JP2004350168A - 無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】制御局を配置しないアドホック通信環境下で、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与える。
【解決手段】各通信局が定期的にビーコン信号を送信し、ビーコン送信直後の時間区間において優先的な送受信権を得ることにより信号の往来を管理する自律分散型の無線ネットワークにおいて、存在する通信局数が少ないときに、スーパーフレーム周期内で1つの通信局が補助ビーコンを送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、送信開始時のレイテンシを低減する。新規通信局が参入してきたときに、補助ビーコンを解放して、これを収容する。
【選択図】 図1
【解決手段】各通信局が定期的にビーコン信号を送信し、ビーコン送信直後の時間区間において優先的な送受信権を得ることにより信号の往来を管理する自律分散型の無線ネットワークにおいて、存在する通信局数が少ないときに、スーパーフレーム周期内で1つの通信局が補助ビーコンを送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、送信開始時のレイテンシを低減する。新規通信局が参入してきたときに、補助ビーコンを解放して、これを収容する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非同期で直接通信(ランダム・アクセス)を行なうことにより無線ネットワークが運営される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック(Ad−hoc)通信により無線ネットワークが構築される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与える無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
複数のコンピュータを接続してLANを構成することにより、ファイルやデータなどの情報の共有化、プリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータ・コンテンツの転送などの情報の交換を行なったりすることができる。従来は有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しく、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便であった。
【0004】
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。
【0005】
例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute ofElectrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格‥‥などの各種無線通信方式が存在する。
【0006】
また、最近では、「ウルトラ・ワイド・バンド(UWB)通信」と呼ばれる、きわめて微弱なインパルス列に情報を載せて無線通信を行なう方式が、近距離超高速伝送を実現する無線通信システムとして注目され、その実用化が期待されている。
【0007】
UWB伝送方式には、DSの情報信号の拡散速度を極限まで高くしたDS−UWB方式と、数100ピコ秒程度の非常に短い周期のインパルス信号列を用いて情報信号を構成して、この信号列の送受信を行なうインパルス−UWB方式など、様々な物理的信号形式の利用が検討されている。どの方式も例えば3GHzから10GHzという超高帯域な周波数帯域を利用し、この周波数帯域内に例えば拡散処理をして送受信を行なうことにより高速データ伝送を実現する。その占有帯域幅は、占有帯域幅をその中心周波数(例えば1GHz〜10GHz)で割った値がほぼ1になるようなGHzオーダの帯域であり、いわゆるW−CDMAやcdma2000方式、並びにSS(Spread Spectrum)やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線LANにおいて通常使用される帯域幅と比較しても超広帯域なものとなっている。
【0008】
例えば、IEEE802.15.3の標準化作業において、ウルトラ・ワイド・バンド無線通信を行なう無線通信装置の間でピコネットを形成して通信を行なう方法が規格化されつつある。
【0009】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0010】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約し、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
【0011】
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
【0012】
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
【0013】
ここで、IEEE802.11を例にとって、従来の無線ネットワーキングの詳細について説明する。
【0014】
IEEE802.11におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSSは、AP(Access Point:制御局)のようなマスタが存在するインフラ・モードで定義されるBSSと、複数のMT(Mobile Terminal:移動局)のみにより構成されるアドホック・モードで定義されるIBSS(IndependentBSS)の2種類で構成される。
【0015】
インフラ・モード:
インフラ・モード時のIEEE802.11の動作について、図26を参照しながら説明する。インフラ・モードのBSSにおいては、無線通信システム内にコーディネイションを行なうAPが必須である。
【0016】
APは、自局周辺で電波の到達する範囲をBSSと1つにまとめ、いわゆるセルラ・システムで言うところの「セル」を構成する。AP近隣に存在するMTは、APに収容され、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。すなわち、APは適当な時間間隔でビーコンと呼ばれる制御信号を送信し、このビーコンを受信可能であるMTはAPが近隣に存在することを認識し、さらにAPとの間でコネクション確立を行なう。
【0017】
図26に示す例では、通信局STA0がAPとして動作し、他の通信局STA1並びSTA2がMTとして動作している。ここで、APとしての通信局STA0は、同図の右側のチャートに記したように、一定の時間間隔でビーコン(Beacon)を送信する。次回のビーコンの送信時刻は、ターゲット・ビーコン送信時刻(TBTT:Target Beacon Transmit Time)というパラメータの形式によりビーコン内で報知されている。そして、時刻がTBTTに到来すると、APはビーコン送信手順を動作させている。
【0018】
また、周辺MTは、ビーコンを受信することにより、内部のTBTTフィールドをデコードすることにより次回のビーコン送信時刻を認識することが可能であるから、場合によっては(受信の必要がない場合には)、次回あるいは複数回先のTBTTまで受信機の電源を落としスリープ状態に入ることもある。
【0019】
アドホック・モード:
もう一方のアドホック・モード時のIEEE802.11の動作について、図27並びに図28を参照しながら説明する。
【0020】
アドホック・モードのIBSSにおいては、MTは複数のMT同士でネゴシエーションを行なった後に自律的にIBSSを定義する。IBSSが定義されると、MT群は、ネゴシエーションの末に、一定間隔毎にTBTTを定める。各MTは自局内のクロックを参照することによりTBTTが到来したことを認識すると、ランダム時間の遅延の後、未だ誰もビーコンを送信していないと認識した場合にはビーコンを送信する。
【0021】
図27に示すでは、2台のMTがIBBSを構成する様子を示している。この場合、ビーコンはIBSSに属するいずれか一方のMTが、TBTTが訪れる毎にビーコンを送信することになる。また、ビーコンが衝突する場合も存在している。
【0022】
また、IBSSにおいても、MTは必要に応じて送受信機の電源を落とすスリープ状態に入ることがある。図28には、この場合の信号送受信手順について示している。
【0023】
IEEE802.11においては、IBSSでスリープ・モードが適用されている場合には、TBTTからしばらくの時間帯がATIM(Announcement Traffic Indication Message)Windowとして定義されている。ATIM Windowの時間帯は、IBSSに属するすべてのMTは受信処理を動作させている。この時間帯であれば、基本的にはスリープ・モードで動作しているMTも受信が可能である。
【0024】
各MTは、自局が誰か宛ての情報を有している場合には、このATIM Windowの時間帯においてビーコンが送信された後に、上記の誰か宛にATIMパケットを送信することにより、自局が上記の誰か宛ての情報を保持していることを受信側に通達する。ATIMパケットを受信したMTは、ATIMパケットを送信した局からの受信が終了するまで、受信機を動作させておく。
【0025】
図28に示す例では、STA1、STA2、STA3の3台のMTがIBSS内に存在している。同図において、TBTTに到来すると、STA1、STA2、STA3の各MTは、ランダム時間にわたりメディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA1のタイマが最も早期に消滅し、STA1がビーコンを送信した場合を示している。STA1がビーコンを送信したため、これを受信したSTA2並びにSTA3はビーコンを送信しない。
【0026】
また、図28に示す例では、STA1がSTA2宛ての送信情報を保持しており、且つ、STA2がSTA3への送信情報を保持している。このとき、STA1とSTA2は、ビーコンを送信/受信した後に、再度ランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA2のタイマが先に消滅したため、まずSTA2からATIMメッセージがSTA3に宛てて送信される。STA3は、ATIMメッセージを受信すると、受信した旨をACK(Acknowledge)パケットを送信することによりSTA2にフィードバックする。STA3からのACKが送信し終えると、STA1はさらにランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。そして、タイマが消滅すると、STA1はATIMパケットをSTA2に宛てて送信する。STA2はこれを受信した旨のACKパケットを返送することによりSTA1にフィードバックする。
【0027】
これらATIMパケットとACKパケットのやりとりがATIM Window内で行なわれると、その後の区間においても、STA3はSTA2からの情報を受信するために受信機を動作させ、STA2はSTA1からの情報を受信するために受信機を動作させる。
【0028】
上記の手順において、ATIM Window内でATIMパケットを受信しない、又は誰宛ての送信情報も保持していない通信局は、次のTBTTまで送受信機の電源を落とし、消費電力を削減することが可能となる。
【0029】
ところで、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器が普及し、オフィス内に多数の機器が混在する作業環境下では、通信局が散乱し、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。このような状況下では、端末同士の通信が競合しないようにアクセス制御が必要とされている。
【0030】
通信要求がランダム的でバースト性の高いパケット通信などでは、複数の端末局が同一の周波数チャネルを共有するチャネル共有方式が多く採用されている。このチャネル共有方式では、端末局からの通信要求がランダム的に行なわれるため、複数の端末局からの信号が衝突するという事態が起き易く、通信品質を劣化させてしまう。衝突を回避するための方法として、比較的単純なメカニズムで構成することができるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:キャリア検出多重接続/衝突回避)方式が幅広く採用されている。上述したアドホック通信システムにおいても、自己の送信型の送信を衝突しないことを検出するためにCSMA/CAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送する方式が適用される。
【0031】
他方、一定間隔で定期的にデータを送る必要がある動画などのように、等時性、時間的に連続性を持つデータを転送するためには、帯域を保証する必要がある。このような場合、ネットワークを構成する各通信局に対し、送受信を優先させる時間間隔を与えることにより帯域を保証することができる。
【0032】
しかしながら、通信局が少ない場合にも一定の時間間隔で優先的な送受信権を与えると無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。レイテンシの低減は、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることにより実現できる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック通信により無線ネットワークを好適に構築することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0034】
本発明のさらなる目的は、制御局を配置しないアドホック通信環境下で、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与えることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づく無線ネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定のフレーム周期内でビーコン送信位置を決定してビーコンを送出するとともに、ビーコン送信直後に優先的に送受信を行なう時間区間を取得し、レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0036】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0037】
本発明に係る無線通信システムにおいては、コーディネータを特に配置しない。各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0038】
周辺に通信局がいない場合、通信局は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれる。
【0039】
各通信局は、自己のビーコン受信タイミングをビーコン中の近隣ビーコン情報フィールドに記載し、自己のビーコン受信タイミングと受信ビーコン中の近隣ビーコン情報フィールド(NBOI:Neighboring Beacon Offset Information)の記載に基づいてフレーム周期内で近隣に存在する通信局のビーコン配置に関する隣接局リストを作成してネットワークを管理する。
【0040】
NBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0041】
ここで、通信局が少ない場合にもビーコン送信タイミングを同じ定間隔に保つ場合、送信開始タイミングが到来するまでの間に無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。すなわち、受信先の通信局がビーコンを送信した直後のみ送信の許可が与えられるシステムでは、送りたいと思ってから実際に送れるまでのレイテンシの最大値はフレーム周期付近までとなる。このフレーム周期はネットワークの最大収容局数に応じて設定すべきものであるが、変動する通信局数に対応はできないため、収容局数が少ないときは無駄が生じる。
【0042】
そこで、本発明に係る無線通信システムでは、通信範囲内に存在する通信局数が少ないときに、フレーム周期内で1つの通信局が複数のビーコン信号を送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、ビーコン送信直後に送受信区間を得ることによって、レイテンシを低減するという仕組みを導入した。すなわち、ビーコン間隔の短縮により、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることができ、レイテンシが低減する。
【0043】
フレーム周期における2個目以降のビーコンは、送受信区間を得ることを主目的として送信されるもので、ネットワーク構築のために送信される本来のビーコンとは性質を異にし、本明細書中では「補助ビーコン」と呼ばれる。
【0044】
ビーコンの間隔に十分余裕があることを検知した通信局は、補助ビーコンの追加を行ないたいことをブロードキャストによって報知することができる。このとき、追加予定時刻などの情報も含めて報知する。同じ通信範囲に収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、所定時間に補助ビーコンの追加を行なう。
【0045】
他方、フレーム周期内がビーコンで溢れないようにミニマムのビーコン間隔Bminが規定されており、フレーム周期内に収容可能な通信局の台数には上限がある。このため、新規の通信局が参入してきたときには、これをフレーム周期内に収容するために、補助ビーコンを解放する必要がある。例えば、新規通信局や、レイテンシの低減が必要な通信局は、自己のビーコン送信位置を確保するために、補助ビーコンを送信中の他の通信局に対し補助ビーコンの送信位置の解放を要求する。
【0046】
また、フレーム周期内に補助ビーコンを追加する以外に、フレーム周期を短縮することによっても、ビーコン間隔を短縮して、送信開始時におけるレイテンシの低減を実現することができる。前者の場合、補助ビーコンを追加した特定の通信局しかレイテンシが低減しないのに対し、後者の方法によれば、スーパーフレーム周期にビーコンが収容されているすべての通信局が均等にレイテンシを低減することができる。
【0047】
フレーム周期に収容されている通信局数が少ないことを検知した通信局は、フレーム短縮を行ないたいことをブロードキャストによって報知する。収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、フレームの短縮を行なう。
【0048】
フレーム周期の短縮によりレイテンシの低減を実現する場合も、新規通信局が無線ネットワークに参入する場合や、通信局が新たに補助ビーコンを送信する必要がある場合などに、ビーコン送信位置を配置するリソースを確保しなければならない。この場合、短縮したフレーム周期を元の長さまで伸長するようにすればよい。
【0049】
収容通信局が多くなったとき、各通信局が優先的に送受信するための十分な時間区間を得るために、フレーム延長を報知により行なう。フレーム周期を延長することにより、フレーム周期内に配置可能なビーコン数が増加するので、実質的にリソースが解放されたと同等の効果を得る。
【0050】
また、本発明の第2の側面は、特定の制御局を配置しない無線通信環境下で通信動作を行なうための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信ステップと、
レイテンシの低減又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮し、新規通信局の参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答してビーコン間隔を延長する、ビーコン送信位置制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0051】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0054】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ単一の伝送媒体(周波数チャネルによりリンクが分離されていない場合)を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。但し、複数の周波数チャネルが伝送媒体として存在する場合であっても、同様に本発明の効果を奏することができる。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0055】
本発明に係る無線ネットワーク・システムは、コーディネータを配置しないシステム構成であり、各通信局は、基本的にはCSMAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なう。
【0056】
このようにコーディネータを特に配置しない無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、他の通信局からのビーコン信号を受信することにより、その通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0057】
以下に説明する各通信局での処理は、基本的にネットワークに参入する全通信局で実行される処理である。但し、場合によっては、ネットワークを構成するすべての通信局が、以下に説明する処理を実行するとは限らない。
【0058】
図1には、本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示している。同図に示す無線通信装置では、アンテナ1がアンテナ共用器2を介して受信処理部3と送信処理部4に接続してあり、受信処理部3及び送信処理部4は、ベースバンド部5に接続してある。受信処理部3での受信処理方式や、送信処理部4での受信処理方式については、例えば無線LANに適用可能な、比較的近距離の通信に適した各種通信方式を適用することができる。具体的には、UWB方式、OFDM方式、CDMA方式などを適用することができる。
【0059】
ベースバンド部5は、インターフェース部6とMAC(メディア・アクセス・コントロール)部7とDLC(データリンク・コントロール)部8などを備えて、それぞれの処理部で、この通信システムに実装されるアクセス制御方式における各通信プロトコル層における処理が実行される。
【0060】
次いで、無線通信装置が本発明に係る無線ネットワーク・システムにおいて実行する動作について説明する。コーディネータが存在しない無線通信環境において、各通信局は、自己の存在を周辺(すなわち自己の通信範囲内)に知らせたりする目的で、周期的にビーコンを送信する。各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域として獲得することができる。
【0061】
ビーコンの送信で区切られる期間を「スーパーフレーム周期」と呼ぶ。本実施形態では、通信局におけるビーコンの送信周期を40ミリ秒に設定し、40ミリ秒毎にビーコンを送信するものとするが、スーパーフレーム周期を40ミリ秒に限定している訳ではない。
【0062】
本実施形態に係る各通信局のビーコン送信手順について、図2を参照しながら説明する。
【0063】
ビーコンで送信される情報が100バイトであるとすると、送信に要する時間は18マイクロ秒となる。40ミリ秒に1回の送信なので、通信局毎のビーコンのメディア占有率は2222分の1と十分小さい。
【0064】
各通信局STAは、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
【0065】
周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は40ミリ秒である(前述)。図2の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコン位置を示している。
【0066】
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0067】
例えば、図2の最上段に示すように、通信局01のみが存在するネットワーク状態において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図2の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコンの送信を開始する。
【0068】
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図2の第3段に示すように、通信局01及び通信局02のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
【0069】
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図2の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
【0070】
但し、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないように、ミニマムのビーコン間隔Bminを規定しておく。例えば、ミニマムのビーコン間隔Bminを625マイクロ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で64台の通信局までしか収容できないことになる。
【0071】
図3には、ビーコン送信タイミングの一例を示している。但し、同図に示す例では、40ミリ秒からなるスーパーフレーム周期における時間の経過を、円環上で時針が右回りで運針する時計のように表している。
【0072】
図3に示す例では、通信局0から通信局Fまでの合計16台の通信局がネットワークのノードとして構成されている。図2を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを5ミリ秒と規定した場合には、これ以上の通信局は該ネットワークに参入できない。上述したような処理手順で各通信局のビーコンを配置しビーコンの送信を開始するフェーズを、以下では「ステップ1」と呼ぶことにする。ビーコン送信位置決定の詳細な手順については、後述に譲る。
【0073】
本実施形態に係る無線ネットワークでは、基本的には従来と同様にCSMAに基づくアクセス手順を採用し、送信前にメディアがクリアであることを確認した後に送信を行なうことを想定している。但し、各通信局は、近隣の他の通信局に事故の存在を知らしめるためのビーコン信号を送出した後、優先的に情報伝送を行なうことができる優先利用領域が確保される。
【0074】
IEEE802.11方式などの場合と同様に、本実施形態においても複数のパケット間隔を定義する。ここでのパケット間隔の定義を、図4を参照して説明する。ここでのパケット間隔は、Short Inter Frame Space(SIFS) とLong Inter Frame Space(LIFS)を定義する。プライオリティが与えられたパケットに限りSIFSのパケット間隔で送信を許容し、それ以外のパケットはLIFS+ランダムに値を得るランダムバックオフのパケット間隔だけメディアがクリアであることを確認した後に送信を許容する。ランダムバックオフ値の計算方法は既存技術で知られている方法を適用する。
【0075】
さらに本実施形態においては、上述したパケット間隔である「SIFS」と「LIFS+バックオフ」の他、「LIFS」と「FIFS+ バックオフ」(FIFS:Far Inter Frame Space)を定義する。通常は「SIFS」と「LIFS+バックオフ」のパケット間隔を適用するが、ある通信局に送信の優先権が与えられている時間帯においては、他局は「FIFS+バックオフ」のパケット間隔を用い、優先権が与えられている局はSIFSあるいはLIFSでのパケット間隔を用いるというものである。
【0076】
各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えられる。図5には、ビーコン送信局に優先権が与えられる様子を示している。この優先区間をTransmission Guaranteed Period(TGP)と定義する。また、TGP以外の区間をFairly Access Period(FAP)と定義する。図6には、スーパーフレーム周期の構成を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTGPが割り当てられ、TGPの長さ分だけ時間が経過するとFAP になり、次の通信局からのビーコンの送信でFAPが終わる。なお、ここではビーコンの送信直後からTGPが開始する例を示したが、これには限定されるものではなく、例えば、ビーコンの送信時刻から相対位置(時刻)でTGPの開始時刻を設定してもよい。
【0077】
ここで、パケット間隔について再度考察すると、下記のようになる。各通信局は、FAPにおいてはLIFS+バックオフの間隔での送信を行なう。また、ビーコン並び自局のTGP内でのパケットの送信に関しては、SIFS間隔での送信を許容する。また、自局のTGP内でのパケットの送信に関してはLIFSの間隔での送信をも許容する。さらに、他局のTGP内でのパケットの送信に関してはFIFS+バックオフの間隔での送信とするということになる。IEEE802.11方式においては、常にパケット間隔としてFIFS+バックオフがとられていたが、本例の構成によれば、この間隔を詰めることができて、より効果的なパケット伝送が可能となる。
【0078】
上記では、TGP中の通信局にのみ優先送信権が与えられるという説明を行なったが、TGP中の通信局に呼び出された通信局にも優先送信権を与える。基本的にTGPにおいては、送信を優先するが、自通信局内に送信するものはないが、他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることがわかっている場合には、その「他局」宛てにページング(Paging)メッセージあるいはポーリング(Polling) メッセージを投げたりしてもよい。
【0079】
逆に、ビーコンを送信したものの、自局には何も送信するものがない場合でかつ他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることを知らない場合、このような通信局は、何もせず、TGPで与えられた送信優先権を放棄し、何も送信しない。すると、LIFS+バックオフあるいはFIFS+バックオフ経過後に他局がこの時間帯でも送信を開始する。
【0080】
図6に示したようにビーコンの直後にTGPが続くという構成を考慮すると、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0081】
図7には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワーク・システムにおけるパケット・フォーマットの構成例を示している。
【0082】
パケットの先頭には、パケットの存在を知らしめる目的で、ユニーク・ワードで構成されるプリアンブルが付加されている。
【0083】
プリアンブルの直後に送信されるヘディング領域には、このパケットの属性、長さ、送信電力、またPHYがマルチ伝送レートモードならペイロード部伝送レートが格納されている。ヘディング領域は、ペイロード部に比べ所要SNRが数dB程度低くて済むように伝送速度を落とす。このヘディング領域は、いわゆるMACヘッダとは相違する。図示の例では、MACヘッダはペイロード部に含まれている。
【0084】
ペイロード部は、PSDU(PHY Service Data Unit)と示されている部分であり、制御信号や情報を含むベアラビット列が格納される。PSDUは、MACヘッダとMSDU(MAC Service Data Unit)により構成されており、MSDU部に上位レイヤから渡されたデータ列が格納される。
【0085】
以下では、説明を具体的に行なうために、プリアンブルの長さは8マイクロ秒であり、ペイロード部のビットレートは100Mbpsで伝送され、ヘディング領域は3バイトで構成され12Mbpsで伝送される場合を想定する。すなわち、1つのPSDUを送受信する際には、10マイクロ秒(プリアンブル8マイクロ秒+ヘディング2マイクロ秒)のオーバーヘッドが生じている。
【0086】
図8には、ビーコン信号フォーマットの構成例を示している。同図に示すように、ビーコン信号は、当該信号の存在を知らしめるためのプリアンブルに、ヘディング、ペイロード部PSDUが続いている。ヘディング領域において、該パケットがビーコンである旨を示す情報が掲載されている。また、PSDU内にはビーコンで報知したい以下の情報が記載されている。
【0087】
TX.ADDR:送信局(TX)のMAC アドレス
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
【0088】
TIMとは、現在この通信局がどの通信局宛てに情報を有しているかの報知情報であり、TIMを参照することにより、受信局は自分が受信を行なわなければならないことを認識することができる。また、Pagingは、TIMに掲載されている受信局のうち、直後のTGP において送信を予定していることを示すフィールドであり、このフィールドで指定された通信局はTGPでの受信に備えなければならない。また、その他のフィールド(ETCフィールド)も用意されている。
【0089】
NBOIは、近隣の通信局のビーコン配置を記述した情報である。本実施形態では、スーパーフレーム周期内に最大16個のビーコンを配置することができることから、NBOIを各ビーコン位置に相当する16ビット長のフィールドとして構成し、受信できたビーコンの配置に関する情報をビットマップ形式で記述する。そして、自局のビーコン送信タイミングを基準として、各通信局からのビーコン受信タイミングの相対位置に対応するビットに1を書き込み、ビーコンを受信しないタイミングの相対位置に対応するビット位置は0のままとする。
【0090】
図9には、NBOIの記述例を示している。同図に示す例では、図3に示した通信局0が、「通信局1並びに通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えるNBOIフィールドが示されている。受信可能なビーコンの相対位置に対応するビットに関し、ビーコンが受信されている場合にはマーク、受信されていない場合にはスペースを割り当てる。なお、これ以外の目的で、ビーコンが受信されていないタイミングに対応するビットに関してマークを行なうようにしてもよい。
【0091】
本実施形態では、各通信局はお互いのビーコン信号を受信し、その中に含まれるNBOIの記述に基づいてビーコンの衝突を回避することができる。
【0092】
図10には、NBOIの記述に基づいて通信局がビーコンの衝突を回避する様子を示している。同図の各段では、通信局STA0〜STA2の参入状態を表している。そして、各段の左側には各通信局の配置状態を示し、その右側には各局から送信されるビーコンの配置を示している。
【0093】
図10の上段では、通信局STA0のみが存在している場合を示している。このとき、STA0はビーコン受信を試みるが受信されないため、適当なビーコン送信タイミングを設定して、このタイミングの到来に応答してビーコンの送信を開始することができる。ビーコンは40ミリ秒毎に送信されている。このとき、STA0から送信されるビーコンに記載されているNBOIフィールドのすべてのビットが0である。
【0094】
図10の中段には、通信局STA0の通信範囲内でSTA1が参入してきた様子を示している。STA1は、ビーコンの受信を試みるとSTA0のビーコンが受信される。さらにSTA0のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビット以外のビットはすべて0であることから、上記ステップ1に従ってSTA0のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定する。
【0095】
STA1が送信するビーコンのNBOIフィールドは、自局の送信タイミングを示すビットとSTA0からのビーコン受信タイミングを示すビットに1が設定され、それ以外のビットはすべて0である。また、STA0も、STA1からのビーコンを認識すると、NBOIフィールドの該当するビット位置に1を設定する。
【0096】
図10の最下段には、さらにその後、通信局STA1の通信範囲にSTA2が参入してきた様子を示している。図示の例では、STA0はSTA2にとって隠れ端末となっている。このため、STA2は、STA1がSTA0からのビーコンを受信していることを認識できず、右側に示すように、STA0と同じタイミングでビーコンを送信し衝突が生じてしまう可能性がある。
【0097】
NBOIフィールドはこの現象を回避するために用いられる。まず、STA1のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビットに加え、STA0がビーコンを送信しているタイミングを示すビットにも1が設定されている。そこで、STA2は、STA0が送信するビーコンを直接受信はできないが、STA0がビーコンを送信するタイミングをSTA1から受信したビーコンに基づいて認識し、このタイミングでのビーコン送信を避ける。そして、図11に示すように、このときSTA2は、STA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中にビーコン送信タイミングを定める。勿論、STA2の送信ビーコン中のNBOIでは、STA2とSTA1のビーコン送信タイミングを示すビットを1に設定する。
【0098】
上述したようなNBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0099】
このように、本実施形態に係る無線通信システムは、それぞれの通信局が一定間隔で定期的にビーコン信号を送信することにより構築される自律分散型のネットワークである。すなわち、各通信局はビーコン情報を報知することにより、他の通信局に自己の存在を知らしめるとともにネットワーク構成を通知する。また、新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読して、既存のビーコン信号との衝突を避けてビーコン送出することにより新たなネットワークを構築する。
【0100】
さらに、各通信局は、自己がビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域TGPとして獲得することができる。しかしながら、通信局が少ない場合にもビーコン送信タイミングを同じ定間隔に保つ場合、送信開始タイミングが到来するまでの間に無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。
【0101】
例えば、図12に示すように、通信局A、B、Cという3台の通信局が存在し、それぞれが所定のスーパーフレーム周期T_SF間隔で、ビーコンを送信している状況を想定する。ビーコンは一定周期毎に送信されるので、図13に示すように表現することができる。ここで、ある特定の通信局に信号を送りたいとき、受信先の通信局がビーコンを送信した直後のみ送信の許可が与えられるシステムでは、送りたいと思ってから実際に送れるまでのレイテンシの最大値はT_SF付近までとなる。このT_SFはネットワークの最大収容局数に応じて設定すべきものであり、変動する通信局数に対応はできないため、収容局数が少ないときは無駄が生じる。
【0102】
そこで、本明細書では、通信範囲内に存在する通信局数が少ないときに、スーパーフレーム周期内で1つの通信局が複数のビーコン信号を送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、ビーコン送信直後に送受信区間を得ることによって、送信開始時におけるレイテンシを低減する、という手法を提案する。すなわち、ビーコン間隔の短縮により、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることができ、レイテンシが低減する。
【0103】
通常、チャネルにおけるスーパーフレーム周期はビーコン間隔によって定義される。本実施形態において、1つのスーパーフレーム周期における2個目以降のビーコンは、送受信区間を得ることを主目的として送信されるもので、ネットワーク構築のために送信される本来のビーコンとは性質を異にする。本明細書では、1つのスーパーフレーム周期における2個目以降のビーコンを「補助ビーコン」と呼ぶ。
【0104】
他方、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないようにミニマムのビーコン間隔Bminが規定されており、スーパーフレーム周期内に収容可能な通信局の台数には上限がある(前述)。このため、新規の通信局が参入してきたときには、これをスーパーフレーム周期内に収容するために、補助ビーコンを解放する必要がある。
【0105】
以下、スーパーフレーム周期内における補助ビーコンの追加手順、並びに解放手順について説明する。
【0106】
(1)有手順による補助ビーコンの追加
ビーコンの間隔に十分余裕があることを検知した通信局は、補助ビーコンの追加を行ないたいことをブロードキャストによって報知することができる。このとき、追加予定時刻などの情報も含めて報知する。同じ通信範囲に収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、所定時間に補助ビーコンの追加を行なう。
【0107】
図14には、図13に示したスーパーフレーム周期構成において、通信局Aが補助ビーコンを送信している例を示している。同図に示す例では、通信局Aは、スーパーフレーム周期の先頭で通常のビーコン信号を送出する以外に、スーパーフレーム周期の先頭から3分の1が経過した時点T_SF/3における通信局Bのビーコン送信位置と、スーパーフレーム周期の先頭から3分の2が経過した時点2T_SF/3における通信局Cのビーコン送信位置から等間隔となる時点T_SF/2に補助ビーコンを追加している。この結果、通信局Aは、スーパーフレーム周期の先頭、並びに補助ビーコン位置T_SF/2の各タイミングの直後に優先的に送受信を行なう時間区間を得ることができる。
【0108】
図15には、有手順による補助ビーコンの追加を行なうための通信局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0109】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS1)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS2)。
【0110】
ここで、ビーコン間隔に余裕があると判断された場合には、通信範囲内のすべての通信局に対して、補助ビーコンを追加したい旨の要求を送信する(ステップS3)。この要求には、どの時刻にビーコンの追加を行なうか(追加予定時刻)を記しておく。
【0111】
所定時間内にビーコンを受信しているすべての通信局からの承諾を得る(ステップS4)、あるいは、所定時間内にいずれの通信局からも拒否応答を得なかったならば、要求元の通信局は、宣言した時刻に補助ビーコンを追加する(ステップS5)。この結果、通信局は、送信会指示におけるレイテンシを低減することに成功する。
【0112】
有手順により補助ビーコンを追加する手法を利用する場合、ビーコン追加要求を送信してから応答が得られるまでの時間及びビーコンの追加を実行するまでの時間をカウントする仕組みが必要となる。
【0113】
(2)有手順によるスーパーフレーム周期の短縮
上述した例では、スーパーフレーム周期内に補助ビーコンを追加することによって、送信開始時におけるレイテンシの低減を実現したが、スーパーフレーム周期を短縮することによってもビーコン間隔が短縮されるので、レイテンシを低減することができる。前者の場合、補助ビーコンを追加した特定の通信局しかレイテンシが低減しないのに対し、後者の方法によれば、スーパーフレーム周期にビーコンが収容されているすべての通信局が均等にレイテンシを低減することができる。
【0114】
スーパーフレーム周期に収容されている通信局数が少ないことを検知した通信局は、スーパーフレーム短縮を行ないたいことをブロードキャストによって報知する。収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、スーパーフレームの短縮を行なう。
【0115】
逆に、収容通信局が多くなった場合には、各通信局が優先的に送受信するための十分な時間区間を得るために、スーパーフレーム延長を報知により行なう。スーパーフレーム周期を延長することにより、スーパーフレーム周期内に配置可能なビーコン数が増加するので、実質的にリソースが解放されたと同等の効果を得る。
【0116】
図16には、スーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なう様子を図解している。通常のスーパーフレーム周期内に、通信局A及び通信局Bのビーコンしか配置されていない場合、ビーコン間隔に余裕があり送受信開始までのレイテンシが徒に大きいことから、例えば通信局Aからの短縮要求によりスーパーフレーム周期の短縮が行なわれる。
【0117】
その後、通信局C及び通信局Dがネットワークに新規に参入してきた場合、ビーコン間隔に余裕がなくなり、各通信局はビーコン送信後に優先的に送受信するための十分な時間区間を得ることができなくなる。このとき、例えば通信局Aからの延長要求により、スーパーフレーム周期の延長(元の周期への復帰)が行なわれる。
【0118】
図17には、有手順によるスーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なうための通信局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0119】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS11)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS12)。
【0120】
ビーコン間隔に余裕がある場合は、周辺通信局に対して、スーパーフレームを短縮したい旨の要求を送信する(ステップS13)。この要求には、どの時刻にスーパーフレーム短縮を行なうか記しておく。
【0121】
要求を送信してから所定時間内にビーコンを受信しているすべての通信局からの承諾を得ることができた場合(ステップS14)、あるいは所定時間内にいずれの通信局からも拒否応答を受信しなかった場合には、宣言した時刻に一斉にスーパーフレーム周期を短縮する(ステップS15)。この結果、通信範囲内のすべての通信局にとってビーコン送信タイミングが短縮され、各通信局が均等にレイテンシを低減することに成功する。
【0122】
その後、通信範囲内に通信局数が増え、ビーコン同士が密集した場合には(ステップS16)、この状況を察知した通信局がスーパーフレーム延長を宣言し、宣言時刻に一斉にスーパーフレームを延長する(ステップS17)。スーパーフレームを延長するための通信局間の手続は、短縮する際の手続に従って行なわれるものとする。
【0123】
なお、スーパーフレーム周期の短縮・延長によりレイテンシを調整する本手法では、通信範囲に含まれるすべての通信局が共通のスーパーフレーム周期で動作する必要があることから、スーパーフレーム長に関する情報をビーコン情報として含めることにする。
【0124】
(3)無手順による補助ビーコンの追加
有手順により特定の通信局が補助ビーコンを追加する手法については既に説明した。通常のビーコンと余剰ビーコンの区別がつくようにすれば、それぞれの通信局が独自に判断し、冗長な手順を踏むことなく余剰ビーコンの追加が可能である。
【0125】
例えば、図13に示したように、スーパーフレーム周期内に3台の通信局のビーコン信号が配置されている場合を想定する。ここで、それぞれのビーコンの間隔を検知し、余裕があることが認識されると、図18に示すように、各通信局は、等間隔で補助ビーコンを送信し始める。
【0126】
この際、図中で丸が付いている文字は本来あったビーコンであるが、これと補助ビーコンを表現している丸なしの文字との識別することができるように、ビーコン情報に記載しておく。この補助ビーコンに関する情報は、補助ビーコンの解放手続(後述)に利用し、補助ビーコンのみを解放し、本来のビーコンは変更を加えない。
【0127】
図18に示す例では、通信局がT_SF/4の間隔でビーコンを送信することにより、レイテンシを1/4に抑えることができているのが分かる。
【0128】
図19には、通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0129】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS21)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS22)。
【0130】
ビーコン間隔に余裕がある場合、自己のスーパーフレーム長を擬似的に短縮し、スーパーフレーム周期内に等間隔でビーコンを追加することによって、レイテンシを低減することに成功する(ステップS23)。
【0131】
本実施形態に関して、省電力化を考える上で、完全に電力が切れているオフ状態から、PLLすなわち位相同期ループ(シンセサイザ)がついていないPLLオフ状態へ移行するのに数ミリ秒を要し、その状態からPLLオン状態に移行するのに数100マイクロ秒を要する通信局を想定する。PLLオン状態から送信受信へ移行するのには数10マイクロ秒で可能である。
【0132】
通常、PLLがオンされることで、システム・クロックが通信プロトコルの各レイヤに伝達される。本実施形態のように補助ビーコンを使用する通信を行なう場合、明らかに通信用データを作成する通信プロトコル・レイヤにはシステム・クロックが必要であり、この場合、PLLはオンされている必要がある。PLLがオンされているときは、消費電力の視点からは、補助ビーコンが連続していても、分散していても変わらない。よって連続して補助ビーコンを送信する次の実施例と比べても消費電力は変わらず、パケットを作成する通信プロトコルの上位レイヤの負荷を考慮すると、等間隔に補助ビーコンを配置することに利点がある。
【0133】
なお、本明細書ではPLL_ONなどの数値を使用した例を示しているがそれに限定されないものとする。
【0134】
図18に示した例では、各通信局が等間隔で補助ビーコンを追加するようにしたが、本発明の要旨はこのような配置方法に限定されず、任意の間隔で補助ビーコンを配置するようにしてもよい。この場合も、余剰ビーコンと通常ビーコンとの区別がつけば無手順で行うことができる。前述の通り、本実施形態ではレイテンシを大幅に短縮することが可能であるが、パケットを作成する上位レイヤに対する負荷が増大する。
【0135】
例えば、図20に示すように、丸付き文字で指示されている位置で本来のビーコンが配置されていた場合、補助ビーコンを丸無し文字で示される位置で送信する。この場合、それぞれのビーコン間隔は一定(同図に示す例ではT_SF/12)であるが、その間隔毎に必ず送るといった性質のものでなく、ある区間まとめて送る。
【0136】
このような手法をとることにより、補助ビーコンを送っている区間はその端末が優先的に送受信をすることが暗黙的に許可され、擬似的にQoSを実現することができる。これによって、例えば、通信量が多い映像再生端末は他の端末より多くの補助ビーコンを送信することを可能とすることにより、帯域確保に近い機能を果たすことができる。
【0137】
図21には、通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0138】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS31)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS32)。
【0139】
ビーコン間隔に余裕がある場合、スーパーフレーム周期内に任意間隔でビーコンを追加し、レイテンシを低減することに成功する(ステップS33)。
【0140】
図18並びに図20で示したように、無手順で補助ビーコンを追加する手法をとった場合、新規通信局がネットワークに参入したときに、補助的又は冗長に送信していたビーコンを解放する仕組みを規定する必要がある。補助ビーコンの解放手続きについて、以下に説明する。
【0141】
(1)補助ビーコンの能動的な解放手続
多くの補助ビーコンを送信している通信局は、細かい周期で、スーパーフレームのスキャンを行ない、ビーコンの送信状況を確認する。そこで、図22に示すように、スーパーフレーム周期内でビーコンが密集している区間が発見された場合は、その補助ビーコンを解放する。
【0142】
図23には、スーパーフレーム周期内で増えすぎた補助ビーコンを解放するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0143】
補助ビーコン送信中の通信局は、1スーパーフレーム周期だけビーコン間隔を監視し(ステップS41)、ビーコン間隔が所定の閾値を下回るかどうかをチェックする(ステップS42)。
【0144】
そして、ビーコン間隔が所定の閾値以下の場合には、さらにレイテンシ増大に余裕があるかどうかを判断する(ステップS43)。レイテンシ増大に余裕がある場合には、密集している補助ビーコンの解放を行なうようにする。
【0145】
(2)補助ビーコンの受動的な解放手続
図24に示すように、スーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集している状態を想定する。このような状況下で、既に参入している通信局Dが補助ビーコンを送信したい場合、ビーコン内の特定フィールドに他通信局に補助ビーコンを減らすように、レイテンシ低減要求を発行する。
【0146】
このレイテンシ低減要求を聞いた他通信局は、自己が配置している補助ビーコンを解放し、解放された区間に通信局Dが補助ビーコンを配置する。
【0147】
あるいは、図24に示すようなスーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集しているような状況下で、既に参入している通信局Dが補助ビーコンを送信したい場合、通信局Dは、特定の通信局Aに対して、同図中で「要求」と記されているビーコン送信位置における補助ビーコンの開放を要求するためのレイテンシ低減要求を発行する。
【0148】
通信局Aは、例えば、スーパーフレーム周期内で最も多くの補助ビーコンを配置している通信局、あるいはレイテンシの増大に対し許容可能な通信局であるとする。
【0149】
通信局Aがレイテンシ低減要求に応答して補助ビーコンを解放すると、通信局Dは、通信局Aに代わって、同じ位置から補助ビーコンの送信を開始する。
【0150】
レイテンシ低減要求は、要求先から拒否されることもある。また、図24において、丸文字となっている本来のビーコン送信位置に対しては、開放要求を行なわない。
【0151】
図25には、新規通信局の参入又はレイテンシの低減要求に応答して補助ビーコンを解放するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0152】
まず、スーパーフレーム周期内で、ビーコン・スロットの空きがあるかどうかをチェックする(ステップS51)。空きがあれば、この空きビーコン・スロットを利用してビーコンの送信を行なう。
【0153】
一方、ビーコン・スロットの空きがない場合には、1スーパーフレーム周期だけビーコンを監視し(ステップS52)、最大の補助ビーコン数を持つ通信局を検出し、その通信局へ補助ビーコンの解放を要求する(ステップS53)。
【0154】
次いで、1スーパーフレーム周期だけビーコンを監視し(ステップS54)、要求したビーコン・スロットが解放されたかどうかをチェックする(ステップS55)。そして、ビーコン・スロットが開放されたならば、これを利用してビーコンの送信を開始する。
【0155】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0156】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック通信により無線ネットワークを好適に構築することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0157】
また、本発明によれば、制御局を配置しないアドホック通信環境下で、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与えることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0158】
本発明によれば、要求通信量が高い通信局に対しより多くの補助ビーコンの配置を許可することにより、擬似的に帯域確保を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図2】各通信局のビーコン送信手順を説明するための図である。
【図3】ビーコン送信タイミングの一例を示した図である。
【図4】パケット間隔の規定を示した図である。
【図5】ビーコンを送信した局に送信優先権が与えられる様子を示した図である。
【図6】スーパーフレーム周期内の送信優先区間と競合送信区間を示した図である。
【図7】パケット・フォーマットの構成例を示した図である。
【図8】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図9】NBOIの記述例を示した図である。
【図10】NBOIを利用してビーコンの衝突を回避する仕組みを説明するための図である。
【図11】新規参入した通信局STA2のビーコン送信タイミングをSTA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中に定める様子を示した図である。
【図12】通信局A、B、Cという3台の通信局が存在し、それぞれが所定のスーパーフレーム周期T_SF間隔で、ビーコンを送信している状況を示した図である。
【図13】通信局A、B、Cからビーコンが一定周期毎に送信される様子を示した図である。
【図14】図13に示したスーパーフレーム周期構成において、通信局Aが補助ビーコンを送信している例を示した図である。
【図15】有手順による補助ビーコンの追加を行なうための通信局の動作手順を示したフローチャートである。
【図16】スーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なう様子を示した図である。
【図17】有手順によるスーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なうための通信局の動作手順を示したフローチャートである。
【図18】通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信する様子を示した図である。
【図19】通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順を示したフローチャートである。
【図20】通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信する様子を示した図である。
【図21】通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順を示したフローチャートである。
【図22】スーパーフレーム周期内でビーコンが密集している区間が存在する様子を示した図である。
【図23】スーパーフレーム周期内で増えすぎた補助ビーコンを解放するための処理手順を示したフローチャートである。
【図24】スーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集している様子を示した図である。
【図25】新規通信局の参入又はレイテンシの低減要求に応答して補助ビーコンを解放するための処理手順を示したフローチャートである。
【図26】インフラ・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図27】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図28】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…アンテナ共用器
3…受信処理部
4…送信処理部
5…ベースバンド部
6…インターフェース部
7…MAC部
8…DLC部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非同期で直接通信(ランダム・アクセス)を行なうことにより無線ネットワークが運営される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック(Ad−hoc)通信により無線ネットワークが構築される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与える無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
複数のコンピュータを接続してLANを構成することにより、ファイルやデータなどの情報の共有化、プリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータ・コンテンツの転送などの情報の交換を行なったりすることができる。従来は有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しく、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便であった。
【0004】
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。
【0005】
例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute ofElectrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格‥‥などの各種無線通信方式が存在する。
【0006】
また、最近では、「ウルトラ・ワイド・バンド(UWB)通信」と呼ばれる、きわめて微弱なインパルス列に情報を載せて無線通信を行なう方式が、近距離超高速伝送を実現する無線通信システムとして注目され、その実用化が期待されている。
【0007】
UWB伝送方式には、DSの情報信号の拡散速度を極限まで高くしたDS−UWB方式と、数100ピコ秒程度の非常に短い周期のインパルス信号列を用いて情報信号を構成して、この信号列の送受信を行なうインパルス−UWB方式など、様々な物理的信号形式の利用が検討されている。どの方式も例えば3GHzから10GHzという超高帯域な周波数帯域を利用し、この周波数帯域内に例えば拡散処理をして送受信を行なうことにより高速データ伝送を実現する。その占有帯域幅は、占有帯域幅をその中心周波数(例えば1GHz〜10GHz)で割った値がほぼ1になるようなGHzオーダの帯域であり、いわゆるW−CDMAやcdma2000方式、並びにSS(Spread Spectrum)やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線LANにおいて通常使用される帯域幅と比較しても超広帯域なものとなっている。
【0008】
例えば、IEEE802.15.3の標準化作業において、ウルトラ・ワイド・バンド無線通信を行なう無線通信装置の間でピコネットを形成して通信を行なう方法が規格化されつつある。
【0009】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0010】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約し、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
【0011】
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
【0012】
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
【0013】
ここで、IEEE802.11を例にとって、従来の無線ネットワーキングの詳細について説明する。
【0014】
IEEE802.11におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSSは、AP(Access Point:制御局)のようなマスタが存在するインフラ・モードで定義されるBSSと、複数のMT(Mobile Terminal:移動局)のみにより構成されるアドホック・モードで定義されるIBSS(IndependentBSS)の2種類で構成される。
【0015】
インフラ・モード:
インフラ・モード時のIEEE802.11の動作について、図26を参照しながら説明する。インフラ・モードのBSSにおいては、無線通信システム内にコーディネイションを行なうAPが必須である。
【0016】
APは、自局周辺で電波の到達する範囲をBSSと1つにまとめ、いわゆるセルラ・システムで言うところの「セル」を構成する。AP近隣に存在するMTは、APに収容され、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。すなわち、APは適当な時間間隔でビーコンと呼ばれる制御信号を送信し、このビーコンを受信可能であるMTはAPが近隣に存在することを認識し、さらにAPとの間でコネクション確立を行なう。
【0017】
図26に示す例では、通信局STA0がAPとして動作し、他の通信局STA1並びSTA2がMTとして動作している。ここで、APとしての通信局STA0は、同図の右側のチャートに記したように、一定の時間間隔でビーコン(Beacon)を送信する。次回のビーコンの送信時刻は、ターゲット・ビーコン送信時刻(TBTT:Target Beacon Transmit Time)というパラメータの形式によりビーコン内で報知されている。そして、時刻がTBTTに到来すると、APはビーコン送信手順を動作させている。
【0018】
また、周辺MTは、ビーコンを受信することにより、内部のTBTTフィールドをデコードすることにより次回のビーコン送信時刻を認識することが可能であるから、場合によっては(受信の必要がない場合には)、次回あるいは複数回先のTBTTまで受信機の電源を落としスリープ状態に入ることもある。
【0019】
アドホック・モード:
もう一方のアドホック・モード時のIEEE802.11の動作について、図27並びに図28を参照しながら説明する。
【0020】
アドホック・モードのIBSSにおいては、MTは複数のMT同士でネゴシエーションを行なった後に自律的にIBSSを定義する。IBSSが定義されると、MT群は、ネゴシエーションの末に、一定間隔毎にTBTTを定める。各MTは自局内のクロックを参照することによりTBTTが到来したことを認識すると、ランダム時間の遅延の後、未だ誰もビーコンを送信していないと認識した場合にはビーコンを送信する。
【0021】
図27に示すでは、2台のMTがIBBSを構成する様子を示している。この場合、ビーコンはIBSSに属するいずれか一方のMTが、TBTTが訪れる毎にビーコンを送信することになる。また、ビーコンが衝突する場合も存在している。
【0022】
また、IBSSにおいても、MTは必要に応じて送受信機の電源を落とすスリープ状態に入ることがある。図28には、この場合の信号送受信手順について示している。
【0023】
IEEE802.11においては、IBSSでスリープ・モードが適用されている場合には、TBTTからしばらくの時間帯がATIM(Announcement Traffic Indication Message)Windowとして定義されている。ATIM Windowの時間帯は、IBSSに属するすべてのMTは受信処理を動作させている。この時間帯であれば、基本的にはスリープ・モードで動作しているMTも受信が可能である。
【0024】
各MTは、自局が誰か宛ての情報を有している場合には、このATIM Windowの時間帯においてビーコンが送信された後に、上記の誰か宛にATIMパケットを送信することにより、自局が上記の誰か宛ての情報を保持していることを受信側に通達する。ATIMパケットを受信したMTは、ATIMパケットを送信した局からの受信が終了するまで、受信機を動作させておく。
【0025】
図28に示す例では、STA1、STA2、STA3の3台のMTがIBSS内に存在している。同図において、TBTTに到来すると、STA1、STA2、STA3の各MTは、ランダム時間にわたりメディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA1のタイマが最も早期に消滅し、STA1がビーコンを送信した場合を示している。STA1がビーコンを送信したため、これを受信したSTA2並びにSTA3はビーコンを送信しない。
【0026】
また、図28に示す例では、STA1がSTA2宛ての送信情報を保持しており、且つ、STA2がSTA3への送信情報を保持している。このとき、STA1とSTA2は、ビーコンを送信/受信した後に、再度ランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA2のタイマが先に消滅したため、まずSTA2からATIMメッセージがSTA3に宛てて送信される。STA3は、ATIMメッセージを受信すると、受信した旨をACK(Acknowledge)パケットを送信することによりSTA2にフィードバックする。STA3からのACKが送信し終えると、STA1はさらにランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。そして、タイマが消滅すると、STA1はATIMパケットをSTA2に宛てて送信する。STA2はこれを受信した旨のACKパケットを返送することによりSTA1にフィードバックする。
【0027】
これらATIMパケットとACKパケットのやりとりがATIM Window内で行なわれると、その後の区間においても、STA3はSTA2からの情報を受信するために受信機を動作させ、STA2はSTA1からの情報を受信するために受信機を動作させる。
【0028】
上記の手順において、ATIM Window内でATIMパケットを受信しない、又は誰宛ての送信情報も保持していない通信局は、次のTBTTまで送受信機の電源を落とし、消費電力を削減することが可能となる。
【0029】
ところで、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器が普及し、オフィス内に多数の機器が混在する作業環境下では、通信局が散乱し、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。このような状況下では、端末同士の通信が競合しないようにアクセス制御が必要とされている。
【0030】
通信要求がランダム的でバースト性の高いパケット通信などでは、複数の端末局が同一の周波数チャネルを共有するチャネル共有方式が多く採用されている。このチャネル共有方式では、端末局からの通信要求がランダム的に行なわれるため、複数の端末局からの信号が衝突するという事態が起き易く、通信品質を劣化させてしまう。衝突を回避するための方法として、比較的単純なメカニズムで構成することができるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:キャリア検出多重接続/衝突回避)方式が幅広く採用されている。上述したアドホック通信システムにおいても、自己の送信型の送信を衝突しないことを検出するためにCSMA/CAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送する方式が適用される。
【0031】
他方、一定間隔で定期的にデータを送る必要がある動画などのように、等時性、時間的に連続性を持つデータを転送するためには、帯域を保証する必要がある。このような場合、ネットワークを構成する各通信局に対し、送受信を優先させる時間間隔を与えることにより帯域を保証することができる。
【0032】
しかしながら、通信局が少ない場合にも一定の時間間隔で優先的な送受信権を与えると無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。レイテンシの低減は、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることにより実現できる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック通信により無線ネットワークを好適に構築することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0034】
本発明のさらなる目的は、制御局を配置しないアドホック通信環境下で、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与えることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づく無線ネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定のフレーム周期内でビーコン送信位置を決定してビーコンを送出するとともに、ビーコン送信直後に優先的に送受信を行なう時間区間を取得し、レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0036】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0037】
本発明に係る無線通信システムにおいては、コーディネータを特に配置しない。各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0038】
周辺に通信局がいない場合、通信局は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれる。
【0039】
各通信局は、自己のビーコン受信タイミングをビーコン中の近隣ビーコン情報フィールドに記載し、自己のビーコン受信タイミングと受信ビーコン中の近隣ビーコン情報フィールド(NBOI:Neighboring Beacon Offset Information)の記載に基づいてフレーム周期内で近隣に存在する通信局のビーコン配置に関する隣接局リストを作成してネットワークを管理する。
【0040】
NBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0041】
ここで、通信局が少ない場合にもビーコン送信タイミングを同じ定間隔に保つ場合、送信開始タイミングが到来するまでの間に無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。すなわち、受信先の通信局がビーコンを送信した直後のみ送信の許可が与えられるシステムでは、送りたいと思ってから実際に送れるまでのレイテンシの最大値はフレーム周期付近までとなる。このフレーム周期はネットワークの最大収容局数に応じて設定すべきものであるが、変動する通信局数に対応はできないため、収容局数が少ないときは無駄が生じる。
【0042】
そこで、本発明に係る無線通信システムでは、通信範囲内に存在する通信局数が少ないときに、フレーム周期内で1つの通信局が複数のビーコン信号を送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、ビーコン送信直後に送受信区間を得ることによって、レイテンシを低減するという仕組みを導入した。すなわち、ビーコン間隔の短縮により、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることができ、レイテンシが低減する。
【0043】
フレーム周期における2個目以降のビーコンは、送受信区間を得ることを主目的として送信されるもので、ネットワーク構築のために送信される本来のビーコンとは性質を異にし、本明細書中では「補助ビーコン」と呼ばれる。
【0044】
ビーコンの間隔に十分余裕があることを検知した通信局は、補助ビーコンの追加を行ないたいことをブロードキャストによって報知することができる。このとき、追加予定時刻などの情報も含めて報知する。同じ通信範囲に収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、所定時間に補助ビーコンの追加を行なう。
【0045】
他方、フレーム周期内がビーコンで溢れないようにミニマムのビーコン間隔Bminが規定されており、フレーム周期内に収容可能な通信局の台数には上限がある。このため、新規の通信局が参入してきたときには、これをフレーム周期内に収容するために、補助ビーコンを解放する必要がある。例えば、新規通信局や、レイテンシの低減が必要な通信局は、自己のビーコン送信位置を確保するために、補助ビーコンを送信中の他の通信局に対し補助ビーコンの送信位置の解放を要求する。
【0046】
また、フレーム周期内に補助ビーコンを追加する以外に、フレーム周期を短縮することによっても、ビーコン間隔を短縮して、送信開始時におけるレイテンシの低減を実現することができる。前者の場合、補助ビーコンを追加した特定の通信局しかレイテンシが低減しないのに対し、後者の方法によれば、スーパーフレーム周期にビーコンが収容されているすべての通信局が均等にレイテンシを低減することができる。
【0047】
フレーム周期に収容されている通信局数が少ないことを検知した通信局は、フレーム短縮を行ないたいことをブロードキャストによって報知する。収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、フレームの短縮を行なう。
【0048】
フレーム周期の短縮によりレイテンシの低減を実現する場合も、新規通信局が無線ネットワークに参入する場合や、通信局が新たに補助ビーコンを送信する必要がある場合などに、ビーコン送信位置を配置するリソースを確保しなければならない。この場合、短縮したフレーム周期を元の長さまで伸長するようにすればよい。
【0049】
収容通信局が多くなったとき、各通信局が優先的に送受信するための十分な時間区間を得るために、フレーム延長を報知により行なう。フレーム周期を延長することにより、フレーム周期内に配置可能なビーコン数が増加するので、実質的にリソースが解放されたと同等の効果を得る。
【0050】
また、本発明の第2の側面は、特定の制御局を配置しない無線通信環境下で通信動作を行なうための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信ステップと、
レイテンシの低減又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮し、新規通信局の参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答してビーコン間隔を延長する、ビーコン送信位置制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0051】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0054】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ単一の伝送媒体(周波数チャネルによりリンクが分離されていない場合)を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。但し、複数の周波数チャネルが伝送媒体として存在する場合であっても、同様に本発明の効果を奏することができる。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0055】
本発明に係る無線ネットワーク・システムは、コーディネータを配置しないシステム構成であり、各通信局は、基本的にはCSMAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なう。
【0056】
このようにコーディネータを特に配置しない無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、他の通信局からのビーコン信号を受信することにより、その通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0057】
以下に説明する各通信局での処理は、基本的にネットワークに参入する全通信局で実行される処理である。但し、場合によっては、ネットワークを構成するすべての通信局が、以下に説明する処理を実行するとは限らない。
【0058】
図1には、本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示している。同図に示す無線通信装置では、アンテナ1がアンテナ共用器2を介して受信処理部3と送信処理部4に接続してあり、受信処理部3及び送信処理部4は、ベースバンド部5に接続してある。受信処理部3での受信処理方式や、送信処理部4での受信処理方式については、例えば無線LANに適用可能な、比較的近距離の通信に適した各種通信方式を適用することができる。具体的には、UWB方式、OFDM方式、CDMA方式などを適用することができる。
【0059】
ベースバンド部5は、インターフェース部6とMAC(メディア・アクセス・コントロール)部7とDLC(データリンク・コントロール)部8などを備えて、それぞれの処理部で、この通信システムに実装されるアクセス制御方式における各通信プロトコル層における処理が実行される。
【0060】
次いで、無線通信装置が本発明に係る無線ネットワーク・システムにおいて実行する動作について説明する。コーディネータが存在しない無線通信環境において、各通信局は、自己の存在を周辺(すなわち自己の通信範囲内)に知らせたりする目的で、周期的にビーコンを送信する。各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域として獲得することができる。
【0061】
ビーコンの送信で区切られる期間を「スーパーフレーム周期」と呼ぶ。本実施形態では、通信局におけるビーコンの送信周期を40ミリ秒に設定し、40ミリ秒毎にビーコンを送信するものとするが、スーパーフレーム周期を40ミリ秒に限定している訳ではない。
【0062】
本実施形態に係る各通信局のビーコン送信手順について、図2を参照しながら説明する。
【0063】
ビーコンで送信される情報が100バイトであるとすると、送信に要する時間は18マイクロ秒となる。40ミリ秒に1回の送信なので、通信局毎のビーコンのメディア占有率は2222分の1と十分小さい。
【0064】
各通信局STAは、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
【0065】
周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は40ミリ秒である(前述)。図2の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコン位置を示している。
【0066】
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0067】
例えば、図2の最上段に示すように、通信局01のみが存在するネットワーク状態において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図2の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコンの送信を開始する。
【0068】
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図2の第3段に示すように、通信局01及び通信局02のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
【0069】
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図2の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
【0070】
但し、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないように、ミニマムのビーコン間隔Bminを規定しておく。例えば、ミニマムのビーコン間隔Bminを625マイクロ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で64台の通信局までしか収容できないことになる。
【0071】
図3には、ビーコン送信タイミングの一例を示している。但し、同図に示す例では、40ミリ秒からなるスーパーフレーム周期における時間の経過を、円環上で時針が右回りで運針する時計のように表している。
【0072】
図3に示す例では、通信局0から通信局Fまでの合計16台の通信局がネットワークのノードとして構成されている。図2を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを5ミリ秒と規定した場合には、これ以上の通信局は該ネットワークに参入できない。上述したような処理手順で各通信局のビーコンを配置しビーコンの送信を開始するフェーズを、以下では「ステップ1」と呼ぶことにする。ビーコン送信位置決定の詳細な手順については、後述に譲る。
【0073】
本実施形態に係る無線ネットワークでは、基本的には従来と同様にCSMAに基づくアクセス手順を採用し、送信前にメディアがクリアであることを確認した後に送信を行なうことを想定している。但し、各通信局は、近隣の他の通信局に事故の存在を知らしめるためのビーコン信号を送出した後、優先的に情報伝送を行なうことができる優先利用領域が確保される。
【0074】
IEEE802.11方式などの場合と同様に、本実施形態においても複数のパケット間隔を定義する。ここでのパケット間隔の定義を、図4を参照して説明する。ここでのパケット間隔は、Short Inter Frame Space(SIFS) とLong Inter Frame Space(LIFS)を定義する。プライオリティが与えられたパケットに限りSIFSのパケット間隔で送信を許容し、それ以外のパケットはLIFS+ランダムに値を得るランダムバックオフのパケット間隔だけメディアがクリアであることを確認した後に送信を許容する。ランダムバックオフ値の計算方法は既存技術で知られている方法を適用する。
【0075】
さらに本実施形態においては、上述したパケット間隔である「SIFS」と「LIFS+バックオフ」の他、「LIFS」と「FIFS+ バックオフ」(FIFS:Far Inter Frame Space)を定義する。通常は「SIFS」と「LIFS+バックオフ」のパケット間隔を適用するが、ある通信局に送信の優先権が与えられている時間帯においては、他局は「FIFS+バックオフ」のパケット間隔を用い、優先権が与えられている局はSIFSあるいはLIFSでのパケット間隔を用いるというものである。
【0076】
各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えられる。図5には、ビーコン送信局に優先権が与えられる様子を示している。この優先区間をTransmission Guaranteed Period(TGP)と定義する。また、TGP以外の区間をFairly Access Period(FAP)と定義する。図6には、スーパーフレーム周期の構成を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTGPが割り当てられ、TGPの長さ分だけ時間が経過するとFAP になり、次の通信局からのビーコンの送信でFAPが終わる。なお、ここではビーコンの送信直後からTGPが開始する例を示したが、これには限定されるものではなく、例えば、ビーコンの送信時刻から相対位置(時刻)でTGPの開始時刻を設定してもよい。
【0077】
ここで、パケット間隔について再度考察すると、下記のようになる。各通信局は、FAPにおいてはLIFS+バックオフの間隔での送信を行なう。また、ビーコン並び自局のTGP内でのパケットの送信に関しては、SIFS間隔での送信を許容する。また、自局のTGP内でのパケットの送信に関してはLIFSの間隔での送信をも許容する。さらに、他局のTGP内でのパケットの送信に関してはFIFS+バックオフの間隔での送信とするということになる。IEEE802.11方式においては、常にパケット間隔としてFIFS+バックオフがとられていたが、本例の構成によれば、この間隔を詰めることができて、より効果的なパケット伝送が可能となる。
【0078】
上記では、TGP中の通信局にのみ優先送信権が与えられるという説明を行なったが、TGP中の通信局に呼び出された通信局にも優先送信権を与える。基本的にTGPにおいては、送信を優先するが、自通信局内に送信するものはないが、他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることがわかっている場合には、その「他局」宛てにページング(Paging)メッセージあるいはポーリング(Polling) メッセージを投げたりしてもよい。
【0079】
逆に、ビーコンを送信したものの、自局には何も送信するものがない場合でかつ他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることを知らない場合、このような通信局は、何もせず、TGPで与えられた送信優先権を放棄し、何も送信しない。すると、LIFS+バックオフあるいはFIFS+バックオフ経過後に他局がこの時間帯でも送信を開始する。
【0080】
図6に示したようにビーコンの直後にTGPが続くという構成を考慮すると、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0081】
図7には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワーク・システムにおけるパケット・フォーマットの構成例を示している。
【0082】
パケットの先頭には、パケットの存在を知らしめる目的で、ユニーク・ワードで構成されるプリアンブルが付加されている。
【0083】
プリアンブルの直後に送信されるヘディング領域には、このパケットの属性、長さ、送信電力、またPHYがマルチ伝送レートモードならペイロード部伝送レートが格納されている。ヘディング領域は、ペイロード部に比べ所要SNRが数dB程度低くて済むように伝送速度を落とす。このヘディング領域は、いわゆるMACヘッダとは相違する。図示の例では、MACヘッダはペイロード部に含まれている。
【0084】
ペイロード部は、PSDU(PHY Service Data Unit)と示されている部分であり、制御信号や情報を含むベアラビット列が格納される。PSDUは、MACヘッダとMSDU(MAC Service Data Unit)により構成されており、MSDU部に上位レイヤから渡されたデータ列が格納される。
【0085】
以下では、説明を具体的に行なうために、プリアンブルの長さは8マイクロ秒であり、ペイロード部のビットレートは100Mbpsで伝送され、ヘディング領域は3バイトで構成され12Mbpsで伝送される場合を想定する。すなわち、1つのPSDUを送受信する際には、10マイクロ秒(プリアンブル8マイクロ秒+ヘディング2マイクロ秒)のオーバーヘッドが生じている。
【0086】
図8には、ビーコン信号フォーマットの構成例を示している。同図に示すように、ビーコン信号は、当該信号の存在を知らしめるためのプリアンブルに、ヘディング、ペイロード部PSDUが続いている。ヘディング領域において、該パケットがビーコンである旨を示す情報が掲載されている。また、PSDU内にはビーコンで報知したい以下の情報が記載されている。
【0087】
TX.ADDR:送信局(TX)のMAC アドレス
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
【0088】
TIMとは、現在この通信局がどの通信局宛てに情報を有しているかの報知情報であり、TIMを参照することにより、受信局は自分が受信を行なわなければならないことを認識することができる。また、Pagingは、TIMに掲載されている受信局のうち、直後のTGP において送信を予定していることを示すフィールドであり、このフィールドで指定された通信局はTGPでの受信に備えなければならない。また、その他のフィールド(ETCフィールド)も用意されている。
【0089】
NBOIは、近隣の通信局のビーコン配置を記述した情報である。本実施形態では、スーパーフレーム周期内に最大16個のビーコンを配置することができることから、NBOIを各ビーコン位置に相当する16ビット長のフィールドとして構成し、受信できたビーコンの配置に関する情報をビットマップ形式で記述する。そして、自局のビーコン送信タイミングを基準として、各通信局からのビーコン受信タイミングの相対位置に対応するビットに1を書き込み、ビーコンを受信しないタイミングの相対位置に対応するビット位置は0のままとする。
【0090】
図9には、NBOIの記述例を示している。同図に示す例では、図3に示した通信局0が、「通信局1並びに通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えるNBOIフィールドが示されている。受信可能なビーコンの相対位置に対応するビットに関し、ビーコンが受信されている場合にはマーク、受信されていない場合にはスペースを割り当てる。なお、これ以外の目的で、ビーコンが受信されていないタイミングに対応するビットに関してマークを行なうようにしてもよい。
【0091】
本実施形態では、各通信局はお互いのビーコン信号を受信し、その中に含まれるNBOIの記述に基づいてビーコンの衝突を回避することができる。
【0092】
図10には、NBOIの記述に基づいて通信局がビーコンの衝突を回避する様子を示している。同図の各段では、通信局STA0〜STA2の参入状態を表している。そして、各段の左側には各通信局の配置状態を示し、その右側には各局から送信されるビーコンの配置を示している。
【0093】
図10の上段では、通信局STA0のみが存在している場合を示している。このとき、STA0はビーコン受信を試みるが受信されないため、適当なビーコン送信タイミングを設定して、このタイミングの到来に応答してビーコンの送信を開始することができる。ビーコンは40ミリ秒毎に送信されている。このとき、STA0から送信されるビーコンに記載されているNBOIフィールドのすべてのビットが0である。
【0094】
図10の中段には、通信局STA0の通信範囲内でSTA1が参入してきた様子を示している。STA1は、ビーコンの受信を試みるとSTA0のビーコンが受信される。さらにSTA0のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビット以外のビットはすべて0であることから、上記ステップ1に従ってSTA0のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定する。
【0095】
STA1が送信するビーコンのNBOIフィールドは、自局の送信タイミングを示すビットとSTA0からのビーコン受信タイミングを示すビットに1が設定され、それ以外のビットはすべて0である。また、STA0も、STA1からのビーコンを認識すると、NBOIフィールドの該当するビット位置に1を設定する。
【0096】
図10の最下段には、さらにその後、通信局STA1の通信範囲にSTA2が参入してきた様子を示している。図示の例では、STA0はSTA2にとって隠れ端末となっている。このため、STA2は、STA1がSTA0からのビーコンを受信していることを認識できず、右側に示すように、STA0と同じタイミングでビーコンを送信し衝突が生じてしまう可能性がある。
【0097】
NBOIフィールドはこの現象を回避するために用いられる。まず、STA1のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビットに加え、STA0がビーコンを送信しているタイミングを示すビットにも1が設定されている。そこで、STA2は、STA0が送信するビーコンを直接受信はできないが、STA0がビーコンを送信するタイミングをSTA1から受信したビーコンに基づいて認識し、このタイミングでのビーコン送信を避ける。そして、図11に示すように、このときSTA2は、STA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中にビーコン送信タイミングを定める。勿論、STA2の送信ビーコン中のNBOIでは、STA2とSTA1のビーコン送信タイミングを示すビットを1に設定する。
【0098】
上述したようなNBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0099】
このように、本実施形態に係る無線通信システムは、それぞれの通信局が一定間隔で定期的にビーコン信号を送信することにより構築される自律分散型のネットワークである。すなわち、各通信局はビーコン情報を報知することにより、他の通信局に自己の存在を知らしめるとともにネットワーク構成を通知する。また、新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読して、既存のビーコン信号との衝突を避けてビーコン送出することにより新たなネットワークを構築する。
【0100】
さらに、各通信局は、自己がビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域TGPとして獲得することができる。しかしながら、通信局が少ない場合にもビーコン送信タイミングを同じ定間隔に保つ場合、送信開始タイミングが到来するまでの間に無駄なレイテンシが生ずるという問題がある。ここで言うレイテンシとは、命令を出してから実際に結果が返ってくるまでの待ち時間や遅延時間を意味する。
【0101】
例えば、図12に示すように、通信局A、B、Cという3台の通信局が存在し、それぞれが所定のスーパーフレーム周期T_SF間隔で、ビーコンを送信している状況を想定する。ビーコンは一定周期毎に送信されるので、図13に示すように表現することができる。ここで、ある特定の通信局に信号を送りたいとき、受信先の通信局がビーコンを送信した直後のみ送信の許可が与えられるシステムでは、送りたいと思ってから実際に送れるまでのレイテンシの最大値はT_SF付近までとなる。このT_SFはネットワークの最大収容局数に応じて設定すべきものであり、変動する通信局数に対応はできないため、収容局数が少ないときは無駄が生じる。
【0102】
そこで、本明細書では、通信範囲内に存在する通信局数が少ないときに、スーパーフレーム周期内で1つの通信局が複数のビーコン信号を送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化し、ビーコン送信直後に送受信区間を得ることによって、送信開始時におけるレイテンシを低減する、という手法を提案する。すなわち、ビーコン間隔の短縮により、通信開始までの待ち時間を短縮させたり、伝送レートを高速化させたりすることができ、レイテンシが低減する。
【0103】
通常、チャネルにおけるスーパーフレーム周期はビーコン間隔によって定義される。本実施形態において、1つのスーパーフレーム周期における2個目以降のビーコンは、送受信区間を得ることを主目的として送信されるもので、ネットワーク構築のために送信される本来のビーコンとは性質を異にする。本明細書では、1つのスーパーフレーム周期における2個目以降のビーコンを「補助ビーコン」と呼ぶ。
【0104】
他方、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないようにミニマムのビーコン間隔Bminが規定されており、スーパーフレーム周期内に収容可能な通信局の台数には上限がある(前述)。このため、新規の通信局が参入してきたときには、これをスーパーフレーム周期内に収容するために、補助ビーコンを解放する必要がある。
【0105】
以下、スーパーフレーム周期内における補助ビーコンの追加手順、並びに解放手順について説明する。
【0106】
(1)有手順による補助ビーコンの追加
ビーコンの間隔に十分余裕があることを検知した通信局は、補助ビーコンの追加を行ないたいことをブロードキャストによって報知することができる。このとき、追加予定時刻などの情報も含めて報知する。同じ通信範囲に収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、所定時間に補助ビーコンの追加を行なう。
【0107】
図14には、図13に示したスーパーフレーム周期構成において、通信局Aが補助ビーコンを送信している例を示している。同図に示す例では、通信局Aは、スーパーフレーム周期の先頭で通常のビーコン信号を送出する以外に、スーパーフレーム周期の先頭から3分の1が経過した時点T_SF/3における通信局Bのビーコン送信位置と、スーパーフレーム周期の先頭から3分の2が経過した時点2T_SF/3における通信局Cのビーコン送信位置から等間隔となる時点T_SF/2に補助ビーコンを追加している。この結果、通信局Aは、スーパーフレーム周期の先頭、並びに補助ビーコン位置T_SF/2の各タイミングの直後に優先的に送受信を行なう時間区間を得ることができる。
【0108】
図15には、有手順による補助ビーコンの追加を行なうための通信局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0109】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS1)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS2)。
【0110】
ここで、ビーコン間隔に余裕があると判断された場合には、通信範囲内のすべての通信局に対して、補助ビーコンを追加したい旨の要求を送信する(ステップS3)。この要求には、どの時刻にビーコンの追加を行なうか(追加予定時刻)を記しておく。
【0111】
所定時間内にビーコンを受信しているすべての通信局からの承諾を得る(ステップS4)、あるいは、所定時間内にいずれの通信局からも拒否応答を得なかったならば、要求元の通信局は、宣言した時刻に補助ビーコンを追加する(ステップS5)。この結果、通信局は、送信会指示におけるレイテンシを低減することに成功する。
【0112】
有手順により補助ビーコンを追加する手法を利用する場合、ビーコン追加要求を送信してから応答が得られるまでの時間及びビーコンの追加を実行するまでの時間をカウントする仕組みが必要となる。
【0113】
(2)有手順によるスーパーフレーム周期の短縮
上述した例では、スーパーフレーム周期内に補助ビーコンを追加することによって、送信開始時におけるレイテンシの低減を実現したが、スーパーフレーム周期を短縮することによってもビーコン間隔が短縮されるので、レイテンシを低減することができる。前者の場合、補助ビーコンを追加した特定の通信局しかレイテンシが低減しないのに対し、後者の方法によれば、スーパーフレーム周期にビーコンが収容されているすべての通信局が均等にレイテンシを低減することができる。
【0114】
スーパーフレーム周期に収容されている通信局数が少ないことを検知した通信局は、スーパーフレーム短縮を行ないたいことをブロードキャストによって報知する。収容されているすべての通信局から所定時間内に承諾する応答が得られた場合、若しくはいずれの通信局からも所定時間内に拒否応答がなかった場合、スーパーフレームの短縮を行なう。
【0115】
逆に、収容通信局が多くなった場合には、各通信局が優先的に送受信するための十分な時間区間を得るために、スーパーフレーム延長を報知により行なう。スーパーフレーム周期を延長することにより、スーパーフレーム周期内に配置可能なビーコン数が増加するので、実質的にリソースが解放されたと同等の効果を得る。
【0116】
図16には、スーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なう様子を図解している。通常のスーパーフレーム周期内に、通信局A及び通信局Bのビーコンしか配置されていない場合、ビーコン間隔に余裕があり送受信開始までのレイテンシが徒に大きいことから、例えば通信局Aからの短縮要求によりスーパーフレーム周期の短縮が行なわれる。
【0117】
その後、通信局C及び通信局Dがネットワークに新規に参入してきた場合、ビーコン間隔に余裕がなくなり、各通信局はビーコン送信後に優先的に送受信するための十分な時間区間を得ることができなくなる。このとき、例えば通信局Aからの延長要求により、スーパーフレーム周期の延長(元の周期への復帰)が行なわれる。
【0118】
図17には、有手順によるスーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なうための通信局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0119】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS11)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS12)。
【0120】
ビーコン間隔に余裕がある場合は、周辺通信局に対して、スーパーフレームを短縮したい旨の要求を送信する(ステップS13)。この要求には、どの時刻にスーパーフレーム短縮を行なうか記しておく。
【0121】
要求を送信してから所定時間内にビーコンを受信しているすべての通信局からの承諾を得ることができた場合(ステップS14)、あるいは所定時間内にいずれの通信局からも拒否応答を受信しなかった場合には、宣言した時刻に一斉にスーパーフレーム周期を短縮する(ステップS15)。この結果、通信範囲内のすべての通信局にとってビーコン送信タイミングが短縮され、各通信局が均等にレイテンシを低減することに成功する。
【0122】
その後、通信範囲内に通信局数が増え、ビーコン同士が密集した場合には(ステップS16)、この状況を察知した通信局がスーパーフレーム延長を宣言し、宣言時刻に一斉にスーパーフレームを延長する(ステップS17)。スーパーフレームを延長するための通信局間の手続は、短縮する際の手続に従って行なわれるものとする。
【0123】
なお、スーパーフレーム周期の短縮・延長によりレイテンシを調整する本手法では、通信範囲に含まれるすべての通信局が共通のスーパーフレーム周期で動作する必要があることから、スーパーフレーム長に関する情報をビーコン情報として含めることにする。
【0124】
(3)無手順による補助ビーコンの追加
有手順により特定の通信局が補助ビーコンを追加する手法については既に説明した。通常のビーコンと余剰ビーコンの区別がつくようにすれば、それぞれの通信局が独自に判断し、冗長な手順を踏むことなく余剰ビーコンの追加が可能である。
【0125】
例えば、図13に示したように、スーパーフレーム周期内に3台の通信局のビーコン信号が配置されている場合を想定する。ここで、それぞれのビーコンの間隔を検知し、余裕があることが認識されると、図18に示すように、各通信局は、等間隔で補助ビーコンを送信し始める。
【0126】
この際、図中で丸が付いている文字は本来あったビーコンであるが、これと補助ビーコンを表現している丸なしの文字との識別することができるように、ビーコン情報に記載しておく。この補助ビーコンに関する情報は、補助ビーコンの解放手続(後述)に利用し、補助ビーコンのみを解放し、本来のビーコンは変更を加えない。
【0127】
図18に示す例では、通信局がT_SF/4の間隔でビーコンを送信することにより、レイテンシを1/4に抑えることができているのが分かる。
【0128】
図19には、通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0129】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS21)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS22)。
【0130】
ビーコン間隔に余裕がある場合、自己のスーパーフレーム長を擬似的に短縮し、スーパーフレーム周期内に等間隔でビーコンを追加することによって、レイテンシを低減することに成功する(ステップS23)。
【0131】
本実施形態に関して、省電力化を考える上で、完全に電力が切れているオフ状態から、PLLすなわち位相同期ループ(シンセサイザ)がついていないPLLオフ状態へ移行するのに数ミリ秒を要し、その状態からPLLオン状態に移行するのに数100マイクロ秒を要する通信局を想定する。PLLオン状態から送信受信へ移行するのには数10マイクロ秒で可能である。
【0132】
通常、PLLがオンされることで、システム・クロックが通信プロトコルの各レイヤに伝達される。本実施形態のように補助ビーコンを使用する通信を行なう場合、明らかに通信用データを作成する通信プロトコル・レイヤにはシステム・クロックが必要であり、この場合、PLLはオンされている必要がある。PLLがオンされているときは、消費電力の視点からは、補助ビーコンが連続していても、分散していても変わらない。よって連続して補助ビーコンを送信する次の実施例と比べても消費電力は変わらず、パケットを作成する通信プロトコルの上位レイヤの負荷を考慮すると、等間隔に補助ビーコンを配置することに利点がある。
【0133】
なお、本明細書ではPLL_ONなどの数値を使用した例を示しているがそれに限定されないものとする。
【0134】
図18に示した例では、各通信局が等間隔で補助ビーコンを追加するようにしたが、本発明の要旨はこのような配置方法に限定されず、任意の間隔で補助ビーコンを配置するようにしてもよい。この場合も、余剰ビーコンと通常ビーコンとの区別がつけば無手順で行うことができる。前述の通り、本実施形態ではレイテンシを大幅に短縮することが可能であるが、パケットを作成する上位レイヤに対する負荷が増大する。
【0135】
例えば、図20に示すように、丸付き文字で指示されている位置で本来のビーコンが配置されていた場合、補助ビーコンを丸無し文字で示される位置で送信する。この場合、それぞれのビーコン間隔は一定(同図に示す例ではT_SF/12)であるが、その間隔毎に必ず送るといった性質のものでなく、ある区間まとめて送る。
【0136】
このような手法をとることにより、補助ビーコンを送っている区間はその端末が優先的に送受信をすることが暗黙的に許可され、擬似的にQoSを実現することができる。これによって、例えば、通信量が多い映像再生端末は他の端末より多くの補助ビーコンを送信することを可能とすることにより、帯域確保に近い機能を果たすことができる。
【0137】
図21には、通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0138】
定常状態において、ある通信局のレイテンシ低減要求トリガが立ち上がったとする(ステップS31)。その通信局は、まず1スーパーフレーム周期だけ、無線媒体の利用状況を観測し、ビーコン間隔に余裕があることを確認する(ステップS32)。
【0139】
ビーコン間隔に余裕がある場合、スーパーフレーム周期内に任意間隔でビーコンを追加し、レイテンシを低減することに成功する(ステップS33)。
【0140】
図18並びに図20で示したように、無手順で補助ビーコンを追加する手法をとった場合、新規通信局がネットワークに参入したときに、補助的又は冗長に送信していたビーコンを解放する仕組みを規定する必要がある。補助ビーコンの解放手続きについて、以下に説明する。
【0141】
(1)補助ビーコンの能動的な解放手続
多くの補助ビーコンを送信している通信局は、細かい周期で、スーパーフレームのスキャンを行ない、ビーコンの送信状況を確認する。そこで、図22に示すように、スーパーフレーム周期内でビーコンが密集している区間が発見された場合は、その補助ビーコンを解放する。
【0142】
図23には、スーパーフレーム周期内で増えすぎた補助ビーコンを解放するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0143】
補助ビーコン送信中の通信局は、1スーパーフレーム周期だけビーコン間隔を監視し(ステップS41)、ビーコン間隔が所定の閾値を下回るかどうかをチェックする(ステップS42)。
【0144】
そして、ビーコン間隔が所定の閾値以下の場合には、さらにレイテンシ増大に余裕があるかどうかを判断する(ステップS43)。レイテンシ増大に余裕がある場合には、密集している補助ビーコンの解放を行なうようにする。
【0145】
(2)補助ビーコンの受動的な解放手続
図24に示すように、スーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集している状態を想定する。このような状況下で、既に参入している通信局Dが補助ビーコンを送信したい場合、ビーコン内の特定フィールドに他通信局に補助ビーコンを減らすように、レイテンシ低減要求を発行する。
【0146】
このレイテンシ低減要求を聞いた他通信局は、自己が配置している補助ビーコンを解放し、解放された区間に通信局Dが補助ビーコンを配置する。
【0147】
あるいは、図24に示すようなスーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集しているような状況下で、既に参入している通信局Dが補助ビーコンを送信したい場合、通信局Dは、特定の通信局Aに対して、同図中で「要求」と記されているビーコン送信位置における補助ビーコンの開放を要求するためのレイテンシ低減要求を発行する。
【0148】
通信局Aは、例えば、スーパーフレーム周期内で最も多くの補助ビーコンを配置している通信局、あるいはレイテンシの増大に対し許容可能な通信局であるとする。
【0149】
通信局Aがレイテンシ低減要求に応答して補助ビーコンを解放すると、通信局Dは、通信局Aに代わって、同じ位置から補助ビーコンの送信を開始する。
【0150】
レイテンシ低減要求は、要求先から拒否されることもある。また、図24において、丸文字となっている本来のビーコン送信位置に対しては、開放要求を行なわない。
【0151】
図25には、新規通信局の参入又はレイテンシの低減要求に応答して補助ビーコンを解放するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0152】
まず、スーパーフレーム周期内で、ビーコン・スロットの空きがあるかどうかをチェックする(ステップS51)。空きがあれば、この空きビーコン・スロットを利用してビーコンの送信を行なう。
【0153】
一方、ビーコン・スロットの空きがない場合には、1スーパーフレーム周期だけビーコンを監視し(ステップS52)、最大の補助ビーコン数を持つ通信局を検出し、その通信局へ補助ビーコンの解放を要求する(ステップS53)。
【0154】
次いで、1スーパーフレーム周期だけビーコンを監視し(ステップS54)、要求したビーコン・スロットが解放されたかどうかをチェックする(ステップS55)。そして、ビーコン・スロットが開放されたならば、これを利用してビーコンの送信を開始する。
【0155】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0156】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック通信により無線ネットワークを好適に構築することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0157】
また、本発明によれば、制御局を配置しないアドホック通信環境下で、無駄なレイテンシなく各通信局に送受信区間を与えることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0158】
本発明によれば、要求通信量が高い通信局に対しより多くの補助ビーコンの配置を許可することにより、擬似的に帯域確保を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図2】各通信局のビーコン送信手順を説明するための図である。
【図3】ビーコン送信タイミングの一例を示した図である。
【図4】パケット間隔の規定を示した図である。
【図5】ビーコンを送信した局に送信優先権が与えられる様子を示した図である。
【図6】スーパーフレーム周期内の送信優先区間と競合送信区間を示した図である。
【図7】パケット・フォーマットの構成例を示した図である。
【図8】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図9】NBOIの記述例を示した図である。
【図10】NBOIを利用してビーコンの衝突を回避する仕組みを説明するための図である。
【図11】新規参入した通信局STA2のビーコン送信タイミングをSTA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中に定める様子を示した図である。
【図12】通信局A、B、Cという3台の通信局が存在し、それぞれが所定のスーパーフレーム周期T_SF間隔で、ビーコンを送信している状況を示した図である。
【図13】通信局A、B、Cからビーコンが一定周期毎に送信される様子を示した図である。
【図14】図13に示したスーパーフレーム周期構成において、通信局Aが補助ビーコンを送信している例を示した図である。
【図15】有手順による補助ビーコンの追加を行なうための通信局の動作手順を示したフローチャートである。
【図16】スーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なう様子を示した図である。
【図17】有手順によるスーパーフレーム周期の短縮並びに延長を行なうための通信局の動作手順を示したフローチャートである。
【図18】通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信する様子を示した図である。
【図19】通信範囲内の各通信局が等間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順を示したフローチャートである。
【図20】通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信する様子を示した図である。
【図21】通信範囲内の各通信局が任意の間隔で補助ビーコンを送信するための処理手順を示したフローチャートである。
【図22】スーパーフレーム周期内でビーコンが密集している区間が存在する様子を示した図である。
【図23】スーパーフレーム周期内で増えすぎた補助ビーコンを解放するための処理手順を示したフローチャートである。
【図24】スーパーフレーム周期全体にわたってビーコンが密集している様子を示した図である。
【図25】新規通信局の参入又はレイテンシの低減要求に応答して補助ビーコンを解放するための処理手順を示したフローチャートである。
【図26】インフラ・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図27】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図28】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…アンテナ共用器
3…受信処理部
4…送信処理部
5…ベースバンド部
6…インターフェース部
7…MAC部
8…DLC部
Claims (31)
- 制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づく無線ネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定のフレーム周期内でビーコン送信位置を決定してビーコンを送出するとともに、ビーコン送信直後に優先的に送受信を行なう時間区間を取得し、レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする無線通信システム。 - フレーム周期内で1つの通信局が通常のビーコン以外に補助ビーコンを送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 前記補助ビーコンは、フレーム周期内で連続的又は分散的に送信される、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。 - フレーム周期を短縮することによりビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 新規通信局の前記無線ネットワークへの参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと、又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答して、ビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 補助ビーコンを送信する通信局が補助ビーコンの送信位置を解放することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。 - 新規通信局、又はレイテンシの低減が必要な通信局は、補助ビーコンを送信中の他の通信局に対し補助ビーコンの送信位置の解放を要求する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。 - フレーム周期を拡張することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作する無線通信装置であって、
無線データを送受信する通信手段と、
前記通信手段による無線データの送受信動作を制御する制御手段と、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信手段と、
レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮するビーコン送信位置制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、フレーム周期内で1つの通信局が通常のビーコン以外に補助ビーコンを送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。 - 前記補助ビーコンは、フレーム周期内で連続的又は分散的に送信される、
ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、フレーム周期を短縮することによりビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、新規通信局の参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと、又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答して、ビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、補助ビーコンの送信位置を解放することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、他の通信装置からの補助ビーコンの解放要求に応答して、補助ビーコンの送信位置を解放する、
ことを特徴とする請求項14に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、ネットワークへの新規参入時、又はレイテンシの低減が必要なときに、他の通信装置に対し補助ビーコンの解放を要求する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、フレーム周期を拡張することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、他の通信装置からのフレーム周期の拡張要求に応答して、フレーム周期を拡張する、
ことを特徴とする請求項17に記載の無線通信装置。 - 前記ビーコン送信位置制御手段は、ネットワークへの新規参入時、又はレイテンシの低減が必要なときに、他の通信装置に対しフレーム周期の拡張を要求する、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で通信動作を行なうための無線通信方法であって、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信ステップと、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信ステップと、
レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮するビーコン送信位置制御ステップと、
を具備することを特徴とする無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、フレーム周期内で1つの通信局が通常のビーコン以外に補助ビーコンを送信することによって、ビーコンの間隔を擬似的に短縮化する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記補助ビーコンは、フレーム周期内で連続的又は分散的に送信される、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、フレーム周期を短縮することによりビーコン間隔を短縮する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、新規通信局の参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと、又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答して、ビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、補助ビーコンの送信位置を解放することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、他の通信装置からの補助ビーコンの解放要求に応答して、補助ビーコンの送信位置を解放する、
ことを特徴とする請求項25に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、ネットワークへの新規参入時、又はレイテンシの低減が必要なときに、他の通信装置に対し補助ビーコンの解放を要求する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、フレーム周期を拡張することによってビーコン間隔を延長する、
ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、他の通信装置からのフレーム周期の拡張要求に応答して、フレーム周期を拡張する、
ことを特徴とする請求項28に記載の無線通信方法。 - 前記ビーコン送信位置制御ステップでは、ネットワークへの新規参入時、又はレイテンシの低減が必要なときに、他の通信装置に対しフレーム周期の拡張を要求する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で通信動作を行なうための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
所定のフレーム周期内でビーコンを送出するビーコン送信ステップと、
レイテンシの低減要求又はフレーム周期内でビーコン間隔に余裕があることに応答してビーコン間隔を短縮し、新規通信局の参入によりビーコン間隔に余裕がなくなってきたこと又はレイテンシ低減の要求が低下したことに応答してビーコン間隔を延長する、ビーコン送信位置制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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