JP2004350686A - ベロ毒素結合性ポリペプチド及びその利用 - Google Patents

ベロ毒素結合性ポリペプチド及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 天然に存在しない人為的に合成されたベロ毒素結合性ポリペプチドを提供すること。
【解決手段】 本発明によって提供されるポリペプチドは、少なくとも以下の5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列:Trp又はPhe−His又はGln−Trp又はPhe−Thr又はSer−Trp又はPheを有し、ベロ毒素に対して結合性を有するポリペプチドである。
好ましいベロ毒素結合性ポリペプチドは、前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を含む以下の(1)〜(3)のアミノ酸配列:(1)Trp−His−Trp−Thr−Trp−Leu−Ser(配列番号1);(2)Trp−Gln−Trp−Thr−Trp−Leu−Cys(配列番号2);(3)Phe−Gln−Trp−Ser−Trp−Tyr−Thr(配列番号3);のいずれかを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成るベロ毒素結合性ポリペプチド及び該ポリペプチドを使用するベロ毒素の処理に関する。
病原性大腸菌O157株等の腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)が生産するベロ毒素(Verotoxin ;VT)は、志賀赤痢菌毒素(Shiga toxin)に類似した細菌毒素(Shiga-like toxin(SLT)ともいわれる。)であり、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすタンパク質毒素として知られている。ベロ毒素は、遺伝学的に少なくとも6種類のタイプが認められている。これらのうち、ヒトに対する影響から、医学上、1型と2型が重要視されている。これらの毒素タンパク質は、1つのAサブユニット(分子量:約32kDa)と5つのBサブユニット(分子量:約7.7kDa)とから構成されている。1型は、Bサブユニットが腸管上皮細胞上に存在するレセプター(グロボトリオースとして知られるグロボ系糖鎖レセプター、典型的には糖脂質GbCer:Gal(α1-4)Gal(β1-4)Glc(β1)Cer、糖脂質GbCer:Gal(α1-4)Gal(β1)Cer )を認識して結合し、それによって細胞内に進入したAサブユニットがrRNAに結合してタンパク質合成阻害を引き起こすことが知られている。
このような性状のベロ毒素を中和する(該毒素が存在する系において毒性を発現させなくすることをいう。以下同じ。)目的に或いはベロ毒素を検出する目的に、ベロ毒素に選択的に結合し得る物質が利用される。例えば、そのような物質をベロ毒素のBサブユニットに選択的(特異的)に結合させることができれば、当該ベロ毒素の生体内(例えばヒトの腸管内)におけるネイティブなレセプターへの結合延いては毒性の発現を阻害すること(即ちベロ毒素の中和)が可能となる。また、ベロ毒素に選択的に結合し得る物質を利用することによって、被検体中のベロ毒素の定性若しくは定量分析が可能となり、ベロ毒素によるヒトや家畜の被害及びベロ毒素産生菌による感染を未然に防止することができる。
例えば、特許文献1には、ベロ毒素1型と特異的に結合し得るアプタマー(1本鎖核酸分子)が記載されている。また、特許文献2には、ベロ毒素1型と特異的に結合し得る化学合成した糖鎖誘導体を使用したベロ毒素の迅速検出方法が記載されている。
特開2003−79370号公報 特開2002−22745号公報
しかしながら、核酸分子(特許文献1)は、製造(化学合成等)自体は比較的簡単なものの本質的に不安定な物質(特にRNA)であり、その用途・使用形態は限定される。また、糖鎖それ自体は合成が困難な物質であり、ベロ毒素が特異的に結合し得る特定の糖鎖誘導体(特許文献2)が合成されたとしても、その製造コストは高く、使用できる用途や用量が限定される。
そこで本発明は、核酸や糖鎖とは異なり、製造容易であり適用可能な用途も広いと考えられるベロ毒素結合性ポリペプチドの開発を目的とする。また、そのようなポリペプチドを使用してベロ毒素を処理する(典型的にはベロ毒素を検出する又は除去する又は中和する)組成物および方法を提供することを更なる目的とする。
本発明によって提供されるポリペプチドは、天然に存在しない人為的に合成されたベロ毒素に対して結合性を有するポリペプチド(ベロ毒素結合性ポリペプチド)である。
ここで「天然に存在しない人為的に合成されたポリペプチド」とは、そのペプチド鎖(アミノ酸配列)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に製造されたポリペプチドをいう。すなわち、全アミノ酸配列のうちの一部が本明細書中において開示されたアミノ酸配列とたまたま一致するベロ毒素結合性に関係しない天然のタンパク質は、本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドに含まれない。
ここで「ポリペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数(典型的には50以下)によって限定されない。アミノ酸残基数が10未満の所謂「オリゴペプチド」も本明細書におけるポリペプチドに包含される好適なペプチドであり得る。なお、「アミノ酸残基」は、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語とする。本明細書においては、アミノ酸残基は一般的な三文字表記で表す。
また、ここで「ベロ毒素に対して結合性を有する」とは、典型的には室温条件下で、通常の緩衝液(例えば生化学分野でよく使用されるトリス緩衝液(TBS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))中において、対象ポリペプチドがベロ毒素に対して結合性(非特異吸着を除く)を有することをいう。
本発明によって提供される一つのベロ毒素結合性ポリペプチドは、そのペプチド鎖中に、以下の5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列:
Trp又はPhe−His又はGln−Trp又はPhe−Thr又はSer−Trp又はPhe;
を有することを特徴とする。
本発明のポリペプチドは、主要構成要素として上記配列を包含することによって、ベロ毒素(典型的には1型のBサブユニット)に対して高い結合性を有する。このため、ベロ毒素の検出用途、或いはベロ毒素の除去又は中和用途に好ましく使用することができる。
好ましくは、前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列のC末端に、さらに以下の1又は2アミノ酸残基:Xaa−Thr又はSer又はCysが連結した、6又は7アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有することを特徴とする。ここでXaaは、存在しないか(即ちこの場合は前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列のC末端にThr又はSer又はCysが連結される。)又はGly, Ala, Val, Leu, Ile, Ser, Thr, Asp, Glu, Asn, Gln, Lys, Arg, Cys, Met, Phe, Tyr, Trp, His及び Proから成る群から選択される1アミノ酸残基であることを特徴とする。
上記配列を有するポリペプチドとして特に好ましいものは、前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を含む以下の(1)〜(3)のアミノ酸配列:
(1)Trp−His−Trp−Thr−Trp−Leu−Ser(配列番号1);
(2)Trp−Gln−Trp−Thr−Trp−Leu−Cys(配列番号2);
(3)Phe−Gln−Trp−Ser−Trp−Tyr−Thr(配列番号3);
のいずれかを有することを特徴とする。
これらの構成のポリペプチドによると、ベロ毒素結合に係る特異性が向上する。このため、高精度のベロ毒素検出システム(又は方法)及びベロ毒素処理システム(又は方法)を本構成のポリペプチドを使用して構築することができる。
また、本発明によって提供される他の一つのポリペプチドは、以下の(1)〜(3)のアミノ酸配列:
(1)Trp−His−Trp−Thr−Trp−Leu−Ser(配列番号1);
(2)Trp−Gln−Trp−Thr−Trp−Leu−Cys(配列番号2);
(3)Phe−Gln−Trp−Ser−Trp−Tyr−Thr(配列番号3);
のうちのいずれかのアミノ酸配列において部分的な改変が施されて成るアミノ酸配列を有し、ベロ毒素に対して結合性を有するポリペプチドである。
この構成のポリペプチドは、ベロ毒素結合性に関して上記(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列と同等又はそれ以上の改変アミノ酸配列を有する。従って、本構成のポリペプチドは、ベロ毒素の検出用途、或いはベロ毒素の除去又は中和用途に好ましく使用することができる。
ここで所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施されて成るアミノ酸配列(改変配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有するベロ毒素結合性を損なうことなく、1個、2個または3個程度のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、(1)〜(3)のアミノ酸配列又は後述する(4)〜(7)のアミノ酸配列のうちの1個〜数個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative substitution)によって生じた配列(例えば芳香族アミノ酸残基(Phe, Tyr, Trp, His, Pro)が別の芳香族アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、(1)〜(7)のアミノ酸配列に1個又は数個(例えば2〜3個程度)のアミノ酸残基が付加(挿入)された配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施されて成るアミノ酸配列(改変配列)」に包含される典型例である。これらは、ここで開示された配列番号1〜7から派生して(又は付随して)得られ得るベロ毒素結合性ポリペプチドであり、本願特許請求の範囲に包含されるポリペプチドである。
さらに好ましくは、上述したいずれかのアミノ酸配列のC末端に、さらに酸性アミノ酸残基Asp又はGluが連結していることを特徴とする。
この構成により、ベロ毒素結合に係る特異性を更に向上させることができる。
さらに好ましいベロ毒素結合性ポリペプチドは、全アミノ酸残基数が20以下であることを特徴とする。このような短いペプチド鎖から成るポリペプチドは、全アミノ酸配列に占めるベロ毒素結合に関与する配列部分(典型的には上述したいずれかのアミノ酸配列部分)の割合が高く、ベロ毒素に対して特異的(選択的)に結合し得る。
このため、本構成のポリペプチドを使用することによって、より高い精度のベロ毒素検出システム(又は方法)及びベロ毒素処理システム(又は方法)を構築することができる。
また、上記ベロ毒素結合性ポリペプチドとして特に好ましいものの一つは、アミノ酸配列のC末端部分に、プロリン残基が2以上(好ましくは3以上、例えば3又は4又は5以上)連続する配列を有するポリペプチドである。
この構成によるとベロ毒素結合に係る特異性を更に向上させることができる。
また、本発明は、ここで開示されたベロ毒素結合性ポリペプチドの塩、好ましくは酸付加塩(例えば医薬上許容され得る酸付加塩)を提供する。ここで開示されたポリペプチド由来のベロ毒素結合性を有する塩は、ポリペプチドと同様にベロ毒素処理システム(又は方法)に使用することができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかのポリペプチド又はその塩と、担体とを含む、ベロ毒素処理用組成物(ベロ毒素処理剤)を提供する。
この組成物をベロ毒素を含有する対象物(生体、生体から採取した組織及び体液、ならびに、食品、水その他のベロ毒素又はベロ毒素産生菌により汚染される可能性のある有機物及び無機物を包含する。以下同じ。)に対して使用すると、その主成分である上記ポリペプチド又はその塩(典型的には酸付加塩)がベロ毒素を結合(吸着)し、処理(典型的には除去処理又は中和処理)することができる。
従って、本発明によると、ベロ毒素を含有する対象物に対して、ここで開示したポリペプチド又はその塩を付与し、該対象物に含まれるベロ毒素に該ポリペプチド又はその塩を結合させることを特徴とする、該対象物に含まれるベロ毒素の処理方法が提供される。好ましい処理方法の形態として、ベロ毒素の中和方法、ベロ毒素の除去方法、ベロ毒素の検出方法が挙げられる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えばベロ毒素結合性ポリペプチドの一次構造)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする薬剤の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明者は、種々のファージディスプレイペプチドライブラリー(例えばNew England BioLabs社製品の「-12Phage Display Peptide Library Kit」)を使用し、鋭意検討することによって、10アミノ酸残基にも満たない短いアミノ酸配列から成るペプチドがベロ毒素1型(Bサブユニット)のレセプターであるGbの構造を模倣し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで開示されるポリペプチド(オリゴペプチドを包含する。)は、天然に存在しない人為的に合成されたポリペプチドであり、上述したベロ毒素結合に係るアミノ酸配列が組み込まれた又は当該アミノ酸配列のみから成る一次構造を有する。本発明のポリペプチドは、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、ベロ毒素結合性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。また、ベロ毒素結合性を失わない限り、ペプチド鎖を構成する個々のアミノ酸残基が種々の修飾(例えば、C末端アミノ酸のカルボキシル基のアミド化、N末端アミノ酸のアミノ基のアシル化)を受けたものであってもよい。
本発明のポリペプチドの鎖長(換言すればアミノ酸残基数)は、ベロ毒素結合に関与する部分の長さや繰返し回数に応じて異なり得るので特に限定されないが、5〜50個程度のアミノ酸残基で構成されるものが好ましく、7〜30個程度のアミノ酸残基で構成されるものがさらに好ましい。ポリペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下でベロ毒素結合性を発揮する限りにおいて、特に限定されない。
本発明のポリペプチドを構成するためのコア配列の一典型例として、上述したTrp又はPhe−His又はGln−Trp又はPhe−Thr又はSer−Trp又はPheの5アミノ酸残基から成る配列が挙げられる。好ましくは当該5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列のC末端側にXaa−Thr又はSer又はCys(Xaaについては上述と同義)が付加された配列である。更に好ましくは、上記アミノ酸配列のC末端に更に酸性アミノ酸残基Asp又はGluが連結する。典型的なベロ毒素結合性ポリペプチドは、このようなコア配列を1単位有するものであるが、ベロ毒素結合性を発揮する限りにおいて、そのようなコア配列を2単位又は3単位以上含むものでもよい。その場合、含有する複数のコア配列は、同種のものであっても異種のものであってもよい。例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列と配列番号2に示すアミノ酸配列を直接連結した或いは適当なリンカー(典型的には1〜数個のアミノ酸残基から成る直鎖状リンカー)を介して連結して成るポリペプチドが提供される。
また、特に限定するものではないが、好適なベロ毒素結合性ポリペプチドとして、以下のアミノ酸配列:
(1)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser(配列番号1);
(2)Trp-Gln-Trp-Thr-Trp-Leu-Cys(配列番号2);
(3)Phe-Gln-Trp-Ser-Trp-Tyr-Thr(配列番号3);
(4)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser-Asp-Tyr-Pro-Pro-Pro(配列番号4);
(5)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser-Glu-Tyr-Pro-Pro-Pro(配列番号5);
(6)Trp-Gln-Trp-Thr-Trp-Leu-Cys-Glu-His-Pro-Pro-Pro(配列番号6);
(7)Phe-Gln-Trp-Ser-Trp-Tyr-Thr-Pro-Ser-Arg-Pro-Ser(配列番号7);
から成るポリペプチド若しくは該配列を含むポリペプチド或いはそれらアミノ酸配列において部分的な改変が施されて成るアミノ酸配列から成るポリペプチド若しくは該改変配列を含むポリペプチドが挙げられる。なお、改変配列においては、ベロ毒素結合性を有する限り、上記5アミノ酸残基から成るコア配列を含まないものであってもよい。
本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)、或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。例えば市販のペプチド合成機(例えば、Advanced Chemtech.社、Applied Biosystems社、(株)島津製作所等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列及び所望により修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいてベロ毒素結合性ポリペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、比較的鎖長の長いポリペプチドを製造する場合に好適である。
すなわち、当業者には自明であるが、本発明によると、所望するベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列(例えば配列番号1〜7のいずれかのアミノ酸配列)をコードするヌクレオチド配列及び該配列と相補的なヌクレオチド配列もまた提供される。さらには所望するベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが提供される。
ベロ毒素結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を有するか又はそれら配列から実質的に構成されるポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、ベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択し、ベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定される。ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段を採用して目的の二本鎖DNAを得ることも容易に行える。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、RNA(mRNA等)の形態であってもよく、DNAの形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、種々の宿主細胞中で本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドを発現させるための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。すなわち、ベロ毒素結合性ポリペプチドをコードするDNAと該ポリペプチド(アミノ酸配列)を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ATG開始コドン、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築することができる。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的のベロ毒素結合性ポリペプチドを得ることができる。例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社等から市販されているGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計したベロ毒素結合性ポリペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドを製造することができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
或いは、ひとたびベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列を決定・設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的のペプチド断片を含むポリペプチドを容易に生産することができる。
すなわち、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ちベロ毒素結合性ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して所望するポリペプチドをインビトロ合成することができる。そして、適当な切断手段を採用して当該ポリペプチドから目的のペプチド断片(即ち目的のベロ毒素結合性ポリペプチド)を分離精製し回収することができる。例えば、開始コドンに対応するメチオニン残基のC末端側に目的のペプチド部分(但しメチオニン残基を含まないアミノ酸配列から成る。)が存在するポリペプチドを生産した場合、当該ポリペプチドを臭化シアンによって処理することによって、目的のペプチド断片(即ちメチオニン残基を含まないベロ毒素結合性ポリペプチド)を得ることができる。なお、無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。
本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドは、ベロ毒素(典型的には1型)に対する結合性を利用して、ベロ毒素の吸着(除去)剤又はベロ毒素中和剤の主成分として好適に使用することができる。
例えば、ベロ毒素による溶血性貧血、腎不全その他の溶血性尿毒症症候群の症状が現れている患者及び大腸菌O157のようなベロ毒素産生菌に感染した患者の治療、或いは、食品、飲料水、化粧品等のベロ毒素及び/又はベロ毒素産生菌による汚染の可能性のある物からのベロ毒素の除去や中和の目的にベロ毒素処理用組成物(ベロ毒素中和剤)が用いられる。
このような目的に使用される中和剤は、主成分たるベロ毒素結合性ポリペプチドの他、医薬上許容され得る種々の担体を含み得る。希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。典型的には、水又は生理学的緩衝液が挙げられるが、これらの他、適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であってもよい。或いはリポソームであってもよい。また、ベロ毒素中和剤に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
上記中和剤のようなベロ毒素処理用組成物の主成分としては、ここで開示されたベロ毒素結合性ポリペプチドの他、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られる該ポリペプチドの酸付加塩を使用することができる。ベロ毒素の処理に使用する酸付加塩(特に中和剤として使用する酸付加塩)としては医薬的に許容されるものが好ましく、そのような酸付加塩を形成し得る酸の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、或いは、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、低級アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
或いは、ベロ毒素結合性を有する限り、本発明によって提供される塩は上述したような酸付加塩に限られず、他の付加塩(例えば金属塩)であってもよい。
中和剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、リポソーム剤が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
中和剤中に含まれるベロ毒素結合性ポリペプチド又はその塩(典型的には酸付加塩)の含有量はベロ毒素の中和に有効な量である限り特に制限されず、中和剤の用途や形態に応じて適宜決定される設計事項である。なお、ベロ毒素結合性ポリペプチド(主成分)及び種々の担体や副成分を材料にして上記形態の薬剤を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。
本発明によって提供される中和剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射、或いは好ましくは浣腸によって患者に投与することができる。経口投与の場合には、錠剤、カプセル等の固体形態のものが好ましく、腸管に到達してベロ毒素結合性ポリペプチド又はその塩(典型的には酸付加塩)を徐放し得る性状の錠剤、カプセル剤又はリポソーム剤(持続性徐放製剤)が好ましい。
また、ベロ毒素又はベロ毒素産生菌により汚染された食品や飲料水等の対象物に含まれるベロ毒素を処理(除去又は中和)する目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)のポリペプチドを含有する液剤を対象物に添加するか或いは対象物の表面にスプレーするか若しくは当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭いてもよい。
これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
また、本発明のポリペプチドは、ベロ毒素吸着剤(ベロ毒素除去用組成物)の主成分として好適に使用することができる。かかる吸着剤の好適な一具体例として、ここで開示されたベロ毒素結合性ポリペプチドをリガンドとするベロ毒素(典型的には1型毒素)吸着用カラムが挙げられる。かかるカラムにベロ毒素で汚染されたサンプル(例えば飲料水)を流通させることによって当該サンプルからベロ毒素を吸着・除去することができる。なお、かかる吸着用カラムに使用するカラム担体の選択や当該カラムの作製手順自体は、アフィニティクロマトグラフィーに通常使用されている種々のアフィニティカラム(例えばモノクローナル抗体をリガンドとするカラム)の作製プロセスに準じればよく、特に本発明を特徴付けるものではない。
また、本発明のポリペプチドは、ベロ毒素検出用途に用いることができる。例えば、ここで開示されたベロ毒素結合性ポリペプチドをベロ毒素認識素子(受容体)として使用し、当該ポリペプチドと適当なトランスデューサとを組み合わせて使用することにより、種々の機構のベロ毒素検出用センサーを構築することができる。例えば、適当な性状の水晶発振子の表面の金属導体(電極)膜(例えば金膜)に本発明のベロ毒素結合性ポリペプチドを固定化することによって、実用的なベロ毒素検出用センサーを提供することができる。
また、ここで開示されたベロ毒素結合性ポリペプチドを固定したマイクロタイタープレートやチップ類は、酵素免疫検定法(EIA)等によってサンプル中のベロ毒素を検出及び定量するための材料として好適である。例えば、ベロ毒素結合性ポリペプチドを固定したマイクロタイタープレート(例えば96ウェル(穴)プレート)にベロ毒素を含むサンプル(血清等)を入れ、所定時間のインキュベーション及び洗浄後、ペルオキシダーゼ(POD)等の酵素で標識された抗ベロ毒素抗体を添加し、所定時間のインキュベーション及び洗浄後、所定の酵素基質液(検出液)を添加する。このような常法に基づくEIAを実施することによって、サンプル中にベロ毒素が含まれているか否かを簡便に検出することができる。また、ベロ毒素標品を用いて検量線を作成すること等により、サンプル中のベロ毒素含有量を定量することができる。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:ベロ毒素結合性ポリペプチドの単離>
抗Gbモノクローナル抗体(生化学工業(株)製品)をパパイン処理して当該抗体のFab画分を作製・回収した(以下、当該Fabを指して抗Gb抗体という。)。得られた抗Gb抗体を含むTBS(150mM NaCl、50mMトリス塩酸塩:pH7.5)溶液(抗体濃度:100μg/ml)100μlをポリスチレン製96ウェルマイクロタイタープレート(岩城硝子(株)製)の各ウェルに注入し、4℃で一晩インキュベートすることによって、プレート表面に抗Gb抗体を固定した。
次いで、各ウェルにブロッキング用緩衝液(5mg/mlのBSA(牛血清アルブミン)及び0.02%のNaN3を含む0.1M炭酸ナトリウム溶液:pH8.6)を200μlずつ加え、4℃で2時間インキュベートした。次に、各ウェルを0.1%のTween20を含むTBS(150mM NaCl、50mMトリス塩酸塩:pH7.5)で6回洗浄した。約1.5×1011pfu/100μlに調整したファージライブラリー(New England BioLabs社製品:Ph. D. -12Phage Display Peptide Library Kitを使用した。)の溶液100μlを各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。その後、0.1%のTween20を含むTBSで10回洗浄し、更に1mg/mlのBSAを含む0.2Mグリシン塩酸塩(pH2.2)を加え、室温で5分インキュベートし、ファージを溶出した。そして、トリス(pH9.1)を30μl加えて中和した。
溶出したファージを含む液をプレートから回収し、誘導期の状態の大腸菌を含む培養液(ここではLB培地(pH7.5):1ml)に添加し、ファージを大腸菌に感染させた。その培養液を4.5時間インキュベートすることによって感染ファージを増幅させた。次いで、大腸菌培養液(ファージ増幅液)を4℃、10000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄みを全て回収した。残渣を再び同条件で遠心分離し、上澄みのほぼ80%を回収した。こうして得られた上澄みに、20%(w/v)ポリエチレングリコール(平均分子量8000、アルドリッチ社製品)含有2.5MのNaCl溶液を1.33ml添加し、4℃で一晩インキュベートした。その後、この溶液を4℃、10000rpmの条件で15分間遠心分離し、上澄みのほぼ80%を除去した。残渣を4℃、10000rpmの条件で2分間遠心分離し、上澄みのほぼ全てを除去した。次いで、TBSを600μl加えて沈澱物を再び懸濁した。
そして、懸濁液を4℃、15000rpmの条件で5分間遠心分離し、上澄みのほぼ80%を除去した。残渣を4℃、15000rpmの条件で3分間遠心分離し、上澄みのほぼ全てを除去した。次いで、得られた沈澱物に0.02%のアジ化ナトリウムを含むTBSを200μl添加して再び懸濁した。その後、4℃、15000rpmの条件で1分間遠心分離し、上澄み(即ちファージ溶液)のほぼ全てを回収した。
なお、得られたファージ溶液のファージ数は一般的なタイターチェックにより調べた。すなわち、得られたファージ溶液10μlをLB培地により108、109、1010、1011希釈を行い、それぞれの希釈ファージ溶液10μlを対数増殖期まで培養した大腸菌培養液(LB培地:200μl)に加え、5分間インキュベートしてファージを感染させた。その後、感染液を45℃のトップアガロース(Top agarose:10gのバクト−トリプトン、5gのイーストエキストラクト、5gのNaCl、1gのMgCl2・6H2O及び7gのアガロースを1Lの水に加えた調製物)に添加し、それを適当量のIPTG及びXgalを含むLB培地入りプレートに注いで室温で約5分間放置し、アガローストップの添加された培地をプレート内で凝固させた。当該プレートを37℃で一晩インキュベートし、プレートに発現したプラーク数をカウントし、ファージ数を決定した。
上述のようにして得られたファージ溶液を上記タイターチェックにより決定したファージ数に基づき約1.5×1011pfu/100μlに調整した溶液を上記抗Gb抗体保持96ウェルマイクロタイタープレート(即ち、上記ブロッキング用緩衝液でインキュベートし、その後に0.1%のTween20を含むTBSで6回洗浄したもの)に添加した。その後、上述した操作を繰り返して、ファージ溶液を得た。さらに得られたファージ溶液を約1.5×1011pfu/100μlに調整し、上述した操作を繰り返して、ファージ溶液を得た。
以上のようにして得たファージ溶液(即ち、上述の処理を3回繰り返して得た、抗Gb抗体に結合するアミノ酸配列を有するファージを高率に含む溶液)を適当に希釈した希釈液を上記IPTG及びXgalを含むLB培地入りプレートに加えて、個々のプラーク(即ちクローン)を形成した。得られたプラーク(クローン)の中から無作為に10個選別した。
これら10クローンについて、抗Gb抗体に対する結合特性を一般的なELISAに基づいて調べた。
すなわち、上記抗Gb抗体溶液(但し抗体濃度は70μg/mlに調整した。)70μlを上記96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、4℃で14時間インキュベートすることによって、プレート表面に抗Gb抗体を固定した。次いで、各ウェルに上記ブロッキング用緩衝液を200μl加え、4℃で2時間インキュベートし、続いて各ウェルを0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄した。約1.6×109pfu/100μlに調整した各ファージクローン溶液をウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。その後、0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄し、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)標識抗M13−pIIIモノクローナル抗体(アマシャムバイオサイエンス社製品)を上記ブロッキング用緩衝液で5000倍に希釈したものを各ウェルに200μl添加し、室温で1時間インキュベートした。そして、0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄し、TBS100mlに基質(30%過酸化水素)20μl及び発色剤(2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS))20mgを溶解したものを、200μlずつ全ウェルに分注した。室温で30分間インキュベートした後、5%SDSを50μlずつ加えて酵素反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(バイオラッド社製品)を使用して各反応液の405nmの吸光度(OD405)を測定した。
一方、上記ELISAの実施と同時に、選別した10クローンの抗Gb抗体結合に係る特異性を、糖脂質Gbセラミド(Gal(α1-4)Gal(β1-4)Glc(β1)Cer:和光純薬工業(株)製品)を使用した拮抗阻害試験に基づいて確認した。
すなわち、上述のようにして抗Gb抗体が固定された96ウェルマイクロタイタープレートを作製した。一方、上記ELISAに使用したのと同じ約1.6×109pfu/100μlの各ファージクローン溶液100μlに10当量のGbセラミド(0.1mg/ml)0.5μlを添加して数分間プレインキュベートした後、これらの混合溶液をウェルに注いで、室温で1時間インキュベートした。その後、上記ELISAと同様に処理し、上記マイクロプレートリーダーを使用して各反応液の405nmの吸光度(OD405)を測定した。
上記の2種類のELISAを行った結果、表1に示すように、抗Gb抗体と強く結合し、且つ、当該結合が糖脂質Gbセラミドの共存によって阻害される4種類のクローンが得られた。
Figure 2004350686
また、上記の抗Gb抗体に結合した4つのクローンについて、ベロ毒素1型、2型に対する結合性を同様にELISAに基づいて調べた。
すなわち、ベロ毒素1型溶液と2型溶液(ナカライテスク(株)製品)を、それぞれ10μg/mlに調整し、各70mlを使用して、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、4℃で16時間インキュベートすることによって、プレート表面にベロ毒素1型又は2型をそれぞれ固定化した。次いで、ベロ毒素1型及び2型のうちのいずれかが固定されている各ウェルに上記ブロッキング緩衝液を200μl加え、4℃で2時間インキュベートし、続いて各ウェルを0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄した。
約2.4×10pfu/100μlに調整した各ファージクローン溶液を各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。その後、0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄し、西洋わさびペルオキシダーゼ(HPR)標識、抗M13−pIIIモノクローナル抗体(アマシャムバイオサイエンス社製品)を上記ブロッキング緩衝液で5000倍に希釈したものを各ウェルに200μl添加し、室温で1時間インキュベートした。そして、0.5%のTween20を含むTBSで6回洗浄し、TBS100mlに基質(30%過酸化水素)20μl及び発色剤(2'−アジノビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸(ABTS))20mgを溶解したものを200μlずつ全ウェルに分注した。室温で30分間インキュベートした後、マイクロプレートリーダー(バイオラッド社製品)を使用して各反応液の405nmの吸光度(OD405)を測定した。
一方、上記ELISAの実施と同時に、4クローンのベロ毒素1型、ベロ毒素2型に係わる特異性を、糖脂質Gbセラミド(Gal(α1−4)Gal(β1−4)Glc(β1)Cer:和光純薬工業(株)製品)を使用した拮抗阻害試験に基づいて確認した。
即ち、上述のようにしてベロ毒素1型、ベロ毒素2型がそれぞれ固定された96ウェルマイクロタイタープレートを製作した。一方、上記ELISAに使用したのと同じ約2.4×10pfu/100μlのファージクローンの10当量のGbセラミド(0.1mg/ml)0.5μlを添加して数分間プレインキュベートした後、これらの混合溶液をウェルに注いで、室温で1時間インキュベートした。その後、上記ELISAと同様に処理をし、上記マイクロプレートリーダーを使用して各反応液の405nmの吸光度(OD405)を測定した。
上記3種類のELISAを行った結果、表2に示すように、4つのクローンはベロ毒素1型、ベロ毒素2型それぞれに強く結合し、且つ、当該結合が糖脂質Gbセラミドの共存によって阻害されることが示された。
Figure 2004350686
次に、これら4クローンについて塩基配列を解析し、抗Gb抗体及びベロ毒素の結合に関与するアミノ酸配列を解析した。
すなわち、選別されたクローン(ファージ)を、誘導期の状態の大腸菌を含む培養液(ここではLB培地(pH7.5):1ml)に添加して感染させ、5.5時間インキュベートすることによって感染ファージを増幅させた。次いで、大腸菌培養液(ファージ増幅液)を4℃、15000rpmの条件で30秒間遠心分離し、上澄みを全て回収した。残渣を再び同条件で遠心分離し、上澄みのほぼ80%を回収した。こうして得られた上澄みに、上記20%(w/v)ポリエチレングリコール含有NaCl溶液を200μl添加し、室温で10分間インキュベートした。
その後、この溶液を4℃、15000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄みのほぼ80%を除去した。残渣を4℃、15000rpmの条件で30秒間遠心分離し、上澄みのほぼ全てを除去した。次いで、Lodideバッファー(10mMトリス塩酸塩(pH8.0)、1mM EDTA、4M NaI)を100μl加えて沈澱物を再び懸濁した。
さらに、この懸濁液に95%エタノールを250μl添加し、室温で10分間インキュベートした。その後、4℃、15000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄みのほぼ全てを静かに除去した。残渣に70%エタノール1mlをゆっくり添加し、上澄みのほぼ全てを静かに除去した。その後、真空乾燥を30分間行い、乾燥物(DNA抽出物)を水で懸濁した。
その後、アマシャムバイオサイエンス社製品の「シークエンシングプレミックスキット」を使用し、製造元の供給する操作マニュアルに準じてPCRを行った。得られたPCR産物に20mg/mlのグリコーゲン(シグマアルドリッチ社製品)溶液2μl、酢酸ナトリウム/EDTA溶液(アマシャムバイオサイエンス社製品)2μl及び70%エタノール66μlを加え、氷中、15分間インキュベートした。その後、4℃、15000rpmの条件で15分間遠心分離し、上澄みのほぼ全てを静かに除去した。残渣に70%エタノール500μlをゆっくり添加し、再び遠心分離(4℃、15000rpm、5分)し、上澄みのほぼ全てを静かに除去した。その後、真空乾燥を3分間行い、乾固物をローディングダイ(Loading Dye)2μlに溶解した。溶解液(Dye)は、70℃で5分間インキュベートし、その後急冷した。
こうして得られたサンプルをアプライドバイオシステム社製のDNAシークエンシングシステム(DNA Sequencing System)にアプライした。製造元の供給する操作マニュアルに準じ、サンプル中に含まれるM13ファージのpIIIコートタンパク質遺伝子上に挿入されている12merのアミノ酸配列をコードするDNAのヌクレオチド配列を解析・決定した。その結果(12アミノ酸残基から成るアミノ酸配列)を表3に示す。
表3から明らかなように、得られたクローンはいずれも抗Gb抗体と強く結合し得る配列のN末端側に5アミノ酸残基から成る共通アミノ酸配列:
Trp又はPhe−His又はGln−Trp又はPhe−Thr又はSer−Trp又はPhe;
を有していた。従って、この部分が抗Gb抗体及びベロ毒素との結合に関与することが示唆される。
Figure 2004350686
<実施例2:ベロ毒素結合性ポリペプチドの合成>
上記共通配列を含む7アミノ酸残基(配列番号1〜3)から成る3種類のポリペプチドを化学合成した。
すなわち、各ポリペプチドは、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER 9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、ペプチド合成試薬として、BOP(Benzotriazole-1-yl-oxy-tris(dimethylamino)phosphonium hexafluorophosphate)、HOBt(1-Hydroxy benzotriazole hydrate)を用いた。固相合成法に用いる樹脂としてWangレジンを国産化学(株)から購入した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8ml、m-クレゾール0.6ml、チオアニソール3.6ml及びトリフルオロ酢酸24mlを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpm、5分)によって上澄みを除去した。沈澱物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたポリペプチドの沈澱物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(システム:JASCO800、カラム:Megapak S1L C18T-1C、日本分光(株)製品)を用いて精製を行った(溶媒:アセトニトリル/水混合系)。なお、カラムから溶離した各ポリペプチドの分子量をApplied Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のポリペプチド(純度95%以上)が合成・精製されていることが確認された。
<実施例3:合成ポリペプチドのベロ毒素結合性(1)>
上記合成されたポリペプチドのうち配列番号1のポリペプチドについてのベロ毒素結合性を、ビアコア2000(ビアコア社製品)を使用し、調べた。
即ち、デキストランが固定されているCM5チップ(ビアコア社製品)の測定基板に上記のポリペプチドとNHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)/EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩)溶液を用いてビアコア社が推奨しているマニュアル通りに操作し、上記ポリペプチドを測定基板に固定化した。次いでベロ毒素1型、ベロ毒素2型それぞれの濃度を50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/ml、6.25μg/ml、3.125μg/mlに調整し、20μl/minの流量で基板上に流すことでそれぞれの応答性(Response)を求め、ビアコアソフトを用いてベロ毒素1型、ベロ毒素2型の吸着速度、解離速度、結合定数、解離定数を求めた。
また上記ポリペプチドの非特異吸着の有無をフィブリノーゲン、トリプシンを用いて調べた。
表4から明らかなように上記ペプチドはベロ毒素1型、ベロ毒素2型に強く結合し、また、フィブリノーゲン、トリプシンといったタンパク質に対しては非特異吸着を示さなかった。
Figure 2004350686
<実施例4:合成ポリペプチドのベロ毒素結合性(2)>
上記合成されたポリペプチドのうち配列番号1のポリペプチドについてのベロ毒素結合性を、Gb3ミミック(Gb3C10disulfide)を固定化したQCM水晶発振子(Y.Miura,et al, Anal. Biochem., 310, 27-35(2002)参照)を使用して、水晶発振子(振動子)マイクロバランス(QCM)法に基づいて調べた。
すなわち、表面積が0.159cm2である金電極膜を備えた周波数9MHzのATカット水晶発振子をフレッシュなピラニア溶液(96%硫酸と31%過酸化水素水を容積比3:1で混合した溶液)で10分間、2回処理し、脱イオン水及びメタノールで洗浄した。次いで、0.01mMのGb3C10disulfide(ジ-O-[α-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-β-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-β-D-グルコピラノシル]p-N-ジチオジウンデカンアミドフェノキシド)のDMSO溶液に上記ピラニア溶液処理された水晶発振子を浸漬し、16時間インキュベートした。その後、DMSO続いて脱イオン水でリンスし、乾燥窒素ガス流下で乾燥させた。以上の処理により、金膜表面にGb3C10disulfideから成る単分子膜が形成された水晶発振子(以下「Gb3固定水晶発振子」という。)を得た。
得られたGb3固定水晶発振子を市販のQCM測定システムのトリス緩衝液(pH7.5)を満たした恒温反応槽(25℃)に金膜部分が完全に緩衝液中に浸るようにしてセットした。そして、槽内の反応液を撹拌しつつ周波数が安定するのを確認した。
この反応槽に市販のベロ毒素1型(ナカライテスク(株)製品)を濃度が2×10-9Mとなるように添加した。そして、約30分後にGb3固定水晶発振子にベロ毒素1型が付着することに起因する周波数の減少(ΔF:Hz)を計測し、Sauerbrey の式より質量変化量(Δm:ng)すなわちGb3固定水晶発振子に吸着されたベロ毒素量を求めた。
同様にして、反応槽にベロ毒素1型を濃度が5×10-9M、10×10-9M及び20×10-9Mとなるように添加した場合のΔmを求めた。図1にその結果(●のプロット)を示す。
図1から明らかなように、最大20×10-9Mの毒素を添加した場合、Gb3固定水晶発振子に約42.9ngの毒素が吸着された。
次に、上記7merの合成ポリペプチド(配列番号1)をベロ毒素と共に上記反応槽に最終濃度が約1×10-7M又は約1×10-6Mとなるように添加し、上記と同様の条件でQCM測定を行い、それぞれの場合についてΔmを求めた。図1にその結果を示す。グラフ中の◆のプロットは、ポリペプチドを約1×10-7M添加した場合の結果を示し、グラフ中の■のプロットは、ポリペプチドを約1×10-6M添加した場合の結果を示している。
このグラフから明らかなように、Gb3固定水晶発振子へのベロ毒素吸着は、上記合成ポリペプチドの存在によって著しく阻害された。特にポリペプチドを約1×10-6M添加した場合、Gb3固定水晶発振子へのベロ毒素吸着は完全に抑えられた(■プロット参照)。この結果は、使用した7merの合成ポリペプチド(配列番号1)が、ベロ毒素1型の受容体である糖脂質を模倣する構造のベロ毒素結合性ポリペプチドであることを示すものである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
<配列表フリーテキスト>
配列番号1 設計されたベロ毒素結合性ポリペプチド。
配列番号2 設計されたベロ毒素結合性ポリペプチド。
配列番号3 設計されたベロ毒素結合性ポリペプチド。
合成した7merのポリペプチド(配列番号1)のベロ毒素結合性を示すグラフであり、横軸は反応液中に含まれるベロ毒素濃度(10-9M)を示し、縦軸はSauerbrey の式より求めた質量変化量(Δm:ng)すなわちGb3固定水晶発振子に吸着されたベロ毒素量を示す。

Claims (13)

  1. 天然に存在しない人為的に合成されたポリペプチドであって、以下の5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列:
    Trp又はPhe−His又はGln−Trp又はPhe−Thr又はSer−Trp又はPhe ;
    を有し、ベロ毒素に対して結合性を有するポリペプチド。
  2. 前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列のC末端に、さらに以下の1又は2アミノ酸残基:
    Xaa−Thr又はSer又はCys
    (ここでXaaは、存在しないか又はGly, Ala, Val, Leu, Ile, Ser, Thr, Asp, Glu, Asn, Gln, Lys, Arg, Cys, Met, Phe, Tyr, Trp, His及び Proから成る群から選択される1アミノ酸残基である。)
    が連結したアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記5アミノ酸残基から成るアミノ酸配列を含む以下の(1)〜(3)のアミノ酸配列:
    (1)Trp−His−Trp−Thr−Trp−Leu−Ser(配列番号1);
    (2)Trp−Gln−Trp−Thr−Trp−Leu−Cys(配列番号2);
    (3)Phe−Gln−Trp−Ser−Trp−Tyr−Thr(配列番号3);
    のいずれかを有する、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 天然に存在しない人為的に合成されたポリペプチドであって、以下の(1)〜(3)のアミノ酸配列:
    (1)Trp−His−Trp−Thr−Trp−Leu−Ser(配列番号1);
    (2)Trp−Gln−Trp−Thr−Trp−Leu−Cys(配列番号2);
    (3)Phe−Gln−Trp−Ser−Trp−Tyr−Thr(配列番号3);
    のいずれかを有するか或いは該いずれかのアミノ酸配列において部分的な改変が施されて成るアミノ酸配列を有し、ベロ毒素に対して結合性を有するポリペプチド。
  5. 前記アミノ酸配列のC末端に、さらに酸性アミノ酸残基Asp又はGluが連結する、請求項2〜4のいずれかに記載のポリペプチド。
  6. 全アミノ酸残基数が20以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド。
  7. アミノ酸配列のC末端部分に、プロリン残基が2以上連続する配列を有する、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. ベロ毒素に対して結合性を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチドの塩。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド又はその塩を含む、ベロ毒素中和剤。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド又はその塩と、担体とを含む、ベロ毒素処理用組成物。
  11. ベロ毒素を含有する対象物に対して請求項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド又はその塩を付与し、該対象物に含まれるベロ毒素に該ポリペプチド又はその塩を結合させることを特徴とする、該対象物に含まれるベロ毒素の処理方法。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載のベロ毒素結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を有する、天然に存在しない人為的に合成されたポリヌクレオチド。
  13. 以下の(1)〜(7)のアミノ酸配列:
    (1)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser(配列番号1);
    (2)Trp-Gln-Trp-Thr-Trp-Leu-Cys(配列番号2);
    (3)Phe-Gln-Trp-Ser-Trp-Tyr-Thr(配列番号3);
    (4)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser-Asp-Tyr-Pro-Pro-Pro(配列番号4);
    (5)Trp-His-Trp-Thr-Trp-Leu-Ser-Glu-Tyr-Pro-Pro-Pro(配列番号5);
    (6)Trp-Gln-Trp-Thr-Trp-Leu-Cys-Glu-His-Pro-Pro-Pro(配列番号6);
    (7)Phe-Gln-Trp-Ser-Trp-Tyr-Thr-Pro-Ser-Arg-Pro-Ser(配列番号7);
    のいずれかをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を有する、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
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