JP4373842B2 - Fbgセンシングシステム - Google Patents

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本発明は、FBGを用いて歪計測や温度計測を行うFBGセンシングシステムに関するものである。
光ファイバセンシング分野において、FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)は広帯域光源であるASE(Amplified Spontaneous Emission)光源や波長可変光源などと組み合わせて、構造物の歪計測に用いられている。FBGはグレーティング間隔で決まる特定の光を反射する。FBGの反射波長幅(−3dB幅)は約0.1nmで、FBGに応力が加わり延び縮みする(FBGが歪む)ことでFBGの反射波長が変化する。このFBGを構造物の測定箇所所に取り付けASE光等を入射し、反射波長を波長計等で測定すればFBGの歪み、すなわち構造物の歪みが計測できる。この使い方は反射型FBGセンサーと呼ばれている。
またFBGは透過型センサーとしても使用できる。特定波長を反射するFBGは、言いかえれば特定波長の透過光を遮断する遮断体である。この遮断する波長と反射する波長はセンサーとしてみれば等価であるため、遮断光の波長を測定することで透過型センサーとして使用できる。
さらにFBGは温度変化に対してはファイバの屈折率が変化するため、FBGは温度検出にも使用できる。言い換えればFBGを用いた歪計測は温度の影響を受けやすいので、歪計測には温度の影響を無くすような手段が必要である。
上記の光ファイバセンシングでは30Km程遠方まで光ファイバを張り巡らせ、その地点の歪み量測定が可能である。光ファイバの伝送損失、FBG損失があるので、測定距離を伸ばしさらに測定点数を増やすために、広帯域光源や波長可変光源としては高出力で広帯域な光源が用いられる。また精度良く反射波長を計測することが必要である。
広帯域光源であるASE光源としては、特許文献2において図8に示すような、波長範囲100nm程度で光パワースペクトラム密度−20dB/nm以上の物が既に公開されている。
また波長1550nmで用いられるFBGの場合、反射波長の変化は1.2pm/μストレイン程度である。即ちFBGからの反射波長の変化を1pmの分解能で計測すれば1μストレインの分解能で歪み計測が可能となる。
図9は特許文献1に従来技術として示されているFBGセンシングシステムである。センサーとしてFBGが一つのファイバ上を直列に接続されている。
広帯域光源90からの出力光はカプラ130を介して光ファイバ140を経由しFBGセンサー105に導かれる。FBGセンサー105は複数個あり、各々反射波長の異なるもので直列に接続されている。FBGセンサー105で反射されたそれぞれ異なる反射波長は、カプラ130に戻り、波長計150に導かれそれぞれの波長が検出される。
また図10は特許文献3に記載されている内容を簡略化して示したものである。広帯域光源201、波長計202、3dBカプラ203(特許文献3では方向性結合器と表現されている)、光ファイバ204、FBGセンサー205で構成されている。多くのFBGセンサーの測定が可能なように3dBカプラ203で分岐して使用している。
図11は特許文献4に記載されているFBGセンシングシステムである。幹線用ファイバ400、広帯域光源401、スプリッタ402、アドドロップフィルタ411〜41N、光増幅器403、波長分離フィルタ404で構成される。特許文献1、3との違いはFBGセンサー(FBG〜FBG)と幹線用ファイバ400の間にアドドロップフィルタが挿入されていることで、一つのFBGセンサーが断線しても他のFBGセンサーからの信号を検出できる。
また図12は特許文献4、非特許文献2に開示されているFBGセンシングシステムである。広帯域光源1の出力は3dBカプラ3の第1ポートに接続され、第3ポート、第4ポートは光ファイバを介してループ状とし、そのループ状ファイバ7内にいくつかのFBGセンサー6が配置されている。前記3dBカプラ3の第2ポートには波長計11が接続されFBGセンサー6からの反射波長が計測される構成である。
米国特許 第5,361,130号 特開2001−111145号公報 特表2001−511895号公報 特開2002−310729号公報 特願2003−296505号公報 1992年電子情報通信学会秋季大会、C−224 Libo Yuan, et al., "Enhancement of Multiplexing Capability of Low-Coherence Interferometric Fiber Sensor Array by Use of a Loop Topology" Journal of Lightwave Technology , Vol.21,No.5, pp1313-1319,May 2003,
しかしながら特許文献1を用いた場合、FBGセンサー105は直列に接続されているため、例えばカプラ130側の一つのFBGセンサー105が断線すれば、全部のFBGセンサーが使用できなくという問題があった。すなわちこの直列接続方式は安全性、信頼性に乏しいシステムであった。特にFBGセンサーは歪計測に用いられるもので、センサー部に応力がかかるため断線する可能性もありえるからである。
また特許文献3を用いた場合にもFBGセンサー205は直列に接続されているため上記のように信頼性に欠けるものであった。また3dBカプラ203では透過光の挿入損失は3dB以上有るためその損失を補うには広帯域光源201の出力を高めなければならないという問題もあった。
上記問題を解決するために特許文献4に記載されているようにアドドロップフィルタを用いる方法があるが幹線用ファイバ400が断線した場合、断線した個所以降のFBGセンサーからの信号が検出できなくなってしまうという問題点があった。
また特許文献4、および非特許文献2においてもループ状ファイバ7の一箇所の断線においては正常に機能するが、2箇所以上の断線に対してはFBGセンサーの信号を正常に検出できなくなる場合がある。
ここでは複数のFBGセンサーや幹線用ファイバが断線等の破損に至っても他のFBGセンサーの信号には影響を与えない信頼性の高い頑強なシステムを構築することを課題とする。
本発明はこれらの課題を解決するためのものであり、広帯域光源または波長可変光源からの出力光を導出する光ファイバに、2×2ポートの光カプラの第1ポートを接続し、該第1ポートと反対側の第3ポートと第4ポートとの間を光ファイバを介してループ状に接続し、該ループ状の光ファイバ内にFBGセンサーを配置し、前記光カプラの第2ポートを信号検出ポートとしたFBGセンシングシステムであって、前記ループ状の光ファイバ内に第2の2×2ポートの光カプラの第2ポートおよび第4ポートを接続し、該第2の光カプラの第1ポートと第3ポートを光ファイバで接続して第2のループを構成し、該第2のループの光ファイバ内に第2のFBGセンサーを配置したことを特徴とする。
さらに、上記光カプラおよび第2の光カプラは、それぞれ分岐比を50%としたことを特徴とする。
また、上記ループ状の光ファイバ内に偏波コントローラを付加することを特徴とする。
本発明によれば、FBGセンシングシステムにおいてループ状光ファイバを2重に構成し、その内部にFBGセンサーを配置することで、FBGセンサーやループ状光ファイバに断線があった場合でもFBGセンサーによる計測を可能とし信頼性の高い頑強なシステムを構築することが出来る。
まず本発明のベース技術である光ファイバループミラーについて図3を用いて説明する。非特許文献1に開示されているもので、光カプラ3の一方側の第3ポート3cと第4ポート3dとを光ファイバでループ状に接続することで、第1ポート3aから入射した光がループ状の光ファイバで全反射して第1ポート3aに戻ってくるという技術である。全反射するする条件として光カプラ3の分岐比は50%である。また偏光方向がループミラーの途中で変化しては完全なループミラーにならないので光カプラ3としては偏波保持型光カプラを用いたほうが安定することも知られている。
本発明ではファイバループミラー内部にFBGセンサーを配置し、FBGセンサーからの反射光を第2ポート3bから抽出する構成を提案する。本構成により次ぎの効果が期待できる。
(1)S/N(信号対雑音比)の良いFBGセンサー信号が抽出できる。FBGセンサー両側から反射信号が得られるため信号強度が大きくなる。
(2)ファイバループミラー3の一部が事故等で断線しても、FBGセンサー信号を抽出できる。
上記に基づき、以下、本発明によるFBGセンシングシステムについて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す構成図である。
本発明のFBGセンシングシステムは、広帯域ASE光源1からの出射光を光ファイバ2で光ファイバカプラ3の第1ポート3aに接続し、第2ポート3bに波長計を接続して信号検出ポートとしてある。一方、反対側の第3ポート3cと第4ポート3dとの間をループ状光ファイバ7で接続するとともに、このループ状光ファイバ7内に第2の光ファイバカプラ4、FBGセンサー6、偏波コントローラ12を配置してある。上記第2の光ファイバカプラ4は、第2ポート4b、第4ポート4dをループ状光ファイバ7に接続し、第1ポート4a、第3ポート4cとの間を第2のループ状光ファイバ8で接続し、この中に第2のFBGセンサー5を配置している。
上記FBGセンサー5、6はそれぞれ両側から光を入射することが可能であり、入射方向に特定波長光を反射する。波長計13は市販されている光スペクトラムアナライザーや光波長計を用いることができる。
即ち、第2のFBGセンサー5が配置されていない場合、広帯域ASE光源1からの出力光は光ファイバ2を経由し、光ファイバカプラ3で2つに分かれてループ状光ファイバ7を介しFBGセンサー6に導かれる。例えば光ファイバカプラ3の第3ポート3cからの出力光はFBGセンサー6で特定波長が反射され、光ファイバカプラ3の第3ポート3cに戻って来る。一方FBGセンサー6を透過した光は光ファイバカプラ3の第4ポート3dに戻ってくる。同様に光ファイバカプラの第4ポート3dからの出力光はFBGセンサー6で特定波長が反射され、反射光は光ファイバカプラ3の第4ポート3dに戻り、透過光は光ファイバカプラ3の第3ポート3cに戻って来る。
このときFBGセンサー6からの反射光を光ファイバカプラ3の第2ポート3bから出力するように偏波コントローラ12を回転させながら調整し、FBGセンサー6の反射波長を波長計にて計測する。光ファイバカプラ3やループ状光ファイバ7が偏波保持ファイバで無い場合、完全なループミラーを構成できない状態がある。偏波コントローラ12は光ファイバカプラ3における偏光状態を調整し、ループミラーを構成するために必要である。
但し、FBGセンサー6の配置はループ状光ファイバ7の中間位置を避けて配置する必要がある。ちょうど中間に配置されると、FBGセンサーからの反射光同士が光ファイバカプラ3で干渉し反射光が不安定になるからである。
次に図1のように第2のFBGセンサー5を配置した場合を考える。広帯域ASE光源1の出力光は、第2の光ファイバカプラ4を介して第2のFBGセンサー5の両側に導かれるようになる。第2のFBGセンサー5で特定波長が反射され、反射光及び透過光は光ファイバカプラ3の第4ポート3d及び、光ファイバカプラの第3ポート3cに戻って来る。
このような構成でFBGからの反射波長を測定しその波長変化からFBGの歪み量が変換出来る。
また、例えばFBGセンサー5が事故で断線した場合を考える。この場合は特許文献4あるいは非特許文献2に記されているものと近い状態になり、FBGセンサー6の信号は検出可能である。このようにFBGセンサーの断線やループ状光ファイバ7及び8の一部が断線しても一方からの光信号により計測を続けることが可能となる。
図2は本発明の第2の実施形態を示す構成図である。実施形態1と異なる点は、FBGセンサー数を増やすために2系統の第2のループ状ファイバ8,11を有し、それぞれに第2のFBGセンサー5,9を配置したことである。実施形態1と同様にループ状光ファイバ8、11が断線しても計測を続けることが可能となる。
このように構成することで一部の光ファイバやFBGセンサーが断線してもFBGセンサーの計測を継続出来る効果がある。
図1に示す本発明のFBGセンシングシステムを作成した。
広帯域光源1は特許文献2に示したものを用いている。FBGセンサー5及び6の中心反射波長はそれぞれ、1551.0nm、1554.0nmに設定している。光波長計13としては市販の光スペクトラムアナライザーを用いている。
図4は本システムが正常に動作している場合の光波長計13の測定波形である。図5〜図7は本システムの各点を断線した場合の光波長計13の測定波形である。図5はC点を切断、図6はC点及びA点を断線、図7はC点及びB点を切断した場合のそれである。
これらから以下を確認した。
(1)ループ状光ファイバ7の一端(C点)が断線しても測定可能である(図5)。
(2)本システムが正常動作している場合の測定波形(図4)は断線した場合(図5)の測定波形より大きな信号振幅が得られる。すなわちS/Nの良いFBGセンサー信号が抽出できる。
(3)ループ状光ファイバ7の一端(C点)及び第2のループ状ファイバのA点が断線しても測定可能である(図6)。
(4)ループ状光ファイバ7の一端(C点)及び第2のループ状ファイバのB点が断線した場合、FBGセンサー6は測定可能で、FBGセンサー5は測定不可能である(図6)。
本発明におけるFBGセンシングシステムの第1の実施形態を示す構成図である。 本発明におけるFBGセンシングシステムの第2の実施形態を示す構成図である。 光ファイバループミラーの構成を示す図である。 本発明実施例における正常動作時の測定波形である。 本発明実施例における光ファイバのC点が断線した場合の測定波形である。 本発明実施例における光ファイバのC点、A点が断線した場合の測定波形である。 本発明実施例における光ファイバのC点、B点が断線した場合の測定波形である。 従来のASE光源のスペクトラム波形である。 従来のFBGセンシング装置を示す図である。 従来のFBGセンシング装置を示す図である。 従来のFBGセンシング装置を示す図である。 従来のFBGセンシング装置を示す図である。
符号の説明
1:広帯域光源
2:光ファイバ
3:光ファイバカプラ
4、9:光ファイバカプラ
5〜6、10:FBGセンサー
7〜8、11:ループ状光ファイバ
12:偏波コントローラ
13:光波長計
90:広帯域光源
105:FBGセンサー
130:カプラ
140:光ファイバ
150:波長計
201:広帯域光源
202:波長計
203:3dBカプラ
204:光ファイバ
205:FBGセンサー
300:光波長可変フィルタ
301:TAPカプラ
302:出力ポート
303:光アイソレータ
304:WDMカプラ
305:ポンプLD
306:EDF
307:光ファイバ増幅器
400:幹線用ファイバ
401:広帯域光源
402:スプリッタ
403:光増幅器
404:波長分離フィルタ
411〜41N:アドドロップフィルタ

Claims (3)

  1. 広帯域光源または波長可変光源からの出力光を導出する光ファイバに、2×2ポートの光カプラの第1ポートを接続し、反対側の第3ポートと第4ポートとの間を光ファイバを介してループ状に接続し、該ループ状の光ファイバ内にFBGセンサーを配置し、前記光カプラの第2ポートを信号検出ポートとしたFBGセンシングシステムであって、前記ループ状の光ファイバ内に第2の2×2ポートの光カプラの第2ポートおよび第4ポートを接続し、該第2の光カプラの第1ポートと第3ポートを光ファイバで接続して第2のループを構成し、該第2のループの光ファイバ内に第2のFBGセンサーを配置したことを特徴とするFBGセンシングシステム。
  2. 上記光カプラおよび第2の光カプラは、それぞれ分岐比を50%としたことを特徴とする請求項1記載のFBGセンシングシステム。
  3. 上記ループ状の光ファイバ内に偏波コントローラを付加することを特徴とする請求項1〜2のいすれかに記載のFBGセンシングシステム。
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