JP2004347996A - レンズ保持部材及びレンズ組付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ保持部材に対するレンズの組付を容易とする共に、レンズをレンズ保持部材に高精度に組み付ける。
【解決手段】レンズ2の外周部を保持する保持枠6と、保持枠6の内周部に設けられ、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の一面が当接される当接部7aと、保持枠6に設けられ、レンズ2の外周面を径方向に押圧することで、レンズ2を保持枠6の内周面の一方側に片寄する押圧部10と、保持枠6の内周面に設けられ、押圧部10からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ2の外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部12と、保持枠6の端縁部に設けられ、熱変形によりかしめられることで保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部7aとの間でレンズ2を固定するカシメ部13とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】レンズ2の外周部を保持する保持枠6と、保持枠6の内周部に設けられ、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の一面が当接される当接部7aと、保持枠6に設けられ、レンズ2の外周面を径方向に押圧することで、レンズ2を保持枠6の内周面の一方側に片寄する押圧部10と、保持枠6の内周面に設けられ、押圧部10からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ2の外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部12と、保持枠6の端縁部に設けられ、熱変形によりかしめられることで保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部7aとの間でレンズ2を固定するカシメ部13とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズを保持するレンズ保持部材、並びにそのようなレンズ保持部材にレンズを組み付けるレンズ組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、1枚のレンズ又は複数のレンズからなるレンズ群(以下、単にレンズという。)を保持するレンズ保持部材がある。そして、このレンズ保持部材にレンズを組み付ける際は、レンズ保持部材の保持枠にレンズを嵌め込んだ後に、接着剤を注入して接着固定する方法、或いは保持枠の一部を熱変形させてかしめる、いわゆる熱カシメによってレンズを固定する方法が一般的に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特許2992094号公報
【特許文献1】
特開平10−104489号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したレンズ保持部材では、レンズの組付を容易とするため、保持枠の内周面とレンズの外周面との間に隙間(クリアランス)を設けている。しかしながら、このようなクリアランスは、レンズの位置決め精度を低下させ、レンズを組み付ける際の組立精度のばらつきを生じさせる。逆に、クリアランスを可能な限り小さくすると、保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との厳しい寸法公差が要求されることになる。
【0005】
そこで、このようなクリアランスによるレンズの位置決め精度の悪化を防ぐ方法として、保持枠に接着剤を注入する注入孔と、この注入孔の両側にレンズを位置決めする位置決め部とを設け、注入孔から注入された接着剤の収縮力によりレンズを片寄せし、位置決め部に当接させて位置決めする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
ここで、図36に模式的に示すように、保持枠の内径を寸法公差を含めてD1±d1とし、レンズの外径を寸法公差を含めてD2±d2としたとき、保持枠の中心軸S1とレンズの中心軸S2との間の芯ズレ量Dは、レンズを片寄せしない場合には、
D=(D1−D2)±(d1+d2)
となる。
【0007】
一方、レンズを片寄せした場合には、
D=(D1−D2)−(d1+d2)
となる。
【0008】
したがって、レンズを片寄せした場合には、上述した芯ズレ量Dがレンズを片寄せしない場合の半分となると共に、保持枠の中心軸S1に対してレンズの中心軸S2がずれる方向が一義的に決まることになる。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されるレンズの組付方法では、接着剤の注入量やロットによって接着剤の収縮量のばらつきが生じ易く、生産性が悪いだけでなく、接着剤のコストが嵩むといった問題が発生してしまう。
【0010】
また、一箇所のみを接着では、振動や衝撃によるレンズの浮き上がりが生じや易く、十分な接着強度を得ることも困難である。特に、耐衝撃性を考慮すると、外部に露出するレンズを固定する方法には適さない。仮に、上述した接着剤よるレンズの片寄せを行った後に、補強として別の部位を接着剤又は補強材を用いて固定することも考えられるが、組付工数及び部品点数の増加によって、製造コストの増加や大型化を招くといった問題が発生してしまう。
【0011】
一方、熱カシメによるレンズの組付方法としては、レンズ保持部材に複数の第1の熱変形部と複数の第2の熱変形部とを設け、複数の第1の熱変形部を熱カシメによって変形させて、レンズの外周部を径方向に略均等に押圧する一方、複数の第2の熱変形部を熱カシメによって変形させて、レンズの外周部を光軸方向に略均等に押圧し、レンズをレンズ保持部材に保持する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0012】
しかしながら、この特許文献2に記載されるレンズの組付方法では、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態で保持する場合に、上述した第1の熱変形部及び第2の熱変形部によって直接固定されるレンズと、残りの間接的に固定されるレンズとの間で、光軸のずれが生じやすいといった問題がある。そして、これら複数のレンズを互いの光軸を一致させた状態で保持するためには、大きな設備が必要となり、組立工数も増加し、製造コストの増加を招くといった問題が発生してしまう。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、レンズを適切に保持し、特に、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態で保持するのに好適なレンズ保持部材を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、レンズ保持部材に対するレンズの組付を容易とし、特に、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態でレンズ保持部材に高精度に組み付けることを可能とすると共に、更なる低コスト化を可能としたレンズ組付方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係るレンズ保持部材は、レンズの外周部を保持する保持枠と、保持枠の内周部に設けられ、保持枠に嵌め込まれたレンズの一面が当接される当接部と、保持枠に設けられ、レンズの外周面を径方向に押圧することで、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄する押圧部と、保持枠の内周面に設けられ、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、保持枠の端縁部に設けられ、熱変形によりかしめられることで保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定するカシメ部とを有することを特徴としている。
【0016】
以上のように、本発明に係るレンズ保持部材では、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズが保持枠の内周面の一方側に片寄せされ、当該レンズの外周面の少なくとも2箇所が位置決め部に当接された状態となる。これにより、レンズを保持枠に適切に位置決めすることができる。そして、この状態でカシメ部が熱変形によりかしめられることで、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズが固定される。これにより、レンズの外周部を保持枠に適切且つ強固に保持させることができる。
【0017】
また、本発明に係るレンズ組付方法は、レンズ保持部材に、レンズの外周部を保持する保持枠と、保持枠の内周部にレンズの一面が当接される当接部と、保持枠にレンズの外周面を径方向に押圧する押圧部と、保持枠の内周面にレンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、保持枠の端縁部に熱変形によりかしめられるカシメ部とを設け、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄せし、レンズの外周面の少なくとも2箇所を位置決め部に当接させた状態から、カシメ部を熱変形させてかしめることによって、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定することを特徴としている。
【0018】
以上のように、本発明に係るレンズ組付方法では、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄せし、レンズの外周面の少なくとも2箇所を位置決め部に当接させた状態とする。これにより、レンズを保持枠に適切且つ容易に位置決めすることができる。そして、この状態から、カシメ部を熱変形させてかしめることによって、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定する。これにより、レンズの外周部を保持枠に適切且つ強固に保持させることができ、レンズをレンズ保持部材に適切且つ容易に組み付けることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したレンズ保持部材及びレンズ組付方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材1に複数のレンズ2が互いの光軸を一致させた状態で配置されてなるものである。また、複数のレンズ2は、第1のレンズ3、第2のレンズ4及び第3のレンズ5からなり、これら複数のレンズ2が光軸方向に重ね合わされて1つのレンズ群を構成している。このうち、第1及び第2のレンズ3,4の外径は、互いに同径であり、第3のレンズ5の外径は、第1及び第2のレンズ3,4の外径よりも小径である。また、第2のレンズ4及び第3のレンズ5は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。
【0021】
レンズ保持部材1は、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材1は、レンズ2の外周部を保持する保持枠6を有し、この保持枠6に互いの光軸を一致させた複数のレンズ2が重ね合わされた状態で保持されている。
【0022】
具体的に、この保持枠6には、その開口の一端側から第1のレンズ3及び第2レンズ4を嵌め込むのに十分な深さで形成された第1の凹部7と、第1の凹部7の底面中央部から第3のレンズ5を嵌め込むのに十分な深さで形成された第2の凹部8とが設けられている。
【0023】
このうち、第1の凹部7の内径は、第1及び第2レンズ3,4の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠6の内周面と第1及び第2のレンズ3,4の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、第1の凹部7の底面部には、第2の凹部8の周囲を囲むように、第2のレンズ4の一面の外周部が当接される円環状の第1の当接部7aが形成されている。
【0024】
一方、第2の凹部8の内径は、第3のレンズ5の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠6の内周面と第3のレンズ5の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、第2の凹部8の底面部には、その中央部に第3のレンズ5を所定の径で臨ませる孔部9と、この孔部9の周囲を囲むように第3のレンズ5の外周部が当接される円環状の第2の当接部8aとが形成されている。
【0025】
また、保持枠6には、第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧する押圧部として、熱変形によって第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧する熱変形部10が設けられている。この熱変形部10は、保持枠6をその開口の一端から光軸方向に切り欠く一対の切欠き部11の間に形成されている。具体的に、一対の切欠き部11は、保持枠6の中心軸に対して互いになす中心角が略60゜となる位置に、第1及び第2のレンズ3,4の外周面が臨む深さで切欠き形成されており、保持枠6を当該角度範囲で分断することによって、その間に上記熱変形部10を形成している。
【0026】
また、保持枠6の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされた第1及び第2のレンズ3,4の外周面と当接される一対の位置決め部12が設けられている。これら一対の位置決め部12は、保持枠6の熱変形部10と対向する側、すなわち第1及び第2のレンズ3,4が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠6の中心軸と熱変形部10の中心部とを通る中心線X1−X1’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部12は、保持枠6の内周面から僅かに突出し、その第1及び第2のレンズ3,4の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部12のエッジ部分には、第1及び第2のレンズ3,4の第1の凹部7に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0027】
また、保持枠6には、熱変形によりかしめられるカシメ部13が設けられている。このカシメ部13は、上述した一対の切欠き部11によって分断された保持枠6の熱変形部10を除いた端縁部である。
【0028】
以上のように構成される光学装置において、レンズ保持部材1に複数のレンズ2を組み付ける際は、先ず、図3に示すように、レンズ保持部材1の保持枠6に複数のレンズ2を嵌め込む。すなわち、保持枠6の第2の凹部8及び第1の凹部7に、接合一体化された第3のレンズ4及び第2のレンズ5を嵌め込んだ後に、保持枠6の第1の凹部7に第1のレンズ3を嵌め込む。このとき、保持枠6の内周面と複数のレンズ2の外周面との間には、クリアランスが設けられていることから、これら複数のレンズ2を保持枠6に容易に嵌め込むことができる。
【0029】
次に、図4に示すように、第1の加熱治具14を用いて、保持枠6の熱変形部10を熱変形させる。この第1の加熱治具14は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、熱変形部10の外周部と摺接しながら、この熱変形部10を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0030】
したがって、熱変形部10は、第1の加熱治具14により縮径する方向に熱変形しながら、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。すなわち、これら複数のレンズ2は、第1のレンズ及び第3のレンズ5が接合された第2のレンズ4の外周面が一対の位置決め部12に当接されることによって、互いの光軸を一致させた状態で高精度に位置決めされる。
【0031】
次に、図5に示すように、この状態から、第2の加熱治具15を用いて、カシメ部13を熱変形させてかしめる。この第2の加熱治具15は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、カシメ部13の外周部と摺接しながら、このカシメ部13を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0032】
したがって、カシメ部13は、第2の加熱治具15により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側、すなわち第1の凹部7の底面部側に押圧する。一方、第2のレンズ4は、第1の当接部7aと当接された状態となっている。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、カシメ部13と第1の当接部7aとの間で固定され、保持枠6の第1の凹部7に保持される。また、第2のレンズ2に接合された第3のレンズ5は、第2の当接部8aに当接された状態で固定され、保持枠6の第2の凹部8に保持される。すなわち、これら複数のレンズ2は、図1及び図2に示すように、その外周部が保持枠6に適切且つ強固に保持される。
【0033】
以上のようにして、複数のレンズ2を互いの光軸を高精度に一致させた状態でレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0034】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材1では、熱変形部10が熱変形により保持枠6に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧することによって、第1及び第2のレンズ3,4を保持枠6の内周面の一方側に片寄せし、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面を一対の位置決め部12に当接させた状態とすることから、複数のレンズ2を互いの光軸を一致させた状態で保持枠6に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態で、カシメ部13が熱変形によりかしめられることによって、保持枠6に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部7a,8aとの間で複数のレンズ2を固定することから、これら複数のレンズ2の外周部を保持枠6に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0035】
また、本発明では、上記レンズ保持部材1の変形例として、上述した熱変形部10の代わりに、例えば図6に示すような熱変形部16が設けられた構成とすることも可能である。
【0036】
この熱変形部16は、保持枠6の開口の一端から光軸方向に所定の幅及び第1のレンズ3の前面に至る深さで切り欠かれた切欠き部16aを有している。一方、カシメ部13は、この切欠き部16aが形成された保持枠6の端縁部である。
【0037】
そして、このような熱変形部16が設けられたレンズ保持部材1に複数のレンズ2を組み付ける際は、保持枠6に複数のレンズ2が嵌め込まれた後に、図7に示すような第1の加熱治具17を用いて、熱変形部16を熱変形させる。この第1の加熱治具17は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、切欠き部16aから熱変形部16の外周部と摺接しながら、この熱変形部16を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0038】
したがって、熱変形部16は、図8に示すように、第1の加熱治具17により熱変形されることで、切欠き部16aから光軸方向に沿った溝部16bを形成しながら、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。すなわち、これら複数のレンズ2は、第1のレンズ及び第3のレンズ5が接合された第2のレンズ4の外周面が一対の位置決め部12に当接されることによって、互いの光軸を一致させた状態で高精度に位置決めされる。
【0039】
次に、図9に示すような略円筒状の第2の加熱治具18を用いて、カシメ部13を熱変形させてかしめる。この第2の加熱治具18は、図10に示すように、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、その内周部がカシメ部13の外周部と摺接しながら、このカシメ部13を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0040】
したがって、カシメ部13は、図11に示すように、第2の加熱治具18により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側、すなわち第1の凹部7の底面部側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、カシメ部13と第1の当接部7aとの間で固定され、第2のレンズ2に接合された第3のレンズ5が第2の当接部8aに当接させた状態で固定される。すなわち、これら複数のレンズ2は、その外周部が保持枠6に適切且つ強固に保持される。
【0041】
以上のようにして、複数のレンズ2を互いの光軸を高精度に一致させた状態でレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0042】
また、上記レンズ保持部材1では、例えば図12に示すように、1枚のレンズ20が保持枠6に保持される構成であってもよい。
【0043】
この場合も、図13に示すように、上述した第1の加熱治具14を用いて熱変形部10を熱変形し、保持枠6に嵌め込まれたレンズ20の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ20が保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、レンズ20の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。これにより、レンズ20を保持枠6に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態から、図12に示すように、上述した第2の加熱治具15を用いてカシメ部13を熱変形させてかしめることによって、保持枠6に嵌め込まれたレンズ20の外周部を光軸方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ20の外周部を保持枠6に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0044】
次に、図14及び図15に示す別のレンズ装置について説明する。
【0045】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材31にレンズ32が配置されてなるものである。
【0046】
レンズ保持部材31は、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材31は、レンズ32の外周部を保持する保持枠33を有し、この保持枠33にレンズ32が保持されている。
【0047】
具体的に、この保持枠33には、その開口の一端側からレンズ32を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部34が設けられている。この凹部34の内径は、レンズ32の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠33の内周面とレンズ32の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部34の底面部には、その中央部にレンズ32を所定の径で臨ませる孔部35と、この孔部35の周囲を囲むようにレンズ32の一面の外周部が当接される円環状の当接部34aとが形成されている。
【0048】
また、保持枠33には、後述するレンズ32の外周面を径方向に押圧する押圧治具39を挿入するための治具挿入溝36が形成されている。この治具挿入溝36は、保持枠33の開口の一端から光軸方向に所定の幅及びレンズ32の外周面が臨む深さで切欠き形成されている。
【0049】
また、保持枠33の内周面には、後述する押圧治具39の押圧によって一方側に片寄せされたレンズ32の外周面と当接される一対の位置決め部37が設けられている。これら一対の位置決め部37は、保持枠33の治具挿入溝36と対向する側、すなわちレンズ32が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠33の中心軸と治具挿入溝36の中心部とを通る中心線X2−X2’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部37は、保持枠33の内周面から僅かに突出し、そのレンズ32の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部37のエッジ部分には、レンズ32の凹部34に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0050】
また、保持枠33には、熱変形によりかしめられるカシメ部38が設けられている。このカシメ部38は、上述した治具挿入溝36を除いた保持枠33の端縁部である。
【0051】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材31にレンズ32を組み付ける際は、先ず、図16に示すように、保持枠33の凹部34にレンズ32を嵌め込む。このとき、保持枠33の内周面とレンズ32の外周面との間には、クリアランスが設けられていることから、このレンズ32を保持枠33に容易に嵌め込むことができる。
【0052】
次に、図17及び図18に示すように、治具挿入溝36から押圧治具39を挿入し、レンズ32の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ32は、保持枠33の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ32の外周面が一対の位置決め部37に当接された状態となる。すなわち、このレンズ32の外周面が一対の位置決め部37に当接されることによって、レンズ32が保持枠33に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0053】
そして、この状態のまま、図14及び図15に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部38を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠33に嵌め込まれたレンズ32の光軸方向に移動し、カシメ部38の外周部と摺接しながら、このカシメ部38を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0054】
したがって、カシメ部38は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠33の凹部34に嵌め込まれたレンズ32の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部34の底面部側に押圧する。また、レンズ324は、当接部34aと当接されている。これにより、レンズ32は、カシメ部38と当接部34aとの間で固定され、保持枠33の凹部34に保持される。すなわち、このレンズ32は、その外周部が保持枠33に適切且つ強固に保持される。
【0055】
以上のようにして、レンズ32をレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0056】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材31では、治具挿入溝36から挿入された押圧治具39がレンズ32の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ32を保持枠33の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ32の外周面を一対の位置決め部37に当接させた状態とすることから、レンズ32を保持枠33に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部38が熱変形によりかしめられることによって、保持枠33に嵌め込まれたレンズ32の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部34aとの間でレンズ32を固定することから、このレンズ32の外周部を保持枠33に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0057】
また、本発明では、上記レンズ保持部材31の変形例として、例えば図19に示すように、複数のレンズ40,41が互いの光軸を一致させた状態で保持枠33a,33bに保持された構成とすることも可能である。
【0058】
なお、保持枠33a,33bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材30の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠33と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材31の変形例では、上記レンズ保持部材31と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0059】
このレンズ保持部材31の変形例では、図20に示すように、治具挿入溝36から挿入された押圧治具39がレンズ40,41の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ40,41を保持枠33a,33bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ40,41の外周面を一対の位置決め部37に当接させた状態とすることから、レンズ40,41を互いの光軸を一致させた状態で保持枠33a,33bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態から、図19に示すように、カシメ部38が熱変形によりかしめられることによって、保持枠33a,33bに嵌め込まれたレンズ40,41の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部34aとの間でレンズ40,41を固定することから、これらレンズ40,41の外周部を保持枠33a,33bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0060】
なお、上記レンズ保持部材31では、上述した押圧治具39が挿入される治具挿入部として、保持枠6を貫通する治具挿入孔が形成された構成であってもよい。
【0061】
次に、図21及び図22に示す別のレンズ装置について説明する。
【0062】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材51にレンズ52が配置されてなるものである。
【0063】
レンズ保持部材51は、図23に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材51は、レンズ52の外周部を保持する保持枠53を有し、この保持枠53にレンズ52が保持されている。
【0064】
具体的に、この保持枠53には、その開口の一端側からレンズ52を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部54が設けられている。この凹部54の内径は、レンズ52の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠53の内周面とレンズ52の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部54の底面部には、その中央部にレンズ52を所定の径で臨ませる孔部55と、この孔部55の周囲を囲むようにレンズ52の一面の外周部が当接される円環状の当接部54aとが形成されている。
【0065】
また、保持枠53には、レンズ52の外周面を径方向に押圧する押圧部として、その内周面から突起部56が突出形成されている。この突起部56は、保持枠53に(軽)圧入されたレンズ52に押し潰されることによって押圧力を発生させ、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧することになる。なお、突起部56は、レンズ52のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。また、突起部56は、後述する一対の位置決め部57よりも潰れ易い形状としておくことで、圧入時の一対の位置決め部57の変形を防ぐことができる。また、突起部56のエッジ部分には、レンズ52の凹部54に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0066】
また、保持枠53の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ52の外周面と当接される一対の位置決め部57が設けられている。これら一対の位置決め部57は、保持枠53の突起部56と対向する側、すなわちレンズ52が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠53の中心軸と突起部56の中心部とを通る中心線X3−X3’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部57は、保持枠53の内周面から僅かに突出し、そのレンズ52の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部57のエッジ部分には、レンズ52の凹部54に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0067】
また、保持枠53の端縁部には、熱変形によりかしめられるカシメ部58が設けられている。
【0068】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材51にレンズ52を組み付ける際は、先ず、図24及び図25に示すように、保持枠53の凹部54にレンズ52を(軽)圧入する。このとき、保持枠53に圧入されたレンズ52に突起部56が押し潰されることによって押圧力が発生し、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ52は、保持枠53の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ52の外周面が一対の位置決め部57に当接された状態となる。すなわち、このレンズ52の外周面が一対の位置決め部57に当接されることによって、レンズ52が保持枠53に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0069】
次に、この状態から、図21及び図22に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部58を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠53に嵌め込まれたレンズ52の光軸方向に移動し、カシメ部58の外周部と摺接しながら、このカシメ部58を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0070】
したがって、カシメ部58は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠53の凹部54に嵌め込まれたレンズ52の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部54の底面部側に押圧する。また、レンズ52は、当接部54aと当接されている。これにより、レンズ52は、カシメ部58と当接部54aとの間で固定され、保持枠53の凹部54に保持される。すなわち、このレンズ52は、その外周部が保持枠53に適切且つ強固に保持される。
【0071】
以上のようにして、レンズ52をレンズ保持部材51に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0072】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材51では、保持枠53に圧入されたレンズ52により押し潰された突起部56が、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ52を保持枠53の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ52の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、レンズ52を保持枠53に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53に嵌め込まれたレンズ52の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ52を固定することから、このレンズ52の外周部を保持枠53に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0073】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、例えば図26に示すように、複数のレンズ59,60が互いの光軸を一致させた状態で保持枠53a,53bに保持された構成とすることも可能である。
【0074】
なお、保持枠53a,53bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材51の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠53と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材51の変形例では、上記レンズ保持部材51と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0075】
このレンズ保持部材51の変形例では、保持枠53a,53bに圧入されたレンズ59,60に突起部56が押し潰されることによって押圧力が発生し、レンズ59,60の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ59,60を保持枠53a,53bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ59,60の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、レンズ59,60を互いの光軸を一致させた状態で保持枠53a,53bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53a,53bに嵌め込まれたレンズ59,60の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ59,60を固定することから、これらレンズ59,60の外周部を保持枠53a,53bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0076】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、例えば図27に示すように、互いの光軸を一致させた複数のレンズ61,62,63が重ね合わされた状態で保持枠6に保持された構成とすることも可能である。
【0077】
なお、これら複数のレンズ61,62,63のうち、レンズ61,62の外径は、互いに同径であり、レンズ63の外径は、レンズ61,62の外径よりも小径である。また、レンズ62,63は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。また、突起部56は、保持枠53の凹部54に最後に嵌め込まれるレンズ61のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。
【0078】
この場合も、保持枠53に圧入されたレンズ61,62により押し潰された突起部56が、レンズ61,62の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ61,62を保持枠53の内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ61,62の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、複数のレンズ61,62,63を互いの光軸を一致させた状態で保持枠53に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53に嵌め込まれたレンズ61の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ61,62を固定することから、これらレンズ61,62の外周部を保持枠53に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0079】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、図28に示すように、上述した押圧部に突起部56を複数設けた構成とすることも可能である。
【0080】
次に、図29及び図30に示す別のレンズ装置について説明する。
【0081】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材71にレンズ72が配置されてなるものである。
【0082】
レンズ保持部材71は、図31に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材71は、レンズ72の外周部を保持する保持枠73を有し、この保持枠73にレンズ72が保持されている。
【0083】
具体的に、この保持枠73には、その開口の一端側からレンズ72を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部74が設けられている。この凹部74の内径は、レンズ72の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠73の内周面とレンズ72の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部74の底面部には、その中央部にレンズ72を所定の径で臨ませる孔部75と、この孔部75の周囲を囲むようにレンズ72の一面の外周部が当接される円環状の当接部74aとが形成されている。
【0084】
また、保持枠73には、レンズ72の外周面を径方向に押圧する押圧部として、レンズ72の径方向に弾性変位可能な弾性変位部76が設けられている。この弾性変位部76は、保持枠73と一体に形成されており、その背面側に孔部76aが形成されることによって、両端部が保持枠73に支持された板バネ形状を有している。なお、弾性変位部76は、レンズ72のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。また、弾性変位部76のエッジ部分には、レンズ72の凹部74に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0085】
また、保持枠73の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ72の外周面と当接される一対の位置決め部77が設けられている。これら一対の位置決め部77は、保持枠73の弾性変位部76と対向する側、すなわちレンズ72が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠73の中心軸と弾性変位部76の中心部とを通る中心線X4−X4’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部77は、保持枠73の内周面から僅かに突出し、そのレンズ72の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部77のエッジ部分には、レンズ72の凹部74に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0086】
また、保持枠73には、熱変形によりかしめられるカシメ部78が設けられている。このカシメ部78は、上述した弾性変位部76を除いた保持枠73の端縁部である。
【0087】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材71にレンズ72を組み付ける際は、先ず、図32及び図33に示すように、保持枠73の凹部74にレンズ72を嵌め込む。このとき、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周面に弾性変位部76が当接されて弾性変位することによって押圧力が発生し、レンズ72の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ72は、保持枠73の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ72の外周面が一対の位置決め部77に当接された状態となる。すなわち、このレンズ72の外周面が一対の位置決め部77に当接されることによって、レンズ72が保持枠73に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0088】
次に、この状態から、図29及び図30に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部78を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の光軸方向に移動し、カシメ部78の外周部と摺接しながら、このカシメ部78を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0089】
したがって、カシメ部78は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠73の凹部74に嵌め込まれたレンズ72の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部74の底面部側に押圧する。また、レンズ72は、当接部74aと当接されている。これにより、レンズ72は、カシメ部78と当接部74aとの間で固定され、保持枠73の凹部74に保持される。すなわち、このレンズ72は、その外周部が保持枠73に適切且つ強固に保持される。
【0090】
以上のようにして、レンズ72をレンズ保持部材71に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0091】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材71では、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ72の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ72を保持枠73の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ72の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、レンズ72を保持枠73に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ72を固定することから、このレンズ72の外周部を保持枠73に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0092】
また、本発明では、上記レンズ保持部材71の変形例として、例えば図34に示すように、複数のレンズ79,80が互いの光軸を一致させた状態で保持枠73a,73bに保持された構成とすることも可能である。
【0093】
なお、保持枠73a,73bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材71の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠73と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材71の変形例では、上記レンズ保持部材71と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0094】
このレンズ保持部材71の変形例では、保持枠73a,73bに嵌め込まれたレンズ79,80の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ79,80の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ79,80を保持枠73a,73bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ79,80の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、レンズ79,80を互いの光軸を一致させた状態で保持枠73a,73bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73a,73bに嵌め込まれたレンズ79,80の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ79,80を固定することから、これらレンズ79,80の外周部を保持枠73a,73bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0095】
また、本発明では、上記レンズ保持部材71の変形例として、例えば図35に示すように、互いの光軸を一致させた複数のレンズ81,82,83が重ね合わされた状態で保持枠73に保持された構成とすることも可能である。
【0096】
なお、これら複数のレンズ81,82,83のうち、レンズ80,81の外径は、互いに同径であり、レンズ82の外径は、レンズ80,81の外径よりも小径である。また、レンズ81,82は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。また、弾性変位部76は、保持枠73の凹部74に最後に嵌め込まれるレンズ81のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。
【0097】
この場合も、保持枠73に嵌め込まれたレンズ81,82の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ79,80の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ81,82を保持枠73の内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ81,82の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、複数のレンズ81,82,83を互いの光軸を一致させた状態で保持枠73に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73に嵌め込まれたレンズ81の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ81,82を固定することから、これらレンズ81,82の外周部を保持枠73に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0098】
なお、上記レンズ保持部材71では、上述した弾性変位部76として、径方向に弾性変位可能な板バネ等の弾性部材を保持枠73の押圧部に取り付けた構成とすることも可能である。
【0099】
なお、本発明では、レンズを保持枠の一方側に片寄せした状態から、接着剤を用いてレンズを保持枠に接着固定することも考えられる。しかしながら、この場合、接着剤をレンズと保持枠との間に注入した後に、接着剤を硬化させるための時間を要することから、生産性及び製造コストを考慮すると、上述したカシメによる固定方法が望ましい。
【0100】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との寸法公差を厳しく管理することなく、保持枠の内周面とレンズの外周面との間にクリアランスを設けることが可能であり、このようなクリアランスを設けた場合でも、位置決め部の寸法を管理するだけで、レンズの保持枠に対する位置決め精度を良好なものとし、レンズ保持部材に組み付けられるレンズの光軸のずれや傾きの発生を防ぐことが可能である。
【0101】
特に、本発明によれば、複数のレンズを重ね合わせた状態で保持枠に保持させる場合でも、互いの光軸を一致させた状態で複数のレンズをレンズ保持部材に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0102】
また、本発明によれば、位置決め部の寸法を管理するだけでよく、従来のように保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との寸法公差を厳しく管理する必要がないことから、設計を簡素化すると共に、更なる低コスト化が可能である。
【0103】
また、本発明によれば、接着剤を注入して接着固定する方法に比べて、組立工数を簡素化することが可能であり、補強として別の部位を接着剤又は補強材を用いて固定する必要もないことから、部品点数の増加を防ぐと共に、レンズ保持部材の更なる小型化及び低コスト化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1中に示すX1−X1’断面図である。
【図3】図1中に示すレンズ保持部材に複数のレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図4】図1中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形された状態を示す断面図である。
【図5】図1中に示すレンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形されてかしめられた状態を示す断面図である。
【図6】図1中に示すレンズ保持部材の変形例を示す斜視図である。
【図7】図6中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形される動作を示す斜視図である。
【図8】図6中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形された状態を示す斜視図である。
【図9】図6中に示すレンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形される前の状態を示す斜視図である。
【図10】図6中に示す上記レンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形される動作を示す斜視図である。
【図11】図6中に示すレンズ保持部材のカシメ部が熱変形によりかしめられた状態を示す斜視図である。
【図12】図1中に示すレンズ保持部材の変形例として、1枚のレンズが保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図13】図12中に示すレンズ保持部材の1枚のレンズが保持枠に保持される前の状態を示す断面図である。
【図14】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図15】図14中に示すX2−X2’断面図である。
【図16】図14中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図17】図14中に示すレンズ保持部材の治具挿入溝から押圧治具が挿入された状態を示す平面図である。
【図18】図14中に示すレンズ保持部材の治具挿入溝から押圧治具が挿入された状態を示す断面図である。
【図19】図14中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図20】図14中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図21】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図22】図21中に示すX3−X3’断面図である。
【図23】図21中に示すレンズ保持部材の構成を示す斜視図である。
【図24】図21中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す平面図である。
【図25】図21中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図26】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図27】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図28】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、押圧部に突起部を複数設けた構成を示す平面図である。
【図29】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図30】図29中に示すX4−X4’断面図である。
【図31】図29中に示すレンズ保持部材の構成を示す斜視図である。
【図32】図29中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す平面図である。
【図33】図29中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図34】図29中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図35】図29中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図36】保持枠の中心軸S1とレンズの中心軸S2との間の芯ズレ量Dの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 レンズ保持部材、2 レンズ、6 保持枠、7 第1の凹部、7a 第1の当接部、8 第2の凹部、8a 第2の当接部、10 熱変形部、12 位置決め部、13 カシメ部、14 第1の加熱治具、15 第2の加熱治具、16熱変形部、17 第1の加熱治具、18 第2の加熱治具、31 レンズ保持部材、32 レンズ、33 保持枠、34 凹部、34a 当接部、36 治具挿入部、37 位置決め部、38 カシメ部、39 押圧治具、51 レンズ保持部材、52 レンズ、53 保持枠、54 凹部、54a 当接部、56 突起部、57 位置決め部、58 カシメ部、71 レンズ保持部材、72 レンズ、73 保持枠、74 凹部、74a 当接部、76 弾性変位部、77 位置決め部、78 カシメ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズを保持するレンズ保持部材、並びにそのようなレンズ保持部材にレンズを組み付けるレンズ組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、1枚のレンズ又は複数のレンズからなるレンズ群(以下、単にレンズという。)を保持するレンズ保持部材がある。そして、このレンズ保持部材にレンズを組み付ける際は、レンズ保持部材の保持枠にレンズを嵌め込んだ後に、接着剤を注入して接着固定する方法、或いは保持枠の一部を熱変形させてかしめる、いわゆる熱カシメによってレンズを固定する方法が一般的に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特許2992094号公報
【特許文献1】
特開平10−104489号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したレンズ保持部材では、レンズの組付を容易とするため、保持枠の内周面とレンズの外周面との間に隙間(クリアランス)を設けている。しかしながら、このようなクリアランスは、レンズの位置決め精度を低下させ、レンズを組み付ける際の組立精度のばらつきを生じさせる。逆に、クリアランスを可能な限り小さくすると、保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との厳しい寸法公差が要求されることになる。
【0005】
そこで、このようなクリアランスによるレンズの位置決め精度の悪化を防ぐ方法として、保持枠に接着剤を注入する注入孔と、この注入孔の両側にレンズを位置決めする位置決め部とを設け、注入孔から注入された接着剤の収縮力によりレンズを片寄せし、位置決め部に当接させて位置決めする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
ここで、図36に模式的に示すように、保持枠の内径を寸法公差を含めてD1±d1とし、レンズの外径を寸法公差を含めてD2±d2としたとき、保持枠の中心軸S1とレンズの中心軸S2との間の芯ズレ量Dは、レンズを片寄せしない場合には、
D=(D1−D2)±(d1+d2)
となる。
【0007】
一方、レンズを片寄せした場合には、
D=(D1−D2)−(d1+d2)
となる。
【0008】
したがって、レンズを片寄せした場合には、上述した芯ズレ量Dがレンズを片寄せしない場合の半分となると共に、保持枠の中心軸S1に対してレンズの中心軸S2がずれる方向が一義的に決まることになる。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されるレンズの組付方法では、接着剤の注入量やロットによって接着剤の収縮量のばらつきが生じ易く、生産性が悪いだけでなく、接着剤のコストが嵩むといった問題が発生してしまう。
【0010】
また、一箇所のみを接着では、振動や衝撃によるレンズの浮き上がりが生じや易く、十分な接着強度を得ることも困難である。特に、耐衝撃性を考慮すると、外部に露出するレンズを固定する方法には適さない。仮に、上述した接着剤よるレンズの片寄せを行った後に、補強として別の部位を接着剤又は補強材を用いて固定することも考えられるが、組付工数及び部品点数の増加によって、製造コストの増加や大型化を招くといった問題が発生してしまう。
【0011】
一方、熱カシメによるレンズの組付方法としては、レンズ保持部材に複数の第1の熱変形部と複数の第2の熱変形部とを設け、複数の第1の熱変形部を熱カシメによって変形させて、レンズの外周部を径方向に略均等に押圧する一方、複数の第2の熱変形部を熱カシメによって変形させて、レンズの外周部を光軸方向に略均等に押圧し、レンズをレンズ保持部材に保持する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0012】
しかしながら、この特許文献2に記載されるレンズの組付方法では、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態で保持する場合に、上述した第1の熱変形部及び第2の熱変形部によって直接固定されるレンズと、残りの間接的に固定されるレンズとの間で、光軸のずれが生じやすいといった問題がある。そして、これら複数のレンズを互いの光軸を一致させた状態で保持するためには、大きな設備が必要となり、組立工数も増加し、製造コストの増加を招くといった問題が発生してしまう。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、レンズを適切に保持し、特に、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態で保持するのに好適なレンズ保持部材を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、レンズ保持部材に対するレンズの組付を容易とし、特に、互いの光軸を一致させた複数のレンズを重ね合わせた状態でレンズ保持部材に高精度に組み付けることを可能とすると共に、更なる低コスト化を可能としたレンズ組付方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係るレンズ保持部材は、レンズの外周部を保持する保持枠と、保持枠の内周部に設けられ、保持枠に嵌め込まれたレンズの一面が当接される当接部と、保持枠に設けられ、レンズの外周面を径方向に押圧することで、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄する押圧部と、保持枠の内周面に設けられ、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、保持枠の端縁部に設けられ、熱変形によりかしめられることで保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定するカシメ部とを有することを特徴としている。
【0016】
以上のように、本発明に係るレンズ保持部材では、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズが保持枠の内周面の一方側に片寄せされ、当該レンズの外周面の少なくとも2箇所が位置決め部に当接された状態となる。これにより、レンズを保持枠に適切に位置決めすることができる。そして、この状態でカシメ部が熱変形によりかしめられることで、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズが固定される。これにより、レンズの外周部を保持枠に適切且つ強固に保持させることができる。
【0017】
また、本発明に係るレンズ組付方法は、レンズ保持部材に、レンズの外周部を保持する保持枠と、保持枠の内周部にレンズの一面が当接される当接部と、保持枠にレンズの外周面を径方向に押圧する押圧部と、保持枠の内周面にレンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、保持枠の端縁部に熱変形によりかしめられるカシメ部とを設け、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄せし、レンズの外周面の少なくとも2箇所を位置決め部に当接させた状態から、カシメ部を熱変形させてかしめることによって、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定することを特徴としている。
【0018】
以上のように、本発明に係るレンズ組付方法では、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面を押圧部から径方向に押圧することによって、レンズを保持枠の内周面の一方側に片寄せし、レンズの外周面の少なくとも2箇所を位置決め部に当接させた状態とする。これにより、レンズを保持枠に適切且つ容易に位置決めすることができる。そして、この状態から、カシメ部を熱変形させてかしめることによって、保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部との間でレンズを固定する。これにより、レンズの外周部を保持枠に適切且つ強固に保持させることができ、レンズをレンズ保持部材に適切且つ容易に組み付けることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したレンズ保持部材及びレンズ組付方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材1に複数のレンズ2が互いの光軸を一致させた状態で配置されてなるものである。また、複数のレンズ2は、第1のレンズ3、第2のレンズ4及び第3のレンズ5からなり、これら複数のレンズ2が光軸方向に重ね合わされて1つのレンズ群を構成している。このうち、第1及び第2のレンズ3,4の外径は、互いに同径であり、第3のレンズ5の外径は、第1及び第2のレンズ3,4の外径よりも小径である。また、第2のレンズ4及び第3のレンズ5は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。
【0021】
レンズ保持部材1は、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材1は、レンズ2の外周部を保持する保持枠6を有し、この保持枠6に互いの光軸を一致させた複数のレンズ2が重ね合わされた状態で保持されている。
【0022】
具体的に、この保持枠6には、その開口の一端側から第1のレンズ3及び第2レンズ4を嵌め込むのに十分な深さで形成された第1の凹部7と、第1の凹部7の底面中央部から第3のレンズ5を嵌め込むのに十分な深さで形成された第2の凹部8とが設けられている。
【0023】
このうち、第1の凹部7の内径は、第1及び第2レンズ3,4の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠6の内周面と第1及び第2のレンズ3,4の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、第1の凹部7の底面部には、第2の凹部8の周囲を囲むように、第2のレンズ4の一面の外周部が当接される円環状の第1の当接部7aが形成されている。
【0024】
一方、第2の凹部8の内径は、第3のレンズ5の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠6の内周面と第3のレンズ5の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、第2の凹部8の底面部には、その中央部に第3のレンズ5を所定の径で臨ませる孔部9と、この孔部9の周囲を囲むように第3のレンズ5の外周部が当接される円環状の第2の当接部8aとが形成されている。
【0025】
また、保持枠6には、第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧する押圧部として、熱変形によって第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧する熱変形部10が設けられている。この熱変形部10は、保持枠6をその開口の一端から光軸方向に切り欠く一対の切欠き部11の間に形成されている。具体的に、一対の切欠き部11は、保持枠6の中心軸に対して互いになす中心角が略60゜となる位置に、第1及び第2のレンズ3,4の外周面が臨む深さで切欠き形成されており、保持枠6を当該角度範囲で分断することによって、その間に上記熱変形部10を形成している。
【0026】
また、保持枠6の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされた第1及び第2のレンズ3,4の外周面と当接される一対の位置決め部12が設けられている。これら一対の位置決め部12は、保持枠6の熱変形部10と対向する側、すなわち第1及び第2のレンズ3,4が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠6の中心軸と熱変形部10の中心部とを通る中心線X1−X1’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部12は、保持枠6の内周面から僅かに突出し、その第1及び第2のレンズ3,4の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部12のエッジ部分には、第1及び第2のレンズ3,4の第1の凹部7に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0027】
また、保持枠6には、熱変形によりかしめられるカシメ部13が設けられている。このカシメ部13は、上述した一対の切欠き部11によって分断された保持枠6の熱変形部10を除いた端縁部である。
【0028】
以上のように構成される光学装置において、レンズ保持部材1に複数のレンズ2を組み付ける際は、先ず、図3に示すように、レンズ保持部材1の保持枠6に複数のレンズ2を嵌め込む。すなわち、保持枠6の第2の凹部8及び第1の凹部7に、接合一体化された第3のレンズ4及び第2のレンズ5を嵌め込んだ後に、保持枠6の第1の凹部7に第1のレンズ3を嵌め込む。このとき、保持枠6の内周面と複数のレンズ2の外周面との間には、クリアランスが設けられていることから、これら複数のレンズ2を保持枠6に容易に嵌め込むことができる。
【0029】
次に、図4に示すように、第1の加熱治具14を用いて、保持枠6の熱変形部10を熱変形させる。この第1の加熱治具14は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、熱変形部10の外周部と摺接しながら、この熱変形部10を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0030】
したがって、熱変形部10は、第1の加熱治具14により縮径する方向に熱変形しながら、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。すなわち、これら複数のレンズ2は、第1のレンズ及び第3のレンズ5が接合された第2のレンズ4の外周面が一対の位置決め部12に当接されることによって、互いの光軸を一致させた状態で高精度に位置決めされる。
【0031】
次に、図5に示すように、この状態から、第2の加熱治具15を用いて、カシメ部13を熱変形させてかしめる。この第2の加熱治具15は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、カシメ部13の外周部と摺接しながら、このカシメ部13を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0032】
したがって、カシメ部13は、第2の加熱治具15により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側、すなわち第1の凹部7の底面部側に押圧する。一方、第2のレンズ4は、第1の当接部7aと当接された状態となっている。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、カシメ部13と第1の当接部7aとの間で固定され、保持枠6の第1の凹部7に保持される。また、第2のレンズ2に接合された第3のレンズ5は、第2の当接部8aに当接された状態で固定され、保持枠6の第2の凹部8に保持される。すなわち、これら複数のレンズ2は、図1及び図2に示すように、その外周部が保持枠6に適切且つ強固に保持される。
【0033】
以上のようにして、複数のレンズ2を互いの光軸を高精度に一致させた状態でレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0034】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材1では、熱変形部10が熱変形により保持枠6に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向に押圧することによって、第1及び第2のレンズ3,4を保持枠6の内周面の一方側に片寄せし、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面を一対の位置決め部12に当接させた状態とすることから、複数のレンズ2を互いの光軸を一致させた状態で保持枠6に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態で、カシメ部13が熱変形によりかしめられることによって、保持枠6に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部7a,8aとの間で複数のレンズ2を固定することから、これら複数のレンズ2の外周部を保持枠6に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0035】
また、本発明では、上記レンズ保持部材1の変形例として、上述した熱変形部10の代わりに、例えば図6に示すような熱変形部16が設けられた構成とすることも可能である。
【0036】
この熱変形部16は、保持枠6の開口の一端から光軸方向に所定の幅及び第1のレンズ3の前面に至る深さで切り欠かれた切欠き部16aを有している。一方、カシメ部13は、この切欠き部16aが形成された保持枠6の端縁部である。
【0037】
そして、このような熱変形部16が設けられたレンズ保持部材1に複数のレンズ2を組み付ける際は、保持枠6に複数のレンズ2が嵌め込まれた後に、図7に示すような第1の加熱治具17を用いて、熱変形部16を熱変形させる。この第1の加熱治具17は、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、切欠き部16aから熱変形部16の外周部と摺接しながら、この熱変形部16を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0038】
したがって、熱変形部16は、図8に示すように、第1の加熱治具17により熱変形されることで、切欠き部16aから光軸方向に沿った溝部16bを形成しながら、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1及び第2のレンズ3,4の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、これら第1及び第2のレンズ3,4の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。すなわち、これら複数のレンズ2は、第1のレンズ及び第3のレンズ5が接合された第2のレンズ4の外周面が一対の位置決め部12に当接されることによって、互いの光軸を一致させた状態で高精度に位置決めされる。
【0039】
次に、図9に示すような略円筒状の第2の加熱治具18を用いて、カシメ部13を熱変形させてかしめる。この第2の加熱治具18は、図10に示すように、保持枠6に嵌め込まれたレンズ2の光軸方向に移動し、その内周部がカシメ部13の外周部と摺接しながら、このカシメ部13を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0040】
したがって、カシメ部13は、図11に示すように、第2の加熱治具18により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠6の第1の凹部7に嵌め込まれた第1のレンズ3の外周部を光軸方向の一方側、すなわち第1の凹部7の底面部側に押圧する。これにより、第1及び第2のレンズ3,4は、カシメ部13と第1の当接部7aとの間で固定され、第2のレンズ2に接合された第3のレンズ5が第2の当接部8aに当接させた状態で固定される。すなわち、これら複数のレンズ2は、その外周部が保持枠6に適切且つ強固に保持される。
【0041】
以上のようにして、複数のレンズ2を互いの光軸を高精度に一致させた状態でレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0042】
また、上記レンズ保持部材1では、例えば図12に示すように、1枚のレンズ20が保持枠6に保持される構成であってもよい。
【0043】
この場合も、図13に示すように、上述した第1の加熱治具14を用いて熱変形部10を熱変形し、保持枠6に嵌め込まれたレンズ20の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ20が保持枠6の内周面の一方側に片寄せされ、レンズ20の外周面が一対の位置決め部12に当接された状態となる。これにより、レンズ20を保持枠6に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態から、図12に示すように、上述した第2の加熱治具15を用いてカシメ部13を熱変形させてかしめることによって、保持枠6に嵌め込まれたレンズ20の外周部を光軸方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ20の外周部を保持枠6に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0044】
次に、図14及び図15に示す別のレンズ装置について説明する。
【0045】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材31にレンズ32が配置されてなるものである。
【0046】
レンズ保持部材31は、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材31は、レンズ32の外周部を保持する保持枠33を有し、この保持枠33にレンズ32が保持されている。
【0047】
具体的に、この保持枠33には、その開口の一端側からレンズ32を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部34が設けられている。この凹部34の内径は、レンズ32の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠33の内周面とレンズ32の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部34の底面部には、その中央部にレンズ32を所定の径で臨ませる孔部35と、この孔部35の周囲を囲むようにレンズ32の一面の外周部が当接される円環状の当接部34aとが形成されている。
【0048】
また、保持枠33には、後述するレンズ32の外周面を径方向に押圧する押圧治具39を挿入するための治具挿入溝36が形成されている。この治具挿入溝36は、保持枠33の開口の一端から光軸方向に所定の幅及びレンズ32の外周面が臨む深さで切欠き形成されている。
【0049】
また、保持枠33の内周面には、後述する押圧治具39の押圧によって一方側に片寄せされたレンズ32の外周面と当接される一対の位置決め部37が設けられている。これら一対の位置決め部37は、保持枠33の治具挿入溝36と対向する側、すなわちレンズ32が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠33の中心軸と治具挿入溝36の中心部とを通る中心線X2−X2’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部37は、保持枠33の内周面から僅かに突出し、そのレンズ32の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部37のエッジ部分には、レンズ32の凹部34に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0050】
また、保持枠33には、熱変形によりかしめられるカシメ部38が設けられている。このカシメ部38は、上述した治具挿入溝36を除いた保持枠33の端縁部である。
【0051】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材31にレンズ32を組み付ける際は、先ず、図16に示すように、保持枠33の凹部34にレンズ32を嵌め込む。このとき、保持枠33の内周面とレンズ32の外周面との間には、クリアランスが設けられていることから、このレンズ32を保持枠33に容易に嵌め込むことができる。
【0052】
次に、図17及び図18に示すように、治具挿入溝36から押圧治具39を挿入し、レンズ32の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ32は、保持枠33の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ32の外周面が一対の位置決め部37に当接された状態となる。すなわち、このレンズ32の外周面が一対の位置決め部37に当接されることによって、レンズ32が保持枠33に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0053】
そして、この状態のまま、図14及び図15に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部38を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠33に嵌め込まれたレンズ32の光軸方向に移動し、カシメ部38の外周部と摺接しながら、このカシメ部38を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0054】
したがって、カシメ部38は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠33の凹部34に嵌め込まれたレンズ32の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部34の底面部側に押圧する。また、レンズ324は、当接部34aと当接されている。これにより、レンズ32は、カシメ部38と当接部34aとの間で固定され、保持枠33の凹部34に保持される。すなわち、このレンズ32は、その外周部が保持枠33に適切且つ強固に保持される。
【0055】
以上のようにして、レンズ32をレンズ保持部材1に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0056】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材31では、治具挿入溝36から挿入された押圧治具39がレンズ32の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ32を保持枠33の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ32の外周面を一対の位置決め部37に当接させた状態とすることから、レンズ32を保持枠33に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部38が熱変形によりかしめられることによって、保持枠33に嵌め込まれたレンズ32の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部34aとの間でレンズ32を固定することから、このレンズ32の外周部を保持枠33に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0057】
また、本発明では、上記レンズ保持部材31の変形例として、例えば図19に示すように、複数のレンズ40,41が互いの光軸を一致させた状態で保持枠33a,33bに保持された構成とすることも可能である。
【0058】
なお、保持枠33a,33bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材30の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠33と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材31の変形例では、上記レンズ保持部材31と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0059】
このレンズ保持部材31の変形例では、図20に示すように、治具挿入溝36から挿入された押圧治具39がレンズ40,41の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ40,41を保持枠33a,33bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ40,41の外周面を一対の位置決め部37に当接させた状態とすることから、レンズ40,41を互いの光軸を一致させた状態で保持枠33a,33bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態から、図19に示すように、カシメ部38が熱変形によりかしめられることによって、保持枠33a,33bに嵌め込まれたレンズ40,41の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部34aとの間でレンズ40,41を固定することから、これらレンズ40,41の外周部を保持枠33a,33bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0060】
なお、上記レンズ保持部材31では、上述した押圧治具39が挿入される治具挿入部として、保持枠6を貫通する治具挿入孔が形成された構成であってもよい。
【0061】
次に、図21及び図22に示す別のレンズ装置について説明する。
【0062】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材51にレンズ52が配置されてなるものである。
【0063】
レンズ保持部材51は、図23に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材51は、レンズ52の外周部を保持する保持枠53を有し、この保持枠53にレンズ52が保持されている。
【0064】
具体的に、この保持枠53には、その開口の一端側からレンズ52を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部54が設けられている。この凹部54の内径は、レンズ52の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠53の内周面とレンズ52の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部54の底面部には、その中央部にレンズ52を所定の径で臨ませる孔部55と、この孔部55の周囲を囲むようにレンズ52の一面の外周部が当接される円環状の当接部54aとが形成されている。
【0065】
また、保持枠53には、レンズ52の外周面を径方向に押圧する押圧部として、その内周面から突起部56が突出形成されている。この突起部56は、保持枠53に(軽)圧入されたレンズ52に押し潰されることによって押圧力を発生させ、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧することになる。なお、突起部56は、レンズ52のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。また、突起部56は、後述する一対の位置決め部57よりも潰れ易い形状としておくことで、圧入時の一対の位置決め部57の変形を防ぐことができる。また、突起部56のエッジ部分には、レンズ52の凹部54に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0066】
また、保持枠53の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ52の外周面と当接される一対の位置決め部57が設けられている。これら一対の位置決め部57は、保持枠53の突起部56と対向する側、すなわちレンズ52が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠53の中心軸と突起部56の中心部とを通る中心線X3−X3’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部57は、保持枠53の内周面から僅かに突出し、そのレンズ52の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部57のエッジ部分には、レンズ52の凹部54に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0067】
また、保持枠53の端縁部には、熱変形によりかしめられるカシメ部58が設けられている。
【0068】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材51にレンズ52を組み付ける際は、先ず、図24及び図25に示すように、保持枠53の凹部54にレンズ52を(軽)圧入する。このとき、保持枠53に圧入されたレンズ52に突起部56が押し潰されることによって押圧力が発生し、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ52は、保持枠53の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ52の外周面が一対の位置決め部57に当接された状態となる。すなわち、このレンズ52の外周面が一対の位置決め部57に当接されることによって、レンズ52が保持枠53に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0069】
次に、この状態から、図21及び図22に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部58を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠53に嵌め込まれたレンズ52の光軸方向に移動し、カシメ部58の外周部と摺接しながら、このカシメ部58を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0070】
したがって、カシメ部58は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠53の凹部54に嵌め込まれたレンズ52の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部54の底面部側に押圧する。また、レンズ52は、当接部54aと当接されている。これにより、レンズ52は、カシメ部58と当接部54aとの間で固定され、保持枠53の凹部54に保持される。すなわち、このレンズ52は、その外周部が保持枠53に適切且つ強固に保持される。
【0071】
以上のようにして、レンズ52をレンズ保持部材51に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0072】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材51では、保持枠53に圧入されたレンズ52により押し潰された突起部56が、レンズ52の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ52を保持枠53の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ52の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、レンズ52を保持枠53に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53に嵌め込まれたレンズ52の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ52を固定することから、このレンズ52の外周部を保持枠53に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0073】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、例えば図26に示すように、複数のレンズ59,60が互いの光軸を一致させた状態で保持枠53a,53bに保持された構成とすることも可能である。
【0074】
なお、保持枠53a,53bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材51の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠53と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材51の変形例では、上記レンズ保持部材51と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0075】
このレンズ保持部材51の変形例では、保持枠53a,53bに圧入されたレンズ59,60に突起部56が押し潰されることによって押圧力が発生し、レンズ59,60の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ59,60を保持枠53a,53bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ59,60の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、レンズ59,60を互いの光軸を一致させた状態で保持枠53a,53bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53a,53bに嵌め込まれたレンズ59,60の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ59,60を固定することから、これらレンズ59,60の外周部を保持枠53a,53bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0076】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、例えば図27に示すように、互いの光軸を一致させた複数のレンズ61,62,63が重ね合わされた状態で保持枠6に保持された構成とすることも可能である。
【0077】
なお、これら複数のレンズ61,62,63のうち、レンズ61,62の外径は、互いに同径であり、レンズ63の外径は、レンズ61,62の外径よりも小径である。また、レンズ62,63は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。また、突起部56は、保持枠53の凹部54に最後に嵌め込まれるレンズ61のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。
【0078】
この場合も、保持枠53に圧入されたレンズ61,62により押し潰された突起部56が、レンズ61,62の外周面を径方向の一方側に押圧することによって、レンズ61,62を保持枠53の内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ61,62の外周面を一対の位置決め部57に当接させた状態とすることから、複数のレンズ61,62,63を互いの光軸を一致させた状態で保持枠53に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部58が熱変形によりかしめられることによって、保持枠53に嵌め込まれたレンズ61の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部54aとの間でレンズ61,62を固定することから、これらレンズ61,62の外周部を保持枠53に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0079】
また、本発明では、上記レンズ保持部材51の変形例として、図28に示すように、上述した押圧部に突起部56を複数設けた構成とすることも可能である。
【0080】
次に、図29及び図30に示す別のレンズ装置について説明する。
【0081】
このレンズ装置は、本発明を適用したレンズ保持部材71にレンズ72が配置されてなるものである。
【0082】
レンズ保持部材71は、図31に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等からなる。このレンズ保持部材71は、レンズ72の外周部を保持する保持枠73を有し、この保持枠73にレンズ72が保持されている。
【0083】
具体的に、この保持枠73には、その開口の一端側からレンズ72を嵌め込むのに十分な深さで形成された凹部74が設けられている。この凹部74の内径は、レンズ72の外径よりも僅かに大径である。すなわち、この保持枠73の内周面とレンズ72の外周面との間には、所定の隙間(クリアランス)が設けられている。また、凹部74の底面部には、その中央部にレンズ72を所定の径で臨ませる孔部75と、この孔部75の周囲を囲むようにレンズ72の一面の外周部が当接される円環状の当接部74aとが形成されている。
【0084】
また、保持枠73には、レンズ72の外周面を径方向に押圧する押圧部として、レンズ72の径方向に弾性変位可能な弾性変位部76が設けられている。この弾性変位部76は、保持枠73と一体に形成されており、その背面側に孔部76aが形成されることによって、両端部が保持枠73に支持された板バネ形状を有している。なお、弾性変位部76は、レンズ72のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。また、弾性変位部76のエッジ部分には、レンズ72の凹部74に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0085】
また、保持枠73の内周面には、押圧部からの押圧により一方側に片寄せされたレンズ72の外周面と当接される一対の位置決め部77が設けられている。これら一対の位置決め部77は、保持枠73の弾性変位部76と対向する側、すなわちレンズ72が片寄せされる側の内周面に、当該保持枠73の中心軸と弾性変位部76の中心部とを通る中心線X4−X4’に対してなす中心角が、それぞれ略45゜となる位置に配置されている。また、これら一対の位置決め部77は、保持枠73の内周面から僅かに突出し、そのレンズ72の外周面と当接される面が平坦化された、いわゆるDカット形状を有している。なお、これら一対の位置決め部77のエッジ部分には、レンズ72の凹部74に対する嵌め込みを容易するための面取りが施されている。
【0086】
また、保持枠73には、熱変形によりかしめられるカシメ部78が設けられている。このカシメ部78は、上述した弾性変位部76を除いた保持枠73の端縁部である。
【0087】
以上のように構成されるレンズ装置において、レンズ保持部材71にレンズ72を組み付ける際は、先ず、図32及び図33に示すように、保持枠73の凹部74にレンズ72を嵌め込む。このとき、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周面に弾性変位部76が当接されて弾性変位することによって押圧力が発生し、レンズ72の外周面を径方向の一方側に押圧する。これにより、レンズ72は、保持枠73の内周面の一方側に片寄せされ、このレンズ72の外周面が一対の位置決め部77に当接された状態となる。すなわち、このレンズ72の外周面が一対の位置決め部77に当接されることによって、レンズ72が保持枠73に対して高精度に位置決めされた状態となる。
【0088】
次に、この状態から、図29及び図30に示すように、加熱治具(図示せず。)を用いて、カシメ部78を熱変形させてかしめる。この加熱治具は、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の光軸方向に移動し、カシメ部78の外周部と摺接しながら、このカシメ部78を加熱すると共に押圧して変形させる。
【0089】
したがって、カシメ部78は、加熱治具により縮径する方向に熱変形されてかしめられると共に、保持枠73の凹部74に嵌め込まれたレンズ72の外周部を光軸方向の一方側、すなわち凹部74の底面部側に押圧する。また、レンズ72は、当接部74aと当接されている。これにより、レンズ72は、カシメ部78と当接部74aとの間で固定され、保持枠73の凹部74に保持される。すなわち、このレンズ72は、その外周部が保持枠73に適切且つ強固に保持される。
【0090】
以上のようにして、レンズ72をレンズ保持部材71に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0091】
上述したように、本発明を適用したレンズ保持部材71では、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ72の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ72を保持枠73の内周面の一方側に片寄せし、このレンズ72の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、レンズ72を保持枠73に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73に嵌め込まれたレンズ72の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ72を固定することから、このレンズ72の外周部を保持枠73に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0092】
また、本発明では、上記レンズ保持部材71の変形例として、例えば図34に示すように、複数のレンズ79,80が互いの光軸を一致させた状態で保持枠73a,73bに保持された構成とすることも可能である。
【0093】
なお、保持枠73a,73bは、互いの中心軸を一致させた状態でレンズ保持部材71の光軸方向の両側に設けられている以外は、上述した保持枠73と略々同様の構成を有している。したがって、このレンズ保持部材71の変形例では、上記レンズ保持部材71と同等な部位について説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0094】
このレンズ保持部材71の変形例では、保持枠73a,73bに嵌め込まれたレンズ79,80の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ79,80の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ79,80を保持枠73a,73bの内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ79,80の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、レンズ79,80を互いの光軸を一致させた状態で保持枠73a,73bに高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73a,73bに嵌め込まれたレンズ79,80の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ79,80を固定することから、これらレンズ79,80の外周部を保持枠73a,73bに適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0095】
また、本発明では、上記レンズ保持部材71の変形例として、例えば図35に示すように、互いの光軸を一致させた複数のレンズ81,82,83が重ね合わされた状態で保持枠73に保持された構成とすることも可能である。
【0096】
なお、これら複数のレンズ81,82,83のうち、レンズ80,81の外径は、互いに同径であり、レンズ82の外径は、レンズ80,81の外径よりも小径である。また、レンズ81,82は、互いの光軸を一致させた状態で接合された接合レンズである。また、弾性変位部76は、保持枠73の凹部74に最後に嵌め込まれるレンズ81のコバ厚(高さ)と同等かそれ以下とされている。
【0097】
この場合も、保持枠73に嵌め込まれたレンズ81,82の外周面に当接された弾性変位部76がレンズ79,80の外周面を径方向に押圧することによって、レンズ81,82を保持枠73の内周面の一方側に片寄せし、これらレンズ81,82の外周面を一対の位置決め部77に当接させた状態とすることから、複数のレンズ81,82,83を互いの光軸を一致させた状態で保持枠73に高精度に位置決めすることが可能である。そして、この状態でカシメ部78が熱変形によりかしめられることによって、保持枠73に嵌め込まれたレンズ81の外周部を光軸方向の一方側に押圧し、当接部74aとの間でレンズ81,82を固定することから、これらレンズ81,82の外周部を保持枠73に適切且つ強固に保持させることが可能である。
【0098】
なお、上記レンズ保持部材71では、上述した弾性変位部76として、径方向に弾性変位可能な板バネ等の弾性部材を保持枠73の押圧部に取り付けた構成とすることも可能である。
【0099】
なお、本発明では、レンズを保持枠の一方側に片寄せした状態から、接着剤を用いてレンズを保持枠に接着固定することも考えられる。しかしながら、この場合、接着剤をレンズと保持枠との間に注入した後に、接着剤を硬化させるための時間を要することから、生産性及び製造コストを考慮すると、上述したカシメによる固定方法が望ましい。
【0100】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との寸法公差を厳しく管理することなく、保持枠の内周面とレンズの外周面との間にクリアランスを設けることが可能であり、このようなクリアランスを設けた場合でも、位置決め部の寸法を管理するだけで、レンズの保持枠に対する位置決め精度を良好なものとし、レンズ保持部材に組み付けられるレンズの光軸のずれや傾きの発生を防ぐことが可能である。
【0101】
特に、本発明によれば、複数のレンズを重ね合わせた状態で保持枠に保持させる場合でも、互いの光軸を一致させた状態で複数のレンズをレンズ保持部材に適切且つ容易に組み付けることが可能である。
【0102】
また、本発明によれば、位置決め部の寸法を管理するだけでよく、従来のように保持枠の内径寸法とレンズの外径寸法との寸法公差を厳しく管理する必要がないことから、設計を簡素化すると共に、更なる低コスト化が可能である。
【0103】
また、本発明によれば、接着剤を注入して接着固定する方法に比べて、組立工数を簡素化することが可能であり、補強として別の部位を接着剤又は補強材を用いて固定する必要もないことから、部品点数の増加を防ぐと共に、レンズ保持部材の更なる小型化及び低コスト化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1中に示すX1−X1’断面図である。
【図3】図1中に示すレンズ保持部材に複数のレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図4】図1中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形された状態を示す断面図である。
【図5】図1中に示すレンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形されてかしめられた状態を示す断面図である。
【図6】図1中に示すレンズ保持部材の変形例を示す斜視図である。
【図7】図6中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形される動作を示す斜視図である。
【図8】図6中に示すレンズ保持部材の熱変形部が第1の加熱治具により熱変形された状態を示す斜視図である。
【図9】図6中に示すレンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形される前の状態を示す斜視図である。
【図10】図6中に示す上記レンズ保持部材のカシメ部が第2の加熱治具により熱変形される動作を示す斜視図である。
【図11】図6中に示すレンズ保持部材のカシメ部が熱変形によりかしめられた状態を示す斜視図である。
【図12】図1中に示すレンズ保持部材の変形例として、1枚のレンズが保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図13】図12中に示すレンズ保持部材の1枚のレンズが保持枠に保持される前の状態を示す断面図である。
【図14】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図15】図14中に示すX2−X2’断面図である。
【図16】図14中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図17】図14中に示すレンズ保持部材の治具挿入溝から押圧治具が挿入された状態を示す平面図である。
【図18】図14中に示すレンズ保持部材の治具挿入溝から押圧治具が挿入された状態を示す断面図である。
【図19】図14中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図20】図14中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図21】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図22】図21中に示すX3−X3’断面図である。
【図23】図21中に示すレンズ保持部材の構成を示す斜視図である。
【図24】図21中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す平面図である。
【図25】図21中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図26】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図27】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図28】図21中に示すレンズ保持部材の変形例として、押圧部に突起部を複数設けた構成を示す平面図である。
【図29】本発明を適用した別のレンズ装置の構成を示す平面図である。
【図30】図29中に示すX4−X4’断面図である。
【図31】図29中に示すレンズ保持部材の構成を示す斜視図である。
【図32】図29中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す平面図である。
【図33】図29中に示すレンズ保持部材にレンズが嵌め込まれた状態を示す断面図である。
【図34】図29中に示すレンズ保持部材の変形例として、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図35】図29中に示すレンズ保持部材の変形例として、互いの光軸を一致させた複数のレンズが重ね合われた状態で保持枠に保持された構成を示す断面図である。
【図36】保持枠の中心軸S1とレンズの中心軸S2との間の芯ズレ量Dの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 レンズ保持部材、2 レンズ、6 保持枠、7 第1の凹部、7a 第1の当接部、8 第2の凹部、8a 第2の当接部、10 熱変形部、12 位置決め部、13 カシメ部、14 第1の加熱治具、15 第2の加熱治具、16熱変形部、17 第1の加熱治具、18 第2の加熱治具、31 レンズ保持部材、32 レンズ、33 保持枠、34 凹部、34a 当接部、36 治具挿入部、37 位置決め部、38 カシメ部、39 押圧治具、51 レンズ保持部材、52 レンズ、53 保持枠、54 凹部、54a 当接部、56 突起部、57 位置決め部、58 カシメ部、71 レンズ保持部材、72 レンズ、73 保持枠、74 凹部、74a 当接部、76 弾性変位部、77 位置決め部、78 カシメ部
Claims (14)
- レンズの外周部を保持する保持枠と、
上記保持枠の内周部に設けられ、上記保持枠に嵌め込まれたレンズの一面が当接される当接部と、
上記保持枠に設けられ、上記レンズの外周面を径方向に押圧することで、上記レンズを上記保持枠の内周面の一方側に片寄せする押圧部と、
上記保持枠の内周面に設けられ、上記押圧部からの押圧により上記一方側に片寄せされたレンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、
上記保持枠の端縁部に設けられ、熱変形によりかしめられることで上記保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、上記当接部との間でレンズを固定するカシメ部とを有するレンズ保持部材。 - 上記押圧部には、熱変形によって上記レンズの外周面を径方向に押圧する熱変形部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持部材。
- 上記押圧部には、治具を挿入するための治具挿入部が設けられており、前記治具挿入部から挿入された治具によって上記レンズの外周面が径方向に押圧されること特徴とする請求項1記載のレンズ保持部材。
- 上記押圧部には、上記保持枠の内周面から突出する突起部が設けられており、上記保持枠に嵌め込まれた上記レンズに前記突起部が押し潰されることによって、上記レンズの外周面が径方向に押圧されることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持部材。
- 上記押圧部には、上記レンズの径方向に弾性変位可能な弾性変位部が設けられており、上記保持枠に嵌め込まれた上記レンズの外周面に前記弾性変位部が当接されて弾性変位することによって、上記レンズの外周面が径方向に押圧されることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持部材。
- 上記弾性変位部は、上記保持枠と一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載のレンズ保持部材。
- 上記保持枠には、複数のレンズが互いの光軸を一致させた状態で保持されることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持部材。
- レンズ保持部材にレンズを組み付ける際に、
上記レンズ保持部材に、上記レンズの外周部を保持する保持枠と、前記保持枠の内周部に上記レンズの一面が当接される当接部と、前記保持枠に上記レンズの外周面を径方向に押圧する押圧部と、前記保持枠の内周面に上記レンズの外周面の少なくとも2箇所と当接される位置決め部と、前記保持枠の端縁部に熱変形によりかしめられるカシメ部とを設け、
上記保持枠に嵌め込まれた上記レンズの外周面を上記押圧部から径方向に押圧することによって、上記レンズを上記保持枠の内周面の上記一方側に片寄せし、上記レンズの外周面の少なくとも2箇所を上記位置決め部に当接させた状態から、上記カシメ部を熱変形させてかしめることによって、上記保持枠に嵌め込まれたレンズの外周部を光軸方向の一方側に押圧し、上記当接部との間で上記レンズを固定することを特徴とするレンズ組付方法。 - 上記押圧部に、熱変形部を設け、
上記熱変形部を熱変形させることによって、上記レンズの外周面を径方向に押圧することを特徴とする請求項8記載のレンズ組付方法。 - 上記押圧部に、治具を挿入するための治具挿入部を設け、
上記治具挿入部から挿入された治具によって上記レンズの外周面を径方向に押圧すること特徴とする請求項8記載のレンズ組付方法。 - 上記押圧部に、上記保持枠の内周面から突出する突起部を設け、
上記保持枠に嵌め込まれたレンズが上記突起部を押し潰すことによって、上記レンズの外周面を径方向に押圧することを特徴とする請求項8記載のレンズ組付方法。 - 上記押圧部に、上記レンズの径方向に弾性変位可能な弾性変位部を設け、
上記保持枠に嵌め込まれたレンズの外周面に上記弾性変位部を当接させて弾性変位させることによって、上記レンズの外周面を径方向に押圧することを特徴とする請求項8記載のレンズ組付方法。 - 上記弾性変位部を上記保持枠と一体に形成することを特徴とする請求項12記載のレンズ組付方法。
- 上記保持枠に、複数のレンズを互いの光軸を一致させた状態で保持させることを特徴とする請求項8記載のレンズ組付方法。
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