JP2004347032A - 変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Keisuke Hosokawa
圭介 細川
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】連続コーナ区間においては変速動作を禁止するとともに、コーナ区間を脱出した際には速やかに変速動作の禁止を解除する。
【解決手段】車両には変速制御を行うミッションECUが組み付けられる。ECUには横Gセンサから車両の旋回状態を示す横Gが入力され、ECUは横Gに基づいて横G変化率を演算する。また、ECUには許容加速度範囲と許容変化率範囲とが格納される。車両が連続コーナに進入することにより、横Gが許容加速度範囲を超えるとギアホールド制御が実行され(符号B1)、横Gが再び許容加速度範囲に収まることでギアホールド制御の解除判定が開始される(符号B2)。解除判定においては、横Gが許容加速度範囲に収まり、かつ横G変化率が許容変化率範囲に収まることが解除条件となり、連続コーナの切り返しにおいては横G変化率が解除条件を満たさないためギアホールド制御が実行され続ける(符号C)。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される変速機の変速制御装置に関し、特に、コーナリングにおける変速動作を制限する際に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行状況に応じて自動的に変速する変速機には、変速比を段階的に切り換える自動変速機と、変速比を無段階に切り換える無段変速機とがある。自動変速機には、遊星歯車列の動力伝達経路を切り換えて1軸上で変速を行う遊星歯車式と、手動変速機と同様に平行軸上で変速を行う平行軸式とがある。一方、無段変速機には、プーリに対するベルトの巻き付け径を変化させて変速を行うベルトドライブ式と、ディスクに対するパワーローラの接触半径を変化させて変速を行うトロイダル式とがある。
【0003】
これらの変速機を制御するコントロールユニットは、シミュレーションや試験等に基づいて設定された変速特性パターンを備えている。自動変速を行う際には、車速やスロットル開度等から変速特性パターンを参照することにより、コントロールユニットは走行状況に応じた変速比を設定する。
【0004】
一般的に、このような変速特性パターンは、アクセルペダルを踏み込むことでスロットル開度が増大するときには変速機をダウンシフトさせる傾向にある一方、アクセルペダルを離してスロットル開度が減少するときには変速機をアップシフトさせる傾向にある。このため、車両がコーナを旋回走行するときには、変速機がアップシフトされる傾向にあるが、コーナリング中の変速動作は車輪の駆動トルク変動を引き起こすため、車両の挙動を不安定にしてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、コーナリング中のアップシフトを抑制するため、コーナリング中の車両にかかる横加速度(横G)が所定値を上回った場合に、変速動作を禁止するシフトホールドを実行するようにした変速制御装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。また、横Gが所定値を下回った場合には、所定のディレイ時間(1.6〜3.0秒程度)を経た後にシフトホールドを解除するようになっており、このディレイ時間は車両がコーナから直進路に進入したときにシフトホールドを解除するように設定される。
【0006】
【特許文献1】
特許第3122083号公報(第3頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、直進路でのアップシフト遅れを回避するためにディレイ時間を短く設定すると、山岳路などの連続コーナを走行する場合には、左右の連続コーナを切り返す際にアップシフトされるおそれがある。つまり、左右の連続コーナを切り返す際には、車両にかかる横Gが一旦減少するため、シフトホールドの解除判定がなされることになるが、ここでディレイ時間が短い場合には、次の旋回走行により横Gが上昇する前に、シフトホールドが解除されるとともにアップシフトされてしまうおそれがある。また、コーナ進入前にアップシフトがなされた場合には、コーナ進入時のギア比が小さくエンジンブレーキが効きにくくなるおそれもある。
【0008】
また、連続コーナでのシフトホールドを維持するためにディレイ時間を長く設定すると、直進路でのアップシフトが遅れることになり、運転者に違和感を与えるとともに運転のリズムを乱すことにもなる。さらに、コーナの曲率や直進路の長さは多種多様であるため、連続コーナの全てにおいてシフトホールドを維持するディレイ時間を的確に設定することは困難であった。
【0009】
本発明の目的は、連続コーナ区間においては変速動作を禁止するとともに、コーナ区間を脱出した際には速やかに変速動作の禁止を解除することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の変速機の変速制御装置は、エンジンに駆動される入力軸と駆動輪に連結される出力軸とを備え、前記入力軸から前記出力軸に自動的に動力を変速して伝達する変速機の変速制御装置であって、車両のコーナ旋回状態を検出する旋回検出手段と、前記旋回検出手段からの検出値に基づいて、前記検出値の変化率を演算する変化率演算手段と、前記検出値が所定の検出値範囲を超えるときには、変速動作を禁止する変速禁止手段と、前記検出値が所定の検出値範囲に収まるとともに前記変化率が所定の変化率範囲に収まるときには、変速動作の禁止を解除する変速解除手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の変速機の変速制御装置は、前記検出値は車幅方向の横加速度または車輪の操舵角であることを特徴とする。
【0012】
本発明の変速機の変速制御装置は、高速走行時には低速走行時に比べて前記変化率範囲を狭く設定することを特徴とする。
【0013】
本発明の変速機の変速制御装置は、前記変速動作はアップシフトであることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、車両の旋回状態を示す検出値が所定の検出値範囲に収まるとともに、変化率が所定の変化率範囲に収まることを条件として、変速動作の禁止を解除するようにしたので、左右に連続するコーナを走行するときには変速動作を確実に禁止して、車両の走行安定性を高めることができる。
【0015】
また、連続コーナでの変速動作を禁止するためにディレイ時間を長く設定する必要がなく、コーナを脱出して直進路に進入したときには変速動作の禁止を素早く解除することができ、運転者に違和感を与えることもない。
【0016】
さらに、ディレイ時間を長く設定する必要がなく、運転操作が直接的に変速動作の禁止や解除に反映されるため、車両と運転者との一体感を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両に搭載される駆動系を示す概略図である。図1に示すように、エンジン10と推進軸11との間には自動変速機12が設けられており、エンジン動力は自動変速機12によって変速されて推進軸11に伝達される。推進軸11と駆動輪13とは図示しないディファレンシャル機構を介して連結されており、変速されたエンジン動力によって駆動輪13が駆動される。
【0018】
自動変速機12は複数の作動油路を切り換えるバルブユニット14を備えており、バルブユニット14を介して供給される作動油により自動変速機12内の動力伝達系路が切り換えられて変速段が設定される。このバルブユニット14に組み込まれる各種切換弁は、ミッションコントロールユニット15(以下、ミッションECUという)からの制御信号によって切換駆動される。また、エンジン10の燃料噴射制御や点火時期制御などを実行するため、エンジン10にはエンジンECU16からの制御信号が入力されている。なお、ミッションECU15とエンジンECU16とは相互に通信することができ、たとえば、変速時にエンジン出力を制御することによって滑らかな変速を行うことができる。
【0019】
図2は自動変速機12の内部構造を示すスケルトン図であり、自動変速機12の一部を示している。図2に示すように、この自動変速機12は遊星歯車式の自動変速機であり、トルクコンバータ20を介してエンジン10に駆動される入力軸21と、これの同軸上に設けられ駆動輪13に連結される出力軸22とを有している。入力軸21と出力軸22との間には、フロント側の遊星歯車列23とリア側の遊星歯車列24とからなる変速歯車列が設けられており、入力軸21に入力されたエンジン動力は遊星歯車列を介して変速された後に出力軸22に出力される。なお、変速機としては遊星歯車式の自動変速機12に限られることはなく、平行軸式の自動変速機であっても良く、ベルトドライブ式やトロイダル式の無段変速機であっても良い。
【0020】
遊星歯車列23,24は、サンギア23a,24aと、これの径方向外方に設けられるリングギア23b,24bと、サンギア23a,24aおよびリングギア23b,24bに噛み合うピニオンギア23c,24cとをそれぞれに備えている。ピニオンギア23cを回転自在に支持するキャリア23dの一端はハイクラッチ30に連結されており、キャリア23dの他端はロークラッチ31およびローリバースブレーキ32に連結されるとともにローワンウエイクラッチ33に連結されている。また、サンギア23aはリバースクラッチ34と2&4ブレーキ35とに連結され、リングギア23bはピニオンギア24cを回転自在に支持するキャリア24dを介して出力軸22に連結されている。さらに、サンギア24aは入力軸21に連結され、リングギア24bはロークラッチ31に連結されている。
【0021】
これらのクラッチやブレーキ30〜35を係合状態と解放状態とに切り換えることによって、遊星歯車列23,24の各ギアからなる入力要素、出力要素および反力要素が、連結状態、解放状態および固定状態のいずれかに切り換えられる。これにより、遊星歯車列23,24内の動力伝達経路が切り換えられ、入力軸21からのエンジン動力が動力伝達経路に応じた変速比で変速されて出力軸22に伝達される。
【0022】
変速段を第1速に設定する際にはロークラッチ31が係合状態に切り換えられ、第2速に設定する際にはロークラッチ31と2&4ブレーキ35とが係合状態に切り換えられる。また、第3速に設定する際にはロークラッチ31とハイクラッチ30とが係合状態に切り換えられ、第4速に設定する際にはハイクラッチ30と2&4ブレーキ35とが係合状態に切り換えられる。さらに、後退段に設定する際にはリバースクラッチ34とローリバースブレーキ32とが係合状態に切り換えられる。なお、第1速で走行する際にローワンウエイクラッチ33によってキャリア23dの回転が規制されることになる。
【0023】
図3は本発明の一実施の形態である変速制御装置の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、それぞれのクラッチおよびブレーキ30〜32,34,35には、バルブユニット14に組み込まれた切換弁30a〜32a,34a,35aを介して作動油が供給されており、作動油はオイルポンプ36から調圧弁37を介してそれぞれの切換弁30a〜32a,34a,35aに供給される。これらの切換弁30a〜32a,34a,35aはミッションECU15からの駆動信号によって連通状態と遮断状態とに切り換えられ、各クラッチおよびブレーキ30〜32,34,35に対する作動油の供給を制御する。そして、作動油の供給と遮断により、各クラッチおよびブレーキ30〜32,34,35は係合状態と解放状態とに切り換えられる。なお、図2に示すように、作動油を吐出するオイルポンプ36はエンジン10によって駆動される。
【0024】
クラッチやブレーキ30〜32,34,35を係合制御して変速段を設定するミッションECU15は、マイクロプロセッサ(CPU)を備えており、このCPUにはバスラインを介してROM、RAMおよびI/Oポートが接続される。ROMは制御プログラム、変速特性パターン、演算式およびマップデータなどを格納しており、RAMはCPUで演算処理したデータを一時的に格納するようになっている。また、I/Oポートを介してCPUには各種センサやスイッチから車両の走行状態を示す各種検出信号が入力される。
【0025】
CPUに各種検出信号を入力する各種センサやスイッチとしては、車両の車幅方向にかかる横加速度(横G)を検出する横Gセンサ40、車輪の操舵角を検出する操舵角センサ41、車両の走行速度を検出する車速センサ42、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ43、セレクトレバーの操作によって選択された走行レンジを検出するインヒビタスイッチ44、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキスイッチ45などがある。また、ミッションECU15のCPUには、エンジンECU16からエンジン回転数などエンジン10に関する検出信号が入力される。
【0026】
ミッションECU15は、各種検出信号に基づいて車両の走行状況を総合的に判定し、車速やスロットル開度などをパラメータとして変速特性パターンを参照することにより走行状況に応じた変速段を決定する。そして、決定された変速段に遊星歯車列を切り換えるため、CPUは切換弁30a〜32a,34a,35aに対する駆動信号を演算するとともに出力して変速段の切り換えを実行する。
【0027】
また、ミッションECU15は、運転者のスイッチ操作等により選択された走行モードに応じて、変速特性パターンを適宜変更することができる。たとえば、走行性能を重視したパワーモードが選択された場合には、変速動作を行う際のエンジン回転数を高めに設定する一方、燃費性能を重視したエコノミーモードが選択された場合には、変速動作を行う際のエンジン回転数を低めに設定することにより、運転者の多種多様な要求に応じることができる。
【0028】
このようなミッションECU15は、走行状況に応じて自動変速制御を実行するだけでなく、変速禁止手段および変速解除手段として機能し、走行状況によっては変速動作を禁止して変速段を維持するギアホールド制御を実行する。以下、ミッションECU15によるギアホールド制御について説明する。
【0029】
図4(A)および(B)はギアホールド制御が実行される際の走行状況を示す説明図である。また、図5は図4(A)に示す走行状況下において車両にかかる横Gとこれの変化率とを示す線図であり、図6は図4(B)に示す走行状況下において車両にかかる横Gとこれの変化率とを示す線図である。
【0030】
まず、走行路が図4(A)に示すような単一コーナや図4(B)に示すような連続コーナである場合には、旋回する車両に矢印で示すような横Gが作用することになる。車両に大きな横Gが作用した状態のもとで、車速やスロットル開度に応じて自動変速制御が実行されると、駆動輪13のトルク変動に伴って車両の挙動が不安定になるおそれがあるため、旋回走行時には変速動作を禁止するギアホールド制御が実行される。
【0031】
このとき、車両にかかる横Gのみを条件に旋回走行を判定してギアホールド制御を解除すると、図4(A)に示す単一コーナを走行する際には問題が発生しないものの、図4(B)に示す連続コーナを走行する際には、1つ目の右コーナ脱出から2つ目の左コーナ進入にかけて車両にかかる横Gが一旦減少するため、旋回走行とは判定されずに自動変速制御が実行されてしまうおそれがある。
【0032】
そこで、本発明の一実施の形態である変速制御装置は、以下のように車両の直進状態と旋回状態とを判定してギアホールド制御を解除する。まず、車両の直進状態と旋回状態とを判定するため、旋回検出手段としての横Gセンサ40からの検出値でありコーナ旋回状態を示す横GがミッションECU15に入力され、ミッションECU15により横Gの変化率である横G変化率が演算される。つまり、ミッションECU15は変化率演算手段として機能することになる。なお、横Gセンサ40はピエゾ抵抗素子を用いたピエゾ抵抗型加速度センサであるが、圧電型加速度センサや静電容量型加速度センサを用いるようにしても良い。
【0033】
また、ミッションECU15には、横Gと比較判定される許容加速度や、横G変化率と比較判定される許容変化率が格納されており、これらの許容加速度や許容変化率はシミュレーションや試験等により予め求められている。そして、図5および図6に示すように、許容加速度により区画される検出値範囲としての許容加速度範囲や、許容変化率により区画される変化率範囲としての許容変化率範囲に、横Gや横G変化率が収束するか否かによって、車両が直進状態にあるか旋回状態にあるかが判定される。
【0034】
図7は許容加速度と車速との相関を示す線図であり、図8は許容変化率と車速との相関を示す線図である。図7に示すように、許容加速度は車速の増大に応じて増大するように設定されており、中速域から高速域にかけてほぼ一定の値に設定されている。つまり、高速走行時には低速走行時に比べて許容加速度範囲は広く設定されることになる。また、図8に示すように、許容変化率は車速の増大に応じて減少するように設定されており、中速域から高速域にかけてほぼ一定の値に設定されている。つまり、高速走行時には低速走行時に比べて許容変化率範囲は狭く設定されることになる。
【0035】
まず、図4(A)に示す単一コーナを車両が走行する場合について説明する。車両が直進路からコーナに進入すると、旋回半径、車速、路面抵抗などに応じて車両には横Gが作用する。図5に示すように、この横Gはコーナ進入から徐々に増加することになるが、符号A1で示すように、横Gが許容加速度を上回った場合には、車両が旋回状態にあると判定され、自動変速機12の変速動作を禁止するギアホールド制御が実行される。つまり、車両に作用する横Gが許容加速度範囲から外れることがギアホールド制御の実行条件となっている。
【0036】
続いて、符号A2で示すように、車両のコーナ脱出にかけて減少する横Gが許容加速度を下回った場合には、ギアホールド制御の解除判定が開始される。この解除判定が開始されると、ミッションECU15は横G変化率が許容変化率範囲に収束するか否かを判定する。符号A3で示すように、横Gが許容加速度範囲に収束した状態のもとで、横G変化率が許容変化率範囲に収束したときには、車両が旋回状態から直進状態に移ったと判定され、所定のディレイ時間Tdを経過した後にギアホールド制御が解除される。つまり、車両に作用する横Gが許容加速度範囲に収まるとともに横G変化率が許容変化率範囲に収まることが、ギアホールド制御の解除条件となっている。
【0037】
ここで、図9はディレイ時間Tdと走行状況MFとの関係を示す線図である。図9に示すように、ミッションECU15に格納されるディレイ時間Tdは、走行状況MFに応じて時間長さを変更することが可能である。走行状況MFとは車両運動状態及びドライバ操作からの推定値であるが、現在より以前の状況であり、現在の状況そのものとは異なる。したがって、ディレイ時間Tdは極力短く、或いは零に設定する方が現在の運転状況とのずれを小さくできるため有効である。そのため、本実施の形態においては、ディレイ時間Tdは走行状況MFに応じて設定されるものの、ディレイ時間Tdは極力短く、或いは零に設定される。
【0038】
次いで、図4(B)に示す連続コーナを走行する場合について説明する。前述の単一コーナと同様に、コーナ進入により横Gが許容加速度を上回った場合には、ギアホールド制御が実行される(符号B1)。続いて、コーナ脱出にかけて減少する横Gが許容加速度を下回った場合には、ギアホールド制御の解除判定が開始される(符号B2)。
【0039】
ここで、車両は連続コーナを走行しているため、1つ目の右コーナを脱出すると続けて2つ目の左コーナに進入することになり、右コーナ脱出にかけて減少する横Gは左コーナ進入に伴って逆向きに増加することになる。つまり、ミッションECUに入力される横Gは減少傾向を継続することになるため、符号Cで示すように、横G変化率は許容変化率範囲を超える値を保持することになる。続いて、符号B3で示すように、2つ目の左コーナを旋回走行することにより、横Gが再び許容加速度を上回るため、解除判定はギアホールド制御を解除することなく終了する。このように、連続コーナの切り返しにおいては、横Gはギアホールド制御の解除条件を満たすものの、横G変化率が解除条件を満たすことはなく、ギアホールド制御の実行が維持されることになる。
【0040】
続いて、符号B4で示すように、2つ目のコーナ脱出にかけて減少する横Gが許容加速度を下回った場合には、再びギアホールド制御の解除判定が開始される。この解除判定において、符号B5で示すように、横Gが許容加速度範囲に収まった状態のもとで、横G変化率が許容変化率範囲に収まったときには、車両が旋回状態から直進状態に移ったと判定され、所定のディレイ時間Tdを経過した後にギアホールド制御が解除される。
【0041】
このように、ギアホールド制御を解除する際には、横Gが許容加速度範囲に収まり、かつ横G変化率が許容変化率範囲に収まることを解除条件としたので、連続コーナを走行するときには変速動作を確実に禁止して、車両の走行安定性を高めることができる。
【0042】
また、連続コーナでの変速動作を禁止するためにディレイ時間Tdを長く設定する必要がなく、コーナを脱出して直進路に進入したときには変速動作の禁止を素早く解除することができ、運転者に違和感を与えることもない。
【0043】
さらに、図7に示すように、低速走行時には高速走行時に比べて許容加速度を低く設定するようにしたので、高速走行時に比べて横Gの上昇が鈍くなる低速走行時であっても、確実にギアホールド制御を実行することができる。
【0044】
さらに、図8に示すように、高速走行時には低速走行時に比べて許容変化率を低く設定するようにしたので、低速走行時に比べて横Gが上昇し易い高速走行時においてギアホールド制御の解除を安全に行うことができる。つまり、高速走行時の許容変化率範囲が狭く設定されるため、ギアホールド制御の解除判定ポイントを、車両がほぼ直進状態となるコーナ出口に設定することができる。
【0045】
図10はギアホールド制御の実行手順を示すフローチャートである。以下、前述のギアホールド制御を図10のフローチャートに基づいて説明する。図10に示すように、ステップS1では解除タイマがダウンカウントされる。この解除タイマにはディレイ時間Tdに相当する初期数値が予め入力されており、ステップS1においてこの数値から所定の数値が減算されることになる。続くステップS2では横Gが許容加速度を下回るか否かが判定される。ステップS2において、横Gが許容加速度を上回るときには、ステップS3に進みギアホールド制御が実行され、続くステップS4において、解除タイマのダウンカウントがリセットされてルーチンを抜けることになる。つまり、車両にかかる横Gが許容加速度範囲を超えている間は、車両が旋回状態にあると判定されるため、ギアホールド制御が実行され続けることになる。
【0046】
一方、ステップS2において、車両にかかる横Gが許容加速度を下回るときには、ステップS5に進み、ギアホールド制御が実行中であるか否かが判定される。ギアホールド制御が実行されているときには、ステップS6に進み、横G変化率の絶対値が許容変化率を下回るか否かが判定される。横G変化率が許容変化率を下回るときには、車両にかかる横Gが収束する傾向にあるため、続くステップS7に進み、解除タイマがタイマオーバーであるか否かが判定される。
【0047】
解除タイマがタイマオーバーになっていない場合、つまりディレイ時間Tdが経過していない場合には、ギアホールド制御の実行を維持したままルーチンを抜け、再びステップS1で解除タイマがダウンカウントされることになる。つまり、ギアホールド制御の解除条件を満たしながら、ステップS1でのダウンカウント処理を繰り返すことにより、解除タイマの初期数値が0になった場合には、続くステップS8でギアホールド制御の実行が解除されることになる。また、ステップS6において、横G変化率が許容変化率を上回るときには、車両にかかる横Gの変化が継続しているため、ステップS3,S4と進み、ギアホールド制御の実行が維持されることになる。
【0048】
これまで説明したように、ギアホールド制御を解除する際には、横Gが許容加速度範囲に収まり、かつ横G変化率が許容変化率範囲に収まることを解除条件としたので、連続コーナを走行するときには変速動作を確実に禁止して、車両の走行安定性を高めることができる。
【0049】
また、連続コーナでの変速動作を禁止するためにディレイ時間Tdを長く設定する必要がなく、コーナを脱出して直進路に進入したときには変速動作の禁止を素早く解除してアップシフトを行うことができ、運転者に違和感を与えることもない。
【0050】
さらに、ディレイ時間Tdを長く設定する必要がなく、運転操作が直接的にギアホールド制御の実行や解除に反映されるため、車両と運転者との一体感を高めることができる。
【0051】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。たとえば、車両の旋回状態を検出するため旋回検出手段としての横Gセンサ40を用いるようにしているが、横Gセンサ40に代えて操舵角センサ41を用いるようにしても良い。この場合には車両のコーナ旋回状態を示す車輪の操舵角が検出値となる。
【0052】
また、前述した実施の形態にあっては、図9に示すようなディレイ時間Tdを設定しているが、このディレイ時間Tdを無くすようにしても良い。これにより、車両と運転者との一体感を更に高めることができる。
【0053】
さらに、図7や図8に示すように、許容加速度や許容変化率を車速に応じて変化させて設定しているが、これに限られることはなく、許容加速度や許容変化率を一定の値に設定しても良い。つまり、許容加速度範囲や許容変化率範囲の幅を、車速に応じて変化させることなく一定に保つようにしても良い。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、車両の旋回状態を示す検出値が所定の検出値範囲に収まるとともに、変化率が所定の変化率範囲に収まることを条件として、変速動作の禁止を解除するようにしたので、左右に連続するコーナを走行するときには変速動作を確実に禁止して、車両の走行安定性を高めることができる。
【0055】
また、連続コーナでの変速動作を禁止するためにディレイ時間を長く設定する必要がなく、コーナを脱出して直進路に進入したときには変速動作の禁止を素早く解除することができ、運転者に違和感を与えることもない。
【0056】
さらに、ディレイ時間を長く設定する必要がなく、運転操作が直接的に変速動作の禁止や解除に反映されるため、車両と運転者との一体感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両に搭載される駆動系を示す概略図である。
【図2】自動変速機の内部構造を示すスケルトン図である。
【図3】本発明の一実施の形態である変速制御装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】(A)および(B)はギアホールド制御が実行される際の走行状況を示す説明図である。
【図5】図4(A)に示す走行状況下において車両にかかる横Gとこれの変化率とを示す線図である。
【図6】図4(B)に示す走行状況下において車両にかかる横Gとこれの変化率とを示す線図である。
【図7】許容加速度と車速との相関を示す線図である。
【図8】許容変化率と車速との相関を示す線図である。
【図9】ディレイ時間と走行状況との関係を示す線図である。
【図10】ギアホールド制御の実行手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 エンジン
12 自動変速機(変速機)
13 駆動輪
15 ミッションコントロールユニット(変化率演算手段,変速禁止手段,変速解除手段)
21 入力軸
22 出力軸
40 横Gセンサ(旋回検出手段)
41 操舵角センサ(旋回検出手段)

Claims (4)

  1. エンジンに駆動される入力軸と駆動輪に連結される出力軸とを備え、前記入力軸から前記出力軸に動力を自動的に変速して伝達する変速機の変速制御装置であって、
    車両のコーナ旋回状態を検出する旋回検出手段と、
    前記旋回検出手段からの検出値に基づいて、前記検出値の変化率を演算する変化率演算手段と、
    前記検出値が所定の検出値範囲を超えるときには、変速動作を禁止する変速禁止手段と、
    前記検出値が所定の検出値範囲に収まるとともに前記変化率が所定の変化率範囲に収まるときには、変速動作の禁止を解除する変速解除手段とを有することを特徴とする変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1記載の変速機の変速制御装置において、前記検出値は車幅方向の横加速度または車輪の操舵角であることを特徴とする変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1または2記載の変速機の変速制御装置において、高速走行時には低速走行時に比べて前記変化率範囲を狭く設定することを特徴とする変速機の変速制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の変速機の変速制御装置において、前記変速動作はアップシフトであることを特徴とする変速機の変速制御装置。
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