JP2004345905A - 籾殻活性炭の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下水処理場等で脱臭剤等として実用的に利用可能な籾殻活性炭を製造する方法を提供する。
【解決手段】密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化し、80〜120℃のガスもしくは蒸気で炭化を停止した後、同一槽に800℃以上の過熱蒸気を通すことにより籾殻活性炭を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化し、80〜120℃のガスもしくは蒸気で炭化を停止した後、同一槽に800℃以上の過熱蒸気を通すことにより籾殻活性炭を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場等で脱臭剤等として利用することが可能な籾殻活性炭を効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、河川への放流や大気への放出、更には最終処分場への埋め立てに関する不純物排出基準値が厳しくなるに従い、これら不純物を吸収除去する手段として活性炭の活用が飛躍的に増大している。即ち、下水処理場や廃棄物焼却場、最終処分場等では、脱臭剤、脱色剤、ダイオキシン吸収剤として活性炭が多量に消費されている。
【0003】
この活性炭の需要増大への対処として、従来の椰子の実や無煙炭等の輸入素材による国内での活性炭製造に代わり、無煙炭を産出する海外でそれを活性加工したものの輸入が増えており、その輸入量は国内消費量のほぼ全量に近い。
【0004】
しかし、大量の活性炭を消費する需要先、例えば下水処理場などは、必ずしも高品質の活性炭のみを必要としているのではなく、吸収率の幾分劣る活性炭であっても、もし、より廉価であれば、多少取り替え頻度を増やすことにより性能が維持できれば満足といえるのである。
【0005】
本発明者は、より廉価でさほど性能の劣らない活性炭を得ることを目的に、日本国内のどの地方でも安価に得られる間伐材や籾殻を活性炭の原料とすることに関心を寄せてきたのであるが、間伐材等の木材から得られる炭化物は脆弱であり、また、炭素の密度が低すぎて賦活しても十分な活性化度合いが得られない。
【0006】
一方、籾殻炭は、炭素密度はさして高くないが、剛性強度が間伐材料炭より高く、取り扱い中の細分化が少ない。本発明者は、この点に着目し、籾殻炭の活性度を向上させる研究を重ねてきた。
【0007】
現在、籾殻炭を有価商品として生産している企業は本邦では数社しかないが、その一社であるI社の籾殻炭の成分は表1の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】
試料A、Bとも同社の製品であるが、炭化加工工程における加熱時間や空気の送入量により固定炭素の残留量が変化するのである。試料Bはまだ十分に加熱されてはおらず、揮発分が多い。試料Aは十分に加熱されて揮発分も水分も少ないが、逆に灰分が多い。活性炭の吸収度合いがもし炭素量に比例するのであれば、籾殻炭は元々炭素成分の割合が少なく、活性炭の素材としては不適ということになってしまう。現に最良の活性炭といわれる椰子殻活性炭の賦活前の固定炭素量は80%以上である。
【0010】
上記試料Aの灰分の主成分を計量分析した結果を表2に示す。
【0011】
【表2】
【0012】
灰分の主成分は珪素であり、薄い籾殻が炭化してもしっかりした元の形状を保っているのは硬い珪素化合物が珊瑚のようにしっかりした剛性を籾殻炭に保持させているのである。そして籾殻が有機物の細胞組織であり、その組織の中に珪素成分が組み込まれているのであるから、籾殻炭に含まれる珪素成分は珪石の如き塊ではなく、網目のような構造を形成していると推測される。してみると、活性炭の吸収作用は、化学結合によるものではなく、モレキュラー・シーブとして分子級の微細な物質を物理的に捕捉するものであるから、炭素元素以外の珪素でも、その物理構造によっては分子級の大きさの物質を捕捉することが可能であるはずである。
【0013】
次に、籾殻炭そのものに吸着(或いは吸収)作用があることは公知の通りである。しかし、市販の活性炭に比べると吸収作用の持続時間が短い。本発明者が分析した籾殻炭の活性炭としての指標を調べると表3の通りであった。
【0014】
【表3】
【0015】
市販されている活性炭の比表面積は小さいものでも400m2/g以上あり、それに比べると籾殻活性炭の比表面積はあまりに小さい。つまり、吸着性はあるものの、比表面積が小さく活性炭としての寿命が短すぎる。
【0016】
籾殻炭の炭素含有量は表2に示すように約40%であり、いかにも少ない。籾殻に珪素が多量に含まれていることは判ったが、炭化前の籾殻の炭素量を分析すると表4の通りであった。
【0017】
【表4】
【0018】
灼熱減量中には炭素も含まれているが、81.9−39.3=42.6%は、主に水分及び水素と考えると、下記表5の通りとなる。
【0019】
【表5】
【0020】
この成分の中から炭化工程で水分及び水素が蒸発と燃焼で除去され、炭素の全てが残留した場合に、籾殻炭に含まれる炭素の最大値が得られることになる。
【0021】
その値は39.3/(39.3+18.1)=0.68=68%である。
【0022】
しかし、前記表1で示すように、籾殻炭の炭素量は40%代であり、現行の籾殻炭化工程では20〜30%の炭素が燃焼してしまっているのである。活性炭素量の割合は比表面積に比例するであろうから、炭化工程における炭素の燃焼を最小限にする工夫が先ず第一に必要であることが判る。
【0023】
このように、従来より籾殻炭を活性炭として使用する試みは考えられていたが、実用的なものは得られていなかったのが現状である。
【0024】
また、特許に関しても、単に籾殻炭を活性炭として利用すること(特許文献1)、高温ガス旋回気流により籾殻等を含む各種炭素化合物原料から活性炭を連続製造する技術(特許文献2)が提案されているに過ぎない。
【0025】
【特許文献1】
特開平8−67509号公報
【0026】
【特許文献2】
特開平5−132306号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点を解決し、下水処理場等で脱臭剤等として、無煙炭活性炭、椰子殻活性炭等と同等に利用可能な実用性のある籾殻活性炭を製造する方法の提供を目的とするものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく検討した結果、特定の条件で籾殻を炭化、賦活化することにより、性能の優れた籾殻活性炭が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0029】
即ち本発明は、密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化し、80〜120℃のガスもしくは蒸気で炭化を停止した後、同一槽に800℃以上の過熱蒸気を通すことを特徴とする籾殻活性炭の製造方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明者の第一の試みは、籾殻炭の製造に際し、従来の如く乾燥籾殻に着火し自然燃焼させて炭化物とするのではなく、籾殻に高温のガスを当てることにより、植物繊維の組織を分解することである。この高温ガスには、燃焼ガスや過熱蒸気を用い、籾殻が黒く変色する最低の温度を探った。
【0031】
石炭等を原料として活性炭の賦活工程では、一般にロータリーキルンが用いられる。即ち、被処理物質を投入したロータリーキルンに蒸気を送入し、内外部より加熱するのであるが、見掛比重が小さい籾殻炭の場合、ロータリーキルンでは浮遊し吹き流されてしまい、長時間の被処理工程で同一状態を保つのは難しい。
【0032】
本発明者の第二の試みは、図1に示すようなネットを張った固定床式の活性槽を考案し、蒸気発生器からの100℃の飽和蒸気を過熱器で800〜850℃まで加熱した蒸気を活性槽の下部から注入し、ネット固定床に詰め込まれた籾殻炭の層を通過させる方法である。
【0033】
即ち、本発明では、先ず、密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化する。
【0034】
また、炭化させる温度は400℃程度で良く、効率の点から350〜450℃である。燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させる時間は、10〜20分間程度で良い。
【0035】
次いで、100℃程度、即ち80〜120℃のガスもしくは蒸気で籾殻の炭化を停止させる。
【0036】
その後、800℃以上、好ましくは800〜850℃の蒸気を炭化の済んだ同一籾殻に通す。この賦活処理時間は3〜10分程度とする。
【0037】
かかる一連の処理を施すことにより、比表面積が大きく、実用的な籾殻活性炭を効率良く提供することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、日本国内のどの地方でも安価に得られる籾殻を活性炭の原料とすることを実用的に可能とし、従来、実質的に廃棄されていた籾殻の有効利用が図れ、農家への幾分かの経済的寄与が図れると共に、最終ユーザーである地方自治体等に対しても、より安価な活性炭を供給することで財政負担の軽減に貢献できる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0040】
前述した第一及び第二の試みを、図1に示す固定床式の活性槽を用いて行った。
この活性槽1は、図1に示すように、その中間部に籾殻2を装填するためのネット(網目底3)、中子4を有し、下部から過熱蒸気5を通せる構造のものである。
【0041】
先ず、槽1の中間部に籾殻2を装填し、300〜400℃の過熱蒸気を10〜15分間通した後、蒸気の加熱を停止し、100℃の蒸気を通すことで籾殻の炭化を止めた。次に、蒸気を850℃まで過熱し、炭化の済んだ同一籾殻炭に通した。
【0042】
最適の処理時間と処理温度を探索する試行実験を重ねた結果、表6に示すような結果が得られた。
【0043】
【表6】
【0044】
比表面積は表3に示した従来品のそれに比べ大幅に増大し、実用化できる範囲の数値となった。これは籾殻炭の炭素量そのものが増えたことと活性化によるものである。留意すべきことは籾殻の肉厚が薄いために、賦活時間を上手く厳密に制御しなければ比表面積が最大値を通過し、逆に小さくなっていくことである。しかし、このことの発見も含め、上記の第一及び第二の試みにより実用的な籾殻活性炭を生み出すことに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する固定床式の活性槽を示す図である。
【符号の説明】
1…活性槽
2…籾殻
3…網目底
4…中子
5…過熱蒸気
6…中子受け
7…落し蓋
8…活性槽外殻
9…排ガス
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場等で脱臭剤等として利用することが可能な籾殻活性炭を効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、河川への放流や大気への放出、更には最終処分場への埋め立てに関する不純物排出基準値が厳しくなるに従い、これら不純物を吸収除去する手段として活性炭の活用が飛躍的に増大している。即ち、下水処理場や廃棄物焼却場、最終処分場等では、脱臭剤、脱色剤、ダイオキシン吸収剤として活性炭が多量に消費されている。
【0003】
この活性炭の需要増大への対処として、従来の椰子の実や無煙炭等の輸入素材による国内での活性炭製造に代わり、無煙炭を産出する海外でそれを活性加工したものの輸入が増えており、その輸入量は国内消費量のほぼ全量に近い。
【0004】
しかし、大量の活性炭を消費する需要先、例えば下水処理場などは、必ずしも高品質の活性炭のみを必要としているのではなく、吸収率の幾分劣る活性炭であっても、もし、より廉価であれば、多少取り替え頻度を増やすことにより性能が維持できれば満足といえるのである。
【0005】
本発明者は、より廉価でさほど性能の劣らない活性炭を得ることを目的に、日本国内のどの地方でも安価に得られる間伐材や籾殻を活性炭の原料とすることに関心を寄せてきたのであるが、間伐材等の木材から得られる炭化物は脆弱であり、また、炭素の密度が低すぎて賦活しても十分な活性化度合いが得られない。
【0006】
一方、籾殻炭は、炭素密度はさして高くないが、剛性強度が間伐材料炭より高く、取り扱い中の細分化が少ない。本発明者は、この点に着目し、籾殻炭の活性度を向上させる研究を重ねてきた。
【0007】
現在、籾殻炭を有価商品として生産している企業は本邦では数社しかないが、その一社であるI社の籾殻炭の成分は表1の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】
試料A、Bとも同社の製品であるが、炭化加工工程における加熱時間や空気の送入量により固定炭素の残留量が変化するのである。試料Bはまだ十分に加熱されてはおらず、揮発分が多い。試料Aは十分に加熱されて揮発分も水分も少ないが、逆に灰分が多い。活性炭の吸収度合いがもし炭素量に比例するのであれば、籾殻炭は元々炭素成分の割合が少なく、活性炭の素材としては不適ということになってしまう。現に最良の活性炭といわれる椰子殻活性炭の賦活前の固定炭素量は80%以上である。
【0010】
上記試料Aの灰分の主成分を計量分析した結果を表2に示す。
【0011】
【表2】
【0012】
灰分の主成分は珪素であり、薄い籾殻が炭化してもしっかりした元の形状を保っているのは硬い珪素化合物が珊瑚のようにしっかりした剛性を籾殻炭に保持させているのである。そして籾殻が有機物の細胞組織であり、その組織の中に珪素成分が組み込まれているのであるから、籾殻炭に含まれる珪素成分は珪石の如き塊ではなく、網目のような構造を形成していると推測される。してみると、活性炭の吸収作用は、化学結合によるものではなく、モレキュラー・シーブとして分子級の微細な物質を物理的に捕捉するものであるから、炭素元素以外の珪素でも、その物理構造によっては分子級の大きさの物質を捕捉することが可能であるはずである。
【0013】
次に、籾殻炭そのものに吸着(或いは吸収)作用があることは公知の通りである。しかし、市販の活性炭に比べると吸収作用の持続時間が短い。本発明者が分析した籾殻炭の活性炭としての指標を調べると表3の通りであった。
【0014】
【表3】
【0015】
市販されている活性炭の比表面積は小さいものでも400m2/g以上あり、それに比べると籾殻活性炭の比表面積はあまりに小さい。つまり、吸着性はあるものの、比表面積が小さく活性炭としての寿命が短すぎる。
【0016】
籾殻炭の炭素含有量は表2に示すように約40%であり、いかにも少ない。籾殻に珪素が多量に含まれていることは判ったが、炭化前の籾殻の炭素量を分析すると表4の通りであった。
【0017】
【表4】
【0018】
灼熱減量中には炭素も含まれているが、81.9−39.3=42.6%は、主に水分及び水素と考えると、下記表5の通りとなる。
【0019】
【表5】
【0020】
この成分の中から炭化工程で水分及び水素が蒸発と燃焼で除去され、炭素の全てが残留した場合に、籾殻炭に含まれる炭素の最大値が得られることになる。
【0021】
その値は39.3/(39.3+18.1)=0.68=68%である。
【0022】
しかし、前記表1で示すように、籾殻炭の炭素量は40%代であり、現行の籾殻炭化工程では20〜30%の炭素が燃焼してしまっているのである。活性炭素量の割合は比表面積に比例するであろうから、炭化工程における炭素の燃焼を最小限にする工夫が先ず第一に必要であることが判る。
【0023】
このように、従来より籾殻炭を活性炭として使用する試みは考えられていたが、実用的なものは得られていなかったのが現状である。
【0024】
また、特許に関しても、単に籾殻炭を活性炭として利用すること(特許文献1)、高温ガス旋回気流により籾殻等を含む各種炭素化合物原料から活性炭を連続製造する技術(特許文献2)が提案されているに過ぎない。
【0025】
【特許文献1】
特開平8−67509号公報
【0026】
【特許文献2】
特開平5−132306号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点を解決し、下水処理場等で脱臭剤等として、無煙炭活性炭、椰子殻活性炭等と同等に利用可能な実用性のある籾殻活性炭を製造する方法の提供を目的とするものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく検討した結果、特定の条件で籾殻を炭化、賦活化することにより、性能の優れた籾殻活性炭が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0029】
即ち本発明は、密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化し、80〜120℃のガスもしくは蒸気で炭化を停止した後、同一槽に800℃以上の過熱蒸気を通すことを特徴とする籾殻活性炭の製造方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明者の第一の試みは、籾殻炭の製造に際し、従来の如く乾燥籾殻に着火し自然燃焼させて炭化物とするのではなく、籾殻に高温のガスを当てることにより、植物繊維の組織を分解することである。この高温ガスには、燃焼ガスや過熱蒸気を用い、籾殻が黒く変色する最低の温度を探った。
【0031】
石炭等を原料として活性炭の賦活工程では、一般にロータリーキルンが用いられる。即ち、被処理物質を投入したロータリーキルンに蒸気を送入し、内外部より加熱するのであるが、見掛比重が小さい籾殻炭の場合、ロータリーキルンでは浮遊し吹き流されてしまい、長時間の被処理工程で同一状態を保つのは難しい。
【0032】
本発明者の第二の試みは、図1に示すようなネットを張った固定床式の活性槽を考案し、蒸気発生器からの100℃の飽和蒸気を過熱器で800〜850℃まで加熱した蒸気を活性槽の下部から注入し、ネット固定床に詰め込まれた籾殻炭の層を通過させる方法である。
【0033】
即ち、本発明では、先ず、密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化する。
【0034】
また、炭化させる温度は400℃程度で良く、効率の点から350〜450℃である。燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させる時間は、10〜20分間程度で良い。
【0035】
次いで、100℃程度、即ち80〜120℃のガスもしくは蒸気で籾殻の炭化を停止させる。
【0036】
その後、800℃以上、好ましくは800〜850℃の蒸気を炭化の済んだ同一籾殻に通す。この賦活処理時間は3〜10分程度とする。
【0037】
かかる一連の処理を施すことにより、比表面積が大きく、実用的な籾殻活性炭を効率良く提供することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、日本国内のどの地方でも安価に得られる籾殻を活性炭の原料とすることを実用的に可能とし、従来、実質的に廃棄されていた籾殻の有効利用が図れ、農家への幾分かの経済的寄与が図れると共に、最終ユーザーである地方自治体等に対しても、より安価な活性炭を供給することで財政負担の軽減に貢献できる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0040】
前述した第一及び第二の試みを、図1に示す固定床式の活性槽を用いて行った。
この活性槽1は、図1に示すように、その中間部に籾殻2を装填するためのネット(網目底3)、中子4を有し、下部から過熱蒸気5を通せる構造のものである。
【0041】
先ず、槽1の中間部に籾殻2を装填し、300〜400℃の過熱蒸気を10〜15分間通した後、蒸気の加熱を停止し、100℃の蒸気を通すことで籾殻の炭化を止めた。次に、蒸気を850℃まで過熱し、炭化の済んだ同一籾殻炭に通した。
【0042】
最適の処理時間と処理温度を探索する試行実験を重ねた結果、表6に示すような結果が得られた。
【0043】
【表6】
【0044】
比表面積は表3に示した従来品のそれに比べ大幅に増大し、実用化できる範囲の数値となった。これは籾殻炭の炭素量そのものが増えたことと活性化によるものである。留意すべきことは籾殻の肉厚が薄いために、賦活時間を上手く厳密に制御しなければ比表面積が最大値を通過し、逆に小さくなっていくことである。しかし、このことの発見も含め、上記の第一及び第二の試みにより実用的な籾殻活性炭を生み出すことに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する固定床式の活性槽を示す図である。
【符号の説明】
1…活性槽
2…籾殻
3…網目底
4…中子
5…過熱蒸気
6…中子受け
7…落し蓋
8…活性槽外殻
9…排ガス
Claims (1)
- 密封された槽に籾殻を装填し、該籾殻の層に300〜450℃の燃焼ガスもしくは過熱蒸気を通過させて籾殻を炭化し、80〜120℃のガスもしくは蒸気で炭化を停止した後、同一槽に800℃以上の過熱蒸気を通すことを特徴とする籾殻活性炭の製造方法。
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009256897A (ja) * | 2008-04-14 | 2009-11-05 | Meisei Fudosan Kk | 籾殻炭利用の建築材とその製造方法 |
JP2013040054A (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-28 | Lignyte Co Ltd | 炭化物及び炭化物の製造方法 |
JP2020186142A (ja) * | 2019-05-10 | 2020-11-19 | 株式会社クボタ | シリカ・炭素複合材およびその製造方法 |
KR20210156437A (ko) * | 2020-06-18 | 2021-12-27 | 주식회사 동양환경 | 다단 활성탄 제조장치 |
-
2003
- 2003-05-22 JP JP2003144977A patent/JP2004345905A/ja not_active Ceased
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113795463A (zh) * | 2019-05-10 | 2021-12-14 | 株式会社久保田 | 二氧化硅-碳复合材料及其制造方法 |
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KR20210156437A (ko) * | 2020-06-18 | 2021-12-27 | 주식회사 동양환경 | 다단 활성탄 제조장치 |
KR102380314B1 (ko) | 2020-06-18 | 2022-03-30 | 주식회사 동양환경 | 다단 활성탄 제조장치 |
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