JP2004347554A - Fbgセンシングシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】FBGセンシングシステムにおいて、光ファイバの両端に光を入力しループ状とし、その中間に波長分割型光合分波器の透過ポートを直列に接続し、それぞれの波長分割型光合分波器の分岐ポートにFBGセンサーを接続し、該FBGセンサーからの反射波長を測定する手段を有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、FBGを用いて歪計測や温度計測を行うFBGセンシングシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバセンシング分野において、FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)は広帯域光源であるASE(Amplified Spontaneous Emission)光源や波長可変光源などと組み合わせて、構造物の歪計測に用いられている。FBGはグレーティング間隔で決まる特定の光を反射する。FBGの反射波長幅(−3dB幅)は約0.1nmで、FBGに応力が加わり延び縮みする(FBGが歪む)ことでFBGの反射波長が変化する。このFBGを構造物の測定ヶ所に取り付けASE光等を入射し、反射波長を波長計等で測定すればFBGの歪み、すなわち構造物の歪みが計測できる。この使い方は反射型FBGセンサーと呼ばれている。
【0003】
またFBGは透過型センサーとしても使用できる。特定波長を反射するFBGは、言いかえれば特定波長の透過光を遮断する遮断体である。この遮断する波長と反射する波長はセンサーとしてみれば等価であるため、遮断光の波長を測定することで透過型センサーとして使用できる。
【0004】
さらにFBGは温度変化に対してはファイバの屈折率が変化するため、FBGは温度検出にも使用できる。言い換えればFBGを用いた歪計測は温度の影響を受けやすいので、歪計測には温度の影響を無くすような手段が必要である。
【0005】
上記の光ファイバセンシングでは30Km程遠方まで光ファイバを張り巡らせ、その地点の歪み量測定が可能である。光ファイバの伝送損失、FBG損失があるので、測定距離を伸ばしさらに測定点数を増やすために、広帯域光源や波長可変光源としては高出力で広帯域な光源が用いるられる。また精度良く反射波長を計測することが必要である。
【0006】
広帯域光源であるASE光源としては、特許文献2において図7に示すように、波長範囲100nm程度で光パワースペクトラム密度−20dB/nm以上の物が既に公開されている。
【0007】
また波長1550nmで用いられるFBGの場合、反射波長の変化は1.2pm/μストレイン程度である。即ちFBGからの反射波長の変化を1pmの分解能で計測すれば1μストレインの分解能で歪み計測が可能となる。
【0008】
図8は特許文献1に従来技術として示されているFBGセンシングシステムである。センサーとしてFBGが一つのファイバ上を直列に接続されている。
【0009】
広帯域光源90からの出力光はカプラ130を介して光ファイバ140を経由しFBGセンサー105に導かれる。FBGセンサー105は複数個あり、各々反射波長の異なるもので直列に接続されている。FBGセンサー105で反射されたそれぞれ異なる反射波長は、カプラ130に戻り、波長計150に導かれそれぞれの波長が検出される。
【0010】
また図9は特許文献3に記載されている内容を簡略化して示したものである。広帯域光源201、波長計202、3dBカプラ203(特許文献3では方向性結合器と表現されている)、光ファイバ204、FBGセンサ205で構成されている。多くのFBGセンサの測定が可能なように3dBカプラ203で分岐して使用している。
【0011】
図10は特許文献4に記載されているFBGセンシングシステムである。幹線用ファイバ400、広帯域光源401、スプリッタ402、アドドロップフィルタ411〜41N、光増幅器403、波長分離フィルタ404で構成される。特許文献1、3との違いはFBGセンサー(FBG1〜FBGN)と幹線用ファイバ400の間にアドドロップフィルタが挿入されていることで、一つのFBGセンサーが断線しても他のFBGセンサーからの信号を検出できる。
【0012】
また図11は波長可変光源を説明する図であり、従来から用いられているもので光ファイバ増幅器307、光波長可変フィルタ300、TAPカプラ301でリング状に構成したもので出力ポート302から波長可変光が得られる。
【0013】
【特許文献1】
米国特許 第5,361,130号
【0014】
【特許文献2】
特開2001−111145号
【0015】
【特許文献3】
特表2001−511895号
【0016】
【特許文献4】
特開2002−310729号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1を用いた場合、FBGセンサー105は直列に接続されているため、例えばカプラ130側の一つのFBGセンサー105が断線すれば、全部のFBGセンサーが使用できなくという問題があった。すなわちこの直列接続方式は安全性、信頼性に乏しいシステムであった。特にFBGセンサーは歪計測に用いられるもので、センサー部に応力がかかるため断線する可能性もありえるからである。
【0018】
また特許文献3を用いた場合にもFBGセンサー205は直列に接続されているため上記のように信頼性に欠けるものであった。また3dBカプラ203では透過光の挿入損失は3dB以上有るためその損失を補うには広帯域光源201の出力を高めなければならないという問題もあった。
【0019】
上記問題を解決するために特許文献4に記載されているようにアドドロップフィルタを用いる方法があるが幹線用ファイバ400が断線した場合、断線した個所以降のFBGセンサーからの信号が検出できなくなってしまうという問題点があった。
【0020】
ここでは一つのFBGセンサーや幹線用ファイバが断線等の破損に至っても他のFBGセンサーの信号には影響を与えない信頼性の高い頑強なシステムを構築することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらの課題を解決するためのものであり、広帯域光源、あるいは波長可変光源の出力光を導出する光ファイバに、光分岐器を介してループ状の光ファイバを接続し、該ループ状の光ファイバ内にFBGセンサを配置したことを特徴とする。
【0022】
また本発明は、上記ループ状の光ファイバ内に複数の波長分割型光合分岐器を介して第2のループ状光ファイバを接続し、この第2のループ状光ファイバ内にFBGセンサを配置したことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記波長分割型光合分波器がWDMカプラあるいはバンドパスフィルタであり、前記WDMカプラあるいはバンドパスフィルタは、透過ポートの透過光に対する挿入損失あるいは分岐ポートの分岐光に対する挿入損失が1dB以下であことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記波長分割型光合分波器の2つを一体化し、2つの分岐ポートを有する波長分割型光合分波器であることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記FBGセンサーを、温度補正用のFBGと歪測定用のFBGからなることを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、前記波長分割型光合分波器の2つを一体化し、2つの分岐ポートを有する波長分割型光合分波器としたことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるFBGセンシングシステムについて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す構成図である。
【0028】
本発明のFBGセンシングシステムは、波長可変光源1、光ファイバ2、光分岐器3、光分岐器4、光分岐器12、反射波長の異なるFBGセンサー10、11、ループ状光ファイバ15、光ディテクタ9、13、制御装置14で構成されている。またFBGセンサー10,11はそれぞれ歪み計測用のFBG10a、11a及び温度補償用のFBG10b、11bで構成されている。またFBG10a,10b,11a,11bはそれぞれ両側から光を入射することが可能であり、入射方向に特定波長光を反射する。
【0029】
波長可変光源1からの出力光は光ファイバ2を経由し、光分岐器3で2つにわかれてループ状光ファイバ15、分岐器4、12を介しFBGセンサー10、11に導かれる。
【0030】
例えば分岐器4側からの入力光はFBG10a,FBG10b,FBG11a,FBG11bで反射され、さらに分岐器4に戻ってきてフォトディテクタ9にて検出すると同時に波長可変光源1の設定波長からFBGセンサー10、11の反射波長を制御装置14にて計測する。
【0031】
一方分岐器12側から入力された光はFBG11b,FBG11a、FBG10b,FBG10aで反射され、さらに分岐器12に戻ってきてフォトディテクタ13にて検出すると同時に波長可変光源1の設定波長からFBGセンサー10、11の反射波長を制御装置14にて計測する。
【0032】
このような構成でFBGからの反射波長を測定しその波長変化からFBGの歪み量が変換出来る。このとき、ループ状光ファイバ15内にFBGセンサー10、11を配置し、両側からの光信号で計測することにより、ループ状光ファイバ15の一部が断線しても一方からの光信号により計測を続けることが可能となる。
【0033】
図2は本発明の第2の実施形態を示す構成図である。
【0034】
波長可変光源1、光ファイバ2、光分岐器3、光分岐器4、光分岐器12、ループ状光ファイバ15、波長分割型合分波器として各々透過光波長帯域の異なるバンドパスフィルタ5〜8、バンドパスフィルタ5〜8の分岐ポートである反射ポートに接続された第2のループ状光ファイバ16、17、反射波長の異なるFBGセンサー10、11、光ディテクタ9、13、制御装置14で構成されている。
【0035】
波長可変光源1からの出力光は光ファイバ2を経由し、光分岐器3で2つにわかれてループ状光ファイバ15に入り、分岐器4、12を介してバンドパスフィルタ5〜8に導かれる。バンドパスフィルタ5〜8はそれぞれの透過ポートを介して直列に接続され、また各々の透過光波長帯域、反射光波長帯域は異なるように設定されている。さらにそれぞれの反射光波長帯域内にそれぞれFBG10、11の反射波長がくるように設定されている。
【0036】
例えば分岐器4側からバンドパスフィルタ5に入力された光はバンドパスフィルタ5で選択されて分岐ポートである反射ポートを介して第2のループ状光ファイバ16からFBG10aに入力され、さらにFBG10a,FBG10bで反射された帯域の光はバンドパスフィルタ5に戻り、さらに分岐器4に戻ってきてフォトディテクタ9にて検出すると同時に波長可変光源1の設定波長からFBGセンサー10の反射波長を制御装置14にて計測する。
【0037】
さらにバンドパスフィルタ5,6を透過した帯域の光はバンドパスフィルタ7に導かれる。以下同様にしてFBGセンサー11の反射光もフォトディテクタ9で検出され、制御装置14にて反射波長を計測する。
【0038】
一方分岐器12側からバンドパスフィルタ8に入力された光はバンドパスフィルタ8で選択されて分岐ポートである反射ポートを介して第2のループ状光ファイバ17からFBG11bに入力され、さらにFBG11a,FBG11bで反射された帯域の光はバンドパスフィルタ8に戻り、さらに分岐器12に戻ってきてフォトディテクタ13にて検出すると同時に波長可変光源1の設定波長からFBGセンサ11の反射波長を制御装置にて計測する。
【0039】
さらにバンドパスフィルタ8,7を透過した帯域の光はバンドパスフィルタ6に導かれる。以下同様にしてFBG10b側からの反射光もフォトディテクタ12で検出され、制御装置14にて反射波長を計測する。
【0040】
このような構成でFBGからの反射波長を測定しその波長変化からFBGの歪み量が変換出来る。このとき、ループ状光ファイバ15、第2のループ状光ファイバ16、17内にFBGセンサー10、11を配置し、両側からの光信号で計測することにより、ループ状光ファイバ15や第2のループ状光ファイバ16、17の一部が断線しても一方からの光信号により計測を続けることが可能となる。
【0041】
なお、バンドパスフィルタ5〜8は図3に示すように、入射ポート20からの入射光をバンドパスフィルタ素子22によって、分岐ポート21と透過ポート23に分波するようにしたものである。また図4のように2つのフィルタ5と6(あるいはフィルタ7と8)を一体化する構成とすることも出来る。
【0042】
またここでは波長分割型合分波器としてバンドパスフィルタを用いているが、WDMカプラで合分波してもよい。バンドパスフィルタやWDMカプラの信号光損失は0.5dB程度と小さいのでFBGセンシングシステムには適する。
【0043】
このように、前記WDMカプラあるいはバンドパスフィルタは、透過ポートの透過光に対する挿入損失あるいは分岐ポートの分岐光に対する挿入損失が1dB以下であることが好ましい。
【0044】
このように構成することで一部の光ファイバやFBGセンサーが断線してもFBGセンサーの計測を継続出来る効果がある。
【0045】
【実施例】
図2に示す本発明のFBGセンシング装置を作成した。
【0046】
波長可変光源1は従来技術である図11に示したものを用いている。波長範囲40nm程度で光パワー出力10dBm以上の光源である。センサー用のFBG10(A,B)、FBG11(A,B)の中心反射波長はそれぞれ3.2nm毎で、1541.3nm、1544.5nm、1547.7m、1550.9nmに設定している。
【0047】
図3はバンドパスフィルタ(又はWDMカプラ)の構造を示す図である。バンドパスフィルタとWDMカプラの構造の違いはフィルタ素子の違いである。バンドパスフィルタ素子を使えばバンドパスフィルタになり、WDMフィルタ素子を使えばWDMカプラとなりなる。
【0048】
図2のバンドパスフィルタ5、6で用いる場合には透過ポート同士を接続して用いている。図4は図3のバンドパスフィルタを一体化したもので小型化が可能となる。
【0049】
図5はバンドパスフィルタの反射、透過特性を示す図である。入射ポート20から入力された光は図4の特性に従って分岐ポート(反射ポート)及び透過ポート23にわかれる。また透過帯域の光が透過ポート23から入力すれば、入射ポート20から出力される。同様に反射帯域の光が分岐ポート21から入力されれば、入射ポート20から出力される。
【0050】
図6はWDMカプラの反射、透過特性を示す図である。WDMカプラ5,6,7,8は図2におけるバンドパスフィルタ5,6,7、8をそれぞれ置き換えたものである。動作はバンドパスフィルタの場合と同じになる。
【0051】
この結果、例えばFBGセンサー10が故障して断線した場合でも、FBGセンサー11には何ら影響を与えることなく計測を続けることが出来る。またバンドパスフィルタ5〜8を直列に接続しているファイバが断線してもFBGセンサー10,11による計測が行える頑強なセンシングシステム構築が可能となる。
【0052】
また図1のように構成された場合には、バンドパスフィルタ5〜8が無いので図2より計測の頑丈さは劣るものの同様な効果を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、FBGセンシングシステムにおいて光ファイバの両端に光を入力しループ状とし、その中間に波長分割型光合分波器の透過ポートを直列に接続し、それぞれの波長分割型光合分波器の分岐ポートにFBGセンサーを接続して使用することで、波長分割型光合分波器を接続する光ファイバに断線があった場合でもFBGセンサによる計測を可能とし、さらにFBGセンサーが断線等の破損に至っても他のFBGセンサーの信号には影響を与えない信頼性の高い頑強なシステムを構築することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるFBGセンシングシステムの第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明におけるFBGセンシングシステムの第2の実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明のFBGセンシングシステムに用いるバンドパスフィルタの構成を示す図である。
【図4】本発明のFBGセンシングシステムに用いるバンドパスフィルタの他の構成を示す図である。
【図5】本発明に用いるバンドパスフィルタの反射特性と透過特性を示す図である。
【図6】本発明に用いるWDMカプラの反射特性と透過特性を示す図である。
【図7】従来技術のASE光源のスペクトラム波形である。
【図8】従来のFBGセンシング装置を示す図である。
【図9】従来のFBGセンシング装置を示す図である。
【図10】従来のFBGセンシング装置を示す図である。
【図11】従来の光波長可変光源を示す図である。
【符号の説明】
1:光波長可変光源
2:光ファイバ
3、4,12:光分岐器
5〜8:バンドパスフィルタ
10,11:FBGセンサ−
9,13:光ディテクタ
14:制御装置
20:入射ポート
21:分岐ポート
22:バンドパスフィルタ素子
23:透過ポート
90:広帯域光源
105:FBGセンサー
130:カプラ
140:光ファイバ
150:波長計
201:広帯域光源
202:波長計
203:3dBカプラ
204:光ファイバ
205:FBGセンサー
300:光波長可変フィルタ
301:TAPカプラ
302:出力ポート
303:光アイソレータ
304:WDMカプラ
305:ポンプLD
306:EDF
307:光ファイバ増幅器
400:幹線用ファイバ
401:広帯域光源
402:スプリッタ
403:光増幅器
404:波長分離フィルタ
411〜41N:アドドロップフィルタ
Claims (5)
- 広帯域光源、あるいは波長可変光源の出力光を導出する光ファイバに、光分岐器を介してループ状の光ファイバを接続し、該ループ状の光ファイバ内にFBGセンサを配置したことを特徴とするFBGセンシングシステム。
- 上記ループ状の光ファイバ内に複数の波長分割型光合分岐器を介して第2のループ状光ファイバを接続し、この第2のループ状光ファイバ内にFBGセンサを配置したことを特徴とする請求項1記載のにFBGセンシングシステム。
- 前記波長分割型光合分波器がWDMカプラあるいはバンドパスフィルタであり、前記WDMカプラあるいはバンドパスフィルタは、透過ポートの透過光に対する挿入損失あるいは分岐ポートの分岐光に対する挿入損失が1dB以下であことを特徴とする請求項2記載のFBGセンシングシステム。
- 前記波長分割型光合分波器の2つを一体化し、2つの分岐ポートを有する波長分割型光合分波器としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のFBGセンシングシステム。
- 前記FBGセンサーは、温度補正用のFBGと歪測定用のFBGからなることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のFBGセンシングシステム。
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