】
本発明における請求項4の蒸し器では、透明部材が縦長形状を有しているため、透明部材が扉の半分以下の横幅に形成されていても、筐体の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、扉側にいる販売員が筐体の内部にある商品を不自由なく容易に確認できる。さらに重量のある透明部材を小さくすることで、扉の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0023】
本発明における請求項5の蒸し器では、開閉手段を操作するだけで、排出部を個別に開閉して、タンク若しくは結露回収タンクのいずれか一方より排液を簡単に行なうことができる。また、開閉手段はタンクと結露回収タンクの各排液部に共通して設けられており、しかも開閉手段の出口側も例えば1本の排液ホースにより共通化できるので、排液構造を簡素化することができる。
【0024】
本発明における請求項6の蒸し器では、筐体が第1の目標温度となるように保温しているときに、扉の開閉などで筐体が一時的に所定温度以下になった場合は、この所定温度以下の状態が所定時間以下であるので、第1の目標温度に加温して保温を継続する。一方、中華まんの補充などで筐体が所定温度以下になる状態が所定時間以上継続した場合は、自動的に設定が第2の目標温度に切り替わり、蒸し上げ状態となるまで加温が行なわれる。このように、筐体の温度状態に応じて、目標温度が自動的に切り替わるので、操作の手間が省けると共に、大きさや種類の違う中華まんなどを同時に蒸す場合でも、均一な蒸し上がりを得ることができる。
【0025】
本発明における請求項7の蒸し器では、筐体を最初に加温するときに、筐体が第1の目標温度に到達した後、この第1の目標温度以上の状態を所定時間維持するので、筐体の温度と商品である被加温物との温度差を縮小させることができる。したがって、筐体を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0026】
本発明における請求項8の蒸し器では、筐体の温度が多少変化しても、その温度変化が所定値に達しなければ、所定時間が経過するまで表示を切り替えないので、表示が頻繁に切り替わる不具合を一掃できる。逆に、扉を開けるなどして、筐体の温度変化が大きい場合は、すぐに表示が切り替わるので、表示をすぐに追従させることができる。
【0027】
本発明における請求項9の蒸し器では、筐体の温度が上昇しているときと、下降している場合において、その変化の度合い(温度カーブ)が異なるが、そうした差異を考慮して表示を行なうことで、温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における蒸し器の各実施例について、図面を参照しながら説明する。図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、蒸し器の全体構成を示す図1および図2において、1は略直方体に形成される筐体で、この筐体1の下部開口部には、筐体1内に加熱装置となる蒸気発生装置2を内部に備えた基台3が設けられている。基台3は、その側面外郭をなす枠状の台座4と、中央部を残して台座4の上面開口部を覆うように設けた取付座5などにより構成される。7は、ショーケースの外面に相当するガラスで、これは筐体1の前面と上面の2面を形成し、側面から見て略への字状に折り曲げ形成された複層透明部材からなる前面ガラス8と、筐体1の一側面と他側面をそれぞれ形成し、前面ガラス8の端面に略密封して取付け固定される同じく複層透明部材からなる一対の側面ガラス9とにより構成され、これらの前面ガラス8と側面ガラス9は共に取付座5に載るように設けられている。こうして、食材などの商品を陳列する筐体1は、その側面部を形成する周囲の少なくとも一方向を複層透明部材であるガラス7で覆っている。
【0029】
ガラス7が設けられていない筐体1の後面側には、非透明部材である枠状部材10が設けられ、この枠状部材10により商品を出し入れする開口部が形成される。そして、枠状部材10の開口部を密閉状態に覆うべく、周囲にパッキン(図示せず)を備えた取手付きの扉11が回動かつ開閉自在に設けられている。また、扉11を通して筐体1の内部が視認できるように、扉11はその周囲にある枠体12を除く部分に透明部材であるガラス13が設けられる。なお、14は扉11の開閉を容易にするための取手である。
【0030】
筐体1の下部にある基台3は有底筒状で、ここには前述のように筐体1内に蒸気を送り出す蒸気発生装置2が設けられる。また、筐体1の内部には、上下複数段に商品を陳列するための棚15が設けられる。棚15は、筐体1の両側部内面に設けられた左右一対のレール(図示せず)に着脱可能で、かつスライド移動可能に配置される。そして、基台3の後方に設けられた操作パネル16の操作ボタン(図示せず)を押して、蒸し器機能を選択すると、蒸気発生装置2から水を加熱蒸発させる。これによって、棚15に載置される例えば中華まんなどの蒸し器に適した食材を、良好な状態に保管できる。
【0031】
次に、枠状部材10や扉11と共に筐体1の外郭部材をなすガラス7の詳細な構成を図3〜図5に基づき説明する。本実施例におけるガラス7は、筐体1の内部に面した内ガラス21と、筐体1の外部に面した外ガラス22とにより構成され、これらの内ガラス21と外ガラス22を隙間を有した状態で保持する間隔保持部材23が、内ガラス21と外ガラス22との間の全周端面近傍に配置される。なお、ガラス7を複層透明部材とする理由は、筐体1の外面に手などを触れた場合に火傷しないようにするためである。間隔保持部材23には、ガラス7の組立て時にガラス7の上方に位置して、内ガラス21および外ガラス22と略平行に2個の穴すなわち換気穴24が設けられる。こうして、2枚の内ガラス21,外ガラス22および間隔保持部材23で形成された閉空間とガラス7の外部との間を、換気穴24により連通開口している。さらに、間隔保持部材23の外周に位置する内ガラス21と外ガラス22との間には、換気穴24を設けた部分を除きほぼ全周端面に渡って接着剤25が封印固定される。
【0032】
なお、本実施例における換気穴24は、例えばガラス7の対角位置にそれぞれ設けるなどして、間隔保持部材23のどの位置に設けられていてもよく、また個数も1個または2個に限定されない。特に換気穴24を2個設けると、ガラス7内部の対流でガラス7の温度が必要以上に下がり、蒸気発生装置2を構成する加湿ヒータの消費電力が増加する場合には、ガラス7内部の対流を少なくするために、本実施例のように換気穴24を1個だけにしてもよい。こうすれば、筐体1内部を保温温度に維持する加湿ヒータの消費電力を減らすことができる。
【0033】
前記内ガラス21の間隔保持部材23が位置する内面側には、熱遮蔽係数が0.68〜0.57の熱反射フィルム26が設けられる。この熱反射フィルム26は熱を反射するものの、可視光の通過を妨げない略透明部材で形成され、筐体1内部の視認性に影響を及ぼさないようになっている。なお、熱反射フィルム26は内ガラス21および外ガラス22で形成される閉空間に面して貼着されていればよく、外ガラス22の内面に設けられていてもよい。また、コスト面を考慮して、熱反射フィルム26を内ガラス21若しくは外ガラス22の内面全体ではなく、必要な一部分にのみ設けてもよい。
【0034】
ガラス7の端面周囲は、内ガラス21および外ガラス22の熱膨張を吸収するための弾性に富むガラスパッキン27が覆っている。また、このガラスパッキン16の外面を覆うように、ガラス7の端面周囲にはガラス枠(図示せず)が設けられており、外部の構造物(図示せず)と接合されている。ガラス7の周囲に設けられる枠部材としてのガラスパッキン26およびガラス枠には、換気穴24に対応してこの換気穴24を塞がないように図示しない連通穴が設けられており、これらの換気穴24と連通穴とにより、ガラス7の内部と庫外である筐体1の外部とを連通させている。なお、図3〜図5はいずれも前面ガラス8の構成を示しているが、他の側面ガラス9や扉11のガラス13も同様の構造を有している。
【0035】
次に上記構成についてその作用を説明すると、蒸気発生装置2の加湿ヒータを通電して筐体1内部の温度が上昇すると、筐体1の内面をなす内ガラス21が温度上昇し、ガラス7の閉空間における内部空気の温度および圧力が上昇する。この上昇した圧力に応じて、開口した換気孔24からガラス間の空気が逃げ、ガラス7の閉空間は減圧すると共に、ガラス7内部の暖まった空気が排出される。
【0036】
さらに、筐体1内部からの熱は、内ガラス21の筐体1内部に面した側から伝導し、内ガラス21の内部を伝って、内ガラス21と外ガラス22の間の閉空間に放散しようとする。しかし、内ガラス21の閉空間に面した側には熱反射フィルム26が貼り付けられているので、熱の大部分は反射され、ガラス7を複層透明部材で構成したことと相俟って、筐体1の外面となる外ガラス22の温度上昇を効果的に防止できる。なお、熱反射フィルム26によって軽減された熱は、熱反射フィルム26を通過した後に閉空間を伝導し、外ガラス22に伝わる。そして、外ガラス22の内部から外表面に達したわずかな熱だけが、室内などの外部に放散することとなる。この熱反射フィルム26を設けたことにより、外ガラス22の表面温度は、熱反射フィルム26を設けていない従来のものに比べて約4〜5℃低下し、誤って外ガラス22の表面に手などを触れたときの安全性を高めることができる。また、蒸気発生装置2の電力消費量も、従来のものに比べて5%低減され、この点で省エネを図ることができる。
【0037】
以上のように本実施例では、筐体1の例えば下部に蒸気装置としての蒸気発生装置2を備えると共に、筐体1の外面を複層透明部材であるガラス7で構成した蒸し器において、ガラス7の層間である内ガラス21と外ガラス22の間の内面に反射材としての熱反射フィルム26を設けている。
【0038】
このようにすると、筐体1内部の熱がガラス7を通過しようとする際に、熱反射フィルム26により反射されるため、ガラス7の表面からの熱の逃げを防いで、省エネ効果を高めることができる。また、ガラス7の表面温度が低下するので、蒸し器として安全な構造を提供できる上に、筐体1内部の商品を見やすくするためにガラス7の領域を多くしても、省エネを図ることができる。さらに、熱反射フィルム26はガラス7の層間内面に設けられているので、日常の清掃などで熱反射フィルム26が傷付くなどの弊害もなく、長期にわたりその性能を維持できる。
【0039】
また本実施例において、熱反射フィルム26を層間内面の全体ではなく一部にのみ部分的に設けてもよい。
【0040】
こうすると、熱反射フィルム26を層間内面の全面に設けるよりも、必要に応じて層間内面の一部にだけ設けたほうが、熱反射フィルム26の材料費に関わるコストアップを抑制することができる効果が得られる。
【0041】
次に、本発明の第2実施例を図6および図7に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0042】
本実施例は扉11の構造に関するもので、扉11以外の構成は第1実施例と全く共通している。図6および図7は、理解を容易にするために取手14などの部品を省略して示しているが、ガラス13の周囲にある枠体12は、扉11の外側に面した扉外枠29と、扉11の内側に面した扉内枠30とにより構成され、ガラス13は扉外枠29と扉内枠30に挟まれるようにして扉11の中央部に保持される。ガラス13は扉11と同様に縦長の長方形形状をなし、その短手方向(横方向)の長さは、扉11の横幅に一致する扉外枠29の横幅Wに比べて1/3程度の寸法に形成される。一方、ガラス13の長手方向は、扉11の縦幅に一致する扉外枠29の縦幅よりも多少短い程度で、少なくとも筐体1内部において上下多段に配置される棚15の全体が見通せる寸法に形成される。
【0043】
扉11の内部には、ガラス13を設けていない周囲空間に、例えば発泡スチロールなどの軽量な断熱材31が設けられる。この断熱材31は、筐体1内部からの熱の逃げを防止するためのもので、本実施例ではガラス13の上下左右に位置して、扉外枠29と扉内枠30とにより断熱材31が挟持固定され、外部からは一切見えないようになっている。なお、32は扉11を閉じたときに枠状部材10に密着する弾性パッキンである。また、図中省略しているが、扉11のガラス13は第1実施例のような内ガラス21と外ガラス22を間隔保持部材23で保持した複層透明部材で構成される。
【0044】
しかして、本実施例では蒸気発生装置2の加湿ヒータを通電して筐体1内部の温度が上昇すると、扉11のガラス13は内ガラス21から外ガラス22に熱伝導し、蒸し器の外部にある室内に放散する。しかし、扉11のガラス13は前述のようにその横幅が狭められており、外部への熱放散は極力最小限に抑えられている。一方、ガラス13の周囲に位置して、扉11の内部には断熱材31が介在しているので、扉11の枠体12を通過しようとする熱の大部分は断熱材31により遮断され、わずかな熱が扉外枠29から外部に放散される。本実施例によれば、扉11のガラス13と扉外枠29との温度差は、実験の結果として扉外枠29がガラス13の外面よりも約10℃低くなった。また、製品全体として蒸気発生装置2の消費電力も従来のものに比べて5%低減され、この点で省エネを図ることができる。
【0045】
また、扉11のガラス13は扉11の縦幅と略同じ縦長形状に形成されているので、その横幅が扉11の横幅の半分以下程度であっても、商品を陳列する網状の棚15が多段に配置された筐体1の内部を、全体的に見通すことができる。すなわち、筐体1内部に配置された棚15が上下に配置されている関係で、販売員は筐体1内部の状況を、扉11のガラス13を通して支障なく確認することができる。
【0046】
以上のように本実施例では、筐体1の例えば下部に蒸気装置としての蒸気発生装置2を備えると共に、筐体1の外面に透明部材であるガラス13を有する扉11を備えた蒸し器において、ガラスを除く扉11の部分に断熱材31を配置している。
【0047】
こうすると、扉11のガラス13を除く部分では、断熱材31により筐体1内部の熱が遮断されるため、扉11からの熱の逃げを部分的に防いで、省エネ効果を高めることができる。また、顧客側から見えない側にある扉11により省エネを実施しているので、ショーケースとして最も重要な商品の見易さを損なわない利点があり、販売に関するデメリットなく省エネを実現できる。
【0048】
また本実施例では、ガラス13は縦長形状で、扉11の半分以下の横幅に形成されている。すなわち、ガラス13が縦長形状を有しているため、ガラス13が扉11の半分以下の横幅に形成されていても、筐体1の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、扉11側にいる販売員が筐体1の内部にある商品を不自由なく容易に確認できる。さらに重量のある透明部材を小さくすることで、扉11の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施例を図8〜図11に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0050】
筐体1の下部の構成を図8および図9に基づき詳しく説明すると、この筐体1の下部にある基台3は、その側面外郭をなす枠状の台座4と、中央部を残して台座4の上面開口部を覆うように設けた取付座5と、台座4の下面開口部に設けた底板33とを備え、底板33の底面に突出して設けた脚部34が例えばテーブルなどの床面に載るようになっている。取付座5はショーケースの外面に相当するガラス7の載置部として設けられていて、ガラス7と取付座5との間には、ガラス7の熱膨張による寸法変化を吸収する枠部材35が設けられている。
【0051】
蒸気発生装置2は、加熱容器である有底円筒状の蒸発容器43と、蒸発容器43の底面に位置して設けられ、加湿手段である円環状の加湿ヒータ44を鋳込んだ加熱装置45とにより構成される。また、蒸気発生装置2の外周を取り囲むように、有底状のタンクすなわち水タンク46が設けられる。蒸発容器43の底面には連通口43Aが設けられる一方で、水タンク46の底面にも別な排水口46Aが設けられており、排水口46Aに一端を接続し、T字に分岐した他端の一方を連通口43Aに接続した給水水排水ホース49により、蒸発容器43と水タンク46との液面を一定に保っている。また、前記取付座5の一側すなわち後面側は、筐体1よりも外側に突出しており、この突出した部分の一部に有底状の給水口47の上面が開口した状態で設けられる。そして、筐体1の外部に位置する給水口47から液体である水を投入すると、水タンク46ひいては蒸発容器43に水が流入するようになっている。
【0052】
水タンク46は取付座5内において上部を開口した有底凹状に設けられているが、筐体1の中央部に位置して、水タンク46の内壁51に囲まれ上部を開口した円筒状の孔部52を形成している。また、内壁51の上縁部には、周方向に同一断面形状を有する溝53が形成され、この溝53に後述する蒸発容器43のフランジ部57下面が密着するパッキン55が嵌入される。
【0053】
一方、前記蒸気発生装置2の蒸発容器43は取付座5と別部材で設けられており、蒸発容器43の上面開口部周縁には、外側方向に延びたフランジ部57が形成される。そして、前記孔部52の上方から蒸気発生装置2を落とし込んだときに、このフランジ部57が水タンク46の内壁51上縁部を覆って、密着状態に吊設支持されるようになっている。
【0054】
前記水タンク46の外周には、筐体1内部の特にガラス7内面に付着し滴下する結露水を回収できるように、有底状の結露回収タンク58が設けられる。すなわち本実施例では、蒸発容器43への給水用の水タンク46と、結露水回収用の結露回収タンク58が、筐体1の下部にそれぞれ分離独立して設けられている。結露回収タンク58の底面には排水口58Aが設けられており、この排水口58Aに結露水排水ホース59の一端が接続され、さらに基体3の外部において、結露水排水ホース59の他端に三方向の切替弁60を構成する一方の入口60Aが接続される。また、前記T字状に分岐した給水水排水ホース49の他方端部に、切替弁60を構成する他方の入口60Bが接続される。そして、切替弁60の出口には、蒸し器の外部に水を排出する可撓管としてのドレンホース61が接続される。
【0055】
63は、蒸発容器43,水タンク46および結露回収タンク58の上面を一体で覆う蓋であって、これは蒸発容器43に対向する中央部において、蒸発容器43の内外を連通する複数個の穴すなわち蒸気穴64が設けられる。また、蓋63は端縁に形成した折曲げ部65を除いて概ね平坦状で、前記フランジ部57の上面全体に接するようになっており、フランジ部57に達した熱を、蒸発容器43と同じく熱伝導性の良好な部材からなる蓋63に速やかに伝導させるように構成している。水タンク46の内部には、この水タンク46ひいては蒸発容器43内の液位を監視するために、第1の液位検知手段としての給水センサ66が設けられると共に、結露回収タンク58の内部にも、この結露回収タンク58内の液位を監視するために、第2の液位検知手段としての回収センサ67が設けられる。
【0056】
切替弁60の構造は、図10および図11に示すように、内部で入口60A,60Bおよび出口60Cを互いに連通させたケーシング68と、このケーシング68の下部開口を塞ぐように設けられた回動自在な操作体69と、操作体69を水密状態でケーシング68に保持するパッキン70とにより構成され、操作体69はケーシング68の外部に露出して例えば矢印形の摘み68Aが形成されると共に、対向する入口60A,60Bに臨んだ第1の孔68Bと、出口60Cと常時連通する第2の孔69Cを側面にそれぞれ形成した円筒部68Dを、ケーシング68の内部に配置している。これにより、摘み68Aの操作位置を図11のAに合わせると、入口60Aと出口60Cが開いて連通する一方で、入口60Bが閉じる。また、摘み68Aの操作位置をBに合わせると、入口60Bと出口60Cが開いて連通する一方で、入口60Aが閉じる。さらに、摘み68Aの操作位置をCに合わせると、出口60Cは開くものの、入口60Aと入口60Bは閉じて、いずれも出口60Cと連通しなくなる。すなわち、入口60Aと入口60Bは、どちらか一方だけが出口60Cと連通し、入口60Aと入口60Bとの間は摘み68Aがどの操作位置にあっても連通しないようになっている。
【0057】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、切替弁68の摘み68Aの操作位置をCに合わせた状態で、給水口47から水タンク46に給水を行うと、水タンク46の排水口46Aから給水水排水ホース49を通った水が、連通口43Aから蒸発容器43内に浸入し、蒸発容器43と水タンク46は同じ液面となる。ここで運転スイッチ(図示せず)をオンにして蒸し器としての運転を開始すると、加湿ヒータ44に通電が行われて蒸発容器43が加熱され、内部の水が沸騰して蒸気が発生する。蒸発容器43から発生した蒸気は、蒸気穴64を通過して筐体1の内部に噴出し、筐体1の内部に上記が充満する。また、蒸発容器43から発生する蒸気は蓋63の底面にも直接当たるため、蓋63はその中央部において加熱され、その一部は周辺部にも熱伝導する。また、蓋63の周辺部と蒸発容器43のフランジ部57は接しているため、蓋63に与えられる蒸気熱に加えて、加熱装置45から蒸発容器43のフランジ部57に達した熱も、蓋63の周辺部に伝達し、蓋63は中央部のみならず周辺部も全体的に加熱される。蓋63は例えばアルミニウムなどの熱伝導性の良好な材料で形成されるため、蒸気穴64から噴出する蒸気のみならず、蓋63からの輻射熱によって、蓋63の上部にある筐体1の内部を、均一に加熱することができる。
【0058】
ショーケースの外面をなすガラス7は、筐体1内部の充満した上記に比べて低温であるため、ガラス7の内壁に結露水が付着する。特に、加湿ヒータ44を通電する加熱時には、蒸発容器43から常時蒸気が発生しているため、ガラス7の内壁への結露水も常時発生し、この結露水はガラス7の内壁を伝って下方に滴下する。この滴下した水滴は、ガラス7を載せる取付座5をさらに伝って、取付座5に連なる結露回収タンク58に流入し、結露回収タンク58には回収した結露水が次第に溜まってゆく。
【0059】
やがて、結露回収タンク58の水位が上昇し満水状態になると、回収センサ67がこれを検知して動作し、基体3に内蔵する制御装置(図示せず)は、ランプによる表示を行なうと共に、ブザーなどによる警報を鳴らして、蒸し器としての運転を停止する。また、蒸発容器43からの蒸気の発生に伴ない、水タンク46の水位が所定値より低下すると、給水センサ46がこれを検知して動作し、制御装置は同様にランプによる表示を行なうと共に、ブザーなどによる警報を鳴らして、蒸し器としての運転を停止する。結露回収タンク58が満水状態になった場合は、切替弁68の摘み68Aの操作位置をAに合わせれば、給水水排水ホース49の他方端部を接続する入口60Bを塞いだ状態で、結露回収タンク58に溜まった水を排出することができる。また、水タンク46が空になった場合には、蒸し器の使用初期状態と同様に、給水口47から給水を行えば、再度運転スイッチをオンにして蒸し器としての運転を開始することができる。さらに、給水センサ46若しくは回収センサ47の何れも動作していない状態で、蒸し器としての運転中に給水や排水を行なうことも可能である。
【0060】
さらに、衛生面を配慮して、蒸発容器43や水タンク46から水抜き作業を行なう場合には、切替弁68の摘み68Aの操作位置をBに合わせれば、結露水排水ホース59の端部を接続する入口60Aを塞いだ状態で、給水水排水ホース49を通して蒸発容器43や水タンク46に貯留した水を排水することができる。このように、三方向の切替弁60を使用することで、蒸発容器43や水タンク46内の水と、結露回収タンク58内の水を混ぜることなく個々に排水でき、衛生的である。
【0061】
このように本実施例では、蒸発容器43を有する蒸気発生装置2と、蒸気容器43に連通するタンクとしても水タンク46と、筐体1内部の結露水を回収する回収タンクとしての結露回収タンク58とを備えた蒸し器において、いずれも排出部に相当する水タンク46の排液部である給水水排水ホース49と、結露回収タンク58の排液部である結露水排水ホース59を個別に開閉する開閉手段としての切替弁60を設けている。
【0062】
このようにすると、切替弁60を操作するだけで、水タンク46の排液部である給水水排水ホース49と、結露回収タンク58の排液部である結露水排水ホース59を個別に開閉して、水タンク46若しくは結露回収タンク58のいずれか一方より排液を簡単に行なうことができる。また、切替弁60は給水水排水ホース49と結露水排水ホース59に共通して設けられており、しかも切替弁60の出口側も例えば1本の排液ホース(ドレンパイプ61)により共通化できるので、排液構造を簡素化することができる。
【0063】
次に、本発明の第4実施例を図12〜図15に基づき説明する。なお、上記第1実施例〜第3実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0064】
蒸し器の電気的構成を示す図12において、71は前記基台3の後面側に設けられたスイッチなどの操作手段、72は筐体1の内部温度を検出する温度検出手段としての温度センサで、これらは後述するマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと称する)73の入力側に接続される。操作手段71は、いずれも図示しないが、表示手段であるLCD80の表示を切替える表示切替えスイッチや、他に加熱動作や追炊き動作の開始および停止を指示するスイッチなどにより構成される。その他、マイコン73の入力側には、前記各実施例における給水センサ46や回収センサ47が接続される。
【0065】
73は基台3内部にある制御装置を構成する制御手段としてのマイコンで、これはいずれも図示しないが、周知のマイクロプロセッサを構成する制御装置および演算装置の他に、計時装置、ROMやRAMなどからなる記憶装置、および入出力装置などを備えて構成される。マイコン73の出力側には、蒸気発生手段を構成する加湿ヒータ44や、表示手段として取付けられたLCD80がそれぞれ接続される。
【0066】
マイコン73は自身の保有するプログラムの機能的な構成として、温度センサ72で検出される筐体1内部の温度と、計時手段の計時結果とに基づき、筐体1内が冷えた状態から、筐体1内部に陳列した食材全体を蒸し上げる蒸し運転を実行する蒸し運転制御手段74と、同じく温度センサ72で検出される筐体1内部の温度と、計時手段の計時結果とに基づき、筐体1内が温められた状態で、筐体1内部に追加投入した食材を蒸し上げる追炊き運転制御手段75と、蒸し運転制御手段74による蒸し運転を開始した後に、蒸し運転が終了するまでの残時間を算出する蒸し上げ残時間計測手段76と、追炊き運転制御手段75による追炊き運転を開始した後に、追炊き運転が終了するまでの残時間を算出する追炊き残時間計測手段77と、前記操作手段71の切替スイッチからの操作信号を受けて、蒸し運転または追炊き運転が終了するまでの残時間と、それ以外の例えば温度センサ72で検出される現在温度のいずれかをLCD80に表示させる表示制御手段78と、前記蒸し運転や追炊き運転が終了した後に、筐体1内の温度を制御温度に維持する保温制御手段79と、給水センサ66や回収センサ67から得られる水タンク46や結露回収タンク58の液量監視情報に応じて、蒸し器の運転や表示手段であるLCD80の表示状態を制御するタンク液量監視制御手段83などを備えている。
【0067】
そして、ここでの保温制御手段79は、操作手段71からの操作入力を受けて、制御温度を例えば70〜90℃の間に可変設定できる機能を備えている。なお、制御温度のみならず、筐体1内部の制御湿度も可変設定できるように構成してもよい。またマイコン73は、保温制御手段79が筐体1内部を第1の制御温度(例えば80℃または85℃)で保温中に、筐体1内部が通常の保温制御ではあり得ない所定温度(例えば50℃)以下になると、この所定温度以下の状態が一定時間(例えば1分)以下のときに、同じ保温制御手段79にて第1の制御温度に筐体1内部を保温する制御を行なう一方で、所定温度以下の状態が一定時間以上ならば、追い炊き運転制御手段75にて第1の制御温度よりも高い第2の制御温度(例えば90℃)にまで筐体1内部を蒸し上げる制御を行なう構成を備えている。
【0068】
また、筐体1内部を最初に加温する際に蒸し運転を実行する蒸し運転制御手段74は、筐体1内部と商品との温度差を少なくするために、筐体1内部が前記第1の制御温度に到達した後、この第1の制御温度以上の状態を、少なくとも所定の維持時間継続させるように加湿ヒータ44を制御する機能を備えている。
【0069】
さらに、本実施例の表示制御手段78は、温度センサ72により筐体1内部の温度変化を感知しても、一定時間が経過するまでLCD80による温度表示を切り替えず、筐体1内部の温度変化が所定値以上の場合に、前記一定時間に拘らずLCD80による温度表示を切り替えるようにLCD80の表示を制御している。それと共に表示制御手段78は、筐体1内部を加熱して筐体1内部の温度が上昇しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも高くLCD80による温度表示を行ない、逆に筐体1内部を加熱していない筐体1内部の温度が降下しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも低くLCD80による温度表示を行なう機能を備えている。
【0070】
なお、蒸し器としての機構的な構造は、上記第1実施例〜第3実施例で示したものと共通している。
【0071】
次に、上記構成についてその動作手順を説明する。図13における運転制御のフローチャートに示すように、先ず切(運転停止)の状態から、ステップS1にて操作手段71の運転スイッチを投入して蒸し運転の開始を指示すると、蒸し運転制御手段74は加湿ヒータ44を通電して筐体1内部を蒸し加熱する加熱制御を行なう(ステップS2)。そして、次のステップS3で筐体1内の温度(庫内温度)が予め設定した制御温度以上であるかを判断し、設定した制御温度以上であれば保温制御手段79による保温安定制御を実行する(ステップS4)。一方、この保温安定制御中に、筐体1内部の温度が例えば扉11を開けるなどして通常ではあり得ない所定温度C未満に低下したら(ステップS5)、ステップS2の手順に戻って、追炊き運転制御手段75による蒸し運転を行なう。以上が、蒸し器の加熱制御に関する基本動作である。
【0072】
次に、加熱制御のより詳細な動作手順を図14のグラフに基づき説明する。操作手段71の運転スイッチを投入して蒸し運転の開始を指示すると、蒸し運転制御手段74は加湿ヒータ44を通電するため、筐体1の内部が加湿されつつ、その温度も上昇する。このとき蒸し運転制御手段74は、筐体1内部の温度が所定温度Cに達するまでの時間Taをカウントする。この時間Taがある一定時間(例えば50分)よりも長ければ、蒸し運転制御手段74は自動的に第1の制御温度(目標温度)Bよりも高い第2の制御温度(目標温度)A(例えば90℃)を設定し、筐体1内部の温度がこの第2の設定温度Aに達するように加湿ヒータ44を通電して筐体1内部に対する蒸し上げ制御を行なう。そして、筐体1内部の温度が第2の設定温度Aに達したら、筐体1内部の被加温物の温度上昇を促進させるために、所定の維持時間Tdに達するまで、筐体1内部の温度を第2の設定温度Aに保つ加湿を継続する。そして、所定の維持時間Tdが経過したら、保温制御手段79により、筐体1内部の温度を第1の制御温度Bに維持する保温制御に移行する。
【0073】
この保温制御中に、例えば扉11を開閉するなどして、筐体1内部の温度が所定温度Cまで低下すると、マイコン73は加湿により筐体1内部の温度が再び所定温度Cを越えるまでの時間をカウントする。この時間Tbが例えば30秒程度で、予め設定した一定時間Ts(例えば1分)よりも短い場合は、販売のために扉11が短時間だけ開けられたと判断して、保温制御手段79にて第1の制御温度Bに筐体1内部を保温する制御を行なう。
【0074】
一方、前記時間Tcが例えば2分程度で、予め設定した一定時間Tsよりも長い場合は、扉11を開けて新しい食材を入れたと判断して、設定が第1の制御温度Bから第2の制御温度Aに切換わり、追い炊き運転制御手段75にて第2の制御温度Aにまで筐体1内部を蒸し上げる制御を行なう。こうして、実質的には蒸し運転開始時に運転スイッチを押すだけの1回のキー操作により、筐体1内部の状態に適合した温度の制御を自動的に実行し、販売員の操作の手間を省くことができる。しかも、大きさや種類の違う中華まんなどの商品を同時に蒸す際に、均一の蒸し上がりが得られる。
【0075】
次に、図13における蒸し器の加熱制御を踏まえ、LCD80による温度表示の手順を、図15のフローチャートに基づき説明する。ステップS6にて運転を開始すると、温度センサ72からの検知情報に基づいて、庫内温度である筐体1内部の温度Hka,Hkbを順に読み込む(ステップS7)。表示制御手段78は、読み込んだ温度Hkaを表示部であるLCD80にて表示し(ステップS8)、次のステップS9で筐体1内部の温度Hkbを再度読み込む。ここで表示制御手段78は、直前に読み込んだ温度Hkbと一定時間前に読み込んだ温度Hkaとの差(Hkb−Hka)をステップS10において比較する。そして、この差が予め設定されている温度差D℃(例えば10℃)以上変化している場合は、次のステップS12にてすぐにLCD80による温度表示を更新し、次のステップS13で直前に読み込んだ筐体1内部の温度Hkbを温度Hkaにして、再度ステップS9における温度Hkbの読み込みを実行する。逆にステップS10で、直前に読み込んだ温度Hkbと一定時間前に読み込んだ温度Hkaとの差が、設定された温度差D℃未満であった場合は、ステップS11に移行し、一定の切替え時間が経過していればステップS12に移行して温度表示を切替え、そうでなければそのままステップS13の手順に移行する。
【0076】
次に、筐体1内部の温度上昇時と温度下降時におけるLCD80の温度表示について説明する。表1は、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbが、前回読み込んだ筐体1内部の温度Hkaよりも高い温度上昇時において、若しくは、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbが、前回読み込んだ筐体1内部の温度Hkaよりも低い温度上昇時において、今回読み込んだ筐体1内部の温度Hkbと、実際のLCD80の温度表示との関係を示したものである。なお、「Lo」は10℃未満の温度であることを示す表示であり、「Hi」は90℃を越える温度であることを示す表示である。
【0077】
【表1】
【0078】
この表に示すように、表示制御手段78は、筐体1内部を加熱して筐体1内部の温度が上昇しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも高くLCD80による温度表示を行ない、逆に筐体1内部を加熱していない筐体1内部の温度が降下しているときには、温度センサ72により検知される筐体1内部の温度よりも低くLCD80による温度表示を行なう。特に、温度上昇時と温度下降時における筐体1内部の温度勾配が温度毎に異なることから、オーバーシュート分を加味して個々の表示温度の設定を行なっている。これにより、温度の上昇または温度の下降によるLCD80の温度表示のばらつきを少なくすることができる。
【0079】
以上のように本実施例では、筐体1内部に蒸気を発生する加湿手段としての加湿ヒータ44を備えた蒸し器において、筐体1を第1の目標温度である第1の制御温度Bで保温中に、筐体1が所定温度C以下になると、この所定温度C以下の状態が第1の所定時間である一定時間Ts以下のときに第1の制御温度Bに加温し、一定時間Ts以上のときに第1の制御温度Bよりも高い第2の目標温度である第2の制御温度Aに加温する制御手段としてのマイコン73を備えている。
【0080】
この場合、筐体1が第1の制御温度Bとなるように保温しているときに、扉11の開閉などで筐体1が一時的に所定温度C以下になった場合は、この所定温度C以下の状態が一定時間Ts以下であるので、第1の制御温度Bに加温して保温を継続する。一方、中華まんの補充などで筐体1が所定温度以下になる状態が一定時間Ts以上継続した場合は、自動的に設定が第2の制御温度Aに切り替わり、蒸し上げ状態となるまで加温が行なわれる。このように、筐体1の温度状態に応じて、目標となる制御温度が自動的に切り替わるので、操作の手間が省けると共に、大きさや種類の違う中華まんなどを同時に蒸す場合でも、均一な蒸し上がりを得ることができる。
【0081】
また本実施例では、筐体1を最初に加温する際に、筐体1が前記第1の制御温度Bに到達した後、この第1の制御温度B以上の状態を第2の所定時間である一定時間Td維持するように構成している。
【0082】
こうすると、筐体1内部を最初に加温するときに、筐体1内部が第1の制御温度Bに到達した後、この第1の制御温度B以上の状態を一定時間維持するので、筐体1内部の温度と商品である被加温物との温度差を縮小させることができる。したがって、筐体1内部を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる
また本実施例では、筐体1内部に蒸気を発生する加湿手段としての加湿ヒータ44と、筐体1を制御温度に維持する制御手段としてのマイコン73を備え、制御温度を可変設定すなわち温度を可変できるように構成した蒸し器において、筐体1の温度変化を例えば温度センサ72により感知しても、筐体1の温度変化が所定値未満であれば、所定時間が経過するまで表示を切り替えず、逆に筐体1内部の温度変化が所定値以上であれば、所定時間に拘らず表示を切り替える構成としている。
【0083】
この場合、筐体1の温度が多少変化しても、その温度変化が所定値に達しなければ、所定時間が経過するまで表示を切り替えないので、表示が頻繁に切り替わる不具合を一掃できる。逆に、扉11を開けるなどして、筐体1の温度変化が大きい場合は、すぐに表示が切り替わるので、表示をすぐに追従させることができる。
【0084】
また本実施例では、筐体1の温度上昇時と温度下降時で異なる温度表示を行なうように構成している。
【0085】
この場合、筐体1の温度が上昇しているときと、下降している場合において、その変化の度合い(温度カーブ)が異なるが、そうした差異を考慮して温度表示を行なうことで、筐体1の温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【0086】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。例えば第4実施例において、各種の設定温度や設定時間は、実施例中に示したものに限定されない。
【0087】
【発明の効果】
本発明における請求項1の蒸し器によれば、筐体内部の商品を見やすくするために複層透明部材の領域を多くしても、筐体の内部から複層透明部材を通しての熱の逃げを抑制して、省エネ効果を高めることができると共に、蒸し器として安全な構造を提供できる。
【0088】
本発明における請求項2の蒸し器によれば、熱反射フィルムを層間内面の一部にだけ設けることで、反射材の材料費に関わるコストアップを抑制できると共に、長期にわたり反射材としての性能を維持できる。
【0089】
本発明における請求項3の蒸し器によれば、筐体の内部から扉を通しての熱の逃げを抑制して、販売に関するデメリットなく省エネ効果を高めることができる。
【0090】
本発明における請求項4の蒸し器によれば、筐体の内部に商品が上下多段に陳列されている場合に、販売員が商品を不自由なく容易に確認できる。さらに、扉の軽量化を図って操作性を高めることができる。
【0091】
本発明における請求項5の蒸し器によれば、タンクと結露回収タンクの排液構造を簡素化にすると共に、排液作業を簡単に行なうことができる。
【0092】
本発明における請求項6の蒸し器によれば、スイッチ操作を頻繁行なうことなく、筐体の温度状態に応じた最適な温度制御を自動的に行なうことが可能になると共に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0093】
本発明における請求項7の蒸し器によれば、筐体を最初に加温する蒸し上げ時に、異なる大きさや種類の商品を均一に蒸し上げることができる。
【0094】
本発明における請求項8の蒸し器によれば、筐体の温度に関する表示を、状況に応じて最適なものにできる。
【0095】
本発明における請求項9の蒸し器によれば、温度上昇時と温度下降時における温度表示のバラツキを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における蒸し器の斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同上、蒸し器の斜め後方から見た斜視図である。
【図3】同上、ガラスパッキンを装着していないガラスの一部を切欠いた状態の斜視図である。
【図4】同上、図3における断面図である。
【図5】同上、ガラスパッキンをガラスの端部に装着する状態の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す扉の要部正面図である。
【図7】同上、図6のA−A線断面図である。
【図8】本発明の第3実施例を示す筐体下部の要部断面図である。
【図9】同上、基台を上方から見た平面図である。
【図10】同上、切替弁の断面図である。
【図11】同上、切替弁を下方から見た底面図である。
【図12】本発明の第4実施例を示す蒸し器の電気的構成を表したブロック図である。
【図13】同上、蒸し器の運転制御の手順を示すフローチャートである。
【図14】同上、筐体内部の温度変化を示すグラフである。
【図15】同上、表示制御に関する手順を示すフローチャートである。
【図16】従来例を示す蒸し器の斜視図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 蒸気発生装置(蒸気装置)
7 ガラス(複層透明部材)
11 扉
13 ガラス(透明部材)
26 熱反射フィルム(反射材)
31 断熱材
43 蒸発容器
44 加湿ヒータ(加湿手段)
46 水タンク(タンク)
49 給水水排水ホース(排出部)
58 結露回収タンク(回収タンク)
59 結露水排水ホース(排出部)
60 切替弁(開閉手段)
73 マイコン(制御手段)
Claims (9)
- 筐体に蒸気装置を備えると共に、前記筐体を複層透明部材で構成した蒸し器において、前記複層透明部材に反射材を設けたことを特徴とする蒸し器。
- 前記反射材を層間内面の一部に設けたことを特徴とする請求項1記載の蒸し器。
- 筐体に蒸気装置を備えると共に、透明部材を有する扉を備えた蒸し器において、前記透明部材を除く前記扉の部分に断熱材を配置したことを特徴とする蒸し器。
- 前記透明部材は縦長形状で、前記扉の半分以下の横幅に形成されたことを特徴とする請求項3記載の蒸し器。
- 蒸発容器を有する蒸気装置と、前記蒸気容器に連通するタンクと、回収タンクとを備えた蒸し器において、排出部を個別に開閉する開閉手段を設けたことを特徴とする蒸し器。
- 筐体に加湿手段を備えた蒸し器において、前記筐体を第1の目標温度で保温中に、前記筐体が所定温度以下になると、この所定温度以下の状態が所定時間以下のときに前記第1の目標温度に加温し、所定時間以上のときに第2の目標温度に加温する構成としたことを特徴とする蒸し器。
- 前記筐体を最初に加温する際に、前記筐体が前記第1の目標温度に到達した後、この第1の目標温度以上の状態を所定時間維持するように構成としたことを特徴とする請求項6記載の蒸し器。
- 筐体に蒸気を発生する加湿手段と、制御手段とを備え、温度を可変できるように構成した蒸し器において、前記筐体の温度変化を感知しても、所定時間が経過するまで表示を切り替えず、前記筐体の温度変化が所定値以上の場合に、前記所定時間に拘らず表示を切り替える構成としたことを特徴とする蒸し器。
- 温度上昇時と温度下降時で異なる温度表示を行なうように構成したことを特徴とする請求項8記載の蒸し器。
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JP2003148840A JP2004350736A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 蒸し器 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008576A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-17 | Sentaro Iwasa | 蒸気発生装置 |
JP2016087099A (ja) * | 2014-11-05 | 2016-05-23 | 日本ヒーター機器株式会社 | 蒸し器 |
KR101865066B1 (ko) * | 2017-04-26 | 2018-06-07 | 주식회사 모닝아트 | 전기식 꼬치구이기 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003148840A patent/JP2004350736A/ja active Pending
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