JP2004350349A - 圧電アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電アクチュエータ10は、圧電体11と電極12とが交互に積み重ねられた構造を有し、電極12は、圧電体11側の駆動電極層12aと、一層おきにリード線13aまたはリード線13bによって電気的に接続された金属板12bと、駆動電極層12aと金属板12bとの間でこれらを接合する低融点金属からなる接合金属層12cとを有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造を有する圧電アクチュエータとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電セラミックスを用いた変位素子や振動素子として、圧電体と電極とが交互に積み重ねられた構造を有する、所謂、積層型圧電アクチュエータが知られている。このような積層型圧電アクチュエータとしては、表裏面に電極が形成された圧電体の間に金属板を挟み、これらが樹脂接着剤で接着された構造を有するもの(以下「接着型アクチュエータ」という)と、電極ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、一体化し、焼成することによって、圧電体と電極とが同時に形成されたもの(以下、「一体焼成型アクチュエータ」という)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、このような積層型圧電アクチュエータが、例えば、半導体装置を製造するために用いられる露光装置における、ウエハを載置するステージの位置決め機構に用いられている。具体的には、積層型圧電アクチュエータを用いて超音波モータを構成し、この超音波モータを駆動することによって、ステージを高速で所定位置に移動させることができ、さらにステージを高精度に位置決めすることができる。また、ステージの移動を超音波モータまたは電磁モータによって行い、最終的なステージ位置の微調整を積層型圧電アクチュエータを静的に変位させることによって行うこともできる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−031558号公報(第1図、第2段落、第3段落)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように積層型圧電アクチュエータを露光装置のステージ位置決め機構に用いる場合には、積層型圧電アクチュエータは真空雰囲気(減圧雰囲気)で使用されることとなるために、積層型圧電アクチュエータとして接着型アクチュエータを用いると、樹脂接着剤からガスが発生して基板の処理雰囲気を汚す問題が生ずる。また、接着型アクチュエータでは、圧電体層の変位や振動によって接着層の接着強度が低下する問題がある。
【0006】
一方、一体焼成型アクチュエータでは、一般的に酸化鉛を含む圧電セラミック材料が用いられているために、その焼成を酸素が存在する雰囲気で行わなければならない。このために一体焼成型アクチュエータには銀(Ag)/パラジウム(Pd)や白金(Pt)を電極材料として用いる必要があり、製品コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂接着剤を用いず、耐久性に優れた積層型の圧電アクチュエータとその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、低コストな圧電アクチュエータとその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧電体と電極とが交互に重ねられた構造を有する圧電アクチュエータであって、
前記電極は、前記圧電体を構成する圧電材料のキュリー温度よりも低い融点を有する金属層を有することを特徴とする圧電アクチュエータ、が提供される。
【0009】
この圧電アクチュエータにおいては、電極を構成する金属層は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)の中の少なくとも1つを主成分としている低融点金属からなる。電極は、圧電体の表面に予め設けられた駆動電極と、この圧電体に挟まれるように配置された金属板と、をさらに有し、低融点金属からなる金属層がこれら駆動電極と金属板との間に存在して駆動電極と金属板とを接合している構造としてもよい。ここで、金属板としては、切り欠き部または溝部を有するものが好適に用いられる。この金属板に設けられた切り欠き部や溝部は、圧電アクチュエータの製造段階において、電極層の厚みが薄くなるように、不必要な低融点金属を外部に流し出したり、または溝部等内に収容する働きをする。
【0010】
また、本発明によれば、このような圧電アクチュエータの製造方法が提供される。即ち、所定の向きに分極処理され、その表裏面に電極を備えた圧電体が複数積み重ねられた構造を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記圧電体の間に前記圧電体のキュリー温度よりも所定温度以上低い温度で流動性を示す金属材料を配置する工程と、
前記圧電体の分極が実質的に消滅しない温度であって、かつ、前記金属材料が流動性を示す温度に前記金属材料を加熱することによって、前記圧電体どうしを前記金属材料によって接合する工程と、
を有することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法、が提供される。
【0011】
このような圧電アクチュエータの製造方法においては、電極を構成する金属材料を圧電体の間に配する方法としては、この金属材料のペーストを圧電体の表面に印刷しておく方法や、この金属材料の箔材を圧電体の間に挟む方法が挙げられる。圧電体の表面には予め密着強度の大きい電極を形成しておくことが好ましく、このような電極どうしを低融点金属によって接合することによって、接合強度を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る圧電アクチュエータ10の概略断面図である。圧電アクチュエータ10は、板状の圧電体11と電極12とが交互に積み重ねられた構造を有し、電極12は、圧電体11側に位置する駆動電極層12aと、金属板12bと、駆動電極層12aと金属板12bとの間にある金属層(以下「接合金属層12c」という)とを有している。金属板12bは一層おきにリード線13aまたはリード線13bによって電気的に接続されている。
【0013】
圧電体11は厚み方向に分極されており、分極の向きは矢印Pで示されるように一層おきに逆向きとなっている。これにより、リード線13a・13bを通して電極12に駆動電圧を印加すると、全ての圧電体11が同期して伸縮する。圧電体11としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミックスが好適に用いられる。圧電アクチュエータ10を共振駆動して用いる場合には、圧電体11としては機械的品質係数Qmの大きい材料が好適に用いられる。一方、圧電アクチュエータ10を静的に変位させたり、非共振周波数で駆動して用いる場合には、縦効果の圧電定数d33の大きい材料が好適に用いられる。
【0014】
電極12を構成する駆動電極層12aは、圧電体11を分極処理するために圧電アクチュエータ10の製造前に圧電体11の表面に予め設けられていたものである。電極12の構成要素として金属板12bを用いることによって、電極12を一層おきに接続することが容易となる。金属板12bには圧電アクチュエータ10の側面に突出するタグ部14を有しており、このタグ部14に所定のリード線13a・13bがそれぞれ取り付けられる。なお、圧電アクチュエータ10の側面から電極12の取り出しが容易な場合、例えば、圧電体11の厚さが厚い場合等には、金属板12bは必ずしも必要ではない。
【0015】
接合金属層12cは、駆動電極層12aと金属板12bとを接合しており、圧電体11のキュリー温度よりも低い融点を有する金属材料からなる。具体的には、接合金属層12cには、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)の中の少なくとも1つを主成分としている低融点金属が用いられる。このように、圧電アクチュエータ10には樹脂接着剤が使用されていないために、圧電アクチュエータ10を真空雰囲気で用いても、圧電アクチュエータ10自体からガスが発生することがない。
【0016】
なお、接合金属層12cは、それ全体がほぼ均一な厚さとなっていることが好ましいが、必ずしもそのような状態にあることが必要とされるものではなく、実質的に駆動電極12aと金属板12bとを接合する役割を担っている部分、である。例えば、接合金属層12cの厚さが薄い場合には、部分的にしか駆動電極層12aと金属板12bとを接合していなくとも、駆動電極12aと金属板12bとを接合している金属部分がある限り、その部分が接合金属層12cである。
【0017】
次に、圧電アクチュエータ10の製造方法について説明する。図2は、圧電アクチュエータ10の製造工程を部分的に示す説明図である。最初に、図2(a)に示すように、複数枚の圧電体11を作製する。圧電体11は、例えば、圧電セラミック粉末をプレス成形し、焼成して焼成体を作製し、この焼成体に必要に応じてスライス加工や切削加工、研削加工を施すことによって得ることができる。また、圧電体11は、圧電セラミック粉末を用いて所定の厚さのグリーンシートを作製し、このグリーンシートを所定形状でパンチング等して打ち抜き、打ち抜かれた所定形状のシートを焼成することによっても得ることができる。
【0018】
次に図2(b)に示すように、作製された圧電体11の表裏面に駆動電極層12aを形成する。例えば、駆動電極層12aは、圧電体11の表裏面に銀ペーストをスクリーン印刷等し、所定の温度で焼成することによって形成される。その他、駆動電極層12aの形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、無電解メッキ法、スパッタ法等により薄膜電極を形成した後に電解メッキ法によってその厚みを厚くする方法等を用いてもよい。次いで、駆動電極層12aに所定電圧を印加することによって、圧電体11を分極する。
【0019】
続いて図2(c)に示すように、圧電体11に形成された駆動電極層12a上に低融点金属の粉末を含むペーストをスクリーン印刷等によって所定の厚さで印刷し、低融点金属ペースト層19を形成する。後述するように、この低融点金属ペースト層19は、後に行われる加熱処理(以下「接合処理」という)によって接合金属層12cとなる。この接合処理では、圧電体11の分極ができるだけ消滅することがないようにすることが好ましいために、低融点金属としては、圧電体11のキュリー点よりも所定温度以上低い温度で流動性を示すものを用いることが好ましい。このような低融点金属の具体例を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
接合金属層12cを形成するために用いられる低融点金属は、表1に示した純金属または共晶組成を有する金属に限定されるものではなく、他の成分(貴金属、卑金属、高融点金属であるかを問わない)を含んでいてもよい。低融点金属として合金を用いる場合には、予め合金化された粉末を含むペーストを用いると、均一組成の接合金属層12cを形成することができる。一方、合金の成分である複数の純金属の粉末や一部の成分が合金化されている粉末を含むペーストを用いることも可能である。この場合には、各成分の分布が不均一となるおそれがあるが、共晶組成から余った成分が金属粉末を分散させたりする効果や、接合処理中の接合金属層12cの粘度を調節する効果が得られる場合がある。このような効果を積極的に利用したい場合には、異種の金属粉末を含むペーストを用いることは、有用である。
【0022】
こうして駆動電極層12aと低融点金属ペースト層19が形成された圧電体11を、図2(d)に示すように、別途準備された金属板12bを挟みながら積層する。このとき、圧電体11の分極の向きが一層おきに逆向きとなるようにする。金属板12bとしては、銅、リン青銅、ニッケル等からなり、その厚さが10μm〜200μmのものであって、図1および図2(d)に示すように、後にリード線13を取り付けるためのタグ部14を有するものが好適に用いられる。図2(d)に示されるように、例えば、タグ部14は一層おきに左右(または前後に)交互に突出するように配置する。なお、図示しないが、タグ部14は一側面においてその両端に一層おきに交互に突出するように配置する等、リード線13a・13bが取り付けやすいように、適宜、位置を決めればよい。
【0023】
金属板12bとしては、図2(d)に示す表面が略平坦なものに代えて、図3(a)に示す別の金属板21aのように、表裏面に溝部22が形成されているものや、図3(b)に示すさらに別の金属板21bのように、切り欠き部23が形成されているものを用いることが、より好ましい。このような金属板21a・21bを用いると、後に行われる接合処理において低融点金属ペースト層19が接合金属層12cへと変化する際に、低融点金属の余分量が溝部22や切り欠き部23に収容され、または外部に排出されることによって、接合金属層12cの厚みが薄くなり、これによって接合強度が高められる。
【0024】
圧電体11と金属板12とが積み重ねられた積層体を、その積層方向に所定の荷重を加えながら、圧電体11のキュリー点よりも低く、かつ、圧電体11の分極が部分的に消滅しても実質的に圧電アクチュエータ10の駆動特性に支障が生じない温度範囲であって、さらに低融点金属ペースト層19に含まれる金属粉が流動性を示す温度に加熱し、所定時間保持する。この熱処理によって低融点金属ペースト層19は、駆動電極層12aと金属板12bとを接合する接合金属層12cとなる。
【0025】
低融点金属ペースト層19に含まれる金属粉が流動性を示す温度は、この金属粉が純金属または合金である場合にはその融点であり、この金属粉が異種の金属粉の混合粉である場合には、その一部が溶融し始める温度である。この接合処理の温度は、圧電体11の分極の消滅を最小限に抑えながら、接合金属層12cによる圧電体11と金属板12bとの接合強度を高めるという観点に立って決定される。つまり、圧電体11の分極が部分的に消滅しても、それによって圧電体11の駆動特性に実質的に影響がない範囲で、接合処理温度を定めることができる。例えば、接合処理の温度は、このように低融点金属ペースト層19に含まれる金属粉が溶融し始める温度よりも10℃以上高く、かつ、圧電体11のキュリー点よりも50℃以上低い温度とすることができる。
【0026】
低融点金属それ自体の機械的強度は高くないために、接合金属層12cの厚さを薄くすることによって接合強度を上げることが好ましい。接合金属層12cの厚さは5μm以下とすることが好ましいが、圧電アクチュエータ10の駆動特性、素子寿命の観点から、20μm以下であれば問題はない。最終的に形成される接合金属層12cの厚さが好ましくは5μmとなるように、低融点金属ペースト層19の厚みと、接合処理時の荷重を調整すればよい。
【0027】
このようにして圧電体11と金属板12bとが一体化された後に、その一体化された積層体の側面に低融点金属が流れ出ている場合には、それを研削加工等によって除去する。そして、金属板12bのタグ部14にリード線13a・13bを取り付けることにより、図1に示す圧電アクチュエータ10が得られる。このような圧電アクチュエータ10の製造方法によれば、一体焼成法で必要とされるパラジウムや白金といった高価な貴金属を用いる必要がないために、製造コストおよび製品コストを下げることができる。
【0028】
圧電アクチュエータ10は、接合金属層12cを形成するために低融点金属ペーストを用いる代わりに低融点金属の箔を用いる方法によっても作製することができる。つまり、駆動電極層12aが形成された圧電体11、低融点金属箔、金属板12b、低融点金属箔、圧電体11の順で逐次積層し、その後に接合処理することによって低融点金属箔を溶融させて、接合金属層12cを形成することができる。
【0029】
次に、上述した製造方法を用いて圧電アクチュエータ10を作製した場合の、接合金属層12cによる圧電体11と金属板12bとの接合強度と、圧電体11の特性について調べた結果について説明する。
【0030】
(実施例1)
キュリー温度が260℃の圧電セラミック材料を用いて、20mm×10mm×0.5mmの大きさの圧電体を作製し、その表裏面に無電解メッキ法によってニッケル電極を形成した。さらにこのニッケル電極の表面に、スズ−鉛共晶合金粉末を含むソルダーペーストを、乾燥後の厚みが約15μmとなるようにスクリーン印刷法により印刷した。この圧電体と図3(a)に示すような溝部を有する金属板とを交互に積層して最上部に600gの重石を載せ、これを210℃に保持されたハンダ槽に浸して1分間保持した。その後に引き上げた試料は、ソルダーペースト層が溶融して、金属板と圧電体とが接合されていた。接合された圧電体のインピーダンスアナライザを用いた圧電特性(比誘電率、電気機械結合係数等)の測定結果から、圧電体の圧電特性は接合処理の前後で実質的に変わっていないことが確認され、また、作製された積層体に積層方向に垂直な方向から所定の力を加えた場合には、主に圧電体が破壊し、接合金属層で剥離した部分は実質的に認められなかったことから、十分な接合強度が得られていることが確認された。なお、顕微鏡観察の結果、接合金属層の厚みは約5μmであった。
【0031】
(実施例2)
キュリー温度が310℃の圧電セラミック材料を用いて、直径20mmφ×0.8mmの円板状の圧電体を作製し、その表裏面に銀ペーストをスクリーン印刷法によって印刷し、次いで焼成して、銀電極を形成した。厚さが20μmの純スズ金属箔と圧電体とを交互に積層して、その最上部に300gの重石を載せ、大気中で5分間、255℃に加熱した。この熱処理によって純スズ箔は溶融し、圧電体どうしが接合されていた。接合された圧電体の圧電特性は接合処理と変わらず、また、作製された積層体に積層方向に垂直な方向から所定の力を加えた場合には、主に圧電体が破壊し、接合金属層で剥離した部分は実質的に認められなかった。なお、顕微鏡観察の結果、接合金属層の厚みは約10μmであった。
【0032】
(比較例1)
上述した実施例1の場合において、接合処理温度を265℃としたこと以外は、実施例1の場合と同じとして、圧電体を接合した。圧電体の圧電特性は接合処理後に大きく低下していることが確認された。なお、作製された積層体に積層方向に垂直な方向から所定の力を加えた場合には、主に圧電体が破壊し、接合金属層で剥離した部分は実質的に認められず、接合強度は大きいことが確認された。
【0033】
(比較例2)
上述した実施例1の場合において、純スズ箔の厚さを50μmとしたこと以外は実施例1の条件と同じとして、圧電体を接合した。これにより形成された接合金属層の厚みは25μmであった。圧電体の圧電特性は接合処理の前後で実質的に変わっていないことが確認されたが、作製された積層体に積層方向に垂直な方向から所定の力を加えた場合に、主に接合金属層の界面に沿った剥離破壊が発生しており、実施例1の場合と比較すると、接合金属層の接合強度が小さくなっていることが確認された。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。上記説明においては、圧電体の分極方向と圧電体の積層方向とが同じである圧電アクチュエータについて説明したが、本発明は、圧電体の分極方向と圧電体の積層方向とが直交している圧電アクチュエータにも適用することができる。つまり、本発明によれば、圧電体の対向する一対の側面に分極用電極を形成し、この分極用電極に所定の電圧を印加して圧電体を分極した後にこの分極用電極を除去し、次いで圧電体の分極が消滅しないように圧電体の表裏面に駆動電極を形成して、この駆動電極どうしが、必要に応じて金属板を介して、互いに接合されるように圧電体が積層された圧電アクチュエータ、を作製することができる。
【0035】
また、図1には全ての圧電体11が駆動する圧電アクチュエータ10を示したが、圧電アクチュエータ10の上下端に分極されていない圧電体や絶縁性セラミック板を接合金属層12cを介して設けてもよい。圧電板11の平面形状は図2に示される矩形や実施例2で挙げた円形に限定されず、リング形状等であってもよい。金属板12bの表面には、接合金属層12cに対する濡れ性を改善して接合強度を高めるために、銀等をメッキしてもよい。このような銀等のメッキは、銀以外の金属で駆動電極層12aを形成した場合にも適用できる。
【0036】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、樹脂接着剤を用いずに、積層型の圧電アクチュエータを作製することができる。本発明の圧電アクチュエータは、真空雰囲気で使用してもガスを発生することがないために、その雰囲気を汚染することがない。また、本発明の圧電アクチュエータは、高価な高融点貴金属を使用せず、または使用量を低減することができるために、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電アクチュエータの一実施形態を示す概略断面図。
【図2】図1に示す圧電アクチュエータの製造工程を示す説明図。
【図3】本発明に係る圧電アクチュエータに用いられる金属板の別の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
10;圧電アクチュエータ
11;圧電体
12;電極
12a;駆動電極層
12b;金属板
12c;接合金属層
13a・13b;リード線
14;タグ部
19;低融点金属ペースト層
21a・21b;金属板
22;溝部
23;切り欠き部
Claims (5)
- 圧電体と電極とが交互に重ねられた構造を有する圧電アクチュエータであって、
前記電極は、前記圧電体を構成する圧電材料のキュリー温度よりも低い融点を有する金属層を有することを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 前記金属層は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)の中の少なくとも1つを主成分としていることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記電極は、
前記圧電体の表面に設けられた駆動電極と、
前記圧電体に挟まれるように配置された金属板と、
をさらに有し、
前記金属層は、前記駆動電極と前記金属板との間に存在して前記駆動電極と前記金属板とを接合していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータ。 - 前記金属板が切り欠き部または溝部を有することを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
- 所定の向きに分極処理され、その表裏面に電極を備えた圧電体が複数積み重ねられた構造を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記圧電体の間に前記圧電体のキュリー温度よりも所定温度以上低い温度で流動性を示す金属材料を配置する工程と、
前記圧電体の分極が実質的に消滅しない温度であって、かつ、前記金属材料が流動性を示す温度に前記金属材料を加熱することによって、前記圧電体どうしを前記金属材料によって接合する工程と、
を有することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
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- 2003-05-20 JP JP2003141754A patent/JP2004350349A/ja active Pending
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