JP2004346837A - 内燃機関の電磁駆動弁 - Google Patents

内燃機関の電磁駆動弁 Download PDF

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秀之 西田
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Abstract

【課題】本発明は内燃機関の電磁駆動弁に関し、電磁駆動弁の振動を有効に低減し、静粛性に優れた内燃機関の電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【解決手段】アーマチャ38およびコア40、44をアクチュエータボディ35に取り付ける。アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間、およびアクチュエータボディ35とボルト52のフランジ部との間に、それぞれ皿バネ50を設ける。ボルト52により、皿バネ50を介してアクチュエータボディ35をシリンダヘッド14に取り付ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力で駆動する電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平11−107723号公報に開示されているように、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力で駆動する電磁駆動弁が知られている。この電磁駆動弁は、電磁石が発する電磁力とスプリングのバネ力とによって吸排気弁を駆動するものであり、弁軸に固定されたアーマチャを備えている。このアーマチャが一対の電磁石の間を往復移動することにより弁体を開閉させるものである。
【0003】
上記従来の電磁駆動弁は、上方の電磁石と、これをその上方から支えるハウジングの間、および、下方の電磁石と、これをその下方から支持するハウジングとの間に、ゲル材を備えている。このゲル材が衝突緩和部材として作用することで、アーマチャが電磁石に到達する際の衝突エネルギの一部が熱エネルギに変換され、その衝撃が緩和される。その結果、電磁駆動弁の動作に伴う振動、騒音を低減することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−107723号公報
【特許文献2】
特開平11−210431号公報
【特許文献3】
特開2000−291712号公報
【特許文献4】
実開平4−5510号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ゲル材を用いて衝突を緩和させる手法では、衝突エネルギを熱エネルギに変換する変換効率が低く、効果的に振動を吸収させることができない。また、ゲル材は、耐久性、耐熱性が悪く、クリープ現象を起こし易い。このため、振動を吸収する効果が持続しない。このような特性を有しているため、ゲル材では、電磁駆動弁の動作に伴う振動を有効に低減することができず、更なる改良の余地が残されていた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電磁駆動弁の振動を有効に低減し、静粛性に優れた内燃機関の電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、一対の電磁石が発する電磁力により前記電磁石の間をアーマチャが往復移動することにより弁体を開閉させる内燃機関の電磁駆動弁であって、
前記アーマチャおよび前記電磁石を含む電磁駆動機構を備え、
前記電磁駆動機構が、金属バネを介してシリンダヘッドに取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記金属バネは、皿バネであることを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記金属バネは、前記電磁駆動機構を前記シリンダヘッドに向けて付勢する第1の金属バネと、前記電磁駆動機構を前記シリンダヘッドから遠ざける方向に付勢する第2の金属バネとを含み、
前記第1の金属バネと前記第2の金属バネが同一のバネ定数を有することを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記金属バネは、前記電磁駆動機構の重量を異なる比率で担う複数の金属バネを含み、
前記電磁駆動機構の重量を大きな比率で担う金属バネのバネ定数が、前記電磁駆動機構の重量を小さな比率で担う金属バネのバネ定数より大きいことを特徴とする。
【0011】
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記シリンダヘッドおよび前記電磁駆動機構の少なくとも一方は、前記金属バネと当接する部位に、前記金属バネと同程度の硬度を有する耐摩耗部材を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1で用いられる電磁駆動弁10の断面図である。
図1に示す電磁駆動弁10は、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体12を備えている。弁体12は、シリンダヘッド14に設けられたポート16に配置されている。ポート16には弁座18が設けられており、弁体12が弁座18に着座することにより、あるいは弁座18から離座することによりポート16が開閉される。
【0014】
弁体12は、弁軸20の先端に固定されている。弁軸20には、ロアリテーナ22が固定されている。ロアリテーナ22の下方には、弁軸20を上方に付勢する弾性力を発生するロアスプリング24が配置されている。ロアスプリング24の下端位置は、シリンダヘッド14により規制されている。
【0015】
弁軸20の上端は、HLA(Hydraulic Lash Adjuster)26を介してアーマチャ軸28に連結されている。HLA26は、弁軸20とアーマチャ軸28との相対位置を適当に変化させるべく、必要に応じて適宜伸縮する機能を有している。
【0016】
アーマチャ軸28の上端部には、アッパリテーナ30が固定されている。アッパリテーナ30の上方には、アーマチャ軸28を下方に付勢する弾性力を発生するアッパスプリング32が配置されている。アッパスプリング32の上端位置は、アジャスタ34により規制されている。アーマチャ軸28の上下方向位置は、アジャスタ34によって所望の位置に調整されている。アジャスタ34は、アクチュエータボディ35に取り付けられている。アジャスタ34には、アーマチャ軸28の変位を検出するためのリフトセンサ36が取り付けられている。
【0017】
アーマチャ軸28には、更に、HLA26とアッパリテーナ30の中間位置において、磁性材料で構成されたアーマチャ38が固定されている。アーマチャ38の下方には、ロアコア40およびロアコイル42が配置されている。また、アーマチャ38の上方には、アッパコア44およびアッパコイル46が配置されている。ロアコア40およびアッパコア44は、所定の間隔でアクチュエータボディ35に取り付けられている。
【0018】
アクチュエータボディ35は、皿バネ50を介し、ボルト52によりシリンダヘッド14に取り付けられている。尚、皿バネ50を用いたアクチュエータボディ35の取り付け構造については、後に詳細に説明する。
【0019】
図1は、ロアコイル42およびアッパコイル46のいずれにも励磁電流が供給されていない状態を示す。電磁駆動弁10の各部は、図1に示す通り、この状態において、アーマチャ38がほぼロアコア40とアッパコア44との中央に位置し、かつ、弁体12が全開位置と全閉位置のほぼ中央に位置するように調整されている。
【0020】
電磁駆動弁10は、ロアコイル42に適当な励磁電流が供給されると、アーマチャ38をロアコア40側に引き寄せて弁体12を全開状態とする。この状態でロアコイル42への通電が停止されると、アーマチャ38は、ロアスプリング24およびアッパスプリング32のバネ力により、アッパコア44の近傍まで変位する。アーマチャ38がアッパコア44に近接するタイミングでアッパコイル46に励磁電流を供給すると、アーマチャ38をアッパコア44側に引き寄せて、弁体12を全閉位置まで変位させることができる。以後、励磁電流の遮断と供給をアッパコイル46側とロアコイル42側とで交互に行うことにより、少ない消費電力で、弁体12の開閉動作を継続させることができる。
【0021】
次に、図1と共に、図2および図3を参照して、本実施形態1の特徴部分について説明する。
電磁駆動弁10の動作中は、弁体12の開閉動作に伴って、アーマチャ38がロアコア40とアッパコア44の間を往復移動することにより、アーマチャ38とロアコア40或いはアッパコア44との衝突が繰り返される。この際、ロアコア40或いはアッパコア44には、アーマチャ38の衝突に起因する振動が伝達される。この振動は、ロアコア40或いはアッパコア44からアクチュエータボディ35に伝達される。内燃機関の振動および騒音を抑制する上では、上記の振動が内燃機関に伝達されないことが望ましい。本実施形態の電磁駆動弁10では、図1に示すように、アクチュエータボディ35が、皿バネ50を介してシリンダヘッド14に取り付けられている。この構成によれば、アーマチャ38の動作に伴う振動が皿バネ50に吸収されるため、シリンダヘッド14には振動が伝わりにくい。
【0022】
より具体的には、皿バネ50は、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間、およびアクチュエータボディ35とボルト52のフランジ部との間に、それぞれ挟み込まれている。アクチュエータボディ35には、皿バネ50と当接する部位において金属シート53が埋設されている。また、シリンダヘッド14にも皿バネ50と当接する部位において金属シート54が埋設されている。金属シート53、54は、皿バネ50と同様の硬さを有する鋼材により形成されている。
【0023】
次に、図2および図3を参照して、本実施形態における皿バネ50のバネ定数の設定手法について説明する。
図2は、本実施形態の電磁駆動弁10におけるアーマチャ38のリフトとアクチュエータボディ35の変位との関係を説明するための図である。より具体的には、図2(A)は、アーマチャリフトと時間との関係を示す。図2(B)は、アクチュエータボディ35の変位と時間との関係を示す。
【0024】
図2(A)中に一点鎖線で示す直線は、ロアコイル42およびアッパコイル46のいずれにも励磁電流が供給されていない状態におけるアーマチャ38の位置、すなわち、アーマチャ38の中立位置を意味する。図2(B)中に一点鎖線で示す直線は、アーマチャ38が中立位置にある状態でのアクチュエータボディ35の上下位置を示している。以下、その位置を、アクチュエータボディ35の中立位置と称する。
【0025】
次に、アーマチャ38の動作に伴ってアクチュエータボディ35が変位する原理を説明する。
弁体12が開弁位置にある場合、すなわち、アーマチャ38がロアコア40に吸着されている場合は、アーマチャ38が中立位置にある場合に比して、ロアスプリング24が、より圧縮された状態となる。この場合、アクチュエータボディ35は、中立位置にあるときより強いバネ力で上方に付勢されている。その結果、図2(B)に示すように、アクチュエータボディ35は、中立位置より上方に変位する。この際、皿バネ50は、ロアスプリング24のバネ力による付勢力に抗する反力を発生し、アクチュエータボディ35を下方に付勢している。一方、弁体12が閉弁位置にある場合、すなわち、アーマチャ38がアッパコア44に吸着されている場合は、アーマチャ38が中立位置にある場合に比して、ロアスプリング24が、より伸張された状態となる。従って、この場合は、アーマチャ38がロアコア40に吸着されている場合とは逆に、アクチュエータボディ35は、中立位置より下方に位置し、皿バネ50は、アクチュエータボディ35を上方に付勢する。
【0026】
本実施形態の電磁駆動弁10において、閉弁位置にあるアーマチャ38がロアコア40から開放されると、アーマチャ38は中立位置に向かって変位し、その結果、ロアスプリング24のバネ力が減少する。ロアスプリング24のバネ力が減少する瞬間には、アクチュエータボディ35を下向きに付勢する皿バネ50の反力がロアスプリング24のバネ力より大きくなり、アクチュエータボディ35に下向きの変位が生ずる。その後、アクチュエータボディ35は、皿バネ50の伸縮に従い、図2(B)に示すような曲線を描いて振動する。そして、アーマチャ38がアッパコア44に到達(閉弁位置に到達)した後は、アクチュエータボディ35は、皿バネ50のバネ力とロアスプリング24のバネ力とが釣り合う所定の変位に収束する。
【0027】
電磁駆動弁10では、アーマチャ38がアッパコア44に到達した時点(閉弁動作終了時点)で、弁体12が弁座18に確実に着座していなければならない。この時点で、アクチュエータボディ35に大きな変位が生じていると、弁体12の閉弁が損なわれる事態が生じ得る。そこで、本実施形態では、アーマチャ38がアッパコア44に到達した時点でのアクチュエータボディ35の変位(図2(B)中に▲1▼と共に示す変位)が、数十μmとなるように皿バネ50のバネ定数を設定している。このため、本実施形態の電磁駆動弁10では、アクチュエータボディ35の振動に関わらず、弁体12を適正に閉弁させることができる。
【0028】
図3は、本実施形態で用いられる皿バネ50の特性を示す荷重・変位曲線である。図3において、曲線の傾きが皿バネ50のバネ定数を示している。
【0029】
図3に示すように、皿バネ50は、ある領域で、変位に対して荷重の変化がほぼ一定になるという特性を有する。本実施形態では、その特性を有する領域を使用域として皿バネ50を用いる。そして、皿バネ50の初期の組み付け高さ(図3中に示す初期セット変位)が使用域の中央値となるように設定し、アクチュエータボディ35が変位しても、その変位量が使用域内に収まるように設定する。
【0030】
より具体的には、本実施形態では、ボルト52を用いて、上述した初期セット変位になるように皿バネ50を設定する。図1に示すように、ボルト52は、フランジ部とねじ溝が切られたねじ部とねじ溝が切られていない定寸部とで構成されている。定寸部は、ねじ部に比して大きな外径を有している。このため、ボルト52をシリンダヘッド14に締付けると、シリンダヘッド14とボルト52のフランジ部との間には、常に定寸部の長さLと等しい間隔が確保される。本実施形態では、定寸部の長さLを所望の長さとすることで、皿バネ50に上記初期セット変位を与えることとしている。このような構成によれば、ボルト52を単純に組み付けるだけで、皿バネ50のバネ定数を管理することができる。
【0031】
また、本実施形態では、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間に設けられる皿バネ50と、アクチュエータボディ35とボルト52のフランジ部との間に設けられる皿バネ50とは、同じバネ定数(図3に示す荷重・変位曲線が同じ)となるように設定されている。
【0032】
以上の構成によれば、以下のような効果が得られる。
すなわち、アーマチャ38がロアコア40またはアッパコア44と衝突する際の衝突エネルギを、アクチュエータボディ35を変位させるための運動エネルギと、皿バネ50のポテンシャルエネルギと、皿バネ50がアクチュエータボディ35およびシリンダヘッド14と摩擦することによる熱エネルギとに変換させることができる。その結果、ロアコア40やアッパコア44に伝達された振動を、皿バネ50で効率的に減衰させることができ、電磁駆動弁10の振動がシリンダヘッド14側に伝播されるのを効果的に抑制することができる。このため、本実施形態の電磁駆動弁10によれば、内燃機関に対して優れた静粛性を与えることができる。
【0033】
また、本実施形態では、アクチュエータボディ35の皿バネ50との当接部位、およびシリンダヘッド14の皿バネ50との当接部位に、皿バネ50と同様の硬さを有する鋼材から成る金属シート53、54を埋設することとしている。このため、本実施形態の構成によれば、アクチュエータボディ35およびシリンダヘッド14が、皿バネ50により摩耗されるのを防ぐことができる。
【0034】
また、本実施形態では、アクチュエータボディ35の上下に配される皿バネ50に同じバネ定数が与えられている。電磁駆動弁10が開閉動作を繰り返す際に、アクチュエータボディ35は、開弁時と閉弁時とで逆方向に変位する。本実施形態では、アクチュエータボディ35の上下に配された皿バネ50が同じバネ定数を有するため、それらには経時変化によるへたりが同様に現れる。このため、本実施形態の構成によれば、皿バネ50の経時変化によりアーマチャ38の中立位置がずれるのを防ぐことができる。
【0035】
本実施形態では、アクチュエータボディ35を弾性支持する部材として皿バネ50を用いていることから、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、皿バネ50によれば、バネが占有する高さを小さく抑えつつ所望の大きなバネ定数を得ることができる。このため、本実施形態の構成によれば、アクチュエータボディ35の全高、すなわち、電磁駆動弁10の全高の増大を抑えることができる。また、皿バネ50によれば、経時変化を小さくすることができ、クリープ現象の発生を十分に抑えることができる。このため、本実施形態の構成によれば、優れた耐久性を実現することができ、かつ、振動吸収効果を長時間持続させることができる。また、皿バネ50は、熱伝導率が大きいため、ロアコイル42およびアッパコイル46が発生する熱を有効にシリンダヘッド14側に逃がすことができる。このため、発熱によるロアコイル42およびアッパコイル46の抵抗増大が抑制でき、電磁駆動弁10を省電力化することができる。延いては、オルタネータの負荷を低減し、内燃機関の出力の向上、および燃費の向上を実現することができる。
【0036】
ところで、上述した実施の形態1では、アクチュエータボディ35が皿バネ50を介してシリンダヘッド14に取り付けられる方式に限定されているが、本発明はこれに限られるものではなく、皿バネに限らず、金属バネを介して、アクチュエータボディ35がシリンダヘッド14に取り付けられる方式であれば良い。
【0037】
尚、上述した実施の形態1においては、アーマチャ38、ロアコア40、ロアコイル42、アッパコア44、アッパコイル46、およびアクチュエータボディ35が前記第1の発明における「電磁駆動機構」に、皿バネ50が前記第1の発明における「金属バネ」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、アクチュエータボディ35とボルト52のフランジ部との間に配される皿バネ50が前記第3の発明における「第1の金属バネ」に、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間に配される皿バネ50が前記第3の発明における「第2の金属バネ」に、それぞれ相当している。
また、上述した実施の形態1においては、金属シート53、54が前記第5の発明における「耐摩耗部材」に相当している。
【0038】
実施の形態2.
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態の電磁駆動弁70は、皿バネのバネ定数の設定を除き、実施の形態1の電磁駆動弁10と同様の構成を有している。以下、図4において、図1に示す構成要素と同一の要素については、同一の参照符号を用いて、その詳細な説明を省略または簡略する。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態2で用いられる電磁駆動弁70の断面図である。
本実施形態の電磁駆動弁70は、水平面に対し、傾斜角θで傾斜した状態で、かつ、一方のボルト52が傾斜面の下方に位置し、他方のボルト52が傾斜面の上方に位置するように、シリンダヘッド14に搭載されている。以下、下方側に位置するボルト52に組み付けられた2つの皿バネを「下側皿バネ56」と称し、上方側に位置するボルト52に組み付けられた2つの皿バネを「上側皿バネ58」と称す。
【0040】
本実施形態では、重力による影響を考慮して、電磁駆動弁70がシリンダヘッド14に搭載された状態で、下側皿バネ56のバネ定数が、上側皿バネ58のバネ定数より大きくなるように設定されている。より具体的には、下側皿バネ56の特性、および上側皿バネ58の特性は、電磁駆動弁70の重量を考慮した上で、下側皿バネ56と上側皿バネ58に同様の経時変化が生ずるように設定されている。尚、実施の形態1の場合と同様に、同一のボルト52に組み付けられる2つの皿バネ同士は、同じバネ定数となるように設定されている。
【0041】
以上の構成によれば、重力による影響で、下側皿バネ56と上側皿バネ58の経時変化量を合わせることができ、皿バネ56、58のへたりに関わらず、電磁駆動弁70の傾斜角θをほぼ一定に維持することができる。
【0042】
ところで、上述した実施の形態2では、傾斜搭載された電磁駆動弁70において、下側皿バネ56のバネ定数が上側皿バネ58のバネ定数より大きくなるように設定する例を説明しているが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、皿バネに作用する電磁駆動弁の重量の比率が個々の皿バネで異なる場合には、個々の皿バネのバネ定数を重量の比率に応じたバネ定数に設定すれば良い。
【0043】
尚、上述した実施の形態2においては、下側皿バネ56が前記第4の発明における「電磁駆動機構の重量を大きな比率で担う金属バネ」に、上側皿バネ58が前記第4の発明における「電磁駆動機構の重量を小さな比率で担う金属バネ」に、それぞれ相当している。
【0044】
実施の形態3.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態の電磁駆動弁80は、金属シートの形状を除き、実施の形態1の電磁駆動弁10と同様の構成を有している。以下、図5において、図1に示す構成要素と同一の要素については、同一の参照符号を用いて、その詳細な説明を省略または簡略する。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態3の電磁駆動弁80が備える金属シートの形状を示す図である。
既述した実施の形態1、実施の形態2の電磁駆動弁10、70では、ボルト52とアクチュエータボディ35とのクリアランス分だけ、電磁駆動弁10、70の中心がずれる可能性がある。電磁駆動弁10、70を適正に作動させるためには、このようなずれを最小限に抑えることが望ましい。本実施形態では、上記の要求に応えるべく、アクチュエータボディ35の皿バネ50との当接部位、およびシリンダヘッド14の皿バネ50との当接部位を、それぞれテーパ状に加工して、電磁駆動弁80の中心ずれを抑制することとした。
【0046】
より具体的には、図5に示すように、本実施形態の電磁駆動弁80では、アクチュエータボディ35側の金属シート62とシリンダヘッド14側の金属シート64とに、それぞれテーパ状の加工が施されている。金属シート62と金属シート64は、両者の間で同軸度が管理されている。
【0047】
このような構成によれば、皿バネ50の芯ずれを無くし、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との位置決めがより正確に行えるようになる。このため、電磁駆動弁80の中心ずれを抑制し、その作動安定性を向上させることができる。
【0048】
実施の形態4.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態の電磁駆動弁90は、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間、および、皿バネ50周辺に伝熱部材66が充填されている点を除き、実施の形態1の電磁駆動弁10と同様の構成を有している。以下、図6において、図1に示す構成要素と同一の要素については、同一の参照符号を用いて、その詳細な説明を省略または簡略する。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態4の電磁駆動弁90の断面図である。
本実施形態の電磁駆動弁90では、アクチュエータボディ35とシリンダヘッド14との間、および、皿バネ50周辺に、伝熱部材66が充填されている。伝熱部材66としては、例えばシリコングリスのような、熱伝導率が比較的高い樹脂などが用いられる。
【0050】
このような構成によれば、皿バネ50を介したシリンダヘッド14への伝熱に加え、伝熱部材66を介したシリンダヘッド14への伝熱によっても、ロアコイル42およびアッパコイル46が発生する熱をシリンダヘッド14側に逃がすことができる。このため、本実施形態の電磁駆動弁90によれば、実施の形態1〜3の電磁駆動弁に比して、更なる省電力化を実現することができる。
【0051】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、アーマチャが電磁石と衝突した際の衝突エネルギを、電磁駆動機構を動かす運動エネルギと、金属バネのポテンシャルエネルギと、金属バネとその周辺部との摩擦による熱エネルギとに変換させることができる。その結果、その衝突エネルギを金属バネで効率的に減衰させることができ、電磁駆動弁の振動がシリンダヘッドに伝播されるのを効果的に抑制することができる。このため、静粛性に優れた内燃機関の電磁駆動弁を実現することができる。
【0052】
第2の発明によれば、バネが占有する高さを小さく抑えつつ所望のバネ定数を得ることができる。また、経時変化を小さくすることができ、クリープ現象の発生を十分に抑えることができる。
【0053】
第3の発明によれば、第1の金属バネと第2の金属バネに生ずる経時変化によるへたりが同様に現れることとなる。このため、電磁駆動弁において、アーマチャの中立位置がずれるのを防ぐことができる。
【0054】
第4の発明によれば、複数の金属バネが電磁駆動機構の重量を異なる比率で担う場合において、それぞれの金属バネの経時変化量を合わせることができる。このため、電磁駆動弁とシリンダヘッドとの間で平行度をほぼ一定に維持することができる。
【0055】
第5の発明によれば、シリンダヘッドおよび電磁駆動機構と、金属バネとの当接部位の摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で用いられる電磁駆動弁の断面図である。
【図2】本発明の電磁駆動弁において、アーマチャのリフトとアクチュエータボディの変位との関係を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1で用いられる皿バネの特性を示す荷重・変位曲線である。
【図4】本発明の実施の形態2で用いられる電磁駆動弁の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3の電磁駆動弁が備える金属シートの形状を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態4の電磁駆動弁の断面図である。
【符号の説明】
10、70、80、90 電磁駆動弁
12 弁体
14 シリンダヘッド
24 ロアスプリング
32 アッパスプリング
35 アクチュエータボディ
38 アーマチャ
40 ロアコア
44 アッパコア
50、56、58 皿バネ
52 ボルト
53、54、62、64 金属シート

Claims (5)

  1. 一対の電磁石が発する電磁力により前記電磁石の間をアーマチャが往復移動することにより弁体を開閉させる内燃機関の電磁駆動弁であって、
    前記アーマチャおよび前記電磁石を含む電磁駆動機構を備え、
    前記電磁駆動機構が、金属バネを介してシリンダヘッドに取り付けられていることを特徴とする内燃機関の電磁駆動弁。
  2. 前記金属バネは、皿バネであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の電磁駆動弁。
  3. 前記金属バネは、前記電磁駆動機構を前記シリンダヘッドに向けて付勢する第1の金属バネと、前記電磁駆動機構を前記シリンダヘッドから遠ざける方向に付勢する第2の金属バネとを含み、
    前記第1の金属バネと前記第2の金属バネが同一のバネ定数を有することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の電磁駆動弁。
  4. 前記金属バネは、前記電磁駆動機構の重量を異なる比率で担う複数の金属バネを含み、
    前記電磁駆動機構の重量を大きな比率で担う金属バネのバネ定数が、前記電磁駆動機構の重量を小さな比率で担う金属バネのバネ定数より大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の電磁駆動弁。
  5. 前記シリンダヘッドおよび前記電磁駆動機構の少なくとも一方は、前記金属バネと当接する部位に、前記金属バネと同程度の硬度を有する耐摩耗部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の電磁駆動弁。
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