JP2004347009A - 切換弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】パイロット圧室に対する圧力が低下した場合であっても、切換弁の切換位置を保持することにある。
【解決手段】クラッチセレクト弁49はハウジング49bとこれに収容されるスプール弁軸49sとを備えており、スプール弁軸は2位置に切り換えられる。ハウジング49bには弁収容孔49aから径方向に延びるボール収容孔49pが設けられており、ボール収容孔49pにはばね力により弁収容孔49aに向けて押し出されるボール部材56aが収容されている。また、スプール弁軸49sの端部にはボール部材56aに対応する環状の係合溝56c,56dが形成されている。一方の切換位置では係合溝56cにボール部材56aが係合することにより切換位置を保持することができ、他方の切換位置では係合溝56dにボール部材56aが係合することにより切換位置を保持することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】クラッチセレクト弁49はハウジング49bとこれに収容されるスプール弁軸49sとを備えており、スプール弁軸は2位置に切り換えられる。ハウジング49bには弁収容孔49aから径方向に延びるボール収容孔49pが設けられており、ボール収容孔49pにはばね力により弁収容孔49aに向けて押し出されるボール部材56aが収容されている。また、スプール弁軸49sの端部にはボール部材56aに対応する環状の係合溝56c,56dが形成されている。一方の切換位置では係合溝56cにボール部材56aが係合することにより切換位置を保持することができ、他方の切換位置では係合溝56dにボール部材56aが係合することにより切換位置を保持することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体機器に組み込まれるとともに流路を切り換える切換弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
切換弁は空気や作動油の流れ方向を制御する弁であり、その弁構造に応じて切換弁には、スプール形切換弁、スライド形切換弁、ポペット形切換弁などがある。これらの切換弁は流体機器の流路を切り換えるために用いられるが、切換弁には小型化や大流量化などが要求されるため、これらの要求を満たすスプール形切換弁の採用が増加している。たとえば、自動車に搭載される自動変速機の変速制御装置には、自動変速を行うための作動油路や信号油路が多数形成されており、これらの油路を走行状況等に応じて切り換えるため複数のスプール形切換弁が組み込まれている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
スプール形切換弁は、弁収容孔が形成されるハウジングと、弁収容孔に移動自在に収容されるスプール弁軸とを備えており、スプール弁軸の両端部にはハウジングとスプール弁軸とにより圧力室やばね室が区画形成されている。この圧力室にはスプール弁軸に推力を加えるパイロット圧力が電磁弁等を介して供給制御され、ばね室にはスプール弁軸に所定の推力を加えるばね部材が収容されており、パイロット圧力の供給制御に応じてスプール弁軸は複数の切換位置に切り換えられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−310285号公報(第6−8頁、図3、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パイロット圧力を供給制御する電気系に障害が発生した場合や、パイロット圧力を供給する圧力系に障害が発生した場合には、切換弁の作動状態を保持することが困難となる。つまり、パイロット圧力の低下などにより、両端に圧力室を備える切換弁にあってはスプール弁軸の切換位置を保持することが困難となり、一端にばね室を備える切換弁にあってはスプール弁軸がばね力によって初期位置に切り換えられることになる。このように、電気系や圧力系に障害が発生することによって、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることは好ましいことではなかった。
【0006】
本発明の目的は、電気系や圧力系に障害が発生した場合であっても、切換弁の不要な切換駆動を防止するとともに切換弁の切換位置を保持することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の切換弁は、軸方向に延びる弁収容孔と前記弁収容孔を介して連通する複数のポートとが形成されるハウジングと、前記弁収容孔に軸方向に移動自在に収容され、前記ポート間の連通状態を切り換える弁軸と、前記弁軸に所定の推力が軸方向に加えられるまで、前記弁軸の切換位置を保持する保持機構とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の切換弁は、前記保持機構は前記弁軸に設けられる係合凹部と、前記ハウジングに前記弁軸の径方向に移動自在に設けられる係合凸部とを備え、所定の推力で押し出される前記係合凸部を前記係合凹部に係合させることを特徴とする。
【0009】
本発明の切換弁は、前記係合凸部はばね力により押し出されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、弁軸の切換位置を保持する保持機構を設けるようにしたので、弁軸に加えられる推力が断たれた場合であっても、弁軸に誤作動を発生させることなく作動状態を保持することができる。
【0011】
これにより、電気系や圧力系の障害により、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることはなく、切換弁が組み込まれる流体機器の信頼性を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は自動変速機10を示すスケルトン図である。この自動変速機10はエンジン11に連結される中空の第1入力軸12と、この入力軸12に同軸上に設けられるとともに入力軸12に組み込まれる第2入力軸13と、これらに平行であって駆動輪に連結される出力軸14とを有している。入力軸12,13と出力軸14は車両の進行方向を向いて図示しないトランスミッションケース内に組み込まれており、この自動変速機10は縦置きに配置されて4輪駆動用の車両に適用される。
【0014】
エンジン11のクランク軸15にはトルクコンバータ16が連結され、トルクコンバータ16のタービン軸17と入力軸12との間には、入力軸12にエンジン動力を伝達する締結状態と、エンジン動力を遮断する解放状態とに切り換えられる湿式多板式の第1入力クラッチ18が設けられている。
【0015】
入力クラッチ18は入力軸12の端部に固定されるクラッチハブ18aと、タービン軸17に固定されるクラッチドラム18bとを有している。クラッチハブ18aとクラッチドラム18bとにそれぞれ交互に設けられた複数枚のクラッチディスク18cを押圧することにより、入力クラッチ18は締結状態に切り換えられる一方、押圧を解放することにより入力クラッチ18は解放状態に切り換えられる。
【0016】
また、タービン軸17と入力軸13との間には、入力軸13にエンジン動力を伝達する締結状態と、エンジン動力を遮断する解放状態とに切り換えられる湿式多板式の第2入力クラッチ19が設けられている。入力クラッチ19は入力軸13の端部に固定されるクラッチハブ19aと、タービン軸17に固定されるクラッチドラム19bとを有している。クラッチハブ19aとクラッチドラム19bとにそれぞれ交互に設けられた複数枚のクラッチディスク19cを押圧することにより、入力クラッチ19は締結状態に切り換えられる一方、押圧を解放することにより入力クラッチ19は解放状態に切り換えられる。なお、これらの入力クラッチ18,19は隣接して設けられており、2つのクラッチドラム18b,19bは一体となっている。
【0017】
入力軸12には第2速、第4速、第6速の駆動歯車22a,24a,26aが固定され、入力軸13には第1速、第3速、第5速の駆動歯車21a,23a,25aが固定されている。一方、出力軸14には第1速〜第6速の従動歯車21b〜26bが回転自在に取り付けられており、これらの駆動歯車21a〜26aと従動歯車21b〜26bとはそれぞれに噛み合って前進段の変速歯車列を形成する。
【0018】
また、入力軸13には後退用の駆動歯車27aが固定され、出力軸14には後退用の従動歯車27bが回転自在に取り付けられている。入力軸13に対して平行に配置されたアイドル軸28には、後退用の駆動歯車27aと従動歯車27bとに噛み合うアイドル歯車28aが固定されており、駆動歯車27a、アイドル歯車28a、および従動歯車27bによって後退段の変速歯車列が形成されている。
【0019】
出力軸14には変速歯車列を第2速と第4速のいずれかに切り換える第1切換機構31と、変速歯車列を第6速と第3速のいずれかに切り換える第2切換機構32が装着されている。さらに、出力軸14には変速歯車列を第5速と第1速のいずれかに切り換える第3切換機構33と、変速歯車列を後退段に切り換える第4切換機構34とが装着されている。これらの切換機構31〜34はシンクロメッシュ機構となっている。
【0020】
切換機構31は、第2速と第4速の2つの従動歯車22b,24bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ31bとを有している。このシンクロスリーブ31bを従動歯車22bに一体形成されたスプライン22cに噛み合わせると第2速に設定され、逆に従動歯車24bに一体形成されたスプライン24cに噛み合わせると第4速に設定される。
【0021】
同様に、切換機構32は第6速と第3速の2つの従動歯車26b,23bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ32aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ32bとを有している。このシンクロスリーブ32bを従動歯車26bに一体形成されたスプライン26cに噛み合わせると第6速に設定され、逆に従動歯車23bに一体形成されたスプライン23cに噛み合わせると第3速に設定される。
【0022】
また同様に、切換機構33は第5速と第1速の2つの従動歯車25b,21bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ33aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ33bとを有している。このシンクロスリーブ33bを従動歯車25bに一体形成されたスプライン25cに噛み合わせると第5速に設定され、逆に従動歯車21bに一体形成されたスプライン21cに噛み合わせると第1速に設定される。
【0023】
さらに、切換機構34は後退用の従動歯車27bの隣りに配置され出力軸14に固定されたシンクロハブ34aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ34bとを有している。このシンクロスリーブ34bを従動歯車27bに一体形成されたスプライン27cに噛み合わせると後退段に設定され、入力軸13の回転はアイドル歯車28aを介して逆転されて出力軸14に伝達される。
【0024】
このように、第2速と第4速の切り換えは切換機構31のシンクロスリーブ31bを作動させることによって行われ、第6速と第3速の切り換えは切換機構32のシンクロスリーブ32bを作動させることによって行われる。また、第5速と第1速の切り換えは切換機構33のシンクロスリーブ33bを作動させることによって行われ、後退段の切り換えは切換機構34のシンクロスリーブ34bを作動させることによって行われる。
【0025】
また、偶数段が設けられる入力軸12には入力クラッチ18を介してエンジン動力が伝達され、奇数段が設けられる入力軸13には入力クラッチ19を介してエンジン動力が伝達されるため、滑らかなアップシフトやダウンシフトが可能となる。たとえば、第1速から第2速にアップシフトを行う場合には、第1速と第2速とにエンジン動力を伝達する入力クラッチ18,19がそれぞれ別個に設けられるため、第1速での走行中に切換機構31により第2速の変速歯車列を動力伝達状態に切り換えることができる。このような状態のもとで、入力クラッチ19を徐々に解放するとともに、入力クラッチ18を徐々に締結することにより、出力軸14に対して駆動トルクを伝達したまま変速動作を行うことができ、急激なトルク変動を抑制した滑らかな変速動作が可能となる。
【0026】
なお、エンジン11にはエンジントルクやエンジン回転数を調整する図示しない電子制御スロットルが設けられており、通常はアクセルペダルの踏み込み量に応じて電子制御スロットルを開閉することによりエンジン制御が行われる。また、電子制御スロットルは、アクセルペダルの踏み込みに関係なく予め設定されたマップ等に基づいた開閉制御により、必要に応じて運転状況に対応したエンジン制御を行うことができる。
【0027】
また、自動変速機10には出力軸14に平行となって前輪出力軸35が組み込まれており、前輪出力軸35はセンタデファレンシャル装置36を介して出力軸14に連結されるとともに、フロントデファレンシャル装置37を介して図示しない前輪用のドライブシャフトに連結される。また、センタデファレンシャル装置36は駆動歯車38aと従動歯車38bとを介して後輪出力軸39に連結されており、後輪出力軸39は図示しないリヤデファレンシャル装置を介して図示しない後輪用のドライブシャフトに連結される。
【0028】
なお、センタデファレンシャル装置36は複合遊星歯車式であり、センタデファレンシャル装置36に組み込まれた一体型のピニオンギヤ36aを介して、前輪出力軸35と後輪出力軸39とに駆動トルクが分配され、前輪と後輪とを共に駆動することができる。このとき一体型のピニオンギヤ36aの回転により前輪と後輪との回転差は差動吸収される。また、センタデファレンシャル装置36には差動制限クラッチ36bが設けられており、前輪または後輪がスリップして大きな差動回転が生じたときは、差動制限クラッチ36bが締結されて差動回転が抑制される。
【0029】
図1に示すように、自動変速機10は切換機構31〜34をそれぞれに切換駆動するため4つのシフトアクチュエータ41〜44を有している。第1〜第3シフトアクチュエータ41〜43は、切換機構31〜33を切換駆動するため、シンクロスリーブ31b〜33bをスプライン22c,26c,25cに噛み合わせて第2速、第6速、第5速に設定する位置と、スプライン24c,23c,21cに噛み合わせて第4速、第3速、第1速に設定する位置とに作動する。また、切換機構31〜33を中立状態に切換駆動するため、これらのスプライン21c〜26cに噛み合わない位置に作動する。つまり、シフトアクチュエータ41〜43は3つの切換位置に作動する。
【0030】
また、第4シフトアクチュエータ44は、切換機構34を切換駆動するため、シンクロスリーブ34bをスプライン27cに噛み合わせて後退段に設定する位置と、切換機構34を中立状態に切換駆動するため、スプライン27cに噛み合わない位置とに作動する。このように、シフトアクチュエータ44は2つの切換位置に作動する。
【0031】
図2および図3は本発明の一実施の形態である切換弁が組み込まれた変速制御装置の一部を示す油圧回路図であり、図2は入力クラッチ18,19を制御する部分を示し、図3はシフトアクチュエータ41〜44を制御する部分を示す。これらの油圧回路図にあっては対応する符号A〜Cの部分で接続されている。
【0032】
図2に示すように、図示しないオイルポンプおよび所定のライン圧に調圧する調圧機器などを有するライン圧供給部45より、入力クラッチ18,19に向けてライン圧を案内するライン圧油路46は、入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47と、入力クラッチ19にライン圧を供給するライン圧油路48とに分岐されている。入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47には、常閉式つまりノーマルクローズタイプの電磁弁SOL1が設けられており、電磁弁SOL1に対する通電制御により入力クラッチ18に対してライン圧が供給制御される。同様に、入力クラッチ19にライン圧を供給するライン圧油路48には、常閉式つまりノーマルクローズタイプの電磁弁SOL2が設けられており、電磁弁SOL2に対する通電制御により入力クラッチ19に対してライン圧が供給制御される。
【0033】
つまり、電磁弁SOL1に対して通電を行うことにより、入力クラッチ18は締結状態となって入力軸12にエンジン動力が伝達される一方、電磁弁SOL2に対して通電を行うことにより、入力クラッチ19は締結状態となって入力軸13にエンジン動力が伝達される。また、電磁弁SOL1,SOL2に対する通電を解除することによりそれぞれの入力クラッチ18,19は解放状態となる。
【0034】
また、ライン圧供給部45と入力クラッチ18,19との間には、切換弁であるクラッチセレクト弁49が設けられている。このクラッチセレクト弁49は、軸方向に延びる弁収容孔49aが形成されるハウジング49bと、弁収容孔49aに移動自在に収容される弁軸としてのスプール弁軸49sとを備えており、ハウジング49bには、ライン圧ポート49c、2つの出力ポート49d,49e、4つのパイロットポート49f〜49i、2つの排出ポート49j,49kが形成されている。パイロットポート49g,49iのいずれかに油圧が供給されると、この油圧は弁収容孔49a内にスプール弁軸49sによって区画形成されるパイロット圧室49l,49mに送り込まれ、図2に示すように、スプール弁軸49sはライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通する位置に切り換えられる。一方、パイロットポート49f,49hのいずれかに油圧が供給されると、この油圧は弁収容孔49a内にスプール弁軸49sによって区画形成されるパイロット圧室49n,49oに送り込まれ、スプール弁軸49sはライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通する位置に切り換えられる。
【0035】
クラッチセレクト弁49のパイロットポート49fは信号油路50を介してライン圧油路47に接続され、パイロットポート49gは信号油路51を介してライン圧油路48に接続されている。また、出力ポート49eはライン圧油路52からシャトル弁53を介してライン圧油路47に接続され、出力ポート49dはライン圧油路54からシャトル弁55を介してライン圧油路48に接続されている。
【0036】
入力クラッチ18にライン圧油路47を経てライン圧が供給されると、このライン圧はクラッチセレクト弁49のパイロットポート49fに供給されるため、ライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通するようにスプール弁軸49sが切り換えられる。一方、入力クラッチ19にライン圧油路48を介してライン圧が供給されると、このライン圧はクラッチセレクト弁49のパイロットポート49gに供給されるため、ライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通するようにスプール弁軸49sが切り換えられる。つまり、入力クラッチ18が締結状態にあるときには、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧を供給するように油路が切り換えられ、入力クラッチ19が締結状態にあるときには、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧を供給するように油路が切り換えられる。
【0037】
図4(A)〜(C)はクラッチセレクト弁49の切換移動過程を示す説明図である。図4(A)に示すように、クラッチセレクト弁49はボール部材56a、ばね部材56b、係合溝56c,56dを備えた保持機構56を有している。ハウジング49bには弁収容孔49aから径方向に延びるボール収容孔49pが設けられており、このボール収容孔49pには移動自在に係合凸部としてのボール部材56aが収容されている。また、ボール収容孔49pにはばね部材56bが組み込まれており、ばね部材56bからのばね力によりボール部材56aは弁収容孔49aに向けて押し出される。スプール弁軸49sの端部に設けられる弁体49rには、その外周面にボール部材56aに対応した係合凹部として環状の係合溝56c,56dが2本形成されている。つまり保持機構56はディテント機構となっている。
【0038】
図4(A)に示すように、パイロットポート49g,49iに油圧が供給され、ライン圧ポート49cと出力ポート49dとが連通するときには、係合溝56cにボール部材56aが係合するため、油圧が遮断されてもその切換位置を保持することができる。また、図4(B)に示すように、パイロットポート49f,49hに油圧が供給され、スプール弁軸49sに所定の推力が加えられたときには、ボール部材56aはばね力に抗してボール収容孔49p内に押し戻され、スプール弁軸49sの切換移動が可能となる。そして、図4(C)に示すように、ライン圧ポート49cと出力ポート49eとが連通するときには、係合溝56dにボール部材56aが係合するため、油圧が遮断されてもその切換位置を保持することができる。
【0039】
また、図2に示すように、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cにライン圧を供給するライン圧油路60には、このライン圧油路60を連通状態と遮断状態とに切り換える第1フェールセーフ弁61が設けられている。このフェールセーフ弁61はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸61sを備えており、パイロットポート61aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート61bと出力ポート61cとを連通する一方、パイロットポート61aのパイロット圧が遮断されるとライン圧ポート61bを遮断する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路60を連通状態に切り換え、供給が遮断された状態ではライン圧油路60を遮断状態に切り換える。
【0040】
車室内には運転者により操作される図示しないセレクトレバーが設けられており、このセレクトレバーにより作動するスプール弁軸62sがマニュアル弁62に設けられている。マニュアル弁62に形成されたライン圧ポート62aにはライン圧油路46が接続されており、マニュアル弁62に形成されたパイロット圧ポート62bにはパイロット圧油路63が接続されている。このパイロット圧油路63には図示しないオイルポンプおよび所定のパイロット圧に調圧する調圧機器などを有する油圧供給源であるパイロット圧供給部64が接続されている。なお、パイロット圧はライン圧よりも低圧力に調圧される。
【0041】
また、パイロット圧油路63には、常開式つまりノーマルオープンタイプのフェールセーフ電磁弁SOL3が設けられている。このフェールセーフ電磁弁SOL3は、正常時には常に通電されておりパイロット圧油路63を遮断状態に保持する一方、電気系に障害が発生したフェール時にはフェールセーフ電磁弁SOL3に対する通電が解除されるためパイロット圧油路63は連通状態に切り換えられる。つまり、フェール時にはフェールセーフ電磁弁SOL3を介してマニュアル弁62にパイロット圧が供給されることになる。
【0042】
マニュアル弁62には、スプール弁軸62sがリバースレンジ(Rレンジ)に対応したR位置に移動したときに、ライン圧ポート62aに連通するRポート62cと、パイロット圧ポート62bに連通するRポート62dとが形成されている。また、スプール弁軸62sがドライブレンジ(Dレンジ)に対応したD位置に移動したときにパイロット圧ポート62bに連通するDポート62eと、ニュートラルレンジ(Nレンジ)に対応したN位置に移動したときにパイロット圧ポート62bに連通するNポート62fとが形成されている。
【0043】
このように、マニュアル弁62に形成されるRポート62c,62d、Dポート62e、Nポート62fは、クラッチセレクト弁49およびフェールセーフ弁61のパイロットポート49h,49i,61aに接続されている。クラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにはライン圧油路65を介してRポート62cが接続され、クラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにはパイロット圧油路66を介してNポート62fが接続されている。また、フェールセーフ弁61のパイロットポート61aにはパイロット圧油路67,68とシャトル弁69とを介してDポート62eが接続され、同様にフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにはパイロット圧油路68,70とシャトル弁69とを介してRポート62dが接続されている。
【0044】
したがって、セレクトレバーがRレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のRポート62cからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにライン圧が出力されるため、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cと出力ポート49dとは連通状態に切り換えられる。さらに、フェール時にあっては、マニュアル弁62のRポート62dからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が出力されるため、フェールセーフ弁61によってライン圧油路60が連通状態に切り換えられ、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されることになる。
【0045】
また、フェール時においてセレクトレバーがNレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のNポート62fからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにパイロット圧が出力されるため、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cと出力ポート49eとは連通状態に切り換えられる。そして、フェール時においてセレクトレバーがDレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のDポート62eからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が出力されるため、フェールセーフ弁61によってライン圧油路60が連通状態に切り換えられる。
【0046】
入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47には第2フェールセーフ弁72が設けられている。このフェールセーフ弁72は、信号油路73,74を介してライン圧油路47,48のそれぞれに連通する第1パイロット圧室72aと第2パイロット圧室72bとを備えており、パイロット圧室72aには入力クラッチ18に供給されるライン圧が案内され、パイロット圧室72bには入力クラッチ19に供給されるライン圧が案内される。また、フェールセーフ弁72は信号油路73,74から入力されるライン圧とばね力とによって切換移動するスプール弁軸72sを備えている。
【0047】
入力クラッチ18,19のいずれか一方にライン圧が供給されるときには、図2に示すように、フェールセーフ弁72はライン圧油路47を連通状態に切り換えるが、双方の入力クラッチ18,19にライン圧が供給される状態になると、信号油路73,74から案内されるライン圧により、フェールセーフ弁72はライン圧油路47を遮断状態に切り換える。つまり、2つの入力クラッチ18,19が共に締結状態に切り換えられることで変速歯車列の二重噛み合いが発生し得るときには、フェールセーフ弁72によって入力クラッチ18に対するライン圧の供給が遮断され、2つの入力クラッチ18,19の同時締結が回避される。なお、フェールセーフ弁72は入力クラッチ18,19に供給されるライン圧によって直接的に切り換えられるので応答性が良く、確実に入力クラッチ18,19の同時締結を回避することができる。
【0048】
続いて、図3に示すように、シフトアクチュエータ41〜44は、それぞれハウジング41a〜44aとこれに往復動自在に収容されるピストン41b〜44bとを備えている。各ピストン41b〜44bに固定されたピストンロッド41c〜44cは図示しないシフトフォークを介してシンクロスリーブ31b〜34bに連結されている。また、各ハウジング41a〜44aにはピストン41b〜44bの両側に形成される作動油室41d〜44d,41e〜44eにそれぞれ連通する作動ポート41f〜44f,41g〜44gが形成されている。これら作動ポート41f〜44f,41g〜44gのそれぞれにはライン圧油路75〜82が接続されており、これらのライン圧油路75〜82はライン圧油路83に連通する。
【0049】
ライン圧供給部45からのライン圧を各シフトアクチュエータ41〜44に供給するライン圧油路83には、このライン圧油路83を連通状態と遮断状態とに切り換える第3フェールセーフ弁84が設けられている。このフェールセーフ弁84はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸84sを備えており、パイロットポート84aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート84bと出力ポート84cとを遮断する一方、パイロットポート84aのパイロット圧が遮断されるとライン圧ポート84bを連通する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路83は遮断状態に切り換えられ、供給が遮断された状態ではライン圧油路83は連通状態に切り換えられる。なお、パイロットポート84aは信号油路85を介してマニュアル弁62のDポート62eに接続されるため、フェール時においてセレクトレバーがDレンジに操作されたときのみライン圧油路83は遮断状態に切り換えられる。
【0050】
シフトアクチュエータ41〜43の各作動ポート41f〜43f,41g〜43gに接続されるライン圧油路75〜80には、それぞれ常開式つまりノーマルオープンタイプの電磁弁SOL4〜SOL9が設けられており、シフトアクチュエータ44の作動ポート44gに接続されるライン圧油路82には、常開式つまりノーマルオープンタイプの電磁弁SOL10が設けられている。各ライン圧油路75〜82にライン圧が供給された状態のもとで、各電磁弁SOL4〜SOL10に通電を行うことにより、シフトアクチュエータ41〜44を切換駆動することができ、選択された各変速歯車列を動力伝達状態に切り換えることができる。
【0051】
変速歯車列を第1速に設定する場合には、電磁弁SOL9に対して通電することにより、シフトアクチュエータ43の作動油室43eに対するライン圧の供給が遮断され、シフトアクチュエータ43は第1速を動力伝達状態に切り換える第1速位置に切り換えられる。同様に、電磁弁SOL4に通電すると第2速に、電磁弁SOL7に通電すると第3速に、電磁弁SOL5に通電すると第4速に、電磁弁SOL8に通電すると第5速に、電磁弁SOL6に通電すると第6速にそれぞれ設定することができる。なお、電磁弁SOL4〜SOL9に対する通電を遮断することにより、シフトアクチュエータ41〜44毎に設けられる2つの作動油室41d〜43d,41e〜43eにライン圧を供給した場合には、各シフトアクチュエータ41〜44はそれぞれ中立位置に切換駆動される。
【0052】
一方、変速歯車列を後退段に設定する場合には電磁弁SOL10に対する通電が遮断される。シフトアクチュエータ44のピストン44bは、一端にのみピストンロッド44cを備えているためピストン両端の有効受圧面積は異なって設定されている。つまり、電磁弁SOL10に対する通電を遮断することによって双方の作動油室44d,44eにライン圧を供給した場合には、シフトアクチュエータ44は後退位置に切換駆動され変速歯車列は後退段に設定される一方、電磁弁SOL10に対して通電することにより一方の作動油室44dにライン圧を供給した場合には、シフトアクチュエータ44は中立位置に切換駆動される。
【0053】
また、シフトアクチュエータ41の作動ポート41gに接続されるライン圧油路76には、このライン圧油路76を連通状態と遮断状態とに切り換える第4フェールセーフ弁86が設けられている。このフェールセーフ弁86はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸86sを備えており、パイロットポート86aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート86bを遮断する一方、パイロット圧が遮断されるとライン圧ポート86bと出力ポート86cとを連通する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路76を遮断状態に切り換え、供給が遮断された状態ではライン圧油路76を連通状態に切り換える。なお、パイロットポート86aにはパイロット圧油路63が接続されるため、フェール時のみライン圧油路76は遮断状態に切り換えられる。
【0054】
図5は変速制御装置の一部を示すブロック図である。図5に示すように、前述の油圧制御回路の各電磁弁SOL1,SOL2,SOL4〜SOL10に対する通電と通電解除とは、電子制御ユニット(ECU87)によって制御される。ECU87にはインヒビタスイッチ88、エンジン回転数センサ89、ブレーキスイッチ90等から信号が入力される。このECU87はインヒビタスイッチ88からの信号に基づいてセレクトレバーの位置を検出し、エンジン回転数センサ89からの信号によりエンジン回転数を検出するととともに、ブレーキスイッチ90からの信号によりブレーキ作動を検出し、更に、その他の各種センサからの信号により現在の車速やアクセル開度等を検出する。そして、ECU87はこれらの検出信号によって把握される走行状況に応じて各電磁弁SOL1,SOL2,SOL4〜SOL10に対する通電を制御して自動変速制御を実行する。
【0055】
以下、電気系に障害が発生していない正常走行状態での油圧の供給経路について説明する。まず、正常走行状態であるためフェールセーフ電磁弁SOL3は遮断状態を維持しており、パイロット圧供給部64からのパイロット圧は各種フェールセーフ弁61,84,86に供給されることはない。つまり、フェールセーフ弁61,84,86は遮断状態を維持しており、ライン圧供給部45からのライン圧は電磁弁SOL1,SOL2に供給されるとともに、フェールセーフ弁84を介して電磁弁SOL4〜SOL10に供給された状態となっている。
【0056】
この状態のもとで前進走行を開始する場合には、まず電磁弁SOL9,SOL10に通電を行うことにより、シフトアクチュエータ43を用いて第1速を動力伝達状態に切り換えるとともに、シフトアクチュエータ44を用いて後退段を中立状態に切り換える。次いで、第1速の駆動歯車21aが固定される入力軸13にエンジン動力を伝達するため、電磁弁SOL2に通電を開始して入力クラッチ19を締結状態に切り換える。この通電によりライン圧油路48は連通状態となり、シャトル弁55を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されて車両は前進走行を開始する。
【0057】
なお、第1速での走行つまり入力クラッチ19を締結する走行では、信号油路51を介してクラッチセレクト弁49のパイロットポート49gにライン圧が供給されるため、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通状態に切り換える。
【0058】
このように、第1速による前進走行を開始した後には、車両の走行状況に応じて適宜アップシフトが行われる。アップシフトを行う際には、走行中に電磁弁SOL4に対して通電が行われ第2速が動力伝達状態に設定される。次いで、電磁弁SOL1,SOL2双方に対して通電制御が行われ、入力クラッチ19は徐々に解放状態に切り換えられる一方、入力クラッチ18は徐々に締結状態に切り換えられる。入力クラッチ18が締結状態に切り換えられることにより変速動作は完了し、第2速による走行が開始される。なお、第2速での走行つまり入力クラッチ18を締結する走行では、信号油路50を介してクラッチセレクト弁49のパイロットポート49fにライン圧が供給されるため、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通状態に切り換える。
【0059】
同様に、第3速以降のアップシフトについても、変速後に使用される変速歯車列が予め動力伝達状態に切り換えられた状態のもとで、2つの入力クラッチ18,19が交互に締結状態に切り換えられ、変速ショックの発生することのない滑らかな変速動作が実行される。なお、アップシフトに限らずダウンシフトについても同様の自動変速制御が実行される。
【0060】
続いて、後退走行を行う場合について説明する。まず、後退走行を行う場合には、電磁弁SOL4〜SOL10に対する通電を遮断する。これにより、シフトアクチュエータ41〜43は中立位置に切換駆動され、シフトアクチュエータ44の切換駆動により後退段が動力伝達状態に切り換えられる。次いで、後退用の駆動歯車27aを備える入力軸13にエンジン動力を伝達するため、電磁弁SOL2に通電を開始する。この通電によりライン圧油路48は連通状態となり、シャトル弁55を介して供給されるライン圧により入力クラッチ19は締結状態に切り換えられ、車両は後退走行を開始する。
【0061】
次いで、電気系に故障が発生したフェール状態での油圧の供給経路について説明する。まず、前進走行中にフェール状態となった場合には、フェールセーフ電磁弁SOL3が連通状態に切り換えられ、パイロット圧がマニュアル弁62のパイロット圧ポート62bに入力される。このとき、セレクトレバーはDレンジに設定されているため、マニュアル弁62のDポート62eから出力されるパイロット圧は、シャトル弁69を介してフェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力される。このパイロット圧によりフェールセーフ弁61のライン圧ポート61bと出力ポート61cとは連通状態に切り換えられ、ライン圧油路60よりフェールセーフ弁61に供給されていたライン圧は、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cに入力される。
【0062】
ここで、クラッチセレクト弁49は、直前に締結状態であった入力クラッチ18,19に対してライン圧を供給するように油路が設定されるため、直前に締結されていた入力クラッチ18,19の締結状態を維持することができる。たとえば、第1速で走行中にフェール状態となった場合にはクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されることになり、第2速でフェール状態となった場合にはクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧が供給されることになる。
【0063】
また、マニュアル弁62のDポート62eより出力されるパイロット圧は、フェールセーフ弁84のパイロットポート84aに入力される。これにより、ライン圧油路83は遮断状態に切り換えられるため、シフトアクチュエータ41〜44を制御する電磁弁SOL4〜SOL10にはライン圧が供給されることはなく、シンクロスリーブとスプラインとの噛み合い抵抗、さらにはディテント機構により走行中の変速歯車列が維持される。
【0064】
つまり、前進走行中にフェール状態となった場合には、入力クラッチ18,19の締結状態が維持されるとともに、変速歯車列の動力伝達状態が維持されるため、車両に何ら変化を与えることなく、直前の前進走行を維持することができる。
【0065】
続いて、後退走行中にフェール状態となった場合について説明する。後退走行中にフェール状態となった場合であっても、前述の前進走行と同様の制御がなされる。つまり、フェールセーフ電磁弁SOL3が連通状態に切り換えられ、マニュアル弁62に供給されたパイロット圧は、Rポート62dよりシャトル弁69を介してフェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力される。このパイロット圧によりライン圧油路60は連通状態に切り換えられ、ライン圧がクラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cに入力される。ここで、クラッチセレクト弁49は、入力クラッチ19に対してライン圧を供給するように油路が設定されるため、入力クラッチ19の締結状態を維持することができる。
【0066】
また、後退走行の場合には、マニュアル弁62からフェールセーフ弁84のパイロットポート84aにパイロット圧は入力されず、ライン圧油路83は連通状態を維持することになる。しかしながら、電磁弁SOL4〜SOL10に対して通電が行われない場合には、各シフトアクチュエータ41〜44に供給されるライン圧により、シフトアクチュエータ41〜43は中立状態に維持されるとともに、シフトアクチュエータ44は後退段を動力伝達状態に切り換える方向に駆動することになる。
【0067】
つまり、後退走行中にフェール状態となった場合であっても、入力クラッチ19の締結状態が維持されるとともに、後退段が動力伝達状態に維持されるため、車両に何ら変化を与えることなく、直前の後退走行を維持することができる。
【0068】
以下、フェール状態となった後における前進走行および後退走行、つまりリンプホーム制御について説明する。図6および図7はそれぞれ図2および図3と同様の部分を示す油圧回路図であり、フェール状態においてDレンジまたはRレンジからNレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示している。また、図8および図9は図2と同様の部分を示す油圧回路図であり、図8はフェール状態においてNレンジからDレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示し、図9はフェール状態においてNレンジからRレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示している。
【0069】
図6に示すように、フェール状態となった後にセレクトレバーをNレンジに操作すると、マニュアル弁62のDポート62eまたはRポート62dより、フェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力されていたパイロット圧は遮断され、ライン圧油路60が遮断状態に切り換えられるとともに入力クラッチ18,19は解放状態に切り換えられる。また、マニュアル弁62のNポート62fからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにパイロット圧が供給され、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通状態に切り換える。つまり、クラッチセレクト弁49によって油路が入力クラッチ18側に切り換えられた状態となっている。
【0070】
次いで、図7に示すように、フェールセーフ弁84のパイロットポート84aに供給されていたパイロット圧が遮断されるため、ライン圧油路83は連通状態に切り換えられ、ライン圧が各電磁弁SOL4〜SOL10に向けて供給される。ここで、第2〜第4シフトアクチュエータ42〜44にはピストン両側の作動油室42d〜44d,42e〜44eにライン圧が供給される一方、シフトアクチュエータ41の作動ポート41gに接続されるライン圧油路76は、フェールセーフ弁86により遮断状態に切り換えられているため、シフトアクチュエータ41には作動ポート41fにのみライン圧が供給されることになる。
【0071】
このような各シフトアクチュエータ41〜44に対するライン圧の供給制御により、シフトアクチュエータ41とシフトアクチュエータ44がそれぞれ切換駆動され、第4速と後退段との変速歯車列が動力伝達状態に切り換えられる。
【0072】
このように、フェール時にセレクトレバーをNレンジに設定すると、締結されていた入力クラッチ18,19が解放状態に切り換えられ、クラッチセレクト弁49内の油路が入力クラッチ18側に切り換えられた状態となる。そして、第4速と後退段との変速歯車列が動力伝達状態に切り換えられることになる。
【0073】
続いて、セレクトレバーをDレンジに設定すると、図8に示すように、マニュアル弁62のDポート62eよりフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が供給されてライン圧油路60が連通状態となるため、Nレンジに操作した際に油路が切り換えられたクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧が供給される。このとき、第4速の変速歯車列は動力伝達状態となっているため、入力クラッチ18を締結状態に切り換えることにより第4速での前進走行が可能となる。
【0074】
また、セレクトレバーをRレンジに設定すると、図9に示すように、マニュアル弁62のRポート62cからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにライン圧が供給され、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通状態に切り換える。なお、クラッチセレクト弁49のパイロットポート49fに対してもパイロット圧が供給されているが、パイロット圧に比べてライン圧は高圧力であるため、クラッチセレクト弁49内の油路は入力クラッチ19側に切り換えられる。
【0075】
続いて、マニュアル弁62のRポート62dからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が供給されてライン圧油路60が連通状態となるため、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給される。このとき、後退段の変速歯車列は動力伝達状態となっているため、入力クラッチ19を締結状態に切り換えることにより後退段での後退走行が可能となる。
【0076】
このように、フェール時においては、セレクトレバーをNレンジに設定することにより、第4速と後退段の変速歯車列は動力伝達状態に切り換えられる。次いで、セレクトレバーをDレンジに設定することにより、入力クラッチ18が締結状態に切り換えられる一方、セレクトレバーをRレンジに設定することにより、入力クラッチ19が締結状態に切り換えられる。つまり、運転者がセレクトレバーをDレンジまたはRレンジに操作したときには、入力クラッチ18,19を締結状態に切り換える動作のみが行われるため、変速制御装置の応答性を高めることができる。
【0077】
これまで説明したように、クラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしたので、走行中における電気系の障害によりパイロット圧室49l〜49oから油圧が排出された場合であっても、クラッチセレクト弁49の切換位置を保持することができるため、締結状態にある入力クラッチ18,19を解放状態に切り換えることなく維持することができ、車両の走行状態を維持することができる。つまり、パイロット圧室49l〜49oに対する油圧低下の影響によってクラッチセレクト弁49に誤作動が発生することはなく、フェールセーフ機能の信頼性を高めることができる。なお、油圧系の障害によりパイロット圧室49l〜49oの油圧が低下した場合であっても、クラッチセレクト弁49が切換位置を保持することは言うまでもない。
【0078】
また、図示する場合には、保持機構56を備えたクラッチセレクト弁49を平行軸式自動変速機10の変速制御装置に組み込んでいるが、これに限られることはなく他の流体機器、たとえば、遊星歯車式自動変速機の変速制御装置に本発明の切換弁を組み込むようにしても良い。
【0079】
遊星歯車式自動変速機は、入力軸と出力軸とを同軸上に連結する遊星歯車列を有しており、変速歯車列の動力伝達経路を切り換えることによって変速が行われる。遊星歯車列の各要素であるサンギヤ、キャリア、リングギヤ等に設けられたクラッチやブレーキなどを締結または解放することにより、遊星歯車列内の動力伝達経路を切り換えることができ、入力軸の回転を減速、増速、等速、または逆転させて出力軸に伝達することができる。
【0080】
このような自動変速機に設けられるフェールセーフ機能としては、特定のクラッチを締結状態に切り換えることが一般的であるため、フェール時には特定の変速段で走行する必要があった。このため、フェール時にたとえば高速段に切り換えられる遊星歯車式自動変速機にあっては、低速段での走行中にフェール状態になると低速段から高速段に切り換えられることになり、駆動トルクの減少などによって車両が不安定となるおそれがあった。
【0081】
そこで、低速段に切り換える低速クラッチと高速段に切り換える高速クラッチとに、保持機構を備えた切換弁を介して油圧を供給するようにすると、低速段でフェール状態となった場合には、低速クラッチに連通する油路を切り換えることなく低速段を維持する一方、高速段でフェール状態となった場合には、高速クラッチに連通する油路を切り換えることなく高速段を維持することができる。このように、保持機構を備えた切換弁を変速制御装置に組み込むことにより、遊星歯車式自動変速機のフェールセーフ機能をより安全かつ容易に構築することができる。
【0082】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。たとえば、図示する場合には、2位置切換弁であるクラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしているが、3つ以上の切換位置を備えた切換弁に保持機構を設けるようにしても良い。なお、スプール弁軸には複数の切換位置に対応した複数の係合溝が形成されることは言うまでもない。
【0083】
また、保持機構56は、ハウジング49bに移動自在に設けられるボール部材56aと、スプール弁軸49sに設けられる係合溝56c,56dとを備えているが、ハウジング49bに係合凹部としての係合溝を設けるようにしても良く、スプール弁軸49sに係合凸部としてのボール部材を設けるようにしても良い。
【0084】
さらに、係合凸部としてボール部材56aを設け、係合凹部として環状の係合溝56c,56d設けるようにしているが、たとえば、係合凸部を球体以外の形状にしても良く、係合凹部として窪みを設けるようにしても良い。
【0085】
なお、作動油が流れるクラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしているが、作動流体や信号流体として空気が流れる切換弁に保持機構を設けても良いことは言うまでもない。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、弁軸の切換位置を保持する保持機構を設けるようにしたので、弁軸に加えられる推力が断たれた場合であっても、弁軸に誤作動を発生させることなく作動状態を保持することができる。
【0087】
これにより、電気系や圧力系の障害によって、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることはなく、切換弁が組み込まれる流体機器の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機を示すスケルトン図である。
【図2】本発明の一実施の形態である切換弁が組み込まれた変速制御装置の一部を示す油圧回路図である。
【図3】変速制御装置の一部を示す油圧回路図である。
【図4】(A)〜(C)はクラッチセレクト弁の切換移動過程を示す説明図である。
【図5】変速制御装置の一部を示すブロック図である。
【図6】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図7】電気系に障害が発生した際の図3と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図8】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図9】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
49 クラッチセレクト弁(切換弁)
49a 弁収容孔
49b ハウジング
49c ライン圧ポート(ポート)
49d,49e 出力ポート(ポート)
49f〜49i パイロットポート(ポート)
49j,49k 排出ポート(ポート)
49s スプール弁軸(弁軸)
56 保持機構
56a ボール部材(係合凸部)
56b ばね部材
56c,56d 係合溝(係合凹部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体機器に組み込まれるとともに流路を切り換える切換弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
切換弁は空気や作動油の流れ方向を制御する弁であり、その弁構造に応じて切換弁には、スプール形切換弁、スライド形切換弁、ポペット形切換弁などがある。これらの切換弁は流体機器の流路を切り換えるために用いられるが、切換弁には小型化や大流量化などが要求されるため、これらの要求を満たすスプール形切換弁の採用が増加している。たとえば、自動車に搭載される自動変速機の変速制御装置には、自動変速を行うための作動油路や信号油路が多数形成されており、これらの油路を走行状況等に応じて切り換えるため複数のスプール形切換弁が組み込まれている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
スプール形切換弁は、弁収容孔が形成されるハウジングと、弁収容孔に移動自在に収容されるスプール弁軸とを備えており、スプール弁軸の両端部にはハウジングとスプール弁軸とにより圧力室やばね室が区画形成されている。この圧力室にはスプール弁軸に推力を加えるパイロット圧力が電磁弁等を介して供給制御され、ばね室にはスプール弁軸に所定の推力を加えるばね部材が収容されており、パイロット圧力の供給制御に応じてスプール弁軸は複数の切換位置に切り換えられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−310285号公報(第6−8頁、図3、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パイロット圧力を供給制御する電気系に障害が発生した場合や、パイロット圧力を供給する圧力系に障害が発生した場合には、切換弁の作動状態を保持することが困難となる。つまり、パイロット圧力の低下などにより、両端に圧力室を備える切換弁にあってはスプール弁軸の切換位置を保持することが困難となり、一端にばね室を備える切換弁にあってはスプール弁軸がばね力によって初期位置に切り換えられることになる。このように、電気系や圧力系に障害が発生することによって、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることは好ましいことではなかった。
【0006】
本発明の目的は、電気系や圧力系に障害が発生した場合であっても、切換弁の不要な切換駆動を防止するとともに切換弁の切換位置を保持することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の切換弁は、軸方向に延びる弁収容孔と前記弁収容孔を介して連通する複数のポートとが形成されるハウジングと、前記弁収容孔に軸方向に移動自在に収容され、前記ポート間の連通状態を切り換える弁軸と、前記弁軸に所定の推力が軸方向に加えられるまで、前記弁軸の切換位置を保持する保持機構とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の切換弁は、前記保持機構は前記弁軸に設けられる係合凹部と、前記ハウジングに前記弁軸の径方向に移動自在に設けられる係合凸部とを備え、所定の推力で押し出される前記係合凸部を前記係合凹部に係合させることを特徴とする。
【0009】
本発明の切換弁は、前記係合凸部はばね力により押し出されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、弁軸の切換位置を保持する保持機構を設けるようにしたので、弁軸に加えられる推力が断たれた場合であっても、弁軸に誤作動を発生させることなく作動状態を保持することができる。
【0011】
これにより、電気系や圧力系の障害により、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることはなく、切換弁が組み込まれる流体機器の信頼性を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は自動変速機10を示すスケルトン図である。この自動変速機10はエンジン11に連結される中空の第1入力軸12と、この入力軸12に同軸上に設けられるとともに入力軸12に組み込まれる第2入力軸13と、これらに平行であって駆動輪に連結される出力軸14とを有している。入力軸12,13と出力軸14は車両の進行方向を向いて図示しないトランスミッションケース内に組み込まれており、この自動変速機10は縦置きに配置されて4輪駆動用の車両に適用される。
【0014】
エンジン11のクランク軸15にはトルクコンバータ16が連結され、トルクコンバータ16のタービン軸17と入力軸12との間には、入力軸12にエンジン動力を伝達する締結状態と、エンジン動力を遮断する解放状態とに切り換えられる湿式多板式の第1入力クラッチ18が設けられている。
【0015】
入力クラッチ18は入力軸12の端部に固定されるクラッチハブ18aと、タービン軸17に固定されるクラッチドラム18bとを有している。クラッチハブ18aとクラッチドラム18bとにそれぞれ交互に設けられた複数枚のクラッチディスク18cを押圧することにより、入力クラッチ18は締結状態に切り換えられる一方、押圧を解放することにより入力クラッチ18は解放状態に切り換えられる。
【0016】
また、タービン軸17と入力軸13との間には、入力軸13にエンジン動力を伝達する締結状態と、エンジン動力を遮断する解放状態とに切り換えられる湿式多板式の第2入力クラッチ19が設けられている。入力クラッチ19は入力軸13の端部に固定されるクラッチハブ19aと、タービン軸17に固定されるクラッチドラム19bとを有している。クラッチハブ19aとクラッチドラム19bとにそれぞれ交互に設けられた複数枚のクラッチディスク19cを押圧することにより、入力クラッチ19は締結状態に切り換えられる一方、押圧を解放することにより入力クラッチ19は解放状態に切り換えられる。なお、これらの入力クラッチ18,19は隣接して設けられており、2つのクラッチドラム18b,19bは一体となっている。
【0017】
入力軸12には第2速、第4速、第6速の駆動歯車22a,24a,26aが固定され、入力軸13には第1速、第3速、第5速の駆動歯車21a,23a,25aが固定されている。一方、出力軸14には第1速〜第6速の従動歯車21b〜26bが回転自在に取り付けられており、これらの駆動歯車21a〜26aと従動歯車21b〜26bとはそれぞれに噛み合って前進段の変速歯車列を形成する。
【0018】
また、入力軸13には後退用の駆動歯車27aが固定され、出力軸14には後退用の従動歯車27bが回転自在に取り付けられている。入力軸13に対して平行に配置されたアイドル軸28には、後退用の駆動歯車27aと従動歯車27bとに噛み合うアイドル歯車28aが固定されており、駆動歯車27a、アイドル歯車28a、および従動歯車27bによって後退段の変速歯車列が形成されている。
【0019】
出力軸14には変速歯車列を第2速と第4速のいずれかに切り換える第1切換機構31と、変速歯車列を第6速と第3速のいずれかに切り換える第2切換機構32が装着されている。さらに、出力軸14には変速歯車列を第5速と第1速のいずれかに切り換える第3切換機構33と、変速歯車列を後退段に切り換える第4切換機構34とが装着されている。これらの切換機構31〜34はシンクロメッシュ機構となっている。
【0020】
切換機構31は、第2速と第4速の2つの従動歯車22b,24bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ31bとを有している。このシンクロスリーブ31bを従動歯車22bに一体形成されたスプライン22cに噛み合わせると第2速に設定され、逆に従動歯車24bに一体形成されたスプライン24cに噛み合わせると第4速に設定される。
【0021】
同様に、切換機構32は第6速と第3速の2つの従動歯車26b,23bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ32aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ32bとを有している。このシンクロスリーブ32bを従動歯車26bに一体形成されたスプライン26cに噛み合わせると第6速に設定され、逆に従動歯車23bに一体形成されたスプライン23cに噛み合わせると第3速に設定される。
【0022】
また同様に、切換機構33は第5速と第1速の2つの従動歯車25b,21bの間に配置されて出力軸14に固定されたシンクロハブ33aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ33bとを有している。このシンクロスリーブ33bを従動歯車25bに一体形成されたスプライン25cに噛み合わせると第5速に設定され、逆に従動歯車21bに一体形成されたスプライン21cに噛み合わせると第1速に設定される。
【0023】
さらに、切換機構34は後退用の従動歯車27bの隣りに配置され出力軸14に固定されたシンクロハブ34aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ34bとを有している。このシンクロスリーブ34bを従動歯車27bに一体形成されたスプライン27cに噛み合わせると後退段に設定され、入力軸13の回転はアイドル歯車28aを介して逆転されて出力軸14に伝達される。
【0024】
このように、第2速と第4速の切り換えは切換機構31のシンクロスリーブ31bを作動させることによって行われ、第6速と第3速の切り換えは切換機構32のシンクロスリーブ32bを作動させることによって行われる。また、第5速と第1速の切り換えは切換機構33のシンクロスリーブ33bを作動させることによって行われ、後退段の切り換えは切換機構34のシンクロスリーブ34bを作動させることによって行われる。
【0025】
また、偶数段が設けられる入力軸12には入力クラッチ18を介してエンジン動力が伝達され、奇数段が設けられる入力軸13には入力クラッチ19を介してエンジン動力が伝達されるため、滑らかなアップシフトやダウンシフトが可能となる。たとえば、第1速から第2速にアップシフトを行う場合には、第1速と第2速とにエンジン動力を伝達する入力クラッチ18,19がそれぞれ別個に設けられるため、第1速での走行中に切換機構31により第2速の変速歯車列を動力伝達状態に切り換えることができる。このような状態のもとで、入力クラッチ19を徐々に解放するとともに、入力クラッチ18を徐々に締結することにより、出力軸14に対して駆動トルクを伝達したまま変速動作を行うことができ、急激なトルク変動を抑制した滑らかな変速動作が可能となる。
【0026】
なお、エンジン11にはエンジントルクやエンジン回転数を調整する図示しない電子制御スロットルが設けられており、通常はアクセルペダルの踏み込み量に応じて電子制御スロットルを開閉することによりエンジン制御が行われる。また、電子制御スロットルは、アクセルペダルの踏み込みに関係なく予め設定されたマップ等に基づいた開閉制御により、必要に応じて運転状況に対応したエンジン制御を行うことができる。
【0027】
また、自動変速機10には出力軸14に平行となって前輪出力軸35が組み込まれており、前輪出力軸35はセンタデファレンシャル装置36を介して出力軸14に連結されるとともに、フロントデファレンシャル装置37を介して図示しない前輪用のドライブシャフトに連結される。また、センタデファレンシャル装置36は駆動歯車38aと従動歯車38bとを介して後輪出力軸39に連結されており、後輪出力軸39は図示しないリヤデファレンシャル装置を介して図示しない後輪用のドライブシャフトに連結される。
【0028】
なお、センタデファレンシャル装置36は複合遊星歯車式であり、センタデファレンシャル装置36に組み込まれた一体型のピニオンギヤ36aを介して、前輪出力軸35と後輪出力軸39とに駆動トルクが分配され、前輪と後輪とを共に駆動することができる。このとき一体型のピニオンギヤ36aの回転により前輪と後輪との回転差は差動吸収される。また、センタデファレンシャル装置36には差動制限クラッチ36bが設けられており、前輪または後輪がスリップして大きな差動回転が生じたときは、差動制限クラッチ36bが締結されて差動回転が抑制される。
【0029】
図1に示すように、自動変速機10は切換機構31〜34をそれぞれに切換駆動するため4つのシフトアクチュエータ41〜44を有している。第1〜第3シフトアクチュエータ41〜43は、切換機構31〜33を切換駆動するため、シンクロスリーブ31b〜33bをスプライン22c,26c,25cに噛み合わせて第2速、第6速、第5速に設定する位置と、スプライン24c,23c,21cに噛み合わせて第4速、第3速、第1速に設定する位置とに作動する。また、切換機構31〜33を中立状態に切換駆動するため、これらのスプライン21c〜26cに噛み合わない位置に作動する。つまり、シフトアクチュエータ41〜43は3つの切換位置に作動する。
【0030】
また、第4シフトアクチュエータ44は、切換機構34を切換駆動するため、シンクロスリーブ34bをスプライン27cに噛み合わせて後退段に設定する位置と、切換機構34を中立状態に切換駆動するため、スプライン27cに噛み合わない位置とに作動する。このように、シフトアクチュエータ44は2つの切換位置に作動する。
【0031】
図2および図3は本発明の一実施の形態である切換弁が組み込まれた変速制御装置の一部を示す油圧回路図であり、図2は入力クラッチ18,19を制御する部分を示し、図3はシフトアクチュエータ41〜44を制御する部分を示す。これらの油圧回路図にあっては対応する符号A〜Cの部分で接続されている。
【0032】
図2に示すように、図示しないオイルポンプおよび所定のライン圧に調圧する調圧機器などを有するライン圧供給部45より、入力クラッチ18,19に向けてライン圧を案内するライン圧油路46は、入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47と、入力クラッチ19にライン圧を供給するライン圧油路48とに分岐されている。入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47には、常閉式つまりノーマルクローズタイプの電磁弁SOL1が設けられており、電磁弁SOL1に対する通電制御により入力クラッチ18に対してライン圧が供給制御される。同様に、入力クラッチ19にライン圧を供給するライン圧油路48には、常閉式つまりノーマルクローズタイプの電磁弁SOL2が設けられており、電磁弁SOL2に対する通電制御により入力クラッチ19に対してライン圧が供給制御される。
【0033】
つまり、電磁弁SOL1に対して通電を行うことにより、入力クラッチ18は締結状態となって入力軸12にエンジン動力が伝達される一方、電磁弁SOL2に対して通電を行うことにより、入力クラッチ19は締結状態となって入力軸13にエンジン動力が伝達される。また、電磁弁SOL1,SOL2に対する通電を解除することによりそれぞれの入力クラッチ18,19は解放状態となる。
【0034】
また、ライン圧供給部45と入力クラッチ18,19との間には、切換弁であるクラッチセレクト弁49が設けられている。このクラッチセレクト弁49は、軸方向に延びる弁収容孔49aが形成されるハウジング49bと、弁収容孔49aに移動自在に収容される弁軸としてのスプール弁軸49sとを備えており、ハウジング49bには、ライン圧ポート49c、2つの出力ポート49d,49e、4つのパイロットポート49f〜49i、2つの排出ポート49j,49kが形成されている。パイロットポート49g,49iのいずれかに油圧が供給されると、この油圧は弁収容孔49a内にスプール弁軸49sによって区画形成されるパイロット圧室49l,49mに送り込まれ、図2に示すように、スプール弁軸49sはライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通する位置に切り換えられる。一方、パイロットポート49f,49hのいずれかに油圧が供給されると、この油圧は弁収容孔49a内にスプール弁軸49sによって区画形成されるパイロット圧室49n,49oに送り込まれ、スプール弁軸49sはライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通する位置に切り換えられる。
【0035】
クラッチセレクト弁49のパイロットポート49fは信号油路50を介してライン圧油路47に接続され、パイロットポート49gは信号油路51を介してライン圧油路48に接続されている。また、出力ポート49eはライン圧油路52からシャトル弁53を介してライン圧油路47に接続され、出力ポート49dはライン圧油路54からシャトル弁55を介してライン圧油路48に接続されている。
【0036】
入力クラッチ18にライン圧油路47を経てライン圧が供給されると、このライン圧はクラッチセレクト弁49のパイロットポート49fに供給されるため、ライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通するようにスプール弁軸49sが切り換えられる。一方、入力クラッチ19にライン圧油路48を介してライン圧が供給されると、このライン圧はクラッチセレクト弁49のパイロットポート49gに供給されるため、ライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通するようにスプール弁軸49sが切り換えられる。つまり、入力クラッチ18が締結状態にあるときには、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧を供給するように油路が切り換えられ、入力クラッチ19が締結状態にあるときには、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧を供給するように油路が切り換えられる。
【0037】
図4(A)〜(C)はクラッチセレクト弁49の切換移動過程を示す説明図である。図4(A)に示すように、クラッチセレクト弁49はボール部材56a、ばね部材56b、係合溝56c,56dを備えた保持機構56を有している。ハウジング49bには弁収容孔49aから径方向に延びるボール収容孔49pが設けられており、このボール収容孔49pには移動自在に係合凸部としてのボール部材56aが収容されている。また、ボール収容孔49pにはばね部材56bが組み込まれており、ばね部材56bからのばね力によりボール部材56aは弁収容孔49aに向けて押し出される。スプール弁軸49sの端部に設けられる弁体49rには、その外周面にボール部材56aに対応した係合凹部として環状の係合溝56c,56dが2本形成されている。つまり保持機構56はディテント機構となっている。
【0038】
図4(A)に示すように、パイロットポート49g,49iに油圧が供給され、ライン圧ポート49cと出力ポート49dとが連通するときには、係合溝56cにボール部材56aが係合するため、油圧が遮断されてもその切換位置を保持することができる。また、図4(B)に示すように、パイロットポート49f,49hに油圧が供給され、スプール弁軸49sに所定の推力が加えられたときには、ボール部材56aはばね力に抗してボール収容孔49p内に押し戻され、スプール弁軸49sの切換移動が可能となる。そして、図4(C)に示すように、ライン圧ポート49cと出力ポート49eとが連通するときには、係合溝56dにボール部材56aが係合するため、油圧が遮断されてもその切換位置を保持することができる。
【0039】
また、図2に示すように、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cにライン圧を供給するライン圧油路60には、このライン圧油路60を連通状態と遮断状態とに切り換える第1フェールセーフ弁61が設けられている。このフェールセーフ弁61はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸61sを備えており、パイロットポート61aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート61bと出力ポート61cとを連通する一方、パイロットポート61aのパイロット圧が遮断されるとライン圧ポート61bを遮断する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路60を連通状態に切り換え、供給が遮断された状態ではライン圧油路60を遮断状態に切り換える。
【0040】
車室内には運転者により操作される図示しないセレクトレバーが設けられており、このセレクトレバーにより作動するスプール弁軸62sがマニュアル弁62に設けられている。マニュアル弁62に形成されたライン圧ポート62aにはライン圧油路46が接続されており、マニュアル弁62に形成されたパイロット圧ポート62bにはパイロット圧油路63が接続されている。このパイロット圧油路63には図示しないオイルポンプおよび所定のパイロット圧に調圧する調圧機器などを有する油圧供給源であるパイロット圧供給部64が接続されている。なお、パイロット圧はライン圧よりも低圧力に調圧される。
【0041】
また、パイロット圧油路63には、常開式つまりノーマルオープンタイプのフェールセーフ電磁弁SOL3が設けられている。このフェールセーフ電磁弁SOL3は、正常時には常に通電されておりパイロット圧油路63を遮断状態に保持する一方、電気系に障害が発生したフェール時にはフェールセーフ電磁弁SOL3に対する通電が解除されるためパイロット圧油路63は連通状態に切り換えられる。つまり、フェール時にはフェールセーフ電磁弁SOL3を介してマニュアル弁62にパイロット圧が供給されることになる。
【0042】
マニュアル弁62には、スプール弁軸62sがリバースレンジ(Rレンジ)に対応したR位置に移動したときに、ライン圧ポート62aに連通するRポート62cと、パイロット圧ポート62bに連通するRポート62dとが形成されている。また、スプール弁軸62sがドライブレンジ(Dレンジ)に対応したD位置に移動したときにパイロット圧ポート62bに連通するDポート62eと、ニュートラルレンジ(Nレンジ)に対応したN位置に移動したときにパイロット圧ポート62bに連通するNポート62fとが形成されている。
【0043】
このように、マニュアル弁62に形成されるRポート62c,62d、Dポート62e、Nポート62fは、クラッチセレクト弁49およびフェールセーフ弁61のパイロットポート49h,49i,61aに接続されている。クラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにはライン圧油路65を介してRポート62cが接続され、クラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにはパイロット圧油路66を介してNポート62fが接続されている。また、フェールセーフ弁61のパイロットポート61aにはパイロット圧油路67,68とシャトル弁69とを介してDポート62eが接続され、同様にフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにはパイロット圧油路68,70とシャトル弁69とを介してRポート62dが接続されている。
【0044】
したがって、セレクトレバーがRレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のRポート62cからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにライン圧が出力されるため、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cと出力ポート49dとは連通状態に切り換えられる。さらに、フェール時にあっては、マニュアル弁62のRポート62dからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が出力されるため、フェールセーフ弁61によってライン圧油路60が連通状態に切り換えられ、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されることになる。
【0045】
また、フェール時においてセレクトレバーがNレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のNポート62fからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにパイロット圧が出力されるため、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cと出力ポート49eとは連通状態に切り換えられる。そして、フェール時においてセレクトレバーがDレンジに操作されたときには、マニュアル弁62のDポート62eからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が出力されるため、フェールセーフ弁61によってライン圧油路60が連通状態に切り換えられる。
【0046】
入力クラッチ18にライン圧を供給するライン圧油路47には第2フェールセーフ弁72が設けられている。このフェールセーフ弁72は、信号油路73,74を介してライン圧油路47,48のそれぞれに連通する第1パイロット圧室72aと第2パイロット圧室72bとを備えており、パイロット圧室72aには入力クラッチ18に供給されるライン圧が案内され、パイロット圧室72bには入力クラッチ19に供給されるライン圧が案内される。また、フェールセーフ弁72は信号油路73,74から入力されるライン圧とばね力とによって切換移動するスプール弁軸72sを備えている。
【0047】
入力クラッチ18,19のいずれか一方にライン圧が供給されるときには、図2に示すように、フェールセーフ弁72はライン圧油路47を連通状態に切り換えるが、双方の入力クラッチ18,19にライン圧が供給される状態になると、信号油路73,74から案内されるライン圧により、フェールセーフ弁72はライン圧油路47を遮断状態に切り換える。つまり、2つの入力クラッチ18,19が共に締結状態に切り換えられることで変速歯車列の二重噛み合いが発生し得るときには、フェールセーフ弁72によって入力クラッチ18に対するライン圧の供給が遮断され、2つの入力クラッチ18,19の同時締結が回避される。なお、フェールセーフ弁72は入力クラッチ18,19に供給されるライン圧によって直接的に切り換えられるので応答性が良く、確実に入力クラッチ18,19の同時締結を回避することができる。
【0048】
続いて、図3に示すように、シフトアクチュエータ41〜44は、それぞれハウジング41a〜44aとこれに往復動自在に収容されるピストン41b〜44bとを備えている。各ピストン41b〜44bに固定されたピストンロッド41c〜44cは図示しないシフトフォークを介してシンクロスリーブ31b〜34bに連結されている。また、各ハウジング41a〜44aにはピストン41b〜44bの両側に形成される作動油室41d〜44d,41e〜44eにそれぞれ連通する作動ポート41f〜44f,41g〜44gが形成されている。これら作動ポート41f〜44f,41g〜44gのそれぞれにはライン圧油路75〜82が接続されており、これらのライン圧油路75〜82はライン圧油路83に連通する。
【0049】
ライン圧供給部45からのライン圧を各シフトアクチュエータ41〜44に供給するライン圧油路83には、このライン圧油路83を連通状態と遮断状態とに切り換える第3フェールセーフ弁84が設けられている。このフェールセーフ弁84はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸84sを備えており、パイロットポート84aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート84bと出力ポート84cとを遮断する一方、パイロットポート84aのパイロット圧が遮断されるとライン圧ポート84bを連通する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路83は遮断状態に切り換えられ、供給が遮断された状態ではライン圧油路83は連通状態に切り換えられる。なお、パイロットポート84aは信号油路85を介してマニュアル弁62のDポート62eに接続されるため、フェール時においてセレクトレバーがDレンジに操作されたときのみライン圧油路83は遮断状態に切り換えられる。
【0050】
シフトアクチュエータ41〜43の各作動ポート41f〜43f,41g〜43gに接続されるライン圧油路75〜80には、それぞれ常開式つまりノーマルオープンタイプの電磁弁SOL4〜SOL9が設けられており、シフトアクチュエータ44の作動ポート44gに接続されるライン圧油路82には、常開式つまりノーマルオープンタイプの電磁弁SOL10が設けられている。各ライン圧油路75〜82にライン圧が供給された状態のもとで、各電磁弁SOL4〜SOL10に通電を行うことにより、シフトアクチュエータ41〜44を切換駆動することができ、選択された各変速歯車列を動力伝達状態に切り換えることができる。
【0051】
変速歯車列を第1速に設定する場合には、電磁弁SOL9に対して通電することにより、シフトアクチュエータ43の作動油室43eに対するライン圧の供給が遮断され、シフトアクチュエータ43は第1速を動力伝達状態に切り換える第1速位置に切り換えられる。同様に、電磁弁SOL4に通電すると第2速に、電磁弁SOL7に通電すると第3速に、電磁弁SOL5に通電すると第4速に、電磁弁SOL8に通電すると第5速に、電磁弁SOL6に通電すると第6速にそれぞれ設定することができる。なお、電磁弁SOL4〜SOL9に対する通電を遮断することにより、シフトアクチュエータ41〜44毎に設けられる2つの作動油室41d〜43d,41e〜43eにライン圧を供給した場合には、各シフトアクチュエータ41〜44はそれぞれ中立位置に切換駆動される。
【0052】
一方、変速歯車列を後退段に設定する場合には電磁弁SOL10に対する通電が遮断される。シフトアクチュエータ44のピストン44bは、一端にのみピストンロッド44cを備えているためピストン両端の有効受圧面積は異なって設定されている。つまり、電磁弁SOL10に対する通電を遮断することによって双方の作動油室44d,44eにライン圧を供給した場合には、シフトアクチュエータ44は後退位置に切換駆動され変速歯車列は後退段に設定される一方、電磁弁SOL10に対して通電することにより一方の作動油室44dにライン圧を供給した場合には、シフトアクチュエータ44は中立位置に切換駆動される。
【0053】
また、シフトアクチュエータ41の作動ポート41gに接続されるライン圧油路76には、このライン圧油路76を連通状態と遮断状態とに切り換える第4フェールセーフ弁86が設けられている。このフェールセーフ弁86はパイロット圧とばね力とにより切換移動するスプール弁軸86sを備えており、パイロットポート86aにパイロット圧が供給されるとライン圧ポート86bを遮断する一方、パイロット圧が遮断されるとライン圧ポート86bと出力ポート86cとを連通する。つまり、パイロット圧が供給された状態ではライン圧油路76を遮断状態に切り換え、供給が遮断された状態ではライン圧油路76を連通状態に切り換える。なお、パイロットポート86aにはパイロット圧油路63が接続されるため、フェール時のみライン圧油路76は遮断状態に切り換えられる。
【0054】
図5は変速制御装置の一部を示すブロック図である。図5に示すように、前述の油圧制御回路の各電磁弁SOL1,SOL2,SOL4〜SOL10に対する通電と通電解除とは、電子制御ユニット(ECU87)によって制御される。ECU87にはインヒビタスイッチ88、エンジン回転数センサ89、ブレーキスイッチ90等から信号が入力される。このECU87はインヒビタスイッチ88からの信号に基づいてセレクトレバーの位置を検出し、エンジン回転数センサ89からの信号によりエンジン回転数を検出するととともに、ブレーキスイッチ90からの信号によりブレーキ作動を検出し、更に、その他の各種センサからの信号により現在の車速やアクセル開度等を検出する。そして、ECU87はこれらの検出信号によって把握される走行状況に応じて各電磁弁SOL1,SOL2,SOL4〜SOL10に対する通電を制御して自動変速制御を実行する。
【0055】
以下、電気系に障害が発生していない正常走行状態での油圧の供給経路について説明する。まず、正常走行状態であるためフェールセーフ電磁弁SOL3は遮断状態を維持しており、パイロット圧供給部64からのパイロット圧は各種フェールセーフ弁61,84,86に供給されることはない。つまり、フェールセーフ弁61,84,86は遮断状態を維持しており、ライン圧供給部45からのライン圧は電磁弁SOL1,SOL2に供給されるとともに、フェールセーフ弁84を介して電磁弁SOL4〜SOL10に供給された状態となっている。
【0056】
この状態のもとで前進走行を開始する場合には、まず電磁弁SOL9,SOL10に通電を行うことにより、シフトアクチュエータ43を用いて第1速を動力伝達状態に切り換えるとともに、シフトアクチュエータ44を用いて後退段を中立状態に切り換える。次いで、第1速の駆動歯車21aが固定される入力軸13にエンジン動力を伝達するため、電磁弁SOL2に通電を開始して入力クラッチ19を締結状態に切り換える。この通電によりライン圧油路48は連通状態となり、シャトル弁55を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されて車両は前進走行を開始する。
【0057】
なお、第1速での走行つまり入力クラッチ19を締結する走行では、信号油路51を介してクラッチセレクト弁49のパイロットポート49gにライン圧が供給されるため、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通状態に切り換える。
【0058】
このように、第1速による前進走行を開始した後には、車両の走行状況に応じて適宜アップシフトが行われる。アップシフトを行う際には、走行中に電磁弁SOL4に対して通電が行われ第2速が動力伝達状態に設定される。次いで、電磁弁SOL1,SOL2双方に対して通電制御が行われ、入力クラッチ19は徐々に解放状態に切り換えられる一方、入力クラッチ18は徐々に締結状態に切り換えられる。入力クラッチ18が締結状態に切り換えられることにより変速動作は完了し、第2速による走行が開始される。なお、第2速での走行つまり入力クラッチ18を締結する走行では、信号油路50を介してクラッチセレクト弁49のパイロットポート49fにライン圧が供給されるため、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通状態に切り換える。
【0059】
同様に、第3速以降のアップシフトについても、変速後に使用される変速歯車列が予め動力伝達状態に切り換えられた状態のもとで、2つの入力クラッチ18,19が交互に締結状態に切り換えられ、変速ショックの発生することのない滑らかな変速動作が実行される。なお、アップシフトに限らずダウンシフトについても同様の自動変速制御が実行される。
【0060】
続いて、後退走行を行う場合について説明する。まず、後退走行を行う場合には、電磁弁SOL4〜SOL10に対する通電を遮断する。これにより、シフトアクチュエータ41〜43は中立位置に切換駆動され、シフトアクチュエータ44の切換駆動により後退段が動力伝達状態に切り換えられる。次いで、後退用の駆動歯車27aを備える入力軸13にエンジン動力を伝達するため、電磁弁SOL2に通電を開始する。この通電によりライン圧油路48は連通状態となり、シャトル弁55を介して供給されるライン圧により入力クラッチ19は締結状態に切り換えられ、車両は後退走行を開始する。
【0061】
次いで、電気系に故障が発生したフェール状態での油圧の供給経路について説明する。まず、前進走行中にフェール状態となった場合には、フェールセーフ電磁弁SOL3が連通状態に切り換えられ、パイロット圧がマニュアル弁62のパイロット圧ポート62bに入力される。このとき、セレクトレバーはDレンジに設定されているため、マニュアル弁62のDポート62eから出力されるパイロット圧は、シャトル弁69を介してフェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力される。このパイロット圧によりフェールセーフ弁61のライン圧ポート61bと出力ポート61cとは連通状態に切り換えられ、ライン圧油路60よりフェールセーフ弁61に供給されていたライン圧は、クラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cに入力される。
【0062】
ここで、クラッチセレクト弁49は、直前に締結状態であった入力クラッチ18,19に対してライン圧を供給するように油路が設定されるため、直前に締結されていた入力クラッチ18,19の締結状態を維持することができる。たとえば、第1速で走行中にフェール状態となった場合にはクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給されることになり、第2速でフェール状態となった場合にはクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧が供給されることになる。
【0063】
また、マニュアル弁62のDポート62eより出力されるパイロット圧は、フェールセーフ弁84のパイロットポート84aに入力される。これにより、ライン圧油路83は遮断状態に切り換えられるため、シフトアクチュエータ41〜44を制御する電磁弁SOL4〜SOL10にはライン圧が供給されることはなく、シンクロスリーブとスプラインとの噛み合い抵抗、さらにはディテント機構により走行中の変速歯車列が維持される。
【0064】
つまり、前進走行中にフェール状態となった場合には、入力クラッチ18,19の締結状態が維持されるとともに、変速歯車列の動力伝達状態が維持されるため、車両に何ら変化を与えることなく、直前の前進走行を維持することができる。
【0065】
続いて、後退走行中にフェール状態となった場合について説明する。後退走行中にフェール状態となった場合であっても、前述の前進走行と同様の制御がなされる。つまり、フェールセーフ電磁弁SOL3が連通状態に切り換えられ、マニュアル弁62に供給されたパイロット圧は、Rポート62dよりシャトル弁69を介してフェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力される。このパイロット圧によりライン圧油路60は連通状態に切り換えられ、ライン圧がクラッチセレクト弁49のライン圧ポート49cに入力される。ここで、クラッチセレクト弁49は、入力クラッチ19に対してライン圧を供給するように油路が設定されるため、入力クラッチ19の締結状態を維持することができる。
【0066】
また、後退走行の場合には、マニュアル弁62からフェールセーフ弁84のパイロットポート84aにパイロット圧は入力されず、ライン圧油路83は連通状態を維持することになる。しかしながら、電磁弁SOL4〜SOL10に対して通電が行われない場合には、各シフトアクチュエータ41〜44に供給されるライン圧により、シフトアクチュエータ41〜43は中立状態に維持されるとともに、シフトアクチュエータ44は後退段を動力伝達状態に切り換える方向に駆動することになる。
【0067】
つまり、後退走行中にフェール状態となった場合であっても、入力クラッチ19の締結状態が維持されるとともに、後退段が動力伝達状態に維持されるため、車両に何ら変化を与えることなく、直前の後退走行を維持することができる。
【0068】
以下、フェール状態となった後における前進走行および後退走行、つまりリンプホーム制御について説明する。図6および図7はそれぞれ図2および図3と同様の部分を示す油圧回路図であり、フェール状態においてDレンジまたはRレンジからNレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示している。また、図8および図9は図2と同様の部分を示す油圧回路図であり、図8はフェール状態においてNレンジからDレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示し、図9はフェール状態においてNレンジからRレンジにセレクトレバーを操作した際の油圧の供給経路を示している。
【0069】
図6に示すように、フェール状態となった後にセレクトレバーをNレンジに操作すると、マニュアル弁62のDポート62eまたはRポート62dより、フェールセーフ弁61のパイロットポート61aに入力されていたパイロット圧は遮断され、ライン圧油路60が遮断状態に切り換えられるとともに入力クラッチ18,19は解放状態に切り換えられる。また、マニュアル弁62のNポート62fからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49hにパイロット圧が供給され、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49eとを連通状態に切り換える。つまり、クラッチセレクト弁49によって油路が入力クラッチ18側に切り換えられた状態となっている。
【0070】
次いで、図7に示すように、フェールセーフ弁84のパイロットポート84aに供給されていたパイロット圧が遮断されるため、ライン圧油路83は連通状態に切り換えられ、ライン圧が各電磁弁SOL4〜SOL10に向けて供給される。ここで、第2〜第4シフトアクチュエータ42〜44にはピストン両側の作動油室42d〜44d,42e〜44eにライン圧が供給される一方、シフトアクチュエータ41の作動ポート41gに接続されるライン圧油路76は、フェールセーフ弁86により遮断状態に切り換えられているため、シフトアクチュエータ41には作動ポート41fにのみライン圧が供給されることになる。
【0071】
このような各シフトアクチュエータ41〜44に対するライン圧の供給制御により、シフトアクチュエータ41とシフトアクチュエータ44がそれぞれ切換駆動され、第4速と後退段との変速歯車列が動力伝達状態に切り換えられる。
【0072】
このように、フェール時にセレクトレバーをNレンジに設定すると、締結されていた入力クラッチ18,19が解放状態に切り換えられ、クラッチセレクト弁49内の油路が入力クラッチ18側に切り換えられた状態となる。そして、第4速と後退段との変速歯車列が動力伝達状態に切り換えられることになる。
【0073】
続いて、セレクトレバーをDレンジに設定すると、図8に示すように、マニュアル弁62のDポート62eよりフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が供給されてライン圧油路60が連通状態となるため、Nレンジに操作した際に油路が切り換えられたクラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ18にライン圧が供給される。このとき、第4速の変速歯車列は動力伝達状態となっているため、入力クラッチ18を締結状態に切り換えることにより第4速での前進走行が可能となる。
【0074】
また、セレクトレバーをRレンジに設定すると、図9に示すように、マニュアル弁62のRポート62cからクラッチセレクト弁49のパイロットポート49iにライン圧が供給され、クラッチセレクト弁49はライン圧ポート49cと出力ポート49dとを連通状態に切り換える。なお、クラッチセレクト弁49のパイロットポート49fに対してもパイロット圧が供給されているが、パイロット圧に比べてライン圧は高圧力であるため、クラッチセレクト弁49内の油路は入力クラッチ19側に切り換えられる。
【0075】
続いて、マニュアル弁62のRポート62dからフェールセーフ弁61のパイロットポート61aにパイロット圧が供給されてライン圧油路60が連通状態となるため、クラッチセレクト弁49を介して入力クラッチ19にライン圧が供給される。このとき、後退段の変速歯車列は動力伝達状態となっているため、入力クラッチ19を締結状態に切り換えることにより後退段での後退走行が可能となる。
【0076】
このように、フェール時においては、セレクトレバーをNレンジに設定することにより、第4速と後退段の変速歯車列は動力伝達状態に切り換えられる。次いで、セレクトレバーをDレンジに設定することにより、入力クラッチ18が締結状態に切り換えられる一方、セレクトレバーをRレンジに設定することにより、入力クラッチ19が締結状態に切り換えられる。つまり、運転者がセレクトレバーをDレンジまたはRレンジに操作したときには、入力クラッチ18,19を締結状態に切り換える動作のみが行われるため、変速制御装置の応答性を高めることができる。
【0077】
これまで説明したように、クラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしたので、走行中における電気系の障害によりパイロット圧室49l〜49oから油圧が排出された場合であっても、クラッチセレクト弁49の切換位置を保持することができるため、締結状態にある入力クラッチ18,19を解放状態に切り換えることなく維持することができ、車両の走行状態を維持することができる。つまり、パイロット圧室49l〜49oに対する油圧低下の影響によってクラッチセレクト弁49に誤作動が発生することはなく、フェールセーフ機能の信頼性を高めることができる。なお、油圧系の障害によりパイロット圧室49l〜49oの油圧が低下した場合であっても、クラッチセレクト弁49が切換位置を保持することは言うまでもない。
【0078】
また、図示する場合には、保持機構56を備えたクラッチセレクト弁49を平行軸式自動変速機10の変速制御装置に組み込んでいるが、これに限られることはなく他の流体機器、たとえば、遊星歯車式自動変速機の変速制御装置に本発明の切換弁を組み込むようにしても良い。
【0079】
遊星歯車式自動変速機は、入力軸と出力軸とを同軸上に連結する遊星歯車列を有しており、変速歯車列の動力伝達経路を切り換えることによって変速が行われる。遊星歯車列の各要素であるサンギヤ、キャリア、リングギヤ等に設けられたクラッチやブレーキなどを締結または解放することにより、遊星歯車列内の動力伝達経路を切り換えることができ、入力軸の回転を減速、増速、等速、または逆転させて出力軸に伝達することができる。
【0080】
このような自動変速機に設けられるフェールセーフ機能としては、特定のクラッチを締結状態に切り換えることが一般的であるため、フェール時には特定の変速段で走行する必要があった。このため、フェール時にたとえば高速段に切り換えられる遊星歯車式自動変速機にあっては、低速段での走行中にフェール状態になると低速段から高速段に切り換えられることになり、駆動トルクの減少などによって車両が不安定となるおそれがあった。
【0081】
そこで、低速段に切り換える低速クラッチと高速段に切り換える高速クラッチとに、保持機構を備えた切換弁を介して油圧を供給するようにすると、低速段でフェール状態となった場合には、低速クラッチに連通する油路を切り換えることなく低速段を維持する一方、高速段でフェール状態となった場合には、高速クラッチに連通する油路を切り換えることなく高速段を維持することができる。このように、保持機構を備えた切換弁を変速制御装置に組み込むことにより、遊星歯車式自動変速機のフェールセーフ機能をより安全かつ容易に構築することができる。
【0082】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。たとえば、図示する場合には、2位置切換弁であるクラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしているが、3つ以上の切換位置を備えた切換弁に保持機構を設けるようにしても良い。なお、スプール弁軸には複数の切換位置に対応した複数の係合溝が形成されることは言うまでもない。
【0083】
また、保持機構56は、ハウジング49bに移動自在に設けられるボール部材56aと、スプール弁軸49sに設けられる係合溝56c,56dとを備えているが、ハウジング49bに係合凹部としての係合溝を設けるようにしても良く、スプール弁軸49sに係合凸部としてのボール部材を設けるようにしても良い。
【0084】
さらに、係合凸部としてボール部材56aを設け、係合凹部として環状の係合溝56c,56d設けるようにしているが、たとえば、係合凸部を球体以外の形状にしても良く、係合凹部として窪みを設けるようにしても良い。
【0085】
なお、作動油が流れるクラッチセレクト弁49に保持機構56を設けるようにしているが、作動流体や信号流体として空気が流れる切換弁に保持機構を設けても良いことは言うまでもない。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、弁軸の切換位置を保持する保持機構を設けるようにしたので、弁軸に加えられる推力が断たれた場合であっても、弁軸に誤作動を発生させることなく作動状態を保持することができる。
【0087】
これにより、電気系や圧力系の障害によって、流路の設定が不安定になったり、流路が切り換えられたりすることはなく、切換弁が組み込まれる流体機器の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機を示すスケルトン図である。
【図2】本発明の一実施の形態である切換弁が組み込まれた変速制御装置の一部を示す油圧回路図である。
【図3】変速制御装置の一部を示す油圧回路図である。
【図4】(A)〜(C)はクラッチセレクト弁の切換移動過程を示す説明図である。
【図5】変速制御装置の一部を示すブロック図である。
【図6】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図7】電気系に障害が発生した際の図3と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図8】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【図9】電気系に障害が発生した際の図2と同様の部分を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
49 クラッチセレクト弁(切換弁)
49a 弁収容孔
49b ハウジング
49c ライン圧ポート(ポート)
49d,49e 出力ポート(ポート)
49f〜49i パイロットポート(ポート)
49j,49k 排出ポート(ポート)
49s スプール弁軸(弁軸)
56 保持機構
56a ボール部材(係合凸部)
56b ばね部材
56c,56d 係合溝(係合凹部)
Claims (3)
- 軸方向に延びる弁収容孔と前記弁収容孔を介して連通する複数のポートとが形成されるハウジングと、
前記弁収容孔に軸方向に移動自在に収容され、前記ポート間の連通状態を切り換える弁軸と、
前記弁軸に所定の推力が軸方向に加えられるまで、前記弁軸の切換位置を保持する保持機構とを有することを特徴とする切換弁。 - 請求項1記載の切換弁において、前記保持機構は前記弁軸に設けられる係合凹部と、前記ハウジングに前記弁軸の径方向に移動自在に設けられる係合凸部とを備え、所定の推力で押し出される前記係合凸部を前記係合凹部に係合させることを特徴とする切換弁。
- 請求項2記載の切換弁において、前記係合凸部はばね力により押し出されることを特徴とする切換弁。
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JP2009517245A (ja) * | 2005-11-28 | 2009-04-30 | エルジー・ケム・リミテッド | 天然木材のような外観及び質感を備えた木質プラスチック複合材パネルを製造するためのインラインプロセス及びそのための装置 |
CN103697190A (zh) * | 2013-12-30 | 2014-04-02 | 四川北方硝化棉股份有限公司 | 活塞推料离心机换向阀 |
CN103711943A (zh) * | 2013-12-21 | 2014-04-09 | 张福江 | 一种液压顺序阀及其控制方法 |
-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143911A patent/JP2004347009A/ja active Pending
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