JP6437468B2 - ポリペプチドの修飾 - Google Patents

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Description

本発明は、所望の結合活性を有するポリペプチドリガンドの産生のための方法に関する。具体的には、本発明は、2個以上のペプチドループが足場への取付ポイントの間に内在するように分子足場に共有結合したポリペプチドの産生に関する。ポリペプチドへの分子足場の取付は、磁性樹脂ビーズの形をとり得る精製樹脂において行われる。
環状ペプチドは、タンパク質標的に高い親和性および標的特異性で結合することができ、したがって治療法の開発のために魅力的な分子クラスである。実際に、例えば、抗菌性ペプチドのバンコマイシン、免疫抑制薬のシクロスポリンまたは抗癌薬のオクトレオチドのように、数種の環状ペプチドが、診療所において用いられ成功している(Driggersら、Nat Rev Drug Discov 2008、7(7)、608〜24)。優れた結合特性は、ペプチドと標的との間に形成された相対的に大きな相互作用表面と共に、環状構造のコンホメーション上の柔軟性の低減に起因する。通常、大環状分子は、例えば、環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å;Wu、B.ら、Science 330(6007)、1066〜71)、インテグリンαVb3に結合するArg−Gly−Aspモチーフを有する環状ペプチド(355Å)(Xiong、J.P.ら、Science 2002、296(5565)、151〜5)またはウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子に結合する環状ペプチド阻害剤ウパイン(upain)−1(603Å;Zhao、G.ら、J Struct Biol 2007、160(1)、1〜10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
その環状立体配置のため、ペプチド大環状分子は、直鎖状ペプチドよりも柔軟性が低く、標的への結合によるエントロピー損失がより小さくなり、より高い結合親和性をもたらす。柔軟性の低下は、標的特異的コンホメーションをロックし、直鎖状ペプチドと比較して結合特異性を増加させる。このような効果は、その環が開環されると他のMMPに及んでその選択性を失う、マトリックスメタロプロテイナーゼ8(MMP−8)の強力かつ選択的な阻害剤により例証されてきた(Cherney、R.J.ら、J Med Chem 1998、41(11)、1749〜51)。大環状化により達成される有利な結合特性は、例えばバンコマイシン、ナイシンまたはアクチノマイシン等、2個以上のペプチド環を有する多環性ペプチドにおいてさらにより明らかである。
様々な研究チームが、以前に、システイン残基を有するポリペプチドを合成分子構造に繋いでいる(Kemp,D.S.およびMcNamara,P.E.、J.Org.Chem、1985、Timmerman,P.ら、ChemBioChem、2005)。Meloenおよび共同研究者らは、タンパク質表面の構造を模倣するために、合成足場上への複数のペプチドループの迅速かつ定量的な環化のためにトリス(ブロモメチル)ベンゼンおよび関連分子を使用している(Timmerman,P.ら、ChemBioChem、2005)。システイン含有ポリペプチドを分子足場、例えばトリス(ブロモメチル)ベンゼンに連結させることによって作製される候補薬物化合物を作製する方法は、WO2004/077062号およびWO2006/078161号に開示されている。
WO2004/077062号は、候補薬物化合物の選択方法を開示している。より詳細には、この文書は、第1および第2の反応基を含む様々な足場分子、ならびに、前記足場をさらなる分子と接触させて、カップリング反応において足場とさらなる分子との間に少なくとも2つの連結を形成させることを開示している。
WO2006/078161号は、結合化合物、免疫原性化合物およびペプチド模倣体を開示している。この文書は、既存のタンパク質からとった様々なペプチドのコレクションの人工合成を開示している。その後、これらのペプチドを一部のアミノ酸変化が導入された一定の合成ペプチドと組み合わせて、コンビナトリアルライブラリを生じさせる。様々なアミノ酸変化を特長とする別々のペプチドに、化学結合を介してこの多様性を導入することによって、所望の結合活性を見つける機会の増大がもたらされる。この文書の図1は、様々なループペプチド構築体の合成の模式図を示している。この文書中に開示されている構築体は、典型的にはシステイン残基を含む−SH官能化したペプチド、および典型的にはビス−またはトリス−ブロモフェニルベンゼンなどのベンジルハロゲン置換基を含む足場上の芳香族複素環基に依存する。そのような基は、反応してペプチドと足場との間にチオエーテル結合を形成する。
Heinisらは近年、二環性ペプチドの大型ライブラリを作製し、対象とする標的に対しスクリーニングするためのファージディスプレイに基づくコンビナトリアルアプローチを開発した(Heinisら、Nat Chem Biol 2009、5(7)、502〜7;国際特許出願である国際公開第2009/098450号パンフレットも参照)。要約すると、3個のシステイン残基と、2個のランダムな6アミノ酸領域とを含有する(Cys−(Xaa)−Cys−(Xaa)−Cys)直鎖状ペプチドのコンビナトリアルライブラリをファージ上に提示させ、システイン側鎖を小分子(トリス−(ブロモメチル)ベンゼン)へと共有結合させることにより環化させた。ヒトプロテアーゼカテプシンGおよび血漿カリクレイン(PK)に対する親和性の選択において単離された二環性ペプチドは、ナノモル濃度の阻害定数を有していた。最良の阻害剤、PK15は、3nMのKでヒトPK(hPK)を阻害する。数種の単離された二環性ペプチドのアミノ酸配列における類似性は、両方のペプチドループが結合に寄与することを示唆した。PK15は、検査した最高濃度(10μM)において、ラットPK(81%配列同一性)も、相同的なヒトセリンプロテアーゼ第XIa因子(hfXIa;69%配列同一性)もトロンビン(36%配列同一性)も阻害しなかった(Heinisら、Nat Chem Biol 2009、5(7)、502〜7)。この知見は、二環性阻害剤が、その標的に対し高い親和性を保有し、高度に特異的であることを示唆した。
Heinisらによって開示されている方法は、ディスプレイされたポリペプチドリガンドを修飾して、二環性ペプチドを産生するために有効であるが、その効率は非常に低い。例えば、感染性ファージは、出発ファージ粒子350あたりほんの1の比率で作製される。したがって、本出願人らは、遺伝学的ディスプレイ系にディスプレイされたポリペプチドリガンドの修飾のための改善されたプロトコールを開発した。
第1の態様において、本発明は、遺伝学的ディスプレイ系にディスプレイされたペプチドを分子足場にコンジュゲートするための方法であって、
(a)遺伝学的ディスプレイ系にディスプレイされたポリペプチドを精製樹脂と混ぜ合わせることにより前記ディスプレイ系を前記樹脂に結合させ、前記結合したディスプレイ系を還元剤で処理するステップと、
(b)前記結合したディスプレイ系を前記分子足場に曝露するステップと、
(c)前記結合したディスプレイ系から未反応の分子足場を除去するステップと、
(d)前記精製樹脂から前記ディスプレイ系を溶出させるステップと
を含む方法を提供する。
Heinisらによる本来の方法では、フリー(free)溶液においてペプチドおよび分子足場(TBMB)のコンジュゲーションを行った。次に、TBMB足場にコンジュゲートされた(されなかった)ペプチドを有するファージを遠心分離により単離した。本出願人らは、固相精製樹脂にファージをコンジュゲートし、次にこれを用いてファージを単離することにより、改善された結果を得た。例えば、樹脂は、遠心分離により単離することができるか、あるいはカラムに保持することができる。好ましい実施形態において、樹脂は磁性樹脂であり、磁場の印加により単離することができる。
Heinisらは、ジスルフィドフリーファージを用いて、ペプチドおよび分子足場(TBMB)のコンジュゲーションのより良い結果を得た。本明細書に表記されている技法を用いて、本出願人らは、ファージ粒子上にディスプレイされるようにポリペプチドを野生型pIIIコートタンパク質にコンジュゲートすることにより、Heinisらによって得られた結果を向上させる改善された結果を得た。
野生型pIIIは、分子足場をポリペプチドにカップリングするための手順において用いられる還元剤によりジスルフィド結合の分解に付されるが、本出願人らは、ジスルフィドフリーファージを上回る野生型pIII含有ファージの感染力の増加が、ジスルフィド結合の分解に起因する活性におけるいかなる損失も補って余りあることを見出した。
好ましくは、ポリペプチドは、fd−tetファージ等、fdファージのpIIIタンパク質への融合によりディスプレイされる。
実施形態において、遺伝学的ディスプレイ系は、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、酵母ディスプレイおよび細菌ディスプレイから選択される。一実施形態において、遺伝学的ディスプレイ系は、ファージディスプレイである。
一実施形態において、ステップ(a)の後、分子足場を添加する前に洗浄ステップが行われる。洗浄は、例えば、還元剤、例えば、ステップ(a)において使用される還元剤の溶液で行うことができる。有利には、洗浄ステップにおいて使用される還元剤は、ステップ(a)において使用される還元剤よりも弱いまたはより希釈されている。
ステップ(a)において使用される還元剤は、好ましくは、500mM未満、好ましくは、200mM未満、有利には、100mM未満の濃度で含まれる。例えば、還元剤は、1mM等、10mM以下の濃度で存在する。
ステップ(b)における還元剤は、好ましくは、500μM未満、好ましくは、200μM未満、有利には、100μM未満の濃度で含まれる。例えば、還元剤は、1μM等、10μM以下の濃度で存在する。
樹脂に結合したポリペプチドは、精製された形で還元剤に曝露することができ、または培養物に存在することができる。遺伝学的ディスプレイ系は、細菌または酵母等、細胞における複製が関与し、これらの細胞は、精製により除去することができ、この場合、ステップ(a)は、洗浄ステップを含むことができ、これにより、樹脂に結合したポリペプチドは、バッファーにおいて洗浄され、細胞培養夾雑物から分離される。
適した還元剤は、TCEPである。本明細書に表記されている通り、DTT等、他の還元剤を用いることができる。
還元およびコンジュゲーション反応は、好ましくは、25℃等、室温で行われる。一部の実施形態において、コンジュゲーション反応は、30℃で行うことができる。Heinisらの上述の方法において、反応は、室温を上回る温度、例えば、42℃で行われる。
還元およびコンジュゲーション反応は、有利には、1時間未満の期間で行われる。例えば、反応は、30分間、20分間、15分間または10分間行うことができる。
ポリペプチドは、好ましくは、分子足場にコンジュゲートされると該ポリペプチドの「ループ」を形成し得る少なくとも2個の配列によって隔てられた、少なくとも3個の反応基を含むポリペプチドである。ループは、2、3、4、5、6、7個以上のアミノ酸長等、いかなる適した長さであってもよい。ループは、同じ長さであっても、異なる長さであってもよい。好ましくは、少なくとも2個のループが提供される。一部の実施形態において、3、4、5、6個以上のループが存在し得る。
ポリペプチドにおける反応基は、足場と共有結合を形成することができる。最も一般的には、反応基は、システイン残基を含む。
ペプチドは、タンパク質材料の精製のための固相として有用な任意の適した樹脂となり得る精製樹脂と組み合わされる。ビーズおよびクロマトグラフィー材料を含むイオン交換樹脂等、多くの樹脂は、本技術分野において公知のものであり、この目的に有用である。
有利な実施形態において、樹脂は、遺伝学的ディスプレイ系に結合したポリペプチドの磁性分離を可能にする磁性樹脂である。
足場は、ポリペプチドの反応基に複数の取付ポイントをもたらすいずれかの構造となり得る。例示的な足場を後述する。足場分子は、ポリペプチドにコンジュゲートされ、一方、ポリペプチドは、遺伝学的ディスプレイ系が、分子足場を含むポリペプチドリガンドをディスプレイするように、遺伝学的ディスプレイ系に取り込まれる。過剰な足場は除去される。
足場がポリペプチドにコンジュゲートされた後に、ポリペプチドリガンドを取り込んだ遺伝学的ディスプレイ系が、樹脂から溶出される。次に、ポリペプチドは、コンジュゲートされた形態で遺伝学的ディスプレイ系にディスプレイされ、公知の手段により選択することができる。
実施形態において、ポリペプチドリガンドは、多特異的である。第1の立体配置において、例えば、ポリペプチドと分子足場との相互作用によって形成されたポリペプチドループは、2種以上の標的に結合することができる。この立体配置内で、一実施形態において、ループを、所望の標的への結合に関して個々に選択し、続いて組み合わせることができる。別の実施形態において、ループは、異なる所望の標的への結合に関して、単一の構造の部分として共に選択される。
第2の立体配置において、ポリペプチドのN末端もしくはC末端またはその両方に官能基を取り付けることができる。官能基は、標的に結合することができる抗体ドメイン、Fcドメインまたは上述のさらに別の構造化ペプチドを含むポリペプチド等、結合基の形をとることができる。これはさらに、標的と化学結合することができる反応基の形をとることができる。さらに、これは、血清アルブミン等の大型の血漿タンパク質および細胞透過性ペプチドを含むエフェクター基となり得る。
第3の立体配置において、官能基は、分子足場それ自体に取り付けることができる。官能基の例は、先行する立体配置に関する通りである。
さらなる実施形態において、ポリペプチドリガンドは、n個の取付ポイントにおいて分子足場に連結したポリペプチドを含み、前記ポリペプチドは、環化され、分子足場における前記n個の取付ポイントの間に内在するn個の別個のループを形成する(式中、nは2以上である)。
ポリペプチドは、好ましくは、NからC末端への融合によって環化され、分子足場への取付の前または後に環化され得る。環化前の取付が好ましい。
ペプチド環化のための数種類の方法が本技術分野において公知である。例えば、ポリペプチドは、EDC等、架橋剤を用いたN−C架橋により環化される。
別の実施形態において、ペプチドは、保護されたNαまたはCα誘導体化アミノ酸を含むよう設計し、保護されたNαまたはCα誘導体化アミノ酸の脱保護により環化して、前記アミノ酸をポリペプチドの反対側の末端にカップリングすることができる。
好ましい実施形態において、ポリペプチドは、酵素による手段により環化される。
例えば、酵素は、トランスグルタミナーゼ、例えば、ストレプトマイセス・モバラエンシス(Streptomyces mobaraensis)トランスグルタミナーゼ等の微生物トランスグルタミナーゼである。酵素による環化を活用するために、ポリペプチドに、酵素のためのNおよび/またはC末端基質配列を取り込むことが必要となり得る。酵素反応において基質配列(複数可)の一部または全てを排除することができ、環化されたポリペプチドが、その最終立体配置に基質配列を含まなくてよいことを意味する。
さらに別の実施形態において、本発明に係るポリペプチドリガンドは、ヒトカリクレインに特異的であり、少なくとも2個のループ配列によって隔てられた少なくとも3個の反応基を含むポリペプチドと、少なくとも2個のポリペプチドループが分子足場上に形成されるように、ポリペプチドの反応基と共有結合を形成する分子足場とを含み、ペプチドリガンドのループは、3、4または5個の、但し6個未満のアミノ酸を含む。
驚くべきことに、本出願人らは、各ループに6個未満のアミノ酸を含むペプチドが、カリクレインに対しさらにより高い結合親和性を有し得ることを見出した。
一実施形態において、ペプチドリガンドのループは、3個のアミノ酸を含み、ポリペプチドは、コンセンサス配列GFxxGRVxG(式中、Gは反応基である)を有する。
別の一実施形態において、ペプチドリガンドのループは、5個のアミノ酸を含み、第1のループは、コンセンサス配列GGGxxNG(式中、Gは反応基である)を含む。
例えば、ポリペプチドの2個の隣接するループは、コンセンサス配列GGGxxNGRxxxxGを含み得る。
一実施形態において、ペプチドリガンドのループは、5個のアミノ酸を含み、第1のループは、モチーフGPx(式中、Gは反応基である)を含む。この文脈において、「第1の」ループの言及は、必ずしも配列におけるループの特定の位置を表示しない。しかし、一部の実施形態において、第1のループは、アミノ末端からカルボキシ末端に及ぶペプチド配列における近位ループとなり得る。例えば、ポリペプチドは、モチーフG xLGを含む第2の遠位ループをさらに含む。第1のループの配列の例として、GxWPARG、GxWPSRG、GxFPFRGおよびGxFPYRGが挙げられる。これらの例において、xは、いかなるアミノ酸であってもよいが、例えば、SまたはRである。
一実施形態において、ペプチドリガンドのループは、5個のアミノ酸を含み、第1のループは、モチーフGxHxDLG(式中、Gは反応基である)を含む。
一実施形態において、ペプチドリガンドのループは、5個のアミノ酸を含み、第1のループは、モチーフGTHxxLG(式中、Gは反応基である)を含む。
一実施形態において、ポリペプチドは、モチーフGPx DLGを含む2個の隣接するループを含む。
本明細書における例において、ナンバリングは、ループにおける位置を指し、反応基を無視する。よって、GPx DLGにおいて、xは位置1にあり、は位置6にある。
前述の実施形態において、反応基は、好ましくは、反応性アミノ酸である。好ましくは、反応性アミノ酸は、システインである。
本発明の本態様に係るポリペプチドのバリアントは、変異に利用できる残基を同定し、係る位置に変異を包含するライブラリを調製することにより、上述の通り調製することができる。
さらに別の一態様において、1個または複数個の非天然のアミノ酸置換基を含み、プロテアーゼ分解に対し抵抗性である、本発明の先行する態様に係るポリペプチドリガンドが提供される。
本出願人らは、特定の非天然のアミノ酸が、血漿における滞留時間を有意に増加させつつ、nMのKiによる血漿カリクレインとの結合を可能にすることを見出した。
一実施形態において、非天然のアミノ酸は、N−メチルアルギニン、ホモ−アルギニンおよびヒドロキシプロリンから選択される。好ましくは、アルギニンのN−メチルおよびホモ誘導体は、アルギニンの置き換えに用いられ、プロリン3は、好ましくは、ヒドロキシプロリン、アゼチジンカルボン酸またはアミノイソ酪酸等のアルファ置換アミノ酸に置き換えられてよい。別の一実施形態において、アルギニンは、グアニジル−フェニルアラニンに置き換えることができる。
一実施形態において、ポリペプチドは、モチーフGxWPARGを含む第1のループを含み、Pは、アゼチジンカルボン酸に置き換えられ、および/またはRは、N−メチルアルギニンに置き換えられ、および/またはRは、ホモアルギニンに置き換えられ、および/またはRは、グアニジル−フェニルアラニンに置き換えられる。
一実施形態において、ポリペプチドは、モチーフGxFPYRGを含む第1のループを含み、Rは、N−メチルアルギニンに置き換えられ、および/またはRは、ホモアルギニンに置き換えられ、プロリンは、アゼチジンカルボン酸により置き換えられ、および/またはRは、グアニジル−フェニルアラニンに置き換えられる。
一実施形態において、ポリペプチドリガンドは、ポリペプチドリガンドを一体に連結するための、あるいは1個または複数の官能基を取り付けるためのリンカーとして用いられるサルコシンポリマーをさらに含むことができる。
一部の実施形態において、ポリペプチドリガンドは、プロテアーゼ抵抗性となり得る。プロテアーゼ抵抗性コンジュゲートは、プロテアーゼ抵抗性に関してポリペプチドリガンドのレパートリーをスクリーニングすることにより選択することができる。
ファージディスプレイされたペプチドをトリス−(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)に連結するための反応条件の評価を示す図である。(A)質量分析により決定された、20mM NHHCO、5mM EDTA、pH8、20%ACNに溶解した10μM TBMBと30℃で1時間反応する前および後のGCGSGCGSGCG−D1−D2融合タンパク質の分子質量。反応および未反応のペプチド融合タンパク質の質量差は、小分子コアメシチレンの質量に相当する。(C)還元され、20mM NHHCO、5mM EDTA、pH8、20%ACNに溶解した様々な濃度のTBMBにより30℃で1時間処理されたファージのタイター(形質導入単位)。fdg3p0ss21(黒色)およびライブラリ1(白色)由来のファージのタイターを示す。 1個または2個のシステインを含有するペプチドと三官能性化合物TBMBとの化学反応を示す図である。(A)2個のシステイン残基を含有するペプチド融合タンパク質とTBMBとの妥当な反応機構。(B)TBMBとの反応前および後の2個のシステインを有するペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。(C)1個のシステイン残基を含有するペプチド融合タンパク質とTBMBとの妥当な反応機構。(D)TBMBとの反応前および後の1個のシステインを有するペプチド融合タンパク質の質量スペクトル。 カリクレインへの樹脂加工した修飾ポリペプチドリガンドの結合の図である。 修飾手順の成績における異なるバッファーの効果を示す図である。(A)異なる修飾バッファー、NaHCO3およびNH4CO3の効果。(B)異なるpHの異なる濃度のNaCl溶出バッファーの効果。(C)2ステップ溶出手順における第1および第2のステップの溶出における異なる濃度のNaCl溶出バッファーおよびpHの効果。 異なるバッファーで処理し、異なるpHで溶出した異なる試料の溶出液由来の標的結合アッセイを示す図である。 迅速および長期磁性修飾プロトコールの図解である。 PK15を有するファージの修飾のための迅速および長期プロトコールの比較を示す図である。(A)qPCRによるファージタイターの比較、および(B)カリクレイン結合に関する機能比較。 野生型およびSchmidファージを比較する、総ファージタイターを示す棒グラフである。 野生型およびSchmidファージを比較する、ファージ調製および修飾における1ml当たり(A)および合計(B)のファージ粒子数を示す図である。本チャートにおいて、左側のカラムは、PK15であり、その次にPEP48 WT、そして右側にPEP48 Schmidが来る。
別段に定義しない限りは、本明細書中で使用する全ての技術用語および科学用語は、ペプチド化学、細胞培養およびファージディスプレイ、核酸化学ならびに生化学の分野などの当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。分子生物学、遺伝子学および生化学的の方法には、本明細書中に参考として組み込まれている(Sambrookら、分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第3版、2001、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、Ausubelら、分子生物学の手短なプロトコール(Short Protocols in Molecular Biology)(1999)第4版、John Wiley&Sons,Inc.を参照)標準の技法が使用される。
本明細書中で言及する(ポリ)ペプチドリガンドまたは(ポリ)ペプチドコンジュゲートとは、分子足場と共有結合したポリペプチドをいう。典型的には、そのようなポリペプチドは、足場と共有結合を形成することができる2つ以上の反応基、および、ペプチドが足場と結合した際にループを形成することからループ配列と呼ばれる、前記反応基間に内在する配列を含む。本事例において、ポリペプチドは、少なくとも3個の反応基を含み、足場上に少なくとも2個のループを形成する。
反応基とは、分子足場と共有結合を形成することができる基である。典型的には、反応基は、ペプチド上のアミノ酸側鎖上に存在する。例は、システイン、リジンおよびセレノシステインなどのアミノ含有基である。
本明細書の文脈における特異性は、標的と類似の実体を除外したその同族標的と結合するか、さもなければこれと相互作用するリガンドの能力を指す。例えば、特異性は、ヒト酵素の相互作用を阻害するが、異なる種由来の相同酵素の相互作用を阻害しないリガンドの能力を指すことができる。本明細書に記載されているアプローチを用いて、企図される標的のホモログまたはパラログとリガンドがより相互作用できるようにまたはできなくなるように、特異性が増加または減少するようモジュレートすることができる。特異性は、活性、親和性またはアビディティーと同義であるとは企図されておらず、その標的におけるリガンドの作用の効力(例えば、結合親和性または阻害のレベル等)は、必ずしもその特異性に関係しない。
本明細書における結合活性は、例えば、本明細書に記載されている結合アッセイから得られる定量的結合測定値を指す。したがって、結合活性は、所定の標的濃度で結合しているペプチドリガンドの量を指す。
多重特異性は、2種以上の標的に結合する能力である。通常、結合ペプチドは、そのコンホメーション特性により、抗体の場合はエピトープ等、単一の標的と結合することができる。しかし、2種以上の標的に結合することができるペプチド、例えば、二重特異的抗体を開発することができる。本発明において、ペプチドリガンドは、2種以上の標的に結合することができ、したがって多重特異的となり得る。好ましくは、これは、2種の標的に結合し、二重特異的である。結合は、独立的となることができ、これは、ペプチドにおける標的に対する結合部位が、標的の一方または他方の結合により構造的に妨げられないことを意味する。この場合、両方の標的が独立的に結合していてよい。より一般的には、一方の標的の結合が、他方の結合を少なくとも部分的に妨害するであろうと予想される。
標的は、ペプチドリガンドが結合する、さもなければ相互作用する分子またはその一部である。結合は、多くの種類の活性に必須のものと理解され、それ自体が活性となり得るが、他の活性が想定される。よって、本発明は、直接的または間接的な結合の測定を必要としない。
分子足場とは、複数の点でペプチドと接続して、ペプチドに1つまたは複数の構造的特長を与えることができる、任意の分子である。これは、ジスルフィド結合を単に置き換えるのではなく、その代わりに、ペプチドの2つ以上の付着点をもたらすという点で、架橋結合剤ではない。好ましくは、分子足場は、足場反応基と呼ばれる、ペプチドの付着点を少なくとも3つ含む。これらの基は、ペプチド上の反応基と反応して共有結合を形成することができる。分子足場の好ましい構造を以下に記載する。
結合活性(または任意の他の所望の活性)のスクリーニングは、当分野で周知の方法に従って、例えばファージディスプレイ技術から実施する。例えば、固相に固定した標的を用いて、レパートリーの結合メンバーを同定および単離することができる。スクリーニングにより、所望の特徴に応じたレパートリーのメンバーの選択が可能となる。
用語、ライブラリは、不均質なポリペプチドまたは核酸の混合物を指す。ライブラリは、同一ではないメンバーで構成される。この点で、ライブラリはレパートリーと同義である。ライブラリメンバー間の配列の相違が、ライブラリ中に存在する多様性を司っている。ライブラリは、ポリペプチドもしくは核酸の単純な混合物の形態をとり得るか、または、核酸のライブラリで形質転換させた生物もしくは細胞、例えば、細菌、ウイルス、動物もしくは植物細胞などの形態であり得る。好ましくは、それぞれの個々の生物または細胞は、1つのみまたは限定された数のライブラリメンバーを含有する。
一実施形態では、核酸によってコードされているポリペプチドの発現を可能にするために、核酸を発現ベクター内に組み込む。したがって、好ましい態様では、ライブラリは宿主生物の集団の形態をとってよく、それぞれの生物は、発現させてその対応するポリペプチドメンバーを産生させることができる、ライブラリの単一のメンバーを核酸の形態で含有する発現ベクターの1つまたは複数のコピーを含有する。したがって、宿主生物の集団は、遺伝的に多様なポリペプチド変異体の大きなレパートリーをコードしている潜在性を有する。
一実施形態では、核酸のライブラリはポリペプチドのレパートリーをコードしている。ライブラリのそれぞれの核酸メンバーは、好ましくは、ライブラリの1つまたは複数の他のメンバーに関連する配列を有する。関連する配列とは、ライブラリの少なくとも1つの他のメンバーに対して少なくとも50%の同一性、例えば少なくとも60%の同一性、例えば少なくとも70%の同一性、例えば少なくとも80%の同一性、例えば少なくとも90%の同一性、例えば少なくとも95%の同一性、例えば少なくとも98%の同一性、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を意味する。同一性は、少なくとも3個のアミノ酸、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸、例えば少なくとも(least)12個のアミノ酸、例えば少なくとも(least)14個のアミノ酸、例えば少なくとも(least)16個のアミノ酸、例えば少なくとも(least)17個のアミノ酸の連続的なセグメントまたは参照配列の完全長にわたって判断し得る。
レパートリーは、バリアント、この場合はその配列が異なるポリペプチドバリアントのコレクションである。通常、反応基の位置および性質は変動しないが、その間にループを形成する配列がランダム化されてよい。レパートリーは、サイズが異なるが、少なくとも10種のメンバーを含むと考慮されるべきである。1011種以上のメンバーのレパートリーを構築することができる。
ポリペプチドリガンドのセットは、本明細書において、記載されている方法における選択に付すことができる複数のポリペプチドリガンドを指す。潜在的には、セットは、レパートリーとなり得るが、少なくとも2種、最大10、20、50、100種以上のポリペプチドの小規模のコレクションであってもよい。
ポリペプチドリガンドの群は、本明細書において、2種以上のリガンドを指す。一実施形態において、リガンドの群は、少なくとも1種の標的特異性を共有するリガンドのみを含む。通常、群は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10、20、50、100種以上のリガンドからなるであろう。一実施形態において、群は、2種のリガンドからなる。
(i)分子足場
分子足場は、例えば、国際公開第2009098450号パンフレットならびにそこに引用されている参考文献、特に、国際公開第2004077062号パンフレットおよび国際公開第2006078161号パンフレットにおいて記載されている。
前述の文書に記されている通り、分子足場は、有機小分子等、小分子でもよい。
一実施形態では、分子足場は、ヌクレオシド、糖、またはステロイドなどの天然の単量体であり得る、またはそれに基づき得る。例えば、分子足場は、二量体または三量体などの、そのような実体の短いポリマーを含み得る。
一実施形態では、分子足場は、既知の毒性、例えば低い毒性の化合物である。適切な化合物の例には、コレステロール、ヌクレオチド、ステロイド、またはタマゼパム(tamazepam)などの既存の薬物が含まれる。
一実施形態では、分子足場は巨大分子であり得る。一実施形態では、分子足場は、アミノ酸、ヌクレオチドまたは炭水化物から構成される巨大分子である。
一実施形態では、分子足場は、ポリペプチドの官能基(複数可)と反応して共有結合を形成することができる反応基を含む。
分子足場は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、アジド、酸無水物、スクシンイミド、マレイミド、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アシルなどの化学基を含有し得る。
一実施形態では、分子足場は、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、特に1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)、またはその誘導体を含み得る、またはそれからなり得る。
一実施形態では、分子足場は2,4,6−トリス(ブロモメチル)メシチレンである。これは、1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼンに類似であるが、ベンゼン環に付着したさらに3つのメチル基を含有する。これは、追加的なメチル基が、ポリペプチドとのさらに別の接触を形成し、したがって追加的な構造的制約を加え得るという利点を有する。
他の分子足場は、1,3,5−トリアクリロイル(triacryloyl)−1,3,5−トリアジナン(triazinane)(TATA)、N,N’,N’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)−トリス(2−ブロモアセトアミド)(TBAB)およびN,N’,N’’−ベンゼン−1,3,5−トリイルトリスプロパ−2−エナミド(TAAB)を含む。Chenら、ChemBioChem 2012、13、1032〜1038を参照されたい。
本発明の分子足場は、本発明のコードされたライブラリのポリペプチドの官能基が分子足場と共有結合を形成することのできる化学基を含有する。前記化学基は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、サクシニミド、マレイミド、アジ化物、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アシルを包含する広範な官能基から選択される。
(ii)ポリペプチド
ポリペプチドの反応基は、天然または非天然のアミノ酸の側鎖によって提供され得る。ポリペプチドの反応基は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、グアニジニウム基、フェノール基またはヒドロキシル基から選択され得る。ポリペプチドの反応基は、アジド、ケト−カルボニル、アルキン、ビニル、またはハロゲン化アリール基から選択され得る。分子足場と連結させるためのポリペプチドの反応基は、ポリペプチドのアミノまたはカルボキシ末端であり得る。
一部の実施形態では、分子足場と連結させるためのポリペプチドの反応基のそれぞれは、同じ種類のものである。例えば、それぞれの反応基はシステイン残基であり得る。さらなる詳細は、国際公開第2009098450号パンフレットに提供されている。
一部の実施形態では、分子足場と連結させるための反応基は、2つ以上の異なる種類を含み得るか、または3つ以上の異なる種類を含み得る。例えば、反応基は、2つのシステイン残基および1つのリジン残基を含み得るか、あるいは、1つのシステイン残基、1つのリジン残基および1つのN末端アミンを含み得る。
システインは、その反応性が全ての他のアミノ酸と最も異なっているという利点を有するため、使用し得る。システインのチオール基と反応させるために分子足場上で使用することができる足場反応基は、アルキルハロゲン化物、(またはハロゲノアルカンもしくはハロアルカンとも命名される)。具体例は、ブロモメチルベンゼン(TBMBにより例証される足場反応基)またはヨードアセトアミドである。化合物をタンパク質中のシステインと選択的にカップリングさせるために使用される他の足場反応基はマレイミドである。本発明において分子足場として使用し得るマレイミドの例には、トリス−(2−マレイミドエチル)アミン、トリス−(2−マレイミドエチル)ベンゼン、トリス−(マレイミド)ベンゼンが含まれる。セレノシステインは、また、システインと類似の反応性を有しており、同じ反応に使用することができる天然アミノ酸である。したがって、システインに言及する場合はいつでも、文脈によりそうでないと示唆される場合以外は、セレノシステインを置換することが典型的には許容される。
また、リジン(およびペプチドのN末端の第一級アミン)も、分子足場との連結によってファージ上のペプチドを修飾するための反応基として適している。しかし、ファージを選択に使用する場合は、リジンはファージタンパク質中でシステインよりも豊富に存在し、ファージ粒子が架橋結合し得る、またはこれらがその感染力を失い得る危険性が高くなる。それにもかかわらず、リジンは、分子内反応(例えば、分子足場が既にファージペプチドと連結している場合)において、分子足場と第2のまたは連続した連結を形成するために特に有用であることが見出されている。この場合、分子足場は、ディスプレイされたペプチドのリジン(特に、非常に近位にあるリジン)と優先的に反応する。第一級アミンと選択的に反応する足場反応基は、スクシンイミド、アルデヒドまたはハロゲン化アルキルである。添付の実施例のうちのいくつかにおいて使用されているブロモメチル基では、ベンゼン環の電子が陽イオン性の遷移状態を安定化することができる。したがって、この特定のハロゲン化アリールは、ハロゲン化アルキルよりも反応性が100〜1000倍高い。分子足場として使用するためのスクシンイミドの例には、トリス−(スクシンイミジルアミノトリアセテート)、1,3,5−ベンゼン三酢酸が含まれる。分子足場として使用するためのアルデヒドの例には、トリホルミルメタンが含まれる。分子足場として使用するためのハロゲン化アルキルの例には、1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリエチルベンゼンが含まれる。
分子足場と連結させるための反応基を有するアミノ酸は、ポリペプチド内の任意の適切な位置に位置していてよい。作製された特定の構造またはループに影響を与えるために、反応基を有するアミノ酸の位置は、例えば、産生されるポリペプチドを突然変異させるためにポリペプチドをコードしている核酸を操作することによって、技術者によって変動させ得る。係る手段により、ループ長は、本教示に従って操作することができる。
例えば、ポリペプチドは、配列AC(X)C(X)CG(式中、Xはランダムな天然のアミノ酸を表し、Aはアラニンを表し、Cはシステインを表し、Gはグリシンを表し、同一であっても異なっていてもよいnおよびmは、3〜6の間の数である)を含むことができる。
(iii)ポリペプチドの反応基
本発明の分子足場は、ポリペプチドにおける官能基または反応基を介してポリペプチドと結合していてよい。これらは通常、ポリペプチドポリマーに存在する特定のアミノ酸の側鎖から形成される。係る反応基は、システイン側鎖、リジン側鎖またはN末端アミン基もしくはその他の適した反応基となり得る。重ねて記すが、詳細は、国際公開第2009098450号パンフレットに見出すことができる。
天然のアミノ酸の反応基の例は、システインのチオール基、リジンのアミノ基、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸のカルボキシル基、アルギニンのグアニジウム基、チロシンのフェノール基またはセリンのヒドロキシル基である。非天然のアミノ酸は、アジ化物、ケト−カルボニル、アルキン、ビニルまたはハロゲン化アリール基を包含する広範な反応基をもたらすことができる。ポリペプチド末端のアミノおよびカルボキシル基もまた、分子足場/分子コアと共有結合を形成する反応基としての役割を果たすことができる。
本発明のポリペプチドは、少なくとも3個の反応基を含有する。前記ポリペプチドは、4個以上の反応基を含有することもできる。より多くの反応基が用いられるほど、より多くのループを分子足場に形成することができる。
好ましい実施形態において、3個の反応基を有するポリペプチドが生成される。3回(fold)回転対称を有する分子足場/分子コアと前記ポリペプチドの反応は、単一の産物異性体(product isomer)を生成する。単一の産物異性体の生成は、いくつかの理由から有利である。化合物ライブラリの核酸は、ポリペプチドの一次配列のみをコードし、分子コアとポリペプチドの反応により形成される分子の異性体状態をコードしない。1種の産物異性体のみが形成され得るのであれば、産物異性体への核酸の割当は、明確に定義される。複数の産物異性体が形成される場合、核酸は、スクリーニングまたは選択プロセスにおいて単離された産物異性体の性質に関する情報を与えることができない。単一の産物異性体の形成は、本発明のライブラリの特異的なメンバーが合成される場合も有利である。この場合、分子足場とポリペプチドの化学反応は、異性体の混合物ではなく単一の産物異性体を生じる。
本発明の別の一実施形態において、4個の反応基を有するポリペプチドが生成される。4面体対称を有する分子足場/分子コアと前記ポリペプチドの反応は、2種の産物異性体を生成する。2種の異なる産物異性体が、全く同一の核酸にコードされるとしても、単離された異性体の異性体的な性質は、両方の異性体を化学的に合成し、2種の異性体を分離し、標的リガンドへの結合に関して両方の異性体を検査することにより決定することができる。
本発明の一実施形態では、ポリペプチドの反応基のうちの少なくとも1つは、残りの反応基と直交性である。直交性の反応基の使用は、前記直交性の反応基を分子コアの特異的部位に向けることを可能にする。直交性の反応基を含む連結戦略は、形成された生成物異性体の数を制限するために使用し得る。言い換えれば、少なくとも3つの結合のうちの1つまたは複数について、少なくとも3つの結合のうちの残りについて選択したものと区別されるまたは異なる反応基を選択することによって、特定の順序の結合、またはポリペプチドの特定の反応基を分子足場上の特定の位置に指示することが、有用に達成され得る。
別の実施形態では、本発明のポリペプチドの反応基を分子リンカーと反応させ、前記リンカーは、リンカーが最終的な結合状態において分子足場とポリペプチドとの間に介在するように、分子足場と反応することができる。
一部の実施形態において、ポリペプチドのライブラリまたはセットのメンバーのアミノ酸は、いずれかの天然または非天然のアミノ酸に置き換えることができる。これらの交換可能なアミノ酸から除外されるのは、ループ配列単独が交換可能となるような、分子コアにポリペプチドを架橋するための官能基を持つアミノ酸である。交換可能なポリペプチド配列は、ランダムな配列、定常な配列またはランダムおよび定常なアミノ酸を有する配列のいずれかを有する。反応基を有するアミノ酸は、これらのアミノ酸の位置はループサイズを決定するため、ポリペプチド内の定義された位置のいずれかに位置する。
一実施形態では、3つの反応基を有するコードされているポリペプチドは、配列(X)Y(X)Y(X)Y(X)[式中、Yは反応基を有するアミノ酸を表し、Xはランダムなアミノ酸を表し、mおよびnは、同一でも異なっていてもよい介在ポリペプチドセグメントの長さを定義する3〜6の数字であり、lおよびoは、フランキングポリペプチドセグメントの長さを定義する、0〜20の数字である]を有する。
チオール媒介性のコンジュゲーションの代替方法を使用して、共有的相互作用を介して分子足場をペプチドに付着させることができる。あるいは、これらの技法は、本発明に従ってこれらを選択された単離した後の、修飾またはさらなる部分(分子足場から区別される対象の小分子など)とポリペプチドとの付着に使用し得る。したがって、本実施形態では、明らかに、付着は共有的である必要はなく、非共有的な付着を包含し得る。これらの方法は、非天然アミノ酸を保有し、必須の化学反応基を、相補的反応基を保有する小分子と組み合わせて有するタンパク質およびペプチドをディスプレイするファージを産生させることによって、または、分子が選択/単離段階の後に作製される場合は、非天然アミノ酸を化学的にもしくは組換えによって合成したポリペプチド内に組み込ませることによって、チオール媒介性方法の代わりに(またはそれと組み合わせて)使用し得る。さらなる詳細は、国際公開第2009098450号パンフレットまたはHeinisら、Nat Chem Biol 2009、5(7)、502〜7に見出すことができる。
(iv)多重特異的分子を形成するためのループの組合せ
ペプチドリガンドまたはペプチドリガンドのレパートリー由来のループは、組み合わせたループを組み入れているポリペプチドの配列決定およびde novo合成により有利に組み合わされる。あるいは、係るポリペプチドをコードする核酸を合成することができる。
レパートリー、特に単一ループのレパートリーが組み合わされる場合、レパートリーをコードする核酸は、有利に消化され、再ライゲーションされて、構成物レパートリー由来のループの異なる組合せを有する新規レパートリーを形成する。ファージベクターは、ポリリンカーおよび制限酵素のための他の部位(ベクターの切断および再ライゲーション(relegation)のためのユニークなポイントを提供する)を包含して、所望の多重特異的ペプチドリガンドを作製することができる。ファージライブラリを操作するための方法は、抗体に関してよく知られており、本事例においても適用することができる。
(v)エフェクター基および官能基の取り付け
エフェクターおよび/または官能基を、例えば、ポリペプチドのNもしくはC末端にまたは分子足場に付けることができる。
適切なエフェクター基は、抗体およびその部分または断片を包含する。例えば、エフェクター基は、1種または複数種の定常領域ドメインに加えて、抗体軽鎖定常領域(CL)、抗体CH1重鎖ドメイン、抗体CH2重鎖ドメイン、抗体CH3重鎖ドメインまたはこれらのいずれかの組合せを包含することができる。エフェクター基は、抗体のヒンジ領域(IgG分子のCH1およびCH2ドメインの間に通常存在する領域等)を含むこともできる。
本発明の本態様のさらに好ましい実施形態において、本発明に係るエフェクター基は、IgG分子のFc領域である。有利には、本発明に係るペプチドリガンドエフェクター基は、1日間以上、2日間以上、3日間以上、4日間以上、5日間以上、6日間以上または7日間以上のtβ半減期を有するペプチドリガンドFc融合体を含む、あるいはこれからなる。最も有利には、本発明に係るペプチドリガンドは、1日間以上のtβ半減期を有するペプチドリガンドFc融合体を含む、あるいはこれからなる。
官能基は、一般に、結合基、薬物、他の実体を付けるための反応基、細胞への大環状ペプチドの取り込みを助ける官能基その他を包含する。
細胞へと浸透するペプチドの能力は、細胞内標的に対するペプチドを有効なものとすることができる。細胞へと浸透する能力を有するペプチドによりアクセスされ得る標的は、転写因子、チロシンキナーゼ等の細胞内シグナル伝達分子およびアポトーシス経路に関与する分子を包含する。細胞の浸透を可能にする官能基は、ペプチドまたは分子足場のいずれかに付加されたペプチドまたは化学基を包含する。VP22、HIV−Tat、ショウジョウバエ(Drosophila)のホメオボックスタンパク質(アンテナペディア)等に由来するペプチド等、ペプチドは、例えば、Chen and Harrison、Biochemical Society Transactions(2007)35巻、パート4、821頁「Cell−penetrating peptides in drug development:enabling intracellular targets」およびGuptaらによる「Intracellular delivery of large molecules and small peptides by cell penetrating peptides」Advanced Drug Discovery Reviews(2004)57巻9637に記載されている。細胞膜を通した転位置において効率的であることが示された短いペプチドの例として、ショウジョウバエアンテナペディアタンパク質由来の16アミノ酸ペネトラチン(penetratin)ペプチド(Derossiら(1994)J Biol.Chem.269巻、10444頁「The third helix of the Antennapedia homeodomain translocates through biological membranes」)、18アミノ酸「モデル両親媒性ペプチド」(Oehlkeら(1998)Biochim Biophys Acts 1414巻127頁「Cellular uptake of an alpha−helical amphipathic model peptide with the potential to deliver polar compounds into the cell interior non−endocytically」)およびHIV TATタンパク質のアルギニンリッチ領域が挙げられる。非ペプチド性アプローチは、生体分子に容易に付けることができる小分子模倣物またはSMOCの使用を包含する(Okuyamaら(2007)Nature Methods 4巻153頁「Small−molecule mimics of an a−helix for efficient transport of proteins into cells」。分子にグアニジウム基を付加する他の化学的戦略も、細胞浸透を増強させる(Elson−Scwabら(2007)J Biol Chem 282巻13585頁「Guanidinylated Neomcyin Delivers Large Bioactive Cargo into cells through a heparin Sulphate Dependent Pathway」)。ステロイド等、低分子量の分子を分子足場に付加して、細胞への取り込みを増強させることができる。
ペプチドリガンドに付けることのできる官能基の一クラスは、抗体、およびFab、Fvまたはシングルドメイン断片等、その結合断片を包含する。特に、in vivoにおけるペプチドリガンドの半減期を増加させることができるタンパク質に結合する抗体を用いることができる。
多くの細胞上に存在するインテグリンに結合するRGDペプチドを組み入れていることもできる。
一実施形態において、本発明に係るペプチドリガンドエフェクター基は、12時間以上、24時間以上、2日間以上、3日間以上、4日間以上、5日間以上、6日間以上、7日間以上、8日間以上、9日間以上、10日間以上、11日間以上、12日間以上、13日間以上、14日間以上、15日間以上または20日間以上からなる群から選択されるtβ半減期を有する。有利には、本発明に係るペプチドリガンドエフェクター基または組成物は、12〜60時間の範囲内のtβ半減期を有するであろう。さらに別の実施形態において、これは、1日間以上のt半減期を有するであろう。さらにまた別の実施形態において、これは、12〜26時間の範囲内であろう。
官能基は、癌治療のための細胞傷害性薬剤等、薬物を包含する。これは、シスプラチンおよびカルボプラチン等のアルキル化剤ならびにオキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イホスファミド;プリンアナログ、アザチオプリンおよびメルカプトプリンを包含する抗代謝剤))またはピリミジンアナログ;ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビンおよびビンデシン等、ビンカアルカロイドを包含する植物アルカロイドおよびテルペノイド;ポドフィロトキシンおよびその誘導体エトポシドおよびテニポシド;本来タキソールとして知られた、パクリタキセルを包含するタキサン;カンプトテシンを包含するトポイソメラーゼ阻害剤:イリノテカンおよびトポテカン、ならびにアムサクリン、エトポシド、エトポシドリン酸塩およびテニポシドを包含するII型阻害剤を包含する。さらに別の薬剤は、免疫抑制薬ダクチノマイシン(腎臓移植において用いられる)、ドキソルビシン、エピルビシン、ブレオマイシンその他を包含する抗腫瘍抗生物質を包含することができる。
可能なエフェクター基は、例えば、ペプチドリガンドが、ADEPTにおいて抗体を置き換える、酵素/プロドラッグ治療法において用いるためのカルボキシペプチダーゼG2等、酵素も包含する。
(vi)ペプチド修飾
二環性ペプチド(バイシクル(Bicycle);分子足場にコンジュゲートしたペプチド)を適した薬物様分子へと開発するため、注射、吸入、経鼻、点眼、経口または局所的投与のいずれのためであれ、多数の特性を考慮する必要がある。次の記載は、少なくとも所定のリードバイシクルに設計される必要がある。
・ プロテアーゼ安定性、これが、血漿プロテアーゼ、上皮(「膜アンカー型」)プロテアーゼ、胃および腸のプロテアーゼ、肺表面プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼその他に対するバイシクル安定性に関係するか否か。プロテアーゼ安定性は、バイシクルリード候補が、動物モデルにおいて開発できると共に、自信を持ってヒトに投与できるように、異なる種の間で維持されるべきである。
・ 分子の医薬品安定性プロファイルを改善するための、トリプトファンおよびメチオニン等、酸化感受性残基の酸化抵抗性アナログへの置き換え。
・ 製剤および吸収目的に重要な、荷電かつ親水性対疎水性残基の比例の関数である、望ましい溶解性プロファイル。
・ 荷電対疎水性残基の正確な均衡。その理由として、疎水性残基は、血漿タンパク質結合の程度、よって、血漿における遊離した利用できる画分の濃度に影響を与え、一方、荷電残基(特にアルギニン)は、細胞表面におけるリン脂質膜とペプチドとの相互作用に影響を与え得るからである。組み合わせた両者は、半減期、分布の体積およびペプチド薬物への曝露に影響を与えることができ、臨床エンドポイントに応じて目的に合わせて作製することができる。加えて、荷電対疎水性残基の正確な組合せおよび数は、注射部位における刺激作用を低下させることができる(ペプチド薬物を皮下投与した場合)。
・ 臨床適応および治療レジメンに応じた、目的に合わせた半減期。急性疾病管理設定における短時間の曝露のための無修飾分子を開発する、あるいは血漿半減期を増強させる化学修飾を有する、したがってより慢性病状の管理に最適な二環性ペプチドを開発することは、堅実な行為となろう。
タンパク質分解に対して治療ペプチド候補を安定化させるためのアプローチは数多くあり、ペプチド模倣薬の分野と重複する(総説のため、Gentilucciら、Curr.Pharmaceutical Design、(2010)、16、3185〜203およびNestorら、Curr.Medicinal Chem(2009)、16、4399〜418を参照)。
係るアプローチの例として、次のものが挙げられる。
・ ペプチドの環化
・ NおよびC末端キャッピング、通常、N末端アセチル化およびC末端アミド化
・ タンパク質分解による攻撃部位(複数可)を明らかにし、潜在的に除去するためのアラニン走査
・ 立体障害により、また、β−ターンコンホメーションを安定化させるD−アミノ酸の傾向によりタンパク質分解安定性を増加させるための、アミノ酸側鎖の立体要件を探るためのD−アミノ酸置き換え(Tugyiら(2005)PNAS、102(2)、413〜418)
・ 解離しやすいアミド結合の直接的な修飾によりタンパク質分解からの保護を与えるためのN−メチル/N−アルキルアミノ酸置き換え(Fiaccoら、Chembiochem.(2008)、9(14)、2200〜3)。N−メチル化は、ペプチド結合のねじれ角における強い効果も有し、細胞浸透&経口利用能を助けると考えられる(Bironら(2008)、Angew.Chem.Int.Ed.、47、2595〜99)
・ 非天然のアミノ酸の組み入れ、即ち、次を用いることによる。
− プロテアーゼにより認識されないが、標的効力に効果を持たない、等比体積/等電子側鎖
− 近くのペプチド結合のタンパク質分解による加水分解が、コンホメーション的および立体的に妨害されるような、制約されたアミノ酸側鎖。特に、これらは、プロリンアナログ、巨大な(bulky)側鎖、Cα−二置換誘導体(最も単純な誘導体が、Aib、HN−C(CH−COOHである場合)およびシクロアミノ酸(単純な誘導体がアミノ−シクロプロピルカルボン酸である)に関係する。
・ ペプチド結合代用物、その例として次のものが挙げられる。
− N−アルキル化(上述、即ち、CO−NRを参照)
− 還元されたペプチド結合(CH−NH−)
− ペプトイド(N−アルキルアミノ酸、NR−CH−CO)
− チオ−アミド(CS−NH)
− アザペプチド(CO−NH−NR)
− トランス−アルケン(RHC=C−)
− レトロインベルソ(Retro-inverso)(NH−CO)
− 尿素代用物(NH−CO−NHR)
・ ペプチド主鎖長のモジュレーション
− 即ち、β2/3−アミノ酸(NH−CR−CH−CO、NH−CH−CHR−CO)
・ 主鎖コンホメーションを制約する、アミノ酸のアルファ−炭素における置換、最も単純な誘導体はアミノイソ酪酸(Aib)である。
これら修飾のいくつかが、標的に対するペプチドの効力の計画的な改善に、あるいは例えば、酸化感受性アミノ酸(TrpおよびMet)の強力な置換の同定にも有用となり得ることを明確に留意されたい。
(B)ポリペプチドリガンドのレパートリー、セットおよび群
(i)ライブラリの構築
選択を意図するライブラリは、例えばWO2004/077062号に記載の当分野で知られている技法、または本明細書中に記載のファージベクター系を含めた生物系を用いて構築し得る。他のベクター系が当分野で知られており、他のファージ(例えばファージラムダ)、細菌プラスミド発現ベクター、酵母ベクターを含めた真核細胞に基づく発現ベクターなどが含まれる。例えば、国際公開第2009098450号パンフレットまたはHeinisら、Nat Chem Biol 2009、5(7)、502〜7を参照されたい。
WO2004/077062号に記載のものなどの非生物系は、慣用の化学的スクリーニング手法に基づく。これらは単純であるが、ペプチドリガンドの大きなライブラリをスクリーニングすることは不可能、または少なくとも非実用的に煩雑であるため、生物系の威力を欠く。しかし、これらは、例えば、少数のペプチドリガンドのみをスクリーニングする必要がある場合に有用である。しかし、そのような個々のアッセイによるスクリーニングは時間がかかる場合があり、特定の標的との結合について試験することができるユニークな分子の数は、一般に10個の化学的実体を超えない。
対照的に、生物学的スクリーニングまたは選択方法は、一般に、はるかにより多数の様々な分子のサンプリングを可能にする。したがって、生物学的方法が本発明の応用においてより適切に使用され得る。生物学的手順では、分子を単一の反応器中でアッセイし、好都合な特性(即ち結合)を有するものを、不活性の分子から物理的に分離する。1013個を超える個々の化合物を同時に作製およびアッセイすることを可能にする選択戦略が利用可能である。強力な親和性選択技法の例は、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイまたはRNA/DNAアプタマー方法である。これらの生物学的なin vitro選択方法は、リガンドレパートリーがDNAまたはRNAによってコードされていることが共通している。これらは、配列決定によって選択されたリガンドの繁殖および同定を可能にする。ファージディスプレイ技術は、例えば、事実上任意の標的に対して非常に高い結合親和性を有する抗体の単離に使用されている。
生物系を使用する場合は、ベクター系を選択し、対象のポリペプチドをコードしている1つまたは複数の核酸配列をライブラリベクター内にクローニングした後、発現前に突然変異誘発を行うことによってクローニングした分子内に多様性を発生させ得るか、あるいは、突然変異誘発の前にコードされているタンパク質を発現および選択し、さらなる選択の回を行い得る。
構造的に最適化されたポリペプチドをコードしている核酸配列の突然変異誘発は、標準の分子学的方法によって実施する。特に有用なものは、ポリメラーゼ連鎖反応、即ちPCRである(本明細書中に参考として組み込まれているMullisおよびFaloona(1987)Methods Enzymol.、155:335)。対象の標的配列を増幅するために熱安定性のDNA依存性DNAポリメラーゼによって触媒される、複数のサイクルのDNA複製を使用するPCRは、当分野で周知である。様々な抗体ライブラリの構築は、Winterら(1994)Ann.Rev.Immunology、12、433〜55、およびそれ中に引用される参考文献中に記述されている。
あるいは、本発明によるポリペプチドの短い鎖長を考慮すると、変異体を好ましくは新規合成し、適切な発現ベクター内に挿入する。ペプチド合成は、上述のように当分野で知られている標準の技法によって実施することができる。Applied Biosystems ABI433(Applied Biosystems、米国カリフォルニア州Foster City)などの自動ペプチド合成機が広く利用可能である。
(ii)遺伝的にコードされている多様性
一実施形態では、対象のポリペプチドは、遺伝的にコードされている。これは、増強された多様性と共に取扱いの容易性の利点を提供する。遺伝的なポリペプチドライブラリの一例はmRNAディスプレイライブラリである。別の例は、ファージディスプレイライブラリなどの複製可能な遺伝子ディスプレイパッケージ(rgdp)ライブラリである。一実施形態では、対象のポリペプチドは、ファージディスプレイライブラリとして遺伝的にコードされている。したがって、一実施形態では、本発明の複合体は、ファージ粒子などの複製可能な遺伝子ディスプレイパッケージ(rgdp)を含む。これらの実施形態では、核酸はファージゲノムによって含まれ得る。これらの実施形態では、ポリペプチドはファージのコートによって含まれ得る。
一部の実施形態では、本発明を使用して、いくつかの核酸を対応するポリペプチドへと翻訳し、前記分子足場の分子を前記ポリペプチドと連結させることによって作製される、遺伝的にコードされているポリペプチドのコンビナトリアルライブラリを生成し得る。
遺伝的にコードされているポリペプチドのコンビナトリアルライブラリは、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、細菌ディスプレイまたはmRNAディスプレイによって作製し得る。
ファージディスプレイを行うための技法および方法論は、国際公開第2009098450号パンフレットに見出すことができる。
一実施形態において、スクリーニングは、ポリペプチドリガンドのライブラリ、セットまたは群を標的と接触させ、前記標的と結合する1種または複数種のメンバー(複数可)を単離することにより行うことができる。
別の実施形態では、前記ライブラリ、セットまたは群の個々のメンバーをスクリーニングにおいて標的と接触させ、前記標的と結合する前記ライブラリのメンバーを同定する。
別の実施形態では、前記ライブラリ、セットまたは群のメンバーを標的と同時に接触させ、前記標的と結合するメンバーを選択する。
標的は、ペプチド、タンパク質、多糖、脂質、DNAまたはRNAであり得る。
標的は、受容体、受容体リガンド、酵素、ホルモンまたはサイトカインであり得る。
標的は、原核タンパク質、真核タンパク質、または古細菌タンパク質であり得る。より詳細には、標的リガンドは、哺乳動物タンパク質もしくは昆虫タンパク質または細菌タンパク質もしくは真菌タンパク質もしくはウイルスタンパク質であり得る。
標的リガンドは、プロテアーゼなどの酵素であり得る。
また、本発明には本発明によるスクリーニングから単離したポリペプチドリガンドも包含されることに留意されたい。一実施形態では、本発明のスクリーニング方法(複数可)は、前記標的と結合することができるものとして単離された、一定量の本発明のポリペプチドを製造するステップをさらに含む。
本発明は、また、3個以上のループを有するペプチドリガンドに関する。例えば、本発明による分子足場に結合した二環ポリペプチドのNおよびC末端を結合させることによって、分子足場に結合した三環ポリペプチドを作製することができる。この様式で、結合したNおよびC末端が第3のループを作り、三環ポリペプチドが作製される。本実施形態は、ファージ上では実施する必要がなく、ここで述べた本発明のポリペプチド−分子足場のコンジュゲート上で実施し得る。NおよびC末端の結合は、ルーチン的なペプチド化学の事項である。指導が必要な場合は、C末端を活性化し得る、および/または例えばそれぞれの末端にシステインを付加するためにNおよびC末端を延長させ、その後、ジスルフィド結合によってそれらを結合させ得る。あるいは、結合は、N/C末端内に組み込ませたリンカー領域の使用によって達成し得る。あるいは、NおよびC末端は、慣用のペプチド結合によって結合させ得る。あるいは、NおよびC末端を結合させる任意の他の適切な手段を用いてもよく、例えば、N−C環化は、例えばLindeら、Peptide Science、90、671〜682(2008)「主鎖の環化およびメラノコルチンペプチドのN−メチル化の、構造−活性の関係性および代謝安定性の研究(Structure−activity relationship and metabolic stability studies of backbone cyclization and N−methylation of melanocortin peptides)」、またはHessら、J.Med.Chem.、51、1026〜1034(2008)「新規の経口投与薬としての主鎖環状ペプチド模倣体メラノコルチン−4受容体作用剤は、肥満の処置をもたらした(backbone cyclic peptidomimetic melanocortin−4 receptor agonist as a novel orally administered drug lead for treating obesity)」に開示されているように、標準の技法によって行うことができる。そのような三環分子の一利点は、特にエクソプロテアーゼ作用による、遊離末端のタンパク質劣化の回避である。この性質の三環ポリペプチドの別の利点は、BSA結合、細胞進入もしくは輸送効果、タグ付けまたは任意の他のそのような使用などの、一般に適用可能な機能のために第3のループを利用し得ることである。この第3のループは典型的には選択に利用可能でなく(ファージ上ではなく、ポリペプチド−分子足場のコンジュゲート上でのみ生成されるため)、したがって、他のそのような生物学的機能におけるその使用は、特異性を選択/作製するためにループ1および2をどちらも有利に残すことに留意されたい。
(iii)ファージの精製
本発明に従い、分子足場との反応前に、必要に応じてファージ精製が為される。精製が望まれる場合、ファージの精製のためのいずれかの適した手段を用いることができる。標準の技法を本発明において適用し得る。例えば、ファージは、濾過またはPEG沈殿などの沈殿によって精製し得る。ファージ粒子は、以前に記載のようにポリエチレン−グリコール(PEG)沈殿によって生成および精製し得る。詳細は国際公開第2009098450号パンフレットにある。
さらなる指導が必要な場合は、Jespersら(Protein Engineering Design and Selection、2004、17(10):709〜713.、化学合成抗体ライブラリからの光バイオセンサーの選択(Selection of optical biosensors from chemisynthetic antibody libraries))を参照されたい。一実施形態では、その中に教示されているようにファージを精製し得る。この出版物の本文は、ファージ精製の方法について本明細書中に参考として具体的に組み込まれている。詳細には、Jespersらのページ709の右段の途中から開始される材料および方法のセクションを参照されたい。
さらに、ファージは、ファージの生成/精製をどのように実施するかの具体的な説明について本明細書中に参考として具体的に組み込まれている、Marksら、J.Mol.Biol、第222巻、ページ581〜597によって公開されているように精製し得る。
ファージ精製が望まれない場合、本明細書の実施例に表記されている通り、ファージを含む培養培地を、精製樹脂および還元剤(TCEP等)と直接的に混合することができる。
(iv)反応化学
HeinisらによりWO2009098450に記述されている条件との比較において、本発明に用いられる反応化学は、ファージにディスプレイされたポリペプチドリガンドの速く効率的な作製をもたらす。本発明に用いられる反応条件は、好ましくは全て室温で行われる次のステップを好ましくは含む。
1.所望のポリペプチド(複数可)を発現するファージを含有する、細菌細胞が除去された培養培地を、バッファー、還元剤およびバッファーで平衡化された樹脂と混合する。
2.樹脂を単離し、バッファーおよび希釈された還元剤に再懸濁する。
3.ポリペプチドを分子足場に曝露し、分子足場がポリペプチドと共有結合を形成するように、分子足場と反応させる。
4.試料を洗浄して、過剰な未反応の足場を除去する。
5.ファージを樹脂から溶出させる。
バッファーは、好ましくは、pH8.0である。最終溶液におけるバッファーpHを調整する必要はない。適したバッファーは、最初にpH8.0であるNaHCOを含む。NHCO、HEPESおよびトリス−ヒドロキシメチルアミノエタン、トリス、トリス−アセテートまたはMOPSを含む、生理的範囲内のpHのバッファーを含む、代替的なバッファーを用いることができる。NaHCOバッファーは、好ましくは、1Mの濃度で用いられ、樹脂の懸濁液に1mlを加えて、樹脂を平衡化する。
樹脂は、好ましくは、イオン交換樹脂である。イオン交換樹脂は、本技術分野において公知のものであり、アガロースに基づくクロマトグラフィー材料、例えば、Fast FlowもしくはCapto等のセファロース、ポリマー合成材料、例えば、Toyopearls等のポリメタクリル酸、Poros、Source等のポリスチレン/ジビニルベンゼン、またはセルロース、例えば、Cellufine等、本技術分野において公知の陰イオン交換クロマトグラフィーに適したいずれかの材料を含む。好ましい実施形態において、陰イオン交換樹脂材料として、リガンドとして一級アミンを保有する樹脂、例えば、アミノヘキシルセファロース、ベンズアミジンセファロース、リジンセファロースまたはアルギニンセファロースが挙げられるがこれらに限定されない。別の好ましい実施形態において、陰イオン交換樹脂材料として、ジエチルアミノエタン(DEAE)、ジメチルアミノエタン(DMAE)またはトリメチルアミノエチル(TMAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級アミノアルキル、四級アミノエタン(QAE)、四級アンモニウム(Q)その他等のアルキルアミノエタン等、中性pHにおいて正電荷を持つ部分を有する樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。
ステップ(1)において、1mMの濃度となるよう還元剤が添加される。ステップ(2)において用いられる希釈された還元剤は、好ましくは、1μMの濃度である。両方の濃度はTCEPのものであり、他の還元剤には他の値を適用することができる。希釈された還元剤を用いて、分子足場との反応に先立ち、還元状態にポリペプチドを維持する。好ましくは、キレート剤が、洗浄ステップに含まれる。例えば、EDTAが含まれ得る。
代替的還元剤は、ジチオスレイトール、チオグリコール酸、チオ乳酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2,3−ジメルカプトコハク酸、システイン、N−グリシル(glycyi)−L−システイン、L−システイニルグリシンと、同様に、そのエステルおよび塩、チオグリセロール、システアミンおよびそのC1〜C4アシル誘導体、N−メシルシステアミン、Nアセチルシステイン、N−(メルカプト−2−エチル)グルコンアミド、パンテテイン、N−(メルカプトアルキル)−co−ヒドロキシアルキルアミド等、糖のN−メルカプトアルキルアミド、例えば、欧州特許出願公開第354 835号に記載、N−モノまたはN,N−ジアルキルメルカプト−4−ブチルアミド(butyramide)、例えば、欧州特許出願公開第368 763号に記載、アミノメルカプトアルキルアミド、例えば、欧州特許出願公開第432 000号に記載、N−(メルカプトアルキル)スクシンアミド酸(succinamic acid)およびN−(メルカプトアルキル)サクシニミド、例えば、欧州特許出願公開第465 342号に記載、アルキルアミンメルカプトアルキルアミド、例えば、欧州特許出願公開第514 282に記載、仏国特許出願公開第2 679 448号に記載されている2−ヒドロキシプロピルチオグリコール酸塩および(2−ヒドロキシ−1−メチル)エチルチオグリコール酸塩の共沸混合物、メルカプトアルキルアミノアミド、例えば、仏国特許出願公開第2 692 481号に記載、ならびにN−メルカプトアルキルアルカンジアミド、例えば、欧州特許出願公開第653 202号に記載、から選択することができる。
分子足場のコンジュゲーションは、TBMBおよびその反応基がチオール反応性である他の足場の場合、好ましくは、アセトニトリルの存在下で行われる。アセトニトリルは、好ましくは、約20%の最終濃度である。
TBMBの代替的な足場は、本明細書に記述されている。
未反応の分子足場は、洗浄によりファージから除去される。その後、樹脂からファージを溶出させ、以前に表記されている通りに選択することができる。
追加的なステップが手順に含まれてもよい。斯かるステップは、義務的ではなく、プロセスの収率または効率を有意に増加させない。
例えば、樹脂と組み合わせた、ファージを含有する培養培地は、還元剤による還元に先立ち洗浄することができる。還元剤それ自体を2ステップで添加することができる。還元をもたらすために濃縮型で、続いて、ディスプレイされたポリペプチドを還元状態に維持するために希釈型で(上述のステップ2)行うことができる。
ステップのタイミングは、手順の効率を有意に変更することなく変動されてもよい。例えば、本出願人らは、20分間のTCEPにおける還元が、30分間の還元と同程度に有効であることを見出した。同様に、10分間のTBMBとの反応は、30分間の反応よりも有意に低い結合レベルを生じない。
(v)磁性分離
有利な実施形態において、樹脂は磁性である。これにより、ポリペプチドを有するファージは、磁性分離により単離され得る。磁性セファロースビーズ等、磁性樹脂ビーズは、例えば、Bangs Laboratories、Invitrogen、OrigeneおよびGE Healthcareから商業的に得ることができる。US2,642,514およびGB1239978も参照されたい。磁場の印加は、ビーズの単離を可能にし、これが含有されていた培地から、ビーズに結合したポリペプチドを精製することができる。
一実施形態において、磁性ビーズは、培地への磁性プローブの挿入により、培地から分離される。ビーズは、磁性プローブに保持され、洗浄ステーションまたは異なる培地に移すことができる。あるいは、ビーズは、これが入った容器に磁場を印加し、ビーズが固定化された後に培地を除去することにより単離することができる。
磁性分離は、本発明の方法における樹脂のより速くより効率的な加工をもたらす。
(C)本発明に係るポリペプチドリガンドの使用
本発明の方法に従って選択されたポリペプチドリガンドは、in vivo治療および予防適用、in vitroおよびin vivo診断適用、in vitroアッセイおよび試薬適用その他において用いることができる。選択されたレベルの特異性を有するリガンドは、交差反応性が望ましい非ヒト動物における検査に関与する適用において、あるいはホモログまたはパラログとの交差反応性が慎重に制御される必要がある診断適用において有用である。ワクチン適用等、一部の適用において、所定の範囲の抗原に対する免疫応答を誘発する能力を活用して、ワクチンを特異的疾患および病原体の目的に合わせることができる。
少なくとも90〜95%の均一性の実質的に純粋なペプチドリガンドが哺乳動物への投与に好ましく、98〜99%またはそれより高い均一性が、特に哺乳動物がヒトである場合に製薬的な使用に最も好ましい。所望に応じて部分的にまたは均一性まで精製した後、選択されたポリペプチドを、診断もしくは治療(体外が含まれる)において、またはアッセイ手順、免疫蛍光染色などの展開および実行において使用し得る(LefkoviteおよびPernis、(1979および1981)免疫学的方法(Immunological Methods)、第IおよびII巻、Academic Press、NY)。
本発明のペプチドリガンドは、典型的には、炎症性状態、アレルギー性過敏症、癌、細菌またはウイルス感染症、および自己免疫障害(それだけには限定されないが、I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病および重症筋無力症が含まれる)の予防、抑制または処置において使用が見つかる。
本出願では、用語「予防」は、疾患の誘導前に保護的組成物を投与することを含む。「抑制」とは、誘導現象の後であるが、疾患の臨床的所見の前に組成物を投与することをいう。「処置」とは、疾患の症状が顕性となった後に保護的組成物を投与することを含む。
疾患に対する保護、またはその処置におけるペプチドリガンドの有効性をスクリーニングするために使用できる動物モデル系が利用可能である。動物モデル系の使用は、本発明により促進されて、ヒトおよび動物標的と交差反応し得るポリペプチドリガンドの開発を可能にし、動物モデルの使用を可能にする。
感受性マウスにおいて全身性エリテマトーデス(SLE)を試験する方法は当分野で知られている(Knightら(1978)J Exp.Med.、147:1653、Reinerstenら(1978)New Eng.J:Med.、299:515)。重症筋無力症(MG)は、SJL/J雌マウスにおいて、別の種からの可溶性AchR タンパク質を用いて疾患を誘導することによって試験する(Lindstromら(1988)Adv.Inzn7unol.、42:233)。関節炎は、マウスの感受性株においてII型コラーゲンを注射することによって誘導する(Stuartら(1984)Ann.Rev.Immunol.、42:233)。感受性ラットにおいてマイコバクテリア熱ショックタンパク質を注射することによってアジュバント関節炎を誘導するモデルが記載されている(Van Edenら(1988)Nature、331:171)。甲状腺炎は、マウスにおいて記載のようにサイログロブリンを投与することによって誘導する(Maronら(1980)J.Exp.Med.、152:1115)。インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)は、Kanasawaら(1984)Diabetologia、27:113によって記載されているものなどの特定のマウス株において自然に発生するか、または誘導することができる。マウスおよびラットにおけるEAEは、ヒトにおけるMSのモデルとして役割を果たす。このモデルでは、ミエリン塩基性タンパク質を投与することによって脱髄性疾患が誘導される(Paterson(1986)免疫病理学の教科書(Textbook of Immunopathology)、Mischerら編、GruneおよびStratton、New York、ページ179〜213、McFarlinら(1973)Science、179:478、ならびにSatohら(1987)J;Immunol.、138:179を参照)。
一般に、本発明のペプチドリガンドは、精製された形態で、薬理学的に適切な担体と共に利用される。典型的には、これらの担体には、生理食塩水および/または緩衝媒体を含めた、任意の水性またはアルコール/水性の溶液、乳濁液または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウムならびに乳酸加リンゲルが含まれる。ポリペプチド複合体を懸濁液に保つために必要な場合は、適切な生理的に許容されるアジュバントを、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアルギネートなどのシックナーから選択し得る。
静脈内ビヒクルには、リンゲルデキストロースに基づくものなどの、体液および栄養素補充液ならびに電解質補充液が含まれる。また、抗微生物、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスなどの保存料および他の添加剤も存在し得る(Mack(1982)レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第16版)。
本発明のペプチドリガンドは、別々に投与する組成物として、または他の薬剤と併せて使用し得る。これらには、シルコスポリン、メトトレキサート、アドリアマイシンまたはシスプラチン、および免疫毒素などの、抗体、抗体断片および様々な免疫治療薬が含まれる場合がある。医薬組成物には、様々な細胞毒性がある薬剤または他の薬剤と、本発明の選択された抗体、その受容体もしくは結合タンパク質、またはさらには様々な標的リガンドを用いて選択されたポリペプチドなどの様々な特異性を有する本発明による選択されたポリペプチドの組合せとを併せた「カクテル」が含まれる場合があり、これらを投与前にプールするかどうかに拘らない。
本発明による医薬組成物の投与経路は、当業者に一般的に知られているもののうちの任意のものであり得る。それだけには限定されないが免疫療法を含めた治療には、本発明の選択された抗体、その受容体または結合タンパク質は、標準の技法に従って任意の患者に投与することができる。投与は、非経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、肺の経路、また、適切には、カテーテルを用いた直接輸液によるものを含めた、任意の適切な様式であることができる。用量および投与頻度は、患者の年齢、性別および状態、他の薬物の同時投与、対抗適応症ならびに臨床家が考慮すべき他のパラメータに依存する。
本発明のペプチドリガンドは、貯蔵用に凍結乾燥し、使用前に適切な担体で再構成することができる。この技法は有効であることが示されており、当分野で知られている凍結乾燥および再構成の技法を用いることができる。当業者には、凍結乾燥および再構成は様々な度合の活性の損失をもたらす場合があり、補償するために使用レベルを上方調節する必要があり得ることが理解されよう。
本発明のペプチドリガンドまたはそのカクテルを含有する組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与することができる。特定の治療的の応用では、選択された細胞の集団の少なくとも部分的な阻害、抑制、変調、死滅、または何らかの他の測定可能なパラメータを達成するために十分な量は、「治療上有効な用量」として定義される。この用量を達成するために必要な量は、疾患の重篤度および患者自身の免疫系の一般的状態に依存するが、一般に体重1キログラム当たり0.005〜5.0mgの選択されたペプチドリガンドの範囲であり、0.05〜2.0mg/kg/用量の用量がより一般的に使用される。予防的な応用では、本発明のペプチドリガンドまたはそのカクテルを含有する組成物を、同様または僅かに低い用量で投与してもよい。
本発明によるペプチドリガンドを含有する組成物は、哺乳動物における選択された標的細胞集団の変更、不活性化、死滅または除去を支援するために、予防的および治療的な設定で利用し得る。さらに、本明細書中に記載のポリペプチドの選択されたレパートリーは、不均一な細胞のコレクションから標的細胞集団を死滅、枯渇または他の様式で有効に除去するために、体外またはin vitroで選択的に使用し得る。哺乳動物からの血液を体外で選択されたペプチドリガンドと合わせ、これにより所望しない細胞を死滅させるまたは他の様式で血液から除去して、標準の技法に従って哺乳動物に戻し得る。
(D)ポリペプチドの変異
所望の多様性は通常、1個または複数個の位置における選択された分子の変動により生じる。変化する位置は、ライブラリが、ループ配列における個々の位置毎に構築されるように選択される。例えば、このような位置が、活性を失うことなく変異に利用できないことが明らかになる場合、適宜、選択手順から1個または複数個の位置を省略することができる。
次に、常在アミノ酸が、天然または合成のいずれかのアミノ酸またはそのアナログにより置き換えられ、非常に大多数のバリアントを産生するランダム化により、あるいは常在アミノ酸を定義されたサブセットのアミノ酸の1個または複数個と置き換え、より限定的な数のバリアントを産生することにより、変種を達成することができる。
係る多様性を導入するための様々な方法が報告されている。選択された位置に変異導入するための方法も、本技術分野でよく知られており、PCRを使用した、あるいは使用しない、ミスマッチオリゴヌクレオチドまたは縮重オリゴヌクレオチドの使用を包含する。例えば、抗原結合ループへの変異を標的化することにより、数種の合成抗体ライブラリが作製された。本発明の文脈において、同一の技法を用いることができる。例えば、ヒト破傷風トキソイド結合FabのH3領域がランダム化されて、様々な範囲の新しい結合特異性を生じた(Barbasら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457)。ランダムまたはセミランダム(semi-random)H3およびL3領域が、生殖系列V遺伝子セグメントに付属されて、変異導入されたフレームワーク領域を有する大型のライブラリを生じた(Hoogenboom−&Winter(1992)R Mol.Biol.、227:381;Barbasら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457;Nissimら(1994)EMBO J、13:692;Griffithsら(1994)EMBO J、13:3245;De Kruifら(1995)J.Mol.Biol.、248:97)。係る多様化は、他の抗原結合ループの一部または全部を包含するよう伸長された(Crameriら(1996)Nature Med.、2:100;Riechmannら(1995)BiolTechnology、13:475;Morphosys、国際公開第97/08320号パンフレット、上記参照)。
しかし、本発明において用いられるポリペプチドは、抗体よりもさらに小さいため、好ましい方法は、変異体ポリペプチドをde novo合成するものである。構造化ポリペプチドの突然変異誘発は、ライブラリ構築に関連して上述されている。
次の実施例を参照することにより、次に、本発明をさらに説明する。
比較実施例1
本実施例は、WO2009/098450から得た。
本実施例において、本出願人らは、小分子へのファージディスプレイされたペプチドの取付を実証する。本実施例におけるポリペプチドは、ファージディスプレイされたペプチドである。核酸は、ファージ粒子により含まれる。本実施例における分子足場は、小分子(TBMB)である。
典型的には、1011〜1012t.u.のPEG精製ファージを、20mlの20mM NH4HCO、pH8において1mM TCEPにより42℃で1時間還元した。ファージをvivaspin−20フィルター(MWCO10’000)において4000rpmでスピンして、還元バッファーの容量を1mlに低下させ、10mlの氷冷反応バッファー(20mM NH4HCO、5mM EDTA、pH8)で2回洗浄した。還元されたファージの容量を反応バッファーで32mlに調整し、ACNにおける8mlの50μM TBMBを添加して、10μMの最終TBMB濃度を得た。反応液を30℃で1時間インキュベートし、その後、氷上における1/5容量の20%PEG、2.5M NaClによるファージの沈殿および4000rpm30分間の遠心分離により、未反応のTBMBを除去した。
本出願人らは、3個のシステイン残基を含有するペプチドを繋留するための足場として小型の有機化合物トリス−(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)を用いた(Kemp,D.S.およびMcNamara,P.E.、J.Org.Chem、1985;図1B)。芳香族足場にコンジュゲートされたハロゲンアルカンは、水性溶媒において室温でシステインのチオール基と特異的に反応する(Stefanova,H.I.、Biochemistry、1993)。Meloenおよび共同研究者らは、複数のシステインを有するペプチドの固定化のために、ブロモメチル置換合成足場を以前に用いた(Timmerman,P.ら、ChemBioChem、2005)。置換反応に必要とされる穏やかな条件は、ファージの機能性の温存に簡便である(Olofsson,L.ら、J. of Molecular Recognition、1998)。その側鎖が、20種の天然アミノ酸の中で最も際立つ反応性を有するため、本出願人らは、システインを繋留ポイントとして選んだ。また、システイン残基は、ファージコートのタンパク質において稀である(pIIIにおいて8個のシステイン、pVI、pVIIおよびpIXにおいて1個のシステイン;Petrenko,V.A.およびSmith,G.P.、Phage Display in Biotechnology and Drug Discovery、2005)。TBMB分子の3回回転対称は、ペプチドにおける3個のシステインとの反応による特有の構造的および空間的異性体の形成を確実にする。
ファージ上のペプチドの修飾のための反応条件を次に詳述する。利用できる技法により、ファージ上の化学修飾されたペプチドを検出することは困難に思われるため、本出願人らは、マイナーファージコートタンパク質pIIIの2個の可溶性ドメインD1およびD2とのN末端融合体として、ペプチドGSGGSGを発現させ、TBMBとの反応の前および後に、このタンパク質の分子量を質量分析により解析した。pIIIのD1およびD2ドメインの3個のジスルフィド架橋(C7−C36、C46−C53、C188−C201)を温存しつつ、ペプチドにおける3個のシステインを足場に選択的に連結する試みは、失敗した。この結果は、本出願人らに、Schmidt F.X.および共同研究者らによって近年開発されたジスルフィドフリー遺伝子−3−タンパク質(disulfide−free gene−3−protein)を活用するよう促した(Kather,I.ら、J.Mol.Biol.、2005)。システインフリーgIIIタンパク質のN末端ドメインに融合されたペプチドを、トリス(カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で還元した。この還元剤は、TBMB足場のブロモメチル基と反応することが判明していたため、タンパク質にTBMBを添加する前にこれを除去した。TCEP除去後のチオール基の再酸化は、反応バッファーの脱気および5mM EDTAによる金属イオンの錯体生成により防止することができる。様々な濃度のTBMBとチオール基との反応および生成物の質量分析による解析は、10μMの濃度のTBMBが、30℃で1時間におけるペプチドの定量的修飾に十分であることを明らかにした。予想される分子質量を有する(Δ質量予想=114Da;図1A)主に1種類の生成物が形成された。融合ペプチドなしのジスルフィドフリーD1−D2が、TBMBと共にインキュベートされた場合、その質量は変化せず、他のアミノ酸との非特異的反応が起こらないことを示した。反応液へのファージ粒子の添加(1ミリリットル当たり1010t.u.)は、容器内の高密度のファージコートタンパク質が、TBMBとペプチドとの反応を妨げないことを明らかにした。予想外なことに、本出願人らは、2個のシステイン残基のみを含有するペプチド(AGSGGSG−D1−D2)とTBMBの反応が、N末端の一級アミンと残りのブロモメチル基との反応と一貫した分子質量を有する生成物を生じることを見出した(図2Aおよび図2B)。同様に、1個のシステインおよびリジン(AGSGKGSG−D1−D2)を有するペプチドとTBMBとの反応は、リジンおよびN末端の一級アミンが、残りの2個のブロモメチル基と反応する場合に予想される分子質量を生じる(図2Cおよび図2D)。
実施例2
修飾における野生型tetおよびschmidファージの比較
ジスルフィドフリーである突然変異したSchmidファージと比較した野生型(WT)FdTetを用いて、ファージ感染力におけるTCEPおよびTBMB修飾プロセスの効果を試験した。Schmidは、一般に、より低いタイターを有するが、化学修飾に対する抵抗性がより高くなり得ると思われる。
次のファージを検査した。
・ S.Luzi(LMB、Cambridge)から入手したWT FdTetにおけるPEP48ペプチド
・ S.Luziから入手したSchmidファージにおけるPEP48ペプチド
・ Edward Walker(Bicycle Therapeutics、Cambridge)から得たWT FdTetにおけるPK15
PEP48およびPK15は、それぞれ3個のシステイン残基を含有する2種の異なるペプチドである。PK15は、カリクレインに特異的である。PEP48は、mdm2に特異的である。欧州特許出願公開第2464727号を参照されたい。
これらのファージのグリセロールストックを、テトラサイクリンプレート(WTテトラサイクリン(tet)構築物)またはクロラムフェニコール(chlor)プレート(Schmid構築物)上に画線した。
各構築物の単一コロニーをプレートから採取し、1mlの2YT/tetまたはchlorへの接種に用いた。
培養物を250rpmでほぼ3時間振盪しつつ37℃でインキュベートし、続いてそれぞれ2Lバッフルなし(non−baffled)フラスコ内で600mlにした。
培養物を250rpmで振盪しつつ一晩37℃でインキュベートした。
次に、3×600mlの培養物を次の通りに加工して、ファージを精製した。
− 各600mlの培養物を2×500ml遠心分離ボトルに分けた(合計で6ボトル)。
− JA−10ローターにおいて4℃で20分間、7500rpmでボトルをスピンした(=ほぼ10000g)。
− 上清を新たな500mlボトルに移し、qPCR用に試料を保持した。
− 80mlの冷PEG−NaClを、それぞれほぼ300ml分量に添加した。
− ファージを氷上でほぼ1時間インキュベートした。
− JA−10ローターにおいて4℃で30分間、7500rpmでファージをスピンした(=ほぼ10000g)。
− 上清を除去した。
− 5ml(構築物当たり)のTEにファージペレットを再懸濁し、qPCR用に試料を保持した。
次の通り、粒子タイターに関してqPCRにより精製ファージをアッセイした。
− アンプリコンの系列希釈を調製した。
・ 100μM=1μl当たり6×1013分子として、アンプリコンを供給した。
・ アンプリコンの10倍系列希釈を水で作製した。10につき1から1011につき1までの、合計6種の希釈物を作製した。将来的な使用のためにこれらを−20Cで貯蔵した。
− 次の通り、プライマーストックを調製した。20μlのgene7F2+20μlのgene7R2+60μlの水(∴20μMの各プライマー)。
− 水において10につき1から10につき1までの、ファージ試料の10倍系列希釈を調製した。
− PCRマスターミックスを作製した。
1μl プライマー溶液
1.75μl Sigma H2O
0.25μl 1μMフルオレセイン
12μl SYBRgreen Jumpstart Taq Readymix(Sigma)
試料当たり合計15μl
96ウェルPCRプレートの各ウェルに、15μlのマスターミックスを添加した。
− 10μlのアンプリコン希釈物またはファージ希釈物をウェルに添加した。プレートを封着し、BioRadリアルタイムPCR装置に挿入した。
− 次のプログラムを実行した。
・ 95℃ 2.5分間
・ 95℃ 2.5分間
・ 95℃ 5分間
・ +プレート読み取りデータ
・ 融解曲線
・ 10℃でホールド
− 完了したら、プログラムを手動で停止した。
− qPCR装置からExcelへとデータを抽出し、アンプリコンvs Ct値のカラムを形成するよう再編成した。
− 検量線から試料Ct値を内挿した。
前述の実験は、TBMBなしで培養した場合、野生型およびSchmidファージが、匹敵する増殖潜在力を有することを示す(図8を参照)。
次に、本出願人らは、TBMBが、ディスプレイされたポリペプチドと複合体形成されるような、TBMBへの曝露の結果としての、野生型およびSchmidファージ両方の修飾の比較効率を検査した。
最終ファージ濃度が、PK15培養上清(即ち、1ml当たり3.4×1011)と等しくなるように、修飾のためのファージ濃度を同等化するために、NH4CO3/EDTAバッファー{20mM NH4CO3;5mM EDTA;ほぼpH8.3(調整なし);脱気あり}において各精製ファージの一部を希釈した。2.2mlの希釈したファージ溶液が要求された。
・ PK15/WT FdTet:17.6μlファージ+2128μlバッファー=2.2mlの3.4×1011/ml
・ PEP48/WT FdTet:179μlファージ+2021μlバッファー=2.2mlの3.4×1011/ml
・ PEP48/Schmid:649μlファージ+1551μlバッファー=2.2mlの3.4×1011/ml
Heinisらに対して修飾条件を修正した。10μlの1MトリスpH8を含む1mlのNH4CO3/EDTAバッファーにおいて、ファージ修飾を行った。1時間の代わりに30分間、42℃ではなく室温で、1mM TCEPにファージを曝露し、その後、ファージを単離し、1μMのTCEPに再懸濁し、直ちに再度単離した。最後に、800μlのNH4CO3/EDTAバッファー+199μlのアセトニトリル±60μM TBMBに30分間ファージを懸濁し、その後、単離し、50μlのクエン酸塩バッファーに再懸濁した。
ファージ単離の各ステージにおいて、ファージ回収は定量的ではない。単離手順において保持されなかった「レフトオーバー(Leftover)」ファージを解析のために保持する。
ファージ溶出液(クエン酸塩バッファー)を保持した。構築物ごとに、ファージ試料をTCEP/TBMBで修飾した、あるいはTCEP/TBMBの非存在下で加工した。
レフトオーバーインプット溶液(処理前)も保持した。
精製プロセスおよび修飾プロセスの両方に由来する全ファージ試料をqPCRによりアッセイして(上述の通り)、各ステップに存在するファージの総数を決定した。
次の通り、修飾プロセス(インプット、レフトオーバー、修飾および非修飾)由来のファージ試料を感染性タイターに関してアッセイした。
感染性タイター:
− 大腸菌(E.coli)のHB2151系統のアリコートを、OD600=ほぼ0.5となるまで2YTにおいて増殖させた。この値は、ほぼ2.5×10細胞/mlを表した。
− 2YTにおいて1000につき1でファージ試料を希釈した。
− 希釈した試料の1μlを1mlのHB2151に添加した(2.5×10細胞)
− 250rpmで振盪しつつ1時間37℃で試料をインキュベートした。
− 2YTにおいて7×10倍系列希釈を作製した(原液(neat)→10−7)。
− 乾燥したテトラサイクリン寒天プレート上に各20μlをスポットした。
− プレートを一晩37℃でインキュベートした。
粒子および感染性タイターデータを解析した(図9Aおよび図9Bを参照)。
これらの結果は、WTおよびSchmidファージが、修飾プロトコールにおいて匹敵する性能を示し、同様の数のファージが、各手順ステップから単離できることを確認する。
本出願人らが第2の実験を行ったところ、匹敵するファージタイターが得られた。本出願人らは、得られたファージの感染性タイターも比較した。本出願人らは、Schmidファージが、修飾の非存在下であっても、野生型ファージよりも相当に感染性が低いことを見出した。修飾された場合、Schmidファージの感染力は、野生型ファージと比較して低下した。
結論
前述の実験は、野生型およびSchmidファージを用いて、ファージライブラリにおいてペプチドをディスプレイすることができることを実証する。本出願人らは、Schmidファージの感染力が、修飾および非修飾条件の両方において野生型ファージに相当劣ることも示した。
実施例3
樹脂におけるファージの修飾
PK15は、TBMBとカップリングされると、ヒト血漿カリクレインの特異的かつ強力な阻害剤になる、3個のシステインを含有するペプチド(H−ACSDRFRNCPADEALCG−NH)である。このペプチドは、ファージの遺伝子3タンパク質への融合体としてディスプレイすることができ、TBMBにより正確に修飾される場合、カリクレインに特異的に結合することができるファージをもたらすであろう。ファージにおけるPK15の非修飾またはファージの架橋は、カリクレインに結合するファージに特異的な結合シグナルをもたらさないであろう。
陰イオン交換樹脂を用いてファージを捕捉し、修飾プロセスにおいてファージが曝露されるバッファーの迅速かつ容易な交換を可能にした。ファージは、また、粒子数および感染力に関してタイター測定して、修飾プロセスが、ファージの感染性を有意に低くしなかったことを示した。
材料と方法
1.強い陰イオン交換樹脂のおよそ50%スラリーの50μl、100μlまたは150μlのいずれかに1mlの1M NaHCOを添加して、樹脂を平衡化した。
2.各試料を微量遠心管において1分間、3000rpmでスピンし、その後、上清を慎重に除去した。
3.PK15発現ファージを含有する、遠心分離により大腸菌を除去した1mlの一晩培養物を各試料に添加し、続いて10μlのNaHCOおよび1μlの1M TCEPを加えた。NaHCOを添加して溶液のpHを上げて、ファージを樹脂に結合させた。TCEPは還元剤である。20分間の回転により試料を混合した。
4.前述通りに試料を遠心分離し、上清を慎重に除去した。
5.TBMBの添加に先立ち残りのTCEPの大部分も洗い流しつつ、1μM TCEPを含有する1mlの20mM NaHCO、5mM EDTAを添加して、樹脂を再懸濁した。
6.試料を遠心分離し、上清を慎重に除去した。
7. 60μM TBMBを含有する20mM NaHCO、5mM EDTAに溶解した1mlの20%アセトニトリルを、各試料に添加した。10分間の回転により試料を混合した。
8.前述通りに試料を遠心分離し、上清を慎重に除去した。
9. 1mlの20mM NaHCO、5mM EDTAを各試料に添加した。
10.前述通りに試料を遠心分離し、上清を慎重に除去した。
11. 100μlの50mMクエン酸塩、pH5.0、1.5M NaClを各試料に添加し、振盪プラットフォームにおいて5分間試料を混合した。
12.各試料を微量遠心管において1分間、13000rpmでスピンし、その後、上清を慎重に除去して保持した。上清を再度遠心分離して、樹脂のいかなる残りの痕跡も除去し、上清を慎重に除去して保持した。
13.カリクレインへのファージの結合を行った。
樹脂から溶出させたファージは、カリクレインに特異的に結合し、修飾手順が、ファージ上におけるTBMBカップリング二環性(bicycle)ペプチドの作製に成功したことを実証した(図3を参照)。
ファージタイター
試料の粒子および感染性タイターを比較して、修飾手順がファージを「損傷させ」、修飾前よりも感染性を低めたか調べた。
感染性タイターよりもおおまかに10倍高い粒子タイターは、上述の標準手順を用いた、本出願人らの研究室におけるファージの修飾前の比の典型である。修飾プロセスは、したがって、ファージを有意に損傷しなかった。
実施例4
磁性分離を用いたファージにおけるポリペプチド修飾
ファージディスプレイポリペプチドの単離のための磁性分離ステーションの使用を記載する。加えて、本実施例において、磁性TCEP/TBMB修飾プロセスの効率および収率における、
・ 異なる結合バッファー(即ち、ファージインプット溶液)
・ 異なる結合/洗浄バッファー(即ち、修飾におけるバッファー)
・ 異なる溶出バッファー
の効果を概説する。用いたポリペプチドは、野生型FdTet上にディスプレイされたPK15であった。
材料と方法
寒天プレート上に新たに画線された、PK15/WT FdTetを含有する大腸菌由来のコロニーを用いて、25mlの2TY/tetまたはLB/tetのいずれかに接種し、250rpmで振盪しつつ培養物を一晩37Cでインキュベートした。
次の溶液を調製した。
溶出バッファー:
クエン酸塩溶液=100mM(2×)→pH2.0(調整なし)
100mMクエン酸塩バッファーの20ml分量を水で2倍に希釈し、次にpHを調整して(NaOHで)、
・ pH3.5
・ pH4
・ pH5とした。
各pH溶液の10ml分量にNaClを補充して、
・ 1M
・ 1.5M
・ 2Mとした。
結合/洗浄/修飾バッファー:
比較したバッファーは、NHCOおよびNaHCOであった。
1M(50×)NaHCO溶液は、pH9.0に達する(調整なし)。
添加した20mM NaHCOバッファー(1M溶液を用いる)および5mM EDTAは、pH9.0に達する(調整なし)。20mM NaHCOバッファーを1時間脱気した。
NaHCOバッファーにおいて処理しようとする試料を、1M NaHCOを用いて調製した。
2種のPK15培養物を次の通りに処理した。
− 測定されたOD600: 2TYにおけるPK15=1.95 LBにおけるPK15=2.056
− 測定されたpH: 2TYにおけるPK15=pH8.5 LBにおけるPK15=pH7.5
− NHCOバッファーにおける試料のための1MトリスpH8(最終10mMまで)またはNaHCOにおける試料のための1M NaHCO(最終20mMまで)のいずれかを培養物に添加し、pHを測定した。
PK15/2TY/トリス=pH8
PK15/2TY/NaHCO=pH9
PK15/LB/NaHCO=pH8
指定のpHにおいて次の溶液を調製した。
・ 1ml NHCO/EDTAバッファー pH8
・ 1ml NHCO/EDTAバッファー+1mM TCEP pH7
・ 1ml NHCO/EDTAバッファー+1μM TCEP pH7
・ 800μl NHCO/EDTAバッファー+199μlアセトニトリル+60μM TBMB pH7
・ 1ml NaHCO/EDTAバッファー pH8
・ 1ml NaHCO/EDTAバッファー+1mM TCEP pH7
・ 1ml NaHCO/EDTAバッファー+1μM TCEP pH7
・ 800μl NaHCO/EDTAバッファー+199μlアセトニトリル+60μM TBMB pH7
クロマトグラフィーの磁性分離を行って、必要に応じてビーズまたは上清のいずれかを保持した。
パートA:
試料毎に、20μl磁性イオン交換ビーズを1ml NHCO/EDTAバッファーにおいてリンスし、10μlの同バッファーに再懸濁した。続いて、次の通りに試料を加工した。
A.980μlファージ溶液+10μl洗浄済ビーズ+10μl 1MトリスpH8
B.試料を20分間混合し、その後、溶液からビーズを磁性により分離し、ビーズを保持した。
C.ビーズを1mlのNaHCOまたはNH4CO/EDTAバッファーで1分間の混合により洗浄し、その後、磁性によりビーズを捕捉した。
D.ビーズを1mlのNaHCOまたはNH4CO/EDTA+1mM TCEPバッファーで20分間の混合により洗浄し、その後、磁性によりビーズを捕捉した。ビーズを1mlのNaHCOまたはNH4CO/EDTAバッファー+1μM TCEPバッファーで1分間の混合により洗浄し、その後、磁性によりビーズを捕捉した。
E.次に、ビーズを800μlのNaHCOまたはNH4CO/EDTAバッファー+200μlアセトニトリル/300μM TBMB(60μM TBMB最終濃度)に添加し、30分間混合し、その後、磁性によりビーズを捕捉した。
F.ビーズを1mlのNaHCOまたはNH4CO/EDTAバッファーで1分間の混合により洗浄し、その後、磁性によりビーズを捕捉した。
G.次に、混合しつつ50μlの50mMクエン酸塩溶出バッファー(pH3.5/4/5;NaCl 1M/1.5M/2M)にビーズを1分間添加した。
H.次に、ビーズを磁性により捕捉し、上清を保持した。
最後に、10μlの1MトリスpH8を50μlの溶出液に添加して、これを中和した。
実行した試料:
ファージ溶出液(クエン酸塩バッファー)を保持した。
異なる溶出バッファーのそれぞれが、ビーズに結合した非溶出ファージを取り残したか調べるため、同じ溶出バッファーを用いて第2の溶出を行った。
粒子タイターに関してqPCRにより試料をアッセイした。結果を図4に示す。
結論:
・ 培養培地(2TYまたはLB)の性質は、インプットファージタイターに有意に影響を与えない(観察された2倍の差は、おそらく、qPCRアッセイの可変性の範囲内である)。
・ 結合バッファー(トリスまたはNaHCO)の性質は、溶出されるファージの数に有意に影響を与えない。
・ 洗浄/修飾バッファーの性質は、溶出されるファージの数に有意に影響を与えない。
・ 通常通りpH4の1.5Mバッファーにおいて溶出されるあらゆる種類のインプット/洗浄に関して、修飾後にインプットファージの30〜40%が溶出される。
・ いかなるpHまたは[NaCl]が溶出に最も優れているかに関する明らかな傾向はない。但し、
・ pH3.5溶出バッファーは一般に不十分である。
・ 2M NaClは一般に不十分である。
・ 第1の溶出において効率的に溶出させる溶出バッファーは、一般に、第2の溶出において十分に溶出させる(第1の溶出後にビーズ上に保持されるファージがより少ないことが予想され得るとしても)。
上述の試料の修飾をチェックするために、溶出されたファージをカリクレイン結合に関してスクリーニングした。
図5に示す通り、上述に由来する溶出液試料において、標的結合スクリーニングを行った。反復アッセイを行っても、明らかな傾向は目に見えなかった。
溶出バッファーの解析
異なる溶出バッファーを用いて結合/溶出および修飾手順を反復した。
下に表記される通りに実行された試料:
結論:
異なるインプット試料由来の溶出液の間に、次の傾向が見られる。
NHCO/トリス/TY<NaHCO/NaHCO/TY<NaHCO/NaHCO/LB
しかし、これらの間の差は、有意であるとは思われない。
同様に、異なる溶出バッファーを用いた溶出液の間に、次の傾向が見られる。
・ pH3.5は、[NaCl]に関係なく不十分な溶出をもたらす。
・ pH5は、1.5Mまたは2M NaClを用いた場合に最良の溶出をもたらす。
・ pH4は、より低塩において良好な溶出をもたらす。
pH5は、最良の結果をもたらすが、高塩と共に用いる必要がある。
実施例5
「迅速」および「長期」磁性ファージ修飾プロトコールの比較
「長期」プロトコールからファージ修飾プロセスを最適化した。本明細書において、長期プロトコールの結果を短縮されたプロトコールと比較する。
実施例3における画線されたPK15/WT FdTetプレート由来のコロニーを用いて、25mlの2TY/tetに接種した。250rpmで振盪しつつ、培養物を一晩37℃でインキュベートした。
長期および迅速プロトコールを行った。両者を図6に図解する。
迅速プロトコールを次に示す。
− 1mlの1M NaHCOバッファーにおいて20μlの磁性イオン交換ビーズをリンスし、10μlの同バッファーに再懸濁する。
A.1mlのインプット溶液(培養物/ビーズ/TCEP)を20分間混合し、磁性によりビーズを捕捉する。
B.ビーズをバッファーと混合し、磁性によりビーズを直ちに再捕捉することにより、1mlのNaHCO/EDTAバッファー+1μM TCEPにおいてビーズを洗浄する。
C.NaHCO/EDTAバッファー+(ACNに溶解したTBMB)においてビーズを10分間混合し([ACN]最終=20%;[TBMB]最終=60μM)、その後、磁性によりビーズを捕捉する。
D.ビーズをバッファーと混合し、磁性によりビーズを直ちに再捕捉することにより、1mlのNaHCO/EDTAバッファーにおいてビーズを洗浄する。
E.50μlの50mMクエン酸塩、1.5M NaCl、pH5と1分間混合することにより、ビーズからファージを溶出させ、その後、ビーズを磁性により捕捉し、上清を保持する。
− 最後に、10μlの1MトリスpH8を50μl溶出液に添加して、これを中和した。
長期プロトコールを次に示す。
パートA:
− 1mlの1M NaHCOにおいて20μlの磁性イオン交換ビーズをリンスし、10μlの同バッファーに再懸濁する。
A.980μlファージ溶液+10μl洗浄済ビーズ+10μl 1M NaHCOを20分間混合し、磁性によりビーズを捕捉する。
B.ビーズをバッファーと混合し、磁性によりビーズを直ちに再捕捉することにより、1ml NaHCO/EDTAバッファーにおいてビーズを洗浄する。
C.1mlのNaHCO/EDTAバッファー±1mM TCEPにおいてビーズを30分間混合し、磁性によりビーズを捕捉する。
D.ビーズをバッファーと混合し、磁性によりビーズを直ちに再捕捉することにより、1mlのNaHCO3/EDTAバッファー±1μM TCEPにおいてビーズを洗浄する。
E.NaHCO3/EDTAバッファー+(ACNに溶解したTBMB)においてビーズを30分間混合し([ACN]最終=20%;[TBMB]最終=60μM)、磁性によりビーズを捕捉する。
F.ビーズをバッファーと混合し、磁性によりビーズを直ちに再捕捉することにより、1mlのNaHCO3/EDTAバッファーにおいてビーズを洗浄する。
G.50μlの50mMクエン酸塩、1.5M NaCl、pH5と1分間混合することにより、ビーズからファージを溶出させ、その後、ビーズを磁性により捕捉し、上清を保持する。
− 最後に、10μlの1MトリスpH8を50μlの溶出液に添加して、これを中和した。
TCEPおよびTBMBが省略された試料(「非修飾」)が含まれた。
アウトプット試料およびインプット(培養上清)の感染性タイターを次の通りにアッセイした。
− OD600=ほぼ0.5となるまで、大腸菌HB2151を増殖させて2YTに分注した。この値は、ほぼ2.5×10細胞/mlを表す。
− ファージ試料を2YTにおいて1000につき1で希釈した。
− 1μlの希釈された試料を1mlのHB2151(2.5×10細胞)に添加した。
− 250rpmで振盪しつつ、試料を1時間37Cでインキュベートした。
− 2YTにおいて7×10倍系列希釈を作製した(原液→10−7)。
− 乾燥したテトラサイクリン寒天プレート上に各20μlをスポットし、一晩37Cでインキュベートした。
− qPCRにより試料を解析した。結果を図7Aに示す。
環化成功に関してチェックするために、試料においてカリクレイン結合アッセイを行った。結果を図7Bに示す。
結論:
・ 「迅速」および「長期」プロトコールは、カリクレイン結合アッセイにおいて同様のレベルのシグナルを生じる修飾されたファージを産生する。
・ 「長期」プロトコールの使用は、「迅速」プロトコールよりもファージの感染力に対し有害である。迅速プロトコールは、インプットに見られる通り、10におけるほぼ1の感染性ファージを保持する。長期プロトコールは、100における1へと感染力を低下させる。
・ 長期プロトコールに見られるファージ損傷の一部は、より長期にわたる操作時間に帰すことができる(即ち、長期プロトコールの非修飾試料は、ある程度の感染力喪失を示す)。
全体的に見て、新たな「迅速」ファージ修飾プロセスの使用は、感染力を失うことなく良好な環化をもたらす。
他に断りがなければ、本発明の実施または検査において、本明細書に記載されている方法および材料と同様または均等のいずれかの方法および材料を用いることができる。係る使用に適した方法、機器および材料は、上に記載されている。本明細書において引用されているあらゆる刊行物は、本発明に関連して用いることのできる、係る刊行物に報告されている方法論、試薬およびツールを説明および開示する目的のため、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。

Claims (13)

  1. ファージディスプレイ系にディスプレイされたペプチドを分子足場にコンジュゲートするための方法であって、
    (a)ファージディスプレイ系にディスプレイされたポリペプチドを精製樹脂と混ぜ合わせることにより前記ファージディスプレイ系を前記樹脂に結合させ、前記結合したファージディスプレイ系を還元剤で処理するステップと、
    (b)前記結合したファージディスプレイ系を前記分子足場に曝露するステップと、
    (c)前記結合したファージディスプレイ系から未反応の分子足場を除去するステップと、
    (d)前記精製樹脂から前記ファージディスプレイ系を溶出させるステップと
    を含む方法。
  2. 前記ファージが、野生型ファージである、請求項に記載の方法。
  3. ステップ(a)の後、前記分子足場を添加する前に洗浄ステップが行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ファージディスプレイ系が、還元剤の希釈溶液において洗浄される、請求項に記載の方法。
  5. 洗浄溶液が、キレート剤をさらに含む、請求項に記載の方法。
  6. 前記還元剤がTCEPである、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記足場がTBMBである、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記分子足場が、水性アセトニトリルの存在下で添加される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記樹脂が陰イオン交換樹脂である、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記樹脂が磁性である、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  11. ステップ(a)および(b)の一方または両方が、室温(25℃)で行われる、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ステップ(a)が、20分間行われる、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ステップ(b)が、10分間行われる、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
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