JP2004346747A - 回転型高圧ポンプ - Google Patents

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JP2004346747A JP2003141113A JP2003141113A JP2004346747A JP 2004346747 A JP2004346747 A JP 2004346747A JP 2003141113 A JP2003141113 A JP 2003141113A JP 2003141113 A JP2003141113 A JP 2003141113A JP 2004346747 A JP2004346747 A JP 2004346747A
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隆 臼井
Yoshikazu Ishii
良和 石井
Koichi Yokoyama
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Abstract

【課題】動力損失の小さい回転型高圧ポンプを提供する。
【解決手段】この回転型高圧ポンプは、リングケーシング13内に回転可能に収容されている駆動ロータ14と、駆動ロータ14を回転駆動するドライブシャフト16と、リングケーシング13内に収容されているとともにドライブシャフト16を回転軸として駆動ロータ14に従動して回転駆動する従動ロータ15と、駆動ロータ14と従動ロータ15との間に形成されている複数の圧力室(第1低圧室Lr1、第1高圧室Hr1、第2低圧室Lr2、第2高圧室Hr2)と、これら各圧力室と接続されて流体を流通させる複数のポート(吸入ポートP1、吐出ポートP2、還流ポートP3)とを備えている。そして、各圧力室内の圧力差を通じて、吐出ポートP2に接続されている圧力室内の燃料を加圧し、チェックバルブ5を介してコモンレールへ高圧燃料を供給する。
【選択図】図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータの回転運動を通じて流体の加圧を行う回転型高圧ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ディーゼルエンジンにおいては、高圧燃料ポンプを通じて燃料噴射圧に相当する圧力まで加圧した燃料をインジェクタへ供給するようにしている。
【0003】
高圧燃料ポンプとしては、例えばプランジャポンプが知られている。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下の特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−44539号公報
【特許文献2】
特開平11−132128号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プランジャポンプは、回転運動を往復運動へ変換して流体の加圧を行う機構であるため、動力の損失による加圧性能の低下が避けられないものとなっている。
【0006】
なお、エンジンに搭載されるプランジャポンプに限られず、その他のプランジャポンプにおいても同様のことがいえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動力損失の小さい回転型高圧ポンプを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、ケーシング内に回転可能に収容されている第1のロータと、前記第1のロータを回転駆動するドライブシャフトと、前記ケーシング内に収容されているとともに前記ドライブシャフトを回転軸として前記第1のロータに従動する第2のロータと、前記第1のロータと前記第2のロータとの間に形成されている複数の圧力室と、前記複数の圧力室と接続されて流体を流通させる複数のポートとを備えていることを要旨としている。
【0008】
上記構成によれば、当該回転型高圧ポンプは、ケーシング内に回転可能に収容されている第1のロータと、第1のロータを回転駆動するドライブシャフトと、ケーシング内に収容されているとともにドライブシャフトを回転軸として第1のロータに従動する第2のロータと、第1のロータと第2のロータとの間に形成されている複数の圧力室と、複数の圧力室と接続されて流体を流通させる複数のポートとを備えて構成される。こうした構成の回転型高圧ポンプにおいては、第1のロータ及び第2のロータの回転により生じる各圧力室間の圧力差を通じて、所定の圧力室内の流体を加圧することが可能となる。このように、当該回転型高圧ポンプでは、ロータの回転運動により生じる各圧力室間の圧力差のみを通じて流体の加圧を行うようにしているため、動力の損失を小さくすることができるようになる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転型高圧ポンプにおいて、前記複数のポートは、低圧ポンプにより圧送された流体を前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内へ流入させる吸入ポートと、前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内において加圧された流体を高圧部へ流出させる吐出ポートと、前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内の流体を低圧部へ流出させる還流ポートとから構成されていることを要旨としている。
【0010】
上記構成によれば、複数のポートは、吸入ポート、吐出ポート、及び還流ポートから構成される。吸入ポートは、同ポートと接続されている圧力室内へ低圧ポンプ(流体を回転型高圧ポンプ内へ供給するためのポンプ)により圧送された流体を流入させる。吐出ポートは、同ポートと接続されている圧力室内において加圧された流体を高圧部へ流出させる。還流ポートは、同ポートと接続されている圧力室内の流体を低圧部へ流出させる。なお、高圧部は、低圧ポンプにより加圧された流体の圧力よりも十分に高い圧力を有する。また、低圧部は、低圧ポンプにより加圧された流体の圧力よりも低い圧力を有する。こうした構成によっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の回転型高圧ポンプにおいて、前記複数の圧力室は、前記第1のロータの回転方向前方に形成される前方圧力室と、前記第1のロータの回転方向後方に形成される後方圧力室とから構成されていることを要旨としている。
【0012】
上記構成によれば、複数の圧力室は、第1のロータの回転方向前方に形成される前方圧力室と、第1のロータの回転方向後方に形成される後方圧力室とから構成される。こうした構成によっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の回転型高圧ポンプにおいて、前記前方圧力室は、前記ケーシング内の径方向の前記ドライブシャフト側に形成される内周側前方圧力室と、同内周側前方圧力室よりも外周に形成される外周側前方圧力室とから構成され、前記後方圧力室は、前記ケーシング内の径方向の前記ドライブシャフト側に形成される内周側後方圧力室と、同内周側後方圧力室よりも外周に形成される外周側後方圧力室とから構成されていることを要旨としている。
【0014】
上記構成によれば、前方圧力室は、ケーシング内の径方向のドライブシャフト側に形成される内周側前方圧力室と、同内周側前方圧力室よりも外周に形成される外周側前方圧力室とから構成される。また、後方圧力室は、ケーシング内の径方向のドライブシャフト側に形成される内周側後方圧力室と、同内周側後方圧力室よりも外周に形成される外周側後方圧力室とから構成される。こうした構成によっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の回転型高圧ポンプにおいて、前記内周側前方圧力室が前記外周側前方圧力室よりも小さく形成されているとともに、前記内周側後方圧力室が前記外周側後方圧力室よりも小さく形成されていることを要旨としている。
【0016】
上記構成によれば、内周側前方圧力室が外周側前方圧力室よりも小さく形成されるとともに、内周側後方圧力室が外周側後方圧力室よりも小さく形成される。こうした構成によっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0017】
請求項6記載の発明は、ケーシング内に回転可能に収容された第1のロータをドライブシャフトにより回転駆動する一方、前記ケーシング内に回転可能に収容された第2のロータを前記第1のロータにより従動させ、外部から当該回転型高圧ポンプ内へ供給されている流体を前記第1のロータと前記第2のロータとの間に形成された複数の圧力室内の圧力差により加圧することを要旨としている。
【0018】
上記構成によれば、ケーシング内に回転可能に収容された第1のロータがドライブシャフトにより回転駆動される一方で、ケーシング内に回転可能に収容された第2のロータが第1のロータにより従動される。そして、外部から当該回転型高圧ポンプ内へ供給された流体が第1のロータと第2のロータとの間に形成されている複数の圧力室内の圧力差により加圧される。このように、当該回転型高圧ポンプでは、ロータの回転運動により生じる各圧力室間の圧力差のみを通じて流体の加圧を行うようにしているため、動力の損失を小さくすることができるようになる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の回転型高圧ポンプにおいて、当該回転型高圧ポンプをディーゼルエンジンの燃料ポンプとして実現したことを要旨としている。
【0020】
上記構成によれば、当該回転型高圧ポンプがディーゼルエンジンの燃料ポンプとして実現される。これにより、ディーゼルエンジンにおいて、小さい動力損失で高圧の燃料を吐出することができるようになる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の回転型高圧ポンプにおいて、当該回転型高圧ポンプを筒内噴射式エンジンの燃料ポンプとして実現したことを要旨としている。
【0022】
上記構成によれば、当該回転型高圧ポンプが筒内噴射式エンジンの燃料ポンプとして実現される。これにより、筒内噴射式エンジンにおいて、小さい動力損失で高圧の燃料を吐出することができるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明を具体化した実施の形態について、図1〜図14を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、回転型高圧ポンプをディーゼルエンジンの高圧燃料ポンプとして具体化した場合を想定している。
【0024】
まず、図1を参照して、ディーゼルエンジンの構成例について説明する。
ディーゼルエンジンEは以下の各要素を備えて構成される。
[a]シリンダ等を有するエンジン本体Ea。
[b]エンジン本体Eaへ燃料を供給する燃料噴射系統Fi。
[c]燃料噴射系統Fiへ高圧の燃料を供給する燃料供給系統Fs。
【0025】
燃料噴射系統Fiに備えられている各構成要素の機能について説明する。
インジェクタINJは、エンジン本体Eaに対して燃料の噴射供給を行う。
コモンレールCr(高圧部)は、燃料供給系統Fsを通じて供給された燃料をインジェクタINJの燃料噴射圧に相当する高圧の状態で蓄える。
【0026】
燃料供給系統Fsに備えられている各構成要素の機能について説明する。
高圧燃料ポンプ1は、燃料を加圧して高圧の状態でコモンレールCrへ供給する。なお、高圧燃料ポンプ1は、エンジン本体Eaのクランクシャフト等を通じて駆動することができる。
【0027】
燃料タンク2(低圧部)は、燃料を貯留する。
フィードポンプ3(低圧ポンプ)は、燃料タンク2内の燃料を高圧燃料ポンプ1へ供給する。なお、フィードポンプ3としては、例えばバッテリを通じて駆動される電動式のポンプを用いることができる。
【0028】
流量制御バルブ4は、フィードポンプ3を通じて高圧燃料ポンプ1へ供給される燃料の流量を調整する。
チェックバルブ5は、燃料の圧力が所定の開弁圧力に達したときに開弁し、高圧燃料ポンプ1とコモンレールCrとを連通する。また、チェックバルブ5は、コモンレールCr内の燃料の逆流を防止する逆止弁としての機能を有する。
【0029】
以降では、各圧力を次のように示す。
[a]燃料タンク2内の圧力をタンク圧力Ptk。
[b]フィードポンプ3により吐出された燃料の圧力をフィード圧力Pfd。
[c]チェックバルブ5が開弁する圧力を開弁圧力Pvo。
【0030】
なお、開弁圧力Pvoは、フィード圧力Pfdよりも十分に大きい値として設定される。
次に、燃料噴射系統Fi及び燃料供給系統Fsにおける燃料の流通路について説明する。
【0031】
第1燃料通路R1は燃料タンク2とフィードポンプ3とを接続する。
第2燃料通路R2はフィードポンプ3と流量制御バルブ4とを接続する。
第3燃料通路R3は流量制御バルブ4と高圧燃料ポンプ1とを接続する。
【0032】
第4燃料通路R4は高圧燃料ポンプ1と燃料タンク2とを接続する。
第5燃料通路R5は高圧燃料ポンプ1とチェックバルブ5とを接続する。
第6燃料通路R6はチェックバルブ5とコモンレールCrとを接続する。
【0033】
第7燃料通路R7はコモンレールCrとインジェクタINJとを接続する。
次に、燃料噴射系統Fi及び燃料供給系統Fsによる燃料の供給態様について説明する。
【0034】
エンジン本体Eaへの燃料の供給は以下の[a]〜[e]の順序をもって行われる。
[a]フィードポンプ3を通じて燃料タンク2内の燃料が高圧燃料ポンプ1へ供給される。
[b]高圧燃料ポンプ1において燃料の加圧が行われる。このとき、高圧燃料ポンプ1に供給された燃料の一部は第4燃料通路R4を介して燃料タンク2へ還流される。
[c]高圧燃料ポンプ1を通じて開弁圧力Pvoの燃料がコモンレールCr内へ供給される。
[d]コモンレールCr内の燃料がインジェクタINJに供給される。
[e]インジェクタINJを通じて高圧燃料がエンジン本体Ea内に噴射供給される。
【0035】
次に、図2〜図4を参照して、高圧燃料ポンプ1の構成例について説明する。
図2に高圧燃料ポンプ1の斜視構成を示す。
高圧燃料ポンプ1は、円筒状のケーシング(第1ケーシング11及び第2ケーシング12)とこれら各ケーシング11,12により挟持されている環状のケーシング(リングケーシング13)を備えて構成されている。
【0036】
リングケーシング13は、内部の空間に駆動ロータ14(第1のロータ)及び従動ロータ15(第2のロータ)を回転可能な状態で収容する。
駆動ロータ14は、ドライブシャフト16と機械的に接続されている。これにより、駆動ロータ14は、ドライブシャフト16を回転軸として、同シャフト16の駆動トルクによりリングケーシング13内を回転する。
【0037】
従動ロータ15は、ドライブシャフト16を回転軸として駆動ロータ14の回転に従動する。
駆動ロータ14と従動ロータ15とは、ほぼ同一の形状に形成されている。
【0038】
ドライブシャフト16は、ベルト式の動力伝達機構を介してエンジン本体Eaのクランクシャフトと駆動連結されており、クランクシャフトの回転を通じて駆動する。
【0039】
図3に高圧燃料ポンプ1の分解斜視構成を示す。
第1ケーシング11、第2ケーシング12、リングケーシング13、駆動ロータ14、従動ロータ15、及びドライブシャフト16は、同一の中心軸C−Cを有する。
【0040】
第1ケーシング11は、以下の各ポートを有する。
[a]第1燃料通路R1〜第3燃料通路R3を介して燃料タンク2と接続されている吸入ポートP1。
[b]第5燃料通路R5を介してチェックバルブ5と接続されている吐出ポートP2。
[c]第4燃料通路R4を介して燃料タンク2と接続される還流ポートP3。
【0041】
第1ケーシング11は、ドライブシャフト16を回転可能に支持するための軸受け部11Dを有する。
第2ケーシング12は、ドライブシャフト16を回転可能に支持するための軸受け部12Dを有する。
【0042】
リングケーシング13は、駆動ロータ14及び従動ロータ15を回転可能な状態で収容するためのロータ収容部13Rを有する。
図4を参照して、高圧燃料ポンプ1におけるリングケーシング13内の構成について説明する。
【0043】
なお、図4は、中心軸C−Cと垂直に交差するリングケーシング13内の断面構造を示している。図中に示される矢印の方向(右周り)をドライブシャフト16、駆動ロータ14、及び従動ロータ15の回転方向とする。
【0044】
駆動ロータ14は、従動ロータ15に対向する面として以下の各面を有する。
[A]従動ロータ15の位置を固定して駆動ロータ14を回転させたときに従動ロータ15へ近接する駆動ロータ前面14F。
[B]従動ロータ15の位置を固定して駆動ロータ14を回転させたときに従動ロータ15から離間する駆動ロータ後面14B。
【0045】
駆動ロータ前面14F側が駆動ロータ14の回転方向前方に相当する。
駆動ロータ後面14B側が駆動ロータ14の回転方向後方に相当する。
駆動ロータ前面14Fは、以下の各面により形成される。
[A1]駆動ロータ14の外周側(径方向外方)に形成されている駆動ロータ外周側前面14Fo。
[A2]駆動ロータ14の内周側(径方向内方)に形成されている駆動ロータ内周側前面14Fi。
【0046】
駆動ロータ外周側前面14Foと駆動ロータ内周側前面14Fiとは位相が異なる位置に形成されている。
駆動ロータ外周側前面14Foの面積と駆動ロータ内周側前面14Fiの面積とをあわせた面積は、駆動ロータ前面14Fの面積に相当する。
【0047】
駆動ロータ後面14Bは、以下の各面により形成される。
[B1]駆動ロータ14の外周側に形成されている駆動ロータ外周側後面14Bo。
[B2]駆動ロータ14の内周側に形成されている駆動ロータ内周側後面14Bi。
【0048】
駆動ロータ外周側後面14Boと駆動ロータ内周側後面14Biとは位相が異なる位置に形成されている。
駆動ロータ外周側後面14Boの面積と駆動ロータ内周側後面14Biの面積とをあわせた面積は、駆動ロータ後面14Bの面積に相当する。
【0049】
従動ロータ15は、駆動ロータ14に対向する面として以下の各面を有する。
[C]駆動ロータ後面14Bと対向する従動ロータ前面15F。
[D]駆動ロータ前面14Fと対向する従動ロータ後面15B。
【0050】
従動ロータ前面15Fは、以下の各面により形成される。
[C1]従動ロータ15の外周側に形成されている従動ロータ外周側前面15Fo。
[C2]従動ロータ15の内周側に形成されている従動ロータ内周側前面15Fi。
【0051】
従動ロータ外周側前面15Foと従動ロータ内周側前面15Fiとは位相が異なる位置に形成されている。
従動ロータ外周側前面15Foの面積と従動ロータ内周側前面15Fiの面積とをあわせた面積は、従動ロータ前面15Fの面積に相当する。
【0052】
従動ロータ後面15Bは、以下の各面により形成される。
[D1]従動ロータ15の外周側に形成されている従動ロータ外周側後面15Bo。
[D2]従動ロータ15の内周側に形成されている従動ロータ内周側後面15Bi。
【0053】
従動ロータ外周側後面15Boと従動ロータ内周側後面15Biとは位相が異なる位置に形成されている。
従動ロータ外周側後面15Boの面積と従動ロータ内周側後面15Biの面積とをあわせた面積は、従動ロータ後面15Bの面積に相当する。
【0054】
以下の[A1]〜[D1]の各面は同じ大きさに形成されている。
[A1]駆動ロータ外周側前面14Fo。
[B1]駆動ロータ外周側後面14Bo。
[C1]従動ロータ外周側前面15Fo。
[D1]従動ロータ外周側後面15Bo。
【0055】
以下の[A2]〜[D2]の各面は同じ大きさに形成されている。
[A2]駆動ロータ内周側前面14Fi。
[B2]駆動ロータ内周側後面14Bi。
[C2]従動ロータ内周側前面15Fi。
[D2]従動ロータ内周側後面15Bi。
【0056】
上記[A1]〜[D1]の各面は、上記[A2]〜[D2]の各面よりも大きく形成されている。
高圧燃料ポンプ1のロータ収容部13Rには、駆動ロータ14及び従動ロータ15を通じて以下の各圧力室が形成される。
[a]駆動ロータ外周側前面14Foと従動ロータ外周側後面15Boとにより形成される第1低圧室Lr1(外周側前方圧力室)。
[b]駆動ロータ内周側前面14Fiと従動ロータ内周側後面15Biとにより形成される第1高圧室Hr1(内周側前方圧力室)。
[c]駆動ロータ外周側後面14Boと従動ロータ外周側前面15Foとにより形成される第2低圧室Lr2(外周側後方圧力室)。
[d]駆動ロータ内周側後面14Biと従動ロータ内周側前面15Fiとにより形成される第2高圧室Hr2(内周側後方圧力室)。
【0057】
第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1は、前方圧力室に相当する。
第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2は、後方圧力室に相当する。
第1低圧室Lr1と第1高圧室Hr1との間は、これら各圧力室間における燃料の流通が遮断されるようにシールされている。
【0058】
第2低圧室Lr2と第2高圧室Hr2との間は、これら各圧力室間における燃料の流通が遮断されるようにシールされている。
第1低圧室Lr1は、第1高圧室Hr1よりも大きい容量を有する。
【0059】
第2低圧室Lr2は、第2高圧室Hr2よりも大きい容量を有する。
上記各圧力室の形状(容量)は、駆動ロータ14及び従動ロータ15の位相に応じて最大容量から最小容量の間で変化する。
【0060】
第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1の容量が増大するとき、第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2の容量は減少する。
第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1の容量が減少するとき、第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2の容量は増大する。
【0061】
第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1の容量は同じ比率をもって増減する。
第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2の容量は同じ比率をもって増減する。
第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1の容量にかかわらずこれら各圧力室が独立した圧力室として維持されるように駆動ロータ前面14F及び従動ロータ後面15Bが形成されている。
【0062】
第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2の容量にかかわらずこれら各圧力室が独立した圧力室として維持されるように駆動ロータ後面14B及び従動ロータ前面15Fが形成されている。
【0063】
各圧力室は、駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転に応じて以下のように作用する。
第1低圧室Lr1は、フィードポンプ3により供給された燃料を燃料タンク2へ還流する。
【0064】
第1高圧室Hr1は、フィードポンプ3により供給された燃料をチェックバルブ5の開弁圧力Pvoまで加圧する。
第2低圧室Lr2は、フィードポンプ3により供給された燃料を燃料タンク2へ還流する。
【0065】
第2高圧室Hr2は、フィードポンプ3により供給された燃料をチェックバルブ5の開弁圧力Pvoまで加圧する。
図5を参照して、高圧燃料ポンプ1と各燃料通路との接続態様について説明する。
【0066】
なお、図5は、図1の破線内にて示される燃料供給系統Fsの詳細な構成を示す。図5においては、第1ケーシング11の各ポートP1,P2,P3を破線にて示す。図4において示した駆動ロータ14及び従動ロータ15の各面の符号については省略する。
【0067】
吸入ポートP1と燃料タンク2とは、第1燃料通路R1〜第3燃料通路R3を介して接続されている。
吐出ポートP2とチェックバルブ5とは、第5燃料通路R5を介して接続されている。
【0068】
還流ポートP3と燃料タンク2とは、第4燃料通路R4を介して接続されている。
圧力室(第1低圧室Lr1、第1高圧室Hr1、第2低圧室Lr2、第2高圧室Hr2)が、吸入ポートP1に対応した位置へ移動することにより、燃料タンク2内の燃料が圧力室内に吸入される。
【0069】
圧力室(第1高圧室Hr1、第2高圧室Hr2)が、吐出ポートP2に対応した位置へ移動することにより、圧力室内の燃料がチェックバルブ5側へ吐出される。
【0070】
圧力室(第1低圧室Lr1、第2低圧室Lr2)が、還流ポートP3に対応した位置へ移動することにより、圧力室内の燃料が燃料タンク2内へ還流される。
図6を参照して、高圧燃料ポンプ1における燃料の流通態様について説明する。ここでは、駆動ロータ14及び従動ロータ15が図示する位置にある場合を想定している。
【0071】
なお、矢印は燃料の流通する方向を示す。また、図4における駆動ロータ14及び従動ロータ15の各面を示す符号については省略する。
燃料タンク2内の燃料は、第1燃料通路R1を介してフィードポンプ3に吸引される。
【0072】
フィードポンプ3に吸引された燃料は、フィードポンプ3により第2燃料通路R2へ吐出される。
吐出された燃料は、第2燃料通路R2及び第3燃料通路R3を介して吸入ポートP1へ供給される。
【0073】
吸入ポートP1へ供給された燃料は、第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1内へ流入する。
第2高圧室Hr2内に滞留している燃料は、吐出ポートP2を通じて第5燃料通路R5へ吐出される。
【0074】
第2低圧室Lr2内に滞留している燃料は、還流ポートP3を通じて燃料タンク2へ還流される。
〔高圧燃料ポンプの作動行程〕
図7〜図12を参照して、高圧燃料ポンプ1の作動行程について説明する。
【0075】
なお、図中の矢印はロータの回転方向を示す。図4において示した駆動ロータ14及び従動ロータ15の各面の符号については省略する。各ポートP1〜P3についは破線で示す。
【0076】
高圧燃料ポンプ1は、以下の[1]〜[6]の行程を1つのサイクルとして作動する。
まず、各行程の概略について説明する。
【0077】
[1]第1移送行程(図7)
第1移送行程においては、燃料の吸入/吐出が行われない。
[2]第1加圧行程(図8)
第1加圧行程においては、以下のように燃料の吸入/吐出が行われる。
【0078】
第1低圧室Lr1内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
第1高圧室Hr1内の燃料が、吐出ポートP2からチェックバルブ5側へ吐出される。
【0079】
第2低圧室Lr2内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
第2高圧室Hr2内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
【0080】
[3]第1減圧行程(図9)
第1減圧行程においては、以下のように燃料の吸入/吐出が行われる。
第1低圧室Lr1内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0081】
第1高圧室Hr1内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
第2低圧室Lr2内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
【0082】
第2高圧室Hr2内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
[4]第2移送行程(図10)
第2移送行程においては、燃料の吸入/吐出が行われない。
【0083】
[5]第2加圧行程(図11)
第2加圧行程においては、以下のように燃料の吸入/吐出が行われる。
第1低圧室Lr1内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
【0084】
第1高圧室Hr1内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
第2低圧室Lr2内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0085】
第2高圧室Hr2内の燃料が、吐出ポートP2からチェックバルブ5側へ吐出される。
[6]第2減圧行程(図12)
第2減圧行程においては、以下のように燃料の吸入/吐出が行われる。
【0086】
第1低圧室Lr1内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
第1高圧室Hr1内へは、フィードポンプ3により圧送された燃料が吸入ポートP1から流入する。
【0087】
第2低圧室Lr2内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
第2高圧室Hr2内の燃料が、還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0088】
次に、上記各行程に対応する図(図7〜図12)を参照して、各行程の詳細について説明する。
以降では、各圧力室内の圧力を次のように示す。
[a]第1低圧室Lr1内の圧力を第1低圧室圧力PLr1。
[b]第1高圧室Hr1内の圧力を第1高圧室圧力PHr1。
[c]第2低圧室Lr2内の圧力を第2低圧室圧力PLr2。
[d]第2高圧室Hr2内の圧力を第2高圧室圧力PHr2。
【0089】
以降では、各ロータの回転速度を次のように示す。
[a]駆動ロータ14の回転速度を駆動ロータ回転速度Vr1。
[b]従動ロータ15の回転速度を従動ロータ回転速度Vr2。
【0090】
[1]第1移送行程(図7)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
第1低圧室Lr1は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
【0091】
第1高圧室Hr1は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
第2高圧室Hr2は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
【0092】
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1には、第1低圧室Lr1における最大容量の燃料が滞留している。
【0093】
第1高圧室Hr1には、第1高圧室Hr1における最大容量の燃料が滞留している。
第2低圧室Lr2には、第2低圧室Lr2における最小容量の燃料が滞留している。
【0094】
第2高圧室Hr2には、第2高圧室Hr2における最小容量の燃料が滞留している。
各圧力室の容量を以下に示す。
【0095】
第1低圧室Lr1の容量は、最大の状態に維持される。
第1高圧室Hr1の容量は、最大の状態に維持される。
第2低圧室Lr2の容量は、最小の状態に維持される。
【0096】
第2高圧室Hr2の容量は、最小の状態に維持される。
各圧力室の圧力を以下に示す。
第1低圧室圧力PLr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0097】
これは、前回の行程(第2減圧行程)において、第1低圧室Lr1が吸入ポートP1と接続されていたことによる。
第1高圧室圧力PHr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0098】
これは、前回の行程(第2減圧行程)において、第1高圧室Hr1が吸入ポートP1と接続されていたことによる。
第2低圧室圧力PLr2は、タンク圧力Ptkに相当する。
【0099】
これは、前回の行程(第2減圧行程)において、第2低圧室Lr2が還流ポートP3と接続されていたことによる。
第2高圧室圧力PHr2は、タンク圧力Ptkに相当する。
【0100】
これは、前回の行程(第2減圧行程)において、第2高圧室Hr2が還流ポートP3と接続されていたことによる。
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
【0101】
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1と等しい大きさとなる。
【0102】
即ち、第1移送行程においては、駆動ロータ14と従動ロータ15とが等速回転の状態にある。
これは、各圧力室の容量が一定に維持されていることによる。
【0103】
[2]第1加圧行程(図8)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
第1低圧室Lr1は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
【0104】
第1高圧室Hr1は、吐出ポートP2と接続された状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
第2高圧室Hr2は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
【0105】
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0106】
第1高圧室Hr1においては、燃料が吐出ポートP2からチェックバルブ5側へ吐出される。
第2低圧室Lr2へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0107】
第2高圧室Hr2へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
各圧力室の容量を以下に示す。
第1低圧室Lr1の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
【0108】
第1高圧室Hr1の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
第2低圧室Lr2の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
第2高圧室Hr2の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
【0109】
各圧力室の圧力を以下に示す。
第1低圧室圧力PLr1は、タンク圧力Ptkに相当する。
これは、第1低圧室Lr1が、還流ポートP3と接続されていることによる。
【0110】
第1高圧室圧力PHr1は、フィード圧力Pfdから開弁圧力Pvoまで昇圧される。
第1高圧室圧力PHr1の昇圧態様の詳細については後述する。
【0111】
第2低圧室圧力PLr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
これは、第2低圧室Lr2が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
第2高圧室圧力PHr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0112】
これは、第2高圧室Hr2が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
【0113】
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1よりも低い回転速度となる。
即ち、第1加圧行程においては、従動ロータ15が第1移送行程のときよりも減速した状態となる。
【0114】
これについては、第1高圧室圧力PHr1の昇圧態様とともに後述する。
[3]第1減圧行程(図9)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
【0115】
第1低圧室Lr1は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
第1高圧室Hr1は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
【0116】
第2高圧室Hr2は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0117】
第1高圧室Hr1においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
第2低圧室Lr2へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0118】
第2高圧室Hr2へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
各圧力室の容量を以下に示す。
第1低圧室Lr1の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
【0119】
第1高圧室Hr1の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
第2低圧室Lr2の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
第2高圧室Hr2の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
【0120】
各圧力室の圧力を以下に示す。
第1低圧室圧力PLr1は、タンク圧力Ptkに相当する。
これは、第1低圧室Lr1が、還流ポートP3と接続されていることによる。
【0121】
第1高圧室圧力PHr1は、タンク圧力Ptkに相当する。
これは、第1高圧室Hr1が、還流ポートP3と接続されていることによる。
第2低圧室圧力PLr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0122】
これは、第2低圧室Lr2が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
第2高圧室圧力PHr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
これは、第2高圧室Hr2が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
【0123】
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
【0124】
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1よりも低い回転速度となる。
この状態は、第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1が最小容量になるとともに第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2が最大容量となるまで、即ち次の第2移送行程まで継続される。
【0125】
[4]第2移送行程(図10)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
第1低圧室Lr1は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
【0126】
第1高圧室Hr1は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
第2高圧室Hr2は、いずれのポートとも接続していない状態に維持される。
【0127】
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1には、第1低圧室Lr1における最小容量の燃料が滞留している。
【0128】
第1高圧室Hr1には、第1高圧室Hr1における最小容量の燃料が滞留している。
第2低圧室Lr2には、第2低圧室Lr2における最大容量の燃料が滞留している。
【0129】
第2高圧室Hr2には、第2高圧室Hr2における最大容量の燃料が滞留している。
各圧力室の容量を以下に示す。
【0130】
第1低圧室Lr1の容量は、最小の状態に維持される。
第1高圧室Hr1の容量は、最小の状態に維持される。
第2低圧室Lr2の容量は、最大の状態に維持される。
【0131】
第2高圧室Hr2の容量は、最大の状態に維持される。
各圧力室の圧力を以下に示す。
第1低圧室圧力PLr1は、タンク圧力Ptkに相当する。
【0132】
これは、前回の行程(第1減圧行程)において、第1低圧室Lr1が還流ポートP3と接続されていたことによる。
第1高圧室圧力PHr1は、タンク圧力Ptkに相当する。
【0133】
これは、前回の行程(第1減圧行程)において、第1高圧室Hr1が還流ポートP3と接続されていたことによる。
第2低圧室圧力PLr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0134】
これは、前回の行程(第1減圧行程)において、第2低圧室Lr2が吸入ポートP1と接続されていたことによる。
第2高圧室圧力PHr2は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0135】
これは、前回の行程(第1減圧行程)において、第2高圧室Hr2が吸入ポートP1と接続されていたことによる。
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
【0136】
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1と等しい大きさとなる。
【0137】
即ち、第2移送行程においては、駆動ロータ14と従動ロータ15とが等速回転の状態にある。
これは、各圧力室の容量が一定に維持されていることによる。
【0138】
[5]第2加圧行程(図11)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
第1低圧室Lr1は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
【0139】
第1高圧室Hr1は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
第2高圧室Hr2は、吐出ポートP2と接続された状態に維持される。
【0140】
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
第1高圧室Hr1へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0141】
第2低圧室Lr2においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
第2高圧室Hr2においては、燃料が吐出ポートP2からチェックバルブ5側へ吐出される。
【0142】
各圧力室の容量を以下に示す。
第1低圧室Lr1の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
第1高圧室Hr1の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
【0143】
第2低圧室Lr2の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
第2高圧室Hr2の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
各圧力室の圧力を以下に示す。
【0144】
第1低圧室圧力PLr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
これは、第1低圧室Lr1が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
第1高圧室圧力PHr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0145】
これは、第1高圧室Hr1が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
第2低圧室圧力PLr2は、タンク圧力Ptkに相当する。
これは、第2低圧室Lr2が、還流ポートP3と接続されていることによる。
【0146】
第2高圧室圧力PHr2は、フィード圧力Pfdから開弁圧力Pvoまで昇圧される。
第2高圧室圧力PHr2の昇圧態様の詳細については後述する。
【0147】
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
【0148】
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1よりも高い回転速度となる。
即ち、第2加圧行程においては、従動ロータ15が第2移送行程のときよりも加速した状態となる。
【0149】
これについては、第2高圧室圧力PHr2の昇圧態様とともに後述する。
[6]第2減圧行程(図12)
各圧力室と各ポートとの接続状態を以下に示す。
【0150】
第1低圧室Lr1は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
第1高圧室Hr1は、吸入ポートP1と接続された状態に維持される。
第2低圧室Lr2は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
【0151】
第2高圧室Hr2は、還流ポートP3と接続された状態に維持される。
各圧力室における燃料の流通態様を以下に示す。
第1低圧室Lr1へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0152】
第1高圧室Hr1へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
第2低圧室Lr2においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
【0153】
第2高圧室Hr2においては、燃料が還流ポートP3から燃料タンク2側へ吐出される。
各圧力室の容量を以下に示す。
【0154】
第1低圧室Lr1の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
第1高圧室Hr1の容量は、燃料の流入量に応じて増大する。
第2低圧室Lr2の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
【0155】
第2高圧室Hr2の容量は、燃料の吐出量に応じて減少する。
各圧力室の圧力を以下に示す。
第1低圧室圧力PLr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
【0156】
これは、第1低圧室Lr1が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
第1高圧室圧力PHr1は、フィード圧力Pfdに相当する。
これは、第1高圧室Hr1が、吸入ポートP1と接続されていることによる。
【0157】
第2低圧室圧力PLr2は、タンク圧力Ptkに相当する。
これは、第2低圧室Lr2が、還流ポートP3と接続されていることによる。
第2高圧室圧力PHr2は、タンク圧力Ptkに相当する。
【0158】
これは、第2高圧室Hr2が、還流ポートP3と接続されていることによる。
駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転態様を以下に示す。
駆動ロータ回転速度Vr1は、ドライブシャフト16の回転速度に応じた大きさとなる。
【0159】
従動ロータ回転速度Vr2は、駆動ロータ回転速度Vr1よりも高い回転速度となる。
この状態は、第1低圧室Lr1及び第1高圧室Hr1が最大容量になるとともに第2低圧室Lr2及び第2高圧室Hr2が最小容量となるまで、即ち次の第1移送行程まで継続される。
【0160】
〔加圧行程における燃料の加圧態様〕
次に、上記各加圧行程における燃料の加圧態様について説明する。
以降では、各ロータ14,15の各面の面積を次のように示す。
[a]駆動ロータ外周側前面14Fo、駆動ロータ外周側後面14Bo、従動ロータ外周側前面15Fo、及び従動ロータ外周側後面15Boの面積を外周側面積So。
[b]駆動ロータ内周側前面14Fi、駆動ロータ内周側後面14Bi、従動ロータ内周側前面15Fi、及び従動ロータ内周側後面15Biの面積を内周側面積Si。
【0161】
以降では、各ロータ14,15の回転中心(ドライブシャフト16の中心軸)から上記各面の径方向の中心までの長さを次のように示す。
[a]回転中心から駆動ロータ外周側前面14Fo、駆動ロータ外周側後面14Bo、従動ロータ外周側前面15Fo、及び従動ロータ外周側後面15Boの径方向の中心までの長さを外周側半径Lo。
[b]回転中心から駆動ロータ内周側前面14Fi、駆動ロータ内周側後面14Bi、従動ロータ内周側前面15Fi、及び従動ロータ内周側後面15Biの径方向の中心までの長さを内周側半径Li。
【0162】
以降では、各ロータ14,15に対する回転の方向を次のように示す。
[a]駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転方向を正転方向。
[b]正転方向とは反対の回転方向を逆転方向。
【0163】
〔A〕「第1加圧行程における圧力の昇圧」
図13を参照して、第1加圧行程(図8)における高圧圧力室内の燃料の加圧態様について説明する。
【0164】
なお、図13においては関連する符号のみを適宜示し、それ以外については省略している。
一点鎖線は、半径の長さが外周側半径Loに相当する円を示す。
【0165】
二点鎖線は、半径の長さが内周側半径Liに相当する円を示す。
第1加圧行程においては、次の態様をもって燃料が流通する。
第1低圧室Lr1内の燃料は、還流ポートP3から吐出されて燃料タンク2へ還流される。
【0166】
第1高圧室Hr1内の燃料は、吐出ポートP2から吐出されて第5燃料通路R5内に滞留する。
第2低圧室Lr2内へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0167】
第2高圧室Hr2内へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
これにより、各圧力室の圧力は次のように変化する。
第1低圧室圧力PLr1は、フィード圧力Pfdからタンク圧力Ptkまで下降する。
【0168】
第2低圧室圧力PLr2は、タンク圧力Ptkからフィード圧力Pfdまで上昇する。
第2高圧室圧力PHr2は、タンク圧力Ptkからフィード圧力Pfdまで上昇する。
【0169】
このとき、従動ロータ前面15F及び従動ロータ後面15Bに対しては次の各トルクが作用する。
従動ロータ前面15Fには、従動ロータ15を逆転方向に押圧するトルク(吸入側拡張力Ti)が作用する。
【0170】
従動ロータ後面15Bには、従動ロータ15を正転方向に押圧するトルク(吐出側拡張力To)が作用する。
[吸入側拡張力]
「吸入側拡張力Ti」は、「従動ロータ外周側前面15Foに作用するトルク(吸入側低圧室拡張力TLr2)」と「従動ロータ内周側前面15Fiに作用するトルク(吸入側高圧室拡張力THr2)」とを加算した値となる。即ち、下記計算式
Ti=TLr2+THr2
により表される。
【0171】
「吸入側低圧室拡張力TLr2」は、「第2低圧室圧力PLr2」と「第2低圧室Lr2の受圧面積(外周側面積So)」と「回転中心から従動ロータ外周側前面15Foの中心までの長さ(外周側半径Lo)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
TLr2=PLr2×So×Lo
により表される。
【0172】
「吸入側高圧室拡張力THr2」は、「第2高圧室圧力PHr2」と「第2高圧室Hr2の受圧面積(内周側面積Si)」と「回転中心から従動ロータ内周側前面15Fiの中心までの長さ(内周側半径Li)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
THr2=PHr2×Si×Li
により表される。
【0173】
上記各計算式から、「吸入側拡張力Ti」は下記計算式
Ti=(PLr2×So×Lo)+(PHr2×Si×Li)
により表される。
【0174】
[吐出側拡張力]
「吐出側拡張力To」は、「従動ロータ外周側後面15Boに作用するトルク(吐出側低圧室拡張力TLr1)」と「従動ロータ内周側後面15Biに作用するトルク(吐出側高圧室拡張力THr1)」とを加算した値となる。即ち、下記計算式
To=TLr1+THr1
により表される。
【0175】
「吐出側低圧室拡張力TLr1」は、「第1低圧室圧力PLr1」と「第1低圧室Lr1の受圧面積(外周側面積So)」と「回転中心から従動ロータ外周側後面15Boの中心までの長さ(外周側半径Lo)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
TLr1=PLr1×So×Lo
により表される。
【0176】
「吐出側高圧室拡張力THr1」は、「第1高圧室圧力PHr1」と「第1高圧室Hr1の受圧面積(内周側面積Si)」と「回転中心から従動ロータ内周側後面15Biの中心までの長さ(内周側半径Li)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
THr1=PHr1×Si×Li
により表される。
【0177】
上記各計算式から、「吐出側拡張力To」は下記計算式
To=(PLr1×So×Lo)+(PHr1×Si×Li)
により表される。
【0178】
上記各計算式により、第1加圧行程における「吸入側拡張力Ti」及び「吐出側拡張力To」の大きさは次のように示される。
第2低圧室圧力PLr2及び第2高圧室圧力PHr2がフィード圧力Pfdと等しいため、「吸入側拡張力Ti」の大きさは
Ti=(Pfd×So×Lo)+(Pfd×Si×Li)
となる。
【0179】
第1低圧室圧力PLr1がタンク圧力Ptkと等しいため、「吐出側拡張力To」の大きさは
To=(Ptk×So×Lo)+(PHr1×Si×Li)
となる。なお、第1加圧行程の開始時、第1高圧室圧力PHr1はフィード圧力Pfdに相当する。
【0180】
このように、第1加圧行程においては、「吸入側拡張力Ti」が「吐出側拡張力To」を上回った状態となる。即ち、従動ロータ15を逆転方向に押圧するトルクが従動ロータ15を正転方向に押圧するトルクを上回った状態となる。
【0181】
これにより、第1高圧室Hr1内の燃料が以下の態様をもって加圧される。
[a]従動ロータ15に負の加速度が作用し、従動ロータ回転速度Vr2が駆動ロータ回転速度Vr1を下回る。
[b]駆動ロータ14と従動ロータ15との回転速度差により、第1高圧室Hr1内の燃料が駆動ロータ内周側前面14Fiと従動ロータ内周側後面15Biとを通じて加圧される。
[c]燃料の加圧により第1高圧室圧力PHr1が開弁圧力Pvoまで昇圧されたとき、チェックバルブ5が開弁して開弁圧力Pvoの燃料がコモンレールCrへ供給される。
【0182】
[第1高圧室圧力の昇圧量]
第1高圧室圧力PHr1の昇圧量(フィード圧力Pfdからの上昇量)について説明する。
【0183】
「吸入側拡張力Ti」及び「吐出側拡張力To」を示す下記各計算式
Ti=(Pfd×So×Lo)+(Pfd×Si×Li)
To=(Ptk×So×Lo)+(PHr1×Si×Li)
から、第1高圧室圧力PHr1は下記計算式
PHr1={Pfd×(So×Lo)/(Si×Li)}+Pfd−Ptk
により表される。
【0184】
フィードポンプ3による燃料の加圧分をフィード加圧力△Pfdとすると、フィード圧力Pfdは下記計算式
Pfd=Ptk+△Pfd
により表される。
【0185】
これを第1高圧室圧力PHr1を示す上記計算式に適用すると、第1高圧室圧力PHr1は下記計算式
PHr1={Pfd×(So×Lo/(Si×Li))+△Pfd
により表される。なお、第1高圧室圧力PHr1の上限値は開弁圧力Pvoとなる。
【0186】
上記計算式にて示されるように、第1高圧室圧力PHr1の昇圧量は、外周側半径Loと内周側半径Liとの比率(外周側面積Soと内周側面積Siとの比率)の変更を通じて設定することができる。
【0187】
〔B〕「第2加圧行程における圧力の昇圧」
図14を参照して、第2加圧行程(図11)における高圧圧力室内の燃料の加圧態様について説明する。
【0188】
なお、図14においては関連する符号のみを適宜示し、それ以外については省略している。
一点鎖線は、半径の長さが外周側半径Loに相当する円を示す。
【0189】
二点鎖線は、半径の長さが内周側半径Liに相当する円を示す。
第2加圧行程においては、次の態様をもって燃料が流通する。
第1低圧室Lr1内へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
【0190】
第1高圧室Hr1内へは、吸入ポートP1から燃料が流入する。
第2低圧室Lr2内の燃料は、還流ポートP3から吐出されて燃料タンク2へ還流される。
【0191】
第2高圧室Hr2内の燃料は、吐出ポートP2から吐出されて第5燃料通路R5内に滞留する。
これにより、各圧力室の圧力は次のように変化する。
【0192】
第1低圧室圧力PLr1は、タンク圧力Ptkからフィード圧力Pfdまで上昇する。
第1高圧室圧力PHr1は、タンク圧力Ptkからフィード圧力Pfdまで上昇する。
【0193】
第2低圧室圧力PLr2は、フィード圧力Pfdからタンク圧力Ptkまで下降する。
このとき、従動ロータ前面15F及び従動ロータ後面15Bに対しては次の各トルクが作用する。
【0194】
従動ロータ前面15Fには、従動ロータ15を逆転方向に押圧するトルク(吐出側拡張力To)が作用する。
従動ロータ後面15Bには、従動ロータ15を正転方向に押圧するトルク(吸入側拡張力Ti)が作用する。
【0195】
[吐出側拡張力]
「吐出側拡張力To」は、「従動ロータ外周側前面15Foに作用するトルク(吐出側低圧室拡張力TLr2)」と「従動ロータ内周側前面15Fiに作用するトルク(吐出側高圧室拡張力THr2)」とを加算した値となる。即ち、下記計算式
To=TLr2+THr2
により表される。
【0196】
「吐出側低圧室拡張力TLr2」は、「第2低圧室圧力PLr2」と「第2低圧室Lr2の受圧面積(外周側面積So)」と「回転中心から従動ロータ外周側前面15Foの中心までの長さ(外周側半径Lo)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
TLr2=PLr2×So×Lo
により表される。
【0197】
「吐出側高圧室拡張力THr2」は、「第2高圧室圧力PHr2」と「第2高圧室Hr2の受圧面積(内周側面積Si)」と「回転中心から従動ロータ内周側前面15Fiの中心までの長さ(内周側半径Li)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
THr2=PHr2×Si×Li
により表される。
【0198】
上記各計算式から、「吐出側拡張力To」は下記計算式
To=(PLr2×So×Lo)+(PHr2×Si×Li)
により表される。
【0199】
[吸入側拡張力]
「吸入側拡張力Ti」は、「従動ロータ外周側後面15Boに作用するトルク(吸入側低圧室拡張力TLr1)」と「従動ロータ内周側後面15Biに作用するトルク(吸入側高圧室拡張力THr1)」とを加算した値となる。即ち、下記計算式
Ti=TLr1+THr1
により表される。
【0200】
「吸入側低圧室拡張力TLr1」は、「第1低圧室圧力PLr1」と「第1低圧室Lr1の受圧面積(外周側面積So)」と「回転中心から従動ロータ外周側後面15Boの中心までの長さ(外周側半径Lo)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
TLr1=PLr1×So×Lo
により表される。
【0201】
「吸入側高圧室拡張力THr1」は、「第1高圧室圧力PHr1」と「第1高圧室Hr1の受圧面積(内周側面積Si)」と「回転中心から従動ロータ内周側後面15Biの中心までの長さ(内周側半径Li)」とを乗算した値となる。即ち、下記計算式
THr1=PHr1×Si×Li
により表される。
【0202】
上記各計算式から、「吸入側拡張力Ti」は下記計算式
Ti=(PLr1×So×Lo)+(PHr1×Si×Li)
により表される。
【0203】
上記各計算式により、第2加圧行程における「吐出側拡張力To」及び「吸入側拡張力Ti」の大きさは次のように示される。
第2低圧室圧力PLr2がタンク圧力Ptkと等しいため、「吐出側拡張力To」の大きさは
To=(Ptk×So×Lo)+(PHr2×Si×Li)
となる。なお、第2加圧行程の開始時、第2高圧室圧力PHr2はフィード圧力Pfdに相当する。
【0204】
第1低圧室圧力PLr1及び第1高圧室圧力PHr1がフィード圧力Pfdと等しいため、「吸入側拡張力Ti」の大きさは
Ti=(Pfd×So×Lo)+(Pfd×Si×Li)
となる。
【0205】
このように、第2加圧行程においては、「吸入側拡張力Ti」が「吐出側拡張力To」を上回った状態となる。即ち、従動ロータ15を正転方向に押圧するトルクが従動ロータ15を逆転方向に押圧するトルクを上回った状態となる。
【0206】
これにより、第2高圧室Hr2内の燃料が以下の態様をもって加圧される。
[a]従動ロータ15に正の加速度が作用し、従動ロータ回転速度Vr2が駆動ロータ回転速度Vr1を上回る。
[b]駆動ロータ14と従動ロータ15との回転速度差により、第2高圧室Hr2内の燃料が従動ロータ内周側前面15Fiと駆動ロータ内周側後面14Biとを通じて加圧される。
[c]燃料の加圧により第2高圧室圧力PHr2が開弁圧力Pvoまで昇圧されたとき、チェックバルブ5が開弁して開弁圧力Pvoの燃料がコモンレールCrへ供給される。
【0207】
[第2高圧室圧力の昇圧量]
第2高圧室圧力PHr2の昇圧量(フィード圧力Pfdからの上昇量)について説明する。
【0208】
「吐出側拡張力To」及び「吸入側拡張力Ti」を示す下記各計算式
To=(Ptk×So×Lo)+(PHr2×Si×Li)
Ti=(Pfd×So×Lo)+(Pfd×Si×Li)
から、第2高圧室圧力PHr2は下記計算式
PHr2={Pfd×(So×Lo)/(Si×Li)}+Pfd−Ptk
により表される。
【0209】
フィードポンプ3による燃料の加圧分をフィード加圧力△Pfdとすると、フィード圧力Pfdは下記計算式
Pfd=Ptk+△Pfd
により表される。
【0210】
これを第2高圧室圧力PHr2を示す上記計算式に適用すると、第2高圧室圧力PHr2は下記計算式
PHr2={Pfd×(So×Lo/(Si×Li))+△Pfd
により表される。なお、第2高圧室圧力PHr2の上限値は開弁圧力Pvoとなる。
【0211】
上記計算式にて示されるように、第2高圧室圧力PHr2の昇圧量は、外周側半径Loと内周側半径Liとの比率(外周側面積Soと内周側面積Siとの比率)の変更を通じて設定することができる。
【0212】
以上詳述したように、この実施の形態にかかる回転型高圧ポンプによれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、駆動ロータ14及び従動ロータ15の回転運動のみを通じて燃料の加圧を行うようにしている。こうした構成によれば、回転運動から往復運動への変換が不要であるため、小さい動力損失で高圧の燃料を吐出することができるようになる。
【0213】
(2)また、回転運動のみにより燃料の加圧を行う構成であるため、高圧燃料ポンプ1の高速化を容易に実現することができるようになる。
(3)本実施の形態では、ドライブシャフト16を通じて、同シャフト16と機械的に接続されている駆動ロータ14のみを駆動するようにしている。こうした構成によれば、ドライブシャフト16の駆動トルクの変動が抑制されるため、ポンプの駆動にともなう騒音や振動を低減することができるようになる。
【0214】
(4)本実施の形態では、各圧力室間の圧力差を通じて駆動ロータ14と従動ロータ15との回転速度差を生じさせるようにしている。こうした構成によれば、燃料を加圧する際にあってもドライブシャフト16の駆動トルクの変動が抑制されるため、ポンプの駆動にともなう騒音や振動をより低減することができるようになる。
【0215】
(5)本実施の形態では、ドライブシャフト16を回転中心として駆動ロータ14及び従動ロータ15を回転させるようにしている。こうした構成によれば、各ロータ14,15に作用するトルクが回転方向で相殺されてドライブシャフト16へ作用する反力が低減されるため、ポンプの駆動にともなう騒音や振動をより低減することができるようになる。
【0216】
(6)本実施の形態では、第1ケーシング11、第2ケーシング12、リングケーシング13、駆動ロータ14、従動ロータ15、及びドライブシャフト16を構成要素として回転型高圧ポンプを構成するようにしている。こうした構成によれば、カム機構が必要となるプランジャポンプよりも少ない部品点数でポンプを製造することができるようになる。
【0217】
なお、上記実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施の形態では、燃料供給系統Fsに流量制御バルブ4を備える構成としたが、流量制御バルブ4を省略した構成とすることもできる。
【0218】
・上記実施の形態では、ディーゼルエンジンEに搭載される機関搭載型の燃料ポンプとして本発明を実現したが、機関搭載型の燃料ポンプとしては、他に例えば筒内噴射型エンジンの燃料ポンプとして本発明を実現することもできる。
【0219】
・上記実施の形態では、ディーゼルエンジンEの燃料ポンプとして本発明を実現したが、ディーゼルエンジンEの燃料ポンプに限られずその他の高圧ポンプとして本発明を実現することもできる。
【0220】
・上記実施の形態では、ディーゼルエンジンEのクランクシャフトを通じて高圧燃料ポンプ1(ドライブシャフト16)を駆動する構成としたが、例えばエンジンのカムシャフトを通じて高圧燃料ポンプ1を駆動することもできる。
【0221】
・また、エンジンに限られずその他の駆動源を通じて高圧燃料ポンプ1を駆動することも可能である。
・上記実施の形態では、第1低圧室Lr1を第1高圧室Hr1よりも外周側に、第2低圧室Lr2を第2高圧室Hr2よりも外周側に形成する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、第1高圧室Hr1を第1低圧室Lr1よりも外周側に、第2高圧室Hr2を第2低圧室Lr2よりも外周側に形成することもできる。
【0222】
・上記実施の形態では、各ケーシング11,12,13を図3に例示した形状に構成したが、各ケーシング11,12,13の形状は上記実施の形態にて例示した形状に限られず適宜変更可能である。
【0223】
・上記実施の形態では、駆動ロータ14及び従動ロータ15を図4に例示した形状に構成したが、駆動ロータ14及び従動ロータ15の形状は上記実施の形態にて例示した形状に限られず適宜変更可能である。
【0224】
・上記実施の形態では、各ポートP1,P2,P3を図5に例示した形状に構成したが、各ポートP1,P2,P3の形状は上記実施の形態にて例示した形状に限られず適宜変更可能である。
【0225】
・上記実施の形態において、各圧力室の容量は燃料の昇圧量に応じて適宜変更可能である。
・上記実施の形態では、第1低圧室Lr1が第1高圧室Hr1よりも大きい容量を有する高圧燃料ポンプ1を想定したが、各圧力室に必要とされる受圧面積が確保される構成であれば、各圧力室の大きさは適宜変更可能である。
【0226】
・上記実施の形態では、第2低圧室Lr2が第2高圧室Hr2よりも大きい容量を有する高圧燃料ポンプ1を想定したが、各圧力室に必要とされる受圧面積が確保される構成であれば、各圧力室の大きさは適宜変更可能である。
【0227】
・上記実施の形態では、図2〜図5に例示した構成の高圧燃料ポンプ1として回転型高圧ポンプを実現したが、回転型高圧ポンプの構成は上記実施の形態にて例示した構成に限られるものではない。要するに、
[イ]ケーシング内に回転可能に収容されている駆動ロータ。
[ロ]駆動ロータを回転駆動するドライブシャフト。
[ハ]ケーシング内に収容されているとともにドライブシャフトを回転軸として駆動ロータに従動して回転駆動する従動ロータ。
[ニ]駆動ロータと従動ロータとの間に形成されている複数の圧力室。
[ホ]複数の圧力室と接続されて流体を流通させる複数のポート。
これら[イ]〜[ホ]の構成要素を備えた回転型高圧ポンプであれば、ポンプの構成は適宜変更可能である。
【0228】
・換言すると、ケーシング内に収容された駆動ロータ及び従動ロータの間に複数の圧力室を有し、ロータの径方向において対向する圧力室内の圧力差(駆動ロータの回転方向前方に形成される圧力室と駆動ロータの回転方向後方に形成される圧力室との圧力差)により流体を加圧する回転型高圧ポンプであれば、ポンプの構成としては任意の構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる回転型高圧ポンプを具体化した実施の形態について、同回転型高圧ポンプを燃料ポンプとして有するディーゼルエンジンの全体構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、ポンプの全体構成を示す斜視図。
【図3】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、ポンプの全体構成を示す分解斜視図。
【図4】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、ポンプ内の構成を示す図。
【図5】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、ポンプと各燃料通路との接続態様を示す図。
【図6】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、燃料の流通態様を示す図。
【図7】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第1移送行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図8】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第1加圧行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図9】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第1減圧行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図10】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第2移送行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図11】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第2加圧行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図12】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第2減圧行程におけるポンプの動作態様を示す図。
【図13】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第1加圧行程における各ロータの回転状態を示す図。
【図14】同実施の形態の回転型高圧ポンプについて、第2加圧行程における各ロータの回転状態を示す図。
【符号の説明】
E…ディーゼルエンジン、Ea…エンジン本体、Fi…燃料噴射系統、Fs…燃料供給系統、INJ…インジェクタ、Cr…コモンレール、1…高圧燃料ポンプ、2…燃料タンク、3…フィードポンプ、4…流量制御バルブ、5…チェックバルブ、R1…第1燃料通路、R2…第2燃料通路、R3…第3燃料通路、R4…第4燃料通路、R5…第5燃料通路、R6…第6燃料通路、R7…第7燃料通路、11…第1ケーシング、12…第2ケーシング、13…リングケーシング、14…駆動ロータ、15…従動ロータ、16…ドライブシャフト、P1…吸入ポート、P2…吐出ポート、P3…還流ポート、11D…軸受け部、12D…軸受け部、13R…ロータ収容部、14F…駆動ロータ前面、14Fo…駆動ロータ外周側前面、14Fi…駆動ロータ内周側前面、14B…駆動ロータ後面、14Bo…駆動ロータ外周側後面、14Bi…駆動ロータ内周側後面、15F…従動ロータ前面、15Fo…従動ロータ外周側前面、15Fi…従動ロータ内周側前面、15B…従動ロータ後面、15Bo…従動ロータ外周側後面、15Bi…従動ロータ内周側後面、Lr1…第1低圧室、Hr1…第1高圧室、Lr2…第2低圧室、Hr2…第2高圧室。

Claims (8)

  1. ケーシング内に回転可能に収容されている第1のロータと、
    前記第1のロータを回転駆動するドライブシャフトと、
    前記ケーシング内に収容されているとともに前記ドライブシャフトを回転軸として前記第1のロータに従動する第2のロータと、
    前記第1のロータと前記第2のロータとの間に形成されている複数の圧力室と、
    前記複数の圧力室と接続されて流体を流通させる複数のポートとを備えている
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  2. 請求項1記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    前記複数のポートは、低圧ポンプにより圧送された流体を前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内へ流入させる吸入ポートと、前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内において加圧された流体を高圧部へ流出させる吐出ポートと、前記複数の圧力室のうちの対応する圧力室内の流体を低圧部へ流出させる還流ポートとから構成されている
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  3. 請求項2記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    前記複数の圧力室は、前記第1のロータの回転方向前方に形成される前方圧力室と、前記第1のロータの回転方向後方に形成される後方圧力室とから構成されている
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  4. 請求項3記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    前記前方圧力室は、前記ケーシング内の径方向の前記ドライブシャフト側に形成される内周側前方圧力室と、同内周側前方圧力室よりも外周に形成される外周側前方圧力室とから構成され、
    前記後方圧力室は、前記ケーシング内の径方向の前記ドライブシャフト側に形成される内周側後方圧力室と、同内周側後方圧力室よりも外周に形成される外周側後方圧力室とから構成されている
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  5. 請求項4記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    前記内周側前方圧力室が前記外周側前方圧力室よりも小さく形成されているとともに、前記内周側後方圧力室が前記外周側後方圧力室よりも小さく形成されている
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  6. ケーシング内に回転可能に収容された第1のロータをドライブシャフトにより回転駆動する一方、前記ケーシング内に回転可能に収容された第2のロータを前記第1のロータにより従動させ、
    外部から当該回転型高圧ポンプ内へ供給された流体を前記第1のロータと前記第2のロータとの間に形成されている複数の圧力室内の圧力差により加圧する
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    当該回転型高圧ポンプをディーゼルエンジンの燃料ポンプとして実現した
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の回転型高圧ポンプにおいて、
    当該回転型高圧ポンプを筒内噴射式エンジンの燃料ポンプとして実現した
    ことを特徴とする回転型高圧ポンプ。
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